説明

粒子状物質を含むウェットワイプローション

本発明は、洗浄ローションを染み込ませた基材で構成されるウェットワイプであって、前記洗浄ローションが粒子状物質を含む、ウェットワイプを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットワイプ及びウェットワイプローションに関する。特に、分散された粒子状物質を含むローションに関する。本発明の好ましいウェットワイプは、本発明のローションを染み込ませた基材物質を含む。
【背景技術】
【0002】
ウェットワイプ、典型的には洗浄ローションを染み込ませる不織布材料(すなわち基材)は、排尿又は排便後の浄化(すなわち肛門周囲の洗浄)などの個人衛生作業で頻繁に用いられる。ウェットワイプは、幼児のおむつなどの吸収性物品を交換することに関連する、介護人の洗浄作業を助ける特別な有用性を見出した。洗浄ローションは、多くの場合、油相(例えば、皮膚軟化剤及び香料構成成分)と、乳化剤又は界面活性剤と、レオロジー変性剤などの更なる添加物を含む水相とを含むエマルションである。このようなローションは、機械的に除去されない固体物質を分散するのを助けることによって、基材による残留物の機械的除去を促進する。残留ローション構成成分は、スキンケア効果を提供することもできる。
【0003】
しかしながら未だ改善が必要である。例えば、製造プロセスで基材に染み込ませるローションの大部分は洗浄を促進するのに利用できない。結果として、ウェットワイプは、糞便を満足に分散するほど十分な洗浄ローションを放出しないこともある。ウェットワイプのユーザーは、不十分なローションに否定的な反応を示す。十分な洗浄ローションを送達しない製品は、価値が低い、粗い質感を有してザラザラする(ローションは潤滑剤としても機能する)、及び洗浄が困難であると考えられる(乏しい潤滑性に由来するとも考えられる)ために満足に機能しない、と判断される。このような低下したローション送達の具体的な原因は、保管中のウェットワイプの積み重ね体の一番上からのローションの流出である。この状態では、拭き取り布は包装直後には十分に飽和しているが、時が経つにつれて、ローションが拭き取り布から流出して、容器の底に溜まる場合がある。結果として、拭き取り布の一部、頻繁には、包装を開けたときに目に付く最初の拭き取り布は、最適な性能に望まれるよりも乾燥している場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当該技術分野は、幾つかの面についてウェットワイプローション配合の改良に取り組んできた:界面活性剤の種類及び含有量の変更、皮膚軟化剤の種類の変更、防腐剤系の変更、及び皮膚に効果をもたらすことを目的とした剤(例えば、植物又は製薬上活性な材料)の添加。一例では、肛門周囲以外の個人洗浄作業(例えば、皮膚又は毛髪からの汚れ、油、及びメークアップなどのその他の物質の除去)のための組成物が知られている。このような組成物の一群は、懸濁された粒子状物質による物理的磨耗に依存する。しかしながら、このような製品は、典型的に濃厚であって(例えば、ゲルもしくはクリーム形態で)、そのため、それらは、前記拭き取り布で拭き取ることによって機械的に除去されない糞便固形物を分散するには不十分な流動性を有することから、ウェットワイプとの使用には適さない。このような濃厚な組成物はまた、商業的に実行可能な生産速度で洗浄ローションを基材に染み込ませるのを困難にする。当該技術分野はまた、室温(約25℃)でよりも高温(約50℃)でより低い粘度のローションを提供することによって、基材へのローションの染み込み易さと洗浄効率とのバランスも検討してきた。しかしながら、当該技術分野は、洗浄ローションが満足すべき様々な要件(例えば、基材へのローションの染み込み易さ、保管中の基材上のローションの取り込みの安定性、及び使用中の基材からのローション放出)についてローション組成物の効果を十分に検討していなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基材及び洗浄ローションを含むウェットワイプである。皮膚軟化剤、界面活性物質(例えば乳化剤)、レオロジー変性剤及び水に加えて、洗浄ローションは、低濃度(<2.5%)の粒子状物質を含む。本発明の粒子状物質は、約100ミクロン未満の平均粒径を有する。粒子状物質が洗浄ローションの一構成成分として使用される場合、前記ローションは、約4Pa・s(4000センチポアズ)を超える低剪断(0.05パスカル)粘度及び約0.1Pa・s(100センチポアズ)未満の高剪断(10パスカル)を、0.05パスカル〜10パスカルの剪断応力での降伏値と共に有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
ウェットワイプ
本発明は洗浄ローション組成物を含むウェットワイプであり、前記洗浄ローション組成物は粒子状物質を含む。
【0007】
本明細書で使用するとき、用語「ウェットワイプ」は、消費者による使用前に、例えば基材に液体洗浄組成物を染み込ませることによって湿らせた基材を含む拭き取り布に言及する。具体的には、「ウェットワイプ」は、拭き取り布が包装から取り出されたときに既に湿っているように包装前に染み込ませた基材を有する拭き取り布に言及する。「予め湿らせた拭き取り布」及び「ウェットティッシュ(towelettes)」と呼ぶこともできるウェットワイプは、赤ちゃんを洗浄する際の使用に適しており、またあらゆる年齢の人々に関する洗浄作業での使用も見出すことができる。このような拭き取り布はまた、メークアップ、皮膚コンディショナー、軟膏、日焼け止め剤、防虫剤、及び医薬品の適用及び除去が挙げられるが、これらに限定されない、身体への物質の適用及び除去のために使用される物品を含むこともできる。
【0008】
本明細書で使用するとき、材料組成物に関して使用する場合、用語「%」、「百分率」、「重量百分率」又は「重量%」は、特に示さない限り、全体の百分率としての構成成分の重量基準の量に言及する。
【0009】
本明細書で使用するとき、用語「乳化剤」又は「可溶化剤」は、ローション組成物中の1つ以上の構成成分が個別のバルク層に分離する傾向を軽減する一構成成分に言及する。
【0010】
本明細書で使用するとき、用語「粒子状物質」は、約80℃を超える融点又は他の一次転移温度を有する、水性媒体中で不溶性/非分子的分散性である洗浄ローション組成物の一構成成分に言及する。粒子状物質の他の重要な特性を後に述べる。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「不織布」は、紙、ティッシュペーパー、及び織られた、編まれた、房状になった又はステッチボンド加工された(stitch-bonded)製品を除く、摩擦、及び/もしくは凝集及び/もしくは接着によって結合されたシート、ウェブ、又は指向的にもしくは無作為に配向された繊維の芯(batt)に言及する。ウェブは、紙ウェブであると考えられるため、構成要素である繊維のほぼ全てが300未満の長さ対直径比又は約1mm未満の公称(もしくは平均)繊維長さを有する場合、断定的に本発明のウェブとして挙げられない。しかしながら、本発明の基材として使用するのに好適な不織布ウェブを製造するために使用される繊維の一部は、ウェブが少なくとも一部の合成繊維も含むのであれば、このような比較的短い繊維(例えば、パルプ加工プロセスに由来する繊維)を含んでもよい。この種のウェブの一例は、米国特許第4,100,324号に記載されているような、平均繊維直径が約10ミクロン未満の熱可塑性ポリマーマイクロファイバーの気泡混合(air-formed)マトリックスと、前記のマイクロファイバーのマトリックス全体に配置された多数の個別の木材パルプ繊維とを含み、かつ少なくとも幾つかのマイクロファイバーを固定してそれらマイクロファイバー同士の間に間隔を空けた、ウェブである。
【0012】
基材
洗浄ローションを担持するために用いられる材料(すなわち「基材」)は、一般に柔軟でかつ可撓性であり、場合によりその洗浄性能を高める構造化表面を有する。前記材料は、好ましくは、一般に少なくとも幾つかの合成繊維を含む不織布材料である。ただし、織物材料、並びに織布又は不織布のいずれかの形態の天然繊維の使用は、本発明の範囲内である。本発明の一実施形態において、基材は、ポリオレフィン、ポリエステル、セルロース(レーヨンを含む)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリビニルアルコール、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される材料の繊維を含む不織布材料を含む。好ましい不織布材料には、エアレイイング、ウェットレイイング、カーディング、スパンボンディング及びメルトブローイング、並びにこのような製造プロセスの組み合わせを含むいかなる好適な製造プロセスを使用してもよい。好ましくは、基材材料はまた、水流交絡又はスパンレーシングなどのプロセスによってその柔軟性及び質感を改善するように処理される。
【0013】
基材は、それが洗浄プロセス中にユーザーの手が汚れることに対する保護を提供するという信頼をユーザーが寄せるほど十分に丈夫でなければならない。好適には、基材の坪量は、少なくとも約40グラム/mでなければならない。好ましくは、基材の坪量は、少なくとも約45グラム/mである。有用になるために、基材の坪量は、好ましくは約100グラム/m未満である。特に好ましい基材は、約45グラム/m〜約75グラム/m、より好ましくは約45グラム/m〜約60グラム/mの坪量を有する。
