説明

紙製容器

【課題】紙をもって所謂どんぶり形状の容器を形成可能とするものであり、容易でかつ低コストで成形できる紙製容器を提供するものであって、併せて液体を用いた例えば即席麺等の食品用の容器として断熱効果を有する紙製容器を提供する。
【解決手段】前記略扇状の紙製のシート1の任意の位置を頂点として短円弧辺部に向かって略三角形状に切り広がった切り欠きを有する該シートをどんぶり形状の略御椀形状からなる成形芯金に巻き込むと共に、夫々の三角形の該切り欠きを構成する切り欠き辺部同士を接し又は一部重なって形成して底部方向の形状をすぼめたどんぶり形状の略御椀形状からなる内側の紙製容器1Aと、一枚の紙製シートを雄型と雌型によって加圧成形したどんぶり形状の略御椀形状からなる外側の紙製容器2Aとからなり、該内側の紙製容器に外側の紙製容器を位置させて一の容器を構成した紙製容器を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡樹脂や紙製等の各種断熱構造を有する断熱容器に関しての紙製容器であって、特に即席麺等の御椀形状の発泡樹脂等の断熱容器に代わって紙製で構成される断熱及び液漏れ防止が可能な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ポリスチレン樹脂系発泡シート等を用いて即席麺等の御椀形状に容器を形成し、これを断熱容器として用いて多用しているものである。
この場合、例えば該容器の周面形状をきれいに形成するためと共に断熱性を高めるため、および成形性の容易化を図るために前記のようにポリスチレン樹脂系発泡シート等を用いて容器を形成するものである。
【0003】
例えば特開平10−16025号(特許文献1)や特開2000−95888号(特許文献2)、特開2001−161534号(特許文献3)がある。
或いは紙により即席麺や液体を入れるための紙製容器として特開平8−207051号(特許文献4)や特開2003−26143号(特許文献5)が存在する。
【0004】
これらに代えていわゆるどんぶり形状のような略御椀形等の容器を紙により形成するものとして特開2006−341911号(特許文献6)が存在する。
更に、紙をもって構成した断熱容器としては例えば特開平11−348966号(特許文献7)や特開2000−43955号(特許文献8)が存在する。
【特許文献1】特開平10−16025号
【特許文献2】特開2000−95888号
【特許文献3】特開2001−161534号
【特許文献4】特開平8−207051号
【特許文献5】特開2003−26143号
【特許文献6】特開2006−341911号
【特許文献7】特開平11−348966号
【特許文献8】特開2000−43955号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の様に、ポリスチレン樹脂系発泡シート等を用いた御椀形状の即席麺等の断熱容器は、発泡シートを用いるものであり、断熱性を有する外壁を用いることができるばかりでなく樹脂製ゆえに成形が容易できれいな外周形状を持って形成できるものである。
しかし、樹脂製ゆえに可塑剤が熱湯へ流出してしまう恐れがあるという欠点を有するものである。
また廃棄時においても分別の上特段の処理が必要となるものである。
【0006】
更には石油製品であり、将来的に枯渇の可能性もあり、また各種情勢により石油価格の変動の可能性もあり、低価格での安定供給の点で不安定性を有する。
しかして、昨今はどうしても紙製品への転換が要請されるものであり、紙によって製造できる容器が望まれることとなる。
この場合前記した特許文献4や特許文献5が紙製容器として存在するがこれらはその成形の点で円錐台形状のいわゆるコップ形状の外形からなるものである。
【0007】
これに対して現在多用されている前記ポリスチレン樹脂系発泡シート等を用いた御椀形状の即席麺等の断熱容器の形状とは異なり、いわゆるどんぶり型とは異なる形状の容器である。
又、これに対して特許文献6に示すどんぶり形状の容器の提供も存在する。
しかし、これはプレス成形であり、特にスコアリング形成したうえでプレス成形するものである。
したがって、極めて複雑な工程を有するばかりでなく高度かつ精密な機器を必要とする。
【0008】
さらに深絞りのプレス成形であることから絞りのきつい部分においてはスコアリング処理をしたとしてもどうしても皺が生じてしまうものであり、きれいな成形はできにくいものである。
さらにスコアリング形成であるがゆえに外表面に極めて多数の傷をつけてしまうものとなる。
