説明

粒状物の微粉除去方法及び装置

【課題】装置全体を簡単かつ小型化でき、しかも粒状物に付着した樹脂粉、ゴミその他の微粉を効率的に高精度で能率よく除去できるようにする。
【解決手段】下部に微粉を含む粒状物Pの入口部14を、上部に含塵空気の出口部13を夫々有する縦型筒体6と、縦型筒体6内で縦型筒体6との間に粒状物Pが上昇する上昇隘路7を形成し且つ微粉と分離されて上側から落下する粒状物Pを案内する隘路形成筒体8と、縦型筒体6内で隘路形成筒体8よりも上側に設けられ且つ上昇隘路7よりも通路断面積の大きい分離室9とを備え、微粉を含む粒状物Pが入口部14から上昇隘路7を経て分離室9に流入したときの分離室9内での流速の低下により、重い粒状物Pを軽い微粉と分離して隘路形成筒体8内へと落下させ、微粉を含塵空気流として出口部13より取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂ペレット等の粒状物に付着した樹脂粉、ゴミその他の微粉を除去する粒状物の微粉除去方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、樹脂成型機に成型原料の樹脂ペレットを供給する場合には、先ず微粉除去装置で樹脂ペレットに付着する塵、その他の微粉を除去する必要がある。この微粉除去装置には、従来、篩選別方式を採用したもの(特許文献1)と、流下型の空気洗浄方式を採用したもの(特許文献2、3)と、旋回型の空気洗浄方式を採用したもの(特許文献4)がある。
【0003】
篩選別方式の微粉除去装置は、格子状に形成された傾斜分離板を上下方向にジグザグ状に配置すると共に、各傾斜分離板に対向して上側に送風式の静電気除去装置を、各傾斜分離板の下側に微粉回収装置を夫々配置している。そして、静電気除去装置から傾斜分離板上を下方へと流下する樹脂ペレットにイオン化空気を送風してその静電気を除去しながら、樹脂ペレットが傾斜分離板上を流動するときの篩選別により、樹脂ペレットに付着した微粉を除去し、その傾斜分離板を通過した微粉を微粉回収装置により回収する。
【0004】
流下型の空気洗浄方式の微粉除去装置は、静電気除去装置の下側に誘導板と傾斜分離板とを上下方向に交互にジグザグ状に配置し、各傾斜分離板の下流側に開口を、上流側に微粉回収装置を夫々配置している。そして、静電気除去装置で樹脂ペレットの静電気を除去し、その後の樹脂ペレットを順次、誘導板から傾斜分離板上へと流下させながら、下流側の開口から導入されて樹脂ペレットと逆方向に流れる空気により樹脂ペレットを洗浄して微粉を除去する。
【0005】
また旋回の空気洗浄方式の微粉除去装置は、上部に供給口が、下部に回収口が夫々接線方向に設けられた縦型円筒体の内部に逆円錐状の分離スクリーンを配置し、この分離スクリーン上に空気搬送により樹脂ペレットを供給して、樹脂ペレットをその慣性力に伴う遠心力により分離スクリーンの内周に沿って上側から下側へと螺旋状に旋回させながら、分離スクリーンを通過する空気流により樹脂ペレットを空気洗浄して樹脂ペレットの微粉を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−39550号公報
【特許文献2】特開平10−620号公報
【特許文献3】特開平2002−282791号公報
【特許文献4】特開平2007−216118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の微粉除去装置では、篩選別方式、空気洗浄方式の別を問わず、微粉の除去効率が悪く、作業能率が低下すると共に、装置全体が非常に大型化する欠点がある。
【0008】