【0014】
好ましい基材材料は、基材が適切な量の洗浄ローションを吸収できることを確実にするための親水性繊維と、望ましい「手触り」を基材に与えるための補強繊維とのブレンドを含む。基材は、その外側表面に柔軟で可撓性の繊維を配置し、その内部に補強繊維を「隠す」ように、層状構造体を含んでもよい。
【0015】
好適な基材は、フィンランド、タンペレ(Tampere)のスオミネン(Suominen)からフィブレラ(FIBRELLA)3160として入手可能な、58グラム/mの坪量を有する、ビスコース繊維とポリプロピレン繊維との40/60ブレンドを含む毛羽立てた不織布である。基材として使用するための別の好適な材料は、ドイツ、シュヴァルツェンバッハ/サーレ(Schwarzenbach/Salle)のサンドラー社(Sandler AG)から入手可能なサワテックス(SAWATEX)2642である。
【0016】
ウェットワイプは、一般に、便利な取り扱いを可能にするのに十分な寸法のものである。典型的に、基材は、製造プロセスの一端として、このような寸法に切断され及び/又は折り畳まれる。場合により、基材は、しばしば消費者包装内に積み重ねられて交互に挟まれる別々の拭き取り布を提供するように、個々の部分に切り分けられる。他の実施形態では、拭き取り布は、ウェブが細長く切断されて予め定められた幅に折り畳まれ、ユーザーによって個々の拭き取り布を当該ウェブから分離させる手段(例えば、ミシン目)を備えられた、ウェブの形態である。好適には、本発明による個々のウェットワイプは、長さ約100mm〜約250mm、幅約140mm〜約250mmを有する必要がある。通常使用されるような拭き取り布の好ましい寸法は、長さ200mm×幅180mmである。
【0017】
洗浄ローション
基材には、一般に、洗浄を促進することと、使用後に皮膚に滑らかな感触を与えることとの両方を目的として、液体又は半液体の洗浄ローションを染み込ませる。他の成分又は活性物質(例えば、化粧品用活性物質)を組成物の一部とすることができる。
【0018】
一般に、前記組成物は、皮膚上の固体汚れを分散し、拭き取り布の構造全体への染み込みを促進するのに十分低粘度のものである。別の場合には、前記組成物は主に拭き取り布の表面に存在し、それより少ない程度で拭き取り布の内部構造に存在することができる。好適には、基材には、その重量の少なくとも約2.0倍の洗浄ローションを染み込ませる。好ましくは、拭き取り布には、その重量の少なくとも約2.5倍、より好ましくはその重量の少なくとも約3.0倍を染み込ませる。あるいは、その重量の約6.0倍を超える染み込みは望ましくなく、好ましくは、基材には、その重量の約5.0倍未満までを染み込ませる。
【0019】
望ましくは、基材は、洗浄ローションを放出可能に担持する、すなわち、組成物は、基材の中又は上に含有されており、基材に比較的弱い力を加えること(例えば、肛門周囲領域の皮膚などの表面をウェットワイプで拭き取ること)によって基材から容易に放出される。後に述べるように、本発明の組成物は、粒子状物質を含まない組成物と比べた場合、洗浄ローションの改良された放出をもたらす。
【0020】
好ましくは、本発明の洗浄ローションが基材に装填されると、洗浄ローションがそこから容易に放出する。好適には、拭き取り布は、本明細書の試験方法欄で説明するローション放出試験で評価した場合に少なくとも約0.3グラムの洗浄ローションを放出する必要がある。好ましくは、放出は少なくとも約0.35グラムであり、より好ましくは、放出は少なくとも約0.4グラムである。
【0021】
あるいは、ウェットワイプは、そこに染み込ませた有効量の洗浄ローションを放出することが望ましい。好適には、本発明のウェットワイプは、ローション放出試験に従って評価した場合、染み込んだローションの少なくとも約4%を放出する。好ましくは、ウェットワイプは、少なくとも約6%、より好ましくは少なくとも約8%を放出する。これらの相対放出値はワイピングハンド130の面積と、ローション放出試験(後に述べる)において加えられる圧力とに依存し、いずれの増加も結果として更に高い相対放出をもたらすことが分かるであろう。
【0022】
本発明の洗浄ローションは、非ニュートンレオロジー特性を有する。特に、それらは、低剪断では高い粘度を、及び高剪断では低い粘度を与える降伏値を有する。具体的には、本発明の洗浄ローションは、試験方法欄で述べる方法に従ってプレート及びコーンレオメーターを使用して剪断応力特性を用いて測定したときに、約0.05パスカル(Pa)の剪断応力において約4Pa・s(4000センチポアズ)を超える、好ましくは約7Pa・s(7000センチポアズ)を超える、より好ましくは約10Pa・s(10,000センチポアズ)を超える、低剪断での粘度を有する。重要なことに、本発明のローションは、本発明による洗浄ローションの高剪断粘度の大幅な低下をもたらす、少なくとも1つの降伏値を有する。結果として、本発明の洗浄ローションの10Paの剪断応力(すなわち、降伏値より大きな剪断応力)での粘度が、試験方法欄で述べる方法に従って測定したときに、大幅に低下する(好適には、約0.1Pa・s(100センチポアズ)未満、好ましくは約0.075Pa・s(75センチポアズ)未満、より好ましくは約0.05Pa・s(50センチポアズ)未満)。本発明の特に好ましい実施形態は、3Paの剪断応力において大幅に低下した粘度(好適には、約0.1Pa・s(100センチポアズ)未満、好ましくは約0.075Pa・s(75センチポアズ)未満、より好ましくは約0.05Pa・s(50センチポアズ)未満)を提供するように、約3Pa未満の降伏値を有する。
【0023】
この非ニュートン粘度特性は、既に入手可能な洗浄ローションよりも優れた方式でウェットワイプに好適な洗浄ローションのための異なる要件に対応すると考えられる。理論に束縛されるものではないが、1)低剪断での高い粘度は、本発明のローションが製品の輸送及び保管中に流出する傾向が低いことを意味し、2)より高い剪断での低い粘度(粘度は典型的に、1Pa未満の剪断応力で迅速に低下し始める)は、ローションがより染み込み易い(すなわち、ローションが製造プロセス中に基材全体に容易に分散される)ことを意味し、3)ローション放出が従来技術のウェットワイプに比べて向上している、と考えられる。
【0024】
代表的なレオロジー曲線を図1に示すが、曲線10は粒子状物質を含まない従来技術のローションであり、曲線20は本発明による洗浄ローションである。理論に束縛されるものではないが、本発明の粒子状物質は、レオロジー変性剤と協力して、拭き取り布の積み重ね体を保管している間に基材からのローションの流出を最小限に抑えるように、高い低剪断粘度を維持するのに寄与する折り畳み式構造を提供する(すなわち、粒子状物質が、より均一なローション分布を維持するのに役立つ追加構造を提供する)と考えられる。曲線10及び20を比較するとき、本発明のローション(曲線20)の低剪断粘度が、粒子状物質を含有しない同じローション組成(曲線10)の低剪断粘度よりもかなり大きいことに注意すべきである。曲線10をもたらすと評価されたローションは、従来技術の洗浄ローションと実質的に同様であることに注意すべきである。具体的には、本発明の洗浄ローションは、0.05Paにおいて、追加の粒子状物質を含まずに配合された同じローション組成の粘度よりも約4倍より大きな粘度(すなわち、粘度比>4:1)を有する必要があり、好ましくは粘度比は約6:1より大きく、より好ましくは約8:1より大きい。前述のように、この高い粘度比は、粒子状物質の添加に起因する、ローションにおける追加構造の結果であると考えられる。
【0025】
本明細書は、本発明を詳細に指摘し明確に請求する請求項をもって結論とするが、本発明は、添付の図面と併せてなされる次の説明から、よりよく理解されると考えられる。
【0026】
図1に示すように、本発明の洗浄ローション(曲線20)は、2つの降伏値を有する。前記洗浄ローションは、最初、約0.03〜0.13Paの応力で流動し始め、約0.3〜約0.6Paの応力において第2の粘度低下が始まる。しかしながら、このような2つの降伏値構成は、本発明によるローションにとって必要ではない。本発明の目的のために、ローションは、前述の非ニュートンレオロジー特性を有することだけで十分である。例えば、剪断応力0.05Paにおいて粘度5000センチポアズ及び3Paにおいて粘度0.075Pa・s(75センチポアズ)を有し、0.05Pa〜3Paの剪断応力において1つの降伏値を有する洗浄ローションが、本発明による洗浄ローションであろう。
【0027】
その実施形態の大部分において、本発明の洗浄ローションは、皮膚軟化剤;粒子状物質、界面活性剤及び/又は乳化剤;レオロジー変性剤;並びに水を含むが、これらに限定されない。緩和剤、植物類、スキンヘルス剤(skin health agents)及び防腐剤を含むがこれらに限定されない、他の成分が組成物に組み込まれてもよい。化合物には、複数の機能を有することができるものがあること、及び必ずしもすべての化合物が本発明の組成物に存在する必要はないことに注意すべきである。好ましくは、本発明の洗浄組成物は水中油型エマルションである。
【0028】
皮膚軟化剤
