説明

糸巻取方法及び糸巻取装置

【課題】糸継ぎ後の巻取再開時等においても糸層の密度を一定にでき、糸解舒性や染色性を高めたり綾外れを防止できる糸巻取方法を提供する。
【解決手段】 トラバースガイド11のトラバース速度及びトラバース反転位置を制御するトラバース制御部46のクリーピング制御手段71は、糸の巻取速度が目標巻取速度で一定とされる定常巻取時には、糸巻取進行に従ってトラバース幅を脈動的に変化させるクリーピング制御を行う。一方、糸継装置14での糸継作業完了後の加速巻取時には、クリーピング制御手段71によるクリーピング制御が前記定常巻取時と異なるように、加速巻取時クリーピング制御変更手段72によって制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸をトラバースガイドで綾振りしながらボビンに巻き取る糸巻取方法及び糸巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の糸巻取方法としては、例えば特許文献1に開示されるものがある。この特許文献1の糸巻取方法では、巻始めから巻終りまで、糸巻取進行に伴ってトラバース幅を脈動的に変化させるクリーピング制御を行うことが開示されている。
【特許文献1】特開2004−196459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1では、巻取ボビンに糸を巻き取り始める時期に、巻取速度を予め設定された設定巻取速度まで加速させることも、この巻取速度の加速に伴ってトラバース速度を加速させることも開示されていない。
【0004】
ここで、糸巻取装置としては、仮撚加工機等のように、設定巻取速度にて糸を巻取ボビンに巻き取り始めるものと、自動ワインダ等のように、巻取速度をゼロ速度から設定巻取速度まで加速しながら糸を巻取ボビンに巻き取り始めるものとがある。ここで前者の場合、巻始めから定常巻取(設定巻取速度での糸巻取)が行われるため、特許文献1の技術を適用しても問題はない。
【0005】
一方で、後者の場合、巻始めには定常巻取と異なる加速巻取が行われる。この加速巻取時は、定常巻取時とトラバース速度が異なるため、トラバース幅が定常巻取時と異なる。このため、前記特許文献1の技術をそのまま適用すると、加速巻取時に定常巻取時と異なる巻密度の部分ができ、パッケージ完成後に糸を解舒するとき、あるいは染色するときに問題となる。特に糸継装置を備えた自動ワインダでは、糸継動作が行われる度に加速巻取が行われるので、上記の問題は大きい。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の第1の観点によれば、以下のような糸巻取方法が提供される。即ち、糸巻取用の巻取ボビンを回転駆動するとともに、糸をトラバースガイドで綾振りながら前記巻取ボビンへ糸を巻き取るものであって、前記トラバースガイドを移動させるためのモータが、前記巻取ボビンを回転駆動するモータとは切り離されて駆動される糸巻取装置を用いて、糸を前記巻取ボビンに巻き取る。糸巻取進行に従ってトラバース幅を脈動的に変化させるようにトラバース反転位置を制御するクリーピング制御を行う。このクリーピング制御を加速巻取時に定常巻取時と異ならせる。
【0008】
ここで、上記の「クリーピング制御を異ならせる」とは、クリーピング制御の程度を変える場合や、クリーピング制御を禁止することにより異ならせる場合が考えられる。これは以降でも同様である。
【0009】
この方法により、糸層の端部が高密度になって他よりも硬くなり又は盛り上がってしまうことをクリーピング制御により防止することができる。また、巻き密度の不均一な部分がパッケージに生じることを防止することができる。
【0010】
ここで、前記クリーピング制御を異ならせることとしては、加速巻取時に前記クリーピング制御を禁止することが考えられる。
【0011】
この場合、加速巻取時にクリーピングを行わないとの単純な制御で変更することにより、巻き密度を均一化できる。
【0012】
あるいは、前記クリーピング制御を異ならせることとしては、前記クリーピング制御の程度を変えることが考えられる。ここで、「クリーピング制御の程度を変える」とは、例えば、前記クリーピング制御の頻度又はクリーピングの幅の少なくとも何れか一方を変えることが考えられる。これは以降においても同様である。
【0013】
この場合、加速巻取時のクリーピングを禁止するよりもクリーピングの度合いのキメ細かい制御が可能であり、巻き密度が均一となるようにパッケージの品質を一層精度良くコントロールすることができる。
【0014】
前記の糸巻取方法においては、前記糸巻取装置が、糸切断時又は糸切れ時において、糸の巻取再開のために巻取ボビン側の糸と給糸側の糸とを糸継ぎする糸継装置を備えることが好ましい。
【0015】
このように糸巻取装置に糸継装置を備える構成においては、糸継装置での糸継作業、及びその後の加速巻取が頻繁に発生する。従って、加速巻取時にクリーピング制御を異ならせる上記の糸巻取方法を適用することが、パッケージの品質向上に特に有用である。