従って、本構成においても皺の除去と容器の保形性の確保及び容器の破損防止など各種の点でいずれも欠点を有するものとなる。
特にきわめて高度かつ厳密なスコアリング処理の必要性からコスト高ともなるものであり、何らかの解決が求められているものである。
【0009】
次に特許文献7は、紙製の容器であって断熱性を保てる点で有用である。
しかし本構成においては多角形状に折り込みを設けて外容器と内容器とを形成し、それぞれを折り込んで容器構成に成形した後に組み合わせることが必要となり、一つ一つを手で組み立てなければならず大量生産には全く向かないものである。
更にそれぞれが角によって折り込まれるものであり、例えばどんぶり形状などの成形はできないものである。
【0010】
さらに特許文献8に関しても同様に紙製の断熱容器であり、外見上下部が絞り形状のいわゆるどんぶり型とはなっているが、内部容器は円錐台形状であってどんぶり形状とはなっていないものである。
さらに、この外側の外装部に関しては、その下部において加熱加圧して絞り込みを入れるものである。
従って、このまま加圧などした場合には紙であるがゆえに皺が多数入ってしまい見栄えの悪い形状となってしまうものである。
【0011】
この場合罫線を下部に入れることによって皺の減少を図るものとしているが、例えばこの罫線を入れた程度では皺の発生を罫線に沿わせて生じさせ易くはできるが、皺自体をなくすことはできず深い皺などがどうしても発生するものであり、絞りをきつくすれば罫線程度では皺をなくすことはできないものである。
従って、より簡単にかつコストをかけることなく成形できると共に、皺のない略どんぶり形状の御椀形の紙製の容器の提供が望まれるものであり、特に紙製容器をもって形成できる断熱容器の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
係るため本発明に係る請求項1記載の発明は、前記略扇状の紙製のシートの任意の位置を頂点として短円弧辺部に向かって略三角形状に切り広がった切り欠きを有する該シートをどんぶり形状の略御椀形状からなる成形芯金に巻き込むと共に、夫々の三角形の該切り欠きを構成する切り欠き辺部同士を接し又は一部重なって形成して底部方向の形状をすぼめたどんぶり形状の略御椀形からなる内側の紙製容器と、一枚の紙製シートを雄型と雌型によって加圧成形したどんぶり形状の略御椀形状からなる外側の紙製容器とからなり、該内側の紙製容器に外側の紙製容器を位置させて一の容器を構成した紙製容器よりなり、係る発明によって前記課題を解決できる。
【0013】
又、請求項2に係る発明は、紙製のシートと紙製シートとのいずれか或いはいずれもが紙製シートと熱可塑性シートの多層シートよりなる紙製容器であってかかる発明であってもよい。
更に、請求項3に係る発明は内側の紙製容器の紙製のシートと紙製容器の紙製シートとを夫々の熱可塑性シートにより融着することにより該内側の紙製容器に外側の紙製容器を位置させた状態で融着して一の容器を構成した紙製容器よりなり、係る容器でも同様である。
【0014】
或いは、請求項4に係る発明の様に、内側の紙製容器の紙製のシートと紙製容器の紙製シートとを接着部材で接着して一の容器を構成したものであってよく、請求項5に係る発明の様に、開口に位置する内側の紙製容器の紙製のシートと紙製容器の紙製シートとを該周縁部の両シートをまとめて丸め込んで或いは折り込んで一体化して開口周縁部を形成して一の容器を構成したものでもよい。
更に、請求項6に係る発明の様に紙製シートが円形のシートよりなるものでもよい。
【0015】
これ等の他、請求項7に係る発明の様に外側の紙製容器の外側に外装体を有する紙製容器を用いてもよい。
又、請求項8に係る発明の様に、一枚の紙製シートを雄型と雌型によって加圧成形したどんぶり形状の略御椀形状からなる外側の紙製容器の表面には皺や折り目を有し、該皺や折り目によって内側の紙製容器との間に空気層及び/又はシートの折り込み厚を有し、内側の紙製容器の内部と紙製容器の外表面との間で断熱するものである紙製容器でもよい。
【0016】
又、請求項9にかかる発明のように一枚の紙製シートを雄型と雌型によって加圧成形に際して、表面に凹凸形状を有する雄型と雌型を用いて襞付きの紙製容器を成形し、該襞付きの紙製容器を用いた紙製容器でも、或いは請求項10にかかる発明の様に襞付きの紙製容器を成形した後に再度襞を折畳んだ紙製容器を用いた紙製容器でも同様である。
更に、請求項11に係る発明の様に内側の紙製容器と外装体との間に紙製容器を有し、該紙製容器により空気層及び/又はシートの折り込み厚が形成され、内側の紙製容器の内部と外装体の外表面との間で断熱する紙製容器でもよい。
