説明

粒状非高分子バリスタ材料、それを含む基板装置、およびそれを形成する方法

記載された実施の形態は、単一化合物のみから形成された粒子構造から実質的になる非高分子の電圧で切替可能な誘電体(VSD)材料、その製造プロセス、およびそのような非高分子VSD材料を使用する用途を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに記載された実施の形態は、電圧で切替可能な誘電体材料に関し、より詳しくは、粒状バリスタおよびそれを使用する用途に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧で切替可能な誘電体(VSD)材料は、低電圧では絶縁性であり、より高い電圧では導電性である材料である。これらの材料は、一般に、高分子マトリクス中に導体粒子、半導体粒子、および絶縁体粒子を含む複合体である。これらの材料は、電子装置の過渡的保護、特に、静電気放電(ESD)および電気的オーバーストレス(EOS)からの保護に使用される。一般に、VSD材料は、固有の電圧または電圧範囲が印加されない限り、誘電体として挙動し、印加された場合には、この材料は導体として挙動する。様々な種類のVSD材料が存在する。電圧で切替可能な誘電体の例が、特許文献1から9などの文献に与えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4977357号明細書
【特許文献2】米国特許第5068634号明細書
【特許文献3】米国特許第5099380号明細書
【特許文献4】米国特許第5142263号明細書
【特許文献5】米国特許第5189387号明細書
【特許文献6】米国特許第5248517号明細書
【特許文献7】米国特許第5807509号明細書
【特許文献8】国際公開第96/02924号パンフレット
【特許文献9】国際公開第97/26665号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここに記載された実施の形態は、単一化合物のみから形成された粒子構造から実質的になる非高分子の電圧で切替可能な誘電体(VSD)材料、その製造プロセス、およびそのような非高分子VSD材料を使用する用途を含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】ある実施の形態による、銅または金属ホイル上にバリスタ材料の層を形成するためのシステムの説明図
【図2】1つ以上の実施の形態による、標的構造上にバリスタ層を形成するプロセスを示す流れ図
【図3A】実施の形態による、非高分子VSD材料の層が上に形成される基板装置の説明図
【図3B】2枚の対向する金属板またはホイル310,320の間にバリスタ層312が埋め込まれた基板装置の説明図
【図4A】ここに提供された実施の形態のいずれかに記載されたような非高分子VSD材料が構成された基板装置の説明図
【図4B】ある実施の形態による、導体層が基板内に埋め込まれた非高分子VSD材料を使用した代わりの基板装置構成の説明図
【図4C】ある実施の形態による、基板内に垂直切替配列が設けられた非高分子VSD材料を使用した代わりの基板装置構成の説明図
【図5】ここに記載された実施の形態によるVSD材料が設けられる、電子装置の概略図
【図6】ある実施の形態による、過渡的電気的保護のための非高分子VSD材料を使用したウェハー基板装置の説明図
【図7】ある実施の形態による、過渡的電気事象に対する保護素子として非高分子VSD材料を含む、リードフレームデザインを有する個別素子のパッケージ部分の平面図
【図8】ある実施の形態による、非高分子VSD材料の集積層を有する、リードフレーム構造を使用した個別素子の説明図
【図9】ある実施の形態による、非高分子VSD材料の一体型埋め込み層を有する個別素子の説明図
【発明を実施するための形態】
【0006】
バリスタは、重要な非オーム電流・電圧特徴を有する材料の部類である。そのような材料は、電圧で切替可能な誘電体(VSD)材料と称されることもある。他のVSD材料と同様に、バリスタは、電場が存在しない場合、誘電性または絶縁性(すなわち絶縁体の部類の材料)と考えられるのに十分に高い電気抵抗を有する。しかし、トリガーを超える電圧の印加により、バリスタの抵抗は著しく降下し、よってその材料は導電性(すなわち導体の部類の材料)になる。
【0007】
