説明

粘着付与樹脂エマルジョンおよびその製造方法ならびに水系粘・接着剤組成物

【課題】揮発性有機溶剤の含有量を低減し、かつ、高軟化点の粘着付与樹脂を用いた場合であっても安定で、かつ粘・接着性能を付与しうる粘着付与樹脂エマルジョンおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】粘着付与樹脂(A)100重量部に対し、ラジカル重合性モノマー(B)3〜30重量部を溶融混合し、乳化剤および水を加えて水性分散体とした後に、ラジカル重合開始剤を添加して重合させることにより得られる有機溶剤の含有量が50ppm以下の粘着付与樹脂エマルジョンを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着付与樹脂およびその製造方法ならびに水系粘・接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する関心の高まりからトルエン等の揮発性有機溶剤の含有量が低減された水系粘・接着剤が求められるようになってきている。そのような水系粘・接着剤を提供する方法として、水系粘・接着剤に用いられる粘着付与樹脂エマルジョン中に含まれる揮発性有機溶剤を低減させる方法が各種提案されている。
【0003】
たとえば、ラジカル重合可能な単量体にロジン系化合物を溶解して、乳化した後に重合することを特徴とする粘着付与樹脂エマルジョンを製造する方法が提案されている。(特許文献1参照)当該方法は、溶媒として重合性単量体を用い、乳化後に反応させることにより、有機溶剤を用いなくてもエマルジョンを製造することを特徴とするが、溶媒として重合性単量体を使用するために、必然的に重合性単量体の使用量が増加し、粘・接着特性に悪影響を与える傾向があった。
【0004】
なお、本願人も揮発性有機溶剤の含有量を低減した粘着付与樹脂エマルジョンを提案している(例えば、特許文献2参照)が、高軟化点の粘着付与樹脂をエマルジョンとするには、高圧に耐え得る設備が必要となるうえ、安定してエマルジョンを得ることが困難等の問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−97213号公報
【特許文献2】特開2005−200440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、揮発性有機溶剤の含有量を低減し、かつ、高軟化点の粘着付与樹脂を用いた場合であっても安定で、かつ粘・接着性能を付与しうる粘着付与樹脂エマルジョンおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく、粘着付与樹脂およびその乳化方法について鋭意検討したところ、粘着付与樹脂とラジカル重合性モノマーの混合を溶融状態で行い、使用するラジカル重合性モノマー量を特定範囲とすることにより、前記課題を解決することができることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、粘着付与樹脂(A)100重量部に対し、ラジカル重合性モノマー(B)5〜30重量部を溶融混合し、乳化剤および水を加えて水性分散体とした後に、ラジカル重合開始剤を添加して重合させることにより得られる有機溶剤の含有量が50ppm以下の粘着付与樹脂エマルジョン;粘着付与樹脂(A)100重量部に対し、ラジカル重合性モノマー(B)3〜30重量部を溶融混合し、乳化剤および水を加えて水性分散体とした後に、ラジカル重合開始剤を添加して重合させることを特徴とする有機溶剤の含有量が50ppm以下の粘着付与樹脂エマルジョンの製造方法;前記粘着付与樹脂エマルジョンを含有する水系粘・接着剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは揮発性有機溶剤の含有量が低減されたものであり、特に高軟化点の粘着付与樹脂を用いた場合であっても安定で、かつ粘・接着性能を付与しうる。また、本発明の粘着付与樹脂エマルジョンを用いて得られた水性粘・接着剤組成物は良好な粘・接着性能を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に用いられる粘着付与樹脂(A)(以下、(A)成分という。)としては、特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、ロジン系樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂、テルペン系樹脂などが挙げられる。
【0011】
ロジン系樹脂としては、具体的には、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンといったロジン類の他、当該ロジン類を、変性、水素化、重合およびアルコールまたはエポキシ化合物を加えてエステル化するという少なくとも一種の方法により、加工したロジン類があげられる。なお、変性、水素化、不均化、重合およびアルコールまたはエポキシ化合物を加えてエステル化するという各工程を2種以上用いてロジン系樹脂を製造する場合には、その順番は特に限定されず、公知の方法によればよい。例えば、ロジン類にアルコールを加えて、エステルとした後に水素化を行ったり、ロジン類を変性した後に重合し、水素化したりするといったようなものでもよい。例えば、特開平4−72369号公報、特開平5−86334号公報や、特開平5−279631号公報に記載された方法を用いることにより色調を改良したものであってもよい。