一般の辞書は、「皮膚軟化剤」を「軟化又は緩和するもの」と定義している。皮膚軟化剤は、ウェットワイプローションに添加されて、以下のことを含む機能を与えるが、これらに限定されない:(1)潤滑性を高め、そしてそれ故に皮膚の摩擦を低減することによって、皮膚上での拭き取り布の滑りを改善すること、(2)汚れの残留物(例えば、糞便残留物又は乾燥した尿の残留物)の水和、それ故に皮膚からのそれらの除去を増進すること、(3)皮膚の水和、それ故に、その乾燥及び炎症を軽減すると同時に、拭き取り動作におけるその柔軟性を改善すること、(4)皮膚軟化剤が皮膚に付着して薄い保護層としてその表面に残るので、皮膚をその後の刺激(例えば、下着との摩擦によって生じるもの)から保護すること。分かるように、本発明のエマルション系洗浄ローションを介して送達される皮膚軟化剤は、従来技術のエマルションをベースとする系がより高い粘度を有する結果、最適なローション放出特性に満たないという理由で基材からの最大ローション放出のための低粘度の洗浄ローションを提供するために水溶性皮膚軟化剤物質(例えば、グリセリン)のみに依存する従来技術の洗浄ローションよりも、このような機能を有意義にかなり多く提供する。
【0029】
本発明の皮膚軟化剤は、好ましくは約5〜約12、より好ましくは約5〜約9の溶解度パラメータを有する。
【0030】
ローション組成物中に含むことができる皮膚軟化剤の量は、関与する特定の皮膚軟化剤、所望のローション様効果、及びローション組成物中のその他の構成成分を含む、種々の因子によって決まる。皮膚軟化剤含有量が低い又は非常に低い組成物が、本発明に最も適することが見出された:組成物の皮膚軟化剤含有量は、約0.001%〜約5%未満、好ましくは約0.001%〜約3%未満、より好ましくは約0.001%〜約2.5%未満、更により好ましくは約0.001%〜約1.5%未満である。理論に束縛されるものではないが、低い皮膚軟化剤含有量は、否定的なユーザー認識を最小限にするように、皮膚へ油/油汚れが付着する恐れを軽減すると考えられる。
【0031】
本発明のローション中で使用される好ましい皮膚軟化剤は、シリコン系(silicon-based)である。シリコーン系の皮膚軟化剤は、繰り返しシロキサン(Si−O)単位を有するオルガノシリコーン系ポリマーである。本発明のシリコーン系皮膚軟化剤は疎水性であり、広い範囲の可能な分子量で存在する。それらは、線状、環式、及び架橋種を含む。シリコーンオイルは、一般に化学的に不活性であり、通常は高い引火点を有する。それらの低い表面張力に起因して、シリコーンオイルは容易に広がり、高い界面活性を有する。本発明で使用するのに好適なシリコンオイル(silicon oils)の例には、シクロメチコン、ジメチコン、フェニル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、シリコーン樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明において有用なその他の皮膚軟化剤としては、ステアリン酸エチル、ヘキシル、又はカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなどの、不飽和エステル又は脂肪酸エステルが挙げられる。
【0032】
好ましい皮膚軟化剤は、バージニア州ホープウェル(Hopewell)のデグッサ・ケア・スペシャルティーズ(Degussa Care Specialties)から入手可能なエイビルケア(ABILCARE)85として既知の、ビス−PEG/PPG−16/16、PEG/PPG−16/16ジメチコンと、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドとの組み合わせである。この材料は、皮膚軟化剤として及び乳化剤としての両方の作用をするので、特に有用である。
【0033】
粒子状物質
本発明の洗浄ローションの必須成分は、粒子状物質である。本発明の洗浄ローションは、現在入手できる洗浄ローションと同様の方法で配合及び加工(converted)され得るが、このような物質を含む洗浄ローションが、本発明のウェットワイプに少なくとも2つの利点を与えることが分かった:1)洗浄作業中の基材からのローションの改善された放出、及び2)洗浄作業完了後の改善された肌触り。理論に束縛されるものではないが、以下のことが考えられる。
・改善された放出は、図1に示しかつ先に述べたように、粒子状物質を含むことによる増加した低剪断粘度の提供の結果である。
・改善された肌触りは、本発明の洗浄ローションを含むウェットワイプを用いて洗浄され乾燥させた皮膚に、滑らかな感触を与える小さな「ボールベアリング」の機能を果たす残留粒子状物質に由来する。
【0034】
前記のもう1つの手段、本明細書に記載の粒子状物質の包含は、ウェットワイプに当該技術分野では今まで得られなかった更なる効果を与える。
【0035】
前記の改善には、ほんの少量の粒子状物質が必要である。典型的に、約2.5%未満の粒子状物質を含む洗浄ローションは、微粒子を含まない洗浄ローションに比べて改善された放出を提供する。好ましくは、前記微粒子の濃度は、約1.5%未満、より好ましくは約1.0%未満である。好ましい洗浄ローションは、約0.01%〜1.0%の微粒子濃度を有する。特に好ましいのは、約0.4%〜0.6%の濃度である。約0.5%の粒子状物質を含むローションが特に好ましい。
【0036】
好適な粒子状物質の特性としては、洗浄ローションの液相中への不溶性(長期保管後も)、粒子状物質を濡らす洗浄ローションの液相の能力、前記粒子が洗浄ローションの液相中に懸濁し続けるほど十分に低い密度及び/又は十分に小さい粒径(分かるように、レオロジー変性剤の使用は、前記密度/粒径要件に更なる柔軟性を与える)、並びに費用効率の高い性能改善が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
好適には、前記粒子は、約0.8グラム/cm〜約2.0グラム/cmの密度を有する。好ましくは、前記密度は、約0.9グラム/cm〜約1.5グラム/cmである。より好ましくは、前記密度は、粒子の沈殿を最小限に抑えるように約1グラム/cm未満であり、前記密度は、粒子の浮揚を最小限にするように約0.9グラム/cmより大きい。
【0038】
約1〜100ミクロンの平均粒径を有する粒子が本発明での使用に適している。好ましくは、平均粒径は約75ミクロン未満である。平均粒径の好ましい範囲は、約5〜約40ミクロンである。特に好ましい平均粒径は、約10〜約30ミクロンである。重要なことに、前記粒径分布は、ウェットワイプの使用中に「ザラザラした」感触を最小限にするように、大きな粒子は低濃度であるようにすべきである。好適には、25%未満の粒子が100ミクロンを超える等価直径を有する。好ましくは、25%未満の粒子が75ミクロンを超える等価直径を有する。
【0039】
好適な市販の粒子状物質としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ポリエチレン粉末がニュージャージー州モリスタウン(Morristown)のハニーウェル・インターナショナル(Honeywell International)から商標名アキュミスト(ACUMIST)として入手可能である;ニュージャージー州サウス・プレーンフィールド(South Plainfield)のコボ(KOBO)からBPAとして入手可能なポリメチルメタクリレート微小球;コボからBPDとして入手可能なラクトンクロスポリマー微小球;コボからナイロンSP(NYLON SP)として入手可能なナイロン12微小球;コボからトスパール(TOSPEARL)として入手可能なポリメチルシルセスキオキサン微小球;コボからセロ−ビーズ(CELLO-BEADS)として入手可能なセルロース微小球;コボからMSSとして入手可能なシリカ微小球;ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown)のマイクロ・パウダーズ社(Micro Powders, Inc.)からマイクロスリップ(MICROSLIP)として入手可能なポリテトラフルオロエチレン粉末;マイクロ・パウダーズ(Micro Powders)からマイクロイーズ(MICROEASE)として入手可能な微紛化ろう;マイクロ・パウダーズからマイクロケア(MICROCARE)として入手可能な天然ろうと微紛化ポリマーとのブレンド;及びジョージア州デュルス(Duluth)のエキスパンセル社(Expancel, Inc.)からエキスパンセル(EXPANCEL)として入手可能な塩化ビニリデンと、アクリロニトリルと、メチルメタクリレートとのコポリマーの微小球粒子。好ましいのは、テキサス州ヒューストン(Houston)のイクイスター・ケミカル社(Equistar Chemical Corp.)からマイクロセン(MICROTHENE)として入手可能なポリオレフィン粉末である。特に好ましいのは、イクイスター(Equistar)からのマイクロセン(MICROTHENE)FN510−00である。
【0040】
乳化剤/界面活性剤
