説明

紙幣識別装置

【課題】トレースラインを限定しても高い精度で紙幣の真贋の判定をすることができる紙幣識別装置を提供する。
【解決手段】トレースライン上には、紙幣50の進入方向から順に、リブ20、第一光学センサ受光部32、磁気センサ33が配設されることとなる。そして、第一光学センサ受光部32と磁気センサ33とは、同一のトレースライン上に近接配置されることから、同時に同一のトレースライン上の近接位置で光学的特性、磁気特性を検出していることになる。これにより、高い精度での紙幣50の真贋判定ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙幣識別装置に関し、特に磁性体を含む紙幣を識別する処理を行うことができる紙幣識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機などに用いられている紙幣識別装置では、投入された紙幣から紙幣の光学的、磁気的な特性を検出し、そこから紙幣の特徴を抽出することにより金種判定および真贋判定を行っている。紙幣の磁気的な特性は、紙幣が磁性体を含むインキで印刷されていることにより、金種により異なった磁気パタンを有していることである。また、紙幣の光学的な特性は、紙幣の紙質、厚み、印刷パタン、インキが含有する磁性体の量の違いなどにより異なっている。
【0003】
こうした紙幣の磁気的特性、光学的特性について、紙幣全体から検出することができれば、より信頼性の高い紙幣識別をすることができる。
しかしながら、一般に、磁気的特性または光学的特性を検出するための各種センサを設けることについては、コスト、設置空間などの問題から、必要とされる紙幣識別率を担保できる範囲内に抑えられる。そのため、紙幣識別装置が備える各種センサは、紙幣の特徴部を捉えたトレースライン上に備えられる(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−86563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一つのトレースラインが磁気特性、光学特性の双方において最大の特徴部であるとは限らないうえ、紙幣の挿入方向を問わずに対応するためには、設定すべきトレースラインが多くなってしまう。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、トレースラインを限定しても高い精度で紙幣の真贋の判定をすることができる紙幣識別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では上記問題点を解決するために、紙幣に含まれた磁性体の磁気特性および紙幣の光学的特性から紙幣を識別する紙幣識別装置において、前記紙幣を搬送する紙幣搬送路と、前記紙幣搬送路を搬送される紙幣の所定ラインをトレースして前記磁気特性を検出する磁気センサと、前記磁気センサに並設して、前記磁気センサと同一のラインをトレースして前記光学的特性を検出する光学センサと、を備えたことを特徴とする紙幣識別装置が提供される。
【0007】
このような紙幣識別装置によれば、磁気センサは、紙幣搬送路を搬送される紙幣の所定ラインをトレースして磁気特性を検出する。光学センサは、磁気センサに並設されて磁気センサと同一のラインをトレースして光学的特性を検出する。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の紙幣識別装置は、トレースラインを限定しても高い精度で紙幣の真贋の判定をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は紙幣識別装置の斜視図、図2は紙幣識別装置の側面図、図3は紙幣識別装置の断面図である。
紙幣識別装置1は、フレームユニット2に識別ユニット3および収納ユニット4を設けて構成される。フレームユニット2は、自動販売機の正面の扉に内側から取り付けられるもので、紙幣を収納、排出するための紙幣投入口5を有している。
【0010】
紙幣投入口5から投入された紙幣は、2つの搬送ローラ6、9と4つのテンションローラ7、8、10、11により挟持され逆U字状の紙幣搬送路12を搬送される。
識別ユニット3は、紙幣搬送路12を挟んで対向する位置に複数のセンサ、具体的には、光学センサ31、32、35、36、37、38および磁気センサ33が設けられている。なお、光学センサは、紙幣搬送路12を挟んで対向する位置関係で配設された光学センサ発光部31、35、37と光学センサ受光部32、36、38とからなる透過型光学センサである。特に、第1光学センサ発光部31、第1光学センサ受光部32と磁気センサ33とは、紙幣について同一のトレースライン上に位置するように、かつ相互に近接して配置される。これらのセンサは、搬送されてくる紙幣の特定の識別ライン(トレースライン)上にある紙幣の特徴を検出し、検出されたデータを処理して紙幣の金種および真贋を判定している。この判定処理の途中または判定処理が終了した後で投入された紙幣を正しく識別できなかった場合、投入された紙幣を紙幣投入口5へ返却する。
