説明

紙葉類分離機構、紙葉類分離方法及び紙葉類供給装置

【課題】密着力の強い紙葉類束から紙葉類を確実に一通ずつ分離し、安定的に供給する。
【解決手段】紙葉類束10から紙葉類11を一通ずつ分離して下流の処理部に供給する紙葉類分離機構30であって、紙葉類11の端部を吸着して紙葉類束10から引き剥がす吸着・引き剥がし手段31と、端部が引き剥がされた紙葉類11を紙葉類束10から分離する分離手段32と、紙葉類束10から分離された紙葉類11を下流の処理部に向けて搬送する搬送手段33とを備え、吸着・引き剥がし手段31が、紙葉類11の端部を吸着する吸着ヘッド34を備え、当該吸着ヘッド34のひねり運動により、紙葉類11の端部を紙葉類束10から引き剥がす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便物などの紙葉類束から紙葉類を一通ずつ分離して下流の処理部に供給する紙葉類分離機構及び紙葉類分離方法に関し、さらには、このような紙葉類分離機構を備える紙葉類供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便物などの紙葉類束から紙葉類を一通ずつ分離して下流の処理部に供給する紙葉類分離機構が知られている。例えば、図18に示す紙葉類供給装置は、紙葉類束10を立位で載置する載置台101と、載置された紙葉類束10を下流に向けて搬送する搬送コンベア102と、搬送コンベア102の終端部まで搬送された紙葉類束10から紙葉類11を一通ずつ分離して下流の処理部に供給する紙葉類分離機構103とを備えて構成されている。
【0003】
このような紙葉類供給装置において、載置台101に立位で載置された紙葉類束10は、搬送コンベア102に設けられるコンパートメント104により姿勢を維持したまま、コンパートメント104及び底面ベルト105によって紙葉類分離機構103に向けて搬送される。紙葉類分離機構103に到着した紙葉類束10は、先頭の紙葉類11から順に、吸着ベルト106を介して真空吸着室107に吸着され、吸着ベルト106の周回運動により所定の搬送方向(矢印方向)に一通ずつ供給される。
【0004】
しかしながら、上記のように構成される吸着ベルト方式の紙葉類分離機構103では、密着力が強い紙葉類束10から一通の紙葉類11を分離する場合、一通だけを上手く分離することができずに、二通以上を同時に供給してしまうことがあった。例えば、表面がビニールコーティングされた紙葉類同士を重ねた場合、紙葉類同士が強い密着力で結合されてしまうため、吸着ベルト106による吸着・搬送作用では分離されず、複数枚が重なった状態で供給されてしまうという問題があった。
【0005】
そこで、可動式の吸着ヘッド(吸盤)を用いて、紙葉類の端部を紙葉類束から引き剥がす吸着・引き剥がし手段(捕捉手段)と、端部が引き剥がされた紙葉類を紙葉類束から分離する分離手段(剥離手段)と、紙葉類束から分離された紙葉類を下流の処理部に向けて搬送する搬送手段とを備える紙葉類分離機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような紙葉類分離機構によれば、紙葉類の端部を部分的に吸着し、紙葉類束から引き剥がすことができるので、吸着ベルト式の紙葉類分離機構に比べて、優れた分離性能を発揮することが可能である。
【特許文献1】特開昭63−106245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載される紙葉類分離機構の吸着ヘッドは、紙葉類の面に対して垂直方向に直線運動するに過ぎないため、端部同士が強い力で密着している紙葉類束の場合、紙葉類の引き剥がしに失敗する可能性があった。
【0007】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、密着力の強い紙葉類束から紙葉類を確実に一通ずつ分離し、安定的に供給することができる紙葉類分離機構、紙葉類分離方法及び紙葉類供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明の紙葉類分離機構は、紙葉類束から紙葉類を一通ずつ分離して下流の処理部に供給する紙葉類分離機構であって、紙葉類の端部を吸着して紙葉類束から引き剥がす吸着・引き剥がし手段と、端部が引き剥がされた紙葉類を紙葉類束から分離する分離手段と、紙葉類束から分離された紙葉類を前記処理部に向けて搬送する搬送手段とを備え、前記吸着・引き剥がし手段が、紙葉類の端部を吸着する吸着ヘッドを備え、当該吸着ヘッドのひねり運動により、紙葉類の端部を紙葉類束から引き剥がす構成としてある。