【0017】
或いは請求項12に係る発明の様に外装体を紙製シートと熱可塑性シートの多層シートで構成し、少なくとも内側の紙製容器の紙製のシート及び/又は紙製容器の紙製シートと熱可塑性シートにより融着することにより外装体を融着して一の容器を構成した紙製容器を 用いてもよい。
又、請求項13に係る発明の様に、外装体を、少なくとも内側の紙製容器の紙製のシート及び/又は紙製容器の紙製シートと接着部材で接着して一の容器を構成した紙製容器でもよい。
【0018】
或いは、請求項14に係る発明の様に開口に位置する内側の紙製容器の紙製のシート及び/又は紙製容器の紙製シートと外装体のシートとを該周縁部における両シートをまとめて丸め込んで或いは折り込んで一体化して開口周縁部を形成することによって一の容器を構成した紙製容器でもよい。
これらの他、請求項15に係る発明の様に、外装体として内側に位置する紙製容器を用いた紙製容器を用いてもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上のように構成したことからまず請求項1に係る発明によって、紙をもって所謂どんぶり形状の容器を形成できるものであり、資源保護の観点やリサイクル或いは分別などの際に極めて使い勝手の良い容器の提供を可能とすると共にその成形も極めて簡単に行なえるものとなる。
更に外側の紙製容器によって断熱効果を発揮することもできる。
【0020】
次に請求項2及び3に係る発明によれば、紙製容器でありながら熱可塑性シートを用いて熱溶着することができ、極めて成形性の高いかつまた成形容易な容器の提供ができる。
又、請求項4に係る発明によってもでんぷん糊を初め各種の接着部材で内側の容器と外側の容器を一体に形成できるものである。 請求項5に係る発明によれば、成形により一体の容器として構成できるものとなる。
【0021】
又、請求項6に係る発明によれば、外側の紙製容器をどんぶり形状の略御椀形状に成形しやすくすることができるものである。
更に請求項7に係る発明によれば、更に外装体の装着も可能であり、請求項8にかかる発明によれば外側の紙製容器によって断熱効果を発揮できるものとなる。
又請求項9に係る発明によれば、外側の紙製容器に襞を形成でき、必要に応じて■井断熱性を発揮させることも可能となる。
【0022】
或いは請求項10に係る発明によれば、この襞の形状即ち襞の状態を変化させることによって夫々の用途に応じた外側の紙製容器の提供が可能となる。
又、請求項11に係る発明によれば、外装体を用いることによりこの外装体と内側の紙製容器の間において断熱層として外側の紙製容器を効率的に用いることができる。
又、請求項12乃至14に係る発明によれば、外装体の装着をきっちりと行えるものである。
更に請求項15に係る発明によれば、外装体として内側の容器の効率的に使用できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明に係る紙製容器の一例を示す図であり、まず例えば一般的に多用されているポリスチレン樹脂系発泡シート等を用いた御椀形状の即席麺等の断熱容器形状と近似したいわゆるどんぶり形状の略御椀形の容器形状に近似した、上縁部が広縁であり、該容器の中央部までは若干量該開口口径を少しずつだけ狭めるが、底部近傍で急に口径を狭く構成した略御椀形状であるどんぶり形の容器をかたどった形状より紙製容器の一例を示す図である。
【0024】
まず容器の内側には、略扇状の紙製のシート1であって、短円弧辺部11方向に多数の切り欠き部を有する該シートを略どんぶり形状の金型などで巻き込んで、略御椀形状である略どんぶり形状をかたどった形状として成形した紙製容器1Aが位置する。
これは、特に外表面はきれいな曲面構成で形成されている。
【0025】
次に、該容器1Aの外周には円形のシート2地をプレス成形にて略御椀形状である略どんぶり形状にかたどった紙製容器2Aが位置している。
従って紙製シート2をプレス成形して形成した紙製容器2A内に、短円弧辺部11方向に多数の切り欠き部を有する該シート1を巻き込んで成形した略御椀形状である略どんぶり形状をかたどった紙製容器1Aを収納して一の紙製容器を成形するものである。
これは、内側に位置する多数の切り欠き部を有する該シート1を巻き込んで成形した紙製容器1Aの多数の切り欠き辺部12が接し又は重なり合って形成された位置等からの液漏れを外部に位置するプレス成形にて形成した外側の紙製容器2Aで防ぐことが可能となるものである。
【0026】
