説明

糖類分解酵素阻害活性剤及びこれを含有する健康食品

【課題】この発明は、キノコ由来の糖類分解酵素阻害活性剤(α−グルコシダーゼ阻害活性剤、及びスクラーゼ阻害活性剤)及びこれを含有する健康食品を提供することを目的とする。
【解決手段】(1)カバノアナタケ、ハナビラタケ、ハタケシメジ、エリンギ、ブナハリタケ、マツタケ、カラカサタケモドキ、ホンシメジ、シロアギタケ、マイタケ、ヤマブシタケ、カンゾウタケ、タモギタケツリガネタケ、ムキタケ、ヤケコゲタケ、カワリハツ、冬虫夏草、クリタケ等のキノコの菌糸体由来物質の1以上を含有する糖類分解酵素阻害活性剤
(2)キノコ菌糸体由来物質が、キノコ菌糸体の熱水抽出物である前記糖類分解酵素阻害活性剤
(3)前記糖類分解酵素阻害活性剤を含有する健康食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、糖類分解酵素阻害剤に関するものであり、更に詳しくは、キノコ(カバノアナタケ、ハナビラタケ、ハタケシメジ、エリンギ、ブナハリタケ、マツタケ、カラカサタケモドキ、ホンシメジ、シロアギタケ、マイタケ、ヤマブシタケ、カンゾウタケ、タモギタケ、ツリガネタケ、ムキタケ、ヤケコゲタケ、カワリハツ、冬虫夏草、クリタケ)の菌糸体由来物質の1以上を含有する糖類分解酵素阻害剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に糖尿病は、インスリン依存型糖尿病(IDDN)とインスリン非依存型(NIDDN)に大別されるが、現在世界的に、特にインスリン非依存型が急増しており、工業化・近代化に伴う生活習慣の変化に伴う現代病として世界的な問題となっている。
この問題を解決するために、副作用の少ない天然物由来の糖尿病治療効果、血糖降下作用を有する物質がキノコについても検索され、従来、アガリクス(Agaricus blazei Murill)とメシマコブ(Phellinus linteus )については、これらの成分を含有する糖尿病治療剤、血糖降下剤が知られている。
【特許文献1】特開平11−80014
【特許文献2】特開2004−155667
【特許文献3】特開2004−168689
【特許文献4】特開2004−331567
【0003】
しかしながら、カバノアナタケ、ハナビラタケ、ハタケシメジ、エリンギ、ブナハリタケ、マツタケ、カラカサタケモドキ、ホンシメジ、シロアギタケ、マイタケ、ヤマブシタケ、カンゾウタケ、タモギタケ、ツリガネタケ、ムキタケ、ヤケコゲタケ、カワリハツ、冬虫夏草、クリタケ等のキノコ(特にこれらのキノコの菌糸体由来成分)についての糖尿病治療効果、血糖降下作用は知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで発明者等は、副作用の少ない天然物由来の糖尿病治療効果、血糖降下作用を有する物質を得るために、アガリクスとメシマコブ以外のキノコに着目し、鋭意研究したところ、カバノアナタケ、ハナビラタケ、ハタケシメジ、エリンギ、ブナハリタケ、マツタケ、カラカサタケモドキ、ホンシメジ、シロアギタケ、マイタケ、ヤマブシタケ、カンゾウタケ、タモギタケツリガネタケ、ムキタケ、ヤケコゲタケ、カワリハツ、冬虫夏草、クリタケ等のキノコ(特にこれらのキノコの菌糸体由来成分)には、顕著なα―グルコシダーゼ阻害活性、及びスクラーゼ活性阻害作用が存在することを知り本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、下記の請求項1〜請求項22により構成されている。
請求項1: 下記に記載する(1)〜(22)のキノコの菌糸体由来物質の1以上を含有することを特徴とする糖類分解酵素阻害活性剤。
(1)ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)
(2)マイタケ(Grifola frondosa)
(3)ホンシメジ(Lyophyllum shimeji)
(4)ハナビラタケ(Sparasssis crispa)
(5)カラカサタケモドキ(Macrolepita gracilenta)
(6)カアバノアナタケ(Fuscoporia obliqua)
(7)タモギタケ(Pleurotus cornucopiae)
(8)マツタケ(Tricholoma matsutake)
(9)エリンギ(Pleurotus eryngii)
(10)ブナハリタケ(Mycoleptodonoides aitchisonii)
(11)ハタケシメジ(Lyophyllum decastes)
(12)カンゾウタケ(Fistulina hepatica)
(13)シロアギタケ(Pleurotus nebrodensis)
(14)ツリガネタケ(Fomes fomentarius)
(15)ムキタケ(Hoenbuehelia serotina)
(16)ヤケコゲタケ(Inonotus hispidus)
(17)カワリハツ(Russula cyanoxantha)
(18)冬虫夏草(Cordyceps militalis)
(19)クリタケ(Naematoloma sublateritium)
