説明

素線端末処理治具および素線端末処理方法

【課題】作業性の良い素線端末処理治具およびその素線端末処理治具を用いた素線端末処理方法を提供する。
【解決手段】素線端末処理治具10は、複数の素線2を撚り合せてなる撚り線1の各素線2の端末1bを処理するための素線端末処理治具10であって、互いに交差する第1の面3aと第2の面3bとにより構成された段差を含む階段形状部材3を備え、第1の面3aと第2の面3bとの接合部3cの延びる方向に対して斜めの方向から撚り線1の端面1aを階段形状部材3に接触するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素線端末処理治具および素線端末処理方法に関し、特に撚り線の各素線の端末を処理する素線端末処理治具と、その素線端末処理治具を用いた素線端末処理方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
撚り線の端末に電極端子が接合される際、撚り線を構成する各素線の表面が絶縁被膜で覆われている場合には、その絶縁被膜を除去する必要がある。素線の絶縁被膜の除去方法としては、サンドブラストを用いて機械的に除去する方法や、溶剤によって溶解させる、あるいは膨潤剥離させるといった化学的に除去する方法がある。これらの方法で素線の表面の絶縁被膜を完全に除去するためには、撚られた素線の1本1本の間隔を広げる必要がある。
【0003】
たとえば、特開平5−336634号公報では、多数本の絶縁皮膜付き素線を複数層に撚合せてなる素線絶縁導体の接続端部における素線の絶縁皮膜をサンドブラスト処理にて除去する方法が提案されている。この公報では、素線絶縁導体の各撚り層間には径の異なる分離リングが嵌入され、分離リングにより各撚り層が互いに分離されている。撚り層構成素線間にサンド吹付け可能な間隔が付与された上で、絶縁皮膜がサンドブラスト処理されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−336634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この公報に記載の方法では、複数の分離リングを径の大きな分離リングから順次撚り線に押し込んでいく必要があるため、作業性が悪い。
【0006】
また、径の異なる複数の分離リングが撚り線に押し込まれた際に、各分離リングの相対位置が毎回変わることにより素線の広がり方がその都度変化するため撚り線の品質が安定しない。
【0007】
また、分離リングが押し込まれる際、素線が撚られているため分離リングを素線が撚られている方向にあわせて回転させる必要がある。しかし、角型の撚り線では分離リングの角部分が撚り線と干渉して分離リングが回転することが困難であるため、分離リングを押し込むことが困難である。
【0008】
また、撚り線を広げる根元部分に部品などの障害物が取り付けられている場合、分離リングが障害物の端面まで押し込まれたとしても、障害物の端面から分離リングの厚み分の範囲では撚り線を広げることができない。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、作業性の良い素線端末処理治具およびその素線端末処理治具を用いた素線端末処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の素線端末処理治具は、複数の素線を撚り合せてなる撚り線の各素線の端末を処理するための素線端末処理治具であって、互いに交差する第1の面と第2の面とにより構成された段差を含む階段形状部材を備え、第1の面と第2の面との接合部の延びる方向に対して斜めの方向から撚り線の端面を階段形状部材に接触するように構成されている。
【0011】
本発明の素線端末処理治具は、複数の素線を撚り合せてなる撚り線の各素線の端末を処理するための素線端末処理治具であって、間隔が広げられた各素線同士の間隔を狭めるための撚り線成形部材と、撚り線成形部材を回転支持する支持部材と、支持部材に支持された撚り線成形部材を撚り線成形部材と当接する撚り線の径方向に案内するスライド部材と、スライド部材に沿って撚り線成形部材を開閉させる駆動手段とを備え、撚り線成形部材は、円弧形状の外周部と外周部の厚み方向に対向して形成されたひさし部とを含んでいる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、階段形状部材の第1の面と第2の面との接合部の延びる方向に対して斜めの方向から撚り線の端面が階段形状部材に接触するため、一度の押し込み動作で撚り線の素線の端末を複数段に分けられた扇形に広げることができるので作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における撚り線を