紙葉類発行装置
【課題】シャッタを駆動するための専用の機構を設けることなく、シャッタを開閉させることができる紙葉類発行装置を提供することを目的とする。
【解決手段】紙葉類発行装置1は、ハウジングと、ハウジングに形成されて、紙葉類を発行するための取出口16と、取出口を開閉するためのシャッタ88とを備えている。プレゼンタは、プリンタが出力する証明書を受け入れるための受入姿勢と、受け入れている証明書を取出口16から出力させるための出力状態との間で揺動可能に設けられている。受入姿勢と出力姿勢との間のプレゼンタの揺動に連動して、シャッタ88が、取出口16を閉塞する閉じ状態と、取出口16を開放する開状態との間で昇降される。
【解決手段】紙葉類発行装置1は、ハウジングと、ハウジングに形成されて、紙葉類を発行するための取出口16と、取出口を開閉するためのシャッタ88とを備えている。プレゼンタは、プリンタが出力する証明書を受け入れるための受入姿勢と、受け入れている証明書を取出口16から出力させるための出力状態との間で揺動可能に設けられている。受入姿勢と出力姿勢との間のプレゼンタの揺動に連動して、シャッタ88が、取出口16を閉塞する閉じ状態と、取出口16を開放する開状態との間で昇降される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、証明書発行機などの紙葉類発行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、証明書発行機などの紙葉類発行装置が知られている。この紙葉類発行装置は、箱状のハウジングと、ハウジング内に収容されるプリンタとを備えている。ハウジングの前面には、プリンタによって印字された紙葉類を出力(発行)するための横長の取出口が開口している(たとえば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2944375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、取出口は、通常、シャッタによって開閉可能とされている。通常、取出口はシャッタによって閉塞されており、用紙の排出時にだけシャッタが開状態にされて、取出口が開放される。取出口をシャッタによって開閉する構成では、シャッタを駆動するための機構が必要になる。
しかしながら、シャッタの開閉を駆動するための専用の機構を設けるとすると、コストアップにつながるおそれがある。
【0005】
この発明は、このような背景の下でなされたものであり、シャッタを駆動するための専用の機構を設けることなく、シャッタを開閉させることができる紙葉類発行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、紙葉類を発行するための紙葉類発行装置であって、ハウジングと、ハウジングに形成されて、紙葉類を発行するための取出口と、前記取出口を開閉するためのシャッタと、前記ハウジング内に、紙葉類を受け入れ可能な受入状態と、受けている紙葉類を前記取出口に排出可能な出力状態との間で移動可能に収容されたプレゼンタと、前記受入状態と前記出力状態との間の前記プレゼンタの移動に連動して、前記シャッタを、前記取出口を閉塞する閉じ状態と前記取出口を開放する開状態との間で移動させる連動機構とを備えることを特徴とする、紙葉類発行装置である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記プレゼンタは、前記受入状態と、前記出力状態との間で第1揺動軸まわりに揺動可能に設けられていることを特徴とする、請求項1記載の紙葉類発行装置である。
請求項3記載の発明は、前記連動機構は、前記プレゼンタの前記受入状態から前記出力状態への移動に連動して、前記閉じ状態にある前記シャッタを前記開状態に移動させることを特徴とする、請求項1または2記載の紙葉類発行装置である。
【0008】
請求項4記載の発明は、前記連動機構は、前記シャッタを支持して、第2揺動軸まわりに揺動可能に設けられた揺動レバーと、前記プレゼンタに固定され、前記揺動レバーと係合可能に設けられた係合部材とを有し、前記受入状態から前記出力状態への前記プレゼンタの移動に伴って、前記係合部材が前記揺動レバーと係合して当該揺動レバーを揺動させることを特徴とする、請求項1〜3記載の紙葉類発行装置。
【0009】
請求項5記載の発明は、前記シャッタは、前記閉じ状態と当該閉じ状態の上方にある前記開状態との間で昇降可能に設けられており、前記連動機構は、前記シャッタを支持して、第2揺動軸まわりに揺動可能に設けられた揺動レバーを有し、前記揺動レバーおよび前記シャッタの一方は、その先端部に係合突起を有し、前記揺動レバーおよび前記シャッタの他方は、前記係合突起に嵌って係合するための係合凹所を有し、前記係合凹所は、前記シャッタが前記閉じ状態にあるときにおける前記係合突起の前記係合凹所に対する相対位置である閉じ位置と、前記シャッタが前記開状態にあるときにおける前記係合突起の前記係合凹所に対する相対位置である開位置との間で、前記係合突起を案内する案内壁を有することを特徴とする、請求項1〜4記載の紙葉類発行装置である。
【0010】
請求項6記載の発明は、前記案内壁は、前記第2揺動軸を中心とする、前記係合凹所の前記下端部を含む円周の当該下端部における接線よりも急な勾配を有する傾斜壁を含むことを特徴とする、請求項5記載の紙葉類発行装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の構成によれば、受入状態と前記出力状態との間のプレゼンタの移動に連動して、シャッタを閉じ状態と開状態との間で移動させることができる。そのため、シャッタを駆動するための専用の機構を設けることなく、シャッタを開閉させることができる。
請求項2の構成によれば、プレゼンタが、受入状態から出力状態まで揺動軸まわりに揺動される。これにより、簡単な構成で、プレゼンタを受入状態と出力状態との間で移動させることができる。揺動軸は水平軸であってもよい。この場合、(出入り口)を上下動させることができる。
【0012】
請求項3の構成によれば、受入状態から出力状態へのプレゼンタの移動に連動して、閉じ状態にあるシャッタが開状態に移動させられる。そのため、シャッタを駆動するための専用の機構を設けることなく、シャッタを開状態にさせることができる。
また、この場合、開状態にあるシャッタは、シャッタの自重によって閉じ状態に移動させられるものであってもよい。これにより、シャッタを駆動するための専用の機構を設けることなく、シャッタを開閉させることができる。
【0013】
請求項4の構成によれば、受入状態から出力状態へのプレゼンタの移動に伴って、係合部材が揺動レバーと係合して揺動レバーを揺動させる。これにより、プレゼンタの移動に連動してシャッタを開閉させることができる。
請求項5の構成によれば、揺動レバーおよびシャッタの一方に設けられた係合突起が、揺動レバーおよびシャッタの他方に設けられた係合突起に嵌って係合している。そして、シャッタが閉じ状態から開状態に変位する場合に、係合突起は係合凹所を、閉じ位置から開位置までとの間で案内壁によって案内されつつ移動する。
【0014】
請求項6の構成によれば、案内壁は、第2揺動軸を中心とする、係合凹所の前記閉じ位置を含む円周の当該閉じ位置における接線よりも勾配の大きな傾斜壁を含んでいる。シャッタが閉じ状態にあるときには、係合突起は閉じ位置にある。閉じ状態にあるシャッタを開くために当該シャッタを直接移動操作させる場合、係合突起に、当該係合突起を係合凹所に対して上下方向に相対変位させる力が作用する。しかしながら、揺動レバーの先端部に設けられている係合突起は、第2揺動軸を中心とする円弧軌道に沿う回動しか許容されていないので、係合凹所の閉じ位置に位置する係合突起が、勾配の大きな案内壁と干渉し、係合突起が閉じ位置から移動することができない。すなわち、案内壁と係合凹所との係合が解除されない。したがって、閉じ状態にあるシャッタを、当該シャッタを直接移動操作させて開状態にすることはできず、これにより、利用者がシャッタを直接操作して当該シャッタを開けるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施形態に係る紙葉類発行装置を正面側から見た斜視図である。
【図2】図1に示す紙葉類発行装置において、上カバーおよび下カバーを解放した状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示す紙葉類発行装置の要部の構成を示す図である(その1)。
【図4】押さえ部の押さえローラ、および証明書受け部の受けローラの構成を示す図である。
【図5】シャッタの開状態における取出口ユニットの断面図である。
【図6】シャッタの閉じ状態における取出口ユニットの断面図である。
【図7】図5に示す状態における係合凹所と係合突起との位置関係を示す拡大図である。
【図8】図5に示す状態における係合凹所と係合突起との位置関係を示す拡大図である。
【図9】図1に示す紙葉類発行装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】図1に示す紙葉類発行装置の要部の構成を示す図である(その2)。
【図11】図1に示す紙葉類発行装置の要部の構成を示す図である(その3)。
【図12】図1に示す紙葉類発行装置の要部の構成を示す図である(その4)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1および図2は、この発明の一実施形態に係る紙葉類発行装置1を正面側から見た斜視図である。図1には、次に述べる上カバー7および下カバー9を閉じた状態を示し、図2には、上カバー7および下カバー9を開けた状態を示している。
この実施形態では、図1に示す紙葉類発行装置1は、大学や専門学校等の学校に設置される証明書発行機である。利用者によって指定された種類の証明書(紙葉類)が紙葉類発行装置1から発行される。この紙葉類発行装置1は、たとえばA4サイズおよびA6サイズの2種類の証明書Pを発行できるようになっている。
【0017】
紙葉類発行装置1は、前面が開放した中空の筐体構造のハウジング2を備えている。
図2に示すように、ハウジング2の前面の上部には、そのほぼ全域に矩形の上部開口3(図2参照。)が開口している。ハウジング2の前面の下部には、そのほぼ全域に矩形の下部開口4(図2参照。)が開口している。下部開口4は上部開口3よりも手前側に張り出している。上部開口3と下部開口4との間には、上部開口3側から、第1垂直面5と水平面6とが形成されている。第1垂直面5は下方に略垂直に延びる小幅の垂直面である。水平面6は、第1垂直面5の下端から前側へ略水平に延びる小幅の水平面である。
【0018】
上部開口3は上カバー7によって覆われている。上カバー7は、ハウジング2の前面の上端部に沿って延びる回動軸まわりに上開き可能に取り付けられている。上カバー7の前面は、その上端側に向かうに従って後側へ少し傾斜して延びる第1傾斜面8(図1参照。)を有している。図1に示す上カバー7の閉じ状態で、下カバー9の第1傾斜面8の下部は第1垂直面5に連なっている。
【0019】
下部開口4は、下カバー9によって覆われている。上カバー7は、ハウジング2の前面下部の右端部に沿って延びる回動軸まわりに横開き可能に取り付けられている。下カバー9の前面の上端部には、その下端側に向かうに従って前側へ傾斜して延びる小幅の第2傾斜面10が形成されている。下カバー9の前面の上端部を除く領域には、第2傾斜面10の下端に連なり、下方へ略垂直に延びる第2垂直面11が形成されている。
【0020】
図1および図2を参照して、第1傾斜面8では、その左側位置に、表示操作部12(図1参照。)が設けられている。表示操作部12は、幅広の矩形状をなす液晶の表示画面と、表示画面の表面を覆うように表示画面の上(表面)に積層された透明なタッチパネルとを有するタッチパネルディスプレイを備えている。この表示操作部12には、ガイダンス等が表示されるようになっている。
【0021】
第1傾斜面8の右側位置には、カードリーダ部13(図1参照。)が配置されている。カードリーダ部13は、ICカードを読み取るためのICカードリーダ部14(図1参照。)と、表示操作部12とICカードリーダ部14との間に配置されて、磁気カードを読み取るための磁気カードリーダ部15(図1参照。)とを備えている。
第1垂直面5では、その左側位置に、利用者に対し証明書を発行するための横長の矩形形状の取出口16が設けられている。取出口16は、下方および後方が開放した略箱状の取出口ユニット24に設けられている。取出口ユニット24の前面には、第1垂直面5が形成されている。紙葉類発行装置1では、取出口16から発行された証明書は、その前端部だけが取出口16から飛び出した状態で保持されている。利用者は、取出口16から飛び出す証明書の前端部を掴んで手前側に引き抜くことにより、紙葉類発行装置から発行された証明書を受け取ることができる。
【0022】
第1垂直面5の右側位置には利用者に領収書を発行するための領収書発行口17と、音声情報を出力するためのスピーカ18とが左右に並んで設けられている。また、ハウジング2内には、領収書発行口17の奥側に、領収書発行部(図示しない。)が配設されている。領収書発行部は、発行された証明書の明細や手数料を記録用紙に印字し、それを領収書発行口17からハウジング2の前方に向けて出力する。
【0023】
第2傾斜面10の右側には、証明書発行のための手数料である紙幣を投入するための紙幣投入口19(図1参照。)と、証明書発行のための手数料である硬貨を投入するための硬貨投入口20(図1参照。)とが左右に並んで設けられている。硬貨投入口20(図1参照。)の下隣には、紙幣投入口19または硬貨投入口20に投入した手数料を返却するために操作される返却レバー21(図1参照。)が設けられている。
【0024】
第2垂直面11の上部には、車椅子使用者のためのユニバーサルデザイン目的の補助用のハンドル29が設けられている。
第2垂直面11の右下部には、投入した手数料(お釣りも含む。)や硬貨投入口20に硬貨以外の異物が投入された場合の当該異物が返却される返却口22(図1参照。)とが設けられている。第2垂直面11の上端部の幅方向略左寄りには、紙葉類発行装置1の前に利用者がいるか否かを検知するための人感センサ23(図1参照。)が設けられている。
【0025】
図2に示すように、ハウジング2内の下半分には、証明書を出力するためのプリンタ25が収容されている。プリンタ25はハウジング2内の前方に引出し可能に設けられている。プリンタ25の給紙トレイには、証明書の原紙になる種々のサイズ(たとえばA4サイズおよびA6サイズ。)の用紙が収納されている。プリンタ25がこれらの用紙に証明内容を印字し、これにより証明書が作成される。プリンタ25として、いわゆるレーザプリンタやサーマルプリンタなどを用いることができる。プリンタ25の上方には、プリンタ25から出力された証明書を取出口16から出力させるためのプレゼンタ(紙葉類搬送手段)30が配置されている。
【0026】
ハウジング2内には、プリンタ25の右隣に、投入された紙幣を収納しておくための紙幣収納庫26が配置されている。また、ハウジング2内には、上部開口3の奥側に、たとえばマイクロコンピュータを含む構成の制御ユニット27が配設されている。
下カバー9の裏面には、投入された硬貨や釣銭用の硬貨を収納しておくための硬貨収納庫28が配置されている。
【0027】
図3は、紙葉類発行装置1の要部の構成、すなわちプリンタ25のプリンタ本体部32の上部、プレゼンタ30および取出口ユニット24の各構成を示す図である。
