説明

粒状混合物によって形成される物体の製造方法

【課題】粒状混合物から物体を製造する方法を提供する。
【解決手段】a) 少なくとも90質量%の、 少なくとも1種の鉱物酸化物から主としてなり、鉱物酸化物粒子、b) 乾燥樹脂抽出物の状態で計算される割合が0.3〜3質量%のホルムアルデヒドおよび/又はその誘導体との重縮合樹脂、c) 乾燥硬化剤抽出物の状態で計算される割合が0.001〜1質量%の硬化剤、d)0.005〜0.35質量%のホルムアルデヒド捕捉化合物、およびe) 0.2〜3質量%の水を含有する粒状混合物を用意する工程、前記粒状混合物を成形工具の1つの面と接触させる工程、前記粒状混合物を少なくとも部分的に硬化するために、50〜380℃の温度で1〜300秒間、粒状混合物中に少なくとも1つのガス流を吹き込む工程を含み、前記ホルムアルデヒド捕捉化合物がカルボヒドラジドである、物体を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状混合物から物体(body)を製造する方法、および前記方法によって得られる物体に関する。
【0002】
粒状物質又は繊維状物質の加熱成形法は通常固体である物体の生産をもたらす工業的方法である。「ホットボックス」タイプの工業的方法は非常に長い間樹脂を用いて実施されてきた。一般的に、樹脂は、その機能が反応媒体をその場で酸性化することである硬化剤と組み合わせて集塊されるか、あるいは結合される表面に広がる物質と密接に混ぜ合わせられる。
前記の一般的に固体状で成形される又は集塊される物質は、通常、例えば鉱物又は合成砂、ガラス微粒子、セラミック微粒子および通常リグノセルロース系である繊維のような少なくとも1種の粒状充填材を含有している。
【0003】
樹脂と硬化剤、そして任意的に少なくとも1種の他の添加剤を混入後は、集塊される物質は一般的に通常粘性があり流動的である。次いで、集塊される物質は成形工具と又は成形工具内に接触させ、次いで通常熱が成形工具又は形削り工具を加熱することにより提供されて、加熱される。
前記熱は樹脂に重合による硬化を引き起こし、次いでそうして形成された固形物体は通常その後の使用のために成形工具から取り除かれる。「物体」とは、本発明により空間の一部を占め且つ特定の特性を有する有形物を意味する。本発明による物体は、通常固体である、すなわち不変の構造と体積を有している。流体塊(body)は連続的な変形が可能な媒体を構成する物体である。
「ホットボックス」型の1つの工業的方法はホルムアルデホド重縮合樹脂を用いるものである。この樹脂は酸媒体中での重合による熱硬化性樹脂である。
【0004】
鋳物分野において、型とコアは一般的に「ホットボックス」型の方法により粒状充填材から製造できる固形物体である。各金属部分が流し込まれると、対応する型およびコアは金属と接した樹脂の燃焼により破壊される。このことは1つの型とコアのセットが、作製される全ての部品に対して製造せざるを得ないことを意味する。この破壊を促進し且つ燃焼ガス汚染を制限するために、乾燥固形物で計算される樹脂濃度は、通常集塊される粒状充填材の質量に対して0.3〜3質量%からなり、極めて低い。さらに、燃焼ガスの化学的性質は、鋳造金属部品の品質にとってそして労働者の健康のいずれにとっても重要である。
【0005】
最後に、特定の産業分野、例えば自動車産業での大量生産の分野において、型とコアは1日当たり数千点に達し得る程の高速で製造できなければならない。この場合、樹脂の高速重合を得るために必要な加熱温度が高く、一般的には150℃より高く、そして380℃に達し得るので、成形工具と中子取りは金属である。このことは、大幅な工具コストと特に工具の膨張と関連する型とコアの寸法精度の問題を含んでいる。さらに、呼吸器を汚染する物質はこの環境下で働く作業員にとって受け入れ難いと判断される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの理由のため、過去40年近くこの産業では次第に「ホットボックス」型の方法から「コールドボックス」型の方法へと転換を図ってきた。この「コールドボックス」方法は、健康および安全性の点でより低いと判断される水準の汚染しか発生せず、そして特に高い工業生産速度に対応した代替手段の、低温硬化性バインダーの使用を提供した。
