説明

紙容器、紙容器の製造方法、及び紙容器の製造装置

【課題】容器形成材料を効率よく加熱する方法を提供する。
【解決手段】容器形成材料の胴部を構成するブランク板は、低融点オレフイン系樹脂含む樹脂層、澱粉粒を含む澱粉層13、低融点オレフィン系樹脂含む樹脂層、澱粉粒を含むインキ層15及びニス層16を、この順で紙製の基材11の表面に積層して構成されている。容器形成材料が外面側から胴部を加熱されると、基材11中の水分で樹脂層に、また、澱粉層13に含まれる澱粉粒中の水分で樹脂層にそれぞれ独立気泡が形成され、樹脂層から発泡層12aが、樹脂層から発泡層14aが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホット飲料用等のカップ、熱湯を注入することによって飲食し得る状態にする即席可食品用容器、さらには電子レンジ調理用の容器等に利用される断熱性を有する紙容器、及びその製造方法並びに製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
断熱性を有する紙容器の製造方法としては、オレフイン系樹脂層、発泡性インキ(加熱により発泡する発泡剤、例えば、テトラアルキルシラン,クロロフルオロカーボン,ブタン等を樹脂製の中空球体の内部に充填させてなる発泡剤を含有する印刷インキ)を含有する塗布層、オレフイン系樹脂層の順で紙製の基材の上に積層してなる成形用ブランク板を用いて容器形成材料を成形し、得られた容器形成材料を加熱して発泡性インキを発泡させる方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、低融点の熱可塑性合成樹脂フイルムを紙製の基材の外面にラミネートし、熱可塑性合成樹脂フイルムと同調して発泡する同調インキをその外面に塗布して、容器形成材料の胴部材の原材料を製造する方法も開示されている(特許文献2)。
【0004】
この種の紙容器の製造方法では、一般的に、多数の容器形成材料を大型オーブンで同時に加熱し、各容器形成材料の基材中の水分を蒸発させて発泡層を形成する。また、水分含有物の加熱方法としては、電磁波での加熱も考えられている(特許文献3,4)。
【0005】
【特許文献1】特開平06−099967号公報
【特許文献2】特開平11−189279号公報
【特許文献3】特許2570175
【特許文献4】特許2611740
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大型オーブンを用いた加熱には広大なスペースを要し、また、加熱効率が悪く材料中の水分蒸発に時間がかかることから、コストアップの要因になっていた。しかも、可燃性を有する容器形成材料の加熱時間は、短く抑えることが望まれていた。
【0007】
以上の問題に対して、容器形成材料を効率よく加熱する方法を提供することを課題にした。特に、熱可塑性樹脂を含んだ樹脂層と、樹脂層の外面及び内面の少なくとも一方に積層されて水分を含む水分保持層とを紙製の基材の外面側に備えた壁部材を用いて紙容器を得る効率的な製造方法を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために以下の(1)〜(8)の構成を採る。
(1)熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、前記樹脂層の外面及び内面の少なくとも一方に積層されて水分を含んだ水分保持層とを紙製の基材の外面側に備えた壁部材を、外面側から加熱して形成された発泡層を備えることを特徴とする紙容器である。
(2)(1)項に記載の紙容器において、前記壁部材が、低融点オレフイン系樹脂を含む第1の樹脂層と、該第1の樹脂層の外面に積層されて澱粉粒を含有した澱粉層と、該澱粉層の外面に積層されて低融点オレフイン系樹脂を含む第2の樹脂層とを、前記基材の外面に備えて構成されていることを特徴とする紙容器である。
(3)(2)項に記載の紙容器において、前記壁部材が、澱粉粒を含有させたインキ層を、前記第2の樹脂層の外面に積層して構成されていることを特徴とする紙容器である。
(4)(3)項に記載の紙容器において、前記壁部材が、澱粉粒を含有させたニス層を、前記インキ層の外面に積層して構成されていることを特徴とする紙容器である。
(5)(2)〜(4)項に記載の紙容器において、前記澱粉粒には、米、トウモロコシ、馬鈴薯、タピオカ、若しくは小麦粉の澱粉、該澱粉に20〜80%の水分量を含有させ若しくは澱粉皮膜を膨潤させた処理澱粉、部分的糊化澱粉、及び酵素で穿孔した穿孔澱粉の少なくとも何れかの澱粉粒が含まれることを特徴とする紙容器である。
(6)(1)〜(5)項に記載の紙容器の製造方法であって、前記壁部材を外面側から加熱して前記発泡層を形成する工程を含むことを特徴とする紙容器の製造方法である。
(7)(6)項に記載の紙容器の製造方法に用いる紙容器の製造装置であって、前記壁部材に外面側から熱風を吹き付け、又は、赤外線若しくは電磁波を照射する加熱装置を備えることを特徴とする紙容器の製造装置である。
