説明

紙幣整理装置

【課題】紙幣の詰まりや誤計数等の装置の異常を発生させることなく、損券と鑑別されるような搬送に適さない紙幣を紙帯で結束できるようにする。
【解決手段】引き出された集積機構7の一時集積部7aに紙幣の投入を受け付けた後、動作開始指示入力手段11が動作を開始させる指示の入力を受付けると、移送機構8が一時集積部7aの紙幣を紙幣結束機構9へ移送し、紙幣結束機構9が紙幣の枚数を印字した紙帯で移送された紙幣を結束するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行等の金融機関に設置され、複数の紙幣を紙帯で結束する紙幣整理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙幣整理装置は、投入口に投入された紙幣を1枚ずつ分離し、紙幣搬送路で鑑別部へ搬送し、その鑑別部で真偽、金種、正損等の鑑別を行うとともに計数し、真券と鑑別された紙幣を搬送して金種や正損別に一時集積部にそれぞれ集積し、100枚集積された紙幣を移送機構により抜き取って紙幣結束機構へ移送し、その紙幣結束機構により紙幣を紙帯で結束して放出口から放出するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−197509号公報(段落「0007」〜段落「0029」、図1、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、近年、紙幣を搬送する速度は益々高速化されているため、搬送される紙幣にかかる摩擦力は益々大きくなっており、損券と鑑別されるような紙幣の中でも特にコシの弱いものや千切れかかったものは装置の投入口で1枚ごとに分離されるときにかかる摩擦力や長い紙幣搬送路の間に複数存在する搬送ベルトの受け渡し部分で掛かる紙幣を引っ張る力により紙幣が千切れ、紙幣の詰まりや誤計数等の装置の異常を発生させてしまうという問題がある。
【0004】
このように搬送に適さない紙幣であることが投入口に投入する前に分かっていてもその紙幣を結束するために装置を使用せざるを得ず、投入口へ投入して紙幣の詰まりや誤計数等の装置の異常を発生させてしまうという問題があり、また装置を使用しない場合であってもそのような搬送に適さない紙幣を輪ゴムやクリップ等でまとめておく作業が必要になり、操作者に作業負担がかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明は、集積機構の一時集積部に集積された紙幣を移送機構で紙幣結束機構へ移送し、紙幣結束機構がその紙幣を紙帯で結束する紙幣整理装置において、引き出された集積機構の一時集積部に紙幣の投入を受付ける紙幣投入受付手段と、前記紙幣投入受付手段が投入を受付けた紙幣の枚数の入力を受付け、記憶部に記憶させる入力手段と、前記入力手段が記憶部に記憶させた紙幣の枚数を紙帯に印字する紙帯印字手段と、前記紙幣投入受付手段で受付けた紙幣を結束する動作を開始させる指示の入力を受付ける動作開始指示入力手段とを設け、前記動作開始指示入力手段が動作を開始させる指示の入力を受付けると、移送機構が前記紙幣投入受付手段で投入を受付けた一時集積部の紙幣を紙幣結束機構へ移送し、該紙幣結束機構が紙幣の枚数を印字した紙帯で移送された紙幣を結束するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにした本発明は、紙幣の詰まりや誤計数等の装置の異常を発生させることがなくなるという効果が得られる。また、紙幣を輪ゴムやクリップ等でまとめておく作業が不要になり、操作者にかかる作業負担を軽減することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による紙幣整理装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は第1の実施例における紙幣整理装置の概略側面図、図2は第1の実施例における紙幣結束機構の外観を示す斜視図である。
