説明

紙折り機に連結した折丁結束装置

【課題】 本発明は、圧接折丁群の極めて整然たる送り作動が奏されるような改良を施した「紙折り機に連結した折丁結束装置」の提供を図ったものである。
【解決手段】 紙折り機によって所要の折丁が成された折丁pを受け入れるための折丁受入部Hを、折丁群移動用テーブルJの始端部がわに設け、当該折丁受入部Hと前記した移動用制御ベルト7,7の間に始端側移動用補助ベルト6,6を介在させ、当該始端側移動用補助ベルト6,6と移動用制御ベルト7,7の回動速度を、紙折り機による折丁の供給速度と等しく設定し、当該移動用制御ベルト7,7の前記急速前進は始端側移動用補助ベルト6,6とは別駆動に基づき回動させ、更に、折丁群移動用テーブルJの始端側から終端側に案内用スリット1を開設すると共に、折丁群の先端を受止めるための受板具2を、当該スリット1に対して摺動自在に取付けると共に、当該受板具2には復元用スプリング4を連結した紙折り機に連結した折丁結束装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙折り機によって折丁されかつ縦方向並べられて折丁群を結束するために、これを所定数量ごとに取り出すことが出来るようにした「紙折り機に連結した折丁結束装置」に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のような目的を達成するための「紙折り機に連結した折丁結束装置」としては、「折丁結束テーブルの折丁群受板具の移動路の両端部に該テーブル面を跨ぐ駆動ベルト機構を並列装備せしめ、受板具の終点手前箇所に受板具検出で該ベルト機構を駆動させるスイッチ又は光電管等の検出器を設け、その検出器作動で終点手前から終点までをベルト駆動させてベルト上の圧接縦列折丁群の急速前進を図り、該折丁群の後方部分に粗列部を出現させた状態において電動押杆で結束圧縮機構部に対して折丁群の移行を行わせることを特徴とする紙折り機に連結した折丁結束装置」がある。(例えば特許文献1参照)
【0003】
これは、紙折り機によって縦揃え状態で押出されてくる折丁群を定量ごとに、その押出し方向とは直角の方向(側面方向)に電動押杆を介して取り出し、然る後、これの一括的結束を行うに際して、電動杆を介しての上記したような取出しが、極めて安定した状態で行われるように構成したものである。
【0004】
すなわち、紙折り機によって縦揃え状態で押出されてくる折丁群は、これを定量ごとに、押出し方向とは直角の方向(側面方向)に単純に取り出した場合、縦揃え折丁機構における折丁群の増加整列状態は、折丁の半開きを防止して圧接状態として整列しているため、その折丁群を側面から電動押杆による押出しを図った場合、その押し枠の長さが常に受板と縦列を規制する定規部との間隔に対応している場合ならば良いが、折丁結束量の変更等で異長の押し枠を交換使用するような場合、両側規制をはなれた圧接折丁群に対して押出し作用が行われると、図10に示すように、押出し残余の圧接折丁群に対して摩擦抵抗が大きく、従って、摩擦ズレ状態P2が生じ易く、整列状態が著しく崩れて次の正常な折丁整列が行われず、更に、押し枠の後退の際に該押し枠の側縁が不整列紙に衝当して余計に乱列状が起こり易く、次の押出し結束作業に円滑性齟齬をきたしてしまうこととなる。
【0005】
前述した特許文献1に記載された従来例は、このような問題の解消化を図るように構成したものであり、図9に示すように、紙折り機A側から縦揃え状態で押出されてくる折丁群Pを、始動個所に静止している受板具Bに対して増加に伴い当接し、受板具Bが押されると、受板具Bはスライドバックすることとなり、そして、当該受板具Bが図9に鎖線示す状態に位置(終点)した際、ベルトC に対する駆動力が働き、当該受板具Bを実線で示す位置に急速に移動させるという作動を生じさせ、これにより、圧接折丁群Pの後部に粗列部P1を生じさせる。 このような粗列部P1の出現は 押し枠Dによる結束のための定量押出し時に、圧接折丁群Pの後部に、図10に示すような摩擦ズレP2を生じさせること無く、常時整然とした折丁整列が計られるように構成したものである。 そして、受板具Bの復元は、前記したベルトCを逆回転させることによって行わせるように構成してある。