【0016】
前記の糸巻取方法においては、前記加速巻取時に前記トラバースガイドのトラバースストロークを狭めるように制御することが好ましい。
【0017】
即ち、上記の制御は巻き密度の不均一の原因になるが、上記の方法により、加速巻取時のテンション変動による糸の綾落ちを防止することができ、加速巻取時のクリーピング変更により巻き密度の均一化が図れるので、品質の良好なパッケージを得ることができる。
【0018】
本発明の第2の観点によれば、以下のような糸巻取装置が提供される。即ち、糸巻取用の巻取ボビンを回転駆動するための巻取ボビン回転駆動モータと、前記巻取ボビンへの糸の巻取りの際にその糸を綾振るためのトラバース装置と、を備える。前記トラバース装置が、糸と係合して糸を綾振りさせるためのトラバースガイドと、前記巻取ボビン回転駆動モータとは切り離されて駆動し、前記トラバースガイドを移動させるためのトラバースガイド駆動モータと、を有する。前記巻取ボビン回転駆動モータ及び前記トラバースガイド駆動モータを制御する制御装置を備える。前記制御装置は、前記巻取ボビン回転駆動モータを速度ゼロから所定の速度まで加速させる巻取加速手段と、トラバース速度及びトラバース反転位置を制御するトラバース制御部と、前記トラバース制御部に備えられ、糸巻取進行に従ってトラバース幅を脈動的に変化させるクリーピング制御を行うクリーピング制御手段と、このクリーピング制御手段による前記クリーピング制御を、加速巻取時に定常巻取時と異ならせることを可能とする加速巻取時クリーピング制御変更手段と、を備える。
【0019】
この構成では、糸層の端部が高密度になって他よりも硬くなり又は盛り上がってしまうことをクリーピング制御により防止することができる。また、加速巻取時に巻き密度の不均一な部分がパッケージに生じることを防止することができる。また、巻取条件によって加速巻取時にクリーピング制御を異ならせたり、異ならせなかったり、柔軟に対応することができる。
【0020】
ここで、加速巻取時クリーピング制御変更手段が前記クリーピング制御を異ならせることを可能とすることとしては、加速巻取時に前記クリーピング制御を行わせることと禁止することとが選択可能になっていることが考えられる。
【0021】
この場合、加速巻取時にクリーピングを行うか行わないかの単純な制御であるので、トラバース制御装置の負担を軽減でき、構成を簡素にできる。また、クリーピングの設定手段の構成も簡素にできる。
【0022】
あるいは、加速巻取時クリーピング制御変更手段が前記クリーピング制御を異ならせることを可能とすることとしては、前記クリーピング制御の程度を変更可能にすることが考えられる。
【0023】
この場合、加速巻取時のクリーピングの有無を単に設定するよりもクリーピングの度合いのキメ細かい制御が可能であり、巻き密度が均一となるようにパッケージの品質を一層精度良くコントロールすることができる。
【0024】
前記の糸巻取装置においては、糸切断時又は糸切れ時において、糸の巻取再開のために巻取ボビン側の糸と給糸側の糸とを糸継ぎする糸継装置を備えることが好ましい。
【0025】
このように糸継装置を備える糸巻取装置においては、糸継装置での糸継作業、及びその後の加速巻取が頻繁に発生する。従って、加速巻取時にクリーピング制御を異ならせることが可能な上記の構成を適用することが、パッケージの品質向上に特に有用である。
【0026】
前記の糸巻取装置においては、前記制御装置は、前記加速巻取時に前記トラバースガイドのトラバースストロークを狭めるように前記トラバースガイド駆動モータを制御する加速巻取時トラバース幅短縮手段を備えることが好ましい。
【0027】
この構成により、加速巻取時のテンション変動による糸の綾落ちを防止することができ、品質の良好なパッケージを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る自動ワインダの糸巻取ユニットを示す正面模式図及びブロック図である。図2はトラバース制御部のクリーピング制御手段によるトラバースガイドの位置の制御例を示すグラフ図である。
【0029】
最初に図1に基づいて、自動ワインダ1の糸巻取ユニット(糸巻取装置)2を説明する。この糸巻取ユニット2は、給糸ボビン3の糸4をトラバース装置5でトラバースさせながら巻取チューブ6に巻き取って糸層を形成し、所定長で所定形状のパッケージ7を形成するものである。図1では糸巻取ユニット2を1台しか図示していないが、このような糸巻取ユニット2が図略の機台上に多数列設されることで、自動ワインダ1が構成されている。
【0030】
なお本明細書では、巻取チューブ6及びパッケージ7を総称して巻取ボビンと呼ぶ。即ち、糸層が形成されていない巻取ボビンが巻取チューブ6であり、糸層が形成された巻取ボビンがパッケージ7である。
【0031】
