紙などのシート材料を包装するための構造
本発明は、印刷もしくは複写の利用を目的とした紙などのシート材料を包装するための構造に関するものであり、この構造では一組のシート紙(3)が1つの連続する保護用パッケージ(1)内に配される。保護用パッケージ(1)の内側には少なくとも1つの取っ手(4)があり、この取っ手はパッケージ内のすべてのシート紙(3)を実質的に取り囲んで配されている。
【発明の詳細な説明】
【詳細な説明】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載する印刷用紙およびコピー用紙などのシート材料を包装するための構造に関するものである。
【0002】
今日の複写機および印刷機は非常に大型で、効率的、かつ高速にすることができるが、このことはそれらの機械が大量の紙を使用することを意味している。公知の技術において、シート形状で供給されるA4判コピー用紙および印刷用紙などの事務用紙は通常、段ボール箱に包装され、各箱には個々の包装紙で包装された5つのパッケージが入っている。連包装として公知のパッケージにはそれぞれ、A4版の紙が500枚入っている。段ボール箱は輸送中事務用紙を良好に保護するが、そのコストのために、さらには処分もしくは再生利用されるまで空箱状態で場所をとるために、問題がある。別の問題は、高速機械、さらには当該機械で紙がほぼ絶え間なく使用される状況に関する。というのは、たとえ機械が数千枚にもおよぶシートを一度に備え付け可能であるとしても、連包装を個々に解いて各500枚の紙束を個々に機械へ装填する必要があるために、給紙トレーへの補給に時間を取られるからである。
【0003】
また、例えば2,500枚のばらのシートが入っている段ボール箱もある。このような場合、連包装を開包し、もしくはそれを処分する必要はないが、それでもなお機械への装填が遅くなるという問題がある。なぜならば、これらの用紙を手に収まる程度の束にして箱から手で取り出して、複写機もしくは印刷機の給紙トレーに山積させる必要があるからである。1束の紙束全体を1つの持上げ用取っ手で持ち上げることも困難である。なぜならば、紙束は例えば、10〜15kgの重さになり得るからである。しかし、この時重い紙束をこれらのシートの隅部や縁部を傷つけることなく複写機もしくは印刷機の給紙トレーに正確に据える必要がある。重い束は、たったひとつの取っ手を使っている場合、取っ手のところで湾曲することがある。これによって個々のシートに対して損傷を与え、または紙束を変形させ、このことが紙束を給紙トレーへ据えるのを困難にする。ただ1つの取っ手を用いて持ち上げる場合、重い束は傾いたり、崩れたりすることがある。シート紙を段ボール箱から持ち上げ出すことも問題である。段ボール箱に関する他の問題は、大きければ大きいほど、さらに原材料が厚くなればなるほど、処分すべき廃棄物の量が多くなることである。
【0004】
本発明は、上述の問題を解消し、複写機、印刷機、または紙を使用する他の事務用機械への紙の装填が容易かつ迅速にできるように、事務用紙などのシート材料を包装する最適に有利な構造を達成することを目的とする。本発明に記載する構造は、請求項1の特徴段に開示する事項を特徴とする。本発明の他の実施例は、その他の請求項に開示する事項を特徴とする。
【0005】
本発明による方式の利点は、本発明によるパッケージは製造するのに非常に安価で迅速であることである。他の利点は、事務用紙をパッケージから迅速かつ容易に取り出して、これを使用する機械へ一度に十分な枚数で、パッケージの保護体として存在している包装紙の内側、または段ボール箱の内側の取っ手を利用して装填することができることである。これによって機械の中断時間を少なくし、シートを最適な状態に保つ。更なる利点は、底板をシート束の下の支持体として使用していることであり、この底板はシート束のうち底部のシートを損傷から保護するからである。底板は底部のシートを例えば取っ手が引き抜かれた場合に受ける損傷から保護するので、損傷したシートによって複写機、印刷機、もしくは他の機械における紙の進路にて生じる可能性のある紙詰まりを防止する。
【0006】
さらに、2つの取っ手を備え、包みもしくは箱の内側に入れられた束は1つの取っ手だけしかないものよりも扱いやすい。2つの取っ手で束を持ち上げた場合、バランスはより良く保たれて、傾く危険は排除され、結果として起こる束の崩壊および/またはシートの損傷もなくなる。また、持上げに起因するたわみも少なくなり、束の底板の縁部における点荷重はただ1つの取っ手を使用した場合と比べて半分になる。両手と2つの取っ手を使ってシートを機械に供給した場合、束が崩れ、ひいてはシートを損傷する危険はかなり減少する。他の利点は、本発明によるパッケージには連包装の外側に1つの持運び用取っ手が、連包装の内側に2つの取っ手がそれぞれあり、これらはすべて異なる点に配置されていることにある。したがって、パッケージを動かしたり束を持ち上げたりすることによって生じる荷重は底板のさまざまな点にかかり、これにより底板をより良い状態に保ち、たとえパッケージが開包前に数回動かされたり持ち上げられたりしても、束の持運び用取っ手と持上げ用取っ手を緩める可能性のある底板の変形がないので、束を確実に緊密に保つ。
【0007】
本発明の他の利点は、両手を使って重いパッケージを持ち上げて移動させることが容易になり、これによって両手間に荷重が均一に分散されることである。形の良い取っ手もしくは同様な工夫によって、従来から使用されてきたプラスチックの帯もしくは単一の持上げ用取っ手が与えたような負担を重量が手に与えることがない。更なる利点は、全部のシート紙を1つの比較的薄い包装紙だけで包んでパッケージにしている場合、その包装自体はあまり無駄を生じないことである。
【0008】
次に、適用例を用いて添付図面を参照することで本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】包装紙もしくは箱であるパッケージ保護体が取り除かれている、本発明によるパッケージの側面からの斜視図である。
【図2】本発明によるパッケージの側面からの斜視図である。
【図3】持運び用取っ手が取り除かれ、パッケージ保護体である包装紙の一部が開包用ストリップからめくられ開包されている、図2のパッケージの側面からの斜視図である。
【図4】シートの束が蓋の一部を切除された箱に入っている状態における、本発明の他のパッケージの側面からの斜視図である。
【図5】ないし
【図8】本発明によるパッケージに適したさまざまな持運び用取っ手の実施例を示す図である。
【図9】ないし
【図11】本発明による保護用包装紙のさまざまな層構造の簡略拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明の1つの有利な実施例によるパッケージを示すが、別々のシート紙3からなるシート束2がそのパッケージから抜き出されている。同様に、図2は本発明の1つの有利な実施例によるシート紙パッケージを示すが、同実施例ではシートは単一の実質的に連続した保護用パッケージ1に包まれている。保護用パッケージ1は実質的に薄く柔軟性のある包装紙1aからなる。包装紙1aの周囲にはパッケージの短い方の外辺部を実質的に囲んで取り巻く外付けの持運び用取っ手12があり、パッケージを持ち上げて運ぶために用いられる。
【0011】
