説明

紙幣処理装置および紙幣処理方法

【課題】紙幣の処理効率の低下を抑制しつつ、紙幣が汚れることを防止できる紙幣処理装置および紙幣処理方法を提供すること。
【解決手段】紙幣処理装置1は、紙幣Sを繰り出す繰出機構70と、繰り出された紙幣Sを搬送する搬送路43とを含む。紙幣処理装置1は、繰出機構70を駆動する駆動源を備え、前記駆動源を第1の態様で駆動させる第1制御部91と、前記駆動源を、紙幣Sを汚さない第2の態様で駆動させる第2制御部92とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙幣を繰り出して搬送するための紙幣処理装置および紙幣処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等には、紙幣処理装置が設置されている。下記特許文献1の紙幣処理装置は、紙幣を取り出すための構成として、積層紙幣が載置される紙幣台と、紙幣台から紙幣を臨むように隣り合って配置された送込ローラおよび取込ローラと、取込ローラに対して接触するように対向配置されたゲートローラとを主に含んでいる。紙幣処理装置では、紙幣台上の紙幣が、紙幣台に近い紙幣から順に、送込ローラによって取込ローラへと受け渡されてから、取込ローラとゲートローラとの間を通過することで1枚ずつ分離された後に、所定の振分先へと振り分けられていく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−32339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紙幣台上の積層紙幣を、紙幣台に近い紙幣から順に取り出して搬送する場合、搬送が進むにつれて、紙幣台上の積層紙幣が、紙幣台に近い紙幣から順に、取込ローラとゲートローラとの接触部分へ向けてなびいていく。そのメカニズムは、送込ローラによって前記接触部分へと搬送される紙幣が、その際、後続の紙幣を道連れにするように前記接触部分側へ引きずり、当該後続の紙幣が、さらに後続の紙幣を前記接触部分側へ引きずるという動作が繰り返されて、紙幣台上の紙幣が、送込ローラによって搬送される前の状態から、紙幣台に近い紙幣から順に少しずつ前記接触部分側へずれていくことによるものと考えられる。
【0005】
このように紙幣台上の積層紙幣が前記接触部分側へなびいていく状態が進行すると、前記接触部分で複数枚の紙幣が重なった状態が発生する。
この状態で紙幣を繰り出すと、前記接触部分において重なり合った紙幣が擦れ合って紙幣が汚れてしまう虞があり、紙幣が新券の場合には、その汚れが顕著に出るという問題がある。
【0006】
上述の問題は、紙幣の繰出速度(前述した各ローラの回転速度)を下げることによって、ある程度抑制できる。しかし、一律に低い繰出速度で紙幣を搬送するのでは、紙幣処理装置における紙幣の処理効率の低下が懸念される。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、紙幣の処理効率の低下を抑制しつつ、前記接触部分において重なり合った紙幣が汚れることを防止できる紙幣処理装置および紙幣処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、紙幣を繰り出す繰出機構と、前記繰出機構によって繰り出された紙幣を搬送する搬送路とを含む紙幣処理装置であって、前記繰出機構を駆動する駆動源を備え、前記繰出機構の駆動源を第1の態様で駆動させる第1制御手段と、前記繰出機構の駆動源を、紙幣を汚さない第2の態様で駆動させる第2制御手段とを含むことを特徴とする、紙幣処理装置である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記第2制御手段は、紙幣の繰出枚数が所定枚数に達する毎に、前記繰出機構が一定時間逆転するように前記駆動源を駆動させることを特徴とする、請求項1記載の紙幣処理装置である。
請求項3記載の発明は、前記第1制御手段は、前記繰出機構が相対的に早く回転するように前記駆動源を駆動し、前記第2制御手段は、前記繰出機構が相対的に遅く回転するように前記駆動源を駆動することを特徴とする、請求項1または2記載の紙幣処理装置である。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記繰出機構は、紙幣を取り出すためのキックローラと、前記キックローラで取り出された紙幣を前記搬送路へ送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラに関連して配置され、前記フィードローラにより送り出される紙幣が重なって送り出されるのを防止するための重送防止部材とを備え、前記重送防止部材は、前記フィードローラの送り出し方向の回転と逆方向に回転されるゲートローラを含み、当該ゲートローラは、前記駆動源で駆動される構成であり、前記第2制御手段は、前記ゲートローラが前記逆方向に回転するように前記駆動源を駆動させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の紙幣処理装置である。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記繰出機構は、紙幣を取り出すためのキックローラと、前記キックローラで取り出された紙幣を前記搬送路へ送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラに関連して配置され、前記フィードローラにより送り出される紙幣が重なって送り出されるのを防止するための重送防止部材とを備え、前記重送防止部材は、前記フィードローラ周面と接触し、その接触圧を可変可能に設けられており、前記第1制御手段は、前記接触圧を相対的に高くし、前記第2制御手段は、前記接触圧を相対的に低くすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の紙幣処理装置である。
【0011】
請求項6記載の発明は、前記繰出機構により繰り出される紙幣が新券および流通券のいずれであるかについて設定するための設定手段と、前記設定手段の設定に応じて、前記駆動源の駆動を、前記第1制御手段による第1の態様と、前記第2制御手段による第2の態様との間で切り換える手段とを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の紙幣処理装置である。
【0012】
請求項7記載の発明は、前記設定手段は、前記繰出機構により繰り出される紙幣の金種を設定するための手段を含むことを特徴とする、請求項6記載の紙幣処理装置である。
請求項8記載の発明は、紙幣を繰り出す繰出機構と、前記繰出機構によって繰り出された紙幣を搬送する搬送路と、前記繰出機構を駆動する駆動源とを用いた紙幣処理方法であって、前記繰出機構の駆動源を、第1の態様と、紙幣を汚さない第2の態様とで選択的に駆動させることを特徴とする、紙幣処理方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、異なる態様で繰出機構の駆動源を駆動させるので、第1の態様で紙幣を繰り出す場合は、繰出速度を優先でき、第2の態様で紙幣を繰り出す場合は、紙幣の処理効率の低下を抑制しつつ、紙幣が汚れることを防止できる。
また、本発明によれば、設定手段で設定すれば、繰り出される紙幣が流通券であれば、繰出速度を優先して繰り出すことができ、繰り出される紙幣が新券であれば、フィードローラおよび重送防止部材間での汚れの抑制を優先して繰り出すことができるので、使い勝手がよい。
【0014】
さらに、本発明によれば、設定手段によって、繰り出される紙幣が新券および流通券のいずれであるかについてだけでなく、紙幣の金種も設定できることから、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に係る紙幣処理装置1を正面側から見た斜視図である。
【図2】図2は、紙幣処理装置1の要部の図解的な縦断面構造図である。
【図3A】図3Aは、紙幣処理装置1を背面側から見た斜視図である。
【図3B】図3Bは、紙幣処理装置1の背面の表示パネル60の表示内容を示す図である。
【図4A】図4Aは、繰出機構70の動作を説明するための模式図である。
【図4B】図4Bは、繰出機構70の動作を説明するための模式図であって、図4Aの次の状態を示している。
【図4C】図4Cは、繰出機構70の動作を説明するための模式図であって、図4Bの次の状態を示している。
【図4D】図4Dは、繰出機構70の動作を説明するための模式図であって、図4Cの次の状態を示している。
【図4E】図4Eは、繰出機構70の動作を説明するための模式図であって、図4Dの次の状態(紙幣の噛み込みが発生した状態)を示している。
【図4F】図4Fは、繰出機構70の動作を説明するための模式図であって、図4Dの次の状態(紙幣の噛み込みが回避された状態)を示している。
【図4G】図4Gは、繰出機構70の動作を説明するための模式図であって、図4Fの次の状態を示している。
【図4H】図4Hは、繰出機構70の動作を説明するための模式図であって、図4Gの次の状態を示している。
【図5】図5は、紙幣処理装置1の制御回路ブロック図であり、この発明の特徴と関連する部分のみを示すブロック図である。
【図6A】図6Aは、紙幣処理装置1において行われる第1の制御動作を示すフローチャートである。
【図6B】図6Bは、紙幣処理装置1において行われる第1の制御動作を示すフローチャートである。
