説明

紙製組立箱

【課題】紙製の組立箱を使用前は扁平状に折り畳め、組み立てた状態の強度が大きく、閉蓋状態では隙間を作らずに内部を密封するように構成する。
【解決手段】段ボールなどの厚紙からなる組立箱を構成する打抜基板を、箱の前後となる長側壁(1、2)と、左右となる短側壁(3、4)とを縦折線(5、6、7)を介して連設し、長側壁(2)の端部に糊代(9)を設け、各側壁の下縁に横折線(11)を介して底フラップ(13、15、18、19)を連設するとともに、両長側壁(1、2)の上縁に横折線(10)を介して外内蓋フラップ(12、14)、両短側壁(3、4)上縁に横折線(10)を介して内側重合壁(16、17)をそれぞれ設けて形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶解処理が可能な段ボールや厚紙を素材とする組立箱に関する。
【背景技術】
【0002】
事業所において不要となった重要文書や機密文書などの書類が溜まり、これを廃棄処分する際に、大量の書類をシュレッダーで裁断するには手間がかかることから、近時、書類の廃棄処分を専門の処理業者に委託するところも多くなっている。
かかる専門の処理業者が廃棄書類を回収するための回収具として、上面に書類の装填口、前面に開閉扉を設けて形成された回収箱と、布や不透明な合成樹脂材料からなる回収袋から構成され、回収箱に回収袋を収納して書類を回収箱の中に入れ、回収箱一杯に廃棄書類が入れられたならば、回収箱から回収袋を取り出して袋の上部開口を紐で閉じ、これをそのまま溶解処理して、廃棄書類を有効に再生利用できるようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3046208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
布や合成樹脂材料からなる回収袋に廃棄書類を入れた場合、積み重ねた書類を束ねて回収袋の中に入れたとしても、回収袋は不定形なため、手で持ち運び難く、また、輸送車両の荷台にきっちりと積み重ねることができず、運搬に不便である。運搬中に回収袋が破けてしまう虞れもある。
そこで、このような回収袋に代えて、運搬がし易く、溶解処理が可能な紙製の箱を利用することが考えられるが、廃棄書類の収納に適した構造の箱は利用されていないのが実状である。
すなわち、かかる用途の箱には、第一に使用前は扁平状に折り畳んで保管し、運搬が可能なこと、第二に組み立てた状態で変形し難く、強度が大きいこと、第三に書類を収納し、蓋を閉めた状態で中の書類が抜け出る隙間がなく、箱の外側からも書類を取り出すことができないことが必要となる。
しかし、現状利用されている紙製の箱は、折り畳めても組み立てたときの強度が小さく、また、蓋を閉めた状態で側板と底板や蓋板との間に隙間ができてしまうものである。組み立てたときの強度を大きくするために、厚く剛性のある紙で箱を形成したのでは、その分製造コストがかかってしまい、また、隙間を閉鎖するために箱の周辺に沿って封止テープを貼り付けたのでは、廃棄書類の回収準備に手間がかかることになる。
【0005】
そこで、本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、紙製の組立箱を、使用前は扁平状に折り畳め、組み立てた状態の強度が大きく、閉蓋状態では隙間を作らずに密封することができるように構成し、機密文書類を廃棄する際に回収袋に代えて廃棄書類の収納に利用できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明の紙製組立箱は、段ボールなどの厚紙からなる一枚の打抜基板を折り曲げて形成され、この打抜基板が、箱の前後となる長側壁と左右となる短側壁とが縦折線を介して連設され、側壁端部には縦折線を介して糊代が設けられ、一側の長側壁の上縁には横折線を介して短側壁の幅と略同じ寸法で突出した方形状内蓋フラップ、下縁には横折線を介して短側壁の幅と略同じ寸法で突出した方形状底フラップがそれぞれ連設され、当該底フラップはその一側に横折線と接続した付け根部から斜めに切除した切欠部が設けられているとともに切欠部の端部に沿って横に伸びた切れ目を入れ且つ切れ目の端部に交差させて下縁に延びた縦折線が設けられ、他側の長側壁の上縁には横折線を介して短側壁の幅と略同じ寸法で突出した方形状上蓋フラップ、下縁には横折線を介して短側壁の幅の略半分の寸法で突出した台形状底フラップがそれぞれ連設され、両短側壁の上縁には横折線を介して各側壁の高さと略同じ寸法で突出した内側重合壁、下縁には横折線を介して短側壁の幅の略半分の寸法で突出した略台形状の底フラップがそれぞれ連設され、内側重合壁の先端には横折線を介して支持片が設けられ、底フラップには横折線と接続する角部を起点とする斜め折線が設けられているとともに斜め折線の外側に三角形状糊代が設けられ、前記他側の長側壁に連設した上蓋フラップの周辺には折線を介して差し込み片が設けられ、前記短側壁の上縁の横折線上には前記差し込み片が係入するスリットがそれぞれ形成されてなる構成を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の好適な一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の組立箱を構成する打抜基板の展開図であり、同図は箱の外側となる面を表している。