「VOLTAGE SWITCHABLE DIELECTRIC MATERIAL HAVING CONDUCTIVE OR SEMI-CONDUCTIVE ORGANIC MATERIAL 」と題する米国特許出願第11/829946号明細書(ここに引用する);および「VOLTAGE SWITCHABLE DIELECTRIC MATERIAL HAVING HIGH ASPECT RATIO PARTICLES」と題する米国特許出願第11/829948号明細書(ここに引用する)に記載されたような多くの種類のVSD材料は、結合剤中に導体粒子および半導体粒子を均一に分散させることによって形成される。反対に、バリスタは、結合剤が存在しないという点で、そのような高分子系のVSD材料とは異なる。それゆえ、バリスタは非高分子VSD材料である。実施の形態によれば、分子組成において実質的に均質すなわち純粋であるバリスタ材料が提供される。ここに用いたように、実質的に純粋な分子組成は、表示量(例えば、バリスタ層)の99%超が特定の分子化合物(例えば、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化タングステン、またはテルル化カドミウム)から形成されていることを意味する。
【0008】
バリスタを含むVSD材料は、静電気放電(ESD)または落雷などの、過渡的電気事象から電気装置を保護するために使用される。
【0009】
ここに記載された実施の形態は、標的装置上に堆積されたバリスタ層を含む様々な基板装置(およびそのような装置を形成するための技法)を含む。この標的装置は、銅ホイルまたは他の金属の基板などの金属または導体素子に相当し得る。
【0010】
いくつかの実施の形態において、バリスタ層は、現場で形成され、ESDなどの過渡的電気事象から基板装置の電気コンポーネントを保護するのに効果的であるように配置される。例えば、バリスタ層は、金属基板上で相互接続される他の電気素子を保護するために、その基板上に形成されるであろう。
【0011】
別の実施の形態では、金属ホイル(または板)であって、そのホイル上にバリスタ層を形成するために、選択された化合物の粒子構造が配置された金属ホイルが提供される。
【0012】
さらにまた、金属ホイルまたは板上にバリスタ材料の層を堆積させるために、薄膜堆積プロセスを行ってもよい。
【0013】
図1は、ある実施の形態によれば、銅または金属ホイル上にバリスタ材料の層を形成するためのシステムを示している。システム100は、保持機構110、モータ120、およびレーザ130により提供される。保持機構110は、ある量の未加工(raw)バリスタ材料112を保持している。この材料は、未加工状態においては、非晶質であり、所望の非オーム電気挙動を示すことのできる必須の結晶構造がない。それゆえ、材料112は、未加工形態(または非晶質)において、バリスタではないが、バリスタに形成される可能性を持っている。レーザビーム132(またはエネルギービームの他の形態)の印加により、分子が結晶化し、粒子構造の集合体を形成し始める。その結果生じた材料の凝集塊は、粒子構造において形成された分子境界の結果として、非オーム電気特徴を示すと考えられる。
【0014】
ある実施の形態において、未加工バリスタ材料112は酸化亜鉛の塊である。別の実施の形態において、未加工バリスタ材料112は酸化ビスマスの塊である。酸化ニッケル、テルル化カドミウムおよび酸化タングステンなどの他の材料(セラミック系金属酸化物を含む)を使用してもよい。いくつかの実施において、未加工バリスタ材料112を、最初に、機械的に把持でき、操作できる固体形状に構築し、よって、以下に記載するように、レーザビーム132の存在下で回転させることができる。
【0015】
標的140(例えば、金属板)を、レーザの印加により形成された結晶を採集するために、未加工バリスタ材料112の下に位置決めする。図1に示された実施において、モータ120がある量の未加工状態のバリスタ材料112を回転させながら、レーザ130が材料112上にビーム132を向ける。ビーム132を、回転されている量の未加工材料112に向けるプロセスは、真空槽内で行っても差し支えない。その結果、未加工材料112は、外部で結晶化されて、塊から剥離される。
【0016】
ある実施の形態において、レーザ130は高エネルギーパルスレーザである。他の形態のレーザおよびエネルギービームを使用してもよい。代わりのビームを選択するための判断基準の1つは、分子結晶が未加工塊の外面に形成されて、剥離されるように、そのビームが、十分な量のエネルギーを未加工状態の材料112に向ける能力を有することである。
