説明

糖蛋白質合成

糖蛋白質のin vitro及びin vivo製造方法を提供する。1方法は非天然アミノ酸を蛋白質に組込む段階と、1個以上の糖部分を非天然アミノ酸に結合する段階を含む。別の方法は糖部分を含む非天然アミノ酸を蛋白質に組込む段階を含む。どちらの方法により製造される蛋白質も付加糖で更に修飾することができる。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1の反応性基を含む非天然アミノ酸を蛋白質に組込む段階と;
b)第2の反応性基を含む糖部分と前記蛋白質を接触させ、第1の反応性基を第2の反応性基と反応させて糖部分を非天然アミノ酸に結合する段階を含む糖蛋白質の合成方法。
【請求項2】
第1の反応性基が求電子性部分であり、第2の反応性基が求核性部分である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
求電子性部分がケト又はアルデヒド部分である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
求核性部分が−NR−NH(ヒドラジド)、−NR(C=O)NRNH(セミカルバジド)、−NR(C=S)NRNH(チオセミカルバジド)、−(C=O)NRNH(カルボニルヒドラジド)、−(C=S)NRNH(チオカルボニルヒドラジド)、−(SO)NRNH(スルホニルヒドラジド)、−NRNR(C=O)NRNH(カルバジド)、−NRNR(C=S)NRNH(チオカルバジド)、及び−O−NH(ヒドロキシルアミン)(式中、各R、R、及びRは独立してH、又は炭素原子数1〜6のアルキルである)から構成される群から選択される請求項2に記載の方法。
【請求項5】
求核性部分かヒドラジド、ヒドロキシルアミン、セミカルバジド、及びカルボヒドラジドから構成される群から選択される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
反応生成物がオキシム、アミド、ヒドラゾン、カルボヒドラゾン、チオカルボヒドラゾン、スルホニルヒドラゾン、セミカルバゾン、又はチオセミカルバゾンを含む請求項2に記載の方法。
【請求項7】
反応生成物が還元ヒドラゾンを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第1の反応性基が求核性部分であり、第2の反応性基が求電子性部分である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
求電子性部分がケト又はアルデヒド部分である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
糖部分が2個以上の糖質部分を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
糖供与体部分から糖部分に糖を転移させるために十分な時間と適切な条件下でグリコシルトランスフェラーゼ、糖供与体部分、及びグリコシルトランスフェラーゼ活性に必要な他の反応体と糖部分を接触させる段階c)を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
グリコシルトランスフェラーゼがガラクトシルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、グルコシルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、グルクロニルトランスフェラーゼ、シアリルトランスフェラーゼ、マンノシルトランスフェラーゼ、グルクロン酸トランスフェラーゼ、ガラクツロン酸トランスフェラーゼ、及びオリゴサッカリルトランスフェラーゼから構成される群から選択される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
段階(c)の生成物を少なくとも第2のグリコシルトランスフェラーゼ及び第2の糖供与体部分と接触させる段階を更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
糖部分が末端GlcNAcを含み、糖供与体部分UDP−Galであり、グリコシルトランスフェラーゼがβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼである請求項11に記載の方法。
【請求項15】
糖部分が末端GlcNAcを含み、糖供与体部分がUPD−GlcNAcであり、グリコシルトランスフェラーゼがβ1−4N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼである請求項11に記載の方法。
【請求項16】
N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ反応の生成物をβ1−4マンノシルトランスフェラーゼ及びGDP−マンノースと接触させ、Manβ1−4GlcNAcβ1−4GlcNAc−を含む糖部分を形成する段階を更に含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
Manβ1−4GlcNAcβ1−4GlcNAc−部分をα1−3マンノシルトランスフェラーゼ及びGDP−マンノースと接触させ、Manα1−3Manβ1−4GlcNAcβ1−4GlcNAc−を含む糖部分を形成する段階を更に含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
Manα1−3Manβ1−4GlcNAcβ1−4GlcNAc−部分をα1−6マンノシルトランスフェラーゼ及びGDP−マンノースと接触させ、Manα1−6(Manα1−3)Manβ1−4GlcNAcβ1−4GlcNAc−を含む糖部分を形成する段階を更に含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