【図7A】図7Aは、紙幣処理装置1において行われる第2の制御動作を示すフローチャートである。
【図7B】図7Bは、紙幣処理装置1において行われる第2の制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る紙幣処理装置1を正面側から見た斜視図である。
この実施形態では、図1に示す紙幣処理装置1は、銀行等に設置される両替機である。そのため、紙幣処理装置1には、両替される貨幣が入金され、顧客によって指定された金種の貨幣が紙幣処理装置1から出金される。
【0017】
紙幣処理装置1は、中空のボックス状の装置本体2を備えている。
装置本体2では、その前側(正面側)上部がL字状に切り欠かれている。そのため、装置本体2の前側面は、その上端側をなして後上側へ少し傾斜して延びる傾斜面3と、傾斜面3の下端から前側へ略水平に延びる水平面4と、水平面4の前端から下方へ略垂直に延びる垂直面5とを含んでいる。
【0018】
傾斜面3では、その幅方向略中央位置に、タッチパネルディスプレイを有する表示操作部6が設けられ、表示操作部6の下隣には、顧客に取引明細(レシート)を発行するためのレシート発行口7と、顧客のカード等を出し入れするためのカード取扱口8とが左右に並んで設けられている。傾斜面3では、表示操作部6の右隣に、紙幣処理装置1が両替機であることを示す「両替」という標識が付されており、表示操作部6と「両替」の標識との間には、防犯用のカメラ9が埋め込まれている。傾斜面3では、カメラ9の下隣に、バラ硬貨を投入したり受け取ったりするための硬貨取扱口10が設けられ、硬貨取扱口10の下隣には、銀行等の係員を呼び出すための呼出スイッチ11と、紙幣処理装置1のメンテナンス等のために係員によって鍵が差し込まれる鍵穴12とが左右に並んで設けられている。硬貨取扱口10は、バラ硬貨を投入したり受け取ったりするとき以外では、シャッター13によって塞がれている。
【0019】
水平面4には、所定枚数毎にまとまった状態で包装された硬貨(「包装硬貨」という)を受け取るための包装硬貨取扱口14と、紙幣を投入したり受け取ったりするための紙幣取扱口15とが左右に並んで設けられている。包装硬貨取扱口14は、包装硬貨を受け取るとき以外では、シャッター16によって塞がれている。紙幣取扱口15は、紙幣を投入したり受け取ったりするとき以外では、シャッター17によって塞がれている。水平面4と傾斜面3との接続部分において包装硬貨取扱口14および紙幣取扱口15のそれぞれの近傍に位置する2箇所には、確認用ミラー18(ハッチングを付した部分)が1つずつ設けられている。各確認用ミラー18は、上向きに延びつつ正面側へ傾斜している。包装硬貨取扱口14および紙幣取扱口15のそれぞれが開放された状態において、各取扱口に対応する確認用ミラー18によって取扱口の内部を視認できるので、包装硬貨や紙幣の取り忘れを防止できる。
【0020】
垂直面5の上端部の幅方向略中央には、紙幣処理装置1の前に人がいるか否かを検知するための人感センサー19が設けられている。垂直面5において人感センサー19より下側の部分のほぼ全域は、正面側へ一段張り出している。この張り出した部分の上端部には、両替のための手数料(硬貨)を投入するための投入口20と、投入口20に投入した手数料を返却してもらいたい場合に操作される返却レバー21とが設けられている。張り出した部分の正面には、手数料(お釣りも含む)が返却される硬貨返却口22と、投入口20に硬貨以外の異物が投入された場合に当該異物が返却される異物返却口23とが設けられている。
【0021】
紙幣処理装置1での両替に係る動作の概要を説明すると、顧客は、まず、表示操作部6を操作して、自分の紙幣をどの金種の貨幣(紙幣および硬貨の少なくともいずれか)に両替するのかを選択する。この際、顧客は、自分のカードをカード取扱口8に挿入して、今回の両替取引に係る履歴をカードや紙幣処理装置1に記録させてもよい。
顧客が両替したい金種を選択した後、顧客は、今回の両替に必要な手数料を投入口20に投入する。すると、シャッター17が開くので、顧客は、両替したい自分の紙幣を紙幣取扱口15に投入する。
【0022】
その後、シャッター17が閉まり、紙幣処理装置1内において両替処理が行われる。その結果、顧客が両替を希望する金種の貨幣が、硬貨取扱口10、包装硬貨取扱口14および紙幣取扱口15の少なくともいずれかから払い出される。払い出された貨幣を顧客が受け取ると、両替に係る取引が完了する。取引完了の際、今回の両替に係る明細を記載したレシートがレシート発行口7から発行される。
【0023】
なお、手数料を投入口20に投入するタイミングや、紙幣を紙幣取扱口15に投入するタイミングは、適宜変更可能である。
次に、本体2の内部構成について説明する。
図2は、紙幣処理装置1の要部の図解的な縦断面構造図である。
図2における左側が装置本体2の正面(前面)であり、その反対側(右側)が装置本体2の背面(後面)である。図2では、紙幣の処理を専門に行う紙幣処理ユニット30と、その関連構成のみを図示している。
【0024】
図2における装置本体2の左上側に、前述した紙幣取扱口15が設けられている。図2では、紙幣取扱口15が、専ら紙幣が入金される紙幣入金口15Aと、専ら紙幣が出金される紙幣出金口15Bとに分けられている。
装置本体2の後面には、装置本体2内部に後方からアクセスするための本体開口部(図示せず)が形成されていて、本体開口部(図示せず)は、図示しない後扉によって開閉される。
【0025】
紙幣処理ユニット30は、その外郭をなすユニット本体31と、複数(ここでは5つ)のメイン収納庫32と、3つのサブボックス33とを含んでいる。メイン収納庫32およびサブボックス33のそれぞれは、後述するように紙幣の収納庫として機能する。
5つのメイン収納庫32は、前後(図2では左右)に並んで配置されている。各メイン収納庫32は、上下に長手の中空のボックス状であり、内部に紙幣を収納することができる。メイン収納庫32は、ユニット本体31に対して着脱可能である。
【0026】
3つのサブボックス33は、縦に並んでおり、ユニット本体31の後端部に対して後側から取り付けられていて、ユニット本体31と一体化されている。
装置本体2の後扉(図示せず)を後側へ開いて本体開口部(図示せず)を開放すると、紙幣処理ユニット30が本体開口部(図示せず)から後方へ露出される。このとき、紙幣処理ユニット30では、後端に位置する各サブボックス33が、本体開口部(図示せず)から後方へ露出される。そのため、紙幣処理装置1が稼動中であっても、装置本体2の後面側において、各サブボックス33に紙幣を装填することができる。
【0027】
また、本体開口部(図示せず)を開放すれば、紙幣処理ユニット30を後側へ引き出すことができる。紙幣処理ユニット30を装置本体2から離脱させた状態で、ユニット本体31に対してメイン収納庫32を着脱させることができる。逆に、引き出した紙幣処理ユニット30を装置本体2内部へ押し込めば、紙幣処理ユニット30を装置本体2に装着することができる。
【0028】
また、装置本体2には、装填リジェクト部40および出金リジェクト部41という2つの収容室が設けられている。
そして、装置本体2内には、取込経路42と、搬送路43と、取出経路44と、識別部45とが設けられている。
取込経路42は、紙幣入金口15Aに入金された紙幣を1枚ずつ取り込み、搬送路43へと送るための経路である。
【0029】
搬送路43は、取込経路42から送られた紙幣を搬送するためのものであって、上下に扁平なループ状をなしており、搬送路43内の紙幣は、紙幣処理ユニット30の5つのメイン収納庫32の上方で、循環するように搬送される。搬送路43内の紙幣の搬送方向は、入金時や出金時で異なっており、図2における時計回りと反時計回りの方向である。
取出経路44は、搬送路43内の紙幣を紙幣出金口15Bへ送るための経路である。
【0030】
識別部45は、搬送路43の上側部分の途中に配置されていて、搬送路43を搬送される紙幣の金種、正損、真偽等を識別する。つまり、識別部45は、リジェクトすべき紙幣(リジェクト紙幣)を検出する。
搬送路43の下側部分には、分岐路46、47、48、49、50、51の各一端が、搬送路43内の紙幣の(ここでは、反時計回りの)搬送方向における上流側から、この順番で接続されている。
【0031】
分岐路46の他端は、図2における最も左(前)側のメイン収納庫32Aの内部につながっている。分岐路47の他端は、図2における左側から2番目のメイン収納庫32Bの内部につながっている。分岐路48の他端は、図2における左側から3番目のメイン収納庫32Cの内部につながっている。分岐路49の他端は、図2における左側から4番目のメイン収納庫32Dの内部につながっている。分岐路50の他端は、図2における最も右(後)側のメイン収納庫32Eの内部につながっている。
【0032】
分岐路51の他端は、途中で分岐することによって、3つのサブボックス33のそれぞれの内部につながっている。
搬送路43の上側部分において、搬送路43内の識別部45の右(後)側には、分岐路52の一端が接続されている。分岐路52の他端は、装填リジェクト部40につながっている。
【0033】
取込経路42の途中には、分岐路53の一端がつながっている。分岐路53の他端は、出金リジェクト部41につながっている。
また、装置本体2には、取込経路42や搬送路43内の紙幣を搬送するローラ(図示せず)が設けられている。各メイン収納庫32には、分岐路46、47、48、49、50における対応する分岐路からの紙幣をメイン収納庫32内部に取り込んだり、メイン収納庫32内の紙幣を当該分岐路へ送り出したりするためのローラ(図示せず)が設けられている。各サブボックス33には、分岐路51からの紙幣をサブボックス33内部に取り込んだり、サブボックス33内の紙幣を分岐路51へ送り出したりするためのローラ(図示せず)が設けられている。
