説明

糞尿処理材及び該糞尿処理材を備える糞尿処理装置

【課題】本発明は、補充・交換の必要が無く、糞尿の生分解能力が大幅に改善された新規なバイオ・トイレ用の糞尿処理材を提供することを目的とする。また、本発明は、糞尿の生分解性能を維持しつつ、よりコンパクト化された新規なバイオ・トイレを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明においては、従来のバイオ・トイレにおいて微生物担体として用いられてきたおが屑に代わって、炭化物を採用し、さらに好気性微生物を添加したものを糞尿処理材とする。炭化物は、おが屑のように微生物によって自身が生分解されることがないため、半永久的に交換が不要であるということに加え、その微細多孔構造による優れた調湿作用および通気性により、好気性微生物の繁殖およびその生分解反応を促進するのに好適な水分条件および好気条件を実現することができるため、おが屑を用いた場合に比べて体積あたりの糞尿の生分解能力が格段に増大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糞尿処理材に関し、より詳細には、炭化物の粉粒体材料を主成分とする糞尿処理材及び該糞尿処理材を備える糞尿処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、下水道区域内においてその設置が義務づけられている水洗トイレは、使用に際して膨大な量の水を消費するシステムであり、家庭用水使用量のうち、水洗トイレの使用量は、全体の20%以上を占めると言われている。加えて、水洗トイレに排泄された糞尿は、下水道を介して下水処理場に運ばれ、そこで処理水となって河川に放流されるが、この放流水に含まれる大量の窒素及びリンが河口付近の富栄養化を引き起こす原因になる等、既存の水洗トイレを前提としたシステムは、環境への負荷が大きい。
【0003】
この点につき、排泄された糞尿を微生物の力によってその場で分解・処理する自律分散型のトイレ・システム、いわゆる「バイオ・トイレ」が注目されている。ここで、従来のバイオ・トイレの機構について以下、簡単に説明する。まず、排泄された糞尿は、逐次、おが屑が貯留された処理槽に導入され、おが屑とともに撹拌・混合される。その際、おが屑は、糞尿に含まれる水分を適宜、吸収・保持・蒸発させるとともに、糞便内に生息していた腸内細菌をはじめとする各種分解細菌の繁殖環境として機能し、当該繁殖した細菌によって糞尿が水と二酸化炭素に生分解される。このように、バイオ・トイレは、既存の水洗トイレ・システムに比較した場合、上下水道を必要としないため設置場所を選ばず、また、その場で糞尿を完全に生分解することができるため周囲環境への負荷がないという点で優れているということができる。特開平8−290988号公報は、上述したバイオ・トイレの一実施形態について開示する。
【0004】
しかしながら、従来のおが屑を細菌の繁殖媒体として用いるバイオ・トイレには以下に挙げる問題点があった。まず、通常の排泄量を処理するためには、大量のおが屑
が必要となるため、おが屑を貯留する処理槽の大型化が不可避であった。また、おが屑自体が細菌により生分解されることに伴って、徐々に塊状になり流動性を失うため、これを強制的に撹拌するための機構は大がかりなものとならざるを得なかった。さらに、おが屑自体の生分解に伴って、塊状内部は嫌気的になり、またその糞尿分解能力は経時的に低下し、これに伴って、アンモニア臭や発酵臭が発生することがあった。そのため、年に2〜3回は、おが屑を交換する必要があり、ランニング・コストがかかるという問題があった。
【特許文献1】特開平8−290988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、補充・交換の必要が無く、糞尿の生分解能力が大幅に改善された新規なバイオ・トイレ用の糞尿処理材を提供することを目的とする。また、本発明は、糞尿の生分解性能を維持しつつよりコンパクト化された新規なバイオ・トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、新規な糞尿処理材及び該糞尿処理材を備える新規な糞尿処理装置につき鋭意検討した結果、従来のバイオ・トイレにおいて微生物担体として用いられてきたおが屑に代わって、炭化物を採用し、さらに、好気性微生物を添加することによって、糞尿の生分解能力が大幅に改善されると同時に、当該糞尿処理材を用いることによって、糞尿処理装置の撹拌機構について新規な構成の採用が可能となり、もって、装置のコンパクト化が実現されることを見出し、本発明に至ったのである。