プリンタ25の上面は、その断面形状が略L字状に切り欠かれている。具体的には、プリンタ本体部32の略平坦面からなる上面には、当該平坦面に対してほぼ垂直な第3垂直面33と、第3垂直面33の下端に連続して後方に向かうに従って高くなる傾斜面からなる排出面34とが形成されている。排出面34は上方に向けて凸になる凸湾曲面に形成されている。第3垂直面33と排出面34とによって、略V字状をなす上面凹部41が形成されている。
【0028】
プリンタ本体部32内の上部には、証明書Pを排紙するための排紙経路35が形成されている。排紙経路35が第3垂直面33に開口して、横長のプリンタ排出口36が形成されている。プリンタ排出口36に関連して、排紙経路35を搬送されてくる印字済みの用紙(証明書P)を送り出してプリンタ排出口36から排出(出力)させるための排紙ローラ対37と、プリンタ排出口36から出力される証明書Pを斜め後ろ上方に向けて案内する排紙ガイド38とが設けられている。
【0029】
また、排出面34には、プレゼンタ30によって回収された証明書Pを受け止めるための回収トレイ39が形成される。回収トレイ39の下端位置には、プレゼンタ30によって回収された証明書Pの前端を受け止める受止突起40が形成されている。この受止突起40によって、後述する本体フレーム44の下面開口100から放出される証明書Pの前端(下端)を受け止めることができるようになっている。
【0030】
プレゼンタ30は、本体部42と、本体部42をプレゼンタ用揺動軸(第1揺動軸)31まわりに揺動させるプレゼンタ揺動機構43とを備えている。プレゼンタ揺動機構43は、本体部42を、図3に示す受入姿勢(受入状態)と図11に示す出力姿勢(出力状態)との間で揺動させる。図3に示す受入姿勢では、本体部42の前端部が上面凹部41内に進入している。
【0031】
本体部42は、平面視矩形状の浅い略箱状の本体フレーム44を備えている。本体フレーム44はたとえば板金を用いて形成されており、その下面が開放している。本体フレーム44の前端部には、プリンタ25から出力された証明書Pを、本体フレーム44内に取り込むため取込口47と、本体フレーム44内に取り込まれた証明書Pを排出するための排出口48とが上下に並んで形成されている。取込口47は水平方向に延びる横長に形成されており、取込口47は最大でA4のサイズの用紙を取込み可能な長さを有している。
【0032】
本体フレーム44の前端部の上面付近には、左右方向に水平な軸線を中心とするレバー係合用円筒(係合部材)74が配設されている。レバー係合用円筒74の外周は、後述する揺動レバー93と当接して、後述するシャッタ88を持ち上げることができるようになっている。
本体フレーム44の前端部下面には、証明書Pを下方から受けるための証明書受け部45が配設されている。本体フレーム44の下面における証明書受け部45を除く領域には下面開口100が形成されている。証明書受け部45は、本体フレーム44の上面に沿う平坦面からなる受け面50と、本体フレーム44の上面に沿う前後方向に沿って並ぶ3つの受けローラ51A,51B,51Cとを有している。以下、最も後方にある受けローラを第1受けローラ51Aとし、第1受けローラ51Aの前方に隣り合う受けローラを第2受けローラ51Bとし、第2受けローラ51Bの前方に隣り合う受けローラを第3受けローラ51Cとして説明する。
【0033】
各受けローラ51A,51B,51Cの周面の一部が、受け面50よりも上方に突出している。3つの受けローラ51A,51B,51Cは、受け面50に沿う前後方向に関して、受け面50の形成領域内に配置されている。受け面50は、当該受け面50に沿う方向に関連して、取込口47の下方に配置されている。また、受け面50の前端は、取込口47から所定間隔を隔てた状態で配置されている。
【0034】
これら受け面50および3つの受けローラ51A,51B,51Cによって、証明書Pを下方から支持することができるようになっている。この証明書受け部45では、証明書Pを複数枚上下に重ねて(集積して)受けることも可能である。
本体フレーム44内には、取込口47の後ろ側に隣接して上下一対の取込みローラ対49(取込機構)が配設されている。取込みローラ対49はローラ駆動用モータ68によって駆動されるようになっている。取込みローラ対49は、取込口47に案内される用紙(証明書P)を挟んで本体フレーム44内に取り込み、証明書受け部45に向けて搬送する。取込みローラ対49は、当該受け面50に沿う方向に関連して、取込口47と、受け面50の前端との間に配置されている。
【0035】
排出口48は水平方向に延びる横長に形成されており、最大でA4のサイズの用紙を排出することが可能な長さを有している。排出口48は、受け面50に沿う前後方向に関して、受け面50の前方に配置されている。
また、排出口48に関連して、排出口48に進出して、証明書受け部45に受けられている証明書Pの前端部(排出口側の端部)を受けるための閉塞するためのストッパ62が設けられている。
【0036】
また、本体フレーム44内には、証明書受け部45に受けられた証明書Pを上から押さ付けて保持するための押さえ部46が配設されている。次に、押さえ部46について説明する。
押さえ部46は、平面視矩形状の浅い略箱状の押さえ用フレーム52の前端部に配設されている。押さえ部フレーム52はたとえば樹脂材料を用いて形成されており、その下面が開放している。
【0037】
押さえ部46は、押さえ部フレーム52の下面と合致する平坦面からなる押さえ面53と、押さえ部フレーム52の上面に沿う前後方向に沿って並ぶ3つの押さえローラ54A,54B,54Cを有している。これら3つの押さえローラ54A,54B,54Cは、3つの受けローラ51A,51B,51Cにそれぞれ対応して設けられており、対応する受けローラ51A,51B,51Cに向けて上方から押圧するためのものである。以下、最も後方にある押さえローラを第1押さえローラ54Aとし、第1押さえローラ54Aの前方に隣り合う押さえローラを第2押さえローラ54Bとし、第2押さえローラ54Bの前方に隣り合う押さえローラを第3押さえローラ54Cとして説明する。各押さえローラ54A,54B,54Cの外周の一部は、押さえ面53よりも下方に突出している。
【0038】
押さえ部フレーム52は、左右方向に水平に延びる押さえ部用揺動軸55まわりに揺動自在に設けられている。押さえ部用揺動軸55は、押さえ部フレーム52の上面に沿う前後方向の中央部よりもやや後方寄りの位置に設けられている。押さえ部フレーム52の後端部の上面には、左右方向に水平な軸線を中心とするカム係合用円筒56が形成されている。このカム係合用円筒56の外周は、後述する円板カム57の外周に当接している。
【0039】
押さえ部フレーム52には、押さえ部フレーム52を押さえ部用揺動軸55まわりに揺動させて、押さえ部46を上下動させるための押さえ部上下動機構58が結合されている。押さえ部上下動機構58は、押さえ部46を、上位置(図3参照。)と、第1の下位置(図10および図12参照。図4(b)および図4(c)参照。)との間で上下動可能に設けている。上位置は、押さえ部46が、証明書受け部45から上方(当該証明書受け部45(受け面50)に直交する上方側)に離間する位置である。また、第1の下位置は、押さえ部46が、証明書受け部45に接近して各押さえローラ54A,54B,54Cが対応する受けローラ51A,51B,51Cを押圧する位置である。紙葉類発行装置1の動作では、押さえ部46は、前記の上位置、前記の第1の下位置、および第1の下位置よりもやや上方(数mm程度)にある第2の下位置との3つの位置の間で上下動される。
【0040】
押さえ部上下動機構58は、左右方向に水平に延びる第1駆動軸59と、第1駆動軸59に固定的に取り付けられた円板カム57と、第1駆動軸59を回転させるためのクランプ作動用モータ60とを備えている。第1駆動軸59は、本体フレーム44の当該本体フレーム44の延びる方向の中央部の上面に回転可能に取り付けられている。
円板カム57の外周は、カム係合用円筒56の外周に当接している。第1駆動軸59の回動に伴う円板カム57の位相の変化に伴って、本体フレーム44に取り付けられている第1駆動軸59とカム係合用円筒56との間の距離が変化する。したがって、クランプ作動用モータ60による第1駆動軸59の回動によって、押さえ部46を第1の下位置と上位置との間で上下動させることができ、押さえ部フレーム52を本体フレーム44に対して相対的に揺動させる。
【0041】
次に、ストッパ62について説明する。
ストッパ62は、左右方向に水平に延びる長手の部材であり、長手方向に直交する断面形状が略L字状をなしている。ストッパ62は、証明書受け部45の下面に沿って延びる底面板63と、底面板63の前端縁から底面板63と垂直に立ち上がる立上り板64とを有している。ストッパ62は、排出口48に進出して、当該排出口48の少なくとも一部を閉塞することにより、証明書受け部45に受けられている証明書Pの前端縁を受け止めるためのものである。ストッパ62は、この実施形態のように、排出口48の長さ方向の全域に対して進出する構成であってもよいし、また、排出口48の長さ方向の一部に対して進出する構成であってもよい。後者の場合、排出口48に関連して複数のストッパが、排出口48の延びる方向に間隔を隔てて配設されていることが望ましい。
【0042】
ストッパ62は、連結部材(図示しない。)を介して押さえ部46に連結されており、押さえ部46の上下動に連動して上下動する。
具体的には、ストッパ62は、押さえ部46が上位置にあるとき、排出口48に進出して、証明書Pの前端縁を受け止めるための受止位置(図3参照。)に位置する。一方、押さえ部46が第1または第2下位置にあるとき、ストッパ62は、排出口48から下方に退避した退避位置(図10、図11および図12参照。)に位置する。換言すると、ストッパ62は受止位置と退避位置との間で上下動可能に設けられている。
【0043】
図3に示すように、排出口48の周囲には、受け面50に沿う方向に沿って、第1センサ(図示しない。)および第2センサ(図示しない。)が前側からこの順に配設されている。第1および第2センサは、それぞれ受け面50に直交する光軸上に用紙(証明書P)が存在しているか否かを検出するものである。第1センサは、排出口48におけるストッパ62(立上り板64)を配置するための位置(受止位置(図3参照。))よりも前方を通過する光軸を有している。第2センサは、排出口48におけるストッパ62(立上り板64)を配置するための位置(受止位置(図3参照。))よりも後方に位置する光軸を有している。第1および第2センサとして、それぞれ、たとえば投受光型の光学センサが採用されているが、これに代えて反射型の光学センサを採用するようにしてもよい。
【0044】
また、証明書受け部45に関連して、証明書受け部45に受けられている証明書Pの枚数が所定枚数に達しているか否かを検出するための第3センサ(図示しない。)が設けられている。証明書受け部45は複数枚の証明書Pを集積して受けることができるのであるが、集積可能な枚数には限度があるので、証明書受け部45に受けられている証明書Pの枚数が限度枚数に達しているか否かを第3センサによって検出している。
【0045】
次に、受けローラ51A,51B,51Cおよび押さえローラ54A,54B,54Cについて説明する。各受けローラ51A,51B,51Cおよび各押さえローラ54A,54B,54Cは、正逆回転可能に設けられている。以下、第1受けローラ51Aと第1押さえローラ54Aとの対を第1ローラ対65とし、第2受けローラ51Bと第2押さえローラ54Bとの対を第2ローラ対66とし、第3受けローラ51Cと第3押さえローラ54Cとの対を第3ローラ対67として説明する。
【0046】
第1ローラ対65は、その軸方向にたとえば2つ配置されている。2つの第1ローラ対65の幅方向の間隔は、紙葉類発行装置1によって発行される証明書Pのうち最も小さなサイズ(たとえばA6サイズ)の証明書Pの幅方向の大きさよりも狭く設定されている。
第2ローラ対66は、その軸方向にたとえば2つ配置されている。2つの第2ローラ対66の幅方向の間隔は、紙葉類発行装置1によって発行される証明書Pのうち最も小さなサイズ(たとえばA6サイズ)の証明書Pの幅方向の大きさよりも狭く設定されている。
【0047】
第3ローラ対67は、その軸方向にたとえば2つ配置されている。2つの第3ローラ対67の幅方向の間隔は、紙葉類発行装置1によって発行される証明書Pのうち最も小さなサイズ(たとえばA6サイズ)の証明書Pの幅方向の大きさよりも狭く設定されている。
なお、第1、第2および第3ローラ対65,66,67は、その軸方向にたとえば2つ配置される構成でなく、3つ以上であってもよい。この場合でも、同種の2つ以上のローラ対で同時に証明書Pを搬送できるようにされていることが望ましい。
【0048】
第1ローラ対65と第2ローラ対66との間における、受け面50に沿う前後方向に関する間隔は、紙葉類発行装置1によって発行される証明書Pのうち最も小さなサイズ(たとえばA6サイズ。)の証明書Pの長手方向の大きさよりも狭く設定されている。また、第2ローラ対66と第3ローラ対67との間における、受け面50に沿う前後方向に関する間隔は、紙葉類発行装置1によって発行される証明書Pのうち最も小さなサイズ(たとえばA6サイズ。)の証明書Pの長手方向の大きさよりも狭く設定されている。
【0049】
第1および第3ローラ対65,67は駆動ローラであり、第2ローラ対66はフリーローラである。この実施形態では、第1および第3ローラ対65,67のそれぞれにおいて押さえローラ54A,54Cをそれぞれ駆動させている。押さえローラ54A,54Cは、正逆回転可能なローラ駆動用モータ68(図9参照。)によって駆動されるようになっている。
【0050】
なお、押さえローラ54A,54Cに代えて受けローラ51A,51Cをそれぞれ駆動させるようにしてもよい。
また、ローラ対65,66,67を取込みローラ対49と共通の駆動源(ローラ駆動用モータ68)を用いて駆動させる構成に限らず、それぞれ異なるモータ等の駆動源を用いて駆動させる構成を採用することもできる。
【0051】
図4は、3つのローラ対65,66,67の構成を示す図である。
3つの押さえローラ54A,54B,54Cは、弾性部材69によって上方から弾性支持されている。弾性部材69は3段の櫛歯状をなしており、その3つの先端部分70(櫛歯部分)を下方に向けて配置されている(図4には、櫛歯状の弾性部材69の先端部分70のみを図示している。)。具体的には、櫛歯状の弾性部材69の各先端部分70には押さえローラ54A,54B,54Cを保持するためのホルダ71が設けられている。ホルダ71は、対応する押さえローラ54A,54B,54Cを回転可能に支持している。
【0052】
そして、図4(a)に示すように、3つの押さえローラ54A,54B,54Cのうち、第1および第3押さえローラ54A,54Cよりも第2押さえローラ54Bが、証明書受け部45側にやや寄って位置している。具体的には、第1および第3押さえローラ54A,54Cにおける押さえ面53から最も離れた部分よりも、第2押さえローラ54Bにおけるにおける押さえ面53から最も離れた部分が証明書受け部45側にやや寄っている。
【0053】
図3に示すように、円板カム57が第1回転姿勢(図3に示す姿勢。)にあるとき、押さえ部46は上位置にある。そのため、押さえ部46と証明書受け部45との間に、証明書Pを搬送するための搬送空間73が形成される。この状態で、ストッパ62は、排出口48に進出する受止位置にある。
また、円板カム57が第1回転姿勢と位相のずれた第2回転姿勢(図10および図12に示す姿勢。)にあるとき、押さえ部46は第1の下位置にある。この状態で、ストッパ62は、排出口48から大きく下方に退避した退避位置にある。
【0054】
