説明

紙葉類識別装置

【課題】制御装置のソフトウエアのバージョンなどの当該ソフトウエアに関する情報を低コストで容易に表示させることができる紙葉類識別装置を提供する。
【解決手段】少なくとも発光素子16を有して光学的に紙葉類に関する情報を検出する光学的識別センサ15と、この光学的識別センサ15の検出出力に基づいて紙葉類の識別を行う制御装置としてのCPU20を備えた紙葉類識別装置1において、光学的識別センサ15、又は、それに加えて設けられる装置の少なくとも何れかが通常とは異なる状態とされた場合、CPU20は、発光素子16を用いて制御用のソフトウエアに関する情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば遊技場に設置される両替機や玉貸し機、発券などに用いられる精算機等において、投入された紙幣などの紙葉類の真贋を識別するための紙葉類識別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より両替機等には、投入される紙幣の真贋を識別するための識別センサを備えた紙葉類識別装置が内蔵されており、変偽造紙幣を使用して、商品や釣り銭を騙し取るといった窃盗行為による被害を回避する試みがなされている。この紙葉類識別装置の識別センサとしては、例えば、光学的に紙葉類に関する情報を検出する光学的識別手段や、磁気的に紙葉類に関する情報を検出する磁気的識別手段、など種々の識別手段が開発されており、これらのうちの一つ、若しくは、複数の識別手段を用いて紙幣の真贋を識別できるよう構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−102057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、係る紙幣の偽造精度も日々進歩しており、このような変偽造紙幣を用いた窃盗行為を未然に防ぐために、紙葉類識別装置の識別技術も日々進歩しつつあるのが現状であり、紙葉類識別装置の制御装置ではそのソフトウエアのバージョンアップが頻繁に行われている。
【0004】
このように制御装置のソフトウエアのバージョンアップが頻繁に行われる状況下では、当該制御装置に現在どのバージョンのソフトウエアがインストールされているか明確に表示する必要がある。そこで、従来の紙葉類識別装置では、ソフトウエアのバージョンを記載したラベルを貼り付けたり、バージョン情報を表示する表示器を設けるなどして、係る紙葉類識別装置をバージョン管理していたが、ラベルを印刷しなければならないために手間がかかるという問題が生じていた。
【0005】
更に、情報を表示する表示器を設ける場合には、本来識別に必要のない部品のために生産コストが高騰すると云う問題も生じていた。
【0006】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、制御装置のソフトウエアのバージョンなどの当該ソフトウエアに関する情報を低コストで容易に表示することができる紙葉類識別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の紙葉類識別装置は、少なくとも発光素子を有して光学的に紙葉類に関する情報を検出する光学的識別センサと、この光学的識別センサの検出出力に基づいて紙葉類の識別を行う制御装置とを備えたものであって、光学的識別センサ、又は、それに加えて設けられる装置の少なくとも何れかが通常とは異なる状態とされた場合、制御装置は、発光素子を用いて制御用のソフトウエアに関する情報を表示することを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明の紙葉類識別装置は、上記発明の光学的識別センサに加えて設けられる装置は、光学的以外の手段で紙葉類に関する情報を検出する識別センサ、紙葉類の位置検出を行うための位置検出用センサ、可動機構の状態を検出するための状態検出用センサ、設定用スイッチのうちの何れか一つ、又は、複数であることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