洗浄ローションは、当該技術分野において水中油型エマルションを形成することで知られているような1以上の乳化剤も含む。好ましい乳化剤は、洗浄を助ける界面活性剤としても十分に機能するものである。乳化剤と他の界面活性構成成分との混合物も使用してよい。乳化剤は、ポリマー乳化剤であることができる。洗浄ローションに低い界面張力を与える界面活性剤/乳化剤が本発明では好ましい。重要なことに、乳化剤は、洗浄ローションの液相がそれによって粒子状物質を濡らすことができるように粒子状物質の表面エネルギーよりも低い表面張力を有することを保証するのに寄与しなければならない。好ましい界面活性剤/乳化剤の他の特徴としては、高い極性及び非イオン性の性質が挙げられる。
【0041】
特に好ましい乳化剤は非イオン性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤の例は、マカッチャン(McCutcheon)の洗剤及び乳化剤(Detergents and Emulsifiers)、北米版(1997)、及びマカッチャンの機能材料(Functional Materials)、北米版(1997)に開示されており、いずれもニュージャージー州グレン・ロック(Glen Rock)のマック・パブリッシング社(Mc Publishing Co.)から出版されている。
【0042】
本明細書で有用な非イオン性界面活性剤は、アルキルグリコシド及びアルキルポリグリコシドから成る群より選択されるものが挙げられる。これらは、長鎖アルコール、例えばC〜C30アルコールと糖との縮合生成物;糖ポリマー又はデンプン(すなわち、グリコシド又はポリグリコシド)として広く定義できる。これらの化合物は、式(S)−O−Rで表すことができ、式中、Sはグルコース、フルクトース、マンノース及びガラクトース等の糖部分であり、nは約1〜約1000の整数であり、RはC〜C30アルキル基である。アルキルグリコシド及びアルキルポリグリコシドの非限定的な例としては、ポリソルベート−20及びポリソルベート−60が挙げられる。
【0043】
エトキシル化及びプロポキシル化アルコールエーテル、エトキシル化及びプロポキシル化エステル、並びにエトキシル化及びプロポキシル化アミドも有用である。これらは、長鎖アルコール又はカルボン酸もしくはアミド、例えばC〜C30アルコール又はC〜C30カルボン酸もしくはC〜C30カルボン酸アミドと、エチレンオキシド及び/もしくはプロピレンオキシドなどのアルコキシドとの縮合生成物として広く定義できる。
【0044】
エトキシル化及びプロポキシル化モノ−、ジ−、及びトリ−グリセリドも有用である。これらは、長鎖カルボン酸(例えば、C8〜30カルボン酸)とグリセリンとの縮合生成物であって、1つ又は2つ又は3つのいずれかのカルボン酸部分がグリセリン部分と結合しているものとして広く定義できる。非限定的な例としては、ドイツ、ルートヴィヒスハーフェン(Ludwigshafen)のBASFからクレモフォア(Cremophor)C−40としてのPEG−40硬化ヒマシ油、又はドイツ、ヴィッテン(Witten)のサソール・ジャーマニー社(Sasol Germany GmbH)からソフチゲン−767(Softigen-767)としてのPEG−6カプリル酸/カプリン酸グリセリドが挙げられる。
【0045】
シリコーンコポリオール界面活性剤も有用である。これらは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとポリ−ジメチルシロキサンとの縮合生成物として広く定義できる。これらの材料は、直鎖構造及びペンダント構造を含むがこれらに限定されない、多数の構造をとることができる。非限定的な例としては、バージニア州ホープウェル(Hopewell)のデグッサ・ケア・スペシャルティーズ(Degussa Care Specialties)から商標名エイビル(ABIL)として入手可能な、ビス−PEG/PPG−16/16 PEG/PPG−16/16ジメチコン、ビス−PEG/PPG−20/20 PEG/PPG−20/20ジメチコン、PEG/PPG−20/6ジメチコン、及びPEG/PPG−4/12ジメチコン、並びにコネチカット州ウィルトン(Wilton)のGEシリコーンズ(GE Silicones)から商標名シルウェットL(SILWET L)として入手可能なシリコーングリコールコポリマーが挙げられる。
【0046】
グリセロールエステル及びそのアルコキシル化誘導体も好適である。代表的な材料としては、バージニア州ホープウェル(Hopewell)のデグッサ・ケア・スペシャルティーズ(Degussa Care Specialties)から商標名テゴケア(TEGO CARE)として入手可能なステアリン酸グリセリルブレンドが挙げられる。
【0047】
アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び双極性界面活性剤を含むイオン性界面活性剤も有用である。
【0048】
本発明に特に適しているのは、アルキルポリグリコシド(例えば、デラウェア州ニューキャッスル(New Castle)のユニケマ(Uniqema)から入手可能なポリソルベート20)、及びカプリル酸カプリン酸トリグリセリドとビス−PEG/PPG−16/16 PEG/PPG−16/16ジメチコンとのブレンド(バージニア州ホープウェル(Hopewell)のデグッサ・ケア・スペシャルティーズ(Degussa Care Specialties)からのエイビルケア85(ABILCARE 85))、並びにこれらの組み合わせなどの乳化剤である。エイビルケア85(ABILCARE 85)は、水相を加熱することがエマルションの形成に必要でないため、及び前記ブレンドが皮膚軟化剤機能も与えるため、特に好ましい。
【0049】
乳化剤は、洗浄作業を更に促進するためになお利用できる十分な界面活性物質と共に組成物中に存在し得る、皮膚軟化剤及びその他の非水溶性油を乳化するために有効な量で用いられる。洗浄ローションは、好ましくは、約3%未満の非イオン性界面活性剤を含む。より好ましくは、ローションは、約1%未満の非イオン性界面活性剤を含むことができる。更により好ましくは、ローションは、約0.3〜約0.6重量%の非イオン性界面活性剤を含む。場合によっては、組成物は、1つより多くの乳化剤(乳化剤及び乳化助剤(co-emulsifier))を含んでもよい。このような組成物において、有効な乳化剤である構成成分の合計濃度は、好ましくは約3%未満、より好ましくは約2%未満、更により好ましくは約1.5%未満である。
【0050】
本発明の一実施形態において、濃縮組成物は、約9:1〜約1:72(重量/重量に基づく)、より好ましくは約6:1〜約1:30(w/w)の、界面活性剤の量と皮膚軟化剤の量との比率を有する。
【0051】
レオロジー変性剤
組成物のレオロジーは、その機能において重要な役割を果たすことが見出された。所望のレオロジーを保証することを目的とした一連の化合物が好ましいことが見出された。これらの化合物は、組成物の安定化におけるその役割から安定剤とも呼ばれる。
【0052】
レオロジー変性剤は、処理温度に加えて、より低い温度でも組成物の粘度を増大させる化合物である。レオロジー変性剤、又は懸濁剤、又は安定剤は、不溶性及び部分的に可溶性の構成成分の沈殿(分離)を防止するための「構造」をも組成物に提供する。組成物のその他の構成成分又は添加剤が、組成物の温度に関する粘度/レオロジーに影響を及ぼす場合がある。
【0053】
レオロジー変性剤の効果及び利点は、米国特許出願番号20020128621A1、名称「良好な安定性を有する単純化された組成物を用いた吸収性物品(Absorbent articles with simplified compositions having good stability)」(クルチョスキー(Kruchoski)ら、2002年9月12日公開、2001年12月21日出願)、及び米国特許出願番号20020128615A1、名称「アニオン性ポリマー類を含有する非水性組成物を用いた吸収性物品(Absorbent articles with non-aqueous compositions containing anionic polymers)」(ティレル(Tyrrell)ら、2002年9月12日公開、2001年12月22日出願)に詳細に記載されている。
【0054】
不溶性及び部分的に可溶性の構成成分の懸濁液を安定化することに加え、本発明のレオロジー変性剤は、拭き取り布上の組成物を安定化し、ローションの皮膚への移動を増進するのにも役立つ:拭き取り動作は、剪断及び圧力を増大させるので、ローションの粘度を低下させ、皮膚へのより良好な移動並びにより良好な潤滑効果を可能にする。
【0055】
更に、レオロジー変性剤は、拭き取り布の積み重ね体の中での組成物の均質な分布を保つのに役立つ:いかなる流体組成物も、長期保管中に拭き取り布の積み重ね体のより低い部分に移動する傾向がある。この効果により、積み重ね体の上方の領域が底部よりも少ない組成物を有するようになる。これは、ユーザーによって、比較的低品質の徴候と受け止められる。
【0056】
好ましいレオロジー変性剤は、低い初期粘度及び高い降伏点を呈する。本発明に特に好適なのは、以下のようなレオロジー変性剤であるが、これらに限定されない。
・ドイツ、エメリッヒ(Emmerich)のユニケマ社(Uniqema GmbH&Co. KG)から商標名アーラトン(ARLATONE)として入手可能な材料のブレンド。特に好ましいのは、パルミチン酸スクロースと、ステアリン酸グリセリルと、クエン酸ステアリン酸グリセリルと、スクロースと、マンナンと、キサンタンガムとのブレンドであるアーラトン(ARLATONE)V−175、及びステアレスー100と、ステアレスー2と、クエン酸ステアリン酸グリセリルと、スクロースと、マンナンと、キサンタンガムとのブレンドであるアーラトン(ARLATONE)V−100である。