図において、1は紙幣の投入部で、装置正面の上部に設けられている。2は紙幣の真偽、金種、正損、表裏等の鑑別、及び計数を行うと共に、搬送異常の検出を行う鑑別部で、装置内に設けられている。3は紙幣の搬送路で、この搬送路3については後で説明する。4は紙幣の表裏反転を行う表裏反転部で、装置内の鑑別部2の後段に位置するように設けられている。
【0010】
5は結束対象外の金種の紙幣を集積するオープンポケットで、装置の上面に設けられており、このオープンポケット5に集積された紙幣はオペレータが直接アクセスできるものとなっている。このオープンポケット5は2金種の結束対象外の紙幣をそれぞれオープンポケット5a、5bに集積することができるようになっている。
6は鑑別部2で金種不明と鑑別されたりあるいは搬送異常が検知されたりしたリジェクト紙幣を集積するリジェクトポケットで、前記投入部1の上方に設けられており、このリジェクトポケット6に集積された紙幣にオペレータが直接アクセスできるものとなっている。
【0011】
7は集積機構で、本実施例においてこの集積機構7には縦1列に5つの一時集積部7a〜7eが並べて装置内に設けられており、各一時集積部7a〜7eにそれぞれ予め定められた枚数、例えば本実施例では100枚の紙幣が集積できるようになっている。なお、一時集積部は5つに限らず3つ以上であればよい。
8は移送機構であり、一時集積部7a〜7eに集積された紙幣、例えば100枚の紙幣を紙幣クランプ部で挟持し、その紙幣クランプ部を前後動および上下動させて後述する紙幣結束機構へ移送させるものである。
【0012】
9は紙幣結束機構であり、移送機構8により移送された紙幣を受け入れ、その紙幣を紙帯で結束するためのものである。詳細は後述する。
10は紙幣束の放出口であり、紙幣結束機構9で結束した紙幣束を放出するためのものである。
また、装置上面においてオープンポケット5の後方に位置するように操作表示部11が設けられ、その操作表示部11はLCDとその表面に配置した入力手段としてのタッチパネルによって構成されており、オペレータは操作表示部11を操作してモードの指定、一時集積部7a〜7eに集積する紙幣に金種や集積順序の設定、および後述するように一時集積部7a〜7eに投入された紙幣の金種毎の枚数ならびに合計枚数等の入力を行うものとなっており、入力された情報はメモリや磁気ディスク等の記憶部に記憶させるようになっている。
【0013】
さらに、この操作表示部11には鑑別部2で鑑別された紙幣の金種や正損及び計数結果等の表示も行われる。
12は装置正面に設けられた扉であり、この扉12を開け、集積機構7を引き出すことでオペレータは一時集積部7a〜7eにアクセスできるようになっている。
ここで、搬送路3について説明する。紙幣整理装置内の上部において搬送路3は第1の搬送路〜第5の搬送路から成り、第1の搬送路は投入部1から鑑別部2を経て第1の分岐点にいたるように設けられ、第2の搬送路はその分岐点からリジェクトポケット6にいたるように設けられている。
【0014】
また、第3の搬送路は第1の分岐点から表裏反転部4を経て第2の分岐点にいたるように設けられており、そして第4の搬送路は第2の分岐点から装置の下部に伸びて集積機構7の一時集積部7a〜7eに沿うように設けられ、更に第5の搬送路は第2の分岐点からオープンポケット5にいたるように設けられている。
なお、上述した分岐点のそれぞれの近傍には紙幣の搬送方向を切替える図示しない切替えブレードが設けられ、図示しない制御部により動作制御されるものとなっている。
【0015】
さらに、集積機構7について説明する。搬送路3により搬送されてきた紙幣は、集積機構7の振り分けゲートにより集積板に向かって取り込まれ、これにより集積機構7に侵入した紙幣は叩き車により後部が叩かれて集積板の上に集積され、以降侵入してくる紙幣に関しては、同様の動作で集積板上に集積した紙幣の上に集積される。