【0034】
そして、搬送路43と分岐路46〜52のそれぞれとの接続位置には、分岐爪(図示せず)が設けられており、分岐爪(図示せず)を切り換えることによって、搬送路43内の紙幣を所望の分岐路46〜52へ搬送することができる。また、分岐爪(図示せず)は、取込経路42と搬送路43との接続位置、取込経路42と分岐路53との接続位置、および、取出経路44と搬送路43との接続位置のそれぞれにも設けられている。
【0035】
ここで、5つ並んだメイン収納庫32のうち、3つのメイン収納庫32は、出金のために準備された紙幣が収納される第1出金庫32A、第2出金庫32B、第3出金庫32Cとされる。別の1つのメイン収納庫32は、一時保留部(略して「一保(いちほ)」)33Dとされ、残りの1つのメイン収納庫32は、入金された紙幣が収納される入金庫32Eとされる。図6では、3つの出金庫32A、B、C、一保32D、入金庫32Eが、右側(前側)からこの順番で並んでいる。
【0036】
3つの出金庫32A〜Cは、たとえば、五千円札、二千円札、千円札に応じて区別されていて、いずれかの出金庫32A〜Cには、五千円札、二千円札および千円札のいずれかの金種の紙幣が収納される。つまり、出金庫32A〜Cは、金種に応じて複数設けられており、各出金庫32A〜Cには、出金のために準備された所定の金種の紙幣が収納される。
【0037】
なお、図2では、出金庫32A〜Cは3つ設けられているが、出金庫の数は、任意で設定されるので、複数であれば、4つ以上であってもよい。出金庫が4つ以上あれば、4つ目以降の出金庫(第4出金庫)には、五千円札、二千円札および千円札のいずれかの金種の紙幣が収納され、これにより、所定の金種の紙幣が2つ以上の出金庫に収納されることになる。また、それぞれの金種について、後述するように新券か流通券かを設定して、どちらかの紙幣を出金庫に収納することもできる。ここで、新券とは、折り目、皺や汚れのない比較的綺麗な紙幣であり、流通券とは、折り目や皺や汚れがついた紙幣である。
【0038】
紙幣処理装置1での紙幣に関する両替動作について説明すると、顧客の紙幣は、紙幣入金口15Aに払い込まれることで入金され、その後、取込経路42を通って搬送路43内を搬送される。その際、入金された紙幣は、搬送路43によって時計回りに搬送され、識別部45で識別される。識別部45で識別された紙幣のうち、識別部45によってリジェクト紙幣であると識別された紙幣は、全てのメイン収納庫32上を通過して搬送路43から取出経路44へと搬送され、紙幣出金口15Bから顧客に返却される。
【0039】
識別部45によってリジェクト紙幣でないと識別された紙幣は、分岐路49を経て一保32Dに一時保留される。
その後、顧客によって指定された金種の紙幣が、一保32Dに一時保留されている紙幣の総額分だけ、対応する出金庫32A〜Cから取り出されて搬送路43を搬送され、取出経路44へと搬送された後に、紙幣出金口15Bから顧客に出金される。これに応じて、一保32Dの紙幣は、入金庫32Eに収納され、以上で、紙幣に関する一連の両替動作が完了する。つまり、紙幣処理装置1は、入金された紙幣を、出金庫32A〜C(メイン収納庫32)の紙幣で両替することができる。
【0040】
3つの出金庫32A〜Cのそれぞれには、決まった金種の紙幣しか収納されないが、入金庫32Eは、1つしかないことから、両替処理が繰り返されると、入金庫32Eには、異なる金種の紙幣が混在状態で収納される。
ここで、出金庫32A〜Cから取り出されて搬送路43を搬送されている出金途中の紙幣は、識別部45を通過する。その際、この紙幣がリジェクト紙幣であるか否かが識別部45によって識別される。識別部45によってリジェクト紙幣であると識別された出金途中の紙幣は、搬送路43から取込経路42および分岐路53を搬送され、出金リジェクト部41に収納される。出金リジェクト部41のリジェクト紙幣は、係員によって回収される。
【0041】
また、出金庫32A〜C内の紙幣がなくなった場合には、前述したように、開放された本体開口部(図示せず)から紙幣処理ユニット30が後側へ引き出され、紙幣がなくなった出金庫32A〜Cのいずれかがユニット本体31から上方へ引き出される。そして、この出金庫に、該当する金種の紙幣が補充された後、この出金庫がユニット本体31に再び装着され、紙幣処理ユニット30が装置本体2に装着される。
【0042】
なお、前述した3つのサブボックス33も、出金庫32A〜Cと同様に、五千円札、二千円札および千円札に応じて区別されていて、いずれかのサブボックス33には、五千円札、二千円札および千円札のいずれかの所定の金種の紙幣が収納される。これらのサブボックス33は、出金庫32A〜Cの紙幣が所定量未満まで減少したときに、両替中であれば、不足分の金種の紙幣を出金庫の代わりに払い出し(出金)し、待機中であれば、当該出金庫32A〜Cの対応する出金庫に紙幣を補充する。つまり、各サブボックス33は、出金庫32A〜Cのバックアップ用として用いることができる。
【0043】
図3Aは、紙幣処理装置1を背面側から見た斜視図である。
図3Aを参照して、紙幣処理装置1の本体2の背面には、表示パネル60(設定手段)が設けられている。
図3Bは、紙幣処理装置1の背面の表示パネル60の表示内容を示す図である。
図3Bを参照して、表示パネル60は、タッチパネル付きの液晶表示器である。表示パネル60には、係員向けの情報が目視可能に表示される。図3Bは、本発明に関連する情報が表示パネル60に表示された状態を示している。
【0044】
具体的には、図3Bの表示パネル60には、<設定画面>という見出しの下に、第1出金庫32Aから入金庫32Eまでのメイン収納庫32、および、第1から第3までのサブボックス33のそれぞれに収納される紙幣の金種(五千円札、二千円札、千円札のいずれか)と、当該紙幣が新券および流通券のどちらであるかとが表示されている。
そして、表示パネル60の下端には、確定ボタン61と、取消ボタン62とが表示されている。
【0045】
表示パネル60が図3Bの表示になると、メイン収納庫32およびサブボックス33のそれぞれに収納される紙幣(換言すれば、後述する繰出機構70により繰り出される紙幣)について、金種、ならびに、新券および流通券のどちらであるかを任意に設定できる。たとえば、図3Bでは、第1出金庫32Aに収納される紙幣は、五千円札の流通券として設定されている。この状態で、金種を変更したければ、表示されている金種の部分を押す。第1出金庫32Aに収納される紙幣については、現在表示されている「五千円札」の部分を押す度に、その金種の表示が「二千円札」→「千円札」→「五千円札」…と変わるので、所望の金種が表示されるまで、この動作を繰り返す。紙幣を、新券および流通券のどちらかに変更する場合も同様である。つまり、図3Bでは、第1出金庫32Aに収納される紙幣は、流通券になっているが、この紙幣を新券としたい場合には、「流通券」の表示部分を押す。すると、「流通券」の表示が「新券」の表示に切り替わる。
【0046】
なお、一時保留部(一保)32Dについては、あらゆる金種の新券や流通券が一時的に保留される都合上、この実施形態では、金種、ならびに、新券および流通券のどちらであるかについて設定できないようになっている。あらゆる金種の新券や流通券を収納する入金庫32Eについても、一保32Dと同様に、金種、ならびに、新券および流通券のどちらであるかについて設定できないようになっている。ただし、一保32Dおよび入金庫32Eが出金庫32A〜Cの役割を担うのであれば、一保32Dおよび入金庫32Eにおいても、収納する紙幣の金種、ならびに、当該紙幣が新券および流通券のどちらであるかについて設定できる。
【0047】
以上のように、メイン収納庫32(ここでは、一保32Dおよび入金庫32Eは除く)およびサブボックス33のそれぞれに収納される紙幣について、金種、ならびに、新券および流通券のどちらであるかを任意に設定し、この設定を確定したければ、確定ボタン61を押す。
これにより、メイン収納庫32(一保32Dおよび入金庫32Eは除く)およびサブボックス33のそれぞれには、設定された金種の紙幣であって、新券および流通券のどちらかに設定されたものが収納されることになる。一方、設定を始めからやり直したければ、取消ボタン62を押す。
【0048】
つまり、表示パネル60によって、メイン収納庫32およびサブボックス33のそれぞれに収納される紙幣の金種を設定したり、当該紙幣が新券および流通券のいずれであるかについて設定したりすることができるので、使い勝手がよい。
ここで、図2を参照して、メイン収納庫32およびサブボックス33のそれぞれにおいて、分岐路46〜51のうちで対応する分岐路に接続される部分には、繰出機構70が設けられている。繰出機構70は、自身が設けられたメイン収納庫32およびサブボックス33のいずれかに収納された紙幣を繰り出して、分岐路46〜51のうちで対応する分岐路へと送り出す機構である。分岐路へと送り出された紙幣は、搬送路43内を搬送されて、いずれかの振分先(紙幣取扱口15等)へ振り分けられる。
【0049】
図4A〜図4Hは、繰出機構70の動作を説明するための模式図である。
図4Aを参照して、繰出機構70は、ステージ71と、キックローラ72と、圧力検知センサ73と、フィードローラ74と、ゲートローラ75(重送防止部材)と、取出路76と、通過検知センサ77と、搬送ローラ78と、ガイド79を含んでいる。