【0009】
このようにすると、密着力の強い紙葉類束から紙葉類を確実に一通ずつ分離し、安定的に供給することができる。すなわち、本発明の紙葉類分離機構が備える吸着ヘッドは、吸着した紙葉類の端部をひねり運動により紙葉類束から引き剥がすので、紙葉類の面に対して垂直方向の直線運動だけで引き剥がしを行う従来の吸着ヘッドに比べ、優れた引き剥がし性能を発揮することができる。
【0010】
また、本発明の紙葉類分離機構は、前記分離手段が、回転自在な分離ローラを備え、当該分離ローラを、前記吸着・引き剥がし手段によって部分的に引き剥がされた紙葉類と紙葉類束との間の隙間に入り込ませることにより、紙葉類を紙葉類束から分離する構成としてある。
このようにすると、吸着・引き剥がし手段によって部分的に引き剥がされた紙葉類を、紙葉類束から迅速かつ確実に分離させることができる。
【0011】
また、本発明の紙葉類分離機構は、前記搬送手段が、前記分離ローラとの間で紙葉類を挟む搬送ローラを備え、当該搬送ローラの回転駆動により、紙葉類束から分離された紙葉類を前記処理部に向けて搬送する構成としてある。
このようにすると、分離された紙葉類を確実に搬送できるだけでなく、分離ローラを搬送手段の一部に兼用し、搬送手段の構造を簡略化することができる。
【0012】
また、本発明の紙葉類分離方法は、紙葉類束から紙葉類を一通ずつ分離して下流の処理部に供給する紙葉類分離方法であって、紙葉類の端部を吸着して紙葉類束から引き剥がす吸着・引き剥がし工程と、端部が引き剥がされた紙葉類を紙葉類束から分離する分離工程と、紙葉類束から分離された紙葉類を前記処理部に向けて搬送する搬送工程とを含み、前記吸着・引き剥がし工程が、紙葉類の端部を吸着し、かつ、吸着した紙葉類の端部をひねることにより行われる方法としてある。
このようにすると、密着力の強い紙葉類束から紙葉類を確実に一通ずつ分離し、安定的に供給することができる。
【0013】
また、本発明の紙葉類分離方法は、前記分離工程が、回転自在な分離ローラを、端部が引き剥がされた紙葉類と紙葉類束との間の隙間に入り込ませることにより行われる方法としてある。
このようにすると、部分的に引き剥がされた紙葉類を、紙葉類束から迅速かつ確実に分離させることができる。
【0014】
また、本発明の紙葉類分離方法は、前記搬送工程が、前記分離ローラとの間で紙葉類を挟む搬送ローラの回転駆動により行われる方法としてある。
このようにすると、分離された紙葉類を確実に搬送できるだけでなく、分離ローラを搬送手段の一部に兼用し、搬送手段の構造を簡略化することができる。
【0015】
また、本発明の紙葉類供給装置は、紙葉類束を搬送する紙葉類搬送機構と、前記紙葉類搬送機構の終端部まで搬送された紙葉類束から紙葉類を一通ずつ分離して下流の処理部に供給する紙葉類分離機構と、を備える紙葉類供給装置であって、上記のいずれかに記載の紙葉類分離機構を備える構成としてある。
このようにすると、密着力の強い紙葉類束から紙葉類を確実に一通ずつ分離し、安定的に供給することができる紙葉類供給装置が得られる。
【0016】
また、本発明の紙葉類供給装置は、前記紙葉類搬送機構が、紙葉類束を立位で載置する載置台と、前記載置台に載置された紙葉類束を前記紙葉類分離機構に向けて搬送しつつ、紙葉類束の姿勢制御を行う姿勢制御搬送手段と、を備える構成としてある。
このようにすると、紙葉類分離機構に供給される紙葉類束の姿勢を適正に制御し、紙葉類分離機構における紙葉類の分離性能をより一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、紙葉類の端部を吸着ヘッドで吸着し、当該吸着ヘッドのひねり運動により、紙葉類の端部を紙葉類束から引き剥がすので、密着力の強い紙葉類束から紙葉類を確実に一通ずつ分離し、安定的に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
[紙葉類供給装置]
図1は、本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の平面図、図2は、本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の正面図である。
これらの図に示すように、紙葉類供給装置は、立位状態で載置された紙葉類束10を下流に向けて搬送する紙葉類搬送機構20と、紙葉類搬送機構20の終端部まで搬送された紙葉類束10から紙葉類11を一通ずつ分離して下流の処理部に供給する紙葉類分離機構30とを備えている。