【0012】
前記方法により得られるロジン系樹脂の具体的例としては、ロジン類を変性して得られる変性ロジン類、ロジン類を水素化して得られる水素化ロジン類、ロジン類を不均化して得られる不均化ロジン類、ロジン類を重合して得られる重合ロジン類など(これらを以後、原料ロジン類という。)の他、これら原料ロジン類とアルコール類とのロジンエステル類などがあげられる。変性ロジン類としては、例えば、ロジン類を不飽和酸で変性させて得られる不飽和酸変性ロジン類、ロジン類をフェノール類で変性させることにより得られるフェノール変性ロジン類などがあげられる。不飽和酸変性ロジン類の製造に用いられる不飽和酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等を用いることができる。フェノール変性ロジン類に用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール、アルキルフェノール等を用いることができる。変性方法は特に限定されず公知の方法を採用すればよく、通常は、ロジン類と不飽和酸またはフェノール類を混合し、加熱する方法が採用される。
【0013】
原料ロジン類とアルコール類とのロジンエステル類の製造に用いられるアルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール等の1価のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の2価のアルコール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価のアルコール類、ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどの4価のアルコール類、ジペンタエリスリトールなどの6価のアルコール等が挙げられる。ロジンエステル類の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。通常は、原料ロジン類とアルコール類を混合し、必要に応じてエステル化触媒の存在下で、加熱する方法が採用される。なお、ロジン類とエピクロロヒドリンを反応させてロジン類のグリシジルエステルとしてもロジンエステル類が得られる。また、当該ロジングリシジルエステルにさらにロジン系樹脂を反応させてもよい。(例えば、特開平3−115480号公報参照)ただし、ロジンをエステル化したものを用いる場合には、エステル化を完全に行なわずに、カルボキシル基が残存するようにアルコール成分の使用量を酸成分に対し過剰に用いるまたは反応を途中で止める必要がある。1価のアルコールを用いる場合には、マレイン酸変性ロジンのような原料ロジンとしてアニオン性官能基を2以上含む物を用いることが好ましい。通常は、得られるロジン系樹脂の酸価が2〜250mgKOH/g程度となるように調製することが好ましい。これらロジン系樹脂は、その種類により、水酸基価、軟化点等は異なるものであるが、通常、水酸基価は、1〜110mgKOH/g程度、軟化点は80〜180℃程度である。特に粘・接着性能が良好な点から、軟化点135℃〜180℃のものを使用することが好ましい。
【0014】
石油樹脂としては、特に限定されず、公知の石油樹脂を使用することができる。具体的には、例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5−C9系石油樹脂、DCPD系樹脂やこれらの樹脂をアルコールやフェノール、有機酸などで変性させたものが挙げられる。また、これら石油樹脂は、水素化したものであってもよい。変性に用いられる有機酸としては、公知のものを用いることができ、例えば、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、セバシン酸等のα,β−不飽和カルボン酸類およびその無水物、ロジン系樹脂、(メタ)アクリル酸、フェノール類等が挙げられる。変性は、例えば、石油樹脂を製造した後に有機酸等を反応させる方法の他、有機酸等の存在下に石油樹脂を製造する方法などが挙げられる。なお、これら石油樹脂類は、水素化されたものであっても良い。これら石油樹脂は、その種類により、軟化点等は異なるものであるが、通常、軟化点は80〜180℃程度である。特に保持力を向上させたい場合には、軟化点を135℃〜180℃とすることが好ましい。
【0015】
