説明

糖尿病の有無等を判定する方法

【課題】 容易に入手し得る検体を用いて、被験者が2型糖尿病に罹患しているか否かを判定する方法、糖尿病の治療効果が上がっているか否かを判定する方法を提供すること。
【解決手段】 (a)被験者xに由来するヒト白血球における特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルxを得る工程、(b)工程(a)で得られた発現プロファイルxを、非糖尿病の被験者yに由来するヒト白血球における遺伝子群又はその同等物中の工程(a)と同一の特定の遺伝子又は遺伝子群についての発現プロファイルyと比較する工程、及び(c)工程(b)で、発現プロファイルxが発現プロファイルyと有意に異なる場合に、被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であると判定する工程を含む、被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であるか否かを判定する方法等を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト白血球における遺伝子の発現量を解析することによる、(1)被験者が糖尿病患者又はその予備軍であるか否かを判定する方法及び(2)2型糖尿病患者における治療効果の有無を判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最新の医療統計によると、日本国内おける糖尿病患者数は、糖尿病が強く疑われる人だけでも740万人、糖尿病である可能性を否定できない人を合わせると1,620万人であると考えられている。また、糖尿病にかかわる医療費は、直接的な費用だけでも年間1兆1,155億円と推定されており、間接的な経済損失を加味すると3兆円に達するといわれている。しかるに、糖尿病であるか否かの診断に有用な生化学的検査としては、血液及び尿中の糖検査とグリコヘモグロビン(HbA1c)の測定しか知られていない。また、これらの検査結果からは、糖尿病の最も大きな問題点である動脈硬化や、網膜の損傷による失明や糖尿性腎症等の合併症の評価や予測が十分には行ない得ないことがわかっている。そして、国内外における多数の研究にもかかわらず、従来の生化学的・免疫学的手法による糖尿病の診断等に有用な方法は開発されていない。
【0003】
また、糖尿病を確実に治療できる薬物も依然開発途上にあり、従って、糖尿病の診断等に有用な方法は、そのような薬物の有効性の判定のためにも必要である。
【0004】
一方、多種類の遺伝子の発現を同時に解析するためのツールとして、DNAマイクロ・アレイ(DNAチップ)が知られており、これらを使用した遺伝子解析結果から、糖尿病を診断しようという試みも知られている。
【0005】
特許文献1には、DNAマイクロ・アレイやDNAチップで遺伝子の発現データを得、それらのデータを多変量解析することにより、異なる2条件間で発現が有意に異なる複数の遺伝子を選抜することや、そのようにして選抜された複数の遺伝子の発現データから、ある疾患に罹患しているか否か、又は、治療によって疾患が改善しているか否かを判断する方法が記載されている。
【0006】
特許文献1の実施例1には、糖尿病治療薬であるメトホルミンを投与したことによる、糖尿病モデルマウスの肝臓における遺伝子発現の変動の解析結果が記載されており、メトホルミンの薬効と相関した発現変動を示す遺伝子として、25プローブ(23遺伝子)が特定されている。また、実施例4には、代謝パスウェイ単位でメトホルミン投与によって影響を受ける遺伝子群の探索を行った結果、12のパスウェイにおいて、各パスウェイに属する遺伝子群の発現が影響を受けたことが記載されている。実施例4も、検体は糖尿病モデルマウスの肝臓である。さらに、実施例5には、前記12のパスウェイ中の複数のパスウェイに含まれるALDH2遺伝子に着目し、統計的手法での解析結果に基づき、この遺伝子がメトホルミンの薬効と相関した発現変動が顕著な重要な遺伝子であると推測している。
【0007】
前掲のように、特許文献1に記載された実施例は、すべて糖尿病モデルモマウスの肝臓を用いて行われたものである。特許文献1に記載の発明中ヒトに関連する発明は、マウスのデータをそのままヒトに置き換えることができるという前提が成立して初めて成り立つのであるが、この前提の正否は全く検証されていない。このように、特許文献1において特定されている遺伝子は、ヒトの糖尿病の検査に有用であるか否かが明らかではない。
【0008】
特許文献2及び3には、白血球における所定遺伝子の発現解析によって2型糖尿病を診断する方法が記載されている。また、2型糖尿病の診断に有用な遺伝子も開示されている。しかし、その実施例には、2型糖尿病に類似した症状を示す自然発症糖尿病モデル動物であるOLETFラットと、糖尿病を発症しないコントロール動物であるLETOラットを用いた実験方法及び結果が記載されているのみである。特許文献2には、ラットの白血球、肝臓及び筋肉における遺伝子発現レベルを解析した結果、OLETFラットとLETOラットにおいて、CAPN10遺伝子とIRS−1遺伝子の発現に有意差が見られた旨が記載されており、また、特許文献3においては、ラットの白血球における遺伝子発現レベルをcDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析するという手法によって2型糖尿病の診断に有用な遺伝子として選択されたものが、ヒトの2型糖尿病の診断に有用な遺伝子として特定されている。
【0009】
しかし、特許文献2の場合も特許文献3の場合も、実施例はすべてモデル動物から得られた試料を用いた実験に関するものであり、従って、得られたデータが真にヒトの糖尿病を代表するという保証はなく、又その検証もされていない。
【0010】
さらに、特許文献3の段落番号0164には、ここで使用したマイクロ・アレイにスポットされている遺伝子は糖尿病診断に最適化されたものではない旨が記載されている。従って、段落番号0164には「今回見出された遺伝子は糖尿病遺伝子発現診断用により最適化されたマイクロアレイを構築するための候補遺伝子として使用することができる」旨の記載もあるが、逆に、ここで使用したマイクロ・アレイにスポットされていない遺伝子に糖尿病診断に適するものが存在する可能性を示唆しているともいえる。
【0011】
上記の如く、特許文献1乃至3では、モデル動物を用いた実験によって得られたデータに基づき、ヒトの糖尿病の診断等に有用な遺伝子を特定している。ラットの遺伝子はヒトの遺伝子に似ていると言われてはいるが、その機能のヒトとの同一性、パスウェイ内での挙動のヒトとの同一性は、保証されていないと考えるのが妥当である。ヒトに適用される診断マーカー遺伝子は、ヒトの患者における遺伝子の発現を調べてはじめて確定されるべきものである。
【0012】
【特許文献1】特開2005−323573
【特許文献2】国際公開WO2004/040301
【特許文献3】特開2005−253434
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
糖尿病の主要病態である高血糖、肥満及びインスリン抵抗性は、酸化ストレスを引き起こすことが知られている。また、糖尿病患者においては、肝臓、脂肪組織及び骨格筋をはじめとする臓器が、サイトカインやホルモン等の生理活性物質、及び糖、脂肪酸等の栄養物を産生・分泌し、これらの因子を介したネットワークにより全身の病態が形成されている可能性があることが、種々の証拠によって次々と示されてきている。そこで、本発明者等は、このような酸化ストレス、生理活性物質、栄養物にさらされて、遺伝子発現をダイナミックに変化させている組織における遺伝子発現を解析すれば、糖尿病を初めとする種々の疾病と遺伝子発現の変動との関係に関する知見を得られると考えた。そして、そのような組織として、白血球に着目した。
【0014】
また、疾病の研究において、モデル動物を用いた研究はもちろん重要であるが、モデル動物で得られた知見がヒトには当てはまらない場合も多い。従って、検体としてヒトの白血球を用い、疾病と遺伝子発現の変動との関係を明らかにすることが必要であると考えた。
【0015】
本発明の目的は、ヒト白血球に由来するある遺伝子又は遺伝子群(例えば特定のパスウェイに属する遺伝子群)の発現プロファイルを得ることにより、(1)被験者が糖尿病患者又はその予備軍であるか否か、又は(2)2型糖尿病患者における治療効果の有無を判定する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討し、本発明を完成させた。
【0017】
即ち第一の発明(その1)は、被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であるか否かを判定する方法であって、
(a)被験者xに由来するヒト白血球における特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルxを得る工程、
(b)工程(a)で得られた発現プロファイルxを、非糖尿病の被験者yに由来するヒト白血球における遺伝子群又はその同等物中の工程(a)と同一の特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルyと比較する工程、及び
(c)工程(b)で、発現プロファイルxが発現プロファイルyと有意に異なる場合に、被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であると判定する工程
を含み、ここにおいて、前記特定の遺伝子又は遺伝子群は、下記(A−1)乃至(A−50)の遺伝子群に含まれていることを特徴とする方法に関する:
(A−1)仮想タンパク質LOC54103(登録番号:AL079277)
(A−2)ロイシンリッチ繰返し神経単位3(登録番号:AB060967)
(A−3)13キロダルトンの分化関連タンパク質(登録番号:BC005936)
(A−4)エモパミル結合関連タンパク質,Δ8−Δ7ステロールイソメラーゼ関連タンパク質(登録番号:AF243433)
(A−5)グリコシルトランスフェラーゼAD−017(登録番号:NM_018446)
(A−6)過酸化レドキシン3(登録番号:NM_006793)
(A−7)IgEのFcフラグメント,高親和性I,α−ポリペプチドの受容体(登録番号:NM_002001)
(A−8)シグナルペプチダーゼ12キロダルトン(登録番号:ENSG00000114902)
(A−9)オクタマー結合含有非POUドメイン(登録番号:L32558)
(A−10)NP220核タンパク質(登録番号:AF273049)
(A−11)仮想タンパク質FLJ10652(登録番号:NM_018169)
(A−12)クロモゾーム14のオープンリーディングフレーム109(登録番号:AL080118)
(A−13)アポトーシス関連タンパク質3(登録番号:NM_004632)
(A−14)AUT様1システインエンドペプチダーゼ(S.cerevisiae)(登録番号:ENSG00000125703)
(A−15)組換えタンパク質REC14(登録番号:AF309553)
(A−16)エステラーゼD/ホルミルグルタチオンヒドロラーゼ(登録番号:AF112219)
(A−17)膜貫通タンパク質14B(登録番号:NM_030969)
(A−18)Myc関連タンパク質(登録番号:AF083244)
(A−19)真核細胞の翻訳開始因子(elF)2A(登録番号:AF212241)
(A−20)B細胞リンカー(登録番号:ENSG00000095585)
(A−21)リンパ球抗原86(登録番号:NM_004271)
(A−22)リンゴ酸デヒドロゲナーゼ1,NAD(可溶性)(登録番号:ENSG00000014641)
(A−23)推定される膜タンパク質(登録番号:AF070626)
(A−24)E1Aで誘導された遺伝子の細胞性リプレッサ(登録番号:NM_003851)
(A−25)エクスポーチン1(CRM1ホモログ,酵母)(登録番号:NM_003400)
(A−26)グルタミルプロリルtRNAシンセターゼ(登録番号:NM_004446)
(A−27)ソーティングネキシン13(登録番号:AL353943)
(A−28)仮想DKFZp451J1719(登録番号:AF116608)
(A−29)ACN9ホモログ(S.cerevisiae)(登録番号:AF201933)
(A−30)アナプラスチックリンフォーマキナーゼ(Ki−1)(登録番号:D45915)
(A−31)中心体タンパク質1(登録番号:NM_007018)
(A−32)リガチン(登録番号:AF220417)
(A−33)エイティーピーアーゼ,水素輸送,リソソーム付属タンパク質2(登録番号:AF248966)
(A−34)膜内タンパク質,ミトコンドリア性(ミトフィリン)(登録番号:NM_006839)
(A−35)タンパク質チロシンフォスファターゼ,非受容体タイプ12(登録番号:NM_002835)
(A−36)ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(リポアミド)β(登録番号:M34479)
(A−37)unc−50ホモログ(C.elegans)(登録番号:AF077038)
(A−38)仮想タンパク質FLJ20003(登録番号:NM_017615)
(A−39)仮想タンパク質KIAA1109(登録番号:AB029032)
(A−40)タビー様タンパク質3(登録番号:NM_003324)
(A−41)二重特異性ホスファターゼ5(登録番号:NM_004419)
(A−42)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ7(登録番号:BC005365)
(A−43)B細胞抑制因子α中のΚ光ペプチド遺伝子増強剤の核因子(登録番号:NM_020529)
(A−44)ぞうげ質マトリクス酸性リンタンパク質(登録番号:NM_004407)
(A−45)クルッペル様因子5(腸)(登録番号:NM_001730)
(A−46)イヅロネート2−スルファターゼ(ハンター症候群)(登録番号:NM_006123)
(A−47)CD83抗原(活性化されたBリンパ球,免疫グロブリンのスーパーファミリー)(登録番号:NM_004233)
(A−48)リングフィンガータンパク質121(登録番号:NM_018320)
(A−49)コアプロモーター因子結合タンパク質(登録番号:NM_001300)及び
(A−50)血清/糖質コルチコイドで調節されたキナーゼ(登録番号:NM_005627)。
【0018】
第一の発明(その2)は、被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であるか否かを判定する方法であって、
(a)被験者xに由来するヒト白血球における特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルxを得る工程、
(b)工程(a)で得られた発現プロファイルxを、非糖尿病の被験者yに由来するヒト白血球における遺伝子群又はその同等物中の工程(a)と同一の特定の遺伝子又は遺伝子群についての発現プロファイルyと比較する工程、及び
(c)工程(b)で、発現プロファイルxが発現プロファイルyと有意に異なる場合に、被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であると判定する工程
を含み、ここにおいて、前記特定の遺伝子又は遺伝子群は、MAPキナーゼ・シグナリング・パスウェイ及びp38MAPKシグナリング・パスウェイに属する遺伝子群(以下、「MAPK遺伝子群」ということがある)に含まれていることを特徴とする方法に関する。
【0019】
MAPK遺伝子群に属する遺伝子とは、当技術分野においてMAPキナーゼ・シグナリング・パスウェイに属する遺伝子とp38MAPKシグナリング・パスウェイに属する遺伝子のすべてを包含する。
【0020】
第一の発明(その2)の実施に際して使用する前記特定の遺伝子又は遺伝子群は、BRB−ArrayTools(登録商標)においてMAPK遺伝子群に属するとして特定されている遺伝子中、表7に記載の82種の遺伝子群から選択してもよい。
【0021】
第一の方法(その2)の実施に際して使用する前記特定の遺伝子又は遺伝子群は、MAPPFinderにおいてMAPK遺伝子群に属するとして特定されている遺伝子中の下記(B−1)乃至(B−31)の遺伝子群から選択してもよい:
(B−1)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ6(登録番号:Aff. ID 1552631_a_at)
(B−2)リボソームタンパク質S6キナーゼ,90キロダルトン,ポリペプチド2(登録番号:Aff. ID 1557970_s_at)
(B−3)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ2(登録番号:Aff. ID 1565130_at)
(B−4)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ活性化タンパク質キナーゼ2(登録番号:Aff. ID 201460_at)
(B−5)v−jun肉腫ウイルス17癌遺伝子ホモログ(鳥類)(登録番号:Aff. ID 201464_x_at)
(B−6)B細胞抑制因子α中のΚ光ペプチド遺伝子増強剤の核因子(登録番号:Aff. ID 201502_s_at)
(B−7)v−rafネズミ肉腫3611ウイルス性癌遺伝子ホモログ(登録番号:Aff. ID 201895_at)
(B−8)Rapグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)2(登録番号:Aff. ID 203096_s_at)
(B−9)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ3(登録番号:Aff. ID 203514_at)
(B−10)ELK1,ETS癌遺伝子ファミリーのメンバー(登録番号:Aff. ID 203617_x_at )
(B−11)CCAAT/増強剤結合タンパク質(C/EBP),α(登録番号:Aff. ID 204039_at)
(B−12)TNF受容体関連因子2(登録番号:Aff. ID 204413_at)
(B−13)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ4(登録番号:Aff. ID 204707_s_at)
(B−14)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ5(登録番号:Aff. ID 204756_at)
(B−15)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ14(登録番号:Aff. ID 205192_at)
(B−16)v−rafネズミ肉腫ウイルス性癌遺伝子ホモログB1(登録番号:Aff. ID 206044_s_at)
(B−17)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ10(登録番号:Aff. ID 206362_x_at)
(B−18)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ6(登録番号:Aff. ID 207121_s_at)
(B−19)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ3(登録番号:Aff. ID 207667_s_at)
(B−20)MADSボックス転写増強剤因子2,ポリペプチドA(ミオサイト増強剤因子2A)(登録番号:Aff. ID 208328_s_at)
(B−21)v−fosFBJネズミ骨肉腫ウイルス性癌遺伝子ホモログ(登録番号:Aff. ID 209189_at)
(B−22)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ7(登録番号:Aff. ID 209951_s_at)
(B−23)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ13(登録番号:Aff. ID 210058_at)
(B−24)v−Ha−rasハーベイラット肉腫ウイルス性癌遺伝子ホモログ(登録番号:Aff. ID 212983_at)
(B−25)成長因子受容体結合タンパク質2(登録番号:Aff. ID 215075_s_at)
(B−26)MAPキナーゼ相互作用セリン/トレオニンキナーゼ2(登録番号:Aff. ID 218205_s_at)
(B−27)細胞分裂サイクル42(GTP結合タンパク質,25キロダルトン)(登録番号:Aff. ID 1556931_at)
(B−28)ホスフォリパーゼA2,VI群(細胞質ゾル,カルシウム非依存性)(登録番号:Aff. ID 204691_x_at)
(B−29)DNA損傷誘導性転写3(登録番号:Aff. ID 209383_at)
(B−30)早期成長応答1(登録番号:Aff. ID 201693_s_at)及び
(B−31)神経成長因子,βポリペプチド(登録番号:Aff. ID 206814_at)。
【0022】
第一の発明(その3)は、被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であるか否かを判定する方法であって、
(a)被験者xに由来するヒト白血球における特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルxを得る工程、
(b)工程(a)で得られた発現プロファイルxを、非糖尿病の被験者yに由来するヒト白血球における遺伝子群又はその同等物中の工程(a)と同一の特定の遺伝子又は遺伝子群についての発現プロファイルyと比較する工程、及び
(c)工程(b)で、発現プロファイルxが発現プロファイルyと有意に異なる場合に、被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であると判定する工程
を含み、ここにおいて、前記特定の遺伝子又は遺伝子群は、ユビキノン生合成系及びATP合成系に属する遺伝子群(以下、「OXPHOS遺伝子群」ということがある)に含まれていることを特徴とする方法に関する。
【0023】
OXPHOS遺伝子群に属する遺伝子とは、当技術分野においてユビキノン生合成系に属する遺伝子とATP合成系に属する遺伝子のすべてを包含する。
【0024】
第一の発明(その3)の実施に際して使用する前記特定の遺伝子又は遺伝子群は、BRB−ArrayTools(登録商標)においてOXPHOS遺伝子群に属するとして特定されている遺伝子中、表8に記載の70種の遺伝子群から選択してもよい。
【0025】
第一の発明(その3)の実施に際して使用する前記特定の遺伝子又は遺伝子群は、MAPPFinderにおいてOXPHOS遺伝子群に属するとして特定されている遺伝子中の下記(C−1)乃至(C−42)の遺伝子群から選択してもよい:
(C−1)無機ピロホスファターゼ2(登録番号:Aff. ID 1554499_s_at)
(C−2)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)Fe−Sタンパク質4,18キロダルトン(NADHコエンザイムQリダクターゼ)(登録番号:Aff. ID 1555057_at)
(C−3)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF0複合体,サブユニットd(登録番号:Aff. ID 1555998_at)
(C−4)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF1複合体,Oサブユニット(オリゴマイシン感受性付与タンパク質)(登録番号:Aff. ID 1564482_at)
(C−5)BCL2様1(登録番号:Aff. ID 1569067_at)
(C−6)1含有TatD ディーエヌアーゼドメイン(登録番号:Aff. ID 1569230_at)
(C−7)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF1複合体,αサブユニット,イソフォーム1,心筋(オリゴマイシン感受性付与タンパク質)(登録番号:Aff. ID 1569891_at)
(C−8)ATPアーゼ,水素輸送,リソソーム9キロダルトン,V0サブユニットe///ATPアーゼ,水素輸送,リソソーム9キロダルトン,V0サブユニットe(登録番号:Aff. ID 200096_s_at)
