紙葉類識別装置、紙葉類識別方法、および紙葉類識別プログラム
【課題】高解像度の画像を撮像した上で、画像転送量を減らし、バス帯域を圧迫せず、画像メモリの容量も減らすことができる紙葉類識別装置を提供する。
【解決手段】紙葉類30の画像を撮像する一次元のイメージセンサ11と、前記イメージセンサ11で撮像した画像を一時的に格納しておくラインバッファ12と、前記ラインバッファ12の画像データに基づいて低解像度の画像データを転送するステップS13と、前記ラインバッファ12の画像データに基づいて前記紙葉類30を撮像した画像のうち高解像度の画像データを転送する領域A0,A1,B0,B1を定めるステップS27,S28と、前記ラインバッファ12の画像データにおける前記領域A0,A1,B0,B1について高解像度の画像データを転送するステップS28とを備えた紙葉類識別装置であることを特徴とする。
【解決手段】紙葉類30の画像を撮像する一次元のイメージセンサ11と、前記イメージセンサ11で撮像した画像を一時的に格納しておくラインバッファ12と、前記ラインバッファ12の画像データに基づいて低解像度の画像データを転送するステップS13と、前記ラインバッファ12の画像データに基づいて前記紙葉類30を撮像した画像のうち高解像度の画像データを転送する領域A0,A1,B0,B1を定めるステップS27,S28と、前記ラインバッファ12の画像データにおける前記領域A0,A1,B0,B1について高解像度の画像データを転送するステップS28とを備えた紙葉類識別装置であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、紙葉類に印刷された記番号を認識するなど、高解像度の画像を撮像し画像処理する必要があるような紙葉類識別装置、紙葉類識別方法、および紙葉類識別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類の一種である紙幣を識別する紙幣識別装置においては、低解像度センサと高解像度センサを併用して記番号を識別する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1は、自動販売機などで使われている紙幣識別装置などのように、紙幣の短手が搬送方向に直交する向きに搬送する方式である。このため、日本のように短手の長さが金種によらず一定の国においては、投入口の幅を短手の長さに合わせることにより、記番号の通過位置を容易に固定することができる。
【0004】
一方、金融機関に設置されている自動取引装置(ATM)などで使われている紙幣識別装置などのように、紙幣の長手が搬送方向に直交する向きに搬送する方式では、金種毎に長手の長さが異なる。このため、最も長手の長い金種の長手長さ以上に搬送路幅を設定する必要が生じ、そうすると、最も長手の短い金種を搬送する時に搬送路上の紙幣の通過位置がばらつくことになる。このため、通路幅全域をカバーする高解像度センサを実装せざるを得ない。
【0005】
このように紙幣の長手が搬送方向に直交する向きに搬送する方式では、高解像度のセンサと低解像度のセンサを取付けた場合、高解像度のセンサも大型となり、同じようなセンサを2個搭載することでコストが高くなるという問題点がある。
【0006】
また、大型のセンサを搭載して、搬送路幅全域を撮像した場合、大量の画像メモリが必要となってコストが高くなるという問題点があり、大量の画像データを撮像することで画像メモリのバス帯域が足りなくなるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−154256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述の問題点に鑑み、高解像度の画像を撮像した上で、画像転送量を減らし、バス帯域を圧迫せず、画像メモリの容量も減らすことができる紙葉類識別装置、紙葉類識別方法、および紙葉類識別プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、紙葉類の画像を撮像する一次元の撮像手段と、前記撮像手段で撮像した画像を一時的に格納しておくラインバッファと、前記ラインバッファの画像データに基づいて低解像度の画像データを転送する低解像度転送手段と、前記ラインバッファの画像データに基づいて前記紙葉類を撮像した画像のうち高解像度の画像データを転送する高解像度領域を定める高解像度領域決定手段と、前記ラインバッファの画像データにおける前記高解像度領域について高解像度の画像データを転送する高解像度転送手段とを備えた紙葉類識別装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明により、高解像度の画像を撮像した上で、画像転送量を減らし、バス帯域を圧迫せず、画像メモリの容量も減らすことができる
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】紙葉類識別装置を搭載した紙葉類処理装置の概略構成を示す構成図。
【図2】紙葉類識別装置の機能的な構成を示すブロック図。
【図3】紙葉類の外観を示す平面図。
【図4】紙葉類の撮像時の動作を示す側面図。
【図5】間引き処理(低解像度化処理)の説明図。
【図6】転送タイミングを表すタイミングチャート。
【図7】ライン毎の媒体長を格納しているリンクバッファの構成図。
【図8】低解像度転送処理のフローチャート。
【図9】高解像度転送処理のフローチャート。
【図10】高解像度領域と低解像度領域を説明する領域説明図。
【図11】媒体長の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、コンピュータとしての紙葉類識別装置8を搭載した紙葉類処理装置1の概略構成を示す構成図である。
紙葉類識別装置8の入出口2は、操作者が紙葉類を投入したり、受取ったりする開口部である。紙葉類識別装置8は、搬送されてきた紙葉類の真偽や金種などを識別して識別結果を出力する。一時保留部3は、入金処理で操作者が投入し、紙葉類識別装置8が真偽や金種などを識別できた紙葉類を一時的に保留する。
【0014】
収納部4A、4B、4Cは、紙葉類識別装置8が真券と判断し金種が確定した紙葉類を収納している。回収部5は、一時保留部3からの繰出しで金種が確定できなかった紙葉類や収納部4A、4B、4Cからの繰出しで金種が確定できなかった紙葉類などを収納している。
【0015】
カセット7は、収納部4A、4B、4Cに補充する紙葉類や、収納部4A、4B、4Cから回収した紙葉類などを収納している。補充回収部6は、カセット7から繰出された紙葉類の中で金種が確定できなかった紙葉類などを収納している。上記各々の部位は、搬送路9で接続されており、搬送路9を通して紙葉類が1枚ずつ搬送される。
【0016】
図2は、紙葉類識別装置8の機能的な構成を示すブロック図である。
CPU14は、紙葉類識別装置8全体の制御を行なう。ROM15は、不揮発性メモリであり、CPU14が使う制御プログラムや紙葉類識別プログラムなどを格納している。RAM16は、揮発性メモリであり、CPU14が使う変数などを格納している。
【0017】
イメージセンサ11は、紙葉類の画像を撮像する1次元のセンサである。ラインバッファ12は、イメージセンサ11が撮像した1次元の画像データを一時的に格納しておくメモリである。このラインバッファ12は合計4個あり、イメージセンサからの1ライン分の画像が順次格納される。ラインバッファ#0から始まり、最後のラインバッファ#3の次には、また最初のラインバッファ#0に戻って順番に格納される。
【0018】
画像メモリ17は、紙葉類の高解像度の画像と低解像度の画像を格納するメモリである。画像転送部13は、ラインバッファ12を参照し、一部の高解像度の画像データ23と全体の低解像度の画像データ24を画像メモリ17に転送するとともに、高解像度の画像データ23と合わせて該画像データの位置情報と長さ情報も転送する。
