精密空調機
【課題】温度および湿度が調整された精密空気を得ることができ、かつ、消費電力の少ない精密空調機を提供する。
【解決手段】第1凝縮器11と冷却器13Aを構成する第1蒸発器13とを直列のループに配置する第1経路10と、第2凝縮器21と第2蒸発器23とを第1凝縮器11および第1蒸発器13に対し並列に配置する第2経路20と、第1凝縮器11に対し並列に配置する第3経路30と、第1、第2および第3経路10〜30に配置された第1、第2および第3流量制御弁V1〜V3と、所定の温度および湿度の空気が得られるように流量制御弁V1〜V3により第1蒸発器13、第1および第2凝縮器21,31に導入される冷媒の流量を制御する制御手段50とを備えている。
【解決手段】第1凝縮器11と冷却器13Aを構成する第1蒸発器13とを直列のループに配置する第1経路10と、第2凝縮器21と第2蒸発器23とを第1凝縮器11および第1蒸発器13に対し並列に配置する第2経路20と、第1凝縮器11に対し並列に配置する第3経路30と、第1、第2および第3経路10〜30に配置された第1、第2および第3流量制御弁V1〜V3と、所定の温度および湿度の空気が得られるように流量制御弁V1〜V3により第1蒸発器13、第1および第2凝縮器21,31に導入される冷媒の流量を制御する制御手段50とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として工業用に用いられる精密空調機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷凍サイクルのみで除湿を行う空調機が知られている(特許文献1参照)。
しかし、この種の空調機の場合、除湿能力を高くするために蒸発器の設定温度を下げると、蒸発器が凍結し、除湿能力が著しく低下する。そのため、蒸発器の温度を下げることができず、除湿能力を今一つ高めることができない。
【0003】
そこで、蒸発器が凍結することなく除湿能力を高めることが可能な精密空調機が提案されている(特許文献2)。前記精密空調機は、ファンによって送風された空気が、蒸発器によって冷却された後、ヒータによって所定の温度まで加熱されることにより、除湿を行っている。
【0004】
一方、所望の加湿された空気を供給する精密空調機が提案されている(特許文献3参照)。かかる精密空調機はヒータを用いて水を蒸発させることで、加湿された空気を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−99514号(要約書)
【特許文献2】特開2009−198050(要約書)
【特許文献3】特開平5−223296(要約書)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の装置では、除湿や加湿にヒータを用いているので、消費電力が大きくなる。また、エコロジー的観点からも消費電力の低減は重要である。
【0007】
したがって、本発明の目的は、温度および湿度が調整された精密空気を得ることができ、かつ、消費電力の少ない精密空調機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のある態様の精密空調機は、取り込んだ空気A0を冷却する冷却器13Aと、前記冷却器13Aで冷却された空気A1を加湿するために予め加熱する第1加熱器21Aと、水分を保水し、前記加熱された空気A2が通過することで前記空気A2が所定の第1湿度となるように前記空気A2を加湿する加湿器1と、前記加湿された空気A3を加熱して所定の温度および第2湿度の空気A4を得る第2加熱器31Aと、前記空気が前記冷却器13A、第1加熱器21A、加湿器1および第2加熱器31Aの順に通過するように空気A1〜A4を送るファンFとを備えた精密空調機において、前記冷却器13A、第1および第2加熱器21A,31Aに冷媒を圧送する圧縮機CPと、前記圧縮機CPから圧送された冷媒を熱交換によって冷却するために凝縮する第1凝縮器11と、前記第1凝縮器11からの冷媒で周囲の空気A0を冷却する前記冷却器13Aを構成する第1蒸発器13とを直列のループに配置する第1経路10と、前記圧縮機CPから圧送された冷媒を凝縮し前記第1加熱器21Aを構成する第2凝縮器21と、前記第2凝縮器21からの冷媒を熱交換によって昇温させるための第2蒸発器23とを前記第1凝縮器11および第1蒸発器13に対し並列に配置する第2経路20と、前記圧縮機CPから圧送された冷媒を凝縮し前記第2加熱器31Aを構成する第3凝縮器31からの冷媒を前記第1蒸発器13に圧送するために、前記第3凝縮器31を前記第1蒸発器13に対し直列で、かつ、前記第1凝縮器11に対し並列に配置する第3経路30と、前記第1、第2および第3経路10〜30に配置された第1、第2および第3流量制御弁V1〜V3と、前記所定の温度および第2湿度の空気A4が得られるように前記流量制御弁V1〜V3により前記第1蒸発器13、第2および第3凝縮器21,31に導入される冷媒の流量を制御する制御手段50とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
ここで、本発明において、所期の温湿度の精密空気が得られる原理について簡単に説明する。
まず、供給すべき空気A4の目標温度および目標湿度が設定されると、当該空気A4に含まれる単位体積当たりの水分量が分かる。一方、吸込温度と前記目標温度の温度等から前記冷却器で冷却すべき熱量や前記第1および第2加熱器で加熱すべき熱量が分かる。
かかる原理を利用した空調機は周知であり、その詳しい原理は特開平7−174360号等に開示されている。
【0010】
本発明によれば、加湿器による加湿前に第1加熱器により加湿のための加熱を行うので加湿器を通過した空気の水分量を所望の水分量にすることができる。その後、第2加熱器により加熱するから、所期の温湿度の空気が得られる。
ここで、前記第1および第2加熱器は電気式のヒータではなく、それぞれ、凝縮器で構成されているから、圧縮機により発生したエネルギーの排熱を利用することができ、したがって、エネルギーの消費が従来の30%程度になり得る。
また、第2経路20のみを利用することで、加湿のみの制御を行うことができる。
さらに、第3経路30のみを利用(運転)することで、フル除湿しながらフル加熱をすることができる。
したがって、制御範囲温湿度を飛躍的に拡大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の一実施例にかかる精密空調機を示す概略構成図である。
【図2】同精密空調機の第1サイクルを示す概略構成図である。
【図3】同精密空調機の第2サイクルを示す概略構成図である。
【図4】同精密空調機の第3サイクルを示す概略構成図である。
【図5】加湿器および給水ノズルを示す概略斜視図である。
【図6】精密空調機の稼働例を示す概略構成図である。
【図7】精密空調機の稼働例を示す概略構成図である。
【図8】精密空調機の稼働例を示す概略構成図である。
【図9】精密空調機の稼働例を示す概略構成図である。
【図10】精密空調機の稼働例を示す概略構成図である。
【図11】精密空調機の稼働例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい態様において、前記加湿器1に水を滴下ないし流下して供給する給水ノズル1nと、前記給水ノズル1nからの供給される水の量を制御する制水弁WVとを更に備え、前記第1加熱器21Aである前記第2凝縮器21に導入される冷媒の流量を制御する第2流量制御弁V2の開度を増大させる場合に、前記制水弁WVの開度が増大し、かつ、前記第2流量制御弁V2の開度を小さくする場合に前記制水弁WVの開度が小さくなるように前記制御手段50が制御を実行する。
【0013】
かかる態様によれば、加湿に必要な量の水が加湿器に供給され、加湿器への水の供給を必要最小限にすることができると共に、排水設備も小型化することができる。