即ち、篩選別方式の場合には、傾斜分離板上を流下する樹脂ペレットに対して、静電気除去装置からイオン化空気を送風して樹脂ペレットの静電気を除去しながら、傾斜分離板の篩作用により樹脂ペレットに付着する微粉を除去する。しかし、基本的には篩選別であるため、微粉の除去効率が悪く作業能率が低下し、また微粉の十分な除去を図るためには、傾斜分離板を上下方向に多段に設ける必要があって、装置全体が大型化する欠点がある。
【0009】
一方、流下型の空気洗浄方式の場合には、樹脂ペレットが誘導板から傾斜分離板へと落下し、その樹脂ペレットが傾斜分離板に沿って流動する間に、その表面に付着した微粉を空気により分離して除去する。しかし、傾斜分離板上を流動する樹脂ペレットに対して空気が逆方向に流れているものの、誘導板の下端が傾斜分離板に最接近する位置で空気の流速が早くなる程度であって、傾斜分離板上の樹脂ペレットに対する空気の接触が悪いため、微粉の除去効率が悪く作業能率が低下する欠点がある。
【0010】
また各傾斜分離板の上側には、樹脂ペレットを傾斜分離板の上流側に誘導するための誘導板があるため、微粉の十分な除去を図るためには、傾斜分離板を上下方向に多段に設ける必要があることと相俟って、篩選別方式と同様に装置全体が大型化する欠点がある

【0011】
旋回型の空気洗浄方式の場合には、空気搬送により分離スクリーン上に供給されたときの遠心力により樹脂ペレットを分離スクリーンに沿って螺旋状に旋回させながら微粉を除去するため、樹脂ペレットの供給量が少なければ樹脂ペレットから微粉を除去できるものの、供給量が多くなれば、樹脂ペレットが旋回せずに分離スクリーンの傾斜面に沿って滑落する等、微粉の除去効率が極端に低下する欠点がある。このため旋回型の場合にも、分離スクリーンを大きくする一方、分離スクリーン上で樹脂ペレットが確実に旋回するように空気搬送力を十分に大にする等、装置全体が大型化する欠点がある
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、装置全体を簡単かつ小型化でき、しかも粒状物に付着した樹脂粉、ゴミその他の微粉を効率的に高精度で能率よく除去できる粒状物の微粉除去方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る粒状物の微粉除去方法は、微粉を含む粒状物Pを、通路断面積の小さい環状の上昇隘路7から上側の通路断面積の大きい分離室9へと空気搬送により送り、前記分離室9での空気流の流速の低下により、重たい前記粒状物Pを前記分離室9から下方の貯留タンク3へと落下させ、軽い前記微粉を含塵空気として前記分離室9から取り出すものである。
【0013】
また本発明に係る粒状物の微粉除去装置は、下部に微粉を含む粒状物Pの入口部14を、上部に含塵空気の出口部13を夫々有する縦型筒体6と、該縦型筒体6内で該縦型筒体6との間に粒状物Pが上昇する上昇隘路7を形成し且つ前記微粉と分離されて上側から落下する前記粒状物Pを案内する隘路形成筒体8と、前記縦型筒体6内で前記隘路形成筒体8よりも上側に設けられ且つ前記上昇隘路7よりも通路断面積の大きい分離室9とを備え、前記微粉を含む前記粒状物Pが前記入口部14から前記上昇隘路7を経て前記分離室9に流入したときの該分離室9内での流速の低下により、重い前記粒状物Pを軽い前記微粉と分離して前記隘路形成筒体8内へと落下させ、前記微粉を含塵空気流として前記出口部13より取り出すものである。
【0014】
前記縦型筒体6及び前記隘路形成筒体8は略同心状に配置された円筒状であり、前記隘路形成筒体8内を貯留タンク3とし、該貯留タンク3にその取り出し口22を開閉する開閉弁23を備えたものでもよい。前記隘路形成筒体8は下部にテーパー部21を有し、該テーパー部21の外周に、前記入口部14から流入する前記粒状物Pを前記上昇隘路7の下端側の略全周に分散させる環状通路24を設けたものでもよい。前記分離室9と前記出口部13との間に、前記出口部13へ入ろうとする前記粒状物Pと接触して前記隘路形成筒体8内に落下させるための障害物26を配置したものでもよい。
