説明

糖尿病性ネフロパシーに関連する尿および血清のバイオマーカー

【課題】糖尿病性ネフロパシーに関する尿および血液のバイオマーカーを提供する。
【解決手段】尿および血液のバイオマーカーは、糖尿病性ネフロパシーの診断、糖尿病性ネフロパシーの病期診断、糖尿病性ネフロパシー進行のモニタリング、糖尿病性ネフロパシー治療効果の評価に用いられる。これらのバイオマーカーは、尿中α−2−HS−糖タンパク質前駆体、尿中α−1抗トリプシン、尿中α−1酸性糖タンパク質、尿中オステオポンチン、血清オステオポンチン、それらのフラグメント、およびそれらの組み合わせを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病性ネフロパシーに関連する尿および血清のバイオマーカーに関するものである。本願は、2009年1月28日に出願された米国仮出願No.61/147,778の優先権を主張するものであり、これらの内容は、本明細書中に参考として取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
糖尿病性ネフロパシー(DN)は、長期の糖尿病に伴う進行性の肝臓疾病である。それは、異常な流体ろ過を生じ、尿中アルブミンの排泄を増加させ、最終的には、腎臓障害を引き起こす。
【0003】
DNは、その早期の経過では無症状である。よって、この疾病を初期に検出することは困難である。事実、現在のDNの診断は、微量アルブミン尿の進行に基づくが、そのときはすでに腎臓傷害が発生している。早期の診断検査がないことは、早期DNの効果的な治療を阻止している。
【0004】
よって、早期DNを診断するのに有用な信頼性のあるバイオマーカーを同定することが非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するため、糖尿病性ネフロパシーに関連する尿および血清のバイオマーカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、数個の尿と血清タンパク質とそれらのフラグメントは、単独でも、組み合わせても、DNを患わない被検者と比較して、DN患者中で異なって存在するとの予期せぬ発見に基づくものである。よって、これらのタンパク質分子は、早期DNを診断する有効なマーカーである。
【0007】
よって、本発明の一態様は、被検者中のDNを診断する方法である。本方法は、(i)DNを有することが疑われる被検者中のバイオマーカーのレベルを決定するステップと、(ii)バイオマーカーのレベルに基づいて、被検者がDNを有するかどうか評価するステップと、の少なくとも二つのステップを含む。DNを患わない被検者と比較して、バイオマーカーのレベルの増加は、被検者がDNを有することを示す。
【0008】
この診断法で用いられるバイオマーカーは、以下でリストされる4個のタンパク質分子の一つである:
(i)第一の尿タンパク質分子は、α−2−HS−糖タンパク質前駆体、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するフラグメント、例えば、成熟したα−2−HS−糖タンパク質、VVSLGSPSGEVSHPRKT(配列番号1)、またはMGVVSLGSPSGEVSHPRKT(配列番号2)である;
(ii)第二の尿タンパク質分子は、α−1抗トリプシン、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するフラグメント、例えば、KGKWERPFEVKDTEEEDF(配列番号3);MIEQNTKSPLFMGKVVNPTQK(配列番号4),EDPQGDAAQKTDTSHHDQDHPTFNKITPNLAE(配列番号5)、またはEDPQGDAAQKTDTSHHDQDHPTFNKITPNLAEFA(配列番号6)である。
(iii)第三の尿タンパク質分子は、少なくとも10個のアミノ酸残基を有するα−1酸性糖タンパク質のフラグメント、例えば、 GQEHFAHLLILRDTKTYMLAFDVNDEKNWGLS(配列番号7)である。
(iv)血清タンパク質分子は、オステオポンチン、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するフラグメント、例えば、YPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQNAVSSEETNDFKQETLPSK(配列番号8)、またはKYPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQTLPSK(配列番号9)である。
【0009】
上述の診断法は更に、評価ステップの後、バイオマーカーレベルとDNの状態(即ち、早期か末期か)を関連付けるステップを含む。バイオマーカーがタンパク質分子(i)、または(iv)のとき、DNを患わない被検者に比較して、そのレベルの増加は、末期のDNを示す。タンパク質分子(ii)、または(iii)のバイオマーカーについては、早期と末期DNを示す所定の参照バイオマーカーレベルと比較し、そのレベルはDNの状態を示す。
【0010】
別の態様において、本発明の特徴は、被検者(例えば、ヒト患者、または実験動物)のDN治療の有効性を評価する方法にある。本方法は、被検者の治療前と治療後の(i)、(ii)、(iii)、または(iv)のタンパク質分子のレベルを決定し、治療後のバイオマーカーのレベルの変化に基づいて、治療の効果を評価するステップを含む。治療前のバイオマーカーのレベルと比較して、バイオマーカーの治療後のレベルが同じか、または低下する場合、その治療が効果的であることを示す。
【0011】
更に別の態様において、本発明の特徴は、DNのステージを決定する方法にあり、少なくとも四つのステップ、(i)糖尿病性ネフロパシーを患ったと疑われる被検者から、尿サンプル、および選択的に血清サンプルを得るステップと、(ii)前の段落でリストされるバイオマーカーの一つのレベルを決定するステップと、(iii)バイオマーカーのレベルに基づいて、疾患スコアを計算するステップと、(iv)疾患スコアに基づいて、種々の糖尿病性ネフロパシーのステージを示す所定のカットオフ値と比較して、被検者の糖尿病性ネフロパシーのステージを評価するステップと、を含む。この方法において、上記の計算ステップは、リッジ回帰分析、因子分析、判別関数分析、およびロジスティック回帰分析により実行される。
【0012】
上述のDN病期診断方法に用いられるバイオマーカーは、以下の五種のタンパク質分子の少なくとも二つからなる:前述の(i)−(iv)タンパク質分子、および尿中オステオポンチン、またはそのフラグメントであるタンパク質分子(v)である。一つの例において、バイオマーカーは、五種のタンパク質分子の全てからなる。別の例において、(i)−(iii)と(v)タンパク質分子の少なくとも二つからなる。
【0013】
或いは、バイオマーカーは、上述の5種のタンパク質分子の少なくとも二種と、一つ、またはそれ以上の臨床学的因子、例えば、年齢、性別、HbA1c、アルブミン/クレアチニン比(ACR)、糸球体ろ過量(GFR)からなる。
【0014】
更に別の態様において、本発明は、上述した任意のバイオマーカーのレベルに基づいてDNの進行をモニタリングする方法を提供する。本方法は、2週間から12ヶ月の期間(例えば2−24週、または3−12ヶ月)、DNを有することが疑われる被検者から、二つの尿サンプル、および選択的に二つの血清サンプルを得るステップと、バイオマーカーの一つのレベルを決定するステップと、バイオマーカーレベルに基づいて、疾患スコアを計算するステップと、疾患スコアに基づいて、被検者のDNの進行を評価するステップと、からなる。後に得られたサンプルの疾患スコアが、先に得られたサンプルより高いとき、DNの悪化を示す。
【0015】
上述のバイオマーカーもまた、DN治療の効果の評価に用いることができる。バイオマーカーの一つの治療後のレベルが、同じバイオマーカーの治療前のレベルと比較して変化しないか、または低下する場合、この治療は効果的である。
【0016】
本発明は更に、上述の方法で使用される任意のキットを提供する。このキットは、種々の抗原特異性を有する2、3、または4種類の抗体を含む。これらの各抗体は、(i)α−2−HS−糖タンパク質、(ii)α−1抗トリプシン、(iii)α−1酸性糖タンパク質、および(iv)オステオポンチンの一つと結合することができる。一つの例において、このキットは、ここに記載した方法の一つを実施するための、検出用抗原(例えば、DNに関連するバイオマーカー)に特異的な抗体のみを含む。すなわち、キットは、基本的に、このような抗体からなる。
【0017】
本発明の範囲にはまた、以下のペプチドの一つに特異的に結合する分離した抗体を含む:
MGVVSLGSPSGEVSHPRKT(配列番号2)、
KGKWERPFEVKDTEEEDF(配列番号3)、
MIEQNTKSPLFMGKVVNPTQK(配列番号4)、
EDPQGDAAQKTDTSHHDQDHPTFNKITPNLAEFA(配列番号6)、
GQEHFAHLLILRDTKTYMLADVNDEKNWGLS(配列番号7)、
YPDAVATWLNPDPSQKQ NLLAPQNAVSSEETNDFKQETLPSK(配列番号8)、および
KYPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQTLPSK(配列番号9)。
【0018】