【0020】
[紙葉類搬送機構]
図3は、本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類搬送機構(立位維持搬送状態)を示す平面図、図4は、本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類搬送機構(立位維持搬送状態)を示す正面図、図5は、本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類搬送機構(姿勢制御搬送状態)を示す平面図、図6は、本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類搬送機構(姿勢制御搬送状態)を示す正面図である。
【0021】
これらの図に示すように、紙葉類搬送機構20は、立位状態で紙葉類束10が設置される載置台21と、紙葉類束10の姿勢を支えつつ搬送の付加力を与えるエンドプレート22と、立位状態を維持しながら紙葉類束10を搬送する立位維持搬送手段23と、立位維持搬送手段23の終端部まで搬送された紙葉類束10を紙葉類分離機構30に向けて搬送しつつ、紙葉類束10の姿勢を制御する姿勢制御搬送手段24とを備えている。
【0022】
立位維持搬送手段23は、紙葉類11の下端部と係合する爪付きの搬送ベルト25を備えている。
搬送ベルト25は、載置台21に沿って二本並設されており、エンドプレート22とほぼ同速で駆動することにより、紙葉類束10が立位状態を維持したまま下流の姿勢制御搬送手段24に向けて搬送される。
【0023】
姿勢制御搬送手段24は、紙葉類11の下端部と係合する爪付きの搬送ベルト26と、紙葉類11の姿勢を検知する角度検知センサ27とを備えている。
搬送ベルト26は、搬送ベルト25から紙葉類11を引き継ぐように二本並設されている。
角度検知センサ27は、姿勢制御搬送手段24の搬送経路に配置され、紙葉類11の角度検知を行う。例えば、姿勢制御における紙葉類11の目標角度が30°である場合、正面から見て紙葉類11の搬送方向に対して30°で交わる直線上に三つの角度検知センサ27を配置し、これらの角度検知センサ27の検知タイミングにもとづいて紙葉類11の角度検知を行う。
【0024】
上記のように構成された紙葉類搬送機構20において、図3及び図4に示すように、載置台21(搬送ベルト25)に紙葉類束10を立位状態で載置すると、載置された紙葉類束10は、エンドプレート22及び搬送ベルト25の搬送駆動により、立位状態を維持したまま下流に向けて搬送される。
図5及び図6に示すように、紙葉類束10は、搬送ベルト25から搬送ベルト26に順次引き継がれる。搬送ベルト26は、搬送ベルト25(エンドプレート22)よりも高速で搬送駆動するので、紙葉類束10は、角度を変化させながら下流に向けて搬送される。その際、角度検知センサ27によって紙葉類束10の角度を検知し、搬送ベルト25の駆動速度をフィードバック制御することによって、紙葉類束10の角度を任意の値に調整することが可能になる。例えば、本実施形態では、搬送ベルト26の終端部における紙葉類束10の目標角度を30°として、搬送ベルト25の駆動速度をフィードバック制御する。
【0025】
[紙葉類分離機構]
図7の(a)は、本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類分離機構(吸着・引き剥がし工程開始時)を示す平面図、(b)は、A−A断面図、図8の(a)は、本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類分離機構(分離工程開始時)を示す平面図、(b)は、A−A断面図、図9の(a)は、本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類分離機構(分離工程中)を示す平面図、(b)は、A−A断面図、図10の(a)は、本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類分離機構(搬送工程開始時)を示す平面図、(b)は、A−A断面図、図11は、本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類分離機構(原点復帰中)を示す平面図である。
【0026】
これらの図に示すように、紙葉類分離機構30は、紙葉類11の端部を吸着して紙葉類束10から引き剥がす吸着・引き剥がし手段31と、端部が引き剥がされた紙葉類11を紙葉類束10から完全に分離させる分離手段32と、紙葉類束10から分離された紙葉類11を下流の処理部に向けて搬送する搬送手段33とを備えている。
