説明

純水製造装置

【課題】逆浸透膜を利用して純水を得る場合に、単位時間当たりの純水製造量を増大させた場合であっても、逆浸透膜にかかる圧力変動を抑制できるようにし、逆浸透膜の長寿命化を図る。
【解決手段】純水製造装置1は、第1及び第2逆浸透膜モジュール31,32と、各モジュール31,32にそれぞれ原水を送る原水ポンプ16,26を備えた第1及び第2原水供給ライン10,20と、第1及び第2逆浸透モジュール31,32の純水排出側に接続された純水容器35と、純水容器35内の純水を送る純水送給ライン36と、第1及び第2原水供給ライン10,20の原水ポンプ16,26を制御する制御部とを備えている。第1及び第2原水供給ライン10,20の両原水ポンプ16,26を作動させる両ライン運転と、第1原水供給ライン10の原水ポンプ16を作動させ、かつ、第2原水供給ライン20の原水ポンプ26を停止させる第1ライン運転とに切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透膜を利用して純水を製造する純水製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、精密機器や電子機器産業、医療分野等では、逆浸透膜を利用した純水製造装置が用いられている。特に、医療分野では、人工透析時に使用する透析液を供給する装置として必要不可欠なものとなっている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1、2の純水製造装置は、逆浸透膜と、逆浸透膜に水道水(原水)を供給する原水供給ポンプと、逆浸透膜を透過して得られた純水を貯留する純水タンクとを備えている。そして、純水タンクに貯留されている純水が例えば透析室に設置されている透析装置に供給されて透析液として使用されている。
【0004】
透析液として使用される純水の使用量は患者の数や透析施設の稼働状態によって大きく変動する。これに対して、特許文献1、2の純水製造装置では、原水供給ポンプを可変制御し、原水の供給量を減少させたり増大させたりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−104639号公報
【特許文献2】特開2001−969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、透析患者が増加傾向にあり、透析施設の規模が大きくなってきている。一般に1人の透析患者に1台の透析装置が必要なので、透析施設の規模が大きくなればなるほど透析装置の数が増え、それに伴って透析液の使用量も増える。
【0007】
透析液の使用量の増加に対応すべく、従来の純水製造装置を複数台導入することが考えられるが、その場合、純水製造装置の定期的なメンテナンスを行うためのスペースを確保するために純水製造装置同士の間隔を広めに設定しなければならず、設置場所の確保が困難となる。
【0008】
また、純水タンク内の水質管理は患者の安全の面から非常に重要である。純水製造装置を複数台導入した場合には、純水タンクも装置の数に対応して複数あるので、各純水タンクについて水質管理を行わなければならず、水質管理の観点からも、純水製造装置を複数台導入するのは困難である。
【0009】
上記した設置場所の問題及び水質管理の問題を解決すべく、原水供給ポンプの能力を大きくするとともに、逆浸透膜を大きなものにして、純水の単位時間当たりの製造量を増大させ、これによって1台の純水製造装置で対応できるようにすることが考えられる。
【0010】
ところが、純水の使用量は上述したように変動する。特に、単位時間当たりの製造可能量を増大させた場合には、使用量の最大時と最小時との差が顕著になる。このことに対しては、特許文献1、2のように原水供給ポンプを可変制御して対応する方法がある。
【0011】
しかしながら、単位時間当たりの製造可能量を増大させた場合には、最大時と最小時との差が顕著になる分、原水供給ポンプによる原水の供給量の調整幅が大きくなり、逆浸透膜にかかる圧力の変動が大きくなる。圧力変動が大きいと、逆浸透膜が大きく揺さぶられることになり、逆浸透膜が損傷し易く、ひいては逆浸透膜の寿命が短くなってしまうという問題がある。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、逆浸透膜を利用して純水を得る場合に、単位時間当たりの純水製造量を増大させた場合であっても、逆浸透膜にかかる圧力変動を抑制できるようにし、逆浸透膜の長寿命化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明では、1台の純水製造装置に、第1及び第2逆浸透膜モジュールと第1及び第2原水供給ラインとを設け、各逆浸透モジュールに原水を独立して供給できるようにした。
【0014】
第1の発明は、逆浸透作用によって原水から純水を得る逆浸透膜を備えた第1及び第2逆浸透膜モジュールと、上記第1及び第2逆浸透膜モジュールの原水供給側に接続され、各モジュールにそれぞれ原水を送る原水ポンプを備えた第1及び第2原水供給ラインと、上記第1及び第2逆浸透モジュールの純水排出側に接続され、逆浸透膜を透過して得られた純水を貯留するための純水容器と、上記純水容器内の純水を送る純水送給ラインと、上記第1及び第2原水供給ラインの原水ポンプを制御する制御部とを備え、上記制御部は、上記第1及び第2原水供給ラインの両原水ポンプを作動させる両ライン運転と、上記第1原水供給ラインの原水ポンプを作動させ、かつ、上記第2原水供給ラインの原水ポンプを停止させる第1ライン運転とに切り替えるように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
この構成によれば、両ライン運転では、第1及び第2原水供給ラインの両原水ポンプを作動させるので、第1及び第2逆浸透膜モジュールの両逆浸透膜を利用して単位時間当たりの純水製造量を多くすることが可能になる。これにより、1台の純水製造装置を用いながら、十分な量の純水を製造することが可能になる。