また、扉12を開け、集積機構7を引き出すことでオペレータは一時集積部7a〜7eに集積された紙幣を取り出すこと、および紙幣を一時集積部7a〜7eに投入することもできるようになっている(紙幣投入受付手段)。なお、紙幣が投入された場合、光学式センサ等の投入検知手段で紙幣が投入されたことを検知できるようになっている。
【0016】
またさらに、移送機構8について説明する。この移送機構8は、紙幣クランプ部、クランプ部移動手段、上下動手段を備えている。
紙幣クランプ部は上下方向に開閉するふたつのクランプ爪を有し、この紙幣クランプ部はクランプ部移動手段上に搭載されていて、一時集積部7a〜7eからふたつのクランプ爪で紙幣をクランプして引き抜くときは、クランプ部移動手段がクランプ部を一時集積部7a〜7eに対して押し出し、紙幣をクランプできる位置まで移動させるようになっている。
【0017】
クランプ部とクランプ部移動手段は上下動手段により一時集積部7aから7eの間を一体に上昇及び下降し、紙幣の集積が完了した一時集積部7a〜7eのいずれか1つの前で停止するように制御されるものとなっている。そのため、上下動手段のフレームには、一時集積部7a〜7eのそれぞれの位置に対応してポジションセンサが配設されている。
この移送機構8の一連の動作を説明すると、例えば一時集積部7aに集積された紙幣を引き抜く場合、まず上下動手段により紙幣クランプ部をクランプ部移動機構と共にポジションセンサの位置まで上昇させ、ポジションセンサがクランプ部移動機構を検知した位置で上昇を停止させる。
【0018】
これによってクランプ部移動手段を一時集積部7aと対応する位置に固定し、この状態でクランプ移動機構により紙幣クランプ部のふたつのクランプ爪を上下方向に開いて紙幣をクランプする準備を行い、更にクランプ移動機構により紙幣クランプ部を一時集積部7aの方向に押し出す。
押し出された紙幣クランプ機構のふたつのクランプ爪は、一時集積部7aの短手整位機構側に設けられている開口部に挿入され、集積板と押さえ板により挟持されている紙幣を上下から挟みつけて把持する。次に、集積板と押さえ板を開くことで、両者による紙幣の挟持を解除すると、これにより紙幣が紙幣クランプ部に渡されたことになるので、ふたつのクランプ爪で紙幣を把持した紙幣クランプ部をクランプ部移動手段により引き戻す。
【0019】
そして、紙幣クランプ部が元の位置まで引き戻されると、紙幣を把持した紙幣クランプ部と共にクランプ移動手段が上下動手段により移動経路の最下端に位置する紙幣結束機構9まで移動し、紙幣クランプ部のふたつのクランプ爪に把持された紙幣が紙幣結束機構9に引き渡される。
図3は紙幣結束機構9の概略側面図である。この紙幣結束機構9は、ローラ及びベルト等から成る搬送手段90と、紙テープ等による結束用のテープ91と、印字手段92と、テープ91を供給する供給手段93と、テープ91を所定の長さに切断するカッター94と、図示しない結束手段を備えており、以下のように紙幣を結束する。
【0020】
まず、搬送手段90が移送機構8の紙幣クランプ部から例えば100枚の紙幣を一括して受け取り、結束位置に搬送する。テープ供給手段93はテープ91を前記結束手段に供給し、その際、印字手段92はテープ91にインクリボンを介して結束する紙幣の金種毎の枚数や合計枚数等を印字する。印字されたテープ91は所定の長さにカッター94で切断され、この切断されたテープを結束手段が結束位置に搬送された紙幣に巻き掛けて結束することにより紙幣束を作る。こうして作られた紙幣束は更に搬送手段90により搬送され、放出口10に送られる。
【0021】
このように紙幣整理装置は、投入部1、鑑別部2、搬送路3、表裏反転部4、オープンポケット5、リジェクトポケット6、集積機構7、一時集積部7a〜7e、移送機構8、紙幣結束機構9、放出口10、操作表示部11、扉12等で構成され、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない中央処理装置等の制御部が紙幣整理装置全体を制御する。
【0022】