・フランス、パリ(Paris)のセピック・フランス(Seppic France)よりシマルゲル(SIMULGEL)として入手可能な材料のブレンド。特に好ましいのは、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーと、スクアラン及びポリソルベート60とのブレンドを含むシマルゲル(SIMULGEL)NS、並びにアクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーと、ポリイソブテン及びカプリリルカプリルグルコシドとのブレンドを含むシマルゲル(SIMULGEL)EPGである。
・アクリレートホモポリマー、アクリレートクロスポリマー、例えば、限定されないが、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、カルボマー、例えば、限定されないが、ペンタエリスリトールのアリルエーテル、スクロースのアリルエーテル、プロピレンのアリルエーテルなどであるがこれらに限定されない1つ以上のアリルエーテルと架橋したアクリル酸、並びにオハイオ州クリーブランド(Cleveland)のノベオン社(Noveon,Inc.)からカーボポール(Carbopol)(登録商標)900シリーズとして入手可能なこれらの組み合わせ(例えば、カーボポール(Carbopol)(登録商標)954)。
・キサンタンガム、ガラクトアラビナン及び他の多糖類のような天然由来ポリマー。
・上記のレオロジー変性剤の組み合わせ。
【0057】
市販のレオロジー変性剤の例としては、いずれもオハイオ州クリーブランド(Cleveland)のノベオン(Noveon)から入手可能である、カルボマーであるウルトレッツ(Ultrez)−10、アクリレートクロスポリマーであるペミュレン(Pemulen)TR−2、及びカリフォルニア州サンディエゴのCPケルコ(CP Kelco)から入手可能なキサンタンガムであるケルトロール(Keltrol)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
レオロジー変性剤は、存在するとき、重量/重量%(w/w)で、約0.01%〜約3%、好ましくは約0.015%〜約2%、より好ましくは約0.02%〜約1%で本発明に使用されてよい。
【0059】
洗浄ローションのその他の任意成分
本発明の洗浄ローションは、補助剤成分を任意に含むことができる。補助剤成分は、これらに限定されないが、香料、芳香剤、防腐剤、レオロジー変性剤、保湿剤、テクスチャライザー、着色剤、医学的活性成分、特に治癒活性物質及び皮膚保護剤などの広範囲の追加成分を含んでもよい。補助剤成分の組み合わせも本発明の範囲内である。
【0060】
保湿剤は、水を角質層に引き込む作用をして皮膚を水和する、吸湿性の材料である。水は、真皮又は大気からもたらされ得る。保湿剤の例としては、グリセリン、プロピレングリコール、及びリン脂質類が挙げられる。
【0061】
香料などの芳香剤構成成分としては、精油を含む非水溶性油が挙げられるが、これに限定されない。
【0062】
防腐剤は、液体ローション中及び/又は基材上での微生物の成長を防ぐ。一般にこのような防腐剤は、疎水性又は親水性の有機分子である。好適な防腐剤としては、これらに限定されないが、メチルパラベン、プロピルパラベンなどのパラベン、アルキルグリシネート、ヨウ素誘導体、4級アンモニウム塩(例えば、塩化ベンザルコニウム)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特に好ましい防腐剤系は、米国特許出願公開第2004/022158号及び米国特許出願番号10/878,875に開示されている。
【0063】
製造方法
洗浄組成物は、エマルションを形成するための、以下に記載されているような構成成分を組み合わせることによって、形成されてよい。あるいは、前記組成物及び拭き取り布は、同時係属中の米国仮特許出願番号60/520032に従って作製される。一実施形態では、洗浄ローションは、約30%未満の水分含有量を有する濃縮組成物の希釈によって調製されてよく、好ましくは、水分含有量は約20%未満、より好ましくは約10%未満である。水の最小量は、濃縮組成物の大抵の実施形態では、約0.1%を超える。このような調製スキームは、乳化プロセス中に加熱される必要のある材料(特に、水)の量を最小限にするという利点を有する。このような高剪断設備によって加工される材料の量も最小限になるため、高剪断プロセス設備に対する必要性もまた最小限に抑えられる。
【0064】
本発明による粒子状物質を含有しない濃縮組成物の例は、同時係属中の米国仮特許出願番号60/520031に記載されている。このような濃縮組成物の好適な調製方法を以下に記載する。
【0065】
加工(Converting)
本発明の拭き取り布の好適な製造方法は、拭き取り布基材を提供し、前記基材にある量の洗浄ローションを供給する工程を含む。この工程は加工工程(converting step)と称される。前記の任意の好適な基材を加工工程(converting step)で使用することができるが、好ましくは前記基材は、ポリプロピレンとセルロース繊維とのブレンドで構成された水流交絡カードウエブを含む。前記基材に洗浄ローションを染み込ませる工程は、(これらに限定されないが)浸水、噴霧、パディング、押し出し被覆及びディップコーティングなどのいかなる従来の適用プロセスでも達成できる。量産に特に好ましいのは、押し出し被覆であり、この場合、洗浄ローションは、移動している基材ウェブに(スロット塗布機と類似の)押し出しヘッダーから所望のアドオン速度で適用される。あるいは、好適な寸法に切断されて折り畳まれた好適な数の基材の乾燥部分が容器内に配置され、好適な量の組成物が、完成した製品の出荷中に基材に染み込むように容器へ供給されてよい。
【0066】
商品
本発明の一実施形態では、商品が提供される。本発明の商品は、通常、(a)本明細書に記載の容器、及び(b)本明細書に記載の少なくとも1つのウェットワイプを含む。
【0067】
本発明の物品に有用な容器としては、例えば、PETタブ型容器(PET tubs)、フローラップパウチ、個別包装された拭き取り布のための切り込みの入った袋、及び当該技術分野において適しているとして既知の他の包装が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
試験方法
ローション放出試験
この方法は、規定された圧力及び速度を用いて規定された面積全体をウェットワイプで拭き取るときの、洗浄ローションのウェットワイプからの放出を求めることを目的とする。
【0069】
装置及び材料
拭き取り装置: 好適な装置100を図1に示す。装置は以下の要素を含む。
プレート105 ポリアセタール(例えば、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のデュポン(DuPont)からのデルリン(DELRIN)が好適である)を含むプレート(40cm×40cm×15mm)。
ドライブ機構115 ワイピングハンド130の中心点においてワイピングハンドを100°の角度まで15cm/秒の線速度によって回転させることが可能であり、フロントガラスのワイパーからのドライブ機構、例えば、ドイツのボッシュ・オートモーティブ・カールスルーエ(Bosch Automotive Karlsruhe)からの部品番号058745−0390242401、CDP 24ボルトが好適であることが分かっている。
アーム120 211mm半径の回転を提供しかつプレート105の面上でワイピングハンド130を持ち上げることができるように、一方の端でドライブ機構115と、またもう一方の端でワイピングハンド130の中心と(例えば、自在継ぎ手を介して)柔軟に連結されたアルミニウムバーストック(aluminum bar stock)(20mm×7mm)。
ワイピングハンド130 827Pa(0.12psi)の拭き取り圧力を提供するのに十分な重量を有するプレート18cm×8cm。
溝133 溝(170mm×17mm×深さ7mm)は、ワイピングハンド130の最上面に、その前縁135と隣接して圧延される。この溝は、拭き取り布試料を仮付着させるために、クリップ133a(拭き取り布試料を引き裂くことなく拭き取り布試料を所定の位置に保持するための摩擦嵌め合い(friction fit)を提供するように、溝133よりも僅かに小さな寸法の直方体)と連携して機能する凹部を提供する。
【0070】
天秤:オハイオ州コロンブス(Columbus)のメトラー−トレド社(Mettler-Toledo, Inc.)からのモデルPR2003デルタ・レンジ(Model PR2003 Delta Range)又は同等品などの精度±0.001gの天秤が適している。
【0071】
皮膚類似物:ドイツ、ヴァイスバッハ(Weissbach)のコンラッド・ホルンシュッフ社(Konrad Hornschuch AG)からDCフィックス・ホイル200−0907(DC Fix Foil 200-0907)として入手可能なポリプロピレンフィルムが使用される。前記類似物は、45cm×40cmの寸法に切断される。図1の110として示される(図1に示すような位置)。