請求項2: キノコ菌糸体由来物質が、キノコ菌糸体の熱水抽出物である請求項1に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項3: キノコが、カバノアナタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項4: キノコが、ハナビラタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項5: キノコが、ハタケシメジである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項6: キノコが、エリンギある請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項7: キノコが、ブナハリタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項8: キノコが、マツタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項9: キノコが、カラカサタケモドキである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項10: キノコが、ホンシメジである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項11: キノコが、シロアギタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項12: キノコが、マイタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項13: キノコが、ヤマブシタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項14: キノコが、カンゾウタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項15: キノコが、タモギタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項16: キノコが、ツリガネタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項17: キノコが、ムキタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項18: キノコが、ヤケコゲタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項19: キノコが、カワリハツである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項20: キノコが、冬虫夏草である請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
請求項21: キノコが、クリタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤
請求項22: 前記請求項1から請求項21に記載する糖類分解酵素阻害剤を含有することを特徴とする健康食品。
【0006】
本願発明を以上のように構成する理由は、カバノアナタケ、ハナビラタケ、ハタケシメジ、エリンギ、ブナハリタケ、マツタケ、カラカサタケモドキ、ホンシメジ、シロアギタケ、マイタケ、ヤマブシタケ、カンゾウタケ、タモギタケツリガネタケ、ムキタケ、ヤケコゲタケ、カワリハツ、冬虫夏草、クリタケ等のキノコ(特にこれらのキノコの菌糸体由来成分)の菌糸体由来成分には、顕著なα―グルコシダーゼ阻害活性、及びスクラーゼ活性阻害作用が存在するので、糖尿病治療剤、血糖降下剤として利用が期待できるからである。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、カバノアナタケ、ハナビラタケ、ハタケシメジ、エリンギ、ブナハリタケ、マツタケ、カラカサタケモドキ、ホンシメジ、シロアギタケ、マイタケ、ヤマブシタケ、カンゾウタケ、タモギタケツリガネタケ、ムキタケ、ヤケコゲタケ、カワリハツ、冬虫夏草、クリタケ等のキノコ(特にこれらのキノコの菌糸体由来成分)の菌糸体から、天然物由来で副作用の心配のない顕著なα―グルコシダーゼ阻害活性、及びスクラーゼ阻害活性作用を有する糖類分解酵素阻害剤が容易に得られるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
*各キノコの菌糸体乾燥粉末の取得
本発明に係る13種類のキノコ(カバノアナタケ、ハナビラタケ、ハタケシメジ、エリンギ、ブナハリタケ、マツタケ、カラカサタケモドキ、ホンシメジ、シロアギタケ、マイタケ、ヤマブシタケ、カンゾウタケ、タモギタケツリガネタケ、ムキタケ、ヤケコゲタケ、カワリハツ、冬虫夏草、クリタケ)を下記の条件で各々培養した。
大型タンク(1000L)を用いて、炭素源としてグルコースを4.0%、天然物由来窒素源イーストエキス及びポリぺプトンを各0.3%、KH2PO4及びNa2HPO4 を各0.05%を含み、初発培地pH5.5の培養液に、各キノコの菌糸体を接種し、強制的に0.22μmフィルターを通した無菌空気を培地内へ通気し、温度28℃で45日間培養した。
この培養液を遠心分離して得られた菌糸体を凍結乾燥して各キノコの菌糸体の乾燥粉末を得た。
【0009】
*各キノコの菌糸体の熱水抽出物
前記各キノコの菌糸体の乾燥粉末に10倍量のイオン交換水を加え、100℃で2時間、熱水抽出処理を行ない、不溶物を除去して各キノコの菌糸体の熱水抽出物を得た。この熱水抽出物を約70℃で減圧濃縮した後凍結乾燥した。
