説明

紙幣取扱装置

【課題】
取引業務の高速性を維持し、低コストで紙幣類の記番号を読み取ることが可能な紙幣類取引装置を提供する。
【解決手段】
紙葉類を入出金する入出金部1と、紙葉類を一時的に保管する一時保管庫4、紙葉類を収納する収納庫8、9と、紙葉類を搬送する搬送路2と、搬送路2により搬送される紙葉類の真偽を判別する判別部3と、前述の各部の制御を行う制御部とを備え、判別部3は、少なくとも真券でないと判別した紙葉類の記番号を読み取ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入金取引時の紙幣の判別結果を元に、紙幣の収納及び返却を行う機能を備えた紙幣取扱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
EURO紙幣などでは、紙幣の入金時に、真でない又は疑わしいと判別された紙幣の情報を追跡用データベースに蓄える場合がある。この場合に、紙幣毎に固有の記番号を読み取り、入金時の紙幣の判別結果と共に、記番号を追跡用のデータベース情報に記憶する。
【0003】
しかし、記番号の読み取りには、精細な画像認識が必要となるため、顧客の取引時間を極力延長させないように、紙幣の搬送速度を維持したまま、記番号を読み取るには、高速処理可能なハードウェアが必要とされ、記番号の読み取り可能な紙幣取扱装置は高コストなものとなっていた。
【0004】
一方、従来の紙幣判別を行う装置としては、例えば特開2003−281603(特許文献1)に示される紙幣取扱装置が知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−281603
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された紙幣取扱装置では、紙幣の真偽判別における、初回の判別において、所定の判別条件に当てはまった紙幣についてのみ、解像度を上げて、記番号読取りを行う。しかし、特許文献1の紙幣取扱装置は、同一対象の判別を、解像度や判別方法を変えて行うものであり、そもそも解像度が高くないと読み取ることができない記番号の読み取りについては、全ての紙幣を記番号の読取りすることとなり、記番号の読み取りには使用できない。
【0007】
本発明の目的は、高速処理可能なハードウェアを利用することなく、顧客の取引時間を極力延長させないように、入金計数時における紙幣の搬送速度を維持したまま、真でない又は疑わしいと判別された紙幣の記番号を読み取る紙幣取扱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
紙葉類を入出金する入出金部と、紙葉類を搬送する搬送路と、搬送路により搬送される紙葉類の真偽を判別する判別部と、前述の各部の制御を行う制御部とを備え、判別部は、少なくとも真でないと判別した紙葉類の固有情報であって、真偽判別では読取れない固有情報を読み取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、紙幣類取引装置において、入金紙幣の記番号の管理、収集が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の実施形態を図1から図7を用いて説明する。
【0011】
図1は、現金自動取引装置103(ATM)と紙幣取扱装置の制御ブロック図である。また、図2は、現金自動取引装置103の概観図である。以下、図1、図2を用いて各装置の説明を行う。
【0012】
ホストコンピュータ101、サーバー102は、現金自動取引装置103の上位装置であり、取引情報の送受信を行う。紙幣取扱装置104は、紙幣の搬送を行う。判別結果記憶装置105は、判別部3から報告された判別結果を記憶する。判別部3は紙幣の金種、真偽、種類、状態を判別し、紙幣を特定するための、紙幣の固有情報を読み取る。判別部記憶装置A107、判別部記憶装置B108は、紙幣の判別結果、紙幣を特定するための固有情報、詳細画像情報などを記憶する。通帳取扱装置109は、通帳を取り扱う。明細表発行装置110は、取引明細票を発行する。カード取扱装置111は、磁気ストライプカードやICカードを取り扱う。操作部112は、利用者、係員、保守員がタッチパネルの操作や、操作の為の画面を表示するとともに、利用者等からの入力を受付ける。本体制御部記憶装置113は、プログラムやカードデータ等を記憶する。本体制御部114は上記各装置を制御する。なお、判別結果記憶装置105、判別部記憶装置A107、判別部記憶装置B108は、ハードウェアが別々となるような形態で記載したが、1つの記憶装置上に異なるエリアを有するような形態でもよい。