ここに用いられる「分離した抗体」の用語は、実質的に、天然に存在する分子を含まない抗体を意味する。より具体的には、その抗体を含む調製物であって、当該調製物中の天然に存在する分子が最大で、乾燥重量の20%を占めるとき、「分離した抗体」とみなされる。純度は、適切な方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、およびHPLCで測定することができる。
【0019】
上述のいかなる抗体も、本発明の方法を実行するのに有用なキットの作製に用いることができる。
【0020】
以下、本発明の一またはそれ以上の実施形態の詳細を詳述する。本発明の他の特徴または利点は、以下の図および幾つかの実施形態の詳細な説明、更にはまた、添付の特許請求の範囲から明らかである。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、糖尿病性ネフロパシーに関連する尿および血清のバイオマーカーを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】図1Aは、DN患者の様々な群中の尿中α−2−HS−糖タンパク質(uDN2)のボックスプロットを示す図である。図1A〜図1Dにおいて、ボックスの上端と下端は、ボックス中の横線である中央値に対する25%値と75%値を示す。上の点線は、上のフェンス以下の最大値であり、75%値に1.5四分位範囲を加えた最大値を示しており、下の点線は、下のフェンス以上の最小値であり、25%値から1.5四分位範囲を引いた最小値を示す。
【図1B】図1Bは、DN患者の様々な群中の尿中α−1抗トリプシン(uDN5)のボックスプロットを示す図である。
【図1C】図1Cは、DN患者の様々な群中の尿中α−1酸性糖タンパク質(uGR3)のボックスプロットを示す図である。
【図1D】図1Dは、DN患者の様々な群中の血清オステオポンチン(sDNO)のボックスプロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
DNは、糖尿病に関連する腎臓疾患である。それは、5個の進行段階を有する:
ステージ1:特徴は、正常なGFRと正常なアルブミン尿(ACR<30mg/g)の糖尿病;
ステージ2:特徴は、糸球体過剰ろ過(120mL/分/1.73m2より大きい)、および正常なGFRと正常なアルブミン尿(ACR<30mg/g)を伴う腎腫大;
ステージ3:特徴は、微量アルブミン尿;
ステージ4:特徴は、顕在的アルブミン尿、およびGFRの進行性低下;および
ステージ5:特徴は、15mL/分/1.73m2より低いGFR。
一般に、ステージ1−3は早期とみなされ、ステージ4と5は末期とみなされる。
【0024】
本発明らは、DN、特に、様々なステージのDNと関連する複数のバイオマーカーを同定した。これらのバイオマーカーは、尿中、または血清中のいずれにおいても、以下の四種のタンパク質、およびそれらのフラグメントの一つ、またはそれ以上からなる:(a)α−2−HS−糖タンパク質(GenBank accession no.NP_001613;10−Jan−2010);(b)α−1−抗トリプシン(GenBank accession no.AAB59495;10−Jan−2010);(c)α−1酸性糖タンパク質(GenBank accession no.EAW87416;10−Jan−2010);および(d)分泌型リンタンパク質1a(GenBank accession no.NP_001035147;17−Jan−2010)、および分泌型リンタンパク質1b(GenBank accession no.NP_000573;10−Jan−2010,)として知られている二個のアイソフォームを含むオステオポンチンである。
【0025】
これらの4種のタンパク質のフラグメントは、最小長さで10個のアミノ酸を有し、好ましくは、最大長さで190〜410個のアミノ酸である。例えば、タンパク質(a)、(b)、(c)、および(d)のフラグメントは、それぞれ、357、408、191、および290個のアミノ酸残基を含む。
【0026】
本発明者らはまた、上述のタンパク質/フラグメントの一つ、またはそれ以上からなるバイオマーカー、並びに一つまたはそれ以上の臨床学的因子(例えば、年齢、性別、HbA1c、ACR、およびGFR)は異なるステージのDNに関係することを見出した。
【0027】
よって、本発明の一態様は、上述した任意のバイオマーカーを用いるDNの診断法に関連する。本方法を実施するため、DNを有することが疑われる被検者から、尿サンプルを採集し、必要時、血清サンプルを採集し、常法、例えば、質量分析と免疫分析により、上述の4種のタンパク質またはそれらのフラグメントの一つまたはそれ以上の、尿と血清レベルが決定される。必要であれば、常法により臨床学的因子も決定される。
【0028】
バイオマーカーが一つのタンパク質分子を含むとき、被検者のそのレベルを基準点と比較し、被検者がDNを有するか決定する。DNを患わない被検者中の同じバイオマーカーのレベルを示す基準点は、DN患者とDNを患わない被検者の群のバイオマーカーの代表レベルに基づいて決定される。例えば、それはこれらの二群の平均レベルの中間点であり得る。基準点より高いバイオマーカーレベルは、DNを示す。
【0029】
バイオマーカーが、少なくとも二つのタンパク質分子、および選択的に少なくとも一つの臨床学的因子を含むとき、タンパク質分子のレベルと臨床学的因子の値は、適切な分析により、バイオマーカーのレベルを特徴とする疾患スコア(例えば、数字で表示される)を生成することができる。この分析の例は、これらに限定されないが、判別関数分析、ロジスティック回帰分析、リッジ回帰分析、主成分分析、因子分析、および一般化線形モデルを含む。次に、疾患スコアを、DNを患わない被検者中の同じバイオマーカーのレベルを示す基準点と比較する。この基準点は、公知の方法により決定され得る。例えば、それは、タンパク質分子の平均レベルを分析することにより得られるスコアで、必要時、同じ分析により、DNを患わない被検者中の臨床学的因子の平均値により得られる。基準点より高い疾患スコアは、DNの存在を示す。
【0030】
本発明の別の態様は、上述した任意のバイオマーカーに基づいたDNステージの決定方法に関する。本方法を実施するため、好ましくは、疾患スコアにより表示されるDN患者のバイオマーカーレベルを、異なるDNステージを区分する一組の所定のカットオフ値と比較し、被検者のDNのステージを決定する。このカットオフ値は、同じ分析により、異なるステージのDN患者の同じバイオマーカーの代表レベルを分析することにより判断される。
【0031】
以下の記述は、異なるステージのDNに関連するバイオマーカーに基づいて、上述のカットオフ値を決定する工程の例である。
【0032】
(1)それらの疾病状況(例えば、DNのステージおよび危険因子)に従って、DN患者を異なる群に分ける;
(2)各患者群中、バイオマーカーを構成するタンパク質分子と臨床学的因子のレベル/値を決定する。
(4)タンパク質レベルと臨床学的因子の値に適切な分析を行い、疾患スコアを計算するモデル(例えば、公式)を構築する。
(6)各患者群を示す疾患スコア(例えば、平均値)とその他の関連要因、例えば、感度、特異性、陽性予測値(PPV)と陰性予測率(NPV)に基づいて、各疾病のステージのカットオフ値を決定する。
【0033】
このようにして得られる任意のモデルは、受信者動作特性(ROC)分析によりROC曲線を生成し、その診断値を評価することができる。任意の多変数モデルは、ROC分析で、大きい濃度曲線下面積(AUC)を提供する。このモデルとして、以下の例1−3を参照する。
【0034】
更に別の態様において、本発明は、上述した任意のバイオマーカーに基づいて被検者のネフロパシーの進行をモニタリングする方法に関する。より具体的には、被検者からの二つの尿サンプル、および/または血清サンプルを、適切な期間(例えば、2週〜12ヶ月)で得て検査し、バイオマーカーの一つのレベルを決定することができる。次に、上述のように、疾患スコアを決定する。後で得られたサンプル中、バイオマーカーのレベルを示す疾患スコアが、先に得られたサンプルより低い場合、それは被検者のDNの悪化を示す。
【0035】
モニタリング方法は、DNを患うヒト被検者、またはDNのリスク者に応用することができる。被検者がDNのリスク者、または早期DNにあるとき、バイオマーカーのレベルは6〜12ヶ月ごとに一回検査し、DNの進行をモニタリングする。被検者がすでに末期DNのとき、好ましくは3〜6ヶ月ごとに一回、バイオマーカーのレベルを検査する。
【0036】
上述のモニタリング方法はまた、DNを研究するため、以下に記載の一般方法に基づいて実験動物に応用することができる。ここに用いられる「実験動物」の用語は通常、動物試験に用いられる脊椎動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、猫、犬、豚、およびヒト以外の霊長類である。好ましくは、2〜24週毎に一回、実験動物を検査し、バイオマーカーのレベルを決定する。
【0037】
任意のバイオマーカーはまた、必要に応じて、被検者の(即ち、ヒトのDN患者、またはDNを患う実験動物)のDN治療の有効性を評価するのに用いることができる。この方法において、治療前、治療中、および治療後、上述のバイオマーカーの一つのレベルを示す疾患スコアが決定される。治療の過程において、疾患スコアが、同じまま維持されるか、または低下する場合、この治療が効果的であることを示す。
【0038】