なお、前記各キノコの乾燥菌糸体粉末1300gより、前記各キノコの熱水抽出乾燥物が約120〜180g得られた。
【0010】
*α―グルコシダーゼ阻害活性、及びスクラーゼ阻害活性効果の測定
(1)被検試料(前記19種類の各キノコの菌糸体の熱水抽出物)の調製
前記各キノコの各熱水抽出乾燥物をマレイン酸緩衝液(マレイン酸5.6gに、1N水酸化ナトリウム78mlを加え、蒸留水にて500mlとした後、pH6.0に調製したもの)に溶解し、試料濃度を、5mg/ml、及び1mg/mlに調製したものを使用した。
(2)酵素溶液の調製
市販ラット腸管由来アセトンパウダー(SIGMA社)0.1gにマレイン酸緩衝液3mlを加え、氷中にてソニケーション(出力レベル3.10秒×24回)し、酵素を均一に抽出した後、11000rpm、15min、4℃で遠心分離し、上清を採取し酵素溶液とした。
この酵素溶液を、α―グルコシダーゼ阻害活性試験においては、2倍に希釈したものを使用し、又スクラーゼ阻害活性試験においてはそのまま使用した。
(3)α−グルコシダーゼ阻害活性評価(測定)
前記酵素溶液100μlと被検試料溶液50μlをエッペンチューブに入れ、5分間37℃でプレインキュベートし、1.5mM p−ニトロフェニル−α−グルコピラノシド溶液100ml(基質)を加えた。ブランクにはマレイン酸緩衝液を加えた。更に15分間37℃でインキュベートした後、5分間100℃で熱処理することにより、酵素反応を停止させた。ヒートブロックより取り出し、0.1モルリン酸水素二ナトリウム溶液500μlを加え、6000rpm、5min、4℃で遠心分離した後、波長400nm(黄色)で吸光度を測定した。
本測定にいて、基質から遊離するp−ニトロフェノールの検量線を図1に示す。
(4)スクラーゼ阻害活性評価(測定)
前記酵素溶液50μlと被検試料溶液50μlをエッペンチューブに入れ、5分間37℃でプレインキュベートし、60mM スクロース溶液100ml(基質)を加えた。ブランクにはマレイン酸緩衝液を加えた。更に15分間37℃でインキュベートした後、3,5−ジニトロサリチル酸試薬200μlを加え、5分間100℃で熱処理することにより、酵素反応を停止させた。ヒートブロックより取り出し、蒸留水1mlを加え、6000rpm、5min、4℃で遠心分離した後、波長540nm(橙色)で吸光度を測定した。
本測定にいて、生成される3−アミノ−5−ニトロサリチル酸の検量線を図2に示す。
【0011】
(5)各キノコのサンプル(熱水抽出乾燥物)の5mg/ml、及び1mg/mlの)α−グルコシダーゼ阻害活性阻害率、及びスクラーゼ阻害活性阻害率の測定結果を表1に示す。
表1の結果によれば、前記キノコは、優れた糖類分解酵素阻害活性を有することがわかる。
【0012】
【表1】

【0013】
前記各キノコの熱水抽出物は、そのまま、又は他の任意の食品(粉末)、又は任意の健康食品(粉末)と混合して摂取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】α−グルコシダーゼ阻害活性評価の検量線を示す図である。
【図2】スクラーゼ阻害活性評価の検量線を示す図である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、糖類分解酵素阻害活性剤に関するものであり、更に詳しくは、キノコ(カバノアナタケ、ハナビラタケ、ハタケシメジ、エリンギ、ブナハリタケ、マツタケ、カラカサタケモドキ、ホンシメジ、シロアギタケ、マイタケ、ヤマブシタケ、カンゾウタケ、タモギタケ、ツリガネタケ、ムキタケ、ヤケコゲタケ、カワリハツ、冬虫夏草、クリタケ)の菌糸体由来物質の1以上を含有する糖類分解酵素阻害活性剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に糖尿病は、インスリン依存型糖尿病(IDDN)とインスリン非依存型(NIDDN)に大別されるが、現在世界的に、特にインスリン非依存型が急増しており、工業化・近代化に伴う生活習慣の変化に伴う現代病として世界的な問題となっている。
この問題を解決するために、副作用の少ない天然物由来の糖尿病治療効果、血糖降下作用を有する物質がキノコについても検索され、従来、アガリクス(Agaricus blazei Murill)とメシマコブ(Phellinus linteus )については、これらの成分を含有する糖尿病治療剤、血糖降下剤が知られている。
【特許文献1】特開平11−80014
【特許文献2】特開2004−155667
【特許文献3】特開2004−168689
【特許文献4】特開2004−331567
【0003】
しかしながら、カバノアナタケ、ハナビラタケ、ハタケシメジ、エリンギ、ブナハリタケ、マツタケ、カラカサタケモドキ、ホンシメジ、シロアギタケ、マイタケ、ヤマブシタケ、カンゾウタケ、タモギタケ、ツリガネタケ、ムキタケ、ヤケコゲタケ、カワリハツ、冬虫夏草、クリタケ等のキノコ(特にこれらのキノコの菌糸体由来成分)についての糖尿病治療効果、血糖降下作用は知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで発明者等は、副作用の少ない天然物由来の糖尿病治療効果、血糖降下作用を有する物質を得るために、アガリクスとメシマコブ以外のキノコに着目し、鋭意研究したところ、カバノアナタケ、ハナビラタケ、ハタケシメジ、エリンギ、ブナハリタケ、マツタケ、カラカサタケモドキ、ホンシメジ、シロアギタケ、マイタケ、ヤマブシタケ、カンゾウタケ、タモギタケツリガネタケ、ムキタケ、ヤケコゲタケ、カワリハツ、冬虫夏草、クリタケ等のキノコ(特にこれらのキノコの菌糸体由来成分)には、顕著なα―グルコシダーゼ阻害活性、及びスクラーゼ阻害活性作用が存在することを知り本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、下記の請求項1〜請求項22により構成されている。