明の紙葉類識別装置は、請求項2の発明において光学的以外の手段で紙葉類に関する情報を検出する識別センサは、磁気的に紙葉類に関する情報を検出する磁気的識別センサであり、位置検出用センサは、紙葉類が投入される入口に設けられた入口センサ、紙葉類が出て行く位置に設けられた出口センサのうちの一つ、又は、複数であり、状態検出用センサは、紙葉類の引き戻しを防止するためのシャッタ、紙葉類の搬送用モータの回転センサのうちの一つ、又は、複数であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、少なくとも発光素子を有して光学的に紙葉類に関する情報を検出する光学的識別センサと、この光学的識別センサの検出出力に基づいて紙葉類の識別を行う制御装置とを備えた紙葉類識別装置において、光学的識別センサ、又は、それに加えて設けられる装置の少なくとも何れかが通常とは異なる状態とされた場合、制御装置が、発光素子を用いて制御用のソフトウエアに関する情報を表示するようにしたので、例えばラベルを貼付したり、格別な表示器を設けること無く、光学的識別センサの発光素子を用いて、制御装置のソフトウエアのバージョンなどの当該ソフトウエアに関する情報を表示することが可能となる。
【0011】
また、表示させるための操作も、光学的識別センサ、又は、それに加えて設けられる磁気センサなどの光学的以外の手段で紙葉類に関する情報を検出する識別センサ、入口センサや出口センサなどの紙葉類の位置検出を行うための位置検出用センサ、紙葉類の引き戻しを防止するためのシャッタや紙葉類の搬送用モータの回転センサなどの可動機構の状態を検出するための状態検出用センサ、設定用スイッチなどを通常とは異なる状態とするだけで良いので、格別な入力手段を設ける必要も無い。
【0012】
総じて、制御装置のソフトウエアに関する情報を確認し、管理するための作業性及びコストの削減を図ることが可能となるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、紙葉類識別装置の制御装置のソフトウエアのバージョンなどに関する情報を、既に存在する部品を用いて表示させるようにすることで、作業性の向上を図り、且つ、当該ソフトウエアに関する情報を低コストで表示するものである。即ち、少なくとも発光素子を有して光学的に紙葉類に関する情報を検出する光学的識別センサと、この光学的識別センサの検出出力に基づいて紙葉類の識別を行う制御装置とを備えた紙葉類識別装置において、光学的識別センサ、又は、それに加えて設けられる装置の少なくとも何れかが通常とは異なる状態とされた場合、制御装置は、発光素子を用いて制御用のソフトウエアに関する情報を表示するものである。以下図面に基づき、本発明の実施形態を詳述する。
【0014】
図1は、本発明の実施例の紙葉類識別装置1の側面図、図2は図1の紙葉類識別装置1の通路カバー3を開いた状態を示す図である。実施例の紙葉類識別装置1は、例えば遊技場などに設置される両替機に取り付けられるものであり、フレーム2と当該フレーム2の一面に設けられた通路カバー3とから構成され、このフレーム2と通路カバー3の間の対向する面に形成された隙間を、紙葉類を搬送するための紙葉類識別用通路5とし、この紙葉類識別用通路5の一端(図1の右側)に形成された紙葉類挿入口5Aから投入された紙幣などの紙葉類の真贋を識別するための装置である。尚、本発明が対象とする紙葉類には、紙幣の他、商品券や有価証券、チケットなども含まれる。
【0015】
また、実施例の紙葉類識別装置1は、紙葉類挿入口5Aと、図示しない金庫(紙葉類を金庫まで搬送する紙葉類搬送装置の紙葉類取込口であっても良い)などに臨んで設けられた紙葉類排出口5Bと、紙葉類挿入口5Aに挿入された紙葉類を前記紙葉類識別用通路5に沿って搬送し、紙葉類排出口5Bから排出などするための紙葉類搬送手段と、紙葉類挿入口5Aに挿入された紙葉類の位置検出を行うための位置検出用センサと、紙葉類識別用通路5に沿って搬送される紙葉類の状態を検出するための状態検出用センサと、紙葉類識別用通路5に沿って搬送される紙葉類に関する情報を光学的に検出する光学的識別センサ15と、紙葉類識別用通路5に沿って搬送される紙葉類に関する情報を磁気的に検出する磁気的識別センサ18と、設定用スイッチ19などにより構成されている。