【特許文献1】特公昭55−26053号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような特公昭55−26053号に記載された「紙折り機に連結した折丁結束装置」であると、受板具Bの急速移動に基づき生じさせた粗列部P1の存在が、これに続く新たな圧接折丁群の押し寄せが間に合わず、当該粗列部P1を整然たる圧接状態に戻すことができにないような事態が生じがちであつた。 更に、上記受板具Bの急速前進後の元位置への復帰をベルトCの逆回転に依存して行わせるように構成してあるため、その復帰の迅速性という点で問題が生じ、圧接折丁群の乱列化(縦揃え状態の乱れ)が生じ易いと言う様な事態を招きがちであつた。
【0007】
本発明はこのような従来の問題を解決し、圧接折丁群の極めて整然たる送り作動が奏されるような改良を施した「紙折り機に連結した折丁結束装置」の提供を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、折丁群移動用テーブルJに移動用制御ベルト7,7を回動自在に設け、当該制御ベルト7,7を駆動させてベルト上の圧接縦列折丁群Pの急速前進を図り、該折丁群Pの後方部分に粗列部P1を出現させた状態で電動押し杆機構Mで結束用テーブルK側に折丁群の移行を行わせるように構成した紙折り機に連結した折丁結束装置において、紙折り機によって所要の折丁が成された折丁pを受け入れるための折丁受入部Hを、折丁群移動用テーブルJの始端部がわに設け、当該折丁受入部Hと前記した移動用制御ベルト7,7の間に始端側移動用補助ベルト6,6を介在させ、当該始端側移動用補助ベルト6,6と移動用制御ベルト7,7の回動速度を、紙折り機による折丁の供給速度と等しく設定し、当該移動用制御ベルト7,7の前記急速前進は始端側移動用補助ベルト6,6とは別駆動に基づき回動させ、更に、折丁群移動用テーブルJの始端側から終端側に案内用スリット1を開設すると共に、折丁群の先端を受止めるための受板具2を、当該スリット1に対して摺動自在に取付けると共に、当該受板具2には復元用スプリング4を取付けたことを特徴とする紙折り機に連結した折丁結束装置に係るものである。
【0009】
そして本発明は、折丁受入部Hにおける折丁ガイド用縦枠hのやや前方に、高さ調節可能とする折丁上端抑え用スプリングg1を備えた折丁上端揃え用ガイドGを設け、当該折丁上端抑え用スプリングg1の接触に基づき、次々と送られてくる折丁群Pの上端縁が揃えられるように構成した請求項1に記載した紙折り機に連結した折丁結束装置を第2の実施の態様とするものである。
【0010】
更に本発明は、電動押し杆機構Mにおける押し枠mの後端側に折丁支え片m3を設け、当該押し枠mの突出と共に、折丁支え片m2も前方に前進し、当該折丁支え片m3が後続の折丁群の中に差し込まれてその倒伏を防ぐように構成した請求項1または請求項2に記載の紙折り機に連結した折丁結束装置を第3の実施の態様とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、請求項1に記載のような構成、すなわち、折丁群移動用テーブルJに移動用制御ベルト7,7を回動自在に設け、当該制御ベルト7,7を駆動させてベルト上の圧接縦列折丁群Pの急速前進を図り、該折丁群Pの後方部分に粗列部P1を出現させた状態で電動押し杆機構Mで結束用テーブルK側に折丁群の移行を行わせるように構成した紙折り機に連結した折丁結束装置において、紙折り機によって所要の折丁が成された折丁pを受け入れるための折丁受入部Hを、折丁群移動用テーブルJの始端部がわに設け、当該折丁受入部Hと前記した移動用制御ベルト7,7の間に始端側移動用補助ベルト6,6を介在させ、当該始端側移動用補助ベルト6,6と移動用制御ベルト7,7の回動速度を、紙折り機による折丁の供給速度と等しく設定し、当該移動用制御ベルト7,7の前記急速前進は始端側移動用補助ベルト6,6とは別駆動に基づき回動させ、更に、折丁群移動用テーブルJの始端側から終端側に案内用スリット1を開設すると共に、折丁群の先端を受止めるための受板具2を、当該スリット1に対して摺動自在に取付けると共に、当該受板具2には復元用スプリング4を取付けるように構成したから、折丁群Pの極めて整然たる送り作動が奏されるような改良を施した「紙折り機に連結した折丁結束装置」の提供が図られる。