請求項1: 下記に記載する(1)〜(19)のキノコの菌糸体由来物質の1以上を含有することを特徴とする糖類分解酵素阻害活性剤。
(1)ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)
(2)マイタケ(Grifola frondosa)
(3)ホンシメジ(Lyophyllum shimeji)
(4)ハナビラタケ(Sparasssis crispa)
(5)カラカサタケモドキ(Macrolepita gracilenta)
(6)カアバノアナタケ(Fuscoporia obliqua)
(7)タモギタケ(Pleurotus cornucopiae)
(8)マツタケ(Tricholoma matsutake)
(9)エリンギ(Pleurotus eryngii)
(10)ブナハリタケ(Mycoleptodonoides aitchisonii)
(11)ハタケシメジ(Lyophyllum decastes)
(12)カンゾウタケ(Fistulina hepatica)
(13)シロアギタケ(Pleurotus nebrodensis)
(14)ツリガネタケ(Fomes fomentarius)
(15)ムキタケ(Hoenbuehelia serotina)
(16)ヤケコゲタケ(Inonotus hispidus)
(17)カワリハツ(Russula cyanoxantha)
(18)冬虫夏草(Cordyceps militalis)
(19)クリタケ(Naematoloma sublateritium)
請求項2: キノコ菌糸体由来物質が、キノコ菌糸体の熱水抽出物である請求項1に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項3: キノコが、カバノアナタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項4: キノコが、ハナビラタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項5: キノコが、ハタケシメジである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項6: キノコが、エリンギある請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項7: キノコが、ブナハリタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項8: キノコが、マツタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項9: キノコが、カラカサタケモドキである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項10: キノコが、ホンシメジである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項11: キノコが、シロアギタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項12: キノコが、マイタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項13: キノコが、ヤマブシタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項14: キノコが、カンゾウタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項15: キノコが、タモギタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項16: キノコが、ツリガネタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項17: キノコが、ムキタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項18: キノコが、ヤケコゲタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項19: キノコが、カワリハツである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項20: キノコが、冬虫夏草である請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
請求項21: キノコが、クリタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤。
