説明

紙容器内シールテープ、並びに、紙容器内縦シールテープ及び縦シールテープ付き紙容器

板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を表裏両面の最外層とする包装材料素材により形成される紙容器の内面に露出する継ぎ目を被覆してシールするために使用する紙容器内シールテープを、表裏両面の最外層が熱融着性合成樹脂層によって形成され共押出しインフレーション法によって製膜された複数積層構造を有するフィルムによって構成した。押出しラミネーション法よりも低い温度で樹脂が溶融されて製膜される共押出しインフレーション法によって製膜された前記フィルムは、これ以外の方法で製膜されたフィルムに比べて過度の熱履歴を受けていないので、複数積層構造を有するフィルムの表裏両面の最外層を形成する熱融着性合成樹脂層が、その溶融時に、より優れたシール性を示すと共に、複数積層構造を有するフィルム全体が殆ど延伸を受けずに製膜されることから、優れた柔軟性と伸びを示すものとなり、前記包装材料素材により形成される紙容器の内面に露出する継ぎ目をシールテープで被覆してシールした場合に、シールの完全性を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を表裏両面の最外層とする包装材料素材により形成される紙容器の内面に露出する継ぎ目を被覆してシールするために使用する紙容器内シールテープ、特に、板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を表裏両面の最外層とする帯状の包装材料素材の長手方向(縦方向)の両縁部を重ね合わせて熱融着することにより該包装材料素材のチューブを形成する工程を経て成形される紙容器の内面に露出する縦方向の継ぎ目を被覆するために使用する紙容器内縦シールテープ、及びこの紙容器内縦シールテープで縦シールした縦シールテープ付き紙容器に関する。
【背景技術】
飲料等を収容する紙容器の技術分野において、シール部に用いられ、その継ぎ目を被覆するためのシールテープとしては、低密度ポリエチレン(以下、LDPEと称する。)樹脂を単独に、或いはLDPE樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと称する。)樹脂とのブレンド品、又はLDPE樹脂と高密度ポリエチレン(以下、HDPEと称する。)樹脂とのブレンド品を用いたLDPE樹脂を主体とする熱可塑性樹脂からなる単層テープや、前記LDPE樹脂又はLDPE樹脂を主体とする熱融着性合成樹脂層を表裏両面の最外層に配し、芯層にガスバリヤー性材料としてHDPE樹脂、延伸ポリエチレン・テレフタレート(以下、PETと称する。)樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体ケン化物(以下、EVOHと称する。)樹脂或いは非晶性コポリエステル樹脂等の材料を用い、芯層と表裏両面の最外層とを、ドライラミネーション法又は押出しラミネーション法によって貼り合わせた3層テープ等が知られている(特開2001−354916号公報参照。)。
これらシールテープを用いて形成される紙容器としては、板紙をベース層とし、表裏両面の少なくとも最外層が熱融着性合成樹脂からなる帯状の包装材料素材(以下、包材と称する。)の長手方向両縁部同士を重ね合わせて縦シールし、できた包材チューブを紙容器1個分の距離をおいて一定幅を横シールしつつ中身の飲料等を充填し、該横シール領域の中間部を切断して分離して、煉瓦型等の最終形態にしてなるものがある。
しかしながら、このようにして形成された紙容器において、横シールされた部分と縦シールされた部分とが重なり合った部分で、シール不良が発生するといった問題があった。すなわち、横シールされた部分と縦シールされた部分とが重なり合った部分において、横シールされた包材同士と縦シールテープ端面との間には、ごく僅かな空間が生じることがあった。特に、縦シールテープとして、前記芯層をガスバリアー性材料とした3層テープを用いた場合、ガスバリアー性材料は一般的に融点が高く、その製膜フィルム、中でも延伸製膜されたフィルムは柔軟性と伸びが乏しいため、包材チューブを横シールする際の加熱と加圧によってもテープ素材が前記空間を埋めることができず、これが原因でシール不良が発生してしまう場合があった。