【0014】
本発明の好ましい態様において、前記第2蒸発器23内の冷媒を昇温させる第2熱交換器42は前記第2蒸発器23内の冷たい冷媒を水で昇温させることを特徴とする。
かかる態様によれば、工場の冷却水としての工業用水を第2熱交換器42内に導入することで冷却水の温度が下がり、工場の冷却水を冷却させるエネルギーが低減される。
【0015】
本発明の好ましい態様において、前記第1凝縮器11内の冷媒を冷却する第1熱交換器41は前記第1凝縮器11内の昇温された冷媒を冷却する水が流れる第1水路W1を有し、前記第2蒸発器23内の冷媒を昇温させる第2熱交換器42の前記水が流れる第2水路W2の上流に前記第1水路W1が配置されている。
かかる態様によれば、第1熱交換器は水冷式で、ここで水の温度が上昇する。そのため、後段の第2熱交換器の第2水路に導入される水温が高くなるから、前記第2熱交換器の第2蒸発器の冷媒が効率良く昇温される。
【0016】
本発明の好ましい態様によれば、前記第1および第3凝縮器11,31の下流で、かつ、前記第1蒸発器13の上流には、電子膨張弁からなる第1膨張弁手段12が設けられ、前記第2凝縮器21の下流で、かつ、前記第2蒸発器23の上流には第2膨張弁手段22が配置されている。
【0017】
本発明の好ましい態様において、供給すべき空気A4の目標温度および目標湿度から供給すべき空気A4に含まれる単位当たりの水分量を求め、前記水分量から加湿器1で前記所定の第1湿度(ほぼ一定の相対湿度)に加湿される空気A2の一次温度を求め、前記水分量から前記加湿器1で前記所定の第1湿度に加湿される空気A2の一次湿度を求める演算部51と、第1加熱器21Aを通った空気A2が当該一次温度に近づくように、かつ、前記第2加熱器31Aで加熱された空気A4が前記目標温度に近づくように、前記第1〜第3流量制御弁V1〜V3を制御して前記冷却器13A、第1および第2加熱器21A,31Aに流れる冷媒の流量を制御する制御部52とを前記制御手段50が備えている。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
全体構成:
図1に示すように、本精密空調機は、加湿器1、第1凝縮器11、第1蒸発器13、第2凝縮器21、第2蒸発器23、第3凝縮器31、逆止弁61、ファンF、圧縮機CPおよび多数の配管を備えている。
前記第1蒸発器13、第2凝縮器21および第3凝縮器31の上流には、それぞれ、第1流量制御弁V1、第2流量制御弁V2および第3流量制御弁V3が設けられている。
第1および第3凝縮器11,31の下流で、かつ、第1蒸発器13の上流には、電子膨張弁からなる第1膨張弁手段12が設けられている。
第2凝縮器21の下流で、かつ、第2蒸発器23の上流には、たとえば、電子膨張弁からなる第2膨張弁手段22が設けられている。
【0019】
循環サイクル:
まず、冷媒の循環サイクルと空気の流れについて説明する。本システムは、下記に述べる3種類の冷媒の循環サイクルを有している。下記の循環サイクルは、後述するように組み合わされて用いられる。
【0020】
なお、以下に示す精密空調機の概略構成図において、太線は冷媒が通る循環路を示し、流量制御弁V1〜V3の閉弁状態は、弁記号を塗りつぶして示している。
また、以下の説明および図2〜図11においては、理解を容易にするために、第1蒸発器13の凍結を防止するためのホットガスバイパスHGについての説明および図示を省略する。
【0021】
第1サイクル:
図2に示すように、第1サイクルでは、第1流量制御弁V1が開弁され、第2流量制御弁V2および第3流量制御弁V3が閉弁されている。
図2の太線で示すように、圧縮機CPは、第1凝縮器11、第1膨張弁手段12、第1蒸発器13、第1経路10の順に冷媒を循環させる。
なお、第1膨張弁手段12と第1蒸発器13との間には逆止弁61が設けられている。また、圧縮機CPの下流にはアキュームレータ63が設けられている。
【0022】
圧縮機CPから圧送された気化した冷媒は、第1凝縮器11および第1膨張弁手段12において徐々に液化する。この時、冷媒は第1膨張弁手段12の上流の第1凝縮器11において凝縮される。その後、冷媒は、第1膨張弁手段12から出て、第1蒸発器13内の比較的太い管内で低圧となって、再び気化することにより、第1蒸発器13の周囲の熱を奪い第1蒸発器13の周囲温度を低下させる。
【0023】
第1熱交換器41:
前記第1熱交換器41は第1水路W1を有している。第1水路W1には、たとえば工場用水が流される。第1熱交換器41において、第1凝縮器11内の熱い冷媒は、第1水路W1を流れる水によって冷却される。第1水路W1を流れる水は、第1凝縮器11内の冷媒との熱交換により昇温され、下流の第2水路W2に導入される。
【0024】
第1サイクルでの空気の流れ:
前記ファンFにより吸引された空気A0が第1蒸発器13に導入される。前述したように、第1蒸発器13は、第1蒸発器13内の冷媒の気化により周囲の熱を奪い周囲温度を下げる。そのため、第1蒸発器13に導入された空気A0は、第1蒸発器13を通ることにより冷却される。したがって、第1蒸発器13は空気A0を冷却するための冷却器13Aを構成している。
冷却器13Aを通り冷却された空気A1は下流に排出される。
【0025】
第2サイクル:
図3に示すように、第2サイクルでは、第2流量制御弁V2が開弁され、第1流量制御弁V1および第3流量制御弁V3が閉弁されている。
図3の太線で示すように、圧縮機CPは、第2経路20、第2凝縮器21、第2膨張弁手段22、第2蒸発器23の順に冷媒を循環させる。
【0026】
圧縮機CPから圧送された気化した冷媒は、第2経路20を介して第2凝縮器21および第2膨張弁手段22に送られ、第2凝縮器21および第2膨張弁手段22において徐々に液化される。冷媒は第2膨張弁手段22の上流の第2凝縮器21において凝縮される。その後、冷媒は第2膨張弁手段22から出て、第2蒸発器23の比較的太い管内で低圧となって、再び気化することにより、第2蒸発器23の周囲の熱を奪い、第2蒸発器23の周囲温度を低下させる。
【0027】
第2熱交換器42:
第2熱交換器42は前記第2水路W2を有している。第2熱交換器42において、第2蒸発器23内の冷たい冷媒は、前記第1水路W1から導入された第2水路W2を流れる水によって温められる。
ここで、前記第2蒸発器23内の冷媒は非常に低い温度であるので、第2水路W2を流れる水が5℃以上であれば熱交換されて、第2蒸発器23内の冷媒が温められる。
なお、前述したように、第1熱交換器41において第1凝縮器11内の熱い冷媒との熱交換により第1水路W1を流れる水が温められているので、より効果的に第2蒸発器23内の冷媒を温めることができる。
前記第2水路W2内の水は主に工業用水が利用される。
【0028】
加湿器1:
図5に示すように、前記加湿器1は吸水性を持つ素材を積層して形成されている。加湿器1には、たとえばポリエステル素材等からなる親水性高分子ファイバーで構成され、ある程度の固さと吸水性の高い素材として、上記のような混合材1Dを備えている。前記混合材1Dの形状としては、スレートを積層したような構造になっており、ある程度の通気抵抗により供給空気の温度に関係なく一定の相対湿度になるよう効率的な気化を実現している。
なお、前記加湿器1としては、たとえば、ウエットマスター社の滴下浸透気化式加湿器を採用することができる。
【0029】
前記加湿器1の上部には水を滴下するための多数の給水ノズル1nが設けられており、たとえば比例制御電磁弁からなる制水弁WVの開閉によって前記給水ノズル1nからの水の滴下量が制御される。
前記制水弁WVは第2流量制御弁V2に連動されており、第2流量制御弁V2の開度に応じて制水弁WVの開度が変化するように設定されている。
