説明

素地隠蔽性に優れた釉薬層を有する衛生陶器

【課題】 乳濁剤を用いずに素地を良好に隠蔽することができ、また汚れが付着しにくい釉薬層を有する便器、洗面器などの衛生陶器の提供。
【解決手段】 衛生陶器素地上に形成された1層からなる釉薬層を、唯一の釉薬層として有する衛生陶器であって、前記釉薬層が、主として、非晶質の分相ガラスからなり、前記釉薬層表面の表面粗さRaが、0.07μm以下であることを特徴とする衛生陶器とする。これにより衛生陶器素地を良好に隠蔽でき、好ましい態様にあっては良好な白色を衛生陶器に付与できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器、洗面器などの衛生陶器に関し、さらに詳しくは素地隠蔽性に優れた釉薬層を有する衛生陶器に関する。
【背景技術】
【0002】
便器、洗面器などの衛生陶器には、汚れが付着しにくい衛生的な表面を確保するために、また外観意匠性を確保するために、釉薬層がその最表面に形成されている。汚れが付着しにくいことは、使用者に不快な思いをさせないとともに、使用者の清掃負荷を軽減できる。従って、汚れが付着しにくい表面を有する衛生陶器の提案が種々なされている。例えば、表面をより平滑にすることで防汚性を向上させる提案として、衛生陶器表面のRaを0.07μm以下とすることを特許第3339640号公報(特許文献1)が、粒径10μm以上のシリカ粒子の存在が観察されないようにすることを特許第4395821号公報(特許文献2)が提案している。
【0003】
衛生陶器の表面は、平滑性、防汚性を有しながら、一方で、衛生陶器に意匠性を持たせるために、衛生陶器素地の色を隠蔽する機能を担っている。衛生陶器素地の色を隠蔽する手段として、例えば、釉薬に乳濁剤(ジルコンなど)を添加することが行われている。
【0004】
一方で、分相ガラスを用いた衛生陶器としては、本発明者らの一部が提案した特開2003−246647号公報(特許文献3)および特開2003−246689号公報(特許文献4)がある。これら公報は、1度の製膜工程で、衛生陶器に2層の釉薬層を形成する方法が開示されている。上層と下層とを異なる構成とすることで、下層に強度、着色などの機能を付与するとある。特に、特開2003−246647号公報(特許文献3)には、球状粒子の直径を100nmとする記述もあるが、このような球状粒子の分相組織は予め形成させておき、これを粉砕し、その後球状組織を融解させて釉薬層を得るという技術である。つまり、これら公報にあっては、釉薬原料を予め分相させておく必要があり、また素地の隠蔽という点では、改善の余地があった。また、特開2003−246647号公報(特許文献3)にあっては、結晶質により白色を呈し、素地の隠蔽を図っている。従って、耐アルカリ性において改善の余地が残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3339640号公報
【特許文献2】特許第4395821号公報
【特許文献3】特開2003−246689
【特許文献4】特開2003−246647
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、今般、非晶質の分相ガラスからなる単層の釉薬層によって衛生陶器素地を良好に隠蔽でき、好ましい態様にあっては、良好な白色を衛生陶器に付与できるとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
【0007】
従って、本発明は、素地の隠蔽性に優れた釉薬層を有する衛生陶器の提供をその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明による衛生陶器は、衛生陶器素地上に形成された1層からなる釉薬層を、唯一の釉薬層として有する衛生陶器であって、釉薬層が、主として非晶質の分相ガラスからなり、その表面の表面粗さRaが、0.07μm以下とされたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、素地の隠蔽性に優れた釉薬層を有する衛生陶器の提供が提供される。さらに、良好な白色を衛生陶器に付与することも可能となる。さらに、本発明にあっては、釉薬層は単層であり、それは一つの工程により形成できるものである。従って、釉薬層の形成の工程を単一工程で行うことができるとの利点も本発明によれば得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】例2として作製されたサンプルにおける、分相形態としての絡み合い構造(スピノーダル)を電子顕微鏡で撮影した像を示す。