【0016】
一方、第1ライン運転では、第2原水供給ラインの原水ポンプを停止させるので、その分、単位時間当たりの純水製造量が減少する。つまり、本発明では、従来のように原水ポンプを可変制御することなく、単位時間当たりの純水製造量を減少させることが可能である。このため、逆浸透膜が揺さぶられることによる損傷を回避できる。
【0017】
第2の発明は、第1の発明において、純水容器に設けられ、該純水容器内に貯留されている純水量を測定するための貯留量測定手段を備え、制御部は、上記貯留量測定手段の出力信号に基づいて上記純水容器内に貯留されている純水量の減少度を得て、得られた純水の減少度が所定値以上の場合には、両ライン運転とするように構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
この構成によれば、純水の使用量が多い場合のように、純水容器内の純水量の減少度が大きい場合には、第1及び第2原水供給ラインの両原水ポンプを作動させることで、多量の純水を製造することが可能になる。
【0019】
第3の発明は、第2の発明において、第1及び第2逆浸透膜モジュールの純水排出側と純水容器とを接続する純水排出ラインと、上記純水排出ラインに設けられ、該純水排出ラインを流れる純水の流量を測定する流量測定手段とを備え、制御部は、上記流量測定手段により得られた純水の流量と、貯留量測定手段により得られた純水量の減少度とに基づいて、上記純水容器内の純水量が減少傾向にあると推定される場合には両ライン運転とするように構成されていることを特徴とするものである。
【0020】
この構成によれば、純水容器内の純水量が減少傾向にある場合に、第1及び第2原水供給ラインの両原水ポンプを作動させることで、多量の純水を製造することが可能になる。
【0021】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、第1及び第2逆浸透膜モジュールの濃縮水排出側と、第1及び第2原水供給ラインとを接続する第1及び第2濃縮水ラインと、上記第1及び第2濃縮水ラインから分岐し、該濃縮水ライン内の水を外部に排出する第1及び第2排水ラインと、純水を第1及び第2原水供給ラインに供給する第1及び第2純水供給ラインとを備え、制御部は、上記第1純水供給ラインから上記第1原水供給ラインに供給した純水を上記第1逆浸透膜モジュールに供給した後、上記第1濃縮水ラインに流して上記第1排水ラインから排出する第1逆浸透膜洗浄運転と、上記第2純水供給ラインから上記第2原水供給ラインに供給した純水を上記第2逆浸透膜モジュールに供給した後、上記第2濃縮水ラインに流して第2排水ラインから排出する第2逆浸透膜洗浄運転とを切り替えて行うように構成されていることを特徴とするものである。
【0022】
この構成によれば、第1逆浸透膜モジュールと、第2逆浸透膜モジュールとを別々のタイミングで洗浄することが可能になる。これにより、例えば純水容器が満水になった都度、両逆浸透膜の洗浄を同時に行う場合に比べて、各逆浸透膜を洗浄する回数を少なくすることが可能になる。
【0023】
第5の発明は、第1から4のいずれか1つの発明において、純水容器には、該純水容器内の水位を検出するための第1及び第2水位センサが設けられ、該第1水位センサは該第2水位センサよりも上側に配置され、制御部は、上記第1水位センサにより上記純水容器内の水位が高水位にあると検出された場合には第1ライン運転を行い、上記第2水位センサにより上記純水容器内の水位が低水位にあると検出された場合には両ライン運転を行うように構成されていることを特徴とするものである。
【0024】
この構成によれば、純水容器の水位が高く、純水の貯留量に余裕がある場合には、第2原水供給ラインの原水ポンプを停止させて純水の製造量を減少させ、純水容器の水位が低く、純水の貯留量に余裕がない場合には、両原水ポンプを作動させて純水の製造量を増加させることが可能になる。
【0025】
また、純水容器内の水位が高水位にある場合には、第2逆浸透膜モジュールでは純水を製造しないので、第2逆浸透膜モジュールの逆浸透膜を洗浄することができる。
【0026】
第6の発明は、第1から5のいずれか1つの発明において、制御部は、第1ライン運転の後に、第2原水供給ラインの原水ポンプを作動させ、かつ、第1原水供給ラインの原水ポンプを停止させる第2ライン運転を行うように構成されていることを特徴とするものである。
【0027】
この構成によれば、第1ライン運転のときには、第2逆浸透膜モジュールでは純水を製造しないので、第2逆浸透膜モジュールの逆浸透膜を洗浄でき、第2ライン運転のときには、第1逆浸透膜モジュールでは純水を製造しないので、第1逆浸透膜モジュールの逆浸透膜を洗浄することができる。つまり、第1及び第2逆浸透膜モジュールの逆浸透膜を必要に応じて交互に洗浄することが可能になる。
【0028】
第7の発明は、第1から6のいずれか1つの発明において、純水容器に接続され、該純水容器内の純水を流出させて該純水容器内に再び戻すための純水循環ラインを備え、上記純水循環ラインには、純水を送るための循環ポンプが設けられ、該循環ポンプは制御部により制御され、上記制御部は、純水の製造中であるか否かを検出し、純水の製造中である場合には純水を製造していない場合に比べて上記循環ポンプによる純水の送り量を減少させることを特徴とするものである。
【0029】
この構成によれば、純水循環ラインによって純水容器内の純水を常時循環させておくことが可能になる。そして、純水の製造中には、循環ポンプによる純水の送り量が減少するので省エネルギ化を図ることが可能になる。
【0030】
第8の発明は、第7の発明において、純水循環ラインは、第1及び第2逆浸透膜モジュールの原水供給側に接続され、制御部は、循環ポンプを作動させて純水循環ラインに純水を循環させる場合に原水ポンプを停止させるとともに、該原水ポンプの停止によって上記第1又は第2逆浸透モジュールの逆浸透膜への圧力減少を補うように上記循環ポンプの送水能力を上記原水ポンプの作動時に比べて増大させることを特徴とするものである。
