説明

純度要件を満たすために不活性ガスを用いるホウ素粉末のジェットミル

【課題】不純物汚染を回避してホウ素をミル加工するための処理システムおよび関連する方法を提供する。
【解決手段】このシステム40は、ホウ素供給材料の粒子サイズを低減するためのジェットミル42と、ホウ素供給材料をジェットミルに配送するための供給材料入口54とを含む。このシステムは、ジェットミルの中に少なくとも1つのガスを配送するための少なくとも1つの入口46,60を含む。ガスとホウ素供給材料が、ホウ素の粒子サイズを低減するミル加工中に、ジェットミルの中で混合する。このシステムは、少なくとも1つの入口に動作可能に結合された少なくとも1つのガス供給源であって、少なくとも1つのガスが、ホウ素の粒子サイズを低減するミル加工の期間中に不純物を移転しないガスであるガス供給源48,62を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される内容は、ホウ素粉末のジェットミルに関し、より具体的には、純度要件を満たすために不活性ガスを用いるホウ素粉末のジェットミルに関する。
【背景技術】
【0002】
ジェットミルは、比較的大きな粒子サイズの供給材料物質を砕いて比較的小さな粒子サイズの粉末にするのに用いられる。ジェットミルは、工場の雰囲気から得られた圧縮空気で操作されることが多く、ジェットミルの内部で流体の流れの中に粒子を懸垂するために、担体として圧縮空気が用いられる。しかし、圧縮空気には、いくらかの油分が含まれることがある。このような油分は、様々な供給源から圧縮空気の中に導入される可能性がある。例えば、コンプレッサ構成要素の可動部の上にはオイルが存在することがあり、圧縮される空気と混合する可能性がある。ジェットミルを操作するために、圧縮空気が、供給ガス、ミリングガスまたはその両方として用いられるとき、圧縮空気に含まれるオイルが、ジェットミル作業の最終生産物に与えられることが多い。オイルなどの不純物は、ジェットミルから抽出されるミル加工されたホウ素粉末などの最終生産物を汚染する恐れがある。結果として、ミル加工されたホウ素粉末は、使用不可能であるか、あるいは同粉末を製造プロセスで用いるのに先立って、不純物を除去するためのさらなる処理が必要となる。したがって、ホウ素供給材料をジェットミルにかけるのに用いられる方法および装置を改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0021335号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、不純物汚染を回避してホウ素をミル加工するための処理システムおよび関連する方法を提供することである。
【0005】
以下は、本発明のいくつかの例示的態様の基本的な理解を提供するために、本発明の簡単な概要を示す。この概要は、本発明の広汎な概観ではない。そのうえ、この概要は、本発明の重要な要素を明らかにしたり、本発明の範囲を線引きしたりするようには意図されていない。この概要の唯一の目的は、後に示されるより詳細な説明の前置きとして、本発明のいくつかの概念を簡単な形で示すことである。
【0006】
一態様によれば、本発明は、不純物汚染を回避してホウ素をミル加工するための処理システムを提供する。この処理システムは、ホウ素供給材料の粒子サイズを低減するためのジェットミルを含む。このシステムは、ホウ素供給材料をジェットミルへ配送するための供給材料入口を含む。このシステムは、ジェットミルの中に少なくとも1つのガスを配送するための少なくとも1つの入口を含む。ガスとホウ素供給材料が、ホウ素の粒子サイズを低減するミル加工中に、ジェットミルの中で混合する。このシステムは、少なくとも1つの入口に動作可能に接続された少なくとも1つのガス供給源を含む。少なくとも1つのガスは、ホウ素の粒子サイズを低減するミル加工中に、不純物が移転するのを防止するガスである。
【0007】
別の態様によれば、本発明は、不純物汚染を回避してホウ素をミル加工する方法を提供する。この方法は、ホウ素供給材料の粒子サイズを低減するためのジェットミルを設けるステップを含む。ホウ素供給材料をジェットミルへ配送するために、供給材料入口が設けられる。ジェットミルの中に少なくとも1つのガスを配送するために、少なくとも1つの入口が設けられる。ガスとホウ素供給材料が、ホウ素の粒子サイズを低減するミル加工中に、ジェットミルの中で混合される。少なくとも1つのガス供給源が設けられ、少なくとも1つの入口に動作可能に接続される。少なくとも1つのガスは、ホウ素の粒子サイズを低減するミル加工中に、不純物が移転するのを防止するガスである。