前記混合材1Dが給水ノズル1nから滴下された水で湿潤状態になっている場合に、前記ファンF(図3)により空気A2が加湿器1に導入されると、加湿器1内の湿潤状態の混合材1Dの間を空気A2が通ることで該空気A2が加湿され、網点で示すように、加湿された空気A3として加湿器1から排出される。
【0030】
第2サイクルでの空気の流れ:
図3に示すように、ファンFによって、冷却器13A(第1蒸発器13)を通った空気A1は第2加熱器21に導入される。前述したように、第2凝縮器21の冷媒は圧縮機により高温となっている。そのため、第2凝縮器21に導入された空気A1は第2凝縮器21内を通ることにより加熱される。したがって、第2凝縮器21は空気A1を加熱するための第1加熱器21Aを構成している。
一方、加湿器1は給水ノズル1nから滴下された水により湿潤状態になっており、ファンFによって送風された空気A2は加湿器1内を通ることで加湿され、高湿度の空気A3となり、下流に排出される。
【0031】
第3サイクル:
図4に示すように、第3サイクルでは、第3流量制御弁V3が開弁され、第1流量制御弁V1および第2流量制御弁V2が閉弁されている。
図4の太線で示すように、圧縮機CPは、第3経路30、第3凝縮器31、第1膨張弁手段12、第1蒸発器13および第1経路10の順に冷媒を循環させる。
【0032】
圧縮機CPから圧送された気化した冷媒は、第3経路30を介して第3凝縮器31に送られ、第3凝縮器31および第1膨張弁手段12において徐々に液化される。冷媒は第1膨張弁手段12の上流の第3凝縮器31において凝縮される。その後、冷媒は第1膨張弁手段12を出て、第1蒸発器13に送られる。
前記第1蒸発器13に送られた冷媒は、前述したように、第1蒸発器13内の比較的太い管内で低圧となって、再び気化することにより第1蒸発器13の周囲の熱を奪い第1蒸発器13の周囲の温度を下げる。
【0033】
第3サイクルでの空気の流れ:
前記ファンFにより吸引された空気A0が冷却器13Aに導入され、前述したように、第1蒸発器13により冷却された空気A1が排出される。空気A1は第1加熱器21A、加湿器1を通り空気A3として第3凝縮器31に導入される。
一方、第3凝縮器31内の冷媒は圧縮機CPにより昇温されている。そのため、第3凝縮器31に導入された空気A3は第3凝縮器31を通ることにより加熱される。したがって、第3凝縮器31は空気A3を加熱するための第2加熱器31Aを構成している。
【0034】
制御の構成:
図1に示すように、第3凝縮器の下流側には、温度センサTおよび湿度センサHが設けられている。前記温度センサTおよび湿度センサHは制御手段50に接続されている。
【0035】
制御手段50は、演算部51および制御部52を備えている。
制御部52は、前記温度センサTおよび湿度センサHからの入力に応じて、第1、第2および第3流量制御弁V1〜V3を制御し、冷媒の流量をフィードバック制御する。
【0036】
演算部51は、図示しない設定部から入力された供給すべき空気の目標温度および目標湿度から供給すべき空気に含まれる単位(体積)当たりの水分量を求める。演算部51は、前記水分量に基づき前記加湿器1で所定の第1湿度に加湿される空気の一次温度を求め、更に、水分量から前記加湿器1で所定の第1湿度に加湿される空気の一次湿度を求める。演算部51は前記一次温度および一次湿度に基づき、制御部52に第1、第2および第3流量制御弁V1〜V3の制御を行わせる。
【0037】
前記制御部52は、第1加熱器21Aを通った空気A2が当該一次温度に近づくように、かつ、第2加熱器31Aで加熱される空気が前記目標温度に近づくように第1〜第3流量制御弁V1〜V3を制御して、冷却器13A、第1および第2加熱器21A,31Aに流れる冷媒の流量を制御する。
なお、前述したように、制水弁(比例制御電磁弁)WVの開度は、第2流量制御弁V2の開度に応じて変化する。すなわち、第2流量制御弁V2の開度が大きくなると制水弁WVの開度が大きくなり、一方、第2流量制御弁V2の開度が小さくなると制水弁WVの開度が小さくなる。
【0038】
各流量制御弁V1〜V3の開度:
したがって、目標温度・湿度に近づくように制御するには、各流量制御弁V1〜V3の開度が下記のように設定される。
空気A4の温度を下げる場合:第1流量制御弁V1の開度を大きくし、第3流量制御弁V3の開度を小さくする。
空気A4の温度を上げる場合:第1流量制御弁V1の開度を小さくし、第3流量制御弁V3の開度を大きくする。
空気A4の湿度を上げる場合:第2流量制御弁V2の開度を大きくする。
空気A4の湿度を下げる場合:第2流量制御弁V2の開度を小さくする。
前記各流量制御弁V1〜V3は、上記のように開度を調整されることにより、所望の温度および第2湿度に近づくように制御される。
なお、前記流量制御弁V1〜V3の開閉制御は、前述した所期の温湿度を得るための原理に基づき行われる。
【0039】
流量制御弁の制御方法:
前記流量制御弁V1〜V3および制水弁WVは、設定された温湿度によって、種々の制御が行われるが、以下に代表的な制御方法について説明する。
本精密空調機が起動されると、前記制御手段50は、圧縮機CPを動作させると共に、図示しない設定手段によりオペレータによって設定された温湿度に基づき、制御部52を介して流量制御弁V1〜V3および制水弁WVの開閉を制御する。
なお、以下に述べる設定温湿度と第3凝縮器31から吹き出される温湿度とは必ずしも一致しない。
【0040】
1.冷却・除湿MAXの場合;
たとえば、第1蒸発器13への吸い込み温湿度が25℃/50%に対し、第3凝縮器31からの吹き出し温湿度を0℃/0%に設定した場合、精密空調機としては常に冷却・除湿MAXとなる。かかる場合には、図6に示すように、第1流量制御弁V1が開弁され、第2流量制御弁V2および第3流量制御弁V3が閉弁される。そのため、第1蒸発器13に100%の冷媒が流れ、加熱も加湿もされない。
一方、圧縮機CPから圧送された第1凝縮器11の冷媒は、第1熱交換器41の第1水路W1を流れる水によって冷却される。
【0041】
したがって、空気A0は冷却器13Aを通り冷却されると共に、空気A0の温度が下がることで該空気A0中の水分が結露し除湿される。
なお、前記結露した水は、第1蒸発器13の下部に設けられた図示しないドレンパンに集められ排出される。
【0042】
2.加熱・除湿MAXの場合;
たとえば、第1蒸発器13への吸い込み温湿度が25℃/50%に対し、第3凝縮器31からの吹き出し温湿度を40℃/0%に設定した場合、精密空調機としては常に加熱・除湿MAXとなる。かかる場合には、図7に示すように、第1流量制御弁V1および第2流量制御弁V2が閉弁されると共に、制水弁WVが閉弁され、第3流量制御弁V3が開弁される。そのため、第3凝縮器31に100%の冷媒が流れ加熱および除湿(=冷却)が行われ加湿はされない。
したがって、第1蒸発器13で除湿(=冷却)された空気A3が第2加熱器31Aで加熱されて温度が上昇し、該空気A3の温度の上昇により空気A3の相対的な湿度がさらに下がる。そのため、加熱、除湿された空気A4が第2加熱器31Aから排出される。
このように、第3経路30の第2加熱器31Aおよび冷却器13Aのみに冷媒が供給されることで、従来行うことのできなかった加熱および除湿がMAXの運転を行うことができる。
【0043】
3.加熱・加湿MAXの場合;
たとえば、第1蒸発器13への吸い込み温湿度が25℃/50%に対し、第3凝縮器31からの吹き出し温湿度を40℃/60%に設定した場合、精密空調機としては、常に加熱・加湿MAXとなる。かかる場合には、図8に示すように、第1流量制御弁V1が閉弁され、第2流量制御弁V2および第3流量制御弁V3が開弁される。そのため、第2経路20および第3経路30に50%づつの冷媒が流れる。第1蒸発器13に50%の冷媒が流れて冷却能力が50%で稼働される。
【0044】