(8)(7)項に記載の紙容器の製造装置において、前記加熱装置が、前記壁部材を少なくとも胴部に備えた容器形成材料を外面側から覆って収容する容器状を呈し、収容した前記容器形成材料の外面に熱風を吹き付ける熱風吹出口を有した収容体を備えていることを特徴とする紙容器の製造装置である。
(9)(7)又は(8)項に記載の紙容器の製造装置において、前記容器形成材料の内面側に挿入されて前記容器形成材料を支持する挿入支持体を備えることを特徴とする紙容器の製造装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態の紙容器とその製造方法を説明する。
図1は、本実施形態での紙容器3の製造に用いるブランク板1の構成の概略を示す断面図である。図2は、ブランク板1を胴部21に用いて構成された容器形成材料2を示す図であり、(a)は正面図,(b)は横断面図である。図3は、容器形成材料2を用いて形成された紙容器3を示す図であり、(a)は正面図,(b)は横断面図である。
【0010】
本実施形態の紙容器の製造方法は、紙容器成形用のブランク板1を形成するブランク板形成工程と、ブランク板1から容器状の容器形成材料2を形成する容器材料形成工程と、容器形成材料2を加熱して発泡層を形成する発泡層形成工程とを含んで構成されている。
【0011】
ブランク板形成工程では、図1に示すように、低融点オレフイン系樹脂を含む樹脂層12、澱粉粒を含む澱粉層13、低融点オレフィン系樹脂を含む樹脂層14、澱粉粒を含むインキ層15、更に場合によっては必要に応じてニス(オーバーコートプリントニス)層16が、この順で紙製の基材11の表面(外面)に積層される。また、基材11の裏面(内面)には、高融点オレフィン系樹脂からなる樹脂層10が積層される。澱粉層13は、1〜10g(Dry)/mの塗布量となるように、印刷やコーティング等の手法を用いて形成される。また、樹脂層12は20〜40μm程度、樹脂層14は15〜30μm程度の厚さとなるように、それぞれ溶融樹脂の押出しコーティングやオレフイン系樹脂フイルムの貼着等の手法を用いて形成される。
【0012】
澱粉層13に含有させる澱粉粒としては、米,トウモロコシ,馬鈴薯,タピオカ,若しくは小麦粉の澱粉、該澱粉に20〜80%の水分量を含有させ若しくは澱粉皮膜を膨潤させた処理澱粉、部分的糊化澱粉、及び酵素で穿孔した穿孔澱粉の少なくとも何れかの澱粉粒を用いることができる。50〜80%と高度に水分を含有させたこれらの澱粉粒を用いることで、加熱処理の際に澱粉粒を容易に破れさせて、水蒸気を発生させることができる。
【0013】
米,トウモロコシ,馬鈴薯,タピオカ,及び小麦粉の各澱粉には、樹脂層12上への積層前に水浸漬処理(例えば、糊化温度以下での温水浸漬処理),アルカリ処理,高圧処理,又は蒸煮処理を施すことで、20〜80%の水分量を含有させられる。また、澱粉をアルカリ処理すると、被膜を薄くして容易に含水させられる。なお、水浸漬処理を施した澱粉粒には、水切処理及び澱粉粒ヒビ割処理の少なくとも一方を施してもよい。
【0014】
また、澱粉粒としては、積層前に高度に水分を含有させることから、小さな粒径のものを用いるのが好ましい。特に米澱粉は、粒径が10μm以下に揃っており、しかも、水分含有に伴う粒径の拡大量が少なく、グラビア印刷用インキへの調合が容易で、印刷時にドクターに破壊されず、また、グラビア印刷に用いるシリンダー(版)のセルに収納し易いことから好ましい。
【0015】
澱粉層13に含まれるバインダーとしては、加熱処理の際に樹脂層12,14中の低融点オレフイン系樹脂よりも早く熱可塑性を発現する材質、又は、樹脂層12,14に接着せず、若しくは、樹脂層12,14への接着力が弱い材質のものを用いるのが好ましい。また、バインダーの量は、NV値(不揮発成分量)が40質量%であり、このバインダー100質量部に対し、澱粉を400質量部とすることが好ましい。このようにして澱粉層13を構成することにより、澱粉粒から発生する水蒸気の膨張力で樹脂層12,14を澱粉層13から容易に剥離して、風船状に膨張させることができる。例えば、バインダーとして、Tg(ガラス転移点)が−10℃,酸価約50(mgKOH/g),NV値(樹脂固形分量)48%,エマルション粒子径約0.1μm,pH約8.5のものを用いることができる。
【0016】
樹脂層12,14に含まれる低融点オレフイン系樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレンを用いることができる。また、低融点オレフイン系樹脂にワックスを添加することにより、ワックスの滑剤効果で樹脂分子間の摩擦力を減少させ、澱粉粒からの水蒸気で樹脂を風船状に容易に膨張させられる。ワックスとしては、例えば、メタロセン触媒を用いて製造された機能性ポリエチレンワックスを用いることができる。なお、樹脂層12,14に含有させる熱可塑性樹脂としては、低融点オレフイン系樹脂としてのポリオレフィン系熱可塑性樹脂、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)等を用いることができる。また、樹脂層14は、熱吸収量が少ないこと、また、融点が水の沸点である100℃よりも高いことが、澱粉層13に含まれる澱粉粒中の水をより早く沸騰させられることから好ましい。