糸巻取ユニット2は、前記巻取チューブ6を着脱可能に支持するクレードル(巻取ボビン支持部材)8と、前記巻取チューブ6の周面に又はパッケージ7の糸層の周面に接触して従動回転可能な接触ローラ9と、を備えている。前記クレードル8は、前記巻取チューブ6の両端を挟持して回転自在に支持できるように構成されている。また、このクレードル8は揺動軸10を中心に傾動自在に構成されており、巻取ボビン6,7への糸4の巻取りに伴う巻太り(糸層の径の増大)を、クレードル8が揺動することによって吸収できるように構成されている。
【0032】
前記クレードル8の巻取チューブ6を挟持する部分にはパッケージ駆動モータ(巻取ボビン回転駆動装置)41が取り付けられており、このパッケージ駆動モータ41により巻取チューブ6を積極的に回転駆動して糸4を巻き取るように構成されている。パッケージ駆動モータ41のモータ軸は、巻取チューブ6をクレードル8に把持させたときに、当該巻取チューブ6と相対回転不能に連結されるようになっている(いわゆるダイレクトドライブ方式)。このパッケージ駆動モータ41の作動はパッケージ駆動制御部42により制御され、このパッケージ駆動制御部42はユニット制御部50からの信号を受けて前記パッケージ駆動モータ41の運転/停止を制御するように構成している。
【0033】
また、前記クレードル8にはパッケージ回転速度センサ43が取り付けられており、このパッケージ回転速度センサ43は、クレードル8に取り付けられた巻取ボビン6,7の回転速度(巻取チューブ6に形成された糸層7の回転速度)を検出するように構成している。この巻取ボビン6,7の回転速度検出信号は、パッケージ回転速度センサ43から、前記パッケージ駆動制御部42や前記ユニット制御部50へ送信される。更に、前記回転速度検出信号は、後述するトラバース制御部46へも入力される。
【0034】
また、前記クレードル8にはロータリエンコーダ等からなるパッケージ径センサ(径センサ)44が取り付けられており、このパッケージ径センサ44は、クレードル8に取り付けられた巻取チューブ6に糸4を巻き取って形成される糸層(パッケージ7)の径を、クレードル8の揺動角を検出することで検出できるように構成されている。パッケージ径センサ44で取得された糸層7の径は、ユニット制御部50へ送信されるとともに、ユニット制御部50からパッケージ駆動制御部42へ転送される。
【0035】
前記ユニット制御部50は糸巻取ユニット2毎に備えられており、このユニット制御部50には上位制御コントローラ51が接続されている。この上位制御コントローラ51は、自動ワインダ1において列設される複数の糸巻取ユニット2・2・・・を統括して制御するものである。この上位制御コントローラ51には設定器(設定手段)52が設けられている。この設定器52を用いることで、例えば後述の目標巻取速度WSや、設定綾角や、巻取を再開するときの加速巻取時にクリーピング制御を行うか否か(加速クリーピングモードのオン・オフ)等を設定できるように構成されている。
【0036】
前記接触ローラ9の近傍には前記トラバース装置5が設けられており、このトラバース装置5によって、糸4が綾振りされながらパッケージ7に巻き取られるようになっている。このトラバース装置5は、トラバース方向に往復移動自在に設けられたトラバースガイド(糸ガイド)11と、このトラバースガイド11を往復駆動するトラバースガイド駆動モータ45と、を備えている。
【0037】
前記トラバース装置5は、支軸まわりに旋回可能に構成した細長状のアーム部材13の先端に前記トラバースガイド11をフック状に設けるとともに、このアーム部材13を前記トラバースガイド駆動モータ45により図1の矢印のように往復旋回駆動させる構成になっている。本実施形態において前記トラバースガイド駆動モータ45はボイスコイルモータで構成されている。
【0038】
このトラバースガイド駆動モータ45の作動はマイクロコンピュータ式のトラバース制御部46により制御され、このトラバース制御部46はユニット制御部50からの信号を受けて前記トラバースガイド駆動モータ45の運転/停止を制御するように構成している。また、トラバース装置5はロータリエンコーダ等からなるトラバースガイド位置センサ47を備えており、アーム部材13の旋回位置(ひいては、トラバースガイド11の位置)を検出して、位置信号を前記トラバース制御部46へ送信できるように構成されている。
【0039】
なお、本実施形態では図1に示すように、巻取チューブ6を駆動するパッケージ駆動モータ41と、トラバースガイド11を駆動するトラバースガイド駆動モータ45とは、別々に設けられており、巻取ボビン6,7とトラバースガイド11とは別個独立に駆動(制御)されるように構成されている。これにより、巻取チューブ6への糸4の巻取りの際に、プレシジョン巻、ステッププレシジョン巻、ランダム巻等、多種多様な巻き方を実現することができる。
【0040】