前述したように、制水弁WVは第2流量制御弁V2に連動しているので、給水ノズル1nから加湿器1に水が滴下される。
冷却器13Aで冷却された空気A1は、第1加熱器21Aで昇温された後、加湿器1で加湿された空気A3となり、第2加熱器31Aで加熱された空気A4が排出される。
一方、第2膨張弁手段22から第2蒸発器23に圧送された冷媒は、第2熱交換器42の第2水路W2を流れる水によって昇温される。
【0045】
したがって、空気A0が冷却器13Aにより冷却された空気A1となった後、第1加熱器21Aにより加熱され、加湿器1で加湿される。その後、加湿器1で加湿された空気A3は、第3凝縮器31で加熱されることにより昇温され、加熱・加湿された空気A4が排出される。
【0046】
4.加熱・加湿がMAXにならない場合;
たとえば、第1蒸発器13への吸い込み温湿度が25℃/50%に対し、第3凝縮器31からの吹き出し温湿度を31℃/55%に設定した場合、精密空調機としては、加熱・加湿がMAXにならない。
かかる場合には、図9に示すように、第1流量制御弁V1が閉弁されると共に、第2流量制御弁V2および第3流量制御弁V3が所定の開度に開弁される。第2流量制御弁V2および第3流量制御弁V3が所定の角度に開弁されることにより、第2凝縮器21に25%の冷媒が流れ、第3凝縮器31および第1蒸発器13に75%の冷媒が流れる。
前記制水弁WVは第2流量制御弁V2に連動して給水ノズル1nから加湿器1に水が滴下される。
一方、第2膨張弁手段22から第2蒸発器23に圧送された冷媒は、第2熱交換器42の第2水路W2を流れる水によって昇温される。
【0047】
冷却器13Aで冷却された空気A1は、第1加熱器21Aで昇温された後、加湿器1で加湿された空気A3となり、第2加熱器31Aで加熱された空気A4が排出される。
したがって、第1蒸発器13に25%の冷媒が流れ、冷却能力25%で冷却器13Aにより空気A0が冷却された後、設定された能力で加熱および加湿が行われ、最終的には空気A4の温湿度が25°/55%程度で運転される。
【0048】
5.加湿MAXの場合;
たとえば、第1蒸発器13への吸い込み温湿度が25℃/50%に対し、第3凝縮器31からの吹き出し温湿度を25℃/80%に設定した場合、図10に示すように、第1流量制御弁V1および第3流量制御弁V3が閉弁され、第2流量制御弁V2が開弁される。そのため、第1蒸発器13に冷媒が流れず、空気A0は冷却されずに、加湿のみが行われる。
一方、第2膨張弁手段22から第2蒸発器23に圧送された冷媒は、第2熱交換器42の第2水路W2を流れる水によって昇温される。
したがって、かかる場合には、冷媒は第2凝縮器21を通る前記第2サイクル(図3)で運用される。
このように、第2経路20の第1加熱器21Aおよび第2蒸発器23のみに冷媒が供給されることで、従来行うことのできなかった加湿MAXの運転を行うことができる。
【0049】
6.冷却・加湿がMAXにならない場合;
たとえば、第1蒸発器13への吸い込み温湿度が25℃/50%に対し、第3凝縮器31からの吹き出し温湿度を26℃/51%に設定した場合、精密空調機としては、冷却・加湿がMAXにならない。かかる場合には、図9に示す第1流量制御弁V1が開弁されると共に、第2流量制御弁V2および第3流量制御弁V3が閉弁されて始動される。その後、第2および第3流量制御弁V2,V3が設定温湿度26℃/51%に向けて開閉の制御がなされる。
一方、圧縮機CPから圧送された第1凝縮器11の冷媒は、第1熱交換器41の第1水路W1を流れる水によって冷却される。
【0050】
冷却器13Aで冷却された空気A1は、第1加熱器21Aおよび加湿器1を通り、第2加熱器31Aで加熱された空気A4が排出される。
ここで、空気A0は冷却された後、設定された能力で加熱および加湿が行われ、最終的には、空気A4の温湿度が26°/51%程度で運転される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は工業用の精密空調機に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1:加湿器
1n:給水ノズル
10:第1経路
11:第1凝縮器
12:第1膨張弁手段
13:第1蒸発器
13A:冷却器
20:第2経路
21:第2凝縮器
22:第2膨張弁手段
23:第2蒸発器
30:第3経路
31:第3凝縮器
31A:第2加熱器
41:第1熱交換器
50:制御手段
51:演算部
52:制御部
A0〜A4:空気
CP:圧縮機
F:ファン
V1:第1流量制御弁
V2:第2流量制御弁
V3:第3流量制御弁
W1:第1水路
W2:第2水路
WV:制水弁(比例制御電磁弁)
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として工業用に用いられる精密空調機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷凍サイクルのみで除湿を行う空調機が知られている(特許文献1参照)。
しかし、この種の空調機の場合、除湿能力を高くするために蒸発器の設定温度を下げると、蒸発器が凍結し、除湿能力が著しく低下する。そのため、蒸発器の温度を下げることができず、除湿能力を今一つ高めることができない。
【0003】
そこで、蒸発器が凍結することなく除湿能力を高めることが可能な精密空調機が提案されている(特許文献2)。前記精密空調機は、ファンによって送風された空気が、蒸発器によって冷却された後、ヒータによって所定の温度まで加熱されることにより、除湿を行っている。
【0004】
一方、所望の加湿された空気を供給する精密空調機が提案されている(特許文献3参照)。かかる精密空調機はヒータを用いて水を蒸発させることで、加湿された空気を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−99514号(要約書)
【特許文献2】特開2009−198050(要約書)
【特許文献3】特開平5−223296(要約書)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の装置では、除湿や加湿にヒータを用いているので、消費電力が大きくなる。また、エコロジー的観点からも消費電力の低減は重要である。
【0007】
したがって、本発明の目的は、温度および湿度が調整された精密空気を得ることができ、かつ、消費電力の少ない精密空調機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のある態様の精密空調機は、取り込んだ空気A0を冷却する冷却器13Aと、前記冷却器13Aで冷却された空気A1を加湿するために予め加熱する第1加熱器21Aと、水分を保水し、前記加熱された空気A2が通過することで前記空気A2が所定の第1湿度となるように前記空気A2を加湿する加湿器1と、前記加湿された空気A3を加熱して所定の温度および第2湿度の空気A4を得る第2加熱器31Aと、前記空気が前記冷却器13A、第1加熱器21A、加湿器1および第2加熱器31Aの順に通過するように空気A1〜A4を送るファンFとを備えた精密空調機において、前記冷却器13A、第1および第2加熱器21A,31Aに冷媒を圧送する圧縮機CPと、前記圧縮機CPから圧送された冷媒を熱交換によって冷却するために凝縮する第1凝縮器11と、前記第1凝縮器11からの冷媒で周囲の空気A0を冷却する前記冷却器13Aを構成する第1蒸発器13とを直列のループに配置する第1経路10と、前記圧縮機CPから圧送された冷媒を凝縮し前記第1加熱器21Aを構成する第2凝縮器21と、前記第2凝縮器21からの冷媒を熱交換によって昇温させるための第2蒸発器23とを前記第1凝縮器11および第1蒸発器13に対し並列に配置する第2経路20と、前記圧縮機CPから圧送された冷媒を凝縮し前記第2加熱器31Aを構成する第3凝縮器31からの冷媒を前記第1蒸発器13に圧送するために、前記第3凝縮器31を前記第1蒸発器13に対し直列で、かつ、前記第1凝縮器11に対し並列に配置する第3経路30と、前記第1、第2および第3経路10〜30に配置された第1、第2および第3流量制御弁V1〜V3と、前記所定の温度および第2湿度の空気A4が得られるように前記流量制御弁V1〜V3により前記第1蒸発器13、第2および第3凝縮器21,31に導入される冷媒の流量を制御する制御手段50とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