【0013】
図3は、現金自動取引装置103の一装置である紙幣取扱装置104の内部構造を示す図である。
【0014】
紙幣取扱装置104は、利用者、顧客から入金、投入される紙幣を受け入れる、又は利用者が所望する紙幣を出金、放出する入出金部1、紙幣を搬送する搬送路2、搬送される各紙幣の金種、真偽若しくは状態を判別する判別部3、紙幣を一時的に保管する一時保管庫4、流通に適さない紙幣を収納するためのリジェクト庫5、搬送路2により搬送される紙幣の通過を検知する通過センサ6、紙幣の搬送方向を切り換えるゲート7、紙幣を収納する収納庫8、9、更に図示しない上記各部位を制御する制御部から構成される。特に、判別部3は、紙幣の固有情報(例えば、紙幣に印刷された記番号など、或る紙幣が固有に(または一意に)有する情報)を読取る機能、手段も有している。
【0015】
図4は、判別部3の構成図である。判別部3は、画像情報読取部21と画像処理基板31とから構成される。画像情報読取部21は、紙幣画像の光学情報を電気信号に変換するイメージセンサ22、イメージセンサ22で読み取った画像を一時的に記憶しておく第一のイメージバッファ23、イメージセンサで読み取った画像について隣り合う2つの画素データを平均化し、第一のイメージバッファ23に記憶した画像の画素数よりも画素数を減少させた(画像情報の少ない)画像を記憶する第二のイメージバッファ24、イメージバッファ23の出力信号を増幅させるアンプ25、イメージバッファ24の出力信号を増幅させるアンプ26、アンプ25とアンプ26のどちらの信号を読み出すのかを切り替えるスイッチ27、スイッチ27の出力信号をアナログ/デジタル変換するA/Dコンバータ28、上記各部位を制御する制御部(図示せず)で構成される。
【0016】
画像処理基板31は、画像情報読取部21で取得した情報を処理する画像処理部32、紙幣の判別結果を記憶する判別部記憶装置A107、詳細画像情報を記憶する判別部記憶装置B108で構成される。
【0017】
図5は、紙幣の判別、読取時における画像情報読取部21と紙幣の位置関係を示す。画像情報読取部21を通過した紙幣の表面の画像情報が、画像読取部21により読み取られる。紙幣の裏面を読み取るために、画像情報読取部21を別途設置してもよいが、本実施例では省略する。
【0018】
図6は、紙幣の真偽、状態などの判別を行う通常の判別処理において、画像情報読取部21により読取られた紙幣の画像情報の1画素当たりの大きさを示す。通常の判別処理は、記番号読取りに比べ、少ない画像情報にて紙幣の判別が可能である。このため、通常の判別処理においては、スイッチ27を、アンプ26側に切替えて、平均化された第二のイメージバッファ24に記憶された紙幣の画像情報を用いて判別処理を行う。これにより、通常の判別処理では、搬送速度を落とすことなく紙幣の判別が可能となる。
【0019】
図7は、紙幣の記番号読取りにおいて、画像情報読取部21により読み取られた紙幣画像情報の1画素当たりの大きさを示す。記番号読取りは、通常の判別処理に比べ、詳細な画像情報が必要となる。このため、記番号読取りにおいては、スイッチ27を、アンプ25側に切替えて、第一のイメージバッファ23に記憶された紙幣の詳細な画像情報を用いて判別処理を行う。この場合、記番号読み取りのために取得した詳細な画像情報は、通常の判別処理に比べ情報量が多く、判別処理における搬送速度で紙幣が搬送されると、判別処理のための性能しか有さない判別部3の各部位では、取得した紙幣の詳細な画像情報を処理することができない。このため、紙幣取扱装置104は、搬送路3の紙幣搬送速度を低速にすることにより、高価な装置を導入することなく、記番号の読取りが可能となる。
【0020】
以下では、読取り画素の大きさを変えることにより、取引処理時間を維持し、特定の紙幣の詳細画像の取得を行う実施例について説明する。
【実施例1】
【0021】
図8〜図10を用いて、図3に示した紙幣取扱装置104の紙幣の入金取引における動作概要を説明する。
【0022】
入金取引は、紙幣を入出金部1から判別部3を経由して、判別部3による判別結果に基づき、一時保管庫4又はリジェクトスタッカ11に搬送し、入出金部1に投入されて紙幣の計数を行う入金計数処理と、入金計数処理後に、一時保管庫4から判別部3を経由して、収納庫8、9、リジェクト庫5に搬送し、紙葉類を収納する入金収納処理とがある。
【0023】