図2には、前記トラバース制御部46によるトラバースガイド11の制御例が、横軸にトラバースガイド11の位置、縦軸に時間をそれぞれとったグラフとして示されている。この図2に示すようにトラバース制御部46は、通常は、最大トラバース幅(設定トラバースストローク)となるようにトラバースガイド11を往復駆動制御する。なお、この最大トラバース幅が、ほぼパッケージ7の巻幅に相当する。また、図2に示す傾き角度θはトラバース速度に相当し、図2に示すように、本実施形態では、定常巻取時(目標巻取速度で糸を巻き取っている時)、トラバース速度は一定とされる。これにより、綾角一定の巻取が実現されている。
【0041】
そしてトラバース制御部46(後述のクリーピング制御手段71)は、所定の時間周期(クリーピング周期)毎に、トラバースガイド11のトラバースストロークを脈動的に狭めるようにトラバースガイド駆動モータ45を制御する。このように本実施形態の自動ワインダ1の糸巻取ユニット2では、糸巻取進行に従ってトラバース幅を脈動的に変化させる所謂クリーピング制御が行われており、これによって、形成されるパッケージ7の耳高を防止し、良好な形状のパッケージ7を得ることができる。
【0042】
なお、図2のクリーピング制御は糸の巻取速度が目標巻取速度で一定のとき(定常巻取時)のものであって、加速巻取時、即ちゼロ速度から前記目標巻取速度へ加速されるときは、トラバースガイド11を図2とは異なったパターンで駆動することもできるようになっている。詳細は後述する。
【0043】
前記糸巻取ユニット2は、給糸ボビン3から接触ローラ9へ至る糸走行経路中に、給糸ボビン3側から順に、テンション付与装置25、糸継装置14、及びヤーンクリアラ(糸監視器)15を配設した構成となっている。
【0044】
テンション付与装置25は、走行する糸4に所定のテンションを付与するためのものである。本実施形態のテンション付与装置25としては、固定櫛歯26に対して可動櫛歯27を旋回可能に配置するゲート式のものが用いられている。この可動櫛歯27の旋回は、ロータリー式のソレノイド28によって行われる。このソレノイド28は前記ユニット制御部50に電気的に接続される。
【0045】
糸継装置14は、ヤーンクリアラ15が糸欠陥を検出して行う糸切断時、又は給糸ボビン3からの糸解舒中の糸切れ時に、給糸ボビン3側の下糸と、パッケージ7側の上糸とを糸継ぎするように構成されている。
【0046】
また、ヤーンクリアラ15は糸4の太さ欠陥を検出するためのものであって、ヤーンクリアラ15の検出部の部分を通過する糸4の太さを適宜のセンサで検出し、このセンサからの信号をアナライザ23で分析することで、スラブ等の糸欠陥を検出するように構成されている。このヤーンクリアラ15には、糸欠陥を検出した時に直ちに糸4を切断するためのカッタ16が付設されている。
【0047】
糸継装置14の下側と上側には、給糸ボビン3側の下糸を吸引捕捉して案内する下糸捕捉案内手段17と、パッケージ7側の上糸を吸引捕捉して案内する上糸捕捉案内手段20が設けられている。上糸捕捉案内手段20はパイプ状に構成されており、軸21を中心に上下回動可能に設けられるとともに、その先端側にマウス22を設けている。同様に下糸捕捉案内手段17もパイプ状に構成されており、軸18を中心に上下回動可能に設けられるとともに、その先端側には吸引口19を設けている。上糸捕捉案内手段20及び下糸捕捉案内手段17には適宜の負圧源が接続されており、先端のマウス22及び吸引口19に吸引作用を生じさせるようになっている。
【0048】
以上のようにして本実施形態の自動ワインダ1が構成されており、この構成において制御装置63は、上位制御コントローラ51(設定器52)、ユニット制御部50、パッケージ駆動制御部42、及びトラバース制御部46を少なくとも含んで構成されている。
【0049】
次に、上記の自動ワインダ1における、ユニット制御部50及びパッケージ駆動制御部42、トラバース制御部46の制御について、図3等を参照して説明する。図3はトラバース制御部での制御を示すフローチャート図である。図4は、巻取再開後の巻取速度とトラバースガイドの位置を、加速クリーピングモードのオフ/オンの場合のそれぞれについて示すグラフ図である。
【0050】
本実施形態において、前記パッケージ駆動制御部42やトラバース制御部46はマイクロコンピュータ式に構成されて、図示しない演算手段としてのCPUや、記憶手段としてのROM、RAMや、計時手段としてのタイマ回路等を備えている。また、ユニット制御部50も同様に図略のCPUやROM、RAM、タイマ回路等を備えている。
【0051】
トラバース制御部46の前記ROMには、当該トラバース制御部46が備えるCPU等のハードウェアを、クリーピング制御手段71、加速巻取時クリーピング制御変更手段72、及び、加速巻取時トラバース幅短縮手段73等として動作させるための制御ソフトウェアが記憶されている。
【0052】
また、ユニット制御部50の前記ROMには、当該ユニット制御部50が備えるCPU等のハードウェアを、巻取加速手段53及び付加テンション制御手段54等として動作させるための制御ソフトウェアが記憶されている。