図1は本発明によるパッケージで、保護用パッケージ1として用いられる包装紙1aを完全に取り去るようにして開包されたパッケージを示すが、パッケージに入っているシート紙3を短線で示している。シート紙3はすべて互いに積み重ねられて例えば2,500枚もしくはそれ以上の単一の束になっている。保護用パッケージ1としての役割を果たす包装紙1aの表面下、すなわち内側には、未開包の時にシート束2の短い方の外辺部を実質的に取り巻く2つの実質的に同様の取っ手4を有し、これらの取っ手は互いに適切な水平距離でありシートの束の中央線に対して実質上対称的に配置されている。したがって、取っ手4は例えばシート束2の両端部から実質的に等距離のところに配されるとともに、取っ手の両方がシート束2の中央線部に来ないように配置される。中央線部には未開包のパッケージの外側に配置される持運び用取っ手12を配することができる。本発明によれば、シート紙3は、保護用パッケージ1として使われている包装紙1aをシート束2の周りから完全にもしくは部分的に取り除いた後、両手で取っ手4の両方を用いて1つのシート束2として持ち上げ、紙を使う機械へ投入する構成になっている。取っ手4は包装紙1aを取り除く時にも役立つ。シート束2を囲む取っ手4の緊張度は指を取っ手4とシート束2との間に容易に滑り込ませることができる程度にしている。シート束2をシート紙3を使用する機械の給紙トレーへ投入したときには、取っ手4を切断して下側のシート束2から引っ張り出すことによって、その後にシート紙3は使用できる状態となる。
【0012】
図1はさらに、保護用パッケージ1の内側の未開包のパッケージ内のシート束2の底面に配されている底板5を示す。この底板はシートの束2を支持する用に供し、さらに束2内のシート紙3を損傷しないように取っ手4を取り除くのを容易にする。底板5は例えば、取っ手4が引き抜かれるときの損傷から底部のシート3を守るので、損傷したシートにより複写機、印刷機、もしくは他の機械における紙の進路にて生じる可能性のある紙詰まりを防止する。底板5はシート紙3よりも厚く丈夫な材料でできている。底板5は、たとえ図示されていなくても、本発明によるあらゆるパッケージ内のシート束2の底面に配置することができる。底板5はさらに、上述の実施例のパッケージ内におけると同様に、本発明による他の方式においてもシート束2を支持して取っ手4の取外しをさらに容易にするという働きをする。さらに、底板5は給紙トレーの底面にとどまって、複写機もしくは印刷機の中に取り込まれないように構成されている。新規シート束2を装填する前に、底板5は給紙トレーから取り除かれる。
【0013】
図1はさらに、上板6を示すが、これは保護用パッケージ1の内側の未開包パッケージ内のシート束2の上面に配置され、この上板はシート束2を、特に束2の上面のシート紙3が損傷を受けないように上端から支える用に供する。上板6はシート紙3よりも厚く丈夫な材料で作られている。この上板6は、たとえ図示されていなくても、本発明によるあらゆるパッケージ内のシート束2の上面に配することができる。取っ手4を取り除いた後、上板6はシート束2の上面から取り除かれる。
【0014】
図2において、大量の例えばA4判のシート紙からなるシート束2は、保護用パッケージ1として働きかつ紙を主体とした柔軟性のある材料で作られた1枚の連続する包装紙1aの中に包まれている。パッケージはリールに基づく包装紙1aから作り上げられ、包装紙1aを包装中にリールから直接引き出し、適切な長さに裁断し、その後に包装紙1aで、互いの上面を一山に積み重ねて取っ手4を備え付けた例えば2,500枚一組の個々の事務用シート紙3を巻きつける。そのようにして束の上面と、底面と、両長側面を一枚の連続する包装紙で包み、包装紙1aの後端部8を包装紙1aの前端部8aに適切な量だけ重ねて、その内面を前端部8aの外面へ貼り付ける。ここでは包装紙1aの隠れた前端部8aが図示されているが、他の図では破線を用いて示す。包装紙1aの後端部8はパッケージの上面に、実質的にその長い隅部のうちの1つ付近に適切に位置する。パッケージの各端部には少なくとも外折部1bおよび1cと内折部1dおよび1eがあり、各折部を少なくとも一部が重なるように配している。両端部の折部は、たとえ小さな事故でも複数のシート3を損傷しかねないパッケージ内のシート紙3の端部の保護を強化する役目をしている。
【0015】
図2のパッケージにおいて、外折部1bおよび1cを例えば熱接着剤を用いて互いに接着すると共に、少なくとも上部内折部1dの外面へ接着して、外折部1bおよび1cの少なくとも下部の隅部が内折部1dおよび1eの外面から離れるようにする。したがって、外折部1bおよび1cと内折部1dおよび1eとの間には下向きに開いた持上げ用隙間7が残り、この隙間はパッケージの端部から外に向けて広がり、これによってパッケージを持ち上げる人が複数本の指を下から持上げ用隙間7へ差し入れることができるとともに、外折部1bおよび1cの下縁部は支持体としての役割を果たす。
【0016】
図2には破線で開包用ストリップ9も示されているが、これは包装紙1aの内面と接着している。したがって、開包用ストリップ9は、紙束に巻き付ける前の包装紙1aの幅と実質的に同じ長さであるか、もしくはそれよりも適切な程度だけ長い。開包用ストリップ9は、パッケージが仕上がった時点で開包用ストリップ9がこのパッケージの一方の長側面上で例えば垂直方向であり長側面の実質的に中央に配置されるよう、かつこのパッケージのそれぞれの端部の外折部1cを通るように包装紙1aに付着している。したがって、開包用ストリップ9はパッケージ全体を取り巻くのではなく、パッケージの周囲の約半分だけを、実質的にシート紙3と平行な水平方向に取り巻く。開包用ストリップ9の材料はさまざまなものに変えることができるが、これは十分に丈夫で、実質的に非弾性もしくはわずかに弾性のものにする。開包用ストリップ9は包装紙1aの内側に隠れているが、図2では破線を用いて示されている。他方、図5ないし8では、開包用ストリップの端部しか示していないが、この端部には切り口20を設けてある。
【0017】
図2におけるパッケージは、パッケージの持上げおよび持運びを目的とした外面持運び用取っ手12で囲まれている。パッケージを片手だけで運ぶことは大変なので、両手を持上げ用隙間7に差し入れてパッケージを持ち運ぶこともできる。また、パッケージを、持上げ用隙間7だけによって持ち運ぶことを意図して、外面の持運び用取っ手12なしで作ることもできる。さらに、例えば後述の図5ないし図8に示す取っ手の方式におけるように、パッケージは他の方法で配置された取っ手もしくは持運び用取っ手を含んでいてもよい。
【0018】
図4は本発明による他の方式を示す。この方式では、保護用パッケージ1は蓋10付き段ボール箱11もしくは同様の箱である。明確にするため、蓋10の一部を図4では切り取ってある。取っ手4ならびに存在しうる底板5および上板6を有するシート束2は一束にして箱11に入っていて、箱11は蓋10で閉じられている。シート束2を複写機もしくは印刷機の給紙トレーへ入れる場合、箱11の蓋を取り、シート束2を一束として両手で取っ手4を使って箱11から持ち上げて給紙トレーへ入れる。箱11内に束2がぴったりと入っている場合、束2を持ち上げる前に箱の壁をその隅部で開けて、折り曲げることができる。図2に示したのと実質的に同じ持運び用取っ手12を図4の箱11およびその蓋10からなる保護用パッケージ1の周囲に配置することができる。