【0016】
上記紙葉類搬送手段は、通路カバー3の下面に敷設された搬送用ベルト6と、この搬送用ベルト6を駆動する可動機構としての搬送用モータ7から構成されている。また、位置検出用センサには、紙葉類挿入口5Aに設けられ、当該紙葉類挿入口5Aに挿入された紙葉類の有無を判断するための入口センサ12と、紙葉類識別装置1から紙葉類が出て行く位置(紙葉類排出口5B)に設けられ、紙葉類識別用通路5から搬送されて来た紙葉類を判断するための出口センサ13が含まれる。尚、通路カバー3はフレーム2の紙葉類排出口5Bとなる他端の両隅角部にヒンジ部材22、23にて回動自在に取り付けられることにより、一端側から開閉可能に形成されており、通常の使用状態では通路カバー3及びフレーム2が閉塞され、上述したように通路カバー3とフレーム2との間に紙葉類識別用通路5が形成された状態とされている。
【0017】
前記状態検出用センサには、上記搬送用モータ7の状態を検出する回転センサ8と、紙葉類の引き戻しを防止するためのシャッタ10(引抜防止シャッタ)の状態を検出するシャッタセンサ11が含まれる。
【0018】
また、前記光学的識別センサ15は、フレーム2に設けられたLEDランプ等から成る3個の発光素子16(可視光識別用センサ)と、各発光素子16に紙葉類識別用通路5を挟んで対向するように通路カバー3に配設された3個の受光素子17とから構成される。即ち、発光素子16と受光素子17は、紙葉類を挟んで対向するように配置されており、紙葉類が紙葉類識別用通路5を通過する際に発光素子16を発光させて、通過する紙葉類に照射し、紙葉類を透過した光を受光素子17にて検知し、それを後述するCPU20に入力して、光の透過量やその変化率等を演算処理し、その結果をメモリMに記憶されている基準データ(基準情報)と比較することにより、紙葉類の真贋を識別する。
【0019】
そして、前記磁気的識別センサ18は、前述する光学的以外の手段で紙葉類に関する情報を検出する識別センサであり、フレーム2の前記受光素子17より紙葉類排出口5B側に設けられている。そして、当該磁気的識別センサ18は、通過する紙葉類の磁気的情報(磁気インクなど)を検知し、前記CPU20に入力して演算処理し、その結果を前述同様にメモリMに記憶されている基準データと比較することによって紙葉類の真贋を識別する。
【0020】
前記シャッタ10は、フレーム2の磁気的識別センサ18より紙葉類排出口5B側に設けられ、紙葉類を搬送方向のみ通過させ、逆方向への移動を阻止するための引抜き防止部材である。このシャッタ10より紙葉類排出口5B側の領域が紙葉類を保留するための保留位置とされる。即ち、シャッタ10は、前記各識別センサ(光学的識別センサ15及び磁気的識別センサ18)の配設位置と保留位置との中間に位置している。
【0021】
当該シャッタ10は、通常は図1に実線で示すように紙葉類識別用通路5上に突出しているが、紙葉類が搬送用ベルト6により紙葉類挿入口5Aから紙葉類排出口5Bに向けて搬送されて来ると(図1中向かって右から左方向)、この紙葉類により図1中破線で示すように下方の収納部10A内に押し倒されて、紙葉類の通過を許容する。そして、紙葉類が通過してしまうと、シャッタ10は図示しないバネにより紙葉類識別用通路5上に再度突出(復帰)する。この状態でシャッタ10は紙葉類が紙葉類排出口5Bから紙葉類挿入口5Aに向けて移動すること(図1中向かって左から右方向)を阻止し、引き抜きを防止する。また、前記シャッタセンサ11は、シャッタ10が下方に押し倒された場合にON信号を前記CPU20に出力するセンサであり、接触式、非接触式等種々の方式のものが存在する。
【0022】
