説明

精巣癌診断および予後診断におけるRBM3タンパク質

本明細書は、哺乳動物対象が第1または第2のグループのいずれに属するかを決定する方法であって、第1のグループの対象が第2のグループの対象よりも精巣障害を有する危険性が高く、該対象の精巣由来の生物学的材料を含む早期に得られたサンプルの少なくとも一部におけるRBM3タンパク質の量を評価し、評価された量に対応するサンプル値を決定し、該サンプル値をあらかじめ決められた参照値と比較し、該サンプル値が該参照値よりも高いとき、該対象が第1のグループに属すると結論づけ、該サンプル値が該参照値以下であるとき、該対象が第2のグループに属すると結論づける工程を含む方法を提供する。さらに、精巣癌に対する予後診断方法、ならびに予後診断および診断適用の方法および使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、精巣癌の分野に関する。さらに、前癌期の精巣癌を含む精巣障害の検出、ならびに精巣癌患者に対する予後の確立に関する。
【背景技術】
【0002】
背景

癌は、西欧諸国において最も一般的な疾患の1つ、および死の主な原因である。一般的に、発生率は、癌の多数の形態に対して年齢とともに増加する。一般健康状態の増加によってヒト集団が長生きし続けるため、癌はより多くの個体に影響し得る。多数の一般的な癌型の原因は、未だほとんど知られていないが、環境因子(食生活、タバコの煙、UV放射など)ならびに遺伝因子(p53、APC、BRCA1、XPなどのような「癌遺伝子」の生殖細胞株変異)と癌の発症の危険性の関連を提供する知識体系が増加している。
【0003】
癌は本質的に細胞疾患であり、網状の細胞増殖および反社会的行動を有する形質転換細胞集団として定義されるという事実にもかかわらず、細胞生物学的観点から完全に満足する癌の定義がない。悪性転換は、不可逆性遺伝子変化に基づく悪性表現型への移行を示す。これは正式に証明されていないが、悪性転換は1つの細胞に起こり、次に、これから腫瘍が生じると考えられている(「癌のクローン」ドグマ)。発癌は、癌が産生することによるプロセスであり、一般的に、最終的に悪性腫瘍の増殖を生じる多数の事象を含むことが認められる。この多工程プロセスは、いくつかの律速工程、例えば、変異の付加および恐らくエピジェネティック事象を含み、前癌性増殖の工程の後の癌形成を引き起こす。工程的変化は、細胞分裂、反社会的行動および細胞死を決定する生命維持に必要な調節経路における誤り(変異)の蓄積を含む。これらそれぞれの変化は、周囲細胞と比較して、増殖においてダーウィン的な選択優位性利点が与えられ、腫瘍細胞集団の網状の増殖をもたらし得る。悪性腫瘍は、必ずしも形質転換された腫瘍細胞それら自体だけからならず、支持的基質として作用する周囲正常細胞からもなる。この動員された癌の基質は、形質転換された腫瘍細胞に継続している腫瘍増殖のために必要なシグナルを提供するために共同する結合組織、血管および種々の他の正常細胞、例えば、炎症性細胞からなる。
【0004】
癌の最も一般的な形態は、体細胞で生じ、主に上皮性起源、例えば、前立腺、乳房、大腸、尿路上皮および皮膚、次に造血系起源の癌、例えば、白血病およびリンパ腫、神経外胚葉、例えば、悪性神経膠腫、および軟組織腫瘍、例えば、肉腫である。
【0005】
癌診断および予後診断
疑わしい腫瘍由来の生検材料の顕微鏡的評価は、癌診断に対するすばらしい標準を維持している。確定診断を得るために、腫瘍組織をホルマリンに固定し、組織処理し(histo-processed)、パラフィン包埋する。得られるパラフィンブロックから、組織切片を生産し、組織化学的な、すなわち、ヘマトキシリン−エオシン染色、および免疫組織化学的(IHC)方法の両方を使用して染色することができる。次に、外科的標本を肉眼的および顕微鏡分析を含む病理学的技術で評価する。この分析は、しばしば、特定の診断への割り当て、すなわち、腫瘍型の分類および悪性腫瘍、腫瘍の程度の等級付けの基礎を形成する。
【0006】
悪性腫瘍は、それぞれの癌型に対して特異的な分類体系にしたがって、いくつかの期に分類することができる。固形腫瘍に対する最も一般的な分類系は、腫瘍−リンパ節−転移(TNM)病期分類システムである。T期は、原発性腫瘍の局所程度、すなわち、腫瘍が周囲組織へ増殖が侵入および浸潤している程度を示し、N期およびM期は、リンパ節への腫瘍の広がりを示すN期および他の遠隔臓器における腫瘍の増殖を示すM期で、腫瘍が転移を発症しているかどうかを示す。初期工程は、陰性リンパ節で限局性腫瘍を示すT0−1、N0、M0を含む。さらに進行した工程は、より広い増殖を含む限局性腫瘍を示すT2−4、N0、M0、およびリンパ節へ転移した腫瘍を示すT1−4、N1−3、M0、および遠隔臓器において検出される転移を有する腫瘍を示すT1−4、N1−3、M1を含む。腫瘍の病期分類は、しばしば、外科的、放射線学的および組織病理学的分析を含む検査のいくつかの形態に基づく。病期分類に加えて、多数の腫瘍型に対して、また、悪性腫瘍のレベルを等級付けするための分類系がある。評点方式は、腫瘍組織サンプルの形態学的評価に頼り、所定の腫瘍において見られる顕微鏡的特徴に基づく。これらの評点方式は、腫瘍細胞の分化、増殖および非典型的な外観の程度に基づき得る。一般的に使用される評点方式の例は、前立腺癌腫に対するグリーソン分類および乳房癌腫に対するノッティンガム組織学的グレード(NHG)等級付けを含む。
【0007】
正確な病期分類および等級付けは、正しい診断のために重要であり、予後を予測するための道具を提供し得る。特異的な腫瘍に対する診断および予後診断情報は、次に、所定の癌患者に対する十分な治療戦略を決定する。腫瘍に関するさらなる情報を得るために、組織切片の組織化学的染色に加えて、一般的に使用される方法は、免疫組織化学的染色である。IHCは、特異的抗体を使用して、組織および細胞におけるタンパク質発現パターンの検出を可能にする。臨床診断におけるIHCの使用は、組織化学的に染色された腫瘍組織切片から評価される組織構造学および細胞形態学に関する情報に加えて、異なる細胞集団における免疫反応の検出を可能にする。IHCは、原発性腫瘍の正確な診断、例えば、病期分類および等級付けのサポートに、ならびに未知の起源の転移の診断に関与することができる。今日、臨床診療において最も一般的に使用される抗体は、細胞型「特異的な」タンパク質に対する抗体、例えば、PSA(前立腺)、MelanA(メラニン細胞)およびサイログロブリン(甲状腺)および中間径フィラメントを認識する抗体(上皮性、間葉性、グリア)、分化の一群(CD)の抗原(造血、リンパ細胞の下位分類)ならびに悪性度のマーカー、例えば、Ki67(増殖)、p53(一般的に変異した腫瘍抑制遺伝子)およびHER−2(増殖因子受容体)を含む。
【0008】
IHCを除いて、遺伝子増幅を検出するためのインサイチュハイブリダイゼーションおよび変異分析のための遺伝子シーケンシングの使用は、癌診断の発展している科学技術である。加えて、転写産物、タンパク質または代謝産物のグローバル分析を関連情報に加える。しかしながら、多数のこれらの分析は未だ基礎研究であり、臨床医学における使用に対して評価され、標準化されていない。
【0009】
精巣癌
精巣癌は、全男性の癌の約1%を占めるだけであるが、20から40歳の男性の最も一般的な癌である。発生率は地域間で変化する。アジアおよびアフリカにおいて、該疾患は約1/100,000の年齢標準化発生率とあまり一般的でないが、北欧諸国において、発生率は世界の残りと比較して比較的高く、デンマーク、ノルウェーおよびスウェーデンは全て世界の発生率のトップテンである。デンマークは、約10/100,000の最も高い発生率を有し、ノルウェーは、少し低い約9/100,000であり、スウェーデンにおいて対応する率は約5/100,000である。この30年間に、西欧諸国における発症率の実質的な増加があり、いくつかの国において多数の場合で2倍である。
【0010】
大多数の精巣癌は胚細胞腫瘍であり、これらの腫瘍の分類のための2つの主な系の英国の精巣腫瘍パネル式(BTTP)およびWHO分類系がある。WHO系がわずかにより包括的であるため、多数の病理学者がWHO系を使用する。両方の系にしたがって、2つの主なクラスは精上皮腫および非精上皮腫性胚細胞腫瘍(NSGCT)である。精上皮腫は、約50%の胚細胞腫瘍を占める最も一般的な純粋な胚細胞腫瘍である。これらの腫瘍は一般的に放射線療法および化学療法の両方に非常に感受性であるため、治癒率が高く、限局性疾患に対して95%以上、転移性疾患に対して85から95%である。
【0011】
NSGCTは、胚性癌腫、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌腫および奇形腫に分類することができる。NSGCTは、一般的に精上皮腫と同様に放射線に感受性でないが、奇形腫を除いて、多数のNSGCTは白金を用いた化学療法に非常に感受性である。腫瘍特異的10年生存は、NSGCTに対して約90%である。
【0012】
腫瘍マーカー
日常的に測定される予後診断腫瘍マーカーには、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、α−フェトプロテイン(AFP)および乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)がある。
【0013】
HCGは、胎盤において生産される糖タンパク質であり、成体において非常に少量のみ存在する。それは、他のホルモンといくつかの類似性を共有しており、したがって、偽陽性が起こり得る。HCGレベルの上昇は、NSGCTを有する患者の60−70%において、精上皮腫を有する患者の15−20%において見ることができる。わずかなレベルの上昇は、いくつかの他の癌においても見ることができる。
【0014】
AFPは、成体において少量のみ存在する別の糖タンパク質であり、それは、特定の胎児組織において通常、生産される。腫瘍組織において、それは、NSGCTにおける卵黄嚢細胞により生産されるが、これらの細胞は、精上皮腫に存在しない。血清におけるAFPレベルの上昇は、NSGCTを有する患者の60−70%において見ることができる。レベルのわずかな上昇は、他の癌を有する患者においても見ることができる。
【0015】
いずれかの(または両方の)マーカーのレベルの上昇がNSGCT患者の60−80%において見ることができ、両方のマーカーは、進行した疾患における予後診断値を有する。
【0016】
LDは、全てのヒト細胞に存在する酵素であり、したがって、HCGおよびAFPよりも低い特異的ではないマーカーである。しかしながら、それは、とりわけ他の測定可能な腫瘍マーカーがない患者において臨床値となり得る。
【0017】
精巣癌の前工程の診断マーカーは、胎盤型アルカリホスファターゼ(PLAP)、オクタマー−3/4(OCT3/4)およびRNA結合モチーフタンパク質Y(RBMY)を含む。
【0018】
精巣癌の診断
精巣癌は、通常、超音波診断で診断される。癌を排除することができないとき、睾丸摘出(精巣の外科的除去)が通常、実施され、生検材料を分析する。生検は、また、対側精巣から得ることができる。しばしば、腫瘍マーカーのレベルも測定される。
【0019】
精巣癌の病期分類は、いくつかの系にしたがって行うことができ、1つの例は、王立マーズデン病院(RMH)系である。RMH系において、第I病期は限局性疾患を示し、第I Mk+病期は腫瘍マーカーのレベルの上昇を示し、第II(A−D)病期において、腹部リンパ節が関与する。第I−IIB病期に対する生存は、ほぼ100%である。第III病期において、横隔膜上のリンパ節が関与し、第IV病期において、リンパ系の外側に存在する転移(通常、肺転移)がある。
【0020】
予後診断因子
患者は、国際胚細胞腫瘍予後分類(IGCCCG)により開発された分類体系に基づく3つの予後診断グループ、低い危険性、中程度の危険性および高い危険性に分類することができる。NSGCTにおいて、良い予後グループに対して5年全生存は世界の一部において90%以上であり、中程度の予後グループに対してそれは約75%であり、悪い予後グループに対してそれは約48%である。精上皮腫において、悪い予後グループが存在せず、良い予後グループは約90%の5年全生存を有する患者の90%を含む。精上皮腫の中程度の予後グループは、72%の5年全生存を有する。
【0021】
多くの危険因子は、例えば、腫瘍マーカーの増加(上記参照)、転移のサイズおよび数、転移部の数および型、原発性腫瘍の組織病理学的、ならびに患者の年齢により特定されている。
【0022】
精巣癌の処置
第I病期の精上皮腫において、放射線療法をアジュバントとして与えられ得る。さらに進行した工程において、化学療法が通常、適用される。
【0023】
NSGCTを有する患者には、通常、一次処置として化学療法を与える。頻繁に適用される処置は、ブレオマイシン、エトポシドおよびシスプラチン(BEP)からなる組合せ処置である。この処置で、進行性NSGCTを有する患者の80%は治癒するが、残りの20%は治癒的処置に失敗する。
【発明の概要】
【0024】
発明の概要
本発明の局面の目的は、精巣障害、例えば、前工程または初期工程の精巣癌の診断を提供することである。
【0025】
さらに、本発明の局面の目的は、精巣癌に対する予後の確立を提供することである。
【0026】
また、本発明の局面の目的は、精巣癌処置の個人化(personalization)を提供することである。
【0027】
したがって、哺乳動物対象が第1または第2のグループのいずれに属するかを決定する方法であって、第1のグループの対象が第2のグループの対象よりも精巣障害を有する危険性が高い方法を提供する。さらに、精巣癌を有する哺乳動物対象が第1または第2のグループのいずれに属するかを決定する方法であって、第1のグループの対象の予後が第2のグループの対象の予後よりも良い方法、ならびに精巣癌を有する哺乳動物対象の処置の強度のレベルを決定するための方法を提供する。上記方法は、対象由来のサンプルにおけるRBM3タンパク質の量の評価に基づく。
【0028】
また、上記方法を実施するためのキット、RBM3タンパク質フラグメント、RBM3タンパク質の使用、RBM3を標的化することが可能であるアフィニティーリガンド、および、このようなアフィニティーリガンドの使用も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、抗−RBM3、1B5および6F11に対するウエスタンブロット結果を示す。
【図2】図2は、精巣癌患者におけるRBM3タンパク質発現を示す。患者を、不良な予後、中度の予後、良好な予後および精上皮腫の4つの異なる予後グループに分けた。
【図3】図3は、精巣癌患者におけるRBM3タンパク質発現を示す。患者を、疾患または生存の2つの異なるグループに分けた。
【発明を実施するための形態】
【0030】
説明
本明細書の第1の局面として、哺乳動物対象が第1または第2のグループのいずれに属するかを決定する方法であって、第1のグループの対象が第2のグループの対象よりも精巣障害を有する危険性が高く、
a)該対象の精巣由来の生物学的材料を含む早期に得られたサンプルの少なくとも一部におけるRBM3タンパク質の量を評価し、評価された量に対応するサンプル値を決定し、
b)該サンプル値をあらかじめ決められた参照値と比較し、
該サンプル値が該参照値よりも高いとき、
c1)該対象が第1のグループに属すると結論づけ、
該サンプル値が該参照値以下であるとき、
c2)該対象が第2のグループに属すると結論づける
工程を含む方法を提供する。
【0031】
この本明細書の第1の局面は、RBM3タンパク質が一般的にin situの精巣癌の組織において高度に発現されるが、正常精巣組織におけるRBM3タンパク質発現は一般的に低いという本発明者らの見出したことに基づく。したがって、本発明者らは、精巣由来の生物学的材料におけるRBM3タンパク質の存在が、in situの精巣癌、または精巣癌の続発に対する危険性の上昇と関連する他の状態のマーカーであると結論づける。本明細書の見出したことの一部、および他の研究者らにより確立されたデータの一部に基づいて、本発明者らは、さらに、RBM3タンパク質が精巣癌の前工程のみでなく、一般的に精巣障害に対するマーカーである可能性が高いと結論づける。他の精巣障害の例は、不妊症または癌の危険性と関連する萎縮症およびセルトリ細胞のみの症候群である。あらゆる特定の科学理論により限定されることなく、本発明者らは、RBM3タンパク質が精巣障害に対する保護に関する癌遺伝子であり得ると考えている。
【0032】
この見出したことは、種々の適用を見出し得る。第1に、精巣において高いRBM3タンパク質発現を示す対象は、注意深くモニタリングされ、および/または、さらに試験されてよく(例えば、超音波で)、恐らく、癌の発症および転移を避けるために問題の精巣を外科的に除去され得る。さらに、対象が一方の精巣において癌と診断されたとき、RBM3測定は、もう一方の精巣が、また、癌を発症する危険性があるか否かを示し得る。また、このような対象は、すでに癌を発症する高い危険性を有するため、本明細書のRBM3タンパク質測定で、停留睾丸症を有する対象をモニタリングすることと特に関連し得る。
【0033】
第1の局面の工程a)のサンプルの生物学的材料は、精液または精巣由来の細胞を含み得る。さらに、例えば、該細胞は精巣由来の組織材料の一部であり得る。該組織材料は、以前に実施されている精巣生検から得ることができる。このような生検は、しばしば、対象が精巣障害の症状を示すとき、または生殖能力検査中に実施される。精液の回収は、精巣由来の生物学的材料を得るより便利な方法であり得、また、対象を生検の不快から助ける。
【0034】
第1の局面の態様において、工程a)の評価は、セルトリ細胞以外の細胞に限定され得る。本発明者らは、正常精巣組織のセルトリ細胞はいくつかのRBM3タンパク質を発現し、したがって、第1の局面の方法の精度は、セルトリ細胞が工程a)の評価から除外されるとき、増加し得ることを見出した。評価に関連し得るセルトリ細胞以外の細胞の例は、精原細胞またはそのさらに分化した形態である。
【0035】
さらに、本発明者らは、in situの精巣癌の細胞が、主に(限らないが)核においてRBM3タンパク質を発現することを見出した。第1の局面の態様において、工程a)の評価は、したがって、該サンプルの細胞核に限定され得る。
【0036】
第1の局面の1つの態様にしたがって、第1および第2のグループ間の違いは、第1のグループの対象が第2のグループの対象よりもin situの精巣癌を有する危険性が高いことであり得ることが上記から得られる。
【0037】
同様の態様において、第1および第2のグループ間の違いは、第1のグループの対象が、第2のグループの対象よりも精巣癌、例えば、精巣胚細胞腫瘍を発症する危険性がより高いことであり得る。
【0038】
癌を発症する対象の危険性を評価する医師は、工程c)および所望によりb)を医師自身で実施するが、第1の局面の方法の工程a)および所望により工程b)を実施することを他の誰か、例えば、研究員に割り当ててもよい。
【0039】
背景の部において示されているとおり、精巣癌と診断された対象の治癒率は、比較的に高い。したがって、本発明者らは、低い危険性グループにおいて過剰な処置を避け、より強度の処置戦略をそれらを非常に必要としている患者に合わせるための患者のより良い層化における利益をもたらすと結論づける。
【0040】
本明細書の第2の局面として、したがって、精巣癌を有する哺乳動物対象が第1または第2のグループのいずれに属するかを決定する方法であって、第1のグループの対象の予後が第2のグループの対象の予後よりも良く、
a)対象由来の早期に得られたサンプルの少なくとも一部におけるRBM3タンパク質の量を評価し、評価された量に対応するサンプル値を決定し、
b)該サンプル値をあらかじめ決められた参照値と比較し、
該サンプル値が該参照値よりも高いとき、
c1)該対象が第1のグループに属すると結論づけ、
該サンプル値が該参照値以下であるとき、
c2)該対象が第2のグループに属すると結論づける
工程を含む方法を提供する。
【0041】
この本明細書の第2の局面は、高レベルのRBM3タンパク質発現を示す精巣癌対象は、一般的に低レベルのRBM3タンパク質発現を示すかかる対象よりもより良い生存率を有するという本発明者らの見出したことに基づく。精巣障害(例えば、in situの精巣癌)の診断マーカーであることに加えて、RBM3タンパク質は、したがって、精巣癌に対する予後診断マーカーである。