ここではまた、上述した任意の方法を実施するのに有効なキットも開示される。このキットは、異なる抗原特異性を有する、2、3、または4種類の抗体を含む。これらの各抗体は、(i)α−2−HS−糖タンパク質、(ii)α−1抗トリプシン、(iii)α−1酸性糖タンパク質、または(iv)オステオポンチンの一つと結合することができる。タンパク質(i)、(ii)、(iii)、および(iv)に特異的な抗体は、それらのフラグメントであるMGVVSLGSPSGEVSHPRKT(配列番号2)、KGKWERPFEVKDTEEEDF(配列番号3)、MIEQNTKSPLFMGKVVNPTQK(配列番号4)、EDPQGDAAQKTDTSHHDQDHPTFNKITPNLAEFA(配列番号6)、GQEHFAHLLILRDTKTYMLADVNDEKNWGLS (配列番号7)、YPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQNAVSSEETNDFKQETLPSK(配列番号8)、およびKYPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQTLPSK(配列番号9)に結合することができ、即ち、これらのフラグメントに含まれるすべての抗体のエピトープに特異的である。一つの例において、このキットは、ここに記載された方法の一つを実施するための検出用抗原(例えば、DNに関連するタンパク質分子)に特異的な抗体だけを含む。よって、このキットは基本的に、このような抗体からなる。
【0039】
上述のキットは、同じ抗原に結合される二つの異なる抗体(コーティング抗体と検出抗体)を含み得る。通常、検出抗体は、それ自身により、または他の試薬への結合を介して、検出可能な信号を発光する分子に抱合される。ここに用いられる「抗体」の用語は、全免疫グロブリン、またはそのフラグメント、例えば、抗原−結合活性を保留するFab、またはF(ab’)2である。抗体は自然発生するか、または遺伝子操作(例えば、一本鎖抗体、キメラ抗体、またはヒト化抗体)で生成され得る。
【0040】
本発明のキットに含まれる抗体は、民間のベンダーから入手することができる。あるいは、または公知の方法により調製することができる。例えば、Harlow and Lane,(1988)抗体:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New Yorkを参照。上記のリストされた特定のバイオマーカーに対する抗体を作製するため、任意でキャリアタンパク質(例えば、KLH)に結合されるマーカーをアジュバントと混合し、宿主動物に注射することができる。次に、動物内で生成される抗体をアフィニティクロマトグラフィーによって精製することができる。一般的に使用される宿主動物は、ウサギ、マウス、モルモット、およびラット等を含む。免疫反応を増加するのに用いられる様々なアジュバントは、宿主動物種に基づいて選択することができ、フロインドアジュバント(完全、または不完全)、ゲル状鉱物、例えば、水酸化アルミニウム、CpG、表面活性剤、例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、多価陰イオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、およびジニトロフェノールを含む。有用なヒトアジュバントは、BCG(カルメット・ゲラン桿菌(bacille Calmette−Guerin))およびコリネバクテリウム−パルヴムを含む。ポリクローナル抗体、即ち、抗体分子の不均一集団は、免疫動物の血清中に存在する。
【0041】
モノクローナル抗体、即ち、抗体分子の均質集団は、標準のハイブリドーマ技術(例えば、Kohler et al.(1975)Nature 256,495;Kohler et al.(1976)Eur.J. Immunol.6,511;Kohler et al.(1976) Eur J Immunol 6,292;and Hammerling et al.(1981)モノクローナル抗体とT細胞ハイブリドーマ,Elsevier,N.Y.)を用いて調製され得る。特にモノクローナル抗体は、培養下の連続細胞株により、抗体分子の生成を提供する任意の技術により得られ、例えば、Kohler et al.(1975) Nature 256,495、および米国特許番号第4,376,110;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosbor et al.(1983)Immunol Today 4, 72;Cole et al.(1983)Proc. Natl.Acad.Sci.USA 80,2026、およびEBVハイブリドーマ技術(Cole et al.(1983)モノクローナル抗体と癌治療,Alan R.Liss,Inc.,pp.77−96)などに記載されている。このような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgD、およびそれらのサブクラスを含む免疫グロブリンクラスであり得る。本発明のモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマは、体内、または体外で培養され得る。体内で、モノクローナル抗体の高力価を生成する能力により、特に効果的な生産方法となる。
【0042】
更に抗体フラグメントは、既知の技術により生成することができる。例えば、このようなフラグメントは、これに限定されないが、抗体分子のペプシン消化により生成されるF(ab’)2フラグメント、およびF(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を減少させることにより生成されるFabフラグメントを含む。
【0043】
更なる説明はないが、当業者なら、前述の説明に基づいて、本発明を最大限に利用することができる。よって、以下の特定の実施形態は、単なる説明とみなされ、いかなる方式でも、本発明の開示を制限しない。ここに記載された全ての公開情報は参照されて組み込まれる。
【0044】
例1:尿中α−2−HS−糖タンパク質、尿中α−1抗トリプシン、尿中α−1酸性糖タンパク質、または血清オステオポンチンに基づくDNの診断
【0045】
材料および方法
(i)被検者
台湾台北市の三軍総医院(Tri−General Military Hospital)で、83人の糖尿病患者(「DM被検者」と称される)、および82人のDN患者(「DN被検者」と称される)が募集されたが、これは、米国糖尿病協会に基づいて設立された下記基準によるものである:
DM:糖尿病を患っているが、DNを有していない(基準は以下のとおり);
DN:糖尿病を患い、尿タンパク質の分泌濃度が一日当たり1gより高く、生検により、DNまたは尿毒症が確定される。
【0046】
全被検者を、7:3の比率で訓練群とテスト群に分けた。
【0047】
(ii)サンプルの収集と処理
上述の各被検者から、朝一番に排出された尿サンプルと血清サンプルを採集した。尿サンプルに含まれるペプチドは、尿のマトリクス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析装置(MALDI−TOF−MS)、およびiTRAQ(isobaric tags for relative and absolute quantification)により測定した。
【0048】
α−2−HS−糖タンパク質(DN2)、α−1抗トリプシン(DN5)、オステオポンチン(DNO)、およびα−1酸性糖タンパク質(GR3)を含むタンパク質分子は、ELISAにより、尿中と血清サンプル中の濃度を測定するために調べた。具体的には、尿サンプルをプロテアーゼ阻害剤と混合し、希釈バッファで1:100に希釈し、血清サンプルを1:10に希釈した。希釈した検体は、ELISAプレートで三回実験した。DNO、DN2、DN5、およびGR3の濃度レベルは、標準のサンドイッチELIS方法により測定した。
【0049】
濃度計算には5−パラメータ標準曲線を用いた。%CVが15以下の標準品とサンプルだけが含まれ、基準に符合しないものは、上述のステップを繰り返した。尿サンプル中のタンパク質レベルは、同じ尿サンプル中、クレアチニンレベルで規格化され、Quantichromクレアチニンアッセイ(バイオアッセイシステム,(Hayward)California,USA)により測定した。
【0050】
(iii)統計分析
検査した各タンパク質の尿と血清タンパク質濃度のデータを統計分析し、DN被検者とDM被検者を区別する独自の能力を示すのにauROC範囲0.44−0.87で表した。各被検者に対する、数値の相関関係は、常態テストの結果に基づき、SpearmanやPearson分析により決定した。群の平均または中央値の比較は、Student T−test、またはNonparametric Mann−Whitney Testにより適切に行った。p<0.05のとき、統計的有意性が得られた。統計は、平均値±標準誤差(SEM)、または[25%,75%]を伴う中央値で示した。
【0051】
結果
(i)患者の特徴
下記の表1と表2に、訓練群とテスト群中の患者の特徴、およびDM群とDN群の患者の特徴を示す。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
DN被検者とDM被検者の間で、GFR、ACR、タンパク質、および血清クレアチニンレベルに統計的有意差が観察された。群の間で性別分布の差はなかった。
【0055】
(ii)DNに関連するタンパク質分子
尿中プロテオーム分析により、以下の表3でリストされるペプチドは、DM被検者とDN被検者からの尿サンプルで異なって存在することが分かった。
【0056】
【表3】