【0027】
吸着・引き剥がし手段31は、真空源に接続され、紙葉類11の端部を吸着する吸着ヘッド34と、吸着ヘッド34を所定方向に移動させるアーム35とを備えている。ここで、アーム35は、吸着ヘッド34を紙葉類11の面に対して垂直方向に移動させるだけでなく、紙葉類11の面に対して吸着ヘッド34の吸着面を傾ける方向、すなわち吸着した紙葉類11の端部をひねる方向に吸着ヘッド34を移動させる。例えば、図7の(b)に示す矢印方向に吸着ヘッド34を移動させるように、アーム35が駆動される。
【0028】
分離手段32は、回転自在な分離ローラ36を備え、この分離ローラ36を、吸着・引き剥がし手段31によって部分的に引き剥がされた紙葉類11と紙葉類束10との間の隙間に入り込ませることにより、紙葉類11を紙葉類束10から完全に分離させる。
本実施形態では、回転駆動するプーリ37に、三本の分離ローラ36a〜36cを放射状に突設している。各分離ローラ36a〜36cは、プーリ37の回転方向に所定の間隔を存して並列し、所定のプーリ37の回転に伴って公転するだけでなく、ローラ軸を中心とする自転も許容されている。そして、吸着ヘッド34で部分的に引き剥がされた紙葉類11と紙葉類束10との間の隙間に、これらの分離ローラ36a〜36cを順次入り込ませることにより、紙葉類11が紙葉類束10から完全に分離される。
なお、最後尾の分離ローラ36cには、紙葉類11のダレ(垂れ)を防止する搬送ガイド38が設けられている。
【0029】
搬送手段33は、分離ローラ36cとの間で紙葉類11を挟む搬送ローラ39を備え、当該搬送ローラ39の回転駆動により、紙葉類束10から分離された紙葉類11を下流の処理部に向けて搬送するように構成されている。
なお、上記の紙葉類分離機構30では、分離ローラ36の公転面の角度や吸着ヘッド34の運動方向を調整することにより、様々な角度姿勢(水平姿勢や垂直姿勢を含む)の紙葉類束に対応可能である。また、紙葉類搬送機構20における紙葉類の角度検知に応じて、分離ローラ36の公転面の角度や吸着ヘッド34の運動方向を自動的に調整するようにしてもよく、このようにすると、紙葉類分離機構30の分離性能をより高めることができる。
【0030】
[紙葉類分離方法]
つぎに、紙葉類分離方法について、図7〜図11を参照して説明する。
紙葉類分離機構30では、まず、図7に示すように、紙葉類束10のうち、先頭の紙葉類11の端部を吸着ヘッド34で吸着し、その後、図8に示すように、吸着ヘッド34を紙葉類11の面に対して垂直方向に持ち上げつつ、ひねり方向に移動させる。これにより、紙葉類11の端部が紙葉類束10から引き剥がされる。(吸着・引き剥がし工程)
つぎに、図8及び図9に示すように、プーリ37を回転駆動し、部分的に引き剥がされた紙葉類11と紙葉類束10との間の隙間に、分離ローラ36a〜36cを順次入り込ませ、紙葉類11を紙葉類束10から分離させる。そして、最後尾の分離ローラ36cが搬送ローラ39の対向位置に到達したら、プーリ37の回転駆動を一旦止める。(分離工程)
つぎに、図10に示すように、吸着ヘッド34による紙葉類11の吸着を解除するとともに、搬送ローラ39を回転駆動させる。これにより、搬送ローラ39と分離ローラ36cとの間に挟まれた紙葉類11が下流の処理部に向けて搬送される。また、この際には、搬送ガイド38によって紙葉類11のダレが防止される。(搬送工程)
そして、紙葉類11の搬送が終わったら、図11に示すように、プーリ37を再び回転駆動させ、分離ローラ36a〜36cを原点位置に復帰させる。(原点復帰工程)
【0031】
[吸着ヘッド動作機構]
つぎに、吸着ヘッド34の具体的な動作機構について、図12〜図17を参照して説明する。
図12は、本発明の実施形態に係る吸着ヘッド動作機構を示す平面図、図13は、本発明の実施形態に係る吸着ヘッド動作機構を示すA−A矢視図、図14は、本発明の実施形態に係る吸着ヘッド動作機構を示すB−B断面図、図15は、本発明の実施形態に係る吸着ヘッド動作機構を示す部分側面図、図16は、本発明の実施形態に係る吸着ヘッド動作機構の通常時を示す部分正面図、図17は、本発明の実施形態に係る吸着ヘッド動作機構のひねり時を示す部分正面図である。
【0032】