前述したCPU20は、本実施例の紙葉類識別装置1の制御を司る制御装置である。当該CPU20はマイクロコンピュータにて構成され、前述した基準データを含む制御用のソフトウエアなどの情報を記憶するメモリMを備えている。このメモリMは、読み込み、及び、書き込み可能な記憶装置であり、当該メモリMに書き込まれた情報に基づき、CPU20は、紙葉類の真贋判断を行う。図3に示す如き当該CPU20の入力側には、前記位置検出用センサとしての入口センサ12及び出口センサ13と、光学的識別センサ15を構成する3個の受光素子17、磁気的識別センサ18、状態検出センサとしての回転センサ8及びシャッタセンサ11と、設定用スイッチ19等がそれぞれ接続されている。
【0023】
また、CPU20の出力側には、光学的識別センサ15を構成する3個の発光素子16と搬送用モータ7等が接続され、当該発光素子16及び搬送用モータ7は上述する入力側に接続された各センサからの出力に基づき、CPU20により制御されている。具体的な制御については後述する動作説明にて詳述する。
【0024】
以上の構成で、次に実施例の紙葉類識別装置1の紙葉類の真贋識別動作を説明する。各識別センサ15、18からの信号取込み処理はCPU20により実行され、入口センサ12で紙葉類が検知されたときスタートされる。先ず、入口センサ12により紙葉類(この場合、紙幣とする)の投入が検知されると、CPU20は、搬送モータ7を駆動する。これにより、搬送用ベルト6が走行され、紙葉類挿入口5Aから投入された紙幣が通路カバー3と下部フレームの間に形成された紙葉類識別用通路5上を紙葉類排出口5B方向へ搬送される。
【0025】
また、前記搬送モータ7の駆動と同時にCPU20は、光学的識別センサ15の発光素子16を発光させる。そして、前記紙幣が光学的識別センサ15の発光素子16と受光素子17の間を通過すると、前述の如き紙幣を通過した光が受光素子17により検出され、そのデータがCPU20に出力される。同様に、紙幣が磁気的識別センサ18上を通過することにより、紙幣の印字に施された磁気インクの磁気的情報が検出され、そのデータがCPU20に出力される。
【0026】
CPU20は、これらの識別データとメモリMに記憶されている基準データとをそれぞれ比較することにより紙幣の真贋を識別し、即ち、当該紙幣が真正なものであるか否かを判定し、真正な紙幣である場合には更に搬送用ベルト6を走行させ、紙葉類排出口5B方向に紙幣を搬送する。そして、CPU20は紙幣がシャッタ10を押し倒しながらシャッタ10を完全に通過して(この通過状態はシャッタ10が倒れた(ON)後、復帰(OFF)したことでシャッタセンサ11により検知される)、保留位置、即ち、紙葉類排出口5Bに到達し、出口センサ13が当該紙幣を検知すると、搬送用ベルト6の走行を一旦停止させ、そこで紙幣を保留させる。
【0027】
この保留状態においては、紙幣は返却可能な状態であって、商品購入者が図示しない両替機の返却レバーを操作すると、紙幣は返却される。また、この状態で、2枚目の紙幣を投入すると、既に保留されている紙幣は図示しない金庫に収納される(若しくは、図示しない紙葉類搬送装置にて金庫に搬送される)。尚、本紙葉類識別装置1は、例えば設定用スイッチ19を操作することにより、紙幣の投入を一枚だけにして、次の紙幣の投入を禁止させることもできる。その場合にあっては、紙幣が保留された時点で、搬送ベルト6の走行を停止させるように構成されている。
【0028】
両替が完了すると、CPU20は、両替機からの紙葉類収納指令に基づき、搬送用ベルト6を更に走行させて紙幣を金庫に収納する(或いは、図示しない紙葉類搬送装置を介して紙幣を金庫に搬送して収納する)。
【0029】
一方、紙幣が真正でない場合、即ち、CPU20が投入された紙幣が真正なものでないと判断した場合には、当該CPU20は、搬送ベルト6を逆走行させて紙幣を紙葉類挿入口5Aに返却する。
【0030】
ところで、近年、係る紙幣の偽造精度も日々進歩しており、このような変偽造紙幣を用いた窃盗行為を未然に防ぐために、紙葉類識別装置1の識別技術も日々進歩しつつあるのが現状であり、紙葉類識別装置1のCPU20のソフトウエアのバージョンアップが頻繁に行われている。即ち、紙葉類識別装置1のCPU20のメモリMの書き換えが頻繁に行われている。
【0031】