しかしながら今日、代替手段の「コールドボックス」バインダーは、より厳しい安全性と環境標準との適合性が低くなってきており健康および安全性リスクを提起している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような環境下において、本発明者らは、前述の「ホットボックス」型の方法による問題を解決し且つ「コールドボックス」型の方法、特に鋳造産業における不備な点を取り除く、改良された「ホットボックス」型の方法を見出した。
本発明は、物体の製造方法であって、
少なくとも下記の連続的な工程:
a)少なくとも90質量%、好適には96〜99質量%の、少なくとも1種の鉱物酸化物から主としてなり、且つ少なくとも80%が10〜3000μmの粒径を有する少なくとも1種の粒子、
b)乾燥樹脂固形物の状態で計算される割合が0.3〜3質量%、好適には0.6〜1.5質量%の少なくとも1種のホルムアルデヒドおよび/又はその誘導体との重縮合樹脂、
c)乾燥硬化剤固形物の状態で計算される割合が0.001〜1%、好適には0.005〜0.04質量%の少なくとも1種の硬化剤、
d)0.005〜0.35質量%、好適には0.02〜0.15質量%の少なくとも1種のホルムアルデヒド捕捉化合物、および
e)0.2〜3質量%、好適には0.7〜2質量%の水
を含有する粒状混合物を製造する工程、
前記粒状混合物を成形工具の少なくとも1つの面と接触させる工程、および
前記粒状混合物の少なくとも部分的な硬化を確かにするために、50〜380℃の温度で1〜300秒間、粒状混合物中に少なくとも1つのガス流を吹き込む工程、
を含み、前記ホルムアルデヒド捕捉化合物がカルボヒドラジドである、前記方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
前記のガス流を吹き込む工程は、少なくとも1つの化学反応を少なくとも部分的に実施して前記混合物を少なくとも部分的に硬化させることを可能とする。
当業者に周知のように、これらの工程には一般的に成形工具から固形物体を取り出す工程が続く。
【0009】
勿論、本発明に係る粒状混合物は当業者に周知の任意の他の添加剤を含有し得る。特に、本発明に係る粒状混合物は、その変換と後の使用の間の混合物の生化学的作用を促進するために、当業者により役立つと考えられる任意の液状又は粉末状添加剤を含有し得る。
本発明による粒状混合物の粒子は、通常天然又は合成のものである。好適には、前記粒子は鉱物酸化物粒子であり、通常は主としてシリカ酸化物からなり且つAFS(米国鋳造技術者協会)結晶粒度が30〜140で変化し得る天然ケイ砂混合物である。
【0010】
水は通常は前記粒状混合物の主として補助物として又は他の成分の溶媒として粒状混合物に添加される。
それゆえ、本発明による方法の好適な態様において、粒状混合物の形成の間、前記硬化剤は硬化剤を通常は0.5〜20質量%含有する水溶液の形状であり、前記水溶液はさらに好適には通常0.005〜50質量%のカルボヒドラジドを含有している。
【0011】
前記硬化剤は粒状混合物に通常非常に低い割合で取り込まれるので、水溶液中に希釈されるとより良く分散される。同じことがカルボヒドラジドに当てはまる。
本発明による粒状混合物は、通常少なくとも1つの流体凝集体の形状である。
粒状混合物が接触する成形工具の表面は、通常本発明により製造される物体中で形成される部品の「負」に相当する。
【0012】
高温ガス流を吹き込む工程は、通常粒状混合物の中心部内で、実質的に大気温度(約20℃である)より高くそして好適には45℃より高く、温度を上昇させるために、ガス流の温度と流量とが調整されるのである。
粒状混合物中にカルボヒドラジドが存在することによって、本発明による前記方法は有利にホルムアルデヒドの放出を制限することを可能とする。カルボヒドラジドの存在は硬化の終わりに、特に本発明により有益なやり方でフリーのホルムアルデヒドを遮断することを可能とする。
【0013】
好適には、本発明による方法は、さらに、成形工具が40〜180℃、好適には50〜140℃の温度に加熱されるものである。このことは通常早ければ接触工程、そして遅くとも吹き付け工程の間行われる。