現金自動取引装置103は、紙幣取扱装置104による入金計数処理の後に、操作部112は、利用者からの入金確定を受付け、紙幣取扱装置104による入金収納処理を行う。
【0024】
なお、利用者から入金取消を受け付けた場合には、一時保管庫4から、入出金部1に紙幣を搬送し、利用者に紙幣を返却する。
【0025】
本実施例では、現金自動取引装置103における入金計数処理において、判別部3による通常の判別処理の後に、さらに実施する判別部3による紙幣の記番号読取り処理について説明する。
【0026】
図8は、判別処理の前における紙幣取扱装置104の状態を示す。通常の判別処理においては、図4の判別部3のスイッチ27は、アンプ26からの信号を読み取る側に切り替えてある。
【0027】
判別処理では、利用者により入出金部1に紙幣が投入されると、紙幣取扱装置104は、入出金部1のホッパ10から紙幣を1枚ずつ分離し、搬送路2上に繰り出す。搬送路2上に繰り出された紙幣は、判別部3を通過するときに、判別部3により紙幣の金種、真偽、状態等を判別される。紙幣取扱装置104は、判別部3が、搬送路2上を搬送される紙幣の金種、真偽、状態等を判別した結果に従い、紙幣の金種、真偽、状態と搬送先(一時保管庫4、リジェクトスタッカ11)の関係が記憶されたテーブル(図示せず)に基づき紙幣を搬送する。
【0028】
図9は、紙幣の判別処理後における、一時保管庫4とリジェクトスタッカ11とに搬送された紙幣、及び判別部記憶装置107に記憶された紙幣の情報を示す。
【0029】
紙幣取扱装置104は、判別部3により真でない又は疑わしい紙幣、それ以外の金種がわからない紙幣、寸法が異常な紙幣と判別された紙幣を、判別処理及び記番号読取りの対象となる紙幣と判断し、紙幣の金種、真偽、状態と搬送先(一時保管庫4、リジェクトスタッカ11)との関係が記憶された搬送先テーブルA(図示せず)に基づき、入出金部1のリジェクトスタッカ11に返却する。同様に、紙幣取扱装置104は、判別部3により、真であると判別された紙幣は、一時保管庫4に搬送する。
【0030】
例えば、図9では、入金1枚目の紙幣は、リジェクトすべき紙幣と判別されたためリジェクトスタッカ11に、入金2枚目の紙幣は、真である紙幣と判別されたため一時保管庫4に、入金3枚目の紙幣は、疑わしい紙幣と判別されたためリジェクトスタッカ11に搬送される。また、判別部記憶装置A107には、1〜3枚目までの紙幣の判別結果が記憶される。
【0031】
図10は、図9を用いて説明した判別処理を実施した後に、記番号読取り処理を行った後の、一時保管庫4とリジェクトスタッカ11とに搬送された紙幣、及び判別部記憶装置107に記憶された紙幣の情報を示す。
【0032】
記番号読取り処理においては、入出金部1のリジェクトスタッカ11とホッパ10の間の仕切り板及び、入出金部1の装置奥側(図10の左側)の仕切り板が、ホッパ10側に移動することにより、リジェクトスタッカ11に搬送された紙幣(1枚目、3枚目)を、図10のホッパ10側にまで移動させ、図10のホッパ10の下部にある紙幣の搬出口より1枚ずつ分離され、再度搬送路2上に繰り出される。リジェクトスタッカ11から繰り出された紙幣は、判別部3を通過するときに、判別部3により紙幣の金種、真偽、状態等を判別(再判別処理という)されるとともに、紙幣の記番号が読み取られる。この場合、紙幣取扱装置104は、紙幣の搬送速度を通常の判別処理の場合よりも低速にし、判別部3は、スイッチ27をアンプ25からの信号を読み取る側へ切り替えて、図7において示したように、読み取る紙幣画像の1画素当たりの大きさを小さくし、詳細な画像データを取得する。
【0033】
例えば、図7に示す1画素当たりの大きさにて、紙幣画像を読み取って行う記番号読取り処理においては、図6で示す通常の判別処理で扱う情報量の4倍のデータを読み取ることになる。この場合、通常の判別処理における紙幣の搬送速度では、図4のアンプ25、スイッチ27、A/Dコンバータ28、画像処理部32などにおける処理がボトルネックとなり、紙幣の搬送速度に判別処理が対応できない。そこで、通常の判別処理と同じ速度で信号や紙幣画像データを扱うために、紙幣の搬送速度を通常の判別処理における1/4倍に設定する。記番号読取り処理において、さらに詳細な紙幣画像が必要となる場合は、紙幣の搬送速度をさらに低速にしてもよい。
【0034】