【0019】
上述の実施例に示したすべての方式、さらには本発明による他のすべての方式は、多数のシート紙を、これらの紙を使用する機械にできる限り人間工学的に、迅速にかつ容易に入れることができるよう紙パッケージを製造することを特徴としている。したがって、包装紙1aもしくは箱11からなる保護用パッケージ1に封入されているシート束2は、保護用パッケージ1の少なくとも一部、例えば包装用紙1aもしくは箱11の一部あるいは同様のパッケージを、束を機械の中に入れる前に取り除きさえすれば、シート紙3を使用する機械へ実質的に一束全部を入れられるように配される。必要な場合、保護用パッケージ1全体、例えば包装紙1a、箱11もしくは同様のパッケージを、束2を持ち上げて機械に入れる前に取り除いてもよい。例えば包装紙1aの一部だけを、束2を機械に入れる前に取り除く場合、この包装紙の残り部分については束2を機械に入れた直後に取り除く。
【0020】
図5ないし図8は本発明によるパッケージ用の他の種類の持運び用取っ手の方式を示す。図5は本発明によるパッケージであって、その各端部に独立した持運び用取っ手13が付いたパッケージを示す。ストリップ状の適切に強化された持運び用取っ手13は外折部1b、1cおよび内折部1d、1eの間にあるパッケージのそれぞれの端部に接着されている。
【0021】
同様に、図6は本発明によるパッケージを示し、パッケージの上面に独立した持運び用取っ手14が付いている。持運び用取っ手14は、例えば繊維強化ラミネート紙で作られ、例えばこの取っ手の内側およびパッケージのすべての折部1bないし1eの外側の間に接着シームが配置されるように、取っ手14の両端部をパッケージのそれぞれの端部と接着する。なお、持運び用取っ手14をパッケージの両端部でパッケージの上面の方へ短い距離に沿って接着してもよい。これによって、耐久性のある使い易い持運び用取っ手の方式が得られる。
【0022】
図7は図6における方式と同様の取っ手方式を示すが、この実施例では、ストリップ状持運び用取っ手15がパッケージを横方向に横断するように配され、取っ手15の両端部はパッケージの両側面に接着されている。耐久性を増すため、持運び用取っ手15をパッケージの上面で包装紙へ、パッケージの上縁部から始まる短い距離に沿って接着してもよい。
【0023】
図6および7に描写される持運び用取っ手14および15は、パッケージ全体を取り巻いて、例えばパッケージの底部に接着して、取っ手を見えなくすることもできる。このような場合、持運び用取っ手は荷重も支えることになり、これは包装紙1aを、取っ手を包装紙へ接着する方式や、パッケージを包装紙端部の折部によって持上げる方式に使用のものよりも薄くできることを意味している。
【0024】
図8は、ストリップ状取っ手16がパッケージを横方向に横断するように配され、パッケージの上面の両端部に接着された持運び用取っ手の方式を示す。付着物は強化用タグ17で強化され、タグ17には中間部に持運び用取っ手16を通すための穴がある。強化用タグ17はパッケージ上面に接着され、持運び用取っ手16の両端部を覆っている。
【0025】
本発明による包装紙1aは保護適性、破裂強度、引裂き抵抗、接着性および印刷適性に関する一定の要求条件を満たす必要がある。加えて、包装紙1aはパッケージの内容物を湿気から保護する必要がある。したがって、包装紙1aの材料を形成するために、例えば基層22を紙にして、この紙に対して製造中に抄紙機の被覆加工部にてオンラインコーティングとして付加物を付加することが可能である。この付加物はISO標準 2528:1995に従って計算された包装紙1aの水蒸気透過率(WVTR)が約50 g/m2/d以下、好ましくは最大で約30 g/m2/d、有利には最大で10 g/m2/dである適切な量のプラスチック、ポリマ混合物、もしくは湿気吸収を遅らせる同様の適切な材料23からなる。紙生産工程中に付加されるこのようなポリマもしくはポリマ混合物は、例えばラテックスや、さまざまな無機混合物である。
【0026】
本発明の一実施例によれば、保護用パッケージ1を形成する包装紙1aは平滑であり、より容易にプラスチックで被覆することができる。この場合、包装紙はいくつかの公知の方式で行われているように、少なくとも一方の面を別個の押出し機を用いてプラスチックフィルムで被覆する。紙に平滑性があるので、使用されるプラスチックは従前よりも少なくて済む。この目的に適したプラスチックフィルムとしては、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムおよびポリプロピレン(PP)フィルムが含まれる。
【0027】
本発明の他の実施例は上述した2つの実施例の組合せからなる。この方式において、包装紙1aは、生産中に抄紙機の被覆加工部で紙にポリマ化合物を付加した後にプラスチックフィルムを別個の押出し機において付加した紙からなる。
【0028】
包装紙1aのさまざまな層の材料および厚みは、上述した本発明の3つの実施例のそれぞれにおける最終成果が、材料の層化部全体のうちプラスチックの総量が包装紙1aの総重量の10%より少ない包装紙になるよう選択される。有利には、プラスチックの総量は最大で包装紙1aの総重量の約5%である。これによって、包装紙1aが環境にやさしく、再生利用費用を削減しての再生利用が可能になる。
【0029】
図9は、本発明による包装紙1aのうちの1つの層構造を示すが、必要な層だけを簡略化して示す。なお、これらの層の厚さは示さない。包装紙1aの基体は紙基層22からなる。紙の種類に応じて、紙基層22は1つ以上の層にすることができる。図には、簡略化のため1層のみを示す。紙層22の上面には印刷用インキ層21があり、これは紙層22の表面を少なくとも部分的に覆っている。紙層22の他の面には、紙生産中にオンラインコーティングとしてポリマ層、もしくは水分の透過を遅延させる同様の層23が付加される。
【0030】
図10は、図9における構造と同様の層構造を示すが、水分の透過を遅延させるポリマ層もしくは同様の層23が印刷用インキ層21と紙層22との間に配されている。したがって、印刷は層23上へ行われるが、この層23は印刷に適している必要がある。なお、PEフィルム、PETフィルムもしくはPPフィルムなどの実質的に薄いプラスチックフィルム25が押出し機によって包装紙1aに付加されている。
【0031】
図11は、本発明による第3の実施例の層構造を示すが、必要な層だけを簡略化して示す。なお、これらの層の厚さは示さない。この層構造は図9におけるものと同様である。この構造では、紙基層22の上面に対して表面層24が付加されるが、この表面層24は熱もしくは超音波を用いて溶着させることができる。この場合、別の接着剤を用いないで、普通に接着したすべてのシームを熱もしくは超音波によって接着することができる。ここで印刷用インキ層21は、溶着されるシームの上を越えて延ばす必要はない。
【0032】
包装紙1aの層化、特に厚さを利用して、パッケージ内部の紙束の外部からの衝撃に対する耐性を調節することができる。少なくとも包装紙1aの厚さは、包装紙の重量が60〜250
g/m2の範囲内になるようにすることが望ましい。特別な場合にはこの重量を例えば500 g/m2まで増大することができる。包装材料に応じて、適した厚さの範囲は、重量で表すと、80〜160 g/m2である。この厚さは適切には重量が120〜150 g/m2になるようにすることもできる。