【0053】
ここで前記設定器52では、糸4の目標巻取速度WSや、設定綾角や、巻取テンションや、巻始めから前記目標巻取速度WSまでの速度上昇曲線のパラメータ等を設定できるように構成されている。各糸巻取ユニット2のユニット制御部50は、上記の設定情報を、前記上位制御コントローラ51から受信する。
【0054】
ここで、速度上昇曲線とは、例えば空の巻取ボビン(巻取チューブ6)に糸を巻き始める際や、糸継装置14による糸継後等の加速巻取時に、巻取速度をゼロから上記目標巻取速度WSまでどのように上昇させるかを表す曲線である。図4の上側のグラフには速度上昇曲線の例が示され、この例では、上記加速巻取時において巻取速度はゼロから目標巻取速度WSまで直線的に増加する。ただし、図4の上側のグラフのように直線的に上昇することに限定されず、例えば、折れ線や、放物線のようなカーブを描いて上昇するように設定することも可能である。設定器52で設定可能なパラメータとしては、例えば、速度ゼロから目標巻取速度へ到達するまでの時間T0や、巻取速度の上昇の傾き等である。
【0055】
図1に示す前記巻取加速手段53はパッケージ駆動制御部42に信号を送り、加速巻取時の巻取速度を、設定された前記速度上昇曲線に従って速度ゼロから目標巻取速度WSまで上昇させる制御を行う。また、付加テンション制御手段54は、例えば前記加速巻取時において糸4が緩むことのないように、糸4への付与テンションを連続的に変化させるようにテンション付与装置25を制御する。
【0056】
また前記設定器52では、前記加速巻取時に前述のクリーピング制御を行うか(加速クリーピングモード−オン)、行わないか(加速クリーピングモード−オフ)についても設定できるようになっており、この加速クリーピングモードのオン/オフの設定情報をトラバース制御部46がユニット制御部50を介して取得できるように構成されている。
【0057】
そして、パッケージ駆動制御部42は、前記パッケージ径センサ44から得られたパッケージの径(巻取チューブ6に糸4を巻き取って形成される糸層7の直径)Dと、目標巻取速度WSから、公知の式を用いて必要回転速度Bを求め、当該回転速度Bで巻取ボビン6,7を駆動するようにパッケージ駆動制御部42を制御する。この結果、巻取速度は上記の目標巻取速度WSで一定となるよう制御され、定常巻取が実現される。
【0058】
また、トラバース制御部46は、上記の目標巻取速度WSや、パッケージの径Dや、巻取ボビン6,7の回転速度Bや、設定綾角WA等に基づいて、公知の式を用いてトラバース速度TSを計算し、当該トラバース速度となるようにトラバースガイド駆動モータ45を制御する。これにより、定常巻取と加速巻取とを問わず、綾角が設定綾角WAで一定となるような巻取が実現される。更にトラバース制御部46のクリーピング制御手段71は、所定のクリーピング周期毎にトラバース幅を狭めるようにトラバースガイドの反転位置を変更する。これにより、トラバース幅を脈動的に変化させ、耳高を防止するとともに、糸層の密度を均一にすることができる。
【0059】
次に、トラバース制御部46での加速巻取時クリーピング制御変更手段72による具体的な制御を、図3のフロー図を用いて説明する。この図3のフローは、例えば巻取チューブ6への巻取開始時や、糸切れ等に応じて糸継装置14による糸継作業を行った後の巻取再開時に、パッケージ駆動モータ41の駆動開始と同時に開始される。
【0060】
このフローでは、先ずS101の処理で、加速クリーピングモードの設定がオンかオフかを調べる。加速クリーピングモードがオフの場合は、S102でクリーピング制御手段71のクリーピング制御を禁止する。そしてS103で、加速巻取中であるか否かを判定する。このS103では、本実施形態では、巻取再開からの経過時間をタイマ回路等で計測するとともに、その計測された時間が、前記設定器52で設定された時間(図4の上側で図示する速度上昇曲線のパラメータとしての時間T0)以内かどうかを判定する。S103で加速巻取中と判定されると、S102に戻ってクリーピング制御の禁止を継続する。
【0061】
加速巻取中でない(即ち、定常巻取時である)ことがS103で判定されると、S104で、クリーピング制御手段71によるクリーピング制御を行わせる。また、前記のS101で加速クリーピングモードがオンであった場合も、S104でクリーピング制御を行わせる。以上で一連のフローは終了する。
【0062】
この図3のフローによって前記加速巻取時クリーピング制御変更手段72が実現されており、加速クリーピングモードがオフのときは、クリーピング制御手段71によるクリーピング制御を、加速巻取時には禁止し、定常巻取時には行わせるようになっている。
【0063】