【0019】
紙葉類識別装置8は、イメージセンサ以外にも磁気センサや厚みセンサなどのセンサ18を実装しており、センサ転送部19によりセンサデータが各センサ18から各センサメモリ20に転送される。
【0020】
バス10には各デバイスが接続されている。バス10は、共通に使われる信号線である。このバス10は、画像データを画像メモリ17に転送する時やセンサ18のセンサデータをセンサメモリ20に転送する時やCPU14がROM15やRAM16に格納されているデータやプログラムにアクセスする時などに使われる。
【0021】
この構成により、紙葉類識別装置8は、イメージセンサ11で撮像した画像データをラインバッファ12に格納して画像転送部13により画像メモリ17へ転送、記憶させ、また他のセンサ18のセンサデータがセンサ転送部19によりセンサメモリ20に転送、記憶されて、CPU14が、画像メモリ17の画像データとセンサメモリ20のセンサデータに基づいて金種判別や真偽判別といった紙葉類30の識別処理を実行する。この識別処理を実行するCPU14は、高解像度の画像データ23と低解像度の画像データ24等に基づいて紙葉類を識別する識別手段として機能する。
【0022】
図3は、紙葉類30の外観を示す平面図である。
ここで、紙葉類とは、少なくとも紙幣、小切手、有価証券、商品券が含まれる。この実施例では、紙幣をイメージした紙葉類30の例で説明する。
【0023】
紙葉類30の表面には、少なくとも2箇所以上に記番号31A,31Bが印刷されている。図3では、英数字の組合せとしているが、記番号は英数字に限らず紙葉類30を特定できる記号などを含む構成にするとよい。ここでは、記番号31A,31Bの近辺の領域を注目すべき領域32A,32Bとする。
【0024】
図4は紙葉類の撮像時の動作を示す側面図である。
紙葉類30は、図示する方向Aの方向に搬送されている。ランプ40Aは、紙葉類30の上面全体を照射し、紙葉類30から反射された光をイメージセンサ11Aで受光する。イメージセンサ11Aから読み出した画像データは1ライン分であるが、紙葉類30が搬送されるにつれ順次撮像するので、結果として2次元の画像を得ることができる。
【0025】
紙葉類30の下面に関しても、ランプ40Bとイメージセンサ11Bにより、上面と同じように2次元の画像を得ることができる。図2ではイメージセンサ11とラインバッファ12と画像転送部13を1組だけ図示しているが、実際には二組分がバス10に接続されている。
【0026】
この紙葉類30は、搬送幅方向の長さが搬送路9の搬送路幅より短い構成となっている。このため、搬送路9での搬送中に紙葉類30のスキュー(傾き)が生じるものである。
【0027】
なお、日本の紙幣には、片面のみに記番号が印刷されており、もう一方の面には記番号は印刷されていないので、どちらの面が上になって搬送されて来るのかわからず、上側と下側に撮像系(ランプ40A,40Bとイメージセンサ11A,41B)を配しているが、両面に記番号が印刷されている紙葉類を扱う装置では、片側だけに撮像系を配してもよい。また、日本の紙幣など片面だけに記番号が印刷されている紙葉類を扱う装置でも、紙葉類の面を固定して扱える場合は、片側だけに撮像系を配してもよい。
【0028】
図5は間引き処理(低解像度化処理)の説明図である。
まず、イメージセンサ11が撮像した1ライン分の画像データは、4個のラインバッファ12に順次格納される。最後のラインバッファ#3の次は、最初のラインバッファ#0に戻って格納される。これにより、イメージセンサで撮像されたライン番号とラインバッファの番号との対応は、ライン番号が#0、#1、#2、#3、#4、#5、#6、#7と順番に1増加するのに対して、ラインバッファの番号は#0、#1、#2、#3、#0、#1、#2、#3、と循環し、リングバッファとして機能する。
【0029】
イメージセンサ11によって撮像された画像の各画素をPnmと表す。ここでnはイメージセンサのライン番号を表し、搬送方向に対応する。またmはイメージセンサの各撮像素子の番号を表し、搬送路幅方向に対応する。
このPnmの集まりが、高解像度の画像データ23となる。
【0030】
間引き処理とは、解像度を落としてデータ量を減らす処理のことであり、ここで搬送方向に4ライン分、搬送路幅方向に4画素分の合計16個の画素から1個の画素に変換する。変換方法としては、単純に16個の画素の平均値を使う、16個の画素の中央値を使うなど、適宜の計算方法で求めた値を使う。図5では例えば、P00、P01、P02、P03、P10、P11、P12、P13、P20、P21、P22、P23、P30、P31、P32、P33の16個の画素から1個の画素に変換することを示している。
【0031】
ここでは4ラインx4画素を1ブロックとしているが、1ラインx1画素以外ならどのような組合せでもよい。例えば、1ラインx4画素でも、4ラインx1画素でもよい。この場合、ライン数の変更に伴ってラインバッファの構成数を変えるとよい。
【0032】
図6は転送タイミングを表すタイミングチャートである。
イメージセンサ11が1ライン分の画像を順次撮像すると、その画像がラインバッファ12に格納される。このタイミングT1がライン番号0,1、・・として図に表されている。
【0033】
高解像度転送は、1ライン分の画像データがラインバッファ12に格納される毎に実行される。すなわち、イメージセンサ11が1ライン分の画像を撮像してラインバッファ12に格納するタイミングT1と1対1対応するタイミングT2で高解像度転送が行われる。この高解像度転送は、1ライン分の画像データの中から高解像度での画像処理が必要な箇所のみが転送部13によって画像メモリ17に転送される。この実施例では記番号の領域と思われる箇所だけを転送する構成としているが、マイクロ文字など他の注目領域を転送してもよい。この高解像度転送処理の詳細は後述する。
【0034】
低解像度転送は、ラインバッファ#3に画像データが格納されるタイミングT3毎に実行される。このとき転送する低解像度の画像データ24は、搬送方向に1/4、搬送路幅方向に1/4に解像度を落とした低解像度画像データである。この低解像度の画像データ24は、画像転送部13によって画像メモリ17に転送される。この低解像度転送処理の詳細は後述する。
【0035】
図7は、イメージセンサ11で紙葉類30を撮影したライン毎の媒体長を格納しているリンクバッファ21の構成図である。
このリンクバッファ21は、合計4個の媒体長を格納することができ、カウンタCによりどこに媒体長を格納すればよいのか管理している。つまりカウンタCの値がリンクバッファ21の番号を示している。このリンクバッファ21は、ラインバッファ12と対になっており、いずれも4ライン分のデータを記憶できるように構成されている。
【0036】
図8は、紙葉類識別装置8が紙葉類識別プログラムに基づいて実行する低解像度転送処理のフローチャートである。
図6でも説明したとおり、低解像度転送処理は4ライン毎に1回行われ、解像度を落とした画像を転送する処理である。転送された低解像度の画像データ24は、金種判別など媒体全体の画像データが必要となる処理で使われる。
【0037】
紙葉類識別装置8は、イメージセンサ11での1ライン分の撮像(撮像ステップ)が完了し、画像データがラインバッファ12に格納(一次記憶ステップ)されるのを待つ(ステップS10:未)。ラインバッファ12への格納が終了すれば(ステップS10:終了)、紙葉類識別装置8は、全ラインバッファ12への格納が完了したかチェックする(ステップS11)。紙葉類識別装置8は、まだ全ラインバッファへの格納が済んでいなければ(ステップS11:No)、ステップS10に処理を戻し、全ラインバッファ12への格納が完了していれば(ステップS11:Yes)、次のステップに進む。
【0038】
図6で説明したように、紙葉類識別装置8は、4ラインx4画素毎に1画素へと解像度を落とす間引き処理を実行し(ステップS12)、これによって作成した低解像度の画像データ24を画像メモリ17へ転送する低解像度転送ステップを行う(ステップS13)。