ステージ71は、たとえば水平方向に平坦な板状であり、その上に積層状態の紙幣(積層紙幣)Sが載置される。積層紙幣Sは、メイン収納庫32およびサブボックス33のそれぞれにおいて既に収容されている積層紙幣Sである。つまり、第1出金庫32A(図2参照)に設けられた繰出機構70の場合には、第1出金庫32A内の積層紙幣Sがステージ71に載置されている。ステージ71は、後述するステージ昇降モータ94(後述する図5参照)に駆動されることによって上下に昇降する。ここで、ステージ71に載置された紙幣Sの図4Aにおける左右方向は、紙幣Sの短手方向である。そのため、図4Aにおける紙幣Sの長手方向は、図4Aの紙面に垂直な方向である。
【0050】
キックローラ72は、ステージ71に載置された積層紙幣S(つまり、メイン収納庫32およびサブボックス33のそれぞれに収納された積層紙幣S)から1枚ずつ紙幣Sを取り出すためのローラである。キックローラ72は、ステージ71上の紙幣Sの長手方向に延びる中心軸を有する円筒または円柱である。キックローラ72の外周面の周上1箇所には、紙幣Sとの間で摩擦力を発生する摩擦部分72Aが設けられている。摩擦部分72Aとして、摩擦係数の大きな材料(たとえば、ゴム等)を用いることができる。キックローラ72は、後述するキックローラモータ95(図5参照)によって回転駆動される。キックローラ72は、回転方向を任意に切り替えることができる。そのため、図4Aの状態を基準として、キックローラ72は、時計回りおよび反時計回りのいずれにも回転できる。図4Aにおいて、反時計回りに回転しているキックローラ72は、正転状態にあり、時計回りに回転しているキックローラ72は、逆転状態にある。
【0051】
圧力検知センサ73は、ステージ71上の紙幣Sとキックローラ72の外周面との圧力(接触圧)を検知するセンサである。圧力検知センサ73は、本体73Aと、弾性部材73Bとを含んでいる。弾性部材73Bとして、ばね等を用いることができる。図4Aでは、本体73Aが、キックローラ72の上方に配置されて、本体73Aとキックローラ72(厳密には、キックローラ72の回転軸)とが弾性部材73Bによって連結されている。これにより、キックローラ72は、図4Aの場合では、圧力検知センサ73から下方へ吊り下げられた状態になっていて、この状態で、圧力検知センサ73によって弾性的に支持されている。
【0052】
ステージ71が上昇すると、ステージ71上の積層紙幣Sにおける最上位の紙幣S1が、キックローラ72の下側外周面に弾性的に接触し、これに応じて、弾性部材73Bが圧縮される。本体73Aは、弾性部材73Bにおいてキックローラ72に連結された部分の高さ方向位置や弾性部材73Bの圧縮量等に基づいて、ステージ71上の紙幣Sとキックローラ72の外周面との接触圧を検知する。当該接触圧が所定圧力になっている場合に、ステージ71は、ステージ71上の紙幣Sの繰り出しが可能な位置(繰出位置)まで上昇したことになる。なお、当該所定圧力には、ある程度の範囲があるので、当該接触圧が当該所定圧力の範囲内にあれば、ステージ71は、繰出位置にあることになる。
【0053】
フィードローラ74は、キックローラ72で取り出された紙幣Sを、前述した分岐路を介して、搬送路43(図2参照)へ送り出すためのローラである。フィードローラ74の外周面には、その全周にわたって紙幣Sとの間で摩擦力を発生する部材、例えばゴム等が設けられている。フィードローラ74は、図4Aでは、キックローラ72の横側に配置されていて、キックローラ72と平行に延びる円筒または円柱である。フィードローラ74の位置(高さ方向における位置)は固定されている。フィードローラ74の外周面の下端は、ステージ71が繰出位置まで上昇したときにおけるステージ71上の最上位の紙幣S1とキックローラ72の外周面との接触位置と、高さ方向でほぼ同じ位置にある(図4B参照)。フィードローラ74は、後述するフィードローラモータ96(図5参照)によって回転駆動される。フィードローラ74は、回転方向を任意に切り替えることができる。そのため、図4Aの状態を基準として、フィードローラ74は、時計回りおよび反時計回りのいずれにも回転できる。図4Aにおいて、反時計回りに回転しているフィードローラ74は、紙幣Sを送り出す方向に回転した正転状態にあり、時計回りに回転しているフィードローラ74は、逆転状態にある。なお、キックローラ72とフィードローラ74とは、等速回転する。
【0054】
ゲートローラ75は、フィードローラ74に関連して配置されている。ゲートローラ75は、フィードローラ74と平行に延びる円筒または円柱であって、図示しない付勢部材に付勢されることによって、図4Aでは、フィードローラ74の周面に対して下側から圧接している。フィードローラ74とゲートローラ75との接触圧を、ゲート圧ということがある。フィードローラ74に対するゲートローラ75の相対位置を変更することができるので、ゲート圧は可変である。
【0055】
フィードローラ74の位置が固定されているので、ゲートローラ75の外周面とフィードローラ74の外周面との接触部分(ゲート部分)Gの位置も固定されている。ゲート部分Gは、ステージ71が繰出位置まで上昇したときにおけるステージ71上の最上位の紙幣S1とキックローラ72の外周面との接触位置と、高さ方向でほぼ同じ位置にある(図4B参照)。
【0056】
ゲートローラ75は、後述するゲートローラモータ97(図5参照)によって回転駆動される。図4Aの状態を基準として、ゲートローラ75は、反時計回りの方向のみに回転できる。図4Aにおいて、反時計回りに回転しているゲートローラ75は、正転状態にある。正転状態のゲートローラ75は、フィードローラ74による紙幣Sを送り出す方向(図4Aにおける反時計周りの方向)の回転とゲート部分Gで逆方向になるように回転されている。
【0057】
なお、以下では、特に断りがない場合には、ゲートローラ75は、通常状態では、ゲートローラモータ97によって駆動されておらず、ゲートローラ75の回転は停止している。
このようなゲートローラ75がフィードローラ74に接触していることから、フィードローラ74により送り出される紙幣Sがゲート部分Gにおいて重なって送り出されることが防止されている。
【0058】
取出路76は、フィードローラ74とゲートローラ75とのゲート部分Gから連続して、分岐路46〜51のうちで対応する分岐路(図2参照)まで延びている。ステージ71上の紙幣Sは、ゲート部分Gおよび取出路76をこの順番で通過して、分岐路46〜51のうちで対応する分岐路へと搬送される。
通過検知センサ77は、取出路76の途中に設けられている。通過検知センサ77は、いわゆる遮光センサを構成しており、検知光Lを発光する発光素子77Aと、発光素子77Aからの検知光Lを受光する受光素子77Bとを含んでいる。発光素子77Aおよび受光素子77Bは、紙幣Sの搬送方向に対して交差する方向から取出路76を挟むように、間隔を隔てて配置されている。通過検知センサ77は、検知光Lが一度遮断されたことによって、取出路76において紙幣Sが1枚搬送されたことを検知する。
【0059】
搬送ローラ78は、取出路76において、分岐路46〜51のうちで対応する分岐路(図2参照)側に1対設けられている。これらのローラ78は、それぞれの外周面が取出路76内で互いに接触するように配置されている。取出路76において通過検知センサ77による検知を受けた紙幣Sは、回転するローラ78によって前記分岐路へと搬送される。
ガイド79は、ゲート部分Gに対する取出路76の反対側に1対設けられている。そのため、ガイド79は、ステージ71が繰出位置まで上昇したときにおける積層紙幣Sとゲート部分Gとの間の位置に配置されている。1対のガイド79のうち、一方のガイド79Aは、フィードローラ74の下側外周面に沿うように湾曲しており、他方のガイド79Bは、ゲートローラ75の上側外周面に沿うように湾曲している。1対のガイド79の位置は固定されている。ガイド79Aの下端とガイド79Bの上端との間には、隙間が確保されており、この隙間と、ゲート部分Gとは、高さ方向において同じ位置にある。
【0060】
図5は、紙幣処理装置1の制御回路ブロック図であり、この発明の特徴と関連する部分のみを示すブロック図である。
図5に示すように、紙幣処理装置1には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部90が備えられている。制御部90には、第1制御部91(第1制御手段)および第2制御部92(第2制御手段)と、ROMやRAM等を構成するメモリ部93とが設けられている。第1制御部91および第2制御部92は、制御部90の指示を受けることで、具体的な制御動作を行う。メモリ部93には、必要な情報が記憶されており、前述した表示パネル60における設定画面の設定内容(図3B参照)も記憶されている。
【0061】
制御部90には、前述した圧力検知センサ73、通過検知センサ77、ステージ昇降モータ94(駆動源)、キックローラモータ95(駆動源)、フィードローラモータ96(駆動源)およびゲートローラモータ97(駆動源)のそれぞれが電気的に接続されている。
ステージ昇降モータ94、キックローラモータ95、フィードローラモータ96およびゲートローラモータ97のまとまりは、ステージ71を昇降させたり、キックローラ72やフィードローラ74やゲートローラ75を回転駆動したりすることで繰出機構70を駆動する駆動源とみなすことができる(図4A参照)。
【0062】