【0012】
すなわち、折丁受入部Hと移動用制御ベルト7,7の間に始端側移動用補助ベルト6,6を介在させるように構成したから、折丁群Pの連続性が常に保たれ、これの整然たる送り作動が果される。 何故ならば、当該始端側移動用補助ベルト6,6が存在しない場合は、粗列部P1発生に基づくその後の折丁群Pの圧接接触性の不均一化に基づく形成列の崩れ発生と言うような問題が間々生じたが、本発明にあっては当該始端側移動用補助ベルト6,6を設けることにより、このよう事態発生を皆無とされるわけである。
【0013】
更に、折丁群移動用テーブルJの始端側から終端側に案内用スリット1を開設すると共に、折丁群の先端を受止めるための受板具2を、当該スリット1に対して摺動自在に取付けると共に、当該受板具2には復元用スプリング4を取付けるように構成したから、その作動は極めて円滑なものとされる。 すなわち、従来のように当該受板具2を移動用制御ベルト側に取付けるように構成した場合は、当該受板具2を復元させるには、移動用制御ベルトを逆回動させなければならず、そのため当該復元運動に時間がとられて折丁群の整列に乱れを生じさせたり、移動用制御ベルトの逆回転のための別個の回転機構を設けなければならなかったりしたが、本発明にあってはこのような問題は全く解消される。
【0014】
本発明は請求項2に記載のような構成、すなわち、折丁受入部Hにおける折丁ガイド用縦枠hのやや前方に、高さ調節可能とする折丁上端抑え用スプリングg1を備えた折丁上端揃え用ガイドGを設け、当該丁上端抑え用スプリングg1の接触に基づき、次々と送られてくる折丁群Pの上端縁が揃えられるように構成したから、当該折丁群Pの上端縁の不揃い性からもたらされる結束の阻害性、乱雑性というような問題の発生を未然に防止することとなる。
【0015】
本発明は請求項3に記載のような構成、すなわち、電動押し杆機構Mにおける押し枠mの後端側に折丁支え片m3を設け、当該押し枠mの突出と共に、折丁支え片m3も前方に前進し、当該折丁支え片m3が後続の折丁群の中に差し込まれてその倒伏を防ぐように構成したから、結束作業中に待機状態にある後続折丁群が傾倒してしまうことを未然に防止し、極めて整然たる折丁群の保持が果される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、紙折り機によって折丁された縦方向並べられて折丁群を、結束するために所定数量ごとに取り出すようにした「紙折り機に連結した折丁結束装置」に関するものであって、紙折り機及び結束機の各機体自体の構成は、本発明の技術的要部とするものではない。 すなわち、本発明は紙折り機で折丁されかつ縦方向で並べられて順次押し出されてくる折丁群を、所定の数量ごとに取り出すと共に、別に設けられている結束機に対して供給するため機構部分に、技術的特徴を有するものである。
【0017】
以下、本発明の構成を図面について詳細に説明する。 なお、図1にあっては、後記する「折丁上縁部揃え用ガイドG」部分の構成を、他の機構部分を分かり易く表示するために作図上省略してある。
【0018】
図1乃至図3において、Hは紙折り機に連結される折丁受入部であって、紙折り機によって四つ折り、八つ折り等の所要の折丁が成された折丁群Pが1単位づつ、立てた状態並べられて順次送られてくるようになっている。 本発明はこのように順次送られてくる折丁されかつた縦方向並べられて折丁群を所定数量取り出すものである。
【0019】
Jは折丁群移動用テーブルであって、その始端側に上記折丁受入部Hが設けられており、その折丁折丁ガイド用縦枠h1と、当該ガイド用縦枠h1を前進させて受け入れた折丁単体p(図3参照)を前方に押し出すための押出し機構h2が設けられている。 なお、当該押出し機構h2はピストン的運動に基づき、折り機で折畳まれた折丁pが1単位づつ上方から供給される度に、後述する始端側移動用補助ベルト6,6上に押出すような作動を呈するものである。
【0020】