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1における素線端末処理治具を概略的に示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1における素線端末処理治具を概略的に示す正面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における素線端末処理治具に撚り線を押し込む前の状態を概略的に示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における素線端末処理治具に撚り線を押し込んでいる状態を概略的に示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における素線端末処理治具に障害物が取り付けられている撚り線を押し込んでいる状態を概略的に示す平面図である。
【図7】撚り線の撚り方向の種類を概略的に示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態1における素線端末処理治具の設置方向を変更した状態を概略的に示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態2における素線端末処理治具を概略的に示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態2における素線端末処理治具を概略的に示す正面図である。
【図11】本発明の実施の形態2における素線端末処理治具に撚り線を押し込む前の状態を概略的に示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態2における素線端末処理治具に撚り線を押し込んでいる状態を概略的に示す平面図である。
【図13】本発明の実施の形態3における素線端末処理治具を概略的に示す斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態3における素線端末処理治具を概略的に示す正面図である。
【図15】本発明の実施の形態3における素線端末処理治具に撚り線を押し込む前の状態を概略的に示す平面図である。
【図16】本発明の実施の形態3における素線端末処理治具に撚り線を押し込んでいる状態を概略的に示す平面図である。
【図17】本発明の実施の形態4における素線端末処理治具を概略的に示す斜視図である。
【図18】本発明の実施の形態4における素線端末処理治具に撚り線を押し込んでいる状態を概略的に示す斜視図である。
【図19】本発明の実施の形態5における素線端末処理治具を概略的に示す斜視図である。
【図20】本発明の実施の形態5における素線端末処理治具から撚り線を引き抜く前の状態を概略的に示す平面図である。
【図21】本発明の実施の形態5における素線端末処理治具から撚り線を引き抜いている状態を概略的に示す平面図である。
【図22】本発明の実施の形態5における素線端末処理治具に撚り線を引き抜いた後の状態を概略的に示す平面図である。
【図23】本発明の実施の形態5における素線端末処理治具に複数の撚り線を引き抜く前の状態を概略的に示す平面図である。
【図24】本発明の実施の形態5における素線端末処理治具に障害物が取り付けられている撚り線を引き抜く前の状態を概略的に示す平面図である。
【図25】本発明の実施の形態6における素線端末処理治具を概略的に示す斜視図である。
【図26】本発明の実施の形態6における素線端末処理治具に撚り線を引き抜いている状態であって、撚り線成形部材の固定部および可動部の外周部が撚り線と当接している状態を概略的に示す平面図である。
【図27】本発明の実施の形態6における素線端末処理治具に撚り線を引き抜いている状態であって、撚り線成形部材のローラーが撚り線と当接している状態を概略的に示す斜視図である。
【図28】本発明の実施の形態7における素線端末処理治具を概略的に示す斜視図である。
【図29】本発明の実施の形態1における素線端末処理方法のサンドブラスト処理を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に、本発明の実施の形態1の素線端末処理治具の構成について説明する。
【0015】
図1を参照して、本実施の形態の素線端末処理治具10で処理される撚り線1は、複数の素線2を撚り合わせてなっている。素線2の材料として、たとえばアルミニウムや銅などが用いられる。また、素線2の線径は、たとえば直径1mm程度である。なお、図1では、撚り線1の端面1aの形状が角形に形成されているが、これに限定されない。
【0016】
図2および図3を参照して、素線端末処理治具10は、階段形状部材3と、規制部材4と、ガイド部材5とを主に有している。この素線端末処理治具10は、複数の素線2を撚り合せてなる撚り線1の各素線2の端末を処理するための装置である。なお、図2においては、見やすくするため各構成要素が分離して記載されている。