それゆえ、高温ガスによって提供される熱は、本発明の好適なバージョンにおいて、粒状混合物の加熱が最適化されるように、成形工具の加熱からの熱によって補充される。
【0014】
前記ガスは、好適には空気、不活性ガスおよび反応媒体の酸性化に寄与するガスからなる群から選択される。
「不活性ガス」とは、本発明により反応に寄与しないガス、例えば窒素およびいわゆる希ガス、例えばヘリウム、ネオンおよびアルゴンから選択されるガスを意味する。「反応媒体の酸性化に寄与するガス」とは、本発明により媒体のpHをその場で低下させることが可能であるガス、例えば二酸化炭素および二酸化硫黄などを意味する。
【0015】
本発明の好適な態様において、本発明の方法は、少なくとも1種のガスからなる少なくとも1つの流れが大気温度以下の温度、例えば5℃〜25℃の温度で1〜300秒間、少なくとも部分的に硬化された粒状混合物内で循環され、前記ガスが好適には空気、窒素および二酸化炭素からなる群から選択される、追加的な工程を含む。この工程は通常成形工具から物体が取り除かれると考えられる工程の前に行われる。前記ガスは通常予備加熱されず、それゆえ実質的に大気温度であるか、又は恐らく冷却されさえする。
【0016】
ホルムアルデヒド汚染は物体の製造後、その貯蔵又は後の取り扱いの間に起こり得るので、本発明の構成内で、その部分的な硬化の後に物体を冷却することによって樹脂の重合反応を遮断してカルボヒドラジド活性を補うことが非常に有益で且つ有利である。さらに、前記ガス流は有利には残っているフリーのホルムアルデヒドを空気、窒素又は二酸化炭素の流れによって洗い流すことを可能とする。
【0017】
樹脂又は重縮合樹脂あるいはホルムアルデヒドおよび/又はその誘導体との重縮合樹脂とは、尿素およびその誘導体、メラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、フェノール又はフルフリルアルコールから選択される第1の成分とホルムアルデヒドおよび/又はその誘導体から選択される第2の成分との間での化学反応を受け、鎖の成長が通常各段階で水分子の放出を引き起こす、少なくとも1種の樹脂の組成物を意味する。
【0018】
前記樹脂の過剰のフリーの成分は樹脂中に残るか、あるいは後の重縮合の後に樹脂に加えられ得る。
ホルムアルデヒドおよび/又はその誘導体との重縮合樹脂は通常酸媒体中で熱硬化するものである。そのような樹脂は市場で入手し得る。
本発明によるホルムアルデヒドおよび/又はその誘導体との重縮合樹脂は特定の効果を得るために、通常用いられそして当業者に周知である溶媒、希釈剤、安定剤および固体粒子充填材から選択される少なくとも1種の添加剤を任意的に含有し得る。それゆえ、前記樹脂は通常、樹脂と埋められそしてそれゆえ最適化される粒子との間の結合を可能とする少なくとも1種のシランを含有し得る。
【0019】
硬化剤は通常以下の化合物:
- 自然酸性塩、例えばアンモニウム塩、特に過硫酸アンモニウム、硝酸塩、重硫酸塩、硫酸塩および塩化物、および
- アルデヒドとの反応により酸を生成する塩、例えばヒドロキシルアミン塩、特に硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩および硝酸塩
からなる群から選択される。
前記硬化剤は、通常、その固有の酸性によって又は重合工程の間に酸を放出する能力のいずれかによって、反応媒体混合物を酸性にするものである。
【0020】
特に好適には、前記の硬化剤はヒドロキシルアミン塩類からなる群から選択される。ヒドロキシルアミン塩類はホルムアルデヒドの存在下に酸を放出するので有利である。
この場合、驚いたことに本発明によれば、硬化反応の間、得られるフリーのホルムアルデヒドが優先してヒドロキシルアミン塩と結合して酸を放出し、そしてカルボヒドラジドのみが前記塩による酸の形成をわずかに制限するか全く制限しないと考えられるのである。
【0021】
さらに、カルボヒドラジドの添加は本発明による方法によって得られる部品の機械的特性を大幅に向上させる。