【0042】
RBM3タンパク質の示唆される保護役割(上記参照)は、なぜ精巣癌の前工程および精巣癌の良好な予後において上方調節されるかを説明し得る。したがって、不良な予後の精巣癌における低いRBM3タンパク質レベルは、癌に対する不良な保護の指標であり得る。
【0043】
予後診断適応は多くの利益を伴う。例えば、予後診断情報は、対象の処置に関する医師の決定の基礎を形成し得る。精巣癌対象に対する予後は通常、癌の攻撃性のレベルを反映し、特に癌の侵襲性形態が特定されたとき、通常避けられる苦痛なまたは他の何らかの不快な処置がどのみち考慮され得る。さらに、乏しい侵襲性形態が特定することができたとき、過剰処置が避けられ得る。さらなる例として、発現の特定のレベルが疾患進行の特定のパターンと相関しているマーカーとしてのRBM3タンパク質は、例えば、予測または予後の作成または処置レジメンの選択のために良い可能性を有する。
【0044】
第2の局面の方法において、精巣癌対象が第1または第2のグループのいずれに属するかを決定することであって、第1のグループの対象が、一般的に、第2のグループの対象よりもより良い予後を有すると決定する。精巣癌対象の2つのグループへの分配は、対象由来のサンプル値を参照値と比較することにより決定される。したがって、該参照値は、それぞれのグループのサイズに対する決定因子であり、参照値をより高くすると、第1のグループにおける対象がより少なくなり、試験される対象が第1のグループに属する可能性がより小さくなる。一般的に、サンプル値が増加すると予後は改善するため、場合によっては、特に良好な予後を有する対象を同定するために高い参照値が選択され得る。本明細書により導かれると、当業者は、過度の負荷なしに関連参照値を選択し得る。これは、さらに以下に記載されている。
【0045】
第1および第2のグループは、もっぱら、試験される対象と同じまたは同様の段階、分化段階および/または亜型の精巣癌を有する対象からなり得る。さらに、該グループは、同じまたは同様の年齢、人種、地理的所在、遺伝的特性または医学的状態または病歴、例えば、精巣癌歴を有する対象のみからなり得る。
【0046】
結果として、医師は、同様に最も適当な処置レジメンを選択するための手助けとなり得る精巣癌対象の予後に関してさらなる情報を得るために、第2の局面の方法を使用し得る。例えば、第2の局面の方法を使用して第1のグループに属することが示される対象は、さもなければ考慮されるであろうものよりもあまり積極的でない処置を与えられ得る(逆もまた同様)。
【0047】
本明細書の第3の局面として、したがって、精巣癌を有する哺乳動物対象の処置の強度のレベルを決定するための方法であって、
a)該対象由来の早期に得られたサンプルの少なくとも一部に存在するRBM3タンパク質の量を評価し、該量に対応するサンプル値を決定し、
b)工程b)において得られたサンプル値を参照値と比較し、
該サンプル値が該参照値よりも高いとき、
c1)該対象は第1の強度の処置を与えられるべきであると結論づけ、
該サンプル値が該参照値以下であるとき、
c2)該対象は第2の強度の処置を与えられるべきであると結論づける
工程を含み、
第2の強度は第1の強度よりも高い方法を提供する。
【0048】
強度のレベルは、例えば、対象に与えられる治療剤の平均1日または1週用量として測定され得る。したがって、第2の強度の処置は、第1の強度の処置よりもより頻繁に、または高い個々の用量で適用され得る。第2の強度の処置は、また、第1の強度の処置より積極的な治療の適用を含み得る。例えば、第2の強度の処置は組合せ処置であり得るが、第1の強度の処置は単剤療法である。さらなる可能性は、第2の強度の処置が第1の強度の処置よりも長い期間に適用されることである。
【0049】
第3の局面の態様において、したがって、c1)は該対象が第1の期間、処置を受けるべきであると結論づけ得、c2)は該対象が第2の期間、処置を受けるべきであると結論づけ得る(第2の期間が第1の期間よりも長い)。
【0050】
白金を用いた処置は、頻繁に精巣癌対象に適用される。白金を用いた処置は、白金を用いた治療剤の適用を含む。パラプラチンを含むカルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチンおよびシスプラチンは、今日、試験され、病院において使用されているいくつかの白金を用いた治療剤である。
【0051】
第3の局面の態様において、白金を用いた処置は、したがって、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチンおよびシスプラチンから選択される薬物の適用であり得る。
【0052】
第1の強度の処置は、例えば、ブレオマイシン、エトポシドおよびシスプラチンの組合せの適用であってよいが、第1の強度の処置は、これらの薬物の1つまたは2つのみの適用であり得る。
【0053】
本明細書の文脈において、「予後」は、疾患の経過または結果およびその処置の予測を示す。例えば、予後は、また、疾患からの生存率または回復率の決定、ならびに対象の予期される生存時間の予測を示し得る。予後は、特に、将来の期間、例えば、3年、5年、10年または他のあらゆる期間の対象の生存の可能性を確立することを含み得る。さらに、予後は、単一の値または広範な値により示され得る。
【0054】
態様において、予後は生存の可能性であり得る。「生存」を測定するためにいくつかの方法がある。本明細書の生存は、例えば、全生存、無進行生存または精巣癌特異的生存であり得る。さらに、「生存」は、異なる期間、例えば、5、10または15年にわたって測定され得る。したがって、生存は、5年、10年または15年生存であり得る。
【0055】
以下の実施例のサンプルは、精巣胚細胞癌由来である。第2または第3の局面の態様において、精巣癌は、したがって、精巣胚細胞癌である。
【0056】
一般的に、精上皮腫精巣癌を有する対象は、非常に良好な予後を有する。したがって、非精上皮腫性精巣癌を有する対象に対する予後を確立するためにさらに関連し得る。さらに、RBM3は、以下の実施例において、このような対象と予後診断的に関連することを示す。第2または第3の局面の態様において、精巣癌は、したがって、非精上皮腫性であり得る。
【0057】
第2または第3の局面の方法の態様において、サンプルは体液サンプルであり得る。例えば、体液サンプルは、血液、血漿、血清、脳脊髄液、尿、精漿、精液、リンパ液および滲出液からなる群から選択され得る。あるいは、サンプルは、細胞学的サンプルまたは糞便サンプルであり得る。
【0058】
RBM3タンパク質発現のレベルは、好ましくは、細胞内的に測定される。したがって、体液、細胞学的または糞便サンプルは、例えば、細胞、例えば、対象の精巣由来の腫瘍細胞を含み得る。
【0059】
第2または第3の局面の方法のさらなる態様において、サンプルは、例えば、精巣の早期外科的除去由来の精巣腫瘍組織サンプルであり得る。
【0060】
さらに、本発明者らは、RBM3タンパク質の核発現が、特に、予後の決定または処置の選択に関連することについて述べている。
【0061】
したがって、第2または第3の局面の工程a)の評価は、該サンプルの腫瘍細胞の核に限定され得る。結果として、組織サンプルが試験されるとき、腫瘍細胞の核のみが考慮され得る。このような試験は、例えば、免疫組織化学的染色により補助され得る。
【0062】
本明細書の方法の工程a)に関して、RBM3タンパク質の量の増加は、一般的に、サンプル値の増加をもたらし、反対にはならない。しかしながら、いくつかの態様において、評価された量は、別々のサンプル値の任意のあらかじめ決められた数のいずれかに対応し得る。このような態様において、第1の量および第2の増加した量は、同じサンプル値に対応し得る。とにかく、RBM3タンパク質の量の増加は、本明細書の文脈においてサンプル値の減少をもたらさない。
【0063】
しかしながら、不便なことに、同等の様式において、工程b)とc)間の制限が逆であるとき、評価された量はサンプル値と逆に関連し得る。例えば、句「サンプル値が参照値よりも高いとき」が「サンプル値が参照値よりも低いとき」と置き換えられると、工程b)とc1)間の制限は逆になる。
【0064】
一般的に、精巣癌を有する患者に対する適当な処置戦略を決定するとき、処置に関与する医師は、いくつかのパラメーター、例えば、免疫組織化学的評価の結果、患者年齢、腫瘍亜型、工程および程度、全身状態および病歴、例えば、精巣癌歴を考慮し得る。決定に導くために、該医師は、第2または第3の局面にしたがって、試験を実施するか、または実施される試験を指示し得る。さらに、該医師は、工程c)および所望によりb)を医師自身で実施するが、工程a)および所望により工程b)を実施することを他の誰か、例えば、研究員に割り当ててもよい。
【0065】
さらに、本明細書の方法の文脈において、「早期に得られた」は、該方法が実施される前に得られることを示す。結果として、対象由来の早期に得られたサンプルが方法において使用されるとき、該方法は対象由来のサンプルを得ることを含まない、すなわち、該サンプルは該方法から離れている工程において該対象からあらかじめ得た。
他に記載のない限り、本明細書のすべての方法および使用は、完全にインビトロで実施され得る。
【0066】
さらに、本明細書の文脈において、「精巣癌を有する哺乳動物対象」は、精巣腫瘍を有する哺乳動物対象または精巣腫瘍が除去されている哺乳動物対象を示し、腫瘍の除去は手術または治療のあらゆる適当な型により腫瘍を殺すか、または除去することを示す。本明細書の方法および使用局面において、「精巣癌を有する哺乳動物対象」は、また、哺乳動物対象が使用または方法の実施時に精巣癌を有することが疑われ、精巣癌診断が後に確立される場合を含む。
【0067】
さらに、本明細書の文脈において、「参照値」は、対象に対する診断、予後または適当な処置戦略に関して、決定の作成または結論の引き出しに関連することが見出されているあらかじめ決められた値を示す。
【0068】
上記局面の方法の工程a)は、サンプルの少なくとも一部に存在するRBM3タンパク質の量を評価すること、および該量に対応するサンプル値を決定することを含む。「サンプルの少なくとも一部」は、適当な処置に関して、診断または予後の確立または結論の引き出しのためのサンプルの関連部分を示す。当業者は、方法を実施するときに、環境下で関連するどの部分が存在するか理解している。
【0069】
さらに、工程a)において、量が評価され、量に対応するサンプル値が決定される。結果として、RBM3タンパク質の量の正確な測定は、サンプル値を得るために必要でない。例えば、RBM3タンパク質の量は、染色された組織サンプルの目視検査により評価され得、次に、サンプル値は、例えば、評価された量に基づいて「高い」または「低い」として分類され得る。
【0070】
当業者は、このような評価および決定を実施する方法を理解している。さらに、本明細書は助言を提供する。
【0071】
工程a)の評価および決定は、サンプルの何らかの処理または操作を必要とする。単なる検査によりサンプル値を決定することが可能でない。このような評価および決定のためにいくつかが以下に挙げられている種々の技術は、当業者によく知られている。したがって、本明細書の方法は、工程a)の実施のために何ら特定の技術に限定されない。
【0072】
上記局面の方法を実施するとき、このような場合において、工程a)において、RBM3タンパク質がサンプルに存在するか否かのみを確立させるべきであるため、参照値として0を使用することが便利であり得る。
【0073】
したがって、上記局面の方法の態様において、工程a)のサンプル値は、サンプルにおける検出可能なRBM3タンパク質の存在に対応する1、またはサンプルにおける検出可能なRBM3タンパク質の非存在に対応する0のいずれかであり得る。結果として、このような態様において、サンプルの評価はデジタルであり、すなわち、RBM3タンパク質が存在するか否かのいずれかを考える。本明細書の文脈において、「検出可能なRBM3タンパク質がない」は、通常の操作可能な状況中に工程a)を実施する者または装置により検出可能でないごく少量であるRBM3タンパク質の量を示す。「通常の操作可能な状況」は、当業者が本明細書の方法を実施するために適当であると認める実験室的方法および技術を示す。
【0074】
したがって、本明細書の方法の態様において、工程b)の参照値は0であり得る。本明細書の方法のさらなる態様において、工程b)の参照値が検出可能なRBM3タンパク質を有さない参照サンプルに対応し得るということになる(以下参照)。
【0075】
本明細書の文脈において、「サンプル値」および「参照値」なる用語は、広く解釈するべきである。これらの値を得るためのRBM3タンパク質の定量化は、自動方法を介して、サンプルの視覚的または顕微鏡的検査に基づく採点システムを介して、またはそれらの組合せを介して行われ得る。しかしながら、また、例えば、RBM3タンパク質発現のために調製され染色された組織スライドの検査によりサンプルおよび参照値を決定することが、当業者、例えば、組織病理学的の当業者に可能である。したがって、サンプル値が参照値よりも高いことの決定は、サンプル組織スライドが参照組織スライドよりもより密に染色されていることの視覚的または顕微鏡的検査での決定に対応し得る。サンプル値は、また、文献参照により得られる参照値、例えば、言葉において記載されている、または参照図による参照値と比較され得る。結果として、サンプルおよび/または参照値は、いくつかの場合において、当業者が検査および比較時に決定する精神的な(mental)値であり得る。
【0076】
本明細書の方法の1つ以上の工程は、装置において実行し得る。例えば、工程a)および所望により工程b)は、自動分析装置において実施され得、このような装置は、免疫組織化学的分析のために適合させた基盤に基づき得る。一例として、問題の対象由来の1つ以上の組織サンプルは、免疫組織化学的な分析のために手動的に調製され、次に工程a)のサンプル値を与え、また所望により工程b)の参照値との比較を行う自動分析装置に負荷され得る。次に、分析を実施するオペレーター、分析を指示する医師または装置それ自体は、工程c)の結論を引き出し得る。結果として、工程c)の結論を引き出すために適合させたソフトウェアは、装置を実行させ得る。
【0077】
対象由来のサンプル値との比較としての使用のための、診断もしくは予後の確立または処置決定の作成に関連することが見出されている参照値は、種々の方法において提供され得る。本明細書の教示の知識で、当業者は、過度の負荷を強いることなく、本明細書の方法を実施するための関連参照値を提供することができる。
【0078】
上記局面の方法を実施する者は、例えば、参照値を所望の情報に適合させ得る。第2の局面に関して、参照値は、例えば、生存に関して非常に重要な情報を得るために適合され得る。
【0079】
第1の局面の方法の態様において、参照値は、正常精巣組織の参照サンプルにおいて測定されるRBM3タンパク質の量に対応し得る。参照サンプルのタンパク質発現の量は、以前に確立されていてもよい。
【0080】
第2または第3の局面の方法の態様において、参照値は、腫瘍細胞を含む参照サンプル、例えば、腫瘍組織の参照サンプルにおいて測定されるRBM3タンパク質の量に対応し得る。参照サンプルのタンパク質発現の量は、好ましくは以前に確立されていてもよい。
【0081】
結果として、該参照値は、あらかじめ決められた量のRBM3タンパク質を発現する細胞を含む参照サンプルにおいて測定されるRBM3タンパク質の量により提供され得る。
【0082】
さらに、参照値は、例えば、あらかじめ決められた、または制御されたRBM3タンパク質の量を発現する細胞株、例えば、癌細胞株を含む参照サンプルにおいて測定されたRBM3タンパク質の量により提供され得る。当業者は、例えば、Rhodes et al. (2006) The biomedical scientist, p 515-520の記載により導かれて、このような細胞株を提供する方法を理解している。
【0083】
結果として、本明細書の方法の態様において、参照値は、参照サンプルにおけるRBM3タンパク質の量に対応するあらかじめ決められた値であり得る。
【0084】
しかしながら、以下にさらに記載されているとおり、参照サンプルにおけるRBM3タンパク質の量は、参照値に直接対応しなくてもよい。参照サンプルは、また、種々の参照値を評価するための方法を実施する者を手助けするRBM3タンパク質の量を提供し得る。例えば、該参照サンプルは、「陽性」参照値および/または「陰性」参照値を提供することにより、参照値の心像(mental image)の創造において手助けとなり得る。
【0085】
サンプル、例えば、対象由来の早期に得られたサンプルまたは参照サンプルにおけるRBM3タンパク質発現の定量化のための別の方法は、特定のレベルを越えるRBM3タンパク質発現を示すサンプルにおける細胞の画分の決定である。画分は、例えば、全細胞のRBM3タンパク質発現が考慮される「細胞画分」、細胞の細胞質のみのRBM3タンパク質発現が考慮される「細胞質画分」、または細胞の核のみのRBM3タンパク質発現が考慮される「核画分」であり得る。核または細胞質画分は、例えば、関連細胞集団の免疫反応細胞が<2%、2−25%、>25−75%または>75として分類され得る。「細胞質画分」は、細胞質において陽性染色を示すサンプルにおける関連細胞のパーセントに対応し、細胞質における中位の、またははっきりとしたおよび強い免疫反応は陽性と考え、細胞質における存在しない、またはわずかな免疫反応は陰性と考える。「核画分」は、核において陽性染色を示すサンプルにおける関連細胞のパーセントに対応し、核における中位の、またははっきりとしたおよび強い免疫反応は陽性と考え、核における存在しない、またはわずかな免疫反応は陰性と考える。病理学的の当業者は、方法を実施するとき、条件と関連するどの細胞が存在するか理解しており、一般知識および本明細書の教示に基づいて細胞質または核画分を決定し得る。さらに、当業者は、「細胞画分」を使用して対応する測定を実施する方法を理解している。
【0086】
サンプル、例えば、対象由来の早期に得られたサンプルまたは参照サンプルにおけるRBM3タンパク質発現の定量化のための別の方法は、サンプルの全染色強度の決定である。強度は、例えば、全細胞のRBM3タンパク質発現が考慮される「細胞強度」、細胞の細胞質のみのRBM3タンパク質発現が考慮される「細胞質強度」、または細胞の核のみのRBM3タンパク質発現が考慮される「核強度」であり得る。細胞質および核強度は、臨床的組織病理学的診断において使用される標準にしたがって主観的に評価される。細胞質強度決定の結果は、存在しない=サンプルの関連細胞の細胞質において全免疫反応がない、弱い=サンプルの関連細胞の細胞質においてわずかな全免疫反応、中程度=サンプルの関連細胞の細胞質において中位の全免疫反応、または強い=サンプルの関連細胞の細胞質においてはっきりとしたおよび強い全免疫反応として分類され得る。核強度決定の結果は、存在しない=サンプルの関連細胞の核において全免疫反応がない、弱い=サンプルの関連細胞の核においてわずかな全免疫反応、中程度=サンプルの関連細胞の核において中位の全免疫反応、または強い=サンプルの関連細胞の核においてはっきりとしたおよび強い全免疫反応として分類され得る。いくつかの態様において、弱いおよび中程度の値は、弱い/中程度の値に組み合わされ得る。当業者は、方法を実施するとき、条件と関連するどの細胞が存在するか理解しており、一般知識および本明細書の教示に基づいて核または細胞質強度を決定し得る。さらに、当業者は、「細胞強度」を使用して対応する測定を実施する方法を理解している。
【0087】
RBM3タンパク質は、精巣細胞の核および細胞質の両方において発現されるが、本発明者らは、核発現が特に関連し得ることを見出した。上記局面の方法の態様において、参照値は、したがって、核画分、核強度またはそれらの組合せであり得る。したがって、サンプル値は、核画分、核強度またはそれらの組合せであり得る。
【0088】
図面に示されているとおり、種々の画分および強度は、関連参照値として機能し得る。
【0089】
したがって、上記局面の方法の態様において、工程c)における結論の基準は、サンプル値が0%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%または95%の核または細胞質画分よりも高いことである。