これらの図に示される吸着ヘッド動作機構40は、吸着ヘッド34をひねり運動させるひねり運動手段と、吸着ヘッド34を上下運動させる上下運動手段とを備えている。ひねり運動手段は、アーム35を介して吸着ヘッド34を支持する揺動リンク41と、アーム35と平行な支軸42を介して、揺動リンク41を揺動自在に支持するスライダ43と、スライダ43と揺動リンク41との間に介設されるエアシリンダ44とを備えており、図16及び図17に示すように、エアシリンダ44の伸長駆動に伴う揺動リンク41の揺動により、吸着ヘッド34をひねり運動させるようになっている。
【0033】
上下運動手段は、ガイドレール45を介して、スライダ43を上下スライド自在に支持するベース46と、ベース46の下部に設けられるサーボモータ47と、サーボモータ47の駆動に応じて所定の角度範囲内で回転されるプーリ48と、プーリ48とスライド43を連結する連結ロッド49とを備えており、サーボモータ47の駆動に伴うスライダ43の上下スライドにより、吸着ヘッド34を上下運動させるようになっている。
【0034】
以上のような本実施形態の紙葉類分離機構(紙葉類分離方法)によれば、紙葉類束10から紙葉類11を一通ずつ分離して下流の処理部に供給する紙葉類分離機構30であって、紙葉類11の端部を吸着して紙葉類束10から引き剥がす吸着・引き剥がし手段31と、端部が引き剥がされた紙葉類11を紙葉類束10から分離する分離手段32と、紙葉類束10から分離された紙葉類11を下流の処理部に向けて搬送する搬送手段33とを備え、吸着・引き剥がし手段31が、紙葉類11の端部を吸着する吸着ヘッド34を備え、当該吸着ヘッド34のひねり運動により、紙葉類11の端部を紙葉類束10から引き剥がすようにしたので、密着力の強い紙葉類束10から紙葉類11を確実に一通ずつ分離し、安定的に供給することができる。
【0035】
また、分離手段32は、プーリ37を中心に回転する複数の分離ローラ36a〜36cを備え、これらの分離ローラ36a〜36cを、吸着・引き剥がし手段31によって部分的に引き剥がされた紙葉類11と紙葉類束10との間の隙間に順次入り込ませることにより、紙葉類11を紙葉類束10から分離させるので、吸着・引き剥がし手段31によって部分的に引き剥がされた紙葉類11を、紙葉類束10から迅速かつ確実に分離させることができる。
【0036】
また、搬送手段33は、分離ローラ36cとの間で紙葉類11を挟む搬送ローラ39を備え、当該搬送ローラ39の回転駆動により、紙葉類束10から分離された紙葉類11を下流の処理部に向けて搬送するので、分離された紙葉類11を確実に搬送できるだけでなく、分離ローラ36cを搬送手段33の一部に兼用し、搬送手段33の構造を簡略化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、郵便物などの紙葉類束から紙葉類を一通ずつ分離して下流の処理部に供給する紙葉類分離機構及び紙葉類分離方法に関し、紙葉類分離機構を備える紙葉類供給装置に適用される。特に、本発明の紙葉類分離機構は、大型郵便物区分装置の供給フィーダに好適であるが、通常の葉書・手紙などの郵便物を分離・供給する供給フィーダや、その他の紙葉類を分離・供給する供給フィーダにも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類搬送機構(立位維持搬送状態)を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類搬送機構(立位維持搬送状態)を示す正面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類搬送機構(姿勢制御搬送状態)を示す平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類搬送機構(姿勢制御搬送状態)を示す正面図である。
【図7】(a)は、本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類分離機構(吸着・引き剥がし工程開始時)を示す平面図、(b)は、A−A断面図である。
【図8】(a)は、本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類分離機構(分離工程開始時)を示す平面図、(b)は、A−A断面図である。
【図9】(a)は、本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類分離機構(分離工程中)を示す平面図、(b)は、A−A断面図である。