テルペン系樹脂としては、特に限定されず、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテンなどの公知のテルペン類を重合させて得られるテルペン樹脂の他、テルペン類とフェノール類とを共重合させて得られるテルペンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂を高分子量化したもの(例えば、特開2000−212534号公報参照)なども用いることができる。なお、これらテルペン樹脂は、水素化されたものであってもよい。これらテルペン系樹脂は、その種類により、軟化点等は異なるものであるが、通常、軟化点は30〜180℃程度である。特に粘・接着性能が良好な点で軟化点135℃〜180℃程度のものが好ましい。これらの中では、ロジン系樹脂を用いることが粘着性能の点から好ましい。
【0016】
本発明に用いられるラジカル重合性モノマー(B)(以下、(B)成分という。)としては、ラジカル重合が可能なビニル性官能基を有する化合物であれば特に限定されず、公知のものを単独でまたは複数種を混合して使用することができる。具体的には、(メタ)アクリル酸エステルモノマー類、芳香族ビニル系モノマー類、ビニルエステル類、アクリルアミド類、アニオン性基含有モノマー、カチオン性基含有モノマーなどのビニル基を1つ有するビニルモノマーが挙げられる。
【0017】
(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソ−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が挙げられる。
【0018】
芳香族ビニル系モノマー類としては、分子中に、ビニル基および芳香環を有するものであれば特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
ビニルエステル類としては、酢酸ビニルなどが挙げられる。
【0019】
アクリルアミド類としては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0020】
アニオン性基含有モノマーとしては、少なくとも1つのアニオン性官能基及び1つのビニル基を有するものであれば特に限定されず公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸等のジカルボン酸;(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの有機スルホン酸;またはこれら各種有機酸の塩等が挙げられる。なお、これらの塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等の金属塩であってもトリエチルアミン等のアミン塩、アンモニウム塩等であってもよい。
【0021】
カチオン性基含有モノマーとしては、少なくとも1つのカチオン性官能基及び1つのビニル基を有するものであれば特に限定されず公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、アリルアミンの他、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの第三級アミノ基を有するビニルモノマーまたはそれらの塩酸、硫酸、酢酸などの無機酸もしくは有機酸の塩類、または該第三級アミノ基含有ビニルモノマ−とメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリンなどの四級化剤との反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー等が挙げられる。
【0022】
なお、必要に応じてビニル基を2以上含有する公知の多官能モノマーを用いることもできる。多官能モノマーとしては、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビスアクリルアミド系モノマー類やエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジアクリレート等のジアクリレート系モノマー類、ジアリルアミン、ジビニルベンゼン等の2官能ビニルモノマー、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレートなどの3以上のビニル基を有する多官能ビニルモノマー類などを単独または複数種を混合して使用することができる。これらの中では、(B)成分の沸点が、(A)成分の軟化点よりも高い物を用いることが生産性の点から好ましい。また、粘着剤のバランスを保つため、アクリル系の水性粘・接着剤として用いる場合には、水性粘・接着剤に使用されるアクリル系モノマーと同種のものを50%以上使用することが好ましい。なお、含有割合の上限は特に限定されず、例えば、(B)成分全体に対して100%であっても良い。
【0023】
乳化の際に用いる乳化剤としては、特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、アクリル系モノマー等を重合して得られる高分子乳化剤や、高分子乳化剤以外の反応性乳化剤、高分子乳化剤以外の非反応性乳化剤などが挙げられる。
【0024】