【図2】例3として作製されたサンプルにおける、分相形態としての独立液滴構造(バイノーダル)を電子顕微鏡で撮影した像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
本発明において、「衛生陶器」とは、トイレおよび洗面所周りで用いられる陶器製品を意味し、具体的には大便器、小便器、便器のサナ、便器タンク、洗面台の洗面器、手洗い器などを意味する。また、「陶器」とは、陶磁器のうち、素地の焼き締まりがやや吸水性のある程度で、かつ表面に釉薬を施したものを意味する。
【0012】
釉薬層
本発明による衛生陶器は、衛生陶器素地上に形成された1層からなる釉薬層を、唯一の釉薬層として有する衛生陶器である。そして、釉薬層が、主として、非晶質の分相ガラスからなり、その表面の表面粗さRaが、0.07μm以下とされたものである。衛生陶器の釉薬層をこのように構成することで、衛生陶器素地を良好に隠蔽できる。本発明の好ましい態様によれば、5重量%水酸化ナトリウム水溶液に前記衛生陶器を浸漬して、70℃に加熱し20時間放置するアルカリ試験後の前記釉薬表面の表面粗さRaが、0.07μm以下である。
【0013】
本発明による衛生陶器が有する上述の釉薬層は、分相ガラスを用いることにより実現できたものである。ここで、分相ガラスとは、特定の組成領域内において、均質な状態にある融液が、液相線以下の温度まで過冷却された際に、準安定不混和領域において熱力学的要求に応じて二つの相に分かれる性質を有するガラスを意味する。そして、本発明にあっては、形成される二つの相の一つが粒子に分散した形態(バイノーダル分解)、または二つの相が互いに絡み合った形態(スピノーダル分解)となり、界面を持った二つの薄膜層とは観念されない態様で、分相組織が形成される。この分相を有したガラスにおいては、その二相の界面による散乱により白色を呈する。そのため、乳濁剤(ジルコンなど)を添加する以外の方法で素地を隠蔽することが可能となる。このことから本発明により、従来の乳濁剤を含んだ衛生陶器釉薬において、ガラスと乳濁剤の水に対する浸食速度の差によって生じていた長期使用における表面劣化を改善することが可能となる。
【0014】
本発明の好ましい態様によれば、釉薬層中に分相ガラスの分相により生じた粒子が、独立液滴構造(バイノーダル)である場合にはその直径が100nm以上、好ましくは150nm以上、より好ましくは200nm以上、絡み合い構造(スピノーダル)である場合には枝部の平均幅が100nm以上、好ましくは150nm以上、より好ましくは200nm以上の大きさを有するものであることが好ましい。このような粒子径により、衛生陶器素地を良好に隠蔽できる。さらに、釉薬層表面の明度Lが85以上とすることができ、良好な白色を呈する衛生陶器が得られる。
【0015】
本発明の好ましい態様によれば、釉薬層の表面において大きさが50nm以下の粒子が観察されてもよいが、前記釉薬層中の粒子径が表層から素地に向かって、50nmを超えて徐々に大きくなるものとされる。これにより、二相のガラスの浸食差による表面劣化をより低減することができる。
【0016】
また、本発明のさらに好ましい態様によれば、釉薬層中に分相ガラスの分相により生じた粒子の、釉薬層中に占める体積比が、独立液滴構造(バイノーダル)である場合には15体積%以上、絡み合い構造(スピノーダル)である場合には25体積%以上であることが好ましい。このような体積比により、衛生陶器素地を良好に隠蔽できる。
【0017】
本発明において、釉薬層の厚さは0.3mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.40mm以上である。このような厚みの釉薬層により、釉薬層表面の明度Lを85以上とすることができ、良好な白色を呈する衛生陶器が得られる。
【0018】
本発明の好ましい態様によれば、釉薬層中における石英の量は1.5体積%以下とされることが好ましく、より好ましくは0.5体積%以下とされる。石英の量を上記とすることにより、ガラス相と石英との水に対する浸食速度の差により生じる、長期使用における表面劣化をより抑制することができる。