【0017】
真空環境において、結晶化した分子は、未加工材料112の塊から落下し、標的140でバリスタ材料142の層または量として凝集する。バリスタ材料142の凝集塊は、堆積したときに材料を焼結せずに形成される。いくつかの実施の形態において、そのようなプロセスにより標的140上に形成されるバリスタ材料の量は、数ナノメートルから300ナノメートルに及び得る。標的140をロボットまたは他の機構により動かして、バリスタ材料142を選択的に堆積するまたはパターン形成することができる。バリスタ材料142は、未加工材料112の塊の組成(実質的に純粋であると仮定する)と一致するという点で、その組成が実質的に均質すなわち純粋である。バリスタ材料142は、未加工材料112の塊の結晶化により形成される粒子構造の分子レベルで構成されている。その結果得られた材料の非オーム電気的特徴は、選択された化合物(例えば、酸化亜鉛)の粒子構造(および粒子間に形成された境界)の結果であると考えられる。
【0018】
図2は、1つ以上の実施の形態による、標的構造上にバリスタ層を形成するプロセスを示している。図2の方法を説明する上で、説明されている工程または副工程を行うための適切な構成または要素を示す目的で、図1を参照する。
【0019】
未加工状態の材料112を、その後エネルギービームによりエネルギーを印加するために、真空槽内に保持する(210)。この材料は、エネルギーが印加されたときに、バリスタ様電気的性質を有する結晶質分子を形成する能力に基づいて選択されるであろう。使用できる未加工材料の例としては、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化タングステン、またはテルル化カドミウムが挙げられる。使用される材料は、その材料の粒状化形態の公知の電気的特徴に基づいて選択してもよい。どの材料が使用されるかの選択に影響を与える特別な電気的特徴としては、材料のトリガー電圧(材料が導体状態に切り替わる電圧)、クランプ電圧または漏れ電流が挙げられる。上述したように、結晶質分子が標的位置に堆積される。
【0020】
標的構造を、真空槽の標的位置に配置する(220)。実施の形態によれば、標的構造として数多くの種類の構造を使用することができる。ある実施の形態において、標的構造は、銅、銀、ニッケル、金、またはクロムにより形成されるものなどの金属ホイルに相当する。別の実施の形態において、標的構造は、プリント回路基板装置のための基板に相当する。さらにまた、他の用途に、ダイ素子が上に設けられるウェハー基板がある。後者の場合、このウェハーは、予め不動態化された標的位置に配置されるであろう。
【0021】
次いで、未加工状態の材料を、周囲の分子を結晶化するのに十分なエネルギービームに曝露する(230)。未加工材料112の分子は、未加工状態において、比較的非晶質であり、エネルギービームの印加により、境界を有する粒子構造を形成することによって、個々の分子が結晶化する。これらの分子構造は、未加工材料112上へのエネルギービームの連続的印加により、その標的位置に凝集し、その結果、粒状化分子が未加工材料112の塊から標的位置へと剥離する。
【0022】
いくつかの実施の形態で、エネルギービームに対して材料112を回転させることによって形成できる結晶の量が増加する。いくつかの実施の形態によれば、未加工状態の材料112を回転させながら、高エネルギービームをその材料に向ける。別の方法として、ビームを未加工材料112の周りに動かすこともできる。
【0023】
ある実施の形態において、高エネルギービームはレーザビームに相当する。高エネルギービームは、分子結晶が標的位置(またはその位置に配置された標的装置)上に落下させるのに十分なエネルギーを提供する。個々の結晶化分子は標的位置に凝集して、バリスタ材料を形成する。標的装置上に十分なバリスタ材料が形成されたときに、このプロセスは完了する。
【0024】
図1および2を参照して、以下に、ある実施の形態の実施例を提供する。高エネルギービームは、超高エネルギーパルスビームとして与えてもよい。バリスタの未加工材料112は、高真空槽(例えば、10-6トール未満で)内に保持され、比較的遅い回転速度(例えば、毎分1〜10回転)で回転させてもよい。回転速度と高エネルギーレーザの組合せにより、材料の外層を加熱することができる。標的位置も動かし(回転および/または平行移動させ)て、分布した(一点に堆積させるのではなく)所望の位置に、粒状化材料を落下させることができる。実験において、回転させ、約200℃に加熱した銅板上に、粒状構造を形成した。