(C−9)スーパーオキシドディスムーターゼ1,可溶性(アミオトロフィック・ラテラル・スクレロシス1(大人))(登録番号:Aff. ID 200642_at)
(C−10)ユビキノール−チトクロームcリダクターゼコアタンパク質II(登録番号:Aff. ID 200883_at)
(C−11)チトクロームcオキシダーゼサブユニットVIaポリペプチド1(登録番号:Aff. ID 200925_at)
(C−12)チトクロームcオキシダーゼサブユニットVIIc(登録番号:Aff. ID 201134_x_at)
(C−13)チトクロームcオキシダーゼサブユニットVIc(登録番号:Aff. ID 201754_at)
(C−14)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)Fe−Sタンパク質2,49キロダルトン(NADHコエンザイムQリダクターゼ)(登録番号:Aff. ID 201966_at)
(C−15)ユビキノール−チトクロームcリダクターゼヒンジタンパク質(登録番号:Aff. ID 202233_s_at)
(C−16)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF0複合体,サブユニットF6(登録番号:Aff. ID 202325_s_at)
(C−17)ATPアーゼ,水素輸送,リソソーム42キロダルトン,V1サブユニットC,イソフォーム1(登録番号:Aff. ID 202872_at)
(C−18)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1βサブコンプレックス,3,12キロダルトン(登録番号:Aff. ID 203371_s_at)
(C−19)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1,サブコンプレックス不明,1,6キロダルトン(登録番号:Aff. ID 203478_at)
(C−20)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1βサブコンプレックス,5,16キロダルトン(登録番号:Aff. ID 203621_at)
(C−21)チトクロームcオキシダーゼサブユニットVa(登録番号:Aff. ID 203663_s_at)
(C−22)COX10ホモログ,チトクロームcオキシダーゼアッセンブリータンパク質,ヘムA:ファーネシルトランスフェラーゼ(酵母)(登録番号:Aff. ID 203858_s_at)
(C−23)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1αサブコンプレックス,アッセンブリー因子1(登録番号:Aff. ID 204125_at)
(C−24)プログラムされた細胞死8(アポトーシス誘導因子)(登録番号:Aff. ID 205512_s_at)
(C−25)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF1複合体,γポリペプチド1(登録番号:Aff. ID 205711_x_at)
(C−26)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF0複合体,サブユニットc(サブユニット9)イソフォーム3(登録番号:Aff. ID 207507_s_at)
(C−27)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF0複合体,サブユニットc(サブユニット9)イソフォーム2(登録番号:Aff. ID 207552_at)
(C−28)ATPアーゼ,水素輸送,リソソーム34キロダルトン,V1サブユニットD(登録番号:Aff. ID 208898_at)
(C−29)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF0複合体,サブユニットc(サブユニット9)イソフォーム1(登録番号:Aff. ID 208972_s_at)
(C−30)非カップリングタンパク質2(ミトコンドリア,プロトンキャリア)(登録番号:Aff. ID 208997_s_at)
(C−31)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)Fe−Sタンパク質7,20キロダルトン(NADHコエンザイムQリダクターゼ)///NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)Fe−Sタンパク質7,20キロダルトン(NADHコエンザイムQリダクターゼ)(登録番号:Aff. ID 211752_s_at)
(C−32)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF0複合体,サブユニットb,イソフォーム1///ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF0複合体,サブユニットb,イソフォーム1(登録番号:Aff. ID 211755_s_at)
(C−33)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF1複合体,Oサブユニット(オリゴマイシン感受性付与タンパク質)(登録番号:Aff. ID 216954_x_at)
(C−34)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF1複合体,εサブユニット(登録番号:Aff. ID 217801_at)
(C−35)ピロホスファターゼ(無機)(登録番号:Aff. ID 217848_s_at)
(C−36)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1,サブコンプレックス不明,2,14.5キロダルトン(登録番号:Aff. ID 218101_s_at)
(C−37)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1 αサブコンプレックス,8,19キロダルトン(登録番号:Aff. ID 218160_at)
(C−38)ユビキノール−チトクロームcリダクターゼ複合体(7.2キロダルトン)(登録番号:Aff. ID 218190_s_at)
(C−39)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1,βサブコンプレックス,2,8キロダルトン(登録番号:Aff. ID 218200_s_at)
(C−40)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1,βサブコンプレックス,4,15キロダルトン(登録番号:Aff. ID 218226_s_at)
(C−41)無機ピロホスファターゼ2(登録番号:Aff. ID 220741_s_at)及び
(C−42)KIAA1387タンパク質///KIAA1387タンパク質(登録番号:Aff. ID 224474_x_at)。
【0026】
第二の発明(その1)は、2型糖尿病患者における治療効果の有無を判定する方法であって、
(A)被験糖尿病患者の治療開始前と治療開始後に採取したヒト白血球における特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルを得る工程、
(B)工程(A)で測定された治療開始前の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルと治療開始後の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルとを比較する工程、及び
(C)治療開始後の前記特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルが治療開始前の前記特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルと有意に異なり、糖尿病であることを示す発現プロファイルの特徴が消失又は低減した場合に治療効果があったと判定する工程
を含み、ここにおいて、前記特定の遺伝子又は遺伝子群は、下記(D−1)乃至(D−50)の遺伝子群に含まれていることを特徴とする方法に関する:
(D−1)フォークヘッドボックスP1(登録番号:NM_016477)
(D−2)CD24抗原(小細胞肺癌クラスター4抗原)(登録番号:NM_013230)
(D−3)リボソームタンパク質L29(登録番号:NM_000992)
(D−4)真核細胞翻訳延長因子1Δ(グアニンヌクレオチド交換タンパク質)(登録番号:NM_032378)
(D−5)ELK3,ETS−ドメインタンパク質(SRF付属タンパク質2)(登録番号:NM_005230)
(D−6)核受容体サブファミリー3,C群,メンバー1(糖質コルチコイド受容体)(登録番号:NM_000176)
(D−7)ニューロテンシン受容体1(高親和性)(登録番号:NM_002531)
(D−8)内在性膜タンパク質2A(登録番号:NM_004867)
(D−9)真正小歯ホモログ2(Drosophila)(登録番号:NM_021728)
(D−10)エステラーゼ2A(登録番号:NM_033440)
(D−11)外部ミトコンドリア膜トランスロカーゼ22ホモログ(酵母)(登録番号:NM_020243)
(D−12)エンドスルフィンα(登録番号:NM_004436)
(D−13)CD226抗原(登録番号:NM_006566)
(D−14)一時受容体ポテンシャル陽イオンチャンネル,サブファミリーV,メンバー4(登録番号:NM_021625)
(D−15)ADP−リボシレーション因子相互作用タンパク質2(アーファプチン2)(登録番号:NM_012402)
(D−16)ブラジキニン受容体B2(登録番号:NM_000623)
(D−17)リボソームタンパク質S3(登録番号:NM_001005)
(D−18)コンタクチン関連タンパク質様2(登録番号:NM_014141)
(D−19)ミオシン,光ポリペプチドキナーゼ(登録番号:NM_005965)
(D−20)ジペプチダーゼ1(腎性)(登録番号:NM_004413)
(D−21)卵黄黄斑ジストロフィー(ベスト病,bestrophin)(登録番号:AF057170)
(D−22)ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド5(登録番号:NM_002985)
(D−23)1−アシルグリセロール−3−ホスフェート O−アシルトランスフェラーゼ1(リゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼα)(登録番号:NM_032741)
(D−24)ジンクフィンガータンパク質,サブファミリー1A,4(Eos)(登録番号:NM_022465)
(D−25)ベンゾジアゼピン受容体(周囲)(登録番号:NM_000714)
(D−26)KIAA0174遺伝子産物(登録番号:NM_014761)
(D−27)死亡率因子4様2(登録番号:NM_012286)
(D−28)セリン(又はシステイン)プロテイナーゼ阻害因子,クレードB(オボアルブミン),メンバー13(登録番号:NM_012397)
(D−29)IKサイトカイン,HLA IIのダウンレギュレーター(登録番号:AL050296)
(D−30)リポ多糖誘導TNF因子(登録番号:NM_004862)
(D−31)ARF結合タンパク質1含有ゴルジ関連γアダプチンイーヤ(登録番号:NM_013365)
(D−32)一時受容体ポテンシャル陽イオンチャンネル,サブファミリーM,メンバー5(登録番号:NM_014555)
(D−33)高移動性群ヌクレオソーム結合ドメイン1(登録番号:NM_004965)
(D−34)サイクリンT1(登録番号:NM_001240)
(D−35)v−maf筋腱膜繊維肉腫癌遺伝子ホモログ(鳥類)(登録番号:NM_005360)
(D−36)配列相同性18,メンバーBを伴うファミリー(登録番号:AF223467)
(D−37)DNA結合2の阻害因子,優性陰性ヘリックス−ループ−ヘリックスタンパク質(登録番号:NM_002166)
(D−38)TAF11 RNAポリメラーゼII,TATAボックス結合タンパク質(TBP)関連因子,28キロダルトン(登録番号:ENSG00000064995)
(D−39)カドヘリン11,2型,OB−カドヘリン(骨芽細胞)(登録番号:D21255)
(D−40)甲状腺ホルモン受容体,α(赤芽球症白血病ウイルス(v−erb−a)癌遺伝子ホモログ,鳥類)(登録番号:X55005)
(D−41)ジンクフィンガータンパク質160(登録番号:X78928)
(D−42)ホスフォリパーゼA2,X群(登録番号:ENSG00000069764)
(D−43)仮想タンパク質FLJ23120(登録番号:AK026773)
(D−44)ホスフォイノシチド−3−キナーゼ,クラス2,γポリペプチド(登録番号:AJ000008)
(D−45)仮想タンパク質IMAGE:4215339(登録番号:AC005328)
(D−46)カテプシンE(登録番号:AJ250716)
(D−47)ケモカイン(Cモチーフ)受容体1(登録番号:NM_005283)
(D−48)細胞分裂のデディケーター9(登録番号:ENSG00000088387)
(D−49)リングフィンガータンパク質39(登録番号:AF238317)及び
(D−50)クロモゾーム17オープンリーディングフレーム28(登録番号:AL137556)。
【0027】
第二の発明(その2)は、2型糖尿病患者における治療効果の有無を判定する方法であって、
(A)被験糖尿病患者の治療開始前と治療開始後に採取したヒト白血球における特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルを得る工程、
(B)工程(A)で測定された治療開始前の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルと治療開始後の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルとを比較する工程、及び
(C)治療開始後の前記特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルが治療開始前の前記特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルと有意に異なり、糖尿病であることを示す発現プロファイルの特徴が消失又は低減した場合に治療効果があったと判定する工程
を含み、ここにおいて、前記特定の遺伝子又は遺伝子群は、MAPキナーゼ・シグナリング・パスウェイ及びp38MAPKシグナリング・パスウェイに属する遺伝子群(以下、「MAPK遺伝子群」ということがある)に含まれていることを特徴とする方法に関する。
【0028】
第二の発明(その2)の実施に際して使用する前記特定の遺伝子又は遺伝子群は、BRB−ArrayTools(登録商標)においてMAPK遺伝子群に属するとして特定されている遺伝子中、表7に記載の82種の遺伝子群から選択してもよい。
【0029】
第二の発明(その3)の実施に際して使用する前記特定の遺伝子又は遺伝子群は、MAPPFinderにおいてMAPK遺伝子群に属するとして特定されている遺伝子中の下記(E−1)乃至(E−29)の遺伝子群から選択してもよい:
(E−1)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ11(登録番号:Aff. ID 1558984_at)
(E−2)CREB結合タンパク質(ルビンシュタイン−タイビ症候群)(登録番号:Aff. ID 1559295_at)
(E−3)p21/Cdc42/Rac1活性化キナーゼ1(STE20ホモログ,酵母)(登録番号:Aff. ID 1565772_at)
(E−4)TNFRSF1A関連ビアデスドメイン(登録番号:Aff. ID 1729_at)
(E−5)転写1のシグナルトランスデユーサー及びアクチベーター,91キロダルトン(登録番号:Aff. ID 200887_s_at)
(E−6)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ活性化タンパク質キナーゼ2(登録番号:Aff. ID 201460_at)
(E−7)v−jun肉腫ウイルス17癌遺伝子ホモログ(鳥類)(登録番号:Aff. ID 201464_x_at)
(E−8)v−rafネズミ肉腫3611ウイルス性癌遺伝子ホモログ(登録番号:Aff. ID 201895_at)
(E−9)v−myc骨髄球腫症ウイルス性癌遺伝子ホモログ(鳥類)(登録番号:Aff. ID 202431_s_at)
(E−10)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ活性化タンパク質キナーゼ3(登録番号:Aff. ID 202787_s_at)
(E−11)変換成長因子,β1(カムラチ−エンゲルマン病)(登録番号:Aff. ID 203084_at)
(E−12)Rapグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)2(登録番号:Aff. ID 203097_s_at)
(E−13)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ4(登録番号:Aff. ID 203265_s_at)
(E−14)リボソームタンパク質S6キナーゼ,90キロダルトン,ポリペプチド1(登録番号:Aff. ID 203379_at)
(E−15)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ3(登録番号:Aff. ID 203514_at)
(E−16)ELK1,ETS癌遺伝子ファミリーのメンバー(登録番号:Aff. ID 203617_x_at)
(E−17)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ4(登録番号:Aff. ID 204707_s_at)
(E−18)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ10(登録番号:Aff. ID 204813_at)
(E−19)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ10(登録番号:Aff. ID 206362_x_at)
(E−20)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ7(登録番号:Aff. ID 207292_s_at)
(E−21)v−fosFBJネズミ骨肉腫ウイルス性癌遺伝子ホモログ(登録番号:Aff. ID 209189_at)
(E−22)B細胞中のΚ光ペプチド遺伝子増強剤の抑制剤,キナーゼβ(登録番号:Aff. ID 209341_s_at)
(E−23)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ13(登録番号:Aff. ID 210058_at)
(E−24)v−Ha−rasハーベイラット肉腫ウイルス性癌遺伝子ホモログ(登録番号:Aff. ID 212983_at)
(E−25)成長因子受容体結合タンパク質2(登録番号:Aff. ID 215075_s_at)
(E−26)MAPキナーゼ相互作用セリン/トレオニンキナーゼ2(登録番号:Aff. ID 218205_s_at)
(E−27)高移動性群ヌクレオソーム結合ドメイン1(登録番号:Aff. ID 200943_at)
(E−28)DNA損傷誘導性転写3(登録番号:Aff. ID 209383_at)及び
(E−29)グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質),qポリペプチド(登録番号:Aff. ID 202615_at)。
【0030】
本件明細書等において、「登録番号」とは、GenBankの登録番号、Ensembleデータベース登録番号、アフィメトリクス(Affymetrix)のID番号等の、遺伝子を特定するために一般的に使用されている符号、番号、それらの組合せをいう。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、ヒト白血球を用いて、被験者が糖尿病患者又はその予備軍であるか否かを判定する方法と、2型糖尿病患者における治療効果の有無を判定する方法とが提供される。ヒト白血球は、末梢血中に含有されており、採血という容易に行い得る手段で入手できるので、本発明により、被験者は、採血という小さな負担のみで、糖尿病に罹患しているか否か、治療効果が上がっているか否か、予後はどのようになるのかといった判定を受けることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に、本発明を、その実施のための最良の形態に基づいて説明する。
【0033】
本発明においては、ヒト白血球由来のRNAが、発現量、発現強度、発現頻度等を測定される対象である。白血球には、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球及び単球が含まれる。
【0034】
血液からの白血球RNAの採取方法は、特に限定されないが、例えば、フィコール比重遠心法や、次の方法がある。パクスジーンRNA採血管(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製)に血液を採った後、製造者の指示するプロトコールに従い、白血球を分離することなしに直接RNAを入手することができる。また、全血をフィコール比重遠心法で処理して白血球を濃縮した後、RNA抽出を行う。
【0035】
本発明においては、ヒト白血球に由来する遺伝子群又はその同等物中の、特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルを得て、各種判定を行う。ここで、「ヒト白血球に由来する遺伝子群の同等物」とは、第一の発明において非糖尿病の被験者(好ましくは健常者)の白血球に由来する遺伝子群の代わりに、使用することができるものであり、具体的には、例えば、健常者のmRNAと同等の組成を有する人工RNAの混合物である。また、「遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイル」とは、遺伝子の発現レベルに関する情報をいう。従って、遺伝子の発現量そのもの、発現強度、発現頻度、2種以上の遺伝子群の全体としての発現挙動(例えば、複数の遺伝子群の発現強度を特定の式に代入して計算した値から判定したり、複数の遺伝子群の発現強度を示す画像から判定する)、2種以上の遺伝子群の発現比率等の、遺伝子の発現状態を判定できる情報すべてを包含する。
【0036】
「遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイル」を得るために、通常は、遺伝子の転写産物(mRNA)や翻訳産物(タンパク質)を測定する。
【0037】
mRNAの測定方法は、特に限定されない。公知の遺伝子解析技術によって測定すればよい。測定方法の例を挙げると、ハイブリダイゼーション技術を利用したもの(例えば、ノーザン・ハイブリダイゼーション法、ドット・ブロット法、マイクロ・アレイ(マイクロ・チップ)法等)や、遺伝子増幅技術を利用したもの(例えば、RT−PCR法、リアルタイムPCR法、ATAC−PCR法(Kato K., et al., Nucl. Acids Res., 25, 4694-4696, 1997)、Taqman PCR法(Schmittgen TD, Methods 25, 383‐385, 2001)、Body Map法(Gene,174, 151‐158,1996)、SAGE(serial analysis of gene expression)法(特開2001−155035、特開2001−145,495、欧州特許公開第0761822号、WO97/10363)、MAGE(microanalysis of gene expression)法(特開2000−232888)等)がある。これらの公知の方法を利用して、遺伝子の全部又は一部から転写されたmRNAの量を測定することができる。なお、mRNAの量の測定に際しては、当該mRNAにハイブリダイズするヌクレオチド・プローブ又はプライマーを利用することができる。当該ヌクレオチド・プローブ又はプライマーの塩基長は、10乃至60bp程度であり、15乃至30bpが好ましい。