【0031】
すなわち、純水循環ラインに純水を循環させる際に原水ポンプを停止させると、第1又は第2逆浸透モジュールの逆浸透膜に作用する圧力が減少することになる。本発明では、第1又は第2逆浸透モジュールの逆浸透膜に作用する圧力が減少した場合に、それを補うように循環ポンプの送水能力が増大するので、逆浸透膜に作用する圧力の変動幅を小さく抑えることが可能になる。
【発明の効果】
【0032】
第1の発明によれば、第1及び第2逆浸透膜モジュールに第1及び第2原水供給ラインを接続し、原水ポンプによって原水を送るようにしたので、単位時間当たりの純水製造量を増大させることができ、複数台の純水製造装置の導入を回避できる。これにより、設置場所の問題及び水質管理を問題を解決できる。そして、純水の使用量が少ないときには、第2原水供給ラインの原水ポンプを停止させるようにしたので、逆浸透膜にかかる圧力変動を抑制でき、逆浸透膜の長寿命化を図ることができる。
【0033】
第2の発明によれば、純水容器内の純水量の減少度に基づいて第1及び第2原水供給ラインの原水ポンプを作動させることができるので、純水が供給不足となるのを回避できる。
【0034】
第3の発明によれば、純水容器内の純水量の変動に基づいて第1及び第2原水供給ラインの原水ポンプを作動させることができる。
【0035】
第4の発明によれば、第1及び第2逆浸透膜モジュールの逆浸透膜の洗浄回数を少なくすることができるので、純水の使用量を抑えることができる。
【0036】
第5の発明によれば、純水容器内の純水の水位に応じて純水の製造量を増減できる。また、純水容器内の水位が高水位にある場合には、第2逆浸透膜モジュールでは純水を製造しないので、第2逆浸透膜モジュールの逆浸透膜を洗浄することができる。
【0037】
第6の発明によれば、第1及び第2逆浸透膜モジュールの逆浸透膜を交互に洗浄できるので、両逆浸透膜の寿命を均等にすることができる。
【0038】
第7の発明によれば、純水循環ラインを設けたので、純水容器内を純水を常時循環させておくことができ、純水容器内の純水の純度を高く保つことができる。そして、純水の製造中である場合には、循環ポンプによる純水の送り量を減少させて省エネルギ化を図ることができる。
【0039】
第8の発明によれば、純水循環ラインに純水を循環させる場合に原水ポンプを停止させるとともに、これによって第1又は第2逆浸透モジュールの逆浸透膜への圧力減少を補うように循環ポンプの送水能力を増大させるようにしたので、逆浸透膜に作用する圧力の変動幅を小さく抑えることができ、これにより、逆浸透膜の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施形態に係る純水製造装置の概略構造を示す図である。
【図2】純水製造装置のブロック図である。
【図3】第1及び第2逆浸透膜モジュールで純水を製造する場合の図1相当図である。
【図4】第1逆浸透膜モジュールのみで純水を製造する場合の図1相当図である。
【図5】第2逆浸透膜モジュールのみで純水を製造する場合の図1相当図である。
【図6】第1及び第2逆浸透膜モジュールの逆浸透膜を洗浄する場合の図1相当図である。
【図7】第2逆浸透膜モジュールで純水を製造し、第1逆浸透膜モジュールの逆浸透膜を洗浄する場合の図1相当図である。
【図8】第1逆浸透膜モジュールで純水を製造し、第2逆浸透膜モジュールの逆浸透膜を洗浄する場合の図1相当図である。
【図9】第1逆浸透膜モジュールで純水を再濾過する場合の図1相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0042】
図1は、本発明の実施形態に係る純水製造装置1の概略構造を示すものである。この純水製造装置1は、透析施設(透析クリニック、病院等)に設置されて透析液となる純水を各透析装置(図示せず)に供給するためのものである。純水製造装置1が設置される透析施設の規模としては、例えば透析装置が100台以上設けられている大きな施設である。
【0043】
純水製造装置1は、第1原水供給ライン10と、第2原水供給ライン20と、第1逆浸透膜モジュール31と、第2逆浸透膜モジュール32と、第1純水排出ライン33と、第2純水排出ライン34と、純水容器35と、純水送給ライン36と、第1濃縮水ライン41と、第2濃縮水ライン42と、第1排水ライン51と、第2排水ライン52と、純水循環ライン55と、制御装置60(図2に示す)とを備えている。
【0044】
第1原水供給ライン10は、原水を第1逆浸透膜モジュール31に供給するためのものであり、原水の供給元から第1逆浸透膜モジュール31まで延びる配管11と、第1原水ポンプ12、1次フィルタ13と、軟水装置14と、2次フィルタ15と、バルブ16と、第1常時運転ポンプ17とを備えている。第1原水ポンプ12、1次フィルタ13と、軟水装置14と、2次フィルタ15と、原水バルブ16と、第1常時運転ポンプ17とは、配管11の上流側から下流側に向かって、この順で設けられている。尚、原水は、水道水や井戸水等である。
【0045】
第1原水ポンプ12は、原水を下流側の1次フィルタ13へ送給するためのものである。1次フィルタ13は、残留塩素の除去を行うためのものである。軟水装置14は、原水に含まれるCaイオン、Mgイオンを交換除去するためのものである。2次フィルタ15は、活性炭フィルタ等で構成されており、残留塩素や有機物を吸着除去するためのものである。原水バルブ16は、配管11を開閉するためのものであり、電動弁で構成されている。第1常時運転ポンプ17は、メンテナンス等以外には常時作動しており、場合に応じて原水又は純水を第1逆浸透膜モジュール31へ送給するためのものである。
【0046】
第1逆浸透膜モジュール31は、周知の逆浸透膜を内蔵する容器を備えており、容器の内部は、逆浸透膜により、原水が供給される原水供給側と、生成された純水を排出する純水排出側とに仕切られている。