【0025】
図3Aは、実施の形態にしたがって、非高分子VSD材料の層が上に形成された基板装置を示している。この基板装置300は、金属板310またはホイル(例えば、銅、金、銀、クロム、黄銅)を含むが、どのような金属または導体部材(例えば、リード線、バックプレーン、ピン)を使用してもよい。いくつかの実施の形態において、非高分子VSDが、図1および図2の実施の形態に関して記載したようなバリスタ材料から形成される。バリスタを形成するために、金属板310(または他の導体素子)に、システム100(図1)に実施したようなプロセスを施してよく、ここでは、未加工材料112の塊(図1)をエネルギービームに曝露して、下にある部材上に結晶を形成することができる。その結果、厚さがある範囲に及び得る(例えば、2〜300nm)バリスタ材料の層が、製造プロセスの一部として金属板310上に形成される。製造プロセスの一部として、バリスタ材料312は、金属板と一体に組み合わされ、金属板310から形成された製品の固有の電気的保護が可能になる。
【0026】
図3Aの実施の形態において、バリスタ材料312と基板310との組合せが、回路基板などの基板装置のコアを形成する。このコアは、ESDおよび他の過渡的電気事象が生じたときに、その後に基板上に形成される電気素子の接地面を提供するために使用できる固有の非オーム特徴を有する。
【0027】
図3Bは、2枚の対向する金属板またはホイル310,320の間にバリスタ層312が埋め込まれた基板装置を示している。数ある用途の中で、この構成により、ESDすなわち過渡的事象が生じたときに、その装置の電気素子を設置するためにバイアに電気的に接続できる埋込み接地面を基板装置350が有することができる。
【0028】
図4Aは、ある実施の形態による、非高分子VSD材料により構成された装置を示している。図4Aにより示されるように、基板装置400は、例えば、プリント回路基板に相当する。電極412および他のトレース要素または相互接続器を含む導体層410が、基板400の表面厚さ上に形成される。図示した構成において、適切な電気事象(例えば、ESD)の存在下で、このVSD層420に被さる電極412間での横方向スイッチを提供するために、基板400(例えば、コア層構造の一部として)上に非高分子VSD材料420が形成される。いくつかの実施の形態によれば、非高分子VSD材料は、図1および図2の実施の形態に関して記載したような堆積プロセスを使用して作製される。先の実施の形態により記載されたようなバリスタを非高分子VSD材料として使用してもよい。
【0029】
電極412間の間隙418は、十分な過渡的電気事象が生じたときに、「オン」になる横すなわち水平方向スイッチとして働く。ある用途において、電極412の内のあるものは、接地面または装置まで延在する接地素子である。接地電極412は、間隙418により隔てられた他の導体素子412を相互接続して、VSD層420内の材料が導体状態に切り替えられた結果として(過渡的電気事象の結果として)、接地する。
【0030】
ある実施において、バイア435が接地電極412から基板400の厚さ中に延在している。このバイアは、接地電極412から延在する接地路を完了するための電気接続を提供する。間隙418の下にあるVSD層の部分が導体素子412を橋絡し、よって、過渡的電気事象が接地され、それゆえ導体層410を含む導体素子412に相互接続された部材および装置が保護される。
【0031】
図4Bは、ある実施の形態による、導体層が基板内に埋め込まれた非高分子VSD材料を使用した代わりの基板装置構成を示している。図示した構成において、電極462を含む導体層460が基板440の厚さ内に分布している。非高分子VSD材料の層470および誘電体材料474(例えば、B−ステージ材料)が、埋め込まれた導体層に被さっていてもよい。非高分子VSD層470の直接下にまたは接触したものなどの、誘電体材料の追加の層477を含んでもよい。表面電極482は、基板440の表面に設けられた導体層480を含む。表面電極482は、非高分子VSD材料の層471に被さっていてもよい。1つ以上のバイア474が、導体層460,480の電極/導体素子を電気的に相互接続してもよい。非高分子VSD材料の層470,471は、十分な大きさの過渡的電気事象がVSD材料に到達したときに、それぞれの導体層460,480の間隙468に亘り、隣接する電極を水平に切り替え、橋絡するように配置されている。いくつかの実施の形態によれば、非高分子VSD材料は、図1および図2の実施の形態について記載されたようなバリスタ材料から形成される。バリスタ材料の個々の層の各々は、図1および図2について記載したような堆積プロセスから形成してもよい。これらの層は、バリスタ材料を対応する導体層460,480上に堆積した後、一方の上に他方が載るように作製してもよい。