【0090】
上記局面の方法の別の、または相補的態様において、工程b)の参照値は、95%以下、例えば、90%以下、例えば、85%以下、例えば、80%以下、例えば、75%以下、例えば、70%以下、例えば、65%以下、例えば、60%以下、例えば、55%以下、例えば、50%以下、例えば、45%以下、例えば、40%以下、例えば、35%以下、例えば、30%以下、例えば、25%以下、例えば、20%以下、例えば、15%以下、例えば、10%以下、例えば、5%以下、例えば、2%以下、例えば、1%以下、例えば、0%の核または細胞質画分である。
【0091】
さらに、上記局面の方法の態様において、工程c)における結論の基準は、存在しない細胞質または核強度より高い、例えば、弱い細胞質または核強度より高い、例えば、中程度の細胞質または核強度より高いサンプル値であり得る。上記局面の方法の別の、または相補的態様において、工程b)の参照値は、RBM3タンパク質発現の中程度の細胞質または核強度またはそれ未満、例えば、RBM3タンパク質発現の弱い細胞質または核強度またはそれ未満、例えば、存在しない細胞質または核強度であり得る。
【0092】
また、上記局面の方法の態様において、参照値は、画分値および強度値の組合せまたは相関関係であり得る。したがって、参照値は、2つ以上の基準でさえ含み得る。
【0093】
一般的に、参照値としての強度値および/または画分値の選択は、染色処理、例えば、使用される抗体の型および量/濃度ならびに染色試薬の型および濃度に依存し得る。
【0094】
本発明者らは、比較的低い参照値が、とりわけ、モノクローナル抗体1B5(以下参照)が使用されるとき、第1の局面の診断を結論づけるために特に関与し得ることを見出した。ここで、「比較的低い」参照値は、25%以下、例えば、10%以下の核または細胞質画分、弱い核または細胞質強度またはそれ未満、例えば、非存在の核または細胞質強度、または1以下、例えば、0の染色スコア(SS、実施例の部8a参照)を示す。
【0095】
実施例の部8において、RBM3タンパク質発現の最も高いレベルを示す精巣癌対象の100%が生存したこと、実施例の部9において、in situの精巣癌と診断されたすべての対象がRBM3タンパク質発現の最も高いレベルを示したことを示している。したがって、比較的高い参照値は、また、上記局面の診断または予後診断を結論づけるために特に関与し得る。ここで、「比較的高い」参照値は、50%以上の核または細胞質画分、中程度の核または細胞質強度、または2の染色スコア(SS、実施例の部8A参照)を示す。
【0096】
本明細書により導かれると、当業者、例えば、病理学者は、画分、例えば、細胞、細胞質または核画分、または、強度、例えば、細胞、細胞質または核強度を得て、評価を行う方法を理解している。例えば、当業者は、特定の画分または強度の外観を確立するために、あらかじめ決められた量のRBM3タンパク質を含む参照サンプルを使用し得る。
【0097】
しかしながら、参照サンプルは、実際の参照値の提供のために使用されるだけでなく、参照値に対応する量より高いRBM3タンパク質の量を有するサンプルの例の提供のためにもまた使用され得る。一例として、組織化学的染色において、例えば、免疫組織化学的染色において、当業者は、高い量のRBM3タンパク質を有する染色されたサンプルの外観を確立するための参照サンプル、例えば、陽性参照を使用し得る。次に、当業者は、より少ない量のRBM3タンパク質を有するサンプルの外観、例えば、参照値に対応するRBM3タンパク質の量を有するサンプルの外観を評価し得る。言い換えれば、当業者は、参照サンプルを使用して、参照サンプルのRBM3タンパク質の量よりも少ないRBM3タンパク質の量に対応する参照値の心像を創造し得る。あるいは、または相補的に、このような評価において、当業者は、このようなサンプルの外観を確立するために少量のRBM3タンパク質を有する、または検出可能なRBM3タンパク質を欠いている別の参照サンプル、例えば、「陰性参照」を使用し得る。
【0098】
例えば、中程度の核強度が参照値として使用されるとき、以下の2つの参照サンプルを使用し得る。検出可能なRBM3タンパク質を有さず、したがって、参照値よりも低い、存在しない核強度に対応する第1の参照サンプル、および、参照値よりも高く、強い核強度に対応するRBM3タンパク質の量を有する第2の参照サンプル。
【0099】
結果として、評価において、当業者は、高い量のRBM3タンパク質を有するサンプルの外観を確立するために参照サンプルを使用し得る。このような参照サンプルは、高い量のRBM3タンパク質を発現する組織を含むサンプル、例えば、以前に確立されている高い発現のRBM3タンパク質を有する組織を含むサンプルであり得る。
【0100】
したがって、参照サンプルは、強い核強度(NI)の一例を提供し得る。強いNIを有するサンプルの外観が分かると、次に当業者はサンプルをNIカテゴリー、存在しない、弱い、中程度および強いに分け得る。この分配は、さらに、検出可能なRBM3タンパク質を欠いている参照サンプル(陰性参照)、すなわち、存在しない核強度を提供する参照サンプルにより補助され得る。また、参照サンプルは、75%以上の核画分(NF)を有するサンプルの一例を提供し得る。75%以上の陽性細胞を有するサンプルの外観が分かると、次に、当業者は、例えば、より低いパーセントの陽性細胞を有する他のサンプルのNFを評価し得る。この分配は、さらに、本質的にRBM3タンパク質を欠いている参照サンプル(陰性参照)、すなわち、低いNF(例えば、<5%、例えば、<2%)、または0のNFを提供する参照サンプルにより補助され得る。
【0101】
上記のとおり、制御された量のRBM3タンパク質を発現する細胞株は、参照、特に陽性参照として使用され得る。
【0102】
1つ以上の図(picture)は、また、「参照サンプル」として提供され得る。例えば、このような図は、特定の条件で特定の抗体で染色され、特定の核強度および/または画分を示す組織スライドの一例を示し得る。「参照サンプル」に対する上記載は、図に変更すべきところは変更して適用する。
【0103】
細胞株または図は、また、本明細書のキットの一部を形成し得る(以下参照)。
【0104】
さらに、当業者は、タンパク質が関連遺伝子によってコードされ、発現の関連パターンを示す限り、上記局面の方法の有用性が問題の対象に存在するRBM3タンパク質の特定の変異体の定量化に限定されないことを認識すべきである。非限定的な例として、RBM3タンパク質は
i)配列番号:1、および
ii)配列番号:1と少なくとも85%同一である配列
から選択される配列を含み得る。
【0105】
いくつかの態様において、上記配列ii)は、配列番号:1と少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一である。
【0106】
別の非限定的な例として、RBM3タンパク質は、
i)配列番号:2、および
ii)配列番号2と少なくとも85%同一である配列
から選択される配列を含むか、またはそれからなり得る。
【0107】
いくつかの態様において、上記配列ii)は、配列番号:2と少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一である。
【0108】
本明細書の文脈において使用される「%同一」なる用語は、以下のとおりに計算される。質問(query)配列は、CLUSTAL W アルゴリズム(Thompson, J.D., Higgins, D.G. and Gibson, T.J., Nucleic Acids Research, 22: 4673-4680 (1994))を使用して、標的配列にアラインされる。それぞれの位置でアミノ酸残基を比較し、標的配列において同一一致を有する質問配列における位置のパーセントを%同一として報告する。また、標的配列は、比較される位置の数を決定する。結果として、本明細書の文脈において、標的配列よりも短い質問配列は、標的配列と100%同一であり得ない。例えば、85個のアミノ酸の質問配列は、100個のアミノ酸の標的配列と最大で85%同一であり得る。
【0109】
いくつかの態様において、上記局面の方法の工程a)は、対象由来の生物学的材料を得て、生物学的材料の関連部分を切除または選択し、該サンプルを得て、所望によりサンプルを固相上に配置し、工程a)の評価を容易にすることを含み得る。工程a)は、したがって、一例として、対象由来の組織材料を得て、所望によりパラフィンまたはホルマリンにおいて組織材料を固定し、該組織材料を組織処理し、該サンプルを構成する切片を得て、所望により透明なスライド、例えば、顕微鏡のスライドガラス上に該サンプルを置くことを含み得る。
【0110】
上記局面の方法の態様において、RBM3タンパク質は、RBM3タンパク質と選択的相互作用が可能である検出可能および/または定量化可能なアフィニティーリガンドのサンプルへの適用を介して、検出および/または定量され得る。アフィニティーリガンドの適用は、サンプルにおけるRBM3タンパク質へのアフィニティーリガンドの結合を可能にする条件下で実施される。
【0111】
具体化するために、上記局面の方法の態様において、工程a)は
a1)評価されるRBM3タンパク質と選択的相互作用が可能である定量化可能なアフィニティーリガンドを該サンプルに適用し、該適用は該サンプルに存在するRBM3タンパク質への該アフィニティーリガンドの結合を可能にする条件下で実施され、
a2)非結合アフィニティーリガンドを除去し、
a3)該サンプルと共に残っているアフィニティーリガンドを定量し、該量を評価する
ことを含み得る。
【0112】
「サンプルと共に残っているアフィニティーリガンド」は、工程a2)において除去されなかったアフィニティーリガンド、例えば、サンプルへ結合したアフィニティーリガンドを示す。ここで、結合は、例えば、抗体と抗原間の相互作用であり得る。
【0113】
しかしながら、いくつかの態様において、a2)の非結合アフィニティーリガンドの除去、例えば、洗浄は、いつも必要ではない。したがって、上記局面の方法のいくつかの態様において、工程a)は
aI)評価されるRBM3タンパク質と選択的相互作用が可能である定量化可能なアフィニティーリガンドを該サンプルに適用し、該適用は該サンプルに存在するRBM3タンパク質への該アフィニティーリガンドの結合を可能にする条件下で実施され、
aII)該サンプルに結合したアフィニティーを定量し、該量を評価する
ことを含み得る。
【0114】
本明細書の文脈において、例えば、その標的または抗原とアフィニティーリガンドの、「特異的」または「選択的」相互作用は、相互作用が、特異的と非特異的、または選択的と非選択的の相互作用間の区別が意味を成すということであることを意味する。2つのタンパク質間の相互作用は、ときどき、解離定数により測定される。解離定数は、2つの分子間の結合(またはアフィニティー)の強度を示す。一般的に、抗体とその抗原間の解離定数は、10−7から10−11Mである。しかしながら、高い特異性/選択性は、必ずしも高いアフィニティーを必要としない。その対応物に対して低いアフィニティー(モル範囲において)を有する分子は、さらに高いアフィニティーを有する分子と同程度の選択的/特異的を示している。本明細書の場合において、特異的または選択的相互作用は、特定の方法が、組織サンプルまたは天然の、または処理された生物学的液体の液体サンプルにおける他のタンパク質の存在における所定の条件下で特異的タンパク質、標的タンパク質の存在および/または量を決定するために使用することができる程度を示す。言い換えれば、特異性または選択性は、関連タンパク質間で区別する能力である。特異的および選択的は、ときどき本説明において互換的に使用される。例えば、抗体の特異性または選択性は、以下の実施例の部2において決定され、分析は、それぞれタンパク質アレイ設定、懸濁液ビーズアッセイおよび多重競合アッセイを使用して実施され得る。特異性および選択性決定は、また、Nilsson P et al. (2005) Proteomics 5:4327-4337に記載されている。
【0115】
適当なアフィニティーリガンドを選択または製造する、および検出および/または定量化のための適当な形式および条件を選択することは当業者の能力の範囲内と考えられる。それにもかかわらず、有用であることが認められ得るアフィニティーリガンドの例、ならびに検出および/または定量化のための形式および条件の例は、説明のために以下に挙げられている。
【0116】
したがって、本明細書の態様において、アフィニティーリガンドは、抗体、そのフラグメントおよびその誘導体、すなわち、免疫グロブリン骨格に基づくアフィニティーリガンドからなる群から選択され得る。抗体およびそのフラグメントまたは誘導体は単離され得る。抗体は、マウス、ウサギ、ヒトおよび他の抗体、ならびに異なる種由来の配列を含むキメラ抗体、例えば、部分的ヒト化抗体、例えば、部分的ヒト化マウス抗体を含む、あらゆる起源のモノクローナルおよびポリクローナル抗体を含む。ポリクローナル抗体は、選択した抗原で動物の免疫化により生産される。ポリクローナル抗体は単一特異的であり得る。定義された特異性のモノクローナル抗体は、Kohler and Milstein (Koehler G and Milstein C (1976) Eur. J. Immunol. 6:511-519)により開発されたハイブリドーマ科学技術を使用して生産することができる。本明細書の抗体フラグメントおよび誘導体は、フラグメントまたは誘導体である抗体と同じ抗原(例えば、RBM3タンパク質)と選択的相互作用が可能である。抗体フラグメントおよび誘導体は、完全な免疫グロブリンタンパク質の重鎖の第1の定常ドメイン(CM)、軽鎖の定常ドメイン(CL)、重鎖の可変ドメイン(VH)および軽鎖の可変ドメイン(VL)からなるFabフラグメント;2つの可変抗体ドメインVHおよびVLからなるFvフラグメント(Skerra A and Pluckthun A (1988) Science 240:1038-1041);フレキシブルな(flexible)ペプチドリンカーにより一緒に連結された2つのVHおよびVLドメインからなる一本鎖Fvフラグメント(scFv)(Bird RE and Walker BW (1991) Trends Biotechnol. 9:132-137);ベンズ・ジョーンズ(Bence Jones)ダイマー(Stevens FJ et al. (1991) Biochemistry 30:6803-6805);ラクダ重鎖ダイマー(Hamers-Casterman C et al. (1993) Nature 363:446-448)および単一可変ドメイン(Cai X and Garen A (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93:6280-6285; Masat L et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91:893-896)、および単一ドメイン骨格、例えば、テンジクザメ由来の新規抗原受容体(NAR)(Dooley H et al. (2003) Mol. Immunol. 40:25-33)および可変重鎖ドメインに基づくミニボディー(minibody)(Skerra A and Pluckthun A (1988) Science 240:1038-1041)を含む。
【0117】
いくつかの態様において、本明細書のアフィニティーリガンドは、配列番号:1のアミノ酸配列からなるペプチドと選択的相互作用が可能である。以下の実施例の部1bの下に記載されるとおり、配列番号:1のRBM3フラグメントは、成熟型タンパク質において開裂されるため、大腸菌において効率的な発現を保証するために膜貫通領域を欠くように、任意のシグナルペプチドを欠くように設計された。したがって、配列番号:1は、免疫化のために設計された。加えて、タンパク質フラグメントは、他のヒトタンパク質と低い相同性を有するユニークな(unique)配列からなり、産生されたアフィニティー試薬の交差反応性を最小限にし、立体構造エピトープの形成やさらには細菌系における効率的なクローニングおよび発現を可能にするのに適当なサイズであるように設計された。したがって、アフィニティーリガンドが抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体である場合において、アフィニティーリガンドは、アミノ酸配列が配列番号:1の配列からなるペプチドで動物を免疫化する工程を含むプロセスにより得ることができる。例えば、免疫化工程は、フロイント完全アジュバント中のタンパク質での一次免疫化を含み得る。また、免疫化処理は、さらに、2−6週間の間隔をおいてフロイント不完全アジュバント中のタンパク質で少なくとも2回の追加免役を含み得る。所定の標的に対する抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体の生産の工程は、当分野で知られている。
【0118】
さらに、以下の実施例の部4の下に記載されるとおり、2つのエピトープ領域(配列番号:4および配列番号:5)は、配列番号:1内に同定されている。したがって、アフィニティーリガンドは、アミノ酸配列が配列番号:4または配列番号:5からなるペプチドで動物を免疫化する工程を含むプロセスにより得ることができる。また、抗体またはフラグメントは、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:6−19から選択される配列を含むRBM3フラグメントで動物を免疫化する工程を含むプロセスにより得ることができる。
【0119】
配列番号4−19についてさらなる議論のために、以下を参照。
本明細書の文脈において「単一特異的抗体」は、それ自体の抗原におけるアフィニティー精製され、それにより、他の抗血清タンパク質および非特異的抗体からこのような単一特異的抗体を分離されたポリクローナル抗体の1つまたは集団である。このアフィニティー精製は、その抗原に選択的に結合する抗体をもたらす。本明細書の場合において、ポリクローナル抗血清は、2工程免疫アフィニティーに基づくプロトコールにより精製され、標的タンパク質に対して選択的な単一特異的抗体を得る。抗原フラグメントの一般的なアフィニティータグに対する抗体は、捕獲剤として固定されたタグタンパク質を使用する第1の枯渇工程において除去される。第1の枯渇工程後、血清を捕獲剤として抗原を有する第2のアフィニティーカラムに負荷し、抗原に対して特異的な抗体を豊富にする(Nilsson P et al. (2005) Proteomics 5:4327-4337も参照)。
【0120】
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体、ならびにそれらのフラグメントおよび誘導体は、選択的生体分子認識を必要とする適用における、例えば、上記方法の局面のRBM3タンパク質の検出および/または定量化におけるアフィニティーリガンドの従来の選択性を示す。しかしながら、当業者は、選択的結合リガンドのハイスループット産生および低コスト生産系の要求の増加によって、新規生体分子多様性科学技術がこの10年間に開発されていることを知っている。これは、免疫グロブリンならびに生体分子認識適用における結合リガンドとして有用であることが認められ、免疫グロブリンの代わりに、または一緒に使用することができる非免疫グロブリン起源の両方のアフィニティーリガンドの新規型の産生を可能にしている。
【0121】
アフィニティーリガンドの選択性に必要な生体分子の多様性は、複数の可能性ある骨格分子の1つの組み合わせ操作により産生され得、次に、特異的/選択的アフィニティーリガンドは、適当な選択基盤を使用して選択される。骨格分子は、免疫グロブリンタンパク質起源(Bradbury AR and Marks JD (2004) J. Immunol. Meths. 290:29-49)、非免疫グロブリンタンパク質起源(Nygren PA and Skerra A (2004) J. Immunol. Meths. 290:3-28)、またはオリゴヌクレオチド起源(Gold L et al. (1995) Annu. Rev. Biochem. 64:763-797)のものであり得る。
【0122】