【発明の開示】
そこでこれらの問題を解決すべく種々研究の結果、表裏両面の最外層として熱融着性合成樹脂層を有する複数積層構造のテープにおいて、縦シールテープを共押出しインフレーション法により製膜すると、最外層の熱融着性合成樹脂層の低温シール性が向上すると共に、複数積層構造を有するフィルム全体が、殆ど延伸を受けずに製膜されることになり、優れた柔軟性と伸びを示すことに着目した。そして、このシールテープを、前記板紙をベース層とし、熱融着性剛性樹脂を表裏両面の最外層とする帯状の包装材料素材の長手方向(縦方向)の両縁部を重ね合わせて熱融着することにより該包装材料素材のチューブを形成する工程を経て成形される紙容器の内面に露出する縦方向の継ぎ目を被覆するために使用する紙容器内縦シールテープとして用いた場合に、前記横シール時の加熱と加圧によって、包材と縦シールテープ端面との間の空間を効果的に埋めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、シールの完全性が得られる紙容器内シールテープ、特に、板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を表裏両面の最外層とする帯状の包装材料素材の長手方向(縦方向)の両縁部を重ね合わせて熱融着することにより該包装材料素材のチューブを形成する工程を経て成形される紙容器の内面に露出する縦方向の継ぎ目を被覆する場合に有用な縦シールテープ及び縦シールテープ付き紙容器を提供することにある。
本発明の他の目的は、ガスバリアー性を備えさせることができる紙容器内縦シールテープ及び縦シールテープ付き紙容器を提供することにある。
本発明の目的は、板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を表裏両面の最外層とする包装材料素材により形成される紙容器の内面に露出する継ぎ目を被覆してシールするために使用する紙容器内シールテープであって、表裏両面の最外層が熱融着性合成樹脂層によって形成され共押出しインフレーション法によって製膜された複数積層構造を有するフィルムによって構成したことにより達成される。
このように構成された紙容器内シールテープによれば、次のような効果がある。即ち、押出しラミネーション法よりも低い温度で樹脂が溶融されて製膜される共押出しインフレーション法によって製膜された前記フィルムは、これ以外の方法で製膜されたフィルムに比べて過度の熱履歴を受けていない。そのため、複数積層構造を有するフィルムの表裏両面の最外層を形成する熱融着性合成樹脂層が、その溶融時に、より優れたシール性を示すと共に、複数積層構造を有するフィルム全体が殆ど延伸を受けずに製膜されることから、優れた柔軟性と伸びを示す。したがって、前記包装材料素材により形成される紙容器の内面に露出する継ぎ目をシールテープで被覆してシールした場合に、シールの完全性を得ることができる。
また、かかるシールテープを前記板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を表裏両面の最外層とする帯状の包装材料素材(包材)の長手方向(縦方向)の両縁部を重ね合わせて熱融着することにより該包装材料素材のチューブを形成する工程を経て成形される紙容器の内面に露出する縦方向の継ぎ目を被覆するために使用する紙容器内縦シールテープとして用いれば、前記包装材料素材(包材)の長手方向(縦方向)の両縁部を重ね合わせた縦方向継ぎ目を前記フィルムによって構成される縦シールテープで被覆して縦シールして形成された包材チューブを横シールしたとき、横シールする際の加熱と加圧によって、横シールされた包材同士と縦シールテープ端面との間の空間は前記フィルムの伸びにより十分に埋められ、これによりシールの完全性を得ることができる。
前記紙容器内縦シールテープは、前記フィルムの引張破壊伸びが300〜800%であることが好ましい。
このようにすると、前記複数積層構造を有するフィルム全体が、その横シール時に、最適な柔軟性と伸びを示し、包材チューブを横シールする際の加熱と加圧によって、横シールされた包材同士と縦シールテープ端面との間の空間を十分に埋め、これによりシールの完全性をより確実に得ることができる。
また、前記紙容器内縦シールテープは、前記複数積層構造内の芯層がガスバリアー性材料層によって形成されていることが好ましい。
