説明

紙幣識別装置

【課題】主に遊技機の台間機、自動販売機などに使用する紙幣識別装置に関し、薄型で奥行きも短く、紙幣識別装置の前面から金庫体を引き出して紙幣の回収が容易なものを提供することを目的とする。
【解決手段】本体11に対し前後方向にスライド可能な金庫体60が装着され、金庫体60の収納部65の外縁に第1〜第3の紙幣受け部61a〜61d、66を設けて、第1の駆動機構がプッシャ34を収納部65方向へ移動させるとほぼ同時に、第2の駆動機構が第1〜第3の紙幣受け部61a〜61d、66を外方向へ回動して退避させ、紙幣1が収納部65に移動後に、第2の駆動機構が第1〜第3の紙幣受け部61a〜61d、66を内方向へ紙幣1を押さえるように復帰させ、その後に第1の駆動機構がプッシャ34を本体11側に復帰させて紙幣1を収納部65に収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機の台間機、自動販売機など、設置スペースの狭い場所に取り付けて使用する紙幣識別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機やパチスロ機を設置した遊技店では、貨幣やプリペイドカードを受け付けてパチンコ玉などの遊技用媒体を貸し出すために、図11の外観図に示すような形態で、パチンコ台などの遊技機3に隣接して台間機4と呼ばれる機器を設置している。台間機4において遊技用媒体の貸し出し対価として使用された紙幣を、識別し、収納及び回収する機能を備えた紙幣識別装置5が広く用いられる傾向にある。
【0003】
台間機4の構成は、その用途により様々であるが、紙幣識別装置5の他にカードリーダー、表示部、キー入力装置、台間機制御部、電源ユニットなどが搭載されている。
【0004】
また、近年、台間機筐体内に玉通路を設ける遊技機制御システムが増加しているため、紙幣識別装置の後方に15mm程度の玉通路スペースを確保することが必要となっている。このため紙幣識別装置の占有する場所が制限されることとなり、台間機の基本的な形態から幅方向に40mm以下という従来の制約条件に加え、奥行きや高さ方向でも紙幣識別装置の小型化が必要となってきている。
【0005】
さらに、台間機毎に紙幣の収納、回収を行える機能を備えた紙幣識別装置では、紙幣識別装置内部に紙幣収納部が一体に設けられて配置されて大型化するため、特に紙幣識別装置全体が小型化されたものが求められている。
【0006】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1の、紙幣の収納と回収を台間機毎に行う方法として、紙幣の識別と収納機能を有する紙幣識別装置を台間機から前方に引き出して紙幣回収を行うものが知られており、また、特許文献1とは別の方法として、特許文献2の、本体は台間機に固定しておき、紙幣を紙幣識別装置内で前方の取り出しやすい場所に搬送して貯留し、前面の扉を開いて紙幣を回収するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−35401号公報
【特許文献2】特開2005−208734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1による台間機と台間機に収納される紙幣識別装置においては、紙幣識別装置全体を台間機から引き出すために、大型のスライド懸架機構と、紙幣識別装置と台間機との配線のための大型の挿抜式コネクタを設けるか、紙幣識別装置が引き出された状態でも電気的に接続しておくためのフレキシブルケーブルを設けることが必要となり、台間機の中で紙幣識別装置と外付け部品の占める場所が大型化して設置箇所に制約を生じている。
【0009】
また、図12の断面図に示すように、例えば、紙幣識別装置5を台間機4前面側に引き出した後に、紙幣識別装置5の側面外側から収納された紙幣1を回収する際に、回収作業側に回収するためのスペースが必要であるが、台間機4前面側方の遊技台3に嵩高い装飾物6のようなものが設置されていると、この装飾物6が障害になって紙幣を取り出し難いという課題があった。
【0010】
一方、上記特許文献2の紙幣識別装置では、開閉する部分を小さくして前面から紙幣の回収を行うため、紙幣識別装置本体は台間機に固定しておき、紙幣収納器の前面を開いてスライド突出させ、紙幣を回収可能とする構造が開示されている。しかし、紙幣を紙幣投入部ないし紙幣認識部から下流の紙幣収納器の紙幣収納部へ搬送するために、紙幣を転回させて収納部へ搬送する紙幣搬送機構が配置されており、この紙幣搬送機構によって、紙幣識別装置自体の奥行きや幅が大型化するという課題があった。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、台間機等の機器内に組込まれ、本体と金庫体からなる紙幣識別装置において、薄型で奥行きも短い小型化が可能で、紙幣識別装置の前面から金庫体を引き出して紙幣の回収が容易なものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0013】
本発明の請求項1に記載の発明は、前面から紙幣をその長手方向に沿って挿入する挿入口と、この挿入口に連結した識別通路と、この識別通路に連結した収納通路と、識別通路に面すると共に紙幣を識別する識別部からなる本体と、本体の収納通路に対向して、識別された紙幣を収納する収納部が設けられ、本体に対し前後方向にスライド可能に装着された金庫体からなり、収納部の外縁に内外方向へ回動可能に支持されると共に、紙幣を押圧保持する複数の紙幣受け部を設け、本体の収納通路に紙幣を収納部へ押圧して移動させるプッシャとこのプッシャを駆動する第1の駆動機構を設けると共に、紙幣受け部を外方へ退避させる第2の駆動機構を設けて、第1の駆動機構がプッシャを収納部方向へ移動させるとほぼ同時に、第2の駆動機構が紙幣受け部を外方向へ回動して退避させ、紙幣が収納部に移動後に、第2の駆動機構が紙幣受け部を内方向へ紙幣を支持するように復帰させた後に、第1の駆動機構がプッシャを本体側に復帰させて紙幣を収納部に収納するように紙幣識別装置を構成したものであり、本体に対し前後方向にスライド可能に装着された金庫体の収納部に紙幣受け部を設け、本体の収納通路に紙幣を収納部へ押圧して移動させるプッシャとこのプッシャを駆動する第1の駆動機構を設けると共に、紙幣受け部を外方へ退避させる第2の駆動機構を設けて、上記所定のタイミングで第1及び第2の駆動機構を動作させることによって、本体の収納通路から側方の金庫体の収納部に紙幣を確実に移動することができ、本体や金庫体の後方には紙幣を収納通路から収納部へ転回移動させて搬送させる搬送機構などが不要となるため、薄型で奥行きが短いものにできると共に、紙幣識別装置の前面から金庫体を引き出して紙幣の回収が容易なものにできるという作用を有する。