そもそも内側に位置する紙製容器1Aにおいても多数の切り欠き部を有するシート1を巻き込むと共に略どんぶり形状等の金型にこのシート1を巻きつけた場合に、シート地の部分の夫々一の三角形の該切り欠きを構成する切り欠き辺部12同士が接し又は一部重なって形成され、底部方向の形状をすぼめた形状に形成することができ、これによって略どんぶり形状の御椀形の容器に成形できるものであり、該切り欠き辺部12同士の接する部分や一部重なって接着乃至溶着することにより液漏れは防止できるが、より確実なる液漏れの防止を図るために一枚のシート2を持って構成し何ら継ぎ目などのない紙製シートより成形した外容器2Aを更に配することによって確実な液漏れ防止のできる紙製容器の提供ができるものである。
【0027】
この場合、外側の液漏れ防止の容器2Aは一枚の紙製シート2より形成されていれば良く、例えば前記の通りプレス成形にて形成するものに限らず他の方法例えば金型に巻きつけて形成するものや回転ロールに巻き込んで成形するもの等によって形成するものであってもよい。
【0028】
図2は、前記の通り、略扇状の紙製のシート1であって短円弧辺部11方向に多数の切り欠き部を有する該シートを略どんぶり形状の金型等で巻き込んで略御椀形状である略どんぶり形状をかたどった形状として成形した紙製容器1Aを、一枚の紙製シート2をもってその中央部を底部としてプレス成形等によって略御椀形状である略どんぶり形状をかたどった形状として成形した紙製容器2Aに重ねて両者を例えばでんぷん糊等の接着部材によって接着して一の紙製容器を成形した一例を示す。
このように成形することによって内側の容器1Aと外側の容器2Aで内部に入れるべき例えば液体をこぼさずに用いることができるものである。
【0029】
例えば即席麺等のための容器として紙製の容器を使用可能と出来るものである。
この場合、例えば外側に位置する容器2Aが一枚のシート2をもって略御椀状に成形したものであることから、その外周面には折り目や皺等が入るものであり、これがデザイン的な価値を有するものとなるばかりでなくこの部分の隙間や重なり合い部分によって断熱効果をさらに高められるものである。
従って、即席麺等の熱湯を用いる食品容器として断熱効果を有する紙製容器として用いることができる。
【0030】
なお、外側の容器2Aと内側の容器1Aとはそれぞれの紙製シートが熱可塑性シート等をラミネートした多層シートからなり、これらを熱融着や超音波融着等によって両者を一の容器として成形するものでもよく、或いは本図には示していないが開口に位置する容器の周縁部の両シート地をまとめて丸め込んで或いは折り込んで一体化した開口周縁部を形成しすることによって一体の容器として成形するものであってもよい。
【0031】
次に、図3は、このような本発明に係る紙製の容器の内側に位置する紙製容器1Aの製造工程の一例を示す図である。
本図に示す構成は、略扇状の紙製のシート1と、これを巻き込むための成形芯金であるマンドレルMからなるものである。
先ず成形芯金は、例えば一般的に多用されているポリスチレン樹脂系発泡シート等を用いた御椀形状の即席麺等の断熱容器形状と近似したいわゆるどんぶり形状の略御椀形の容器形状に近似した、上縁部が広縁であり、該容器の中央部までは若干量該開口口径を少しずつだけ狭めるが、底部近傍で急に口径を狭く構成した略御椀形状であるどんぶり形の容器をかたどった形状よりなるものである。
【0032】
この成形芯金に対して配置した紙製のシート1を、更に例えば両側からアーム状のフラップや巻き込みローラ等によって成形芯金に巻きつけて容器形状に成形するものである。
この場合、シート1は略扇状よりなり、この短円弧辺部11方向には多数の切り欠き部を有するものである。
この切り欠きは、シートの任意の位置を頂点13として短円弧辺部11に向かって略三角形状に切り広がった切り欠きであり、該略三角形の切り欠きを構成するシート地の切り欠き辺部12が鋭角を挟んで連設形成されているものである。
【0033】
従って、この部分が切り取られていることから、アーム状のフラップによってこのシート1を巻きつけた場合に、シート地の部分の夫々一の三角形の該切り欠きを構成する切り欠き辺部12同士が接し又は一部重なって形成され、底部方向の形状をすぼめた形状に形成できる。
この場合、略三角形状として図面上明示するがこれに限らず切り欠き辺部12が夫々円弧形状に形成し、二等辺三角形や正三角形ではなく、弧状辺よりなる略三角形の形状をもって構成したものであってもよい。
尚、長円弧辺部10は、本図構成においては弧状に形成されているものである。
【0034】