【0033】
本発明は、上述の実施例に限定されず、下記の特許請求の範囲内で変形可能なことは当業者の理解するところである。例えば、包装紙もしくは箱内にあるシート束の紙の枚数を、上述の2,500枚とは異なるように変えることができる。適したシートの枚数は、例えば約1,000枚から約5,000枚の範囲であると考えられる。
【0034】
また、上述の包装体ではなく、他の種類の薄い保護構造を用いることができることは、当業者の理解するところである。例えば、不織布もしくは他の同様の薄い保護材料から成る包装紙を本発明による方式に用いることができる。
【0035】
さらに、取っ手を2つではなく、1つだけにすることができることは、当業者の理解するところである。そのような場合、取っ手の幅を上述の取っ手の幅と同様にすることができ、これによってシート束を片手で持上げるのが容易になる。取っ手を上述の取っ手より実質的に幅広にすることもでき、これはシート束の中央に配された1つの取っ手を、この取っ手のそれぞれの縁部につき1つずつの手を当てて両手で持ち上げるのに利用できることを意味している。
【0036】
さらに、シート紙の大きさを上述のA4判とは異なるものにすることができることは、当業者の理解するところである。シート紙はA4判シートより大きくも、小さくも、またそれとは異なる形にもすることができる。
【詳細な説明】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載する印刷用紙およびコピー用紙などのシート材料を包装するための構造に関するものである。
【0002】
今日の複写機および印刷機は非常に大型で、効率的、かつ高速にすることができるが、このことはそれらの機械が大量の紙を使用することを意味している。公知の技術において、シート形状で供給されるA4判コピー用紙および印刷用紙などの事務用紙は通常、段ボール箱に包装され、各箱には個々の包装紙で包装された5つのパッケージが入っている。連包装として公知のパッケージにはそれぞれ、A4版の紙が500枚入っている。段ボール箱は輸送中事務用紙を良好に保護するが、そのコストのために、さらには処分もしくは再生利用されるまで空箱状態で場所をとるために、問題がある。別の問題は、高速機械、さらには当該機械で紙がほぼ絶え間なく使用される状況に関する。というのは、たとえ機械が数千枚にもおよぶシートを一度に備え付け可能であるとしても、連包装を個々に解いて各500枚の紙束を個々に機械へ装填する必要があるために、給紙トレーへの補給に時間を取られるからである。
【0003】
また、例えば2,500枚のばらのシートが入っている段ボール箱もある。このような場合、連包装を開包し、もしくはそれを処分する必要はないが、それでもなお機械への装填が遅くなるという問題がある。なぜならば、これらの用紙を手に収まる程度の束にして箱から手で取り出して、複写機もしくは印刷機の給紙トレーに山積させる必要があるからである。1束の紙束全体を1つの持上げ用取っ手で持ち上げることも困難である。なぜならば、紙束は例えば、10〜15kgの重さになり得るからである。しかし、この時重い紙束をこれらのシートの隅部や縁部を傷つけることなく複写機もしくは印刷機の給紙トレーに正確に据える必要がある。重い束は、たったひとつの取っ手を使っている場合、取っ手のところで湾曲することがある。これによって個々のシートに対して損傷を与え、または紙束を変形させ、このことが紙束を給紙トレーへ据えるのを困難にする。ただ1つの取っ手を用いて持ち上げる場合、重い束は傾いたり、崩れたりすることがある。シート紙を段ボール箱から持ち上げ出すことも問題である。段ボール箱に関する他の問題は、大きければ大きいほど、さらに原材料が厚くなればなるほど、処分すべき廃棄物の量が多くなることである。
【0004】
本発明は、上述の問題を解消し、複写機、印刷機、または紙を使用する他の事務用機械への紙の装填が容易かつ迅速にできるように、事務用紙などのシート材料を包装する最適に有利な構造を達成することを目的とする。本発明に記載する構造は、請求項1の特徴段に開示する事項を特徴とする。本発明の他の実施例は、その他の請求項に開示する事項を特徴とする。
【0005】
本発明による方式の利点は、本発明によるパッケージは製造するのに非常に安価で迅速であることである。他の利点は、事務用紙をパッケージから迅速かつ容易に取り出して、これを使用する機械へ一度に十分な枚数で、パッケージの保護体として存在している包装紙の内側、または段ボール箱の内側の取っ手を利用して装填することができることである。これによって機械の中断時間を少なくし、シートを最適な状態に保つ。更なる利点は、底板をシート束の下の支持体として使用していることであり、この底板はシート束のうち底部のシートを損傷から保護するからである。底板は底部のシートを例えば取っ手が引き抜かれた場合に受ける損傷から保護するので、損傷したシートによって複写機、印刷機、もしくは他の機械における紙の進路にて生じる可能性のある紙詰まりを防止する。
【0006】
さらに、2つの取っ手を備え、包みもしくは箱の内側に入れられた束は1つの取っ手だけしかないものよりも扱いやすい。2つの取っ手で束を持ち上げた場合、バランスはより良く保たれて、傾く危険は排除され、結果として起こる束の崩壊および/またはシートの損傷もなくなる。また、持上げに起因するたわみも少なくなり、束の底板の縁部における点荷重はただ1つの取っ手を使用した場合と比べて半分になる。両手と2つの取っ手を使ってシートを機械に供給した場合、束が崩れ、ひいてはシートを損傷する危険はかなり減少する。他の利点は、本発明によるパッケージには連包装の外側に1つの持運び用取っ手が、連包装の内側に2つの取っ手がそれぞれあり、これらはすべて異なる点に配置されていることにある。したがって、パッケージを動かしたり束を持ち上げたりすることによって生じる荷重は底板のさまざまな点にかかり、これにより底板をより良い状態に保ち、たとえパッケージが開包前に数回動かされたり持ち上げられたりしても、束の持運び用取っ手と持上げ用取っ手を緩める可能性のある底板の変形がないので、束を確実に緊密に保つ。
【0007】
本発明の他の利点は、両手を使って重いパッケージを持ち上げて移動させることが容易になり、これによって両手間に荷重が均一に分散されることである。形の良い取っ手もしくは同様な工夫によって、従来から使用されてきたプラスチックの帯もしくは単一の持上げ用取っ手が与えたような負担を重量が手に与えることがない。更なる利点は、全部のシート紙を1つの比較的薄い包装紙だけで包んでパッケージにしている場合、その包装自体はあまり無駄を生じないことである。
【0008】
次に、適用例を用いて添付図面を参照することで本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】包装紙もしくは箱であるパッケージ保護体が取り除かれている、本発明によるパッケージの側面からの斜視図である。
【図2】本発明によるパッケージの側面からの斜視図である。
【図3】持運び用取っ手が取り除かれ、パッケージ保護体である包装紙の一部が開包用ストリップからめくられ開包されている、図2のパッケージの側面からの斜視図である。
【図4】シートの束が蓋の一部を切除された箱に入っている状態における、本発明の他のパッケージの側面からの斜視図である。