【0014】
また、第1の駆動機構がプッシャを収納部方向へ移動させるとほぼ同時に、第2の駆動機構が紙幣受け部を外方向へ回動して退避させ、紙幣が収納部に移動後に、第2の駆動機構が紙幣受け部を内方向へ紙幣を押さえるように復帰させた後に、第1の駆動機構がプッシャを本体側に復帰させて紙幣を収納部に収納することによって、紙幣の収納通路から収納部への移動や、紙幣の収納部内への保持が円滑で確実なものにすることができるという作用を有する。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、識別通路に紙幣に接触して収納通路へ搬送する第1の紙幣搬送手段と、収納通路に紙幣に接触して後方へ搬送する第2の紙幣搬送手段を設けると共に、識別通路の両側に紙幣の幅より僅かに大きい間隔で壁面部を設け、この第1の紙幣搬送手段と第2の紙幣搬送手段とが同じ速度で同期して紙幣を搬送し、第2の紙幣搬送手段をプッシャの押圧動作に先立って収納通路の紙幣から離れる方向へ退避させたものであり、識別された紙幣が壁面部にガイドされながら、同じ速度で同期した例えば第1の紙幣搬送手段である搬送ローラと第2の紙幣搬送手段である搬送ローラにより、識別通路から収納通路へ搬送されることによって、識別通路を短くすることができると共に、紙幣が搬送方向に対し傾いて移動しても、その傾きが矯正されて円滑に搬送することができ、また、収納通路で紙幣に接触していた第2の紙幣搬送手段をプッシャの押圧動作開始の前に紙幣から離れさせることによって、収納通路から対向する収納部への紙幣の移動が円滑にできるため、奥行きがより短く小型で、本体内での紙幣の搬送が確実で紙幣の収納部への移動が円滑なものにできるという作用を有する。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の紙幣識別装置において、金庫体の収納部の長手方向の後部側縁に第1の紙幣受け部を設け、同じく収納部の長手方向の前部側縁に第2の紙幣受け部を設けると共に、収納部の前端に第2の紙幣受け部に連動する第3の紙幣受け部を設けて、収納部に収納された紙幣の前半部と後半部を本体側へ各々加圧する複数の押圧部材と、金庫体の前方へのスライド移動に伴い、金庫体内を後方向へ移動するスライダを配設し、このスライダの移動に伴い前半部の押圧部材と第2、第3の紙幣受け部が連動動作する紙幣押出し機構を設けて、金庫体がスライド移動して本体前面から引き出されると、スライダの移動によって紙幣押出し機構が第2の紙幣受け部と、第3の紙幣受け部を外方向へ回動して退避させると共に、紙幣の前半部を加圧する押圧部材を本体側へ傾斜させて紙幣を金庫体の外方へ押し出すようにしたものであり、金庫体が紙幣識別装置の前面から引き出されると、収納部内の紙幣の長手方向の前部側縁の第2の紙幣受け部と前端の第3の紙幣受け部が外方向へ退避すると共に、紙幣の前半部の押圧部が傾斜して金庫体に収納された紙幣が収納部から外方へ押し出されるため、紙幣を金庫体の側方から容易に確実に取り出すことができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、薄型で奥行きが短く小型化が可能で、紙幣識別装置の前面から金庫体を引き出して、紙幣の回収が容易な紙幣識別装置を提供することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態による紙幣識別装置の上面視断面図
【図2】同本体の識別通路に沿った左側面視断面図
【図3】同本体の識別通路に沿った左側面斜視図
【図4】同金庫体の右側面斜視図
【図5】同紙幣搬送動作を示す要部側面図
【図6】同紙幣収納動作を示す上面視断面図
【図7】同紙幣収納動作を示す紙幣搬送方向視断面図
【図8】同金庫体引き出し時の金庫体の動作を示す要部斜視図
【図9】同金庫体引き出し時の前押圧部材の動作を示す要部断面図
【図10】同紙幣回収状態を示す斜視図
【図11】紙幣識別装置を搭載した台間機と遊技機の外観図
【図12】従来の紙幣識別装置における紙幣回収状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図10を用いて説明する。
【0020】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0021】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による紙幣識別装置の上面視断面図であり、同図において、紙幣識別装置の本体11の前面側には紙幣1が挿入される挿入口12が上下方向に設けられている。挿入口12後方には識別通路13が形成され、この識別通路13に対向する右側には紙幣の位置、金種、真贋などを識別する識別部としての光センサ14a、14b、15、16a、16bや紙幣1の磁気特性を検査するための磁気センサ17a、17bが配設されている。
【0022】
また、識別通路13に沿って紙幣1を搬送するための第1の搬送手段としてのゴム製などの搬送ローラ18a、18bが紙幣1の搬送方向に一列に近接して配設されると共に、これらに対して識別通路13を挟んで対向し、加圧された合成樹脂等の合成樹脂製の従動ローラ19a、19bが配設されている。