更に、この切り欠きは一例であり、例えば切り欠き辺部12が弧状辺からなるものであっても、或いは角度を任意に変化させた辺であってもよく、又切り欠きの頂点13部分が任意位置よりなるものであっても、又夫々の切り欠きの頂点13位置が異なるものであってもいずれでもよい。
又、この略扇状のシート1の形態は、一例であり、必要に応じて幅や高さ或いは曲線の程度を定めればよいものである。
尚、該シート1に予め印刷などを施し、これを更に成形芯金に巻き込んで成形するものであってももちろんよい。
【0035】
これらの場合、該紙製シートは薄手の紙製シートでも厚手の紙製シートでもよい。
更に、紙を用いた複合シート或いは多層シート等であってもよいのはもちろんである。
従って、少なくとも紙製シートからなるものであるが、これに樹脂シートをラミネート等した紙製のシートでもよいものである。
【0036】
図4は、アーム状のフラップによってこの略扇状の紙製のシート1を成形芯金に巻きつけて略御椀状に巻き込んで成形した内側に位置する紙製容器の一例を示す図である。
このように成形芯金に巻きつけたシート1は、略御椀形状である略どんぶり形状の容器をかたどった形状となり、該シートは紙製の容器の形状を構成するものであって、特に外表面はきれいな曲面構成で形成できるものである。
この場合シートの切り欠き辺部はきれいに接して形成されるものでも或いは一部重なるものであってももちろんよい。
【0037】
尚、この場合成形芯金の底部においてもシートが巻きつかれており、該容器の底部もきっちりと封鎖されたものとなる。
従って、上縁部が広縁であり、該容器の中央部までは若干量該開口口径を少しずつだけ狭めるが、底部近傍で急に口径を狭く構成した略御椀形状であるどんぶり形の容器をかたどった容器形状となるものである。
なお、切り欠き辺部12同士が接し又は一部重なった部分及び略扇状の紙製のシート1の両側編部分のいわゆるのりしろ部14においては例えばでんぷん糊や各種接着部材で接着したもののほか、例えば熱可塑性樹脂材を用いて接着するものであってもよい。
【0038】
或いは略扇状の紙製のシート1自体を紙との多層シートとし、熱可塑性シートをラミネートしたものや熱可塑性樹脂を塗布したもの等として、該熱溶着や超音波溶着などしたものであってもよい。
少なくとも該容器形状に成形するものであればよい。 例えば紙製シート1即ち紙のみからなるシートや紙を一部に用いた多層シート等をもって該形状に成形したものであり、該シート地をもって接着または溶着するものや接着部材をもって接着形成するものでもよく、或いはそののちに樹脂シートで覆って該形状に成形したものであってもよい。
【0039】
図5は、本容器の底部から視認した一例を示す図であり、シート1の多数の切り欠き部を構成する相隣り合う切り欠き辺部12同士が接しまたは重なり合って隙間をなくして底部を形成するものである。
従って、この切り欠き部によって該容器の形状は該容器の中央部までは若干量該開口口径を少しずつだけ狭めた形状であり、ここから底部にかけては、底部近傍で急に口径を狭く構成したきれいな曲面を有する皺のない略御椀形状であるどんぶり形の容器を形作るものである。
【0040】
この場合、この相隣り合う切り欠き辺部12同士が接し又は重なる個所がきっちりと重合又は接着等していればきれいな容器の提供が可能となる。
更にこの部分が例えば樹脂材や防水性を有する接着剤等で接着又は溶着するものであればより効果的に液漏れも防止できる。
【0041】
図6は、該相隣り合う切り欠き辺部12同士が重なりあって、重合12aしている一例を示す。
このように一部重なりあって接着または融着することによってきっちりと容器を形成できると共に液漏れなどの防止ができる。
この場合紙製シート1を熱可塑性シートとのラミネート等による多層シートで構成した場合や或いは熱可塑性樹脂などを塗着して融着するものであってももちろん良い。
もとより紙製シート1にでんぷんのり等を用いて接着するものでも、或いは接着部材を用いて接着するものでもよい。
【0042】
尚、該容器の底部近傍に別途シート地を配設して、少なくとも切り欠き辺部12同士の接し又は重なる個所を外部又は内部から覆って液漏れ防止を図るものでもよい。
更に、これらに図示する構成は外周がきれいな曲面によって形成されたいわゆる半円球状のどんぶり形状を基に示すものであるが、これに限定されずに外周面が角を有する三角以上の多角形状の御椀形状即ち逆さにした角錐形状の紙製の容器に形成するものであってもよい。
この場合には例えば成形芯金に関して、その形状を周面に角を有する三角以上の多角状の御椀形状即ち逆さにした角錐形状とすることによって、この形状に巻きつけられた略扇状の紙製シートは、角錐状の略御椀形状の周面形状を形成する形状となり、該逆さにした角錐形状の容器の周面形状を有する容器を形作ることもできる。