さらに、本発明者らは、ヒドロキシルアミン塩類の使用が硬化反応でホルムアルデヒドを放出するときに、硬化の速度を上げることにより且つ反応媒体の酸性度を増加させることにより、本発明による方法を著しく且つ有利に改善することを見出した。
【0022】
当業者であれば、特に結合系、すなわち粒状混合物に組み入れられる樹脂と硬化剤の反応性を考慮に入れて、着手しているケースに対する適した樹脂と硬化剤を選択することが可能である。標準的な方法では、通常の入手可能な混合装置を用いて、当業者であれば先ず混合機に粒状部、次いで液状部を入れ、混合時間は装置により、好適には15秒〜5分間である。
【0023】
勿論、本発明による方法は、特に少なくとも1つの型および/又はコア中に液状金属を流し込むことを含み、前記型および/又はコアが前述の本発明による方法により得られる物体であることを特徴とする、金属鋳造体の製造のための方法に用いられ得る。
好適には、金属鋳造体の製造のためのこの種の方法は、前記金属がアルミニウム、非鉄金属および非鉄合金からなる群から選択される金属鋳造体製造用である。
【0024】
この金属鋳造体の製造のための方法は、そのような製造方法により任意の鋳造金属部品だけでなく少なくとも1つのそのような部品を有する任意の機械組立品を得ることを可能とする。
本発明は、本発明を制限しないで説明する以下の実施例を踏まえるとより理解され得る。
【実施例】
【0025】
各粒状混合物のために示される割合で、4kgのSIFRACO LA32ケイ砂と結合材とを混合することにより試料を調製した。
粒状混合物は振動ボウルを備えた混合機中、60秒の混合時間で作製した。次いで、粒状混合物を、ROPER機上の1平方インチ断面積を有する測定用標準機械特性のための2つの試験試料を含んで、加熱系と加熱空気入口を備えたボックス中に吹き込んだ。
硬化は各粒状混合物に対して示されているデータに従って行った。
ホルムアルデヒドは、測定される濃度により0.2/A又は2/Aの「ホルムアルデヒド」管を備えたDRAEGERポンプを用いて測定した。測定範囲は管0.2Aに対しては0.2〜5ppmで管2Aに対しては2〜40ppmである。
この測定を、一方では混合機の振動ボウル上で、他方で硬化後の試験片を取り除く硬化ボックス上で各粒状混合物に対して行った。
全ての混入割合は質量割合である。
【0026】
曲げ測定は、1999年12月にCentre Technical des Industries de la Fonderie in Sevres,Franceから発行された第481および第487のB.N.I.F.技術提言に従って行い、結果はN/cmで示す。
取り除くときの約10N/cmの曲げ強さが成形体の取り扱いを可能とするのに十分であり、そして1時間後の約30N/cmの曲げ強さが多くの場合、金属が鋳造されることを可能とするのに満足できると考えられる。
【0027】
樹脂CLEANTECH 11R26はHUTTENES−ALBERTUS社から販売される酸性媒体中での尿素/ホルムアルデヒド重縮合樹脂であった。
樹脂Resital 12B62はHUTTENES−ALBERTUS社から販売されるフェノール−ホルムアルデヒド樹脂であった。
硬化剤CLEANTECH 14D38はHUTTENES−ALBERTUS社から販売される3%の硫酸ヒドロキシルアミンと15%カルボホドラジドを含有する水溶液であった。
硬化剤CLEANTECH 14D38はHUTTENES−ALBERTUS社から販売される3%の硫酸ヒドロキシルアミンを含有する水溶液であった。
用いられる硬化剤Harter AT3BはHUTTENES−ALBERTUSから販売されている。これは硝酸アンモニウム、尿素およびリグノスルホン酸塩に基づく酸塩の水溶液である。
質量%で示される乾燥固体は1gの生成物を135℃で1時間加熱後の残部の生成物である。
得られた試験片はコアに例えられ得る固体成形物体である。
【0028】
実施例1(比較)
樹脂:CLEANTECH 11R26 1.5%(即ち、乾燥固形物0.81%)
硬化剤:CLEANTECH 14D68 0.4%(即ち、乾燥固形物0.012% )
ボックス温度:100℃
加熱空気温度:150℃
ボックス中での硬化期間:120秒