【0023】
さらに、挿入口12の内側近傍には、異物挿入や紙幣抜き取りなどのいたずらを阻止するために、複数の櫛歯部が右内側面から突出して識別通路13を遮断する引抜き防止ゲート20が配置されている。
【0024】
なお、搬送ローラ18a、18bは共通の駆動源となるモータやギア等の搬送駆動動力部21により互いに回転動作が同期すると共に、同速度で駆動される。また引抜き防止ゲート20は、紙幣1が挿入されていない待機状態では、複数の櫛歯部が挿入口12に沿って左右方向に突出して識別通路13を遮断しており、紙幣1の挿入時には駆動部(図示せず)により識別通路13から退避する方向に駆動される。
【0025】
さらに、識別通路13の後方には、上下方向の両側に設けられ紙幣1をガイドするガイド部24によって収納通路30が形成され、この収納通路30と平行し対向した左方には紙幣1が収納される金庫体60が配置されている。
【0026】
また、図2は本体11の識別通路13や収納通路30に沿った左側面視の断面図、図3は同じく本体11のプッシャ34やリンク35などを除いた左側面の斜視図であり、同図において、収納通路30前側の上下方向の両側には、根元を左右方向へ揺動可能に軸支された合成樹脂製の揺動アーム31a、31bが配設されている。揺動アーム31a、31bの後部には紙幣1を搬送するための第2の搬送手段として、搬送駆動動力部21により互いに回転動作が同期すると共に、同速度で駆動される搬送ローラ32a、32bが装着され、これらに対向して従動ローラ33a、33bがガイド部24に装着されている。
【0027】
また、搬送ローラ32a、32bと前方の搬送ローラ18a、18bとの間の、識別通路13の上下方向の両側には、紙幣1の幅より僅かに大きい間隔で壁面部13a、13bが対向して設けられている。
【0028】
さらに、図1に示すように、本体11は右側面を金属板製の本体カバー25に覆われると共に、上下面及び前後面を覆うように合成樹脂製の本体ケース26が本体カバー25に装着されている。
【0029】
そして、本体ケース26内面の所定箇所には略X字状に交差し略中間が軸36により軸支された合成樹脂製のリンク部材35a、35bとリンク部材35c、35dが上下方向に対となって配置されたリンク35が設けられている。また、リンク部材35a〜35dの金庫体60側左端には、収納通路30から紙幣1を金庫体60へ押し込む平板状のプッシャ34が装着されると共に、軸36の上下方向の略中間には回転自在にゴム製のローラ37が装着されている。
【0030】
また、図2に示す収納通路30の紙幣停止領域38(図2の二点鎖線で示す領域)の前後方向の略中間で上下方向の両外側には、図3に示すように、収納アーム40a、40bが支点39a、39bに上下方向へ揺動可能に軸支されている。収納アーム40a、40bの各後端部には金庫体60側である左方へ突出した押開き部40c、40dが設けられると共に、各前端部には右方の本体カバー25側へ突出した作動部40e、40fが設けられている。
【0031】
さらに、収納通路30の後方には紙幣収納機構全体の動力源となるモータやクランク等からなる収納駆動動力部41が配置され、駆動レバー43が収納駆動動力部41から下方へ突出すると共に、収納駆動動力部41によって前後方向に揺動駆動するように装着されている。
【0032】
そして、本体カバー25の内側には紙幣搬送方向と平行に摺動する金属板製の駆動板44が配置され、駆動レバー43先端が駆動板44の後端部に係合して、駆動レバー43の揺動に伴い、駆動板44が前後方向に往復移動するようになっている。
【0033】
駆動板44の略中央には両側面が略台形で合成樹脂製の直動カム47が固定され、この直動カム47内側には、前側に傾斜部45aとこれに続き駆動板44面と平行となる平行部45bが形成された合成樹脂製のスライドカム45が、直動カム47内の後側に収納されたコイル状のバネ46により前方へ付勢されて、直動カム47内に前後方向へ所定範囲、移動可能に収納されている。
【0034】
なお、スライドカム45の平行部45bの高さは直動カム47の平行部47bの高さに比べやや低く、傾斜部45aは直動カム47前端の傾斜部47aより所定の距離、前方に位置し、図1に示すように、傾斜部45aから前方に延出した底部45cに軸36のローラ37が当接している。
【0035】
そして、駆動板44の前後移動に伴って、直動カム47、スライドカム45及びローラ37を介してリンク35が左右方向に駆動するようにして第1の駆動機構が構成されている。
【0036】
また、図3に示すように、駆動板44の前端には揺動アーム31a、31b後端に設けられた作動部31c、31dに前後方向に対向し、先端に左方へ傾斜して折曲した第1の駆動部48a、48bが駆動板44に一体に形成されている。さらに、駆動板44の上下方向の両端には、収納アーム40a、40b前の作動部40e、40fに前後方向に対向し、外方に傾斜して折曲した第2の駆動部49a、49bが駆動板44に一体に形成されている。
【0037】
そして、駆動板44が前方へ移動することによって、第1の駆動部48a、48bが揺動アーム31a、31bの作動部31c、31dに各々当接して、揺動アーム31a、31bを右方の本体カバー25側へ揺動させると共に、第2の駆動部49a、49bが収納アーム40a、40bの作動部40e、40fに各々当接し、収納アーム40a、40bが揺動して押開き部40c、40dを各々上下の外方向へ揺動させるようになっている。
【0038】
このように、駆動板44の前後移動に伴って、第2の駆動部49a、49b及び収納アーム40a、40bを介して押開き部40c、40bが上下方向へ揺動するようして第2の駆動機構が構成されている。
【0039】
図4は金庫体60の右側面の斜視図であり、同図において、金庫体60には右方の本体11側が開口した合成樹脂製で略箱状の金庫筐体62の内側に、収納通路30から移動した紙幣1が収納される紙幣収納領域(図4の破線で示す領域)である収納部65が設けられている。