このようにCPU20のメモリMの書き換えが頻繁に行われるような状況下では、CPU20のメモリMに現在どのバージョンのソフトウエアがインストールされているか明確に表示して管理する必要があるが、従来の紙葉類識別装置では、当該紙葉類識別装置にソフトウエアのバージョンなどを記載したラベル(紙葉類識別装置自体に直接印刷する場合もあり)を貼り付けたり、情報を表示する格別な表示器を取り付けて、紙葉類識別装置のソフトウエアのバージョンを管理していたが、係る情報を確認し、管理するのに手間がかかると共に、ラベルの位置によっては両替機に搭載された状態では確認できなくなるという問題が生じていた。更に、情報を出力するための格別な表示器を設けた場合には、紙葉類識別装置の製造コストが高騰するという不都合も生じていた。
【0032】
そこで、本発明の紙葉類識別装置1は、光学的識別センサ、又は、それに加えて設けられる装置の少なくとも何れかが通常とは異なる状態とされた場合、CPU20が、発光素子16を用いて制御用のソフトウエアに関する情報を表示するものとする。本実施例の紙葉類識別装置1では、通路カバー3が開放された状態で、シャッタ10が連続して複数回(例えば、3回)押し倒された場合に、CPU20は発光素子16を用いて制御用のソフトウエアに関する情報を当該発光素子16を点滅させることで表示する。
【0033】
具体的な表示動作について図4に示すフローチャートを用いて説明する。先ず、図4のステップS1にて電源がONされると、ステップS2に移行して、紙幣(紙葉類)の識別が開始されたか否か、即ち、紙幣が紙葉類挿入口5Aから投入されたか否かを判断し、紙幣が投入された場合には、ステップS3に移行して前述した紙葉類識別動作を開始する。尚、当該紙葉類識別動作については前述した通りである。
【0034】
一方、紙幣が投入されていない場合にはステップS4に移行して識別動作可能な待機状態であるか否かを判断する。即ち、識別可能な待機状態とは、通常の正常状態であり、識別可能な待機状態でない場合とは、例えば、紙葉類識別用通路5に紙幣が詰まった状態などである。そして、待機状態であると判断されると、次にCPU20はステップS5に移行して通路カバー3の開閉状態を判断する。
【0035】
そして、通路カバー3が開放状態である場合には、CPU20はステップS6に移行して、シャッタ10が規定範囲でON−OFFされたか否かを判断する。例えば、作業者がシャッタ10を所定の短時間内で連続して所定回数(例えば、3回)押し倒すと、シャッタセンサ11からの連続して3回のON−OFF信号がCPU20に入力される。この場合、CPU20は、シャッタセンサ11からの当該入力に基づき、ステップS7に移行し、当該CPU20のメモリMの有するバージョンに対応して予め設定された所定回数、光学的識別センサ15の発光素子16(可視光識別用センサ)を点滅させる。具体的には、例えば、バージョン3のソフトウエアが搭載されている場合には、CPU20は、3個の発光素子16をそれぞれ1回ずつ点滅させ、それより一つ古いバージョン2のソフトウエアが搭載されている場合には、3個の発光素子16のうち、何れか2個の発光素子をそれぞれ1回ずつ点滅させる。即ち、CPU20は搭載されたバージョン(メモリMに書き込まれたソフトウエアのバージョン)に応じて、発光素子16の点滅回数等を異ならしめているので、作業者は、当該発光素子16の点滅を目で見て確認するだけで、容易に搭載されたソフトウエアのバージョンを把握することができる。
【0036】
このように、発光素子16を有して光学的に紙葉類に関する情報を検出する光学的識別センサ15と、この光学的識別センサ15の検出出力に基づいて紙葉類の識別を行う制御装置としてのCPU20とを備えた紙葉類識別装置1において、シャッタ10が通常とは異なる状態に操作された場合、CPU20が発光素子16をそれぞれ格別な発光状態として制御用のソフトウエアに関する情報を表示するようにしたので、例えば紙葉類識別装置1にラベルを貼付したり、格別な表示器を設けること無く、光学的識別センサ15の発光素子16を用いて、CPU20のソフトウエアのバージョンなどの当該ソフトウエアに関する情報を表示することが可能となる。尚、ソフトウエアに関する情報はバージョンに限られるものではない。
【0037】