【0008】
この打抜基板は、溶解処理が可能な段ボールなどの厚紙を打ち抜いて形成され、箱の前後となる長側壁1、2と、左右となる短側壁3、4とを縦折線5、6、7を介して連設し、長側壁2の端部に縦折線8を介して糊代9を設けるとともに、各長短側壁の上下縁に横折線10、11を介して箱の蓋と底となるフラップを各々連設して形成してある。
【0009】
より詳しくは、長側壁1の上縁には横折線10を介して短側壁3、4の幅(図中符号D)と略同じ寸法で突出した方形状の内蓋フラップ12、下縁には横折線11を介して短側壁3、4の幅と略同じ寸法で突出した方形状の底フラップ13をそれぞれ連設してある。
底フラップ13は、その一側に横折線11に接続する付け根部から斜めに切除した切欠部13aを設けてあるとともに、切欠部13aの端部に沿って横折線11と平行に伸びた切れ目13bを入れ、且つ切れ目13bの端部に交差させてフラップ下縁に延びた縦折線13cを設けて、切欠部13aよりも下側の板面部分を縦折線13cで折曲自在としてある。
【0010】
一方、長側壁2の上縁には横折線10を介して短側壁3、4の幅と略同じ寸法で突出した方形状の上蓋フラップ14、下縁には横折線11を介して短側壁3、4の幅の略半分の寸法で突出した台形状の底フラップ15をそれぞれ連設してある。
【0011】
また、両短側壁3、4の上縁には横折線10を介して各側壁の高さ(図中符号T)と略同じ寸法で突出した内側重合壁16、17、下縁には横折線11を介して短側壁3、4の幅の略半分の寸法で突出した略台形状の底フラップ18、19をそれぞれ連設してある。
両内側重合壁16、17の先端には、横折線16a、17aを介して支持片16b、17bを設けてある。また、底フラップ18、19には、横折線11と接続する角部を起点としていて横折線11に対して45°の角度で斜めに延びた斜め折線18a、19aが設けてあり、両斜め折線18a、19aの外側を三角形状の糊代18b、19bとしてある。
【0012】
さらに、前記上蓋フラップ14の全周辺には折線14aを介して差し込み片14bを突出させてあるとともに、長側壁2と短側壁3、4の上縁の横折線10上には、差し込み片14bが係入するスリット20をそれぞれ形成してある。
【0013】
このように構成された打抜基板から、縦折線5、6、7を外折れさせて長短側壁1、2、3、4を筒状となし、長側壁2に連設させた糊代8を短側壁4の内側面に貼着するとともに、短側壁3、4の下側に連設した底フラップ18、19の斜め折線18a、19aを内折れさせて糊代18b、19bを、長側壁1、2の下側に連設した底フラップ13、15の外側面に折り重ねて一体に貼着することにより、組立箱を形成することできる。
【0014】
形成された組立箱は、図2に示されるように、縦折線5、7が両端に位置するように折り畳むと、斜め折線18a、19aから底フラップ18、19が箱内方へ折り畳まれるとともに、底フラップ13、15が横折線11を軸に箱内方へ折り畳まれ、また、底フラップ13の下側の板面部分が縦折線13cで折れ曲がって、全体が薄い扁平状となり、使用前は折り畳んだ組立箱を積み重ねて保管したり運搬したりすることができる。
【0015】
組立箱を使用するときは、先ず、折り畳まれた状態の前記縦折線5、7に沿った両端部を押せば、箱内方に折り畳まれていた前記各底フラップ13、15、18、19が箱下方へ押し広げられて、図3に示されるように、箱が上方を開口した立体形状に組み立てられる。この状態で、底フラップ15、18、19の上面全体に方形状の底フラップ13が重なり、底フラップ13で各フラップ間の隙間が塞がれて、組立箱の底は完全に密閉される。また、底フラップ15、18、19に底フラップ13が二重に重なって箱の底部分の剛性が増し、廃棄書類などの収納物が重くても底抜けするようなことはない。
【0016】
次いで、図4に示されるように、内側重合壁16、17を横折線10で折り曲げて両重合壁を短側壁3、4の内側面に折り重ねるとともに、支持片16b、17bを横折線16a、17aで折り曲げて、両片を底フラップ13の上面に折り重ねる。この状態で組立箱は、図5に示されるように上面を広く開口し、廃棄書類などを収納することができ、また、短側壁3、4と内側重合壁16、17とがぴったりと重なって箱の底部から二重に立ち上がるので、箱内外からかかる荷重に対する強度が極めて大きく、変形し難いものとなる。
【0017】