【0040】
この収納部65の長手方向に沿った後部の両側縁側には、前後方向の回転軸を中心に内外方向へ回動可能で、断面が略L字状で表面が前後方向に細長い略平板状の第1の紙幣受け部61a、61bが、同じく前部の両側縁側には、断面が略L字状で表面が前後方向に細長い略平板状の第2の紙幣受け部61c、61dが、金庫筐体62に各々軸支されると共に、収納された紙幣1を保持する方向である内側へ押圧するように、バネ(図示せず)により付勢されている。
【0041】
また、第1の紙幣受け部61a、61bの表面には、本体11の収納アーム40a、40bの押開き部40c、40dに当接する突起部64a、64bが突出形成されている。第1の紙幣受け部61a、61bの外方への回動に伴い、第2の紙幣受け部61c、61dが各々連動して外方へ回動するように、第2の紙幣受け部61c、61dは第1の紙幣受け部61a、61bに各々係合している。
【0042】
さらに、収納部65の前縁側には、断面が略L字状で表面が略舌片状の複数の第3の紙幣受け部66が、内外方向へ回動可能に金庫筐体62に各々軸支されると共に、内側へ押圧するように、バネ(図示せず)により付勢されている。
【0043】
なお、第3の紙幣受け部66は第2の紙幣受け部61dの外方への回動動作に連動して収納部65から外方へ回動するように、第2の紙幣受け部61dとの間に配置された連動カム72、73を介して第2の紙幣受け部61dに係合している。
【0044】
そして、収納部65の前半部には略平板状の前押圧部材68が、後半部には略平板状の後押圧部材69が左右方向へ移動可能に金庫筐体62内に各々支持されている。前押圧部材68及び後押圧部材69と金庫筐体62との間には、図1に示すように、を本体11側へ加圧する複数の円錐コイルバネ70a、70b及び71がやや撓んだ状態で各々配設されて、前押圧部材68及び後押圧部材69が、収納部65に収納された紙幣1を押圧保持する第1〜第3の紙幣受け部61a〜61d、66に対し金庫筐体62側から加圧狭持するようになっている。
【0045】
また、金庫体60の長辺側の両外側面にはガイド溝74が各々形成されて、図2や図3に示すように、本体11の内側に対向して配設された複数のガイド突起75に係合して案内され、金庫体60が本体11に対し前後方向へスライド移動可能に装着されている。
【0046】
さらに、図4に示すように、金庫体60後側の第1の紙幣受け部61bの外側には、前後方向へ延伸したガイド壁76が本体11側へ突出している。
【0047】
そして、図2に示すように、本体11の後部下方に前後方向へ回動可能に軸支され、押出しバネ82により前方へ付勢された押出しレバー81によって、金庫体60の後端が前方へ押圧されると共に、押出しレバー81前方に上下方向へ揺動可能に軸支されたロックレバー77がリターンバネ79によって上方へ付勢され、ロックレバー77先端の鉤部がガイド壁76の前端に係止して、金庫体60が本体11にロック固定されている。
【0048】
なお、ロックレバー77はソレノイド等の駆動手段78によって下方へ回転駆動され、ガイド壁76との係止が解除されるようになっている。
【0049】
また、図4に示すように、金庫体60上方の長辺側には細長い金属板製のスライダ83が前後方向に移動自在に組み込まれている。このスライダ83の前端にはカム板85が連結されると共に、コイル状のバネ86によって前方向へ引張り付勢されている。カム板85の下部が金庫筐体62に対して前後方向に回動自在に軸支されたクランクアーム84の上側の一端に係合すると共に、第2の紙幣受け部61cに係合している。
【0050】
クランクアーム84下側の他端には、第2の紙幣受け部61dと第3の紙幣受け部66に係合し、前後方向に延伸した細長いカム板87が連結されて、前後方向に移動可能に金庫筐体62に保持されている。
【0051】
なお、前押圧部材68の後側の下端に駆動突起68aが設けられると共に、駆動突起68aのやや前方の上下方向の両端部には、支持突起68bが形成される共に、下方の支持突起68bには合成樹脂製で略小判状の駆動支持部88が固着され、上方の支持突起68bと下方の駆動支持部88が金庫筐体62に形成された略矩形枠状の駆動ガイド部62a、62bに本体11方向の左右方向に各々移動及び回動可能に支持されている。
【0052】
カム板87内側には、前方から後方にかけて傾斜すると共に右方から左方へ狭くなる略V字状の切欠きが形成された押下げ部87bや、前端に傾斜が形成された補助押上げ部87aがカム板87と各々一体に設けられ、カム板87の前方への移動に伴い、押下げ部87bが駆動突起68aに当接して金庫筐体62底面側へ押下げられるように配設されている。
【0053】
スライダ83の後端には外方へ折曲したフック部83aが形成され、本体11に対し金庫体60が前方向へ所定距離移動した時に、フック部83aが図3に示す本体11上側の前後方向の略中間部に突出形成された金庫ストッパ91に当接するように配置されている。
【0054】
そして、スライダ83に連結したカム板85、クランクアーム84、カム板87や前押圧部材68によって紙幣押出し機構が構成されている。
【0055】
また、図1に示すように、金庫筐体62前端部の左側面には、収納された紙幣1の回収時に手指をかけて金庫体60を引き出せるように、手がかりとして上下方向に略長円形の凹部90が形成されている。
【0056】
さらに、図2に示すように、本体11の下側にはマイコンや各種電子部品からなる制御部23が配設され、この制御部23に光センサ14a、14b、15、16a、16bや磁気センサ17a、17b、搬送駆動動力部21、収納駆動動力部41及び駆動手段22等が制御部23に接続されて紙幣識別装置が構成されている。
【0057】
以上のように構成された紙幣識別装置について、以下にその動作を説明する。
【0058】