ここで、芯層に用いられるガスバリアー性材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、非晶性コポリエステル樹脂、又はエチレンビニルアルコール(EVOH)樹脂等により形成することができる。
このようにすると、紙容器内縦シールテープで紙容器の縦方向の継ぎ目を被覆して縦シールすることにより、前記紙容器内縦シールテープによって前記継ぎ目部分のガスバリアーが図れる。したがって、紙容器の包材がガスバリアー性を有する材料を用いている場合には、容器外部からの酸素透過をより効果的に防止することになり、酸素に触れることによる飲料等の内容物の変質、劣化等が防止される。
また、前記紙容器内縦シールテープは、前記フィルムの表裏両面の最外層を形成する熱融着性合成樹脂層がポリエチレン樹脂層によって形成されていることが好ましい。
このようにすると、ポリエチレン樹脂層によって形成される前記熱融着性合成樹脂層が、包材チューブを横シールする際の加熱と加圧によって溶融して横シールされた包材同士と縦シールテープ端面との間の空間を十分に埋め、これによりシールの完全性を得ることができる。
また、本発明の目的は、縦シールテープ付き紙容器が、前記の紙容器内縦シールテープによって被覆されて縦シールが施されていることにより達成される。
このように構成された縦シールテープ付き紙容器によれば、次のような効果がある。即ち、この紙容器を被覆する紙容器内縦シールテープを構成するフィルムは、押出しラミネーション法よりも低い温度で樹脂が溶融されて製膜される共押出しインフレーション法によって製膜され、これ以外の方法で製膜されたフィルムに比べて過度の熱履歴を受けていない。そのため、複数積層構造を有するフィルムの表裏両面の最外層を形成する熱融着性合成樹脂層が、その溶融時に、より優れたシール性を示すと共に、複数積層構造を有するフィルム全体が殆ど延伸を受けずに製膜されることから、優れた柔軟性と伸びを示す。したがって、包材の縦方向の継ぎ目を前記フィルムによって構成される紙容器内縦シールテープによって被覆し、縦シールを施すことにより、シール不良のない紙容器を得ることができる。
また、本発明の目的は、板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を表裏両面の最外層とする帯状の包装材料素材の長手方向(縦方向)の両縁部を重ね合わせて熱融着することにより該包装材料素材のチューブを形成する工程を経て成形される紙容器であって、前記チューブ内面の前記包装材料素材の両縁部の縦方向継ぎ目が、表裏両面の最外層が熱融着性合成樹脂層によって形成され共押出しインフレーション法によって製膜された複数積層構造を有するフィルムによって構成した紙容器内縦シールテープによって被覆されて縦シールが施されていることにより達成される。
このように構成された縦シールテープ付き紙容器によれば、次のような効果がある。即ち、この紙容器を被覆する紙容器内縦シールテープを構成するフィルムは、押出しラミネーション法よりも低い温度で樹脂が溶融されて製膜される共押出しインフレーション法によって製膜され、これ以外の方法で製膜されたフィルムに比べて過度の熱履歴を受けていない。そのため、複数積層構造を有するフィルムの表裏両面の最外層を形成する熱融着性合成樹脂層が、その溶融時に、より優れたシール性を示すと共に、複数積層構造を有するフィルム全体が殆ど延伸を受けずに製膜されることから、優れた柔軟性と伸びを示す。したがって、包材の長手方向(縦方向)の両縁部を重ね合わせた縦方向継ぎ目を前記フィルムによって構成される縦シールテープによって被覆して縦シールしてできた包材チューブを横シールする際の加熱と加圧によって、横シールされた包材同士と縦シールテープ端面との間の空間は十分に埋められ、これによりシール不良のない紙容器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明に係る紙容器内縦シールテープの実施例1,2及び比較例の紙容器内縦シールテープにおける積層構造を示す拡大断面図である。
図2は本発明及び比較例の紙容器内縦シールテープ付き紙容器の成形、充填、密封を行う充填機の各工程を示す概念図である。
図3は本発明及び比較例の紙容器内縦シールテープを用いて形成された煉瓦状の縦シールテープ付き紙容器の一部破断の斜視図である。