高分子乳化剤の製造に用いられるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソ−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸等のジカルボン酸等のカルボン酸類;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の有機スルホン酸類;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等のリン酸系ビニルモノマー類;およびこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機塩基類の塩、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド系単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ポリオキシアルキレン系単量体等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリル酸エステル系単量体;メチルビニルエーテルや、グリシジル(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート類、ジフェニル−2(メタ)アクリロイルオキシホスフェート等のリン酸エステル系ビニルモノマー、炭素数6〜22のα−オレフィン、ビニルピロリドン等などが挙げられこれらの1種または2種以上を公知の方法で重合させたものが挙げられる。共重合の方法としては、溶液重合、懸濁重合、後述する高分子乳化剤以外の反応性乳化剤、高分子乳化剤以外の非反応性乳化剤などを用いた乳化重合などが挙げられる。
【0025】
高分子乳化剤以外の反応性乳化剤としては、例えば、親水基と疎水基を有する界面活性剤であって、分子中に炭素−炭素二重結合を有するものをいう。炭素−炭素二重結合としては、たとえば、(メタ)アリル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ビニル基、イソプロペニル基、(メタ)アクリロイル基等の官能基が挙げられる。反応性乳化剤の具体例としては、たとえば、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテル、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンフェニルエーテル、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンフェニルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンフェニルエーテルの硫酸エステル塩、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアラルキルフェニルエーテル、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアラルキルフェニルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアラルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩や、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのリン酸エステル塩、前記官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの脂肪族または芳香族カルボン酸塩、酸性リン酸(メタ)アクリル酸エステル系乳化剤、ロジングリシジルエステルアクリレートの酸無水物変性物(例えば、特開平4−256429号公報参照)、特開昭63−23725号公報、特開昭63−240931号公報、特開昭62−104802号公報に記載の乳化剤等が挙げられる。さらには前記反応性乳化剤中のポリオキシエチレンを、ポリオキシプロピレンまたはポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンをブロック共重合またはランダム共重合したものに代えたものも挙げられる。なお、これらの市販品としては、例えば、「KAYAMER PM−1」、「KAYAMER PM−2」、「KAYAMER PM−21」(いずれも商品名、日本化薬(株)製)、「SE−10N」、「NE−10」、「NE−20」、「NE−30」、「アデカリアソープSR−10」、「アデカリアソープSR−20」、「アデカリアソープER−20」(商品名、旭電化工業(株)製)、「ニューフロンティアA229E」、「ニューフロンティアN117E」、「ニューフロンティアN250Z」、「アクアロンRN−10」、「アクアロンRN−20」、「アクアロンRN−50」、「アクアロンHS−10」、「アクアロンKH−05」、「アクアロンKH−10」(いずれも商品名、第一工業製薬(株)製)、「エミノールJS−2」(商品名、三洋化成工業(株)製)、「ラテルムK−180」(商品名、花王(株)製)等がその代表例として挙げられる。これら高分子乳化剤以外の反応性乳化剤としては、重合性、得られる高分子乳化剤の乳化性の点からポリオキシエチレンフェニルエーテル系のものが好ましく、アルキレンオキサイド鎖が5〜20モル重合した構造を有する不飽和スルホン酸塩類を用いることが特に好ましい。これらの市販品としては、「アデカリアソープSR−10」、「アデカリアソープSR−20」(いずれも商品名、旭電化工業(株)製)、「アクアロンKH−05」、「アクアロンKH−10」(いずれも商品名、第一工業製薬(株)製)が好ましい。
