説明

精米機

【課題】搗精終了時、人手を煩わすことなく、短時間のうちに搗精室から残留米を残らず排出することが可能な精米機を提供する。
【解決手段】搗精終了時に、搗精ロール15及び搗精網36により形成される搗精室13内の残留米の後方から排出口のある前方側に向かって圧縮空気を噴風するように制御される第1の噴風手段14と、搗精ロールが連なった搗精ロール軸を駆動するための駆動電源の供給が停止されても、搗精ロール軸が慣性で回転し続けている状態にあっては、搗精ロールから搗精室内に向けて圧縮空気を噴風し続けるように制御される第2の噴風手段16とを備えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精米機に関するものであり、さらに詳しくは、搗精室内の残留米に圧縮空気等を噴風することにより排出する噴風装置を備えた精米機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、精米機は、搗精室の中心で回転する搗精ロールと周囲の搗精網との間に玄米を送り込みながら玄米の表面の糠層を研削、摩擦によって削ることにより、玄米を白米や分づき米に搗精するものである。
このような精米機のなかには、搗精室内への玄米の送り込み形態、例えば、下方から上方、或いは横方向等によって搗精終了時に搗精室内に残留米が発生してしまうものがある。このため、従来、搗精終了時に搗精室内の残留米を排出するため搗精室後方から排出口のある前方に向けて圧縮空気を噴風する噴風装置を備えた精米機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記した従来の精米機にあっては、圧縮空気をより遠くに届かせるため搗精筒の内周面に沿って平行に噴風するように噴射装置の噴風口を設けると、残留米が残っている搗精筒の内周面、つまり搗精網近傍では風の流速が遅くなってしまうため、残留米を吹き飛ばすには大量の噴風が必要になるという問題があった。これに対し、噴風口から噴風される風量を少なくすると、残留米ゼロにするまで長時間噴風させなくてはならず、そのため搗精開始から終了まで時間がかかってしまうという問題がある。
また、従来の精米機のなかには、回転している搗精ロールから搗精室に向けて圧縮空気を噴風させるように構成されているものもあるが、通常、搗精ロールから噴風される圧縮空気は、搗精ロールが連なっている搗精ロール軸への駆動電源OFFと共に供給が停止されるため、残留米を排出するには至らないという問題もある。
そして、機内に残留米があると次のロットの玄米と混じり、コンタミ問題が発生してしまうため、人力で残留米を排出(掃除、場合によっては分解掃除)する必要があった。
【0004】
【特許文献1】特開昭63−185461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、搗精終了時、人手を煩わすことなく、短時間のうちに搗精室から残留米を残らず排出することが可能な精米機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、玄米の表面の糠層を削る搗精ロールが連なり、且つ前記搗精ロール外周面と軸内部とが連通した横型の搗精ロール軸と、前記搗精ロール軸を回転させる電気式の駆動源と、搗精終了時に前記搗精ロール及び搗精網により形成される搗精室内の残留米の後方から圧縮気体を噴風する第1の噴風手段と、搗精時にあっては前記搗精ロール軸を介して前記搗精ロールから前記搗精室内に向かって圧縮気体を噴風する第2の噴風手段とを備えた精米機において、
前記第2の噴風手段は、前記搗精ロールが連なった搗精ロール軸を回転させる駆動電源の供給が停止され、且つ前記搗精ロール軸が慣性で回転し続けている状態にあっては、前記搗精ロールから前記搗精室内に向けて圧縮気体を噴風し続けるように制御する制御手段を備えていることを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するため請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記制御手段は、搗精終了時に前記搗精ロール軸の回転、停止を予め設定された回数だけ繰り返すように前記駆動電源を接断制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、第2の噴風手段は、搗精終了時に搗精ロール軸を駆動する駆動電源の供給が停止されても搗精ロール軸が慣性で回転し続けている状態、つまり完全停止状態とは異なる状態にあっては、搗精ロールから搗精室内に向けて圧縮空気を噴風し続けるように制御手段により制御される。