ここで、本発明において、所期の温湿度の精密空気が得られる原理について簡単に説明する。
まず、供給すべき空気A4の目標温度および目標湿度が設定されると、当該空気A4に含まれる単位体積当たりの水分量が分かる。一方、吸込温度と前記目標温度の温度等から前記冷却器で冷却すべき熱量や前記第1および第2加熱器で加熱すべき熱量が分かる。
かかる原理を利用した空調機は周知であり、その詳しい原理は特開平7−174360号等に開示されている。
【0010】
本発明によれば、加湿器による加湿前に第1加熱器により加湿のための加熱を行うので加湿器を通過した空気の水分量を所望の水分量にすることができる。その後、第2加熱器により加熱するから、所期の温湿度の空気が得られる。
ここで、前記第1および第2加熱器は電気式のヒータではなく、それぞれ、凝縮器で構成されているから、圧縮機により発生したエネルギーの排熱を利用することができ、したがって、エネルギーの消費が従来の30%程度になり得る。
また、第2経路20のみを利用することで、加湿のみの制御を行うことができる。
さらに、第3経路30のみを利用(運転)することで、フル除湿しながらフル加熱をすることができる。
したがって、制御範囲温湿度を飛躍的に拡大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の一実施例にかかる精密空調機を示す概略構成図である。
【図2】同精密空調機の第1サイクルを示す概略構成図である。
【図3】同精密空調機の第2サイクルを示す概略構成図である。
【図4】同精密空調機の第3サイクルを示す概略構成図である。
【図5】加湿器および給水ノズルを示す概略斜視図である。
【図6】精密空調機の稼働例を示す概略構成図である。
【図7】精密空調機の稼働例を示す概略構成図である。
【図8】精密空調機の稼働例を示す概略構成図である。
【図9】精密空調機の稼働例を示す概略構成図である。
【図10】精密空調機の稼働例を示す概略構成図である。
【図11】精密空調機の稼働例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい態様において、前記加湿器1に水を滴下ないし流下して供給する給水ノズル1nと、前記給水ノズル1nからの供給される水の量を制御する制水弁WVとを更に備え、前記第1加熱器21Aである前記第2凝縮器21に導入される冷媒の流量を制御する第2流量制御弁V2の開度を増大させる場合に、前記制水弁WVの開度が増大し、かつ、前記第2流量制御弁V2の開度を小さくする場合に前記制水弁WVの開度が小さくなるように前記制御手段50が制御を実行する。
【0013】
かかる態様によれば、加湿に必要な量の水が加湿器に供給され、加湿器への水の供給を必要最小限にすることができると共に、排水設備も小型化することができる。
【0014】
本発明の好ましい態様において、前記第2蒸発器23内の冷媒を昇温させる第2熱交換器42は前記第2蒸発器23内の冷たい冷媒を水で昇温させることを特徴とする。
かかる態様によれば、工場の冷却水としての工業用水を第2熱交換器42内に導入することで冷却水の温度が下がり、工場の冷却水を冷却させるエネルギーが低減される。
【0015】
本発明の好ましい態様において、前記第1凝縮器11内の冷媒を冷却する第1熱交換器41は前記第1凝縮器11内の昇温された冷媒を冷却する水が流れる第1水路W1を有し、前記第2蒸発器23内の冷媒を昇温させる第2熱交換器42の前記水が流れる第2水路W2の上流に前記第1水路W1が配置されている。
かかる態様によれば、第1熱交換器は水冷式で、ここで水の温度が上昇する。そのため、後段の第2熱交換器の第2水路に導入される水温が高くなるから、前記第2熱交換器の第2蒸発器の冷媒が効率良く昇温される。
【0016】
本発明の好ましい態様によれば、前記第1および第3凝縮器11,31の下流で、かつ、前記第1蒸発器13の上流には、電子膨張弁からなる第1膨張弁手段12が設けられ、前記第2凝縮器21の下流で、かつ、前記第2蒸発器23の上流には第2膨張弁手段22が配置されている。
【0017】
本発明の好ましい態様において、供給すべき空気A4の目標温度および目標湿度から供給すべき空気A4に含まれる単位当たりの水分量を求め、前記水分量から加湿器1で前記所定の第1湿度(ほぼ一定の相対湿度)に加湿される空気A2の一次温度を求め、前記水分量から前記加湿器1で前記所定の第1湿度に加湿される空気A2の一次湿度を求める演算部51と、第1加熱器21Aを通った空気A2が当該一次温度に近づくように、かつ、前記第2加熱器31Aで加熱された空気A4が前記目標温度に近づくように、前記第1〜第3流量制御弁V1〜V3を制御して前記冷却器13A、第1および第2加熱器21A,31Aに流れる冷媒の流量を制御する制御部52とを前記制御手段50が備えている。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
全体構成:
図1に示すように、本精密空調機は、加湿器1、第1凝縮器11、第1蒸発器13、第2凝縮器21、第2蒸発器23、第3凝縮器31、逆止弁61、ファンF、圧縮機CPおよび多数の配管を備えている。
前記第1蒸発器13、第2凝縮器21および第3凝縮器31の上流には、それぞれ、第1流量制御弁V1、第2流量制御弁V2および第3流量制御弁V3が設けられている。
第1および第3凝縮器11,31の下流で、かつ、第1蒸発器13の上流には、電子膨張弁からなる第1膨張弁手段12が設けられている。
第2凝縮器21の下流で、かつ、第2蒸発器23の上流には、たとえば、電子膨張弁からなる第2膨張弁手段22が設けられている。
【0019】
循環サイクル:
まず、冷媒の循環サイクルと空気の流れについて説明する。本システムは、下記に述べる3種類の冷媒の循環サイクルを有している。下記の循環サイクルは、後述するように組み合わされて用いられる。
【0020】
なお、以下に示す精密空調機の概略構成図において、太線は冷媒が通る循環路を示し、流量制御弁V1〜V3の閉弁状態は、弁記号を塗りつぶして示している。
また、以下の説明および図2〜図11においては、理解を容易にするために、第1蒸発器13の凍結を防止するためのホットガスバイパスHGについての説明および図示を省略する。
【0021】
第1サイクル:
図2に示すように、第1サイクルでは、第1流量制御弁V1が開弁され、第2流量制御弁V2および第3流量制御弁V3が閉弁されている。
図2の太線で示すように、圧縮機CPは、第1凝縮器11、第1膨張弁手段12、第1蒸発器13、第1経路10の順に冷媒を循環させる。
なお、第1膨張弁手段12と第1蒸発器13との間には逆止弁61が設けられている。また、圧縮機CPの下流にはアキュームレータ63が設けられている。
【0022】
圧縮機CPから圧送された気化した冷媒は、第1凝縮器11および第1膨張弁手段12において徐々に液化する。この時、冷媒は第1膨張弁手段12の上流の第1凝縮器11において凝縮される。その後、冷媒は、第1膨張弁手段12から出て、第1蒸発器13内の比較的太い管内で低圧となって、再び気化することにより、第1蒸発器13の周囲の熱を奪い第1蒸発器13の周囲温度を低下させる。
【0023】
第1熱交換器41:
前記第1熱交換器41は第1水路W1を有している。第1水路W1には、たとえば工場用水が流される。第1熱交換器41において、第1凝縮器11内の熱い冷媒は、第1水路W1を流れる水によって冷却される。第1水路W1を流れる水は、第1凝縮器11内の冷媒との熱交換により昇温され、下流の第2水路W2に導入される。
【0024】
第1サイクルでの空気の流れ:
前記ファンFにより吸引された空気A0が第1蒸発器13に導入される。前述したように、第1蒸発器13は、第1蒸発器13内の冷媒の気化により周囲の熱を奪い周囲温度を下げる。そのため、第1蒸発器13に導入された空気A0は、第1蒸発器13を通ることにより冷却される。したがって、第1蒸発器13は空気A0を冷却するための冷却器13Aを構成している。
冷却器13Aを通り冷却された空気A1は下流に排出される。
【0025】
第2サイクル:
図3に示すように、第2サイクルでは、第2流量制御弁V2が開弁され、第1流量制御弁V1および第3流量制御弁V3が閉弁されている。
図3の太線で示すように、圧縮機CPは、第2経路20、第2凝縮器21、第2膨張弁手段22、第2蒸発器23の順に冷媒を循環させる。
【0026】
圧縮機CPから圧送された気化した冷媒は、第2経路20を介して第2凝縮器21および第2膨張弁手段22に送られ、第2凝縮器21および第2膨張弁手段22において徐々に液化される。冷媒は第2膨張弁手段22の上流の第2凝縮器21において凝縮される。その後、冷媒は第2膨張弁手段22から出て、第2蒸発器23の比較的太い管内で低圧となって、再び気化することにより、第2蒸発器23の周囲の熱を奪い、第2蒸発器23の周囲温度を低下させる。
【0027】
第2熱交換器42:
第2熱交換器42は前記第2水路W2を有している。第2熱交換器42において、第2蒸発器23内の冷たい冷媒は、前記第1水路W1から導入された第2水路W2を流れる水によって温められる。
ここで、前記第2蒸発器23内の冷媒は非常に低い温度であるので、第2水路W2を流れる水が5℃以上であれば熱交換されて、第2蒸発器23内の冷媒が温められる。
なお、前述したように、第1熱交換器41において第1凝縮器11内の熱い冷媒との熱交換により第1水路W1を流れる水が温められているので、より効果的に第2蒸発器23内の冷媒を温めることができる。
前記第2水路W2内の水は主に工業用水が利用される。
【0028】
加湿器1:
図5に示すように、前記加湿器1は吸水性を持つ素材を積層して形成されている。加湿器1には、たとえばポリエステル素材等からなる親水性高分子ファイバーで構成され、ある程度の固さと吸水性の高い素材として、上記のような混合材1Dを備えている。前記混合材1Dの形状としては、スレートを積層したような構造になっており、ある程度の通気抵抗により供給空気の温度に関係なく一定の相対湿度になるよう効率的な気化を実現している。
なお、前記加湿器1としては、たとえば、ウエットマスター社の滴下浸透気化式加湿器を採用することができる。
【0029】
前記加湿器1の上部には水を滴下するための多数の給水ノズル1nが設けられており、たとえば比例制御電磁弁からなる制水弁WVの開閉によって前記給水ノズル1nからの水の滴下量が制御される。
前記制水弁WVは第2流量制御弁V2に連動されており、第2流量制御弁V2の開度に応じて制水弁WVの開度が変化するように設定されている。
前記混合材1Dが給水ノズル1nから滴下された水で湿潤状態になっている場合に、前記ファンF(図3)により空気A2が加湿器1に導入されると、加湿器1内の湿潤状態の混合材1Dの間を空気A2が通ることで該空気A2が加湿され、網点で示すように、加湿された空気A3として加湿器1から排出される。
【0030】
第2サイクルでの空気の流れ:
図3に示すように、ファンFによって、冷却器13A(第1蒸発器13)を通った空気A1は第2加熱器21に導入される。前述したように、第2凝縮器21の冷媒は圧縮機により高温となっている。そのため、第2凝縮器21に導入された空気A1は第2凝縮器21内を通ることにより加熱される。したがって、第2凝縮器21は空気A1を加熱するための第1加熱器21Aを構成している。
一方、加湿器1は給水ノズル1nから滴下された水により湿潤状態になっており、ファンFによって送風された空気A2は加湿器1内を通ることで加湿され、高湿度の空気A3となり、下流に排出される。
【0031】
第3サイクル:
図4に示すように、第3サイクルでは、第3流量制御弁V3が開弁され、第1流量制御弁V1および第2流量制御弁V2が閉弁されている。
図4の太線で示すように、圧縮機CPは、第3経路30、第3凝縮器31、第1膨張弁手段12、第1蒸発器13および第1経路10の順に冷媒を循環させる。
【0032】
圧縮機CPから圧送された気化した冷媒は、第3経路30を介して第3凝縮器31に送られ、第3凝縮器31および第1膨張弁手段12において徐々に液化される。冷媒は第1膨張弁手段12の上流の第3凝縮器31において凝縮される。その後、冷媒は第1膨張弁手段12を出て、第1蒸発器13に送られる。
前記第1蒸発器13に送られた冷媒は、前述したように、第1蒸発器13内の比較的太い管内で低圧となって、再び気化することにより第1蒸発器13の周囲の熱を奪い第1蒸発器13の周囲の温度を下げる。
【0033】
第3サイクルでの空気の流れ:
前記ファンFにより吸引された空気A0が冷却器13Aに導入され、前述したように、第1蒸発器13により冷却された空気A1が排出される。空気A1は第1加熱器21A、加湿器1を通り空気A3として第3凝縮器31に導入される。
一方、第3凝縮器31内の冷媒は圧縮機CPにより昇温されている。そのため、第3凝縮器31に導入された空気A3は第3凝縮器31を通ることにより加熱される。したがって、第3凝縮器31は空気A3を加熱するための第2加熱器31Aを構成している。
【0034】
制御の構成:
図1に示すように、第3凝縮器の下流側には、温度センサTおよび湿度センサHが設けられている。前記温度センサTおよび湿度センサHは制御手段50に接続されている。
【0035】
制御手段50は、演算部51および制御部52を備えている。
制御部52は、前記温度センサTおよび湿度センサHからの入力に応じて、第1、第2および第3流量制御弁V1〜V3を制御し、冷媒の流量をフィードバック制御する。
【0036】
演算部51は、図示しない設定部から入力された供給すべき空気の目標温度および目標湿度から供給すべき空気に含まれる単位(体積)当たりの水分量を求める。演算部51は、前記水分量に基づき前記加湿器1で所定の第1湿度に加湿される空気の一次温度を求め、更に、水分量から前記加湿器1で所定の第1湿度に加湿される空気の一次湿度を求める。演算部51は前記一次温度および一次湿度に基づき、制御部52に第1、第2および第3流量制御弁V1〜V3の制御を行わせる。
【0037】
前記制御部52は、第1加熱器21Aを通った空気A2が当該一次温度に近づくように、かつ、第2加熱器31Aで加熱される空気が前記目標温度に近づくように第1〜第3流量制御弁V1〜V3を制御して、冷却器13A、第1および第2加熱器21A,31Aに流れる冷媒の流量を制御する。
なお、前述したように、制水弁(比例制御電磁弁)WVの開度は、第2流量制御弁V2の開度に応じて変化する。すなわち、第2流量制御弁V2の開度が大きくなると制水弁WVの開度が大きくなり、一方、第2流量制御弁V2の開度が小さくなると制水弁WVの開度が小さくなる。
【0038】
各流量制御弁V1〜V3の開度:
したがって、目標温度・湿度に近づくように制御するには、各流量制御弁V1〜V3の開度が下記のように設定される。
空気A4の温度を下げる場合:第1流量制御弁V1の開度を大きくし、第3流量制御弁V3の開度を小さくする。
空気A4の温度を上げる場合:第1流量制御弁V1の開度を小さくし、第3流量制御弁V3の開度を大きくする。
空気A4の湿度を上げる場合:第2流量制御弁V2の開度を大きくする。