【0047】
第1原水供給ライン10の配管11の下流端は、第1逆浸透膜モジュール31の原水供給側に接続されている。第1逆浸透膜モジュール31の原水供給側には、逆浸透膜を透過しなかった濃縮水が溜まるようになっており、従って、原水供給側は濃縮水が排出される濃縮水排出側である。
【0048】
第1純水排出ライン33は、第1逆浸透膜モジュール31の純水排出側に接続されており、純水容器35まで延びている。つまり、純水容器35は、第1純水排出ライン33を介して第1逆浸透膜モジュール31の純水排出側に接続されている。第1純水排出ライン33の中途部には、第1純水排出ライン33を開閉するための純水バルブ33aが設けられている。純水バルブ33aは電動弁で構成されている。また、第1純水排出ライン33の中途部には、第1純水排出ライン33を流れる純水の流量を測定する流量センサ(流量測定手段)33bが設けられている。流量センサ33bは液体の流量を測定する際に用いられている周知の構造のものであるので詳細な説明は省略する。
【0049】
第2原水供給ライン20は、原水を第2逆浸透膜モジュール32に供給するためのものであり、第1原水供給ライン10と同様に、原水の供給元から第2逆浸透膜モジュール32の原水供給側まで延びる配管21と、第2原水ポンプ22、1次フィルタ23と、軟水装置24と、2次フィルタ25と、原水バルブ26と、第2常時運転ポンプ27とを備えている。第2常時運転ポンプ27は、第1常時運転ポンプ17と同様に構成されている。
【0050】
第2逆浸透膜モジュール32は、第1逆浸透膜モジュール31と同様に構成されている。
【0051】
第2純水排出ライン34は、第2逆浸透膜モジュール32の純水排出側に接続されており、純水容器35まで延びている。第2純水排出ライン34の中途部には、第1純水排出ライン33と同様に、純水バルブ34aと流量センサ34bとが設けられている。
【0052】
純水容器35は、第1逆浸透膜モジュール31及び第2逆浸透膜モジュール32で生成された純水を貯留しておくためのものであり、例えば、500L程度の容量がある。純水容器35には、純水容器35内に貯留されている純水量を測定するための貯留量測定装置(貯留量測定手段)35aが設けられている。貯留量測定装置35aは、第1〜第5水位センサ35b〜35fを有している。第1水位センサ35bが最も上に配置され、以下、第2〜第5水位センサ35c〜35fが下に向かって順に配置されている。すなわち、第1水位センサ35bの位置に純水の水面があると、第1水位センサ35bが信号を出力し、これにより純水容器35内の純水量が得られるようになっている。第2〜第5水位センサ35c〜35fも同様である。
【0053】
純水送給ライン36は、純水容器35に接続され、純水容器35内の純水を純水の使用場所である各透析装置へ送給するためのラインである。純水送給ライン36には、ポンプ36aが設けられている。
【0054】
第1濃縮水ライン41は、第1逆浸透膜モジュール31の濃縮水排出側(原水供給側)と、第1原水供給ライン10とを接続している。さらに、第1濃縮水ライン41は、途中で分岐し、純水容器35とも接続されている。第1濃縮水ライン41における第1原水供給ライン10側の接続部位は、配管11の原水バルブ16と第1常時運転ポンプ17との間の部位である。第1濃縮水ライン41には濃縮水バルブ41aが設けられている。
【0055】
第1排水ライン51は、第1濃縮水ライン41から分岐して延びており、第1濃縮水ライン41内の水を外部に排出するためのものである。第1排水ライン51の中途部は、2つに分岐しており、それぞれに排水バルブ51a,51bが設けられている。
【0056】
第2濃縮水ライン42は、第2逆浸透膜モジュール32の濃縮水排出側(原水供給側)と、第2原水供給ライン20とを接続している。さらに、第2濃縮水ライン42は、途中で分岐し、純水容器35にも接続されている。第2濃縮水ライン42における第2原水供給ライン20側の接続部位は、配管21の原水バルブ26と第2常時運転ポンプ27との間の部位である。第2濃縮水ライン42には濃縮水バルブ42aが設けられている。
【0057】
第2排水ライン52は、第2濃縮水ライン42から分岐して延びており、第2濃縮水ライン42内の水を外部に排出するためのものである。第2排水ライン52の中途部は、2つに分岐しており、それぞれに排水バルブ52a,52bが設けられている。
【0058】
純水循環ライン55は、純水容器35内の純水を循環させるためのものである。純水循環ライン55の上流側は純水容器35底壁部近傍に接続され、下流側は純水容器35の上下方向中間部に接続されている。純水循環ライン55には、循環ポンプ55aが設けられている。この循環ポンプ55aによって純水容器35内の純水が循環するようになっている。循環ポンプ55aは、インバータ制御されるものである。
【0059】
図2に示すように、制御装置60には、操作パネル61、流量センサ33b,34b及び第1〜第5水位センサ35b〜35fの他、第1原水供給ライン10の第1原水ポンプ12、第1常時運転ポンプ17及び原水バルブ16と、第2原水供給ライン20の第2原水ポンプ22、第2常時運転ポンプ27及び原水バルブ26と、第1純水排出ライン33の純水バルブ33aと、第2純水排出ライン34の純水バルブ34aと、第1濃縮水ライン41の濃縮水バルブ41aと、第2濃縮水ライン42の濃縮水バルブ42aと、第1排水ライン51の排水バルブ51a,51bと、第2排水ライン52の排水バルブ52a,52bと、循環ポンプ55aとが接続されている。
【0060】
そして、操作パネル61、流量センサ33b,34b及び第1〜第5水位センサ35b〜35fの信号に基づいて、第1原水ポンプ12、第1常時運転ポンプ17、原水バルブ16、第2原水ポンプ22、第2常時運転ポンプ27、原水バルブ26、純水バルブ33a,34a、濃縮水バルブ41a、42a、排水バルブ51a,51b,52a,52b及び循環ポンプ55aを制御するように構成されている。操作パネル61は、本装置1のON/OFF切り替え等を行うためのものである。