【0008】
本発明の前述の態様および他の態様が、添付図面を参照しながら以下の説明を読み取れば、本発明に関する当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の態様による例示的処理システムの例示的ジェットミルの概略上面図である。
【図2】図1の例示的処理システムの、処理システムの上部を通る図1の断面A−A、処理システムの下部を通る図1の断面B−B、および例示的システムのガス供給も示す断面図である。
【図3】本発明の一態様によるジェットミルにおいてホウ素供給材料をミル加工する例示的方法のトップレベルの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つまたは複数の態様を組み込む例示的実施形態が、図面で説明され、かつ示される。示された実例は、本発明に対する制限となるようには意図されていない。例えば、本発明の1つまたは複数の態様は、他の実施形態および他のタイプのデバイスでさえ利用することができる。そのうえ、本明細書では、特定の用語が便宜のためにのみ用いられているが、本発明に対する制限と解釈されるべきではない。さらに、図面では、同一の要素を示すのに同一の参照数字が用いられている。
【0011】
ジェットミル42を含む例示的処理システム40が、図1および図2に全体的に示されている。特定の一例では、処理システム40は、ミル加工されたホウ素粉末を製造するためのものである。他の粉末がミル加工され得ることを理解されたい。処理システム40は、本発明の態様によって少なくとも1つの不活性ガスを利用するが、このことは以下で詳細に説明する。
【0012】
図1および図2は、可能な構造、構成などの一例を示すものであり、他の実例が本発明の範囲内になるように企図されていることを理解されたい。図1は、図2の断面図を与えるために用いられる複合断面位置(すなわち別々のそれぞれの切断ラインに沿って切断された別々の部分)を示すことに留意されたい。具体的には、図2に示された断面は、処理システム40の上部を通る断面A−A(図1)と処理システムの下部を通る断面B−B(図1)の組合せである。
【0013】
ジェットミル42は、ホウ素供給材料44の粒子サイズを低減するためのものである。示された例示的ジェットミル42は、渦タイプのジェットミルである。ジェットミルは、流動床ジェットミルなど別のタイプであり得るが、これに限定されない。図2に示されたホウ素供給材料44は説明のみを目的とするもので、実際の粒子サイズまたは縮尺を表してはおらず、したがって、相対的寸法記入に用いるべきではないことを理解されたい。ホウ素供給材料44は、様々なサイズの粒子を含むことができ、特定の「メッシュ」または「網目」の粒子サイズによって識別され得る。また、ホウ素供給材料は、B−10ホウ素を含んでよく、B−10は少なくとも98重量%である。
【0014】
処理システム40は、ジェットミル42の中へ供給ガス48を配送するための第1のガス入口46(ボトルタイプの供給源の例によって概略的に表されている)も含むことができる。第1のガス入口46は、供給ガス48の流れをジェットミル42の中へ導いて加速するためのノズル50を含むことができる。したがって、ジェットミル42の中へ進む供給ガス入口の流れが生成される。第1のガス入口46からジェットミル42に供給ガス48を配送するのに、注入チューブ52を用いることができる。注入チューブ52は、ジェットミル42(図2に最もよく示されている)の周囲に対して接線方向に取り付けることができる。供給ガス48を伴うジェットミル42の中に周囲の大気がほとんど入らないように、供給ガス48の供給源と第1のガス入口46との間の接続が固定され得ることを理解されたい。また、供給ガス48が周囲の大気に失われることがほとんどないように、供給ガス48の供給源と第1のガス入口46との間の接続が固定され得ることを理解されたい。
【0015】