空気A4の湿度を下げる場合:第2流量制御弁V2の開度を小さくする。
前記各流量制御弁V1〜V3は、上記のように開度を調整されることにより、所望の温度および第2湿度に近づくように制御される。
なお、前記流量制御弁V1〜V3の開閉制御は、前述した所期の温湿度を得るための原理に基づき行われる。
【0039】
流量制御弁の制御方法:
前記流量制御弁V1〜V3および制水弁WVは、設定された温湿度によって、種々の制御が行われるが、以下に代表的な制御方法について説明する。
本精密空調機が起動されると、前記制御手段50は、圧縮機CPを動作させると共に、図示しない設定手段によりオペレータによって設定された温湿度に基づき、制御部52を介して流量制御弁V1〜V3および制水弁WVの開閉を制御する。
なお、以下に述べる設定温湿度と第3凝縮器31から吹き出される温湿度とは必ずしも一致しない。
【0040】
1.冷却・除湿MAXの場合;
たとえば、第1蒸発器13への吸い込み温湿度が25℃/50%に対し、第3凝縮器31からの吹き出し温湿度を0℃/0%に設定した場合、精密空調機としては常に冷却・除湿MAXとなる。かかる場合には、図6に示すように、第1流量制御弁V1が開弁され、第2流量制御弁V2および第3流量制御弁V3が閉弁される。そのため、第1蒸発器13に100%の冷媒が流れ、加熱も加湿もされない。
一方、圧縮機CPから圧送された第1凝縮器11の冷媒は、第1熱交換器41の第1水路W1を流れる水によって冷却される。
【0041】
したがって、空気A0は冷却器13Aを通り冷却されると共に、空気A0の温度が下がることで該空気A0中の水分が結露し除湿される。
なお、前記結露した水は、第1蒸発器13の下部に設けられた図示しないドレンパンに集められ排出される。
【0042】
2.加熱・除湿MAXの場合;
たとえば、第1蒸発器13への吸い込み温湿度が25℃/50%に対し、第3凝縮器31からの吹き出し温湿度を40℃/0%に設定した場合、精密空調機としては常に加熱・除湿MAXとなる。かかる場合には、図7に示すように、第1流量制御弁V1および第2流量制御弁V2が閉弁されると共に、制水弁WVが閉弁され、第3流量制御弁V3が開弁される。そのため、第3凝縮器31に100%の冷媒が流れ加熱および除湿(=冷却)が行われ加湿はされない。
したがって、第1蒸発器13で除湿(=冷却)された空気A3が第2加熱器31Aで加熱されて温度が上昇し、該空気A3の温度の上昇により空気A3の相対的な湿度がさらに下がる。そのため、加熱、除湿された空気A4が第2加熱器31Aから排出される。
このように、第3経路30の第2加熱器31Aおよび冷却器13Aのみに冷媒が供給されることで、従来行うことのできなかった加熱および除湿がMAXの運転を行うことができる。
【0043】
3.加熱・加湿MAXの場合;
たとえば、第1蒸発器13への吸い込み温湿度が25℃/50%に対し、第3凝縮器31からの吹き出し温湿度を40℃/60%に設定した場合、精密空調機としては、常に加熱・加湿MAXとなる。かかる場合には、図8に示すように、第1流量制御弁V1が閉弁され、第2流量制御弁V2および第3流量制御弁V3が開弁される。そのため、第2経路20および第3経路30に50%づつの冷媒が流れる。第1蒸発器13に50%の冷媒が流れて冷却能力が50%で稼働される。
【0044】
前述したように、制水弁WVは第2流量制御弁V2に連動しているので、給水ノズル1nから加湿器1に水が滴下される。
冷却器13Aで冷却された空気A1は、第1加熱器21Aで昇温された後、加湿器1で加湿された空気A3となり、第2加熱器31Aで加熱された空気A4が排出される。
一方、第2膨張弁手段22から第2蒸発器23に圧送された冷媒は、第2熱交換器42の第2水路W2を流れる水によって昇温される。
【0045】
したがって、空気A0が冷却器13Aにより冷却された空気A1となった後、第1加熱器21Aにより加熱され、加湿器1で加湿される。その後、加湿器1で加湿された空気A3は、第3凝縮器31で加熱されることにより昇温され、加熱・加湿された空気A4が排出される。
【0046】
4.加熱・加湿がMAXにならない場合;
たとえば、第1蒸発器13への吸い込み温湿度が25℃/50%に対し、第3凝縮器31からの吹き出し温湿度を31℃/55%に設定した場合、精密空調機としては、加熱・加湿がMAXにならない。
かかる場合には、図9に示すように、第1流量制御弁V1が閉弁されると共に、第2流量制御弁V2および第3流量制御弁V3が所定の開度に開弁される。第2流量制御弁V2および第3流量制御弁V3が所定の角度に開弁されることにより、第2凝縮器21に25%の冷媒が流れ、第3凝縮器31および第1蒸発器13に75%の冷媒が流れる。
前記制水弁WVは第2流量制御弁V2に連動して給水ノズル1nから加湿器1に水が滴下される。
一方、第2膨張弁手段22から第2蒸発器23に圧送された冷媒は、第2熱交換器42の第2水路W2を流れる水によって昇温される。
【0047】
冷却器13Aで冷却された空気A1は、第1加熱器21Aで昇温された後、加湿器1で加湿された空気A3となり、第2加熱器31Aで加熱された空気A4が排出される。
したがって、第1蒸発器13に25%の冷媒が流れ、冷却能力25%で冷却器13Aにより空気A0が冷却された後、設定された能力で加熱および加湿が行われ、最終的には空気A4の温湿度が25°/55%程度で運転される。
【0048】
5.加湿MAXの場合;
たとえば、第1蒸発器13への吸い込み温湿度が25℃/50%に対し、第3凝縮器31からの吹き出し温湿度を25℃/80%に設定した場合、図10に示すように、第1流量制御弁V1および第3流量制御弁V3が閉弁され、第2流量制御弁V2が開弁される。そのため、第1蒸発器13に冷媒が流れず、空気A0は冷却されずに、加湿のみが行われる。
一方、第2膨張弁手段22から第2蒸発器23に圧送された冷媒は、第2熱交換器42の第2水路W2を流れる水によって昇温される。
したがって、かかる場合には、冷媒は第2凝縮器21を通る前記第2サイクル(図3)で運用される。
このように、第2経路20の第1加熱器21Aおよび第2蒸発器23のみに冷媒が供給されることで、従来行うことのできなかった加湿MAXの運転を行うことができる。
【0049】
6.冷却・加湿がMAXにならない場合;
たとえば、第1蒸発器13への吸い込み温湿度が25℃/50%に対し、第3凝縮器31からの吹き出し温湿度を26℃/51%に設定した場合、精密空調機としては、冷却・加湿がMAXにならない。かかる場合には、図9に示す第1流量制御弁V1が開弁されると共に、第2流量制御弁V2および第3流量制御弁V3が閉弁されて始動される。その後、第2および第3流量制御弁V2,V3が設定温湿度26℃/51%に向けて開閉の制御がなされる。
一方、圧縮機CPから圧送された第1凝縮器11の冷媒は、第1熱交換器41の第1水路W1を流れる水によって冷却される。
【0050】
冷却器13Aで冷却された空気A1は、第1加熱器21Aおよび加湿器1を通り、第2加熱器31Aで加熱された空気A4が排出される。
ここで、空気A0は冷却された後、設定された能力で加熱および加湿が行われ、最終的には、空気A4の温湿度が26°/51%程度で運転される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は工業用の精密空調機に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1:加湿器
1n:給水ノズル
10:第1経路
11:第1凝縮器
12:第1膨張弁手段
13:第1蒸発器
13A:冷却器
20:第2経路
21:第2凝縮器
22:第2膨張弁手段
23:第2蒸発器
30:第3経路
31:第3凝縮器
31A:第2加熱器
41:第1熱交換器
50:制御手段
51:演算部
52:制御部
A0〜A4:空気
CP:圧縮機
F:ファン
V1:第1流量制御弁