【0057】
ELISA分析により、3つの尿タンパク質分子、即ち、uDN2、uGR3、およびuDN5と、一つの血清タンパク質分子、即ち、sDNOは、DNと関連することが発見された。図1のA−Dおよび表2を参照。より具体的には、DM(DNを患わない者)と比較して、DN被検者中のuDN2、uDN5、uGR3、およびsDNOのレベルが増加することが見出されたが、これは、これらが信頼性のあるDNマーカーであることを示す。更に、マクロアルブミン尿(ACR>300mg/g)を有するDN被検者中のuDN5とuGR3のレベルは、微量アルブミン尿(ACR30mg/g〜300mg/g)を示すDN被検者より高かった。マクロアルブミン尿は末期DNの指標であり、微量アルブミン尿は早期DNの指標である。
【0058】
例2:uDN2、uDN5、uGR3、uDNO、およびsDNOの組み合わせに基づいたDNの病期診断
二つのタンパク質モデル
DM被検者とDN被検者中のuDN2、uDN5、uGR3、uDNO、およびsDNOの二つの組み合わせレベルに対し、判別関数分析、ロジスティック回帰分析、およびリッジ回帰分析を行った。これらの研究で得られた結果は、五種のタンパク質、またはそれらのフラグメントの任意の二つの組み合わせが、DNのステージを決定する信頼できるマーカーとして利用できることを示している。
【0059】
以下に、二つのタンパク質モデル、即ち、uDN5とuGR3であって、これらの二つのタンパク質分子の組み合わせレベルに基づいて疾患スコアを計算する式の例を示す。以下の表(即ち、表4−9)に、この二つのタンパク質モデルのカットオフ値、感度、特異性、陽性予測値(PPV)、および陰性予測率(NPV)、並びにROC曲線下の面積(AUROC)をリストする。
【0060】
判別関数分析:
疾患スコア=0.3303×log2[uDN5](ng/mg)+0.2732×log2[uGR3](ng/mg)+5
【0061】
【表4】