圧力検知センサ73、通過検知センサ77、ステージ昇降モータ94、キックローラモータ95、フィードローラモータ96およびゲートローラモータ97は、各繰出機構70の一部とみなしてもよい。
一方、制御部90は、各繰出機構70に設けられていてもよいし、紙幣処理装置1全体で1つ設けられていて、この制御部90に対して、各繰出機構70の圧力検知センサ73、通過検知センサ77、ステージ昇降モータ94、キックローラモータ95、フィードローラモータ96およびゲートローラモータ97が電気的に接続されていてもよい。
【0063】
以下では、紙幣処理装置1において行われる制御動作について説明する。ここで、この制御動作には、第1から第4までの4種類が主にあり、以下では、第1〜第4の制御動作を、この順番で説明する。また、以下の説明では、メイン収納庫32およびサブボックス33のうち、一例として、第1出金庫32Aの繰出機構70に着目して説明するが、第2出金庫32B〜入金庫32Eや各サブボックス33の繰出機構70でも同様の制御動作が行われる(図2参照)。
【0064】
図6Aおよび図6Bは、紙幣処理装置1において行われる第1の制御動作を示すフローチャートである。
図6Aを参照して、制御部90(図5参照)は、第1出金庫32Aからの紙幣S(ここでは、五千円札であり、図3B参照)を繰り出す指示(繰出指示)を受けたか否かを監視している(ステップS1)。この繰出指示は、顧客が表示操作部6を操作して両替内容を決定し、自分の紙幣を紙幣取扱口15に投入すると(厳密には、その後、シャッター17が閉まると)、制御部90に入力される(図1参照)。繰出指示には、どのメイン収納庫32またはサブボックス33(ここでは、第1出金庫32A)から紙幣Sを繰り出すのかということと、紙幣Sの繰出枚数(指定枚数)とが含まれている。制御部90が繰出指示を受けるまで、繰出機構70は待機状態にあり、ステージ71は、最も下方の待機位置にある(図4A参照)。
【0065】
制御部90は、繰出指示を受けると(ステップS1でYES)、第1出金庫32Aに収納された紙幣Sが新券か否かを、メモリ部93(図5参照)に記憶された表示パネル60の設定画面の設定内容(図3B参照)に基づいて、確認する(ステップS2)。
第1出金庫32Aに収納された紙幣Sは、流通券であるから(図3B参照)、新券でない(ステップS2でNO)。この場合、制御部90では、第1制御部91(図5参照)が主として制御動作を行うこととなり、第1制御部91は、まず、ステージ昇降モータ94(図5参照)を駆動してステージ71を待機位置から上昇させる(ステップS3)。
【0066】
ステージ71がある程度上昇すると、ステージ71上の積層紙幣Sにおける最上位の紙幣S1がキックローラ72の外周面に接触するので、積層紙幣Sとキックローラ72の外周面とに接触圧が発生する(図4B参照)。
ステージ上昇中、第1制御部91は、当該接触圧が所定圧力に達したか否かを、圧力検知センサ73(図5参照)を介して監視している(ステップS4)。ステージ71が、前述した繰出位置まで上昇すると、当該接触圧が前記所定圧力に達する。つまり、圧力検知センサ73が前記所定圧力を検知する。
【0067】
圧力検知センサ73が前記所定圧力を検知すると(ステップS4でYES)、第1制御部91は、ステージ昇降モータ94の駆動を停止してステージ71の上昇を停止する(ステップS5)。このときの繰出機構70は、図4Bに示されている。このとき、キックローラ72では、摩擦部分72Aが最上位の紙幣S1に接触しており、キックローラ72(摩擦部分72A)と紙幣S1との接触部分と、1対のガイド79の隙間と、ゲート部分Gとが水平方向において並んでいる。また、ステージ71上の積層紙幣Sにおけるそれぞれの紙幣Sの端縁は、上下に(垂直に)揃っている。
【0068】
そして、図6Aを参照して、第1制御部91は、キックローラモータ95およびフィードローラモータ96(図5参照)を駆動することによって、キックローラ72およびフィードローラ74を正転させる(ステップS6)。このときの繰出機構70は、図4Cに示されている。図4Cにおいて、キックローラ72およびフィードローラ74は、反時計回りに回転することで正転している。キックローラ72が正転するのに伴って、摩擦部分72Aが紙幣S1を水平方向に沿ってフィードローラ74側へスライドさせる。紙幣S1は、スライドに伴って、1対のガイド79の隙間を通過し、その後、フィードローラ74とゲートローラ75との接触部分であるゲート部分Gに進入する。ゲート部分Gに進入した紙幣S1は、ゲート部分Gにおいてフィードローラ74とゲートローラ75とに挟まれつつ、正転中のフィードローラ74によって、取出路76へと受け渡される。
【0069】
取出路76へと受け渡された紙幣Sは、取出路76内を搬送され、その途中で、通過検知センサ77の検知光Lを一時的に遮断し、その後、分岐路46〜51(図2参照)のうちで対応する分岐路へと搬送され、搬送路43(図2参照)に到る。
ここでの検知光Lの遮断に伴い、第1制御部91は、図6Aを参照して、紙幣Sの通過を検知する(ステップS7でYES)。一方、所定時間経過しても検知光Lが遮断されない場合、つまり、紙幣Sの通過が検知されない場合(ステップS7でNO)、検知光Lよりも上流側で紙幣Sが詰まっている(図4C参照)。そのため、第1制御部91は、表示操作部6や表示パネル60(図1および図3A参照)に警告画面を出すこと等によって、紙幣詰まり警報を報知する(ステップS8)。
【0070】
第1制御部91は、紙幣Sの通過を正常に検知した場合には(ステップS7でYES)、変数m(当初は、0「零」)をインクリメント(+1)する(ステップS9)。
そして、第1制御部91は、積層紙幣Sとキックローラ72との接触圧が、前述した所定圧力に対して所定以上低下したか否かを、圧力検知センサ73を介して確認する(ステップS10)。紙幣Sの繰り出し開始時には、ステージ71が、当初の繰出位置まで上昇しているのだが、繰り出しが進むにつれてステージ71上の紙幣Sが減っていくので、積層紙幣Sとキックローラ72との接触圧が低下していく(図4C参照)。接触圧が所定以上低下すると(ステップS10でYES)、キックローラ72の摩擦部分72Aとステージ71上の紙幣Sとの間で十分な摩擦力が発生しないので、キックローラ72がステージ71上の紙幣Sをフィードローラ74側へスライドさせることができなくなる。よって、この場合、第1制御部91は、ステップS3においてステージ71を現時点よりも上昇させる。そのため、紙幣Sの繰り出しが進むと、前記接触圧が前記所定圧力の範囲内に維持されるように、ステージ71が段階的に少しずつ上昇する。
【0071】
一方、当該接触圧が所定以上低下していなければ(ステップS10でNO)、第1制御部91は、前述した変数mが指定枚数(繰出指示において指定された紙幣Sの繰出枚数)に達したか否かを確認する(ステップS11)。変数mが指定枚数に達していなければ(ステップS11でNO)、第1制御部91は、ステップS6以降の処理を繰り返して、ステージ71上の紙幣Sを、最上位の紙幣Sから順に、ゲート部分Gおよび取出路76経由で、対応する分岐路へと搬送していく。これに伴い、変数mが増加する(ステップS9)。
そして、変数mが指定枚数に達すると(ステップS11でYES)、第1制御部91は、これ以上の紙幣Sの繰り出しは不要なので、キックローラモータ95およびフィードローラモータ96の駆動を停止してキックローラ72およびフィードローラ74の回転を停止する(ステップS12)。また、ステップS12において、第1制御部91は、ステージ昇降モータ94を駆動してステージ71を待機位置まで下降させ、変数mをリセットして0「零」にする。これにより、指定枚数分の紙幣S(流通券)の繰り出しが完了する。
【0072】
ここで、図4Dを参照して、紙幣Sの繰り出し中において、紙幣Sの繰り出しが進むにつれて、ステージ71上の積層紙幣Sが、最上位のもの(キックローラ72に近い紙幣S)から順に、繰り出し方向側(ゲート部分G側)へとなびいていく。詳しくは、最上位の紙幣S1が、ゲート部分Gへと搬送される際、後続の紙幣S2を道連れにするようにゲート部分G側へ少し引きずり、当該後続の紙幣S2が、さらに後続の紙幣S3をゲート部分G側へ少し引きずるという動作が繰り返されることで、ステージ71上の積層紙幣Sが、キックローラ72によって搬送される前(繰出開始前)の状態(図4B参照)から、最上位の紙幣Sから順に、少しずつゲート部分G側へずれていく。
【0073】
このようにステージ71上の積層紙幣Sがゲート部分G側へなびいた状態がさらに進行すると、図4Eに示すように、最上位の紙幣S1の全体がゲート部分Gを通過し終える前に、後続の紙幣S2の先端がゲート部分Gを通過してしまう現象が発生し得る。ゲート部分Gにおいて噛み込んだ複数枚の紙幣S同士が擦れ合うことで、先行の紙幣Sのインク等が後続の紙幣Sの先端に擦り付けられて付着してしまう虞がある。
【0074】
一方、ゲート部分Gにおいて複数枚の新券が噛み込んだ場合には、新券ではインクが紙幣Sに十分なじんでいないことから、噛み込んだ紙幣S同士が互いのインクで汚れ易い。そして、積層紙幣Sがゲート部分G側へなびいている状態において一度ゲート部分Gにおける複数枚の噛み込みが発生してしまうと、後続の新券が全てゲート部分Gにおいて複数枚噛み込んでしまうことから、ゲート部分Gを通過した新券が全て汚れてしまうという不具合が生じ得る。
【0075】