Gは上記折丁ガイド用縦枠h1のやや前方に設けた折丁上端揃え用ガイドであって、折丁上端抑え用スプリングg1が高さ調節可能に取付けられている。 g2は当該高さ調節を行うための縦スリットであって、当該折丁上端抑え用スプリングg1が昇降自在に取付けられている。 そして、当該折丁上端揃え用ガイドGの高さ位置は、送られてくる折丁単体pの上端位置と等しくなるよう調節し、これにより、次々と送られてくる折丁群Pの上端縁が揃えられるように構成してある。 すなわち、送られてくる折丁は、折丁上端揃え用ガイドGによって受入れられ、折丁上端抑え用スプリングg1の弾力的接触に基づき、その上端縁が揃えられるように構成してある。
【0021】
Kは当該移動用テーブルJの側縁から前方に向けて形成した結束用テーブルであって、当該結束用テーブルK上において、結束機構Lを介して所定の結束操作が自動的に行われるものである。 なお、当該結束機構L自体は公知機構に関するため、その構成説明は省略する。
【0022】
Mは電動押し杆機構であって、その先端に取替え自在に取付けた所定の定量横幅を具えた押し枠mの前進に基づき、移動用テーブルJ上に順次送られてくる折丁群Pを所定数量毎、前記結束用テーブルK上に押し出すような作動を行うためのものである。 m1は当該押し枠mの押出しのための前進及び復元運動の案内を行うための案内用レール杆であって、上記押し枠mはモータm2の回転力に基づき、当該前進及び復元運動が行われるように構成してある。
【0023】
m3は上記した押し枠mの後端後方に直角に取付けた折丁支え片であって、その先端部分は刃状部m4が形成されており(図7参照)、上記押し枠mの前後進運動と一緒にその前後進運動が行われるように構成してある。 すなわち、図7に示すように、当該押し枠mが前進して折丁群Pを所要量前方に押出すに際して、当該折丁支え片m3が後続の折丁群の中に差し込まれ、これの倒伏を防ぐように構成されている。
【0024】
図1乃至図3において、1は移動用テーブルJの中心部分に縦軸方向(始端側から終端側)に開設した案内用スリット、2は折丁群の先端を受け止めるための折丁群受板具であって、当該受板具2の下面側に垂設した移動操作用杆2aは、前記案内用スリット1に対して摺動自在に差し込まれると共に、移動用テーブルJの基端側下面に垂設した止め杆3に対して復元用スプリング4を介して連結させてある。 従って、当該折丁群受板具2は、順次送られてくる折丁群によって、移動用テーブルJの始端側から終端側に移動するにつれてスプリング4に反発力が蓄えられ、終端に達して後述するような電動押し杆機構Mによる結束のための折丁群押出し作用が奏された後に、当該スプリング4の反発力に基づき元位置復帰が成されるように構成してある。 なお、図1及び図2においては、当該折丁群受板具2が終端寄りに移動されている状態を表している。
【0025】
5,5は上記した案内用スリット1の両側にこれと並行するように形成したガイドレールであって、紙折り機によって折丁されかつた縦方向並べられて送られてくる折丁群が、当該ガイドレール5,5上において、これに沿って移動するように構成してある。
【0026】
ところで、前記した折丁群受板具2であるが、これは、折丁pの次々の供給に基づく折丁群Pの先頭を受け止め、当該供給に依る押圧力に基づき、スプリング4に抗して押し動かされるように構成されている。 そして、当該押圧力に基づき折丁群受板具2が移動用テーブルJの終端側に位置した際、電動押し杆機構Mが作動し、その押し枠mを介して所定量の折丁群が結束用テーブルKに押し出され、その結束が行われるように構成してある。 なお、当該押し枠mは、折丁群の結束数量に即応させて、その横幅が異なるものを選択的に取替え固定するように構成してある。
【0027】
6,6は移動用テーブルNに設けた始端側移動用補助ベルトであって、プーリー6a,6aによって所定の回転制御が行われるように構成してある。 7,7は当該始端側移動用補助ベルト6,6と連なるように同一線上に設けた移動用制御ベルトであって、プーリー7a,7aを介して所定の回転制御が行われるように構成してある。 また、当該移動用制御ベルト7,7の終点は、移動用テーブルJの終点寄りに達するように設けられている。 そして、当該移動用制御ベルト7,7におけるプーリー7a,7aは、その駆動側のプーリーの回転は後述するような所定の急速回転が行われるような変速が可能とするようなモーターに依る自動的回転制御が行われるように構成してある。
【0028】