上述した構成の作用について説明する。
紙幣整理装置の電源が投入されると操作表示部11に初期画面が表示されるので、この初期画面の「バラ紙幣施封」ボタンを指で押下して選択する。これにより図4に示すバラ紙幣施封モード画面を操作表示部11に表示する。このバラ紙幣施封モード画面は、例えば「バラ紙幣施封モード 施封するバラ紙幣内容を印字する場合は、枚数を入力してください。」等の文言、入力された枚数を表示するための領域、金種毎の紙幣の枚数および合計枚数を入力するための「枚数入力」ボタン、枚数を入力せずにバラ紙幣の施封動作を開始させる「開始」ボタン、およびバラ紙幣施封モードを終了させるための「キャンセル」ボタン等で構成されている。
【0023】
「枚数入力」ボタンが押下されると図5に示す枚数入力画面を操作表示部11に表示する。この枚数入力画面は、例えば「バラ紙幣施封モード 施封するバラ紙幣内容を印字する場合は、枚数を入力してください。」等の文言、入力された枚数を表示するための領域、枚数を入力するためのテンキー、次の処理に移行させる「開始」ボタン、およびバラ紙幣施封モードを終了させるための「キャンセル」ボタン等で構成されている。操作者はテンキーで施封する紙幣の金種毎の枚数および合計枚数を入力し、「開始」ボタンを押下するものとする。
【0024】
「開始」ボタンが押下されると図6に示す継続処理画面を操作表示部11に表示する。この継続処理画面は、例えば「バラ紙幣施封モード バラ紙幣をセットして下さい。セット完了後、継続ボタンを押して下さい。」等の文言、入力された枚数を表示するための領域、バラ紙幣の施封動作を開始させるための「開始」ボタン、およびバラ紙幣施封モードを終了させるための「キャンセル」ボタン等で構成されている。
【0025】
操作者は紙幣整理装置の扉12を開放して集積機構7を引き出し、例えば一時集積部7aに結束する紙幣(バラ紙幣)を投入する。なお、本実施例では一時集積部7aに結束する紙幣を投入するようにしたが、一時集積部7aに限られることなく一時集積部7b〜7eのいずれであってもよい。また、扉12のロックは初期画面の「バラ紙幣施封」ボタンが押下され、施封モードに移行したときに解除されるものとする。
【0026】
紙幣を一時集積部7aに投入し、扉12を閉めると操作者は「開始」ボタン(動作開始指示入力手段)を押下して投入された紙幣を結束する施封動作を開始させるものとする。
「開始」ボタンが押下されると上述した移送機構8は一時集積部7aに投入された紙幣を紙幣結束機構9へ移送する。紙幣結束機構9は操作表示部11で入力された紙幣の金種毎の枚数、合計枚数等を図7に示すようにテープ91に印字し(紙帯印字手段)、移送された紙幣Pをそのテープ91で結束して放出口10へ送り出す。なお、図7は結束した紙幣の平面図を示している。
【0027】
ここで、結束後の紙幣束を積み重ねた状態でバラ紙幣束の識別がし易いように、バラ紙幣と通常紙幣の紙幣束で結束するテープの位置を変え、またバラ紙幣と通常紙幣の紙幣束で結束するテープの色を変え、また積み重ねた紙幣束の側面から判別できるテープの位置に識別マークを印字するようにしてもよい。
なお、一時集積部7aに投入された紙幣の長手方向の端部を一時集積部7aに設けた長手整位機構で叩いて紙幣を揃えるようになっている。
【0028】
このようにして損券と鑑別されるような紙幣を一時集積部に投入し、その紙幣を移送機構で紙幣結束機構へ移送して結束するようにしたことにより、紙幣を1枚ずつ分離して搬送する必要がなくなり、紙幣の詰まりや誤計数等の装置の異常を発生させることがなくなる。
また、紙幣を輪ゴムやクリップ等でまとめる操作者の作業を不要にすることができる。
【0029】
以上説明したように、第1の実施例では、損券と鑑別されるような紙幣を一時集積部に投入し、その紙幣を移送機構で紙幣結束機構へ移送して結束するようにしたことにより、紙幣の詰まりや誤計数等の装置の異常を発生させることがなくなるという効果が得られる。