【0039】
紙葉類識別装置8は、全ての画素について間引き処理が完了したか確認し(ステップS14)、まだ完了していなければ(ステップS14:未完)、ステップS12に処理を戻し、次の画素の間引き処理を行なう。完了していれば(ステップS14:完)、紙葉類識別装置8は、次のステップへ処理を進める。
【0040】
紙葉類識別装置8は、最後に撮像処理が終了したか確認し(ステップS15)、まだ終了していなければ(ステップS15:No)、ステップS10に処理を戻し、次のラインの画像データの格納処理と間引き処理と転送処理を行なう。終了していれば(ステップS15:Yes)、紙葉類識別装置8は、低解像度転送処理を終了する。
【0041】
図9は、紙葉類識別装置8が紙葉類識別プログラムに基づいて実行する高解像度転送処理のフローチャートであり、図10は読み取った紙葉類の画像における高解像度領域と低解像度領域を説明する領域説明図であり、図11は、イメージセンサ11による画像読み取りで認識できる媒体長の説明図である。
【0042】
図6でも説明したとおり、高解像度転送処理は、1ライン毎に行われ、記番号領域32A,32Bを含んだ領域だけを高解像度のままで画像メモリ17に転送する処理である。但し、高解像度領域の2次元画像として高解像度転送される画像は、図3に説明した紙葉類30の記番号領域32A,32B近辺だけでなく、図10に示すB0、B1のような縦長の領域とする。これは、紙葉類30が表裏どちら向きに挿入されるか等によって記番号の搬送方向の位置が異なるため、搬送方向の前後全体に渡って画像取得するものである。なお、記番号は紙葉類30の搬送方向前方よりか後方よりに位置するため、領域B0,B1の搬送方向中央位置を除く構成にすることも可能である。
【0043】
転送された高解像度の画像データ23は、記番号認識など模様が細かくて高解像度の画像を必要とする処理で使われる。この高解像度転送処理は、上述した低解像度転送処理と並行して実行する。
【0044】
紙葉類識別装置8は、まずカウンタCを0クリアする(ステップS20)。このカウンタCはライン毎の媒体長Lを格納する位置を管理するためのものである。
【0045】
イメージセンサ11での1ライン分の撮像が完了し、ラインバッファ12への格納が行なわれるのを待つ(ステップS21:未完)。完了していれば(ステップS21:完了)、次のステップに処理を進める。
【0046】
紙葉類識別装置8は、格納が行なわれたラインバッファ12の画像データを参照し、媒体長Lを算出する(ステップS22)。この算出は、例えば1ラインの全ての画素を二値化し、媒体の左端と右端を求め、この右端位置と左端位置の差から媒体長Lを求める。
【0047】
紙葉類識別装置8は、ステップS22で計算した媒体長LをカウンタCが示す位置のリングバッファに格納する(ステップS23)。紙葉類識別装置8は、次のラインの処理のためにカウンタCの値を次の値に更新する(ステップS24)。このカウンタCの更新は、3とANDを行うビット演算により実行する。これにより、カウンタCは、0,1,2,3,0,1,…というように、0から1つずつ増加して3までいくと、再度0からスタートして1つずつ増加することを繰り返す。
【0048】
紙葉類識別装置8は、ステップS23で計算した媒体長Lをチェックする(ステップS25)。媒体長Lが0ならば(ステップS25:Yes)、まだ媒体が無いので転送処理は行なわずに、ステップS21に処理を戻す。媒体長Lが0でないならば(ステップS25:No)、媒体が到達しているので、紙葉類識別装置8は、転送処理を行なうために次のステップに処理を進める。
【0049】
紙葉類識別装置8は、現在のラインが媒体の先端部(領域A0)や後端部(領域A1)なのか、それとも中間部(領域B)なのかを判定するために、DIFを計算する(ステップS26)。
【0050】
ここで、DIFとは、隣接したラインの媒体長Lの差の絶対値の和であり、次の式1によって求める。
<式1>
DIF = |L0−L1|+|L1−L2|+|L2−L3|
【0051】
ここで、DIFを用いて紙葉類30の先端部、後端部、中間部を判定する判定方法について説明する。図10に示すように、紙葉類30の先端部は、図10の領域A0に該当し、後端部は領域A1に該当し、中間部は紙葉類30の領域Bに該当する。すなわち、短手方向に搬送されている紙葉類30は、該紙葉類30の搬送幅方向の長さより搬送路幅の広い搬送路9内で図示するようにスキュー(傾斜)していることがあり、イメージセンサ11で紙葉類30の搬送幅方向両端部(全幅)まで読み取れる中間部の前後に、イメージセンサ11で順次読み取る媒体長がライン毎に大きく変動する先端部と後端部が存在する。この先端部や後端部となる領域A0,A1では、ライン毎に媒体長Laが大きく変化するので、DIFは大きな値となる。一方、図10の紙葉類30における領域A0,A1を除いた中央部の場合、ライン毎の媒体長Lbは安定していてあまり変化しないため、DIFは小さな値となる。よって、DIFが小さければ中央部と判定でき、DIFが大きければ先端部か後端部であると切り分けできる。このDIFを用いる方法によれば、搬送幅方向の媒体長が異なる複数種類の紙葉類30を識別する場合でも、問題なく先端部と後端部と中間部とを切り分けることができる。
【0052】
なお、先端部と後端部と中央部の切り分けは、このDIFを用いる方法に限らず、他の方法を採用することもできる。例えば、媒体長Lがあるスレッシュ値(予め定めた基準値)未満なら先端部または後端部で、スレッシュ値以上ならば中央部という切り分け方法とすることもできる。
【0053】
紙葉類識別装置8は、DIFが予め定められているスレッシュ値(予め定めた基準値)と比較する(ステップS27)。所定基準としてのDIFがスレッシュ値よりも小さけいという基準を満たせば(ステップS27:Yes)、紙葉類識別装置8は、媒体の中央部であると判断し、紙葉類30における記番号領域32A,32Bに相当する領域だけを転送する(ステップS28)。具体的には、図10に示す領域B0,B1の高解像度の画像データ23を送信する。
【0054】
ここで、ステップS28は、中央部と判断した場合の転送処理であり、記番号領域に相当する領域だけを転送する。このため、図10に示すように、所定条件として紙葉類30の左端と右端から各々m画素だけ内側に入った位置からn画素分の条件に該当するものだけ転送する。つまり図10でのB0とB1に該当する領域を転送する。この時、後に行なう画像処理のために、領域B0と領域B1の各々の搬送幅方向の開始位置と長さも合わせて転送する。図10に示す領域B0では開始点=x0+m、長さ=n、領域B1では開始点=x0+m+n+k、長さ=nとなる。
【0055】
転送領域の位置と長さの算出方法は、媒体長Lに対する比率で求めても良い。
なお、この実施例では中央部での転送領域を2個としているが、それは記番号が左右対称位置に2箇所あるためであり、もし搬送路幅方向の中央部の1箇所だけに記番号が配置されている場合は、転送領域も1箇所だけにすれば良い。
【0056】
DIFがスレッシュ値以上の場合(ステップS28:No)、紙葉類30の先端部または後端部であると判断し、高解像度領域として媒体の部分(図10に示す領域A0,A1)だけの高解像度画像を転送する(ステップS29)。
【0057】
ここで、このステップS29は、先端部または後端部と判断した場合の転送処理であり、先端部と後端部の全領域を転送する。図3に示したとおり、記番号は先端と後端の近くに印刷されているため、図10の先端領域A0や後端領域A1に含まれる可能性が高い。そのため、この実施例では先端部または後端部の場合は、媒体の全領域を転送することにする。この時、ステップS28と同じく転送領域の開始位置と長さも合わせて転送する。従って、開始位置=媒体左端座標、長さ=Laとなる。
【0058】