押さえ部46が第1の下位置にあるときには、図4(b)および図4(c)に示すように、第2押さえローラ54Bを支持する先端部分70(弾性部材69の先端部分70)が縮むことにより、3つの押さえローラ54A,54B,54Cは、押さえ面53に沿って横一列に並ぶようになっている。
押さえ部46が第1の下位置にある状態で、押さえ面53が受け面50と略面一をなしている。受け面50と押さえ面53との間に証明書Pがあるときにおいて、ローラ駆動用モータ68(図9参照。)をたとえば正方向に回転させて、第1および第3ローラ対65,67を正方向(図4(c)に示す方向。)に回転駆動させる。このとき、回転するローラ対65,67によって、受け面50と押さえ面53との間にある証明書P、すなわち証明書受け部45に受けられている証明書Pを、排出口48に向かう排出方向A1に向けて搬送させることができる。これにより、証明書Pをプレゼンタ30外に排出させることができる。
【0055】
また、受け面50と押さえ面53との間に証明書Pがある状態で、ローラ駆動用モータ68(図9参照。)をたとえば正方向に回転させて、第1および第3ローラ対65,67を正方向(図4(c)に示す方向。)に回転駆動させる。これにより、回転するローラ対65,67によって、受け面50と押さえ面53との間にある証明書P、すなわち証明書受け部45に受けられている証明書Pを、排出口48に向かう排出方向A1に向けて搬送させることができる。その結果、証明書Pをプレゼンタ30外に排出させることができる。
【0056】
さらに、受け面50と押さえ面53との間に証明書Pがある状態で、ローラ駆動用モータ68をたとえば逆方向に回転させて、第1および第3ローラ対65,67を逆方向(図4(b)に示す方向。)に回転駆動させる。これにより、回転するローラ対65,67によって、受け面50と押さえ面53との間にある証明書Pを、排出方向A1と反対の取込方向A2に向けて搬送させることができる。
【0057】
さらに、円板カム57が第1および第2回転姿勢のそれぞれと位相のずれた第3回転姿勢(図11に示す状態。)にあるとき、押さえ部46は第2の下位置にある。押さえ部46は、第2の下位置にある状態でも第1の下位置にある状態と同様、押さえ面53が受け面50と略面一をなしている。押さえ部46が第2の下位置にあるときのローラ対65,66,67の状態を図4(a)に示す。第2の下位置にあるときでも、ストッパ62の立上り板64は退避位置に位置している。
【0058】
押さえ部46が第2の下位置にあるときは、図4(a)に示すように、第1および第3押さえローラ54A,54Cと第1および第3受けローラ51A,51Cとの間にそれぞれ間隔が開けられているが、第2押さえローラ54Bは第2受けローラ51Bを軽く押圧している。すなわち、押さえ部46が第2の下位置にあるときは、第2ローラ対66(第2押さえローラ54Bおよび第2受けローラ51B)によって証明書Pが挟持されている。
【0059】
図3を参照しつつ、プレゼンタ揺動機構43について説明する。プレゼンタ揺動機構43は、左右方向に水平に延びる第2駆動軸76と、第2駆動軸76を駆動するためのプレゼンタ揺動用モータ77と、第2駆動軸76およびプレゼンタ揺動用モータ77を支持するための支持ベース78と、第2駆動軸76に同軸に一体回転可能に取り付けられた大径円板状をなす回転板79と、回転板79の表面の所定位置と、本体フレーム44の上面凹部83とを連結する連結杆80とを備えている。上面凹部83は、本体フレーム44の上面における、プレゼンタ用揺動軸31よりも前側に設けられている。連結杆80の端部は、上面凹部83の側壁(左側または右側の側壁)に設けられた回転軸84まわりに回転可能に設けられている。
【0060】
連結杆80には、連結杆80の長手方向の中央部のやや本体部42側寄りの位置から回転板79側の端部付近まで沿って延びる長孔81が形成されている。
回転板79の表面には、前記の所定位置に、長孔81に嵌合する第1係合突起82が配設されている。この第1係合突起82はたとえば円筒状をなしている。第1係合突起82は、長孔81内を、本体部42側の端部から回転板79側の端部まで移動させることができ、かつ長孔81で回転方向の姿勢を変更可能な大きさに設定されている。
【0061】
プレゼンタ揺動用モータ77は正逆回転可能に設けられていてもよいし、所定の一方向にのみ回転可能に設けられていてもよい。プレゼンタ揺動用モータ77を一方向に向けて回転区動させることにより、回転板79が所定の一方向(図3に示す時計回りに)回転させる。第2駆動軸76の回動に伴う回転板79の回動に伴って、第1係合突起82の上下方向の位置が変化する。第1係合突起82と本体部42の上面凹部83とが連結杆80によって連結されているので、第1係合突起82の上下動に伴って、プレゼンタ用揺動軸31よりも前方に設けられた上面凹部83も上下動する。したがって、第1駆動軸59の回動に伴って、本体部42の前端部が上下動し、これにより、本体部42をプレゼンタ用揺動軸31まわりに揺動させることができる。
【0062】
回転板79が第1回転姿勢(図3参照。)にあるとき、本体部42は受入姿勢(図3参照。)にある。回転板79が第2回転姿勢(図11参照。)にあるとき、本体部42は出力姿勢(図11参照。)にある。回転板79が第3回転姿勢(図12参照。)にあるとき、本体部42は回収姿勢にある(図12参照。)。
図5および図6は、取出口ユニット24の断面図である。図5は、シャッタ88の開状態を示し、図6は、シャッタ88の閉じ状態を示す。
【0063】
図5および図6を参照して、取出口ユニット24について説明する。
取出口ユニット24は、下方および後方が開放した略箱状に形成されており、上面板86と、上面板86の前端から垂れ下がる前面板87とを備えている。前面板87に横長でかつ小幅の取出口16が形成されており、前面板87の前面には第1垂直面5が形成されている。
【0064】
取出口ユニット24の内側には、取出口16に関連して、取出口16を開閉するためのシャッタ88が設けられている。シャッタ88は、取出口16を閉塞可能な横長の矩形板状のシャッタ本体89と、シャッタ本体89の一端縁(たとえば左端縁)から、シャッタ本体89と垂直に後方に延びる係合片90とを有している。
シャッタ本体89は、横長でかつ小幅の透孔101が形成されている。シャッタ本体89の透孔101付近は、後方に向けて湾曲し、その後端によって透孔101が区画されている。透孔101の形状および大きさは、取出口16の形状および大きさと一致している。
【0065】
係合片90は略P字状をなし、シャッタ本体89の上下方向全域にわたって形成されている。係合片90の上部は矩形の矩形板部91を有し、矩形板部91には係合凹所92が形成されている。
シャッタ88は、シャッタ本体89が取出口16を開放する開状態(図5参照。)と、取出口16を閉塞する閉じ状態(図6参照。)との間で昇降可能に設けられている。具体的には、シャッタ88が開状態にあるとき取出口16と透孔101とが互いに整合して、取出口16が開放する。一方、シャッタ88が閉じ状態にあるとき取出口16と透孔101とが整合せず、取出口16はシャッタ本体89のケーシングによって閉塞される。
【0066】
シャッタ88は、プレゼンタ30の本体部42(図3、図10、図11および図12参照。)の揺動に連動して昇降可能に構成されている。本体部42が出力姿勢(図11参照。)にあるときは、シャッタ88は開状態にあり、本体部42が受入姿勢(図3参照。)または回収姿勢(図12参照。)にあるときは、シャッタ88は閉じ状態にある。
シャッタ88には、緩やかに下方に向けて屈曲しながら延びる立板状の揺動レバー93の前端部が結合されている。揺動レバー93は、取出口ユニット24の左側板94の内壁に固定されたレバー用揺動軸(第2揺動軸)120まわりに揺動可能に取り付けられている。揺動レバー93は、基端板状部95と、基端板状部95の前端に設けられた先端板状部96とを備えている。基端板状部95は、上下均一幅で直線状に横方向に延びている。先端板状部96は、基端板状部95と所定の鈍角(たとえば120°程度)をなしつつ、前端に向かうに従って広がる扇状に形成されている。先端板状部96の内側の表面の前端には、円筒状の第2係合突起(係合突起)97が形成されている。第2係合突起97は係合凹所92内に嵌って、当該係合凹所92の周壁と係合する。先端板状部96の後側縁98は直線状をなしており、直線状をなす基端板状部95の下側縁99と連続し、下側縁99の前端から斜め下方前方に向けて屈曲している。先端板状部96の後側縁98は、基端板状部95の下側縁99と所定の鈍角(たとえば135°程度)をなしている。先端板状部96の下側縁102は直線状をなしており、先端板状部96の後側縁98の後端から斜め前方に向けて屈曲している。先端板状部96の下側縁102は、基端板状部95の下側縁99とほぼ平行に延びている。
【0067】
受入姿勢にあるプレゼンタ30が出力姿勢に向けて揺動されると、レバー係合用円筒74の外周が揺動レバー93における先端板状部96の下側縁102の後端部に当接(係合)するようになる。その後、プレゼンタ30が出力姿勢に向けてさらに揺動されることにより、当該揺動レバー93が、その前端部が上昇するように揺動する。この揺動レバー93の揺動に伴って係合片90は持ち上がり、これに伴ってシャッタ本体89は持ち上がる。
【0068】
図7は、図5に示す状態における係合凹所92と第2係合突起97との位置関係を示す拡大図である。図8は、図6に示す状態における係合凹所92と第2係合突起97との位置関係を示す拡大図である。
係合凹所92はたとえば孔である。係合凹所92は、前後方向に延びる略矩形細長の矩形凹所104と、矩形凹所104の後端部に、当該矩形凹所104に連続して下方に向かって延びる後凹所105(下端部)とを備えている。
【0069】
後凹所105は、後側が直角をなす直角台形をなしている。後凹所105の上底は下底より長い。後凹所105の後端壁は、矩形凹所104の後端壁と同一直線状にある。これらの後端壁によって、係合凹所92の後端縁106が形成されている。
後凹所105の下端壁108は、前後方向に延びる直線状であり、矩形凹所104の上端壁109と平行である。後凹所105の前端壁110(案内壁)は、上方に向かうに従って前方に向かう傾斜直線状をなしている。より具体的には、前端壁110の勾配は、レバー用揺動軸120を中心とする、閉じ位置111を含む円周の当該閉じ位置111における接線Lよりも大きくなるように設定されている。後凹所105の前端壁110の上端は、矩形凹所104の下端壁に連続している。
【0070】
シャッタ88が閉じ状態にあるとき(図6に示す状態にあるとき。)、係合凹所92と係合する揺動レバー93は下姿勢(図6に示す姿勢。)をなしている。このとき、第2係合突起97が、係合凹所92の後凹所105に設けられた閉じ位置111に位置している(嵌まってる)。具体的には、閉じ位置111に位置する第2係合突起97は、後凹所105の下端壁108および前端壁110に係合している(2つの端壁108,110の双方に当接している)。
【0071】
一方、シャッタ88が開状態にあるとき(図5に示す状態にあるとき。)、係合凹所92と係合する揺動レバー93は上姿勢(図5に示す姿勢。)をなしている。このとき、第2係合突起97が、矩形凹所104の前端部に設けられた開位置112に位置している。シャッタ88の開閉時には、閉じ位置111と開位置112との間を、第2係合突起97が、後凹所105の前端壁110および矩形凹所104の下端壁に案内されつつ移動する。
【0072】
ところで、シャッタ88が閉じ状態にあるとき、第2係合突起97が閉じ位置111に位置している。閉じ状態にあるシャッタ88を開くために当該シャッタ88を直接上方移動させる場合、第2係合突起97に対しても上向きの力が作用する。しかしながら、揺動レバー93の先端部に設けられている第2係合突起97は、レバー用揺動軸120を中心とする円弧軌道に沿う回動しか許容されていない。そのため、係合凹所92の閉じ位置111に位置する第2係合突起97が、勾配の大きな前端壁110と干渉し、第2係合突起97が閉じ位置111から移動することができない。すなわち、前端壁110と第2係合突起97との係合が解除されない。したがって、閉じ状態にあるシャッタ88を、当該シャッタ88を直接移動操作させて開状態にすることはできず、これにより、利用者がシャッタ88を持ち上げて当該シャッタ88を開けるのを防止することができる。
【0073】
なお、係合凹所92が孔であるとして説明したが、係合凹所92が溝であってもよい。
図9は、紙葉類発行装置1の電気的構成を示すブロック図である。
制御ユニット27には、プレゼンタ30に含まれる、ローラ駆動用モータ68、クランプ作動用モータ60およびプレゼンタ揺動用モータ77が制御対象として接続されている。また、制御ユニット27にはプリンタ25が制御対象として接続されている。
【0074】
また、制御ユニット27には、第1〜第3センサの検出出力が入力されるようになっている。
さらに、図9には図示していないが、制御ユニット27には、紙葉類発行装置1に含まれる各構成、たとえば表示操作部12(図1参照。)、ICカードリーダ部14(図1参照。)、磁気カードリーダ部15(図1参照。)、スピーカ18(図1および図2参照。)、領収書発行部(図示しない。)等が接続されている。
【0075】
図1および図3に示すように、紙葉類発行装置1から証明書Pを発行させるためには、利用者は表示操作部12(図1参照。)において発行操作を行う必要がある。そして、制御ユニット27は、表示操作部12からの指示信号に応答して、プリンタ25に印字指示を行う。印字すべき証明書Pに対応するサイズの用紙が、給紙トレイから繰り出され、プリンタ本体部32に付与される。そして、プリンタ本体部32によって所定の証明内容が用紙に印字され、印字済みの用紙(証明書P)が排紙経路35を搬送され、排紙ローラ対37によるプリンタ排出口36から排出(出力)される。このとき、プリンタ排出口36から出力される証明書Pの後端部(排出方向側端部)は、排紙ガイド38によって斜め後ろ上方に向いている。
【0076】
本体部42が図3に示す状態で、プリンタ25から出力された証明書Pを、プレゼンタ30は本体部42内に引き込み、この証明書Pを証明書受け部(紙葉類受け部)45で受ける。証明書受け部45に受けられている証明書Pを押さえ部46によって当該証明書受け部45に押さえる。この状態で、本体部42を図11に示す状態に姿勢変更させ、その後、プレゼンタ30が証明書Pを排出口48から排出し、取出口16から出力する。さらに、取出口16から出力した証明書Pが抜き取られなかった場合には、プレゼンタ30は証明書Pを、再度本体部42内に引き込むとともに、本体部42を図12に示す状態に姿勢変更させる。そして、図12に示す状態にある本体部42(本体フレーム44)の下面開口100から証明書Pを放出することにより、プリンタ25の排出面34の回収トレイ39に証明書Pが回収される。
【0077】
プリンタ25が出力する証明書Pを、プレゼンタ30が受け入れる場合のプレゼンタ30の状態を図3に示す。この図3に示す状態では、本体部42は受入姿勢にある。また、押さえ部46は上位置にあり、ストッパ62は受止位置に位置している。また、レバー係合用円筒74は取出口ユニット24の下方に大きく退避しており、レバー係合用円筒74と揺動レバー93とは当接(係合)していない。
【0078】
本体部42の受入姿勢では、本体部42の前端部が本体部42の後端部よりも下がって、本体部42の前端部が上面凹部41内に進入している。このとき、取込口47はプリンタ排出口36に対向している。そして、プリンタ排出口36から出力される証明書Pの後端部は、排紙ガイド38によって案内されて、取込口47に導かれるようになっている。