そして、箱一杯に廃棄書類などを収納したならば、図6に示されるように、内蓋フラップ12を開口面上に折り曲げ、さらにその上に外蓋フラップ14を折り重ね、外蓋フラップ14周辺の各差し込み片14bを各スリット20に差し込んで係入させれば、二重に折り重なった内外蓋フラップ12、14で箱の開口面が閉鎖され、組立箱の内部を完全に密封することができる。開口面が内蓋フラップ12で閉鎖され、また、両短側壁3、4の上縁のスリット20にも差し込み片14bをそれぞれに係入して閉止してあるので、両短側壁3、4の上縁の切れ目から収納した書類が抜け出る虞れはない。
【0018】
このように本発明の組立箱は、使用前は扁平状に折り畳んで保管し運搬が可能であり、また、折り畳んだ状態から簡単な操作で組み立てることができる。組み立てた状態では、箱の底フラップ13、15、18、19が二重に重なって重量物を収納しても底抜けすることはないとともに、箱の底部からぴったりと重なって立ち上がった短側壁3、4と内側重合壁16、17とにより、高い剛性を発揮する。さらに、箱の蓋と底の部分でフラップが二重に重なって箱周辺の隙間を完全に塞ぎ、箱内部を完全に密封するので、箱に収納した廃棄書類が抜け出ることはなく、また、箱の外側からも収納した書類を取り出すことはできない。
【0019】
なお、本発明の組立箱は、書類を廃棄する用途以外にも、様々な物品の保管や運搬、包装などにも利用できるものである。また、外蓋フラップ14に設ける差し込み片14bは、短側壁3、4の上縁に設けたスリット20にそれぞれ係入するように、外蓋フラップ14の対向二辺にのみ設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の組立箱を構成する打抜基板の展開図である。
【図2】本発明の組立箱を折り畳んだ状態の外観図である。
【図3】折り畳んだ組立箱を押し広げた状態の外観図である。
【図4】本発明の組立箱を組み立てる過程の状態を示した図である。
【図5】組立箱の上面を開口した状態の外観図である。
【図6】本発明の組立箱の蓋を閉止する過程の状態を示した図である。
【符号の説明】
【0021】
1,2 長側壁、3,4 短側壁、5,6,7,8 縦折線、9 糊代、10,11 横折線、12 内蓋フラップ、14 外蓋フラップ、13,15,19 底フラップ、16,17 内側重合壁、20 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールなどの厚紙からなる一枚の打抜基板を折り曲げて形成される組立箱において、
前記打抜基板は、
箱の前後となる長側壁(1、2)と左右となる短側壁(3、4)とが縦折線(5、6、7)を介して連設され、側壁端部には縦折線(8)を介して糊代(9)が設けられ、
一側の長側壁(1)の上縁には横折線(10)を介して短側壁(3、4)の幅と略同じ寸法で突出した方形状内蓋フラップ(12)、下縁には横折線(11)を介して短側壁(3、4)の幅と略同じ寸法で突出した方形状底フラップ(13)がそれぞれ連設され、当該底フラップ(13)はその一側に横折線(11)と接続した付け根部から斜めに切除した切欠部(13a)が設けられているとともに切欠部(13a)の端部に沿って横に伸びた切れ目(13b)を入れ且つ切れ目(13b)の端部に交差させて下縁に延びた縦折線(13c)が設けられ、
他側の長側壁(2)の上縁には横折線(10)を介して短側壁(3、4)の幅と略同じ寸法で突出した方形状上蓋フラップ(14)、下縁には横折線(11)を介して短側壁(3、4)の幅の略半分の寸法で突出した台形状底フラップ(15)がそれぞれ連設され、
両短側壁(3、4)の上縁には横折線(10)を介して各側壁の高さと略同じ寸法で突出した内側重合壁(16、17)、下縁には横折線(11)を介して短側壁(3、4)の幅の略半分の寸法で突出した略台形状の底フラップ(18、19)がそれぞれ連設され、内側重合壁(16、17)の先端には横折線(16a、17a)を介して支持片(16b、17b)が設けられ、底フラップ(18、19)には横折線(11)と接続する角部を起点とする斜め折線(18a、19a)が設けられているとともに斜め折線(18a、19a)の外側に三角形状糊代(18b、19b)が設けられ、
前記他側の長側壁(2)に連設した上蓋フラップ(14)の周辺には折線(14a)を介して差し込み片(14b)が設けられ、前記短側壁(3、4)の上縁の横折線(10)上には前記差し込み片(14b)が係入するスリット(20)がそれぞれ形成されてなる構成を有することを特徴とする紙製組立箱。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−302252(P2007−302252A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129185(P2006−129185)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(000199289)ヤマトパッキングサービス株式会社 (24)
【出願人】(305062549)ヤマト運輸株式会社 (21)
【Fターム(参考)】