ボックスから取り除くときの曲げ強さ:21
1時間後の曲げ強さ:40
混合時のホルムアルデヒド:0.2ppm未満(検出されず)
取り除くときのホルムアルデヒド:0.5ppm
【0029】
低い樹脂比率と比較的長い硬化時間を用いた実施例1の方法により形成された物体は、産業状況で成形物体を製造することを予想するのに十分な機械的特性を有している。しかしながら、高い濃度のホルムアルデヒドは取り除く(又は抜き取る)ときの問題を引き起こす。
【0030】
実施例2(比較)
樹脂:CLEANTECH 11R26 2%(即ち、乾燥固形物1.09%)
硬化剤:CLEANTECH 14D68 0.4%(即ち、乾燥固形物0.012% )
ボックス温度:100℃
加熱空気温度:150℃
ボックス中での硬化期間:30秒
ボックスから取り除くときの曲げ強さ:10
1時間後の曲げ強さ:32
混合時のホルムアルデヒド:0.2ppm未満(検出されず)
取り除くときのホルムアルデヒド:0.5ppm
【0031】
中間の樹脂比率と比較的短い硬化時間を用いた実施例2の方法により形成された物体は、産業状況で成形物体を製造することを予想するのに十分な機械的特性を有している。しかしながら、高い濃度のホルムアルデヒドは取り除く(又は抜き取る)ときの問題を引き起こす。
【0032】
実施例3(本発明による)
樹脂:CLEANTECH 11R26 2%(即ち、乾燥固形物1.09%)
硬化剤:CLEANTECH 14D38 0.4%(即ち、乾燥固形物0.072% )
ボックス温度:100℃
加熱空気温度:150℃
ボックス中での硬化期間:30秒
ボックスから取り除くときの曲げ強さ:14
1時間後の曲げ強さ:56
混合時のホルムアルデヒド:0.2ppm未満(検出されず)
取り除くときのホルムアルデヒド:0.2ppm未満(検出されず)
【0033】
中間の樹脂比率と比較的短い硬化時間を用いた実施例3の方法により形成された物体は、産業状況で成形物体を製造することを予想するのに十分な機械的特性を有している。ホルムアルデヒド濃度は検出限界値未満である。
【0034】
実施例4(本発明による)
樹脂:CLEANTECH 11R26 2%(即ち、乾燥固形物1.09%)
硬化剤:CLEANTECH 14D38 0.4%(即ち、乾燥固形物0.072% )
ボックス温度:100℃
加熱空気温度:150℃
ボックス中での硬化期間:120秒
ボックスから取り除くときの曲げ強さ:50
1時間後の曲げ強さ:86
混合時のホルムアルデヒド:0.2ppm未満(検出されず)
取り除くときのホルムアルデヒド:0.2ppm未満(検出されず)
【0035】
硬化時間を増やした実施例4について、形成された物体の機械的特性は著しく増大し、ホルムアルデヒドに起因する汚染の有無に基づく影響が全くない。
【0036】
実施例5(比較)
樹脂:Resital 12B62 2%(即ち、乾燥固形物1.28%)
硬化剤:Harter AT3B 0.5%(即ち、乾燥固形物0.31%)
ボックス温度:220℃
加熱空気温度:ガス供給せず
ボックス中での硬化期間:120秒
ボックスから取り除くときの曲げ強さ:56
1時間後の曲げ強さ:78
混合時のホルムアルデヒド:1ppm
取り除くときのホルムアルデヒド:20ppm
【0037】
当業者によって習慣的に用いられる状況での通常の「ホットボックス」法は現在の健康と安全標準には不適合であるホルムアルデヒドの放出を起こす。
【0038】
実施例6(比較)
樹脂:Resital 12B62 2%(即ち、乾燥固形物1.28%)
硬化剤:Harter AT3B 0.5%(即ち、乾燥固形物0.31%)
ボックス温度:100℃
加熱空気温度:ガス供給せず
ボックス中での硬化期間:30秒
ボックスから取り除くときの曲げ強さ:1
1時間後の曲げ強さ:23
混合時のホルムアルデヒド:1ppm
取り除くときのホルムアルデヒド:1ppm
【0039】
実施例6では、ボックスの温度を低下させた。本発明によるボックス温度状況での通常の「ホットボックス」法は形成された物体の抜き取りにとって必要であるボックスからの取り出し時の曲げ強さを達成することが不可能である。さらに、ホルムアルデヒドの放出が現在の健康と安全標準には不適合である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の製造方法であって、