請求項22: 前記請求項1から請求項21に記載する糖類分解酵素阻害活性剤を含有することを特徴とする健康食品。
【0006】
本願発明を以上のように構成する理由は、カバノアナタケ、ハナビラタケ、ハタケシメジ、エリンギ、ブナハリタケ、マツタケ、カラカサタケモドキ、ホンシメジ、シロアギタケ、マイタケ、ヤマブシタケ、カンゾウタケ、タモギタケツリガネタケ、ムキタケ、ヤケコゲタケ、カワリハツ、冬虫夏草、クリタケ等のキノコ(特にこれらのキノコの菌糸体由来成分)の菌糸体由来成分には、顕著なα―グルコシダーゼ阻害活性、及びスクラーゼ阻害活性作用が存在するので、糖尿病治療剤、血糖降下剤として利用が期待できるからである。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、カバノアナタケ、ハナビラタケ、ハタケシメジ、エリンギ、ブナハリタケ、マツタケ、カラカサタケモドキ、ホンシメジ、シロアギタケ、マイタケ、ヤマブシタケ、カンゾウタケ、タモギタケツリガネタケ、ムキタケ、ヤケコゲタケ、カワリハツ、冬虫夏草、クリタケ等のキノコ(特にこれらのキノコの菌糸体由来成分)の菌糸体から、天然物由来で副作用の心配のない顕著なα―グルコシダーゼ阻害活性、及びスクラーゼ阻害活性作用を有する糖類分解酵素阻害活性剤が容易に得られるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
*各キノコの菌糸体乾燥粉末の取得
本発明に係る13種類のキノコ(カバノアナタケ、ハナビラタケ、ハタケシメジ、エリンギ、ブナハリタケ、マツタケ、カラカサタケモドキ、ホンシメジ、シロアギタケ、マイタケ、ヤマブシタケ、カンゾウタケ、タモギタケツリガネタケ、ムキタケ、ヤケコゲタケ、カワリハツ、冬虫夏草、クリタケ)を下記の条件で各々培養した。
大型タンク(1000L)を用いて、炭素源としてグルコースを4.0%、天然物由来窒素源イーストエキス及びポリぺプトンを各0.3%、KH2PO4及びNa2HPO4 を各0.05%を含み、初発培地pH5.5の培養液に、各キノコの菌糸体を接種し、強制的に0.22μmフィルターを通した無菌空気を培地内へ通気し、温度28℃で45日間培養した。
この培養液を遠心分離して得られた菌糸体を凍結乾燥して各キノコの菌糸体の乾燥粉末を得た。
【0009】
*各キノコの菌糸体の熱水抽出物
前記各キノコの菌糸体の乾燥粉末に10倍量のイオン交換水を加え、100℃で2時間、熱水抽出処理を行ない、不溶物を除去して各キノコの菌糸体の熱水抽出物を得た。この熱水抽出物を約70℃で減圧濃縮した後凍結乾燥した。
なお、前記各キノコの乾燥菌糸体粉末1300gより、前記各キノコの熱水抽出乾燥物が約120〜180g得られた。
【0010】
*α―グルコシダーゼ阻害活性、及びスクラーゼ阻害活性効果の測定
(1)被検試料(前記19種類の各キノコの菌糸体の熱水抽出物)の調製
前記各キノコの各熱水抽出乾燥物をマレイン酸緩衝液(マレイン酸5.6gに、1N水酸化ナトリウム78mlを加え、蒸留水にて500mlとした後、pH6.0に調製したもの)に溶解し、試料濃度を、5mg/ml、及び1mg/mlに調製したものを使用した。
(2)酵素溶液の調製
市販ラット腸管由来アセトンパウダー(SIGMA社)0.1gにマレイン酸緩衝液3mlを加え、氷中にてソニケーション(出力レベル3.10秒×24回)し、酵素を均一に抽出した後、11000rpm、15min、4℃で遠心分離し、上清を採取し酵素溶液とした。
この酵素溶液を、α―グルコシダーゼ阻害活性試験においては、2倍に希釈したものを使用し、又スクラーゼ阻害活性試験においてはそのまま使用した。
(3)α−グルコシダーゼ阻害活性評価(測定)
前記酵素溶液100μlと被検試料溶液50μlをエッペンチューブに入れ、5分間37℃でプレインキュベートし、1.5mM p−ニトロフェニル−α−グルコピラノシド溶液100ml(基質)を加えた。ブランクにはマレイン酸緩衝液を加えた。更に15分間37℃でインキュベートした後、5分間100℃で熱処理することにより、酵素反応を停止させた。ヒートブロックより取り出し、0.1モルリン酸水素二ナトリウム溶液500μlを加え、6000rpm、5min、4℃で遠心分離した後、波長400nm(黄色)で吸光度を測定した。
本測定にいて、基質から遊離するp−ニトロフェノールの検量線を図1に示す。
(4)スクラーゼ阻害活性評価(測定)
前記酵素溶液50μlと被検試料溶液50μlをエッペンチューブに入れ、5分間37℃でプレインキュベートし、60mM スクロース溶液100ml(基質)を加えた。ブランクにはマレイン酸緩衝液を加えた。更に15分間37℃でインキュベートした後、3,5−ジニトロサリチル酸試薬200μlを加え、5分間100℃で熱処理することにより、酵素反応を停止させた。ヒートブロックより取り出し、蒸留水1mlを加え、6000rpm、5min、4℃で遠心分離した後、波長540nm(橙色)で吸光度を測定した。
本測定にいて、生成される3−アミノ−5−ニトロサリチル酸の検量線を図2に示す。
【0011】
(5)各キノコのサンプル(熱水抽出乾燥物)の5mg/ml、及び1mg/mlの)α−グルコシダーゼ阻害活性率、及びスクラーゼ阻害活性率の測定結果を表1に示す。
表1の結果によれば、前記キノコは、優れた糖類分解酵素阻害活性を有することがわかる。
【0012】
【表1】

【0013】