図1及び図2において、紙幣1が挿入口12から挿入されて、識別通路13の光センサ14a、14bに達すると、紙幣1の挿入が検出される。そして、紙幣1挿入前の待機状態では櫛歯部が突出して識別通路13を遮断していた引抜き防止ゲート20が、駆動手段22に駆動されて識別通路13から右方へ退避すると共に、同時に搬送駆動動力部21が動作して搬送ローラ18a、18bが回転し、紙幣1が搬送ローラ18a、18bと従動ローラ19a、19bに挟まれて搬送され、識別通路13内に引き込まれる。
【0059】
なお、紙幣識別装置の奥行き寸法を小さくするため、搬送ローラ18aは比較的挿入口12近傍に配置しているが、このため紙幣1が搬送ローラ18aに到達した時点では識別通路13の上下の壁面部13a、13bによるガイドは確実ではなく、図5(a)の本体11の左側面視の要部側面図に示すように、紙幣1が識別通路13に対して斜めに挿入され易い。
【0060】
また、この時、紙幣1に対して搬送ローラ18aの一箇所で接触しているため、紙幣1が斜めに挿入されたとしても、搬送ローラ18aによる搬送が始まると、図5(b)に示すように、識別通路13内で紙幣1の進行方向は搬送ローラ18a周りで回転し、識別通路13の壁面部13a、13bによって収納通路30の長辺側に略平行となる正規方向に案内される。
【0061】
さらに、紙幣1が識別通路13の後方に進むにつれて、搬送ローラ18aとこの後方に近接して配列された搬送ローラ18b及び収納通路30の上下方向の両端近傍の搬送ローラ32a、32bが紙幣1に順次接触して、図5(c)に示すように、紙幣1の搬送方向が正規の方向に規制される。
【0062】
このように、識別通路13に搬送ローラ18aと18bを前後方向の搬送方向に一列に近接して配置すると共に、識別通路13の後方の収納通路30に搬送ローラ32a、32bを上下方向に配置して、これら搬送ローラ18a、18b、32a、32bを同期させて同速度で駆動させることによって、識別通路13及び収納通路30の上下の壁面部13a、13bに案内されながら、斜めに挿入された紙幣1が滑らかに方向転換して正規方向に規制されるため、識別通路13が短くても、紙幣1の斜め挿入による詰りや角折れなどの搬送障害が発生し難くなっている。
【0063】
そして、紙幣1の先端が光センサ15に達した後は、搬送中に光センサ15、16a、16b、及び磁気センサ17a、17bによって紙幣1の光学特性、及び磁気特性を測定し、測定したデータを制御部23に出力する。
【0064】
また、紙幣1の後端が光センサ15を通過したことが検出されると、制御部23は搬送を停止して光センサ16a、16bが紙幣1を検知した状態で保持し、引抜き防止ゲート20を待機位置に戻して識別通路13を遮断すると共に、測定データを元に紙幣1の金種や真偽の判定を行う。紙幣1が真券であると判定されれば、制御部23から台間機側に所定の信号が送られて、紙幣識別が完了する。
【0065】
さらに、台間機での遊技用媒体販売が成立すると、台間機側から制御部23に紙幣1の収納を指示する信号が送られる。
【0066】
そして、図6は紙幣収納動作を示す上面視断面図、図7は同じく紙幣収納動作を示す紙幣搬送方向視の断面図であり、同図において、紙幣1を金庫体60に収納する際には、再度、搬送駆動動力部21を動作させて、紙幣1が搬送ローラ32a、32bと従動ローラ33a、33bにより挟まれて収納通路30へ搬送される。また、搬送ローラ32a、32bは収納通路30内に位置しているため、識別通路13後端の光センサ16a、16b上を紙幣1の後端が通過した後も、搬送ローラ32a、32bが同期して紙幣1を搬送することにより所定距離搬送して、図6(a)及び図7(a)に示すように、紙幣1を収納通路30内に設定された図2に示す紙幣停止領域38に確実に停止させることができる。
【0067】
次に収納通路30から金庫体60への収納動作について説明する。
【0068】
紙幣1が紙幣停止領域38に停止すると、制御部23は図3に示す本体11の収納駆動動力部41を動作させ、駆動レバー43を介して駆動板44が待機状態の最後方の位置から前方へ移動して、まず駆動板44前部の第1の駆動部48a、48bが揺動アーム31a、31bの作動部31c、31dに各々当接し、図6(b)及び図7(b)に示すように、揺動アーム31a、31bが右方の本体カバー25側へ退避すると共に、搬送ローラ32a、32bが接触していた紙幣1から離れる。
【0069】
また、駆動板44が前方へ移動すると、図6(b)に示すように、リンク35の軸36の中間に装着されたローラ37が、スライドカム45の傾斜部45aに当接するが、スライドカム45は後側のバネ46を撓ませながらローラ37によって後方へ押し込まれ、ローラ37が直動カム47の傾斜部47aに当接するまでは、プッシャ34は静止状態となっている。
【0070】
さらに、図6(c)及び図7(c)に示すように、ローラ37が傾斜部47aに当接して、この傾斜部47aに沿って金庫体60側へ押し上げられると共に、軸36を介してリンク35がプッシャ34を収納部65方向へ押し上げて、プッシャ34に載置された紙幣1は収納通路30から収納部65へ移動する。
【0071】
このとき、プッシャ34に載置された紙幣1が収納部65と本体11との境界面近傍に到達する時点で、駆動板44の前方への移動に伴って、図3に示す第2の駆動部49a、49bが収納アーム40a、40bの作動部40e、40fに当接し、収納アーム40a、40bの押開き部40c、40dが第1の紙幣受け部61a,61bの突起部64a、64bを、収納部65の外方へ各々押圧して、第1の紙幣受け部61a、61b及びこれらに各々係合する第2の紙幣受け部61c、61dを外方へ回動させて収納部65から退避させる。
【0072】
また、第2の紙幣受け部61dの外方への回動に伴って、連動カム72、73を介して第3の紙幣受け部66が同時に外方へ回動して退避する。
【0073】