また、紙幣を輪ゴムやクリップ等でまとめておく作業が不要になり、操作者にかかる作業負担を軽減することができるという効果が得られる。
【0030】
さらに、紙幣整理装置の周辺で輪ゴムやクリップ等を使用しないようにすることにより、投入部に異物が混入することを低減させることができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0031】
図8は第2の実施例における紙幣整理装置の構成を示す概略側面図、図9は第2の実施例における紙幣投入返却トレイの構成を示す説明図である。
第2の実施例の紙幣整理装置の構成は、第1の実施例の紙幣整理装置の構成にバラ紙幣の投入を受付けるとともに一時集積部に集積され、結束可能枚数に達しなかった紙幣を返却するための紙幣投入返却部が設けられたものとなっている。
【0032】
なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図8において、13は紙幣投入返却部であり、装置前面の上部に設けられ、バラ紙幣の投入を受付けるとともに一時集積部に集積され、結束可能枚数に達しなかった紙幣を返却するための紙幣皿である。この紙幣投入返却部13は、図9に示すように紙幣を載置するための紙幣投入返却トレイ131、紙幣投入返却トレイ131の側面に取り付けられたスライドレール133、紙幣投入返却トレイ131を装置側に付勢する弾性部材等のスプリング134、投入される紙幣の長手方向を揃えるための整位レバー135等で構成され、図示しない駆動手段で紙幣整理装置の前後方向に移動可能になっている。
【0033】
なお、紙幣投入返却部13に紙幣が投入された場合、光学式センサ等の投入検知手段で紙幣が投入されたことを検知できるようになっている。
また移送機構8は、紙幣クランプ部、クランプ部移動手段、上下動手段を備えているのは第1の実施例と同様である。
紙幣クランプ部は、紙幣投入返却部13からふたつのクランプ爪で紙幣をクランプして引き抜くときは、クランプ部移動手段がクランプ部を紙幣投入返却部13に対して押し出し、切欠き部132を通過して紙幣をクランプできる位置まで移動させるようになっている。
【0034】
クランプ部とクランプ部移動手段は上下動手段により、紙幣投入返却部13と紙幣結束機構9の間を上下動可能になっており、紙幣投入返却部13の前で停止するように制御されるものとなっている。そのため、上下動手段のフレームには、紙幣投入返却部13の位置に対応してポジションセンサが配設されている。
この移送機構8の一連の動作を説明すると、紙幣投入返却部13に集積された紙幣を引き抜く場合、まず上下動手段により紙幣クランプ部をクランプ部移動機構と共にポジションセンサの位置まで上昇させ、ポジションセンサがクランプ部移動機構を検知した位置で上昇を停止させる。
【0035】
これによってクランプ部移動手段を紙幣投入返却部13対応する位置に固定し、この状態でクランプ移動機構により紙幣クランプ部のふたつのクランプ爪を上下方向に開いて紙幣をクランプする準備を行い、更にクランプ移動機構により紙幣クランプ部を紙幣投入返却部13の方向に押し出す。
押し出された紙幣クランプ機構のふたつのクランプ爪は、紙幣投入返却部13の短手整位機構側に設けられている開口部に挿入され、集積板と押さえ板により挟持されている紙幣を上下から挟みつけて把持する。次に、集積板と押さえ板を開くことで、両者による紙幣の挟持を解除すると、これにより紙幣が紙幣クランプ部に渡されたことになるので、ふたつのクランプ爪で紙幣を把持した紙幣クランプ部をクランプ部移動手段により引き戻す。
【0036】
そして、紙幣クランプ部が元の位置まで引き戻されると、紙幣を把持した紙幣クランプ部と共にクランプ移動手段が上下動手段により移動経路の最下端に位置する紙幣結束機構9まで移動し、紙幣クランプ部のふたつのクランプ爪に把持された紙幣が紙幣結束機構9に引き渡される。