【0061】
以下、制御装置60による制御について詳細に説明する。尚、循環ポンプ55aは、常時作動している。
【0062】
<両ライン運転>
両ライン運転とは、第1逆浸透膜モジュール31及び第2逆浸透膜モジュール32の両方で純水を生成する運転であり、純水の使用量が多い場合や、純水容器35内の純水の水位が低い場合に行う(図3に示す)。図3において、太線は水の流通している部分である。
【0063】
制御装置60は、第1排水ライン51の排出バルブ51aを開状態にし、排出バルブ51bを閉状態にし、第2排水ライン52の排出バルブ52aを開状態にし、排出バルブ52bを閉状態にする。また、第1原水供給ライン10の第1原水ポンプ12を作動させ、原水バルブ16を開状態にするとともに、第2原水供給ライン20の第2原水ポンプ22を作動させ、原水バルブ26を開状態にする。さらに、第1純水排出ライン33の純水バルブ33aと、第2純水排出ライン34の純水バルブ34aとを開状態にする。第1濃縮水ライン41の濃縮水バルブ41a及び第2濃縮水ライン42の濃縮水バルブ42aは閉状態にする。
【0064】
これにより、第1原水供給ライン10及び第2原水供給ライン20により第1逆浸透膜モジュール31及び第2逆浸透膜モジュール32に原水が供給され、第1逆浸透膜モジュール31及び第2逆浸透膜モジュール32で生成された純水が第1純水排出ライン33及び第2純水排出ライン34を通って純水容器35に流入する。必要に応じて純水送給ライン36のポンプ36aを作動させる。
【0065】
尚、純水を生成する過程で生じた濃縮水は、排出バルブ51a及び排出バルブ52aから排出される。
【0066】
<第1ライン運転>
第1ライン運転とは、第1逆浸透膜モジュール31のみで純水を生成する運転であり、純水の使用量が少ない場合や、純水容器35内の純水の水位が高い場合に行う(図4に示す)。
【0067】
制御装置60は、第1排水ライン51の排出バルブ51aを開状態にし、排出バルブ51bを閉状態にする。第1排水ライン51の排出バルブ51a,51bは、両方とも開状態にしてもよい。
【0068】
また、第1原水供給ライン10の第1原水ポンプ12を作動させ、原水バルブ16を開状態にする。第2原水供給ライン20の第2原水ポンプ22は停止し、原水バルブ26を閉状態にしておく。さらに、第1純水排出ライン33の純水バルブ33aを開状態にする。
【0069】
これにより、第1原水供給ライン10により第1逆浸透膜モジュール31にのみ原水が供給され、第1逆浸透膜モジュール31で生成された純水が第1純水排出ライン33を通って純水容器35に流入する。
【0070】
尚、純水を生成する過程で生じた濃縮水は、排出バルブ51aから排出される。
【0071】
また、第2純水排出ライン34の純水バルブ34aを開状態にする。また、第2排水ライン52の排出バルブ52aを開状態にし、排出バルブ52bを閉状態にする。また、第2濃縮水ライン42の濃縮水バルブ42aを開状態にする。
【0072】
これにより、純水容器35内の純水は、第2逆浸透膜モジュール32の原水供給側に供給された後、一部が第2純水排出ライン34を通って純水容器35に流入し、残りが第2排水ライン52を通って排水バルブ52aから排水される。
【0073】
尚、第2排水ライン51の排出バルブ52a,52bの両方を開状態にしてもよく、両方を閉状態にしてもよい。
【0074】
<第2ライン運転>
第2ライン運転とは、第2逆浸透膜モジュール32のみで純水を生成する運転であり、純水の使用量が少ない場合や、純水容器35内の純水の水位が高い場合に行う(図5に示す)。
【0075】
制御装置60は、第2排水ライン52の排水バルブ52aを開状態にし、排出バルブ52bを閉状態にする。第2排水ライン51の排出バルブ52a,52bは、両方とも開状態にしてもよい。
【0076】
また、第2原水供給ライン20の第2原水ポンプ22を作動させ、原水バルブ26を開状態にする。第1原水供給ライン10の第1原水ポンプ12は停止し、原水バルブ16を閉状態にしておく。さらに、第2純水排出ライン34の純水バルブ34aを開状態にする。
【0077】
これにより、第2原水供給ライン20により第2逆浸透膜モジュール32にのみ原水が供給され、第2逆浸透膜モジュール32で生成された純水が第2純水排出ライン34を通って純水容器35に流入する。
【0078】
尚、純水を生成する過程で生じた濃縮水は、排出バルブ52aから排出される。
【0079】
また、第1純水排出ライン33の純水バルブ33aを開状態にする。また、第1排水ライン51の排出バルブ51aを開状態にし、排出バルブ51bを閉状態にする。また、第1濃縮水ライン41の濃縮水バルブ41aを開状態にする。
【0080】
これにより、純水容器35内の純水は、第1逆浸透膜モジュール31の原水供給側に供給された後、一部が第1純水排出ライン33を通って純水容器35に流入し、残りが第1排水ライン51を通って排水バルブ51aから排水される。
【0081】
尚、第1排水ライン51の排出バルブ51a,51bは、両方とも開状態にしてもよく、両方を閉状態にしてもよい。
【0082】
<両逆浸透膜洗浄>
両逆浸透膜洗浄とは、第1逆浸透膜モジュール31及び第2逆浸透膜モジュール32の両方の逆浸透膜を洗浄する運転であり、純水容器35が満水になったときに行う(図6に示す)。
【0083】
制御装置60は、原水バルブ16を閉状態にし、第1原水ポンプ12を停止させる。第2原水供給ライン20の原水バルブ26を閉状態にし、第2原水ポンプ22を停止させる。
【0084】
第1排水ライン51の排水バルブ51a,51bと、第2排水ライン52の排水バルブ52a,52bと開状態にする。第1純水排出ライン33の純水バルブ33aと、第2純水排出ライン34の純水バルブ34aとを開状態にする。第1濃縮水ライン41の濃縮水バルブ41aと、第2濃縮水ライン42の濃縮水バルブ42aとを開状態にする。