そこで、図6Aを参照して、ステップS1において繰出指示があって(ステップS1でYES)、第1出金庫32Aに収納された紙幣Sが新券である場合(ステップS2でYES)、つまり、第1出金庫32Aに収納される紙幣Sが新券であると表示パネル60(図3B参照)で設定されている場合、制御部90では、今度は、第2制御部92(図5参照)が主として制御動作を行うこととなる。図6Bを参照して、第2制御部92は、まず、ステップS2の場合と同様に、ステージ昇降モータ94を駆動してステージ71を待機位置から上昇させる(ステップS13)。
【0076】
そして、第2制御部92は、ステップS4の場合と同様に、圧力検知センサ73が前記所定圧力を検知すると(ステップS14でYES)、ステップS5の場合と同様に、ステージ昇降モータ94の駆動を停止してステージ71の上昇を停止する(ステップS15)。このときの繰出機構70は、図4Bに示されている。
そして、第2制御部92は、ステップS6の場合と同様に、キックローラモータ95およびフィードローラモータ96を駆動してキックローラ72およびフィードローラ74を正転させる(ステップS16)。このときの繰出機構70は、図4Cに示されている。キックローラ72およびフィードローラ74が正転することによって、ステージ71上の積層紙幣Sが、最上位の紙幣S1から順に、ゲート部分Gを通過して、取出路76へと受け渡され、前述したいずれかの分岐路を経由して搬送路43(図2参照)へ搬送される。
【0077】
取出路76へと受け渡された紙幣Sが通過検知センサ77の検知光Lを遮断することで、第2制御部92は、ステップS7の場合と同様に、紙幣Sの通過を検知する(ステップS17でYES)。一方、所定時間経過しても紙幣Sの通過が検知されない場合(ステップS17でNO)、第2制御部92は、ステップS8の場合と同様に、紙幣詰まり警報を報知する(ステップS18)。
【0078】
そして、第2制御部92は、紙幣Sの通過を正常に検知した場合には(ステップS17でYES)、ステップS9の場合と同様に、変数m(当初は、0「零」)をインクリメント(+1)する(ステップS19)。さらに、第2制御部92は、ステップS19において、変数mとは別の変数n(当初は、0「零」)をインクリメント(+1)する。
そして、第2制御部92は、積層紙幣Sとキックローラ72との接触圧が、前述した所定圧力に対して所定以上低下したか否かを、ステップS10の場合と同様に、確認する(ステップS20)。当該接触圧が所定以上低下すると(ステップS20でYES)、第2制御部92は、ステップS13においてステージ71を現時点よりも上昇させる。
【0079】
一方、当該接触圧が所定以上低下していなければ(ステップS20でNO)、第2制御部92は、前述した変数nが所定枚数(たとえば、10枚)に達したか否かを確認する(ステップS21)。ここで、変数nが所定枚数に達した場合、つまり、紙幣Sの繰出枚数が所定枚数に達した場合には、ステージ71上の積層紙幣Sが図4Dに示すように最上位側からゲート部分G側へなびいた状態にあり、これ以上紙幣Sを追加で繰り出すと、ゲート部分Gでの複数枚の紙幣Sの噛み込みが発生し得る(図4E参照)。
【0080】
変数nが所定枚数に達していなければ(ステップS21でNO)、第2制御部92は、ステップS11の場合と同様に、前述した変数mが指定枚数に達したか否かを確認する(ステップS22)。変数mが指定枚数に達していなければ(ステップS22でNO)、第2制御部92は、ステップS16以降の処理を繰り返して、ステージ71上の紙幣Sを、最上位の紙幣S1から順に、ゲート部分Gおよび取出路76経由で、対応する分岐路へと搬送する。これに伴い、変数mおよび変数nがともに増加する(ステップS19)。そして、変数mが指定枚数に達すると(ステップS22でYES)、第2制御部92は、これ以上の紙幣Sの繰り出しは不要なので、キックローラモータ95およびフィードローラモータ96の駆動を停止してキックローラ72およびフィードローラ74の回転を停止する(ステップS23)。そして、第2制御部92は、ステップS23において、ステージ昇降モータ94を駆動してステージ71を待機位置まで下降させ、変数mおよび変数nをいずれもリセットして0「零」にする。これにより、指定枚数分の新券紙幣Sの繰り出しが完了する。
【0081】
一方、繰り出し途中において変数nが所定枚数に達した場合(ステップS21でYES)、第2制御部92は、キックローラモータ95およびフィードローラモータ96の駆動を停止してキックローラ72およびフィードローラ74の回転を停止する(ステップS24)。このときの繰出機構70は、図4Fに示されている。この場合、紙幣Sの繰出枚数が所定枚数に達してステージ71上の積層紙幣Sがゲート部分G側へなびいた状態であるが、これ以上紙幣Sを追加で繰り出されることはない。つまり、ゲート部分Gにおける複数枚の紙幣Sの噛み込みが未然に回避されている。
【0082】
次いで、第2制御部92は、ステージ昇降モータ94を駆動してステージ71を待機位置(図4A参照)まで下降させ、さらに、キックローラモータ95およびフィードローラモータ96を駆動してキックローラ72およびフィードローラ74を一定時間逆転させ、変数nをリセットして0「零」にする(ステップS25)。ステージ71を下降させた直後の状態における繰出機構70は、図4Gに示されている。図4Gでは、ステージ71の下降に伴って、ステージ71上の積層紙幣Sにおいてゲート部分G側へなびいていた紙幣S2〜S5が、これらの紙幣Sより下の積層紙幣Sに対して、ゲート部分G側へなびかないように積層し直される。このときのゲート部分Gには、紙幣S1が挟まっているので、キックローラ72およびフィードローラ74を一定時間逆転させると、図4Hに示すように、紙幣S1がステージ71上の積層紙幣S上に載置される。この状態では、ステージ71上の積層紙幣Sは、ゲート部分G側へなびいておらず、積層紙幣Sにおけるそれぞれの紙幣Sの端縁は、上下に揃っている。ここで、キックローラ72およびフィードローラ74を一定時間逆転させる際における当該一定時間とは、ゲート部分Gに挟まった紙幣S1(図4G参照)をステージ71上の積層紙幣S上に戻すのに必要最低限の時間である。
【0083】
このように、第2制御部92は、紙幣Sの繰り出しに応じてゲート部分G側へなびいた積層紙幣Sの姿勢(図4D参照)をステップS25で矯正してから、ステップS13以降の処理を繰り返す。これにより、新券を繰り出す場合には、繰出枚数nが所定枚数(ここでは、10枚)に達する毎に(ステップS21でYES)、積層紙幣Sの姿勢がゲート部分G側へなびかないように定期的に矯正されるので(ステップS25)、新券がゲート部分Gで汚れること(図4E参照)はない。
【0084】
以上のように、第1の制御動作では、繰り出す紙幣Sが新券でない流通券である場合には、第1制御部92が、ステージ昇降モータ94、キックローラモータ95およびフィードローラモータ96(図5参照)を第1の態様で駆動させる(ステップS1〜S12)。一方、繰り出す紙幣Sが新券である場合には、第2制御部92が、これらのモータ(図5参照)を、紙幣Sを汚さない第2の態様で駆動させる(ステップS13〜S25)。詳しくは、第2制御部92は、紙幣Sの繰出枚数nが所定枚数に達する毎に(ステップS21でYES)、キックローラ72およびフィードローラ74が一定時間逆転するようにキックローラモータ95およびフィードローラモータ96を駆動させる(ステップS25)。これにより、新券が汚れることを防止することができる。一方、流通券を繰り出す場合には、ステップS25のような処理がないので、迅速に流通券を繰り出すことができる。
【0085】
つまり、流通券を繰り出す場合と、新券を繰り出す場合とのそれぞれに応じて、異なる態様で繰出機構70の駆動源(前述した各モータ)を駆動させるので、流通券を繰り出す場合は、繰出速度を優先でき、新券を繰り出す場合は、フィードローラ74およびゲートローラ75間での汚れの抑制を優先できる。その結果、紙幣Sの処理効率の低下を抑制しつつ、新券を繰り出す際において新券が汚れることを防止できる。
【0086】
第1の制御動作では、新券を繰り出す場合、紙幣Sの繰出枚数nが所定枚数に達する毎にキックローラ72およびフィードローラ74を一定時間逆転させることによって、ステージ71上の積層紙幣Sを、フィードローラ74側へなびく前の状態へと矯正できる。
また、制御部90は、メイン収納庫32やサブボックス33といった収納庫のそれぞれ(ここでは、第1出金庫32A)に収納された紙幣Sが新券であるか否かという表示パネル60での設定(図3B参照)に応じて、これらのモータの駆動を、第1制御部92による第1の態様と第2制御部92による第2の態様との間で切り換える(ステップS2)。換言すれば、ここでは、当該モータを、第1の態様と、第2の態様とで選択的に駆動させる。
【0087】
そのため、表示パネル60で設定すれば、前記収納庫に収納される紙幣Sが流通券であれば、繰出速度を優先して流通券を繰り出すことができ、前記収納庫に収納される紙幣Sが新券であれば、フィードローラ74およびゲートローラ75間での汚れの抑制を優先して新券を繰り出すことができるので、使い勝手がよい。
次に、第2の制御動作について説明する。
【0088】
図7Aおよび図7Bは、紙幣処理装置1において行われる第2の制御動作を示すフローチャートである。
図7AのステップS1〜S12の一連の処理は、図6Aで説明したステップS1〜S12の一連の処理と同じである。つまり、繰出指示があった第1出金庫32Aにおいて収容されている紙幣が流通券であれば(ステップS2でNO)、当該流通券を指定枚数分繰り出す処理が第1制御部91(図5参照)によって実行される。
【0089】