このように紙幣整理装置は、投入部1、鑑別部2、搬送路3、表裏反転部4、オープンポケット5、リジェクトポケット6、集積機構7、一時集積部7a〜7e、移送機構8、紙幣結束機構9、放出口10、操作表示部11、扉12、紙幣投入返却部13等で構成され、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない中央処理装置等の制御部が紙幣整理装置全体を制御する。
【0037】
なお、一時集積部7a〜7eに集積された紙幣を紙幣結束機構9に引き渡す動作は第1の実施例と同様なのでその説明を省略する。
また、一時集積部7a〜7eに集積された紙幣を紙幣投入返却部13に引き渡す動作は本発明に直接関係しないのでその説明を省略する。
上述した構成の作用について説明する。
【0038】
紙幣整理装置の電源が投入されると操作表示部11に初期画面が表示されるので、この初期画面の「バラ紙幣施封」ボタンを指で押下して選択する。これにより図4に示すバラ紙幣施封モード画面を操作表示部11に表示する。このバラ紙幣施封モード画面は、例えば「バラ紙幣施封モード 施封するバラ紙幣内容を印字する場合は、枚数を入力してください。」等の文言、入力された枚数を表示するための領域、金種毎の紙幣の枚数および合計枚数を入力するための「枚数入力」ボタン、枚数を入力せずにバラ紙幣の施封動作を開始させる「開始」ボタン、およびバラ紙幣施封モードを終了させるための「キャンセル」ボタン等で構成されている。
【0039】
「枚数入力」ボタンが押下されると図5に示す枚数入力画面を操作表示部11に表示する。この枚数入力画面は、例えば「バラ紙幣施封モード 施封するバラ紙幣内容を印字する場合は、枚数を入力してください。」等の文言、入力された枚数を表示するための領域、枚数を入力するためのテンキー、次の処理に移行させる「開始」ボタン、およびバラ紙幣施封モードを終了させるための「キャンセル」ボタン等で構成されている。操作者はテンキーで施封する紙幣の金種毎の枚数および合計枚数を入力し、「開始」ボタンを押下するものとする。
【0040】
「開始」ボタンが押下されると図6に示す継続処理画面を操作表示部11に表示する。この継続処理画面は、例えば「バラ紙幣施封モード バラ紙幣をセットして下さい。セット完了後、継続ボタンを押して下さい。」等の文言、入力された枚数を表示するための領域、バラ紙幣の施封動作を開始させるための「開始」ボタン、およびバラ紙幣施封モードを終了させるための「キャンセル」ボタン等で構成されている。
【0041】
操作者は「開始」ボタン(動作開始指示入力手段)を押下して投入された紙幣を結束する施封動作を開始させるものとする。
「開始」ボタンが押下されると紙幣投入返却部13を装置の前面側に移動させ、バラ紙幣の投入を待つ。
操作者は紙幣投入返却部13の投入返却トレイ131の長手方向にスライド可能な整位レバー135を投入するバラ紙幣の外形に合わせてスライドさせた後、バラ紙幣を投入する。
【0042】
操作者によりバラ紙幣が紙幣投入返却部13に投入されると上述した移送機構8は紙幣投入返却部13に投入された紙幣を紙幣結束機構9へ移送する。紙幣結束機構9は操作表示部11で入力された紙幣の金種毎の枚数、合計枚数等を図7に示すようにテープ91に印字し(紙帯印字手段)、移送された紙幣Pをそのテープ91で結束して放出口10へ送り出す。
【0043】
ここで、結束後の紙幣束を積み重ねた状態でバラ紙幣束の識別がし易いように、バラ紙幣と通常紙幣の紙幣束で結束するテープの位置を変え、またバラ紙幣と通常紙幣の紙幣束で結束するテープの色を変え、また積み重ねた紙幣束の側面から判別できるテープの位置に識別マークを印字するようにしてもよい。
このようにして損券と鑑別されるような紙幣を紙幣投入返却部に投入し、その紙幣を移送機構で紙幣結束機構へ移送して結束するようにしたことにより、紙幣を1枚ずつ分離して搬送する必要がなくなり、紙幣の詰まりや誤計数等の装置の異常を発生させることがなくなる。
【0044】
また、紙幣を輪ゴムやクリップ等でまとめる操作者の作業を不要にすることができる。