また、表示させるための動作も、シャッタ10の状態を通常とは異なる状態とするだけで良いので、格別な入力手段を設ける必要も無い。総じて、CPU20のソフトウエアに関する情報を確認し、管理するための作業性及びコストの削減を図ることが可能となる。
【0038】
尚、本実施例では、CPU20は通路カバー3が開かれた状態で、シャッタセンサ11にて検出されるシャッタ10の状態が通常と異なる状態、即ち、連続して所定回数(3回)押し倒された場合に光学的識別センサ15の発光素子16を点滅するものとしたが、本発明の紙葉類識別装置は本実施例に限らず、少なくとも発光素子を有して光学的に紙葉類に関する情報を検出する光学的識別センサと、この光学的識別センサの検出出力に基づいて紙葉類の識別を行う制御装置とを備えたものであって、光学的識別センサ、又は、それに加えて設けられる装置の少なくとも何れかが通常とは異なる状態とされた場合に発光素子を用いて制御用のソフトウエアに関する情報を表示するものであれば、どのようなものであっても良い。
【0039】
例えば、入口センサ12、若しくは、出口センサ13が通常と異なる状態とされた場合、CPU20が発光素子16を用いて制御用のソフトウエアに関する情報を表示するものとしても構わない。この場合、CPU20は、前記図4のステップS5にて通路カバー2が開放状態を判断すると、次のステップに移行して、入口センサ12のON−OFFが規定範囲内で実行されたか否かを判断する。例えば、作業者が入口センサ12、若しくは、出口センサ13の直上に所定の短時間内に連続して所定回数(例えば、3回)手をかざす行為を繰り返すと、入口センサ12、或いは、出口センサ13からの連続して3回のON−OFF信号がCPU20に入力される。
【0040】
これにより、CPU20は、入口センサ12、或いは、出口センサ13からの当該入力に基づき、前述の如く当該CPU20のメモリMの有するバージョンに対応して予め設定された所定回数、光学的識別センサ15の発光素子16を点滅させる。従って、上記実施例同様に作業者が、当該発光素子16の点滅を目で見て確認するだけで、CPUに搭載されたバージョンを容易に把握することができる。
【0041】
一方、CPU20は、設定用スイッチ19が通常と異なる状態とされた場合、発光素子16を用いて制御用のソフトウエアに関する情報を表示するものとしても差し支えない。この場合、CPU20は、前記図4のステップS5にて通路カバー2が開放状態を判断すると、次のステップに移行して、設定用スイッチ19のON−OFFが規定範囲内で実行されたか否かを判断する。例えば、作業者により設定用スイッチ19の操作スイッチが所定の短時間内に連続して所定回数(例えば3回)操作されると、設定用スイッチ19からの連続して3回の信号がCPU20に入力される。
【0042】
これにより、CPU20は設定用スイッチ19からの当該入力に基づき、前述の如くCPU20のメモリMのバージョンに対応して予め設定された所定回数、光学的識別センサ15の発光素子16を点滅させる。従って、上記同様に作業者が、当該発光素子16の点滅を目で見て確認するだけで、CPU20に搭載されたバージョンを容易に把握することができる。
【0043】
他方、CPU20は、搬送用モータ7が通常と異なる状態とされた場合、発光素子16を用いて制御用のソフトウエアに関する情報を表示するものとしても良い。この場合、例えば、前述の如く通路カバー2が開放された状態で作業者が搬送モータ7を手で数回(例えば3回)回転させる操作が行われると、係る搬送モータ7の状態が回転センサ8によって検出され、CPU20に入力される。
【0044】
これにより、CPU20は回転センサ8からの通常と異なる当該入力に基づき、前述の如くCPU20のメモリMのバージョンに対応して予め設定された所定回数、光学的識別センサ15の発光素子16を点滅させる。これによって、作業者が、当該発光素子16の点滅を目で見て確認するだけで、上述同様にCPU20に搭載されたバージョンを容易に把握することができる。
【0045】