これにより、搗精ロール軸の回転により方向性を失っていた搗精ロールからの噴風が、搗精ロール軸の停止直前に箒のように搗精筒の内周面を吹き払うことによって、内周面に張り付いていた残留米が浮き上がるようになる。そのため、搗精室後方から排出口のある前方に向けて噴風される圧縮空気が大量でなくても効率よく残留米を吹き飛ばすことができて、搗精終了時に人手を煩わすことなく、短時間のうちに搗精室から残留米を残らず排出することが可能な精米機を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、搗精ロール軸は、搗精終了時に回転、停止を予め設定された回数だけ繰り返すように制御手段により駆動電源が接断制御される。これにより、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、搗精ロールからの噴風が、搗精ロール軸の停止直前毎に搗精筒の内周面を何回も吹き払うことによって、内周面に強固に張り付いていた残留米が残らず浮き上がるようになる。その結果、より短時間で搗精室から残留米を残らず排出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
搗精終了時に搗精ロール軸を駆動する駆動電源の供給が停止されても、搗精ロール軸が回転し続けている間は、搗精ロールから搗精室内に向かっての噴風を継続させることによって、人手を煩わすことなく、短時間のうちに搗精室から残留米を残らず排出することが可能な精米機が実現した。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された精米機の正面図、図2は、同例における精米機の模式図、図3は、同例における摩擦式搗精室を示した側面図、図4は、搗精ロールを示した側面図、図5は、図4中のA−A矢視断面図、図6は、同例における摩擦式精米機部の正面図、図7は、遮断装置を示した分解斜視図、図8は、搗精室カバーを示した側面図、図9は、搗精室カバーを示した平面図、図10は、吸気口が塞がれた搗精室カバーの平面図である
【0012】
本発明は、搗精終了時に搗精室内の残留米を排出するため搗精室後方から排出口のある前方に向けて圧縮気体を噴風する第1の噴風手段と、回転している搗精ロールから搗精室内に向けて圧縮気体を噴風する第2の噴風手段とを備えた精米機に適用されるものであって、図1,2に示されるように、本精米機10には、玄米の表面を削る上下2段の研削型精米(搗精)機部11及び摩擦型精米(搗精)機部12と、摩擦型精米機部12内の残量米を排出するため摩擦型搗精室13の後方から前方に向けて圧縮気体としての圧縮空気を噴風する第1の噴風手段としての第1の噴風装置14(例えば、コンプレッサ)と、搗精時にあっては摩擦型搗精室13内に位置している搗精ロール(以下、摩擦ロールという)15から摩擦式搗精室13内に向けて圧縮気体としての圧縮空気を噴風する第2の噴風手段としての第2の噴風装置16(例えば、ブロア)とを備えて構成されている。
【0013】
精米機10の筐体上面には、循環型精米タンク17(図1に図示)から下方に向けて排出される玄米を筐体内に導くための漏斗状の投入口18が設けられていると共に、この投入口18には、その内部を通過する玄米の有無を検出する米検出手段としての米有センサ19が設けられている。この米有センサ19が検出した検出値は、図2に示されるように、この精米機10による搗精開始、終了を制御する制御手段としての制御部20に入力される。そして、この制御部20は、筐体正面に設けられた図示しない操作部からの出力信号が入力され、且つ米有センサ19から米有り検出信号が入力されると自動的に搗精を開始するように予め設定されていると共に、第1及び第2の噴風装置14,16を適宜作動制御するように予め設定されている。
【0014】