【0032】
図4Aおよび図4Bの実施の形態の代わりの方法または変種として、図4Cは、基板中に非高分子VSD材料を含ませるために垂直切替構成を示している。基板486は、導体材料の2つの層488,498を隔てる非高分子VSD材料490の層を含んでいる。ある実施において、一方の導体層498が埋め込まれている。過渡的電気事象が非高分子VSD材料の層490層に到達したときに、導体が切り替わり、導体層488,498が橋絡される。垂直切替構成を使用して、導体素子を接地に相互接続してもよい。例えば、埋め込まれた導体層498が接地面を提供してもよい。
【0033】
図5は、ここに記載した実施の形態にしたがう非高分子VSD材料が設けられる電子装置の概略図である。図5は、基板510、コンポーネント540、および必要に応じてのケーシングまたはハウジング550を含む装置500を示している。VSD材料505(記載された実施の形態のいずれかによる)を、表面502の上の位置、表面502の下の位置(トレース要素の下またはコンポーネント540の下などの)、または基板510の厚さ内を含む多くの位置の任意の1つ以上に組み込んでもよい。あるいは、非高分子VSD材料をケーシング550中に組み込んでもよい。各場合において、非高分子VSD材料505を、特徴電圧を超える電圧が存在する場合、トレースリード線などの導体素子と結合するように組み込んでもよい。それゆえ、非高分子VSD材料505は、特定の電圧条件の存在下で導体素子である。
【0034】
ここに記載した用途のいずれに関しても、装置500はディスプレイ装置であってもよい。例えば、コンポーネント540は、基板510から照らすLEDまたはLEDアレイに相当してもよい。基板510上のVSD材料505の位置決めおよび配置は、導線、端子(すなわち、入力または出力)および発光装置に設けられる、それにより使用されるまたはそこに組み込まれる他の導体素子を収容するように選択的であってよい。代わりの例として、VSD材料を、基板から離れて、LED装置の正の導線と負の導線の間に組み込んでもよい。さらにまた、1つ以上の実施の形態は有機LEDの使用を提供し、この場合、VSD材料は、例えば、有機発光ダイオード(OLED)の下に設けられるであろう。
【0035】
LEDおよび他の発光装置に関して、米国特許出願第11/552289号明細書(ここに引用する)に記載された実施の形態のいずれを、図1または図2の実施の形態について記載され、製造されたように非高分子VSD材料で実施してもよい。
【0036】
あるいは、装置500は、無線周波数識別装置などの無線通信装置に相当してもよい。無線周波数識別装置(RFID)および無線通信コンポーネントなどの無線通信装置に関して、VSD材料は、例えば、過充電またはESD事象からコンポーネント540を保護するであろう。そのような場合、コンポーネント540は、その装置のチップまたは無線通信コンポーネントに相当するであろう。あるいは、非高分子VSD材料505を使用することにより、コンポーネント540により生じるかもしれない帯電から他のコンポーネントを保護してもよい。例えば、コンポーネント540は電池に相当し、非高分子VSD材料505は、電池事象から生じる電圧条件から保護するために基板510の表面にトレース要素として設けてもよい。ここに記載した実施の形態による非高分子VSD材料のいずれの組成物(例えば、図1または図2参照)を、米国特許出願第11/552222号明細書(ここに引用する)に記載された装置および装置構成のためのVSD材料として使用するために実施してもよい。この文献には、VSD材料を組み込んだ無線通信装置の数多くの実施が記載されている。
【0037】
代わりの例または変更例として、コンポーネント540は、例えば、個別半導体装置に相当してもよい。非高分子VSD材料505は、この材料をオンに切り替える電圧の存在下でコンポーネントに電気的に接続するように、位置決めしても、またはコンポーネントと一体化させてもよい。