【0017】
インキ層15は、澱粉及びリン酸架橋澱粉の少なくとも何れかの澱粉粒を含むインキを、樹脂層14の外面に塗布する等して形成される。なお、インキ層15は、容器用絵柄の印刷が必要な部分の樹脂層14の外面のみに形成できる。また、リン酸架橋澱粉としては、例えば、王子コーンスターチ(株)製の「みやこ300」や、耐熱性のより高い同社の「バイオエース」を用いることができる。
【0018】
必要に応じて積層されるニス層16は、澱粉粒16aを含有させたニスをインキ層15の外面に塗布する等の方法により形成される。ニス層16の形成に用いるニスとしては、アクリル樹脂エマルジョンでTg(ガラス転移点)が−10℃〜66℃,酸価約50(mgKOH/g)のものを用い、適宜、塗布厚さを変更する。また、澱粉層13と同様の理由から、米澱粉を用いるのが特に好ましい。澱粉層13、インキ層15、及びニス層16に含まれる澱粉は、澱粉粒から蒸気を噴出させ易くなることから、被膜が薄いことが好ましい。
【0019】
容器材料形成工程では、図2に示すように、容器形成材料2の胴部21を構成する周壁部材がブランク板1から切り出され、表面を外側,裏面を内側にして円錐台殻状に丸めた周壁部材からなる胴部21の底端部に、別途形成された底板部22を固定することにより容器形成材料2が形成される。
【0020】
発泡層形成工程では、容器形成材料2の加熱処理、次いで冷却処理が行われる。加熱処理では、容器形成材料2が外面側から加熱され、基材11中の水分で樹脂層12に、また、澱粉層13に含まれる澱粉粒中の水分で樹脂層14にそれぞれ独立気泡が形成される。また、澱粉層13、インキ層15、及びニス層16中の澱粉粒が膨大化し、インキ層15及びニス層16中の澱粉粒の中には過発泡で破裂するものもある。なお、加熱処理では、澱粉層13中の澱粉粒及びグラビアメッシュから発生した独立気泡が破れない程度に加熱することで、断熱効果を高めることができる。
【0021】
図3に示すように、上述した製造方法で得られた紙容器3の胴部31は、基材11及び澱粉層13の発泡作用で樹脂層12が風船状に膨らみ、発泡層12aを形成している。また、澱粉層13の発泡作用で容器形成材料2の樹脂層14が風船状に膨らみ、発泡層14aを形成している。図示しないが、発泡層12a,14aは、複数の独立気泡を含んで発泡層を形成している。紙容器3に熱湯が注がれると、伝達温度がまず発泡層12aで断熱され、更に発泡層14aでも断熱される。独立気泡を含んだ発泡層12a,14aが2層構造をなしていることから、発泡層が一層の場合に比べて高い断熱性を得ることができる。また、インキ層15及びニス層16中の澱粉粒が膨大化及び過発泡後に破裂して陥没し、紙容器3の表面に凹凸が形成されている。また、基材11の裏面には、容器形成材料2の樹脂層10がそのまま積層されている。
【0022】
上述した製造方法で得られた紙容器3によれば、容器形成材料2を外面側から加熱することで、胴部21の基材11の外面側にある澱粉層13中の水分を効率的に加熱して蒸発させ、樹脂層12,14を発泡させて断熱層(発泡層)12a,14aを形成することができる。このため、容器形成材料2の加熱に必要な熱量を、断熱層12a,14aの形成に必要なだけに抑えて、加熱効率を高めることができる。この結果、紙容器3の製造コストを低減することができる。
【0023】
また、澱粉層13の外面側に樹脂層14が形成されているが、樹脂層14が肉薄であること、また、発泡作用を働かせた澱粉層13中の澱粉粒の皮膜が薄くなることから、外面側からの熱が樹脂層12側に伝達し易くなるので、基材11を外面側から加熱して樹脂層12を容易に発泡させることができる。また、樹脂層12と樹脂層14との間に澱粉層13を配置しているので、グラビア印刷で澱粉層13を形成する場合には、加熱により溶融した樹脂層12と樹脂層14とを、澱粉層13の非網点部で熱融着させて澱粉層13を構成する網点部を両樹脂層12,14で密封することで、澱粉層13から吹き出す水蒸気の逃げ場をなくし、樹脂層14を澱粉層13から容易に剥離させることができる。しかも、安価な澱粉を発泡剤として用いることで、紙容器3の製造コストを低く抑えることができる。また、澱粉には臭気の問題がないこと、食品に混在しても人体に害がなく安全性が高いことから、食品容器に好適に用いることのできる紙容器3を提供できる。
【0024】