【図5】ないし
【図8】本発明によるパッケージに適したさまざまな持運び用取っ手の実施例を示す図である。
【図9】ないし
【図11】本発明による保護用包装紙のさまざまな層構造の簡略拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明の1つの有利な実施例によるパッケージを示すが、別々のシート紙3からなるシート束2がそのパッケージから抜き出されている。同様に、図2は本発明の1つの有利な実施例によるシート紙パッケージを示すが、同実施例ではシートは単一の実質的に連続した保護用パッケージ1に包まれている。保護用パッケージ1は実質的に薄く柔軟性のある包装紙1aからなる。包装紙1aの周囲にはパッケージの短い方の外辺部を実質的に囲んで取り巻く外付けの持運び用取っ手12があり、パッケージを持ち上げて運ぶために用いられる。
【0011】
図1は本発明によるパッケージで、保護用パッケージ1として用いられる包装紙1aを完全に取り去るようにして開包されたパッケージを示すが、パッケージに入っているシート紙3を短線で示している。シート紙3はすべて互いに積み重ねられて例えば2,500枚もしくはそれ以上の単一の束になっている。保護用パッケージ1としての役割を果たす包装紙1aの表面下、すなわち内側には、未開包の時にシート束2の短い方の外辺部を実質的に取り巻く2つの実質的に同様の取っ手4を有し、これらの取っ手は互いに適切な水平距離でありシートの束の中央線に対して実質上対称的に配置されている。したがって、取っ手4は例えばシート束2の両端部から実質的に等距離のところに配されるとともに、取っ手の両方がシート束2の中央線部に来ないように配置される。中央線部には未開包のパッケージの外側に配置される持運び用取っ手12を配することができる。本発明によれば、シート紙3は、保護用パッケージ1として使われている包装紙1aをシート束2の周りから完全にもしくは部分的に取り除いた後、両手で取っ手4の両方を用いて1つのシート束2として持ち上げ、紙を使う機械へ投入する構成になっている。取っ手4は包装紙1aを取り除く時にも役立つ。シート束2を囲む取っ手4の緊張度は指を取っ手4とシート束2との間に容易に滑り込ませることができる程度にしている。シート束2をシート紙3を使用する機械の給紙トレーへ投入したときには、取っ手4を切断して下側のシート束2から引っ張り出すことによって、その後にシート紙3は使用できる状態となる。
【0012】
図1はさらに、保護用パッケージ1の内側の未開包のパッケージ内のシート束2の底面に配されている底板5を示す。この底板はシートの束2を支持する用に供し、さらに束2内のシート紙3を損傷しないように取っ手4を取り除くのを容易にする。底板5は例えば、取っ手4が引き抜かれるときの損傷から底部のシート3を守るので、損傷したシートにより複写機、印刷機、もしくは他の機械における紙の進路にて生じる可能性のある紙詰まりを防止する。底板5はシート紙3よりも厚く丈夫な材料でできている。底板5は、たとえ図示されていなくても、本発明によるあらゆるパッケージ内のシート束2の底面に配置することができる。底板5はさらに、上述の実施例のパッケージ内におけると同様に、本発明による他の方式においてもシート束2を支持して取っ手4の取外しをさらに容易にするという働きをする。さらに、底板5は給紙トレーの底面にとどまって、複写機もしくは印刷機の中に取り込まれないように構成されている。新規シート束2を装填する前に、底板5は給紙トレーから取り除かれる。
【0013】
図1はさらに、上板6を示すが、これは保護用パッケージ1の内側の未開包パッケージ内のシート束2の上面に配置され、この上板はシート束2を、特に束2の上面のシート紙3が損傷を受けないように上端から支える用に供する。上板6はシート紙3よりも厚く丈夫な材料で作られている。この上板6は、たとえ図示されていなくても、本発明によるあらゆるパッケージ内のシート束2の上面に配することができる。取っ手4を取り除いた後、上板6はシート束2の上面から取り除かれる。
【0014】
図2において、大量の例えばA4判のシート紙からなるシート束2は、保護用パッケージ1として働きかつ紙を主体とした柔軟性のある材料で作られた1枚の連続する包装紙1aの中に包まれている。パッケージはリールに基づく包装紙1aから作り上げられ、包装紙1aを包装中にリールから直接引き出し、適切な長さに裁断し、その後に包装紙1aで、互いの上面を一山に積み重ねて取っ手4を備え付けた例えば2,500枚一組の個々の事務用シート紙3を巻きつける。そのようにして束の上面と、底面と、両長側面を一枚の連続する包装紙で包み、包装紙1aの後端部8を包装紙1aの前端部8aに適切な量だけ重ねて、その内面を前端部8aの外面へ貼り付ける。ここでは包装紙1aの隠れた前端部8aが図示されているが、他の図では破線を用いて示す。包装紙1aの後端部8はパッケージの上面に、実質的にその長い隅部のうちの1つ付近に適切に位置する。パッケージの各端部には少なくとも外折部1bおよび1cと内折部1dおよび1eがあり、各折部を少なくとも一部が重なるように配している。両端部の折部は、たとえ小さな事故でも複数のシート3を損傷しかねないパッケージ内のシート紙3の端部の保護を強化する役目をしている。
【0015】
図2のパッケージにおいて、外折部1bおよび1cを例えば熱接着剤を用いて互いに接着すると共に、少なくとも上部内折部1dの外面へ接着して、外折部1bおよび1cの少なくとも下部の隅部が内折部1dおよび1eの外面から離れるようにする。したがって、外折部1bおよび1cと内折部1dおよび1eとの間には下向きに開いた持上げ用隙間7が残り、この隙間はパッケージの端部から外に向けて広がり、これによってパッケージを持ち上げる人が複数本の指を下から持上げ用隙間7へ差し入れることができるとともに、外折部1bおよび1cの下縁部は支持体としての役割を果たす。
【0016】
図2には破線で開包用ストリップ9も示されているが、これは包装紙1aの内面と接着している。したがって、開包用ストリップ9は、紙束に巻き付ける前の包装紙1aの幅と実質的に同じ長さであるか、もしくはそれよりも適切な程度だけ長い。開包用ストリップ9は、パッケージが仕上がった時点で開包用ストリップ9がこのパッケージの一方の長側面上で例えば垂直方向であり長側面の実質的に中央に配置されるよう、かつこのパッケージのそれぞれの端部の外折部1cを通るように包装紙1aに付着している。したがって、開包用ストリップ9はパッケージ全体を取り巻くのではなく、パッケージの周囲の約半分だけを、実質的にシート紙3と平行な水平方向に取り巻く。開包用ストリップ9の材料はさまざまなものに変えることができるが、これは十分に丈夫で、実質的に非弾性もしくはわずかに弾性のものにする。開包用ストリップ9は包装紙1aの内側に隠れているが、図2では破線を用いて示されている。他方、図5ないし8では、開包用ストリップの端部しか示していないが、この端部には切り口20を設けてある。
【0017】
図2におけるパッケージは、パッケージの持上げおよび持運びを目的とした外面持運び用取っ手12で囲まれている。パッケージを片手だけで運ぶことは大変なので、両手を持上げ用隙間7に差し入れてパッケージを持ち運ぶこともできる。また、パッケージを、持上げ用隙間7だけによって持ち運ぶことを意図して、外面の持運び用取っ手12なしで作ることもできる。さらに、例えば後述の図5ないし図8に示す取っ手の方式におけるように、パッケージは他の方法で配置された取っ手もしくは持運び用取っ手を含んでいてもよい。