【0038】
さらにまた、装置500は、パッケージ装置、または基板コンポーネントを受容するための半導体パッケージに相当してもよい。装置に基板510またはコンポーネント540を含ませる前に、非高分子VSD材料505をケーシング550と組み合わせてもよい。
【0039】
図6は、ある実施の形態による、過渡的電気的保護のための非高分子VSD材料を使用したウェハー基板装置を示している。ウェハー基板装置600は、ウェハー基板層610、集積回路層620、およびシーリング層(ceiling layer)630を含む。シーリング層630は、ウェハー基板装置の不動態化または封止の前の最も外側の層である。シーリング層630上に追加の封止層を設けてもよい。一般に、電気接触素子632(はんだ隆起部などの)が、ウェハー基板装置の外部の電気接触を可能にするようにシーリング層で接触素子634に電気接続されている。図示した特定の構成において、電気接触素子632(例えば、はんだ隆起部)は、電気接触素子634および埋め込まれた接地面642を通じて接地面640に接触する接地素子である。ウェハーおよび基板装置に他のバイア、接地面および構成を使用してもよい。例えば、他のはんだ隆起部が、ウェハー基板装置の非接地コンポーネントとの電気接続を提供してもよい。図示した構成において、非高分子VSD材料650が、接地するために、電気的に保護された素子652および電気接点634の間に設けられている。過渡的電気事象のない状況では、非高分子VSD材料650は、保護された素子652を電気接点634から電気的に隔離された状態を維持する。過渡的電気事象の最中には、非高分子VSD材料650は、導体状態に切り替わり、保護された素子652を接地に接続する。
【0040】
VSD材料650が導体状態に切り替わる電圧は、設計の内の1つであってよい。したがって、バリスタ(または他の非高分子VSD材料)に使用される材料、並びに厚さなどの他の特徴(例えば、クランプ電圧、トリガー電圧、漏電)は、粒状化形態(例えば、図1および図2により記載されたような、堆積後)の特徴に基づいて選択される。
【0041】
図6により示されるものなどの実施の形態に様々な変更が可能である。例えば、非高分子VSD材料650を代わりの製造前工程でウェハー基板上に堆積してもよく、よって、VSD材料650が、例えば、集積回路層内に埋め込まれている。
【0042】
図7は、ある実施の形態による、過渡的電気事象に対する保護素子として非高分子VSD材料を組み込んだ、リードフレーム設計を有する個別素子のパッケージ部分の平面図である。基板装置(図8により示されるものなどの)を収容するために、パッケージ710が使用される。ダイ(図示せず)をパッケージ710の中央部分に付着させても他の様式で取り付けてもよい。ある実施の形態において、非高分子バリスタ材料が、パッケージ710の周囲に連続層720として堆積される。この層は、パッケージ710のリードフレーム部分712および中央部分714に及ぶ。このパッケージ710を使用する装置が完成したときに、リードフレーム部分712と中央部分714との間の間隙(711および713により表される)が、パッケージ710またはそのリードフレーム部分712を使用した装置の内部または接続された電気素子を接地する導体経路を形成できる。
【0043】
図8は、ある実施の形態による、非高分子VSD材料の一体化層を有する、リードフレーム構造を使用した個別素子を示す。装置800は、ダイ820およびこのダイからリードフレームまで延在する配線822を含む。ダイ820は、非高分子VSD材料840の一体化層を含む基板830上に載置されてもよい。非高分子VSD材料840は接地面848に接続してよく、これは、VSD材料840の下にあり得る。図示した実施において、非高分子VSDは、表面近くに設けられて、過渡的電気事象が生じたときに、要素を接地する保護間隙を電気的に橋絡する。多くの装置設計において、接地(例えば、はんだボール854)を含む外部電気接続のために、はんだボール854〜855(または他の電気接触要素)が使用される。バイア858がダイ820とはんだボール854〜855の間を接続するように延在してもよい。例えば、接地路が、接地はんだボール855、接地バイア858および非高分子VSD材料840(導体状態にある場合)の間に形成されるであろう。非高分子VSD材料840は、図1または図2の実施の形態について記載されたようなバリスタから形成されてもよい。過渡的電気事象が生じたときに、非高分子VSD材料840が導体状態に切り替わり、それゆえ、保護材料を接地要素に電気接続するであろう。