駆動板44が動作ストロークの前端に到達したときには、図6(d)及び図7(d)に示すように、第1〜3の紙幣受け部61a〜61d、66が収納部65の外方に完全に退避すると共に、ローラ37が直動カム47の平行部47b上に当接し、プッシャ34が前押圧部材68及び後押圧部材69の押圧力に抗して紙幣1を収納部65に押し込んだ状態となる。
【0074】
次に、動作ストロークの前端に位置した駆動板44は、収納駆動動力部41によって駆動レバー43を介して後方へ戻る戻り行程に入る。戻り行程では、まず、第2の駆動部49a、49bが作動部40e、40fから離れ、収納アーム40a、40bが内方へ揺動し元の待機位置に戻ると共に、これに連動して、図6(e)及び図7(e)に示すように、第1〜3の紙幣受け部61a〜61d、66が内方へ回動付勢されて収納部65内の紙幣1を保持した状態となる。
【0075】
また、このとき、図6(e)に示すように、駆動板44の直動カム47やスライドカム45も後方へ移動するが、ローラ37は直動カム47から前方へバネ46により付勢されて延出したスライドカム45の平行部45b上に当接しているため、プッシャ34は収納部65内に紙幣1を押し込んだ状態で保持されている。
【0076】
つまり、紙幣1を本体11から収納部65へ収納した後は、第2の駆動機構の収納アーム40a、40bが内方に揺動して、第1〜3の紙幣受け部61a〜61d、66が外方に退避した状態から内方へ回動して紙幣1を保持するまで、プッシャ34によって紙幣1を保持した状態を維持するように、第1の駆動機構のローラ37が前方に付勢されて延び出たスライドカム45の平行部45bに当接して、リンク35の復帰動作の作動タイミングを遅らせているため、紙幣1が収納部65からはみ出したり、浮いたりしないように、確実にプッシャ34に押圧保持されるようになっている。
【0077】
さらに、図6(f)及び図7(f)に示すように、駆動板44が最後方の待機位置に戻ると、ローラ37がスライドカム45の平行部45bから傾斜部45aを通過して底部45c上に移動するのに伴って、リンク35を介してプッシャ34も右方の本体カバー25側に復帰移動して待機位置に戻り、紙幣1が金庫体60の収納部65に収納保持された状態となる。
【0078】
次に店舗の営業終了時などに、金庫体60に収納されている紙幣1を回収する動作について説明する。
【0079】
紙幣1を回収する場合は、店舗側の操作により、台間機側から紙幣識別装置に金庫開錠の命令信号が送信される。紙幣識別装置の制御部23はこの命令信号を受信すると、図2に示す駆動手段78を動作してロックレバー77を下方へ回動させ、金庫体60のガイド壁76との係止が解除されて、押出しレバー81によって前方へ付勢された金庫体60が、ガイド溝74と本体11のガイド突起75により案内されながら、前方へスライド移動して台間機前面から外方へ押し出される。
【0080】
本実施の形態の場合は、例えば、金庫体60のスライドストロークが約100mmに設定されているため、押出しレバー81によって金庫体60前面が最低でも10mm程度、台間機前面から突出した位置から、手動で収納部65が半分程度露出する約100mmまで金庫体60を引き出すことができる。
【0081】
なお、金庫体60が全ストローク引き出される手前の約10mm近傍で、スライダ83のフック部83aが本体11の金庫ストッパ91に当接する。
【0082】
さらに、この状態から金庫体60の凹部90に手指を掛けて金庫体60を引き出すと、図8(a)の金庫体60の要部斜視図に示すように、スライダ83はバネ86の前方への付勢力に抗して金庫体60内で相対的に矢印Aの後方へスライド移動する。
【0083】
そして、スライダ83に連結されたカム板85が同時に後方へ移動して、クランクアーム84の一端がカム板85に連動して矢印Bの後方へ回動すると共に、他端が矢印Cの前方へ回動する。
【0084】
このとき、カム板85が後方へ移動すると、カム板85の一部が第2の紙幣受け部61cの根元近傍を押圧して、第2の紙幣受け部61cを矢印Dの外方へ回動させて収納部65から退避させる。
【0085】
また、クランクアーム84他端の前方への回動に伴い、これに連結されたカム板87が矢印Eの前方へ移動すると、カム板87の一部が第2の紙幣受け部61dの根元近傍を押圧して第2の紙幣受け部61dを矢印Fの収納部65の外方へ回動させて退避させると共に、カム板87の他部は第3の紙幣受け部66を押圧して矢印Gの収納部65の外方へ回動させて退避させる。
【0086】
なお、このとき、第1の紙幣受け部61a、61bは収納部65の内方へ付勢されたままで、紙幣1の後半部を保持した状態に維持されている。
【0087】
さらに、図9はカム板87の移動に伴う前押圧部材68の動作を示す要部拡大断面図であり、同図において、図9(a)に示すように、カム板87が前方へ移動する前の状態から、図9(b)に示すように、カム板87が前方へ移動すると、カム板87の押下げ部87bが駆動突起68aに当接して前押圧部材68を金庫筐体62側へ押し下げると共に、円錐コイルバネ70a、70bにより本体11側へ付勢された前押圧部材68は駆動支持部88を回転中心として回動し、図9(c)や図8(b)に示すように、前押圧部材68の前部が金庫体60の収納部65から本体11側の外方へ突出して傾斜した状態になる。
【0088】
なお、収納部65に紙幣1が多数収納されて前押圧部材68が金属筐体62側へ押下げられている場合には、駆動支持部88が補助押上げ部87aの傾斜に沿って本体11側に押上げられながら駆動ガイド部62b内に案内されて回動すると共に、駆動突起68aが押下げられて、金庫体60の前方へ引き出しに伴って確実に前押圧部材68の前部を外方へ傾斜させることができる。
【0089】
また、金庫体60が前方へ全移動範囲を移動すると、図8(b)に示すように、スライダ83に並行して金庫筐体62に回動可能に支持された保持レバー92の係止部92aがスライダ83に形成された保持溝83bに係止して、金庫体60がバネ86の付勢力に抗して前方に引き出された状態に保持される。
【0090】