多くの非免疫グロブリンタンパク質骨格は、新規結合タンパク質の開発における支持構造として使用されている。本明細書の使用のためにRBM3タンパク質に対するアフィニティーリガンドを産生するために有用なこのような構造の非限定的な例は、ブドウ球菌タンパク質Aおよびそのドメインおよびこれらのドメインの誘導体、例えば、タンパク質Z(Nord K et al. (1997) Nat. Biotechnol. 15:772777);リポカリン(Beste G et al. (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 96:18981903);アンキリン反復ドメイン(Binz HK et al. (2003) J. Mol. Biol. 332:489503);セルロース結合ドメイン(CBD)(Smith GP et al. (1998) J. Mol. Biol. 277:317-332; Lehtio J et al. (2000) Proteins 41:316-322);γ結晶(Fiedler U and Rudolph R, W001/04144);緑色蛍光タンパク質(GFP)(Peelle B et al. (2001) Chem. Biol. 8:521-534);ヒト細胞毒性Tリンパ球関連抗原4(CTLA−4)(Hufton SE et al. (2000) FEBS Lett. 475:225-231; Irving RA et al. (2001) J. Immunol. Meth. 248:31-45);プロテアーゼ阻害剤、例えば、ノッティン(Knottin)タンパク質(Wentzel A et al. (2001) J. Bacteriol. 183:7273-7284; Baggio R et al. (2002) J. Mol. Recognit. 15:126-134)およびクニッツ(Kunitz)ドメイン(Roberts BL et al. (1992) Gene 121:9-15; Dennis MS and Lazarus RA (1994) J. Biol. Chem. 269:22137-22144);PDZドメイン(Schneider S et al. (1999) Nat. Biotechnol. 17:170-175);ペプチドアプタマー、例えば、チオレドキシン(Lu Z et al. (1995) Biotechnology 13:366-372; Klevenz B et al. (2002) Cell. Mol. Life Sci. 59:1993-1998);ブドウ球菌ヌクレアーゼ(Norman TC et al. (1999) Science 285:591-595);テンダミスタット(McConell SJ and Hoess RH (1995) J. Mol. Biol. 250:460-479; Li R et al. (2003) Proteins Eng. 16:65-72);フィブロネクチンIII型ドメインに基づくトリネクチン(Koide A et al. (1998) J. Mol. Biol. 284:11411151; Xu L et al. (2002) Chem. Biol. 9:933-942);および亜鉛フィンガー(Bianchi E et al. (1995) J. Mol. Biol. 247:154-160; Klug A (1999) J. Mol. Biol. 293:215218; Segal DJ et al. (2003) Biochemistry 42:2137-2148)である。
【0123】
非免疫グロブリンタンパク質骨格の上記の例は、新規結合特異性の産生のために使用される単一の無作為化ループを提供する骨格タンパク質、タンパク質表面から突出している側鎖が新規結合特異性の産生のために無作為化されている強固な二次構造を有するタンパク質骨格、および新規結合特異性の産生のために使用される非連続の超可変ループ領域を示す骨格を含む。
【0124】
非免疫グロブリンタンパク質に加えて、オリゴヌクレオチドは、また、アフィニティーリガンドとして使用され得る。アプタマーまたはデコイと呼ばれる一本鎖核酸は、明確に定義された三次元構造に折りたたまれ、高いアフィニティーおよび特異性を有するその標的に結合する(Ellington AD and Szostak JW (1990) Nature 346:818-822; Brody EN and Gold L (2000) J. Biotechnol. 74:5-13; Mayer G and Jenne A (2004) BioDrugs 18:351-359)。オリゴヌクレオチドリガンドは、RNAまたはDNAのいずれかであってよく、広範な標的分子クラスに結合することができる。
【0125】
任意の上記骨格構造の変異体のプールから所望のアフィニティーリガンドの選択性のために、多くの選択基盤が、選択された標的タンパク質に対する特異的新規リガンドの単離のために利用できる。選択基盤は、ファージディスプレイ(Smith GP (1985) Science 228:1315-1317)、リボソームディスプレイ(Hanes J and Pluckthun A (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94:4937-4942)、酵母ツーハイブリッド系(Fields S and Song O (1989) Nature 340:245-246)、酵母ディスプレイ(Gai SA and Wittrup KD (2007) Curr Opin Struct Biol 17:467-473)、mRNAディスプレイ(Roberts RW and Szostak JW (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94:12297-12302)、細菌ディスプレイ(Daugherty PS (2007) Curr Opin Struct Biol 17:474-480, Kronqvist N et al. (2008) Protein Eng Des Sel 1-9, Harvey BR et al. (2004) PNAS 101(25):913-9198)、ミクロビーズディスプレイ(Nord O et al. (2003) J Biotechnol 106:1-13、W001/05808)、SELEX(試験管内進化法(System Evolution of Ligands by Exponential Enrichment))(Tuerk C and Gold L (1990) Science 249:505-510)およびタンパク質フラグメント相補性アッセイ(PCA)(Remy I and Michnick SW (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 96:5394-5399)を含むが、これらに限定されない。
【0126】
したがって、本明細書の態様において、アフィニティーリガンドは、任意の上記タンパク質骨格由来の非免疫グロブリンアフィニティーリガンド、またはオリゴヌクレオチド分子であり得る。
【0127】
上記のとおり、配列番号:1のRBM3タンパク質フラグメントは、他のヒトタンパク質と低い相同性を有するユニークな配列からなり、産生されたアフィニティー試薬の交差反応性を最小限にするように設計された。結果として、本明細書の態様において、アフィニティーリガンドは、配列番号:1のアミノ酸配列からなるポリペプチドと選択的相互作用が可能であり得る。
【0128】
以下の実施例の部4の下に記載されるとおり、配列番号:4および5のエピトープ領域は、配列番号:1の範囲内に同定されている。したがって、いくつかの態様において、本明細書のアフィニティーリガンドは、配列番号:4および5から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドと選択的相互作用が可能である。
【0129】
さらに、実施例の部5の下に記載されているとおり、別の4つのエピトープ領域(配列番号:6−9)が特定されている。したがって、いくつかの態様において、本明細書のアフィニティーリガンドは、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:6−9から選択される配列を含むRBM3フラグメントと選択的相互作用が可能である。
【0130】
また、実施例の部6の下に記載されているとおり、別の10個のエピトープ領域(配列番号:10−19)が特定されている。したがって、いくつかの態様において、本明細書のアフィニティーリガンドは、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:10−19から選択される配列を含むRBM3フラグメントと選択的相互作用が可能である。
【0131】
単一のエピトープ領域に対する選択性を有する抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、より長いペプチド配列(例えば、PrESTまたは全長タンパク質)に対して産生された抗体と比較して、検出分析における再現性が高いため提供され得る。単一のエピトープ領域に対して選択的な抗体は、また、免疫組織化学的分析における染色を明瞭に、および強くするために提供され得る。これらの利益は、独立して、または共同で、本明細書の処置に関して処置予測または決定するときに重要であり得る。図1において、ポリクローナル抗体と比較しての本明細書のモノクローナル抗体の利益(選択性の増加)を説明している。
【0132】
モノクローナル抗体6F11および1B5は、特に有益であると考えられる。図1において、6F11および1B5の両方は、ポリクローナル抗−RBM3抗体よりもさらに選択的であることを示す。さらに、1B5は、6F11よりもさらに選択的であることを示す。1B5は、また、以下の実施例の部8および9において使用されている。
【0133】
1B5が実施例の部6において結合することが示されている配列番号:17は、配列番号:5の範囲内である。本明細書の好ましい態様において、アフィニティーリガンドは、したがって、配列番号:5からなるRBM3フラグメントと選択的相互作用が可能であり、本明細書の特に好ましい態様において、アフィニティーリガンドは、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:17の配列を含むRBM3フラグメントと選択的相互作用が可能である。
【0134】
6F11は、配列番号:8および配列番号:16に結合することを示す。本明細書の他の好ましい態様において、アフィニティーリガンドは、したがって、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:8および16から選択される配列を含むRBM3フラグメントと選択的相互作用が可能である。配列番号:8および16が重複しており、このようなフラグメントが配列番号:8および16の両方の配列を含み得ることに注意すること。
【0135】
RBM3タンパク質と選択的相互作用が可能であるアフィニティーリガンドの検出および/または定量化は、生物学的相互作用に基づくアッセイにおける結合試薬の検出および/または定量化のための当業者に知られている任意の方法において成し遂げられ得る。したがって、上記のあらゆるアフィニティーリガンドが、RBM3タンパク質の存在を定量的および/または定性的に検出するために使用され得る。これらの「一次」アフィニティーリガンドは、それ自体を種々のマーカーで標識させてもよく、また、検出、視覚化および/または定量化を可能にする標識化された二次アフィニティーリガンドにより同様に検出され得る。これは、RBM3タンパク質との相互作用が可能であるアフィニティーリガンドへ、または任意の二次アフィニティーリガンドへ接合することができる任意の1つまたはそれ以上の多数の標識を使用して、任意の1つまたはそれ以上の多数の当業者に既知の技術を使用して、それ自体何ら過度の実験を必要とせず成し遂げることができる。
【0136】
一次および/または二次アフィニティーリガンドに接合することができる標識の非限定的な例は、蛍光色素または金属(例えば、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリン、フルオレスカミン)、発色色素(例えば、ロドプシン)、化学発光化合物(例えば、ルミナール、イミダゾール)および生物発光タンパク質(例えば、ルシフェリン、ルシフェラーゼ)、ハプテン(例えば、ビオチン)を含む。種々の他の有用な蛍光剤および発色団は、Stryer L (1968) Science 162:526-533およびBrand L and Gohlke JR (1972) Annu. Rev. Biochem. 41:843-868に記載されている。アフィニティーリガンドは、また、酵素(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ラクタマーゼ)、放射性同位体(例えば、H、14C、32P、35Sまたは125I)および粒子(例えば、金)で標識化することができる。本明細書の文脈において、「粒子」は、分子の標識化のために適当な粒子、例えば、金属粒子を示す。さらに、アフィニティーリガンドは、また、蛍光半導体ナノ結晶(量子ドット)で標識化され得る。量子ドットは、上位の量子収量を有し、有機フルオロフォアと比較してさらに光安定であり、したがってさらに容易に検出される(Chan et al. (2002) Curr Opi Biotech. 13: 40-46)。異なる型の標識は、種々の化学、例えば、アミン反応またはチオール反応を使用してアフィニティーリガンドに接合することができる。しかしながら、アミンおよびチオール以外の反応基は、例えば、アルデヒド、カルボン酸およびグルタミンを使用することができる。
【0137】
上記の方法の局面は、限定されない選択が以下に記載されているいくつかの知られている形式および設定のいずれかにおいて使用され得る。
【0138】
組織学に基づく設定において、そのRBM3タンパク質標的に結合する標識化されたアフィニティーリガンドの検出、局在化および/または定量化は、視覚化技術、例えば、光学顕微鏡検査または免疫蛍光顕微鏡検査に関連し得る。他の方法は、フローサイトメトリーまたはルミノメトリーを介する検出に関連し得る。
【0139】
対象由来の生物学的材料は、RBM3タンパク質の検出および/または定量化のためのサンプルを得るために使用され得る。したがって、該サンプルは早期に得られたサンプルであり得る。方法において早期に得られたサンプルを使用するとき、方法の工程はヒトまたは動物体で実施されない。
【0140】
アフィニティーリガンドは、RBM3タンパク質の検出および/または定量化のためのサンプルに適用され得る。この処理は、RBM3タンパク質の検出を可能にするだけでなく、加えて、その発現の分布および相対レベルを示し得る。
【0141】
該アフィニティーリガンドにおける標識の視覚化の方法は、蛍光、発光および/または酵素技術を含むが、これらに限定されない。蛍光は、蛍光標識を特定の波長の光に暴露することにより検出および/または定量され、その後、特定の波長領域の放射光が検出および/または定量される。発光的にタグを付けたアフィニティーリガンドの存在は、化学反応中に生じた発光により検出および/または定量され得る。酵素反応の検出は、化学反応を生じるサンプルにおける色の変化による。当業者は、種々の異なるプロトコールを適当な検出および/または定量化のために修飾することができることを知っている。
【0142】
上記局面の方法の態様において、サンプルは、固相支持体または担体、例えば、ニトロセルロースまたは適用される生物学的サンプルに存在するRBM3タンパク質を固定することが可能であるあらゆる他の固体支持体マトリックス上に固定され得る。本発明において有用ないくつかのよく知られている固体支持材は、ガラス、炭水化物(例えば、セファロース)、ナイロン、プラスチック、ウール、ポリスチレン、ポリエテン、ポリプロピレン、デキストラン、アミラーゼ、フィルム、樹脂、セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、アルミナ、斑糲岩および磁鉄鉱を含む。生物学的サンプルの固定化後、RBM3タンパク質に対して選択的な一次アフィニティーリガンドは、例えば、本明細書の実施例の8および9に記載されているとおりに適用され得る。一次アフィニティーリガンドがそれ自体標識化されていないとき、支持マトリックスは、当分野で知られている1つ以上の適当なバッファーで洗浄され、次に標識化された二次アフィニティーリガンドへ暴露され、再びバッファーで洗浄され、結合していないアフィニティーリガンドを除去され得る。その後、選択的アフィニティーリガンドは、慣用の方法で検出および/または定量され得る。アフィニティーリガンドに対する結合特性は、1つの固体支持体から他のものへ変化し得るが、当業者は、日常の実験によりそれぞれの決定のための機能的な、および最適なアッセイ条件を決定することができるはずである。
【0143】
結果として、上記局面の方法の態様において、a1)またはaI)の定量化可能なアフィニティーリガンドは、該定量化可能なアフィニティーリガンドを認識することが可能である二次アフィニティーリガンドを使用して検出され得る。したがって、a3)またはaII)の定量化は、定量化可能なアフィニティーリガンドに対するアフィニティーを有する二次アフィニティーリガンドの手段により実施され得る。一例として、二次アフィニティーリガンドは、抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体であり得る。
【0144】
一例として、RBM3タンパク質の検出および/または定量化のための1つの利用できる方法は、アフィニティーリガンドを、次に酵素免疫測定法(例えば、EIAまたはELISA)において後に検出および/または定量することができる酵素に連結させることによるものである。このような技術はよく確立されており、それらの実現には当業者に何ら過度の困難性が存在しない。このような方法において、生物学的サンプルを、固体材料、または、次に酵素的に標識化された二次アフィニティーリガンドで検出および/または定量される、RBM3タンパク質に対するアフィニティーリガンドへ接合した固体材料と接触させる。この後、適当な基質を、例えば、分光光度計、蛍光光度計、照度計を使用して、または視覚化手段により検出および/または定量される化学部分を生産するように適当なバッファー中で酵素標識と反応させるために提供する。
【0145】
上記のとおり、一次およびあらゆる二次アフィニティーリガンドは、検出および/または定量化を可能にするために放射性同位体で標識化することができる。本明細書における適当な放射性同位体の非限定的な例は、H、14C、32P、35Sまたは125Iである。標識化されたアフィニティーリガンドの比活性は、放射性同位体の半減期、同位体純度、および標識がアフィニティーリガンドに組み込まれているかどうかに依存する。アフィニティーリガンドは、好ましくは、よく知られている技術(Wensel TG and Meares CF (1983) in: Radioimmunoimaging and Radioimmunotherapy (Burchiel SW and Rhodes BA eds.) Elsevier, New York, pp 185-196)を使用して標識化される。したがって、放射性標識されたアフィニティーリガンドは、インビボまたはインビトロにおいて放射能の検出によりRBM3タンパク質を可視化するために使用することができる。例えば、ガンマカメラを有する放射性核種スキャン、磁気共鳴分光学または放出断層撮影は、インビボおよびインビトロにおいて機能するが、ガンマ/ベータカウンター、シンチレーションカウンターおよびX線撮影は、インビトロにおいて使用される。
【0146】
第1の局面に関連して上記のとおり、RBM3タンパク質はin situの精巣癌に対する診断マーカーである。胎盤型アルカリホスファターゼ(PLAP)、オクタマー−3/4(OCT3/4)および(RNA結合モチーフタンパク質Y)RBMYは、精巣癌の前工程の他のマーカーである。正確な診断を提供するために、本発明者らは、単一のキットにおけるRBM3タンパク質を標的化するアフィニティーリガンドおよび少なくとも1つの他の診断マーカーを組み合わせた値を理解している。