【0015】
前記隘路形成筒体8内の前記粒状物Pの貯留レベルLよりも上側で前記縦型筒体6内に除電空気を供給する除電空気供給口25を該縦型筒体6に周方向に複数個設け、前記隘路形成筒体8に前記除電空気供給口25の内側に対応して複数個の開口43を設け、前記隘路形成筒体8の上端を前記開口43と前記縦型筒体6の前記出口部13との中間に位置させてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、微粉を含む粒状物Pを、通路断面積の小さい環状の上昇隘路7から上側の通路断面積の大きい分離室9へと空気搬送により送り、分離室9での空気流の流速の低下により、重たい粒状物Pを前記分離室から下方の貯留タンク3へと落下させ、軽い微粉を含塵空気として前記分離室9から取り出すため、装置全体を簡単かつ小型化でき、しかも粒状物Pに付着した樹脂粉、ゴミその他の微粉を効率的に高精度で能率よく除去できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施例を示す微粉除去装置の概要図である。
【図2】同分離手段の縦断面図である。
【図3】同分離手段の横断面図である。
【図4】同樹脂ペレットの飛行状態の説明図である。
【図5】本発明の第2の実施例を示す分離手段の縦断面図である。
【図6】同分離手段の横断面図である。
【図7】本発明の第3の実施例を示す分離手段の縦断面図である。
【図8】本発明の第4の実施例を示す分離手段の縦断面図である。
【図9】本発明の第5の実施例を示す分離手段の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1〜図4は本発明を樹脂ペレット用の微粉除去装置に採用した場合の第1の実施例を例示する。図1は樹脂成型機の前段に配置される樹脂ペレット用の微粉除去装置の概要を示し、この微粉除去装置は、図1に示すように供給手段1と分離手段2と貯留タンク3と集塵手段4と吸引手段5とを備え、吸引手段5により分離手段2の下手側で吸引して、供給手段1から一定量ずつ供給される樹脂ペレットP(図4参照)を空気搬送により送りながら、分離手段2で樹脂ペレットPとその表面等に付着した微粉とを分離して、その樹脂ペレットPを貯留タンク3に貯留すると共に、微粉を集塵手段4により集塵して清浄化するようになっている。
【0019】
なお、供給手段1、分離手段2、集塵手段4、吸引手段5は閉回路状に設けてもよいし、開回路状に設けてもよい。また吸引手段5は分離手段2の上手側、下手側の何れに設けてもよい。
【0020】
分離手段2は樹脂ペレットPを空気洗浄により洗浄して樹脂ペレットPとその表面その他に付着する微粉とに分離するためのもので、図2、図3に示すように、略円筒状の縦型筒体6と、この縦型筒体6内に略同心状に設けられ且つ縦型筒体6との間に樹脂ペレットPが上昇する上昇隘路7を形成する隘路形成筒体8と、縦型筒体6内で隘路形成筒体8の上側に設けられた分離室9とを備え、支持台10上に装着されている。
【0021】
縦型筒体6は上下両端に頂壁11と底壁12とを有し、その頂壁11の下側近傍に出口部13が、底壁12の上側近傍に入口部14が夫々縦型筒体6に対して略垂直に設けられている。出口部13は可撓ホースを介して吸引手段5、集塵手段4に接続され、入口部14は可撓ホースを介して供給手段1に接続されている。
【0022】
縦型筒体6は、略下半分程度の長さを有する下部筒体15と、この下部筒体15に較べて短い上部筒体16と、これらの中間に介在された透明な検視筒体17とを備え、周方向に複数本のボルト18により下部筒体15と上部筒体16とのフランジ15a,16a同士が着脱自在に結合されている。下部筒体15、上部筒体16はステンレス等の不透明な材料により構成されている。検視筒体17は分離室9内の樹脂ペレットPと微粉との分離状況を外部から検視するためのもので、ガラス等の耐摩耗材により構成され、上下両端にパッキング19を介してフランジ15a,16a間に介在されている。