【0019】
本発明の好ましい態様によれば、釉薬層の下記式:
(塩基度)=(網目修飾酸化物)/(網目形成酸化物+中間酸化物)
で定義される塩基度が0.20〜0.40とされることが好ましい範囲とされる。
塩基度 =(網目修飾酸化物[mol%])/(網目形成酸化物[mol%]+中間酸化物[mol%])
ここで、網目修飾酸化物とはCaO、MgO、ZnO、SrO、KO、NaO、LiOなどを意味し、網目形成酸化物とは、SiOなどを意味し、中間酸化物とはAlなどを意味する。塩基度を上記範囲に置くことで、衛生陶器の作製において適度な溶融粘性を得ることができ有利である。
【0020】
本発明の好ましい態様によれば、釉薬層の組成は下記の範囲にあることが好ましい。
SiO:68〜76mol%
Al:4.0〜5.4mol%
CaO:7.0〜15.0mol%
MgO:0〜2.0mol%
ZnO:5.0〜10.0mol%
O:2.0〜5.0mol%
NaO:0〜2.0mol%
【0021】
本発明は乳濁剤を用いることなく素地を隠蔽することが可能となるが、乳濁剤の存在は完全に排除されるものではない。本発明における分相ガラスによる呈色を、乳濁剤によりさらに補うことは本発明において許容される。場合により、乳濁剤の添加によってより安定した発色の衛生陶器を得ることができ、その結果均質な衛生陶器の生産が可能になるとの利点が得られる。本発明において乳濁剤は、本発明による衛生陶器の耐アルカリ性を損なわない量で添加され、好ましくは釉薬層中において8重量%以下の量とされる。乳濁剤は、通常衛生陶器の釉薬層に添加されるものであってよく、例えばジルコンが挙げられる。
【0022】
衛生陶器素地
本発明による衛生陶器の陶器素地は、特に限定されず、通常の衛生陶器素地であってよい。また、最表層の上記表面性状を有した釉薬層の下に、素地とは性状の異なる中間層となる素地層が設けられていてもよい。このことにより、製造時焼成過程において素地層から釉薬層に侵入する気泡を抑制することができ、より外観に優れた釉薬層を形成することができる。
【0023】
製造方法
本発明による衛生陶器は、以下のような方法により好ましく製造することができる。
【0024】
まず、衛生陶器素地を用意する。これは、ケイ砂、陶石、粘土等を原料として調製した従来知られた衛生陶器素地泥漿を適宜成形したものであってよい。
【0025】
表面釉薬層を形成する釉薬スラリーを用意する。体積比率50%粒径が10μm以下、好ましくは5μm以下の釉薬の釉薬スラリーを使用することが好ましい、上記範囲の粒径の釉薬スラリーを使用することにより、1100〜1300℃程度の衛生陶器の焼成温度において、石英が十分にガラス化されることから、表面に石英が残存することを抑制できる。上記粒径の釉薬スラリーは釉薬原料をボールミルなどで粉砕することにより得ることができる。
【0026】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、釉薬スラリーに使用するケイ砂などの石英原料としては、体積比率50%粒径が10μm以下、好ましくは5μm以下に粉砕したものを用いることが好ましい。すなわち、石英の粒子径を他の釉薬原料とは別に制御することが好ましい。上記の釉薬スラリーを使用することにより、より積極的に釉薬表面における石英の残存を抑制することができる。
【0027】
さらに本発明の別の好ましい態様によれば、釉薬スラリーの原料として、非晶質のガラスからなるフリット原料を用いることが好ましい。フリット原料は、ケイ砂、長石、石灰、粘土等からなる釉薬原料を1300℃以上の高温で溶融することにより得ることができる。また、釉薬スラリーの原料として、非晶質のガラスからなるフリット原料を用いる場合、一部従来使用の非フリット原料を混合して用いてもよい。3重量%以上非フリット原料を混合することで、釉薬スラリーを衛生陶器素地に適用する際に必要な釉薬スラリーの液性の制御が容易となる。
【0028】
上記釉薬スラリーを衛生陶器素地に適用する。その方法は特に限定されず、スプレーコーティング、ディップコーティング等の一般的な方法を適宜選択して利用できる。
【0029】