少なくとも下記の連続的な工程:
a) 少なくとも90質量%、好適には96〜99質量%の、少なくとも1種の鉱物酸化物から主としてなり、且つ少なくとも80%が10〜3000μmの粒径を有する少なくとも1種の粒子、
b)乾燥樹脂固形物の状態で計算される割合が0.3〜3質量%、好適には0.6〜1.5質量%の少なくとも1種のホルムアルデヒドおよび/又はその誘導体との重縮合樹脂、
c)乾燥硬化剤固形物の状態で計算される割合が0.001〜1質量%、好適には0.005〜0.04質量%の少なくとも1種の硬化剤、
d)0.005〜0.35質量%、好適には0.02〜0.15質量%の少なくとも1種のホルムアルデヒド捕捉化合物、および
e)0.2〜3質量%、好適には0.7〜2質量%の水
を含有する物体状混合物を用意する工程、
前記粒状混合物を成形工具の少なくとも1つの面と接触させる工程、および
前記粒状混合物の少なくとも部分的な硬化を確かにするために、50〜380℃の温度で1〜300秒間、前記粒状混合物中に少なくとも1つのガス流を吹き込む工程、
を含み、前記ホルムアルデヒド捕捉化合物がカルボヒドラジドである、前記方法。
【請求項2】
前記硬化剤が、粒状混合物の形成の間、通常0.5〜20質量%の硬化剤を含有し、好適にはさらに0.005〜50質量%のカルボヒドラジドを含有する水溶液状である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記成形工具が、40〜180℃、好適には50〜140℃の温度に加熱される請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ガスが、空気、不活性ガスおよび反応媒体の酸性化に寄与するガスからなる群から選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
さらに、少なくとも1種のガスからなる1つの流れが大気温度以下の温度で1〜300秒間、少なくとも部分的に硬化された粒状混合物内で循環され、前記ガスが好適には空気、窒素および二酸化炭素からなる群から選択される、追加的な工程を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ホルムアルデヒドおよび/又はその誘導体との重縮合樹脂が、尿素およびその誘導体、メラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、フェノール又はフルフリルアルコールから選択される第1の成分とホルムアルデヒドおよび/又はその誘導体から選択される第2の成分との間での化学反応を受けた少なくとも1種の樹脂の組成物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記硬化剤が、以下の
- 自然酸性塩、例えばアンモニウム塩、特に過硫酸アンモニウム、硝酸塩、重硫酸塩、硫酸塩および塩化物、および、
- アルデヒドとの反応により酸を生成する塩、例えばヒドロキシルアミン塩、特に硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩および硝酸塩
からなる群から選択される化合物であって、そして好適にはヒドロキシルアミン塩類からなる群から選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。

【公表番号】特表2013−500160(P2013−500160A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521079(P2012−521079)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051457
【国際公開番号】WO2011/010045
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(512018416)ユッテネ アルベルトゥ フランス (1)
【Fターム(参考)】