【0026】
高分子乳化剤以外の非反応性乳化剤としては、例えばジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン性乳化剤が挙げられる。
【0027】
これら乳化剤は1種を単独でまたは2種以上を適宜選択して使用することができる。これらの中では、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤を用いることが、粘・接着剤組成物に用いられるベースポリマーとの相溶性・混合安定性の点から好ましい。
【0028】
本発明に用いられるラジカル重合開始剤としては、特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、過硫酸塩、過酸化水素などの無機化合物、クメンヒドロパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシドなどの有機過酸化物、アゾイソビスブチロニトリルなどのアゾ化合物の他、これら酸化触媒と重亜硫酸塩、亜硫酸塩、アスコルビン酸、第一鉄等の還元剤とを併用したレドックス触媒系を使用してもよい。
【0029】
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンの製造に用いられる(B)成分の使用量は(A)成分100重量部に対し、3〜30重量部程度とする必要がある。3重量部より少ない場合には、乳化が困難となるため好ましくなく、30重量部より多くなる場合には、粘・接着性能が低下するため好ましくない。乳化剤の使用量は、特に限定されないが、通常は(A)成分および(B)成分の合計量に対し、1〜10%程度である。1%以上とすることにより乳化性や安定性が向上するため好ましく、10%以下とすることにより粘着性能や耐水性等が向上するため好ましい。
【0030】
ラジカル重合開始剤の使用量は、特に限定されず、(B)成分が重合する程度添加すればよいが、通常は、得られたエマルジョンの固形分で、0.1〜5%程度である。0.1%以上とすることにより未反応物として残存する(B)成分の量を低減させることができるため好ましく、5%以下とすることにより粘着性能が向上するため好ましい。
【0031】
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは、(A)成分および(B)成分を溶融、混合した後に乳化剤および水を添加して、転相乳化により水性分散体とし、さらにラジカル重合開始剤を添加して(B)成分を重合させることにより得られる。なお、乳化剤は(A)成分と(B)成分を溶融混合する際に添加しておいてもよい。具体的には、溶融した(A)成分に、(B)成分、水および必要に応じて乳化剤を混合して(A)成分および(B)成分が連続相で水が分散相であるエマルジョンを形成させ、次いで水を添加して該エマルジョンを相反転させて(A)成分および(B)成分が分散相で水が連続相のエマルジョンを得る。なお、溶融混合は、(A)成分が流動する温度で行えばよいが、特に、(A)成分の軟化点(SP)以上、特に、SP+100℃以下の温度範囲で行うことが、生産性等の面から好ましい。
得られたエマルジョンに、ラジカル重合開始剤を添加し、重合が進行する温度まで加熱し、重合を完結させればよい。
【0032】
このようにして得られた粘着付与樹脂エマルジョンの固形分濃度は特に限定されないが、通常20〜70重量%程度となるように適宜に調整して用いる。また、得られたエマルジョンの体積平均粒子径は、通常0.1〜1.0μm程度であり、大部分は1μm以下の粒子として均一に分散しているが、当該体積平均粒子径を0.7μm以下とすることが、貯蔵安定性の点から好ましい。また、該エマルジョンは白色ないし乳白色の外観を呈し、pHは2〜10程度で、粘度は通常10〜1000mPa・s程度(25℃、固形分濃度50%において)である。なお、当該粘着付与樹脂エマルジョン中に含まれる有機溶剤の含有量は、通常50ppm以下である。なお、ここでいう有機溶剤とは重合性二重結合を有しない揮発性有機化合物であり、溶媒として用いることができるものをいう。また、ラジカル重合により生成する高分子の重量平均分子量(ゲルパーメーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算値である。以後、重量平均分子量という場合には、ゲルパーメーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算値を示す。)は、通常1,000程度以上であり、好ましくは3,000以上である。当該重量平均分子量を1,000以上とすることにより、凝集力の低下を抑制でき、保持力や高温時の各粘着特性に優れるため好ましい。
【0033】