【0018】
図4は本発明による他の方式を示す。この方式では、保護用パッケージ1は蓋10付き段ボール箱11もしくは同様の箱である。明確にするため、蓋10の一部を図4では切り取ってある。取っ手4ならびに存在しうる底板5および上板6を有するシート束2は一束にして箱11に入っていて、箱11は蓋10で閉じられている。シート束2を複写機もしくは印刷機の給紙トレーへ入れる場合、箱11の蓋を取り、シート束2を一束として両手で取っ手4を使って箱11から持ち上げて給紙トレーへ入れる。箱11内に束2がぴったりと入っている場合、束2を持ち上げる前に箱の壁をその隅部で開けて、折り曲げることができる。図2に示したのと実質的に同じ持運び用取っ手12を図4の箱11およびその蓋10からなる保護用パッケージ1の周囲に配置することができる。
【0019】
上述の実施例に示したすべての方式、さらには本発明による他のすべての方式は、多数のシート紙を、これらの紙を使用する機械にできる限り人間工学的に、迅速にかつ容易に入れることができるよう紙パッケージを製造することを特徴としている。したがって、包装紙1aもしくは箱11からなる保護用パッケージ1に封入されているシート束2は、保護用パッケージ1の少なくとも一部、例えば包装用紙1aもしくは箱11の一部あるいは同様のパッケージを、束を機械の中に入れる前に取り除きさえすれば、シート紙3を使用する機械へ実質的に一束全部を入れられるように配される。必要な場合、保護用パッケージ1全体、例えば包装紙1a、箱11もしくは同様のパッケージを、束2を持ち上げて機械に入れる前に取り除いてもよい。例えば包装紙1aの一部だけを、束2を機械に入れる前に取り除く場合、この包装紙の残り部分については束2を機械に入れた直後に取り除く。
【0020】
図5ないし図8は本発明によるパッケージ用の他の種類の持運び用取っ手の方式を示す。図5は本発明によるパッケージであって、その各端部に独立した持運び用取っ手13が付いたパッケージを示す。ストリップ状の適切に強化された持運び用取っ手13は外折部1b、1cおよび内折部1d、1eの間にあるパッケージのそれぞれの端部に接着されている。
【0021】
同様に、図6は本発明によるパッケージを示し、パッケージの上面に独立した持運び用取っ手14が付いている。持運び用取っ手14は、例えば繊維強化ラミネート紙で作られ、例えばこの取っ手の内側およびパッケージのすべての折部1bないし1eの外側の間に接着シームが配置されるように、取っ手14の両端部をパッケージのそれぞれの端部と接着する。なお、持運び用取っ手14をパッケージの両端部でパッケージの上面の方へ短い距離に沿って接着してもよい。これによって、耐久性のある使い易い持運び用取っ手の方式が得られる。
【0022】
図7は図6における方式と同様の取っ手方式を示すが、この実施例では、ストリップ状持運び用取っ手15がパッケージを横方向に横断するように配され、取っ手15の両端部はパッケージの両側面に接着されている。耐久性を増すため、持運び用取っ手15をパッケージの上面で包装紙へ、パッケージの上縁部から始まる短い距離に沿って接着してもよい。
【0023】
図6および7に描写される持運び用取っ手14および15は、パッケージ全体を取り巻いて、例えばパッケージの底部に接着して、取っ手を見えなくすることもできる。このような場合、持運び用取っ手は荷重も支えることになり、これは包装紙1aを、取っ手を包装紙へ接着する方式や、パッケージを包装紙端部の折部によって持上げる方式に使用のものよりも薄くできることを意味している。
【0024】
図8は、ストリップ状取っ手16がパッケージを横方向に横断するように配され、パッケージの上面の両端部に接着された持運び用取っ手の方式を示す。付着物は強化用タグ17で強化され、タグ17には中間部に持運び用取っ手16を通すための穴がある。強化用タグ17はパッケージ上面に接着され、持運び用取っ手16の両端部を覆っている。
【0025】
本発明による包装紙1aは保護適性、破裂強度、引裂き抵抗、接着性および印刷適性に関する一定の要求条件を満たす必要がある。加えて、包装紙1aはパッケージの内容物を湿気から保護する必要がある。したがって、包装紙1aの材料を形成するために、例えば基層22を紙にして、この紙に対して製造中に抄紙機の被覆加工部にてオンラインコーティングとして付加物を付加することが可能である。この付加物はISO標準 2528:1995に従って計算された包装紙1aの水蒸気透過率(WVTR)が約50 g/m2/d以下、好ましくは最大で約30 g/m2/d、有利には最大で10 g/m2/dである適切な量のプラスチック、ポリマ混合物、もしくは湿気吸収を遅らせる同様の適切な材料23からなる。紙生産工程中に付加されるこのようなポリマもしくはポリマ混合物は、例えばラテックスや、さまざまな無機混合物である。
【0026】
本発明の一実施例によれば、保護用パッケージ1を形成する包装紙1aは平滑であり、より容易にプラスチックで被覆することができる。この場合、包装紙はいくつかの公知の方式で行われているように、少なくとも一方の面を別個の押出し機を用いてプラスチックフィルムで被覆する。紙に平滑性があるので、使用されるプラスチックは従前よりも少なくて済む。この目的に適したプラスチックフィルムとしては、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムおよびポリプロピレン(PP)フィルムが含まれる。
【0027】
本発明の他の実施例は上述した2つの実施例の組合せからなる。この方式において、包装紙1aは、生産中に抄紙機の被覆加工部で紙にポリマ化合物を付加した後にプラスチックフィルムを別個の押出し機において付加した紙からなる。
【0028】
包装紙1aのさまざまな層の材料および厚みは、上述した本発明の3つの実施例のそれぞれにおける最終成果が、材料の層化部全体のうちプラスチックの総量が包装紙1aの総重量の10%より少ない包装紙になるよう選択される。有利には、プラスチックの総量は最大で包装紙1aの総重量の約5%である。これによって、包装紙1aが環境にやさしく、再生利用費用を削減しての再生利用が可能になる。
【0029】
図9は、本発明による包装紙1aのうちの1つの層構造を示すが、必要な層だけを簡略化して示す。なお、これらの層の厚さは示さない。包装紙1aの基体は紙基層22からなる。紙の種類に応じて、紙基層22は1つ以上の層にすることができる。図には、簡略化のため1層のみを示す。紙層22の上面には印刷用インキ層21があり、これは紙層22の表面を少なくとも部分的に覆っている。紙層22の他の面には、紙生産中にオンラインコーティングとしてポリマ層、もしくは水分の透過を遅延させる同様の層23が付加される。
【0030】
図10は、図9における構造と同様の層構造を示すが、水分の透過を遅延させるポリマ層もしくは同様の層23が印刷用インキ層21と紙層22との間に配されている。したがって、印刷は層23上へ行われるが、この層23は印刷に適している必要がある。なお、PEフィルム、PETフィルムもしくはPPフィルムなどの実質的に薄いプラスチックフィルム25が押出し機によって包装紙1aに付加されている。