また、プレゼンタ30が証明書Pを受け入れる場合には、制御ユニット27がローラ駆動用モータ68を逆方向に回転制御して取込みローラ対49を(取込み方向に)回転駆動させる。このとき、取込口47に導かれる証明書Pは、回転する取込みローラ対49に挟まれて本体フレーム44内に取り込まれ、取込みローラ対49によって排出方向A1と反対の取込方向A2に向けて搬送される。この証明書Pは搬送空間73を経由して、プリンタ25の排出面34に受け渡される。
【0079】
取込みローラ対49によって完全に取り込まれた状態では、証明書受け部45が証明書Pの前端部を下方から受け、それ以外の部分を排出面34が下方から受けるようになる。プリンタ25が出力する証明書Pが連続して取引口47に導かれる場合には(つまり、1回の証明書発行取引に関して複数枚の証明書Pを発行する場合には)、証明書受け部45および排出面34によって受けられている証明書Pの上に新たな証明書Pが重ねられるようになる。換言すると、証明書受け部45および排出面34は、複数枚の証明書Pを集積状態で受け止めることができる。
【0080】
また、プレゼンタ30の図3に示す状態において、証明書受け部45および排出面34に受けられている証明書Pは、その前端部が後端部よりも下がっており、証明書Pの前端部が、ストッパ62によって受け止められる。したがって、証明書受け部45および排出面34に複数枚の証明書Pが集積状態で受けられている場合、これら複数枚の証明書Pの前端縁を揃えることができる。
【0081】
制御ユニット27のメモリにプリンタ25の出力データがある間は、プレゼンタ30は図3に示す状態に保たれている。プリンタ25の出力データがメモリからなくなり、出力すべき証明書Pの全てがプリンタ25から出力されたときに、制御ユニット27は、円板カム57が第2回転姿勢になるようにクランプ作動用モータ60を制御する。これにより、押さえ部46は第1の下位置に位置するようになるとともに、ストッパ62は、退避位置に配置される。また、図4(b)および図4(c)に示すように、証明書受け部45に受けられた証明書Pは、3対のローラ対65,66,67によって挟持されるようになる。なお、後述する証明書Pの排出時まで、押さえ部46の位置は第1の下位置に維持される(図10参照。)。
【0082】
次いで、制御ユニット27はプレゼンタ揺動用モータ77を制御して、回転板79を第2回転姿勢になるまで前記の一方向まわりに回転させる。これにより、プレゼンタ30の本体部42が出力姿勢(図11参照。)に向けて揺動される。
図10は、本体部42が受入姿勢から出力姿勢にまで揺動される途中にある、紙葉類発行装置1の要部の構成を示す図である。図11は、本体部42が出力姿勢にあるときの紙葉類発行装置1の要部の構成を示す図である。
【0083】
受入姿勢にあるプレゼンタ30が出力姿勢に向けて揺動されると、本体部42の前端部が上昇し、図10に示すように、レバー係合用円筒74の周面が、揺動レバー93の先端板状部96の下側縁102の前端と当接(係合)するようになる。
その後、さらに本体部42の前端部が上昇するように本体部42が揺動されると、レバー係合用円筒74は揺動レバー93を上方に押し上げる。したがって、揺動レバー93が上方に揺動し、これによりシャッタ88が開状態に向けて上昇する。そして、本体部42の前端部の上昇に伴って、レバー係合用円筒74が、揺動する先端板状部96の下側縁102の後方側に向けて、下側縁102によって案内される。レバー係合用円筒74は、先端板状部96の下側縁102の後端に達した後、次いで先端板状部96の後側縁98に案内され、後側縁98上端に達すると、次いで基端板状部95の下側縁99に案内される。
【0084】
また、本体部42の前端部の上昇に伴って、第2係合突起97が閉じ位置111から開位置112に向けて移動する。
図11に示すように、本体部42が出力姿勢にある状態では、本体部42の前端部が本体部42の後端部よりも上がっており、本体部42の前端部が、上面凹部41内から上方に退避している。
【0085】
この図11に示す状態では、揺動レバー93は上姿勢(図5に示す姿勢。)をなしており、シャッタ88が開状態にある。そのため、取出口16が開放している。本体部42が出力姿勢にあるときは、レバー係合用円筒74が基端板状部95の下側縁99の前端に位置するとともに、第2係合突起97が開位置112にある。
そして、取出口16が開放している状態で、制御ユニット27は、ローラ駆動用モータ68を正方向に回転駆動して、第1および第3ローラ対65,67を図4(c)に示す正方向に回転駆動させる。これにより、受け面50と押さえ面53との間にある証明書Pを、排出方向A1に向けて搬送する。ストッパ62が退避位置にあるので、ストッパ62が、搬送される証明書Pに干渉しない。したがって、証明書Pを排出口48から排出させることができ、排出口48に対向している取出口16から証明書Pを出力させることができる。
【0086】
この実施形態では、出力すべき証明書Pの全ての部分を取出口16から飛び出させるのではなく、証明書Pの前端部だけが取出口16に飛び出している。証明書受け部45に複数枚の証明書Pが集積状態で受けられている場合、その複数枚の証明書Pの前端縁は揃っているので、取出口16から飛び出す証明書Pの前端部の前端縁は、用紙サイズの異同に拘らず揃っている。
【0087】
証明書Pの前端部だけが取出口16に飛び出した状態では、証明書Pの途中部(証明書Pの用紙サイズがA6である場合には、証明書Pの後端部)は、フリーローラである第2ローラ対66によって挟持されている。したがって、1つのローラ対66のみで挟持されているので、他のローラ対65,67と併せて挟持する場合と比較して、利用者による紙葉類の取出口16からの引抜きを容易にすることができる。しかも、この第2ローラ対66がフリーローラであるので、第2ローラ対66が駆動ローラである場合と比較して、利用者による紙葉類の取出口16からの引抜きをより一層容易にすることができる。
【0088】
具体的には、制御ユニット27は、予め定める量だけ証明書Pが取出口16から飛び出るようにローラ駆動用モータ68を駆動した後、そのローラ駆動用モータ68を駆動停止させる。そのため、第1および第3ローラ対65,67が回転停止する。その後、制御ユニット27は、円板カム57が第3回転姿勢になるようにクランプ作動用モータ60を制御する。これにより、押さえ部46は第2の下位置に位置するようになり、受け面50と押さえ面53との間にある、証明書Pの残りの部分が、第2ローラ対66(第2押さえローラ54Bおよび第2受けローラ51B)によって挟持される。なお、この実施形態では、最も小さい用紙サイズの証明書P(たとえばA4サイズ)が、その前端部を取出口16から飛び出した状態で、第2ローラ対66によってこの証明書Pの一部(たとえば後端部)を挟持することが可能なように、第2ローラ対66と排出口48(取出口16)との間の間隔が設定されている。
【0089】
そして、取出口16から飛び出している証明書Pの前端部を、利用者が掴んで手前側に引き抜くことにより、本体フレーム44から証明書Pが排出される。これにより、利用者は、紙葉類発行装置1が発行した証明書Pを受け取ることができる。
取出口16に証明書Pが出力された後、証明書Pが抜き取られることなく予め定める時間が経過した場合には、制御ユニット27は、円板カム57が第2回転姿勢になるようにクランプ作動用モータ60を制御して、押さえ部46を第1の下位置に位置させる。また、制御ユニット27は、ローラ駆動用モータ68を逆方向に回転駆動して、第1および第3ローラ対65,67を図4(b)に示す逆方向に回転駆動させる。これにより、排出口48から排出された証明書Pが取込方向A2に向けて搬送され、この排出済みの証明書Pを本体フレーム44内に再度取り込むことができる。このとき、第1および第3ローラ対65,67の回転駆動は、証明書Pが本体フレーム44内に収容されるまで続行され、証明書Pの前端部が本体フレーム44内に収容されると停止される。
【0090】
その後、制御ユニット27は、プレゼンタ揺動用モータ77を回転駆動制御して、回転板79が第3回転姿勢(図3参照。)になるまで、回転板79を前記一方向の逆の他方向に回転させる。これにより、本体部42が回収姿勢に向けて揺動される。
本体部42の前端部の下降に伴って、レバー係合用円筒74が下降する。揺動レバー93には、揺動レバー93およびシャッタ88の自重を受けて、下姿勢に向けて力が作用している。そのため、レバー係合用円筒74の下降に伴って、揺動レバー93は下向きに揺動してレバー係合用円筒74との間の係合が外れ、シャッタ88が下降する。そして、シャッタ88は閉じ状態(図6参照。)になる。
【0091】
これにより、プレゼンタ30が図12に示す状態になる。図12は、本体部42が回収姿勢にあるときの紙葉類発行装置1の要部の構成を示す図である。
図12に示すように、本体部42が回収姿勢にある状態では、本体部42の前端部が本体部42の後端部よりもやや上がっており、本体部42の前端部が、上面凹部41内から上方に退避している。
【0092】
本体部42が回収姿勢のときは、押さえ部46は第1の下位置に位置している。また、制御ユニット27は、ローラ駆動用モータ68を逆方向に回転駆動して、第1および第3ローラ対65,67を図4(b)に示す逆方向に回転駆動させる。これにより、証明書受け部45と押さえ部46とによって保持されている証明書Pをさらに取込方向A2に向けて搬送する。これにより、本体フレーム44の下面開口100から斜め下後方に向けて証明書Pを放出させることができる(証明書Pの搬送状態を、図12に二点鎖線で図示)。本体フレーム44から放出された証明書Pは、排出面34に沿って下方にすべり落ち、その前端縁が回収トレイ39の受止突起40によって受け止められる。これにより、取出口16から抜き取られなかった証明書Pを回収トレイ39に回収することができる。
【0093】
以上によりこの実施形態によれば、本体部42が受入姿勢にあるとき、プリンタ25が出力する印字済みの証明書Pは、証明書受け部45に受けられる。そして、押さえ部46によって証明書Pが押さえられつつ、受入姿勢から出力姿勢に本体部42がプレゼンタ用揺動軸31まわりに揺動される。本体部42が出力姿勢になった後、証明書受け部45から証明書Pが排出されることにより、取出口16から出力させられる。これにより、プリンタ25が出力した証明書Pを取出口16から良好に出力させることができる。しかも、本体部42が証明書Pを保持したまま揺動するので、その分だけ証明書Pの搬送経路上の移動距離を短縮させることができる。ゆえに、証明書Pの詰まりなどのトラブルの発生を抑制することができる。
【0094】
また、取出口16から抜き取られなかった証明書Pを再度証明書受け部45に取り込むことが可能であり、本体部42を回収姿勢にして、この証明書Pを、本体部42(本体フレーム44)の下面開口100から放出することにより、抜き取られなかった証明書Pを回収トレイ39に回収することができる。
さらに、受入姿勢から出力姿勢へのプレゼンタ30の揺動に連動して、閉じ状態にあるシャッタ88が開状態に移動させられるとともに、プレゼンタ30の出力姿勢からの退避に伴って、開状態にあったシャッタ88が、当該シャッタ88の自重により閉じ状態に移動させられる。そのため、シャッタ88を駆動するための専用の機構を設けることなく、シャッタ88を開閉させることができる。しかも、本体部42が出力姿勢にあるときに、シャッタ88を開状態にさせ、本体部42が受入姿勢(図3参照。)または回収姿勢(図12参照。)にあるときに、シャッタ88を閉じ状態にさせるので、シャッタの開閉タイミングを所望のタイミングにすることができる。
【0095】
以上この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、本体部42が受入姿勢と出力姿勢との間で揺動される構成を例に挙げて説明したが、本体部42を受入状態と出力状態との間で昇降させる構成をこれに代えて採用することもできる。
【0096】
また、回転板79を一方向に回転させることにより、プレゼンタ30の本体部42を、受入姿勢、出力姿勢および回収姿勢の順で姿勢変化させたが、回転板79を双方向に回転させることにより、プレゼンタ30の本体部42を、受入姿勢、出力姿勢および回収姿勢の順で姿勢変化させるようにしてもよい。
また、さらにプレゼンタ30の本体部42の揺動に連動してシャッタ88を開閉させる構成を例に挙げたが、シャッタ88の開閉を行うための駆動機構が別途設けられており、シャッタ88の開閉動作がシャッタ88の揺動と無関係に実行されていてもよい。
【0097】
回転板79を一方向に回転させることにより、プレゼンタ30の本体部42を、受入姿勢、出力姿勢および回収姿勢の順で姿勢変化させたが、回転板79を双方向に回転させることにより、プレゼンタ30の本体部42を、受入姿勢、出力姿勢および回収姿勢の順で姿勢変化させるようにしてもよい。
また、この発明は、証明書発行機以外にも、伝票、チケット、クーポンなど所定様式の印刷物を発行する装置や、利用者が希望する画像等を印刷して発行するイメージ印刷装置など、印刷した紙葉類を発行する装置等に適用可能である。
【0098】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 紙葉類発行装置
2 ハウジング
16 取出口
30 プレゼンタ
31 プレゼンタ用揺動軸(第1揺動軸)
74 レバー係合用円筒(係合部材)
88 シャッタ
92 係合凹所
93 揺動レバー
97 第2係合突起(係合突起)
110 前端壁
120 レバー用揺動軸(第2揺動軸)
L 接線
【技術分野】
【0001】
この発明は、証明書発行機などの紙葉類発行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、証明書発行機などの紙葉類発行装置が知られている。この紙葉類発行装置は、箱状のハウジングと、ハウジング内に収容されるプリンタとを備えている。ハウジングの前面には、プリンタによって印字された紙葉類を出力(発行)するための横長の取出口が開口している(たとえば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2944375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、取出口は、通常、シャッタによって開閉可能とされている。通常、取出口はシャッタによって閉塞されており、用紙の排出時にだけシャッタが開状態にされて、取出口が開放される。取出口をシャッタによって開閉する構成では、シャッタを駆動するための機構が必要になる。
しかしながら、シャッタの開閉を駆動するための専用の機構を設けるとすると、コストアップにつながるおそれがある。
【0005】
この発明は、このような背景の下でなされたものであり、シャッタを駆動するための専用の機構を設けることなく、シャッタを開閉させることができる紙葉類発行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、紙葉類を発行するための紙葉類発行装置であって、ハウジングと、ハウジングに形成されて、紙葉類を発行するための取出口と、前記取出口を開閉するためのシャッタと、前記ハウジング内に、紙葉類を受け入れ可能な受入状態と、受けている紙葉類を前記取出口に排出可能な出力状態との間で移動可能に収容されたプレゼンタと、前記受入状態と前記出力状態との間の前記プレゼンタの移動に連動して、前記シャッタを、前記取出口を閉塞する閉じ状態と前記取出口を開放する開状態との間で移動させる連動機構とを備えることを特徴とする、紙葉類発行装置である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記プレゼンタは、前記受入状態と、前記出力状態との間で第1揺動軸まわりに揺動可能に設けられていることを特徴とする、請求項1記載の紙葉類発行装置である。