【0023】
隘路形成筒体8は円筒状であって、縦型筒体6内の下部に略同心状に配置されており、この隘路形成筒体8と縦型筒体6との間に周方向の全周にわたって環状の上昇隘路7が形成されている。上昇隘路7は空気流により樹脂ペレットPが上昇し、しかもその樹脂ペレットPが分離室9内に入って流速が低下したときにも、その分離室9の上下方向の略中央から上側の高さまで飛行する程度の慣性力が生じるように、通路断面積を絞って樹脂ペレットPに十分な上昇速度を与えるべく構成されている。
【0024】
隘路形成筒体8は貯留タンク3を兼用している。貯留タンク3は分離室9の下側に開口しており、分離室9で微粉から分離された樹脂ペレットPを受けて貯留するようになっている。また隘路形成筒体8である貯留タンク3の下部にはテーパー部21が設けられている。テーパー部21は下部側が縦型筒体6の底壁12よりも下方に突出しており、その下端部に取り出し口22を開閉する開閉弁23が設けられている。開閉弁23は樹脂ペレットPの洗浄中に取り出し口22を閉じるためのものである。
【0025】
貯留タンク3のテーパー部21の上部側は底壁12の上側で入口部14に対応しており、このテーパー部21の外周には、入口部14から流入する樹脂ペレットPを上昇隘路7の下端側の略全周に分散させる環状通路24が設けられている。
【0026】
なお、貯留タンク3はテーパー部21の外周が縦型筒体6の底壁12に固定されているが、他の固定構造でもよい。また貯留タンク3は縦型筒体6とは分離して支持台10に着脱自在に設けてもよい。縦型筒体6の下端部は、貯留タンク3のテーパー部21が縦型筒体6の底壁12に密閉状に嵌合する等、略密閉状であることが望ましい。
【0027】
分離室9は上昇隘路7に比較して十分に大きな通路断面積を有し、上昇隘路7から流入した空気流の流速を低下させることにより、重量の重い樹脂ペレットPと重量の軽い微粉とに分離し、その樹脂ペレットPを下方の貯留タンク3へと落下させ、微粉を空気流により含塵空気として出口部13から集塵手段4へと送るようになっている。分離室9の下端部に対応して縦型筒体6に除電空気供給口25が設けられており、この除電空気供給口25から分離室9に除電空気を供給して樹脂ペレットPの静電気を除電し、分離室9での樹脂ペレットPと微粉とが分離し易くなるようにしている。
【0028】
縦型筒体6の上部には、出口部13側へと流動する樹脂ペレットPが接触する障害物26が分離室9と出口部13との間に設けられている。この障害物26は下広がりの円錐網27により構成され、下端側の周縁部が上部筒体16の下部内周に固定され、上端側の周縁部が頂壁11に固定されている。
【0029】
縦型筒体6内には貯留タンク3内の樹脂ペレットPの貯留レベルLを検出する検出手段28が設けられている。この検出手段28は縦型筒体6の頂壁11上の略中央に配置されたモータ29と、このモータ29により駆動され且つ縦型筒体6内の略中心部に上下方向に配置された回転軸30と、この回転軸30の下端に固定され且つ貯留タンク3内の上部に配置された回転翼31とを備え、モータ29により回転軸30を介して回転翼31を回転させておき、貯留タンク3内の樹脂ペレットPが所定の貯留レベルLまで溜まって回転翼31にかかる所定以上の負荷が加わったときにモータ29が停止して、貯留タンク3内の樹脂ペレットPが回転翼31に対応する貯留レベルLまで溜まったことを検出するようになっている。
【0030】