処理システム40は、供給材料44が供給ガス48と混合されて供給ガス48とともにジェットミル42の中へ進行するように、ホウ素供給材料44を供給ガス入口の流れの中へ配送するための供給材料入口54をさらに含む。注入チューブ52の開口として供給材料入口54を設けることができ、これによって、ホウ素供給材料44は、開口を通過して流れている供給ガスの流れに入り込むことができる。注入チューブ52に、ホウ素供給材料44を含むホウ素供給材料ホッパー56(例えばじょうご形または類似のデバイス)が取り付けられ、入口54でホウ素供給材料44を供給する。供給材料44を有するジェットミル42に周囲の大気がほとんど入らないように、供給材料ホッパー56(または類似のデバイス)は固定/封止され得ることを理解されたい。
【0016】
処理システム40は、ジェットミル42の中へミリングガス62(ボトル型供給源の例によって概略的に表されている)を配送するために、第2のガス入口60も含む。第2のガス入口60は、ミリングガス62の流れを導いて加速するためのノズル50を備えることができる。ミリングガス62を有するジェットミル42の中に周囲の大気がほとんど入らないように、ミリングガス62の供給源と第2のガス入口60との間の接続が固定され得ることを理解されたい。また、ミリングガス62が周囲の大気に失われることがほとんどないように、ミリングガス62の供給源と第2のガス入口60との間の接続が固定され得ることを理解されたい。
【0017】
ジェットミル42の外部を取り囲む環状マニホールド64を使用して、ミリングガス62をジェットミル42の中へ導くことができる。ミリングガス62は、環状マニホールド64により、ジェットミル42の全周のまわりに流れるように方向性を与えられる。ミリングガス62は、環状マニホールド64から、環状マニホールド64に沿って配分された複数の開口66を通ってジェットミル42に進む。開口66は、ミリングガス62の流れを、ジェットミル42の中へ、ジェットミル42の周囲に対して実質的に接線方向に導くように設計されている。
【0018】
処理システム40のジェットミル42は、ミリングチャンバ70も含む。当技術分野で知られているように、ミリングチャンバ70は、渦タイプのミリングチャンバであり得る。ミリングチャンバ70は、直径が高さより数倍大きい円筒形であり得る。供給ガス48が、ホウ素供給材料44を浮遊させて運びながら、ジェットミル42のミリングチャンバ70の周囲に対して接線方向に、ミリングチャンバ70の中に入る。ミリングガス62も、ミリングチャンバ70の周囲に対して実質的に接線方向に、ミリングチャンバ70の中へ導入される。供給ガス48およびミリングガス62の流れる方向により、ミリングチャンバ70内に渦流路が生成される。したがって、供給材料44とガス(供給ガス48およびミリングガス62)が、ジェットミル42のミリングチャンバ70内で混合される。
【0019】
浮遊して運ばれたホウ素供給材料44は、供給ガス48およびミリングガス62によって高速度および高エネルギーを与えられ、ホウ素供給材料44の粒子は、ミリングチャンバ70の内部の渦のまわりを移動するとき、強制的に高速衝突させられる。粒子間の高速衝突および粒子とミリングチャンバ70の壁との間の衝突により、ホウ素供給材料44は、より小さな粒子へと分割されて行く。遠心力によって、より大きなホウ素供給材料44の粒子がミリングチャンバ70の周囲の近くに維持される傾向がある。ホウ素供給材料44の粒子は、より小さくなるのにつれて、ミリングチャンバの中心により近接して移動することができ、その間じゅう他のホウ素粒子によって衝撃される。換言すれば、ホウ素供給材料44の粒子は、ますます小さなサイズにミル加工されるのにつれて質量が小さくなり、同粒子をミリングチャンバの外周の方へ強制することになる力が小さくなる。最終的に、ホウ素供給材料の粒子は、所望の粒子サイズから成るミル加工されたホウ素粉末72へと粉砕される。結果として得られる粒子サイズは、供給ガス48およびミリングガス62の流速および圧力と、ノズル50の寸法形状と、ミリングチャンバ70の寸法形状と、ホウ素供給材料44の送り速度とを含むいくつかの動作パラメータによって制御することができる。処理システム40は、ホウ素供給材料44の粒子を1マイクロメートルの範囲内のサイズへとジェットミル加工するのに使用することができるが、他の粒子サイズの範囲も企図される。
【0020】