図4は図3のX−X線拡大断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の紙容器内シールテープ及び縦シールテープは、表裏両面の最外層が熱融着性合成樹脂層によって形成され、共押出しインフレーション法によって製膜された複数積層構造を有するフィルムによって構成されている。
前記熱融着性合成樹脂層としては、LDPE樹脂やLLDPE樹脂、又はLDPE樹脂とLLDPE樹脂とのブレンド品、もしくはLDPE樹脂とHDPE樹脂とのブレンド品を用いたLDPE樹脂を主体とする熱融着性合成樹脂等によって形成することが好ましい。また、この熱融着性合成樹脂層の厚さは、30μm以上であることが好ましい。熱融着性合成樹脂層の厚さが30μm未満であると、包材チューブを横シールする際の加熱と加圧によっても、横シールされた包材同士と縦シールテープの端面との間の空間を十分に埋めることができないおそれが生じる。
前記複数積層構造内の芯層は、ガスバリアー性材料層によって形成されていることが好ましい。このガスバリアー性材料層は、例えば、PET樹脂、非晶性コポリエステル樹脂又はEVOH樹脂等によって形成することができる。その厚さは、必要とされるガスバリアー性を発揮できるだけの厚さとすればよい。
本発明の紙容器内縦シールテープは、JIS K 7127に準じ、幅7.5mm、厚さ100μmの試験片について測定したときの引張破壊伸びが、300〜800%の範囲にあることが好ましい。引張破壊伸びが300%未満であると、縦シールテープが、横シール時においても十分な柔軟性と伸びを示さず、包材チューブを横シールする際の加熱と加圧によっても、横シールされた包材同士と縦シールテープの端面との間の空間を十分に埋めることができないおそれが生じる。一方、引張破壊伸びが800パーセントを超えると縦シールテープが伸びやす過ぎるため、実操業上の取り扱いが難しくなる。
前記シールテープ又は縦シールテープを製造するためには、共押出しインフレーション法を用いて共押出しにより、フィルムを製膜する。このときの製造条件は、テープの積層構造、各層の厚さ、各層を構成する樹脂の種類等によって適宜調整すればよい。一般的には、押出し温度120〜250℃で、多層円形ダイスを用いて溶融樹脂をチューブ状に押出し、50〜150m/分で引き取りつつ、冷却して切り開くことにより、本発明の紙容器内シールテープ、又は縦シールテープを構成する複数積層構造を有するフィルムを得ることができる。
次に図面に基づいて本発明の紙容器内縦シールテープの実施例について説明する。図1は本発明に係る紙容器内縦シールテープ1の実施例1,2における積層構造を示す拡大断面図である。図に示す紙容器内縦シールテープ1は、芯層1a、接着層1b,1c、最外層1d,1eの5層の積層構造を有するフィルムからなっている。
【実施例1】
本例では、紙容器内縦シールテープ1の芯層1aは、EVOH樹脂((株)クラレ製 商品名「エバール」)で形成した。この芯層1aの厚さは10〜20μmの範囲とする。接着層1b,1cは、接着性樹脂((株)三井化学製 商品名「アドマー」)で形成した。この接着層1b,1cの厚さは3〜10μmの範囲とする。最外層1d,1eは、LDPE樹脂((株)三井化学製 商品名「ミラソン16P」)で形成した。この最外層1d,1eの厚さは35〜45μmの範囲とする。そして、紙容器内縦シールテープ1全体の厚さは、86〜112μmの範囲であり、輻は数mm〜数十mmの範囲とする。この紙容器内縦シールテープ1は、引張破壊伸びが500%(JIS K 7127に準じ、幅7.5mm、厚さ100μmの試験片について測定)であって、押出温度180℃、引取り速度100m/分にて、3種5層のインフレラミネーターを使用して、共押出しインフレーション法により製造した。
【実施例2】
本例では、紙容器内縦シールテープ1の表裏両面の最外層1d,1eを形成する熱可塑性樹脂を、メタロセン系触媒で合成したLLDPE樹脂((株)日本ポリケム製 商品名「カーネル」)で形成した他は、前記実施例1と同様とした。