図8は上記した始端側移動用補助ベルト6,6と移動用制御ベルト7,7の駆動機構の一例を表したものである。 すなわち、当該両ベルトの駆動用プーリーに対する駆動力は定速回動用モータ8の回転力が同時に伝えられるように構成すると共に、当該移動用制御ベルト7,7の対応側プーリーに対してはワンウエイクラック9を介して当該定速回動用モータ8の回転力が伝えられるように構成し、更に、当該移動用制御ベルト7,7の他側のプーリーに対しては、急速回転用モータ10の駆動力が伝えられるように構成する。
【0029】
これにより、始端側移動用補助ベルト6,6と移動用制御ベルト7,7は、定速モータ8の回転に基づき所定の速さで回動させられるが、急速回転用モータ10が回転した際は、移動用制御ベルト7,7の急速回動が図られ、一方、始端側移動用補助ベルト6,6は定速回転を保つというような作動が成されるように構成してある。 このような作動はワンウエイクラック9の存在に基づくものであり、急速回転用モータ10の回転に基づき、その該当駆動用プーリー7aの回転が、定速モータ8による回転力を追い越す急速回転用モータ10の回転力が伝えられて、その急速回動が行われることとなる。 なお、このような駆動機構は図8に示す実施例に限定されるものではない。
【0030】
上記した始端側移動用補助ベルト6,6と移動用制御ベルト7,7とは、折丁受入部Hから紙折り機によって順次送られてくる折丁群Pを、移動用テーブルJの終端側に対する移動力を付与する方向に回動するように構成してある。 そして、当該始端側移動用補助ベルト6,6と移動用制御ベルト7,7とは、その回転速度の調節を夫々別制御に基づき達成されるように構成してある。 すなわち通常は、始端側移動用補助ベルト6,6と移動用制御ベルト7,7は同一速度で回動しているが、前述したように折丁群受板具2が移動用テーブルJの終端側に位置するやや手前に達した時点で、移動用制御ベルト7,7は急速回動を自動的に行い、次々と連続状に送られてくる折丁群Pの後部に粗列部P1を形成し(図7参照)、これにより、電動押し杆機構Mの押し枠mによる押し出し時に、図9に示すような当該折丁群Pの後方部分に崩れが生じるような事態発生を、未然に防止するように構成してある。
【0031】
なお、このような移動用制御ベルト7,7の急速回動時においても、始端側移動用補助ベルト6,6は定速回動を保つように構成されていることは、前述したとおりである。
【0032】
すなわち、始端側移動用補助ベルト6,6と移動用制御ベルト7,7の回動速度は、通常は、折丁受入部Hから紙折り機によって順次送られてくる折丁群Pの供給力に基づき押し出される速度と合致させることにより、これの送り速度の安定化を図っているものであるが、上述したような結束のための定量押し出しに際しては、当該押し出しによる折丁群の後方部崩れ発生を防止するために、移動用制御ベルト7,7だけが一時的に急速回動(急速前進)を行わせるように構成してある。
【0033】
そして、当該移動用制御ベルト7,7の急速回動であるが、これは瞬間的な回動的変化であり、電動押し杆機構Mの押し枠mによる押し出し時作動及びその復帰作動が行われた後は、最初の設定速度の回動に戻されるように、自動的制御が施されるように構成してある。
【0034】
なお、上述したような粗列部P1形成に基づく引き続きの折丁群Pの送り速度であるが、その間も、始端側移動用補助ベルト6,6が定速回動を継続的に行っているため、粗列部P1形成に基づく遅れは、当該始端側移動用補助ベルト6,6の移動力に基づき解消され、折丁群P全体の同一圧接接触性が保たれることとなる。
【0035】
すなわち、当該始端側移動用補助ベルト6,6が存在しない場合は、粗列部P1発生に基づくその後の折丁群Pの圧接接触性の不均一化に基づく形成列の崩れ発生と言うような問題が間々生じたが、当該始端側移動用補助ベルト6,6を設けることにより、このよう事態発生が皆無とされるわけである。
【0036】
なお、前述した押し枠mの後端側には折丁支え片m3が設けられており、上述したような電動押し杆機構Mの押し枠mによる押し出し時作動時においては、当該折丁支え片m3も当該押し枠mと共に前方に前進するため、図7に示すように、当該押し枠mが前進して折丁群Pを所要量前方に押出すに際して、当該折丁支え片m3も前進して後続の折丁群の中に差し込まれ、これの倒伏を防ぐような作動を呈することとなる。