これらのステップS27での判定とステップS28での必要部分の抽出が高解像度領域決定ステップとなり、ステップS28の転送とステップS29の転送が高解像度転送ステップとなる。
【0059】
なお、この実施例では先端部や後端部でも転送を行なっているが、記番号など注目領域が媒体の中央部にだけある場合などは、その注目領域が先端部や後端部に入らないので、先端部や後端部では転送を行なわないようにすれば良い。
【0060】
また、この実施例では画像データと共に開始位置と長さのデータも転送しているが、転送容量を削減したいが画像メモリ自体は大容量のメモリを実装できるといた場合は、開始位置と長さのデータは転送せずに、画像データだけを転送しても良い。
【0061】
最後に、紙葉類識別装置8は、撮像処理が終了したか確認し(ステップS30)、まだ終了していなければ(ステップS30:No)、ステップS21に戻り、次のラインの処理を行なう。もし終了していれば(ステップS30:Yes)、高解像度転送処理を終了する。
【0062】
このように実行する低解像度転送処理と高解像度転送処理は、上述したとおり並行して実行されるのであるが、主な処理を行うタイミングが異なっている。
すなわち、低解像度転送処理は、#0〜#3の4つ全てのラインバッファ12に画像データが格納された段階で間引き処理(ステップS12)および転送処理(ステップS13)を実行し、再度#0のラインバッファ12から画像データが格納されて#3まで進むと間引き処理および転送を実行する。従って、イメージセンサ11で4回撮像を実行する毎に間引き処理および転送を実行することになる。
【0063】
一方、高解像度転送処理は、1つのラインバッファ12に画像データが格納される毎に、端部/中間部判定処理(ステップS27)および転送領域抽出処理(ステップS28)および転送処理(ステップS28,29)を実行する。
【0064】
従って、高解像度転送処理の主な処理(ステップS27〜S29)が4回実行されると、低解像度転送処理の主な処理(ステップS12〜S13)を1回実行することになる。
【0065】
そして、この高解像度転送処理と低解像度転送処理により、転送されるデータ量を、紙葉類30の全体の高解像度データを転送するよりも少なくすることができる。また、これにより、画像データの転送時にバス帯域が圧迫されず、この転送された画像データを記憶する画像メモリ17のメモリ容量も減らすことができる。
【0066】
以上の構成および動作により、画像転送量を削減し、バス帯域を圧迫せず、画像メモリ17のメモリ容量を削減した紙葉類識別装置8を提供することができる。詳述すると、一般的な画像処理として注目領域の抽出や低解像度化は、全画像データを一旦画像メモリに記憶させた上で行われる。このような方法では、大容量の画像メモリが必要であり、画像メモリへの転送時にバス帯域が不足するという問題も生じ得る。これに対して上述した紙葉類識別装置8により、ラインバッファ12へは全画素の画像データを格納し、そこから一部抽出した高解像度の画像データ23や間引き処理した全体の低解像度の画像データ24を画像メモリ17に転送することで、トータルでの転送容量を抑えることができる。
【0067】
また、1次元のイメージセンサ11で判定可能な紙葉類30の搬送幅方向の媒体長Lに基づいて高解像度の画像データ23を転送する領域を決定しているため、紙葉類30の全画像データを取得せずとも一部抽出した高解像度の画像データ23の転送を実現することができる。このため紙葉類30の全体の画像データを扱うよりも非常に少ない情報で画像処理を実行できる。
【0068】
また、ラインバッファ12を複数設けたため、搬送方向に画像データを低解像度化してから画像メモリ17へ転送することができる。この実施例であれば、4つのラインバッファ12を設けたため、搬送方向に4画素分の画像データを1画素に低解像度化して画像メモリ17へ転送することができる。
【0069】
また、紙葉類30の端部/中間部の判定(先端部か後端部と中間部の判定)は、イメージセンサ11で順番に取得する媒体長Lの差分が予め定めたスレッシュ値以下か否かによって行うため、媒体長Lの異なる複数種類の紙葉類に対しても端部/中間部の判定を行うことができる。
【0070】
また、紙葉類30の先端部と後端部の各領域A0,A1は全て高解像度の画像データ23を転送する構成としたため、スキューの程度が強くて記番号が領域A0,A1にかかっていても、この記番号を高解像度の画像データ23で識別することができる。
【0071】
また、中間部の一部抽出した高解像度の画像データ23を転送する際、その抽出した画像データの搬送幅方向の開始位置と長さも合わせて転送するため、CPU14は、紙葉類30のどの領域の画像データであるかを再現することができる。これにより、適切な紙葉類30の識別を容易に行える。
【0072】
また、低解像度化や領域の抽出を行わなかった場合の転送量を1とすると、上述した実施例では、低解像度転送分では元の1/16であり、高解像度転送分はおおよそ元の5/8程度である(ただし記番号領域としてどれだけ見込むかによる)。従って、低解像度転送分と高解像度転送分を合わせて約11/16に画像転送量を抑えられる。
【0073】
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
この発明は、紙幣、小切手、有価証券、商品券といった紙葉類の識別に用いることができる。
【符号の説明】
【0075】
8…紙葉類識別装置、11,11A,11B…イメージセンサ、12…ラインバッファ、23…高解像度の画像データ、24…低解像度の画像データ、30…紙葉類、A0,A1,B,B0,B1…領域
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、紙葉類に印刷された記番号を認識するなど、高解像度の画像を撮像し画像処理する必要があるような紙葉類識別装置、紙葉類識別方法、および紙葉類識別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類の一種である紙幣を識別する紙幣識別装置においては、低解像度センサと高解像度センサを併用して記番号を識別する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1は、自動販売機などで使われている紙幣識別装置などのように、紙幣の短手が搬送方向に直交する向きに搬送する方式である。このため、日本のように短手の長さが金種によらず一定の国においては、投入口の幅を短手の長さに合わせることにより、記番号の通過位置を容易に固定することができる。
【0004】
一方、金融機関に設置されている自動取引装置(ATM)などで使われている紙幣識別装置などのように、紙幣の長手が搬送方向に直交する向きに搬送する方式では、金種毎に長手の長さが異なる。このため、最も長手の長い金種の長手長さ以上に搬送路幅を設定する必要が生じ、そうすると、最も長手の短い金種を搬送する時に搬送路上の紙幣の通過位置がばらつくことになる。このため、通路幅全域をカバーする高解像度センサを実装せざるを得ない。
【0005】
このように紙幣の長手が搬送方向に直交する向きに搬送する方式では、高解像度のセンサと低解像度のセンサを取付けた場合、高解像度のセンサも大型となり、同じようなセンサを2個搭載することでコストが高くなるという問題点がある。
【0006】