投入口18の下方側には、図2に示されるように、研削型精米機部11が機体前後方向に延びるように横向きに配置されており、投入口18に投入された玄米が下方側に延びる樋状部材21を介して研削型精米機部11内に導かれるようになっている。この研削型精米機部11は、横型の1軸1室の研削型搗精室22を備えており、投入口18から流下してきた玄米を機体前方側の研削型搗精室22に横搬送するためのスクリュウコンベア部23と、研削型搗精室22内にて玄米の固い表面の糠層を筒状の搗精網24と共に玄米重量比約1%程度削る研削ロール25とが1軸に連なった研削ロール軸26が回転可能に配置されている。
【0015】
この研削ロール軸26の前部には、研削型搗精室22から研削精米を排出する排出口(図示せず)が設けられていると共に、この排出口を開閉可能とする横向き傘状の可動体(図示せず)を軸心方向に向かって付勢させることによって搗精度を調整する圧力調整部27が設けられている。また、研削ロール軸26の後部には、研削ロール軸26の下方側に並列配置された駆動源としての電気式の副モータ28の回転駆動力を研削ロール軸26に伝達するためのベルト29が巻装されている。
【0016】
そして、副モータ28の回転駆動力がベルト29を介して研削ロール軸26に伝達されると、研削型搗精室22の中心で研削ロール軸26が高速で定回転することによって、玄米の表面から糠を削ると共に削った糠等の塵埃は、図1に示されるように、研削型精米機部11に連なったダクト30を介して機体外に配置された集塵手段としての集塵機31に吸引される。なお、この集塵機31は、精米機10の制御部20とは異なった制御手段により稼動するように設定されている。
【0017】
そして、研削型精米機部11による研削が終了した研削精米は、排出口から排出されたのち、下方側に延びる樋状部材32を介して摩擦型精米機部12に導かれるようになっている。ところで、この樋状部材32の中間部には、研削型精米機部11から排出された研削精米を研削精米出口33から機外に排出可能とする分岐部34が設けられており、この分岐部34によって、胚芽米(米の胚芽部分を残したもの)を得たり、古米のように糠層の固い米粒は途中排出して再度研削型精米機部11に循環させたりすることが可能とされている。
【0018】
摩擦型精米機部12は、図2,3に示されるように、横型の1軸1室の摩擦型搗精室13を備えているものであって、研削型搗精室22から排出されてきた研削精米を機体前方側の摩擦型搗精室13に横搬送するためのスクリュウコンベア部35と、摩擦型搗精室13内にて研削精米の表面の糠層を筒状の搗精網36と共に玄米重量比約9%程度削る筒状の摩擦ロール15とが1軸に連なった摩擦ロール軸37が、箱体状の搗精室カバー38内に収められた状態で回転可能に配置されている。
【0019】
摩擦型搗精室13の前部には、摩擦型搗精室13にて摩擦搗精が終了した白米を排出する排出口39(図2に図示)が設けられていると共に、この排出口39を開閉可能とする横向き傘状の可動体(図示せず)を軸心方向に向かって付勢させることによって搗精度を調整する圧力調整部40(図1に図示)が設けられている。また、摩擦型搗精室13の後部には、図3に示されるように、搗精終了時に第1の噴風装置14からの圧縮空気を排出口39のある前方に向けて噴風するエアバルブ41が複数設けられている。これらのエアバルブ41の噴出口は、噴風する圧縮空気をより遠くに届かせるため搗精網36の内周面に沿って平行に噴風するように設けられている。
【0020】
摩擦ロール軸37は、図2,3に示されるように、中空軸が用いられていると共に軸後端部には第2の噴風装置16が連なっており、第2の噴風装置16からの圧縮空気が軸内に導入可能とされている。さらに、摩擦ロール軸37の前端部には、軸内に導入された圧縮空気をこの摩擦ロール軸37の前端部に連なった摩擦ロール15の内部に排出可能とする通気孔37a(図3に図示)が円周上に約90度間隔を開けた状態で列状に設けられている。
【0021】
摩擦ロール15は、図4,5に示されるように、その内部に摩擦ロール軸37が嵌合可能となるように中空状に形成されているものであって、その外周面には、摩擦ロール15の長手方向に沿って非直線状に延びた2条の凸部15aが約180度異なった位置にそれぞれ一体的に形成されている。さらに、これら凸部15aの基部に隣接した位置には、摩擦ロール15内部と外部とを連通するスリット15bが凸部15aに沿って非連続的に設けられており、これにより、摩擦ロール15内部から外部、つまり摩擦型搗精室13に向かって圧縮空気が満遍なく、且つ勢いよく排出可能とされている。