【0147】
本明細書の第4の局面のとおり、したがって、第1の局面の方法を実施するためのキットであって、
a)RBM3タンパク質と選択的相互作用が可能である定量化可能なアフィニティーリガンド、および
b)該定量化可能なアフィニティーリガンドの量を定量するために必要な試薬、
c)胎盤型アルカリホスファターゼ(PLAP)、オクタマー3/4(OCT3/4)および(RNA結合モチーフタンパク質Y)RBMYから選択されるタンパク質と選択的相互作用が可能である定量化可能なアフィニティーリガンド、および
d)c)の定量化可能なアフィニティーリガンドの量を定量するために必要な試薬
を含み、b)およびd)の試薬が同じであるか、または異なっているキットを提供する。
【0148】
さらに、第1の局面に関連して上記のとおり、RBM3タンパク質は精巣癌に対する予後診断マーカーである。ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、α−フェトプロテイン(AFP)および乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)は、精巣癌における他の予後診断マーカーである。正確な予後を提供するために、本発明者らは、単一のキットにおけるRBM3タンパク質を標的化するアフィニティーリガンドおよび少なくとも1つの他の予後診断マーカーを組み合わせた値を理解している。
【0149】
本明細書の第5の局面として、したがって、第2または第3の局面の方法を実施するためのキットであって、
a)RBM3タンパク質と選択的相互作用が可能である定量化可能なアフィニティーリガンド、および
b)該定量化可能なアフィニティーリガンドの量を定量するために必要な試薬、
c)ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、α−フェトプロテイン(AFP)および乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)から選択されるタンパク質と選択的相互作用が可能である定量化可能なアフィニティーリガンド、および
d)c)の定量化可能なアフィニティーリガンドの量を定量するために必要な試薬
を含み、b)およびd)の試薬が同じであるか、または異なっているキットを提供する。
【0150】
したがって、同じ試薬、例えば、同じ二次抗体が、抗RBM3タンパク質アフィニティーリガンドおよび他のマーカーを標的化するアフィニティーリガンドの両方を定量するために使用され得る。
【0151】
キットの種々の成分は、本明細書の方法の局面に関連して上記されているとおりに選択され、特定され得る。
【0152】
したがって、第4および第5の局面のキットは、RBM3タンパク質に対するアフィニティーリガンド、別のマーカーに対するアフィニティーリガンド、ならびに、それらそれぞれの標的に特異的および/または選択的に結合した後に特異的および/または選択的アフィニティーリガンドを定量する手助けをする他の手段を含む。例えば、キットは、標的およびアフィニティーリガンドにより形成される複合体を検出する、および/または定量するための二次アフィニティーリガンドを含み得る。また、該キットは、キットを容易および効率的に使用することができるように、アフィニティーリガンド以外の種々の補助物質を含み得る。補助物質の例は、キットの凍結乾燥されたタンパク質成分を溶解または再構成するための溶媒、洗浄バッファー、酵素を標識として使用する場合において酵素活性を測定するための基質、パラフィンまたはホルマリン固定された組織サンプルを使用する場合において、抗原への接近性を増強するための標的回復溶液(target retrieval solution)、および物質、例えば、免疫測定試薬キットにおいて一般的に使用される、染色対比を増加させるために背景染色および/または対比染色溶液を減少させるための反応防止剤、例えば、内因性酵素遮断溶液を含む。
【0153】
キットの局面のキットは、また、有利には、サンプル値と比較するために使用される参照値を提供する、またはもたらすための参照サンプルを含み得る。例えば、参照サンプルは、あらかじめ決められた量のRBM3タンパク質を含み得る。このような参照サンプルは、例えば、あらかじめ決められた量のRBM3タンパク質を含む組織サンプルにより構成され得る。次に、該組織参照サンプルは、参照組織サンプルおよび対象サンプルにおける発現レベルの手動、例えば、肉眼的、または自動比較により、試験されるサンプルにおけるRBM3発現状態の決定において使用され得る。別の例として、参照サンプルは、あらかじめ決められた、または制御されたRBM3タンパク質の量を発現する細胞株、例えば、癌細胞株を含み得る。当業者は、例えば、Rhodes et al. (2006) The biomedical scientist, p 515-520の記載により導かれる、このような細胞株を提供する方法を理解している。一例として、細胞株はホルマリン固定されていてもよい。また、このようなホルマリン固定された細胞株は、パラフィン包埋されていてもよい。
【0154】
「参照値の提供のための参照サンプル」なる用語は、本明細書の文脈において広く解釈されるべきである。該参照サンプルは、参照値に実際に対応するRBM3タンパク質の量を含み得るが、また、参照値よりも高い値に対応するRBM3タンパク質の量を含み得る。後者の場合は、「高い」値は、方法を実施する者により、例えば、「高い」値より低い参照値の外観を評価するために上位の参照(陽性参照)として使用され得る。免疫組織化学の当業者は、このような評価の仕方を理解している。さらに、別の、または相補的な例として、当業者は、このような評価において「低い」値の提供のために少量のRBM3タンパク質を含む別の参照サンプルを、例えば、陰性参照として使用し得る。これは、方法の局面に関連してさらに上記されている。
【0155】
結果として、キットの局面の態様において、参照サンプルは、参照値に対応するRBM3タンパク質の量を含み得る。一例として、参照サンプルは、95%以下、例えば、90%以下、例えば、85%以下、例えば、80%以下、例えば、75%以下、例えば、70%以下、例えば、65%以下、例えば、60%以下、例えば、55%以下、例えば、50%以下、例えば、45%以下、例えば、40%以下、例えば、35%以下、例えば、30%以下、例えば、25%以下、例えば、20%以下、例えば、15%以下、例えば、10%以下、例えば、5%以下、例えば、2%以下、例えば、1%以下、例えば、0%の核または細胞質画分に対応するRBM3タンパク質の量を含み得る。
【0156】
あるいは、または相補的に、該参照サンプルは、中程度の核または細胞質強度またはそれ以下、例えば、弱い核または細胞質強度またはそれ以下、例えば、非存在の核または細胞質強度に対応するRBM3タンパク質の量を含み得る。
【0157】
画分値および強度値の提供は、方法の局面に関連して上記されている。
【0158】
キットの局面のさらに別の、または相補的態様において、該キットは、参照値よりも高い値に対応するRBM3タンパク質の量を含む参照サンプルを含み得る。これらの態様において、参照サンプルは、例えば、75%以上の核または細胞質画分および/または強い核または細胞質強度に対応するRBM3タンパク質の量を含み得る。
【0159】
キットの局面のさらに別の、または相補的態様において、該キットは、参照値以下である値に対応するRBM3タンパク質の量、例えば、非存在の核または細胞質強度および/または<2%、例えば、0%の核または細胞質画分を含む参照サンプルを含み得る。
【0160】
したがって、該キットは、あらかじめ決められた参照値に対応するRBM3タンパク質の量を含む参照サンプル、あらかじめ決められた参照値よりも高い値に対応するRBM3タンパク質の量を含む参照サンプル、および/またはあらかじめ決められた参照値以下である値に対応するRBM3タンパク質の量を含む参照サンプルを含み得る。
【0161】
結果として、キットの態様は、あらかじめ決められた参照値よりも高いRBM3タンパク質の量を含む第1の参照サンプル、およびあらかじめ決められた参照値以下であるRBM3タンパク質の量を含む第2の参照サンプルを含み得る。
【0162】
キットの局面の態様において、該参照サンプルは、組織サンプル、例えば、肉眼的または顕微鏡的評価に適している組織サンプルであり得る。一例として、該組織参照サンプルは、パラフィンで固定されるか、またはホルマリンで緩衝され、および/または顕微鏡的スライドガラス上に乗せられる切片(例えば、μm−薄片)に組織処理され得る。組織参照サンプルは、RBM3タンパク質に対するアフィニティーリガンド、例えば、抗体での染色にさらに適している可能性がある。
【0163】
結果として、キットの局面の態様において、該参照サンプルは、いずれかの関連参照値、例えば、上記いずれか1つの参照値を直接的または間接的に提供するために、適当であり得る。
【0164】
キットの局面の参照サンプルのさらなる態様は、方法の局面の参照値および参照サンプルに関連して上記されている。
【0165】
上記見出したことにしたがって、本発明者らは、RBM3タンパク質およびそのフラグメントに対するいくつかの使用を十分に理解している。
【0166】
したがって、本明細書の第6の局面として、50以下のアミノ酸からなり、配列番号4−19から選択される配列を含む、RBM3タンパク質フラグメントを提供する。
【0167】
第6の局面の態様において、該フラグメントは29以下のアミノ酸からなる。
【0168】
第6の局面のさらなる態様において、該フラグメントは20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:6−19から選択される配列を含む。
【0169】
このようなフラグメントの可能な使用は以下に記載されている。
【0170】
本明細書の第7の局面の第1の構成として、精巣障害、例えば、in situの精巣癌に対する診断マーカーとしてのRBM3タンパク質の使用を提供する。
【0171】
第1の構成の使用は、例えば、予め得られたサンプルにおいて、完全にインビトロであり得る。
【0172】
本明細書の文脈において、「診断マーカー」は、存在が医学的状態を示すあらゆる物質を示す。したがって、該マーカーはバイオマーカー、例えば、ヒトタンパク質であり得る。診断マーカーの存在または比較的高レベルのその存在は、精巣障害を有する比較的高い可能性を示すと理解されるべきである。ここで、「比較的高い可能性」は、このような高レベルの診断マーカーを発現しない対象と比較して高い。
【0173】
第7の局面の第2の構成として、精巣障害、例えば、in situの精巣癌に対する診断薬の生産、選択または精製のためのRBM3タンパク質またはその抗原的に活性なフラグメントの使用を提供する。
【0174】
「抗原的に活性なフラグメント」は、フラグメントと選択的相互作用が可能であるアフィニティーリガンドを産生することが可能である十分なサイズのフラグメントを示す。
【0175】
該選択および精製はインビトロであり得るが、生産はインビボであり得る。
【0176】
本明細書の文脈において、「診断薬」は、診断の確立において重要である少なくとも1つの特性を有する薬物を示す。例えば、該診断薬は、診断マーカーと選択的相互作用が可能であり得る。
【0177】
したがって、該診断薬は、RBM3タンパク質またはその抗原的に活性なフラグメントと選択的相互作用が可能であるアフィニティーリガンドであり得る。このようなアフィニティーリガンドの例は、方法の局面に関連して上記されている。
【0178】
本明細書の教示によって導かれると、当業者は、診断薬の生産、選択または精製におけるRBM3タンパク質またはフラグメントの使用の仕方を理解している。例えば、該使用は、RBM3タンパク質またはそのフラグメントが固定されている固体支持体におけるアフィニティー精製を含み得る。例えば、該固体支持体はカラム中に配置され得る。さらに、該使用は、RBM3タンパク質またはそのフラグメントが固定されている固体支持体を使用して、RBM3タンパク質またはそのフラグメントに対する特異性を有するアフィニティーリガンドの選択性を含み得る。このような固体支持体は、ウェルプレート(例えば、96ウェルプレート)、電磁ビーズ、アガロースビーズまたはセファロースビーズであり得る。さらに、該使用は、例えば、デキストランマトリックス、または表面プラズモン共鳴装置、例えば、BiacoreTM装置における使用して可溶性マトリックス上のアフィニティーリガンドの分析を含み、該分析は、例えば、固定されたRBM3タンパク質またはそのフラグメントに対する多くの可能なアフィニティーリガンドのアフィニティーをモニタリングすることを含み得る。
【0179】
また、診断薬の生産のために、RBM3タンパク質またはその抗原的に活性なフラグメントは、動物、例えば、ウサギまたはマウスの免疫化において使用され得る。
【0180】
このような使用は
i)抗原としてRBM3タンパク質またはその抗原的に活性なフラグメントを使用して動物を免疫化し、
ii)免疫化動物から診断薬を含む血清を得、所望により
iii)血清から診断薬を単離する
工程を含む方法を含み得る。
【0181】
あるいは、第1の工程の次の工程は
ii’)免疫化動物から診断薬をコードするDNAを含む細胞を得、
iii’)細胞を骨髄腫細胞と融合し、少なくとも1つのクローンを得、
iv’)クローンにより発現される診断薬を得る
であり得る。
【0182】
本明細書の第8の局面の第1の構成として、精巣癌に対する予後診断マーカーとしてのRBM3タンパク質またはそのフラグメントの使用を提供する。
【0183】
第1の構成の使用は、例えば、予め得られたサンプルにおいて、完全にインビトロであり得る。
【0184】
本明細書の文脈において、「予後診断マーカー」は、存在が予後を示すあらゆる物質を示す。したがって、該マーカーは、バイオマーカー、例えば、ヒトタンパク質であり得る。予後診断マーカーの存在または比較的高レベルのその存在は比較的良好な予後を示すと理解されるべきである。ここで、「比較的良好な予後」は、このような高レベルの予後診断マーカーを発現しない比較できる精巣癌対象と比較して良好である。
【0185】
第8の局面の第2の構成として、精巣癌に対する予後診断薬の生産、選択または精製のためのRBM3タンパク質またはその抗原的に活性なフラグメントの使用を提供する。
【0186】
該選択および精製はインビトロであり得るが、生産はインビボであり得る。
【0187】
本明細書の文脈において、「予後診断薬」は、予後、例えば、精巣癌を有する哺乳動物対象に対する予後の確立において重要である少なくとも1つの特性を有する薬物を示す。例えば、予後診断薬は、予後診断マーカーと選択的相互作用が可能であり得る。
【0188】
したがって、該予後診断薬は、RBM3タンパク質またはその抗原的に活性なフラグメントと選択的相互作用が可能であるアフィニティーリガンドであり得る。このようなアフィニティーリガンドの例は、方法の局面に関連して上記されている。
【0189】
第8の局面の精巣癌は、例えば、精巣胚細胞癌であり得る。さらに、別の、または相補的態様において、それは非精上皮腫性であり得る。
【0190】
第7の局面についての上記議論および態様は、変更すべきところは変更して、第8の局面に適用する。
【0191】
第7または第8の局面の態様において、RBM3タンパク質のアミノ酸配列は
i)配列番号:1、および
ii)配列番号:1と少なくとも85%同一である配列
から選択される配列を含み得る。
【0192】
いくつかの態様において、配列ii)は、配列番号:1と少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一である。
【0193】
さらに、第7または第8の局面の態様において、RBM3タンパク質のアミノ酸配列は
i)配列番号:2、および
ii)配列番号2と少なくとも85%同一である配列
から選択される配列を含むか、またはそれからなり得る。
【0194】
いくつかの態様において、配列ii)は、配列番号:2と少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一である。
【0195】
第7または第8の局面の抗原的に活性なフラグメントは、例えば、第6の局面のフラグメントのいずれかであり得る。
【0196】
本明細書の第9の局面として、RBM3タンパク質と選択的相互作用が可能であるアフィニティーリガンドを提供する。
【0197】
このようなアフィニティーリガンドの異なる態様は、方法の局面に関連して上記されている。
【0198】
本明細書の第10の局面の第1の構成として、精巣障害、例えば、in situの精巣癌に対する診断薬としての第9の局面のアフィニティーリガンドの使用を提供する。
【0199】
本明細書の第10の局面の第2の構成として、精巣癌に対する予後診断薬としての第9の局面のアフィニティーリガンドの使用を提供する。精巣癌は、例えば、精巣胚細胞癌であり得る。また、それは、例えば、非精上皮腫性であり得る。
【0200】
例えば、このような使用は、例えば、対象由来の早期に得られたサンプルの少なくとも一部におけるRBM3の量の決定を含むインビトロで実施され得る。
【0201】
同等の様式において、精巣障害、例えば、in situの精巣癌に対する診断薬、または精巣癌に対する予後診断薬の製造におけるRBM3タンパク質と選択的相互作用が可能であるアフィニティーリガンドの使用を提供する。
【実施例】
【0202】
実施例
単一特異的ポリクローナル抗体
1.抗原の産生
a)材料および方法
EnsEMBL遺伝子ID ENS000000102317によってコードされる標的タンパク質の適当なフラグメントを、生物情報学的ツールを使用して鋳型としてヒトゲノム配列で選択した(Lindskog M et al (2005) Biotechniques 38:723-727, EnsEMBL、www.ensembl.org)。該フラグメントを、RBM3タンパク質(配列番号:2;EnsEMBLエントリー番号ENSP00000365946)のアミノ酸18−151(配列番号:1)に対応する134アミノ酸長フラグメントの生産のために鋳型として使用した。
【0203】
EnsEMBLエントリー番号ENST00000376755(配列番号:3)のヌクレオチド281−682を含むRBM3遺伝子転写産物のフラグメントを、Platinum(登録商標)Taq(Invitrogen)および鋳型としてヒト全RNAプールパネル(Human Total RNA, BD Biosciences Clontech)で、SuperscriptTM One−Step RT−PCR増幅キットにより単離した。フランキング制限酵素認識部位NotIおよびAscIを、発現ベクターへのインフレームクローニングが可能なPCR増幅プライマー(フォワードプライマー:GACGAGCAGGCACTGGAAG(配列番号:20)、リバースプライマー:GTAATTTCCTCCTGAGTAGC(配列番号:21))を介してフラグメントに導入した。次に、下流プライマーを、以前に記載されているとおりに、固相クローニングを可能にするためにビオチン化し、得られたビオチン化PCR産物をDynabeads M280 ストレプトアビジン(Dynal Biotech)(Larsson M et al (2000) J. Biotechnol. 80:143-157)上に固定化した。該フラグメントを、Notl−Ascl消化(New England Biolabs)により固体支持体から遊離させ、固定化金属イオンクロマトグラフィー(IMAC)精製のためのヘキサヒスチジルタグおよび連鎖球菌タンパク質G由来の免疫強化アルブミン結合タンパク質(ABP)からなるデュアル(デュアル)アフィニティータグと共にインフレームにpAff8cベクター(Larsson M et al.(上記))へライゲートし(Sjolander A et al (1997) J. Immunol. Methods 201:115-123; Stahl S et al (1999) Encyclopedia of Bioprocess Technology: Fermentation, Biocatalysis and Bioseparation (Fleckinger MC and Drew SW, eds) John Wiley and Sons Inc., New York, pp 49-63)、大腸菌BL21(DE3)細胞(Novagen)へ形質転換した。クローンの配列は、製造業者の推奨にしたがってTempliPhi DNAシーケンシング増幅キット(GE Healthcare, Uppsala, Sweden)を使用して、増幅したプラスミドDNAのダイ・ターミネーターサイクルシーケンシングにより証明した。