【0072】
試験手順:試験は、以下のように設定された一定温度/湿度の部屋内で好適に行われてよい:25℃〜29℃;相対湿度35%〜45%。
1)拭き取り布1枚をパックから取り出し、初期重量(AWW)を記録する。
2)前記拭き取り布を、溝133の内縁に重なるようにハンド130の最上面にその一方の端を配置することによってワイピングハンド130に取り付ける。クリップ133a(拭き取り布試料を引き裂くことなく拭き取り布試料を所定の位置に保持するための摩擦嵌め合い(friction fit)を提供するように、溝133よりも僅かに小さな寸法の直方体)を、拭き取り布試料の最上面の溝133に嵌めて、拭き取り布をハンド130に一時的に取り付ける。拭き取り布をワイピングハンド130の周りに巻き付けて、しわを伸ばす。拭き取り布の、クリップ133aの下に配置された縁とは反対側の縁を、後縁137まで持ってきて、洗浄ローションによってもたらされる毛管力によってハンド130と接着させる。
3)ハンド130を15cm/秒の線速度で100°の弧まで回転させるように、ドライブ機構115を作動させる。
4)工程4を3サイクル繰り返す。ドライブ機構115がフロントガラスのワイパー機構である場合、ハンド130は3サイクル往復させることができ、そうでない場合は、3回往復させるためにアーム120を持ち上げてハンド130を出発位置まで戻す。
5)拭き取り布をワイピングハンド130から取り外し、最終重量(PWW)を記録する。
6)皮膚類似物を脱イオン水で洗浄し、ティッシュペーパーで乾燥させる。
7)次の測定を行う。
8)5枚の拭き取り布について工程2〜8を繰り返す。
【0073】
計算及び記録
ローションの取り込み=(AWW−SW)/SW
式中、
SW:少なくとも3枚の代表的な拭き取り布を脱イオン水で洗浄して洗浄ローションを除去し、洗浄された拭き取り布を室温で一晩乾燥させることによって測定された、乾燥状態のシート重量。SWは、その3枚の洗浄された拭き取り布の平均重量である。
【0074】
重量喪失=AWW−PWW
ローションの取り込みの重量喪失[%]=(WL×100)/LL
ローションの取り込み、重量喪失、及びローションの取り込みの百分率としての重量喪失の、平均及び標準偏差を記録する。所望により、標準的な統計的手法(例えば、分散分析、平均値のテューキー・クレーマー(Tukey-Kramer)比較など)を用いて生データを評価して、様々な組成を有するウェットワイプ試料を比較することができる。
【0075】
レオメトリー
この方法は、ストレート(neat)の洗浄ローション、及び飽和したウェットワイプから搾り出された洗浄ローションの降伏値(すなわち、見かけ粘度が低下し始めるときの剪断応力)を求めるのに適している。
【0076】
装置
【表1】

【0077】
手順
この手順は、ハーケ(Haake)機器のセットアップ及び操作に適している。それは、別の機器を使用した場合に同等の結果をもたらすように、高度なレオメーターによって必要に応じて修正すべきである。
【0078】
設備の準備
1.ハーケ(Haake)レオメーターの形状及び慣性は、初期インストール中に標準化され、製造者によってセットアップされる。
2.レオメーター及び恒温槽の両方の操作に関する更なる情報については所有者マニュアルを参考にする。
3.恒温槽を22℃±1℃に平衡化させる。
4.60mmベースプレートを温度センサーのスプリング力に逆らって真っ直ぐ押し下げかつ反時計回りに回転させることによって、60mmベースプレートを装てんする。これが前記プレートの適切な配置を確実にする。ねじ付き接合部を締めて、前記60mmコーンをレオメーターに取り付ける。
5.パーソナルコンピューターの電源を入れ、レオウィン・プロ・ジョブ・マネージャー(RheoWin Pro Job Manager)ソフトウェアを開く。
6.以下のセットアップパラメーターが入力されたことを確認する。
【表2】

【0079】
機器操作
7.ジョブは今や適切にセットアップされており、またレオメーターは実行する準備が整っている。コーンプレートセンサー及びベースプレートがきれいであることを確かめる。(イソプロパノール又はエタノールが好適な洗浄助剤である。)前記センサー及びベースプレートを乾燥させる。
8.ジョブ・ウィンドウの下部にあるスタートをクリックする。レオメーター自体がゼロ調節する。ベースプレートが動いて平行プレートセンサー(先端部)に達して、自動的にゼロ調節する。機械がそれ自体を上手くゼロ調節したときに、メッセージ「試料の取り込み」がスクリーンに現れる。
9.ピペット又は同等品を用いて、約1.15mLの製品を測定プレート上に置く。試料の取り込みに対してOKをクリックする。装置が閉じた構造にある場合、プレートとコーンとの間のギャップ全体が埋まるのを確実にするのに役立つように、試料がプレートの中央の近くに置かれることを保証する。
10.レオメーターがゆっくりと閉じる。ギャップ設定に達すると、メッセージボックスに「実行準備完了」が現れる。OKをクリックする。
11.試験がすぐに自動的に実行される。
12.試験が完了すると、「試験完了」のメッセージがスクリーンに現れる。OKをクリックする。コンピューターがオペレーターに「名前を付けて保存」するよう指示する。ファイルを適切に保存する。
13.レオメーターが自動的に開く。ねじを緩めてコーンプレートを機器から外す。センサー及びベースプレートの両方を、清浄な、糸くずのでない実験用拭き取り布及びイソプロパノール又はエタノールを用いて洗浄する。コーン及びベースプレートは、次の試料を実行する前に乾燥させる。
【0080】
データの解析
1.レオウィン・プロ・データ・マネージャー(RheoWin Pro Data Manager)ソフトウェアを開く。実行データを収容しているファイルを開く。横に情報を含むデータ表が現れる。
2.メインメニューからレイアウト、グラフレイアウト、及び制御応力スイープテンプレート(Controlled Stress Sweep Template)を選択する。OKをクリックする。応力又はτをx軸とし、そして剪断歪みをy軸とするグラフが現れる。所望により、このテンプレートはy軸に見かけ粘度(η)を示すように変更してよい。
3.τ又は降伏応力を示す、メニューバーの上部のアイコンをクリックする。τデータを選択し、新たに計算をクリックする。この降伏点評価ツールは、変形点又は曲線が曲がる点を降伏点とみなす曲線解析を行う。降伏点が次に表示される。あるいは、η対τグラフの比較的水平な部分から外挿される線と、グラフの下降部分から外挿される線との交点を近似降伏値と定義する。
【0081】
粒径分布
この方法は、ウェットワイプ洗浄ローション中での粒子状物質の粒径分布を求めることを目的とする。前記方法は、粒径測定のためにレーザー回折粒径分析装置(例えば、ホリバ(Horiba)LA−910)を使用する。
【0082】
粒子状物質の分離
1.拭き取り布のタブ型容器又は詰め替え包装から、積み重ね体の最上部、中間、及び底部から拭き取り布を1枚取り出す。それぞれの拭き取り布を同じ寸法の4つのストリップに切断し、各拭き取り布についてのこれらストリップを別個の200mLポリプロピレン遠心分離ビン(ペンシルバニア州ウェスト・チェスター(West Chester)のVWRインターナショナル(VWR International)からのVWRカタログ番号21020−500など)に入れる。
2.エタノール:蒸留水の70:30溶液100mLを各遠心分離ビンに加える。各遠心分離ビンを手首動作振盪器(wrist action shaker)(VWRカタログ番号57039−055など)のクランプに取り付けて、10分間激しく(およそ21rad/s(200rpm))振盪する。
3.振盪器から遠心分離ビンを取り出し、直立状態で5分間そのままにしておく。各遠心分離ビンの蓋を取り外し、きれいな鉗子を用いて基材のストリップを静かに(gentle)取り出して、破棄する。
4.各遠心分離ビンに蓋を戻し、各ビンをテーブルトップ遠心分離器(VWRカタログ番号BK366802など)内に入れる。前記ビンを、20℃、4000gで10分間遠心分離する。
5.沈殿物(pellet)を乱さないように注意しながら、上方の液体を注意深く吸引する。
6.エタノール:70:30の蒸留水100mLを加えて沈殿物(pellet)を洗浄し、ビンの蓋を元に戻して、攪拌ミキサー(VWRカタログ番号12620−838など)を用いて激しく攪拌する。この工程は、ローションのいかなる残留する油性構成成分、界面活性剤、レオロジー変性剤などをも粒子状物質から取り除くことを目的とする。
7.洗浄された微粒子を、20℃、7000gで10分間遠心分離することによって沈殿させる(Pellet)。
8.工程5を繰り返す。
9.プラスチックの25mLポリスチレン血清用ピペット(VWRカタログ番号20171−044など)の中にビーズを静かに吸い込んで上下させることによって、沈殿した(pelleted)粒子状物質を70:30のエタノール:蒸留水5mL中に再懸濁させる。
10.粒径分布について解析する。
11.工程1〜10を更に5回繰り返す。
【0083】
粒径分布測定
この方法は、水性媒体中に分散された固体物質(例えば、エマルションの分散相又はその他の粒子状物質)の粒径分布を測定するのに好適である。
【0084】