【0017】
階段形状部材3は、撚り線1の端末を押し広げることにより撚り線1の各素線をばらすための部材である。階段形状部材3は、互いに交差する第1の面3aと第2の面3bとにより構成された段差を含んでいる。階段形状部材3は、第1の面3aと第2の面3bとの接合部3cの延びる方向に対して斜めの方向(図中矢印X方向)から撚り線1の端面1aを階段形状部材3に接触するように構成されている。
【0018】
具体的には、階段形状部材3は、大きさの異なる複数のくさび形状を大きさ順に重ね合わせた階段形状を有している。なお、階段形状部材3の形状は、全ての階段形状が相似の関係である必要はない。撚り線1の寸法や各素線2(図1)を広げる角度に応じて、階段形状の各段の高さ、接合部3cの延びる方向の角度などが異なっていてもよい。また、階段形状部材3は、段毎に分割されて構成されていても、1部品で構成されていてもよい。ただし、階段形状の各段の高さは、素線2の1本の径以上であることが好ましい。また、撚り線1の端面1aの寸法に合せて、階段形状の段数が変更されてもよい。
【0019】
ガイド部材5は、撚り線1を階段形状部材3に直線的に導くための部材である。ガイド部材5は、接合部3cの延びる方向に対して斜めになるように階段形状部材3に取り付けられている。階段形状部材3とガイド部材5とは隙間なく当接している。
【0020】
規制部材4は、撚り線1の広がりや曲がりを規制するための部材である。規制部材4は、第1の面3aおよび第2の面3bのいずれかに沿う方向に延びるように階段形状部材3に取り付けられている。なお、規制部材4は、階段形状部材3の上面(最も小さなくさび形状が規制部材4と対向する面)と下面(最も大きなくさび形状が規制部材4と対向する面)に取り付けられているが、これに限定されない。階段形状部材3の上面および下面に取り付けられた規制部材4は、互いに平行に配置されていることが好ましい。
【0021】
次に、本実施の形態の素線端末処理方法について説明する。
本実施の形態の素線端末処理方法は、素線端末処理治具10を用いて、各素線2同士の間隔を広げる工程と、間隔を広げられた各素線2にサンドブラスト処理する工程とを備えている。
【0022】
まず、素線端末処理治具10を用いて、各素線2同士の間隔を広げる工程について説明する。なお、図4〜6は、見やすくするため階段形状部材3の上面に取り付けられている規制部材4を省略した図である。
【0023】
図4を参照して、撚り線1をばらす範囲の端部が固定治具6で押えられる。撚り線1の一方の側面をガイド部材5に沿わせて、図中矢印X方向に撚り線1が端面1aから階段形状部材3に押し込まれる。これにより、第1の面3aと第2の面3bとの接合部3cの延びる方向に対して斜めの方向(図中矢印X方向)から撚り線1の端面1aが階段形状部材3に接触する。
【0024】
図5を参照して、撚り線1の素線2の端末1bが、階段形状部材3の第2の面3bに接触し、接合部3cの延びる方向に沿って広げられる。これにより、平面視において、撚り線1の素線2の端末1bが扇形に広げられる。また、第2の面3bが階段状に構成されているため、撚り線1の素線2の端末1bは、多段階に分かれた扇形に広げられる。
【0025】
また、図6を参照して、撚り線1の一部に部品などの障害物7が取り付けられている場合がある。この場合には、素線端末処理治具10の撚り線1と接触する端面を障害物端面7aまで押し込むことにより、撚り線1の素線2の端末1bの先端から障害物端面7aまでの範囲の撚り線1を押し広げることができる。
【0026】
続いて、間隔を広げられた各素線2にサンドブラスト処理する工程について説明する。
図29を参照して、サンドブラスト装置30に扇形に押し広げられた撚り線1の一部が挿入されている。サンドブラスト装置30の枠体34には、撚り線1を固定するための固定部材35が取り付けられている。固定部材35の内側には、撚り線1の周囲を封止するためのスペーサ36が配置されている。スペーサ36を介在して撚り線1がサンドブラスト装置30に支持されている。
【0027】
扇形に押し広げられた撚り線1の素線2の端末1bに対して、ブラストホース32を経由して噴射ノズル31からサンド33が吹き付けられる。サンド33は、たとえばアルミ粉末で構成されている。サンド33が素線2の端末1bに吹き付けられることにより、素線2の端末1bの絶縁被膜が除去される。上記の各素線2同士の間隔を広げる工程において、撚り線1の素線2が扇形に押し広げられることにより、各素線2同士の間隔が広げられるので、サンド33が素線2の絶縁被膜を容易に除去することができる。