【0044】
図9は、ある実施の形態による、非高分子VSD材料の一体化埋め込み層を有する個別素子を示している。装置900は、多数の電気接触層932および相互接続バイア958を有し、非高分子VSD材料940の一体化層を含む多層基板930上に載置されているパッケージ910を含む。非高分子VSD材料940は接地素子に繋がっていてもよい。図示した実施において、はんだボール954および955(接地)が外部電気接続のために使用されている。他の接続要素を形成してもよい。バイアは、接触層、ダイおよびはんだボール954,955の間を接続するように延在してもよい。例えば、基板930の内部層932(ダイ920に繋がっていてもよい)は、バイア959と接地面961との間の間隙935にて基板930内で接地するように接続されてもよい。非高分子VSD材料940は、間隙935に被さり、過渡的電気事象が生じたときに、電気的橋絡として働く。非高分子VSD材料940は、導体状態にあるときに、接地バイア958およびはんだボール955によって、バイア959(電気素子および/またはダイ920に繋がる)を接地に電気接続する。
【0045】
いくつかの実施の形態によれば、非高分子VSD材料940は、図1または図2の実施の形態について記載されたようなバリスタから形成されてもよい。過渡的電気事象が生じたときに、非高分子VSD材料940が導体状態に切り替わり、それゆえ、保護材料を接地要素に電気接続するであろう。
【0046】
説明のための実施の形態を、添付の図面を参照してここに詳しく説明してきたが、特定の実施の形態および詳細に対する改変がここに包含される。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその同等物により定義されることが意図されている。さらに、記載された特定の特徴は、個々にまたは実施の形態の一部のいずれかとして、他の個々に記載された特徴、または他の実施の形態の一部と組み合わせても差し支えないことが考えられる。それゆえ、組合せの記載がないことは、本出願の発明者等が、そのような組合せに対する権利の主張を除外するものではない。
【符号の説明】
【0047】
100 バリスタ材料の層を形成するためのシステム
110 保持機構
112 未加工バリスタ材料
120 モータ
130 レーザ
140 標的
142,312 バリスタ材料
300,400 基板装置
310 金属板
412 電極
435,858,958,959 バイア
440,486,510 基板
460,480,488,498 導体層
470,505,650,840,940 非高分子VSD材料
540 コンポーネント
550 ケーシング、ハウジング
600 ウェハー基板装置
620 集積回路層
630 シーリング層
710 パッケージ
820 ダイ
854,855,954,955 はんだボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一化合物のみから形成された粒子構造から実質的になる非高分子の電圧で切替可能な誘電体(VSD)材料。
【請求項2】
前記単一化合物が、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化タングステン、またはテルル化カドミウムの内の1つに相当することを特徴とする請求項1記載の非高分子VSD材料。
【請求項3】
基板装置において、
金属層、および
非高分子の電圧で切替可能な誘電体(VSD)材料の層、
を備え、
前記非高分子VSD材料の層が前記金属層上に形成されることを特徴とする基板装置。
【請求項4】
前記非高分子VSD材料が、単一化合物のみから形成された粒子構造から実質的になることを特徴とする請求項3記載の基板装置。
【請求項5】
前記金属層が、銅、銀、ニッケル、金、またはクロムの内の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項4記載の基板装置。
【請求項6】
前記非高分子VSD材料が前記単一化合物のみからなることを特徴とする請求項4記載の基板装置。
【請求項7】
前記非高分子VSD材料が、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化タングステン、またはテルル化カドミウムの内の1つから形成されることを特徴とする請求項4記載の基板装置。
【請求項8】