図2は、上記の実施例1及び実施例2に示す紙容器内縦シールテープ1によって被覆されて縦シールが施されている縦シールテープ付き紙容器2の成形、充填、密封を行う充填機3の各工程を示す概念図である。図示のように、包材4は左端の繰り出し部6から巻き解かれて、充填機3上を先ず上方に走行する。次いで、チューブ内側となる面を上にして右方向に走行し、この過程で包材4の長手方向(縦方向)の一方の縁部5aが図示しないヒーターから吹き出す熱風で加熱される。そして、該加熱された包材4の長手方向(縦方向)の一方の縁部5aに紙容器内縦シールテープ1がその約半幅で一対の圧着ローラ7により熱融着させられる。
次に、包材4は、殺菌液層8を経て図示しない無菌チャンバーに入り、絞りローラ9、エアーナイフ10、図示しない成形ローラを経て次第に筒状に成形され、縦シール工程11で包材チューブ12に成形される。この縦シール工程11で包材4の長手方向(縦方向)の他方の縁部5bが図示しないヒーターから吹き出す熱風で加熱される。そして、該加熱された包材4の長手方向(縦方向)の他方の縁部5bに、前記包材4の長手方向(縦方向)の一方の縁部5a及び該縁部5aに熱融着されている紙容器内縦シールテープ1が熱融着させられる。
このようにして成形された包材チューブ12は、充填パイプ13にて飲料等の液体が充填され、次に横シール工程14にて上下方向に一定間隔で横シールが施されて密封され、次に横シール領域15の中間で切断され個々の包装体2aに分離され、図示されない最終工程を経て煉瓦型等の最終形態に成形されて縦シールテープ付き紙容器2となる。
図3はこのようにして紙容器内縦シールテープ1を用いて成形された煉瓦型の縦シールテープ付き紙容器2の一部破断の斜視図を示したものである。この縦シールテープ付き紙容器2において、手前右半分の容器壁は包材4の長手方向(縦方向)の他方の縁部5bにより形成され、手前左半分の容器壁は包材4の長手方向(縦方向)の一方の縁部5aにより形成される。そして、これらの縁部5a,5bが重ね合わされて融着され、さらにこの重ね合わせ部の内面に両縁部5a,5bに跨って紙容器内縦シールテープ1が熱融着により接着されている。16は、縦シールテープ付き紙容器2の内側の縦継ぎ目を示す。該縦継ぎ目16は紙容器内縦シールテープ1によって覆われ、包材4の端縁部が縦シールテープ付き紙容器2内の液体に接触しないようになっている。
図4は、図3のX−X線拡大断面図を示したものである。なお、この図においては、紙容器内縦シールテープ1の接着層1b,1cは省略されている。
図に示すように、図3のX−X線断面部、すなわち、横シールされた部分と縦シールされた部分とが重なり合った部分には、横シールされた包材4a,4cと紙容器内縦シールテープ1の一方側の端面との間の空間17a、及び、横シールされた包材4b,4cと紙容器内縦シールテープ1の他方側の端面との間の空間17bが形成されるものとなるが、図4に示すように、紙容器内縦シールテープ1が前記実施例1に示す紙容器内縦シールテープ1である場合、該紙容器内縦シールテープ1を構成するフィルムの表裏両面の最外層1d,1eを形成するLDPE樹脂層が、包材チューブ12を横シールする際の加熱によって溶融すると共に、芯層1aも横シールする際の加熱と加圧によって優れた柔軟性と伸びを示して、前記空間17a,17bを十分に埋め、シールの完全性を得ることができた。
また、前記実施例2に示す紙容器内縦シールテープ1である場合も、該紙容器内縦シールテープ1を構成するフィルムの表裏両面の最外層1d,1eを形成するメタロセン系触媒で合成したLLDPE樹脂層が、包材チューブ12を横シールする際の加熱によって溶融すると共に、芯層1aも横シールする際の加熱と加圧によって優れた柔軟性と伸びを示して、図示されているように前記空間17a,17bを十分に埋め、シールの完全性を得ることができた。なお、図4に示すように、包材4は、ベース層18の表裏両面に熱融着性合成樹脂層19,20を積層して構成されている。
比較例
比較例として、前記実施例1,2に示す紙容器内縦シールテープ1と同様の積層構造、すなわち、芯層30a、接着層30b,30c、最外層30d,30eの積層構造を有するフィルムで構成される紙容器内縦シールテープ30を(図1参照)、以下のようにして得た。