【0022】
摩擦ロール軸37の後部には、図2に示されるように、摩擦ロール軸37の下方側に並列配置された駆動源としての電気式の主モータ42の回転駆動力を摩擦ロール軸37に伝達するためのベルト43が巻装されている。この主モータ42は、搗精時にあっては摩擦ロール軸37を一定速度で回転させる。
【0023】
主モータ42を出力制御するための負荷電流値は、制御部20により搗精終了時の各種制御に供されるようになっている。そして、主モータ42の回転駆動力がベルト43を介して摩擦ロール軸37に伝達されると、摩擦型搗精室13の中心で摩擦ロール軸37が高速で定回転することによって、研削精米の表面から糠を削ると共に、削った糠等の塵埃は、搗精室カバー38の一側面部に連なったダクト44(図1に図示)を介して集塵機31に吸引される。
【0024】
そして、制御部20は、搗精開始後にあっては、米有センサ19からの検出値と、摩擦ロール軸37を駆動制御する主モータ42の負荷電流値とに基づいて搗精終了か否かを判断する。そして、制御部20は、米有センサ19が玄米無しを検出し、且つ負荷電流値が予め設定された設定値以下、例えば、20馬力精米機の場合で18A以下になった場合に搗精終了であると判断する。そして、搗精終了と判断すると、終了モードに移行して主モータ42への駆動電源の供給を停止して搗精を自動的に終了するように予め設定されている。
【0025】
さらに、終了モードに移行した制御部20は、主モータ42への駆動電源の供給を停止した後、摩擦ロール軸37が慣性で回転し続けている状態、つまり完全停止状態とは異なる状態にあっては、第2の噴風装置16からの圧縮空気が、回転している摩擦ロール15のスリット15bから摩擦型搗精室13内に向けて噴風し続けるように第2の噴風手段16を作動制御する。
詳述すると、この制御部20は、主モータ42への駆動電源の供給を停止した後、摩擦ロール軸37が慣性で回転し続けている状態を時間管理により認識するものであって、第2の噴風装置16を予め設定された設定時間の間、作動制御するための時間情報が記憶格納されている。この時間情報は、予め実験、計算等により求められており、例えば、20馬力精米機の場合で約15秒とされている。そして、制御部20は、この時間情報(設定時間)に基づいて第2の噴風装置16の噴風時間を時間管理する。換言すれば、制御部20は、摩擦ロール軸37が完全停止状態になると、第2の噴風装置16からの噴風を停止するように予め設定されている。なお、摩擦ロール15のスリット15bから摩擦型搗精室13内に向けての噴風開始は、搗精開始と共に噴風を開始する構成に限られたものではなく、例えば、主モータ42への駆動電源の供給の停止と共に開始されるように構成することも可能である。
【0026】
さらに、制御部20は、終了モード中は第1の噴風装置14を継続して作動させて摩擦型搗精室13の後方から排出口39に向けて圧縮空気を噴風し続けるように設定されている。さらにまた、この制御部20は、搗精終了時に搗精ロール軸37の回転、停止を予め設定された回数だけ繰り返すように主モータ42の駆動電源を接断制御するように設定されている。
【0027】
これにより、搗精ロール軸37の回転により方向性を失っていた摩擦ロール15からの噴風が、搗精ロール軸37の停止直前には箒のように搗精網36の内周面を吹き払うことによって、搗精網36に張り付いていた残留米を浮き上がらせる。そして、浮き上がった残留米はエアバルブ41からの噴風により残らず排出口39に送り込まれる。その結果、摩擦型搗精室13の後方から排出口39のある前方に向けて噴風される圧縮空気が大量でなくても効率よく残留米を吹き飛ばすことができるようになり、搗精終了時に人手を煩わすことなく、短時間のうちに摩擦型搗精室13から残留米を残らず排出することが可能となる。
【0028】
さらに、本精米機10には、搗精終了時に、摩擦型搗精室13(搗精室カバー38)と集塵機31とを結ぶダクト44を遮断する遮断手段としての遮断装置46と、搗精室カバー38の吸気口38aを塞ぐ閉塞手段としての閉塞装置47とが備えられている。
【0029】