装置の詳細及び設定
装置:ドイツ、シュルツバッハ/Ts.(Sulzbach/Ts.)のホリバ・ヨーロッパ社(Horiba Europe GmbH)から入手可能なホリバ(Horiba)LA−910
装置は、製造者の取扱説明書に従ってセットアップ及び操作されなければならない。
【表3】

【0085】
操作
1.試料カップを脱イオン水で部分的に満たす(200〜250mL)。
2.ホリバ(Horiba)装置を制御し、攪拌器及び再循環システムを作動させる、装置制御ソフトウェア(ファイル名は「測定(Measure)」である)を、コンピューターで始動させる。
3.「ブランク」粒径測定を行うことによってシステムの清潔さを確認する。
4.使い捨てピペットを用いて、試験される試料を滴下して添加する(好適なピペットは、ペンシルバニア州ウェスト・チェスター(West Chester)のVWRインターナショナル(VWR International)からカタログ番号73990−114として入手可能である)。透過(マゼンタバー)及び後方散乱(青色バー)指標バーが、接続されたコンピューターのディスプレイの緑色領域内に入るまで、試料を添加し続ける。これは、試料室内の微粒子濃度が、信頼性のある測定のために十分に高いことを示す。
5.粒径測定を行うように制御ソフトウェアに指示する。測定が完了すると、ディスプレイに、粒径分布及び分布の特徴(例えば、平均粒径)を表す曲線を含む記録が現れる。この記録は印刷することもできる。
6.各試料について工程1〜5を繰り返す。
【0086】
記録
各試料について平均粒径の平均及び標準偏差を記録する。
【0087】
粒子状物質濃度
この方法は、ウェットワイプ洗浄ローション中の粒子状物質の濃度を求めることを目的とする。
【0088】
方法
1)50mLポリプロピレン遠心分離管(例えば、ペンシルバニア州ウェスト・チェスター(West Chester)のVWRインターナショナル(VWR International)から入手可能なカタログ番号20171−028)を±0.001グラムまで正確に計量し、その空重量をWt1i(ここで「i」は試料番号である)として記録する。
2)粒径分布測定において記載した方法を用いて抽出されたローション10.00±0.01グラムを前記の計量した遠心分離管中に正確に計り入れる。充填された管の重量をWt2iとして記録する。
3)前記粒径分布試験法で記載したように粒子状物質を分離する。分離された材料を、攪拌ミキサー(VWRカタログ番号12620−838)を用いて激しく攪拌することによって洗浄する。
4)水洗浄工程後、試料を(蓋を緩めて)真空オーブンに入れ、60℃、0.13Pa(1×10−3torr)の圧力で一晩乾燥させる。
5)乾燥させた試料を計量する。乾燥重量をWt3iとして記録する。
6)合計5つの複製のために、抽出された洗浄ローションの4つの更なるアリコートについて工程1〜5を繰り返す。
【0089】
計算及び記録
1)各試料について、粒子状物質濃度は、以下のようにして求めることができる。
%粒子状物質=100×(Wt3i−Wt1i)/(Wt2i−Wt1i
2)試験された各拭き取り布ローションについて平均及び標準偏差を記録する。
【実施例】
【0090】
実施例1
この実施例は、本発明による粒子状物質を含む及び含まない洗浄ローションの配合を実証することを目的とする。
【表4】

1.テキサス州ヒューストン(Huston)のイクイスター・ケミカル社(Equistar Chemical Corp.)からのポリエチレンマイクロビーズ
2.バージニア州ホープウェル(Hopewell)のデグッサ・ケア・スペシャルティーズ(Degussa Care Specialties)からの85:15のビス−PEG/PPG−16/16 PEG/PPG−16/16ジメチコン:カプリン酸−カプリル酸トリグリセリド
3.デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のCPケルコUS(CP Kelco US)から入手可能なキサンタンガム
4.ドイツ、ルートヴィヒスハーフェン(Ludwigshafen)のBASFから入手可能なPEG−40硬化ヒマシ油
5.米国仮特許出願番号60/520031による組成物。
【0091】
調製
1.水を検量し、混合し始める。209〜314rad/s(2000〜3000RPM)の範囲のミキサー回転を使用する。実験用バッチに好適なミキサーは、ニューヨーク州ホポージ(Hauppauge)のチャールズ・ロス・アンド・サン社(Charles Ross and Son Company)によってモデルME−100LCとして作製される。
2.EDTAを添加し、完全に溶解するまで約2〜10分間混合する。
3.ケルトロール(KELTROL)を添加し、約1時間混合する。
4.90部のエイビルケア(Abilcare)85と10部のデシルグルコシドとのプレミックスを次のようにして調製する。エイビルケア(Abilcare)85及びデシルグルコシドの両方を、スピードミキサー(SpeedMixer)モデルDAC150FVV−k(サウスカロライナ州ランドラム(Landrum)のフラックテック社(Flacktech, Inc.)から入手可能)のカップに計り入れる。ミキサーを始動させて、それを367rad/s(3500rpm)で1分間運転して材料をブレンドする。
5.水と、EDTAと、ケルトロール(KELTROL)とのブレンドを攪拌しながら、このプレミックスの0.50%を前記バッチに加え、約10分間混合を続ける。
6.71部の防腐剤系及び29部のクレモフォア(Cremophor)を含有するプレミックスを作製する。均質になるまで混合する。
7.前記バッチの攪拌を続けながら防腐剤/クレモフォアプレミックスを加え、約30分間混合する。
【0092】
ローションは次のようにして基材に適用された。
1.乾燥基材のシート3枚を積み重ねて、計量し、(シート重量に対して)必要量の洗浄ローションに浸漬した。
2.ハンドローラーを使用して、ローションをシート全体に均一に分布させた。
3.飽和した基材試料は、乾燥を防ぐために、それらが機械的特性について評価されるまでジップロック(ZIPLOC)バッグ内に保管された。プライ間の接触を補助するために、4.5kgの重りを閉じたバッグの上に(そこから空気が排出された後で)置いた。
4.以下の試験に対して十分な基材が処理されるまで、3枚シートの追加の群を用いて工程1〜3を繰り返した。新たに処理された基材は、更なる基材シートが処理されるとともに、前記バッグ内の処理された基材の積み重ね体に加えられた。
【0093】
実施例2
この実施例は、実施例1の洗浄ローションを染み込ませたウェットワイプのローション放出を実証することを目的とする。
【0094】
表1は、実施例1の製品についてのローション放出データを示す。
【表5】

1 本発明の洗浄ローション
2 従来技術の洗浄ローション
【0095】
示されるように、本発明の洗浄ローションは、洗浄作業においてより多くのローションを利用可能にすることができる。
【0096】
実施例3
この実施例は、本発明による粒子状物質を含む及び含まないもう1つの洗浄ローションの配合を実証することを目的とする。
【表6】

1.テキサス州ヒューストン(Huston)のイクイスター・ケミカル社(Equistar Chemical Corp.)からのポリエチレンマイクロビーズ
2.バージニア州ホープウェル(Hopewell)のデグッサ・ケア・スペシャルティーズ(Degussa Care Specialties)からの85:15のビス−PEG/PPG−16/16 PEG/PPG−16/16ジメチコン:カプリン酸−カプリル酸トリグリセリド
3.デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のCPケルコUS(CP Kelco US)から入手可能なキサンタンガム
4.ドイツ、ルートヴィヒスハーフェン(Ludwigshafen)のBASFから入手可能なPEG−40硬化ヒマシ油
5.オハイオ州シンシナティ(Cincinnati)のコグニス社(Cognis Corp.)から入手可能なデシルグルコシド。
6.米国仮特許出願番号60/520031による組成物。
【0097】
組成物Cは以下のようにして調製された。
調製
1.水を検量し、混合し始める。209〜314rad/s(2000〜3000RPM)の範囲のミキサー回転を使用する。実験用バッチに好適なミキサーは、ニューヨーク州ホポージ(Hauppauge)のチャールズ・ロス・アンド・サン社(Charles Ross and Son Company)によってモデルME−100LCとして作製される。
2.EDTAを添加し、完全に溶解するまで約2〜10分間混合する。
3.ケルトロール(KELTROL)を添加し、約1時間混合する。
4.90部のエイビルケア(Abilcare)85と10部のデシルグルコシドとのプレミックスを次のようにして調製する。エイビルケア(Abilcare)85及びデシルグルコシドの両方を、スピードミキサー(SpeedMixer)モデルDAC150FVV−k(サウスカロライナ州ランドラム(Landrum)のフラックテック社(Flacktech, Inc.)から入手可能)のカップに計り入れる。ミキサーを始動させ、それを365rad/s(3500rpm)で1分間運転して材料をブレンドする。