また、大型のセンサを搭載して、搬送路幅全域を撮像した場合、大量の画像メモリが必要となってコストが高くなるという問題点があり、大量の画像データを撮像することで画像メモリのバス帯域が足りなくなるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−154256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述の問題点に鑑み、高解像度の画像を撮像した上で、画像転送量を減らし、バス帯域を圧迫せず、画像メモリの容量も減らすことができる紙葉類識別装置、紙葉類識別方法、および紙葉類識別プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、紙葉類の画像を撮像する一次元の撮像手段と、前記撮像手段で撮像した画像を一時的に格納しておくラインバッファと、前記ラインバッファの画像データに基づいて低解像度の画像データを転送する低解像度転送手段と、前記ラインバッファの画像データに基づいて前記紙葉類を撮像した画像のうち高解像度の画像データを転送する高解像度領域を定める高解像度領域決定手段と、前記ラインバッファの画像データにおける前記高解像度領域について高解像度の画像データを転送する高解像度転送手段とを備えた紙葉類識別装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明により、高解像度の画像を撮像した上で、画像転送量を減らし、バス帯域を圧迫せず、画像メモリの容量も減らすことができる
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】紙葉類識別装置を搭載した紙葉類処理装置の概略構成を示す構成図。
【図2】紙葉類識別装置の機能的な構成を示すブロック図。
【図3】紙葉類の外観を示す平面図。
【図4】紙葉類の撮像時の動作を示す側面図。
【図5】間引き処理(低解像度化処理)の説明図。
【図6】転送タイミングを表すタイミングチャート。
【図7】ライン毎の媒体長を格納しているリンクバッファの構成図。
【図8】低解像度転送処理のフローチャート。
【図9】高解像度転送処理のフローチャート。
【図10】高解像度領域と低解像度領域を説明する領域説明図。
【図11】媒体長の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、コンピュータとしての紙葉類識別装置8を搭載した紙葉類処理装置1の概略構成を示す構成図である。
紙葉類識別装置8の入出口2は、操作者が紙葉類を投入したり、受取ったりする開口部である。紙葉類識別装置8は、搬送されてきた紙葉類の真偽や金種などを識別して識別結果を出力する。一時保留部3は、入金処理で操作者が投入し、紙葉類識別装置8が真偽や金種などを識別できた紙葉類を一時的に保留する。
【0014】
収納部4A、4B、4Cは、紙葉類識別装置8が真券と判断し金種が確定した紙葉類を収納している。回収部5は、一時保留部3からの繰出しで金種が確定できなかった紙葉類や収納部4A、4B、4Cからの繰出しで金種が確定できなかった紙葉類などを収納している。
【0015】
カセット7は、収納部4A、4B、4Cに補充する紙葉類や、収納部4A、4B、4Cから回収した紙葉類などを収納している。補充回収部6は、カセット7から繰出された紙葉類の中で金種が確定できなかった紙葉類などを収納している。上記各々の部位は、搬送路9で接続されており、搬送路9を通して紙葉類が1枚ずつ搬送される。
【0016】
図2は、紙葉類識別装置8の機能的な構成を示すブロック図である。
CPU14は、紙葉類識別装置8全体の制御を行なう。ROM15は、不揮発性メモリであり、CPU14が使う制御プログラムや紙葉類識別プログラムなどを格納している。RAM16は、揮発性メモリであり、CPU14が使う変数などを格納している。
【0017】
イメージセンサ11は、紙葉類の画像を撮像する1次元のセンサである。ラインバッファ12は、イメージセンサ11が撮像した1次元の画像データを一時的に格納しておくメモリである。このラインバッファ12は合計4個あり、イメージセンサからの1ライン分の画像が順次格納される。ラインバッファ#0から始まり、最後のラインバッファ#3の次には、また最初のラインバッファ#0に戻って順番に格納される。
【0018】
画像メモリ17は、紙葉類の高解像度の画像と低解像度の画像を格納するメモリである。画像転送部13は、ラインバッファ12を参照し、一部の高解像度の画像データ23と全体の低解像度の画像データ24を画像メモリ17に転送するとともに、高解像度の画像データ23と合わせて該画像データの位置情報と長さ情報も転送する。
【0019】
紙葉類識別装置8は、イメージセンサ以外にも磁気センサや厚みセンサなどのセンサ18を実装しており、センサ転送部19によりセンサデータが各センサ18から各センサメモリ20に転送される。
【0020】
バス10には各デバイスが接続されている。バス10は、共通に使われる信号線である。このバス10は、画像データを画像メモリ17に転送する時やセンサ18のセンサデータをセンサメモリ20に転送する時やCPU14がROM15やRAM16に格納されているデータやプログラムにアクセスする時などに使われる。
【0021】
この構成により、紙葉類識別装置8は、イメージセンサ11で撮像した画像データをラインバッファ12に格納して画像転送部13により画像メモリ17へ転送、記憶させ、また他のセンサ18のセンサデータがセンサ転送部19によりセンサメモリ20に転送、記憶されて、CPU14が、画像メモリ17の画像データとセンサメモリ20のセンサデータに基づいて金種判別や真偽判別といった紙葉類30の識別処理を実行する。この識別処理を実行するCPU14は、高解像度の画像データ23と低解像度の画像データ24等に基づいて紙葉類を識別する識別手段として機能する。
【0022】
図3は、紙葉類30の外観を示す平面図である。
ここで、紙葉類とは、少なくとも紙幣、小切手、有価証券、商品券が含まれる。この実施例では、紙幣をイメージした紙葉類30の例で説明する。
【0023】
紙葉類30の表面には、少なくとも2箇所以上に記番号31A,31Bが印刷されている。図3では、英数字の組合せとしているが、記番号は英数字に限らず紙葉類30を特定できる記号などを含む構成にするとよい。ここでは、記番号31A,31Bの近辺の領域を注目すべき領域32A,32Bとする。
【0024】
図4は紙葉類の撮像時の動作を示す側面図である。
紙葉類30は、図示する方向Aの方向に搬送されている。ランプ40Aは、紙葉類30の上面全体を照射し、紙葉類30から反射された光をイメージセンサ11Aで受光する。イメージセンサ11Aから読み出した画像データは1ライン分であるが、紙葉類30が搬送されるにつれ順次撮像するので、結果として2次元の画像を得ることができる。
【0025】
紙葉類30の下面に関しても、ランプ40Bとイメージセンサ11Bにより、上面と同じように2次元の画像を得ることができる。図2ではイメージセンサ11とラインバッファ12と画像転送部13を1組だけ図示しているが、実際には二組分がバス10に接続されている。
【0026】
この紙葉類30は、搬送幅方向の長さが搬送路9の搬送路幅より短い構成となっている。このため、搬送路9での搬送中に紙葉類30のスキュー(傾き)が生じるものである。
【0027】
なお、日本の紙幣には、片面のみに記番号が印刷されており、もう一方の面には記番号は印刷されていないので、どちらの面が上になって搬送されて来るのかわからず、上側と下側に撮像系(ランプ40A,40Bとイメージセンサ11A,41B)を配しているが、両面に記番号が印刷されている紙葉類を扱う装置では、片側だけに撮像系を配してもよい。また、日本の紙幣など片面だけに記番号が印刷されている紙葉類を扱う装置でも、紙葉類の面を固定して扱える場合は、片側だけに撮像系を配してもよい。
【0028】
図5は間引き処理(低解像度化処理)の説明図である。
まず、イメージセンサ11が撮像した1ライン分の画像データは、4個のラインバッファ12に順次格納される。最後のラインバッファ#3の次は、最初のラインバッファ#0に戻って格納される。これにより、イメージセンサで撮像されたライン番号とラインバッファの番号との対応は、ライン番号が#0、#1、#2、#3、#4、#5、#6、#7と順番に1増加するのに対して、ラインバッファの番号は#0、#1、#2、#3、#0、#1、#2、#3、と循環し、リングバッファとして機能する。
【0029】
