説明

粘土を含有する軽量化構成材料の製造方法

押出成形による粘土から出発する軽量化構成材料の製造方法であって、過酸化水素原料がガス発生剤として用いられる、前記方法。このような方法における過酸化水素の使用は、一定の水分含量で押出電力を減少させ、且つ一定の押出圧で添加される水の量を減少させることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本特許出願は、欧州特許出願第05111658.0号の恩典を主張し、この明細書の記載は本願明細書に含まれるものとする。
本発明は、粘土から出発する軽量化構成材料の製造方法、特にレンガの製造方法に関する。
【0002】
発泡剤(又はガス発生剤)の添加によって多孔性(又は軽量化又は軽量)構成材料を製造する可能性は周知である。発生したガスは、硬化の間に構成材料の塊の中に保たれるとともに材料の多孔性を与える気泡を生じる。
軽量化材料の市場は、現在発展している。このことは、一つには材料の密度が熱伝導率にほぼ比例するという事実による。熱分散を減少させることによるエネルギー節約の圧力が強くなっているので、構成材料はますます多孔性にする必要がある。更に、低材料密度は、地震構造にも重要である。
しかしながら、材料増大の現在の技術には、束縛がある。実際に、ポリスチレンやおがくずのような可燃性材料が粘土に組み込まれる場合には、文献"Development of extruded, high-thermal insulating bricks", ZI International, 12, p. 36-41, 2001に記載されるように、熱分解ガス溶出液を生成し、望まれていない粘土の色を呈する。アルミニウム粉と苛性ソーダがコンクリートに用いられる場合、オーストラリア特許出願第2149097号に記載されるように、水素が発生することから特別な安全装置が必要である。
【0003】
本発明の目的は、エネルギーを節約することを可能にし且つ環境に影響せず品質にも影響せずに材料を軽量化することを可能にする粘土から出発する軽量化構成材料の新規な製造方法を提供することによってこれらの欠点を克服することである。本発明の目的は、特に、押出しの間、一定の水分含量で粘土押出しに必要とされるエネルギー又は電力がより少なく、且つ一定の押出圧で必要とされる添加される水もより少ないが、材料増大を与えることである。
【0004】
このために、本発明は、押出成形による粘土から出発する軽量化構成材料の製造方法であって、過酸化水素原料がガス発生剤として用いられる、前記方法に関する。
【0005】
過酸化水素原料は、好ましくは、過酸化水素を酸素と水に分解するための触媒を添加せずに用いられる。このような触媒の例は、遷移金属化合物、例えば、遷移金属酸化物(例えば、二酸化マンガン、酸化銅)又は酵素(例えば、カタラーゼ)である。
本発明の不可欠な特徴の1つは、好ましくは触媒を添加せずに、ガス発生剤としての過酸化水素原料の使用にある。このことにより、予想外にも、生成するガスが酸素であるので環境に影響せずに、また、押出しの間、一定の水分含量で必要とされる押出電力(約10〜20%)と一定の押出圧で添加される水の量を減少させる可能性がありながら、材料増大(典型的には約1.9kg/dm3の密度から約1.5kg/dm3の密度に、最終的に約0.8kg/dm3の密度まで下がる)を可能にする方法が得られた。
【0006】
表現“軽量化構成材料”とは、一般的には少なくとも15%、特に少なくとも20%、最も有利には少なくとも55%である高多孔性体積を有する材料を意味する。多孔性体積は、以下の工程からなる以下の方法EN ISO 8990に準じて測定される:
・乾燥材料、例えば、レンガの質量を測定する工程(100°Cで24時間加熱し、その後冷却することによって得られる)
・全ての多孔性体積に水を充填する工程(水に24時間の間、浸漬することによって)
・湿潤材料、例えば、レンガの質量を測定する工程。
【0007】
本発明の方法によって製造される構成材料は、レンガ、壁タイル、天井タイル、絶縁パネルのコア材料、カーテンウォール用パネル、パネル化したレンガ、隔壁及び外装材より選ぶことができる。好ましい材料は、レンガである。
本発明の方法において出発材料の一つとして用いられる粘土は、種々の他の微量成分とともに組成物中にアルミナ(Al2O3)とシリカ(SiO2)を有する鉱物より選ぶことができる。適切な粘土の例は、カオリン、ボール粘土、頁岩、モンモリロナイトである。
本発明の方法によって製造される構成材料は、また、他の添加剤、例えば、砂、炭酸バリウム、界面活性剤を含有することができる。
【0008】
本発明の方法に用いられる過酸化水素原料は、過酸化水素自体、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化亜鉛、混合された過酸化カルシウム/過酸化マグネシウム及びそれらの混合物より選ぶことができる。過酸化水素が好ましい。ほとんどの場合、過酸化水素は、水溶液の形で用いられる。このような溶液は、一般的には20〜70%wt/wt、好ましくは40〜50%wt/wtの過酸化水素を含有する。過酸化水素原料は、本方法に導入される場合、過酸化水素を形成する結果になり、それ自体分解するとともに気泡を生じ材料に空孔を生じるガスを生成する。
【0009】
本発明の方法は、押出成形を含む。このことは、粘土を含有するペースト材料と共に送られる押出機で行われる。ペースト材料は、粘土と水を混合することによって、所望により他の添加剤と混合してもよい、ミキサーにおいて調製することができる。添加剤の例は、砂、炭酸バリウム、界面活性剤である。適切なミキサーの例は、ニーダー型又はミキシングスクリュー型である。その後、ペースト材料は、典型的には減圧脱気チャンバを含む押出機に送られる。ペースト材料は、ダイに送り込まれて所望の形状を形成する。ダイは、芯を取った(部分的に中空)形状を得るように内部要素を含有することができる。ダイ潤滑剤を使うことができる。潤滑剤の例は、重炭化水素、消耗した潤滑油である。その後、形状は、通常は都合のいい長さのスラグに切断され、次に、例えば、リールを用いてレンガに更に切断されるか又はカッターによって押し付けられる。その後、製品は、例えば、ロボットを用いることによって、乾燥と焼成のためにキルン台車に装填される。
【0010】
本発明のプロセスの間、水は、一般的には二回添加される:
1.混合前に、乾燥粘土の質量に基づいて1〜25質量%、特に15〜18質量%の量で
2.押出圧を細かく制御するために混合の間に、2〜10質量%、好ましくは3〜5質量%の量で。
【0011】
本発明の方法の間に、過酸化水素原料は、乾燥粘土の質量に基づいて通常は0.1〜1質量%、特に0.2〜0.5質量%、最も好ましくは0.25〜0.4質量%の量で添加される。
添加される過酸化水素がダイを通過する前に完全に分解されるように押出機のダイから充分に遠い点で過酸化水素を添加することが推奨される。実際に、全体の増大は、材料がダイを通って押出機を出る前に押出機内部で行われることが有利である。材料がダイを通って押出機を出た後に気泡が生じることは避けるべきである。過酸化水素は、好ましくはミキサーに添加される。過酸化水素は、多くの場合、上記2の添加される水で希釈される。
【0012】
界面活性剤もまた、本発明の方法に使用し得る。適切な界面活性剤の例は合成又はタンパク質ベースである。それらは、一般的には、乾燥粘土の質量に基づいて0.001〜1質量%の量で用いられる。
【0013】
特に適切な方法を、図1に概略図で示す。タンク(1)にある粘土を、(3)を通ってミキサー(2)に導入する。タンク(4)にある水を、(5)を通ってミキサー(2)に導入する。タンク(6)にある過酸化水素原料を、(7)を通ってミキサー(2)に導入する。粘土、水及び過酸化水素原料を、ミキサー(2)において混合し、ペースト材料の形である得られた混合物をミキサー(2)から(9)を通って押出機(8)に移す。タンク(10)にある追加の水又はタンク(11)にある他の添加剤を、それぞれ(12)と(13)を通って押出機に導入することができる。押出機は、減圧脱気チャンバ(14)を備え、混合ゾーン(15)、押出しゾーン(16)及びダイ(17)から構成される。ダイ(17)を出る成形された材料を乾燥機(18)に移す。
【0014】
本発明の方法は、粘土から出発する軽量化構成材料の製造方法において過酸化水素原料がガス発生剤として用いられる場合に一定の水分含量で押出電力を減少させることを可能にする。同様に、一定の押出圧で添加される水の量を減少させることを可能にする。
それ故、本発明は、また、一定の水分含量で押出電力を減少させるために粘土から出発する軽量化構成材料の製造方法においてガス発生剤として過酸化水素原料の使用に関する。更に、一定の押出圧で添加される水の量を減少させるために粘土から出発する軽量化構成材料の製造方法においてガス発生剤として過酸化水素原料の使用に関する。
以後、実施例によって本発明を具体的に説明する。
【実施例】
【0015】
粘土Cecina river valley(イタリア)から出発して、図1に示される装置を用いて、また、ガス発生剤として50%wtのH2O2を含有するH2O2水溶液と界面活性剤として製品LEVOCELL(登録商標)CP 83Sを用いてレンガを製造した。用いられる条件と得られた結果を表1と表2にまとめる。表1は、一定の粘土水分含量で得られた押出電力の減少を示し、表2は、一定の押出電力で水分含量の減少を示す。押出しの所要電力は、電流レコーダを用いて電流に電圧を掛けて算出した。
【0016】
表1