詳述すると、ダクト44には、図1,6に示されるように、集塵機31側と搗精室カバー38側とを遮断する遮断装置46が設けられている。この遮断装置46には、図7に示されるように、ダクト径とほぼ同径の開孔48aが下方側に穿設されると共に凸状のフランジ部48bが一体形成された平板状の開閉シャッター48と、この開閉シャッター48のフランジ部48bを片持ち支持した状態で機体上下方向に向かって昇降移動させるエアアクチュエータ49と、開閉シャッター48の両面側を摺接可能に支持すると共にダクト44と連結するための連結部50a,51aが中央部に設けられた一対の平板状の支持体50,51、及び開閉シャッター48の外周部を摺接可能に支持するため不連続な一対の枠体状の支持フレーム52a,52bと、この遮断装置46を機体に取り付けるためL字状に折曲加工が施された取付けフレーム53とを備えて構成されている。エアアクチュエータ49は、制御部20により駆動制御されるものであって、開閉シャッター48のフランジ部48bと係合するスライド部49aが機体上下方向に向かって立設されたスライド軸49bに沿って円滑にスライド移動するように構成されている。
【0030】
そして、制御部20は、精米機10の稼動時、つまり搗精終了時とは異なる状態にあっては、開閉シャッター48が上昇した位置で固定されるようにエアアクチュエータ49を駆動制御することによってダクト44を連通させて、集塵機31の吸引力により搗精室カバー38内を負圧にして内部の空気を吸い出すように設定されている。また、制御部20は、搗精終了時には、開閉シャッター48が下降するようにエアアクチュエータ49を駆動制御することによってダクト44を遮断して集塵機31の吸引力を遮断するように設定されている。
【0031】
また、搗精室カバー38の上面部には、図8〜10に示されるように、集塵機31が稼動している状態にあっては負圧となる搗精室カバー38内に空気を取り込ませるための吸気口38aが列状に設けられていると共に、これらの吸気口38aを開閉可能とする閉塞装置47が設けられている。この閉塞装置47には、吸気口38aと同径の開孔54aが搗精室カバー38とほぼ同様の列状に形成され、搗精室カバー38の上面部に沿って摺接移動することによって吸気口38aと開孔54aとをずらして吸気口38aを塞ぐ平板状のスライドシャッター54と、このスライドシャッター54を機体前後方向に向かって進退移動させるソレノイド55とが備えられている。このソレノイド55は、制御部20により駆動制御されるものであって、スライドシャッター54の後部に連なった状態で伸張するロッド部55aが機体前後方向に向かって進退移動することによってスライドシャッタ54を進退移動させるようになっている。
【0032】
そして、制御部20は、精米機10が稼動している状態にあっては、スライドシャッター54が後退した位置で固定されるようにソレノイド55を駆動制御することによって、吸気口38aを全開させて集塵機31の吸引力により搗精室カバー38内に空気を吸い込ますように設定されている。さらに、この制御部20は、搗精終了時であると判断すると、スライドシャッター54が機体前方に向かってスライド移動するようにソレノイド55を駆動制御することによって開孔54aを吸気口38aからずらすことによって吸気口38aを全閉させるように設定されている。
【0033】
すなわち、搗精終了時にあっては、図10に示されるように、スライドシャッター54により搗精室カバー38の吸気口38aが塞がれると共に、開閉シャッター48により集塵機31と搗精室カバー38とを連通するダクト44が遮断される。これにより、集塵機31の吸引力が遮断されるので、摩擦型搗精室13の搗精網36への残留米の張り付きがなくなり、残留米を容易に移動させることができるようになると共に、第1及び第2の噴風装置14,16からの圧縮空気は、搗精室カバー38の吸気口38aから抜けたり、集塵機31に吸引されてしまうことが防止されるので、残留米を白米排出口56(図1,2に図示)に連なる排出口39に向かって残らず吹き飛ばすことができるようになる。その結果、集塵機31の運転を停止することなく、より短時間で全ての残留米を確実に排出することが可能となる。
【0034】