処理システム40は、ミル加工されたホウ素粉末72を放出するための、ミリングチャンバ70からの出口74をさらに含む。供給ガス48およびミリングガス62も、出口74から排出される。この時点ではミル加工されたホウ素粉末72であると考えられる、より小さな粒子は、最終的にミリングチャンバの中心へと進み、供給ガス48およびミリングガス62の出口/排出口を経由して出口74を通って搬送される。示された実例は、ミリングチャンバ70と共軸の位置で、ミリングチャンバ70の頂部に出口74を設ける。ミル加工されたホウ素粉末72は、出口74を通過した後に、容易に収集/捕捉して、粒子サイズによって分類することができる。さらに、出口を流れる供給ガス48およびミリングガス62は、収集/捕捉して再利用されるか、または周囲の大気に放出されてよい。
【0021】
本発明の態様により、説明された処理システム40によって供給され得るミル加工されたホウ素粉末72の不純物含有量は、比較的少ないか、またはゼロである。この態様は、ミル加工を通じてホウ素44、72とガス48、62が混合されるにもかかわらず生じる。このような最少化された不純物量は、例示の汚染不純物としてオイルを含む圧縮空気を用いて行なわれるミル加工と比較したものである。不純物をほとんど含まないミル加工されたホウ素粉末72を提供する本発明の態様は、処理システム40向けに適切な供給ガス48および/またはミリングガス62を選択することにより達成される。供給ガス48および/またはミリングガス62を選択するための基準の1つは、ミル加工中に、ホウ素供給材料44/ミル加工されるホウ素粉末72に移転する可能性があるガス中の不純物含有量が、比較的少ないか、またはゼロであることである。したがって、不純物含有量が低減されたミル加工のホウ素粉末72をもたらすように、ホウ素供給材料44をホウ素粉末72へとミル加工することは、ホウ素供給材料44に対して、不純物を、あるにしても僅かしか与えないように供給ガス48および/またはミリングガス62(同一のガスでもよい)を選択することの直接の結果である。
【0022】
一例では、供給ガス48および/またはミリングガス62に窒素が選択される。したがって、高レベルの不純物を含む圧縮空気などのガスの代わりに窒素が用いられる。前述のように、以前のミル加工/既知のミル加工は、供給ガスおよびミリングガスに圧縮空気を用いることが多く、結果として、特定のジェットミル動作パラメータは圧縮空気を使用するように設定される。窒素ガスの粘度および一般的性質は、空気のそれに類似であり、したがって、ジェットミル42の動作パラメータに対する変更の必要性がより少ない。窒素の供給源(図2のボトル型供給源によって概略的に表されている)は、窒素を供給する任意の適切なデバイスでよい。例えば、この供給源は、液体窒素をガス化するための気化器を有する液体窒素の容器または圧縮窒素ガスの容器を含むことができる。供給ガス48とミリングガス62がどちらも窒素であると、図2に概略的に表されたボトル型供給源は、組み合わせて単一の供給源にできることに留意されたい。
【0023】
さらに、窒素に対する工業用の精製工程により、ガス内の不純物の大きな割合が除去される。窒素は、圧縮空気に対する代替として工業立地で用いられたとき、ホウ素供給材料44またはミル加工されたホウ素粉末72に顕著な量の不純物を与えることがない。供給ガス48およびミリングガス62に窒素を用いると、可溶残留物を約0.1重量パーセント未満に低減した不純物量で、ミル加工されたホウ素粉末72を製造することができる。この不純物レベルは、ミル加工されたホウ素粉末72の親水性の性質に影響がない可溶残留物の許容レベルであると考えることができる。
【0024】
他の実例は、ジェットミル42の動作パラメータに留意しながら他のガスの利用を基にすることができる。例えば、供給ガス48および/またはミリングガス62として、他の不活性のガスを用いることができる。特定の実例として、供給ガス48および/またはミリングガス62として貴ガスを用いることができる。特定の貴ガスの実例の1つにはアルゴンがある。不活性ガス/貴ガスの供給源(図2のボトル型供給源によって概略的に表されている)は、不活性ガス/貴ガスを供給する任意の適切なデバイスでよい。貴ガスは、ホウ素に対して化学的に不活性である。
【0025】
さらに別の実例として、通常の圧縮空気と比較して不純物を低減するために、供給ガス48および/またはミリングガス62として蒸気を用いることができる。このような蒸気は、液体の水の供給源を沸騰させることにより生成することができる。蒸気の供給源(図2のボトル型供給源によって概略的に表されている)は、蒸気を供給する1つまたは複数の任意の適切なデバイスでよい。蒸気はホウ素に化学的影響を及ぼすことがなく、したがって、この処理に関して化学的に不活性であると考えることができる。