また、澱粉層13をグラビア印刷で樹脂層12上に積層していることから、バーコート塗布方式で積層する場合に比べて、発泡層14aに高い断熱性を付与することが可能となる。つまり、澱粉層13をバーコート塗布方式で形成する場合には、樹脂層12の外面の全面に亘って澱粉粒が存在することから、樹脂層14と澱粉層13との接着力が弱くなる。このため、澱粉層13から発生する蒸気で樹脂層14が澱粉層13から剥がれ易くなり、澱粉層13から発生した蒸気が澱粉層13と樹脂層14との接着面に沿って移動して、発泡層14aに生じる独立気泡が単独泡でなく連続泡になる傾向が強くなる。これに対し、澱粉層13をグラビア印刷で形成した容器形成材料2の胴部21では、澱粉層13の網点部位のみに澱粉粒が存在し、網点でない部位では樹脂層12と樹脂層14とが強固に接着される。このため、網点部位の澱粉粒から発生した蒸気により、澱粉層13との接着力の弱い樹脂層14が部分的に剥がれて外面側に風船状に膨らみ、また、澱粉層13から突沸的に発生した蒸気により樹脂層14中に気泡が生じ易くなる。このため、バーコート塗布方式で澱粉層13を形成した場合に比べ、樹脂層14aに多数の単独泡を形成し、高い断熱性を得ることが可能となる。
【0025】
また、澱粉粒を含有するインキ層15及びニス層16を樹脂層14の外面に積層していることから、インキ層15及びニス層16中の澱粉粒を加熱処理で膨大化及び過発泡により破裂させて陥没させ、紙容器3の表面に凸凹を形成し、紙容器3を把持した手との接触面積を減少させて体感温度を抑制できる。また、澱粉層13中の澱粉粒よりも皮膜を強化したリン酸架橋澱粉粒を用いて耐熱性を高めることで、加熱時の膨大化でも澱粉粒を破れにくくし、容器形成材料2の表面に凹凸を形成し易くできる。しかも、インキ層15及びニス層16の形成された外面側から容器形成材料2の胴部21を加熱することで、インキ層15及びニス層16の澱粉粒中の水分を早期に沸騰させ、また、インキ層15及びニス層16中のバインダー(ビヒクル)を早期に軟化させて発泡抵抗を低減させて、インキ層15及びニス層16の発泡を容易にすることができる。
【0026】
また、一般に高湿度と好気性の雰囲気下では澱粉にカビが生え易いが、樹脂層12,14により被覆することで澱粉層13が乾燥した嫌気性状態に保たれ、また、インキ層15及びニス層16中の澱粉粒が加熱時に膨大化するだけで糊化せず、しかもインキ、ニスのビヒクルで被覆されることで、紙容器3にカビが生えるのを防止できる。
【0027】
なお、発泡層形成用の澱粉層は、発泡層を構成する樹脂層の外面側または内面側に積層されて基材の外面側に備えられているのであれば、ブランク板の厚さ方向のどこに形成されていてもよく、例えば、図1に示す例では、基材11の外面又は樹脂層12若しくは樹脂層14の外面の少なくとも何れかに備えられていればよい。
【0028】
また、発泡層形成用の澱粉層、及び、澱粉粒を含んだインキ層は、容器形成材料2の胴部21を構成する周壁部材の全面に形成されている必要はなく、例えば、紙容器3を把持する際の掌が当たる部分等に部分的に形成されていてもよい。また、容器形成材料2の底板部22もブランク板1から切り出して形成してもよい。また、水分保持層は、高分子吸収剤,グリセリン,ゼオライト,微細セルロースを含ませることで構成してもく、これらと澱粉を1又は複数組み合わせたものを用いることもできる。また、水分保持層は、澱粉等の水分保持体に水分を含有させるのでなく、樹脂層12や樹脂層14等の発泡層形成用の樹脂層の表面に凹部を設けることにより構成してもよい。
【0029】
また、ブランク板1から周壁部材を形成する際には、周壁部材の切断面からの水蒸気の拡散を防ぐために、胴部21の開口端部及び底端部に相当する部分は2重巻き等の複数回巻した構造とし、周方向の端部の合わせ目に相当する部分は外面側をスカイブ処理,内面側をスカイブ処理又はテープ貼りしてもよい。
【0030】
また、ニス層16中の澱粉粒は、必ずしも過発泡により破裂させる必要はない。例えば、図4(a)に示すように、ニス層16から澱粉粒16aの一部を露出させることにより、紙容器3の胴部31の外面に凹凸を設けてもよい。この構成によれば、紙容器3の胴部31と手との接触面積を減少させて、体感温度を抑制できる。また、図4(b)ニス層16に示すように、ニス層で澱粉粒16aの全体を覆うことにより、加熱処理時に澱粉粒16aから発生する蒸気でニス層16を膨張させ、ニス層16中に多数の独立気泡16bを形成させてもよい。この構成によれば、断熱性向上を図ることができる。
【0031】
次に、発泡層形成工程で用いられる発泡層形成装置について図面を用いて説明する。
図5〜図9は、発泡層形成装置の構成の概略を模式的に示す図である。図5に示す発泡層形成装置5は、容器形成材料2を外面側から覆って収容するアンビル51と、容器形成材料2の内面側に挿入されて支持するマンドレル52とを備えて構成されている。アンビル51は、容器形成材料2よりもやや大きな容器状を呈しており、容器形成材料2の胴部21の外面と向かい合う周壁51a、及び、底板部22の底面と向かい合う底壁51bに、それぞれ空気吹出口51cを備えている。
【0032】