【0038】
また、タンパク質の測定方法も、特に限定されない。公知のタンパク質解析技術、例えば、ウェスタン・ブロッティング法、免疫沈降法、ELISA、質量分析計による方法等を利用することができる。
【0039】
第一の発明は、被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であるか否かを判定する方法であって、(a)被験者xに由来するヒト白血球における特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルxを得る工程、(b)工程(a)で得られた発現プロファイルxを、非糖尿病の被験者yに由来するヒト白血球における遺伝子群又はその同等物中の工程(a)と同一の特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルyと比較する工程、及び(c)工程(b)で、発現プロファイルxが発現プロファイルyと有意に異なる場合に、被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であると判定する工程を含む方法である。
【0040】
「被験者xが糖尿病患者である」とは、従来の生化学的検査の結果等を参照しても糖尿病であると診断される病態であることをいい、「その予備軍である」とは、糖尿病であるという確定診断はできないが、健常者であるとはいえない状態をいう。
【0041】
工程(a)は、被験者xから採取した血液を用い、その血液中に含まれるヒト白血球に由来するRNA中、特定の遺伝子又は遺伝子群の発現量等のデータを、当該特定の遺伝子又は遺伝子群に由来するmRNAやタンパク質を測定することによって入手し、当該特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルを得る工程である。
【0042】
「特定の遺伝子の発現プロファイルを得る」とは、特定の遺伝子に由来するmRNAやタンパク質を測定し、特定の遺伝子の発現量、発現強度、発現頻度等のデータを得ることである。
【0043】
「特定の遺伝子群の発現プロファイルを得る」とは、特定の2種以上の遺伝子に由来するmRNAやタンパク質を測定し、(1)2種以上の遺伝子個々の発現量、発現強度、発現頻度、発現比率等の測定値を得ること、(2)2種以上の遺伝子の発現量等の測定値を得、次いでそれらの測定値を統計的処理に供して統計的処理後の値を得ること等をいう。
【0044】
遺伝子の発現量等の測定値は、補正した後、統計的処理に供することが好ましい。補正方法としては、(1)ある遺伝子の発現量について、例えば全測定値の平均を0、分散を1とする数値の標準化処理方法、(2)発現量が大きく変動しない遺伝子(例えばハウスキーピング遺伝子)の発現量を基準として、その測定値に基づいて被験遺伝子の測定値を補正する方法等がある。
【0045】
なお、(1)の数値の標準化処理方法の実施に際しては、前もって測定された糖尿病患者及び健常者に由来する遺伝子発現量のデータに、ここで測定された被験者の発現量データを追加して行うことができる。また、糖尿病の有無による発現量の差が小さい遺伝子としては、ensembl prediction遺伝子(登録番号:ENSG00000135525;ENSG000001299103;ENSG00000130760;ENSG00000078177)、seek1 protein遺伝子(登録番号:NM_014068_1)、pro1048遺伝子(登録番号:AF119842_1)、mdc protein遺伝子(登録番号:D17390_1)、pro1873遺伝子(登録番号:AF119859_1)、cytochrome p450 subfamily xxviib polypeptide 1(登録番号:NM_000785_1)、chromosome 16 open reading frame 7(登録番号:XM_012545_1)等がある。
【0046】
「統計的処理」は、2群間で有意差があるか否かを検定できる方法であれば、どのような方法であってもよい。例えば、回帰直線を求める方法、相関係数を求める方法、分散分析、ノンパラメトリック分析、「多変量解析」に属する種々の解析手法を用いることができる。ここで、「多変量解析」とは、複数の、通常は3以上の変数を同時に分析する統計的処理方法である。また、「多変量解析」に含まれる統計分析手法には、重回帰分析、判別分析、主成分分析、クラスター分析(最長法、最近隣法、メディアン法、セントロイド法等を包含する)等がある。「統計的処理」されて得られた値には、「有意差検定」の結果も包含され得る。「有意差検定」には、比較対象である2群間の平均値の差を検定する解析手法(t検定、F検定など)と、そうした解析手法を変量が多い(多変量の)場合に拡張した解析手法(LS Permutation、KS Permutation、Zスコア、ウィルクスのΛなど)とがある。なお、これらの統計的処理方法の詳細は、多くの成書に記載されている。
【0047】
工程(b)は、工程(a)で得られた、被験者xの遺伝子群中の特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルxを、非糖尿病の被験者yのヒト白血球に由来する遺伝子群又はその同等物中の、特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルyと比較する工程である。「発現プロファイルx」の情報と「発現プロファイルy」の情報を構成する遺伝子又は遺伝子群は、同一のものである。また、発現プロファイルを得るためのmRNAやタンパク質の測定手法も、通常は同一のものである。但し、「発現プロファイルx」と「発現プロファイルy」を得るために、測定値に相関がある異なる手法を用いてmRNAやタンパク質の測定を行ってもよい。
【0048】
ここで、非糖尿病の被験者y(好ましくは健常者)の又は人工RNA混合物中の、特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルyは、前もって得られたものであってもよいし、発現プロファイルxを得る際に同時に測定を行って得たものであってもよい。なお、発現プロファイルyとして、前もって得られたものを用いる場合には、必要に応じ、測定目的の遺伝子に加え、例えば発現量が大きく変動しない遺伝子についても同時に測定を行い、そのような遺伝子の発現量を基準として測定値の補正を行うことが好ましい。
【0049】
「発現プロファイルx」と「発現プロファイルy」との比較は、例えば次のようにして行う。
【0050】
ある遺伝子の発現が、被験者が糖尿病に罹患していたりその予備軍であると、健常者に比べて有意に亢進又は減弱することが明らかである場合には、その遺伝子の転写産物の発現量等(発現プロファイルx)を、健常者におけるその遺伝子の転写産物の発現量等(発現プロファイルy)と比較する。
【0051】
また、2種の遺伝子群の発現プロファイルを比較する方法の一例は、以下のとおりである。例えば、被験者が糖尿病に罹患していたりその予備軍であると、健常者に比べて遺伝子aの発現が有意に亢進し且つ遺伝子bの発現が有意に減弱することが明らかである場合には、遺伝子aと遺伝子bの転写産物の発現量等(発現プロファイルx)を、健常者におけるその遺伝子の転写産物の発現量等(発現プロファイルy)と比較する。
【0052】
なお、遺伝子の転写産物の発現量の測定方法としては、例えばリアルタイムPCR法が挙げられる。
【0053】
3種以上の遺伝子群の発現プロファイルを比較する場合も、リアルタイムPCR法等を採用することができる。しかし、特に測定すべき遺伝子の種類が多い場合には、同時に複数種類の遺伝子を測定することができる技術、例えばマイクロ・チップを用いる方法が好ましい。マイクロ・チップを使用して遺伝子の発現量等を測定する場合には、個々の遺伝子の発現量又は発現強度が色を有する画像として表現されるようにするとよい。この場合、その画像全体が発現プロファイルとなる。また、3種以上の遺伝子の発現量を、特定の判別式に代入し、解を得るという方法もある。この場合、その解(計算値)が発現プロファイルとなる。
【0054】
工程(c)は、工程(b)における発現プロファイルxと発現プロファイルyとの比較結果から、発現プロファイルxが発現プロファイルyと有意に異なる場合に、被験者xが糖尿病又はその予備軍であると判定する工程である。
【0055】
有意差があるか否かを判定するために、例えば有意差検定を行ってもよい。「有意差検定」には、比較対象である2群間の平均値の差を検定する解析手法(t検定、F検定等)と、そうした解析手法を変量が多い(多変量の)場合に拡張した解析手法(LS Permutation、KS Permutation、Zスコア、ウィルクスのΛ等)とがある。また、ニューラルネット分析を利用することもできる。なお、有意差検定の詳細は、多くの成書に記載されている。
【0056】
有意差があるか否かを判定するために、何らかの基準を設定する必要がある場合があるが、そのような基準の設定は当業者であれば適宜行うことができる。また、p値のように、有意差があるか否かの基準値が設定されているものもある。
【0057】
本発明において、有意差の有無の判定は、有意差検定に限定されるわけではない。例えば以下のようにして、有意差の有無を判定することができる。
【0058】
例えば、ある遺伝子の特定の方法で測定される発現量が、被験者が糖尿病に罹患していたりその予備軍であると、健常者に比べてx倍以上であり且つ複数の健常者を対象とした計測の変動幅を有意に超えているときであって、健常者における発現量の平均値及び変動幅が明らかである場合には、被験者xの当該ある遺伝子の発現量から、被験者xが糖尿病又はその予備軍である、あるいは健常者である、と判定することができる。
【0059】
例えば、被験者が糖尿病に罹患していたりその予備軍であると、健常者に比べて遺伝子aの発現がy%以上亢進し且つ遺伝子bの発現がz%以下に減弱することが明らかであり、その変動幅(即ちy%、z%)が複数の健常者を対象とした計測の変動幅を有意に超えているときには、被験者xの遺伝子aの発現量が健常者に比べて100+y%以上である、被験者xの遺伝子bの発現量が健常者に比べてz%以下であるという二つの条件を充足する場合に、被験者xが糖尿病又はその予備軍であると判定する。
【0060】
また、マイクロ・チップで解析された複数の遺伝子の発現量が色を有する画像として表現されている場合には、その画像として現された遺伝子の被験者xにおける発現パターンが、健常者における発現パターンと有意に異なり、糖尿病患者の平均的な発現パターンに近い場合に、被験者xが糖尿病又はその予備軍であると判定する。
【0061】
マイクロ・チップ又はマイクロ・アレイで測定したデータの統計的処理に適する解析方法も開発されている。例えば、アメリカ合衆国の国立ガン研究所の生物測定学研究支所(the Biometric Research Branch of the National Cancer Institute)が開発したBRB−ArrayTools(登録商標)というソフトウエア(http://linus.nci.nih.gov/BRB−ArrayTools.html)、遺伝子の発現に変化のあるパスウェイを抽出するのに有用なGenMAPP(Gene microarray Pathway Profiler;http://www.genmapp.org)及びMAPPFinder(S. C. Donigerら;http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?artid=151291)等のソフトウェアの利用も好ましい。
【0062】
また、前もって測定された糖尿病患者と健常者の発現量データに、ここで測定された被験者xの発現量データを加え、複合共変予測(compound covariate predictor)、対角線形判別分析(diagonal linear discriminant analysis)、1−最近隣法(1‐nearest neighbor)、3−最近隣法(3‐nearest neighbors)、最近隣セントロイド(nearest centroid)、サポート・ベクター・マシーンズ (support vector machines)等の各種アルゴリズムにより計算を行って被験者xが糖尿病またはその予備軍であるか否かを判定することにより、工程(b)及び(c)を行ってもよい。
【0063】
第一の発明(その1)の実施に際して発現プロファイルを得るために測定される「特定の遺伝子又は遺伝子群」は、前記した遺伝子(A−1)乃至(A−50)から選択される1種以上である。これらの遺伝子は、表3にも記載されている。表3においては、遺伝子(A−1)乃至(A−50)を、糖尿病患者で発現が亢進している遺伝子と発現が減弱している遺伝子とに分けて、有意差(t値の絶対値)の順に並べてある。従って、「特定の遺伝子又は遺伝子群」として選択する遺伝子は、表3中の有意差が大である遺伝子であることが好ましい。また、表3に記載された遺伝子中、(A−22)リンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、(A−26)グルタミルプロリルtRNAシンターゼ遺伝子、(A−35)タンパク質チロシンホスファターゼ遺伝子及び(A−36)ピルビン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子以外の46種の遺伝子から、「特定の遺伝子又は遺伝子群」を選択してもよい。さらに、「特定の遺伝子又は遺伝子群」として、発現が亢進している遺伝子のみを選択してもよいし、発現が減弱している遺伝子のみを選択してもよいし、あるいは両者を選択してもよい。加えて、「特定の遺伝子又は遺伝子群」は、遺伝子(A−1)乃至(A−50)の中の1種であってもよいし、2種であってもよいし、3種以上50種すべてまで、何れの数であってもよい。
【0064】
第一の発明(その2)の実施に際して発現プロファイルを得るために測定される「特定の遺伝子又は遺伝子群」は、MAPキナーゼ・シグナリング・パスウェイ及びp38MAPKシグナリング・パスウェイに属する遺伝子群(MAPK遺伝子群)の中から選択される。
【0065】
BRB−ArrayTools(登録商標)においてMAPK遺伝子群に属するとされる遺伝子中、82種の遺伝子を表7に記載した。第一の発明(その2)における「特定の遺伝子又は遺伝子群」を、これら82種の遺伝子から選択してもよい。
【0066】
また、MAPPFinderにおいてMAPK遺伝子群に属するとされる遺伝子として特定されている遺伝子中、31種の遺伝子(前記(B−1)乃至(B−31))を表9に記載した。糖尿病においては、これら31種の遺伝子は、健常者に比べて発現が亢進している。第一の発明(その2)における「特定の遺伝子又は遺伝子群」を、これら31種の遺伝子から選択してもよい。また、表9に記載された遺伝子中、p値が小さいものを選択することが好ましい。
【0067】
なお、第一の発明(その2)における「特定の遺伝子又は遺伝子群」は、MAPK遺伝子群中の1種であってもよいし、2種であってもよいし、3種以上82種又は31種すべてまで、何れの数であってもよい。
【0068】
第一の発明(その3)の実施に際して発現プロファイルを得るために測定される「特定の遺伝子又は遺伝子群」は、ユビキノン生合成系及びATP合成系に属する遺伝子群(OXPHOS遺伝子群)の中から選択される。
【0069】
BRB−ArrayTools(登録商標)においてOXPHOS遺伝子群に属するとされる遺伝子中、70種の遺伝子を表8に記載した。第一の発明(その3)における「特定の遺伝子又は遺伝子群」を、これら70種の遺伝子から選択してもよい。糖尿病においては、これら70種の遺伝子は、健常者に比べて発現が減弱している。
【0070】
また、MAPPFinderにおいてOXPHOS遺伝子群に属するとされる遺伝子中、42種の遺伝子(前記(C−1)乃至(C−42))を表11に記載した。糖尿病においては、これら42種の遺伝子は、健常者に比べて発現が減弱している。第一の発明(その3)における「特定の遺伝子又は遺伝子群」を、これら42種の遺伝子から選択してもよい。なお、表11においては、前記42種の遺伝子に対応する44種のオリゴヌクレオチドを用いて測定した、糖尿病患者と健常者における各遺伝子の発現強度が記載されている。また、表11に記載された遺伝子中、p値が小さいものを選択することが好ましい。さらに、表11に記載された遺伝子中、ATPアーゼ遺伝子、即ち(C−8)、(C−17)及び(C−28)、以外の39種の遺伝子から、「特定の遺伝子又は遺伝子群」を選択してもよい。
【0071】
なお、第一の発明(その3)における「特定の遺伝子又は遺伝子群」は、OXPHOS遺伝子群中の1種であってもよいし、2種であってもよいし、3種以上70種又は42種すべてまで、何れの数であってもよい。
【0072】
第二の発明は、2型糖尿病患者における治療効果の有無を判定する方法であって、(A)被験糖尿病患者の治療開始前と治療開始後に採取したヒト白血球における特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルを得る工程、(B)工程(A)で測定された治療開始前の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルと治療開始後の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルとを比較する工程、及び(C)治療開始後の前記特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルが治療開始前の前記特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルと有意に異なり、糖尿病であることを示す発現プロファイルの特徴が消失又は低減した場合に治療効果があったと判定する工程を含む方法である。
【0073】
工程(A)は、被験糖尿病患者から、治療の開始前と開始後に採血し、それらの血液中に含まれるヒト白血球に由来するRNA中、特定の遺伝子又は遺伝子群の発現量等のデータを、当該特定の遺伝子又は遺伝子群に由来するmRNAやタンパク質を測定し、特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルを得る工程である。ヒト白血球に由来するRNAの採取方法、mRNAやタンパク質の測定方法、発現プロファイルの定義については、前記したとおりである。
【0074】
工程(B)は、治療開始前の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイル(以下、「発現プロファイルb」という)と治療開始後の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイル(以下、「発現プロファイルa」という)とを比較する工程である。この工程は、比較される対象が「発現プロファイルb」と「発現プロファイルa」であることを除き、第一の発明の工程(b)と同様である。
【0075】
工程(C)は、発現プロファイルaが発現プロファイルbと有意に異なり、糖尿病であることを示す発現プロファイルの特徴が消失又は低減した場合に治療効果があったと判定する工程である。
【0076】
この工程(C)における有意差の判定は、有意差があるか否かが判断される対象が「発現プロファイルb」と「発現プロファイルa」であることを除き、基本的に第一の発明の工程(c)と同様である。
【0077】
また、特定の遺伝子の発現に関し、糖尿病に特有の又は特徴的なプロファイルがあるので、この工程(C)では、治療後にそのような糖尿病に特有の又は特徴的なプロファイルが消失又は低減していることも、治療効果があったと判定するための条件である。「糖尿病に特有の又は特徴的なプロファイル」とは、糖尿病に罹患していると、糖尿病ではない場合と比べて、ある遺伝子1については発現が亢進している、ある遺伝子2については発現が減弱している等の情報をいう。ここで、「糖尿病であることを示す発現プロファイルの特徴が消失又は低減した」と規定したのは、ある疾患が治癒又は軽快した状態における遺伝子の発現プロファイルが、健常者の遺伝子発現プロファイルと同様であるとは限らないからである。例えば、ある遺伝子の発現の減弱を、他の遺伝子の発現亢進によって補償している場合があるからである。
【0078】
従って、第二の発明においては、発現プロファイルb(治療開始前の発現プロファイル)と比較して発現プロファイルa(治療開始後の発現プロファイル)に有意差があり、且つ、発現プロファイルaにおいては、糖尿病であることを示す発現プロファイルの特徴が消失しているか又はそのような特徴が薄らいでいる(即ち、特徴が低減している)場合に、治療効果があったと判定する。
【0079】
第二の発明(その1)の実施に際して発現プロファイルを得るために測定される「特定の遺伝子又は遺伝子群」は、前記した遺伝子(D−1)乃至(D−50)から選択される1種以上である。これらの遺伝子は、表5にも記載されている。表5においては、遺伝子(D−1)乃至(D−50)を、2型糖尿病の治療開始前後で発現量の差異を、治療後に発現が減弱した遺伝子と亢進した遺伝子とに分けて、有意差(t値の絶対値)の順に並べてある。従って、「特定の遺伝子又は遺伝子群」として選択する遺伝子は、表5中の有意差が大である遺伝子であることが好ましい。また、表5に記載された遺伝子中、(D−23)1−アシルグリセロール−3−ホスフェート O−アシルトランスフェラーゼ遺伝子以外の49種の遺伝子から、「特定の遺伝子又は遺伝子群」を選択してもよい。さらに、「特定の遺伝子又は遺伝子群」として、治療後に発現が減弱する遺伝子のみを選択してもよいし、発現が亢進する遺伝子のみを選択してもよいし、あるいは両者を選択してもよい。加えて、「特定の遺伝子又は遺伝子群」は、遺伝子(D−1)乃至(D−50)の中の1種であってもよいし、2種であってもよいし、3種以上50種すべてまで、何れの数であってもよい。
【0080】
第二の発明(その2)の実施に際して発現プロファイルを得るために測定される「特定の遺伝子又は遺伝子群」は、MAPキナーゼ・シグナリング・パスウェイ及びp38MAPKシグナリング・パスウェイに属する遺伝子群(MAPK遺伝子群)の中から選択される。
【0081】
BRB−ArrayTools(登録商標)においてMAPK遺伝子群に属するとされる遺伝子中、82種の遺伝子を表7に記載した。第二の発明(その2)における「特定の遺伝子又は遺伝子群」を、これら82種の遺伝子から選択してもよい。これら82種の遺伝子は、糖尿病においては健常者に比べて発現が亢進しているが、治療によって発現レベルが低下する。
【0082】
また、MAPPFinderにおいてMAPK遺伝子群に属するとされる遺伝子として特定されている遺伝子中、29種の遺伝子(前記(E−1)乃至(E−29))を表10に記載した。(E−1)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ11遺伝子と(E−2)CREB結合タンパク質(ルビンシュタイン−タイビ症候群)遺伝子は、糖尿病の治療によって発現が亢進するが、これら以外の27種の遺伝子は、糖尿病の治療によって発現が減弱する。第二の発明(その2)における「特定の遺伝子又は遺伝子群」を、これら29種の遺伝子から選択してもよい。その際、糖尿病の治療によって発現が亢進する遺伝子のみを選択してもよいし、発現が減弱する遺伝子のみを選択してもよいし、あるいは両者を選択してもよい。また、表10に記載された遺伝子中、p値が小さいものを選択することが好ましい。
【0083】
なお、第二の発明(その2)における「特定の遺伝子又は遺伝子群」は、MAPK遺伝子群中の1種であってもよいし、2種であってもよいし、3種以上82種又は29種すべてまで、何れの数であってもよい。
【実施例1】
【0084】
糖尿病患者と健常者における、また、糖尿病の治療の前後における、遺伝子発現の変動の検討
1.対象
糖尿病患者57名(2型糖尿病患者:49名;1型糖尿病患者:8名)と、健常者16名を対象とした。これらの対象者の血液の生化学検査結果を、臨床背景として表1に示す。なお、血液の生化学検査の方法は、臨床的に一般的に行われている方法を採用した。
【0085】
【表1】