Manα1−6(Manα1−3)Manβ1−4GlcNAcβ1−4GlcNAc−部分をβ1−2N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ及びUDP−GlcNAcと接触させ、Manα1−6(GlcNAcβ1−2Manα1−3)Manβ1−4GlcNAcβ1−4GlcNAc−を含む糖部分を形成する段階を更に含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
Manα1−6(GlcNAcpl−2Manα1−3)Manβ1−4GlcNAcβ1−4GlcNAc−部分をβ1−2N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ及びUDP−GlcNAcと接触させ、GlcNAcβ1−2Manα1−6(GlcNAcβ1−2Manα1−3)Manβ1−4GlcNAcβ1−4GlcNAc−を含む糖部分を形成する段階を更に含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
糖部分をβ1−4N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、α1,3フコシルトランスフェラーゼ、α1,2フコシルトランスフェラーゼ、α1,4フコシルトランスフェラーゼ、β1−4ガラクトシルトランスフェラーゼ、及びシアリルトランスフェラーゼの1種以上と接触させ、二側鎖又は三側鎖オリゴ糖構造を形成する段階を更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項22】
組込み段階をin vivoで実施する請求項1に記載の方法。
【請求項23】
組込み段階が直交tRNA/直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−tRNA/O−RS)対を使用し、O−tRNAがセレクターコドンを認識し、セレクターコドンに応答して非天然アミノ酸を蛋白質に組込み、O−RSがO−tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する請求項1に記載の方法。
【請求項24】
O−RSが配列番号1、2、又は3のいずれか1種を含むアミノ酸配列を含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
O−tRNAがmutRNATyrCUAを含む請求項23に記載の方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法により生産された糖蛋白質。
【請求項27】
請求項22に記載の方法により生産された糖蛋白質。
【請求項28】
糖部分とポリペプチドを含む糖蛋白質であって、糖部分がポリペプチドに存在する非天然アミノ酸に結合した第1の反応性基と糖部分に結合した第2の反応性基の求核性反応の反応生成物によりポリペプチドと結合している前記糖蛋白質。
【請求項29】
第1の反応性基が求電子性部分であり、第2の反応性基が求核性部分である請求項28に記載の糖蛋白質。
【請求項30】
求電子性部分がケト又はアルデヒド部分である請求項29に記載の糖蛋白質。
【請求項31】
求核性部分が−NR−NH(ヒドラジド)、−NR(C=O)NRNH(セミカルバジド)、−NR(C=S)NRNH(チオセミカルバジド)、−(C=O)NRNH(カルボニルヒドラジド)、−(C=S)NRNH(チオカルボニルヒドラジド)、−(SO)NRNH(スルホニルヒドラジド)、−NRNR(C=O)NRNH(カルバジド)、−NRNR(C=S)NRNH(チオカルバジド)、及び−O−NH(ヒドロキシルアミン)(式中、各R、R、及びRは独立してH、又は炭素原子数1〜6のアルキルである)から構成される群から選択される請求項29に記載の糖蛋白質。
【請求項32】
求核性部分かヒドラジド、ヒドロキシルアミン、セミカルバジド、及びカルボヒドラジドから構成される群から選択される請求項31に記載の糖蛋白質。
【請求項33】
反応生成物がオキシム、アミド、ヒドラゾン、カルボヒドラゾン、チオカルボヒドラゾン、スルホニルヒドラゾン、セミカルバゾン、又はチオセミカルバゾンを含む請求項28に記載の糖蛋白質。
【請求項34】
反応生成物が還元ヒドラゾンを含む請求項33に記載の糖蛋白質。
【請求項35】
糖部分を含む非天然アミノ酸を蛋白質に組込む段階を含む糖蛋白質の合成方法。
【請求項36】
糖供与体部分から糖部分に糖を転移させるために十分な時間と適切な条件下でグリコシルトランスフェラーゼ、糖供与体部分、及びグリコシルトランスフェラーゼ活性に必要な他の反応体と糖部分を接触させる段階を更に含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
グリコシルトランスフェラーゼがガラクトシルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、グルコシルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、グルクロニルトランスフェラーゼ、シアリルトランスフェラーゼ、マンノシルトランスフェラーゼ、グルクロン酸トランスフェラーゼ、ガラクツロン酸トランスフェラーゼ、及びオリゴサッカリルトランスフェラーゼから構成される群から選択される請求項36に記載の方法。
【請求項38】
グリコシルトランスフェラーゼ反応の生成物を少なくとも第2のグリコシルトランスフェラーゼ及び第2の糖供与体部分と接触させる段階を更に含む請求項36に記載の方法。
【請求項39】
糖部分が末端GlcNAcを含み、糖供与体部分がUPD−GlcNAcであり、グリ
コシルトランスフェラーゼがβ1−4N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼである請求項36に記載の方法。
【請求項40】
糖部分が末端GlcNAcを含み、糖供与体部分がUDP−Galであり、グリコシルトランスフェラーゼがβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼである請求項36に記載の方法。
【請求項41】