図5に示す例では、アンビル51の周壁51aには、底端部から開口端部にかけてアンビル51の軸心方向に沿って配列された8つの空気吹出口51cが、周方向に沿って等間隔で複数列に並んでいる。また、底壁51bの中央部には、1つの空気吹出口51cが設けられている。空気吹出口51cは、アンビル51に収容した容器形成材料2の外面に空気を吹き付けるためのものであり、加熱処理時には熱風を、冷却処理時には冷風をそれぞれ図示しない送風装置から送り込まれ、アンビル51の内方に噴出させる。加熱処理時には、105℃〜180℃の熱風が、送風装置から送り込まれる。アンビル51及びマンドレル52は、互いに一体となって、図5に矢印Aで示すように周方向に自転しながら、矢印Bに示すように上下動する。発泡層形成工程では、アンビル51及びマンドレル52を用いて、容器形成材料2を搬送しながら加熱してもよい。
【0033】
なお、空気吹出口51cは、アンビル51の周壁51aのみに形成されていてもよい。また、空気吹出口51cの形状は任意であり、図5に示すように円形の開口形状を有していても、また、スリット状を呈していてもよい。また、容器形成材料2は、図5に示すようにアンビル51及びマンドレル52により正立状態で支持する必要はなく、例えば、図6に示すように横向きにして支持しても、倒立状態で支持してもよい。また、図6に示すような割型アンビル510を用いて、溶融した樹脂層12,14から剥がれ易くしてもよい。
【0034】
また、加熱処理では、マンドレル52の備える熱風吹出口(不図示)から空気を噴出させてマンドレル52と容器形成材料2との間に空気層を介在させ、両者の間に生じる摩擦力を軽減させてもよい。また、マンドレル52に内蔵したヒータ等でマンドレル52を加熱し、又は、マンドレル52と容器形成材料2の間に加熱空気層を介在させる等して、容器形成材料2の加熱を内面側から補助してもよい。加熱補助は、マンドレル52の表面温度が50℃〜90℃となるように行われる。また、マンドレル52に容器形成材料2の内面を接触させて支持する場合には、マンドレル52の外面をタフラム加工する等して、加熱により溶融した樹脂層14がマンドレル52に張り付かないようにしてもよい。また、内面にオンジナオイルを塗布したアンビル51で容器形成材料2を収容し、加熱処理を行ってもよい。また、アンビル51及びマンドレル52は、加熱処理時のみ用いてもよい。
【0035】
また、加熱処理又はその後の冷却処理が済む等して容器形成材料2をアンビル51から取り外す際には、空気吹出口51cから空気を噴出させて脱落させても、アンビル51から容器形成材料2を離間させて脱落又は把持し易くしてもよい。また、マンドレル52から容器形成材料2を取り外す際には、空気吹出口(不図示)から空気を噴出させて脱落させても、マンドレル52から容器形成材料2を離間させて脱落又は把持し易くしてもよい。
【0036】
加熱用の熱風及び冷却用の冷風は、アンビル51の空気吹出口51cから容器形成材料2の外面に吹き付ける必要はない。例えば、容器形成材料2の外面に近接させたノズル等の吹出口から熱風又は冷風を吹き付けてもよい。また、容器形成材料2の外面側からの加熱は、熱風を吹き付けるものには限らず、赤外線や電磁波や電子線の照射により行ってもよい。例えば、アンビル51に赤外線ヒータを内蔵させても、電磁波発生装置(マグネトロン)で発生した電磁波を導波路を通してアンビル51から照射してもよい。また、容器形成材料2の外面をガスバーナーで直接加熱してもよい。電子線の照射には、例えば、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種の電子加速器を用いることができる。
【0037】
図7に示す発泡層形成装置6は、円板状を呈したターンテーブル61の周縁部に、複数のマンドレル62を等間隔で配設して構成されている。ターンテーブル61の下面側に突出したマンドレル62の回転軸62aには、マンドレル用ギア62bが外嵌されて一体化されている。ターンテーブル61の下方には、ターンテーブル61の回転中心と軸心を一致させて自転ギア63が配設されている。各マンドレル用ギア62bは、自転ギア63の周囲を囲むようにして配設されて自転ギア63に噛み合わされている。各マンドレル62は、ターンテーブル61と共にターンテーブル61の回転中心を中心として回転運動しながら、マンドレル用ギア62bと自転ギア63との噛み合いにより自転する。
【0038】
ターンテーブル61の周縁部に位置したマンドレル62の搬送経路上には、加熱処理を行うための加熱トンネル64が配設されている。加熱トンネル64は、ターンテーブル61を周縁から上下の両面にかけて覆うように、ターンテーブル61の周縁部に沿って延びている。加熱トンネル64の内壁にはパネルヒータ(不図示)が、上壁にはオーブン(不図示)が、それぞれ備えられている。また、加熱トンネル64の配設されていないターンテーブル61の周縁部に沿っては、予備加熱のためのパネルヒータ65が配設されている。
【0039】