紙幣取扱装置104は、紙幣の金種、真偽、状態と搬送先(一時保管庫4、リジェクトスタッカ11)との関係が記憶された搬送先テーブルA(図示せず)に基づき、記番号読取処理と共に行う再判別処理の結果、真でない又は疑わしい紙幣と判別された紙幣を、一時保管庫4に搬送する。また、紙幣取扱装置104は、それ以外の金種がわからない紙幣や、寸法が異常な紙幣などの一時保管庫4に搬入するのに不適切な紙幣を、リジェクト券として入出金部1のリジェクトスタッカ11に搬送し、利用者に返却する。
【0035】
また、判別部記憶装置108には、記番号読取り処理にて読み取った記番号などの詳細画像情報を記憶する。このようにして読み取った真でない又は疑わしい紙幣の記番号は、利用者情報と共に紙幣管理等に利用される。
【0036】
入金計数が確定した後には、紙幣取扱装置104は、一時保管庫4に搬送された紙幣を収納庫8、9、リジェクト庫5に収納するため、一時保管庫4から再び搬送路2上に紙幣を繰り出す。
【0037】
紙幣取扱装置104は、搬送路2上の通過センサ6で紙幣を監視し、ゲート7を切り替え、判別部3による通常の判別の結果に従い、図示しない紙幣の金種、真偽、状態と収納先(収納庫8、9、リジェクト庫5)との関係が記憶された収納先テーブルに基づき、収納庫9に収納する金種の紙幣と決定した紙幣は収納庫9に搬送し、収納庫8に収納する金種の紙幣と決定した紙幣は収納庫8に搬送する。また、紙幣取扱装置104は、汚れや破れがあり、再度出金できない紙幣としてリジェクト券と決定した紙幣は、リジェクト庫5に収納し、真でない又は疑わしい紙幣と決定した紙幣も、リジェクト庫5に収納し、再度出金しないようにする。
【0038】
本実施例では、記番号読み取り処理と共に再判別処理を実施するとしたが、最初の判別処理において判別部記憶装置A107に記憶した紙幣の判別結果をもとに一時保管庫からの搬送先を決定することとし、再判別処理は行わず記番号読み取り処理だけを行ってもよい。
【0039】
本実施例のように入金計数処理において、真でない又は疑わしい紙幣についてのみ記番号読取処理を行うことで、顧客の取引時間の延長を非常に短くすることができることとなる。特に、疑わしい紙幣を用いた場合には、取引時間が延長され、通常の紙幣を使う利用者の取引においては、延長されにくいため、悪意のユーザの取引時間を延長することに繋がり防犯効果もある。
【実施例2】
【0040】
図11を用いて、入金計数処理後に実施される入金収納処理における記番号読取り処理について説明する。なお、この場合実施例1で説明した入金計数処理時における、記番号読取り処理は行わない。
【0041】
実施例1で説明したように、入金計数処理では、利用者により入出金部1に紙幣が投入されると、紙幣取扱装置104は、入出金部1のホッパ10から紙幣を1枚ずつ分離し、搬送路2上に繰り出す。搬送路2上に繰り出された紙幣は、判別部3を通過するときに、判別部3により紙幣の金種、真偽、状態等を判別される。紙幣取扱装置104は、判別部3が、搬送路2上を搬送される紙幣の金種、真偽、状態等を判別した結果に従い、紙幣の収納先を決定する。なお、通常の判別処理においては、判別部3のスイッチ27は、アンプ26からの信号を読み取る側に切り替えてある。
【0042】
本実施例では、入金計数処理においては、通常の判別処理のみを行うため、紙幣取扱装置104は、紙幣の金種、真偽、状態と搬送先(一時保管庫4、リジェクトスタッカ11)との関係が記憶された搬送先テーブルB(図示せず)に基づき、判別部3により真であると判別された紙幣は、一時保管庫4に搬送され、真でない又は疑わしい紙幣も、一時保管庫4に搬送され、それ以外の金種がわからない紙幣、寸法が異常な紙幣と判別された紙幣は、入出金部1のリジェクトスタッカ11に搬送され、利用者に返却する。
【0043】
例えば、図11では、入金計数処理における通常の判別処理において、入金1枚目の紙幣は、リジェクトすべき紙幣と判別されたためリジェクトスタッカ11に、入金2枚目の紙幣は、真である紙幣と判別されたため一時保管庫4に、入金3枚目の紙幣は、疑わしい紙幣と判別されたため一時保管庫4に搬送される。判別部記憶装置A107には、1〜3枚目までの紙幣の判別結果が記憶される。判別処理を含む入金計数処理後には、判別部記憶装置B108には、記番号などの詳細画像情報は記憶されていない。
【0044】
現金自動取引装置103は、利用者による入金確定操作を操作部112より受付ける。本体制御部114は、操作部112により検知された入金確定指令に基づき、一時保管庫4の紙幣を収納庫8、9、リジェクト庫5に収納するように紙幣取扱装置104に指示を出す。
【0045】
紙幣取扱装置104は、本体制御部114からの指令に基づき入金収納処理を行う。本実施例では、この入金収納処理において、記番号読取り処理を実施する。