【0031】
図11は、本発明による第3の実施例の層構造を示すが、必要な層だけを簡略化して示す。なお、これらの層の厚さは示さない。この層構造は図9におけるものと同様である。この構造では、紙基層22の上面に対して表面層24が付加されるが、この表面層24は熱もしくは超音波を用いて溶着させることができる。この場合、別の接着剤を用いないで、普通に接着したすべてのシームを熱もしくは超音波によって接着することができる。ここで印刷用インキ層21は、溶着されるシームの上を越えて延ばす必要はない。
【0032】
包装紙1aの層化、特に厚さを利用して、パッケージ内部の紙束の外部からの衝撃に対する耐性を調節することができる。少なくとも包装紙1aの厚さは、包装紙の重量が60〜250
g/m2の範囲内になるようにすることが望ましい。特別な場合にはこの重量を例えば500 g/m2まで増大することができる。包装材料に応じて、適した厚さの範囲は、重量で表すと、80〜160 g/m2である。この厚さは適切には重量が120〜150 g/m2になるようにすることもできる。
【0033】
本発明は、上述の実施例に限定されず、下記の特許請求の範囲内で変形可能なことは当業者の理解するところである。例えば、包装紙もしくは箱内にあるシート束の紙の枚数を、上述の2,500枚とは異なるように変えることができる。適したシートの枚数は、例えば約1,000枚から約5,000枚の範囲であると考えられる。
【0034】
また、上述の包装体ではなく、他の種類の薄い保護構造を用いることができることは、当業者の理解するところである。例えば、不織布もしくは他の同様の薄い保護材料から成る包装紙を本発明による方式に用いることができる。
【0035】
さらに、取っ手を2つではなく、1つだけにすることができることは、当業者の理解するところである。そのような場合、取っ手の幅を上述の取っ手の幅と同様にすることができ、これによってシート束を片手で持上げるのが容易になる。取っ手を上述の取っ手より実質的に幅広にすることもでき、これはシート束の中央に配された1つの取っ手を、この取っ手のそれぞれの縁部につき1つずつの手を当てて両手で持ち上げるのに利用できることを意味している。
【0036】
さらに、シート紙の大きさを上述のA4判とは異なるものにすることができることは、当業者の理解するところである。シート紙はA4判シートより大きくも、小さくも、またそれとは異なる形にもすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のシート紙(3)が共通の保護用パッケージ内に配される、印刷もしくは複写用の紙などのシート材料をパッケージ化するための構造において、前記保護用パッケージ(1)の内側に少なくとも1つの取っ手(4)があり、該取っ手は前記パッケージ内のすべての前記シート紙(3)を実質的に囲んで配されていることを特徴とするシート材料をパッケージ化するための構造。
【請求項2】
請求項1に記載の構造において、前記保護用パッケージ(1)の内側には2つの取っ手(4)が互いに平行する間隔で水平に配され、前記取っ手は前記パッケージ内のすべての前記シート紙(3)を囲んで配されていることを特徴とする構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の構造において、前記取っ手(4)はシート紙(3)からなるシート束(2)の中央線部に対して実質的に対称的に配され、それぞれの取っ手(4)は前記束(2)の端部から他方の取っ手と実質的に同じ距離に位置することを特徴とする構造。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の構造において、前記保護用パッケージ(1)の外側の実質的に前記パッケージの中央線部には前記パッケージを取り囲む持運び用取っ手(12)があり、前記取っ手(4)は前記持運び用取っ手(12)とは異なる線で前記持運び用取っ手(12)の両側に水平に配されていることを特徴とする構造。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記保護用パッケージ(1)の内部のシート束(2)の下には前記シート紙(3)の材料よりも丈夫な材料で作られている底板(5)があり、該底板(5)は前記シート束(2)の最下部のシート(3)と前記取っ手(4)との間に配されていることを特徴とする構造。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記保護用パッケージ(1)の内部の前記シート束(2)の上部には前記シート紙(3)の材料よりも丈夫な材料で作られた上板(6)があり、該上板(6)は前記シート束(2)の最上面のシート(3)と前記取っ手(4)との間に配されていることを特徴とする構造。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記保護用パッケージ(1)は実質的に柔軟な包装紙(1a)からなり、該包装紙(1a)は開包用ストリップ(9)を有し、該開包用ストリップ(9)は前記包装紙上に、未開包のパッケージにおいて前記開包用ストリップ(9)が前記パッケージの一方の長側面上にありパッケージの端部で一組の外折部(1c)を通ることを特徴とする構造。
【請求項8】
請求項7に記載の構造において、前記開包用ストリップ(9)は、実質的に前記シート紙(3)の水平面に合わせた線に沿って、前記パッケージの周囲の約半分だけ周回していることを特徴とする構造。
【請求項9】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記パッケージのそれぞれの端部には少なくとも外折部(1b、1c)と内折部(1d、1e)があり、該折部は少なくとも一部重なるように配され、前記外折部(1b、1c)と前記内折部(1d、1e)との間に持上げ用隙間が形成されていることを特徴とする構造。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、プラスチック、ポリマ混合物もしくは湿気の透過を遅延させる他の同様の材料が抄紙機における前記包装紙(1a)の生産中にオンライン方法を用いて前記包装紙(1a)に付加されることを特徴とする構造。
【請求項11】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記包装紙(1a)の総重量の最大で10%、有利には最大で約5%がプラスチックからなることを特徴とする構造。
【請求項12】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記包装紙(1a)の水蒸気透過率(WVTR)は、ISO標準 2528:1995に従って計算した場合、約50 g/m2/d を下回り、適切には最大で約30 g/m2/d、有利には最大で約10 g/m2/dであることを特徴とする構造。
【請求項13】
請求項1ないし6のいずれかに記載の構造において、前記保護用パッケージ(1)は蓋(10)付きの箱(11)であることを特徴とする構造。
【請求項14】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記シート紙(3)は、前記シート束(2)の周囲から前記保護用パッケージ(1)を一部もしくは全部除去した後、実質的に約1,000〜5,000枚の一束(2)のシート紙(3)として少なくとも1つの取っ手(4)を用いて持ち上げて、前記紙を使用する機械へ入れるよう配置されていることを特徴とする構造。