樹脂成型機に成型原料の樹脂ペレットPを供給する場合には、先ず樹脂ペレットPを空気洗浄して、その表面に付着する塵、その他の微粉を除去する。この樹脂ペレットPの空気洗浄に際しては、開閉弁23を閉じ吸引手段5を作動させて、吸引手段5の吸引作用によりペレット供給手段1、分離手段2、集塵手段4を含む経路で空気を流動させながら、供給手段1から分離手段2へと空気搬送により樹脂ペレットPを供給して、分離手段2で樹脂ペレットPを空気洗浄して微粉と分離し、その洗浄された樹脂ペレットPを貯留タンク3に溜めて、微粉を含む含塵空気を集塵手段4へと送って集塵する。
【0031】
吸引手段5が作動すると、出口部13から縦型筒体6内の空気を吸引するため、供給手段1から供給された樹脂ペレットPが空気流により分離手段2へと搬送されて行く。そして、この分離手段2では、樹脂ペレットPは空気流と共に入口部14から縦型筒体6の下端側の環状通路24へと流入し、この環状通路24で上昇隘路7の略全周に略均一に分散された後、上昇隘路7の全周で下端から上端へと十分な流速で急速に上昇する。
【0032】
上昇隘路7の上端から分離室9に入ると、分離室9の通路断面積が上昇隘路7に較べて大になるため、分離室9内の空気流の流速が低下する。そして、上昇隘路7の全周で分離室9へと流入した樹脂ペレットPは、図4に示すように分離室9の外周部分から中央側へと向かって上下方向の略中央又はそれ以上まで飛行した後、貯留タンク3側へと下方に落下する。また微粉は空気流によって出口部13へと送られる。
【0033】
これによって樹脂ペレットPと微粉とを効率的に分離でき、その樹脂ペレットPを確実に空気洗浄することができる。そして、洗浄された樹脂ペレットPは分離室9の下側の貯留タンク3内に貯留され、また微粉は含塵空気となって集塵手段4へと送られて集塵される。
【0034】
分離室9内に流入する樹脂ペレットPの供給量が少なくなる等のバラツキがあれば、樹脂ペレットPが分離室9を飛び越えて出口部13へと通過しようとするが、このような場合にその樹脂ペレットPが円錐網27に衝突した後、分離室9内を下方の貯留タンク3へと落下する。従って、樹脂ペレットPが分離室9を通過して集塵手段4へと送られるようなことはない。
【0035】
樹脂ペレットPの洗浄中は、モータ29により回転翼31を回転させておく。そして、貯留タンク3内の樹脂ペレットPのレベルが上昇して回転翼31にかかる負荷が大になると、モータ29が停止して、貯留タンク3内の樹脂ペレットPが所定の貯留レベルLにあることを検出手段28が検出する。
【0036】
このように微粉を含む樹脂ペレットPを上昇隘路7から分離室9へと空気流によって流入させて、その分離室9内で重量の大小によって樹脂ペレットPと微粉とを分離することにより、装置全体を簡単且つ小型化しながらも、樹脂ペレットPの表面に付着した樹脂粉、ゴミその他の微粉を効率的に高精度で除去することができる。
【0037】
特に縦型筒体6とその内側の隘路形成筒体8とによって上昇隘路7を形成し、この上昇隘路7の上端から分離室9内に樹脂ペレットPを流入させるため、樹脂ペレットPを分離室8に対してその外周側から円筒状に流入させることができる。従って、樹脂ペレットPが空気流に対して接触し易くなり、樹脂ペレットPを効率的に空気洗浄することができる。
【0038】
しかも隘路形成筒体8の内部を貯留タンク3としており、分離室9で微粉と分離された樹脂ペレットPを分離室9の下側の隘路形成筒体8内の貯留タンク3で直接受けて貯留するため、隘路形成筒体8内の空間を有効に利用できると共に、隘路形成筒体8と貯留タンク3とを別々に設ける場合に比較して構造的に簡単になり部材の無駄も防止できる。
【0039】
また縦型筒体6の下端部に環状通路24を設け、入口部14から入った微粉を含む樹脂ペレットPを環状通路24で上昇隘路7の略全周に分散させるようにしているので、上昇隘路7の通路断面積を小さくしても、樹脂ペレットPを上昇隘路7の略全周に均一に分散させることができる。しかも貯留タンク3のテーパー部21の外周を利用して環状通路24を形成しているので、縦型筒体6を略直円筒状にすることも可能である。