なお、図示しないが、発泡層形成装置6は、ターンテーブル61上で加熱処理された容器形成材料2を冷却処理するための冷却装置を備えている。ターンテーブル61上で加熱処理された容器形成材料2は、この冷却装置で冷却される。冷却装置は、ターンテーブル61の周縁部に位置したマンドレル62の搬送経路上に配設してもよい。
【0040】
図8,図9に示す発泡層形成装置7は、例えば、容器形成材料2を正立又は倒立させて配置して搬送するコンベア71を、加熱トンネル72に通して構成されている。コンベア71上を搬送される容器形成材料2は、マンドレル(不図示)を内側に挿入して支持してもよい。加熱トンネル72には、予備加熱ゾーン、高温加熱ゾーン、及び冷却ゾーンが、容器形成材料2の搬送経路に沿ってこの順序で設けられている。予備加熱ゾーンでは、パネルヒータを用いて加熱温度100℃〜150℃での予備加熱が行われる。高温加熱ゾーンでは、加熱トンネル72の上壁及び側壁から噴出させた熱風により加熱温度150℃〜250℃での加熱が行われる。冷却ゾーンでは、アジテータ73を用いた空気撹拌により冷却温度20℃〜80℃で冷却が行われる。また、加熱トンネル72を通過した容器形成材料2には、冷却エアが吹き付けられて冷却が行われる。
【0041】
発泡層形成装置6,7において、アンビルやマンドレル62等で容器形成材料2を支持しない場合には、熱風で吹き飛ばされないように容器形成材料2内に錘を置いたり、容器形成材料2をコンベア71側に吸引してもよい。また、容器形成材料2の底板部22や胴部21の開口部を掴んだり、胴部21を内面側から割り型で広げるようにして支持してもよい。また、容器形成材料2にシュリンクラベルを被せる等して包装して加熱してもよい。この場合、胴部21のみを包装してもよい。
【0042】
また、容器形成材料2の内面側にマンドレル52を挿入して容器形成材料2を支持し、加熱処理を行うことにより、容器形成材料2の内面側の空気量を減らして、加熱に必要な熱量を減らし、加熱効率を高められる。また、マンドレル52を用いて容器形成材料2の内面側からも加熱することにより、基材11や澱粉層13からの水分蒸発を促進させられる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の紙容器の製造方法の具体的な構成を実施例に基づいて説明する。
【0044】
[実験]
以下の実施例1〜3及び比較例1〜2の各紙容器3を、厚さ5mmの発泡ポリスチレン製の断熱シートの上に載置した後、紙容器3の内部に98℃の熱水を350cc注入し、各紙容器3の胴部31の上下方向の略中央部の外側面の表面温度を、表面温度計(赤外線温度計・サーモグラフ)で一定時間毎に計測した。結果を表1に示す。また、98℃の熱湯を350cc注入し、熱くて手にもてなくなるまでの時間を測定した(試験人数は3人)。その結果を表2に記す。
【0045】
<実施例1>
坪量300g/mの原紙からなる基材11の表面(外面)の全面に、厚さ40μmのLLDPE・XM117(日本ポリエチレン社製,メタロセン触媒)を、溶融樹脂の押出しコーティング法でラミネートして樹脂層12を形成した。
【0046】
次いで、加熱温度180℃,加熱時間30秒で水蒸気を発生する糊化温度60〜70℃の米澱粉(島田化学工業(株)製「ミクロパール」)に、アクリル樹脂系エマルジョン(澱粉に対して20質量%)をバインダーとして添加したものを、グラビア印刷(シリンダーのセル深度60μm,レーザー彫刻)でパターン状に樹脂層12に塗布(塗布量5g(Dry)/m)し、澱粉層13を形成した。なお、米澱粉には、事前に水浸漬処理を常温で2時間又は50℃で30分間施し、処理前の粒径6μm,含水率13%を、粒径7μm,含水率51%に変化させている。次いで、厚さ20μmのLLDPE・XM117を押出しコーティング法でラミネートし、樹脂層14を形成した。
【0047】
更に、厚さ40μmのHDPE(高密度ポリエチレン)を溶融樹脂の押出しコーティング法で基材11の裏面(内面)に積層し、樹脂層10を形成した。また、180℃,30秒の加熱では皮膜を膨大化させるが破れないリン酸架橋澱粉(王子コーンスターチ(株)製「みやこ300」)を添加した印刷インキ、ニスで、樹脂層14の外面に容器用絵柄をグラビア印刷して、インキ層15(塗布量3g(Dry)/m)を形成、更にニス層16を塗布(塗布量2g(Dry)/m))し、ブランク板1を得た。なお、グラビア印刷には、ボブストチャンプレン社(スイス国)のレマニック115型の8色印刷機を用いている。
【0048】
また、坪量300g/mのコーティング原紙からなる基材の表裏両面に、厚さ20μmのLLDPE・XM117を押出しコーティング法で積層した積層シートで底板部材を形成した。そして、ブランク板1を打ち抜いて得た周壁部材を胴部21とし、底板部材を底板部22として容器形成材料2を得た。
【0049】
次いで、加熱温度180℃のオーブントンネル(ケーユーシステム(株)製。図8)内に容器形成材料2を30秒間通過させて、基材11中の水分及び澱粉層13の澱粉粒中の水分を蒸発させ、樹脂層12,14が風船状に膨張した断熱層12a,14aを形成し、併せてインキ層15及びニス層16の澱粉粒が膨大化及び過発泡により破裂することで表面が凹凸に成った断熱層(インキ層)15,断熱層(ニス層)16が形成された紙容器3(紙容器3口部の直径:92mm,高さ:105mm:容量470ml)を得た。