請求項3記載の発明は、前記連動機構は、前記プレゼンタの前記受入状態から前記出力状態への移動に連動して、前記閉じ状態にある前記シャッタを前記開状態に移動させることを特徴とする、請求項1または2記載の紙葉類発行装置である。
【0008】
請求項4記載の発明は、前記連動機構は、前記シャッタを支持して、第2揺動軸まわりに揺動可能に設けられた揺動レバーと、前記プレゼンタに固定され、前記揺動レバーと係合可能に設けられた係合部材とを有し、前記受入状態から前記出力状態への前記プレゼンタの移動に伴って、前記係合部材が前記揺動レバーと係合して当該揺動レバーを揺動させることを特徴とする、請求項1〜3記載の紙葉類発行装置。
【0009】
請求項5記載の発明は、前記シャッタは、前記閉じ状態と当該閉じ状態の上方にある前記開状態との間で昇降可能に設けられており、前記連動機構は、前記シャッタを支持して、第2揺動軸まわりに揺動可能に設けられた揺動レバーを有し、前記揺動レバーおよび前記シャッタの一方は、その先端部に係合突起を有し、前記揺動レバーおよび前記シャッタの他方は、前記係合突起に嵌って係合するための係合凹所を有し、前記係合凹所は、前記シャッタが前記閉じ状態にあるときにおける前記係合突起の前記係合凹所に対する相対位置である閉じ位置と、前記シャッタが前記開状態にあるときにおける前記係合突起の前記係合凹所に対する相対位置である開位置との間で、前記係合突起を案内する案内壁を有することを特徴とする、請求項1〜4記載の紙葉類発行装置である。
【0010】
請求項6記載の発明は、前記案内壁は、前記第2揺動軸を中心とする、前記係合凹所の前記下端部を含む円周の当該下端部における接線よりも急な勾配を有する傾斜壁を含むことを特徴とする、請求項5記載の紙葉類発行装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の構成によれば、受入状態と前記出力状態との間のプレゼンタの移動に連動して、シャッタを閉じ状態と開状態との間で移動させることができる。そのため、シャッタを駆動するための専用の機構を設けることなく、シャッタを開閉させることができる。
請求項2の構成によれば、プレゼンタが、受入状態から出力状態まで揺動軸まわりに揺動される。これにより、簡単な構成で、プレゼンタを受入状態と出力状態との間で移動させることができる。揺動軸は水平軸であってもよい。この場合、(出入り口)を上下動させることができる。
【0012】
請求項3の構成によれば、受入状態から出力状態へのプレゼンタの移動に連動して、閉じ状態にあるシャッタが開状態に移動させられる。そのため、シャッタを駆動するための専用の機構を設けることなく、シャッタを開状態にさせることができる。
また、この場合、開状態にあるシャッタは、シャッタの自重によって閉じ状態に移動させられるものであってもよい。これにより、シャッタを駆動するための専用の機構を設けることなく、シャッタを開閉させることができる。
【0013】
請求項4の構成によれば、受入状態から出力状態へのプレゼンタの移動に伴って、係合部材が揺動レバーと係合して揺動レバーを揺動させる。これにより、プレゼンタの移動に連動してシャッタを開閉させることができる。
請求項5の構成によれば、揺動レバーおよびシャッタの一方に設けられた係合突起が、揺動レバーおよびシャッタの他方に設けられた係合突起に嵌って係合している。そして、シャッタが閉じ状態から開状態に変位する場合に、係合突起は係合凹所を、閉じ位置から開位置までとの間で案内壁によって案内されつつ移動する。
【0014】
請求項6の構成によれば、案内壁は、第2揺動軸を中心とする、係合凹所の前記閉じ位置を含む円周の当該閉じ位置における接線よりも勾配の大きな傾斜壁を含んでいる。シャッタが閉じ状態にあるときには、係合突起は閉じ位置にある。閉じ状態にあるシャッタを開くために当該シャッタを直接移動操作させる場合、係合突起に、当該係合突起を係合凹所に対して上下方向に相対変位させる力が作用する。しかしながら、揺動レバーの先端部に設けられている係合突起は、第2揺動軸を中心とする円弧軌道に沿う回動しか許容されていないので、係合凹所の閉じ位置に位置する係合突起が、勾配の大きな案内壁と干渉し、係合突起が閉じ位置から移動することができない。すなわち、案内壁と係合凹所との係合が解除されない。したがって、閉じ状態にあるシャッタを、当該シャッタを直接移動操作させて開状態にすることはできず、これにより、利用者がシャッタを直接操作して当該シャッタを開けるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施形態に係る紙葉類発行装置を正面側から見た斜視図である。
【図2】図1に示す紙葉類発行装置において、上カバーおよび下カバーを解放した状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示す紙葉類発行装置の要部の構成を示す図である(その1)。
【図4】押さえ部の押さえローラ、および証明書受け部の受けローラの構成を示す図である。
【図5】シャッタの開状態における取出口ユニットの断面図である。
【図6】シャッタの閉じ状態における取出口ユニットの断面図である。
【図7】図5に示す状態における係合凹所と係合突起との位置関係を示す拡大図である。
【図8】図5に示す状態における係合凹所と係合突起との位置関係を示す拡大図である。
【図9】図1に示す紙葉類発行装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】図1に示す紙葉類発行装置の要部の構成を示す図である(その2)。
【図11】図1に示す紙葉類発行装置の要部の構成を示す図である(その3)。
【図12】図1に示す紙葉類発行装置の要部の構成を示す図である(その4)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1および図2は、この発明の一実施形態に係る紙葉類発行装置1を正面側から見た斜視図である。図1には、次に述べる上カバー7および下カバー9を閉じた状態を示し、図2には、上カバー7および下カバー9を開けた状態を示している。
この実施形態では、図1に示す紙葉類発行装置1は、大学や専門学校等の学校に設置される証明書発行機である。利用者によって指定された種類の証明書(紙葉類)が紙葉類発行装置1から発行される。この紙葉類発行装置1は、たとえばA4サイズおよびA6サイズの2種類の証明書Pを発行できるようになっている。
【0017】
紙葉類発行装置1は、前面が開放した中空の筐体構造のハウジング2を備えている。
図2に示すように、ハウジング2の前面の上部には、そのほぼ全域に矩形の上部開口3(図2参照。)が開口している。ハウジング2の前面の下部には、そのほぼ全域に矩形の下部開口4(図2参照。)が開口している。下部開口4は上部開口3よりも手前側に張り出している。上部開口3と下部開口4との間には、上部開口3側から、第1垂直面5と水平面6とが形成されている。第1垂直面5は下方に略垂直に延びる小幅の垂直面である。水平面6は、第1垂直面5の下端から前側へ略水平に延びる小幅の水平面である。
【0018】
上部開口3は上カバー7によって覆われている。上カバー7は、ハウジング2の前面の上端部に沿って延びる回動軸まわりに上開き可能に取り付けられている。上カバー7の前面は、その上端側に向かうに従って後側へ少し傾斜して延びる第1傾斜面8(図1参照。)を有している。図1に示す上カバー7の閉じ状態で、下カバー9の第1傾斜面8の下部は第1垂直面5に連なっている。
【0019】
下部開口4は、下カバー9によって覆われている。上カバー7は、ハウジング2の前面下部の右端部に沿って延びる回動軸まわりに横開き可能に取り付けられている。下カバー9の前面の上端部には、その下端側に向かうに従って前側へ傾斜して延びる小幅の第2傾斜面10が形成されている。下カバー9の前面の上端部を除く領域には、第2傾斜面10の下端に連なり、下方へ略垂直に延びる第2垂直面11が形成されている。
【0020】
図1および図2を参照して、第1傾斜面8では、その左側位置に、表示操作部12(図1参照。)が設けられている。表示操作部12は、幅広の矩形状をなす液晶の表示画面と、表示画面の表面を覆うように表示画面の上(表面)に積層された透明なタッチパネルとを有するタッチパネルディスプレイを備えている。この表示操作部12には、ガイダンス等が表示されるようになっている。
【0021】
第1傾斜面8の右側位置には、カードリーダ部13(図1参照。)が配置されている。カードリーダ部13は、ICカードを読み取るためのICカードリーダ部14(図1参照。)と、表示操作部12とICカードリーダ部14との間に配置されて、磁気カードを読み取るための磁気カードリーダ部15(図1参照。)とを備えている。
第1垂直面5では、その左側位置に、利用者に対し証明書を発行するための横長の矩形形状の取出口16が設けられている。取出口16は、下方および後方が開放した略箱状の取出口ユニット24に設けられている。取出口ユニット24の前面には、第1垂直面5が形成されている。紙葉類発行装置1では、取出口16から発行された証明書は、その前端部だけが取出口16から飛び出した状態で保持されている。利用者は、取出口16から飛び出す証明書の前端部を掴んで手前側に引き抜くことにより、紙葉類発行装置から発行された証明書を受け取ることができる。
【0022】
第1垂直面5の右側位置には利用者に領収書を発行するための領収書発行口17と、音声情報を出力するためのスピーカ18とが左右に並んで設けられている。また、ハウジング2内には、領収書発行口17の奥側に、領収書発行部(図示しない。)が配設されている。領収書発行部は、発行された証明書の明細や手数料を記録用紙に印字し、それを領収書発行口17からハウジング2の前方に向けて出力する。
【0023】
第2傾斜面10の右側には、証明書発行のための手数料である紙幣を投入するための紙幣投入口19(図1参照。)と、証明書発行のための手数料である硬貨を投入するための硬貨投入口20(図1参照。)とが左右に並んで設けられている。硬貨投入口20(図1参照。)の下隣には、紙幣投入口19または硬貨投入口20に投入した手数料を返却するために操作される返却レバー21(図1参照。)が設けられている。
【0024】
第2垂直面11の上部には、車椅子使用者のためのユニバーサルデザイン目的の補助用のハンドル29が設けられている。
第2垂直面11の右下部には、投入した手数料(お釣りも含む。)や硬貨投入口20に硬貨以外の異物が投入された場合の当該異物が返却される返却口22(図1参照。)とが設けられている。第2垂直面11の上端部の幅方向略左寄りには、紙葉類発行装置1の前に利用者がいるか否かを検知するための人感センサ23(図1参照。)が設けられている。
【0025】
図2に示すように、ハウジング2内の下半分には、証明書を出力するためのプリンタ25が収容されている。プリンタ25はハウジング2内の前方に引出し可能に設けられている。プリンタ25の給紙トレイには、証明書の原紙になる種々のサイズ(たとえばA4サイズおよびA6サイズ。)の用紙が収納されている。プリンタ25がこれらの用紙に証明内容を印字し、これにより証明書が作成される。プリンタ25として、いわゆるレーザプリンタやサーマルプリンタなどを用いることができる。プリンタ25の上方には、プリンタ25から出力された証明書を取出口16から出力させるためのプレゼンタ(紙葉類搬送手段)30が配置されている。
【0026】
ハウジング2内には、プリンタ25の右隣に、投入された紙幣を収納しておくための紙幣収納庫26が配置されている。また、ハウジング2内には、上部開口3の奥側に、たとえばマイクロコンピュータを含む構成の制御ユニット27が配設されている。
下カバー9の裏面には、投入された硬貨や釣銭用の硬貨を収納しておくための硬貨収納庫28が配置されている。
【0027】
図3は、紙葉類発行装置1の要部の構成、すなわちプリンタ25のプリンタ本体部32の上部、プレゼンタ30および取出口ユニット24の各構成を示す図である。
プリンタ25の上面は、その断面形状が略L字状に切り欠かれている。具体的には、プリンタ本体部32の略平坦面からなる上面には、当該平坦面に対してほぼ垂直な第3垂直面33と、第3垂直面33の下端に連続して後方に向かうに従って高くなる傾斜面からなる排出面34とが形成されている。排出面34は上方に向けて凸になる凸湾曲面に形成されている。第3垂直面33と排出面34とによって、略V字状をなす上面凹部41が形成されている。
【0028】
プリンタ本体部32内の上部には、証明書Pを排紙するための排紙経路35が形成されている。排紙経路35が第3垂直面33に開口して、横長のプリンタ排出口36が形成されている。プリンタ排出口36に関連して、排紙経路35を搬送されてくる印字済みの用紙(証明書P)を送り出してプリンタ排出口36から排出(出力)させるための排紙ローラ対37と、プリンタ排出口36から出力される証明書Pを斜め後ろ上方に向けて案内する排紙ガイド38とが設けられている。
【0029】
また、排出面34には、プレゼンタ30によって回収された証明書Pを受け止めるための回収トレイ39が形成される。回収トレイ39の下端位置には、プレゼンタ30によって回収された証明書Pの前端を受け止める受止突起40が形成されている。この受止突起40によって、後述する本体フレーム44の下面開口100から放出される証明書Pの前端(下端)を受け止めることができるようになっている。
【0030】
プレゼンタ30は、本体部42と、本体部42をプレゼンタ用揺動軸(第1揺動軸)31まわりに揺動させるプレゼンタ揺動機構43とを備えている。プレゼンタ揺動機構43は、本体部42を、図3に示す受入姿勢(受入状態)と図11に示す出力姿勢(出力状態)との間で揺動させる。図3に示す受入姿勢では、本体部42の前端部が上面凹部41内に進入している。
【0031】
本体部42は、平面視矩形状の浅い略箱状の本体フレーム44を備えている。本体フレーム44はたとえば板金を用いて形成されており、その下面が開放している。本体フレーム44の前端部には、プリンタ25から出力された証明書Pを、本体フレーム44内に取り込むため取込口47と、本体フレーム44内に取り込まれた証明書Pを排出するための排出口48とが上下に並んで形成されている。取込口47は水平方向に延びる横長に形成されており、取込口47は最大でA4のサイズの用紙を取込み可能な長さを有している。
【0032】
本体フレーム44の前端部の上面付近には、左右方向に水平な軸線を中心とするレバー係合用円筒(係合部材)74が配設されている。レバー係合用円筒74の外周は、後述する揺動レバー93と当接して、後述するシャッタ88を持ち上げることができるようになっている。
本体フレーム44の前端部下面には、証明書Pを下方から受けるための証明書受け部45が配設されている。本体フレーム44の下面における証明書受け部45を除く領域には下面開口100が形成されている。証明書受け部45は、本体フレーム44の上面に沿う平坦面からなる受け面50と、本体フレーム44の上面に沿う前後方向に沿って並ぶ3つの受けローラ51A,51B,51Cとを有している。以下、最も後方にある受けローラを第1受けローラ51Aとし、第1受けローラ51Aの前方に隣り合う受けローラを第2受けローラ51Bとし、第2受けローラ51Bの前方に隣り合う受けローラを第3受けローラ51Cとして説明する。
【0033】
各受けローラ51A,51B,51Cの周面の一部が、受け面50よりも上方に突出している。3つの受けローラ51A,51B,51Cは、受け面50に沿う前後方向に関して、受け面50の形成領域内に配置されている。受け面50は、当該受け面50に沿う方向に関連して、取込口47の下方に配置されている。また、受け面50の前端は、取込口47から所定間隔を隔てた状態で配置されている。