上記のようにして表面釉薬層の前駆層が形成された衛生陶器素地を次に焼成する。焼成温度としては、衛生陶器素地が焼結し、かつ釉薬が軟化する1000℃以上1300℃以下、好ましくは1150℃以上1250℃以下で焼成することが好ましい。また、本発明により適用している釉薬層中の分相構造は冷却過程において成長するため、その成長温度域である850℃以上1100℃以下の温度域において、冷却速度を制御することが好ましい。具体的には、冷却速度が速すぎる際には分相が成長しきれず、十分に素地を隠蔽することができなくなるため、850℃以上1100℃以下の冷却速度が−300℃/時以上であることが好ましい。
【実施例】
【0030】
本発明を以下の例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
釉薬組成
以下の例においては、下の表1に示される組成(重量%)を有する釉薬を使用した。
【表1】

【0031】
例1
上記表1に示される釉薬1の組成となるように、ケイ砂、長石、石灰、粘土等からなる釉薬原料を配合したものを1550℃で溶融し、フリット原料を得た。それをボールミルにて水とともに体積比率50%粒径が6μmになるよう粉砕し、釉薬スラリーを作製した。得られた釉薬スラリーを、約10cm角、厚み約1cmの通常の未焼成衛生陶器素地の上にスプレーコーティングにて、焼成後の釉薬厚みが約0.4mmになるように施釉した。その後、最高温度1200℃、1100℃から850℃の冷却速度が−185℃/時の焼成条件にて、電気炉にて焼成し評価サンプルを得た。
【0032】
例2
釉薬組成を表1に示される釉薬2とし、釉薬厚みを約0.6mmとした以外は、例1と同様にして評価サンプルを得た。
【0033】
例3
釉薬組成を表1に示される釉薬3とした以外は、例2と同様にして評価サンプルを得た。
【0034】
例4
釉薬厚みを約0.3mmとした以外は、例3と同様にして評価サンプルを得た。
【0035】
例5
1100℃から850℃の冷却速度を−420℃/時とした以外は、例3と同様にして評価サンプルを得た。
【0036】
例6
釉薬スラリーとして、フリット原料を使用せず、ケイ砂、長石、石灰、粘土等からなる釉薬原料を釉薬組成3になるよう配合し、ボールミルにて粉砕して得た釉薬スラリーを用いた以外は、例3と同様にして評価サンプルを得た。
【0037】
例7
市販の衛生陶器(TOTO株式会社製、ホワイト、釉薬層は1層構成)を用意し、平面部を約10cm切り出し、評価サンプルを得た。これは比較のため従来技術として準備したもので、ガラスと顔料を混合した1層からなり、一般的に最も良く用いられている衛生陶器用の釉薬構成である。また、評価に用いたサンプルの釉薬層厚みは0.45mmであった。
【0038】
例8
市販の衛生陶器(TOTO株式会社製、ホワイト、セフィオンテクト加工品、釉薬層は2層構成)を用意し、平面部を約10cm切り出し、評価サンプルを得た。これは比較のため従来技術として準備したもので、防汚性能を高めるために特許第3339640号公報(特許文献1)に記載されている2層構造を有している。具体的には、例7に示した従来の釉薬層の上に不純物の少ない透明なガラス層を設けたもので、表面平滑性の向上などを実現したものである。また、評価に用いたサンプルの釉薬層厚みは、従来釉薬層である下層が0.43mm、透明層である上層が0.20mmであった。
【0039】
特性値測定:分相形態の観察およびサイズ・体積比の測定
釉薬層中の分相サイズおよび体積比を以下のとおり測定した。評価サンプル断面に鏡面研磨を施し、発色を支配している表面から100〜150μmの最大サイズの分相を含む領域において、電子顕微鏡反射電子を用いて20000倍ないしは50000倍にて分相形態の観察を実施した。またその像を撮影し、画像処理を適応し、分相サイズおよび2相の体積比を測定した。分相サイズの測定においては、バイノーダル形態のものは粒子を形成している相の平均粒子径を、スピノーダル形態のものは枝部の平均幅を求めた。それらの結果は、以下の表2に示される通りであった。また、例2および例3のサンプルの電子顕微鏡で撮影した像を図1および図2として示す。
【0040】
特性値測定:石英量の測定
釉薬層中の石英量を以下のとおり測定した。前処理として、評価サンプル表面を70℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液にて1時間エッチング処理を施した。その評価サンプル表面を電子顕微鏡反射電子にて200倍で像を撮影した。撮影した像に画像処理を適応し、石英の体積比率を測定した。それらの結果は、以下の表2に示される通りであった。