イメージセンサ11によって撮像された画像の各画素をPnmと表す。ここでnはイメージセンサのライン番号を表し、搬送方向に対応する。またmはイメージセンサの各撮像素子の番号を表し、搬送路幅方向に対応する。
このPnmの集まりが、高解像度の画像データ23となる。
【0030】
間引き処理とは、解像度を落としてデータ量を減らす処理のことであり、ここで搬送方向に4ライン分、搬送路幅方向に4画素分の合計16個の画素から1個の画素に変換する。変換方法としては、単純に16個の画素の平均値を使う、16個の画素の中央値を使うなど、適宜の計算方法で求めた値を使う。図5では例えば、P00、P01、P02、P03、P10、P11、P12、P13、P20、P21、P22、P23、P30、P31、P32、P33の16個の画素から1個の画素に変換することを示している。
【0031】
ここでは4ラインx4画素を1ブロックとしているが、1ラインx1画素以外ならどのような組合せでもよい。例えば、1ラインx4画素でも、4ラインx1画素でもよい。この場合、ライン数の変更に伴ってラインバッファの構成数を変えるとよい。
【0032】
図6は転送タイミングを表すタイミングチャートである。
イメージセンサ11が1ライン分の画像を順次撮像すると、その画像がラインバッファ12に格納される。このタイミングT1がライン番号0,1、・・として図に表されている。
【0033】
高解像度転送は、1ライン分の画像データがラインバッファ12に格納される毎に実行される。すなわち、イメージセンサ11が1ライン分の画像を撮像してラインバッファ12に格納するタイミングT1と1対1対応するタイミングT2で高解像度転送が行われる。この高解像度転送は、1ライン分の画像データの中から高解像度での画像処理が必要な箇所のみが転送部13によって画像メモリ17に転送される。この実施例では記番号の領域と思われる箇所だけを転送する構成としているが、マイクロ文字など他の注目領域を転送してもよい。この高解像度転送処理の詳細は後述する。
【0034】
低解像度転送は、ラインバッファ#3に画像データが格納されるタイミングT3毎に実行される。このとき転送する低解像度の画像データ24は、搬送方向に1/4、搬送路幅方向に1/4に解像度を落とした低解像度画像データである。この低解像度の画像データ24は、画像転送部13によって画像メモリ17に転送される。この低解像度転送処理の詳細は後述する。
【0035】
図7は、イメージセンサ11で紙葉類30を撮影したライン毎の媒体長を格納しているリンクバッファ21の構成図である。
このリンクバッファ21は、合計4個の媒体長を格納することができ、カウンタCによりどこに媒体長を格納すればよいのか管理している。つまりカウンタCの値がリンクバッファ21の番号を示している。このリンクバッファ21は、ラインバッファ12と対になっており、いずれも4ライン分のデータを記憶できるように構成されている。
【0036】
図8は、紙葉類識別装置8が紙葉類識別プログラムに基づいて実行する低解像度転送処理のフローチャートである。
図6でも説明したとおり、低解像度転送処理は4ライン毎に1回行われ、解像度を落とした画像を転送する処理である。転送された低解像度の画像データ24は、金種判別など媒体全体の画像データが必要となる処理で使われる。
【0037】
紙葉類識別装置8は、イメージセンサ11での1ライン分の撮像(撮像ステップ)が完了し、画像データがラインバッファ12に格納(一次記憶ステップ)されるのを待つ(ステップS10:未)。ラインバッファ12への格納が終了すれば(ステップS10:終了)、紙葉類識別装置8は、全ラインバッファ12への格納が完了したかチェックする(ステップS11)。紙葉類識別装置8は、まだ全ラインバッファへの格納が済んでいなければ(ステップS11:No)、ステップS10に処理を戻し、全ラインバッファ12への格納が完了していれば(ステップS11:Yes)、次のステップに進む。
【0038】
図6で説明したように、紙葉類識別装置8は、4ラインx4画素毎に1画素へと解像度を落とす間引き処理を実行し(ステップS12)、これによって作成した低解像度の画像データ24を画像メモリ17へ転送する低解像度転送ステップを行う(ステップS13)。
【0039】
紙葉類識別装置8は、全ての画素について間引き処理が完了したか確認し(ステップS14)、まだ完了していなければ(ステップS14:未完)、ステップS12に処理を戻し、次の画素の間引き処理を行なう。完了していれば(ステップS14:完)、紙葉類識別装置8は、次のステップへ処理を進める。
【0040】
紙葉類識別装置8は、最後に撮像処理が終了したか確認し(ステップS15)、まだ終了していなければ(ステップS15:No)、ステップS10に処理を戻し、次のラインの画像データの格納処理と間引き処理と転送処理を行なう。終了していれば(ステップS15:Yes)、紙葉類識別装置8は、低解像度転送処理を終了する。
【0041】
図9は、紙葉類識別装置8が紙葉類識別プログラムに基づいて実行する高解像度転送処理のフローチャートであり、図10は読み取った紙葉類の画像における高解像度領域と低解像度領域を説明する領域説明図であり、図11は、イメージセンサ11による画像読み取りで認識できる媒体長の説明図である。
【0042】
図6でも説明したとおり、高解像度転送処理は、1ライン毎に行われ、記番号領域32A,32Bを含んだ領域だけを高解像度のままで画像メモリ17に転送する処理である。但し、高解像度領域の2次元画像として高解像度転送される画像は、図3に説明した紙葉類30の記番号領域32A,32B近辺だけでなく、図10に示すB0、B1のような縦長の領域とする。これは、紙葉類30が表裏どちら向きに挿入されるか等によって記番号の搬送方向の位置が異なるため、搬送方向の前後全体に渡って画像取得するものである。なお、記番号は紙葉類30の搬送方向前方よりか後方よりに位置するため、領域B0,B1の搬送方向中央位置を除く構成にすることも可能である。
【0043】
転送された高解像度の画像データ23は、記番号認識など模様が細かくて高解像度の画像を必要とする処理で使われる。この高解像度転送処理は、上述した低解像度転送処理と並行して実行する。
【0044】
紙葉類識別装置8は、まずカウンタCを0クリアする(ステップS20)。このカウンタCはライン毎の媒体長Lを格納する位置を管理するためのものである。
【0045】
イメージセンサ11での1ライン分の撮像が完了し、ラインバッファ12への格納が行なわれるのを待つ(ステップS21:未完)。完了していれば(ステップS21:完了)、次のステップに処理を進める。
【0046】
紙葉類識別装置8は、格納が行なわれたラインバッファ12の画像データを参照し、媒体長Lを算出する(ステップS22)。この算出は、例えば1ラインの全ての画素を二値化し、媒体の左端と右端を求め、この右端位置と左端位置の差から媒体長Lを求める。
【0047】
紙葉類識別装置8は、ステップS22で計算した媒体長LをカウンタCが示す位置のリングバッファに格納する(ステップS23)。紙葉類識別装置8は、次のラインの処理のためにカウンタCの値を次の値に更新する(ステップS24)。このカウンタCの更新は、3とANDを行うビット演算により実行する。これにより、カウンタCは、0,1,2,3,0,1,…というように、0から1つずつ増加して3までいくと、再度0からスタートして1つずつ増加することを繰り返す。
【0048】
紙葉類識別装置8は、ステップS23で計算した媒体長Lをチェックする(ステップS25)。媒体長Lが0ならば(ステップS25:Yes)、まだ媒体が無いので転送処理は行なわずに、ステップS21に処理を戻す。媒体長Lが0でないならば(ステップS25:No)、媒体が到達しているので、紙葉類識別装置8は、転送処理を行なうために次のステップに処理を進める。
【0049】
紙葉類識別装置8は、現在のラインが媒体の先端部(領域A0)や後端部(領域A1)なのか、それとも中間部(領域B)なのかを判定するために、DIFを計算する(ステップS26)。