【0034】
これら受け面50および3つの受けローラ51A,51B,51Cによって、証明書Pを下方から支持することができるようになっている。この証明書受け部45では、証明書Pを複数枚上下に重ねて(集積して)受けることも可能である。
本体フレーム44内には、取込口47の後ろ側に隣接して上下一対の取込みローラ対49(取込機構)が配設されている。取込みローラ対49はローラ駆動用モータ68によって駆動されるようになっている。取込みローラ対49は、取込口47に案内される用紙(証明書P)を挟んで本体フレーム44内に取り込み、証明書受け部45に向けて搬送する。取込みローラ対49は、当該受け面50に沿う方向に関連して、取込口47と、受け面50の前端との間に配置されている。
【0035】
排出口48は水平方向に延びる横長に形成されており、最大でA4のサイズの用紙を排出することが可能な長さを有している。排出口48は、受け面50に沿う前後方向に関して、受け面50の前方に配置されている。
また、排出口48に関連して、排出口48に進出して、証明書受け部45に受けられている証明書Pの前端部(排出口側の端部)を受けるための閉塞するためのストッパ62が設けられている。
【0036】
また、本体フレーム44内には、証明書受け部45に受けられた証明書Pを上から押さ付けて保持するための押さえ部46が配設されている。次に、押さえ部46について説明する。
押さえ部46は、平面視矩形状の浅い略箱状の押さえ用フレーム52の前端部に配設されている。押さえ部フレーム52はたとえば樹脂材料を用いて形成されており、その下面が開放している。
【0037】
押さえ部46は、押さえ部フレーム52の下面と合致する平坦面からなる押さえ面53と、押さえ部フレーム52の上面に沿う前後方向に沿って並ぶ3つの押さえローラ54A,54B,54Cを有している。これら3つの押さえローラ54A,54B,54Cは、3つの受けローラ51A,51B,51Cにそれぞれ対応して設けられており、対応する受けローラ51A,51B,51Cに向けて上方から押圧するためのものである。以下、最も後方にある押さえローラを第1押さえローラ54Aとし、第1押さえローラ54Aの前方に隣り合う押さえローラを第2押さえローラ54Bとし、第2押さえローラ54Bの前方に隣り合う押さえローラを第3押さえローラ54Cとして説明する。各押さえローラ54A,54B,54Cの外周の一部は、押さえ面53よりも下方に突出している。
【0038】
押さえ部フレーム52は、左右方向に水平に延びる押さえ部用揺動軸55まわりに揺動自在に設けられている。押さえ部用揺動軸55は、押さえ部フレーム52の上面に沿う前後方向の中央部よりもやや後方寄りの位置に設けられている。押さえ部フレーム52の後端部の上面には、左右方向に水平な軸線を中心とするカム係合用円筒56が形成されている。このカム係合用円筒56の外周は、後述する円板カム57の外周に当接している。
【0039】
押さえ部フレーム52には、押さえ部フレーム52を押さえ部用揺動軸55まわりに揺動させて、押さえ部46を上下動させるための押さえ部上下動機構58が結合されている。押さえ部上下動機構58は、押さえ部46を、上位置(図3参照。)と、第1の下位置(図10および図12参照。図4(b)および図4(c)参照。)との間で上下動可能に設けている。上位置は、押さえ部46が、証明書受け部45から上方(当該証明書受け部45(受け面50)に直交する上方側)に離間する位置である。また、第1の下位置は、押さえ部46が、証明書受け部45に接近して各押さえローラ54A,54B,54Cが対応する受けローラ51A,51B,51Cを押圧する位置である。紙葉類発行装置1の動作では、押さえ部46は、前記の上位置、前記の第1の下位置、および第1の下位置よりもやや上方(数mm程度)にある第2の下位置との3つの位置の間で上下動される。
【0040】
押さえ部上下動機構58は、左右方向に水平に延びる第1駆動軸59と、第1駆動軸59に固定的に取り付けられた円板カム57と、第1駆動軸59を回転させるためのクランプ作動用モータ60とを備えている。第1駆動軸59は、本体フレーム44の当該本体フレーム44の延びる方向の中央部の上面に回転可能に取り付けられている。
円板カム57の外周は、カム係合用円筒56の外周に当接している。第1駆動軸59の回動に伴う円板カム57の位相の変化に伴って、本体フレーム44に取り付けられている第1駆動軸59とカム係合用円筒56との間の距離が変化する。したがって、クランプ作動用モータ60による第1駆動軸59の回動によって、押さえ部46を第1の下位置と上位置との間で上下動させることができ、押さえ部フレーム52を本体フレーム44に対して相対的に揺動させる。
【0041】
次に、ストッパ62について説明する。
ストッパ62は、左右方向に水平に延びる長手の部材であり、長手方向に直交する断面形状が略L字状をなしている。ストッパ62は、証明書受け部45の下面に沿って延びる底面板63と、底面板63の前端縁から底面板63と垂直に立ち上がる立上り板64とを有している。ストッパ62は、排出口48に進出して、当該排出口48の少なくとも一部を閉塞することにより、証明書受け部45に受けられている証明書Pの前端縁を受け止めるためのものである。ストッパ62は、この実施形態のように、排出口48の長さ方向の全域に対して進出する構成であってもよいし、また、排出口48の長さ方向の一部に対して進出する構成であってもよい。後者の場合、排出口48に関連して複数のストッパが、排出口48の延びる方向に間隔を隔てて配設されていることが望ましい。
【0042】
ストッパ62は、連結部材(図示しない。)を介して押さえ部46に連結されており、押さえ部46の上下動に連動して上下動する。
具体的には、ストッパ62は、押さえ部46が上位置にあるとき、排出口48に進出して、証明書Pの前端縁を受け止めるための受止位置(図3参照。)に位置する。一方、押さえ部46が第1または第2下位置にあるとき、ストッパ62は、排出口48から下方に退避した退避位置(図10、図11および図12参照。)に位置する。換言すると、ストッパ62は受止位置と退避位置との間で上下動可能に設けられている。
【0043】
図3に示すように、排出口48の周囲には、受け面50に沿う方向に沿って、第1センサ(図示しない。)および第2センサ(図示しない。)が前側からこの順に配設されている。第1および第2センサは、それぞれ受け面50に直交する光軸上に用紙(証明書P)が存在しているか否かを検出するものである。第1センサは、排出口48におけるストッパ62(立上り板64)を配置するための位置(受止位置(図3参照。))よりも前方を通過する光軸を有している。第2センサは、排出口48におけるストッパ62(立上り板64)を配置するための位置(受止位置(図3参照。))よりも後方に位置する光軸を有している。第1および第2センサとして、それぞれ、たとえば投受光型の光学センサが採用されているが、これに代えて反射型の光学センサを採用するようにしてもよい。
【0044】
また、証明書受け部45に関連して、証明書受け部45に受けられている証明書Pの枚数が所定枚数に達しているか否かを検出するための第3センサ(図示しない。)が設けられている。証明書受け部45は複数枚の証明書Pを集積して受けることができるのであるが、集積可能な枚数には限度があるので、証明書受け部45に受けられている証明書Pの枚数が限度枚数に達しているか否かを第3センサによって検出している。
【0045】
次に、受けローラ51A,51B,51Cおよび押さえローラ54A,54B,54Cについて説明する。各受けローラ51A,51B,51Cおよび各押さえローラ54A,54B,54Cは、正逆回転可能に設けられている。以下、第1受けローラ51Aと第1押さえローラ54Aとの対を第1ローラ対65とし、第2受けローラ51Bと第2押さえローラ54Bとの対を第2ローラ対66とし、第3受けローラ51Cと第3押さえローラ54Cとの対を第3ローラ対67として説明する。
【0046】
第1ローラ対65は、その軸方向にたとえば2つ配置されている。2つの第1ローラ対65の幅方向の間隔は、紙葉類発行装置1によって発行される証明書Pのうち最も小さなサイズ(たとえばA6サイズ)の証明書Pの幅方向の大きさよりも狭く設定されている。
第2ローラ対66は、その軸方向にたとえば2つ配置されている。2つの第2ローラ対66の幅方向の間隔は、紙葉類発行装置1によって発行される証明書Pのうち最も小さなサイズ(たとえばA6サイズ)の証明書Pの幅方向の大きさよりも狭く設定されている。
【0047】
第3ローラ対67は、その軸方向にたとえば2つ配置されている。2つの第3ローラ対67の幅方向の間隔は、紙葉類発行装置1によって発行される証明書Pのうち最も小さなサイズ(たとえばA6サイズ)の証明書Pの幅方向の大きさよりも狭く設定されている。
なお、第1、第2および第3ローラ対65,66,67は、その軸方向にたとえば2つ配置される構成でなく、3つ以上であってもよい。この場合でも、同種の2つ以上のローラ対で同時に証明書Pを搬送できるようにされていることが望ましい。
【0048】
第1ローラ対65と第2ローラ対66との間における、受け面50に沿う前後方向に関する間隔は、紙葉類発行装置1によって発行される証明書Pのうち最も小さなサイズ(たとえばA6サイズ。)の証明書Pの長手方向の大きさよりも狭く設定されている。また、第2ローラ対66と第3ローラ対67との間における、受け面50に沿う前後方向に関する間隔は、紙葉類発行装置1によって発行される証明書Pのうち最も小さなサイズ(たとえばA6サイズ。)の証明書Pの長手方向の大きさよりも狭く設定されている。
【0049】
第1および第3ローラ対65,67は駆動ローラであり、第2ローラ対66はフリーローラである。この実施形態では、第1および第3ローラ対65,67のそれぞれにおいて押さえローラ54A,54Cをそれぞれ駆動させている。押さえローラ54A,54Cは、正逆回転可能なローラ駆動用モータ68(図9参照。)によって駆動されるようになっている。
【0050】
なお、押さえローラ54A,54Cに代えて受けローラ51A,51Cをそれぞれ駆動させるようにしてもよい。
また、ローラ対65,66,67を取込みローラ対49と共通の駆動源(ローラ駆動用モータ68)を用いて駆動させる構成に限らず、それぞれ異なるモータ等の駆動源を用いて駆動させる構成を採用することもできる。
【0051】
図4は、3つのローラ対65,66,67の構成を示す図である。
3つの押さえローラ54A,54B,54Cは、弾性部材69によって上方から弾性支持されている。弾性部材69は3段の櫛歯状をなしており、その3つの先端部分70(櫛歯部分)を下方に向けて配置されている(図4には、櫛歯状の弾性部材69の先端部分70のみを図示している。)。具体的には、櫛歯状の弾性部材69の各先端部分70には押さえローラ54A,54B,54Cを保持するためのホルダ71が設けられている。ホルダ71は、対応する押さえローラ54A,54B,54Cを回転可能に支持している。
【0052】
そして、図4(a)に示すように、3つの押さえローラ54A,54B,54Cのうち、第1および第3押さえローラ54A,54Cよりも第2押さえローラ54Bが、証明書受け部45側にやや寄って位置している。具体的には、第1および第3押さえローラ54A,54Cにおける押さえ面53から最も離れた部分よりも、第2押さえローラ54Bにおけるにおける押さえ面53から最も離れた部分が証明書受け部45側にやや寄っている。
【0053】
図3に示すように、円板カム57が第1回転姿勢(図3に示す姿勢。)にあるとき、押さえ部46は上位置にある。そのため、押さえ部46と証明書受け部45との間に、証明書Pを搬送するための搬送空間73が形成される。この状態で、ストッパ62は、排出口48に進出する受止位置にある。
また、円板カム57が第1回転姿勢と位相のずれた第2回転姿勢(図10および図12に示す姿勢。)にあるとき、押さえ部46は第1の下位置にある。この状態で、ストッパ62は、排出口48から大きく下方に退避した退避位置にある。
【0054】
押さえ部46が第1の下位置にあるときには、図4(b)および図4(c)に示すように、第2押さえローラ54Bを支持する先端部分70(弾性部材69の先端部分70)が縮むことにより、3つの押さえローラ54A,54B,54Cは、押さえ面53に沿って横一列に並ぶようになっている。
押さえ部46が第1の下位置にある状態で、押さえ面53が受け面50と略面一をなしている。受け面50と押さえ面53との間に証明書Pがあるときにおいて、ローラ駆動用モータ68(図9参照。)をたとえば正方向に回転させて、第1および第3ローラ対65,67を正方向(図4(c)に示す方向。)に回転駆動させる。このとき、回転するローラ対65,67によって、受け面50と押さえ面53との間にある証明書P、すなわち証明書受け部45に受けられている証明書Pを、排出口48に向かう排出方向A1に向けて搬送させることができる。これにより、証明書Pをプレゼンタ30外に排出させることができる。
【0055】
また、受け面50と押さえ面53との間に証明書Pがある状態で、ローラ駆動用モータ68(図9参照。)をたとえば正方向に回転させて、第1および第3ローラ対65,67を正方向(図4(c)に示す方向。)に回転駆動させる。これにより、回転するローラ対65,67によって、受け面50と押さえ面53との間にある証明書P、すなわち証明書受け部45に受けられている証明書Pを、排出口48に向かう排出方向A1に向けて搬送させることができる。その結果、証明書Pをプレゼンタ30外に排出させることができる。
【0056】
さらに、受け面50と押さえ面53との間に証明書Pがある状態で、ローラ駆動用モータ68をたとえば逆方向に回転させて、第1および第3ローラ対65,67を逆方向(図4(b)に示す方向。)に回転駆動させる。これにより、回転するローラ対65,67によって、受け面50と押さえ面53との間にある証明書Pを、排出方向A1と反対の取込方向A2に向けて搬送させることができる。
【0057】
さらに、円板カム57が第1および第2回転姿勢のそれぞれと位相のずれた第3回転姿勢(図11に示す状態。)にあるとき、押さえ部46は第2の下位置にある。押さえ部46は、第2の下位置にある状態でも第1の下位置にある状態と同様、押さえ面53が受け面50と略面一をなしている。押さえ部46が第2の下位置にあるときのローラ対65,66,67の状態を図4(a)に示す。第2の下位置にあるときでも、ストッパ62の立上り板64は退避位置に位置している。
【0058】
押さえ部46が第2の下位置にあるときは、図4(a)に示すように、第1および第3押さえローラ54A,54Cと第1および第3受けローラ51A,51Cとの間にそれぞれ間隔が開けられているが、第2押さえローラ54Bは第2受けローラ51Bを軽く押圧している。すなわち、押さえ部46が第2の下位置にあるときは、第2ローラ対66(第2押さえローラ54Bおよび第2受けローラ51B)によって証明書Pが挟持されている。
【0059】
図3を参照しつつ、プレゼンタ揺動機構43について説明する。プレゼンタ揺動機構43は、左右方向に水平に延びる第2駆動軸76と、第2駆動軸76を駆動するためのプレゼンタ揺動用モータ77と、第2駆動軸76およびプレゼンタ揺動用モータ77を支持するための支持ベース78と、第2駆動軸76に同軸に一体回転可能に取り付けられた大径円板状をなす回転板79と、回転板79の表面の所定位置と、本体フレーム44の上面凹部83とを連結する連結杆80とを備えている。上面凹部83は、本体フレーム44の上面における、プレゼンタ用揺動軸31よりも前側に設けられている。連結杆80の端部は、上面凹部83の側壁(左側または右側の側壁)に設けられた回転軸84まわりに回転可能に設けられている。
【0060】