以上説明したように本発明によれば、第2の噴風装置16は、搗精終了時に搗精ロール軸38を駆動する駆動電源の供給が停止されても搗精ロール軸38が慣性で回転し続けている状態、つまり完全停止状態とは異なる状態にあっては、摩擦ロール軸37内部を介して摩擦ロール15から摩擦型搗精室13内に向けて圧縮空気を噴風し続けるように制御部20により動作制御される。これにより、摩擦ロール軸37の回転により方向性を失っていた摩擦ロール15のスリット15bからの噴風が、摩擦ロール軸37の停止直前に箒のように搗精網36の内周面を吹き払うことによって、搗精網36に張り付いていた残留米が浮き上がるようになる。そのため、摩擦型搗精室13の後方から排出口39のある前方に向けて噴風される圧縮空気が大量でなくても効率よく残留米を吹き飛ばすことができて、搗精終了時に人手を煩わすことなく、短時間のうちに摩擦型搗精室13から残留米を残らず排出することが可能な精米機10を提供することができる。
【0035】
さらに本発明によれば、制御部20は、搗精終了時に摩擦ロール軸37の回転、停止を予め設定された回数だけ繰り返すように主モータ42の駆動電源を接断制御する。これにより、摩擦ロール15のスリット15bからの噴風が、摩擦ロール軸37の停止直前毎に搗精網36の内周面を何回も吹き払うことによって、搗精網36に強固に張り付いていた残留米が残らず浮き上がるようになる。その結果、より短時間で摩擦型搗精室13から残留米を残らず排出することが可能となる。
【0036】
なお、本発明は、横型2軸2室の搗精室を備えた精米機にのみ適用されるものではなく、下方から上方に向けて玄米を搗精室に通過させる竪型の精米機にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明が適用された精米機の正面図である。
【図2】同例における精米機の模式図である。
【図3】同例における摩擦式搗精室を示した側面図である。
【図4】搗精ロールを示した側面図である。
【図5】図4中のA−A矢視断面図である。
【図6】同例における摩擦式精米機部の正面図である。
【図7】遮断装置を示した分解斜視図である。
【図8】搗精室カバーを示した側面図である。
【図9】搗精室カバーを示した平面図である。
【図10】吸気口が塞がれた搗精室カバーの平面図である
【符号の説明】
【0038】
10 精米機
11 研削型精米機部
12 摩擦型精米機部
13 摩擦型搗精室
14 第1の噴風装置(第1の噴風手段)
15 摩擦ロール(搗精ロール)
15b スリット
16 第2の噴風装置(第2の噴風手段)
20 制御部(制御手段)
36 搗精網
37 摩擦ロール軸
38 搗精室カバー
39 排出口
41 エアバルブ
42 主モータ(駆動源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄米の表面の糠層を削る搗精ロールが連なり、且つ前記搗精ロール外周面と軸内部とが連通した横型の搗精ロール軸と、前記搗精ロール軸を回転させる電気式の駆動源と、搗精終了時に前記搗精ロール及び搗精網により形成される搗精室内の残留米の後方から圧縮気体を噴風する第1の噴風手段と、搗精時にあっては前記搗精ロール軸を介して前記搗精ロールから前記搗精室内に向かって圧縮気体を噴風する第2の噴風手段とを備えた精米機において、
前記第2の噴風手段は、前記搗精ロールが連なった搗精ロール軸を回転させる駆動電源の供給が停止され、且つ前記搗精ロール軸が慣性で回転し続けている状態にあっては、前記搗精ロールから前記搗精室内に向けて圧縮気体を噴風し続けるように制御する制御手段を備えていることを特徴とする精米機。
【請求項2】
前記制御手段は、搗精終了時に前記搗精ロール軸の回転、停止を予め設定された回数だけ繰り返すように前記駆動電源を接断制御することを特徴とする請求項1に記載の精米機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−150287(P2006−150287A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347038(P2004−347038)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000197344)静岡製機株式会社 (37)
【Fターム(参考)】