【0026】
純度要件を満たすために不活性ガスを用いる、ホウ素供給材料44のジェットミル加工方法および関連する処理システムは、ミル加工されたホウ素粉末72から不純物を低減するための解決策の1つである。さらに、ミル加工されたホウ素粉末72に見いだされる不純物を低減するとき、標準的な工場圧縮空気の窒素ガスへの置換は、他の精製されたガスの低コストの代替である。窒素ガスの特性は、圧縮空気の特性と類似しており、ジェットミルプロシージャに対する動作パラメータの変更がより少なくなる。さらに、供給ガス48およびミリングガス62として窒素を用いると、粉砕された供給材料が酸化する可能性が低くなる。
【0027】
純度要件を満たすために不活性ガスを用いてホウ素粉末をジェットミル加工する例示的方法が、図3で全体的に説明されている。この方法は、図1および図2に示された例示的ジェットミルに関連して遂行することができる。この方法は、ホウ素供給材料の粒子サイズを低減するためのジェットミルを設けるステップ110を含む。ホウ素供給材料は、様々なサイズの粒子を含むことができ、特定の「メッシュ」または「網目」サイズによって識別され得る。ジェットミルは、渦タイプジェットミルおよび流動床ジェットミルなどを含むがこれらに限定されない、当技術分野で既知の任意数のタイプであり得る。
【0028】
この方法は、ジェットミルの中へ供給ガスを入れるための第1のガス入口を設けるステップ112を含む。第1のガス入口は、供給ガスの流れをジェットミルの中へ導いて加速するためのノズルを含むことができる。第1のガス入口からジェットミルに供給ガスを配送するのに、注入チューブを用いることができる。
【0029】
この方法は、供給ガス入口の流れにホウ素供給材料を入れるための供給材料入口を設けるステップ114を含む。供給材料入口は、注入チューブに開口を含むことができ、これによって、ホウ素供給材料は、開口を通過して流れている供給ガスの流れに入り込むことができる。ホウ素供給材料のじょうご、ホッパー、またはホウ素供給材料を含む類似のデバイスを、注入チューブに取り付けることができる。
【0030】
この方法は、ジェットミルの中へミリングガスを入れるための第2のガス入口を設けるステップ116をさらに含む。第2のガス入口は、ミリングガスの流れを環状マニホールドの中に導いて加速するためのノズルを備えることができる。
【0031】
この方法は、ミリングチャンバを設けるステップ118も含む。ミリングチャンバは、当技術分野で既知の渦タイプのミリングチャンバであり得る。ミリングチャンバは、直径が高さより数倍大きい円筒形であり得る。
【0032】
この方法は、ミル加工されたホウ素粉末、供給ガス、およびミリングガスをミリングチャンバから除去するための出口を設けるステップ120をさらに含む。この出口は、ミリングチャンバの頂部の壁上に、ミリングチャンバと中心軸を共有して配置することができる。
【0033】
この方法は、第1のガス入口に供給ガスを入れるステップ122をさらに含む。供給ガスは、ジェットミルを操作するのに十分な圧力および量で供給される。供給ガスを導いて加速し、供給ガスがジェットミルに入るとき滑らかな流れにするために、一般にノズルが使用される。
【0034】
この方法は、供給ガス入口の流れにホウ素供給材料を入れるステップ124も含む。ホウ素供給材料は、供給材料入口を通過するとき、供給ガス入口の流れに浮遊して運ばれるようになる。次いで、ホウ素供給材料は、供給ガス入口の流れによって、ミリングチャンバに、ミリングチャンバの円筒状の本体に対して接線方向に配送される。
【0035】
この方法は、第2のガス入口にミリングガスを入れるステップ126をさらに含む。渦ジェットミルは、周囲のまわりの環状マニホールドを含むことができる。環状マニホールドは、ミリングガスを、ミリングチャンバの中へ、ミリングチャンバの円筒状の本体に対して接線方向に導くように設計された開口を含み、したがってミリングチャンバ内に渦の流路を生成することができる。
【0036】