m4は当該折丁支え片m3の先端に形成した差込用刃状先端縁を示す。
【0037】
本発明に係る紙折り機に連結した折丁結束装置の一連の作動を説明すれば下記の通りである。
【0038】
不図示の紙折り機によって四つ折り、八つ折り等の所要の折丁が成された折丁pは、 折丁受入部Hの折丁ガイド用縦枠h1に沿って1単位づつ縦方向で降下されると共に、押し出すための押出し機構h2を介して前方に押出されることとなる。(図1及び図3参照)
【0039】
当該押出される際、折丁の上縁は、折丁上端揃え用ガイドGにより受入れられると共に、上端抑え用スプリングg1に弾力的に接触することとなり、これにより、次々と押出される折丁はその各上縁が合致した整然たる並列状態に整えられることとなる。(図2及び図3参照)
【0040】
上記押出された折丁は、始端側移動用補助ベルト6,6に乗せられると共に、その先頭の折丁は折丁群受板具2によって受け止められ立てた状態を保ちながら、当該始端側移動用補助ベルト6,6による移動が行われる。 なお、この時、紙折り機によって次々と送られてくる折丁は、上記のようにして夫々順序良く並べられて、折丁群受板具2をスプリング4に抗して押し下げられることとなり、これにより整然と並べられた折丁群Pが形成される。(図4参照)
【0041】
始端側移動用補助ベルト6,6によって移動させられた折丁群Pは、当該始端側移動用補助ベルト6,6に対して同一線状に隣接する移動用制御ベルト7,7側に移動させられるが、当該移動用制御ベルト7,7は同一速度で回動しているため、折丁の両ベルト間の乗り移り作動に齟齬をきたすことがない。 なお、当該両ベルトの回動速度であるが、これは紙折り機による折丁の送り速度と等しく設定することを原則とする。
【0042】
上述のような折丁群Pの形成に基づく押圧力により受板具2が所定の位置(移動用テーブルJの始端側から終端側の位置)に押し動かされた際、電動押し杆機構Mが作動し、その押し枠mを介して所定量の折丁群が結束用テーブルKに押し出され、その結束が行われるわけであるが、この寸前状態に於いて、移動用制御ベルト7,7の急速回動が行われることとなる。 すなわち、折丁群受板具2が移動用テーブルJの終端側に位置するやや手前に達した時点で、移動用制御ベルト7,7は急速回動を自動的に行い、次々と連続状に送られてくる折丁群Pの後部に粗列部P1を形成し(図6参照)、これにより、電動押し杆機構Mの押し枠mによる押し出し時に、図10の作動図に示すように、当該折丁群Pの後方部分に崩れが生じるような事態発生が、図7に示すように未然に防止されることとなる。
【0043】
なお、このような移動用制御ベルト7,7の急速回動時においても、始端側移動用補助ベルト6,6は定速回動を保つものである。
【0044】
電動押し杆機構Mの押し枠mの突出と共に、折丁支え片m3も前方に前進し、これにより図7に示すように、当該折丁支え片m3が後続の折丁群の中に差し込まれ、その倒伏を防ぐような作動を呈する。
【0045】
結束のための所要の折丁群の押出しが行われた後は、電動押し杆機構Mは復帰運動を作動を行い、押し枠m及び折丁支え片m3を元位置に復帰させる。 同時に、受板具2もスプリング4を介して自動的に復帰し、上記した結束のために除去されたのちの自余の折丁群の先頭に位置し、その安定保持に従事する。 なお、移動用制御ベルト7,7の前記急速回動であるが、これは瞬間的な回動的変化であり、電動押し杆機構Mの押し枠mによる押し出し時作動及びその復帰作動が行われた後は、最初の設定速度の回動に戻されるように自動的に制御される。 また、当該急速回動の開始指令は、適宜リレー機構に基づく受板具2の移動位置の読み取りに基づき行われるように構成してある。
【0046】
一方、上述したような粗列部P1形成に基づく引き続きの折丁群Pの送り速度であるが、その間も、始端側移動用補助ベルト6,6が定速回動を継続的に行っているため、粗列部P1形成に基づく遅れは、当該始端側移動用補助ベルト6,6の移動力に基づき解消され、折丁群P全体の同一圧接接触性が保たれる。
【0047】