【0046】
紙幣取扱装置104は、紙幣搬送速度を低速にし、判別部3は、スイッチ27をアンプ25からの信号読み取りへ切り替える。紙幣取扱装置104は、一時保管庫4から、搬送路2へ紙幣を繰り出す。搬送路2上に繰り出された紙幣は、判別部3を通過するときに記番号が読み取られ、読み取られた記番号は、判別記憶装置Bに記憶される。本実施例では、判別部記憶装置A107の判別結果に基づき、疑わしい紙幣と判別された3枚目の紙幣のみについて記番号の読取りを行っている。
【0047】
判別部3により、記番号を読取られた紙幣は判別部記憶装置A107に記憶された入金計数処理における判別結果に従い、紙幣の金種、真偽、状態と収納先(収納庫8、9、リジェクト庫5)との関係が記憶された収納先テーブル(図示せず)に基づき、収納先に収納される。
【0048】
利用者が入金取引を取消した場合には、紙幣取扱装置104は、紙幣搬送速度を低速にし、一時保管庫4から搬送路2上へ紙幣を繰り出し、判別部3は、スイッチ27をアンプ25からの信号読み取りへ切り替える。繰り出された紙幣は、判別部3を通過したときに記番号などの詳細画像情報を読み取られ、判別記憶装置Bに記憶されるとともに、入金計数処理の際の判別結果に従い、図示しない収納先テーブルに基づいて、ホッパ10、あるいはリジェクト庫5に搬送される。
【0049】
なお、入金収納処理、入金取消処理において、一時保管庫4から搬送される紙幣と入金計数処理の判別結果とを関連付ける方法としては、入金計数処理にて一時保管庫4に搬送された紙幣の順番に判別結果を記憶し、その逆の順番で紙幣が一時保管庫4から搬出されるものとして、入金収納処理、入金取消処理にて搬送される紙幣に判別結果を関連付ける方法がある。また、入金計数処理にて、紙幣の記番号以外の高速に取得できる固有情報を取得しておき、入金収納処理、入金取消処理において、高速に取得できる固有情報を再度取得し、高速に取得できる固有情報に基づき、入金計数処理の判別結果を入金収納処理、入金取消処理にて搬送される紙幣に関連付ける方法もある。
【0050】
本実施例のように入金取引を確定後である入金収納処理において、記番号の読取を行うことにより、利用者の取引時間を延長させることなく、記番号の読み取りを行うことが可能となる。
【実施例3】
【0051】
図12は、操作部112に表示される係員パネル41において、記番号などの詳細画像情報の読み取りによる記番号読取り処理の際に、取得する画像の詳細化を設定するための画面である。
【0052】
係員パネル41は、詳細画像設定ボタンA42、詳細画像解除ボタンB43で構成される。詳細画像を取得するためには、搬送速度を遅くする必要があるため、取引時間が遅くなるため、詳細画像の取得が不要と判断した店舗では、詳細画像解除ボタンB43を押下し、その機能を使わないような設定することが可能となる。また、実施例1や実施例2のように搬送速度及び読み取り画像の1画素当たりの大きさを切り替えて詳細画像取得を実施する場合には、詳細画像設定ボタンA42押下する。
【0053】
係員パネルに本画面を用意することにより、各店舗で実施例1、実施例2の機能の設定が可否の選択が可能となる。
【0054】
また、上記実施例1と実施例2とを時間帯に応じて、切り替わる仕組みとしてもよい。つまり、図示しない制御部により、混雑する時間帯には、利用者が次々とくるため、実施例1を使用するように制御し、記番号を読み取る枚数の絶対数を減少させることにより、現金自動取引装置103の処理効率を上げることが可能となる。一方、混雑しない時間帯には、実施例2を使用するように制御し、取引確定後に記番号の読み取りを行うことにより、取引している顧客の取引時間を短くすることが可能となる。
【0055】
また、上述した係員パネルには、詳細画像設定ボタンA42、詳細画像解除ボタンB43の他に、実施例1又は実施例2の実施を選択する画面や、それぞれの実施時間帯の設定を行う画面を備えるものとしても良い。
【0056】
上述のように、紙幣の真偽判別により偽券と判別された紙葉類について、搬送速度を低速にし解像度を上げて紙葉類の記番号の読取りを実施するものとして説明したが、本発明は、少なくとも真でないと判別した紙葉類の固有情報であって、紙葉類の真偽で行う判別処理では読取れない固有情報を読み取る場合に、紙葉類の固有情報を読取るために条件を変えて読取りを行うものであれば上記の実施形態、実施例に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】現金自動取引装置の概略図