組込み段階が直交tRNA/直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−tRNA/O−RS)対を使用し、O−tRNAがセレクターコドンを認識し、セレクターコドンに応答して非天然アミノ酸を蛋白質に組込み、O−RSがO−tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する請求項35に記載の方法。
【請求項42】
O−RSが配列番号4、5、又は6のいずれか1種を含むアミノ酸配列を含む請求項41に記載の方法。
【請求項43】
O−tRNAがmutRNATyrCUAを含む請求項41に記載の方法。
【請求項44】
組込み段階をin vivoで実施する請求項35に記載の方法。
【請求項45】
非天然アミノ酸がβ−O−GlcNAc−L−セリン、トリ−アセチル−β−GlcNAc−セリン、トリ−O−アセチル−GalNAc−α−スレオニン、又はα−GalNAc−L−スレオニンを含む請求項35に記載の方法。
【請求項46】
請求項35に記載の方法により生産された糖蛋白質。
【請求項47】
a)糖部分を含む非天然アミノ酸と;
b)セレクターコドンを認識する直交tRNAと;
c)非天然アミノ酸と直交tRNAの結合を触媒する直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)と;
d)グリコシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドと;
e)ポリペプチドをコードし、少なくとも1個のセレクターコドンを含むポリヌクレオチド配列を含む糖蛋白質合成用宿主細胞。
【請求項48】
グリコシルトランスフェラーゼがガラクトシルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、グルコシルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、グルクロニルトランスフェラーゼ、シアリルトランスフェラーゼ、マンノシルトランスフェラーゼ、グルクロン酸トランスフェラーゼ、ガラクツロン酸トランスフェラーゼ、及びオリゴサッカリルトランスフェラーゼから構成される群から選択される請求項47に記載の宿主細胞。
【請求項49】
宿主細胞が哺乳動物細胞、酵母細胞、細菌細胞、植物細胞、真菌細胞、始原菌細胞、又は昆虫細胞である請求項47に記載の宿主細胞。
【請求項50】
翻訳系を含む組成物であって、翻訳系が直交tRNA(O−tRNA)と直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を含み、O−RSが糖部分を含む非天然アミノ酸でO−tRNAを優先的にアミノアシル化し、O−tRNAが少なくとも1個のセレクターコドンを認識する前記組成物。
【請求項51】
O−RSが配列番号4、5、もしくは6のいずれか1種又はその保存変異体を含むアミノ酸配列を含む請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
O−RSが配列番号8、9、もしくは10のいずれか1種又はその保存変異体を含むポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによりコードされる請求項50に記載の組成物。
【請求項53】
O−tRNAがmutRNATyrCUAを含む請求項50に記載の組成物。
【請求項54】
非天然アミノ酸がβ−O−GlcNAc−L−セリン、トリ−アセチル−β−GlcNAc−セリン、トリ−O−アセチル−GalNAc−α−スレオニン、又はα−GalNAc−L−スレオニンを含む請求項50に記載の組成物。
【請求項55】
(a)配列番号4〜6のいずれか1種に示すアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(b)配列番号8〜10のいずれか1種に示すポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(c)(a)、又は(b)のポリペプチドに特異的な抗体に対して特異的に免疫反応性のポリペプチド;及び
(d)(a)、(b)、又は(c)の保存変異を含むアミノ酸配列から構成される群から選択される人工ポリペプチド。
【請求項56】
請求項55に記載のポリペプチドに対して特異的に免疫反応性の抗体又は抗血清。
【請求項57】
(a)配列番号8〜10のいずれか1種に記載のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;
(b)(a)のポリヌクレオチド配列に相補的であるか又はこれをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号1〜6のいずれか1種に記載のアミノ酸配列又はその保存変異体を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(d)請求項55に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(e)核酸の実質的に全長にわたって高ストリンジェント条件下で(a)、(b)、(c)、又は(d)のポリヌクレオチドとハイブリダイズする核酸;
(f)(a)、(b)、(c)、(d)、又は(e)のポリヌクレオチドと少なくとも98%一致するポリヌクレオチド;及び
(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、又は(f)の保存変異を含むポリヌクレオチドから構成される群から選択される人工ポリペプチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【公表番号】特表2006−507358(P2006−507358A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501440(P2005−501440)
【出願日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2003/032870
【国際公開番号】WO2004/035605
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(593052785)ザ スクリップス リサーチ インスティテュート (91)
【Fターム(参考)】