【0204】
発現ベクターを含むBL21(DE3)細胞を、同じ培養培地における1mlの一晩培養物の添加により、5g/lの酵母抽出物(Merck KGaA)および50mg/lのカナマイシン(Sigma-Aldrich)を補った100mlの30g/lのトリプシン大豆汁(Merck KGaA)に播種した。細胞培養物を、1リットル振とうフラスコにおいて、600nmの光学濃度が0.5−1.5に達するまで、37℃および150rpmでインキュベートした。次に、1mMの最終濃度にイソプロピル−R−D−チオガラクトピラノシド(Apollo Scientific)の添加により、タンパク質発現を誘導し、インキュベーションを25℃および150rpmで一晩インキュベーションを続けた。細胞を2400gで遠心分離により回収し、ペレットを5mlの溶解バッファー(7Mの塩酸グアニジン、47mMのNaHPO、2.65mMのNaHPO、10mMのTris−HCl、100mMのNaCl、20mMのβ−メルカプトエタノール;pH=8.0)に再懸濁し、37℃および150rpmで2時間インキュベートした。35300gで遠心分離後、変性および可溶化タンパク質を含む上清を回収した。
【0205】
His6−タグ融合タンパク質を、ASPEC XL4TM(Gilson)において自動化タンパク質精製処理(Steen J et al (2006) Protein Expr. Purif. 46:173-178)を使用して、1mlのTalon(登録商標)金属(Co2+)アフィニティー樹脂(BD Biosciences Clontech)を有するカラムにおける固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)により精製した。樹脂を、20mlの変性洗浄バッファー(6Mの塩酸グアニジン、46.6mMのNaHPO、3.4mMのNaHPO、300mMのNaCl、pH8.0−8.2)で平衡化した。次に、浄化された細胞溶解物をカラムに加えた。その後、樹脂を最小量の31.5mlの洗浄バッファーで洗浄し、2.5mlの溶離バッファー(6Mの尿素、50mMのNaHPO、100mMのNaCl、30mMの酢酸、70mMの酢酸Na、pH5.0)で溶離した。溶離した物質を500、700および1300μlの3つのプールに分画した。抗原を含む700μlの画分、ならびにプールした500および1300μlの画分をさらなる使用のために保存した。
【0206】
抗原画分を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS;1.9mMのNaHPO、8.1mMのNaHPO、154mMのNaCI)で1Mのウレアの最終濃度に希釈し、次に7500Daの分子量カットオフでVivapore 10/20ml濃縮機(Vivascience AG)を使用してタンパク質濃度を増加させる濃度工程に付した。タンパク質濃度を、製造業者の推奨にしたがって、ウシ血清アルブミン標準でビシンコニン酸(BCA)マイクロアッセイプロトコール(Pierce)を使用して決定した。タンパク質の質を、Protein50または200アッセイ(Agilent Technologies)を使用してBioanalyzer装置で分析した。
【0207】
b)結果
RBM3の全長転写産物(配列番号:3)のヌクレオチド281−682に対応する遺伝子フラグメントは、特異的プライマーを使用してヒトRNAプールからRT−PCRにより成功裏に単離した。フラグメントは、標的タンパク質RBM3(配列番号:2)のアミノ酸18から151をコードする。標的タンパク質(配列番号:2)の134個のアミノ酸フラグメント(配列番号:1)は、成熟型タンパク質において開裂されるため、大腸菌において効率的な発現を保証するために膜貫通領域を欠くように、任意のシグナルペプチドを欠くように設計された。加えて、タンパク質フラグメントは、他のヒトタンパク質と低い相同性を有するユニークな配列からなり、産生されたアフィニティー試薬との交差反応性を最小限にし、立体構造エピトープの形成やさらには細菌系における効率的なクローニングおよび発現を可能にするのに適当なサイズであるように設計された。
【0208】
正しいアミノ酸配列をコードするクローンを同定し、大腸菌における発現時に、正しいサイズの単一のタンパク質を生産し、次に、固定化金属イオンクロマトグラフィーを使用して精製した。溶離したサンプルを1Mの尿素の最終濃度に希釈、およびサンプルを1mlに濃縮後、タンパク質フラグメントの濃度は10.4mg/mlであると測定され、純度分析によって96.0%純度であった。
【0209】
2.抗体の産生
a)材料および方法
上記のとおりに得られた精製されたRBM3フラグメントを抗原として使用して、国の指針にしたがってウサギを免疫化した(スウェーデン許認可番号A84−02)。ウサギを、一次免疫化としてフロイント完全アジュバント中の200μgの抗原で筋肉内投与して免疫化し、4週間の間隔をおいてフロイント不完全アジュバント中の100μgの抗原で3回追加免役した。
【0210】
免疫化動物由来の抗血清を、3工程の免疫アフィニティーに基づくプロトコールにより精製した(Agaton C et al (2004) J. Chromatogr. A 1043:33-40; Nilsson P et al (2005) Proteomics 5:4327-4337)。第1の工程において、7mlの全抗血清を、1×PBS(1.9mMのNaHPO、8.1mMのNaHPO、154mMのNaCI)の最終濃度に10×PBSで緩衝し、0.45μmの細孔径フィルター(Acrodisc(登録商標)、Life Science)を使用して濾過し、pAff8cベクターから発現されたデュアルアフィニティータグタンパク質His−ABP(ヘキサヒスチジルタグおよびアルブミン結合タンパク質タグ)と結合した、5mlのN−ヒドロキシスクシンイミド活性化SepharoseTM4 Fast Flow(GE Healthcare)を含むアフィニティーカラムに適用し、抗原タンパク質フラグメントに対して上記と同じ方法で精製した。第2の工程において、デュアルアフィニティータグHis−ABPに対する抗体が枯渇したフロースルーを、免疫化のための抗原として使用されるRBM3タンパク質フラグメント(配列番号:1)と結合した1mlのHi−Trap NHS−活性化HPカラム(GE Healthcare)に流速0.5ml/分で負荷した。His−ABPタンパク質およびタンパク質フラグメント抗原を、製造業者により推奨されるとおりにNHS活性化マトリックスと結合させた。非結合物質を1×PBST(1×PBS、0.1%のTween20、pH7.25)で洗い流し、捕獲された抗体を低pHのグリシンバッファー(0.2Mのグリシン、1mMのEGTA、pH2.5)を使用して溶離した。第3の工程において、溶離した抗体画分を自動的に回収し、効率的なバッファー交換のために順番に接続した2つの5mlのHiTrapTM脱塩カラム(GE Healthcare)上に負荷した。第2および第3の精製工程を、AKTAxpressTM基盤(GE Healthcare)上で実施した。抗原選択的(単一特異的)抗体(msAbs)を、−20℃での長期保存のために、それぞれ40%および0.02%の最終濃度にグリセロールおよびNaNを補ったPBSバッファーで溶離した(Nilsson P et al (2005) Proteomics 5:4327-4337)。
【0211】
タンパク質アレイ設定において、アフィニティー精製された抗体画分の特異性および選択性を、抗原それ自体および94の他のヒトタンパク質フラグメントに対する結合分析により分析した(Nilsson P et al (2005) Proteomics 5:4327-4337)。タンパク質フラグメントを0.1Mの尿素および1×PBS(pH7.4)で40μg/mlに希釈し、それぞれ50μlを96ウェルのスポッティングプレートのウェルに移した。タンパク質フラグメントを、ピン・アンド・リング(pin-and-ring)のアレイヤー(Affymetrix 427)を使用して、デュプリケート(duplicate)でスポットし、エポキシ製スライド(SuperEpoxy, TeleChem)上に固定した。スライドを1×PBSで洗浄し(5分)、次に表面を30分間ブロックした(SuperBlock(登録商標)、Pierce)。接着性の16ウェルシリコーンマスク(Schleicher & Schuell)を、単一特異的抗体を添加する(1×PBSTにおいて1:2000に希釈し、約50ng/mlにする)前にスライドガラスに適用し、60分間、振とう器でインキュベートした。各スポットにおけるタンパク質の量を定量するために、アフィニティータグ特異的IgY抗体を単一特異的抗体と共インキュベートした。スライドをそれぞれ10分間で1×PBSTおよび1×PBSで2回洗浄した。二次抗体(Alexa 647と接合されたヤギ抗−ウサギ抗体およびAlexa 555と接合されたヤギ抗−ニワトリ抗体、Molecular Probes)を、1×PBSTで30ng/mlに1:60000希釈し、60分インキュベートした。第1のインキュベーションと同じ洗浄処理後、スライドを脱水し、スキャンし(G2565BA array scanner, Agilent)、その後、画像を画像分析ソフトウェア(GenePix 5.1, Axon Instruments)を使用して、定量した。
【0212】
加えて、アフィニティー精製された抗体の特異性および選択性をウエスタンブロットにより分析した。還元条件下で予め成形された10−20%のSDS−PAGE勾配ゲル(Bio-Rad Laboratories)上で選択されたヒト細胞株由来の全タンパク質抽出物を単離し、次に製造業者の推奨にしたがって、PVDF膜(Bio-Rad Laboratories)に電子移動することにより、ウエスタンブロットを実施した。膜を室温で1時間ブロックし(5%のドライミルク、1×TBST;0.1MのTris−HCI、0.5MのNaCl、0.1%のTween20)、アフィニティー精製された一次抗体とインキュベートし(ブロッキングバッファーにおいて1:500に希釈された)、TBSTで洗浄した。HRPと接合された二次抗体(ブタ抗−ウサギ免疫グロブリン/HRP、DakoCytomation)をブロッキングバッファーにおいて1:3000に希釈し、化学発光検出を、製造業者のプロトコールにしたがって、ChemidocTMCCDカメラ(Bio-Rad Laboratories)およびSuperSignal(登録商標) West Dura Extended Duration 基質(Pierce)を使用して実施した。
【0213】
b)結果
ポリクローナル抗体調製物の質は、抗体精製におけるストリンジェンシーの程度に依存することが証明されており、標的タンパク質由来でないエピトープに対する抗体の枯渇が、他のタンパク質との交差反応性およびバックグラウンド結合を回避するために必要であることが以前に示されている(Agaton C et al (2004) J. Chromatogr. A 1043:33-40)。したがって、タンパク質マイクロアレイ分析によって、高い特異性の単一特異的ポリクローナル抗体がHis−タグに対する抗体ならびにABP−タグに対する抗体の枯渇により産生されていることが確認された。
【0214】
タンパク質アレイの各スポットにおけるタンパク質の量を定量するため、一次および二次抗体を組み合わせて、二色の色素標識系を使用した。ニワトリにおいて産生されたTag−特異的IgY抗体をAlexa 555蛍光色素で標識した二次ヤギ抗ニワトリ抗体で検出した。アレイ上のその抗原へのウサギmsAbの特異的結合を、蛍光的にAlexa 647で標識したヤギ抗−ウサギ抗体で検出した。それぞれのタンパク質フラグメントをデュプリケートでスポットした。タンパク質アレイ分析は、RBM3に対するアフィニティー精製された単一特異的抗体が正しいタンパク質フラグメントに対して高度に選択的であり、アレイ上で分析される他のすべてのタンパク質フラグメントに対して非常に低いバックグラウンドを有することを示す。
【0215】
ウエスタンブロット分析の結果は、抗体が2つの乳房腫瘍細胞株、T47DおよびMCF−7において約16kDaの単一バンドを特異的に検出することを示す。RBM3の理論分子量は、16kDa(配列番号:2のRBM3アミノ酸配列から計算される)であり、得られた結果に十分に対応している。
【0216】
モノクローナル抗体
3.モノクローナル抗体の産生
a)材料および方法
部1において得られた精製されたフラグメント(配列番号:1)を、モノクローナル抗体の生産のための抗原として使用した。抗原をAbSea Biotechnology Ltd (Beijing, China)に送り、簡潔には、抗原を3週間隔でBALB/cマウス(4−6週齢、メス)に皮下的に注射した。抗原を第1の注射のために完全フロイントアジュバントおよび後の注射のために不完全フロイントアジュバントと混合した。融合の3日前に、最後にマウスに静脈内的に抗原投与した。ハイブリドーマをSp2/0骨髄腫細胞株とマウス脾細胞の融合により産生した。ELISAを使用するいくつかの細胞株のスクリーニングにより、抗原(配列番号:1)に対して特異的な抗体を分泌する細胞を同定し、さらなる特性化のためにAtlas Antibodies ABに送達した。ELISA、ウエスタンブロット(WB)および免疫組織化学(IHC)において陽性結果を示す細胞株を、AbSea Biotechnology Ltdにより実施されるサブクローニングのために選択した。
【0217】
加えて、モノクローナル抗体の免疫組織化学的染色パターンを、部2において産生したポリクローナル抗−RBM3抗体と比較した。このポリクローナル抗体は、ときどき、本明細書において「抗−RBM3」と称される。
【0218】
b)結果
抗原(配列番号:1)を認識するが、アフィニティータグHis−ABPを認識しないモノクローナル抗体(mAb)を生産する系を同定するために、細胞株をELISA(AbSeaで)によりスクリーニングした。8つの細胞株は、ELISAにおいて配列番号:1の抗原への特異的結合を示し、さらなる試験のために選択した。選択された8つのクローンのそれぞれに対して、150−300μlの上清を回収し、アジドを加え、上清を湿性氷上でAtlas Antibodies ABに送達した。上清を、AbSeaの指示にしたがって到着時に+4℃で保存した。細胞株のさらなる試験は、ウエスタンブロットおよびIHC分析の両方において陽性結果を与える3つの興味ある細胞株、クローン1B5、6F11および7G3の同定をもたらした。これらのクローンを、AbSea Biotechnology Ltdにより実施されるサブクローニングおよび拡大のために選択した。
【0219】
エピトープマッピング
4.細菌ディスプレイIを使用するエピトープマッピング
配列番号:1(すなわち、ENSP00000365946のaa18−151またはENST00000376755のbp261−682)に対応するRBM3 DNAを、鋳型としてベクターpAff8cを使用してPCRにより増幅した。増幅したDNAを、超音波処理により種々の長さ(約50−150bp)に破砕し、次にブドウ球菌ディスプレイベクター(pSCEM2)にライゲーションし、S. Carnosusを形質転換し、約100000個の形質転換体を得た。インフレームのDNAフラグメントがブドウ球菌表面上にペプチドとして示した。抗体(上記部2において得られる配列番号:1に対して選択的)および蛍光的に標識された二次試薬とインキュベーション後、陽性および陰性細胞をフローサイトメトリーを使用して別々に分類し、エピトープおよび非エピトープ提示細胞を単離した。単離された細胞をパイロシーケンシングによりシーケンシングし、最後にエピトープの同定のために配列をRBM3抗原とアラインした。
【0220】
表面発現レベルのリアルタイムモニタリングを有するデュアル標識戦略を使用した(Loefblom, J et al (2005) FEMS Microbiol Lett 248, 189-198)。それは、発現レベルで結合シグナルの標準化を可能にし、低い細胞間変動を提供し、異なるエピトープ集団の区別を可能にさせた。さらに、それは、また、表面上に示される非結合ペプチドを測定するための平行アッセイを可能にした。
配列番号:1内の2つのエピトープ領域、配列番号:4(RGFGFITFTNPEHASVAMRAMNGESLDGR)および配列番号:5(RSYSRGGGDQGYGSGRYYDSRPGG)を同定した。
【0221】
5.Luminexを使用するエピトープマッピング
a)合成ペプチド調製物
RBM3におけるPrEST HPRR232631(配列番号:1)に対応する25個のビオチン化ペプチドからなるPEPスクリーンライブラリーをSigma−Genosys(Sigma−Aldrich)により合成した。これらのペプチドは、10個のアミノ酸重複を有する15アミノ酸長であり、共に全PrEST配列を含む。ペプチドを10mg/mlの最終濃度に80%のDMSOに溶解させた。
【0222】
b)ビーズ結合
ニュートラアビジン(Pierce, Rockford, IL)を、製造業者のプロトコールにしたがって、カルボキシル化ビーズ(COON Microspheres, Luminex-Corp., Austin, TX)上に固定した。10個のビーズの結合を、以前に記載されているとおりに(Larsson et al (2009) J Immunol Methods 15;34(1-2):20-32、Schwenk et al (2007) Mol Cell Proteomics 6(1) 125:32)、フィルター膜底マイクロタイタープレート(MultiScreen-HTS, Millipore, Billerica, MA)を使用して実施した。異なる色コードIDを有する25個の異なるグループのビーズを、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ−プロピル)カルボジイミドおよびN−ヒドロキシスクシンイミドを使用して活性化させた。ニュートラアビジン(MES中で100μg/ml)をビーズに加え、振とう器で120分間インキュベートした。最後に、ビーズを洗浄し、再懸濁し、NaN3を補ったタンパク質含有バッファー(BRE, Blocking Reagent for ELISA, Roche, Basel, Switzerland)中で4℃で保存のために微小遠心管に移した。すべての結合したビーズ集団を5分間、超音波洗浄器(Branson Ultrasonic Corporation, Danbury, CT)において超音波処理で処理した。ビオチン化ペプチドを20μMの濃度にBREで希釈し、100μlのそれぞれのペプチドを結合反応に使用し、これを室温で60分間振とうしながら行った。最後に、ビーズを3×100μlのBREバッファーで洗浄し、さらなる使用まで4℃で保存した。
【0223】
c)結合特異性の決定
すべての25個のビーズIDを含むビーズ混合物を調製し、PBSで50ng/mlに希釈した45μlのそれぞれの抗体を5μのビーズ混合物と混合し、室温で60分間インキュベートした。フィルター底マイクロタイタープレート(Millipore)を洗浄および次のそれぞれのインキュベーションのために利用し、すべてのウェルを3×100μlのPBSTで洗浄した。50μlのR−フィコエリトリン標識抗ウサギIgG抗体(0.5μg/ml、Jackson ImmunoResearch)または50μlのAlexa Fluor 555 ヤギ抗マウスIgGを室温で60分の最終インキュベーションのために加えた(0.4ug/ml)。
【0224】
測定を、Luminex xPONENT ソフトウェアを備えたLuminex LX200装置を使用して実施した。それぞれの実験のために、ビーズIDあたり50個の事象をカウントし、中央蛍光強度(MFI)を個々のビーズ集団への抗体結合の測定として使用した。