本発明の水系粘・接着剤組成物は、アクリル系重合体エマルジョン、ゴム系ラテックスおよび合成樹脂系エマルジョンからなる群より選ばれる少なくとも一種のベースポリマーに、前記粘着付与樹脂エマルジョンを配合してなるものであり、これら水系粘・接着剤組成物の固形分濃度は通常40〜70重量%程度であり、好ましくは55〜70重量%である。
【0034】
アクリル系重合体エマルジョンは、一般に各種のアクリル系粘・接着剤に用いられているものを使用でき、(メタ)アクリル酸エステル等のモノマーの一括仕込み重合法、モノマー逐次添加重合法、乳化モノマー逐次添加重合法、シード重合法等の公知の乳化重合法により容易に製造することができる。
【0035】
使用される(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等を挙げることができ、これらを単独でまたは二種以上を混合して用いる。また、得られるエマルジョンに貯蔵安定性を付与するため前記(メタ)アクリル酸エステルに換えて(メタ)アクリル酸を少量使用してもよい。さらに所望により(メタ)アクリル酸エステル重合体の接着特性を損なわない程度において、たとえば、酢酸ビニル、スチレン等の共重合可能なモノマーを併用できる。なお、アクリル系重合体エマルジョンに用いられる乳化剤にはアニオン系乳化剤、部分ケン化ポリビニルアルコール等を使用でき、その使用量は重合体100重量部に対して0.1〜5重量部程度、好ましくは0.5〜3重量部である。
【0036】
アクリル系重合体エマルジョンと粘着付与樹脂エマルジョンの使用割合は、特に限定されないが、アクリル系重合体エマルジョン100重量部(固形分換算)に対して、粘着付与樹脂エマルジョンを通常2〜40重量部程度(固形分換算)とするのがよい。粘着付与樹脂エマルジョンが2重量部に満たない場合には、粘着付与樹脂を添加することによる改質がほとんど認められず、また40重量部を越える場合には凝集力が低下する傾向にありいずれの場合も適当ではない。
【0037】
また、ゴム系ラテックスとしては、水系粘・接着剤組成物に用いられる各種公知のものを使用できる。例えば天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス等が挙げられる。
【0038】
ゴム系ラテックスと粘着付与樹脂エマルジョンの使用割合は、特に限定されないが、ゴム系ラテックス100重量部(固形分換算)に対して、粘着付与樹脂エマルジョンを通常10〜150重量部程度(固形分換算)とするのがよい。粘着付与樹脂エマルジョンが10重量部に満たない場合には、粘着付与樹脂を添加することによる改質がほとんど認められず、また150重量部を越える場合には凝集力が低下する傾向にありいずれの場合も適当ではない。
【0039】
合成樹脂系エマルジョンとしては、水系接着剤組成物に用いられる各種公知のものを使用でき、例えば酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ウレタン系エマルジョン等の合成樹脂エマルジョンが挙げられる。
【0040】
合成樹脂系エマルジョンと粘着付与樹脂エマルジョンの使用割合は、特に限定されないが、合成樹脂系エマルジョン100重量部(固形分換算)に対して、粘着付与樹脂エマルジョンを通常2〜40重量部程度(固形分換算)とするのがよい。粘着付与樹脂エマルジョンが2重量部に満たない場合には、粘着付与樹脂を添加することによる改質がほとんど認められず、また40重量部を越える場合には凝集力が低下する傾向にありいずれの場合も適当ではない。
【0041】
本発明の水系粘・接着剤組成物は、アクリル系重合体エマルジョン、ゴム系ラテックスおよび合成樹脂系エマルジョンからなる群より選ばれる少なくとも一種のベースポリマーを併用することもでき、さらに必要に応じて消泡剤、増粘剤、充填剤、酸化防止剤、耐水化剤、造膜助剤等を使用することもできる。
【実施例】
【0042】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各例中「%」はいずれも重量基準である。
なお、樹脂エマルジョンの分析は次の方法によって実施した。
【0043】
(安定性)
得られた粘着付与樹脂エマルジョンを25℃で10日間放置し、沈降物の有無を目視で以下の如く判定した。
○:良好 △:少量の沈降あり ×:多量の沈降あり
【0044】
(体積平均粒子径)
レーザー回折式粒度測定装置((株)島津製作所製、商品名「SALD−2000」を用い、屈折率1.70−0.20i(式中iは虚数部を表す。)、吸光率0.06の条件で測定した。)

【0045】
製造例1(アクリルベースポリマーエマルジョンの製造)