5.水と、EDTAと、ケルトロール(KELTROL)とのブレンドを攪拌しながら、このプレミックスの0.50%を前記バッチに加え、約10分間混合を続ける。
6.71部の防腐剤系及び29部のクレモフォア(Cremophor)を含有するプレミックスを作製する。均質になるまで混合する。
7.前記バッチの攪拌を続けながら防腐剤/クレモフォアプレミックスを加え、約30分間混合する。
【0098】
ローションは次のようにして基材に適用された。
1.乾燥基材のシート3枚を積み重ねて、計量し、(シート重量に対して)必要量の洗浄ローションに浸漬した。
2.ハンドローラーを使用して、ローションをシート全体に均一に分布させた。
3.飽和した基材試料は、乾燥を防ぐために、それらが機械的特性について評価されるまでジップロック(ZIPLOC)バッグ内に保管された。プライ間の接触を補助するために、4.5kgの重りを閉じたバッグの上に(そこから空気が排出された後で)置いた。
4.以下の試験に対して十分な基材が処理されるまで、3枚シートの追加の群を用いて工程1〜3を繰り返した。新たに処理された基材は、更なる基材シートが処理されるとともに、前記バッグ内の処理された基材の積み重ね体に加えられた。
【0099】
実施例4
この実施例は、実施例3の洗浄ローションを染み込ませた拭き取り布のユーザー認識を示すことを目的としている。
【0100】
洗浄ローションC又はDのうち一方を染み込ませたウェットワイプを、少人数の成人女性グループに提示した。前記グループに彼女らのウェットワイプの認識について尋ねたとき、彼女らは、本発明の粒子状物質を含む洗浄ローション(組成物D)を染み込ませたウェットワイプの最初の肌触りが、粒子状物質を含有しない洗浄ローション(組成物C)を染み込ませた拭き取り布の最初の肌触りよりも湿っていると報告した。
【0101】
実施例5
この実施例は、別の粒子状物質の効果を実証することを目的とする。要約すると、実施例1及び3に記載した組成物と実質的に同様のローション組成物が、ポリメチルシルセスキオキサン微小球(コボ(KOBO)からのトスパール(TOSPEARL)145A)を用いて調製された。調製された具体的な配合を以下に示す。
【表7】

1.ニュージャージー州サウス・プレーンフィールド(South Plainfield)のコボ(KOBO)から入手可能なポリメチルシルセスキオキサン微小球
2.バージニア州ホープウェル(Hopewell)のデグッサ・ケア・スペシャルティーズ(Degussa Care Specialties)からのカプリン酸−カプリル酸トリグリセリド
3.デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のCPケルコUS(CP Kelco US)から入手可能なキサンタンガム
4.タイ、バンコク(Bangkok)のアジノプ社(Adinop Co., Ltd.)から入手可能なC14〜22脂肪族アルコールとC12〜20アルキルグルコシドとのブレンド
5.ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・コーニング(Dow Corning)から入手可能なジメチコン200フルイド(Dimethicone 200 Fluid)(登録商標)(200cs(0.0002m/s))
【0102】
組成物は以下のようにして調製される。
1.ケルトロール(KELTROL)を高剪断ミキサー(ノースカロライナ州ウィルミントン(Wilmington)のIKA(登録商標)ワークス社(IKA(Registered Trademark) Works, Inc.)から入手可能なウルトラ・トゥラックス(Ultra Turrax)モデルT50が適している)を用いて、ガムが完全に水和するまで高速で冷水相中に分散させる。
2.水分散体を約75℃まで加熱し、モンタレブL(MONTALEV L)を添加する。モンタレブ(MONTALEV)が完全に溶解するまで加熱を続ける。
3.EDTA及び防腐剤系を、加熱した水相に高剪断ミキサーを用いて高速で加え、完全に溶解するまで混合を続ける。
4.更に3分間混合を続ける。
5.テゴソフト(TEGOSOFT)を高剪断ミキサーを用いて高速で加え、更に3分間混合する。
6.水相を60℃まで冷却させる。
7.DC200フルイド(DC 200 Fluid)(登録商標)及びトスパール(TOSPEARL)を、粒子が視覚的に完全に分散するまでプロペラミキサーを用いて予混合する。
8.このプレミックスを60℃の水相に高剪断ミキサーを用いて高速で加え、3分間混合する。
9.高剪断ミキサーを、約5.23〜約209rad/s(約50〜約2000rpm)の速度範囲を有するプロペラミキサーと取り替える。
10.プロペラミキサーで攪拌を続けながら、ブレンドを40℃まで冷却させる。
11.香料を40℃で攪拌器を用いて高速(26rad/s(250rpm))で添加し、3分間混合する。
12.エマルションが30℃に達するまで、攪拌器を用いて約16〜21rad/s(150〜200rpm)で攪拌し続ける。
13.完成したバッチを攪拌器を用いて中速で更に20分間混合する。
【0103】
このローションに関するレオメトリー測定値を次に示す。
【表8】

【0104】
本発明の発明を実施するための最良の形態において引用した全ての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれる;いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であると認めたとして解釈されるべきではない。
【0105】
本発明の特定の実施形態が例示及び説明されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の洗浄ローション、及び追加された粒子状物質を含まない従来技術の洗浄ローションの、代表的な剪断応力/粘度曲線。
【図2】ローション放出試験で使用される装置の概略図。
【図3】ローション放出試験で使用されるクリップの略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄ローションを染み込ませた基材を含むウェットワイプであって、前記洗浄ローションが皮膚軟化剤、界面活性物質、レオロジー変性剤及び水を含み、
前記洗浄ローションが粒子状物質を2.5%未満、好ましくは1.5%未満、より好ましくは1.0%未満の濃度で更に含むことを特徴とし、前記粒子状物質が100ミクロン未満、好ましくは75ミクロン未満の平均粒径を有し、前記洗浄ローションが、
a.10Paの剪断応力において0.1Pa・s(100センチポアズ)未満、好ましくは0.075Pa・s(75センチポアズ)未満、より好ましくは0.05Pa・s(50センチポアズ)未満の粘度、
b.0.05Paの剪断応力において4Pa・s(4000センチポアズ)を超える、好ましくは7Pa・s(7000センチポアズ)を超える、より好ましくは10Pa・s(10,000センチポアズ)を超える粘度、及び
c.0.05Paを超える剪断応力での降伏値
を有する、ウェットワイプ。
【請求項2】
前記粘度が、3Paの剪断応力において0.1Pa・s(100センチポアズ)未満である、請求項1に記載のウェットワイプ。
【請求項3】
前記粒子状物質が、5ミクロン〜40ミクロン、好ましくは10ミクロン〜30ミクロンの平均粒径を有する、請求項1又は2に記載のウェットワイプ。
【請求項4】
前記粒子状物質の濃度が、0.01%〜1.0%、好ましくは0.4%〜0.6%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のウェットワイプ。
【請求項5】
前記粒子状物質が、ポリオレフィン粉末、ポリメチルメタクリレート微小球、ラクトンクロスポリマー微小球、ナイロン微小球、ポリメチルシルセスキオキサン微小球、セルロース微小球、及びこれらの混合物から成る群より選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のウェットワイプ。
【請求項6】
前記粒子状物質が、ポリオレフィン粉末、ポリメチルシルセスキオキサン微小球、及びこれらの混合物から成る群より選択される、請求項5に記載のウェットワイプ。
【請求項7】
前記粒子状物質が、ポリエチレン粉末を含む、請求項6に記載のウェットワイプ。
【請求項8】
前記ウェットワイプが、0.3グラムを超えるローション放出を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のウェットワイプ。
【請求項9】
前記ウェットワイプが、4.0%を超える相対ローション放出を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のウェットワイプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−511427(P2008−511427A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530508(P2007−530508)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/032875
【国際公開番号】WO2006/031944
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】