さらに、損券と鑑別されるような紙幣を紙幣投入返却部に投入するようにしたことにより、操作者は容易な操作で紙幣を結束させることができる。
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、損券と鑑別されるような紙幣を紙幣投入返却部に投入するようにしたことにより、操作者は容易な操作で紙幣を結束させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1の実施例における紙幣整理装置の構成を示す概略側面図
【図2】第1の実施例における紙幣結束機構の外観を示す斜視図
【図3】第1の実施例における紙幣結束機構の構成を示す概略側面図
【図4】第1の実施例におけるバラ紙幣施封モード画面の説明図
【図5】第1の実施例における枚数入力画面の説明図
【図6】第1の実施例における継続処理画面の説明図
【図7】第1の実施例における紙帯印字内容の説明図
【図8】第2の実施例における紙幣整理装置の構成を示す概略側面図
【図9】第2の実施例における紙幣投入返却トレイの構成を示す説明図
【符号の説明】
【0046】
1 投入部
2 鑑別部
3 搬送路
4 表裏反転部
5 オープンポケット
6 リジェクトポケット
7 集積機構
7a〜7e 一時集積部
8 移送機構
9 紙幣結束機構
10 放出口
11 操作表示部
12 扉
90 搬送手段
91 テープ
92 印字手段
93 テープ供給手段
94 カッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積機構の一時集積部に集積された紙幣を移送機構で紙幣結束機構へ移送し、紙幣結束機構がその紙幣を紙帯で結束する紙幣整理装置において、
引き出された集積機構の一時集積部に紙幣の投入を受付ける紙幣投入受付手段と、
前記紙幣投入受付手段が投入を受付けた紙幣の枚数の入力を受付け、記憶部に記憶させる入力手段と、
前記入力手段が記憶部に記憶させた紙幣の枚数を紙帯に印字する紙帯印字手段と、
前記紙幣投入受付手段で受付けた紙幣を結束する動作を開始させる指示の入力を受付ける動作開始指示入力手段とを設け、
前記動作開始指示入力手段が動作を開始させる指示の入力を受付けると、移送機構が前記紙幣投入受付手段で投入を受付けた一時集積部の紙幣を紙幣結束機構へ移送し、該紙幣結束機構が紙幣の枚数を印字した紙帯で移送された紙幣を結束するようにしたことを特徴とする紙幣整理装置。
【請求項2】
集積機構の一時集積部に集積された所定の枚数の紙幣を移送機構で紙幣結束機構へ移送して紙幣結束機構がその紙幣を紙帯で結束し、一時集積部に集積された所定の枚数に満たない紙幣を移送機構で紙幣皿へ移送して放出する紙幣整理装置において、
紙幣皿に紙幣の投入を受付ける紙幣投入受付手段と、
前記紙幣投入受付手段が投入を受付けた紙幣皿の紙幣を紙幣結束機構へ移送する移送機構と、
前記紙幣投入受付手段が投入を受付けた紙幣の枚数の入力を受付け、記憶部に記憶させる入力手段と、
前記入力手段が記憶部に記憶させた紙幣の枚数を紙帯に印字する紙帯印字手段と、
前記紙幣投入受付手段で受付けた紙幣を結束する動作を開始させる指示の入力を受付ける動作開始指示入力手段とを設け、
前記動作開始指示入力手段が動作を開始させる指示の入力を受付けると、移送機構が前記紙幣投入受付手段で投入を受付けた紙幣皿の紙幣を紙幣結束機構へ移送し、該紙幣結束機構が紙幣の枚数を印字した紙帯で移送された紙幣を結束するようにしたことを特徴とする紙幣整理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の紙幣整理装置において、
前記紙幣の枚数を、前記紙幣投入受付手段が投入を受付けた紙幣の金種毎の枚数および合計枚数のうちいずれかひとつ以上としたことを特徴とする紙幣整理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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