【0007】
すなわち、本発明によれば、好気性微生物と、該好気性微生物の担体としての炭化物の粉粒体材料とを主成分とする糞尿処理材が提供される。本発明において、前記炭化物は、木炭または竹炭とすることができ、炭化温度500℃〜1000℃で炭化したものを用いることが好ましい。また、前記好気性微生物を含有する物質としては、堆肥を用いることができる。前記堆肥は、落ち葉堆肥、家畜糞堆肥、生ゴミ堆肥、木質チップ堆肥からなる群より選択される少なくとも1種の堆肥とすることができ、前記堆肥は、完熟堆肥であることが好ましい。本発明においては、糞尿処理材は、さらにリン酸塩成分を含むことができる。
【0008】
また、本発明によれば、上述した糞尿処理材が充填された処理槽を備える糞尿処理装置であって、前記処理槽の内部に前記糞尿処理材を撹拌するための撹拌部材を備え、前記撹拌部材は、揺動運動によって前記糞尿処理材を撹拌する糞尿処理装置が提供される。前記処理槽は、前記糞尿処理材が充填される半円柱形状の空間を備え、前記撹拌部材は、前記半円柱形状と同心円の円弧の形状に合わせて湾曲して形成された底面部を備え、前記底面部は、前記空間の半円柱形状と同心円周上を揺動運動するものとすることができる。また、本発明においては、前記撹拌部材は、複数の撹拌子を備えることができ、前記底面部の外周面にブラシ状の部材を固設することができ、さらに、前記底面部に加温機構を備えることができる。
【発明の効果】
【0009】
上述したように、本発明によれば、補充・交換の必要が無く、糞尿の生分解能力が大幅に改善された新規な糞尿処理材、及び該糞尿処理材を備え、糞尿の生分解性能を維持しつつ、よりコンパクト化された新規な糞尿処理装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。
【0011】
本発明においては、従来のバイオ・トイレにおいて微生物担体として用いられてきたおが屑に代わって、炭化物を主成分とする材料を採用することを特徴とする。炭化温度500℃〜1000℃で炭化した炭化物は、おが屑のように微生物によって自身が生分解されることがないため、半永久的に交換が不要であるということに加え、使用が進むに従って塊状になるというようなことがなく、常に、その流動性が保持されるため、好気条件が確保され、また撹拌における負荷を低減しうるという利点を有する。また、炭化物は、その微細多孔構造による優れた調湿作用および通気性を備えており、好気性微生物の繁殖およびその生分解反応を促進するのに好適な水分条件および好気条件を実現することができるため、おが屑を用いた場合に比べて、微生物の存在量に対応したアデノシン三リン酸(ATP)濃度が数倍から数十倍高く、体積あたりの糞尿の生分解能力が格段に増大する。よって、本発明においては、嫌気性の腐敗菌による生分解に伴う腐敗臭の発生が抑制されるとともに、より少ない量の媒体でおが屑と同等の効果が得られるため、処理槽を小型化することが可能となる。さらに、炭化物は、その優れた吸着作用によってアンモニア臭などの悪臭を消臭するという効果を奏する。
【0012】
本発明における炭化物は、木炭または竹炭などを用いることができ、これらを粉粒体としたものを微生物担体として用いることが好ましい。また、本発明における炭化物は、炭化温度500℃〜1000℃で炭化したものを用いることが好ましい。高温で炭化された炭化物は、無機化された炭素が多くなり、微生物により炭化物自身が生分解されることがないためである。
【0013】
さらに本発明においては、糞尿の生分解能力を増強するため、微生物担体である炭化物に対して好気性微生物を別途添加することが好ましい。本発明において添加する好気性微生物は、糞尿の生分解能力を備えるものであれば特に限定するものではない。本発明においては、上述した好気性微生物の添加を、該好気性微生物を含有する物質の添加によって行なうことができ、例えば、落ち葉堆肥、家畜糞堆肥、生ゴミ堆肥、木質チップ堆肥などに代表される堆肥を炭化物に対して配合することによって行なうことができる。なお、配合する堆肥としては、処理槽内でさらなる生分解が進行することのない完熟堆肥を用いることが好ましい。
【0014】
さらに加えて、本発明においては、糞尿の生分解能力をより増強するため、微生物担体である炭化物に対して、K3PO4、Ca3(PO4)2、MgPO4
などのリン酸塩を添加することが好ましい。以上、本発明の糞尿処理材について説明してきたが、次に、本発明の糞尿処理材を採用した新規なバイオ・トイレについて、以下説明する。