【0225】
d)結果
モノ特異的ポリクローナル抗体(抗−RBM3、HPA003624)およびモノクローナル抗体6F11の特異性を、合成ビオチン化ペプチドと結合したビーズを使用して、アッセイで試験した。抗RBM3は、3つの異なる領域、PrEST配列、コンセンサス配列、配列番号:6、7、8および9に対応する8個のペプチド、すなわち6、7、8、14、15、16、24および25に強い結合を示した。特に、配列番号:9に対応するペプチド24および25は強いシグナルを生じた。モノクローナル抗体6F11は、PrEST配列、コンセンサス配列、配列番号:8において1つの異なる領域に対応する2つのペプチド:15および16と反応した。抗−RBM3および6F11の両方がペプチド15および16に結合するため、これは、これらの抗体がこの領域内の1つ以上のエピトープを共有していることを示す。配列番号:6は配列番号:4内であり、配列番号:8は配列番号:5内とある程度重複していることに注目すべきである。
【0226】
6.細菌ディスプレイIIを使用するエピトープマッピング
配列番号:1(すなわち、ENSP00000365946のaa18−151またはENST00000376755のbp261−682)に対応するRBM3 DNAを、鋳型としてベクターpAff8cを使用してPCRにより増幅した。増幅したDNAを、超音波処理により種々の長さ(約50−150bp)に破砕し、次にブドウ球菌ディスプレイベクター(pSCEM2)にライゲーションし、S. Carnosusを形質転換し、約100000個の形質転換体を得た。インフレームのDNAフラグメントがブドウ球菌表面上にペプチドとして示した。抗体(部2において得られる抗−RBM3および部3において得られるモノクローナル抗体)および蛍光的に標識された二次試薬とインキュベーション後、陽性および陰性細胞をフローサイトメトリーを使用して別々に分類し、エピトープおよび非エピトープ提示細胞を単離した。単離された細胞由来のプラスミドDNAをSangerシーケンシングによりシーケンシングし、エピトープの同定のために配列をRBM3抗原とアラインした。
【0227】
表面発現レベルのリアルタイムモニタリングを有するデュアル標識戦略を使用した(Loefblom, J et al (2005) FEMS Microbiol Lett 248, 189-198)。それは、発現レベルで結合シグナルの標準化を可能にし、低い細胞間変動を提供し、異なるエピトープ集団の区別を可能にさせた。さらに、それは、また、表面上に示される非結合ペプチドを測定するための平行アッセイを可能にした。
【0228】
ポリクローナル抗体において、配列番号:1内の領域、配列番号:10−15を同定した。早期に同定された領域、配列番号:4内に見出されたため、特に、領域、配列番号:11および配列番号:12は興味があった。さらに、以前に同定された配列番号:6および7のそれぞれとかなりの程度重複しているため、領域配列番号:13および14は特に興味があった。
【0229】
モノクローナル抗体6F11において、配列番号:1内の領域、配列番号:16を同定し、この領域(配列番号:16)は、早期に同定された領域、配列番号:5内において見出された。部7においてここで同定された6F11のエピトープ領域は、部6において同定された6F11エピトープ領域で1つのアミノ酸重複を有する。しかしながら、部6および7の結果は対照的ではない。部6において6F11に結合することが見出された1つのペプチド(ペプチド16)は配列番号:16(および配列番号:19)を含む。したがって、部6および7の結果は相補的であると考えられ得る。
【0230】
モノクローナル抗体1B5において、配列番号:1内の領域、配列番号:17を同定し、この領域(配列番号:17)は、また、早期に同定された領域、配列番号:5内において見出された。モノクローナル抗体7G3において、配列番号:1内の領域、配列番号:18を同定した。この領域(配列番号:18)は、また、早期に同定された領域、配列番号:5内において見出された。この領域(配列番号:18)は、6F11抗体(配列番号:16)に対するエピトープと重複している。モノクローナル抗体9B11において、配列番号:1内の領域、配列番号:19を同定した。
【0231】
7.抗体特異性の評価
a)材料および方法
ポリクローナル抗体(抗RBM3)および2つのモノクローナル抗体(6F11および1B5)の特異性をウエスタンブロットにより分析した。還元条件下で17%のSDS−PAGEゲル上で選択されたヒト細胞株由来の全タンパク質抽出物を単離し、次に製造業者の推奨にしたがって、PVDF膜(Bio-Rad Laboratories)に電子移動することにより、ウエスタンブロットを実施した。膜を室温で1時間ブロックし(0.1%のTween20を有する1×PBS中の5%のBSA)、アフィニティー精製された一次抗体(ブロッキングバッファーで1:1000に希釈された)とインキュベートし、PBSTで洗浄した。HRPと接合された二次抗体(ヒツジ抗マウス免疫グロブリン/HRP、GE)をブロッキングバッファーにおいて1:10000に希釈し、化学発光検出を、製造業者のプロトコールにしたがって、ChemidocTMCCDカメラ(Bio-Rad Laboratories)およびWestern Blotting Luminol Reagent(Santa Cruz Biotechnologies, Inc)を使用して実施した。
【0232】
b)結果
ウエスタンブロット分析の結果は、抗体が細胞株において約16kDaのバンドを特異的に検出することを示す。RBM3の理論分子量は、16kDa(配列番号:2のRBM3アミノ酸配列から計算される)であり、得られた結果に十分に対応している。さらなるバンドが抗−RBM3および6F11に対して観察された。概して、結果は、モノクローナル抗体がポリクローナル抗体よりもより特異的であり、1B5抗体が6F11抗体よりもさらにより特異的であったことを示す(図1参照)。
【0233】
8.精巣TMA−予後
a)材料および方法
腫瘍材料を、Department of Pathology、UMAS、1995から2008年で精巣胚細胞腫瘍(TGCT)と診断された30人の患者から回収した。5個のサンプルは純粋な精上皮腫であり、25個は非精上皮腫性TGCTであった。非精上皮腫性TGCTは、国際胚細胞腫瘍予後分類(IGCCC)にしたがって分類した。25個のサンプルのうちの4個はIGCCCの中度の予後として、5個のサンプルはIGCCCの不良な予後として分類した。残りの16個の非精上皮腫性TGCTは、IGCCCの良好な予後として分類した。この試験のための許可は、Ethics Committee at Lund University; ref nr 447-07 and 493-09から得た。5人の患者はそれらの疾患で死に、その内4人はIGCCCの不良、1人はIGCCCの中度であった。すべての患者にシスプラチンを含む標準処置を施した。
【0234】
TMA構築前に、それぞれの場合由来の、すべて利用できるヘマトキシリンおよびエオシン染色したスライドを、組織病理学的に再評価した。組織学的亜型の全数を表し、分類することが難しい領域を含むそれぞれの亜型を示す領域を表した。次に、それぞれの場合においてすべての異なる成分を包含するために必要とされる数の正面向きの(Full-face)切片を、SOX−2(R&D、クローン245610;1:100)およびCD30(DAKO、クローンBERH2;1:25)に対して染色し、さらに分類を精密化および再分類した。標準セットの4×1mm核を、最大3つの異なる成分を包含する比例形式においてそれぞれの浸潤性腫瘍から得た。半自動アレイ装置を使用した(TMArrayer; Pathology Devices, Inc, Westminster, MD, USA)。
【0235】
すべての免疫組織化学的染色を、自動前処理を含むPT−リンク系(DAKO, Copenhagen, Denmark)において行った。スライドを、実施例の部3において得られるRBM3一次モノクローナル抗体1B5と室温で30分間、次にヤギ抗マウスペルオキシダーゼ接合Envision(登録商標)と室温で30分間インキュベートした。すべての工程間、スライドを洗浄バッファー(Dako)で濯いだ。最後に、ジアミノベンジジン(Dako)をクロモゲンとして使用し、Harrisヘマトキシリン(Sigma-Aldrich)を対比染色のために使用した。スライドをPertex(登録商標)(Histolab)で固定した。
【0236】
免疫組織化学的に染色された組織の全てのサンプルを、顕微鏡下で手動で評価し、認定された病理学者により注釈を付けた(annotated)。それぞれのサンプルの注釈を、IHC結果の分類のための簡易化スキームを使用して行った。それぞれの組織サンプルを、典型性(representativity)および免疫反応に関して試験した。
【0237】
基本注釈(annotation)パラメーターは、i)細胞内局在性(核および/または細胞質/膜)、ii)染色強度(SI)およびiii)染色された細胞の画分(FSC)の評価を含んだ。染色強度を、臨床組織病理学的診断において使用される標準にしたがって主観的に評価し、結果を、存在しない=免疫反応がない、弱い−中程度=わずかなから中程度の免疫反応、または強い=はっきりとしたおよび強い免疫反応として分類した。また、染色された細胞の画分を、臨床組織病理学的診断において使用される標準にしたがって主観的に評価し、結果を関連細胞集団の免疫反応細胞の<2%、2−25%、>25−75%または>75%として分類した。当業者は、この注釈処理がAllredスコアの計算と同様であることを理解する、例えば、Allred et al (1998) Mod Pathol 11(2), 155参照。
【0238】
グラフ表示のために、核および細胞質染色を組み合わせて0から3の範囲である染色スコア(SS)を得た。強度のみを考慮したが、多数の陽性腫瘍は>50%の画分レベルを有した。SS=0は発現がないと定義し、SS=1は弱い発現として定義し、SS=2は中程度の発現として定義し、そして、SS=3は強い発現として定義した。
【0239】
b)結果
RBM3発現を、3が最も高い染色スコア(SS)を示す0、1、2または3として注釈した。図2において見ることができるとおり、RBM3タンパク質発現のレベルは、確立されている予後診断カテゴリーと相関関係である。それらの疾患で死んだ患者は、一貫して低いRBM3発現のレベルを示す。これは不良な予後カテゴリーに属する患者にも当てはまるが、高いRBM3発現を有する全ての患者は良好な予後カテゴリーにおいて見出すことができる。一般的に特に良好な予後を有する精上皮腫を有する全ての患者は、高いRBM3発現を有した。
【0240】
図3において見ることができるとおり、RBM3タンパク質発現と生存間に相関関係があった。高いRBM3タンパク質発現を有するすべての患者は、観察期間の最後に生存していた。
【0241】
結果として、RBM3が高いTGCTと診断された患者は、RBM3が低いTGCTと診断された患者よりも長い生存を有する可能性が高い。
【0242】
9.精巣TMA−診断
a)材料および方法
組織材料を、Department of Pathology、UMAS、between 1995から2008年で精巣胚細胞腫瘍(TGCT)と診断された30人の患者から回収した。この材料から、15個のサンプルを未分類管内胚細胞腫瘍の領域(ITGCN)から回収し、22個のサンプルを正常精巣組織から回収した。この試験のための許可は、Ethics Committee at Lund University; ref nr 447-07 and 493-09から得た。
【0243】
TMA構築前に、それぞれの場合由来の、すべて利用できるヘマトキシリンおよびエオシン染色したスライドを、組織病理学的に再評価した。組織学的亜型の全数を表し、分類することが難しい領域を含むそれぞれの亜型を示す領域を表した。次に、正面向きの切片を、SOX−2(R&D、クローン245610;1:100)およびCD30(DAKO、クローンBER−H2;1:25)に対して染色し、さらに分類を精密化および再分類した。標準セットの2×1mm核を、それぞれのITGCNおよび正常組織から得た。半自動アレイ装置を使用した(TMArrayer; Pathology Devices, Inc, Westminster, MD, USA)。
【0244】
すべての免疫組織化学的染色を、自動前処理を含むPT−リンク系(DAKO, Copenhagen, Denmark)において行った。スライドを、実施例の部3において得られるRBM3一次モノクローナル抗体1B5と室温で30分間、次にヤギ抗マウスペルオキシダーゼ接合Envision(登録商標)と室温で30分間インキュベートした。すべての工程間、スライドを洗浄バッファー(Dako)で濯いだ。最後に、ジアミノベンジジン(Dako)をクロモゲンとして使用し、Harrisヘマトキシリン(Sigma-Aldrich)を対比染色のために使用した。スライドをPertex(登録商標)(Histolab)で固定した。
【0245】
免疫組織化学的に染色された組織の全てのサンプルを、顕微鏡下で手動で評価し、認定された病理学者により注釈を付けた。それぞれのサンプルの注釈を、IHC結果の分類のための簡易化スキームを使用して行った。それぞれの組織サンプルを、典型性および免疫反応に関して試験した。
【0246】
基本注釈パラメーターは、i)細胞内局在性(核および/または細胞質/膜)、ii)染色強度(SI)およびiii)染色された細胞の画分(FSC)の評価を含んだ。染色強度を、臨床組織病理学的診断において使用される標準にしたがって主観的に評価し、結果を、存在しない=免疫反応がない、弱い−中程度=わずかなから中程度の免疫反応、または強い=はっきりとしたおよび強い免疫反応として分類した。また、染色された細胞の画分を、臨床組織病理学的診断において使用される標準にしたがって主観的に評価し、結果を関連細胞集団の免疫反応細胞の<2%、2−25%、>25−75%または>75%として分類した。当業者は、この注釈処理がAllredスコアの計算と同様であることを理解する、例えば、Allred et al (1998) Mod Pathol 11(2), 155参照。
【0247】
免疫反応細胞の強度および画分の両方に基づいて、染色スコア(SS)を、0から3の範囲であるそれぞれの組織サンプルに対して得た。強度のみを考慮したが、多数の陽性腫瘍は>50%の画分レベルを有した。SS=0は発現がないと定義し、SS=1は弱い発現として定義し、SS=2は中程度の発現として定義し、SS=3は強い発現として定義した。
【0248】
b)結果
RBM3発現を、3が最も高い染色スコア(SS)を示す0、1、2または3として注釈した。すべての未分類ITGCNサンプルは、強いRBM3タンパク質発現(SS=3)を示したが、正常精巣組織において、セルトリ細胞および精原細胞のみがRBM3タンパク質を発現した。ITGCNは精巣胚細胞腫瘍(TGCT)の前駆体であり、また、in situの癌(CIS)と称される。全てのITGCN細胞におけるRBM3の強い発現は、CISにおけるRBM3に対する役割を示唆する。
【0249】
結果として、これらの結果は、in situの精巣癌をRBM3発現の検出により診断することができることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物対象が第1または第2のグループのいずれに属するかを決定する方法であって、第1のグループの対象が第2のグループの対象よりも精巣障害を有する危険性が高く、
a)該対象の精巣由来の生物学的材料を含む早期に得られたサンプルの少なくとも一部におけるRBM3タンパク質の量を評価し、評価された量に対応するサンプル値を決定し、
b)該サンプル値をあらかじめ決められた参照値と比較し、
該サンプル値が該参照値よりも高いとき、
c1)該対象が第1のグループに属すると結論づけ、
該サンプル値が該参照値以下であるとき、
c2)該対象が第2のグループに属すると結論づける
工程を含む方法。
【請求項2】
該サンプルが精液または精巣由来の細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該サンプルが精巣由来の組織材料を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程a)の評価がセルトリ細胞以外の細胞に限定される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
工程a)の評価が該サンプルの細胞核に限定される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
精巣障害がin situの精巣癌、萎縮症および不妊症から選択される、請求項1−5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
精巣癌を有する哺乳動物対象が第1または第2のグループのいずれに属するかを決定する方法であって、第1のグループの対象の予後が第2のグループの対象の予後よりも良く、
a)対象由来の早期に得られたサンプルの少なくとも一部におけるRBM3タンパク質の量を評価し、評価された量に対応するサンプル値を決定し、
b)該サンプル値をあらかじめ決められた参照値と比較し、
該サンプル値が該参照値よりも高いとき、
c1)該対象が第1のグループに属すると結論づけ、
該サンプル値が該参照値以下であるとき、
c2)該対象が第2のグループに属すると結論づける
工程を含む方法。
【請求項8】
精巣癌を有する哺乳動物対象の処置の強度のレベルを決定するための方法であって、
a)該対象由来の早期に得られたサンプルの少なくとも一部に存在するRBM3タンパク質の量を評価し、該量に対応するサンプル値を決定し、
b)工程b)において得られたサンプル値を参照値と比較し、
該サンプル値が該参照値よりも高いとき、
c1)該対象は第1の強度の処置を与えられるべきであると結論づけ、
該サンプル値が該参照値以下であるとき、
c2)該対象は第2の強度の処置を与えられるべきであると結論づける
工程を含み、
第2の強度が第1の強度よりも高い方法。
【請求項9】
該処置が白金を用いた処置を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該白金を用いた処置がカルボプラチン、パラプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチンおよびシスプラチン処置から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
該予後が生存率、例えば、全生存率、無進行生存率または精巣癌特異的生存率である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
該精巣癌が精巣胚細胞癌である、請求項7−11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
該精巣癌が非精上皮腫性である、請求項7−12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
該サンプルが体液サンプル、糞便サンプルまたは細胞学サンプルである、請求項7−13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
該体液サンプルが血液、血漿、血清、脳脊髄液、尿、精漿、精液および滲出液からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
該サンプルが該対象の精巣由来の腫瘍細胞を含む、請求項7−15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
該サンプルが精巣癌組織サンプルである、請求項7−16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
工程a)の評価が該サンプルの腫瘍細胞の核および/または細胞質に限定される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
該参照値が参照サンプルにおけるRBM3タンパク質のあらかじめ決められた量に対応する値である、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