【0085】
これにより、純水容器35内の純水は、第1濃縮水ライン41を流れて第1原水供給ライン10の第1常時運転ポンプ17によって第1逆浸透膜モジュール31の原水供給側に供給されて、逆浸透膜に吹き付けられ、逆浸透膜が純水によって洗浄される。洗浄後の純水は、第1逆浸透膜モジュール31の原水供給側から第1濃縮水ライン41へ流出し、第1排水ライン51から排水される。
【0086】
また、純水容器35内の純水は、第2濃縮水ライン42を流れて第2原水供給ライン20の第2常時運転ポンプ27によって第2逆浸透膜モジュール32の原水供給側に供給されて、逆浸透膜に吹き付けられ、逆浸透膜が純水によって洗浄される。洗浄後の純水は、第2逆浸透膜モジュール32の原水供給側から第2濃縮水ライン42へ流出し、第2排水ライン52から排水される。
【0087】
<第1逆浸透膜洗浄>
第1逆浸透膜洗浄とは、第1逆浸透膜モジュール31の逆浸透膜を洗浄する運転である(図7に示す)。
【0088】
制御装置60は、原水バルブ16を閉状態にし、第1原水ポンプ12を停止させる。第2原水供給ライン20の第2原水ポンプ22を作動させ、原水バルブ26を開状態にする。第1排水ライン51の排水バルブ51a,51bを開状態にし、第2排水ライン52の排水バルブ52aを開状態にし、52bを閉状態にする。第1純水排出ライン33の純水バルブ33aを開状態にし、第2純水排出ライン34の純水バルブ34aを開状態にする。第1濃縮水ライン41の濃縮水バルブ41aを開状態にし、第2濃縮水ライン42の濃縮水バルブ42aを閉状態にする。
【0089】
これにより、純水容器35内の純水は、第1濃縮水ライン41を流れて第1原水供給ライン10の第1常時運転ポンプ17によって第1逆浸透膜モジュール31の原水供給側に供給されて、逆浸透膜に吹き付けられ、逆浸透膜が純水によって洗浄される。洗浄後の純水は、第1逆浸透膜モジュール31の原水供給側から第1濃縮水ライン41へ流出し、第1排水ライン51から排水される。
【0090】
一方、第2原水供給ライン20により第2逆浸透膜モジュール32にのみ原水が供給され、第2逆浸透膜モジュール32で生成された純水が第2純水排出ライン34を通って純水容器35に流入する。
【0091】
<第2逆浸透膜洗浄>
第2逆浸透膜洗浄とは、第2逆浸透膜モジュール32の逆浸透膜を洗浄する運転である(図8に示す)。
【0092】
制御装置60は、第2原水供給ライン20の原水バルブ26を閉状態にし、第2原水ポンプ22を停止させる。第1原水供給ライン10の第1原水ポンプ12を作動させ、原水バルブ16を開状態にする。第2排水ライン52の排水バルブ52a,52bを開状態にし、第1排水ライン51の排水バルブ51aを開状態にし、51bを閉状態にする。第2純水排出ライン34の純水バルブ34aを開状態にし、第1純水排出ライン33の純水バルブ33aを開状態にする。第2濃縮水ライン42の濃縮水バルブ42aを開状態にし、第1濃縮水ライン41の濃縮水バルブ41aを閉状態にする。
【0093】
これにより、純水容器35内の純水は、第2濃縮水ライン42を流れて第2原水供給ライン20の第2常時運転ポンプ27によって第2逆浸透膜モジュール32の原水供給側に供給されて、逆浸透膜に吹き付けられ、逆浸透膜が純水によって洗浄される。洗浄後の純水は、第2逆浸透膜モジュール32の原水供給側から第2濃縮水ライン42へ流出し、第2排水ライン52から排水される。
【0094】
一方、第1原水供給ライン10により第1逆浸透膜モジュール31にのみ原水が供給され、第1逆浸透膜モジュール31で生成された純水が第1純水排出ライン33を通って純水容器35に流入する。
【0095】
<循環再濾過>
循環再濾過とは、純水容器35内の純水を第1逆浸透膜モジュール31又は第2逆浸透膜モジュール32によって再濾過することである。
【0096】
図9に示す第1逆浸透膜モジュール31で再濾過する場合には、制御装置60は、第1原水供給ライン10の原水バルブ16を閉状態にし、第1濃縮水ライン41の濃縮水バルブ41aを開状態にする。また、第1純水排出ライン33の純水バルブ33aを開状態にし、第1排水ライン51の排水バルブ51a、51bを閉状態にする。
【0097】
これにより、純水容器35内の純水が第1逆浸透膜モジュール31の逆浸透膜を通過して再度濾過される。
【0098】
また、制御装置60は、第2原水供給ライン20の原水バルブ26を閉状態にし、第2濃縮水ライン42の濃縮水バルブ42aを開状態にする。また、第2純水排出ライン34の純水バルブ34aを開状態にし、第2排水ライン52の排水バルブ52a、52bを閉状態にする。
【0099】
次に、制御装置60による具体的な制御要領について説明する。
【0100】
制御装置60は、貯留量測定装置35aの出力信号に基づいて純水容器35内に貯留されている純水量を得る。すなわち、第1水位センサ35bが信号を出力している場合には、純水容器35内に十分な量の純水があると判断し、例えば第4水位センサ35eや第5水位センサ35fが信号を出力していない場合には、純水容器35内の純水が少ないと判断する。また、第1水位センサ35bが信号を出力しなくなった時から第2水位センサ35cが信号を出力しなくなった時までの時間を測定し、この時間の長短によって純水の減少度(減少速度)を得る。
【0101】
そして、制御装置60は、流量センサ33b,34bにより得られた純水の流量(純水の全製造量)と、純水容器35内の純水量の減少度とに基づいて、純水容器35内の純水量が減少傾向にあると判断され、かつ、その減少速度が速いと推定される場合には両ライン運転とし、一方、純水容器35内の純水量が増加傾向にある、又は減少速度が遅いと推定される場合には第1ライン運転とするように構成されている。この場合、第1ライン運転の代わりに第2ライン運転としてもよい。
【0102】