上記の制御の効果を説明する。即ち、上記の自動ワインダ1において、給糸ボビン3から供給された糸に糸切れが発生した場合や、ヤーンクリアラ15の糸欠点検出に伴う糸切断の際は、巻取チューブ6は直ちに駆動を停止され、パッケージ7の回転が停止する。その後、糸継装置14による糸継作業が行われて、ゼロ速度から目標巻取速度WSまで巻取ボビン6,7を徐々に加速しながら巻き取り始めることになる。図4の上側のグラフには、糸巻取再開時において巻取速度がゼロから徐々に増加していく様子が示されている。
【0064】
一方、図4の下側のグラフには、図3のフローによるトラバースガイドの位置の変化が巻取速度の増加と対応した形で示される。ただし図4は図2と異なり、時間軸が横軸となるように示されている。この図4に示すように、巻取速度がゼロから目標巻取速度WSまで徐々に増加してゆくに従って、トラバース速度はそれに同期して増加してゆくことになる。これにより、綾角一定の巻取りが実現される。このように本実施形態では、加速巻取時にトラバース速度を好適に同期・追従させることで、巻取再開時の綾乱れやリボン巻、不適切な張力での巻取りを防止することができる。
【0065】
なお、図4の上のグラフの右側を参照すれば判るように、巻取ボビン6,7の加速の結果、巻取速度が目標巻取速度WSに達した後は、加速巻取から定常巻取へ移行し、巻取速度は一定となる。図4の下のグラフに示すように、トラバース速度もそれに対応して一定になる。
【0066】
図4の下側のグラフにおいて実線で示されているのは加速クリーピングモードがオフの場合であり、この場合は、巻取速度が目標巻取速度WSで一定になっている定常巻取時にのみクリーピング制御が行われ、巻取速度がゼロから加速している加速巻取時(トラバース速度が加速している時)にはクリーピング制御が禁止される。従って、加速巻取中に糸4の密度を一定に維持することができる。即ち、上記のような加速巻取時に仮にクリーピング制御が行われると、トラバースストロークが狭まることで糸層7の密度の異なる部分ができ、形成されたパッケージ7からの糸4の解舒性が悪化したり、染色ムラを生じたりする。この点、本実施形態では図4のように加速巻取時にはクリーピング制御を行わないモードに設定することで、パッケージ7の糸4の密度を一定にして、パッケージ7の糸解舒性や染色性を向上させることができる。
【0067】
一方、図4の下側のグラフの点線は加速クリーピングモードがオンの場合であり、この場合は、巻取速度が目標巻取速度WSで一定になっている定常巻取時に加え、巻取速度がゼロから加速している加速巻取時(トラバース速度が加速している時)においてもクリーピング制御が行われる。このような制御(加速クリーピングモードがオンの制御)は、例えば滑り易い合繊のような糸種の糸4を巻き取ってパッケージ7を形成する場合に有利である。即ち、このような糸種の糸4では加速巻取中に綾外れが発生し易くなるが、加速巻取中にクリーピングを行うことで、そのような綾外れを抑制できるのである。
【0068】
以上に示すように、本実施形態の自動ワインダ1の糸巻取ユニット2は、糸巻取用の巻取チューブ6を回転駆動するとともに、糸4をトラバースガイド11で綾振りながら糸4を巻き取る。そして前記糸巻取ユニット2は、前記トラバースガイド11を移動させるためのトラバースガイド駆動モータ45が、前記巻取チューブ6を回転駆動するパッケージ駆動モータ41とは切り離されて駆動する構成となっている。そして本実施形態では、この糸巻取ユニット2を用いて、糸巻取進行に従ってトラバース幅を脈動的に変化させるようにトラバース反転位置を制御するクリーピング制御を行い、このクリーピング制御を加速巻取時に定常巻取時と異ならせる方法で糸巻取が行われている。
【0069】
この方法で糸を巻き取ることにより、パッケージ7の糸層の端部が高密度になって他よりも硬くなり又は盛り上がってしまうことをクリーピング制御により防止することができる。また、巻き密度の不均一な部分がパッケージ7に生じることを防止し、糸解舒性や染色性を向上させることができる。
【0070】
言い換えれば、前記糸巻取ユニット2は、前記パッケージ駆動モータ41及び前記トラバースガイド駆動モータ45を制御する制御装置63を備える。この制御装置63は、前記パッケージ駆動モータ41を速度ゼロから所定の速度まで加速させる巻取加速手段53と、トラバース速度及びトラバース反転位置を制御するトラバース制御部46と、前記トラバース制御部46に備えられ、糸巻取進行に従ってトラバース幅を脈動的に変化させるクリーピング制御を行うクリーピング制御手段71と、このクリーピング制御手段71による前記クリーピング制御を、加速巻取時に定常巻取時と異ならせることを可能とする加速巻取時クリーピング制御変更手段72と、を備える。
【0071】
この糸巻取ユニット2の構成によれば、加速巻取時におけるクリーピング制御を糸4の糸種などの巻取条件に応じて適宜変更できるから、種々の条件に柔軟に対応し、巻き密度を均一にしてパッケージの糸解舒性や染色性を向上させることができる。
【0072】
そして、本実施形態では、「クリーピング制御を定常巻取時と異ならせる」とは、加速巻取時に前記クリーピング制御を禁止することを意味する。