尚、成形芯金の中央部近傍まで角錐形状となり、成形芯金の底部近傍においては半球形状として形成された構成に限らず、底部近傍においても周面に角部を有するものであってももちろんよく、この形状も御椀形状に含まれるものである。
又、本図構成のおいてはのりしろ部14も重合14aしているものである。
【0043】
図7は、外側に位置する紙製容器2Aの製造工程の一例を示す図である。
まず図7aに示すように、円形の紙製シート2を雄型と雌型間に挟み、図7bに示すように金型によってプレス成形し、図7cに示すように型から外すことによって、曲面によって形成されたいわゆる半円球状のどんぶり形状の御椀形の紙製容器2Aを成形するものである。
この場合一枚のシート2をもって成形したものであり、皺や折り込み部を有するものとなる。
なお、本図では御椀形状としているが、これに限らずたとえば内側に位置する容器形状に合わせてその形状を周面に角を有する三角以上の多角状の御椀形状即ち逆さにした角錐形状に形作るものであってももちろん良い。
【0044】
また、この円形の紙製シート2に関しても、該シート2に予め印刷などを施し、これを成形することによって紙製容器2Aを形作るものであってももちろんよい。
また、該紙製シート2は薄手の紙製シートでも厚手の紙製シートでもよい。
更に、紙を用いた複合シート或いは多層シート等であってもよいのはもちろんである。
従って、少なくとも紙製シートからなるものであるが、これに樹脂シートをラミネート等した紙製のシートでもよいものである。
【0045】
図8は、図7に示す表面がきれいな曲面にて形成された雄型と雌型に代えて、表面に凹凸形状を有する雄型と雌型を用いて成形し、襞付きの紙製容器2Aを成形するための製造工程の一例を示す図である。
本図に示す通り、一枚の紙製シート2により構成される襞付きの紙製容器2Aを成形できるものとなる。
特にこれらのシート2は一枚のシート地より成形できているので、内部に液体を入れても外部に漏れないものである。
従って液漏れ防止用の容器として極めて効果的に使用できるものである。
【0046】
更に、図7又は図8によって成形された紙製容器はその外表面に皺や折り目或いは襞を有するものであり、この部分をもって断熱効果を発揮できるものとなる。
なお、図8によって成形された襞付き紙製容器2Aの襞をさらに押し潰し又は折り畳む工程を経て、襞をなくした紙製容器2Aとして用いてもよい。
これによっても、襞の部分が折り畳まれることによる紙製シート2の重なり合い部分の存在により断熱効果を発揮できるものである。
【0047】
図9は、本発明に係る内側の紙製の容器1Aと更に液漏れ防止用の紙製の外容器2Aの他に外装体3Aを有する一例を示す図である。
まず容器の内側には、略扇状の紙製のシート1であって、短円弧辺部10方向に多数の切り欠き部を有する該シートを略どんぶり形状の金型などで巻き込んで、略御椀形状である略どんぶり形状をかたどった形状として成形した紙製容器1Aが位置する。
次に、該容器1Aの外周には円形のシート地2をプレス成形にて略御椀形状である略どんぶり形状にかたどった紙製容器2Aが位置している。
【0048】
即ち本発明に係る紙製容器のもっとも内側には前記の短円弧辺部10方向に多数の切り欠き部を有する略扇状の紙製のシート2を丸め込んで形成した略御椀形状である略どんぶり形状をかたどった形状の紙製容器が位置し、更にその外周には円形のシート地をプレス成形にて略御椀形状である略どんぶり形状にかたどった紙製容器が位置し、更に最外周には帯状外装体3Aが位置する状態によって一の紙製の容器を成形して構成した本発明に係る紙製容器の一例を示す。
【0049】
このように構成することによって、前記した各効果即ち紙製の液体等を用いる容器を構成できるものであり、外側のプレス成形した紙製容器2Aによって液漏れを防止できるものであり、更には帯状外装体3Aと内側の紙製容器1Aとにはさまれた間に位置するプレス成形した紙製容器2Aの凹凸又は皺或いは襞等によって空気層あるいは紙の重合層を形成することができるものであり、断熱容器としての効果を極めて高く発揮できるものである。
従って、例えば即席麺等の断熱容器としてもあるいは熱湯等を用いる各種容器としても使用することができるものである。
この場合外装体としての帯状外装体3Aは、例えば単なる帯状のものに限らず底部方向に絞りを入れた特殊形状の容器形状の外装体であってももちろんよい。
【0050】