工程a)のサンプル値が、サンプルにおける検出可能なRBM3タンパク質の存在に対応する1、またはサンプルにおける検出可能なRBM3タンパク質の非存在に対応する0として決定される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
工程b)の参照値が検出可能なRBM3タンパク質を有さない参照サンプルに対応する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
工程b)の参照値が0である、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
該参照値が核画分、核強度、細胞質画分、細胞質強度またはそれらの組合せである、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
該参照値が0−25%、例えば、0−10%の核または細胞質画分である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
該参照値が非存在の、または弱い核または細胞質強度である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
RBM3タンパク質のアミノ酸配列が
i)配列番号1、および
ii)配列番号1と少なくとも85%同一である配列
から選択される配列を含む、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
RBM3タンパク質のアミノ酸配列が
i)配列番号:2、および
ii)配列番号2と少なくとも85%同一である配列
から選択される配列を含むか、またはそれからなる、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
工程a)が
aI)評価されるRBM3タンパク質と選択的相互作用が可能である定量化可能なアフィニティーリガンドを該サンプルに適用し、該適用は、サンプルに存在するRBM3タンパク質へのアフィニティーリガンドの結合を可能にする条件下で実施し、
aII)該サンプルに結合したアフィニティーリガンドを定量し、該量を評価する
ことを含む、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
工程a)が
a1)定量されるRBM3タンパク質と選択的相互作用が可能である定量化可能なアフィニティーリガンドを該サンプルに適用し、該適用は、サンプルに存在するRBM3タンパク質へのアフィニティーリガンドの結合を可能にする条件下で実施し、
a2)非結合アフィニティーリガンドを除去し、
a3)サンプルと共に残っているアフィニティーリガンドを定量し、該量を評価する
ことを含む、請求項1−27のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
定量化可能なアフィニティーリガンドが、抗体、そのフラグメントおよびその誘導体からなる群から選択される、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、アミノ酸配列が配列番号:4および5から選択される配列からなるペプチドで動物を免疫化する工程を含むプロセスにより得ることができる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:6−19から選択される配列を含むRBM3フラグメントで動物を免疫化する工程を含むプロセスにより得ることができる、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:8、16および17から選択される配列を含むRBM3フラグメントで動物を免疫化する工程を含むプロセスにより得ることができる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
該定量化可能なアフィニティーリガンドがオリゴヌクレオチド分子である、請求項28または29に記載の方法。
【請求項35】
定量化可能なアフィニティーリガンドが、ブドウ球菌タンパク質Aおよびそのドメイン、リポカリン、アンキリン反復ドメイン、セルロース結合ドメイン、γ結晶、緑色蛍光タンパク質、ヒト細胞毒性Tリンパ球関連抗原4、プロテアーゼ阻害剤、PDZドメイン、ペプチドアプタマー、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、テンダミスタット、フィブロネクチンIII型ドメインおよび亜鉛フィンガーからなる群から選択される骨格由来のタンパク質リガンドである、請求項28または29に記載の方法。
【請求項36】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、アミノ酸配列が配列番号:1の配列からなるペプチドと選択的相互作用が可能である、請求項28−35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、配列番号:4および5から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドと選択的相互作用が可能である、請求項28−36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:6−19から選択されるアミノ酸配列を含むRBM3フラグメントと選択的相互作用が可能である、請求項28−37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:8、16および17から選択される配列を含むRBM3フラグメントと選択的相互作用が可能である、請求項28−38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、蛍光色素および金属、発色色素、化学発光化合物および生物発光タンパク質、酵素、放射性同位体、粒子および量子ドットからなる群から選択される標識を含む、請求項28−39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、該定量化可能なアフィニティーリガンドを認識することが可能である二次アフィニティーリガンドを使用して検出される、請求項28−40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
該二次アフィニティーリガンドが、該定量化可能なアフィニティーリガンドを認識することが可能であり、蛍光色素および金属、発色色素、化学発光化合物および生物発光タンパク質、酵素、放射性同位体、粒子および量子ドットからなる群から選択される標識を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項1に記載の方法を実施するためのキットであって、
a)RBM3タンパク質と選択的相互作用が可能である定量化可能なアフィニティーリガンド、および
b)該定量化可能なアフィニティーリガンドの量を定量するために必要な試薬、
c)胎盤型アルカリホスファターゼ(PLAP)、オクタマー3/4(OCT3/4)および(RNA結合モチーフタンパク質Y)RBMYから選択されるタンパク質と選択的相互作用が可能である定量化可能なアフィニティーリガンド、および
d)c)の定量化可能なアフィニティーリガンドの量を定量するために必要な試薬
を含み、b)およびd)の試薬が同じであるか、または異なっているキット。
【請求項44】
請求項7または8に記載の方法を実施するためのキットであって、
a)RBM3タンパク質と選択的相互作用が可能である定量化可能なアフィニティーリガンド、および
b)該定量化可能なアフィニティーリガンドの量を定量するために必要な試薬、
c)ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、α−フェトプロテイン(AFP)および乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)から選択されるタンパク質と選択的相互作用が可能である定量化可能なアフィニティーリガンド、および
d)c)の定量化可能なアフィニティーリガンドの量を定量するために必要な試薬
を含み、b)およびd)の試薬が同じであるか、または異なっているキット。
【請求項45】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、抗体、そのフラグメントおよびその誘導体からなる群から選択される、請求項43または44に記載のキット。
【請求項46】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、アミノ酸配列が配列番号:1からなるタンパク質で動物を免疫化する工程を含むプロセスにより得ることができる、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、アミノ酸配列が配列番号:4および5から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドで動物を免疫化する工程を含むプロセスにより得ることができる、請求項45に記載のキット。
【請求項48】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:6−19から選択されるアミノ酸配列を含むRBM3フラグメントで動物を免疫化する工程を含むプロセスにより得ることができる、請求項45に記載のキット。
【請求項49】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:8、16および17から選択されるアミノ酸配列を含むRBM3フラグメントで動物を免疫化する工程を含むプロセスにより得ることができる、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、ブドウ球菌タンパク質Aおよびそのドメイン、リポカリン、アンキリン反復ドメイン、セルロース結合ドメイン、γ結晶、緑色蛍光タンパク質、ヒト細胞毒性Tリンパ球関連抗原4、プロテアーゼ阻害剤、PDZドメイン、ペプチドアプタマー、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、テンダミスタット、フィブロネクチンIII型ドメインおよび亜鉛フィンガーからなる群から選択される骨格由来のタンパク質リガンドである、請求項43または44に記載のキット。
【請求項51】
該定量化可能なアフィニティーリガンドがオリゴヌクレオチド分子である、請求項43または44に記載のキット。
【請求項52】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが
i)配列番号:1、および
ii)配列番号:1と少なくとも85%同一である配列
から選択される配列を含むか、またはそれからなるRBM3タンパク質と選択的相互作用が可能である、請求項43−51のいずれかに記載のキット。
【請求項53】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが
i)配列番号:2、および
ii)配列番号2と少なくとも85%同一である配列
から選択される配列を含むか、またはそれからなるRBM3タンパク質と選択的相互作用が可能である、請求項43−52のいずれかに記載のキット。
【請求項54】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、配列番号:4および5から選択されるアミノ酸配列からなるRBM3フラグメントと選択的相互作用が可能である、請求項43−53のいずれかに記載のキット。
【請求項55】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:6−19から選択されるアミノ酸配列を含むRBM3フラグメントと選択的相互作用が可能である、請求項43−54のいずれかに記載のキット。
【請求項56】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:8、16および17から選択されるアミノ酸配列を含むRBM3フラグメントと選択的相互作用が可能である、請求項43−55のいずれかに記載のキット。
【請求項57】
該定量化可能なアフィニティーリガンドが、蛍光色素および金属、発色色素、化学発光化合物および生物発光タンパク質、酵素、放射性同位体、粒子および量子ドットからなる群から選択される標識を含む、請求項43−56のいずれかに記載のキット。
【請求項58】
該定量化可能なアフィニティーリガンドの該量を定量するために必要な該試薬が、該定量化可能なアフィニティーリガンドを認識することが可能である二次アフィニティーリガンドを含む、請求項43−57のいずれかに記載のキット。
【請求項59】
該二次アフィニティーリガンドが、蛍光色素または金属、発色色素、化学発光化合物および生物発光タンパク質、酵素、放射性同位体、粒子および量子ドットからなる群から選択される標識を含む、請求項58に記載のキット。
【請求項60】
参照値の提供のために少なくとも1つの参照サンプルをさらに含む、請求項43−59のいずれかに記載のキット。
【請求項61】
少なくとも1つの参照サンプルが検出可能なRBM3タンパク質を含まないサンプルである、請求項60に記載のキット。
【請求項62】
少なくとも1つの参照サンプルがRBM3タンパク質を含む、請求項60または61に記載のキット。
【請求項63】
少なくとも1つの参照サンプルが、核または細胞質画分の0−25%に対応するRBM3タンパク質の量を含む、請求項60−62のいずれかに記載のキット。
【請求項64】
少なくとも1つの参照サンプルが、非存在の、または弱い核または細胞質強度に対応するRBM3タンパク質の量を含む、請求項60−63のいずれかに記載のキット。
【請求項65】
少なくとも1つの参照サンプルが、該参照値よりも高い値に対応するRBM3タンパク質の量を含む、請求項60−64のいずれかに記載のキット。
【請求項66】
少なくとも1つの参照サンプルが、強い核または細胞質強度に対応するRBM3タンパク質の量を含む、請求項65に記載のキット。
【請求項67】
少なくとも1つの参照サンプルが、75%以上の核または細胞質画分に対応するRBM3タンパク質の量を含む、請求項65または66に記載のキット。
【請求項68】
参照値より高い値(陽性参照値)に対応するRBM3タンパク質の量を含む第1の参照サンプル、および
該参照値以下である値(陰性参照値)に対応するRBM3タンパク質の量を含む第2の参照サンプル
を含む、請求項60−67のいずれかに記載のキット。
【請求項69】
該参照サンプルが細胞株を含む、請求項60−68のいずれかに記載のキット。
【請求項70】
50以下のアミノ酸からなり、配列番号:4−19から選択されるアミノ酸配列を含むRBM3タンパク質フラグメント。
【請求項71】
29以下のアミノ酸からなる、請求項70に記載のRBM3タンパク質フラグメント。
【請求項72】
20以下のアミノ酸からなり、配列番号:6−19から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項70または71に記載のRBM3タンパク質フラグメント。
【請求項73】
20以下のアミノ酸からなり、配列番号:8、16および17から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項72に記載のRBM3タンパク質フラグメント。
【請求項74】
15以下のアミノ酸からなる、請求項72または73に記載のRBM3タンパク質フラグメント。
【請求項75】
精巣障害、例えば、in situの精巣癌に対する診断マーカーとしてのRBM3タンパク質のインビトロでの使用。
【請求項76】
該タンパク質が、精巣組織、精漿または精液のサンプルにおいて提供される、請求項75に記載の使用。
【請求項77】
精巣癌に対する予後診断マーカーとしてのRBM3タンパク質のインビトロでの使用。
【請求項78】
該タンパク質が、精巣癌を有する対象由来のサンプルにおいて提供される、請求項77に記載の使用。
【請求項79】
該サンプルが精巣癌サンプルである、請求項78に記載の使用。
【請求項80】
該マーカーが精巣癌に対して比較的良好な予後のマーカーである、請求項77−79のいずれかに記載の使用。
【請求項81】
精巣障害、例えば、in situの精巣癌に対する診断薬、または精巣癌を有する哺乳動物対象に対する予後を確立するための予後診断薬の選択または精製のための、RBM3タンパク質またはその抗原的に活性なフラグメントのインビトロでの使用。
【請求項82】
精巣障害、例えば、in situの精巣癌に対する診断薬、または精巣癌を有する哺乳動物対象に対する予後を確立するための予後診断薬の生産のための、RBM3タンパク質またはその抗原的に活性なフラグメントの使用。
【請求項83】
該予後診断薬が、RBM3タンパク質またはその抗原的に活性なフラグメントと選択的相互作用が可能であるアフィニティーリガンドである、請求項81または82に記載の使用。
【請求項84】
RBM3タンパク質のアミノ酸配列が
i)配列番号1、および
ii)配列番号1と少なくとも85%同一である配列
から選択される配列を含む、請求項75−83のいずれかに記載の使用。
【請求項85】
RBM3タンパク質のアミノ酸配列が
i)配列番号:2、および
ii)配列番号2と少なくとも85%同一である配列
から選択される配列を含むか、またはそれからなる、請求項75−84のいずれかに記載の使用。
【請求項86】
フラグメントが請求項70−74のいずれかに記載のフラグメントである、請求項81−83のいずれかに記載の抗原的に活性なフラグメントの使用。
【請求項87】
アミノ酸配列が配列番号4または5の配列からなるペプチド、または、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:6−19から選択されるアミノ酸配列を含むRBM3タンパク質フラグメントで動物を免疫化する工程を含むプロセスにより得ることができるアフィニティーリガンド。
【請求項88】
アミノ酸配列が配列番号:5からなるペプチド、または、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:8、16および17から選択される配列を含む、RBM3タンパク質フラグメントで動物を免疫化する工程を含むプロセスにより得ることができるアフィニティーリガンド。
【請求項89】
アミノ酸配列が配列番号4または5からなるペプチド、または、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:6−19から選択されるアミノ酸配列を含むRBM3フラグメントと選択的相互作用が可能であるアフィニティーリガンド。
【請求項90】
アミノ酸配列が配列番号:5からなるペプチド、または、20以下のアミノ酸、例えば、15以下のアミノ酸からなり、配列番号:8、16および17から選択されるアミノ酸配列を含むRBM3フラグメントと選択的相互作用が可能であるアフィニティーリガンド。
【請求項91】
精巣障害、例えば、in situの精巣癌に対する診断薬、または精巣癌に対する予後診断薬としての、RBM3タンパク質と選択的相互作用が可能であるアフィニティーリガンドのインビトロでの使用。
【請求項92】
アフィニティーリガンドが請求項87−90のいずれかに記載のアフィニティーリガンドである、請求項91に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−518163(P2012−518163A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549603(P2011−549603)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051935
【国際公開番号】WO2010/092187
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(508178490)アトラス・アンティボディーズ・アクチボラゲット (11)
【氏名又は名称原語表記】Atlas Antibodies AB
【Fターム(参考)】