【0015】
従来の糞尿処理材としておが屑を用いるバイオ・トイレにおいては、処理槽内部に、その長手方向に貫き、羽根状(または、スクリュー状)の突起部材が配設されたシャフトを備えており、当該シャフトを回転させることによって、おが屑を撹拌していた。当該構成は、自身の生分解によって経時的に塊状化することが避けられないおが屑を強制的に撹拌するための構成としては一定の理があったが、一方で、突起部材と処理槽の内壁の間に必然的に隙間が生じ、当該隙間の部分に滞留するおが屑が撹拌されないまま固化してしまうという問題や、処理槽内部を貫いてシャフトが定置的に存在することに伴って、糞便がシャフトに定常的に付着したまま生分解されないことにより、シャフトの腐食・破損を引き起こすという問題、さらには、おが屑の合間からスクリュー状の突起物が回転している様子が使用者に見えてしまうことによって、使用者が心理的圧迫感を覚えるという問題があった。
【0016】
この点につき、本発明のバイオ・トイレは、流動性の高い炭化物の粉粒体材料を主成分とする糞尿処理材を採用したことによって、その撹拌機構について新規な構成を採用しうるに至ったのである。以下、本発明のバイオ・トイレにおける新規な撹拌機構について、図1〜図3を参照しながら以下説明する。
【0017】
図1は、本発明のバイオ・トイレおよびその撹拌機構について示す。図1(a)は、本発明のバイオ・トイレ10の外観を示す。本発明のバイオ・トイレ10においては、長方体形状の筐体部12の上面に直付式の便座14が配置されて構成され、便座14の両脇には使用時の安定を考慮して手すり16が配設されている。筐体部12の内部には、破線で示す処理槽18が収納されており、筐体部12の側面側には後述する撹拌部材を駆動するための電気モータなどの動力源20が設けられている。なお、上述した、筐体部12、便座14、および手すり16の構成は、既存のバイオ・トイレに採用されている構成を適用したものであって、本発明の技術思想はこれらの構成によって限定されるものでなく、備え付ける便器の具体的な形状・種類、筐体部の形状などは適宜選択することができ、また、処理槽18内部に負圧を生じさせるための排気機構などを適宜設けることができる。
【0018】
図1(b)は、処理槽18のみを抜き出して示す。処理槽18は、略半円柱形状とされており、その上面18aには、便座14に対応する位置に開口22が形成され、この開口22から糞尿が処理槽18の内部に導入されるように構成されている。また、処理槽18の側面の動力源20に対応する位置には、後述する撹拌部材に動力を伝達するための回転軸24が突出している。さらに、図1(c)は、説明の便宜のため、処理槽18の内部を切り欠いて示す。図1(c)に示すように、処理槽18の下側は、半円柱形状の収容空間を備えており、当該収容空間に本発明の糞尿処理材が充填される。また。処理槽18の内壁側面18s,18sには、撹拌部材26が回転軸24を中心に図中の矢印方向に揺動自在に固定されている。
【0019】
図2は、本発明のバイオ・トイレにおいて採用される撹拌部材26を示す。撹拌部材26は、略扇状の側面部26s,26sと、側面部26s,26sの円弧の形状に合わせて形成された湾曲した底面部26tを含んで構成されており、側面部26s,26sの円弧側に、湾曲した底面部26tが固着されてなる基本構造に対して、複数の棒状部材からなる撹拌子28が配設されている。図2に示す実施形態においては、側面部26s,26sの間に架設する形で格子状の撹拌子28aが設けられ、さらに、複数の棒状の撹拌子28bが底面部26tに対して略垂直方向に突設されている。本実施形態においては、撹拌部材26が図中の矢印方向に揺動運動することに伴って、処理槽に充填された糞尿処理材が撹拌子28a,28bによって撹拌される。なお、本発明においては、撹拌子を図2に示す構成に限定するものではなく、種々の設計変更が可能である。
【0020】
なお、細菌による糞尿の生分解反応は、50〜60℃の温度条件下で促進されるため、処理槽内部を所定温度に保持するための加温機構を備えることが好ましい。本発明のバイオ・トイレにおいては、上述した撹拌部材26に加温機構を設けることができる。図2(b)は、加温機構を備える撹拌部材26を示す。なお、図2(b)においては、説明の便宜のため、撹拌子を除外して示している。図2(b)に示す実施形態においては、撹拌部材26の底面部26tに加温機構30が埋設されている。本発明においては、加温機構30を電熱線などの電気抵抗を含むヒーターなどによって実現することができる。なお、図2(b)に示す実施形態においては、加温機構30は、回転軸24、側面部26sなどを介して配線された電線32によって電力を供給されるように構成されている。