【0028】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、階段形状部材3の第1の面3aと第2の面3bとの接合部3cの延びる方向に対して斜めの方向から撚り線1の端面1aが階段形状部材3に接触するため、一度の押し込み動作で撚り線1の素線2の端末1bを複数段に分けられた扇形に広げることができるので作業性を向上することができる。
【0029】
また、階段形状部材3の形状によって撚り線1の素線2の広がり方が決まるため、素線2の広がり方が一定となるので撚り線1の品質を安定させることができる。
【0030】
また、階段形状部材3に撚り線1を端面1aから接触させることにより、撚り線1を扇形に広げることができるため、角型の撚り線1でも扇形に広げることができる。
【0031】
また、ガイド部材5が接合部3cの延びる方向に対して斜めになるように階段形状部材3に取り付けられているため、撚り線1の側面をガイド部材5に沿わせて、撚り線1を階段形状部材3に直線的に導くことにより撚り線1の素線2の端末1bを広げることができる。押し込み動作を直線的に行うことができるため作業を簡単にすることができる。
【0032】
また、規制部材4が階段形状部材3の第1の面3aおよび第2の面3bのいずれかに沿う方向に延びるように階段形状部材3に取り付けられている。これにより、撚り線1が素線端末処理治具10に押し込まれた際、規制部材4によって階段形状部材3の厚み方向への撚り線1の広がりが規制される。撚り線1の広がりの方向を規制することにより、素線2の表面の絶縁被膜が取り除かれた後、撚り線1を元の形状に容易に戻すことができる。
【0033】
また、撚り線1に部品などの障害物7が取り付けられている場合には、障害物端面7aまで撚り線1を素線端末処理治具10に押し込むことにより、撚り線1の素線2の端末1bの先端から障害物端面7aまでの全ての範囲を押し広げることができる。
【0034】
また、素線端末処理治具10によって撚り線1を扇形に押し広げることにより、各素線2同士の間隔が広げられるので、サンドブラスト処理においてサンド33が素線2の絶縁被膜を容易に除去することができ、作業性を向上することができる。また、撚り線1の品質を安定させることができる。
【0035】
なお、サンドブラスト処理のかわりに他の表面処理を行ってもよい。溶剤によって被膜を溶解させる、あるいは被膜を膨潤剥離させるといった化学的に除去する方法を用いてもよい。やすりなどで表面をこすったり圧力をかけたりして機械的に力を加えてもよい。表面被膜だけでなく、加圧により素線2の断面形状を変形させたり、イオン照射などで各素線2の特性を変質させたりしても良い。これらの方法でも各素線2同士の間隔を広げた部分を加工するので、効果的な処理が可能である。
【0036】
なお、図7に示すように、撚り線1には撚り方向によって、Z撚り線11とS撚り線12との2種類がある。本実施の形態ではZ撚り線11で説明しているが、S撚り線12であってもよい。S撚り線12の場合には、階段形状部材3の接合部3c(図4)の延びる方向がZ撚り線11の場合と比べて反対に構成される。
【0037】
また、図8に示すように、素線端末処理治具10では、ガイド部材5が底に配置されていてもよい。この場合には、撚り線1は規制部材4の図中高さ方向に扇形に広げられる。
【0038】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の素線端末処理治具は、実施の形態1の素線端末処理治具と比較して、階段形状部材が第1の階段形状と第2の階段形状とを含んでいる点が主に異なっている。
【0039】
最初に本実施の形態の素線端末処理治具の構成について説明する。
図9および図10を参照して、階段形状部材3は第1の階段形状3dと第2の階段形状3eとを含んでいる。なお、図9においては、見やすくするため各構成要素が分離して記載されている。
【0040】
第1の階段形状3dと第2の階段形状3eとが隣り合う面を境界面J1として、第1の階段形状3dと第2の階段形状3eとが境界面J1の所定の点P1対して点対称に構成されている。第1の階段形状3dの側面と第2の階段形状3eの側面とがガイド部材5を介在して隣り合って配置されている。
【0041】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
次に、本実施の形態の素線端末処理方法について説明する。
図11および図12は、見やすくするため階段形状部材3の上面に取り付けられている規制部材4を省略した図である。
【0043】
図11を参照して、2本の撚り線1をばらす範囲の端部が固定治具6で押えられる。2本の撚り線1の隣り合う側面をガイド部材5に沿わせて、図中矢印X方向に2本の撚り線1が端面1aから階段形状部材3の第1の階段形状3dおよび第2の階段形状3eに押し込まれる。これにより、第1の面3aと第2の面3bとの接合部3cの延びる方向に対して斜めの方向(図中矢印X方向)から撚り線1の端面1aが第1の階段形状3dおよび第2の階段形状3eに接触する。