前記非高分子VSD材料が、前記基板装置内に埋め込まれた層として形成されることを特徴とする請求項3記載の基板装置。
【請求項9】
基板装置において、
1つ以上の導体層、および
非高分子の電圧で切替可能な誘電体(VSD)材料の層、
を備え、
前記非高分子VSD材料の層が前記導体層上に形成され、
前記非高分子VSD材料の層が、前記1つ以上の導体層の1つ以上の電気素子と接地素子との間の間隙を橋絡するように配置されていることを特徴とする基板装置。
【請求項10】
前記非高分子VSD材料が、前記1つ以上の電気素子と前記接地素子との間の前記間隙を水平方向に橋絡するように配置されていることを特徴とする請求項9記載の基板装置。
【請求項11】
前記接地素子が、接地路の一部として垂直に延在するバイアを含むことを特徴とする請求項10記載の基板装置。
【請求項12】
前記非高分子VSD材料が、前記基板装置内に埋め込まれた層として設けられることを特徴とする請求項9記載の基板装置。
【請求項13】
前記非高分子VSD材料が、前記1つ以上の電気素子と前記接地素子との間の前記間隙を垂直に橋絡するように配置されていることを特徴とする請求項9記載の基板装置。
【請求項14】
前記非高分子VSD材料が、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化タングステン、またはテルル化カドミウムの内の1つのみから形成されることを特徴とする請求項9記載の基板装置。
【請求項15】
半導体パッケージに相当することを特徴とする請求項9記載の基板装置。
【請求項16】
ウェハー装置であることを特徴とする請求項9記載の基板装置。
【請求項17】
前記非高分子VSD材料が、前記ウェハー装置のシーリング層上に配置されていることを特徴とする請求項16記載の基板装置。
【請求項18】
高分子VSD材料を標的上に形成する方法において、
エネルギービームが印加される外層を結晶化させ、剥離させるように、該エネルギービームを非晶質状態にあるバリスタ材料に印加する工程、および
前記バリスタ材料が結晶化され、剥離されたときに形成された該バリスタ材料の粒子構造を標的位置上に凝集させる工程、
を有してなる方法。
【請求項19】
前記エネルギービームを印加する工程が、前記非晶質状態にある前記材料上にエネルギーを向ける工程を含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記材料を、向けられた前記レーザに対して回転させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記材料が、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化タングステン、またはテルル化カドミウムの内の1つからなることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項22】
真空下で行われることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項23】
エネルギービームが印加される外層を結晶化させ、剥離させるように、該エネルギービームを非晶質状態にあるバリスタ材料に印加する工程、および
前記バリスタ材料が結晶化され、剥離されたときに形成された該バリスタ材料の粒子構造を標的位置上に凝集させる工程、
を有してなる方法により形成される、非高分子の電圧で切替可能な誘電体(VSD)材料。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−515372(P2013−515372A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545984(P2012−545984)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/058435
【国際公開番号】WO2012/071051
【国際公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(508153431)ショッキング テクノロジーズ インコーポレイテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】SHOCKING TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】