この方法は、ホウ素供給材料を、不純物量が低減されたミル加工のホウ素粉末へとミル加工するステップ128をさらに含む。浮遊して運ばれたホウ素供給材料は、供給ガスおよびミリングガスによって高速度および高エネルギーを与えられ、ホウ素供給材料の粒子は、ミリングチャンバの内部の渦のまわりを移動するとき、強制的に高速衝突させられる。ホウ素供給材料は、これらの高速衝突により、より小さな粒子に分割される。遠心力によって、より大きなホウ素供給材料粒子がミリングチャンバの周囲の近くに維持される傾向がある。ホウ素供給材料の粒子は、より小さくなるのにつれて、ミリングチャンバの中心により近接して移動することができ、その間じゅう他のホウ素粒子によって衝撃される。最終的に、ホウ素供給材料の粒子は、所望の粒子サイズから成るホウ素粉末へと粉砕される。
【0037】
この方法は、ミル加工されたホウ素粉末、供給ガス、およびミリングガスを出口から取り出すステップ130も含む。ホウ素供給材料の粒子は、ますます小さなサイズに粉砕されるのにつれて質量が小さくなり、同粒子をミリングチャンバの外周の方へ強制することになる力が小さくなる。より小さな粒子は、最終的にミリングチャンバの中心に進み、出口を通ってミリングチャンバを出るとき、供給ガスおよびミリングガスによって搬送される。
【0038】
この方法の一例では、供給ガスおよび/またはミリングガスに窒素が選択される。したがって、高レベルの不純物を含む圧縮空気などのガスの代わりに窒素が用いられる。前述のように、以前のミル加工/既知のミル加工は、供給ガスおよびミリングガスに圧縮空気をしばしば用いており、結果として、特定のジェットミルの動作パラメータは、圧縮空気を使用するように設定される。窒素ガスの粘度および一般的性質は、空気のそれに類似であり、したがって、ジェットミルの動作パラメータに対する変更の必要性がより少ない。また、窒素は、圧縮空気に対する代替として用いられたとき、顕著な量の不純物を与えることがない。供給ガスおよびミリングガスに窒素を用いると、可溶残留物を約0.1重量パーセント未満に低減した不純物量で、ミル加工されたホウ素粉末72を製造することができる。この不純物レベルは、ミル加工されたホウ素粉末の親水性の性質に影響がない可溶残留物の許容レベルであると考えることができる。
【0039】
他の実例は、他のガスを利用することに基づくものであり得る。例えば、供給ガスおよび/またはミリングガスとして、他の不活性のガスを用いることができる。特定の実例として、供給ガスおよび/またはミリングガスとして貴ガスを用いることができる。特定の貴ガスの実例の1つにはアルゴンがある。さらに別の実例として、通常の圧縮空気と比較して不純物を低減するために、供給ガスおよび/またはミリングガスとして蒸気を用いることができる。蒸気はホウ素に化学的影響を及ぼすことがなく、したがって、この処理に関して化学的に不活性であると考えることができる。
【0040】
この書かれた説明は、最善の様式を含めて本発明を開示するために、また、あらゆる当業者が、あらゆるデバイスまたはシステムを製作し使用することならびにあらゆる具体化された方法を実行することを含めて本発明を実施することも可能にするために、実例を用いている。本発明が特許権を受けられる範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に想起される他の実施例を含み得る。そのような他の実例は、それらが特許請求の範囲の文字どおりの言葉と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字どおりの言葉との実質のない相違点を有する同等な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲に入るように意図されている。
【符号の説明】
【0041】
40 処理システム
42 ジェットミル
44 ホウ素供給材料
46 第1のガス入口
48 供給ガス
50 ノズル
52 注入チューブ
54 供給材料入口
56 ホウ素供給材料ホッパー
60 第2のガス入口
62 ミリングガス
64 環状マニホールド
66 開口
70 ミリングチャンバ
72 ホウ素粉末
74 出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物汚染を回避してホウ素をミル加工するための処理システムであって、
ホウ素供給材料の粒子サイズを低減するためのジェットミルと、
前記ホウ素供給材料を前記ジェットミルへ配送するための供給材料入口と、