【0073】
従って、加速巻取時にクリーピングを行うか行わないかの単純な制御を行えば良いので、トラバース制御部46の負担を軽減でき、構成を簡素にできる。また、設定手段としての設定器52の構成も簡素にできる。
【0074】
ただし加速巻取時クリーピング制御変更手段72は、クリーピング制御を禁止することに代えて、クリーピング制御の程度、具体的には、前記クリーピング制御の頻度又はクリーピングの幅の少なくとも何れか一方を変更できるように構成されていても良い。このクリーピング制御の程度についても、例えば設定器52で設定できるように構成すれば良い。
【0075】
この場合、加速時のクリーピングの使用の有無を単に設定するよりもクリーピングのキメ細かい制御が可能であり、パッケージの品質を一層精度良くコントロールすることができる。
【0076】
また、本実施形態の自動ワインダ1の糸巻取ユニット2は、前記巻取チューブ6への巻取時に糸4が切れたときに、給糸ボビン3側の糸と前記巻取ボビン6,7側の糸とを糸継ぎする糸継装置14を備える。
【0077】
即ち、自動ワインダ1の糸巻取ユニット2においては、加速巻取時が糸継動作の度に頻繁に発生するので、加速巻取時にクリーピングを(その有無を含めて)適宜制御することで、パッケージの品質向上という効果を特に良好に発揮させることができる。
【0078】
なお、図2や図4下側の制御例に代えて、前記加速巻取時における前記トラバースガイド11のトラバースストロークを定常巻取時のトラバースストロークよりも全体的に短くするように、前記トラバースガイド駆動モータ45を制御することもできる(図1に図示の加速巻取時トラバース幅短縮手段73による制御)。これにより、加速巻取時のテンション変動による糸の綾落ちを防止することができる。
【0079】
ただし上記の場合、加速巻取中にトラバース幅を狭めているので、加速巻取中に更にクリーピング制御が行われると巻き密度が一層不均一になりやすい。従って、上記の制御の場合は加速巻取中にクリーピング制御を禁止することが好ましい(加速クリーピングモード−オフ)。
【0080】
また、加速クリーピングモードがオンの場合は、例えばクリーピングの頻度を大きくしたり、クリーピング幅を大きくすることで、クリーピングの度合いを通常の巻取時より逆に強めるようにすることもできる。この場合、合繊のような滑り易い糸4の加速巻取時の綾外れを一層有効に防止することができる。
【0081】
以上に本発明の好適な実施形態及び変形例を説明したが、上記に開示された構成は一例であって、例えば以下のように変更することができる。
【0082】
加速巻取時のクリーピング制御の有無やクリーピングの頻度やクリーピング幅等については、上位制御コントローラ51に設けられた設定器52で設定することに代えて、例えば各糸巻取ユニット2・2・・・がそれぞれスイッチやテンキー等を設定手段として備え、この設定手段を操作することでクリーピング制御の有無やクリーピングの度合いを設定できるようにしても良い。
【0083】
トラバース装置5は、ボイスコイルモータに構成したトラバースガイド駆動モータ45によってアーム部材13を旋回往復駆動させる構成に代えて、図5の変形例の糸巻取ユニット2’に示すように、接触ローラ9の近傍に無端状のタイミングベルト31を配置し、このタイミングベルト31にトラバースガイド11’を取り付けるとともに、当該タイミングベルト31を、例えばパルスモータとしてのトラバースガイド駆動モータ45’によって往復駆動する構成に変更することができる。また、ドラム状のトラバースカムの外周面にカム溝を斜状に設け、このカム溝にトラバースガイドを係合する構成等、他の構成のトラバース装置に変更することもできる。
【0084】
パッケージ径センサ44が検出した径の信号は、ユニット制御部50を介してトラバース制御部46に転送される構成に代えて、トラバース制御部46に直接入力される構成に変更することができる。
【0085】
テンション付与装置25の構成としては、例示したゲート式のテンサとすることに限らず、例えば2枚のディスクで糸を挟む方式のテンサ等、他の様々な構成のテンサに変更することができる。
【0086】
クリーピング制御手段71、加速巻取時クリーピング制御変更手段72、加速巻取時トラバース幅短縮手段73等を備えるトラバース制御部46は、例えばユニット制御部50と一体的に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動ワインダの糸巻取ユニットを示す模式正面図及びブロック図。
【図2】トラバース制御部のクリーピング制御手段によるトラバースガイドの位置の制御例を示すグラフ図。
【図3】トラバース制御部での制御を示すフローチャート図。
【図4】巻取再開後の巻取速度とトラバースガイドの位置を、加速クリーピングモードのオフ/オンの場合のそれぞれについてを示すグラフ図。
【図5】糸巻取ユニットの変形例を示す模式正面図及びブロック図。