攪拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応容器に、窒素ガス気流下、水43.4部およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(アニオン性乳化剤:商品名「ハイテノール073」:第一工業製薬(株)製)0.92部からなる水溶液を仕込み、70℃に昇温した。次いで、2−エチルヘキシルアクリレート90部、ブチルアクリレート7部およびアクリル酸3部からなる混合物と、過硫酸カリウム(重合開始剤)0.24部、pH調整剤(重曹)0.11部および水8.83部からなる開始剤水溶液の各々の1/10量を反応容器に添加し、窒素ガス気流下にて70℃、30分間予備重合反応を行った。次いで、前記混合物と前記開始剤水溶液の残りの9/10量を2時間に渡り反応容器に添加して乳化重合を行い、その後70℃で1時間保持して重合反応を完結させた。こうして得られたアクリル系重合体エマルジョンを室温まで冷却した後、100メッシュ金網を用いてろ過し、固形分47.8%のアクリル系重合体エマルジョンを得た。
【0046】
製造例2(高分子乳化剤の製造)
攪拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、窒素ガス気流下、ポリオキシエチレンフェニルエーテル系の反応性乳化剤(商品名「アクアロンRN−50」、第一工業製薬(株)製)を固形分換算で25部、スチレン12.5部、メタクリル酸メチル12.5部、メタクリル酸40部およびスチレンスルホン酸ソーダ10部を仕込み、さらに水20部を加えて前記仕込み成分を透明な均一系とした。次いで、これにドデカンチオール1部、ベンゾイルパーオキサイド2部および水300部を混合し重合を開始した。65度で2時間攪拌した後、28%アンモニア水29部添加し、さらに65℃で6時間攪拌して重合を終了した後に常温まで冷却した。不揮発分22.5%の高分子乳化剤の分散液を得た。
【0047】
実施例1(粘着付与樹脂エマルジョンの製造)
攪拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを備えた加圧式反応装置に、粘着付与樹脂である軟化点160℃の重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD−160」、荒川化学工業(株)製)90部を加熱溶融し、240℃でステアリルメタクリレート(SMA)4部を溶融混合させ、190℃まで冷却させた後、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)6部を溶融混合させた。その後、160℃まで冷却し、次いで加圧条件下でアニオン性乳化剤(商品名「ネオハイテノールF−13」、第一工業製薬(株)製)5部を攪拌しながら添加し、系内を140℃に保ちながら、滴下ロートから熱水15部を添加することによりクリーム状の油中水型エマルジョンを得た。次いで、激しく攪拌しながら熱水を54部添加し転相させ、水中油型エマルジョンとし、さらに熱水で濃度55%まで希釈した。
得られたエマルジョンを窒素雰囲気下で80℃に保温し、20%過硫酸アンモニウム水溶液を1%加え、2時間反応させた。その後、該エマルジョンを25℃まで冷却し、250メッシュ金網でろ過して粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0048】
実施例2〜10
用いた粘着付与樹脂(A)、ラジカル重合性モノマー(B)および開始剤量を表1のように変更した他は実施例1と同様にして粘着付与樹脂エマルジョンを得た。ラジカル重合体モノマーは略称を示した。
【0049】
実施例11
用いた粘着付与樹脂(A)、ラジカル重合性モノマー(B)および開始剤量を表1のように変更し、乳化剤を製造例2で得られた高分子乳化剤7部に変更した他は実施例1と同様にして粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0050】
比較例1
粘着付与樹脂エマルジョンを添加せず、製造例1で製造したアクリル系重合体エマルジョンを粘着試験に供した。
【0051】
比較例2
軟化点160℃の重合ロジンエステル100部をトルエン60部に80℃にて約2時間溶解した後、アニオン系乳化剤(商品名「ネオハイテノールF−13」、第一工業製薬(株)製)を5部および水120部を添加し、80℃にて1時間攪拌し予備乳化を行った。得られた予備乳化物を高圧乳化機(ガウリン社製)により30MPaの圧力で高圧乳化して乳化物を得た。次いで、減圧蒸留装置に前記乳化物200部を仕込み50℃、13kPaの条件下に6時間減圧蒸留を行い固形分50%の粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0052】
比較例3〜6
用いた粘着付与樹脂(A)、ラジカル重合性モノマー(B)および開始剤量を表1のように変更した他は、実施例1と同様にして粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0053】
(水系粘着剤組成物の評価方法)
製造例6で得られたアクリル系重合体エマルジョン100部(固形部)に、前記実施例および比較例で得られた粘着付与樹脂エマルジョン10部(固形部)を混合した調製物にアクリル系の増粘剤として「プライマルASE−60」(日本アクリル化学(株)製)0.5部(固形部)を添加し、水性粘着剤組成物を得た。得られた水系粘着剤組成物を厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名「S−100」、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)にサイコロ型アプリケーター(大佑機材(株)製)にて乾燥膜厚が28μm程度となるように塗布し、次いで105℃の循風乾燥機中で5分間乾燥させて、粘着シートを作成して各種試験を行った。結果を表1に示す。