【0011】
収納ユニット4は、識別ユニット3による判定の結果、投入された紙幣を正しく識別できた場合には、その紙幣を識別ユニット3の紙幣識別部の延長上にある紙幣搬送路13に取り込み、取り込んだ紙幣をプッシャ14と呼ばれる機構によって紙幣搬送路13から紙幣収納庫15に押し込むようにし、これによって紙幣収納庫15に積層状態で収納する。
【0012】
ここで、第1光学センサ発光部31、第1光学センサ受光部32と磁気センサ33は、紙幣搬送路12上の2つの搬送ローラ6、9の間のセンサ配設領域に位置し、第1光学センサ発光部31と第1光学センサ受光部32、センサ押さえ板34と磁気センサ33とは、それぞれ紙幣を挟んで対向する位置にある。2つの搬送ローラ6、9は、回転軸が固定された駆動ローラであり、搬送ローラ6、9の間に固定された第1光学センサ発光部31、第1光学センサ受光部32、磁気センサ33は、搬送ローラ6、9との相対的な位置関係が一定である。一方、テンションローラ7、8、10、11およびセンサ押さえ板34は、図示しない付勢ばねにより紙幣搬送路12側に付勢されて取り付けられる。これにより、しわ、折り目などがある紙幣でも好適にセンシング部(センサ配設領域)を搬送可能にしている。
【0013】
次に、図4、図5を用いて、搬送ローラ6、9とテンションローラ8、11、磁気センサ33の配置、および磁気センサ33と第1光学センサ受光部32の配置、センサ押さえ板34と第1光学センサ発光部31の配置について説明する。図4は、紙幣識別装置に装着された識別ユニットの開放状態を示す斜視図である。図5は、識別ユニットの開放状態を示す図である。
【0014】
識別ユニット3は、紙幣の詰まり、識別エラーなどに対処するために、紙幣搬送路12を露出させて詰まった紙幣の除去あるいは清掃などの保守ができるよう、図4に示したように、固定側サブユニット3aに対して開放側サブユニット3bを開閉できる構造になっている。
【0015】
搬送ローラ6は、紙幣搬送路12の幅方向中心から左右対称位置に一対6a、6bが設けられ、対向する一対8a、8bのテンションローラ8とで紙幣を挟持する。搬送ローラ6とテンションローラ8により挟持された紙幣は摩擦係合により搬送される。
【0016】
磁気センサ33は、紙幣搬送路12の幅方向中心から左右対称位置に一対33a、33bが設けられる。紙幣に印刷された磁気インクの紙幣搬送方向の磁気インク印刷パタンを検出して紙幣の識別を行うため、磁気センサ33a、33bは、紙幣の磁気インク印刷パタンの特徴を好適に検出できる位置に配置される。磁気センサ33a、33bと、紙幣との間隔を一定に保つため、センサ押さえ板34a、34bが磁気センサ33a、33bと対向する位置にそれぞれ配置される。
【0017】
第1光学センサは、発光素子からなる第1光学センサ発光部31と受光素子からなる第1光学センサ受光部32の対で構成される透過型光学センサであり、磁気センサ33と同一のトレースライン上に配置される。第1光学センサ発光部31は、紙幣搬送路12の幅方向中心から左右対称位置に一対31a、31bが設けられ、第1光学センサ受光部32は、紙幣搬送路12を挟んで第1光学センサ発光部31a、31bと対向する一対32a、32bが設けられる。第1光学センサは、紙幣搬送路12を搬送される紙幣の光学的特性から受光素子への入光量の変化に伴う電流量の変化として紙幣の光学的特徴を検出する。このように、光学センサと磁気センサが同一のトレースライン上をトレースすることにより、同一のトレースラインについて光学検出パタンと磁気検出パタンと得ることができる。そして、同一のトレースラインについての光学検出パタンと磁気検出パタンとを演算処理することにより、より精度の高い真贋判定が可能となる。
【0018】
搬送ローラ9は、紙幣搬送路12の幅方向中心から左右対称位置に一対9a、9bが設けられ、対向する一対11a、11bのテンションローラ11とで紙幣を挟持する。搬送ローラ9とテンションローラ11により挟持された紙幣は摩擦係合により搬送される。
【0019】
このように搬送ローラ6、磁気センサ33、第1光学センサ受光部32、搬送ローラ9は、左右に一対ずつが設けられ、各々が略一直線状に位置する。これにより、磁気センサ33および第1光学センサ受光部32上の紙幣は、紙幣の端部を除けば搬送ローラ6、9およびテンションローラ8、11とにより挟持された状態で磁気センサ33上を通過する。