【0044】
図12を参照して、2本の撚り線1の素線2の端末1bが、階段形状部材3の第1の階段形状3dおよび第2の階段形状3eの各第2の面3bに接触し、各接合部3cの延びる方向に沿って広げられる。これにより、平面視において、2本の撚り線1の素線2の端末1bがそれぞれ扇形に広げられる。また、第2の面3bが階段状に構成されているため、2本の撚り線1の素線2の端末1bは、それぞれ多段階に分かれた扇形に広げられる。
【0045】
以上により、本実施の形態の素線端末処理治具10によれば、実施の形態1と同様の作用効果を有する。
【0046】
また、本実施の形態によれば、第1の階段形状3dと第2の階段形状3eとが境界面J1の所定の点P1に対して点対称に構成されている。これにより、2本の撚り線1を同時に扇形に広げることができるため、作業効率を向上することができる。
【0047】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の素線端末処理治具は、実施の形態1の素線端末処理治具と比較して、階段形状部材が第1の階段形状と第2の階段形状とを含んでいる点が主に異なっている。
【0048】
図13および図14を参照して、階段形状部材3は第1の階段形状3dと第2の階段形状3eとを含んでいる。なお、図13においては、見やすくするため各構成要素が分離して記載されている。
【0049】
第1の階段形状3dと第2の階段形状3eとが隣り合う面を境界面J2として、第1の階段形状3dと第2の階段形状3eとが境界面J2の所定の点P2に対して点対称に構成されている。また、実施の形態1と比較して、ガイド部材5は設けられていない。
【0050】
第1の階段形状3dおよび第2の階段形状3eの双方の最も小さなくさび形状の規制部材4の反対側の面同士が対向して配置されている。
【0051】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
次に、本実施の形態の素線端末処理方法について説明する。
図15および図16は、見やすくするため階段形状部材3の上面に取り付けられている規制部材4を省略した図である。
【0053】
図15を参照して、撚り線1をばらす範囲の端部が固定治具6で押えられる。撚り線1の端面1aの中心点が境界面J2の所定の点P2を通るように、図中矢印X方向に撚り線1が端面1aから階段形状部材3に押し込まれる。これにより、第1の面3aと第2の面3bとの接合部3cの延びる方向に対して斜めの方向(図中矢印X方向)から撚り線1の端面1aが第1の階段形状3dおよび第2の階段形状3eに接触する。
【0054】
図16を参照して、撚り線1の素線2の端末1bが、階段形状部材3の第1の階段形状3dおよび第2の階段形状3eの各第2の面3bに接触し、各接合部3cの延びる方向に沿って広げられる。これにより、平面視において、撚り線1の素線2の端末1bは扇形に広げられる。また、第2の面3bが階段状に構成されているため、撚り線1は多段階に分かれた扇形に広げられる。
【0055】
以上により、本実施の形態の素線端末処理治具10によれば、実施の形態1と同様の作用効果を有する。
【0056】
また、本実施の形態によれば、第1の階段形状3dと第2の階段形状3eとが境界面J2の所定の点P2に対して点対称に構成されている。これにより、境界面J2を境に撚り線1の押し広げられる方向が逆になるため、撚り線1を所定の点P2に対して点対称の扇形に広げることができる。点対称の扇形にすることにより、撚り線1の素線2を扇形に広げる範囲を広くすることができる。また、素線2の最大曲げ角度を小さくすることができるため、撚り線1を元の形状に容易に戻すことができる。
【0057】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4の素線端末処理治具は、実施の形態1の素線端末処理治具と比較して、階段形状部材に溝が形成されている点が主に異なっている。
【0058】
図17および図18を参照して、階段形状部材3の第1の面3aおよび第2の面3bの少なくともいずれかに素線2を導くための溝3fが形成されている。なお、図17においては、見やすくするため各構成要素が分離して記載されている。また、図18は、見やすくするため階段形状部材3と撚り線1とを示した図である。
【0059】
溝3fは、第2の面3bに形成されているが、第1の面3aに形成されていてもよく、また、第1の面3aおよび第2の面3bの双方に形成されていてもよい。また、溝3fを形成する方向は、接合部3cに沿った方向が好ましい。また、溝3fの端面の形状は、円弧形状に限らず、矩形状または三角形状でもよい。また、溝3fの数は、階段形状部材3の1段当たりに1本でもよく、また複数本でもよい。また、溝3fの幅は、素線2の1本の径以上であることが好ましい。また、溝3fを形成する範囲は、階段形状部材3の第1の面3aおよび第2の面3bの少なくともいずれかの全体である必要はなく、第1の面3aおよび第2の面3bの少なくともいずれかの一部であってもよい。