前記各キノコの熱水抽出物は、そのまま、又は他の任意の食品(粉末)、又は任意の健康食品(粉末)と混合して摂取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】α−グルコシダーゼ阻害活性評価の検量線を示す図である。
【図2】スクラーゼ阻害活性評価の検量線を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記に記載するキノコの菌糸体由来物質の1以上を含有することを特徴とする糖類分解酵素阻害活性剤。
(1)ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)
(2)マイタケ(Grifola frondosa)
(3)ホンシメジ(Lyophyllum shimeji)
(4)ハナビラタケ(Sparasssis crispa)
(5)カラカサタケモドキ(Macrolepita gracilenta)
(6)カアバノアナタケ(Fuscoporia obliqua)
(7)タモギタケ(Pleurotus cornucopiae)
(8)マツタケ(Tricholoma matsutake)
(9)エリンギ(Pleurotus eryngii)
(10)ブナハリタケ(Mycoleptodonoides aitchisonii)
(11)ハタケシメジ(Lyophyllum decastes)
(12)カンゾウタケ(Fistulina hepatica)
(13)シロアギタケ(Pleurotus nebrodensis)
(14)ツリガネタケ(Fomes fomentarius)
(15)ムキタケ(Hoenbuehelia serotina)
(16)ヤケコゲタケ(Inonotus hispidus)
(17)カワリハツ(Russula cyanoxantha)
(18)冬虫夏草(Cordyceps militalis)
(19)クリタケ(Naematoloma sublateritium)
【請求項2】
キノコ菌糸体由来物質が、キノコ菌糸体の熱水抽出物である請求項1に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項3】
キノコが、カバノアナタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項4】
キノコが、ハナビラタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項5】
キノコが、ハタケシメジである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項6】
キノコが、エリンギある請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項7】
キノコが、ブナハリタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項8】
キノコが、マツタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項9】
キノコが、カラカサタケモドキである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項10】
キノコが、ホンシメジである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項11】
キノコが、シロアギタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項12】
キノコが、マイタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項13】
キノコが、ヤマブシタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項14】
キノコが、カンゾウタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項15】
キノコが、タモギタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項16】
キノコが、ツリガネタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項17】
キノコが、ムキタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項18】
キノコが、ヤケコゲタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項19】
キノコが、カワリハツである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項20】
キノコが、冬虫夏草である請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項21】
キノコが、クリタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害剤。
【請求項22】
前記請求項1から請求項21に記載する糖類分解酵素阻害剤を含有することを特徴とする健康食品。