また、例えば、第4水位センサ35eや第5水位センサ35fが信号を出力していない場合のように、純水容器35内の水位が低い場合には、両ライン運転を行い、純水の貯留量を早期に増やす。一方、第2水位センサ35cが信号を出力している場合のように、純水容器35内の水位が高い場合には、第1ライン運転又は第2ライン運転を行う。
【0103】
また、制御装置60は、純水容器35内の純水量の水位が高く、かつ、第1逆浸透膜モジュール31の逆浸透膜の洗浄が必要な場合には、第1逆浸透膜洗浄を行う。すなわち、第1逆浸透膜モジュール31の逆浸透膜を洗浄しながら、第2逆浸透膜モジュール32で純水を製造する。第2逆浸透膜モジュール32の逆浸透膜の洗浄が必要な場合には、第2逆浸透膜洗浄を行う。
【0104】
また、制御装置60は、純水容器35内の純水の水位が比較的高い場合のように、両ライン運転が必要ない場合においては、第1逆浸透膜洗浄を行った後、第2逆浸透膜洗浄を行うように構成されている。つまり、第1逆浸透膜洗浄と第2逆浸透膜洗浄を交互に行う。
【0105】
また、制御装置60は、純水を製造している運転状態であるか否かを検出し、純水の製造中である場合には、他の場合(両逆浸透膜洗浄)に比べて循環ポンプ55aによる純水の送り量を減少させるように構成されている。両ライン運転、第1ライン運転、第2ライン運転等は、純水を製造している運転状態であり、これらの運転状態のときに、両逆浸透膜洗浄に比べて、循環ポンプ55aの回転速度を低くする。
【0106】
また、純水循環ライン55の循環ポンプ55aは常時作動しているので、純水容器35内の純水は純水循環ライン55を循環している。この実施形態では、制御装置60が、第1原水ポンプ12が停止する運転モードのときには、循環ポンプ55aの送水能力を、第1原水ポンプ12が作動している場合に比べて増大させ、また、第2原水ポンプ22が停止する運転モードのときにも、循環ポンプ55aの送水能力を、第2原水ポンプ22が作動している場合に比べて増大させる。
【0107】
詳しくは、第1原水ポンプ12が停止すると、そのままでは第1逆浸透膜モジュール31の逆浸透膜に作用する圧力が減少することになり、逆浸透膜に作用する圧力変動幅が大きくなり、ひいては逆浸透膜の寿命を縮めることになる。この実施形態では、第1原水ポンプ12が停止する運転モードのときに循環ポンプ55aの送水能力を増大させることで純水の送水量を多くし、これによって第1逆浸透膜モジュール31の逆浸透膜に作用する圧力変動の幅を小さく抑える。循環ポンプ55aの送水能力の増大量は、第1原水ポンプ12の停止によって第1逆浸透モジュール31の逆浸透膜への圧力減少を補う程度に設定されている。第2原水ポンプ22が停止した場合も同様に送水能力を増大させる。
【0108】
以上説明したように、この実施形態に係る純水製造装置1によれば、第1及び第2逆浸透膜モジュール31,32に第1及び第2原水供給ライン10,20を接続し、各モジュール31,32に原水を別々に送るようにしている。これにより、2つのモジュール31,32を利用して単位時間当たりの純水製造量を増大させることができるので、複数台の純水製造装置の導入を回避して設置場所の問題及び水質管理の問題を解決できる。
【0109】
そして、純水の使用量が少ないときには、第1原水供給ライン10による原水の供給、又は第2原水供給ライン20による原水の供給を停止させるようにしたので、逆浸透膜にかかる圧力変動を抑制でき、逆浸透膜の長寿命化を図ることができる。
【0110】
また、純水容器35内の純水量の減少度に基づいて第1及び第2原水供給ライン10,20の原水ポンプ16,26を作動させることができるので、純水が供給不足となるのを回避できる。
【0111】
また、第1逆浸透膜モジュール31及び第2逆浸透膜モジュール32の逆浸透膜を交互に洗浄するようにしたので、純水容器35が満水になる度に洗浄を行う場合に比べて、逆浸透膜の洗浄回数を少なくすることができる。これにより、純水の使用量を抑えることができる。
【0112】
また、本装置1では、純水容器35内の純水の水位に応じて純水の製造量を増減できる。さらに、純水容器35内の水位が高水位にある場合には、第2逆浸透膜モジュール32では純水を製造しないようにして、第2逆浸透膜モジュール32の逆浸透膜を洗浄することができる。同様に、第1逆浸透膜モジュール31の逆浸透膜を洗浄することもできる。
【0113】
また、第1及び第2逆浸透膜モジュール31,32の逆浸透膜を交互に洗浄できるので、両逆浸透膜の寿命を均等にすることができる。
【0114】
また、純水循環ライン55を設けたので、純水容器35内の純水を常時循環させておくことができ、純水容器35内の純水の純度を高く保つことができる。そして、純水の製造中である場合には、循環ポンプ55aによる純水の送り量を減少させて省エネルギ化を図ることができる。
【0115】
尚、流量センサ33b,34bを省略してもよい。この場合、制御装置60は、第1〜第5水位センサ35b〜35fの出力によって純水容器35内の純水量及び純水の減少度を得て運転を切り替えるようにすればよい。
【0116】
また、上記実施形態では、原水供給ライン及び逆浸透膜モジュールを2つずつ設けた2系統タイプの純水製造装置1について説明したが、これに限らず、例えば、原水供給ライン及び逆浸透膜モジュールをそれぞれ3つ以上設けた多系統タイプに構成することもできる。
【0117】
また、上記実施形態では、純水を透析液として用いる場合について説明したが、本発明は、純水が必要な場合に広く用いることができ、例えば、精密機器や電子機器産業で用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
以上説明したように、本発明にかかる純水製造装置は、例えば、精密機器や電子機器産業、医療分野等で用いることができる。
【符号の説明】
【0119】
1 純水製造装置
2 制御装置(制御部)
10 第1原水供給ライン
12 第1原水ポンプ
17 第1常時運転ポンプ
20 第2原水供給ライン
22 第2原水ポンプ