【0060】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
階段形状部材3の第1の面3aおよび第2の面3bの少なくともいずれかに溝3fを設けることにより、撚り線1が図中矢印X方向に押し込まれた際に、素線2の先端が溝3fに嵌入する。さらに撚り線1が押し込まれると、素線2の先端は、溝3fに保持された状態で、溝3fに案内されて押し広げられる。
【0062】
以上により、本実施の形態の素線端末処理治具10によれば、実施の形態1と同様の作用効果を有する。
【0063】
また、本発明によれば、階段形状部材3の第1の面3aおよび第2の面3bの少なくともいずれかに素線2を導くための溝3fが形成されているため、撚り線1が押し込まれた際に、第1の面3aおよび第2の面3bの少なくともいずれかで素線2が滞ることを抑制することができる。特に、階段形状部材3の第2の面3b(側面)からの素線2の脱落を抑制することができる。そのため、ばらした後の撚り線1の状態が安定し、素線2の表面の絶縁被膜を取り除いた後、元の撚り線1の形状に戻す際の作業性を向上することができる。
【0064】
(実施の形態5)
最初に本発明の実施の形態5の素線端末処理治具の構成について説明する。
【0065】
図19を参照して、本実施の形態の素線端末処理治具20は、撚り線成形部材21と、支持部材22と、スライド部材23と、駆動手段24と、ベース部材25とを主に有している。この素線端末処理治具20は、複数の素線2を撚り合せてなる撚り線1の各素線2の端末を処理するための装置である。
【0066】
撚り線成形部材21は、間隔が広げられた各素線2同士の間隔を狭めるため部材である。撚り線成形部材21は、円弧形状の外周部21cと、外周部21cの厚み方向に対向して形成されたひさし部21dとを含んでいる。撚り線成形部材21は、可動部21aと、固定部21bとを有している。
【0067】
可動部21aおよび固定部21bでは、互いに対向する外周部21cが円弧形状に形成されている。なお、撚り線成形部材21の可動部21aと固定部21bとは、同じ形状でなくてもよい。また、撚り線1の寸法や押し広げる範囲に応じて、撚り線成形部材21の円弧形状の外周部21cの寸法が変更されてもよい。
【0068】
外周部21cの厚み方向の両端に連続してひさし部21dが形成されている。ひさし部21dは、撚り線成形部材21の厚み方向への撚り線1の広がりを規制するために構成されている。なお、ひさし部21dは、外周部21cと一体構造であってもよく、また別部品であってもよい。また、ひさし部21dの外周部21cからの高さは、撚り線1の径の半分以下であることが好ましい。支持部材22は、撚り線成形部材21を回転支持するように構成されている。
【0069】
スライド部材23は、支持部材22に支持された撚り線成形部材21を撚り線成形部材21と当接する撚り線1の径方向に案内するように構成されている。駆動手段24は、スライド部材23に沿って撚り線成形部材21を開閉させるように構成されている。駆動手段24によって撚り線成形部材21の可動部21aがスライド部材23に沿ってスライドされることにより、撚り線成形部材21が開閉される。駆動手段24としては、たとえばシリンダ、サーボモータまたは手動の押し込み機構が使用され得る。
【0070】
撚り線成形部材21の固定部21bがベース部材25の一方端部に取り付けられている。ベース部材25の他方端部には駆動手段24が取り付けられている。可動部21aがスライド部材23に沿って移動可能にベース部材25上に配置されている。
【0071】
次に、本実施の形態の素線端末処理方法について説明する。
本実施の形態の素線端末処理方法は、素線端末処理治具20を用いて、各素線2同士の間隔を狭める工程を備えている。
【0072】
図20〜図24では、見やすくするため撚り線と、撚り線成形部材21と、支持部材22とが図示されており、スライド部材23、駆動手段24およびベース部材25は図示されていない。
【0073】
図20を参照して、素線2が扇形に広げられた撚り線1が可動部21aと固定部21bとの間に配置される。撚り線1の素線2が扇形に広げられた部分(扇形部分)26が、可動部21aおよび固定部21bに対して引き抜く方向と反対側に配置される。スライド部材23と連結した可動部21aが駆動手段24により図中矢印Y方向(撚り線1の径方向)にスライドされて撚り線1が固定される。撚り線1の固定位置としては、扇形に広げられた撚り線1の広がり始める根元部分を回転する前の固定部21bと可動部21aとの最も近接する位置に固定することが好ましい。