したがって、金庫体60が前方へ引き出されたときには、収納部65内の紙幣1は後半部が第1の紙幣受け部61a、61bによって保持される一方で、収納紙幣1の前半部は第2の紙幣受け部61c、61d及び第3の紙幣受け部66が外方へ退避すると共に、紙幣1の背面から前押圧部材68が押し上げられて、図10の紙幣識別装置から金庫体60が引き出された状態の斜視図に示すように、紙幣1の前縁が金庫体60の収納部65から挿入口12方向の外方へ押し出されるため、金庫体60から紙幣1を手で容易に取り出すことができる。
【0091】
このとき、金庫体60の紙幣1は挿入口12側に押し出されているため、台間機前面の幅の範囲内で紙幣1を取り出すことができ、仮に台間機の前面側方の遊技台側に嵩高い装飾物が設置されていても紙幣回収の障害とはならない。
【0092】
紙幣回収を終えた後は、図8(b)に示す保持レバー92の本体11側へ突出形成された解除部92bを押圧すると、保持レバー92が回動して係止部92aが保持溝83bから外れ、金庫体60が後方へ移動する。さらに金庫体60前面を後方へ押し戻すと、スライダ83がバネ86の付勢力により金庫体60内で前方へ復帰し、上述したような金庫体60の前方への引き出し時の動作とは逆の動作が行われ、第2の紙幣受け部61c、61d及び第3の紙幣受け部66が収納部65内に復帰すると共に、前押圧部材68も金庫筐体62底面と平行となった待機位置に戻った状態となる。
【0093】
さらに金庫体60を押し込むとガイド壁76がロックレバー77の鉤部に係止されて、金庫体60が本体11にロック固定された待機状態に戻る。
【0094】
このように本実施の形態によれば、本体11の収納通路30に対向して、識別された紙幣1を収納する収納部65が設けられ、本体11に対し前後方向にスライド可能な金庫体60を装着して、収納部65の外縁に内外方向へ揺動可能に支持されると共に、紙幣1を押圧保持する第1〜第3の紙幣受け部61a〜61d、66を設け、本体11の収納通路30に紙幣1を収納部65へ押圧して移動させるプッシャ34とこのプッシャ34を駆動する第1の駆動機構を設けると共に、第1〜第3の紙幣受け部61a〜61d、66を外方へ退避させる第2の駆動機構を設けて、第1の駆動機構がプッシャ34を収納部65方向へ移動させるとほぼ同時に、第2の駆動機構が第1〜第3の紙幣受け部61a〜61d、66を外方向へ回動して退避させ、紙幣1が収納部65に移動後に、第2の駆動機構が第1〜第3の紙幣受け部61a〜61d、66を内方向へ紙幣1を押さえるように復帰させた後に、第1の駆動機構がプッシャ34を本体11側に復帰させて紙幣1を収納部65に収納することによって、本体11の収納通路30から側方の金庫体60の収納部65に紙幣1を確実に移動することができ、本体11や金庫体60の後方には紙幣1を収納通路30から収納部65へ転回移動させて搬送させる搬送機構などが不要となるため、薄型で奥行きが短いものにできると共に、台間機等の用途で設置スペースの幅が狭い場合であっても、一定の紙幣の収納枚数を確保して信頼性の高い収納が可能で、紙幣識別装置の前面から金庫体を引き出して紙幣の回収が容易なものを実現できる。
【0095】
また、第1の駆動機構がプッシャ34を収納部65方向へ移動させるとほぼ同時に、第2の駆動機構が第1〜第3の紙幣受け部61a〜61d、66を外方向へ回動させて退避させ、紙幣1が収納部65に移動後に、第2の駆動機構が第1〜第3の紙幣受け部61a〜61d、66を内方向へ紙幣を押さえるように復帰させた後に、第1の駆動機構がプッシャ34を本体11側に復帰させて紙幣1を収納部65に収納することによって、紙幣1の収納通路30から収納部65への移動や、紙幣1の収納部65内への保持が円滑で確実なものにすることができる。
【0096】
さらに、識別通路13に紙幣1に接触して収納通路30へ搬送する第1の紙幣搬送手段としての搬送ローラ18a、18bと、収納通路30に紙幣1に接触して後方へ搬送する第2の紙幣搬送手段としての搬送ローラ32a、32bを設けると共に、識別通路13の両側に紙幣の幅より僅かに大きい間隔で壁面部13a、13bを設け、搬送ローラ18a、18bと搬送ローラ32a、32bが同じ速度で同期して紙幣1を搬送し、搬送ローラ32a、32bをプッシャ34の押圧動作に先立って収納通路30の紙幣1から離れる方向へ退避させることによって、識別された紙幣1が壁面部13a、13bにガイドされながら、同じ速度で同期した搬送ローラ18a、18bと搬送ローラ32a、32bによって、識別通路13から収納通路30への搬送されるため、識別通路13を短くすることができると共に、紙幣1が搬送方向に対し傾いて移動しても、その傾きが矯正されて円滑に搬送することができるため、奥行きがより短く小型で、本体内での紙幣の搬送が確実なものにできる。
【0097】
また、収納通路30で紙幣1に接触していた第2の紙幣搬送手段の搬送ローラ32a、32bをプッシャ34の押圧動作開始の前に紙幣1から離れさせることによって、紙幣1が収納通路30内で搬送ローラ32a、32bと従動ローラ33a、33bとの狭持された状態から移動可能な状態となって、プッシヤ34による収納部65への移動が円滑なものにできる。
【0098】