【0062】
【表5】

【0063】
ロジスティック回帰分析:
疾患スコア=exp(Logit_value)/(1+exp(Logit_value))
ここで、Logit_value=−12.5332+0.7197×log2[uDN5](ng/mg)+0.4941×log2[uGR3](ng/mg)
【0064】
【表6】

【0065】
【表7】

【0066】
リッジ回帰分析:
疾患スコア=−1.7697+0.1520×log2[uDN5](ng/mg)+0.2254×log2[uGR3](ng/mg)
【0067】
【表8】

【0068】
【表9】

【0069】
3種のタンパク質モデル
DM被検者とDN被検者中のuDN2、uDN5、uGR3、uDNO、およびsDNOの三つの組み合わせレベルに対し、判別関数分析、ロジスティック回帰分析、因子分析、およびリッジ回帰分析を行なった。この結果は、三つのタンパク質の任意の組み合わせが、DNの病期診断の信頼できるマーカーとして用いることができることを示す。
【0070】
以下に、三つのタンパク質モデル、即ち、uDN2、uDN5、およびuGR3であって、これらの三つのタンパク質分子の組み合わせレベルに基づいて疾患スコアを計算する式の例を示す。以下の表(即ち、表10−17)に、この三つのタンパク質モデルのカットオフ値、感度、特異性、PPV、NPV、およびAUROCをリストする。
【0071】
判別関数分析
疾患スコア=0.3340×log2[uDN5](ng/mg)−0.0142×log2[uDN2](ng/mg)+0.2784×log2[uGR3](ng/mg)+5
【0072】
【表10】

【0073】
【表11】

【0074】
関数分析
疾患スコア=0.9190×log2[uDN5](ng/mg)+0.6997×log2[uDN2](ng/mg)+0.9003×log2[uGR3](ng/mg)
【0075】
【表12】

【0076】
【表13】

【0077】
ロジスティック回帰分析:
疾患スコア=exp(Logit_value)/(1+exp(Logit_value)
ここで、Logit_value=−11.2820+0.8810×log2[uDN5](ng/mg)−0.3478×log2[uDN2](ng/mg)+0.5576×log2[uGR3](ng/mg)
【0078】
【表14】

【0079】
【表15】

リッジ回帰分析:
疾患スコア=−1.2900+0.1800×log2[uDN5](ng/mg)−0.1013×log2[uDN2](ng/mg)+0.2505×log2[uGR3](ng/mg)
【0080】
【表16】

【0081】
【表17】

【0082】
4つのタンパク質モデル
DM被検者とDN被検者中のuDN2、uDN5、uGR3、uDNO、およびsDNOの4つの組み合わせレベルに対し、判別関数分析、ロジスティック回帰分析、因子分析、およびリッジ回帰分析を行なった。この結果は、五種のタンパク質、またはそれらのフラグメントの任意の四つの組み合わせが、DNステージを判断する信頼性のあるマーカーとして利用できることを示す。
【0083】
以下に、uDN2、uDN5、uGR3、およびsDNOの四つのタンパク質モデルであって、これらの四つのタンパク質分子の組み合わせレベルに基づいて疾患スコアを計算する式の例を示す。以下の表(即ち、表18−25)に、この四つのタンパク質モデルのカットオフ値、感度、特異性、PPVs、NPVs、およびAUROCをリストする。
【0084】
判別関数分析:
疾患スコア=0.2972×log[uDN5](ng/mg)+0.0159×log2[uDN2](ng/mg)+0.2014×log2[uGR3](ng/mg)+0.5688×log2[sDNO](ng/ml)+5
【0085】
【表18】

【0086】
【表19】

【0087】
因子分析:
疾患スコア=0.9132×log2[uDN5](ng/mg)+0.6950×log2[uDN2](ng/mg)+0.9080×log2[uGR3](ng/mg)+0.4549×log2[sDNO](ng/ml)
【0088】
【表20】

【0089】
【表21】

【0090】
ロジスティック回帰分析:
疾患スコア=exp(Logit_value)/(1+exp(Logit_value))、
ここで、Logit_value=−13.7529+0.9460×log2[uDN5](ng/mg)−0.3110×log2[uDN2](ng/mg)+0.4957×log2[uGR3](ng/mg)+0.4787×log2[sDNO](ng/ml)
【0091】
【表22】

【0092】
【表23】

【0093】
リッジ回帰分析:
疾患スコア=−1.7588+0.1729×log2[uDN5](ng/mg)−0.0971×log2[uDN2](ng/mg)+0.2381×log2[uGR3](ng/mg)+0.1312×log2[sDNO](ng/ml)
【0094】
【表24】

【0095】
【表25】

【0096】
5つのタンパク質モデル
DM被検者とDN被検者中のuDN2、uDN5、uGR3、uDNO、およびsDNOの組み合わせレベルに対し、判別関数分析、ロジスティック回帰分析、因子分析、およびリッジ回帰分析を行なった。この結果は、これらの5つのタンパク質、またはそれらのフラグメントの組み合わせが、DNのステージを判断する信頼できるマーカーとして利用できることを示す。
【0097】
以下に、これらの5つのタンパク質分子の組み合わせレベルに基づいて疾患スコアを計算する式を示すと共に、表(即ち、表26−33)に、この5タンパク質モデルのカットオフ値、感度、特異性、NPVs、PPVs、およびAUROCをリストする。
【0098】
判別関数分析:
疾患スコア=0.2780×log2[uDN5](ng/mg)+0.0231×log2[uDN2](ng/mg)+0.2236×log2[uGR3](ng/mg)+0.6043×log2[sDNO](ng/ml)−0.1513×log2[uDNO](ng/mg)+5
【0099】
【表26】

【0100】
【表27】

【0101】
因子分析:
疾患スコア=0.9117×log2[uDN5](ng/mg)+0.6949×log2[uDN2](ng/mg)+0.9095×log2[uGR3](ng/mg)+0.4554×log2[sDNO](ng/ml)+0.0384×log2[uDNO](ng/mg)
【0102】
【表28】