【0050】
ここで、DIFとは、隣接したラインの媒体長Lの差の絶対値の和であり、次の式1によって求める。
<式1>
DIF = |L0−L1|+|L1−L2|+|L2−L3|
【0051】
ここで、DIFを用いて紙葉類30の先端部、後端部、中間部を判定する判定方法について説明する。図10に示すように、紙葉類30の先端部は、図10の領域A0に該当し、後端部は領域A1に該当し、中間部は紙葉類30の領域Bに該当する。すなわち、短手方向に搬送されている紙葉類30は、該紙葉類30の搬送幅方向の長さより搬送路幅の広い搬送路9内で図示するようにスキュー(傾斜)していることがあり、イメージセンサ11で紙葉類30の搬送幅方向両端部(全幅)まで読み取れる中間部の前後に、イメージセンサ11で順次読み取る媒体長がライン毎に大きく変動する先端部と後端部が存在する。この先端部や後端部となる領域A0,A1では、ライン毎に媒体長Laが大きく変化するので、DIFは大きな値となる。一方、図10の紙葉類30における領域A0,A1を除いた中央部の場合、ライン毎の媒体長Lbは安定していてあまり変化しないため、DIFは小さな値となる。よって、DIFが小さければ中央部と判定でき、DIFが大きければ先端部か後端部であると切り分けできる。このDIFを用いる方法によれば、搬送幅方向の媒体長が異なる複数種類の紙葉類30を識別する場合でも、問題なく先端部と後端部と中間部とを切り分けることができる。
【0052】
なお、先端部と後端部と中央部の切り分けは、このDIFを用いる方法に限らず、他の方法を採用することもできる。例えば、媒体長Lがあるスレッシュ値(予め定めた基準値)未満なら先端部または後端部で、スレッシュ値以上ならば中央部という切り分け方法とすることもできる。
【0053】
紙葉類識別装置8は、DIFが予め定められているスレッシュ値(予め定めた基準値)と比較する(ステップS27)。所定基準としてのDIFがスレッシュ値よりも小さけいという基準を満たせば(ステップS27:Yes)、紙葉類識別装置8は、媒体の中央部であると判断し、紙葉類30における記番号領域32A,32Bに相当する領域だけを転送する(ステップS28)。具体的には、図10に示す領域B0,B1の高解像度の画像データ23を送信する。
【0054】
ここで、ステップS28は、中央部と判断した場合の転送処理であり、記番号領域に相当する領域だけを転送する。このため、図10に示すように、所定条件として紙葉類30の左端と右端から各々m画素だけ内側に入った位置からn画素分の条件に該当するものだけ転送する。つまり図10でのB0とB1に該当する領域を転送する。この時、後に行なう画像処理のために、領域B0と領域B1の各々の搬送幅方向の開始位置と長さも合わせて転送する。図10に示す領域B0では開始点=x0+m、長さ=n、領域B1では開始点=x0+m+n+k、長さ=nとなる。
【0055】
転送領域の位置と長さの算出方法は、媒体長Lに対する比率で求めても良い。
なお、この実施例では中央部での転送領域を2個としているが、それは記番号が左右対称位置に2箇所あるためであり、もし搬送路幅方向の中央部の1箇所だけに記番号が配置されている場合は、転送領域も1箇所だけにすれば良い。
【0056】
DIFがスレッシュ値以上の場合(ステップS28:No)、紙葉類30の先端部または後端部であると判断し、高解像度領域として媒体の部分(図10に示す領域A0,A1)だけの高解像度画像を転送する(ステップS29)。
【0057】
ここで、このステップS29は、先端部または後端部と判断した場合の転送処理であり、先端部と後端部の全領域を転送する。図3に示したとおり、記番号は先端と後端の近くに印刷されているため、図10の先端領域A0や後端領域A1に含まれる可能性が高い。そのため、この実施例では先端部または後端部の場合は、媒体の全領域を転送することにする。この時、ステップS28と同じく転送領域の開始位置と長さも合わせて転送する。従って、開始位置=媒体左端座標、長さ=Laとなる。
【0058】
これらのステップS27での判定とステップS28での必要部分の抽出が高解像度領域決定ステップとなり、ステップS28の転送とステップS29の転送が高解像度転送ステップとなる。
【0059】
なお、この実施例では先端部や後端部でも転送を行なっているが、記番号など注目領域が媒体の中央部にだけある場合などは、その注目領域が先端部や後端部に入らないので、先端部や後端部では転送を行なわないようにすれば良い。
【0060】
また、この実施例では画像データと共に開始位置と長さのデータも転送しているが、転送容量を削減したいが画像メモリ自体は大容量のメモリを実装できるといた場合は、開始位置と長さのデータは転送せずに、画像データだけを転送しても良い。
【0061】
最後に、紙葉類識別装置8は、撮像処理が終了したか確認し(ステップS30)、まだ終了していなければ(ステップS30:No)、ステップS21に戻り、次のラインの処理を行なう。もし終了していれば(ステップS30:Yes)、高解像度転送処理を終了する。
【0062】
このように実行する低解像度転送処理と高解像度転送処理は、上述したとおり並行して実行されるのであるが、主な処理を行うタイミングが異なっている。
すなわち、低解像度転送処理は、#0〜#3の4つ全てのラインバッファ12に画像データが格納された段階で間引き処理(ステップS12)および転送処理(ステップS13)を実行し、再度#0のラインバッファ12から画像データが格納されて#3まで進むと間引き処理および転送を実行する。従って、イメージセンサ11で4回撮像を実行する毎に間引き処理および転送を実行することになる。
【0063】
一方、高解像度転送処理は、1つのラインバッファ12に画像データが格納される毎に、端部/中間部判定処理(ステップS27)および転送領域抽出処理(ステップS28)および転送処理(ステップS28,29)を実行する。
【0064】
従って、高解像度転送処理の主な処理(ステップS27〜S29)が4回実行されると、低解像度転送処理の主な処理(ステップS12〜S13)を1回実行することになる。
【0065】
そして、この高解像度転送処理と低解像度転送処理により、転送されるデータ量を、紙葉類30の全体の高解像度データを転送するよりも少なくすることができる。また、これにより、画像データの転送時にバス帯域が圧迫されず、この転送された画像データを記憶する画像メモリ17のメモリ容量も減らすことができる。
【0066】
以上の構成および動作により、画像転送量を削減し、バス帯域を圧迫せず、画像メモリ17のメモリ容量を削減した紙葉類識別装置8を提供することができる。詳述すると、一般的な画像処理として注目領域の抽出や低解像度化は、全画像データを一旦画像メモリに記憶させた上で行われる。このような方法では、大容量の画像メモリが必要であり、画像メモリへの転送時にバス帯域が不足するという問題も生じ得る。これに対して上述した紙葉類識別装置8により、ラインバッファ12へは全画素の画像データを格納し、そこから一部抽出した高解像度の画像データ23や間引き処理した全体の低解像度の画像データ24を画像メモリ17に転送することで、トータルでの転送容量を抑えることができる。
【0067】
また、1次元のイメージセンサ11で判定可能な紙葉類30の搬送幅方向の媒体長Lに基づいて高解像度の画像データ23を転送する領域を決定しているため、紙葉類30の全画像データを取得せずとも一部抽出した高解像度の画像データ23の転送を実現することができる。このため紙葉類30の全体の画像データを扱うよりも非常に少ない情報で画像処理を実行できる。
【0068】
また、ラインバッファ12を複数設けたため、搬送方向に画像データを低解像度化してから画像メモリ17へ転送することができる。この実施例であれば、4つのラインバッファ12を設けたため、搬送方向に4画素分の画像データを1画素に低解像度化して画像メモリ17へ転送することができる。
【0069】