【0054】
(粘着性能試験)
各種試験は以下の方法による。結果は表2に示す。
【0055】
(タック):JIS Z 0237に記載されたJ.Dow法により傾斜度30度、測定温度23℃で測定した。表中の数値はBall No.を示す。
【0056】
(接着力):測定温度23℃と80℃において、引張速度300mm/分で、180度剥離したときの、接着力(g/25mm)を測定した。被着体はポリエチレン板(PE)である。
【0057】
(保持力):JIS C 2107により、貼付面積25×25mm、荷重1kgで、対ステンレス板に対する、60℃での落下時間を測定した。
【0058】
(相溶性):乾燥後の粘着シートを目視で判定した。1:濁りが無い、2:一部に薄く濁りあり、3:若干濁り有り、4:白濁している。
【0059】
【表1】

表中、重合ロジンエステル1:ペンセルD−160(商品名、荒川化学工業(株)製)、重合ロジンエステル2:ペンセルD−135(商品名、荒川化学工業(株)製)、フマル化重合ロジンエステル1:フマル化重合ロジンエステル試作品1(荒川化学工業(株)製)、フマル化重合ロジンエステル2:フマル化重合ロジンエステル試作品2(荒川化学工業(株)製)、芳香族変性テルペンフェノール:YSポリスターS145(商品名、ヤスハラケミカル(株)製)、重合ロジンエステル3:ペンセルD−125(商品名、荒川化学工業(株)製)、不均化ロジンエステル:スーパーエステルA−100(商品名、荒川化学工業(株)製)、マレイン化重合ロジンエステル:マレイン化重合ロジンエステル試作品1(荒川化学工業(株)製)、SMA:ステアリルメタクリレート、2EHA:2エチルヘキシルアクリレート、BA:ブチルアクリレート、St:スチレン、MMA:メチルメタクリレート、NOD:ノナンジオールジアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステルA−NOD−N)を示す。
【0060】
【表2】

なお、比較例2のエマルジョンの有機溶剤含有量は 約5000ppmであったが、その他のエマルジョンの有機溶剤含有量は50ppm以下であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着付与樹脂(A)100重量部に対し、ラジカル重合性モノマー(B)3〜30重量部を溶融混合し、乳化剤および水を加えて水性分散体とした後に、ラジカル重合開始剤を添加して重合させることにより得られる有機溶剤の含有量が50ppm以下の粘着付与樹脂エマルジョン。
【請求項2】
体積平均粒子径が、0.1〜1.0μmである請求項1に記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
【請求項3】
粘着付与樹脂(A)の軟化点が、135〜180℃である請求項1または2に記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
【請求項4】
粘着付与樹脂(A)が、ロジン系樹脂、石油系樹脂およびテルペン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
【請求項5】
ラジカル重合性モノマー(B)の沸点が、粘着付与樹脂(A)の軟化点よりも高い請求項1〜4のいずれかに記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
【請求項6】
ラジカル重合性モノマー(B)が、水性粘・接着剤組成物に使用されるアクリル系モノマーと同種のものを50%以上使用する請求項1〜5のいずれかに記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
【請求項7】
粘着付与樹脂(A)100重量部に対し、ラジカル重合性モノマー(B)3〜30重量部を溶融混合し、乳化剤および水を加えて水性分散体とした後に、ラジカル重合開始剤を添加して重合させることを特徴とする有機溶剤の含有量が50ppm以下の粘着付与樹脂エマルジョンの製造方法。
【請求項8】
溶融混合を、粘着付与樹脂(A)の軟化点(SP)以上、粘着付与樹脂(A)の軟化点(SP)+100℃以下の温度範囲で行う請求項7に記載の粘着付与樹脂エマルジョンの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の粘着付与樹脂エマルジョンを含有する水系粘・接着剤組成物。

【公開番号】特開2007−217564(P2007−217564A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40114(P2006−40114)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000168414)荒川化学工業株式会社 (301)
【Fターム(参考)】