【0103】
【表29】

【0104】
ロジスティック回帰分析:
疾患スコア=exp(Logit_value)/(1+exp(Logit_value))、
ここで、Logit_value=−11.4318+0.8188×log2[uDN5](ng/mg)−0.5376×log2[uDN2](ng/mg)+0.7561×log2[uGR3](ng/mg)+0.3940×log2[sDNO](ng/ml)−0.1741×log2[uDNO](ng/mg)
【0105】
【表30】

【0106】
【表31】

【0107】
リッジ回帰分析:
疾患スコア=−1.3112+0.1648×log2[uDN5](ng/mg)−0.0968×log2[uDN2](ng/mg)+0.2468×log2[uGR3](ng/mg)+0.1426×log2[sDNO](ng/ml)−0.0552×log2[uDNO](ng/mg)
【0108】
【表32】

【0109】
【表33】

【0110】
例3:uDN2、uDN5、uGR3、および年齢の組み合わせに基づくDNの病期診断
以下に、3つのタンパク質分子、即ち、uDN2、uDN5、およびuGR3と、臨床学的因子、即ち、年齢からなるバイオマーカーのレベルに基づいて判別関数分析、因子分析、ロジスティック回帰分析、およびリッジ回帰分析により決定される疾患スコアを計算する式を示す。また、以下の表(即ち、表34−41)に、このモデルのカットオフ値、感度、特異性、PPVs、NPVs、およびAUROCをリストする。
【0111】
判別関数分析:
疾患スコア=0.3342×log2[uDN5](ng/mg)−0.0201×log2[uDN2](ng/mg)+0.2826×log2[uGR3](ng/mg)+0.0059×年齢(歳)+5
【0112】
【表34】

【0113】
【表35】

【0114】
因子分析:
疾患スコア=0.9184×log2[uDN5](ng/mg)+0.7006×log2[uDN2](ng/mg)+0.9005×log2[uGR3](ng/mg)+0.1863×年齢(歳)
【0115】
【表36】

【0116】
【表37】

【0117】
ロジスティック回帰分析:
疾患スコア=exp(Logit_value)/(1+exp(Logit_value))、
ここで、Logit_value=−15.9748+0.8688×log2[uDN5](ng/mg)−0.4966×log2[uDN2](ng/mg)+0.6436×log2[uGR3](ng/mg)+0.0879×年齢(歳)
【0118】
【表38】

【0119】
【表39】

【0120】
リッジ回帰分析:
疾患スコア=−2.1690+0.1771×log2[uDN5](ng/mg)−0.1074×log2[uDN2](ng/mg)+0.2474×log2[uGR3](ng/mg)+0.0168×年齢(歳)
【0121】
【表40】