【符号の説明】
【0088】
1 自動ワインダ
2 糸巻取ユニット(糸巻取装置)
3 給糸ボビン
4 糸
6 巻取チューブ(空の巻取ボビン)
7 パッケージ(糸層付の巻取ボビン)
11 トラバースガイド
14 糸継装置
41 パッケージ駆動モータ(巻取ボビン回転駆動モータ)
42 パッケージ駆動制御部
45 トラバースガイド駆動モータ
46 トラバース制御部
50 ユニット制御部
51 上位制御コントローラ
52 設定器
53 巻取加速手段
63 制御装置
71 クリーピング制御手段
72 加速巻取時クリーピング制御変更手段
73 加速巻取時トラバース幅短縮手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸巻取用の巻取ボビンを回転駆動するとともに、糸をトラバースガイドで綾振りながら前記巻取ボビンへ糸を巻き取り、
前記トラバースガイドを移動させるためのモータが、前記巻取ボビンを回転駆動するモータとは切り離されて駆動される糸巻取装置を用いて、糸を前記巻取ボビンに巻き取る糸巻取方法において、
糸巻取進行に従ってトラバース幅を脈動的に変化させるようにトラバース反転位置を制御するクリーピング制御を行い、
このクリーピング制御を加速巻取時に定常巻取時と異ならせることを特徴とする糸巻取方法。
【請求項2】
請求項1に記載の糸巻取方法であって、前記クリーピング制御を異ならせることが前記クリーピング制御を禁止することであることを特徴とする糸巻取方法。
【請求項3】
請求項1に記載の糸巻取方法であって、前記クリーピング制御を異ならせることが前記クリーピング制御の程度を変えることであることを特徴とする糸巻取方法。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の糸巻取方法であって、
前記糸巻取装置は、糸切断時又は糸切れ時において、糸の巻取再開のために巻取ボビン側の糸と給糸側の糸とを糸継ぎする糸継装置を備えることを特徴とする糸巻取方法。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の糸巻取方法であって、前記加速巻取時に前記トラバースガイドのトラバースストロークを狭めるように制御することを特徴とする糸巻取方法。
【請求項6】
糸巻取用の巻取ボビンを回転駆動するための巻取ボビン回転駆動モータと、前記巻取ボビンへの糸の巻取りの際にその糸を綾振るためのトラバース装置と、を備え、
前記トラバース装置が、
糸と係合して糸を綾振りさせるためのトラバースガイドと、
前記巻取ボビン回転駆動モータとは切り離されて駆動し、前記トラバースガイドを移動させるためのトラバースガイド駆動モータと、
を有し、
かつ、前記巻取ボビン回転駆動モータ及び前記トラバースガイド駆動モータを制御する制御装置を備える糸巻取装置において、
前記制御装置は、
前記巻取ボビン回転駆動モータを速度ゼロから所定の速度まで加速させる巻取加速手段と、
トラバース速度及びトラバース反転位置を制御するトラバース制御部と、
前記トラバース制御部に備えられ、糸巻取進行に従ってトラバース幅を脈動的に変化させるクリーピング制御を行うクリーピング制御手段と、
このクリーピング制御手段による前記クリーピング制御を、加速巻取時に定常巻取時と異ならせることを可能とする加速巻取時クリーピング制御変更手段と、
を備えることを特徴とする、糸巻取装置。
【請求項7】
請求項6に記載の糸巻取装置であって、
前記加速巻取時クリーピング制御変更手段が前記クリーピング制御を異ならせることを可能とすることが、前記クリーピング制御を行わせることと禁止することとが選択可能になっていることであることを特徴とする糸巻取装置。
【請求項8】
請求項6に記載の糸巻取装置であって、
前記加速巻取時クリーピング制御変更手段が前記クリーピング制御を異ならせることを可能とすることが、前記クリーピング制御の程度を変更可能になっていることであることを特徴とする糸巻取装置。
【請求項9】
請求項6から8までの何れか一項に記載の糸巻取装置であって、糸切断時又は糸切れ時において、糸の巻取再開のために巻取ボビン側の糸と給糸側の糸とを糸継ぎする糸継装置を備えることを特徴とする糸巻取装置。
【請求項10】
請求項6から9までの何れか一項に記載の糸巻取装置であって、
前記制御装置は、前記加速巻取時に前記トラバースガイドのトラバースストロークを狭めるように前記トラバースガイド駆動モータを制御する加速巻取時トラバース幅短縮手段を備えることを特徴とする糸巻取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−230709(P2007−230709A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53567(P2006−53567)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】