【0021】
図3は、本発明のバイオ・トイレの処理槽18に充填された糞尿処理材34が撹拌部材26の揺動運動によって撹拌される態様を示す。図3においては、説明の便宜のため、処理槽18を側面から透視して示す。図3(a)に示されるように、側面部26sの円弧は、処理槽18の下側の収容空間の半円柱形状と同心円の円弧として形成されており、底面部26tは、側面部26sの円弧の形状に合わせて湾曲して形成されているため、撹拌部材26は、処理槽18の内壁面に接触することなく揺動運動することができる。なお、図3(a)において、破線の囲んだ部分の拡大図を紙面右側に実線で囲んで示す。図3(a)右側に実線で囲んで示すように、本実施形態においては、底面部26tの外周面に可撓性の材質からなるブラシ状の部材36を固着することができる。このように構成することによって、処理槽18の内壁面と底面部26tの外周面の間に形成された隙間gに入り込んだ糞尿処理材34は、ブラシ状の部材36によって掻き出されるので、糞尿処理材34が隙間gに滞留することが防止される。
【0022】
図3(a)〜(c)に示されるように、撹拌部材26が図中の矢印方向に揺動することによって、糞尿処理材34はまんべんなく撹拌される。このような揺動運動のみで充分な撹拌効果を得るためには、糞尿処理材が高い流動性を備えていることが前提となるが、すでに上述したように、本発明の糞尿処理材34は、流動性の高い炭化物の粉粒体材料を主成分とし、また、含水等によって塊状化することがないため、本機構によって、細菌の生分解反応を維持するために必要十分な撹拌が好適に実現される。また、本機構によれば、揺動運動によって撹拌を行なうため、従来のスクリュー撹拌に比較して撹拌ムラがないことに加え、使用者に心理的な圧迫感を与えることが無く、また、稼働部の高さ方向の稼働範囲Hが低減されるため、処理槽18をコンパクト化することが可能となる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明のバイオ・トイレについて、実施例を用いてより具体的に説明を行なうが、本発明は、後述する実施例に限定されるものではない。
【0024】
(実施例1)
本発明の糞尿処理材が処理槽に充填されたバイオ・トイレを、一日あたり数名から数十名の利用が見込まれる環境に10ヶ月にわたって設置した。バイオ・トイレの100リットルの処理槽に50kgの粉炭を投入した。用いた粉炭は、炭化温度600℃〜700℃の竹炭であり、その粒径は100μm〜数mmであった。さらに、この処理槽内の粉炭に対し、完熟した落葉堆肥5kgを添加した。なお、実験期間中、処理槽内の温度を50−60℃に保持し、処理槽内の内容物の含水率が50−60%になるように調整した。また、処理槽内の好気性条件を保持すべく、処理槽内部が、トイレ使用直後に撹拌され、また使用の有無にかかわらず所定時間おきに定期的に撹拌されるように構成した。
【0025】
10ヶ月にわたる実験期間において、トイレに排泄された糞尿は、完全に生分解していることが認められた。また、粉炭を主成分とする媒体は、最後までさらさらの状態を保っており、交換・補充の必要がなかった。また、定期的にトイレの排気中のアンモニア濃度を検知管により測定した結果、測定されたアンモニア濃度は、0−数ppmであった。
【0026】
(実施例2)
処理槽内の粉炭に対し、さらに、K3PO4を1kg添加した以外は、実施例1について上述したのと同様の条件で実験を行なった。10ヶ月にわたる実験期間において、排泄された糞尿が完全に生分解していることが認められ、粉炭を主成分とする媒体は、実施例1と同様に、最後までさらさらの状態を保っており、交換・補充の必要がなかった。また、定期的にトイレの排気中のアンモニア濃度を検知管により測定した結果、測定されたアンモニア濃度は、0−1ppmであり、アンモニア濃度が若干低減したことが認められた。
【0027】
(比較例)
従来のおが屑が処理槽に充填されたバイオ・トイレを、一日あたり数名から数十名の利用が見込まれる環境に10ヶ月にわたって設置した。バイオ・トイレの100リットルの処理槽に50kgのおが屑を投入した。実験中、処理槽内の温度を50−60℃に保持し、処理槽内の内容物の含水率が50−60%になるように調整した。また、処理槽内の好気性条件を保持すべく、処理槽内部が、トイレ使用直後に撹拌され、また使用の有無にかかわらず所定時間おきに定期的に撹拌されるように構成した。