【0040】
図5、図6は本発明の第2の実施例を例示し、縦型筒体6の上部、特にその上部筒体16内に配置される障害物26を棒状の障害部材33により構成したものを例示する。障害部材33は出口部13と略直角方向に略等間隔をおいて平行に配置された複数本を一組として、上部筒体16の出口部13よりも下の開口側に上下方向に複数組設けられている。上下の各組の障害部材33は、下側の隣り合う障害部材33間に上側の障害部材33が位置すべく千鳥状に配置されている。
【0041】
上部筒体16は障害部材33により通路断面積が小さくならないように、その下側の検視筒体17よりも大径になっており、下端のフランジ16aが検視筒体17の上端のフランジ17aにボルト34等で着脱自在に固定されている。検視筒体17の上端内周は、障害部材33に衝突して落下した樹脂ペレットPが貯留タンク3内へと滑落し易くなるようにテーパー状の案内面17bが設けられている。
【0042】
なお、この実施例では、上部筒体16をその下側の検視筒体17に対して着脱自在にしているが、上部筒体16はその下側の筒体に対して着脱自在であればよい。障害部材33は丸棒状でもよい。
【0043】
このように複数本の障害部材33を簀の子状に配置し、上下の障害部材33が千鳥状となるように上下方向に複数組設けて障害物26を構成してもよい。このようにすれば、障害部材33で迷路が形成されるので、樹脂ペレットPの通過を殆ど防止することができる。また上部筒体16を大径にしているので、多数の障害部材33を近接して配置する場合でも、通路断面積の低下を防止でき、障害部材33間での空気流が早くなるようなこともない。更に障害物26に微粉が付着した場合には、上部筒体16を取り外すことにより容易に清掃が可能である。
【0044】
図7は本発明の第3の実施例を例示する。この実施例では、縦型筒体6と貯留タンク3とが支持台10上に着脱自在に装着され、必要に応じて縦型筒体6と貯留タンク3とが分離可能になっている。貯留タンク3は隘路形成筒体8側とその下端のテーパー部21とから構成されている。
【0045】
隘路形成筒体8は下端のフランジ8aが支持台10上に載置され、その下側にテーパー部21が固定されている。縦型筒体6は外側に拡径して形成された拡径部36を有し、この拡径部36の下端のフランジ37がボルト38によりフランジ8a上に分離可能に固定されている。そして、フランジ8aの上側で拡径部36の内周に環状通路24が形成されている。
【0046】
このように縦型筒体6と貯留タンク3とを分離可能にしておけば、縦型筒体6と貯留タンク3との間の上昇隘路7に微粉その他が付着した場合にも、両者を分離することにより容易に清掃が可能である。また環状通路24は縦型筒体6の一部に外側に膨らむ拡径部36を設けて形成することもできる。
【0047】
図8は本発明の第4の実施例を例示する。この実施例では、縦型筒体6内の下部には隘路形成筒体8が配置され、この隘路形成筒体8により縦型筒体6との間に上昇隘路7が形成されている。貯留タンク3は縦型筒体6から離れてその下方に配置され、分離室9で分離された樹脂ペレットPは隘路形成筒体8を経て下側の貯留タンク3へと案内されるようになっている。
【0048】
隘路形成筒体8は下部にテーパー部21を介して案内筒体39を有し、この案内筒体39が支持台10上にナット40等により着脱自在に固定されている。縦型筒体6は下端のフランジ37がボルト38により支持台10に着脱自在に固定されている。貯留タンク3は案内筒体39の下端に固定された蓋体41と、この蓋体41の下側に着脱自在に装着されたタンク本体42とを有し、タンク本体42の下側に取り出し口22と開閉弁23とが設けられている。