少なくとも1つのガスを前記ジェットミルに配送するための少なくとも1つの入口であって、前記ガスと前記ホウ素供給材料が、ホウ素粒子サイズを低減するミル加工の期間中、前記ジェットミル内で混合する入口と、
前記少なくとも1つの入口に動作可能に結合された少なくとも1つのガス供給源であって、前記少なくとも1つのガスが、ホウ素の粒子サイズを低減するミル加工の期間中に不純物を移転しないガスであるガス供給源とを含む処理システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのガスが不活性ガスである請求項1記載の処理システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのガスが窒素である請求項1記載の処理システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのガスが貴ガスである請求項1記載の処理システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのガスがアルゴンである請求項4記載の処理システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのガスが蒸気である請求項1記載の処理システム。
【請求項7】
前記ミル加工されたホウ素粉末の不純物量が、可溶残留物の約0.1重量パーセント以下である請求項1記載の処理システム。
【請求項8】
前記ジェットミルの中に前記少なくとも1つのガスを配送するための前記少なくとも1つの入口が供給ガス入口を含み、前記供給ガスが前記ホウ素供給材料を移動させる請求項1記載の処理システム。
【請求項9】
前記ジェットミルの中に前記少なくとも1つのガスを配送するための前記少なくとも1つの入口が、粉砕ガス入口を含む請求項1記載の処理システム。
【請求項10】
不純物汚染を回避してホウ素をミル加工する方法であって、
ホウ素供給材料の粒子サイズを低減するためのジェットミルを設けるステップと、
前記ホウ素供給材料を前記ジェットミルへ配送するための供給材料入口を設けるステップと、
前記ジェットミルの中に、少なくとも1つのガスを配送するための少なくとも1つの入口を設けるステップと、
前記ガスと前記ホウ素供給材料を、ホウ素の粒子サイズを低減するミル加工中に、前記ジェットミルの中で混合するステップと、
前記少なくとも1つの入口に動作可能に結合された少なくとも1つのガス供給源であって、前記少なくとも1つのガスが、ホウ素の粒子サイズを低減するミル加工の期間中に不純物を移転しないガスであるガス供給源を設けるステップとを含む方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのガスが不活性ガスである請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのガスが窒素である請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのガスが貴ガスである請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのガスがアルゴンである請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのガスが蒸気である請求項10記載の方法。
【請求項16】
前記ミル加工されたホウ素粉末の不純物量が、可溶残留物の約0.1重量パーセント以下である請求項10記載の方法。
【請求項17】
前記ジェットミルの中に前記少なくとも1つのガスを配送するための前記少なくとも1つの入口が供給ガス入口を含み、前記供給ガスが前記ホウ素供給材料を移動させる請求項10記載の方法。
【請求項18】
前記ジェットミルの中に前記少なくとも1つのガスを配送するための前記少なくとも1つの入口が、粉砕ガス入口を含む請求項10記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−32270(P2013−32270A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−142552(P2012−142552)
【出願日】平成24年6月26日(2012.6.26)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】