図10は、それぞれをきっちりと装着して一の紙製容器例えば即席麺等の断熱用紙製容器を形成した本発明に係る紙製容器の他の一例を示す図である。
本図に示すようにきわめて綺麗にかつ使い勝手良く成形できるものである。
特にすべて紙によって成形されるものであり、自然保護あるいは環境保全のために極めて効果的な容器であると共に製造コストを下げられまた製造の手間など極力少なくできるものである。
【0051】
図11は、他の本発明に係る紙製容器の構成例を示す図であり、図9に示す外装体3Aに代えて外周部分に短円弧辺部11方向に多数の切り欠き部を有する略扇状の紙製のシート1を丸め込んで形成した略御椀形状である略どんぶり形状をかたどった形状の紙製容器3A(1A)に高台17をつけた容器をもって構成した一例を示す図である。
本図構成によっても前記と同様の効果を有する紙製容器の提供が図れる。
【0052】
図12は、図11に示す構成を一の容器としてすべてきっちりと装着した状態の一例を示す図である。
本図に示すように構成するために例えばでんぷん糊等によって接着形成するものに限らず、他の接着部材を用いて接着するものでも、或いは紙製シートを樹脂シート等の多層シートとして形成して、これらを熱溶着や超音波溶着することによって本構成に形成するものであってもよい。
或いは任意箇所をもって重ねて折り込むことあるいは丸め込む等によって、一体化して形成するものであってももちろん良い。
【0053】
次に図13は、本発明に係る紙製容器の最も内側には前記の短円弧辺部11方向に多数の切り欠き部を有する略扇状の紙製のシート1を丸め込んで形成した略御椀形状である略どんぶり形状をかたどった形状の紙製容器1Aが位置し、更にその外周には円形のシート地2をプレス成形等にて略御椀形状である略どんぶり形状にかたどった紙製容器2Aが位置し、更に最外周には帯状外装体3A或いは他の紙製容器等が位置することによって、容器に空気層が形成されている状態の一例を示す図である。
【0054】
本図構成においては、円形のシート地2をプレス成形にて略御椀形状である略どんぶり形状にかたどった紙製容器が襞をもって形成されている場合の一例を示すものである。
本図のように、襞等によって空気層をきっちりと全体にわたって形成できることから該空気層によって断熱効果を高められる。
【0055】
図14は、更に襞を押し潰した場合或いは皺が形成された場合の円形のシート2のプレス成形にて形成した略御椀形状である略どんぶり形状にかたどった紙製容器2Aを用いた場合の一例を示す図である。
このように構成することによっても空気層が形成されるものであり、或いはそれぞれの紙製シートが該間隔内に多層状態で位置して折り込み厚を有することから、この部分によっても十分に断熱効果を発揮できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る紙製容器の一例を示す図
【図2】本発明に係る紙製容器の一例を示す図
【図3】本発明に係る紙製容器の製造工程の一例を示す図
【図4】本発明に係る紙製容器一例を示す図
【図5】本発明に係る紙製容器の一例の底部分を視認した状態を示す図
【図6】本発明に係る紙製容器の他の一例の底部分を視認した状態を示す図
【図7】本発明に係る紙製容器をプレス成形にて製造する製造工程の一例を示す図
【図8】本発明に係る紙製容器をプレス成形にて製造する製造工程の他の一例を示す図
【図9】本発明に係る紙製容器の他の一例を示す図
【図10】本発明に係る紙製容器の他の一例を示す図
【図11】本発明に係る紙製容器の他の一例を示す図
【図12】本発明に係る紙製容器の他の一例を示す図
【図13】本発明に係る紙製容器の断熱構造の一例を示す図
【図14】本発明に係る紙製容器の断熱構造の他の一例を示す図
【符号の説明】
【0057】
1 略扇状の紙製のシート
1A 略扇状の紙製のシートより形成した紙製容器
10 長円弧辺部
11 短円弧辺部
12 切り欠き辺部
13 頂点
14 のりしろ部
15 シート地
16 シート地
17 高台
2 円形シート
2A 円形の紙製のシートより形成した紙製容器
3 シート
3A 外装体
M 成形芯金(マンドレル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略扇状の紙製のシート1の任意の位置を頂点13として短円弧辺部11に向かって略三角形状に切り広がった切り欠きを有する該シートをどんぶり形状の略御椀形状からなる成形芯金Mに巻き込むと共に、夫々の三角形の該切り欠きを構成する切り欠き辺部12同士を接し又は一部重なって形成して底部方向の形状をすぼめたどんぶり形状の略御椀形状からなる内側の紙製容器1Aと、