【0020】
第2光学センサは、発光素子からなる第2光学センサ発光部35と受光素子からなる第2光学センサ受光部36の対で構成される透過型光学センサであり、第1光学センサとは異なるトレースライン上に配置される。第2光学センサ発光部35は、紙幣搬送路12の幅方向中心から左右対称位置に一対35a、35bが設けられ、第2光学センサ受光部36は、紙幣搬送路12を挟んで第2光学センサ発光部35a、35bと対向する一対36a、36bが設けられる。第2光学センサは、紙幣搬送路12を搬送される紙幣の光学的特性から受光素子への入光量の変化に伴う電流量の変化として紙幣の光学的特徴を検出する。
【0021】
第3光学センサは、発光素子からなる第3光学センサ発光部37と受光素子からなる第3光学センサ受光部38の対で構成される透過型光学センサであり、第1光学センサ、第2光学センサとは異なるトレースライン上に配置される。第3光学センサ発光部37は、紙幣搬送路12の幅方向中心から対称位置で搬送方向の前後に若干ずれた位置に一対37a、37bが設けられ、第3光学センサ受光部38は、紙幣搬送路12を挟んで第3光学センサ発光部37a、37bと対向する一対38a、38bが設けられる。第3光学センサは、紙幣搬送路12を搬送される紙幣の光学的特性から受光素子への入光量の変化に伴う電流量の変化として紙幣の光学的特徴を検出する。なお、第3光学センサは、第3光学センサ受光部38をスリット状にすることで解像度の高い光学的特徴検出をする。
【0022】
なお、これら各種センサで真贋判定のされた紙幣の抜き取り防止のため、各種センサによる真贋判定後、シャッタ18が紙幣搬送路12に臨みシャッタ嵌合部19と嵌合する。これらシャッタ18およびシャッタ嵌合部19は、糸状または帯状の紙幣引抜具を検出するため、紙幣搬送方向に斜めに複数設けられて紙幣幅方向での異物挿入を検出可能にしている。また、シャッタ18およびシャッタ嵌合部19の傾きを紙幣搬送路12の中心から幅方向に対称にしたことで、搬送される紙幣がシャッタ18およびシャッタ嵌合部19との接触抵抗により片側に偏ることを防止している。
【0023】
次に、紙幣搬送路12に設けられた各種センサの取り付け位置について詳細に説明する。図6は、開放側サブユニットの搬送面の正面図である。
センサ押さえ板34a、34bは、センサ押さえ板ガイド穴30a、30bから図示しない付勢ばねにより付勢されて紙幣搬送路12を臨むようにして配設され、紙幣搬送路12の搬送面に対して前後方向に摺動する。
【0024】
センサ押さえ板34a、34bは、センサ押さえ板底面から立設した2本の押さえリブを備える。2本の押さえリブは、紙幣搬送方向に平行に設けられた断面U字状のリブであり、その頂点部分で紙幣と接触する。2本の押さえリブは、磁気センサ33a、33bの紙幣接触面と平行面をなすことで、磁気センサ33a、33bと紙幣との距離が一定になるように紙幣を押さえる。
【0025】
センサ押さえ板ガイド穴30a、30bは、紙幣搬送路12の搬送面に対して前後方向へ摺動するセンサ押さえ板34a、34bをガイドする。センサ押さえ板ガイド穴30a、30bは、紙幣搬送方向の前後にセンサ押さえ板ガイド穴テーパ面を有する。センサ押さえ板ガイド穴テーパ面は、センサ押さえ板ガイド穴30a、30bで紙幣詰まりを防止するための傾斜(テーパ)面である。この傾斜面の一部は、第1光学センサ発光部31により一部を欠いている。このように、第1光学センサ発光部31a、31bは、センサ押さえ板ガイド穴テーパ面に重なる位置に設けられて、磁気センサ33a、33bと第一光学センサとの距離R2を可能な限り短縮している。
【0026】
トレースラインL1は、紙幣搬送路12上に、紙幣搬送方向に沿ってある。トレースラインL1は、紙幣進入方向から順に、リブ20h、第一光学センサ発光部31b、センサ押さえ板34bが配設される。つまり、トレースラインL1上には、紙幣進入方向から順に、リブ20h、第一光学センサ受光部32b、磁気センサ33bが配設されることとなる。そして、第一光学センサ受光部32bと磁気センサ33bとは、並設(近接配置)されることから、同時にトレースライン上の近接位置で光学的特性、磁気特性を検出していることになる。
【0027】
また、トレースラインL2は、紙幣搬送路12上に、紙幣搬送方向に沿ってある。トレースラインL2は、紙幣進入方向から順に、リブ20a、第一光学センサ発光部31a、センサ押さえ板34aが配設される。つまり、トレースラインL1上には、紙幣進入方向から順に、リブ20a、第一光学センサ受光部32a、磁気センサ33aが配設されることとなる。そして、第一光学センサ受光部32aと磁気センサ33aとは、並設(近接配置)されることから、同時に同一のトレースライン上の近接位置で光学的特性、磁気特性を検出していることになる。