【0122】
【表41】

【0123】
別の実施形態
本明細書で開示される全ての特徴は、任意の組み合わせで組み合わせても良い。本明細書で開示される各特徴は、同等、等価、または類似の目的により代替することができる。よって、明確な説明がない限り、開示される全特徴は、単に相同または類似の特徴による一般的な例である。
【0124】
上記の記載から、当業者であれば、本発明の必須の特徴を容易に確定することができ、本発明の精神および範囲を逸脱することなしに、種々の使用および状態に適合できるように本発明の種々の変更および改変を行なうことができる。従って、他の実施形態もまた、特許請求の範囲の範囲内に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の糖尿病性ネフロパシーを診断する方法であって、
糖尿病性ネフロパシーを患ったと疑われる被検者のバイオマーカーのレベルを決定するステップであって、前記バイオマーカーレベルは、
(i)α−2−HS−糖タンパク質前駆体、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するそのフラグメントである第一の尿タンパク質分子、
(ii)α−1抗トリプシン、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するそのフラグメントである第二の尿タンパク質分子、
(iii)少なくとも10個のアミノ酸残基を有するα−1酸性糖タンパク質のフラグメントである第三の尿タンパク質分子、
(iv)オステオポンチン、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するそのフラグメントである血清タンパク質分子、よりなる群から選択されるステップと;
前記バイオマーカーのレベルに基づいて、前記被検者が糖尿病性ネフロパシーを患ったか評価するステップと;
からなり、
糖尿病性ネフロパシーを患わない被検者と比較して、前記バイオマーカーのレベルが増加するとき、前記被検者は糖尿病性ネフロパシーを患っていることを示すことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記バイオマーカーは、前記第一の尿タンパク質分子である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記α−2−HS−糖タンパク質前駆体のフラグメントは、成熟したα−2−HS−糖タンパク質、VVSLGSPSGEVSHPRKT(配列番号1)、またはMGVVSLGSPSGEVSHPRKT(配列番号2)である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記評価ステップの後、前記バイオマーカーのレベルと糖尿病性ネフロパシーの状態を関連付けるステップを更に含み、糖尿病性ネフロパシーを患わない被検者と比較して、前記バイオマーカーのレベルが増加するとき、前記被検者が末期の糖尿病性ネフロパシーであることを示す請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記バイオマーカーは、前記第二の尿タンパク質分子である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記α−1抗トリプシンのフラグメントは、KGKWERPFEVKDTEEEDF(配列番号3)、MIEQNTKSPLFMGKVVNPTQK(配列番号4)、EDPQGDAAQKTDTSHHDQDHPTFNKITPNLAE(配列番号5)、またはEDPQGDAAQKTDTSHHDQDHPTFNKITPNLAEFA(配列番号6)である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記評価ステップの後、早期と末期の糖尿病性ネフロパシーを示す前記バイオマーカーの所定の参照レベルに基づいて、前記バイオマーカーのレベルと糖尿病性ネフロパシーの状態を関連付けるステップを更に含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記バイオマーカーは、前記第三の尿タンパク質分子である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第三の尿タンパク質分子は、GQEHFAHLLILRDTKTYMLAFDVNDEKNWGLS(配列番号7)である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記評価ステップの後、早期と末期の糖尿病性ネフロパシーを示す前記バイオマーカーの所定の参照レベルに基づいて、前記バイオマーカーのレベルと糖尿病性ネフロパシー状態を関連付けるステップを更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記バイオマーカーは、前記血清タンパク質分子である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記オステオポンチンのフラグメントは、YPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQNAVSSEETNDFKQETLPSK(配列番号8)、またはKYPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQTLPSK(配列番号9)である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記評価ステップの後、前記バイオマーカーのレベルと糖尿病性ネフロパシー状態を関連付けるステップを更に含み、糖尿病性ネフロパシーを患わない被検者と比較して、前記バイオマーカーのレベルが増加するとき、前記被検者は、末期の糖尿病性ネフロパシーであることを示す請求項11に記載の方法。
【請求項14】
被検者の糖尿病性ネフロパシー治療の有効性を評価する方法であって、
前記被検者の治療前のバイオマーカーのレベルを決定するステップであって、前記バイオマーカーレベルは、
(i)α−2−HS−糖タンパク質前駆体、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するそのフラグメントである第一の尿タンパク質分子、
(ii)α−1抗トリプシン、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するそのフラグメントである第二の尿タンパク質分子、
(iii)少なくとも10個のアミノ酸残基を有するα−1酸性糖タンパク質のフラグメントである第三の尿タンパク質分子、
(iv)オステオポンチン、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するそのフラグメントである血清タンパク質分子、よりなる群から選択されるステップと;
前記患者の治療後のバイオマーカーのレベルを決定するステップと;
前記治療後のバイオマーカーレベルの変化に基づいて、治療の効果を評価するステップと;
からなり、
前記治療後のバイオマーカーのレベルが前記治療前のバイオマーカーのレベルと同じか低いとき、前記治療が有効であることを示すことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記α−2−HS−糖タンパク質前駆体のフラグメントは、成熟したα−2−HS−糖タンパク質、VVSLGSPSGEVSHPRKT(配列番号1)、またはMGVVSLGSPSGEVSHPRKT(配列番号2)であり;
前記α−1抗トリプシンのフラグメントは、KGKWERPFEVKDTEEEDF(配列番号3)、MIEQNTKSPLFMGKVVNPTQK(配列番号4)、EDPQGDAAQKTDTSHHDQDHPTFNKITPNLAE(配列番号5)、またはEDPQGDAAQKTDTSHHDQDHPTFNKITPNLAEFA(配列番号6)であり;
前記第三の尿タンパク質分子は、GQEHFAHLLILRDTKTYMLAFDVNDEKNWGLS(配列番号7)であり;
前記オステオポンチンのフラグメントは、YPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQNAVSSEETNDFKQETLPSK(配列番号8)、またはKYPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQTLPSK(配列番号9)である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記被検者はヒトの患者である請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記被検者は実験動物である請求項14に記載の方法。
【請求項18】
被検者の糖尿病性ネフロパシーのステージを決定する方法であって、
糖尿病性ネフロパシーを患ったと疑われる被検者から、尿サンプルを得て、選択的に血清サンプルを得るステップと、
前記サンプル中の少なくとも二つのタンパク質分子からなるバイオマーカーのレベルを決定し、選択的に一つ、またはそれ以上の臨床学的因子を決定するステップであって、前記少なくとも二つのタンパク質分子は、
(i)α−2−HS−糖タンパク質前駆体、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するそのフラグメントである第一の尿タンパク質分子、
(ii)α−1抗トリプシン、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するそのフラグメントである第二の尿タンパク質分子、
(iii)α−1酸性糖タンパク質、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するα−1酸性糖タンパク質のフラグメントである第三の尿タンパク質分子、
(iv)オステオポンチン、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するそのフラグメントである血清タンパク質分子、
(v)オステオポンチン、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するフラグメントである第四の尿タンパク質分子、の5つのタンパク質分子よりなる群から選択され、
前記臨床学的因子が、年齢、性別、HbA1c、アルブミン/クレアチニン比、および糸球体ろ過量よりなる群から選択されるステップと;
前記バイオマーカーのレベルに基づいて、疾患スコアを計算するステップと;
前記疾患スコアに基づいて、異なる糖尿病性ネフロパシーのステージを示す所定のカットオフ値と比較して、被検者の糖尿病性ネフロパシーステージを評価するステップと;
からなることを特徴とする方法。
【請求項19】
前記疾患スコアは、リッジ回帰分析、因子分析、判別関数分析、およびロジスティック回帰分析よりなる群から選択される分析により計算される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記α−2−HS−糖タンパク質前駆体のフラグメントは、成熟したα−2−HS−糖タンパク質、VVSLGSPSGEVSHPRKT(配列番号1)、またはMGVVSLGSPSGEVSHPRKT(配列番号2)であり;
前記α−1抗トリプシンのフラグメントは、KGKWERPFEVKDTEEEDF(配列番号3)、MIEQNTKSPLFMGKVVNPTQK(配列番号4)、EDPQGDAAQKTDTSHHDQDHPTFNKITPNLAE(配列番号5)、またはEDPQGDAAQKTDTSHHDQDHPTFNKITPNLAEFA(配列番号6)であり;
前記第三の尿タンパク質分子は、GQEHFAHLLILRDTKTYMLAFDVNDEKNWGLS(配列番号7)であり;