【0086】
また、糖尿病患者57名の中の24名について、血糖コントロールを目的とした糖尿病の治療後(治療開始から平均355日後;18〜896日後)にも同様に、血液の生化学検査を行った。これらの対象者の治療前後における血液の生化学検査結果と、治療方法(糖尿病の治療方法及び高血圧及び高脂血症の治療方法)を、表2に示す。血糖コントロール前後で、絶食血漿グルコースとグリコヘモグロビンは有意に低下し,脂質代謝や肝機能に有意な変化はなかった。
【0087】
【表2】

【0088】
2.末梢血白血球における遺伝子発現の解析
(2−1)末梢血白血球からのRNAの調製
(2−1−1)Micro RNA Isolation Kit(Stratagene)及びRNeasy Mini Spin Column(QIAGEN)を用いる方法
(i)採血した血液(ヘパリン添加)10mlをフィコール−ハイパーク法(密度勾配遠心分離法)に供し、末梢血白血球を分取した。
【0089】
(ii)末梢血白血球をβ−メルカプトエタノール1.4μlを含む変性バッファー170μlに溶解し、フェノール−クロロホルム抽出を行い、水層150μlを回収した。GenomicDNAの混入を防止するため、回収した水層を525μlのバッファーRLT(グアニジンチオシアネートとβ−メルカプトエタノールを含む緩衝液)と混合し、得られた混合液に、250μl の100%エタノールを加えた。
【0090】
(iii)RNeasy Mini Spin Columnに、(ii)で得られた混合液を流し入れ、RNAを吸着させた。洗浄後、100μlの溶出緩衝液にてRNAを溶出させた。
【0091】
(iv)溶出液にエタノールを加えてRNAを沈澱させた後、RNAを20μlのヌクレアーゼ不含水(nuclease−free water)に溶解させた。
【0092】
(v)RNAを含むヌクレアーゼ不含水1μlを、Bio Analyzer 2000 (Agilent)を用いて電気泳動し、常法によりRNAの変性及び定量を行った。
【0093】
(2−1−2)PAXgene Blood RNA Kit(QIAGEN;cat#762134)を用いる方法
(i)パクスジーンRNA真空採血管(QIAGEN;cat#762105)に、全血2.5mlを採取した。
【0094】
(ii)室温にて2時間インキュベートし、その後、パクスジーンRNA真空採血管を3,000×gにて10分間遠心した。
【0095】
(iii)上清をデカントし、沈澱物に5mlのRNaseフリー水を添加した。
【0096】
(iv)ボルテックスを用い、ペレットをRNaseフリー水に完全に懸濁させた。
【0097】
(v)懸濁液を含むパクスジーンRNA真空採血管を、3,000×gにて10分間遠心した。
【0098】
(vi)上清を完全に除去し、次いで、バッファーBR1を360μl添加した。
【0099】
(vii)ボルテックスを用い、ペレットをバッファーBR1に完全に懸濁させた。
【0100】
(viii)懸濁液を2mlのマイクロ遠心チューブに移した。
【0101】
(ix)300μlのBR2バッファーと40μlのプロテキンキナーゼKを添加し、ボルテックスを用いて撹拌した。
【0102】
(x)マイクロ遠心チューブを55℃にて10分間インキュベートし、その後、15, 000rpmにて3分間遠心した。
【0103】
(xi)上清を新しい2mlマイクロ遠心チューブに移した。
【0104】
(xii)100%エタノール350μlを添加し、ボルテックスを用いて撹拌した。
【0105】
(xiii)(xii)で得られたサンプル700μlを2mlのチューブ上にセットしたパクスジーンカラムにアプライし、8,000×gにて1分間遠心した。
【0106】
(xiv)残りのサンプルも同じパクスジーンカラムにアプライし、同様に遠心した。
【0107】
(xv)同じカラムにバッファーBR3を700μl添加し、8,000×gにて1分間遠心した。
【0108】
(xvi)同じカラムにバッファーBR4を500μl添加し、8,000×gにて1分間遠心した。
【0109】
(xvii)同じカラムにバッファーBR4を500μl添加し、15,000×gにて3分間遠心し、カラムのメンブレンを完全に乾燥させた。
【0110】
(xviii)カラムを1.5mlのチューブ上に置き、溶出バッファーBR5を40μl加え、次いで8,000×gにて1分間遠心した。
【0111】
(xix)工程(xviii)を繰り返した。
【0112】
(xx)65℃にて5分間インキュベートし、すぐに氷冷した。
【0113】
(xxi)−80℃にて保存した。
【0114】
(2−2)DNAチップでの遺伝子発現量の解析
(株)DNAチップ研究所において作製された約3万の遺伝子に対応するオリゴヌクレオチド・プローブ(センス鎖)が搭載されたマイクロ・チップ(AceGene(登録商標)Human Oligo Chip 30K)を用い、遺伝子発現量の解析を行った。具体的には、次の手順で行った。
【0115】
(i)Amino Allyl MessageAmp(登録商標)aRNA kit(#1753:Ambion)を用い、プロトコールに従って、およそ2μgのRNAより、アミノアリルラベルaRNAを調製した。なお、アミノアリル基は、aRNAの合成の際にアミノアリルUTPを取り込ませることによって行った。
【0116】
(ii)5μg のアミノアリルラベルaRNAをカップリング・バッファーに溶解し、そこにDMSOに溶解したCyDye(GEヘルスケアサイエンス)を加え、40℃にてカップリング反応を行わせた。なお、糖尿病患者と健常者の遺伝子発現強度の比較を行う場合には、糖尿病患者由来のRNAにはcy−5を、健常者由来のRNAにはcy−3を結合させた。
【0117】
(iii)精製、濃縮の後、CyDyeが結合したaRNAを含有する溶液にフラグメンテーション・バッファーを加え、94℃で15分間加温し(断片化)、次いでクラッシュアイスで急冷した。
【0118】
(iv)(iii)の溶液にハイブリダイゼーション・バッファーと10%SDSを加え、95℃にて熱変性後、クラッシュアイスで急冷した。
【0119】
(v)ホルムアミドを加え、ハイブリダイゼーション液を作製し、次いで50℃にて5分間インキュベートした。
【0120】
(vi)マイクロ・チップにハイブリダイゼーション液を流し込み、50℃にて16乃至20時間インキュベートして、マイクロ・チップ上のオリゴヌクレオチド・プローブにaRNAをハイブリダイズさせた。なお、糖尿病患者と健常者の遺伝子発現強度の比較を行う場合には、cy−5を結合させたRNAとcy−3を結合させたRNAとを等量ずつ混合して用いた。
【0121】
(vii)ハイブリダイズ終了後、プロトコールに従って洗浄及び乾燥を行った。
【0122】
(viii)スライド(マイクロ・チップ)をScan Array Express (Perkin−Elmer)にてスキャンし、DNASIS Arrayを用いて各スポット・シグナル(蛍光発色強度)の数値化と標準化とを行った。cy−5とcy−3の両者を用いた場合には、これらの色素は測定波長が異なるので、各々を区別して測定した。
【0123】
3.統計解析
2.で得られたデータ(すべての検体についての測定された全遺伝子の発現量)を用いて、発現プロファイルの類似性をもとにクラスター分類を行った。結果の詳細は示さないが、糖尿病の症例と健常者、さらには糖尿病の治療前後に大きく分類された。
【実施例2】
【0124】
糖尿病の有無の判定に有用な遺伝子群の選択(その1)−全遺伝子群からの選択―
実施例1で遺伝子発現量を測定した約3万種の遺伝子の発現量データを、BRB−ArrayToolsソフトウエアで解析し、糖尿病患者と健常者との間で発現に有意差(P<0.00001;亢進又は減弱)が見られる遺伝子(t値の絶対値で上位50番まで)を選択した。それらを表3に示す。
【0125】
この結果より、被験者の白血球RNA中の、表3に示した前記(A−1)乃至(A−50)の遺伝子中の1種又は2種以上の発現プロファイルを得ることにより、被験者が糖尿病又はその予備軍であるか否かの判定が可能であることがわかる。
【0126】
【表3】