【0049】
このように縦型筒体6内に隘路形成筒体8を配置し、貯留タンク3を縦型筒体6の外部に設ければ、縦型筒体6の直径を比較的小さく抑えつつ貯留タンク3の容積を十分に確保することができる。
【0050】
図9は本発明の第5の実施例を例示する。この実施例では、縦型筒体6内の隘路形成筒体8は、その内部の樹脂ペレットPの貯留レベルLよりも上方に延びており、その上端は貯留レベルLと含塵空気の出口部13との略中間又はその近傍に位置している。そして、この隘路形成筒体8の上側が分離室9となっている。また縦型筒体6には、隘路形成筒体8内の樹脂ペレットPの貯留レベルLの上側近傍に対応して複数個(例えば周方向に2個、3個又は4個程度)の除電空気供給口25が周方向に略等間隔をおいて設けられ、またこの除電空気供給口25に対向して隘路形成筒体8に開口43が設けられている。他の構成は第1の実施例と略同様である。
【0051】
この場合には、第1の実施例と同様の作用により樹脂ペレットPの微粉を分離し除去するが、微粉の除去効率が更に向上する利点がある。何故なら、縦型筒体6内の隘路形成筒体8が樹脂ペレットPの貯留レベルLを越えて大きく上方に延びており、その上端位置が貯留レベルLと出口部13との略中間に位置するため、樹脂ペレットPが上昇隘路7を経て分離室9まで上昇するときの上昇距離が長くなり、また上昇後の樹脂ペレットPが貯留レベルLまで落下するときの落下距離を大にできる。
【0052】
一方、縦型筒体6には貯留レベルLの上側に対応して周方向に複数個の除電空気供給口25があり、この各除電空気供給口25に対応して隘路形成筒体8に開口43があるため、除電空気供給口25から供給された除電空気の一部が上昇隘路7を経て樹脂ペレットPと一緒に上昇し、残りの一部が開口43を経て隘路形成筒体8内に入り、上方から落下する樹脂ペレットPに逆らいながら隘路形成筒体8内を上昇する。
【0053】
このため樹脂ペレットPの上昇距離、落下距離が増加する上に、その距離の増加に伴って除電空気と樹脂ペレットPとが接触する時間が長くなって除電空気による樹脂ペレットPの除電効果が向上するので、樹脂ペレットPからの微粉の除去効率が著しく向上する利点がある。また上昇隘路7が長くなるため、上昇隘路7から分離室9へと飛び出したときの樹脂ペレットPの分離室9での飛行が安定し易くなり、樹脂ペレットPから微粉を安定的に除去することができる。
【0054】
なお、この実施例では、縦型筒体6の上下方向の略中央に除電空気供給口25があるが、樹脂ペレットPの入口部14を除電空気供給口25の下側近傍にすれば、その入口部14から下側の縦型筒体6は省略してもよい。
【0055】
以上、本発明の各実施例について詳述したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施することができる。例えば、実施例では、分離手段2の下流側に吸引手段5を配置して、この吸引手段5の吸引作用により、樹脂ペレットPを分離手段2へと空気搬送するようにしているが、分離手段2の上流側に送風手段を設けて、樹脂ペレットPを分離手段2へと空気搬送により圧送するようにしてもよい。
【0056】
実施例では縦型筒体6に透明な検視筒体17を設けて、この検視筒体17の外周から分離室9内の樹脂ペレットPと微粉との分離状況を確認できるようにしているが、検視筒体17を設けずに直円筒状の縦型筒体6を使用してもよい。また直円筒状の縦型筒体6の一部に、透明板により塞がれた検視窓を分離室9に対応して設け、その検視窓から検視できるようにしてもよい。
【0057】