上述したような各作動が繰り返し行われることにより、紙折り機から次々と送られてくる折丁は、所定量ごとの結束のための取出しが自動的かつ整然と行われることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明全体を表しかつ折丁上縁部揃え用ガイド部分を省略して示す説明用斜視図である。
【図2】本発明全体を表した説明用縦断面図である。
【図3】折丁上縁部揃え用ガイド部分を表した平面図である。
【図4】本発明の第1作動を表した説明用断面図である。
【図5】本発明の第2作動を表した説明用断面図である。
【図6】本発明の第3作動を表した説明用断面図である。
【図7】本発明による正常なる折丁押し出し作動を表した説明用側面図である。
【図8】本発明における始端側移動用補助ベルト6,6と移動用制御ベルト7,7に対する駆動機構の一例を表した説明用断面図である。
【図9】従来例を表した説明用側面図である。
【図10】不適切な作動を表した説明用断面図である。
【符号の説明】
【0049】
P 折丁群
p 折丁
P1 粗列部
J 折丁群移動用テーブル
H 折丁受入部
h1 折丁ガイド用縦枠
h2 押出し機構
G 折丁上端揃え用ガイド
g1 折丁上端抑え用スプリング
g2 縦スリット
K 結束用テーブル
L 結束機構
M 電動押し杆機構
m 押し枠
m1 案内用レール杆
m2 モータ
m3 折丁支え片
m4 刃状部
1 案内用スリット
2 折丁群受板具
2a 移動操作用杆
3 止め杆
4 復元用スプリング
5 ガイドレール
6 始端側移動用補助ベルト
6a プーリー
7 移動用制御ベルト
7a プーリー
8 定速回動用モータ
9 ワンウエイクラック
10 急速回転用モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折丁群移動用テーブル(J)に移動用制御ベルト(7,7)を回動自在に設け、当該制御ベルト(7,7)を駆動させてベルト上の圧接縦列折丁群(P)の急速前進を図り、該折丁群(P)の後方部分に粗列部(P1)を出現させた状態で電動押し杆機構(M)で結束用テーブル(K)側に折丁群の移行を行わせるように構成した紙折り機に連結した折丁結束装置において、
紙折り機によって所要の折丁が成された折丁(p)を受け入れるための折丁受入部(H)を、折丁群移動用テーブル(J)の始端部がわに設け、当該折丁受入部(H)と前記した移動用制御ベルト(7,7)の間に始端側移動用補助ベルト(6,6)を介在させ、
当該始端側移動用補助ベルト(6,6)と移動用制御ベルト(7,7)の回動速度を、紙折り機による折丁の供給速度と等しく設定し、当該移動用制御ベルト(7,7)の前記急速前進は始端側移動用補助ベルト(6,6)とは別駆動に基づき回動させ、
更に、折丁群移動用テーブル(J)の始端側から終端側に案内用スリット(1)を開設すると共に、折丁群の先端を受止めるための受板具(2)を、当該スリット(1)に対して摺動自在に取付けると共に、当該受板具(2)には復元用スプリング(4)を連結した紙折り機に連結した折丁結束装置。
【請求項2】
折丁受入部(H)における折丁ガイド用縦枠(h)のやや前方に、高さ調節可能とする折丁上端抑え用スプリング(g1)を備えた折丁上端揃え用ガイド(G)を設け、当該折丁上端抑え用スプリング(g1)の接触に基づき、次々と送られてくる折丁群(P)の上端縁が揃えられるように構成した請求項1に記載の紙折り機に連結した折丁結束装置。
【請求項3】
電動押し杆機構(M)における押し枠(m)の後端側に折丁支え片(m3)を設け、当該押し枠(m)の突出と共に、折丁支え片(m2)も前方に前進し、当該折丁支え片(m3)が後続の折丁群の中に差し込まれてその倒伏を防ぐように構成した請求項1または請求項2に記載の紙折り機に連結した折丁結束装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−162602(P2008−162602A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−351291(P2006−351291)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(592214221)株式会社正栄機械製作所 (9)
【Fターム(参考)】