【実施例3】
【0127】
糖尿病の有無の判定に有用な遺伝子群の選択の正当性の検証(診断予測確率の算出)
実施例1で測定された遺伝子発現量を用い、糖尿病患者(57検体)と健常者(16検体)の実施例2で選択された50遺伝子の発現量を、各種アルゴリズム(複合共変予測(compound covariate predictor)、対角線形判別分析(diagonal linear discriminant analysis)、1−最近隣法(1−nearest neighbor)、3−最近隣法(3‐nearest neighbors)、最近隣セントロイド(nearest Centroid)、サポート・ベクター・マシーンズ (support vector machines))により統計処理し、検体を2群(糖尿病である群と健常者の群)に分けた。その結果を、実際の状況(糖尿病患者か健常者か)と照らし合わせ、正解率を求めた。結果を表4に示す。これは、教師付き学習法による診断予測確率の算出に相当する。
【0128】
表4から明らかなように、いずれも、92%以上の高い正解率であった。
【0129】
なお、データは示さないが、表3の遺伝子中、p値の低い方から順に10遺伝子を選択して同様な検討を行ったところ、糖尿病の有無を89乃至93%の高い正解率で判定することができた。
【0130】
また、糖尿病患者(57検体)と健常者(16検体)について、教師付き学習法で使用した前記50遺伝子(実施例2で選択された50遺伝子)の発現量を、実施例1に記載の方法で測定した。スライド(マイクロ・チップ)をScan Array Express (Perkin−Elmer)にてスキャンした結果を数値化して図1に示す。この方法は教師なし学習法に相当するが、ここで測定した50遺伝子の発現プロファイルは、糖尿病の有無で大きく異なることが明らかとなった。従って、これらの遺伝子の発現プロファイルから、糖尿病であるか否かの判定を行うことができる。
【0131】
【表4】

【実施例4】
【0132】
治療(血糖コントロール)の効果の有無の判定に有用な遺伝子群の選択(その1)−全遺伝子群からの選択―
実施例1で遺伝子発現量を測定した約3万種の遺伝子の発現量データを、BRB−ArrayToolsソフトウエアで解析し、糖尿病の治療(血糖コントロール)前後で有意(P<0.00001)に発現変動する遺伝子(t値の絶対値で上位50番まで)を選択した。それらを表5に示す。
【0133】
この結果より、糖尿病患者の治療開始前と治療開始後に採取した血液中の白血球RNAについて、表5に示した前記(D−1)乃至(D−50)の遺伝子中の1種又は2種以上の発現プロファイルを得ることにより、治療効果があがっているか否かの判定が可能であることがわかる。
【0134】
【表5】


【実施例5】
【0135】
治療(血糖コントロール)の効果の有無の判定に有用な遺伝子群の選択の検証(診断予測確率の算出)
実施例1で測定された遺伝子発現量を用い、糖尿病患者の治療開始前と治療開始後の実施例4で選択された50遺伝子の発現量を、各種アルゴリズム(複合共変予測(compound covariate predictor)、対角線形判別分析(diagonal linear discriminant analysis)、1−最近隣法(1−nearest neighbor)、3−最近隣法(3‐nearest neighbors)、最近隣セントロイド(nearest Centroid)、サポート・ベクター・マシーンズ (support vector machines))により統計処理し、検体を2群(糖尿病の治療開始前の群と治療開始後の群)に分けた。その結果を、実際の状況(糖尿病の治療開始前か治療開始後か)と照らし合わせ、正解率を求めた。結果を表6に示す。これは、教師付き学習法に相当する。
【0136】
表6から明らかなように、いずれも、96%の高い正解率であった。
【0137】
なお、データは示さないが、表5の遺伝子中、p値の低い方から順に10遺伝子を選択して同様な検討を行ったところ、糖尿病の治療開始前後を77乃至82%の高い確率で判定することができた。
【0138】
また、糖尿病の治療開始前と治療開始後の検体(各23検体)について、教師付き学習法で使用した前記50遺伝子(実施例4で選択された50遺伝子)の発現量を、実施例1に記載の方法で測定した。スライド(マイクロ・チップ)をScan Array Express (Perkin−Elmer)にてスキャンした結果を数値化して図2に示す。この方法は教師なし学習法に相当するが、ここで測定した50遺伝子の発現プロファイルが、糖尿病の治療開始前と治療開始後とで大きく異なることが明らかとなった。従って、これらの遺伝子の発現プロファイルから、糖尿病の治療効果の有無を判定することができる。
【0139】
【表6】

【実施例6】
【0140】
糖尿病患者における遺伝子発現の特徴の解析−パスウェイ単位での遺伝子発現解析−
AceGene(登録商標)Human Oligo Chip 30Kに搭載されているオリゴヌクレオチドを有する遺伝子のそれぞれを、何れのパスウェイに属するかで分類した(ある遺伝子が、2種以上のパスウェイに属する場合もある)。なお、本発明者等が535のヒト遺伝子セットをスクリーニングしたところ、それらの遺伝子セットは、285の BioCarta pathways、101のKEGG pathways、そして149の遺伝子セットのひとつ又は複数に含まれていた。
【0141】
実施例1で得られたデータから、パスウェイ毎に、当該パスウェイに属する遺伝子群の発現量に関するデータを集めた。そして、それらのデータをBRB−ArrayToolsソフトウエアで解析し、パスウェイ単位で遺伝子発現を評価した場合に糖尿病群において健常者群と比べて有意に発現変動しているパスウェイを抽出した。また、MAPPFinderソフトウエアでの解析も行い、糖尿病群において健常者群と比べて有意に発現亢進又は発現減弱しているパスウェイを抽出した。
【0142】
その結果、糖尿病群において、MAPKカスケード(MAPキナーゼ・シグナリング・パスウェイ及びp38MAPKシグナリング・パスウェイ)に属する遺伝子群(MAPK遺伝子群)が発現亢進しており、また、ATP産生にかかわるミトコンドリア電子伝達系機能の酸化的リン酸化(ユビキノン生合成系及びATP合成系)を構成する遺伝子群(OXPHOS遺伝子群)が発現減弱していることが明らかとなった。
【0143】
また、同様の方法により、糖尿病の治療開始前後で有意に発現変動しているパスウェイを抽出した。
【0144】
その結果、糖尿病の治療開始前において発現が亢進していたMAPKカスケード(MAPキナーゼ・シグナリング・パスウェイ及びp38MAPKシグナリング・パスウェイ)に属する遺伝子群の発現が、治療によって有意に低下することが明らかとなった。
【0145】
なお、BRB−ArrayToolsソフトウエアでの解析において、MAPキナーゼ・シグナリング・パスウェイ及びp38MAPKシグナリング・パスウェイに属する遺伝子群として特定したものは、表7に示す82種であり、ユビキノン生合成系及びATP合成系に属する遺伝子群として特定したものは、表8に示す70種であった。
【0146】
【表7】