一方、第1出金庫32Aにおいて収容されている紙幣が新券であれば(ステップS2でYES)、図7Bを参照して、第2制御部92が、ステップS3の場合と同様に、ステージ昇降モータ94を駆動してステージ71を待機位置から上昇させる(ステップS31)。
そして、第2制御部92は、ステップS4の場合と同様に、圧力検知センサ73が前記所定圧力を検知すると(ステップS32でYES)、ステップS5の場合と同様に、ステージ昇降モータ94の駆動を停止してステージ71の上昇を停止する(ステップS33)。このときの繰出機構70は、図4Bに示されている。
【0090】
そして、第2制御部92は、ステップS6の場合と同様に、キックローラモータ95およびフィードローラモータ96を駆動してキックローラ72およびフィードローラ74を正転させる(ステップS34)。また、第2の制御動作で特有のものとして、第2制御部92は、ステップS34において、ゲートローラモータ97(図5参照)を駆動させてゲートローラ75を回転(正転)させる。このときの繰出機構70は、図4Dに示されている。図4Dでは、ゲートローラ75が破線矢印で示すように正転している状態、つまり、フィードローラ74による紙幣Sの送り出し方向の回転と逆方向にゲートローラ75が回転している状態が示されている。ゲートローラ75が回転していれば、ステージ71上の積層紙幣Sがゲート部分G側へなびいていたとしても、最上位の紙幣S1がゲート部分Gを通過する際に、後続の紙幣S2は、回転中のゲートローラ75によってステージ71側へ押し戻されるので、ゲート部分Gにおいて複数枚の紙幣Sが噛み込むことはない。
【0091】
そのため、ステージ71上の積層紙幣Sは、最上位の紙幣S1から順に、ゲート部分Gを1枚ずつ通過して、取出路76へと受け渡され、前述したいずれかの分岐路を経由して搬送路34(図1参照)へ搬送される。
取出路76へと受け渡された紙幣Sが通過検知センサ77の検知光Lを遮断することで、第2制御部92は、図7Bを参照して、ステップS7の場合と同様に、紙幣Sの通過を検知する(ステップS35でYES)。一方、紙幣Sの通過が検知されない場合(ステップS35でNO)、第2制御部92は、ステップS8の場合と同様に、紙幣詰まり警報を報知する(ステップS36)。
【0092】
そして、第2制御部92は、紙幣Sの通過を正常に検知した場合には(ステップS35でYES)、ステップS9の場合と同様に、変数m(当初は、0「零」)をインクリメント(+1)する(ステップS37)。
そして、第2制御部92は、積層紙幣Sとキックローラ72との接触圧が、前述した所定圧力に対して所定以上低下したか否かを、ステップS10の場合と同様に、確認する(ステップS38)。当該接触圧が所定以上低下すると(ステップS38でYES)、第2制御部92は、ステップS31においてステージ71を現時点よりも上昇させる。
【0093】
一方、当該接触圧が所定以上低下していなければ(ステップS38でNO)、第2制御部92は、ステップS11の場合と同様に、前述した変数mが指定枚数に達したか否かを確認する(ステップS39)。変数mが指定枚数に達していなければ(ステップS39でNO)、第2制御部92は、ステップS34以降の処理を繰り返して、ステージ71上の紙幣Sを、最上位の紙幣Sから順に、ゲート部分Gおよび取出路76経由で、対応する分岐路へと搬送していく。これに伴い、変数mが増加する(ステップS37)。そして、変数mが指定枚数に達すると(ステップS39でYES)、第2制御部92は、これ以上の紙幣Sの繰り出しは不要なので、キックローラモータ95、フィードローラモータ96およびゲートローラモータ97の駆動を停止してキックローラ72、フィードローラ74およびゲートローラ75の回転を停止する(ステップS40)。また、第2制御部92は、ステップS40において、ステージ昇降モータ94を駆動してステージ71を待機位置まで下降させ、変数mをリセットして0「零」にする。これにより、指定枚数分の新券紙幣Sの繰り出しが完了する。
【0094】
以上のように、第2の制御動作では、繰り出す紙幣Sが流通券である場合には、第1制御部92が、第1の制御動作の場合と同様に、ステージ昇降モータ94、キックローラモータ95およびフィードローラモータ96(図5参照)を第1の態様で駆動させる(ステップS1〜S12)。一方、繰り出す紙幣Sが新券である場合には、第2制御部92が、ステージ昇降モータ94、キックローラモータ95、フィードローラモータ96およびゲートローラモータ97(図5参照)を第2の態様で駆動させる(ステップS31〜S40)。詳しくは、第2制御部92は、ゲートローラ75が正転するようにゲートローラモータ97を駆動させる(ステップS34)。
【0095】
その結果、第1の制御動作の場合と同様に、流通券を繰り出す場合における紙幣Sの処理効率の低下を抑制しつつ、新券を繰り出す際において新券が汚れることを防止できる。特に、第2の制御動作の場合には、逆方向に回転するゲートローラ75が、フィードローラ74とゲートローラ75との間(ゲート部分G)を連なって通過しようとする複数枚の新券のうち、後続の新券を押し戻して先頭の新券だけを通過させようとする。そのため、フィードローラ74とゲートローラ75との間での複数枚の新券の噛み込みを確実に防止できる。これにより、新券が汚れることを確実に防止できる。
【0096】
また、第2の制御動作においても、制御部90は、メイン収納庫32やサブボックス33のそれぞれ(ここでは、第1出金庫32A)に収納された紙幣Sが新券であるか否かという表示パネル60での設定(図3B参照)に応じて、これらのモータの駆動を、第1制御部92による第1の態様と第2制御部92による第2の態様との間で切り換える(ステップS2)。
【0097】
そのため、表示パネル60で設定すれば、メイン収納庫32やサブボックス33のうち該当する収納庫に収納される紙幣Sが流通券であれば、繰出速度を優先して流通券を繰り出すことができ、前記収納庫に収納される紙幣Sが新券であれば、フィードローラ74およびゲートローラ75間での汚れの抑制を優先して新券を繰り出すことができるので、使い勝手がよい。ただし、第2の制御動作の場合には、第1の制御動作の場合に比べて、繰出枚数が前述した所定枚数に達する毎にステージ71を待機位置まで下降させてキックローラ72およびフィードローラ74を逆転させる処理(ステップS24およびS25)がない分、新件を繰り出す場合においても、流通券を繰り出す場合と変わらない程度の処理効率を維持できる。
【0098】
次に、第3の制御動作について説明する。
なお、第3の制御動作は、図6Aで説明した第1の制御動作のステップS1〜S12の一連の処理と同じであるため説明を省略し、第1の制御動作と異なる点のみを説明する。第3の制御動作が第1の制御動作と異なる点は、第1出金庫32Aにおいて収容されている紙幣が新券であれば(ステップS2でYES)、第2制御部92が、ゲート圧(フィードローラ74とゲートローラ75との接触圧)を緩和する点である。具体的には、第2制御部92が、図示しないソレノイドを駆動させて、フィードローラ74からゲートローラ75を若干離間させる(図4A参照)。これにより、ゲート圧が低下する。
【0099】
ゲート圧が緩和した後は、第2制御部92が、ステップS3〜ステップS12の処理を行う。つまり、第2制御部92が、新券を指定枚数分繰り出す処理を実行する。
以上のように、第3の制御動作では、繰り出す紙幣Sが流通券である場合には(ステップS2でNO)、第1制御部92が、第1および第2の制御動作の場合と同様に、ステージ昇降モータ94、キックローラモータ95およびフィードローラモータ96(図5参照)を第1の態様で駆動させる(ステップS1〜S12)。このとき、第1制御部91は、ゲート圧を、新券を繰り出す場合よりも相対的に高くしている。
【0100】
一方、繰り出す紙幣Sが新券である場合には(ステップS2でYES)、第2制御部92が、ステージ昇降モータ94、キックローラモータ95およびフィードローラモータ96(図5参照)を第2の態様で駆動させる(S3〜S12)。このとき、第2制御部92は、第2の態様として、ゲート圧を、流通券を繰り出す場合よりも相対的に低くしている。
【0101】
その結果、第1および第2の制御動作の場合と同様に、紙幣Sの処理効率の低下を抑制しつつ、新券を繰り出す際において新券が汚れることを防止できる。特に、第3の制御動作の場合には、新券を繰り出す場合、ゲート圧が相対的に低くなっているので、フィードローラ74とゲートローラ75との間で複数枚の紙幣Sの噛み込みが生じたとしても、噛み込んだ新券同士が擦れにくくなるので、新券が汚れることを確実に防止できる。
【0102】
また、第3の制御動作においても、制御部90は、メイン収納庫32やサブボックス33のそれぞれ(ここでは、第1出金庫32A)に収納された紙幣Sが新券であるか否かという表示パネル60での設定(図3B参照)に応じて、これらのモータの駆動を、第1制御部92による第1の態様と第2制御部92による第2の態様との間で切り換える(ステップS2)。
【0103】
そのため、表示パネル60で設定すれば、メイン収納庫32やサブボックス33のうち該当する収納庫に収納される紙幣Sが流通券であれば、繰出速度を優先して流通券を繰り出すことができ、前記収納庫に収納される紙幣Sが新券であれば、フィードローラ74およびゲートローラ75間での汚れの抑制を優先して新券を繰り出すことができるので、使い勝手がよい。ただし、第3の制御動作の場合には、第1の制御動作におけるステップS24およびS25の処理がない分、新件を繰り出す場合においても、流通券を繰り出す場合と変わらない程度の処理効率を維持できる。