27 第2常時運転ポンプ
31 第1逆浸透膜モジュール
32 第2逆浸透膜モジュール
33 第1純水排出ライン
33b 流量センサ
34 第2純水排出ライン
34b 流量センサ
35 純水容器
35a 貯留量測定装置(貯留量測定手段)
35b〜35f 第1〜第5水位センサ
36 純水送給ライン
41 第1濃縮水ライン
42 第2濃縮水ライン
51 第1排水ライン
52 第2排水ライン
55 純水循環ライン
55a 循環ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透作用によって原水から純水を得る逆浸透膜を備えた第1及び第2逆浸透膜モジュールと、
上記第1及び第2逆浸透膜モジュールの原水供給側に接続され、各モジュールにそれぞれ原水を送る原水ポンプを備えた第1及び第2原水供給ラインと、
上記第1及び第2逆浸透モジュールの純水排出側に接続され、逆浸透膜を透過して得られた純水を貯留するための純水容器と、
上記純水容器内の純水を送る純水送給ラインと、
上記第1及び第2原水供給ラインの原水ポンプを制御する制御部とを備え、
上記制御部は、上記第1及び第2原水供給ラインの両原水ポンプを作動させる両ライン運転と、上記第1原水供給ラインの原水ポンプを作動させ、かつ、上記第2原水供給ラインの原水ポンプを停止させる第1ライン運転とに切り替えるように構成されていることを特徴とする純水製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の純水製造装置において、
純水容器に設けられ、該純水容器内に貯留されている純水量を測定するための貯留量測定手段を備え、
制御部は、上記貯留量測定手段の出力信号に基づいて上記純水容器内に貯留されている純水量の減少度を得て、得られた純水の減少度が所定値以上の場合には、両ライン運転とするように構成されていることを特徴とする純水製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載の純水製造装置において、
第1及び第2逆浸透膜モジュールの純水排出側と純水容器とを接続する純水排出ラインと、
上記純水排出ラインに設けられ、該純水排出ラインを流れる純水の流量を測定する流量測定手段とを備え、
制御部は、上記流量測定手段により得られた純水の流量と、貯留量測定手段により得られた純水量の減少度とに基づいて、上記純水容器内の純水量が減少傾向にあると推定される場合には両ライン運転とするように構成されていることを特徴とする純水製造装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の純水製造装置において、
第1及び第2逆浸透膜モジュールの濃縮水排出側と、第1及び第2原水供給ラインとを接続する第1及び第2濃縮水ラインと、
上記第1及び第2濃縮水ラインから分岐し、該濃縮水ライン内の水を外部に排出する第1及び第2排水ラインと、
純水を第1及び第2原水供給ラインに供給する第1及び第2純水供給ラインとを備え、
制御部は、上記第1純水供給ラインから上記第1原水供給ラインに供給した純水を上記第1逆浸透膜モジュールに供給した後、上記第1濃縮水ラインに流して上記第1排水ラインから排出する第1逆浸透膜洗浄運転と、上記第2純水供給ラインから上記第2原水供給ラインに供給した純水を上記第2逆浸透膜モジュールに供給した後、上記第2濃縮水ラインに流して第2排水ラインから排出する第2逆浸透膜洗浄運転とを切り替えて行うように構成されていることを特徴とする純水製造装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の純水製造装置において、
純水容器には、該純水容器内の水位を検出するための第1及び第2水位センサが設けられ、該第1水位センサは該第2水位センサよりも上側に配置され、
制御部は、上記第1水位センサにより上記純水容器内の水位が高水位にあると検出された場合には第1ライン運転を行い、上記第2水位センサにより上記純水容器内の水位が低水位にあると検出された場合には両ライン運転を行うように構成されていることを特徴とする純水製造装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の純水製造装置において、
制御部は、第1ライン運転の後に、第2原水供給ラインの原水ポンプを作動させ、かつ、第1原水供給ラインの原水ポンプを停止させる第2ライン運転を行うように構成されていることを特徴とする純水製造装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の純水製造装置において、
純水容器に接続され、該純水容器内の純水を流出させて該純水容器内に再び戻すための純水循環ラインを備え、
上記純水循環ラインには、純水を送るための循環ポンプが設けられ、該循環ポンプは制御部により制御され、
上記制御部は、純水の製造中であるか否かを検出し、純水の製造中である場合には純水を製造していない場合に比べて上記循環ポンプによる純水の送り量を減少させることを特徴とする純水製造装置。
【請求項8】
請求項7に記載の純水製造装置において、
純水循環ラインは、第1及び第2逆浸透膜モジュールの原水供給側に接続され、
制御部は、循環ポンプを作動させて純水循環ラインに純水を循環させる場合に原水ポンプを停止させるとともに、該原水ポンプの停止によって上記第1又は第2逆浸透モジュールの逆浸透膜への圧力減少を補うように上記循環ポンプの送水能力を上記原水ポンプの作動時に比べて増大させることを特徴とする純水製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−187446(P2012−187446A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50614(P2011−50614)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】