【図10】(a)は、本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類分離機構(搬送工程開始時)を示す平面図、(b)は、A−A断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る紙葉類供給装置の紙葉類分離機構(原点復帰工程中)を示す平面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る吸着ヘッド動作機構を示す平面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る吸着ヘッド動作機構を示すA−A矢視図である。
【図14】本発明の実施形態に係る吸着ヘッド動作機構を示すB−B断面図である。
【図15】本発明の実施形態に係る吸着ヘッド動作機構を示す部分側面図である。
【図16】本発明の実施形態に係る吸着ヘッド動作機構の通常時を示す部分正面図である。
【図17】本発明の実施形態に係る吸着ヘッド動作機構のひねり時を示す部分正面図である。
【図18】従来例に係る紙葉類供給装置の平面図である。
【符号の説明】
【0039】
10 紙葉類束
11 紙葉類
20 紙葉類搬送機構
21 載置台
22 エンドプレート
23 立位維持搬送手段
24 姿勢制御搬送手段
25 搬送ベルト
26 搬送ベルト
27 角度検知センサ
30 紙葉類分離機構
31 吸着・引き剥がし手段
32 分離手段
33 搬送手段
34 吸着ヘッド
35 アーム
36a〜36c 分離ローラ
37 プーリ
38 搬送ガイド
39 搬送ローラ
40 吸着ヘッド動作機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類束から紙葉類を一通ずつ分離して下流の処理部に供給する紙葉類分離機構であって、
紙葉類の端部を吸着して紙葉類束から引き剥がす吸着・引き剥がし手段と、
端部が引き剥がされた紙葉類を紙葉類束から分離する分離手段と、
紙葉類束から分離された紙葉類を前記処理部に向けて搬送する搬送手段とを備え、
前記吸着・引き剥がし手段が、
紙葉類の端部を吸着する吸着ヘッドを備え、当該吸着ヘッドのひねり運動により、紙葉類の端部を紙葉類束から引き剥がす
ことを特徴とする紙葉類分離機構。
【請求項2】
前記分離手段が、
回転自在な分離ローラを備え、当該分離ローラを、前記吸着・引き剥がし手段によって部分的に引き剥がされた紙葉類と紙葉類束との間の隙間に入り込ませることにより、紙葉類を紙葉類束から分離する
ことを特徴とする請求項1記載の紙葉類分離機構。
【請求項3】
前記搬送手段が、
前記分離ローラとの間で紙葉類を挟む搬送ローラを備え、当該搬送ローラの回転駆動により、紙葉類束から分離された紙葉類を前記処理部に向けて搬送する
ことを特徴とする請求項2記載の紙葉類分離機構。
【請求項4】
紙葉類束から紙葉類を一通ずつ分離して下流の処理部に供給する紙葉類分離方法であって、
紙葉類の端部を吸着して紙葉類束から引き剥がす吸着・引き剥がし工程と、
端部が引き剥がされた紙葉類を紙葉類束から分離する分離工程と、
紙葉類束から分離された紙葉類を前記処理部に向けて搬送する搬送工程とを含み、
前記吸着・引き剥がし工程が、
紙葉類の端部を吸着し、かつ、吸着した紙葉類の端部をひねることにより行われる
ことを特徴とする紙葉類分離方法。
【請求項5】
前記分離工程が、
回転自在な分離ローラを、端部が引き剥がされた紙葉類と紙葉類束との間の隙間に入り込ませることにより行われる
ことを特徴とする請求項4記載の紙葉類分離方法。
【請求項6】
前記搬送工程が、
前記分離ローラとの間で紙葉類を挟む搬送ローラの回転駆動により行われる
ことを特徴とする請求項5記載の紙葉類分離方法。
【請求項7】
紙葉類束を搬送する紙葉類搬送機構と、
前記紙葉類搬送機構の終端部まで搬送された紙葉類束から紙葉類を一通ずつ分離して下流の処理部に供給する紙葉類分離機構と、を備える紙葉類供給装置であって、
請求項1〜3のいずれかに記載の紙葉類分離機構を備える
ことを特徴とする紙葉類供給装置。
【請求項8】
前記紙葉類搬送機構が、
紙葉類束を立位で載置する載置台と、
前記載置台に載置された紙葉類束を前記紙葉類分離機構に向けて搬送しつつ、紙葉類束の姿勢制御を行う姿勢制御搬送手段と、を備える
ことを特徴とする請求項7記載の紙葉類供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−56363(P2008−56363A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231495(P2006−231495)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】