そして、金庫体60の収納部65の長手方向の後部側縁に第1の紙幣受け部61a、61bを設け、同じく収納部65の長手方向の前部側縁に第2の紙幣受け部61c、61dを設けると共に、収納部65の前端に第2の紙幣受け部61c、61dに連動して回動動作する第3の紙幣受け部66を設け、収納部65に収納された紙幣1の前半部と後半部を本体11側へ各々加圧する前押圧部材68と後押圧部材69、及び金庫体60の本体11に対する前方へのスライド移動に伴い、金庫体60内を前後方向へ移動するスライダ83を配設して、このスライダ83の後方への移動に伴い前押圧部材68と第2、第3の紙幣受け部61c、61d、66が連動動作する紙幣押出し機構を設けて、金庫体60がスライド移動して本体11前面から引き出されると、スライダ83の後方への移動によって紙幣押出し機構が第2、第3の紙幣受け部61c、61d、66を外方向へ退避させると共に、前押圧部材68を本体11側へ傾斜させて紙幣1を金庫体60の収納部65から外方へ押し出すようにしたことによって、金庫体60が紙幣識別装置の前面から引き出されると、収納部60から収納された紙幣1の前側が本体11側の外方へ押し出されるため、紙幣1を金庫体60の側方から容易に確実に取り出すことが可能で、紙幣識別装置の設置スペースが狭く、紙幣識別装置前面の両側近傍が比較的狭い配置においても紙幣回収を容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明による紙幣識別装置は、本体と金庫体からなる紙幣識別装置において、薄型で奥行きも短く小型化が可能で、紙幣識別装置の前面から金庫体を引き出して紙幣の回収が容易なものを得ることができるという有利な効果を有し、主に遊技機の台間機、自動販売機など、設置スペースの狭い場所に取り付けて使用する紙幣識別装置等に有用である。
【符号の説明】
【0100】
1 紙幣
3 遊技機
4 台間機
5 紙幣識別装置
6 装飾物
11 本体
12 挿入口
13 識別通路
13a、13b 壁面部
14a、14b、15、16a、16b 光センサ
17a、17b 磁気センサ
18a、18b 搬送ローラ
19a、19b 従動ローラ
20 引抜き防止ゲート
21 搬送駆動動力部
22 駆動手段
23 制御部
24 ガイド部
25 本体カバー
30 収納通路
31a、31b 揺動アーム
31c、31d 作動部
32a、32b 搬送ローラ
33a、33b 従動ローラ
34 プッシャ
35 リンク
35a、35b、35c、35d リンク部材
36 軸
37 ローラ
38 紙幣停止領域
39a、39b 支点
40a、40b 収納アーム
40c、40d 押開き部
40e、40f 作動部
41 収納駆動動力部
43 駆動レバー
44 駆動板
45 スライドカム
45a、47a 傾斜部
45b、47b 平行部
45c 底部
46 バネ
47 直動カム
48a、48b 第1の駆動部
49a、49b 第2の駆動部
60 金庫体
61a、61b 第1の紙幣受け部
61c、61d 第2の紙幣受け部
62 金庫筐体
62a、62b 駆動ガイド部
64a、64b 突起部
65 収納部
66 第3の紙幣受け部
68 前押圧部材
69 後押圧部材
70a、70b、71 円錐コイルバネ
72、73 連動カム
74 ガイド溝
75 ガイド突起
76 ガイド壁
77 ロックレバー
78 駆動手段
79 リターンバネ
81 押出しレバー
82 押出しバネ
83 スライダ
83a フック部
83b 保持溝
84 クランクアーム
85 カム板
86 バネ
87 カム板
87a 補助押上げ部
87b 押下げ部
88 駆動支持部
89 駆動突起
90 凹部
91 金庫ストッパ
92 保持レバー
92a 係止部
92b 解除部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面から紙幣をその長手方向に沿って挿入する挿入口と、この挿入口に連結した識別通路と、この識別通路に連結した収納通路と、前記識別通路に面すると共に紙幣を識別する識別部からなる本体と、前記本体の収納通路に対向して、識別された前記紙幣を収納する収納部が設けられ、前記本体に前後方向にスライド可能に装着された金庫体からなり、前記収納部の外縁に内外方向へ回動可能に支持され、前記紙幣を押圧保持する複数の紙幣受け部を設け、
前記本体の前記収納通路に前記紙幣を収納部へ押圧して移動させるプッシャとこのプッシャを駆動する第1の駆動機構を設けると共に、
前記紙幣受け部を外方へ退避させる第2の駆動機構を設けて、前記第1の駆動機構が前記プッシャを前記収納部方向へ移動させるとほぼ同時に、前記第2の駆動機構が前記紙幣受け部を外方向へ回動して退避させ、前記紙幣が前記収納部に移動後に、前記第2の駆動機構が前記紙幣受け部を内方向へ前記紙幣を支持するように復帰させた後に、前記第1の駆動機構が前記プッシャを前記本体側に復帰させて、前記紙幣を前記収納部に収納する紙幣識別装置。
【請求項2】
識別通路に紙幣に接触して収納通路へ搬送する第1の紙幣搬送手段と、収納通路に前記紙幣に接触して後方へ搬送する第2の紙幣搬送手段を設けると共に、前記識別通路の両側に前記紙幣の幅より僅かに大きい間隔で壁面部を設け、前記第1の紙幣搬送手段と前記第2の紙幣搬送手段とが同じ速度で同期して前記紙幣を搬送し、前記第2の紙幣搬送手段をプッシャの押圧動作開始の前に前記収納通路の前記紙幣から離れる方向へ退避させる請求項1記載の紙幣識別装置。
【請求項3】
金庫体の収納部の長手方向の後部側縁に配設された第1の紙幣受け部と、前記収納部の長手方向の前部側縁に配設された第2の紙幣受け部と、前記収納部の前端に前記第2の紙幣受け部に連動して揺動動作する第3の紙幣受け部を各々設け、
前記収納部に収納された紙幣の前半部と後半部を本体側へ各々加圧する複数の押圧部材と、本体に対して前記金庫体の前方へのスライド移動に伴い、前記金庫体内を後方向へ移動するスライダを配設し、このスライダの移動に伴い前記前半部の押圧部材と前記第2、第3の紙幣受け部が連動動作する紙幣押出し機構を設けて、前記金庫体がスライド移動して本体前面から引き出されると、前記スライダの移動によって前記紙幣押出し機構が前記第2の紙幣受け部と、前記第3の紙幣受け部とを外方向へ退避させると共に、前記前半部の押圧部材の前部を本体側へ傾斜させて、前記紙幣を前記金庫体の収納部から外方へ押し出す請求項1記載の紙幣識別装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−174004(P2012−174004A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35656(P2011−35656)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】