【0147】
【表8】

【実施例7】
【0148】
糖尿病患者におけるMAPK遺伝子群及びOXPHOS遺伝子群の発現解析
実施例1で得られたデータを、MAPPFinderソフトウェアで解析した。
【0149】
(1)MAPK遺伝子群中、糖尿病患者で発現変動している遺伝子の解析
MAPK遺伝子群中、MAPPFinderでカバーしている遺伝子各々について、全検体のデータの平均値が0、分散が1となるようにデータを標準化した後、その標準化後の値について、糖尿病患者群と健常者群それぞれについて平均値と分散とを求め、次いで糖尿病患者群における平均値(X)を健常者群における平均値(Y)で除した。
【0150】
結果を図3及び表9に示す。
【0151】
図3中、遺伝子シンボルの右側に記載されている数値がX/Yの値である。これが1.2以上の場合は、糖尿病患者で発現が亢進しており、0.8以下の場合は、発現が減弱しているといえる。このように、発現が有意に変動している遺伝子については、遺伝子シンボルを黒又は灰色で塗った。但し、0.8超1.2未満であっても、分散の値を考慮して有意差があるといえる遺伝子については、遺伝子シンボルの外枠を太い黒線とした。
【0152】
また、表9には、糖尿病で発現が亢進している遺伝子31種を示した。この31種の遺伝子は、先に(B−1)乃至(B−31)として示した遺伝子である。
【0153】
これらの結果より、図3や表9に記載された遺伝子が、被験者が糖尿病又はその予備軍であるか否かの判定に有用であることがわかる。
【0154】
(2)MAPK遺伝子群中、糖尿病の治療開始前後で発現変動している遺伝子の解析
MAPK遺伝子群中、MAPPFinderでカバーしている遺伝子各々について、全検体のデータの平均値が0、分散が1となるようにデータを標準化した後、その標準化後の値について、糖尿病の治療開始前群と治療開始後群それぞれについて平均値と分散とを求め、次いで治療開始後群における平均値を治療開始前群における平均値で除した。
【0155】
結果を図4及び表10に示す。
【0156】
図4中、遺伝子シンボルの右側に記載されている数値が「治療後/治療前」の値である。この値が1.2以上又は0.8以下の場合、治療によって有意に発現変動があったといえる。このように、発現が有意に変動している遺伝子については、遺伝子シンボルを黒又は灰色でぬった。
【0157】
また、表10には、治療によって発現変動があった遺伝子29種を示した。この29種の遺伝子は、先に(E−1)乃至(E−29)として示した遺伝子である。
【0158】
これらの結果より、図4や表10に記載された遺伝子が、糖尿病の治療効果があがっているか否かの判定に有用であることがわかる。
【0159】
(3)OXPHOS遺伝子群中、糖尿病患者で発現変動している遺伝子の解析
OXPHOS遺伝子群中、MAPPFinderでカバーしている遺伝子各々について、全検体のデータの平均値が0、分散が1となるようにデータを標準化した後、その標準化後の値について、糖尿病患者群と健常者群それぞれについて平均値と分散とを求め、次いで糖尿病患者群における平均値(X)を健常者群における平均値(Y)で除した。
【0160】
結果を図5及び表11に示す。
【0161】
図5中、遺伝子シンボルの右側に記載されている数値がX/Yの値である。これが1.2以上の場合は、糖尿病患者で発現が亢進しており、0.8以下の場合は、発現が減弱しているといえる。このように、発現が有意に変動している遺伝子については、遺伝子シンボルを黒又は灰色で塗った。
【0162】
また、表11には、糖尿病で発現が減弱している遺伝子42種を示した。この42種の遺伝子は、先に(C−1)乃至(C−42)として示した遺伝子である。なお、表11には44の測定データが記載されているが、これは、測定系の中に、(C−29)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF0複合体,サブユニットc(サブユニット9)イソフォーム1の遺伝子及び(C−40)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1,βサブコンプレックス,4,15キロダルトンの遺伝子について、測定に使用したオリゴヌクレオチド(これらの遺伝子の一部に相当するアンチセンス鎖)が、各々2種類存在したためである。
【0163】
これらの結果より、図5や表11に記載された遺伝子が、被験者が糖尿病又はその予備軍であるか否かの判定に有用であることがわかる。
【0164】
(4)OXPHOS遺伝子群中、糖尿病の治療開始前後で発現変動している遺伝子の解析
OXPHOS遺伝子群中、MAPPFinderでカバーしている遺伝子各々について、全検体のデータの平均値が0、分散が1となるようにデータを標準化した後、その標準化後の値について、糖尿病の治療開始前群と治療開始後群それぞれについて平均値と分散とを求め、次いで治療開始後群における平均値を治療開始前群における平均値で除した。
【0165】
結果を図6に示す。
【0166】
図6中、遺伝子シンボルの右側に記載されている数値が「治療後/治療前」の値である。図6より、OXPHOS遺伝子群は、糖尿病の治療効果があがっているか否かの判定には有用ではないことがわかる。
【0167】
【表9】

【0168】
【表10】

【0169】
【表11】


【実施例8】
【0170】
MAPK遺伝子群とOXPHOS遺伝子群の発現動態の解析
これらの経路に属する遺伝子群の発現動態をより明解にするために、BRB−ArrayToolsソフトウエアを用い、MAPK遺伝子群(82遺伝子)とOXPHOS遺伝子群(70遺伝子)について、各検体における各遺伝子の発現量を標準化し、症例(糖尿病患者、健常者、治療前の糖尿病患者及び治療後の糖尿病患者)ごとに平均化したスコア(症例ごとのMAPK平均セントロイド(MAPK mean Centroid)と、症例ごとのOXPHOS平均セントロイド(OXPHOS mean Centroid))を求めた。
【0171】
但し、実際の測定においては、MAPK遺伝子群は99種の、OXPHOS遺伝子群は77種のオリゴヌクレオチド・プローブを使用した。より詳細には、MAPK遺伝子群については、測定系中に、Aff. ID Nos. 209951_s_at、209341_s_at、1570439_at、203514_at、202670_at、203218_at、202530_at、215075_s_at、208403_x_at、1558984_at、204813_at、206943_at、1567457_at及び1553685_s_atについては各々2種の、Aff. ID No. 1559295_atについては4種のオリゴヌクレオチド(これらの遺伝子の一部に相当するアンチセンス鎖)が存在したため、99のデータが得られ、一方、OXPHOS遺伝子群については、測定系中に、Aff. ID Nos. 218190_s_at、201304_at、205849_s_at、218563_at、201093_x_at、218226_s_at及び208972_s_atについて各々2種オリゴヌクレオチド(これらの遺伝子の一部に相当するアンチセンス鎖)が存在したため、77のデータが得られ、それらのデータすべてを使用した。
【0172】
その結果を図7に示す。
【0173】
図7から明らかなように、MAPK平均セントロイドは、糖尿病群で健常者群に比して有意に高値を示したが、血糖コントロールにより改善した。一方、OXPHOS平均セントロイドは、糖尿病群で健常者群に比し有意に低値を示し、この状態は血糖コントロールによっても変化しなかった。
【実施例9】
【0174】
MAPK遺伝子群とOXPHOS遺伝子群の発現動態と、糖尿病の病態との関係について
実施例8において症例ごとのMAPK平均セントロイドの算出に使用した、検体ごとのMAPK平均セントロイドと、糖尿病の病態(肥満(BMI値)、空腹時血糖値(空腹時血漿グルコース)、グリコヘモグロビン量)との相関の有無を、ピヤソンのrによって求めた。
【0175】
また、実施例8において症例ごとのOXPHOS平均セントロイドの算出に使用した、検体ごとのOXPHOS平均セントロイドと、糖尿病の病態(肥満(BMI値)、空腹時血糖値(空腹時血漿グルコース)、グリコヘモグロビン量)との相関の有無を、ピヤソンのrによって求めた。
【0176】
結果を表12に示す。また、図8には、検体ごとのMAPK平均セントロイドと血中グリコヘモグロビン(HbA1c)量(%)とをプロットしたグラフを、図9には、検体ごとのOXPHOS平均セントロイドと血中グリコヘモグロビン(HbA1c)量(%)とをプロットしたグラフを示す。
【0177】
表12、図8及び図9から明らかなように、MAPK平均セントロイドは、空腹時血糖値及びグリコヘモグロビン量と有意な正相関を示した。一方、OXPHOS平均セントロイドは、糖尿病の病態を示す何れのデータとも関連しなかった。
【0178】
【表12】

【実施例10】
【0179】
糖尿病の有無及び治療(血糖コントロール)の効果の有無の判定に有用な遺伝子群の選択(その2)−MAPK遺伝子群及びOXPHOS遺伝子群からの選択―
(1)先に示したように、表7に示されたMAPK遺伝子群(82遺伝子)は、全体として、糖尿病患者と健常者とでは発現量に有意差があり、また、治療の前後でも有意差があった。一方、表8に示すOXPHOS遺伝子群(70遺伝子)は、全体として、糖尿病患者と健常者とでは発現量に有意差があった。そこで、より少ない種類の遺伝子を用いて発現プロファイルを得た場合でも、同様の有意差が見られるか否かを検討した。
【0180】
(1−1)表9に記載されたMAPK遺伝子群中、p値が低い10遺伝子を選択し、実施例1で測定された遺伝子発現量を用い、糖尿病患者(57検体)と健常者(16検体)のそれら10遺伝子の発現量を、各種アルゴリズム(複合共変予測(compound covariate predictor)、対角線形判別分析(diagonal linear discriminant analysis)、1−最近隣法(1−nearest neighbor)、3−最近隣法(3‐nearest neighbors)、最近隣セントロイド(nearest Centroid)、サポート・ベクター・マシーンズ (support vector machines))により統計処理し、検体を2群(糖尿病である群と健常者の群)に分けた。その結果を、実際の状況(糖尿病患者か健常者か)と照らし合わせ、正解率を求めた。結果を表13に示す。
【0181】
表13から明らかなように、81%以上の高い確率で、分類、即ち診断を行うことができた。
【0182】
(1−2)表10に記載されたMAPK遺伝子群中、p値が低い10遺伝子を選択し、実施例1で測定された遺伝子発現量を用い、糖尿病患者における治療開始前後の検体(27検体)におけるそれら10遺伝子の発現量を、各種アルゴリズム(複合共変予測(compound covariate predictor)、対角線形判別分析(diagonal linear discriminant analysis)、1−最近隣法(1−nearest neighbor)、3−最近隣法(3‐nearest neighbors)、最近隣セントロイド(nearest Centroid)、サポート・ベクター・マシーンズ (support vector machines))により統計処理し、検体を2群(治療開始前の群と治療開始後の群)に分けた。その結果を、実際の状況(治療開始前であるか治療開始後であるか)と照らし合わせ、正解率を求めた。結果を表14に示す。
【0183】
表14から明らかなように、77%以上の高い確率で、分類を行うことができた。
【0184】
(1−3)表11に記載されたOXPHOS遺伝子群中、p値が低い10遺伝子を選択し、実施例1で測定された遺伝子発現量を用い、糖尿病患者(57検体)と健常者(16検体)のそれら10遺伝子の発現量を、各種アルゴリズム(複合共変予測(compound covariate predictor)、対角線形判別分析(diagonal linear discriminant analysis)、1−最近隣法(1−nearest neighbor)、3−最近隣法(3‐nearest neighbors)、最近隣セントロイド(nearest Centroid)、サポート・ベクター・マシーンズ (support vector machines))により統計処理し、検体を2群(糖尿病である群と健常者の群)に分けた。その結果を、実際の状況(糖尿病患者か健常者か)と照らし合わせ、正解率を求めた。結果を表15に示す。
【0185】
表15から明らかなように、77%以上の高い確率で、分類、即ち診断を行うことができた。
【0186】
【表13】