一枚の紙製シート2を雄型と雌型によって加圧成形したどんぶり形状の略御椀形状からなる外側の紙製容器2Aとからなり、
該内側の紙製容器1Aに外側の紙製容器2Aを位置させて一の容器を構成したことを特徴とする紙製容器。
【請求項2】
紙製のシート1と紙製シート2とのいずれか或いはいずれもが紙製シートと熱可塑性シートの多層シートよりなることを特徴とする請求項1記載の紙製容器。
【請求項3】
内側の紙製容器1Aの紙製のシート1と外側の紙製容器2Aの紙製シート2とを夫々の熱可塑性シートにより融着することにより該内側の紙製容器1Aに外側の紙製容器2Aを位置させた状態で融着して一の容器を構成したことを特徴とする請求項2に記載の紙製容器。
【請求項4】
内側の紙製容器1Aの紙製のシート1と外側の紙製容器2Aの紙製シート2とを接着部材で接着して一の容器を構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紙製容器。
【請求項5】
開口に位置する内側の紙製容器1Aの紙製のシート1と外側の紙製容器2Aの紙製シート2とを該周縁部の両シートをまとめて丸め込んで或いは折り込んで一体化して開口周縁部を形成することによって一の容器を構成したことを特徴とする1乃至4のいずれかに記載の紙製容器。
【請求項6】
紙製シート2が円形のシートよりなることを特徴とする1乃至5のいずれかに記載の紙製容器。
【請求項7】
外側の紙製容器2Aの外側に外装体3Aを有することを特徴とする1乃至6のいずれかに記載の紙製容器。
【請求項8】
一枚の紙製シート2を雄型と雌型によって加圧成形したどんぶり形状の略御椀形状からなる外側の紙製容器2Aの表面には皺や折り目を有し、該皺や折り目によって内側の紙製容器1Aとの間に空気層及び/又はシートの折り込み厚を有し、内側の紙製容器1Aの内部と外側の紙製容器2Aの外表面との間で断熱するものであることを特徴とする1乃至7のいずれかに記載の紙製容器。
【請求項9】
一枚の紙製シート2を雄型と雌型によって加圧成形に際して、表面に凹凸形状を有する雄型と雌型を用いて襞付きの紙製容器2Aを成形し、該襞付きの紙製容器2Aを用いたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の紙製容器。
【請求項10】
襞付きの紙製容器2Aを成形した後に再度襞を折畳んだ紙製容器2Aを用いたことを特徴とする請求項9に記載の紙製容器。
【請求項11】
内側の紙製容器1Aと外装体3Aとの間に紙製容器2Aを有し、該紙製容器2Aにより空気層及び/又はシートの折り込み厚が形成され、内側の紙製容器1Aの内部と外装体3Aの外表面との間で断熱するものであることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の紙製容器。
【請求項12】
外装体3Aを紙製シートと熱可塑性シートの多層シートで構成し、少なくとも内側の紙製容器1Aの紙製のシート1及び/又は外側の紙製容器2Aの紙製シート2と熱可塑性シートにより融着することにより外装体を融着して一の容器を構成したことを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載の紙製容器。
【請求項13】
外装体3Aを、少なくとも内側の紙製容器1Aの紙製のシート1及び/又は外側の紙製容器2Aの紙製シート2と接着部材で接着して一の容器を構成したことを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載の紙製容器。
【請求項14】
開口に位置する内側の紙製容器1Aの紙製のシート1及び/又は外側の紙製容器2Aの紙製シート2と外装体3Aのシートとを該周縁部における両シートをまとめて丸め込んで或いは折り込んで一体化して開口周縁部を形成することによって一の容器を構成したことを特徴とする7乃至13のいずれかに記載の紙製容器。
【請求項15】
外装体3Aとして内側に位置する紙製容器1Aを用いたことを特徴とする請求項7乃至13のいずれかに記載の紙製容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−89810(P2010−89810A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260021(P2008−260021)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(506048728)有限会社ホクオーパック (26)
【Fターム(参考)】