【図2】紙幣取扱装置の制御ブロック図
【図3】紙幣取引装置の概略図
【図4】判別部の制御ブロック図
【図5】イメージセンサと紙幣搬送の位置関係
【図6】読取り画素(大)
【図7】読取り画素(小)
【図8】紙幣入金時の紙幣投入を示す図
【図9】紙幣入金時の紙幣取込後を示す図
【図10】再読取を行った後を示す図
【図11】入金取引の入金収納で詳細画像を読取る方式を示す図
【図12】係員画面の例を示す図
【符号の説明】
【0058】
1 入出金部
2 搬送路
3 判別部
4 一時保管庫
5 リジェクト庫
6 通過センサ
7 ゲート
8 収納庫
9 収納庫
10 ホッパ
11 リジェクトスタッカ
21 画像読取り部
22 イメージセンサ
23 イメージバッファ
24 イメージバッファ
25 アンプ
26 アンプ
27 スイッチ
28 A/Dコンバータ
31 画像処理基板
32 画像処理部
51 紙幣の一部
52 読取画素(大)
53 読取画素(小)
101 ホストコンピュータ
102 サーバー
103 現金自動取引装置
104 紙幣取扱装置
105 判別結果記憶装置
107 判別部記憶装置A
108 判別部記憶装置B
109 通帳取扱装置
110 明細票発行装置
111 カード取扱装置
112 操作部
113 本体制御部記憶装置
114 本体制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を入出金する入出金部と、
紙葉類を搬送する搬送路と、
前記搬送路により搬送される紙葉類の真偽の判別処理を実施する判別部と、
前記各部の制御を行う制御部とを備え、
前記判別部は、少なくとも真でないと判別した紙葉類の固有情報であって、前記判別処理では読取れない固有情報を読み取ることを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紙葉類取扱装置であって、
前記判別部は、1画素あたりの読み取り領域の大きさを変更することが可能な読取り画像情報読取部を備え、
前記画像情報読取部は、紙葉類の前記固有情報を読み取る場合に、
1画素あたりの読み取り領域の大きさを、前記判別処理を実施する場合の1画素あたりの読み取り領域の大きさよりも小さくするとともに、
読み取り画素数を、前記判別処理を実施する場合の読み取り画素数よりも増加させ、
前記搬送路は、紙葉類の前記固有情報を読み取る場合に、前記判別処理を実施する場合よりも搬送速度を低速とする、
ことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の紙葉類取扱装置であって、
前記判別部は、紙葉類の計数を行う入金計数時に、紙葉類の判別処理及び前記固有情報の読み取りを行うことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項4】
請求項3に記載の紙葉類取扱装置であって、
前記搬送路は、前記判別部により真券でないと判別された紙葉類を入出金部へ搬送し、前記入出金部に搬送された紙葉類を再度前記判別部に搬送し、
前記判別部は、該搬送された紙葉類の前記固有情報を読み取ることを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の紙葉類取扱装置であって、
前記判別部は、入金計数時に紙葉類の判別を行い、紙葉類の収納を行う入金収納時に紙葉類の前記固有情報の読み取りを行うことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の紙葉類取扱装置であって、
前記制御部は、前記制御部による紙葉類の前記固有情報の読み取りを、時間帯に応じて入金計数時又は入金収納時のいずれで実施するかを制御することを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6に記載の紙葉類取扱装置であって、
前記固有情報は紙葉類の記番号であることを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7に記載の紙葉類取扱装置を備えた現金自動取引装置であって、
係員からの操作を受付ける操作部を備え、
前記操作部より、前記判別部による前記固有情報の読み取りの実施可否を設定することが可能であることを特徴とする現金自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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