また、光学的識別センサ15、又は、磁気的識別センサ18が通常と異なる状態とされた場合にCPU20が発光素子16を用いて制御用のソフトウエアに関する情報を表示するものとしても良い。この場合、例えば、通路カバー2を閉じた状態で作業者が、光学的識別センサ15の発光素子16と受光素子17の間に紙葉類投入口5Aから紙幣(或いはカードなど)を所定の短時間内で連続して所定回数(例えば、3回)出し入れする行為を繰り返すことで、CPU20が受光素子17からの係る入力に基づき、メモリMのバージョンに対応して予め設定された所定回数、光学的識別センサ15の発光素子16を点滅させる。この場合は、出し入れ行為の直後に通路カバー2を開く必要がある。また、通路カバー2が閉じた状態で作業者が磁気的識別センサ18の直上に所定時間紙幣を出し入れする行為で、CPU20が磁気的識別センサ18からの係る入力情報に基づき、メモリMのバージョンに対応して予め設定された所定回数、光学的識別センサ15の発光素子16を点滅させるものとしても構わない。この場合も、紙幣の出し入れ後に直ぐに通路カバー2を開く必要がある。
【0046】
更にまた、上述した各センサや装置に限らず、それ以外に設けられたセンサや装置の作動状態により、CPU20が発光素子16を用いて制御用のソフトウエアに関する情報を表示するものとしても本発明は有効である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の紙葉類識別装置の側面図である。
【図2】図1の紙葉類識別装置の上部フレームを開いた状態を示す図である。
【図3】図1の紙葉類識別装置の制御システムの概略を示すブロック図である。
【図4】図1の紙葉類識別装置の制御装置のCPUによるソフトウエアのバージョン表示動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1 紙葉類識別装置
2 フレーム
3 通路カバー
5 紙葉類識別用通路
5A 紙葉類挿入口
5B 紙葉類排出口
6 搬送用ベルト
7 搬送用モータ
8 回転センサ
10 シャッタ
11 シャッタセンサ
12 入口センサ
13 出口センサ
15 光学的識別センサ
16 発光素子(可視光識別用センサ)
17 受光素子
18 磁気的識別センサ
19 設定スイッチ
20 CPU(制御装置)
22 ヒンジ部材
23 ヒンジ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも発光素子を有して光学的に紙葉類に関する情報を検出する光学的識別センサと、該光学的識別センサの検出出力に基づいて前記紙葉類の識別を行う制御装置とを備えた紙葉類識別装置において、
前記光学的識別センサ、又は、それに加えて設けられる装置の少なくとも何れかが通常とは異なる状態とされた場合、前記制御装置は、前記発光素子を用いて制御用のソフトウエアに関する情報を表示することを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項2】
前記光学的識別センサに加えて設けられる装置は、光学的以外の手段で前記紙葉類に関する情報を検出する識別センサ、前記紙葉類の位置検出を行うための位置検出用センサ、可動機構の状態を検出するための状態検出用センサ、設定用スイッチのうちの何れか一つ、又は、複数であることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類識別装置。
【請求項3】
前記光学的以外の手段で前記紙葉類に関する情報を検出する識別センサは、磁気的に前記紙葉類に関する情報を検出する磁気的識別センサであり、
前記位置検出用センサは、前記紙葉類が投入される入口に設けられた入口センサ、前記紙葉類が出て行く位置に設けられた出口センサのうちの一つ、又は、複数であり、
前記状態検出用センサは、前記紙葉類の引き戻しを防止するためのシャッタ、前記紙葉類の搬送用モータの回転センサのうちの一つ、又は、複数であることを特徴とする請求項2に記載の紙葉類識別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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