連結杆80には、連結杆80の長手方向の中央部のやや本体部42側寄りの位置から回転板79側の端部付近まで沿って延びる長孔81が形成されている。
回転板79の表面には、前記の所定位置に、長孔81に嵌合する第1係合突起82が配設されている。この第1係合突起82はたとえば円筒状をなしている。第1係合突起82は、長孔81内を、本体部42側の端部から回転板79側の端部まで移動させることができ、かつ長孔81で回転方向の姿勢を変更可能な大きさに設定されている。
【0061】
プレゼンタ揺動用モータ77は正逆回転可能に設けられていてもよいし、所定の一方向にのみ回転可能に設けられていてもよい。プレゼンタ揺動用モータ77を一方向に向けて回転区動させることにより、回転板79が所定の一方向(図3に示す時計回りに)回転させる。第2駆動軸76の回動に伴う回転板79の回動に伴って、第1係合突起82の上下方向の位置が変化する。第1係合突起82と本体部42の上面凹部83とが連結杆80によって連結されているので、第1係合突起82の上下動に伴って、プレゼンタ用揺動軸31よりも前方に設けられた上面凹部83も上下動する。したがって、第1駆動軸59の回動に伴って、本体部42の前端部が上下動し、これにより、本体部42をプレゼンタ用揺動軸31まわりに揺動させることができる。
【0062】
回転板79が第1回転姿勢(図3参照。)にあるとき、本体部42は受入姿勢(図3参照。)にある。回転板79が第2回転姿勢(図11参照。)にあるとき、本体部42は出力姿勢(図11参照。)にある。回転板79が第3回転姿勢(図12参照。)にあるとき、本体部42は回収姿勢にある(図12参照。)。
図5および図6は、取出口ユニット24の断面図である。図5は、シャッタ88の開状態を示し、図6は、シャッタ88の閉じ状態を示す。
【0063】
図5および図6を参照して、取出口ユニット24について説明する。
取出口ユニット24は、下方および後方が開放した略箱状に形成されており、上面板86と、上面板86の前端から垂れ下がる前面板87とを備えている。前面板87に横長でかつ小幅の取出口16が形成されており、前面板87の前面には第1垂直面5が形成されている。
【0064】
取出口ユニット24の内側には、取出口16に関連して、取出口16を開閉するためのシャッタ88が設けられている。シャッタ88は、取出口16を閉塞可能な横長の矩形板状のシャッタ本体89と、シャッタ本体89の一端縁(たとえば左端縁)から、シャッタ本体89と垂直に後方に延びる係合片90とを有している。
シャッタ本体89は、横長でかつ小幅の透孔101が形成されている。シャッタ本体89の透孔101付近は、後方に向けて湾曲し、その後端によって透孔101が区画されている。透孔101の形状および大きさは、取出口16の形状および大きさと一致している。
【0065】
係合片90は略P字状をなし、シャッタ本体89の上下方向全域にわたって形成されている。係合片90の上部は矩形の矩形板部91を有し、矩形板部91には係合凹所92が形成されている。
シャッタ88は、シャッタ本体89が取出口16を開放する開状態(図5参照。)と、取出口16を閉塞する閉じ状態(図6参照。)との間で昇降可能に設けられている。具体的には、シャッタ88が開状態にあるとき取出口16と透孔101とが互いに整合して、取出口16が開放する。一方、シャッタ88が閉じ状態にあるとき取出口16と透孔101とが整合せず、取出口16はシャッタ本体89のケーシングによって閉塞される。
【0066】
シャッタ88は、プレゼンタ30の本体部42(図3、図10、図11および図12参照。)の揺動に連動して昇降可能に構成されている。本体部42が出力姿勢(図11参照。)にあるときは、シャッタ88は開状態にあり、本体部42が受入姿勢(図3参照。)または回収姿勢(図12参照。)にあるときは、シャッタ88は閉じ状態にある。
シャッタ88には、緩やかに下方に向けて屈曲しながら延びる立板状の揺動レバー93の前端部が結合されている。揺動レバー93は、取出口ユニット24の左側板94の内壁に固定されたレバー用揺動軸(第2揺動軸)120まわりに揺動可能に取り付けられている。揺動レバー93は、基端板状部95と、基端板状部95の前端に設けられた先端板状部96とを備えている。基端板状部95は、上下均一幅で直線状に横方向に延びている。先端板状部96は、基端板状部95と所定の鈍角(たとえば120°程度)をなしつつ、前端に向かうに従って広がる扇状に形成されている。先端板状部96の内側の表面の前端には、円筒状の第2係合突起(係合突起)97が形成されている。第2係合突起97は係合凹所92内に嵌って、当該係合凹所92の周壁と係合する。先端板状部96の後側縁98は直線状をなしており、直線状をなす基端板状部95の下側縁99と連続し、下側縁99の前端から斜め下方前方に向けて屈曲している。先端板状部96の後側縁98は、基端板状部95の下側縁99と所定の鈍角(たとえば135°程度)をなしている。先端板状部96の下側縁102は直線状をなしており、先端板状部96の後側縁98の後端から斜め前方に向けて屈曲している。先端板状部96の下側縁102は、基端板状部95の下側縁99とほぼ平行に延びている。
【0067】
受入姿勢にあるプレゼンタ30が出力姿勢に向けて揺動されると、レバー係合用円筒74の外周が揺動レバー93における先端板状部96の下側縁102の後端部に当接(係合)するようになる。その後、プレゼンタ30が出力姿勢に向けてさらに揺動されることにより、当該揺動レバー93が、その前端部が上昇するように揺動する。この揺動レバー93の揺動に伴って係合片90は持ち上がり、これに伴ってシャッタ本体89は持ち上がる。
【0068】
図7は、図5に示す状態における係合凹所92と第2係合突起97との位置関係を示す拡大図である。図8は、図6に示す状態における係合凹所92と第2係合突起97との位置関係を示す拡大図である。
係合凹所92はたとえば孔である。係合凹所92は、前後方向に延びる略矩形細長の矩形凹所104と、矩形凹所104の後端部に、当該矩形凹所104に連続して下方に向かって延びる後凹所105(下端部)とを備えている。
【0069】
後凹所105は、後側が直角をなす直角台形をなしている。後凹所105の上底は下底より長い。後凹所105の後端壁は、矩形凹所104の後端壁と同一直線状にある。これらの後端壁によって、係合凹所92の後端縁106が形成されている。
後凹所105の下端壁108は、前後方向に延びる直線状であり、矩形凹所104の上端壁109と平行である。後凹所105の前端壁110(案内壁)は、上方に向かうに従って前方に向かう傾斜直線状をなしている。より具体的には、前端壁110の勾配は、レバー用揺動軸120を中心とする、閉じ位置111を含む円周の当該閉じ位置111における接線Lよりも大きくなるように設定されている。後凹所105の前端壁110の上端は、矩形凹所104の下端壁に連続している。
【0070】
シャッタ88が閉じ状態にあるとき(図6に示す状態にあるとき。)、係合凹所92と係合する揺動レバー93は下姿勢(図6に示す姿勢。)をなしている。このとき、第2係合突起97が、係合凹所92の後凹所105に設けられた閉じ位置111に位置している(嵌まってる)。具体的には、閉じ位置111に位置する第2係合突起97は、後凹所105の下端壁108および前端壁110に係合している(2つの端壁108,110の双方に当接している)。
【0071】
一方、シャッタ88が開状態にあるとき(図5に示す状態にあるとき。)、係合凹所92と係合する揺動レバー93は上姿勢(図5に示す姿勢。)をなしている。このとき、第2係合突起97が、矩形凹所104の前端部に設けられた開位置112に位置している。シャッタ88の開閉時には、閉じ位置111と開位置112との間を、第2係合突起97が、後凹所105の前端壁110および矩形凹所104の下端壁に案内されつつ移動する。
【0072】
ところで、シャッタ88が閉じ状態にあるとき、第2係合突起97が閉じ位置111に位置している。閉じ状態にあるシャッタ88を開くために当該シャッタ88を直接上方移動させる場合、第2係合突起97に対しても上向きの力が作用する。しかしながら、揺動レバー93の先端部に設けられている第2係合突起97は、レバー用揺動軸120を中心とする円弧軌道に沿う回動しか許容されていない。そのため、係合凹所92の閉じ位置111に位置する第2係合突起97が、勾配の大きな前端壁110と干渉し、第2係合突起97が閉じ位置111から移動することができない。すなわち、前端壁110と第2係合突起97との係合が解除されない。したがって、閉じ状態にあるシャッタ88を、当該シャッタ88を直接移動操作させて開状態にすることはできず、これにより、利用者がシャッタ88を持ち上げて当該シャッタ88を開けるのを防止することができる。
【0073】
なお、係合凹所92が孔であるとして説明したが、係合凹所92が溝であってもよい。
図9は、紙葉類発行装置1の電気的構成を示すブロック図である。
制御ユニット27には、プレゼンタ30に含まれる、ローラ駆動用モータ68、クランプ作動用モータ60およびプレゼンタ揺動用モータ77が制御対象として接続されている。また、制御ユニット27にはプリンタ25が制御対象として接続されている。
【0074】
また、制御ユニット27には、第1〜第3センサの検出出力が入力されるようになっている。
さらに、図9には図示していないが、制御ユニット27には、紙葉類発行装置1に含まれる各構成、たとえば表示操作部12(図1参照。)、ICカードリーダ部14(図1参照。)、磁気カードリーダ部15(図1参照。)、スピーカ18(図1および図2参照。)、領収書発行部(図示しない。)等が接続されている。
【0075】
図1および図3に示すように、紙葉類発行装置1から証明書Pを発行させるためには、利用者は表示操作部12(図1参照。)において発行操作を行う必要がある。そして、制御ユニット27は、表示操作部12からの指示信号に応答して、プリンタ25に印字指示を行う。印字すべき証明書Pに対応するサイズの用紙が、給紙トレイから繰り出され、プリンタ本体部32に付与される。そして、プリンタ本体部32によって所定の証明内容が用紙に印字され、印字済みの用紙(証明書P)が排紙経路35を搬送され、排紙ローラ対37によるプリンタ排出口36から排出(出力)される。このとき、プリンタ排出口36から出力される証明書Pの後端部(排出方向側端部)は、排紙ガイド38によって斜め後ろ上方に向いている。
【0076】
本体部42が図3に示す状態で、プリンタ25から出力された証明書Pを、プレゼンタ30は本体部42内に引き込み、この証明書Pを証明書受け部(紙葉類受け部)45で受ける。証明書受け部45に受けられている証明書Pを押さえ部46によって当該証明書受け部45に押さえる。この状態で、本体部42を図11に示す状態に姿勢変更させ、その後、プレゼンタ30が証明書Pを排出口48から排出し、取出口16から出力する。さらに、取出口16から出力した証明書Pが抜き取られなかった場合には、プレゼンタ30は証明書Pを、再度本体部42内に引き込むとともに、本体部42を図12に示す状態に姿勢変更させる。そして、図12に示す状態にある本体部42(本体フレーム44)の下面開口100から証明書Pを放出することにより、プリンタ25の排出面34の回収トレイ39に証明書Pが回収される。
【0077】
プリンタ25が出力する証明書Pを、プレゼンタ30が受け入れる場合のプレゼンタ30の状態を図3に示す。この図3に示す状態では、本体部42は受入姿勢にある。また、押さえ部46は上位置にあり、ストッパ62は受止位置に位置している。また、レバー係合用円筒74は取出口ユニット24の下方に大きく退避しており、レバー係合用円筒74と揺動レバー93とは当接(係合)していない。
【0078】
本体部42の受入姿勢では、本体部42の前端部が本体部42の後端部よりも下がって、本体部42の前端部が上面凹部41内に進入している。このとき、取込口47はプリンタ排出口36に対向している。そして、プリンタ排出口36から出力される証明書Pの後端部は、排紙ガイド38によって案内されて、取込口47に導かれるようになっている。
また、プレゼンタ30が証明書Pを受け入れる場合には、制御ユニット27がローラ駆動用モータ68を逆方向に回転制御して取込みローラ対49を(取込み方向に)回転駆動させる。このとき、取込口47に導かれる証明書Pは、回転する取込みローラ対49に挟まれて本体フレーム44内に取り込まれ、取込みローラ対49によって排出方向A1と反対の取込方向A2に向けて搬送される。この証明書Pは搬送空間73を経由して、プリンタ25の排出面34に受け渡される。
【0079】
取込みローラ対49によって完全に取り込まれた状態では、証明書受け部45が証明書Pの前端部を下方から受け、それ以外の部分を排出面34が下方から受けるようになる。プリンタ25が出力する証明書Pが連続して取引口47に導かれる場合には(つまり、1回の証明書発行取引に関して複数枚の証明書Pを発行する場合には)、証明書受け部45および排出面34によって受けられている証明書Pの上に新たな証明書Pが重ねられるようになる。換言すると、証明書受け部45および排出面34は、複数枚の証明書Pを集積状態で受け止めることができる。
【0080】
また、プレゼンタ30の図3に示す状態において、証明書受け部45および排出面34に受けられている証明書Pは、その前端部が後端部よりも下がっており、証明書Pの前端部が、ストッパ62によって受け止められる。したがって、証明書受け部45および排出面34に複数枚の証明書Pが集積状態で受けられている場合、これら複数枚の証明書Pの前端縁を揃えることができる。
【0081】
制御ユニット27のメモリにプリンタ25の出力データがある間は、プレゼンタ30は図3に示す状態に保たれている。プリンタ25の出力データがメモリからなくなり、出力すべき証明書Pの全てがプリンタ25から出力されたときに、制御ユニット27は、円板カム57が第2回転姿勢になるようにクランプ作動用モータ60を制御する。これにより、押さえ部46は第1の下位置に位置するようになるとともに、ストッパ62は、退避位置に配置される。また、図4(b)および図4(c)に示すように、証明書受け部45に受けられた証明書Pは、3対のローラ対65,66,67によって挟持されるようになる。なお、後述する証明書Pの排出時まで、押さえ部46の位置は第1の下位置に維持される(図10参照。)。
【0082】
次いで、制御ユニット27はプレゼンタ揺動用モータ77を制御して、回転板79を第2回転姿勢になるまで前記の一方向まわりに回転させる。これにより、プレゼンタ30の本体部42が出力姿勢(図11参照。)に向けて揺動される。
図10は、本体部42が受入姿勢から出力姿勢にまで揺動される途中にある、紙葉類発行装置1の要部の構成を示す図である。図11は、本体部42が出力姿勢にあるときの紙葉類発行装置1の要部の構成を示す図である。
【0083】
受入姿勢にあるプレゼンタ30が出力姿勢に向けて揺動されると、本体部42の前端部が上昇し、図10に示すように、レバー係合用円筒74の周面が、揺動レバー93の先端板状部96の下側縁102の前端と当接(係合)するようになる。
その後、さらに本体部42の前端部が上昇するように本体部42が揺動されると、レバー係合用円筒74は揺動レバー93を上方に押し上げる。したがって、揺動レバー93が上方に揺動し、これによりシャッタ88が開状態に向けて上昇する。そして、本体部42の前端部の上昇に伴って、レバー係合用円筒74が、揺動する先端板状部96の下側縁102の後方側に向けて、下側縁102によって案内される。レバー係合用円筒74は、先端板状部96の下側縁102の後端に達した後、次いで先端板状部96の後側縁98に案内され、後側縁98上端に達すると、次いで基端板状部95の下側縁99に案内される。
【0084】
また、本体部42の前端部の上昇に伴って、第2係合突起97が閉じ位置111から開位置112に向けて移動する。