前記オステオポンチンのフラグメントは、YPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQNAVSSEETNDFKQETLPSK(配列番号8)、またはKYPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQTLPSK(配列番号9)である請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記獲得ステップは、尿サンプルおよび血清サンプルを採集することにより実行され、前記バイオマーカーはタンパク質分子(i)−(v)の全てからなる請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記獲得ステップは、尿サンプルを採集することにより実行され、前記バイオマーカーは、タンパク質分子(i)−(iii)および(v)の少なくとも二つからなる請求項20に記載の方法。
【請求項23】
被検者中の糖尿病性ネフロパシーの進行をモニタリングする方法であって、
糖尿病性ネフロパシーを患ったと疑われる被検者から、第一の尿サンプルを得て、選択的に第一の血清サンプルを得るステップと;
2週〜12ヶ月後、第二の尿サンプルを得て、選択的に第二の血清サンプルを得るステップと;
前記第一と第二のサンプル中の少なくとも二つのタンパク質分子からなるバイオマーカーのレベルを決定し、選択的に一つ、またはそれ以上の臨床学的因子を決定するステップであって、前記少なくとも二つのタンパク質分子は、
(i)α−2−HS−糖タンパク質前駆体、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するそのフラグメントである第一の尿タンパク質分子、
(ii)α−1抗トリプシン、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するそのフラグメントである第二の尿タンパク質分子、
(iii)α−1酸性糖タンパク質、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するα−1酸性糖タンパク質のフラグメントである第三の尿タンパク質分子、
(iv)オステオポンチン、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するそのフラグメントである血清タンパク質分子、
(v)オステオポンチン、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するフラグメントである第四の尿タンパク質分子、の5つのタンパク質分子よりなる群から選択され、
前記臨床学的因子が、年齢、性別、HbA1c、アルブミン/クレアチニン比、および糸球体ろ過量よりなる群から選択されるステップと;
前記第一および第二のサンプルのバイオマーカーのレベルのそれぞれに基づいて、第一の疾患スコアおよび第二の疾患スコアを計算するステップと;
前記被検者の疾病進行を評価するステップと;
からなり、
前記第二の疾患スコアが前記第一の疾患スコアより高いとき、糖尿病性ネフロパシーの悪化を示すことを特徴とする方法。
【請求項24】
前記疾患スコアは、リッジ回帰分析、因子分析、判別関数分析、およびロジスティック回帰分析よりなる群から選択される分析により計算される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記α−2−HS−糖タンパク質前駆体のフラグメントは、成熟したα−2−HS−糖タンパク質、VVSLGSPSGEVSHPRKT(配列番号1)、またはMGVVSLGSPSGEVSHPRKT(配列番号2)であり;
前記α−1抗トリプシンのフラグメントは、KGKWERPFEVKDTEEEDF(配列番号3)、MIEQNTKSPLFMGKVVNPTQK(配列番号4)、EDPQGDAAQKTDTSHHDQDHPTFNKITPNLAE(配列番号5)、またはEDPQGDAAQKTDTSHHDQDHPTFNKITPNLAEFA(配列番号6)であり;
前記第三の尿タンパク質分子は、GQEHFAHLLILRDTKTYMLAFDVNDEKNWGLS(配列番号7)であり;
前記オステオポンチンのフラグメントは、YPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQNAVSSEETNDFKQETLPSK(配列番号8)、またはKYPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQTLPSK(配列番号9)である請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記獲得ステップは、尿サンプルおよび血清サンプルを採集することにより実行され、前記バイオマーカーはタンパク質分子(i)−(v)の全てからなる請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記獲得ステップは、尿サンプルを採集することにより実行され、前記バイオマーカーは、タンパク質分子(i)−(iii)および(v)の少なくとも二つからなる請求項25に記載の方法。
【請求項28】
被検者の糖尿病性ネフロパシー治療の有効性を評価する方法であって、
前記治療の前に、前記患者から第一の尿サンプルを得て、選択的に第一の血清サンプルを得るステップと;
前記治療の後に、前記被検者から第二の尿サンプルを得て、選択的に第二の血清サンプルを得るステップと;
少なくとも二つのタンパク質分子からなるバイオマーカーの前記サンプルレベルを決定し、選択的に一つ、またはそれ以上の 臨床学的因子を決定するステップであって、前記少なくとも二つのタンパク質分子は、
(i)α−2−HS−糖タンパク質前駆体、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するそのフラグメントである第一の尿タンパク質分子、
(ii)α−1抗トリプシン、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するそのフラグメントである第二の尿タンパク質分子、
(iii)α−1酸性糖タンパク質、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するα−1酸性糖タンパク質のフラグメントである第三の尿タンパク質分子、
(iv)オステオポンチン、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するそのフラグメントである血清タンパク質分子、
(v)オステオポンチン、または少なくとも10個のアミノ酸残基を有するフラグメントである第四の尿タンパク質分子、の5つのタンパク質分子よりなる群から選択され、
前記臨床学的因子が、年齢、性別、HbA1c、アルブミン/クレアチニン比、および糸球体ろ過量よりなる群から選択されるステップと;
前記第一および第二のサンプルのバイオマーカーのレベルのそれぞれに基づいて、第一の疾患スコアおよび第二の疾患スコアを計算するステップと;
前記被検者の治療の効果を評価するステップと;
からなり、
前記第二の疾患スコアが前記第一の疾患スコア以下であるとき、前記治療が有効であることを示すことを特徴とする方法。
【請求項29】
前記疾患スコアは、リッジ回帰分析、因子分析、判別関数分析、およびロジスティック回帰分析よりなる群から選択される分析により計算される請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記α−2−HS−糖タンパク質前駆体のフラグメントは、成熟したα−2−HS−糖タンパク質、VVSLGSPSGEVSHPRKT(配列番号1)、またはMGVVSLGSPSGEVSHPRKT(配列番号2)であり;
前記α−1抗トリプシンのフラグメントは、KGKWERPFEVKDTEEEDF(配列番号3)、MIEQNTKSPLFMGKVVNPTQK(配列番号4)、EDPQGDAAQKTDTSHHDQDHPTFNKITPNLAE(配列番号5)、またはEDPQGDAAQKTDTSHHDQDHPTFNKITPNLAEFA(配列番号6)であり;
前記第三の尿タンパク質分子は、GQEHFAHLLILRDTKTYMLAFDVNDEKNWGLS(配列番号7)であり;
前記オステオポンチンのフラグメントは、YPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQNAVSSEETNDFKQETLPSK(配列番号8)、またはKYPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQTLPSK(配列番号9)である請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記獲得ステップは、尿サンプルおよび血清サンプルを採集することにより実行され、前記バイオマーカーはタンパク質分子(i)−(v)の全てからなる請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記獲得ステップは、尿サンプルを採集することにより実行され、前記バイオマーカーは、タンパク質分子(i)−(iii)および(v)の少なくとも二つからなる請求項30に記載の方法。
【請求項33】
下記群から選択されるペプチドに特異的に結合されること特徴とする分離した抗体:
MGVVSLGSPSGEVSHPRKT(配列番号2)、
KGKWERPFEVKDTEEEDF(配列番号3)、
MIEQNTKSPLFMGKVVNPTQK(配列番号4)、
EDPQGDAAQKTDTSHHDQDHPTFNKITPNLAEFA(配列番号6)、
GQEHFAHLLILRDTKTYMLADVNDEKNWGLS(配列番号7)、
YPDAVATWLNPDPSQKQ NLLAPQNAVSSEETNDFKQETLPSK(配列番号8)、および
KYPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQTLPSK(配列番号9)。
【請求項34】
糖尿病性ネフロパシーを診断するキットであって、2、3、または4種類の抗体からなり、それぞれ、(i)α−2−HS−糖タンパク質、(ii)α−1抗トリプシン、(iii)α−1酸性糖タンパク質、または(iv)オステオポンチンに結合でき、前記2、3、または4種類の抗体は、異なる抗原特異性を有することを特徴とする糖尿病性ネフロパシーを診断するキット。
【請求項35】
前記抗体は、全免疫グロブリン分子である請求項34に記載のキット。
【請求項36】
糖尿病性ネフロパシーを診断するキットであって、実質的に2、3、または4種類の抗体からなり、それぞれ、(i)α−2−HS−糖タンパク質、(ii)α−1抗トリプシン、(iii)α−1酸性糖タンパク質、または(iv)オステオポンチンに結合することができ、前記2、3、または4種類の抗体は、異なる抗原特異性を有することを特徴とする糖尿病性ネフロパシーを診断するキット。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【公表番号】特表2012−516431(P2012−516431A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546555(P2011−546555)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000097
【国際公開番号】WO2010/085879
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(507084073)インダストリアル テクノロジー リサーチ インスティテュート (22)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【Fターム(参考)】