【0028】
これら、トレースラインL1、L2は、紙幣搬送路12上の幅方向に対称位置に所定間隔(紙幣を識別するのに好適な光学的特性、磁気特性を検出できる間隔)R1で設定される。
【0029】
紙幣搬送路12の搬送面には、複数のリブ20(20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h)が立設している。これら複数のリブ20は、前後方向に傾斜面を有して紙幣搬送方向に平行に設けられ、紙幣と搬送面との摺動抵抗を軽減し、紙幣詰まりを防止している。また、各種センサの前後にあるリブ20(20a、20d、20e、20h)は、紙幣のしわや折れ曲がりを正して各種センサが好適にセンシングできるように補助する。
【0030】
また、シャッタ18は、第一光学センサ発光部31a、31bおよび第一光学センサ受光部32a、32bの配設位置を確保するため、外側(第一光学センサ近傍)の2つのシャッタ18c、18dは、他のシャッタ18a、18bよりも小さく設定されている。
【0031】
次に、センサ押さえ板34により押さえられる紙幣50と磁気センサ33、と第一光学センサ発光部31、第一光学センサ受光部32、リブ20との関係について説明する。図7は、紙幣と磁気センサと光学センサとの関係図である。図7(A)は、センサ押さえ板34、磁気センサ33、第一光学センサ発光部31、第一光学センサ受光部32、リブ20および紙幣50を側面から観察した図であり、図7(B)は、磁気センサ33、第一光学センサ受光部32、リブ20の関係図である。
【0032】
紙幣50は、センサ押さえ板34の押さえリブ341により磁気センサ33に押さえつけられ、磁気センサ33に接触して図の左右方向に搬送される。なお、図中左から右方向が紙幣50の収納方向であり、図中右から左が紙幣50の返却方向である。
【0033】
磁気センサ33は、着磁部331(331a、331b、331c)(着磁用磁石)と、磁気検出部332(磁気検出素子)とを有する。着磁部331(331a、331b、331c)と磁気検出部332は、2つの押さえリブ341で挟まれた領域R1内にあり、紙幣に対して間隔が一定に保たれている。
【0034】
そして、紙幣識別(紙幣収納方向に搬送)時の、磁気センサ33の前方に第一光学センサ(31、32)を備え、さらにその前方にリブ20を有する。これにより、第一光学センサ(31、32)の間隙にある紙幣50は、リブ20部での摺動部と、押さえリブ341部での摺動部との間に位置することとなり、しわや折れ曲がりが正され好適にセンシングされる。
【0035】
ここで、磁気センサ33について説明する。磁気センサ33は、図7(B)に示したように、紙幣の搬送方向に着磁部331(331a、331b、331c)および磁気検出部332が併置されている。着磁部331は、紙幣50に印刷された磁性体を着磁する。このとき、着磁部331の磁力線は紙幣を貫通するので、磁性体の着磁は、紙幣の両面に印刷されている磁性体に対して同時に行われる。このようにして着磁された磁性体は、その直後に、磁気検出部332によって検出される。磁気検出部332は、磁気ヘッドよりも検出深度が深く、高感度な磁気抵抗効果素子、磁気インピーダンス効果素子、またはフラックスゲート動作を用いた素子とすることができる。これにより、磁気センサ33は、紙幣の表裏両面の磁性体の量を検出することができる。
【0036】
次に、磁気センサ33と第一光学センサ(31、32)とを同一トレースライン上で近接配置させることの効果について詳細に説明する。図8は、磁気検出パタンと光学検出パタンのイメージ図である。図8(A)は、磁気センサ33と第一光学センサ(31、32)とを同一トレースライン上で近接配置させた場合を表し、図8(B)は、磁気センサ33と第一光学センサ(31、32)とを同一トレースライン上で近接配置しなかった場合を表す。
【0037】
光学検出パタン51aと磁気検出パタン52aとでは、トレースライン上の同一位置を監視するのに、タイムラグt1を有する。さらに、タイムラグt1は、一定に限らず、紙幣のしわや折れ曲がり、汚れによる摺動抵抗の変化などにより、誤差αを含む。同様にして、光学検出パタン51bと磁気検出パタン52bとでは、トレースライン上の同一位置を監視するのに、タイムラグt2を有する。さらに、タイムラグt2は、誤差βを含む。このとき、タイムラグt1<タイムラグt2であり、誤差α<誤差βとなる。これは、t1時間に比較してt2時間の方が、紙幣のしわや折れ曲がり、汚れによる摺動抵抗の変化などの誤差蓄積要素を多く含むためである。
【0038】