【0050】
<実施例2>
インキ層15及びニス層16に耐熱性のリン酸架橋澱粉を添加せずにグラビア印刷を行う以外は、実施例1と同様の方法で形成したブランク板をブランク板1の代わりに用いて、紙容器3を作成した。インキ層15及びニス層16にリン酸架橋澱粉粒を添加しないことにより、実施例1より表面(外面)の凸凹をやや滑らかにすることができた。
【0051】
<実施例3>
エンボスロールでエンボス加工して樹脂層12の表面に形成した凹部を、澱粉層13に代えて水分保持部とすること、また、澱粉粒をインキ及びニスに含有させないこと以外は、実施例1と同様の方法で形成したブランク板をブランク板1の代わりに用いて、紙容器3を作成した。
【0052】
<比較例1>
実施例2において樹脂層12と樹脂層14との間に澱粉層13を介在させずに形成したブランク板をブランク板1の代わりに用いて、紙容器3を作成した。
【0053】
<比較例2>
厚さ1.5mmの発泡ポリスチレン樹脂容器(容量470ml)を、比較のための容器として準備した。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
インキ層15及びニス層16への耐熱性のリン酸架橋澱粉粒の含有の有無で比較すると、熱湯を注いだ紙容器3の表面温度に大差はなかったが、熱くて手に持てなくなるまでの時間には差があり、インキ層15及びニス層16の外面の凹凸が手(掌、指)との接触面積を減少させることで、相対的に長時間持てるようになったものと考えられる。
【0057】
実施例1及び比較例1の各紙容器3の胴部31の断面を写真撮影し、撮像画像中の両者の断面構造及び断熱性を比較した。
【0058】
図10(a)は実施例1の紙容器3の胴部31の断面図,図10(b)は比較例1の紙容器の胴部の断面図である。図10(a)に拡大して示すように、胴部31には、厚さ390μmの発泡層12a、及び、厚さ280μmの発泡層14aが、基材11の表面側に積層されて、全体としての厚さが670μmの2層構造の発泡層を形成している。また、図10(b)に示すように、比較例1の紙容器の胴部は、紙容器3の発泡層とほぼ同じ660μmの厚さの発泡層を有している。しかしながら、2層構造の発泡層を備える紙容器3は、表1及び表2に示す通り、1層構造の発泡層を備える図10(b)に示す紙容器に比べ、高い断熱性を得られることが認められた。
【0059】
また、図11に模式図を用いて比較して示すように、実施例1の紙容器3では、比較例1の紙容器に比べ、多くの独立気泡12a1,14a1を発泡層12a,14aに形成できることにも起因していると考えられる。つまり、樹脂層12と樹脂層14との間に澱粉層13を備える容器形成材料2の胴部21では、胴部21に外側から加えられた熱で澱粉層13中の澱粉粒から早期に蒸気を発生させられること、また、肉薄に形成された樹脂層14の発泡抵抗が小さく抑えられることから、図11(a)に模式的に示すように、得られた紙容器3の外面側に位置する発泡層14a中に、多くの独立気泡12a1,14a1を形成させることができる。併せて、インキ層15及びニス層16が膨張及び、表面が凸凹に形成されることで、特に体感温度が、下がったと考えられる。実施例2では、容器表面のインキ層15及びニス層16の中に澱粉粒が存在しないので、加熱時の発泡効果が生じず、従って紙容器3表面の凹凸が減ったために、掌、指との接触面積が多くなり、実施例1よりは、やや体感温度が高くなったと考えられる。
【0060】
これに対し、基材110の水分のみを用いて樹脂層(発泡層)120を形成する比較例1の構成では、基材110から発生した蒸気で発泡層120に独立気泡120a1を形成するまでに時間がかかり、また、肉厚に形成された樹脂層120の発泡抵抗120a1が大きいことから、実施例1と同じ加熱条件では、図11(b)に模式的に示すように、独立気泡120a1の数をそれほど増やすことができない。このため、図11(a)に示す実施例1の紙容器3の発泡層12a,14aと、図11(b)に示す比較例1の紙容器の発泡層12aとでは、備えている独立気泡の数に大きな差が生じ、断熱性に影響が及ぼされたと考えられる。
【0061】
このように、基材11の外面側に樹脂層12,澱粉層13,樹脂層14を積層して形成されたブランク板1、更には、必要に応じてインキ層15及びニス層16を積層した、容器形成材料2の胴部21として用い、容器形成材料2を外面側から加熱する上記実施形態の製造方法によれば、高い断熱性を有する胴部31を備えた紙容器3を、短い加熱時間で得られることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の紙容器は、容器形成材料2の加熱効率を高めて製造コストを低減でき、また、優れた断熱性を有することから、例えば、自動販売機等のホット飲料充填用のカップ,熱湯を注入して内填物を飲食する所謂即席可食品用容器,さらには電子レンジでの調理用の容器等として利用され、使い捨て用等に適した安価な断熱性紙容器として高度の利用価値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態の紙容器の製造に用いるブランク板の構成の概略を示す断面図である。