前記紙容器内縦シールテープ30では、芯層30aはEVOH樹脂延伸フィルム((株)クラレ製 商品名「エクシード」)で形成した。この芯層1aの厚さは、10〜20μmの範囲とする。接着層30b,30cは、アンカーコート(大日精化(株) 商品名「セイカダイン」)で形成した。この接着層30b,30cの厚さは、1〜3μmの範囲とする。最外層30d,30eは、LDPE樹脂((株)三井化学製 商品名 「ミラソン16P」)で形成した。この最外層30d,30eの厚さは、35〜45μmの範囲とする。そして、紙容器内縦シールテープ30全体の厚さは、86〜112μmの範囲であり、幅は数mm〜数十mmの範囲とする。この紙容器内縦シールテープ30は、引張破壊伸びが150%(JIS K 7127に準じ、幅7.5mm、厚さ100μmの試験片について測定)であって、ドライラミネーター法にて製造した。
この紙容器内縦シールテープ30を用い、前記実施例1,2に示す紙容器内縦シールテープ1によって被覆されて縦シールが施されている縦シールテープ付き紙容器2の成形、充填、密封を行う充填機3の各工程と同様の工程により、煉瓦型の縦シールテープ付き紙容器31(図3参照)を成形した。得られた縦シールテープ付き紙容器31は、最外層30d,30eを形成するLDPE樹脂層が、包材チューブ12を横シールする際の加熱によって溶融するものの、芯層1aの柔軟性と伸びが充分ではないため、前記空間17a,17b(図4参照)は、紙容器内縦シールテープ30の端面の芯層30aの近傍の部分32a,32bにおいて、LDPE樹脂によって埋めきれない空隙が発生し、完全なシールを得ることはできなかった。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を表裏両面の最外層とする包装材料素材により形成される紙容器の内面に露出する継ぎ目を被覆してシールするために使用する紙容器内シールテープであって、表裏両面の最外層が熱融着性合成樹脂層によって形成され共押出しインフレーション法によって製膜された複数積層構造を有するフィルムによって構成した紙容器内シールテープ。
【請求項2】
板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を表裏両面の最外層とする帯状の包装材料素材の長手方向(縦方向)の両縁部を重ね合わせて熱融着することにより該包装材料素材のチューブを形成する工程を経て成形される紙容器の縦方向の継ぎ目を被覆して縦シールするために使用される縦シールテープであって、表裏両面の最外層が熱融着性合成樹脂層によって形成され共押出しインフレーション法によって製膜された複数積層構造を有するフィルムによって構成した紙容器内縦シールテープ。
【請求項3】
前記フィルムの引張破壊伸びが300〜800%である請求の範囲第2項に記載の紙容器内縦シールテープ。
【請求項4】
前記複数積層構造内の芯層がガスバリアー性材料層によって形成されている請求の範囲第2項又は第3項に記載の紙容器内縦シールテープ。
【請求項5】
前記フィルムの表裏両面の最外層を形成する熱融着性合成樹脂層がポリエチレン樹脂層によって形成されている請求の範囲第2項、第3項又は第4項に記載の紙容器内縦シールテープ。
【請求項6】
請求の範囲第2項、第3項、第4項又は第5項に記載の紙容器内縦シールテープによって被覆されて縦シールが施されている縦シールテープ付き紙容器。
【請求項7】
板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を表裏両面の最外層とする帯状の包装材料素材の長手方向(縦方向)の両縁部を重ね合わせて熱融着することにより該包装材料素材のチューブを形成する工程を経て成形される紙容器であって、前記チューブ内面の前記包装材料素材の両縁部の縦方向継ぎ目が、表裏両面の最外層が熱融着性合成樹脂層によって形成され共押出しインフレーション法によって製膜された複数積層構造を有するフィルムによって構成した紙容器内縦シールテープによって被覆されて縦シールが施されている縦シールテープ付き紙容器。

【国際公開番号】WO2005/028320
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【発行日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514112(P2005−514112)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013867
【国際出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(502394520)日本紙パック株式会社 (33)
【Fターム(参考)】