【0041】
評価試験:アルカリ耐久試験前後の表面粗さ測定
5重量%水酸化ナトリウム水溶液を用意し、各評価サンプルを浸漬して、全体を70℃に加熱し20時間放置した。アルカリ耐久試験の前後、JIS B−0651に従い、その衛生陶器の表面粗さRaを、触針式表面粗さ測定装置により測定した。それらの結果は、以下の表2に示される通りであった。
【0042】
評価試験:L(明度)の測定
を以下の通り測定した。各評価サンプルの表面をエタノールにて良く洗浄し、釉薬層表面のLを分光測色計にて測定した。分光測色計による測定は、光源にはD65を用い、10°視野、SCE(正反射光除去)方式にて行った。それらの結果は、以下の表2に示される通りであった。
【表2】

【0043】
例11〜18
前記の表1に記載の釉薬1に、乳濁剤としてジルコンを下記の表3に記載の量添加した以外は、例1に記載の方法と実質的に同一の方法によって評価サンプルを得た。その評価サンプルについて、上記評価試験アルカリ耐久試験前後の表面粗さの測定に従って、アルカリ耐久試験後の表面粗さRaを測定した。その結果は、以下の表3に示される通りであった。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生陶器素地上に形成された1層からなる釉薬層を、唯一の釉薬層として有する衛生陶器であって、
前記釉薬層が、主として、非晶質の分相ガラスからなり、
前記釉薬層表面の表面粗さRaが、0.07μm以下であることを特徴とする、衛生陶器。
【請求項2】
5重量%水酸化ナトリウム水溶液に前記衛生陶器を浸漬して、70℃に加熱し20時間放置するアルカリ試験後の前記釉薬表面の表面粗さRaが、0.07μm以下である、請求項1に記載の衛生陶器。
【請求項3】
前記釉薬層の厚さが0.3mm以上である、請求項1に記載の衛生陶器。
【請求項4】
前記釉薬層中に分相ガラスの分相により生じた粒子が、独立液滴構造(バイノーダル)である場合にはその直径が100nm以上、絡み合い構造(スピノーダル)である場合には枝部の平均幅が100nm以上の大きさを有する、請求項1に記載の衛生陶器。
【請求項5】
前記釉薬層表面の明度Lが85以上である、請求項1に記載の衛生陶器。
【請求項6】
前記釉薬層中に分相ガラスの分相により生じた粒子の、当該釉薬層中に占める体積比が、独立液滴構造(バイノーダル)である場合には15体積%以上、絡み合い構造(スピノーダル)である場合には25体積%以上である、請求項1に記載の衛生陶器。
【請求項7】
前記釉薬層の表面において観察される粒子の大きさが50nm以下であり、かつ前記釉薬層中の粒子径が、表層から素地に向かって、徐々に大きくなる、請求項1に記載の衛生陶器。
【請求項8】
前記釉薬層中における石英結晶の量が、1.5体積%以下である、請求項1に記載の衛生陶器。
【請求項9】
釉薬層の下記式:
(塩基度)=(網目修飾酸化物)/(網目形成酸化物+中間酸化物)
で定義される塩基度が0.20〜0.40である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の衛生陶器。
【請求項10】
釉薬層の組成が下記の範囲にある、請求項1〜9のいずれか一項に記載の衛生陶器:
SiO 68〜76mol%
Al 4.0〜5.4mol%
CaO 7.0〜15.0mol%
MgO 0〜2.0mol%
ZnO 5.0〜10.0mol%
O 2.0〜5.0mol%
NaO 0〜2.0mol%。
【請求項11】
前記釉薬層が乳濁剤を8重量%以下の量で含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の衛生陶器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−91998(P2012−91998A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198213(P2011−198213)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】