【0187】
【表14】

【0188】
【表15】

【0189】
(2)MAPキナーゼ経路に属する遺伝子群の中から37遺伝子を選択し、糖尿病患者(57検体)と健常者(16検体)について、実施例1に記載の方法で発現量の測定を行った。スライド(マイクロ・チップ)をScan Array Express (Perkin−Elmer)にてスキャンした結果を数値化して図10に示す。また、MAPキナーゼ経路に属する遺伝子群の中から40遺伝子を選択し、糖尿病患者の治療前(24検体)と同じ患者の治療後(24検体)について、実施例1に記載の方法で発現量の測定を行った。スライド(マイクロ・チップ)をScan Array Express (Perkin−Elmer)にてスキャンした結果を数値化して図11に示す。さらに、ミトコンドリアOXPHOS経路に属する遺伝子群の中から49遺伝子を選択し、糖尿病患者(57検体)と健常者(16検体)について、実施例1に記載の方法で発現量の測定を行った。スライド(マイクロ・チップ)をScan Array Express (Perkin−Elmer)にてスキャンした結果を数値化して図12に示す。
【0190】
図10及び図12のいずれにおいても、糖尿病患者(DM)と健常者(nonDM)では、測定した遺伝子群の発現プロファイルに相違があることがわかった。
【0191】
また、図11より、糖尿病患者の治療前の検体と治療後の検体では、測定した遺伝子群の発現プロファイルに相違があり、且つ、治療後の遺伝子発現プロファイルは、糖尿病に典型的な発現プロファイルからは脱却していることがわかった。
【0192】
以上より、被験者の白血球RNAに由来する図10に示された37遺伝子の発現をマイクロ・チップにて測定し且つ画像化したデータを、図10と比較することにより、被験者が糖尿病又はその予備軍であるか否かを判定し得る。
【0193】
また、被験者の白血球RNAに由来する図12に示された49遺伝子の発現をマイクロ・チップにて測定し且つ画像化したデータを、図12と比較することにより、被験者が糖尿病又はその予備軍であるか否かを判定し得る。
【0194】
さらに、糖尿病患者の治療開始前後の白血球RNAに由来する図11に示された40遺伝子の発現をマイクロ・チップにて測定し且つ画像化したデータを、図11と比較することにより、治療効果があがったか否かを判定し得る。
【実施例11】
【0195】
糖尿病であるか否かが不明の検体の遺伝子発現量の測定と、結果の判定
(1)MAPK遺伝子群の利用
実施例1に記載の方法で、被験者1名の白血球RNAに由来するMAPK遺伝子82種(表7に記載されたもの;但し、実施例8に記載したように、測定データは99種である)の遺伝子発現量を測定した。次いで、実施例8におけるデータを利用して、この被験者の各遺伝子の発現量を標準化した。その標準化後のデータを用い、この被験者のMAPK平均セントロイドを算出したところ、0.176であった。従って、この被験者は糖尿病であると判定した。この判定は正しかった。
【0196】
(2)OXPHOS遺伝子の利用
実施例1に記載の方法で、上記(1)と同じ被験者の白血球に由来するOXPHOS遺伝子70種(表8に記載されたもの;但し、実施例8に記載したように、測定データは77種である)の遺伝子発現量を測定した。次いで、実施例8におけるデータを利用して、この被験者の各遺伝子の発現量を標準化した。その標準化後のデータを用い、この被験者のOXPHOS平均セントロイドを算出したところ、−0.507であった。従って、この被験者は糖尿病であると判定した。この判定は正しかった。
【実施例12】
【0197】
血糖コントロールにより治療効果があがっているか否かが不明の検体の遺伝子発現量の測定と、結果の判定
実施例11(1)において測定を行った被験者について、血糖をコントロールする治療を施した後、同様の方法でMAPK平均セントロイドを算出した。その結果は、−0.361であった。このデータより、この被験者においては治療効果があがっていると判定された。実際、血糖値等の臨床パラメータからも、糖尿病が軽快していることが確かめられた。
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1】表3に示された50種の遺伝子について、糖尿病患者検体と健常者検体における発現量を測定したマイクロ・チップをスキャンし数値化した結果を示す写真である。
【図2】表5に示された50種の遺伝子について、糖尿病の治療前後の検体における発現量を測定したマイクロ・チップをスキャンし数値化した結果を示す写真である。
【図3】MAPキナーゼ経路に属する遺伝子それぞれの、糖尿病患者検体の発現量と健常者検体の発現量との有意差の有無を示す図である。
【図4】MAPキナーゼ経路に属する遺伝子それぞれの、糖尿病の治療(血糖コントロール)前後における発現量の有意差の有無を示す図である。
【図5】ミトコンドリアOXPHOS経路に属する遺伝子それぞれの、糖尿病患者検体の発現量と健常者検体の発現量との有意差の有無を示す図である。
【図6】ミトコンドリアOXPHOS経路に属する遺伝子それぞれの、糖尿病の治療(血糖コントロール)前後における発現量の有意差の有無を示す図である。
【図7】症例(糖尿病患者、健常者、治療前の糖尿病患者及び治療後の糖尿病患者)ごとの、MAPK平均セントロイドとOXPHOS平均セントロイドとを示すグラフである。
【図8】検体ごとのMAPK平均セントロイドと血中グリコヘモグロビン量(%)とをプロットしたグラフである。
【図9】検体ごとのOXPHOS平均セントロイドと血中グリコヘモグロビン量(%)とをプロットしたグラフである。
【図10】MAPキナーゼ経路に属する37種の遺伝子について、糖尿病患者検体と健常者検体における発現量を測定したマイクロ・チップをスキャンし数値化した結果を示す写真である。
【図11】MAPキナーゼ経路に属する40種の遺伝子について、糖尿病の治療前後の検体における発現量を測定したマイクロ・チップをスキャンし数値化した結果を示す写真である。
【図12】ミトコンドリアOXPHOS経路に属する49種の遺伝子について、糖尿病患者検体と健常者検体における発現量を測定したマイクロ・チップをスキャンし数値化した結果を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であるか否かを判定する方法であって、
(a)被験者xに由来するヒト白血球における特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルxを得る工程、
(b)工程(a)で得られた発現プロファイルxを、非糖尿病の被験者yに由来するヒト白血球における遺伝子群又はその同等物中の工程(a)と同一の特定の遺伝子又は遺伝子群についての発現プロファイルyと比較する工程、及び
(c)工程(b)で、発現プロファイルxが発現プロファイルyと有意に異なる場合に、被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であると判定する工程
を含み、ここにおいて、前記特定の遺伝子又は遺伝子群は、下記(A−1)乃至(A−50)の遺伝子群に含まれていることを特徴とする方法:
(A−1)仮想タンパク質LOC54103(登録番号:AL079277)
(A−2)ロイシンリッチ繰返し神経単位3(登録番号:AB060967)
(A−3)13キロダルトンの分化関連タンパク質(登録番号:BC005936)
(A−4)エモパミル結合関連タンパク質,Δ8−Δ7ステロールイソメラーゼ関連タンパク質(登録番号:AF243433)
(A−5)グリコシルトランスフェラーゼAD−017(登録番号:NM_018446)
(A−6)過酸化レドキシン3(登録番号:NM_006793)
(A−7)IgEのFcフラグメント,高親和性I,α−ポリペプチドの受容体(登録番号:NM_002001)
(A−8)シグナルペプチダーゼ12キロダルトン(登録番号:ENSG00000114902)
(A−9)オクタマー結合含有非POUドメイン(登録番号:L32558)
(A−10)NP220核タンパク質(登録番号:AF273049)
(A−11)仮想タンパク質FLJ10652(登録番号:NM_018169)
(A−12)クロモゾーム14のオープンリーディングフレーム109(登録番号:AL080118)
(A−13)アポトーシス関連タンパク質3(登録番号:NM_004632)
(A−14)AUT様1システインエンドペプチダーゼ(S.cerevisiae)(登録番号:ENSG00000125703)
(A−15)組換えタンパク質REC14(登録番号:AF309553)
(A−16)エステラーゼD/ホルミルグルタチオンヒドロラーゼ(登録番号:AF112219)
(A−17)膜貫通タンパク質14B(登録番号:NM_030969)
(A−18)Myc関連タンパク質(登録番号:AF083244)
(A−19)真核細胞の翻訳開始因子(elF)2A(登録番号:AF212241)
(A−20)B細胞リンカー(登録番号:ENSG00000095585)
(A−21)リンパ球抗原86(登録番号:NM_004271)
(A−22)リンゴ酸デヒドロゲナーゼ1,NAD(可溶性)(登録番号:ENSG00000014641)
(A−23)推定される膜タンパク質(登録番号:AF070626)
(A−24)E1Aで誘導された遺伝子の細胞性リプレッサ(登録番号:NM_003851)
(A−25)エクスポーチン1(CRM1ホモログ,酵母)(登録番号:NM_003400)
(A−26)グルタミルプロリルtRNAシンセターゼ(登録番号:NM_004446)
(A−27)ソーティングネキシン13(登録番号:AL353943)
(A−28)仮想DKFZp451J1719(登録番号:AF116608)
(A−29)ACN9ホモログ(S.cerevisiae)(登録番号:AF201933)
(A−30)アナプラスチックリンフォーマキナーゼ(Ki−1)(登録番号:D45915)
(A−31)中心体タンパク質1(登録番号:NM_007018)
(A−32)リガチン(登録番号:AF220417)
(A−33)エイティーピーアーゼ,水素輸送,リソソーム付属タンパク質2(登録番号:AF248966)
(A−34)膜内タンパク質,ミトコンドリア性(ミトフィリン)(登録番号:NM_006839)
(A−35)タンパク質チロシンホスファターゼ,非受容体タイプ12(登録番号:NM_002835)
(A−36)ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(リポアミド)β(登録番号:M34479)
(A−37)unc−50ホモログ(C.elegans)(登録番号:AF077038)
(A−38)仮想タンパク質FLJ20003(登録番号:NM_017615)
(A−39)仮想タンパク質KIAA1109(登録番号:AB029032)
(A−40)タビー様タンパク質3(登録番号:NM_003324)
(A−41)二重特異性ホスファターゼ5(登録番号:NM_004419)
(A−42)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ7(登録番号:BC005365)
(A−43)B細胞抑制因子α中のΚ光ペプチド遺伝子増強剤の核因子(登録番号:NM_020529)
(A−44)ぞうげ質マトリクス酸性リンタンパク質(登録番号:NM_004407)
(A−45)クルッペル様因子5(腸)(登録番号:NM_001730)
(A−46)イヅロネート2−スルファターゼ(ハンター症候群)(登録番号:NM_006123)
(A−47)CD83抗原(活性化されたBリンパ球,免疫グロブリンのスーパーファミリー)(登録番号:NM_004233)
(A−48)リングフィンガータンパク質121(登録番号:NM_018320)
(A−49)コアプロモーター因子結合タンパク質(登録番号:NM_001300)及び
(A−50)血清/糖質コルチコイドで調節されたキナーゼ(登録番号:NM_005627)。
【請求項2】
被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であるか否かを判定する方法であって、
(a)被験者xに由来するヒト白血球における特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルxを得る工程、
(b)工程(a)で得られた発現プロファイルxを、非糖尿病の被験者yに由来するヒト白血球における遺伝子群又はその同等物中の工程(a)と同一の特定の遺伝子又は遺伝子群についての発現プロファイルyと比較する工程、及び
(c)工程(b)で、発現プロファイルxが発現プロファイルyと有意に異なる場合に、被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であると判定する工程
を含み、ここにおいて、前記特定の遺伝子または遺伝子群は、MAPキナーゼ・シグナリング・パスウェイ及びp38MAPKシグナリング・パスウェイに属する遺伝子群に含まれていることを特徴とする方法。
【請求項3】
MAPキナーゼ・シグナリング・パスウェイ及びp38MAPKシグナリング・パスウェイに属する遺伝子群が、BRB−ArrayTools(登録商標)においてこれらのパスウェイに属する下記82種の遺伝子群に含まれている、請求項2に記載の方法:
Aff. ID Nos. 209666_s_at、1554319_at、209341_s_at、1552631_a_at、1570439_at、211459_at、1559295_at、206106_at、203096_s_at、209951_s_at、203514_at、1570076_at、205027_s_at、202424_at、202670_at、203218_at、203084_at、202530_at、201763_s_at、201895_at、1555146_at、215075_s_at、201464_x_at、208403_x_at、1558984_at、206362_x_at、202431_s_at、1565772_at、1559052_s_at、1552263_at、207121_s_at、207292_s_at、210477_x_at、206040_s_at、204813_at、210058_at、207667_s_at、204756_at、205698_s_at、1557675_at、203379_at、1556340_at、203265_s_at、201469_s_at、204171_at、206853_s_at、218311_at、212871_at、1560720_at、1729_at、204632_at、203777_s_at、205192_at、209239_at、206044_s_at、204039_at、213926_s_at、204936_at、206943_at、1560868_s_at、203617_x_at、209189_at、212983_at、208328_s_at、203836_s_at、203552_at、1565130_at、1567457_at、206296_x_at、200887_s_at、203097_s_at、218205_s_at、218181_s_at、201502_s_at、1557970_s_at、204413_at、201460_at、212046_x_at、202787_s_at、204707_s_at、214786_at及び1553685_s_at。
【請求項4】
MAPキナーゼ・シグナリング・パスウェイ及びp38MAPKシグナリング・パスウェイに属する遺伝子群が、MAPPFinderにおいてこれらのパスウェイに属する下記(B−1)乃至(B−31)の遺伝子群に含まれている、請求項2に記載の方法:
(B−1)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ6(登録番号:Aff. ID 1552631_a_at)
(B−2)リボソームタンパク質S6キナーゼ,90キロダルトン,ポリペプチド2(登録番号:Aff. ID 1557970_s_at)
(B−3)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ2(登録番号:Aff. ID 1565130_at)
(B−4)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ活性化タンパク質キナーゼ2(登録番号:Aff. ID 201460_at)
(B−5)v−jun肉腫ウイルス17癌遺伝子ホモログ(鳥類)(登録番号:Aff. ID 201464_x_at)
(B−6)B細胞抑制因子α中のΚ光ペプチド遺伝子増強剤の核因子(登録番号:Aff. ID 201502_s_at)
(B−7)v−rafネズミ肉腫3611ウイルス性癌遺伝子ホモログ(登録番号:Aff. ID 201895_at)
(B−8)Rapグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)2(登録番号:Aff. ID 203096_s_at)
(B−9)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ3(登録番号:Aff. ID 203514_at)
(B−10)ELK1,ETS癌遺伝子ファミリーのメンバー(登録番号:Aff. ID 203617_x_at )
(B−11)CCAAT/増強剤結合タンパク質(C/EBP),α(登録番号:Aff. ID 204039_at)
(B−12)TNF受容体関連因子2(登録番号:Aff. ID 204413_at)
(B−13)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ4(登録番号:Aff. ID 204707_s_at)
(B−14)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ5(登録番号:Aff. ID 204756_at)
(B−15)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ14(登録番号:Aff. ID 205192_at)
(B−16)v−rafネズミ肉腫ウイルス性癌遺伝子ホモログB1(登録番号:Aff. ID 206044_s_at)
(B−17)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ10(登録番号:Aff. ID 206362_x_at)
(B−18)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ6(登録番号:Aff. ID 207121_s_at)
(B−19)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ3(登録番号:Aff. ID 207667_s_at)
(B−20)MADSボックス転写増強剤因子2,ポリペプチドA(ミオサイト増強剤因子2A)(登録番号:Aff. ID 208328_s_at)
(B−21)v−fosFBJネズミ骨肉腫ウイルス性癌遺伝子ホモログ(登録番号:Aff. ID 209189_at)
(B−22)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ7(登録番号:Aff. ID 209951_s_at)
(B−23)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ13(登録番号:Aff. ID 210058_at)
(B−24)v−Ha−rasハーベイラット肉腫ウイルス性癌遺伝子ホモログ(登録番号:Aff. ID 212983_at)
(B−25)成長因子受容体結合タンパク質2(登録番号:Aff. ID 215075_s_at)
(B−26)MAPキナーゼ相互作用セリン/トレオニンキナーゼ2(登録番号:Aff. ID 218205_s_at)
(B−27)細胞分裂サイクル42(GTP結合タンパク質,25キロダルトン)(登録番号:Aff. ID 1556931_at)
(B−28)ホスフォリパーゼA2,VI群(細胞質ゾル,カルシウム非依存性)(登録番号:Aff. ID 204691_x_at)
(B−29)DNA損傷誘導性転写3(登録番号:Aff. ID 209383_at)
(B−30)早期成長応答1(登録番号:Aff. ID 201693_s_at)及び
(B−31)神経成長因子,βポリペプチド(登録番号:Aff. ID 206814_at)。
【請求項5】
被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であるか否かを判定する方法であって、
(a)被験者xに由来するヒト白血球における特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルxを得る工程、
(b)工程(a)で得られた発現プロファイルxを、非糖尿病の被験者yに由来するヒト白血球における遺伝子群又はその同等物中の工程(a)と同一の特定の遺伝子又は遺伝子群についての発現プロファイルyと比較する工程、及び
(c)工程(b)で、発現プロファイルxが発現プロファイルyと有意に異なる場合に、被験者xが糖尿病患者又はその予備軍であると判定する工程
を含み、ここにおいて、前記特定の遺伝子又は遺伝子群は、ユビキノン生合成系及びATP合成系に属する遺伝子群に含まれていることを特徴とする方法。
【請求項6】
ユビキノン生合成系及びATP合成系に属する遺伝子群が、BRB−ArrayTools(登録商標)においてこれらのパスウェイに属する下記70種の遺伝子群に含まれている、請求項5に記載の方法:
Aff. ID Nos. 207335_x_at、218200_s_at、201966_at、218160_at、203606_at、206790_s_at、201754_at、201134_x_at、218190_s_at、218484_at、217963_s_at、202839_s_at、201304_at、202090_s_at、201568_at、205849_s_at、218563_at、202026_at、201093_x_at、211752_s_at、200883_at、203663_s_at、202233_s_at、203858_s_at、202325_s_at、201322_at、203926_x_at、211755_s_at、207507_s_at、202343_x_at、204570_at、201597_at、202110_at、207843_x_at、201066_at、217773_s_at、202000_at、203371_s_at、203621_at、203478_at、203189_s_at、202675_at、202004_x_at、204295_at、201903_at、201119_s_at、207618_s_at、200925_at、203551_s_at、219547_at、202298_at、218226_s_at、218101_s_at、201740_at、201757_at、204300_at、201256_at、208969_at、202077_at、201226_at、205711_x_at、207552_at、206353_at、208909_at、217801_at、220864_s_at、205224_at、208905_at、207573_x_at及び208972_s_at。
【請求項7】
ユビキノン生合成系及びATP合成系に属する遺伝子群が、MAPPFinderにおいてこれらのパスウェイに属する下記(C−1)乃至(C−42)の遺伝子群に含まれている、請求項5に記載の方法:
(C−1)無機ピロホスファターゼ2(登録番号:Aff. ID 1554499_s_at)