V2:第2流量制御弁
V3:第3流量制御弁
W1:第1水路
W2:第2水路
WV:制水弁(比例制御電磁弁)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り込んだ空気A0を冷却する冷却器13Aと、
前記冷却器13Aで冷却された空気A1を加湿するために予め加熱する第1加熱器21Aと、
水分を保水し、前記加熱された空気A2が通過することで前記空気A2が所定の第1湿度となるように前記空気A2を加湿する加湿器1と、
前記加湿された空気A3を加熱して所定の温度および第2湿度の空気A4を得る第2加熱器31Aと、
前記空気が前記冷却器13A、第1加熱器21A、加湿器1および第2加熱器31Aの順に通過するように空気A1〜A4を送るファンFとを備えた精密空調機において、
前記冷却器13A、第1および第2加熱器21A,31Aに冷媒を圧送する圧縮機CPと、
前記圧縮機CPから圧送された冷媒を熱交換によって冷却するために凝縮する第1凝縮器11と、前記第1凝縮器11からの冷媒で周囲の空気A0を冷却する前記冷却器13Aを構成する第1蒸発器13とを直列のループに配置する第1経路10と、
前記圧縮機CPから圧送された冷媒を凝縮し前記第1加熱器21Aを構成する第2凝縮器21と、前記第2凝縮器21からの冷媒を熱交換によって昇温させるための第2蒸発器23とを前記第1凝縮器11および第1蒸発器13に対し並列に配置する第2経路20と、
前記圧縮機CPから圧送された冷媒を凝縮し前記第2加熱器31Aを構成する第3凝縮器31からの冷媒を前記第1蒸発器13に圧送するために、前記第3凝縮器31を前記第1蒸発器13に対し直列で、かつ、前記第1凝縮器11に対し並列に配置する第3経路30と、
前記第1、第2および第3経路10〜30に配置された第1、第2および第3流量制御弁V1〜V3と、
前記所定の温度および第2湿度の空気A4が得られるように前記流量制御弁V1〜V3により前記第1蒸発器13、第2および第3凝縮器21,31に導入される冷媒の流量を制御する制御手段50とを備えた精密空調機。
【請求項2】
請求項1において、前記加湿器1に水を滴下ないし流下して供給する給水ノズル1nと、
前記給水ノズル1nからの供給される水の量を制御する制水弁WVとを更に備え、
前記第1加熱器21Aである前記第2凝縮器21に導入される冷媒の流量を制御する第2流量制御弁V2の開度を増大させる場合に、前記制水弁WVの開度が増大し、かつ、前記第2流量制御弁V2の開度を小さくする場合に前記制水弁WVの開度が小さくなるように前記制御手段50が制御を実行する精密空調機。
【請求項3】
請求項2において、前記第2蒸発器23内の冷媒を昇温させる第2熱交換器42は前記第2蒸発器23内の冷たい冷媒を水で昇温させることを特徴とする精密空調機。
【請求項4】
請求項3において、前記第1凝縮器11内の冷媒を冷却する第1熱交換器41は前記第1凝縮器11内の昇温された冷媒を冷却する水が流れる第1水路W1を有し、前記第2蒸発器23内の冷媒を昇温させる第2熱交換器42の前記水が流れる第2水路W2の上流に前記第1水路W1が配置されている精密空調機。
【請求項5】
請求項4において、前記第1および第3凝縮器11,31の下流で、かつ、前記第1蒸発器13の上流には、電子膨張弁からなる第1膨張弁手段12が設けられ、前記第2凝縮器21の下流で、かつ、前記第2蒸発器23の上流には第2膨張弁手段22が配置されている精密空調機。
【請求項1】
取り込んだ空気A0を冷却する冷却器13Aと、
前記冷却器13Aで冷却された空気A1を加湿するために予め加熱する第1加熱器21Aと、
水分を保水し、前記加熱された空気A2が通過することで前記空気A2が所定の第1湿度となるように前記空気A2を加湿する加湿器1と、
前記加湿された空気A3を加熱して所定の温度および第2湿度の空気A4を得る第2加熱器31Aと、
前記空気が前記冷却器13A、第1加熱器21A、加湿器1および第2加熱器31Aの順に通過するように空気A1〜A4を送るファンFとを備えた精密空調機において、
前記冷却器13A、第1および第2加熱器21A,31Aに冷媒を圧送する圧縮機CPと、
前記圧縮機CPから圧送された冷媒を熱交換によって冷却するために凝縮する第1凝縮器11と、前記第1凝縮器11からの冷媒で周囲の空気A0を冷却する前記冷却器13Aを構成する第1蒸発器13とを直列のループに配置する第1経路10と、
前記圧縮機CPから圧送された冷媒を凝縮し前記第1加熱器21Aを構成する第2凝縮器21と、前記第2凝縮器21からの冷媒を熱交換によって昇温させるための第2蒸発器23とを前記第1凝縮器11および第1蒸発器13に対し並列に配置する第2経路20と、
前記圧縮機CPから圧送された冷媒を凝縮し前記第2加熱器31Aを構成する第3凝縮器31からの冷媒を前記第1蒸発器13に圧送するために、前記第3凝縮器31を前記第1蒸発器13に対し直列で、かつ、前記第1凝縮器11に対し並列に配置する第3経路30と、
前記第1、第2および第3経路10〜30に配置された第1、第2および第3流量制御弁V1〜V3と、
前記所定の温度および第2湿度の空気A4が得られるように前記流量制御弁V1〜V3により前記第1蒸発器13、第2および第3凝縮器21,31に導入される冷媒の流量を制御する制御手段50とを備えた精密空調機。
【請求項2】
請求項1において、前記加湿器1に水を滴下ないし流下して供給する給水ノズル1nと、
前記給水ノズル1nからの供給される水の量を制御する制水弁WVとを更に備え、
前記第1加熱器21Aである前記第2凝縮器21に導入される冷媒の流量を制御する第2流量制御弁V2の開度を増大させる場合に、前記制水弁WVの開度が増大し、かつ、前記第2流量制御弁V2の開度を小さくする場合に前記制水弁WVの開度が小さくなるように前記制御手段50が制御を実行する精密空調機。
【請求項3】
請求項2において、前記第2蒸発器23内の冷媒を昇温させる第2熱交換器42は前記第2蒸発器23内の冷たい冷媒を水で昇温させることを特徴とする精密空調機。
【請求項4】
請求項3において、前記第1凝縮器11内の冷媒を冷却する第1熱交換器41は前記第1凝縮器11内の昇温された冷媒を冷却する水が流れる第1水路W1を有し、前記第2蒸発器23内の冷媒を昇温させる第2熱交換器42の前記水が流れる第2水路W2の上流に前記第1水路W1が配置されている精密空調機。
【請求項5】
請求項4において、前記第1および第3凝縮器11,31の下流で、かつ、前記第1蒸発器13の上流には、電子膨張弁からなる第1膨張弁手段12が設けられ、前記第2凝縮器21の下流で、かつ、前記第2蒸発器23の上流には第2膨張弁手段22が配置されている精密空調機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−208891(P2011−208891A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77942(P2010−77942)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【特許番号】特許第4593689号(P4593689)
【特許公報発行日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(598167268)株式会社アピステ (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【特許番号】特許第4593689号(P4593689)
【特許公報発行日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(598167268)株式会社アピステ (13)
【Fターム(参考)】
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