【図2】ブランク板を胴部に用いて構成された容器形成材料を示す図であり、(a)は正面図,(b)は横断面図である。
【図3】本発明の一実施形態の製造方法で得られた紙容器を示す図であり、(a)は正面図,(b)は横断面図である。
【図4】紙容器の製造に用いるブランク板の構成の他の例を模式的に示す断面図である。
【図5】発泡層形成装置の構成の概略を模式的に示す第1の図である。
【図6】発泡層形成装置の構成の概略を模式的に示す第2の図である。
【図7】発泡層形成装置の構成の概略を模式的に示す第3の図である。
【図8】発泡層形成装置の構成の概略を模式的に示す第4の図である。
【図9】発泡層形成装置の構成の概略を模式的に示す第5の図である。
【図10】紙容器の胴部の断面を拡大して示す図である。
【図11】図10に示す胴部の断面の構成を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0064】
1:ブランク板
10:樹脂層
11:基材
12:樹脂層
12a:発泡層
13:澱粉層
14:樹脂層
14a:発泡層
15:インキ層
16:ニス層
2:容器形成材料
21:胴部
22:底板部
3:紙容器
31:胴部
32:底板部
5,6,7:発泡層形成装置
51:アンビル
51a:周壁
51b:底壁
51c:空気吹出口
52:マンドレル
61:ターンテーブル
62:マンドレル
64:加熱トンネル
71:コンベア
72:加熱トンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、前記樹脂層の外面及び内面の少なくとも一方に積層されて水分を含んだ水分保持層とを紙製の基材の外面側に備えた壁部材を、外面側から加熱して形成された発泡層を備えることを特徴とする紙容器。
【請求項2】
前記壁部材は、低融点オレフイン系樹脂を含む第1の樹脂層と、該第1の樹脂層の外面に積層されて澱粉粒を含有した澱粉層と、該澱粉層の外面に積層されて低融点オレフイン系樹脂を含む第2の樹脂層とを、前記基材の外面に備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の紙容器。
【請求項3】
前記壁部材は、澱粉粒を含有させたインキ層を、前記第2の樹脂層の外面に積層して構成されていることを特徴とする請求項2に記載の紙容器。
【請求項4】
前記壁部材は、澱粉粒を含有させたニス層を、前記インキ層の外面に積層して構成されていることを特徴とする請求項3に記載の紙容器。
【請求項5】
前記澱粉粒には、米、トウモロコシ、馬鈴薯、タピオカ、若しくは小麦粉の澱粉、該澱粉に20〜80%の水分量を含有させ若しくは澱粉皮膜を膨潤させた処理澱粉、部分的糊化澱粉、及び酵素で穿孔した穿孔澱粉の少なくとも何れかの澱粉粒が含まれることを特徴とする請求項2〜請求項4の何れかに記載の紙容器。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れかに記載の紙容器の製造方法であって、
前記壁部材を外面側から加熱して前記発泡層を形成する工程を含むことを特徴とする紙容器の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の紙容器の製造方法に用いる紙容器の製造装置であって、
前記壁部材に外面側から熱風を吹き付け、又は、赤外線若しくは電磁波を照射する加熱装置を備えることを特徴とする紙容器の製造装置。
【請求項8】
前記加熱装置は、前記壁部材を少なくとも胴部に備えた容器形成材料を外面側から覆って収容する容器状を呈し、収容した前記容器形成材料の外面に熱風を吹き付ける熱風吹出口を有した収容体を備えていることを特徴とする請求項7に記載の紙容器の製造装置。
【請求項9】
前記容器形成材料の内面側に挿入されて前記容器形成材料を支持する挿入支持体を備えることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の紙容器の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−262949(P2009−262949A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112975(P2008−112975)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【出願人】(500104059)王子パッケージング株式会社 (21)
【Fターム(参考)】