また、紙葉類30の端部/中間部の判定(先端部か後端部と中間部の判定)は、イメージセンサ11で順番に取得する媒体長Lの差分が予め定めたスレッシュ値以下か否かによって行うため、媒体長Lの異なる複数種類の紙葉類に対しても端部/中間部の判定を行うことができる。
【0070】
また、紙葉類30の先端部と後端部の各領域A0,A1は全て高解像度の画像データ23を転送する構成としたため、スキューの程度が強くて記番号が領域A0,A1にかかっていても、この記番号を高解像度の画像データ23で識別することができる。
【0071】
また、中間部の一部抽出した高解像度の画像データ23を転送する際、その抽出した画像データの搬送幅方向の開始位置と長さも合わせて転送するため、CPU14は、紙葉類30のどの領域の画像データであるかを再現することができる。これにより、適切な紙葉類30の識別を容易に行える。
【0072】
また、低解像度化や領域の抽出を行わなかった場合の転送量を1とすると、上述した実施例では、低解像度転送分では元の1/16であり、高解像度転送分はおおよそ元の5/8程度である(ただし記番号領域としてどれだけ見込むかによる)。従って、低解像度転送分と高解像度転送分を合わせて約11/16に画像転送量を抑えられる。
【0073】
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
この発明は、紙幣、小切手、有価証券、商品券といった紙葉類の識別に用いることができる。
【符号の説明】
【0075】
8…紙葉類識別装置、11,11A,11B…イメージセンサ、12…ラインバッファ、23…高解像度の画像データ、24…低解像度の画像データ、30…紙葉類、A0,A1,B,B0,B1…領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類の画像を撮像する一次元の撮像手段と、
前記撮像手段で撮像した画像を一時的に格納しておくラインバッファと、
前記ラインバッファの画像データに基づいて低解像度の画像データを転送する低解像度転送手段と、
前記ラインバッファの画像データに基づいて前記紙葉類を撮像した画像のうち高解像度の画像データを転送する高解像度領域を定める高解像度領域決定手段と、
前記ラインバッファの画像データにおける前記高解像度領域について高解像度の画像データを転送する高解像度転送手段とを備えた
紙葉類識別装置。
【請求項2】
前記高解像度領域決定手段は、
搬送される紙葉類を撮像した画像データを、搬送端部と中間部とに分割し、各部別に前記高解像度領域を決定する構成である
請求項1記載の紙葉類識別装置。
【請求項3】
前記高解像度領域決定手段は、
前記搬送端部については、それぞれ高解像度領域に設定するか否かのいずれかに決定し、
前記中間部については、予め定めた所定条件に従う一部の領域を高解像度領域に決定する構成である
請求項2記載の紙葉類識別装置。
【請求項4】
前記高解像度領域決定手段は、
搬送幅方向の紙葉類幅が所定基準を満さなければ搬送端部とし、
該所定基準を満たしている間を前記中間部とする構成である
請求項2または3記載の紙葉類識別装置。
【請求項5】
前記高解像度転送手段は、前記高解像度の画像データと共に該画像データの位置情報と長さ情報も合わせて転送する構成である
請求項1から4のいずれか1つに記載の紙葉類識別装置。
【請求項6】
一次元の撮像手段により紙葉類の画像を撮像する撮像ステップと、
前記撮像手段で撮像した画像をラインバッファに一時的に格納しておく一次記憶ステップと、
前記ラインバッファの画像データに基づいて低解像度の画像データを転送する低解像度転送ステップと、
前記ラインバッファの画像データに基づいて前記紙葉類を撮像した画像のうち前記高解像度転送ステップにより高解像度の画像データを転送する高解像度領域を定める高解像度領域決定ステップと、
前記ラインバッファの画像データにおける前記高解像度領域について高解像度の画像データを転送する高解像度転送ステップとを備えた
紙葉類識別方法。
【請求項7】
コンピュータを、
紙葉類の画像を撮像する一次元の撮像手段と、
前記撮像手段で撮像した画像を一時的に格納しておくラインバッファと、
前記ラインバッファの画像データに基づいて低解像度の画像データを転送する低解像度転送手段と、
前記ラインバッファの画像データに基づいて前記紙葉類を撮像した画像のうち前記高解像度転送手段により高解像度の画像データを転送する高解像度領域を定める高解像度領域決定手段と、
前記ラインバッファの画像データにおける前記高解像度領域について高解像度の画像データを転送する高解像度転送手段として機能させる
紙葉類識別プログラム。
【請求項1】
紙葉類の画像を撮像する一次元の撮像手段と、
前記撮像手段で撮像した画像を一時的に格納しておくラインバッファと、
前記ラインバッファの画像データに基づいて低解像度の画像データを転送する低解像度転送手段と、
前記ラインバッファの画像データに基づいて前記紙葉類を撮像した画像のうち高解像度の画像データを転送する高解像度領域を定める高解像度領域決定手段と、
前記ラインバッファの画像データにおける前記高解像度領域について高解像度の画像データを転送する高解像度転送手段とを備えた
紙葉類識別装置。
【請求項2】
前記高解像度領域決定手段は、
搬送される紙葉類を撮像した画像データを、搬送端部と中間部とに分割し、各部別に前記高解像度領域を決定する構成である
請求項1記載の紙葉類識別装置。
【請求項3】
前記高解像度領域決定手段は、
前記搬送端部については、それぞれ高解像度領域に設定するか否かのいずれかに決定し、
前記中間部については、予め定めた所定条件に従う一部の領域を高解像度領域に決定する構成である
請求項2記載の紙葉類識別装置。
【請求項4】
前記高解像度領域決定手段は、
搬送幅方向の紙葉類幅が所定基準を満さなければ搬送端部とし、
該所定基準を満たしている間を前記中間部とする構成である
請求項2または3記載の紙葉類識別装置。
【請求項5】
前記高解像度転送手段は、前記高解像度の画像データと共に該画像データの位置情報と長さ情報も合わせて転送する構成である
請求項1から4のいずれか1つに記載の紙葉類識別装置。
【請求項6】
一次元の撮像手段により紙葉類の画像を撮像する撮像ステップと、
前記撮像手段で撮像した画像をラインバッファに一時的に格納しておく一次記憶ステップと、
前記ラインバッファの画像データに基づいて低解像度の画像データを転送する低解像度転送ステップと、
前記ラインバッファの画像データに基づいて前記紙葉類を撮像した画像のうち前記高解像度転送ステップにより高解像度の画像データを転送する高解像度領域を定める高解像度領域決定ステップと、
前記ラインバッファの画像データにおける前記高解像度領域について高解像度の画像データを転送する高解像度転送ステップとを備えた
紙葉類識別方法。
【請求項7】
コンピュータを、
紙葉類の画像を撮像する一次元の撮像手段と、
前記撮像手段で撮像した画像を一時的に格納しておくラインバッファと、
前記ラインバッファの画像データに基づいて低解像度の画像データを転送する低解像度転送手段と、
前記ラインバッファの画像データに基づいて前記紙葉類を撮像した画像のうち前記高解像度転送手段により高解像度の画像データを転送する高解像度領域を定める高解像度領域決定手段と、
前記ラインバッファの画像データにおける前記高解像度領域について高解像度の画像データを転送する高解像度転送手段として機能させる
紙葉類識別プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−221622(P2011−221622A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87458(P2010−87458)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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