図11に示すように、本体部42が出力姿勢にある状態では、本体部42の前端部が本体部42の後端部よりも上がっており、本体部42の前端部が、上面凹部41内から上方に退避している。
【0085】
この図11に示す状態では、揺動レバー93は上姿勢(図5に示す姿勢。)をなしており、シャッタ88が開状態にある。そのため、取出口16が開放している。本体部42が出力姿勢にあるときは、レバー係合用円筒74が基端板状部95の下側縁99の前端に位置するとともに、第2係合突起97が開位置112にある。
そして、取出口16が開放している状態で、制御ユニット27は、ローラ駆動用モータ68を正方向に回転駆動して、第1および第3ローラ対65,67を図4(c)に示す正方向に回転駆動させる。これにより、受け面50と押さえ面53との間にある証明書Pを、排出方向A1に向けて搬送する。ストッパ62が退避位置にあるので、ストッパ62が、搬送される証明書Pに干渉しない。したがって、証明書Pを排出口48から排出させることができ、排出口48に対向している取出口16から証明書Pを出力させることができる。
【0086】
この実施形態では、出力すべき証明書Pの全ての部分を取出口16から飛び出させるのではなく、証明書Pの前端部だけが取出口16に飛び出している。証明書受け部45に複数枚の証明書Pが集積状態で受けられている場合、その複数枚の証明書Pの前端縁は揃っているので、取出口16から飛び出す証明書Pの前端部の前端縁は、用紙サイズの異同に拘らず揃っている。
【0087】
証明書Pの前端部だけが取出口16に飛び出した状態では、証明書Pの途中部(証明書Pの用紙サイズがA6である場合には、証明書Pの後端部)は、フリーローラである第2ローラ対66によって挟持されている。したがって、1つのローラ対66のみで挟持されているので、他のローラ対65,67と併せて挟持する場合と比較して、利用者による紙葉類の取出口16からの引抜きを容易にすることができる。しかも、この第2ローラ対66がフリーローラであるので、第2ローラ対66が駆動ローラである場合と比較して、利用者による紙葉類の取出口16からの引抜きをより一層容易にすることができる。
【0088】
具体的には、制御ユニット27は、予め定める量だけ証明書Pが取出口16から飛び出るようにローラ駆動用モータ68を駆動した後、そのローラ駆動用モータ68を駆動停止させる。そのため、第1および第3ローラ対65,67が回転停止する。その後、制御ユニット27は、円板カム57が第3回転姿勢になるようにクランプ作動用モータ60を制御する。これにより、押さえ部46は第2の下位置に位置するようになり、受け面50と押さえ面53との間にある、証明書Pの残りの部分が、第2ローラ対66(第2押さえローラ54Bおよび第2受けローラ51B)によって挟持される。なお、この実施形態では、最も小さい用紙サイズの証明書P(たとえばA4サイズ)が、その前端部を取出口16から飛び出した状態で、第2ローラ対66によってこの証明書Pの一部(たとえば後端部)を挟持することが可能なように、第2ローラ対66と排出口48(取出口16)との間の間隔が設定されている。
【0089】
そして、取出口16から飛び出している証明書Pの前端部を、利用者が掴んで手前側に引き抜くことにより、本体フレーム44から証明書Pが排出される。これにより、利用者は、紙葉類発行装置1が発行した証明書Pを受け取ることができる。
取出口16に証明書Pが出力された後、証明書Pが抜き取られることなく予め定める時間が経過した場合には、制御ユニット27は、円板カム57が第2回転姿勢になるようにクランプ作動用モータ60を制御して、押さえ部46を第1の下位置に位置させる。また、制御ユニット27は、ローラ駆動用モータ68を逆方向に回転駆動して、第1および第3ローラ対65,67を図4(b)に示す逆方向に回転駆動させる。これにより、排出口48から排出された証明書Pが取込方向A2に向けて搬送され、この排出済みの証明書Pを本体フレーム44内に再度取り込むことができる。このとき、第1および第3ローラ対65,67の回転駆動は、証明書Pが本体フレーム44内に収容されるまで続行され、証明書Pの前端部が本体フレーム44内に収容されると停止される。
【0090】
その後、制御ユニット27は、プレゼンタ揺動用モータ77を回転駆動制御して、回転板79が第3回転姿勢(図3参照。)になるまで、回転板79を前記一方向の逆の他方向に回転させる。これにより、本体部42が回収姿勢に向けて揺動される。
本体部42の前端部の下降に伴って、レバー係合用円筒74が下降する。揺動レバー93には、揺動レバー93およびシャッタ88の自重を受けて、下姿勢に向けて力が作用している。そのため、レバー係合用円筒74の下降に伴って、揺動レバー93は下向きに揺動してレバー係合用円筒74との間の係合が外れ、シャッタ88が下降する。そして、シャッタ88は閉じ状態(図6参照。)になる。
【0091】
これにより、プレゼンタ30が図12に示す状態になる。図12は、本体部42が回収姿勢にあるときの紙葉類発行装置1の要部の構成を示す図である。
図12に示すように、本体部42が回収姿勢にある状態では、本体部42の前端部が本体部42の後端部よりもやや上がっており、本体部42の前端部が、上面凹部41内から上方に退避している。
【0092】
本体部42が回収姿勢のときは、押さえ部46は第1の下位置に位置している。また、制御ユニット27は、ローラ駆動用モータ68を逆方向に回転駆動して、第1および第3ローラ対65,67を図4(b)に示す逆方向に回転駆動させる。これにより、証明書受け部45と押さえ部46とによって保持されている証明書Pをさらに取込方向A2に向けて搬送する。これにより、本体フレーム44の下面開口100から斜め下後方に向けて証明書Pを放出させることができる(証明書Pの搬送状態を、図12に二点鎖線で図示)。本体フレーム44から放出された証明書Pは、排出面34に沿って下方にすべり落ち、その前端縁が回収トレイ39の受止突起40によって受け止められる。これにより、取出口16から抜き取られなかった証明書Pを回収トレイ39に回収することができる。
【0093】
以上によりこの実施形態によれば、本体部42が受入姿勢にあるとき、プリンタ25が出力する印字済みの証明書Pは、証明書受け部45に受けられる。そして、押さえ部46によって証明書Pが押さえられつつ、受入姿勢から出力姿勢に本体部42がプレゼンタ用揺動軸31まわりに揺動される。本体部42が出力姿勢になった後、証明書受け部45から証明書Pが排出されることにより、取出口16から出力させられる。これにより、プリンタ25が出力した証明書Pを取出口16から良好に出力させることができる。しかも、本体部42が証明書Pを保持したまま揺動するので、その分だけ証明書Pの搬送経路上の移動距離を短縮させることができる。ゆえに、証明書Pの詰まりなどのトラブルの発生を抑制することができる。
【0094】
また、取出口16から抜き取られなかった証明書Pを再度証明書受け部45に取り込むことが可能であり、本体部42を回収姿勢にして、この証明書Pを、本体部42(本体フレーム44)の下面開口100から放出することにより、抜き取られなかった証明書Pを回収トレイ39に回収することができる。
さらに、受入姿勢から出力姿勢へのプレゼンタ30の揺動に連動して、閉じ状態にあるシャッタ88が開状態に移動させられるとともに、プレゼンタ30の出力姿勢からの退避に伴って、開状態にあったシャッタ88が、当該シャッタ88の自重により閉じ状態に移動させられる。そのため、シャッタ88を駆動するための専用の機構を設けることなく、シャッタ88を開閉させることができる。しかも、本体部42が出力姿勢にあるときに、シャッタ88を開状態にさせ、本体部42が受入姿勢(図3参照。)または回収姿勢(図12参照。)にあるときに、シャッタ88を閉じ状態にさせるので、シャッタの開閉タイミングを所望のタイミングにすることができる。
【0095】
以上この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、本体部42が受入姿勢と出力姿勢との間で揺動される構成を例に挙げて説明したが、本体部42を受入状態と出力状態との間で昇降させる構成をこれに代えて採用することもできる。
【0096】
また、回転板79を一方向に回転させることにより、プレゼンタ30の本体部42を、受入姿勢、出力姿勢および回収姿勢の順で姿勢変化させたが、回転板79を双方向に回転させることにより、プレゼンタ30の本体部42を、受入姿勢、出力姿勢および回収姿勢の順で姿勢変化させるようにしてもよい。
また、さらにプレゼンタ30の本体部42の揺動に連動してシャッタ88を開閉させる構成を例に挙げたが、シャッタ88の開閉を行うための駆動機構が別途設けられており、シャッタ88の開閉動作がシャッタ88の揺動と無関係に実行されていてもよい。
【0097】
回転板79を一方向に回転させることにより、プレゼンタ30の本体部42を、受入姿勢、出力姿勢および回収姿勢の順で姿勢変化させたが、回転板79を双方向に回転させることにより、プレゼンタ30の本体部42を、受入姿勢、出力姿勢および回収姿勢の順で姿勢変化させるようにしてもよい。
また、この発明は、証明書発行機以外にも、伝票、チケット、クーポンなど所定様式の印刷物を発行する装置や、利用者が希望する画像等を印刷して発行するイメージ印刷装置など、印刷した紙葉類を発行する装置等に適用可能である。
【0098】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 紙葉類発行装置
2 ハウジング
16 取出口
30 プレゼンタ
31 プレゼンタ用揺動軸(第1揺動軸)
74 レバー係合用円筒(係合部材)
88 シャッタ
92 係合凹所
93 揺動レバー
97 第2係合突起(係合突起)
110 前端壁
120 レバー用揺動軸(第2揺動軸)
L 接線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を発行するための紙葉類発行装置であって、
ハウジングと、
ハウジングに形成されて、紙葉類を発行するための取出口と、
前記取出口を開閉するためのシャッタと、
前記ハウジング内に、紙葉類を受け入れ可能な受入状態と、受けている紙葉類を前記取出口に排出可能な出力状態との間で移動可能に収容されたプレゼンタと、
前記受入状態と前記出力状態との間の前記プレゼンタの移動に連動して、前記シャッタを、前記取出口を閉塞する閉じ状態と前記取出口を開放する開状態との間で移動させる連動機構とを備えることを特徴とする、紙葉類発行装置。
【請求項2】
前記プレゼンタは、前記受入状態と前記出力状態との間で、第1揺動軸まわりに揺動可能に設けられていることを特徴とする、請求項1記載の紙葉類発行装置。
【請求項3】
前記連動機構は、前記受入状態から前記出力状態への前記プレゼンタの移動に連動して、前記閉じ状態にある前記シャッタを前記開状態に移動させることを特徴とする、請求項1または2記載の紙葉類発行装置。
【請求項4】
前記連動機構は、前記シャッタを支持して、第2揺動軸まわりに揺動可能に設けられた揺動レバーと、前記プレゼンタに固定され、前記揺動レバーと係合可能に設けられた係合部材とを有し、
前記受入状態から前記出力状態への前記プレゼンタの移動に伴って、前記係合部材が前記揺動レバーと係合して当該揺動レバーを揺動させることを特徴とする、請求項1〜3記載の紙葉類発行装置。
【請求項5】
前記シャッタは、前記閉じ状態と当該閉じ状態の上方にある前記開状態との間で昇降可能に設けられており、
前記連動機構は、前記シャッタを支持して、第2揺動軸まわりに揺動可能に設けられた揺動レバーを有し、
前記揺動レバーおよび前記シャッタの一方は、その先端部に係合突起を有し、
前記揺動レバーおよび前記シャッタの他方は、前記係合突起に嵌って係合するための係合凹所を有し、
前記係合凹所は、前記シャッタが前記閉じ状態にあるときにおける前記係合突起の前記係合凹所に対する相対位置である閉じ位置と、前記シャッタが前記開状態にあるときにおける前記係合突起の前記係合凹所に対する相対位置である開位置との間で、前記係合突起を案内する案内壁を有することを特徴とする、請求項1〜4記載の紙葉類発行装置。
【請求項6】
前記案内壁は、前記第2揺動軸を中心とする、前記係合凹所の前記閉じ位置を含む円周の当該閉じ位置における接線よりも勾配の大きな傾斜壁を含むことを特徴とする、請求項5記載の紙葉類発行装置。
【請求項1】
紙葉類を発行するための紙葉類発行装置であって、
ハウジングと、
ハウジングに形成されて、紙葉類を発行するための取出口と、
前記取出口を開閉するためのシャッタと、
前記ハウジング内に、紙葉類を受け入れ可能な受入状態と、受けている紙葉類を前記取出口に排出可能な出力状態との間で移動可能に収容されたプレゼンタと、
前記受入状態と前記出力状態との間の前記プレゼンタの移動に連動して、前記シャッタを、前記取出口を閉塞する閉じ状態と前記取出口を開放する開状態との間で移動させる連動機構とを備えることを特徴とする、紙葉類発行装置。
【請求項2】
前記プレゼンタは、前記受入状態と前記出力状態との間で、第1揺動軸まわりに揺動可能に設けられていることを特徴とする、請求項1記載の紙葉類発行装置。
【請求項3】
前記連動機構は、前記受入状態から前記出力状態への前記プレゼンタの移動に連動して、前記閉じ状態にある前記シャッタを前記開状態に移動させることを特徴とする、請求項1または2記載の紙葉類発行装置。
【請求項4】
前記連動機構は、前記シャッタを支持して、第2揺動軸まわりに揺動可能に設けられた揺動レバーと、前記プレゼンタに固定され、前記揺動レバーと係合可能に設けられた係合部材とを有し、
前記受入状態から前記出力状態への前記プレゼンタの移動に伴って、前記係合部材が前記揺動レバーと係合して当該揺動レバーを揺動させることを特徴とする、請求項1〜3記載の紙葉類発行装置。
【請求項5】
前記シャッタは、前記閉じ状態と当該閉じ状態の上方にある前記開状態との間で昇降可能に設けられており、
前記連動機構は、前記シャッタを支持して、第2揺動軸まわりに揺動可能に設けられた揺動レバーを有し、
前記揺動レバーおよび前記シャッタの一方は、その先端部に係合突起を有し、
前記揺動レバーおよび前記シャッタの他方は、前記係合突起に嵌って係合するための係合凹所を有し、
前記係合凹所は、前記シャッタが前記閉じ状態にあるときにおける前記係合突起の前記係合凹所に対する相対位置である閉じ位置と、前記シャッタが前記開状態にあるときにおける前記係合突起の前記係合凹所に対する相対位置である開位置との間で、前記係合突起を案内する案内壁を有することを特徴とする、請求項1〜4記載の紙葉類発行装置。
【請求項6】
前記案内壁は、前記第2揺動軸を中心とする、前記係合凹所の前記閉じ位置を含む円周の当該閉じ位置における接線よりも勾配の大きな傾斜壁を含むことを特徴とする、請求項5記載の紙葉類発行装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−37491(P2013−37491A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172197(P2011−172197)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【出願人】(501079875)グローリーAZシステム株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【出願人】(501079875)グローリーAZシステム株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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