【0017】
表2

【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の特に適切な方法を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形による粘土から出発する軽量化構成材料の製造方法であって、過酸化水素原料がガス発生剤として用いられる、前記方法。
【請求項2】
過酸化水素原料が、過酸化水素を酸素と水に分解するための触媒を添加せずに用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
軽量化構成材料が、レンガ、壁タイル、天井タイル、絶縁パネルのコア材料、カーテンウォール用パネル、パネル化したレンガ、隔壁及び外装材より選ばれる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
過酸化水素原料が、過酸化水素自体、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化亜鉛、混合された過酸化カルシウム/過酸化マグネシウム及びそれらの混合物より選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
粘土が、まず、水とペースト材料にミキサーにおいて混合され、次に、押出機に導入される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
添加される水の量が、粘土の質量に基づいて1〜30質量%である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
添加される過酸化水素の量が、粘土の質量に基づいて0.1〜1質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
添加される過酸化水素がダイを通過する前に完全に分解されるように、押出機のダイから充分に遠い点で過酸化水素が添加される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
界面活性剤が用いられる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
一定の水分含量で押出電力を減少させるための粘土から出発する軽量化構成材料の製造方法におけるガス発生剤としての過酸化水素原料の使用。
【請求項11】
一定の押出圧で添加される水の量を減少させるための粘土から出発する軽量化構成材料の製造方法におけるガス発生剤としての過酸化水素原料の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2009−517251(P2009−517251A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542762(P2008−542762)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069118
【国際公開番号】WO2007/063094
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】