(C−2)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)Fe−Sタンパク質4,18キロダルトン(NADHコエンザイムQリダクターゼ)(登録番号:Aff. ID 1555057_at)
(C−3)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF0複合体,サブユニットd(登録番号:Aff. ID 1555998_at)
(C−4)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF1複合体,Oサブユニット(オリゴマイシン感受性付与タンパク質)(登録番号:Aff. ID 1564482_at)
(C−5)BCL2様1(登録番号:Aff. ID 1569067_at)
(C−6)1含有TatD ディーエヌアーゼドメイン(登録番号:Aff. ID 1569230_at)
(C−7)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF1複合体,αサブユニット,イソフォーム1,心筋(オリゴマイシン感受性付与タンパク質)(登録番号:Aff. ID 1569891_at)
(C−8)ATPアーゼ,水素輸送,リソソーム9キロダルトン,V0サブユニットe///ATPアーゼ,水素輸送,リソソーム9キロダルトン,V0サブユニットe(登録番号:Aff. ID 200096_s_at)
(C−9)スーパーオキシドディスムーターゼ1,可溶性(アミオトロフィック・ラテラル・スクレロシス1(大人))(登録番号:Aff. ID 200642_at)
(C−10)ユビキノール−チトクロームcリダクターゼコアタンパク質II(登録番号:Aff. ID 200883_at)
(C−11)チトクロームcオキシダーゼサブユニットVIaポリペプチド1(登録番号:Aff. ID 200925_at)
(C−12)チトクロームcオキシダーゼサブユニットVIIc(登録番号:Aff. ID 201134_x_at)
(C−13)チトクロームcオキシダーゼサブユニットVIc(登録番号:Aff. ID 201754_at)
(C−14)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)Fe−Sタンパク質2,49キロダルトン(NADHコエンザイムQリダクターゼ)(登録番号:Aff. ID 201966_at)
(C−15)ユビキノール−チトクロームcリダクターゼヒンジタンパク質(登録番号:Aff. ID 202233_s_at)
(C−16)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF0複合体,サブユニットF6(登録番号:Aff. ID 202325_s_at)
(C−17)ATPアーゼ,水素輸送,リソソーム42キロダルトン,V1サブユニットC,イソフォーム1(登録番号:Aff. ID 202872_at)
(C−18)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1βサブコンプレックス,3,12キロダルトン(登録番号:Aff. ID 203371_s_at)
(C−19)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1,サブコンプレックス不明,1,6キロダルトン(登録番号:Aff. ID 203478_at)
(C−20)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1βサブコンプレックス,5,16キロダルトン(登録番号:Aff. ID 203621_at)
(C−21)チトクロームcオキシダーゼサブユニットVa(登録番号:Aff. ID 203663_s_at)
(C−22)COX10ホモログ,チトクロームcオキシダーゼアッセンブリータンパク質,ヘムA:ファーネシルトランスフェラーゼ(酵母)(登録番号:Aff. ID 203858_s_at)
(C−23)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1αサブコンプレックス,アッセンブリー因子1(登録番号:Aff. ID 204125_at)
(C−24)プログラムされた細胞死8(アポトーシス誘導因子)(登録番号:Aff. ID 205512_s_at)
(C−25)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF1複合体,γポリペプチド1(登録番号:Aff. ID 205711_x_at)
(C−26)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF0複合体,サブユニットc(サブユニット9)イソフォーム3(登録番号:Aff. ID 207507_s_at)
(C−27)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF0複合体,サブユニットc(サブユニット9)イソフォーム2(登録番号:Aff. ID 207552_at)
(C−28)ATPアーゼ,水素輸送,リソソーム34キロダルトン,V1サブユニットD(登録番号:Aff. ID 208898_at)
(C−29)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF0複合体,サブユニットc(サブユニット9)イソフォーム1(登録番号:Aff. ID 208972_s_at)
(C−30)非カップリングタンパク質2(ミトコンドリア,プロトンキャリア)(登録番号:Aff. ID 208997_s_at)
(C−31)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)Fe−Sタンパク質7,20キロダルトン(NADHコエンザイムQリダクターゼ)///NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)Fe−Sタンパク質7,20キロダルトン(NADHコエンザイムQリダクターゼ)(登録番号:Aff. ID 211752_s_at)
(C−32)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF0複合体,サブユニットb,イソフォーム1///ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF0複合体,サブユニットb,イソフォーム1(登録番号:Aff. ID 211755_s_at)
(C−33)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF1複合体,Oサブユニット(オリゴマイシン感受性付与タンパク質)(登録番号:Aff. ID 216954_x_at)
(C−34)ATPシンターゼ,水素輸送,ミトコンドリアF1複合体,εサブユニット(登録番号:Aff. ID 217801_at)
(C−35)ピロホスファターゼ(無機)(登録番号:Aff. ID 217848_s_at)
(C−36)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1,サブコンプレックス不明,2,14.5キロダルトン(登録番号:Aff. ID 218101_s_at)
(C−37)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1 αサブコンプレックス,8,19キロダルトン(登録番号:Aff. ID 218160_at)
(C−38)ユビキノール−チトクロームcリダクターゼ複合体(7.2キロダルトン)(登録番号:Aff. ID 218190_s_at)
(C−39)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1,βサブコンプレックス,2,8キロダルトン(登録番号:Aff. ID 218200_s_at)
(C−40)NADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1,βサブコンプレックス,4,15キロダルトン(登録番号:Aff. ID 218226_s_at)
(C−41)無機ピロホスファターゼ2(登録番号:Aff. ID 220741_s_at)及び
(C−42)KIAA1387タンパク質///KIAA1387タンパク質(登録番号:Aff. ID 224474_x_at)。
【請求項8】
2型糖尿病患者における治療効果の有無を判定する方法であって、
(A)被験糖尿病患者の治療開始前と治療開始後に採取したヒト白血球における特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルを得る工程、
(B)工程(A)で測定された治療開始前の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルと治療開始後の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルとを比較する工程、及び
(C)治療開始後の前記特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルが治療開始前の前記特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルと有意に異なり、糖尿病であることを示す発現プロファイルの特徴が消失又は低減した場合に治療効果があったと判定する工程
を含み、ここにおいて、前記特定の遺伝子又は遺伝子群は、下記(D−1)乃至(D−50)の遺伝子群に含まれていることを特徴とする方法:
(D−1)フォークヘッドボックスP1(登録番号:NM_016477)
(D−2)CD24抗原(小細胞肺癌クラスター4抗原)(登録番号:NM_013230)
(D−3)リボソームタンパク質L29(登録番号:NM_000992)
(D−4)真核細胞翻訳延長因子1Δ(グアニンヌクレオチド交換タンパク質)(登録番号:NM_032378)
(D−5)ELK3,ETS−ドメインタンパク質(SRF付属タンパク質2)(登録番号:NM_005230)
(D−6)核受容体サブファミリー3,C群,メンバー1(糖質コルチコイド受容体)(登録番号:NM_000176)
(D−7)ニューロテンシン受容体1(高親和性)(登録番号:NM_002531)
(D−8)内在性膜タンパク質2A(登録番号:NM_004867)
(D−9)真正小歯ホモログ2(Drosophila)(登録番号:NM_021728)
(D−10)エステラーゼ2A(登録番号:NM_033440)
(D−11)外部ミトコンドリア膜トランスロカーゼ22ホモログ(酵母)(登録番号:NM_020243)
(D−12)エンドスルフィンα(登録番号:NM_004436)
(D−13)CD226抗原(登録番号:NM_006566)
(D−14)一時受容体ポテンシャル陽イオンチャンネル,サブファミリーV,メンバー4(登録番号:NM_021625)
(D−15)ADP−リボシレーション因子相互作用タンパク質2(アーファプチン2)(登録番号:NM_012402)
(D−16)ブラジキニン受容体B2(登録番号:NM_000623)
(D−17)リボソームタンパク質S3(登録番号:NM_001005)
(D−18)コンタクチン関連タンパク質様2(登録番号:NM_014141)
(D−19)ミオシン,光ポリペプチドキナーゼ(登録番号:NM_005965)
(D−20)ジペプチダーゼ1(腎性)(登録番号:NM_004413)
(D−21)卵黄黄斑ジストロフィー(ベスト病,bestrophin)(登録番号:AF057170)
(D−22)ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド5(登録番号:NM_002985)
(D−23)1−アシルグリセロール−3−ホスフェート O−アシルトランスフェラーゼ1(リゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼα)(登録番号:NM_032741)
(D−24)ジンクフィンガータンパク質,サブファミリー1A,4(Eos)(登録番号:NM_022465)
(D−25)ベンゾジアゼピン受容体(周囲)(登録番号:NM_000714)
(D−26)KIAA0174遺伝子産物(登録番号:NM_014761)
(D−27)死亡率因子4様2(登録番号:NM_012286)
(D−28)セリン(又はシステイン)プロテイナーゼ阻害因子,クレードB(オボアルブミン),メンバー13(登録番号:NM_012397)
(D−29)IKサイトカイン,HLA IIのダウンレギュレーター(登録番号:AL050296)
(D−30)リポ多糖誘導TNF因子(登録番号:NM_004862)
(D−31)ARF結合タンパク質1含有ゴルジ関連γアダプチンイーヤ(登録番号:NM_013365)
(D−32)一時受容体ポテンシャル陽イオンチャンネル,サブファミリーM,メンバー5(登録番号:NM_014555)
(D−33)高移動性群ヌクレオソーム結合ドメイン1(登録番号:NM_004965)
(D−34)サイクリンT1(登録番号:NM_001240)
(D−35)v−maf筋腱膜繊維肉腫癌遺伝子ホモログ(鳥類)(登録番号:NM_005360)
(D−36)配列相同性18,メンバーBを伴うファミリー(登録番号:AF223467)
(D−37)DNA結合2の阻害因子,優性陰性ヘリックス−ループ−ヘリックスタンパク質(登録番号:NM_002166)
(D−38)TAF11 RNAポリメラーゼII,TATAボックス結合タンパク質(TBP)関連因子,28キロダルトン(登録番号:ENSG00000064995)
(D−39)カドヘリン11,2型,OB−カドヘリン(骨芽細胞)(登録番号:D21255)
(D−40)甲状腺ホルモン受容体,α(赤芽球症白血病ウイルス(v−erb−a)癌遺伝子ホモログ,鳥類)(登録番号:X55005)
(D−41)ジンクフィンガータンパク質160(登録番号:X78928)
(D−42)ホスフォリパーゼA2,X群(登録番号:ENSG00000069764)
(D−43)仮想タンパク質FLJ23120(登録番号:AK026773)
(D−44)ホスフォイノシチド−3−キナーゼ,クラス2,γポリペプチド(登録番号:AJ000008)
(D−45)仮想タンパク質IMAGE:4215339(登録番号:AC005328)
(D−46)カテプシンE(登録番号:AJ250716)
(D−47)ケモカイン(Cモチーフ)受容体1(登録番号:NM_005283)
(D−48)細胞分裂のデディケーター9(登録番号:ENSG00000088387)
(D−49)リングフィンガータンパク質39(登録番号:AF238317)及び
(D−50)クロモゾーム17オープンリーディングフレーム28(登録番号:AL137556)。
【請求項9】
2型糖尿病患者における治療効果の有無を判定する方法であって、
(A)被験糖尿病患者の治療開始前と治療開始後に採取したヒト白血球における特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルを得る工程、
(B)工程(A)で測定された治療開始前の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルと治療開始後の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルとを比較する工程、及び
(C)治療開始後の前記特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルが治療開始前の前記特定の遺伝子又は遺伝子群の発現プロファイルと有意に異なり、糖尿病であることを示す発現プロファイルの特徴が消失又は低減した場合に治療効果があったと判定する工程
を含み、ここにおいて、前記特定の遺伝子又は遺伝子群は、MAPキナーゼ・シグナリング・パスウェイ及びp38MAPKシグナリング・パスウェイに属する遺伝子群に含まれていることを特徴とする方法。
【請求項10】
MAPキナーゼ・シグナリング・パスウェイ及びp38MAPKシグナリング・パスウェイに属する遺伝子群が、BRB−ArrayTools(登録商標)においてこれらのパスウェイに属する下記82種の遺伝子群に含まれている、請求項9に記載の方法:
Aff. ID Nos. 209666_s_at、1554319_at、209341_s_at、1552631_a_at、1570439_at、211459_at、1559295_at、206106_at、203096_s_at、209951_s_at、203514_at、1570076_at、205027_s_at、202424_at、202670_at、203218_at、203084_at、202530_at、201763_s_at、201895_at、1555146_at、215075_s_at、201464_x_at、208403_x_at、1558984_at、206362_x_at、202431_s_at、1565772_at、1559052_s_at、1552263_at、207121_s_at、207292_s_at、210477_x_at、206040_s_at、204813_at、210058_at、207667_s_at、204756_at、205698_s_at、1557675_at、203379_at、1556340_at、203265_s_at、201469_s_at、204171_at、206853_s_at、218311_at、212871_at、1560720_at、1729_at、204632_at、203777_s_at、205192_at、209239_at、206044_s_at、204039_at、213926_s_at、204936_at、206943_at、1560868_s_at、203617_x_at、209189_at、212983_at、208328_s_at、203836_s_at、203552_at、1565130_at、1567457_at、206296_x_at、200887_s_at、203097_s_at、218205_s_at、218181_s_at、201502_s_at、1557970_s_at、204413_at、201460_at、212046_x_at、202787_s_at、204707_s_at、214786_at及び1553685_s_at。
【請求項11】
MAPキナーゼ・シグナリング・パスウェイ及びp38MAPKシグナリング・パスウェイに属する遺伝子群が、MAPPFinderにおいてこれらのパスウェイに属する下記(E−1)乃至(E−29)の遺伝子群に含まれている、請求項9に記載の方法:
(E−1)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ11(登録番号:Aff. ID 1558984_at)
(E−2)CREB結合タンパク質(ルビンシュタイン−タイビ症候群)(登録番号:Aff. ID 1559295_at)
(E−3)p21/Cdc42/Rac1活性化キナーゼ1(STE20ホモログ,酵母)(登録番号:Aff. ID 1565772_at)
(E−4)TNFRSF1A関連ビアデスドメイン(登録番号:Aff. ID 1729_at)
(E−5)転写1のシグナルトランスデユーサー及びアクチベーター,91キロダルトン(登録番号:Aff. ID 200887_s_at)
(E−6)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ活性化タンパク質キナーゼ2(登録番号:Aff. ID 201460_at)
(E−7)v−jun肉腫ウイルス17癌遺伝子ホモログ(鳥類)(登録番号:Aff. ID 201464_x_at)
(E−8)v−rafネズミ肉腫3611ウイルス性癌遺伝子ホモログ(登録番号:Aff. ID 201895_at)
(E−9)v−myc骨髄球腫症ウイルス性癌遺伝子ホモログ(鳥類)(登録番号:Aff. ID 202431_s_at)
(E−10)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ活性化タンパク質キナーゼ3(登録番号:Aff. ID 202787_s_at)
(E−11)変換成長因子,β1(カムラチ−エンゲルマン病)(登録番号:Aff. ID 203084_at)
(E−12)Rapグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)2(登録番号:Aff. ID 203097_s_at)
(E−13)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ4(登録番号:Aff. ID 203265_s_at)
(E−14)リボソームタンパク質S6キナーゼ,90キロダルトン,ポリペプチド1(登録番号:Aff. ID 203379_at)
(E−15)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ3(登録番号:Aff. ID 203514_at)
(E−16)ELK1,ETS癌遺伝子ファミリーのメンバー(登録番号:Aff. ID 203617_x_at)
(E−17)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ4(登録番号:Aff. ID 204707_s_at)
(E−18)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ10(登録番号:Aff. ID 204813_at)
(E−19)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ10(登録番号:Aff. ID 206362_x_at)
(E−20)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ7(登録番号:Aff. ID 207292_s_at)
(E−21)v−fosFBJネズミ骨肉腫ウイルス性癌遺伝子ホモログ(登録番号:Aff. ID 209189_at)
(E−22)B細胞中のΚ光ペプチド遺伝子増強剤の抑制剤,キナーゼβ(登録番号:Aff. ID 209341_s_at)
(E−23)マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ13(登録番号:Aff. ID 210058_at)
(E−24)v−Ha−rasハーベイラット肉腫ウイルス性癌遺伝子ホモログ(登録番号:Aff. ID 212983_at)
(E−25)成長因子受容体結合タンパク質2(登録番号:Aff. ID 215075_s_at)
(E−26)MAPキナーゼ相互作用セリン/トレオニンキナーゼ2(登録番号:Aff. ID 218205_s_at)
(E−27)高移動性群ヌクレオソーム結合ドメイン1(登録番号:Aff. ID 200943_at)
(E−28)DNA損傷誘導性転写3(登録番号:Aff. ID 209383_at)及び
(E−29)グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質),qポリペプチド(登録番号:Aff. ID 202615_at)。

【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−207354(P2009−207354A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284625(P2006−284625)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(501002172)株式会社DNAチップ研究所 (33)
【Fターム(参考)】