【0028】
10ヶ月にわたる実験期間において、定期的にトイレの排気中のアンモニア濃度を検知管により測定した結果、測定されたアンモニア濃度は、数−数十ppmと比較的高い値を示した。さらに、実験期間の途中、処理槽内でおが屑が塊状になり、撹拌に支障を来たした。また、実験期間中、おが屑の量が経時的に減少したため、3〜4ヶ月に1回の頻度でおが屑を20kg程度補充する必要があった。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上、説明したように、本発明によれば、補充・交換の必要が無く、糞尿の生分解能力が大幅に改善された新規な糞尿処理材、及び該糞尿処理材を備え、糞尿の生分解性能を維持しつつ、よりコンパクト化された新規な糞尿処理装置が提供される。本発明は、観光地、キャンプ場、イベント会場、工事現場、または介護現場などに設置される仮設トイレとしての応用展開が期待される。また、微生物の担体としての炭化物の粉粒体は、基本的には劣化することがないため、長期の保存性が良い。そのため、災害時の簡易トイレとしての用途も期待される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のバイオ・トイレおよびその撹拌機構について示す図。
【図2】本発明のバイオ・トイレにおいて採用される撹拌部材を示す図。
【図3】本発明のバイオ・トイレにおいて、糞尿処理材が撹拌部材の揺動運動によって撹拌される態様を示す図。
【符号の説明】
【0031】
10…バイオ・トイレ、12…筐体部、14…便座、16…手すり、18…処理槽、20…動力源、22…開口、24…回転軸、26…撹拌部材、28…撹拌子、30…加温機構、32…電線、34…糞尿処理材、36…ブラシ状の部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
好気性微生物を含有する物質と、該好気性微生物の担体としての炭化物の粉粒体材料とを主成分とする糞尿処理材。
【請求項2】
前記炭化物は、木炭または竹炭である、請求項1に記載の糞尿処理材。
【請求項3】
前記炭化物は、炭化温度500℃〜1000℃で炭化したものである、請求項1または2に記載の糞尿処理材。
【請求項4】
前記好気性微生物を含有する物質は、堆肥である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の糞尿処理材。
【請求項5】
前記堆肥は、落ち葉堆肥、家畜糞堆肥、生ゴミ堆肥、木質チップ堆肥からなる群より選択される少なくとも1種の堆肥である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の糞尿処理材。
【請求項6】
前記堆肥は、完熟堆肥である、請求項5に記載の糞尿処理材。
【請求項7】
さらにリン酸塩成分を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の糞尿処理材。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の糞尿処理材が充填された処理槽を備える糞尿処理装置であって、
前記処理槽の内部に前記糞尿処理材を撹拌するための撹拌部材を備え、
前記撹拌部材は、揺動運動によって前記糞尿処理材を撹拌する、
糞尿処理装置。
【請求項9】
前記処理槽は、前記糞尿処理材が充填される半円柱形状の空間を備え、前記撹拌部材は、前記半円柱形状と同心円の円弧の形状に合わせて湾曲して形成された底面部を備え、前記底面部は、前記空間の半円柱形状と同心円周上を揺動運動する、請求項8に記載の糞尿処理装置。
【請求項10】
前記撹拌部材は、複数の撹拌子を備える、請求項8または9に記載の糞尿処理装置。
【請求項11】
前記撹拌部材は、前記底面部の外周面にブラシ状の部材が固設された、請求項8〜10のいずれか1項に記載の糞尿処理装置。
【請求項12】
前記撹拌部材は、前記底面部に加温機構を備える、請求項8〜11のいずれか1項に記載の糞尿処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−183819(P2009−183819A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24300(P2008−24300)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(800000080)タマティーエルオー株式会社 (255)
【Fターム(参考)】