したがって、光学検出パタン51(51a、51b)と磁気検出パタン52(52a、52b)との双方により、紙幣の識別を行う場合、同一箇所(ポイント)での特徴パタンを抽出する場合に、比較が容易になる。また、識別精度が向上することから、識別途中での紙幣受入不可の判定をより速いタイミングで下すことが可能となり、オペレーション時間の短縮が図れる。
【0039】
なお、誤差が大きいと、同一箇所(ポイント)での比較がなされているのか否かの判断自体が困難になる場合があり、相互に独立した紙幣識別とならざるを得ず、紙幣検出精度の向上に限界が生じる。
【0040】
以上、本発明の紙幣識別装置1を図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、紙幣識別装置1の各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0041】
なお、センサ押さえ板34のセンサ押さえ板底面24から立設する押さえリブ21は、2本に限らず複数本であってもよい。たとえば、磁気センサ33のセンシング領域を含む幅で外側に押さえリブ21を2本配置し、その間に押さえリブ21をさらに配置するようにしてもよい。
【0042】
なお、センサ押さえ板ガイド穴30は、センサ押さえ板34をガイドしない単なる開口であってもよい。
なお、光学センサは、紙幣搬送路12を挟んで対向する位置関係で配設された光学センサ発光部と光学センサ受光部とからなる分離型透過型光学センサ以外に、コ字状の一体型光学センサを用いることもできる。また、紙幣搬送路12を臨む位置に配設して反射型光学センサを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】紙幣識別装置の斜視図である。
【図2】紙幣識別装置の側面図である。
【図3】紙幣識別装置の断面図である。
【図4】紙幣識別装置に装着された識別ユニットの開放状態を示す斜視図である。
【図5】識別ユニットの開放状態を示す図である。
【図6】開放側サブユニットの搬送面の正面図である。
【図7】紙幣と磁気センサと光学センサとの関係図である。
【図8】磁気検出パタンと光学検出パタンのイメージ図である。
【符号の説明】
【0044】
20 リブ
31 第一光学センサ発光部
32 第一光学センサ受光部
33 磁気センサ
331(331a、331b、331c) 着磁部
332 磁気検出部
34 センサ押さえ板
341 押さえリブ
50 紙幣
R1 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣に含まれた磁性体の磁気特性および紙幣の光学的特性から紙幣を識別する紙幣識別装置において、
前記紙幣を搬送する紙幣搬送路と、
前記紙幣搬送路を搬送される紙幣の所定ラインをトレースして前記磁気特性を検出する磁気センサと、
前記磁気センサに並設して、前記磁気センサと同一のラインをトレースして前記光学的特性を検出する光学センサと、
を備えたことを特徴とする紙幣識別装置。
【請求項2】
前記光学センサは、前記磁気センサが前記磁気特性を検出するより先に、前記光学的特性を検出する位置に設けられることを特徴とする請求項1記載の紙幣識別装置。
【請求項3】
前記磁気センサは、紙幣に含まれる磁性体を着磁するマグネットと、着磁された磁性体の磁気特性を検出する磁気検出部とを紙幣搬送方向に並べて有し、前記マグネットが前記光学センサ側に位置する向きで設けられることを特徴とする請求項2記載の紙幣識別装置。
【請求項4】
前記磁気検出部は、磁気抵抗効果素子、磁気インピーダンス効果素子、またはフラックスゲートセンサを用いたことを特徴とする請求項3記載の紙幣識別装置。
【請求項5】
前記磁気センサは、紙幣の両面に印刷された磁性体の磁気特性を検出することを特徴とする請求項3記載の紙幣識別装置。
【請求項6】
前記光学センサは、発光素子と受光素子とからなる透過型光学センサであり、前記発光素子と前記受光素子とは前記紙幣搬送路を挟んで対向する位置に設けられることを特徴とする請求項5記載の紙幣識別装置。
【請求項7】
前記紙幣搬送路は、紙幣に当接するリブを備え、
前記光学センサは、前記リブと前記磁気センサの間に備えられることを特徴とする請求項1記載の紙幣識別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−152611(P2010−152611A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329556(P2008−329556)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】