【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記に記載する(1)〜(19)のキノコの菌糸体由来物質の1以上を含有することを特徴とする糖類分解酵素阻害活性剤。
(1)ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)
(2)マイタケ(Grifola frondosa)
(3)ホンシメジ(Lyophyllum shimeji)
(4)ハナビラタケ(Sparasssis crispa)
(5)カラカサタケモドキ(Macrolepita gracilenta)
(6)カアバノアナタケ(Fuscoporia obliqua)
(7)タモギタケ(Pleurotus cornucopiae)
(8)マツタケ(Tricholoma matsutake)
(9)エリンギ(Pleurotus eryngii)
(10)ブナハリタケ(Mycoleptodonoides aitchisonii)
(11)ハタケシメジ(Lyophyllum decastes)
(12)カンゾウタケ(Fistulina hepatica)
(13)シロアギタケ(Pleurotus nebrodensis)
(14)ツリガネタケ(Fomes fomentarius)
(15)ムキタケ(Hoenbuehelia serotina)
(16)ヤケコゲタケ(Inonotus hispidus)
(17)カワリハツ(Russula cyanoxantha)
(18)冬虫夏草(Cordyceps militalis)
(19)クリタケ(Naematoloma sublateritium)
【請求項2】
キノコ菌糸体由来物質が、キノコ菌糸体の熱水抽出物である請求項1に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項3】
キノコが、カバノアナタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項4】
キノコが、ハナビラタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項5】
キノコが、ハタケシメジである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項6】
キノコが、エリンギある請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項7】
キノコが、ブナハリタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項8】
キノコが、マツタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項9】
キノコが、カラカサタケモドキである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項10】
キノコが、ホンシメジである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項11】
キノコが、シロアギタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項12】
キノコが、マイタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項13】
キノコが、ヤマブシタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項14】
キノコが、カンゾウタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項15】
キノコが、タモギタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項16】
キノコが、ツリガネタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項17】
キノコが、ムキタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項18】
キノコが、ヤケコゲタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項19】
キノコが、カワリハツである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項20】
キノコが、冬虫夏草である請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤
【請求項21】
キノコが、クリタケである請求項1又は請求項2に記載する糖類分解酵素阻害活性剤。
【請求項22】
前記請求項1から請求項21に記載する糖類分解酵素阻害活性剤を含有することを特徴とする健康食品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−347960(P2006−347960A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176664(P2005−176664)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(500003176)
【出願人】(500003165)
【Fターム(参考)】