【請求項15】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記シート紙(3)は、前記シート束(2)の周囲から前記保護用パッケージ(1)を一部もしくは全部除去した後、実質的に約1,000〜5,000枚の一束(2)のシート紙(3)として2つの取っ手(4)を利用して両手で持ち上げて、前記紙を使用する機械へ入れるように配置されていることを特徴とする構造。
【請求項1】
多数のシート紙(3)が共通の保護用パッケージ内に配される、印刷もしくは複写用の紙などのシート材料をパッケージ化するための構造において、前記保護用パッケージ(1)の内側に少なくとも1つの取っ手(4)があり、該取っ手は前記パッケージ内のすべての前記シート紙(3)を実質的に囲んで配されていることを特徴とするシート材料をパッケージ化するための構造。
【請求項2】
請求項1に記載の構造において、前記保護用パッケージ(1)の内側には2つの取っ手(4)が互いに平行する間隔で水平に配され、前記取っ手は前記パッケージ内のすべての前記シート紙(3)を囲んで配されていることを特徴とする構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の構造において、前記取っ手(4)はシート紙(3)からなるシート束(2)の中央線部に対して実質的に対称的に配され、それぞれの取っ手(4)は前記束(2)の端部から他方の取っ手と実質的に同じ距離に位置することを特徴とする構造。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の構造において、前記保護用パッケージ(1)の外側の実質的に前記パッケージの中央線部には前記パッケージを取り囲む持運び用取っ手(12)があり、前記取っ手(4)は前記持運び用取っ手(12)とは異なる線で前記持運び用取っ手(12)の両側に水平に配されていることを特徴とする構造。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記保護用パッケージ(1)の内部のシート束(2)の下には前記シート紙(3)の材料よりも丈夫な材料で作られている底板(5)があり、該底板(5)は前記シート束(2)の最下部のシート(3)と前記取っ手(4)との間に配されていることを特徴とする構造。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記保護用パッケージ(1)の内部の前記シート束(2)の上部には前記シート紙(3)の材料よりも丈夫な材料で作られた上板(6)があり、該上板(6)は前記シート束(2)の最上面のシート(3)と前記取っ手(4)との間に配されていることを特徴とする構造。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記保護用パッケージ(1)は実質的に柔軟な包装紙(1a)からなり、該包装紙(1a)は開包用ストリップ(9)を有し、該開包用ストリップ(9)は前記包装紙上に、未開包のパッケージにおいて前記開包用ストリップ(9)が前記パッケージの一方の長側面上にありパッケージの端部で一組の外折部(1c)を通ることを特徴とする構造。
【請求項8】
請求項7に記載の構造において、前記開包用ストリップ(9)は、実質的に前記シート紙(3)の水平面に合わせた線に沿って、前記パッケージの周囲の約半分だけ周回していることを特徴とする構造。
【請求項9】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記パッケージのそれぞれの端部には少なくとも外折部(1b、1c)と内折部(1d、1e)があり、該折部は少なくとも一部重なるように配され、前記外折部(1b、1c)と前記内折部(1d、1e)との間に持上げ用隙間が形成されていることを特徴とする構造。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、プラスチック、ポリマ混合物もしくは湿気の透過を遅延させる他の同様の材料が抄紙機における前記包装紙(1a)の生産中にオンライン方法を用いて前記包装紙(1a)に付加されることを特徴とする構造。
【請求項11】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記包装紙(1a)の総重量の最大で10%、有利には最大で約5%がプラスチックからなることを特徴とする構造。
【請求項12】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記包装紙(1a)の水蒸気透過率(WVTR)は、ISO標準 2528:1995に従って計算した場合、約50 g/m2/d を下回り、適切には最大で約30 g/m2/d、有利には最大で約10 g/m2/dであることを特徴とする構造。
【請求項13】
請求項1ないし6のいずれかに記載の構造において、前記保護用パッケージ(1)は蓋(10)付きの箱(11)であることを特徴とする構造。
【請求項14】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記シート紙(3)は、前記シート束(2)の周囲から前記保護用パッケージ(1)を一部もしくは全部除去した後、実質的に約1,000〜5,000枚の一束(2)のシート紙(3)として少なくとも1つの取っ手(4)を用いて持ち上げて、前記紙を使用する機械へ入れるよう配置されていることを特徴とする構造。
【請求項15】
前記請求項のいずれかに記載の構造において、前記シート紙(3)は、前記シート束(2)の周囲から前記保護用パッケージ(1)を一部もしくは全部除去した後、実質的に約1,000〜5,000枚の一束(2)のシート紙(3)として2つの取っ手(4)を利用して両手で持ち上げて、前記紙を使用する機械へ入れるように配置されていることを特徴とする構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−509145(P2010−509145A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535759(P2009−535759)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050536
【国際公開番号】WO2008/056027
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(509129015)
【氏名又は名称原語表記】UPM−KYMMENE OYJ
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050536
【国際公開番号】WO2008/056027
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(509129015)
【氏名又は名称原語表記】UPM−KYMMENE OYJ
【Fターム(参考)】
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