【0104】
次に、第4の制御動作について説明する。
第4の制御動作は、図6Aで説明した第1の制御動作のステップS1〜S12の一連の処理と同じであるため説明を省略し、第1の制御動作と異なる点のみを説明する。第4の制御動作が第1の制御動作と異なる点は、第1出金庫32Aにおいて収容されている紙幣が新券であれば(ステップS2でYES)、第2制御部92が、繰出速度(少なくともキックローラ72およびフィードローラ74の各回転速度)を、流通券を繰り出す場合よりも低速に設定する点である。
【0105】
繰出速度が低速に設定された後は、第2制御部92が、図6Aに示すステップS3〜ステップS12の処理を行う。つまり、第2制御部92が、新券が指定枚数分繰り出す処理を実行する。この際、繰出中におけるキックローラ72およびフィードローラ74は、第2制御部92によるキックローラモータ95およびフィードローラモータ96の駆動制御によって、流通券を繰り出す場合よりも低速で正転している(ステップS6)。
【0106】
以上のように、第4の制御動作では、繰り出す紙幣Sが流通券である場合には(ステップS2でNO)、第1制御部92が、第1〜第3の制御動作の場合と同様に、ステージ昇降モータ94、キックローラモータ95およびフィードローラモータ96(図5参照)を第1の態様で駆動させる(ステップS1〜S12)。このとき、第1制御部91は、キックローラ72およびフィードローラ74が相対的に早く回転するように、キックローラモータ95およびフィードローラモータ96を駆動している。
【0107】
一方、繰り出す紙幣Sが新券である場合には(ステップS2でYES)、第2制御部92が、ステージ昇降モータ94、キックローラモータ95およびフィードローラモータ96(図5参照)を第2の態様で駆動させる(S3〜S12)。このとき、第2制御部92は、第2の態様として、キックローラ72およびフィードローラ74が相対的に遅く回転するように、キックローラモータ95およびフィードローラモータ96を駆動している。
【0108】
その結果、第1〜第3の制御動作の場合と同様に、紙幣Sの処理効率の低下を抑制しつつ、新券を繰り出す際において新券が汚れることを防止できる。特に、第4の制御動作の場合には、新券を繰り出す場合、キックローラ72およびフィードローラ74が相対的に遅く回転するので、ステージ71上の積層紙幣Sが、キックローラ72に近い紙幣Sから順にフィードローラ74側へなびくことを抑制できる。そのため、フィードローラ74およびゲートローラ75間で複数枚の紙幣Sの噛み込み自体が発生しにくくなるので、新券が汚れることを確実に防止できる。
【0109】
また、第4の制御動作においても、制御部90は、メイン収納庫32やサブボックス33のそれぞれ(ここでは、第1出金庫32A)に収納された紙幣Sが新券であるか否かという表示パネル60での設定(図3B参照)に応じて、これらのモータの駆動を、第1制御部92による第1の態様と第2制御部92による第2の態様との間で切り換える(ステップS2)。
【0110】
そのため、表示パネル60で設定すれば、前記収納庫に収納される紙幣Sが流通券であれば、繰出速度を優先して流通券を繰り出すことができ、前記収納庫に収納される紙幣Sが新券であれば、フィードローラ74およびゲートローラ75間での汚れの抑制を優先して新券を繰り出すことができるので、使い勝手がよい。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0111】
さらに、上述する実施形態では、第1の態様と第2の態様とを表示パネル60の設定によって切り換えるようにしたが、各メイン収納庫32やサブボックス33(図2参照)内に新券を判別するセンサを設け、当該センサの判別結果に基づいて態様を切り換えても構わない。また、上述する実施形態では、各メイン収納庫32やサブボックス33(図2参照)に設けられた繰出機構70に本発明を適用した場合を例に説明したが、紙幣の取引口などの繰出機構に本発明を適用しても構わない。
【0112】
特に、この発明は、紙幣の繰出処理を行うあらゆる紙幣処理装置(両替機以外に、ATMや出納機等)に適用でき、さらには、汚れても構わない紙葉類と、汚れを嫌う紙葉類とを切り換えて繰り出すような装置全般に適用可能である。
また、第1制御部91が流通券の繰出処理を行って、第2制御部92が新券の繰出処理を行っているが、これらの第1制御部91および第2制御部92を1つの制御部90とみなして、制御部90が、流通券と新券とに応じて、別々の繰出処理をしてもよい。
【0113】
また、前述した実施形態では、新券を繰り出す場合には、第1〜第4の制御動作のいずれか1つを行っているが、これらの制御動作を適宜組み合わせるとよい。そうすれば、流通券の処理効率の低下を抑制しつつ、新券の汚れを一層防止できる。
また、前述した実施形態では、ゲートローラ75を回転可能な構成にしていたが、ゲートローラ75を回転させる第2の制御動作以外の制御動作では、ゲートローラ75を回転可能な構成にしなくてもよい。その場合、ゲートローラ75は、ローラの形状でなくてもよく、フィードローラ74に対してゲート部分Gで接触していればよい。
【符号の説明】
【0114】
1 紙幣処理装置
43 搬送路
60 表示パネル
70 繰出機構
72 キックローラ
74 フィードローラ
75 ゲートローラ
90 制御部
91 第1制御部
92 第2制御部
95 キックローラモータ
96 フィードローラモータ
97 ゲートローラモータ
S (集積)紙幣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を繰り出す繰出機構と、前記繰出機構によって繰り出された紙幣を搬送する搬送路とを含む紙幣処理装置であって、
前記繰出機構を駆動する駆動源を備え、
前記繰出機構の駆動源を第1の態様で駆動させる第1制御手段と、
前記繰出機構の駆動源を、紙幣を汚さない第2の態様で駆動させる第2制御手段とを含むことを特徴とする、紙幣処理装置。
【請求項2】
前記第2制御手段は、紙幣の繰出枚数が所定枚数に達する毎に、前記繰出機構が一定時間逆転するように前記駆動源を駆動させることを特徴とする、請求項1記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記第1制御手段は、前記繰出機構が相対的に早く回転するように前記駆動源を駆動し、
前記第2制御手段は、前記繰出機構が相対的に遅く回転するように前記駆動源を駆動することを特徴とする、請求項1または2記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記繰出機構は、紙幣を取り出すためのキックローラと、前記キックローラで取り出された紙幣を前記搬送路へ送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラに関連して配置され、前記フィードローラにより送り出される紙幣が重なって送り出されるのを防止するための重送防止部材とを備え、
前記重送防止部材は、前記フィードローラの送り出し方向の回転と逆方向に回転されるゲートローラを含み、当該ゲートローラは、前記駆動源で駆動される構成であり、
前記第2制御手段は、前記ゲートローラが前記逆方向に回転するように前記駆動源を駆動させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の紙幣処理装置。
【請求項5】
前記繰出機構は、紙幣を取り出すためのキックローラと、前記キックローラで取り出された紙幣を前記搬送路へ送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラに関連して配置され、前記フィードローラにより送り出される紙幣が重なって送り出されるのを防止するための重送防止部材とを備え、
前記重送防止部材は、前記フィードローラ周面と接触し、その接触圧を可変可能に設けられており、
前記第1制御手段は、前記接触圧を相対的に高くし、
前記第2制御手段は、前記接触圧を相対的に低くすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の紙幣処理装置。
【請求項6】
前記繰出機構により繰り出される紙幣が新券および流通券のいずれであるかについて設定するための設定手段と、
前記設定手段の設定に応じて、前記駆動源の駆動を、前記第1制御手段による第1の態様と、前記第2制御手段による第2の態様との間で切り換える手段とを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の紙幣処理装置。
【請求項7】
前記設定手段は、前記繰出機構により繰り出される紙幣の金種を設定するための手段を含むことを特徴とする、請求項6記載の紙幣処理装置。
【請求項8】
紙幣を繰り出す繰出機構と、前記繰出機構によって繰り出された紙幣を搬送する搬送路と、前記繰出機構を駆動する駆動源とを用いた紙幣処理方法であって、
前記繰出機構の駆動源を、第1の態様と、紙幣を汚さない第2の態様とで選択的に駆動させることを特徴とする、紙幣処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2013−11980(P2013−11980A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143268(P2011−143268)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】