縦型筒体6、隘路形成筒体8、貯留タンク3は円筒状の他、角筒状でもよい。入口部14は環状通路24に対して接線方向に設けてもよい。出口部13は縦型筒体6の頂壁11に設けてもよい。樹脂ペレットPは球状、柱状、その他の形状でもよい。また各実施例では、樹脂ペレットPの微粉を除去する微粉除去装置を例示しているが、樹脂ペレットP以外の粒状物に付着する微粉の除去にも採用可能である。
【符号の説明】
【0058】
3 貯留タンク
6 縦型筒体
7 上昇隘路
8 隘路形成筒体
9 分離室
13 出口部
14 入口部
21 テーパー部
22 取り出し口
23 開閉弁
24 環状通路
25 除電空気供給口
26 障害物
P 樹脂ペレット(粒状物)
L 貯留レベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粉を含む粒状物(P)を、通路断面積の小さい環状の上昇隘路(7)から上側の通路断面積の大きい分離室(9)へと空気搬送により送り、前記分離室(9)での空気流の流速の低下により、重たい前記粒状物(P)を前記分離室(9)から下方の貯留タンク(3)へと落下させ、軽い前記微粉を含塵空気として前記分離室(9)から取り出すことを特徴とする粒状物の微粉除去方法。
【請求項2】
下部に微粉を含む粒状物(P)の入口部(14)を、上部に含塵空気の出口部(13)を夫々有する縦型筒体(6)と、該縦型筒体(6)内で該縦型筒体(6)との間に粒状物(P)が上昇する上昇隘路(7)を形成し且つ前記微粉と分離されて上側から落下する前記粒状物(P)を案内する隘路形成筒体(8)と、前記縦型筒体(6)内で前記隘路形成筒体(8)よりも上側に設けられ且つ前記上昇隘路(7)よりも通路断面積の大きい分離室(9)とを備え、前記微粉を含む前記粒状物(P)が前記入口部(14)から前記上昇隘路(7)を経て前記分離室(9)に流入したときの該分離室(9)内での流速の低下により、重い前記粒状物(P)を軽い前記微粉と分離して前記隘路形成筒体(8)内へと落下させ、前記微粉を含塵空気流として前記出口部(13)より取り出すことを特徴とする粒状物の微粉除去装置。
【請求項3】
前記縦型筒体(6)及び前記隘路形成筒体(8)は略同心状に配置された円筒状であり、前記隘路形成筒体(8)内を貯留タンク(3)とし、該貯留タンク(3)にその取り出し口(22)を開閉する開閉弁(23)を備えたことを特徴とする請求項2に記載の粒状物の微粉除去装置。
【請求項4】
前記隘路形成筒体(8)は下部にテーパー部(21)を有し、該テーパー部(21)の外周に、前記入口部(14)から流入する前記粒状物(P)を前記上昇隘路(7)の下端側の略全周に分散させる環状通路(24)を設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の粒状物の微粉除去装置。
【請求項5】
前記分離室(9)と前記出口部(13)との間に、前記出口部(13)へ入ろうとする前記粒状物(P)と接触して前記隘路形成筒体(8)内に落下させるための障害物(26)を配置したことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の粒状物の微粉除去装置。
【請求項6】
前記隘路形成筒体(8)内の前記粒状物(P)の貯留レベル(L)よりも上側で前記縦型筒体(6)内に除電空気を供給する除電空気供給口(25)を該縦型筒体(6)に周方向に複数個設け、前記隘路形成筒体(8)に前記除電空気供給口(25)の内側に対応して複数個の開口(43)を設け、前記隘路形成筒体(8)の上端を前記開口(43)と前記縦型筒体(6)の前記出口部(13)との中間に位置させたことを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の粒状物の微粉除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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