【0074】
次に、撚り線1が撚り線成形部材21に固定された状態で、撚り線1および撚り線成形部材21のいずれかを直線的に引き抜いて双方を相対的に移動させる。
【0075】
図21を参照して、撚り線1が扇形に広げられているため固定部21bと可動部21aとの間隔より撚り線1の扇形部分26のほうが幅が広い。そのため、撚り線1の引き抜き方向(図中矢印Z方向)に固定部21bおよび可動部21aに力が加わる。これにより、固定部21bと可動部21aとが支持部材22に回転支持された点を中心に回転する。
【0076】
具体的には、可動部21aが支持部材22に回転支持された点を中心に時計回り方向(図中矢印L方向)に回転する。また固定部21bが支持部材22に回転支持された点を中心に反時計回り方向(図中矢印R方向)に回転する。この際、撚り線成形部材21の円弧形状の外周部21cによって、撚り線1の扇形部分26が押し戻される。撚り線成形部材21の厚み方向の両端には、撚り線成形部材21の厚み方向への撚り線1の広がりを規制するためのひさし部21dが形成されているので、素線2が撚り線成形部材21の厚み方向にはみ出すことなく安定して撚り線1を押し戻すことができる。
【0077】
図22を参照して、撚り線1が引き抜く方向(図中矢印Z方向)にさらに移動し、撚り線1の端面1aまで移動した場合、撚り線成形部材21の円弧形状の外周部21cによって、扇形に広げられた撚り線1が押し戻される。これにより、撚り線1は扇形に広げられる前の形状に戻る。
【0078】
また、図23を参照して、撚り線成形部材21の可動部21aの位置を固定部21bに対して図中矢印Y方向(撚り線成形部材21の開閉方向)に沿って調整することで、複数の撚り線1を並べて固定することができる。複数の扇形部分26を有する撚り線1を引き抜くことによって、複数の撚り線1の素線2を同時に元の形状に押し戻すことができる。なお、撚り線成形部材21の固定位置は、固定部21bの取り付け位置を変更することによって調整されてもよい。
【0079】
また、図24を参照して、撚り線1の一部に部品などの障害物7が取り付けられており、障害物端面7aまで撚り線1が押し広げられている場合には、回転する前の固定部21bと可動部21aとの最も近接する位置に障害物端面7aが固定され得る。この状態から撚り線1および撚り線成形部材21のいずれかを直線的に引き抜くことにより、障害物端面7aから撚り線1の素線2の端末1bの先端までの範囲の撚り線1を押し戻すことができる。
【0080】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、間隔が広げられた各素線2同士の間隔を狭めるための撚り線成形部材21を有しているため、撚り線1を撚り線成形部材21に固定した後に撚り線1および撚り線成形部材21のいずれかを直線的に移動させることにより扇形に広げられた撚り線1を元に戻すことができる。これにより、作業性を向上することができる。また、撚り線1および撚り線成形部材21のいずれかを直線的に移動させる動作を一回行うことにより、扇形に広げられた撚り線1を元に戻すことができるので作業を簡単にすることができる。
【0081】
撚り線成形部材21を撚り線成形部材21と当接する撚り線1の径方向に案内するスライド部材23を有しているため、複数の扇形に広げられた撚り線1を並べて固定し、引き抜くことができる。これにより複数の扇形に広げられた撚り線1を同時に元の形状に押し戻すことができる。
【0082】
撚り線成形部材21は、円弧形状の外周部21cと外周部21cの厚み方向に対向して形成されたひさし部21dとを含んでいるため、素線2がはみ出すことなく安定して撚り線1を押し戻すことができる。
【0083】
また、扇形に広げられた撚り線1の一部に部品などの障害物7が取り付けられている場合には、障害物端面7aから撚り線1を押し戻すことができる。
【0084】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6の素線端末処理治具は、実施の形態5の素線端末処理治具と比較して、撚り線成形部材がローラーを備えている点が主に異なっている。
【0085】
最初に本実施の形態の素線端末処理治具の構成について説明する。
図25を参照して、撚り線成形部材21は、間隔が広げられた各素線2同士の間隔を狭めるためのローラー27をさらに備えている。ローラー27が円弧形状の外周部21cと連続して撚り線1に接触するように構成されている。
【0086】
可動部21aおよび固定部21bは、それぞれローラー27を有している。可動部21aおよび固定部21bの互いに対向する外周部21cにローラー27の外周面が連続するように、それぞれのローラー27が配置されている。ローラー27は、撚り線1の素線2が扇形に広げられた部分(扇形部分)26の方向に配置されている。つまり、ローラー27は、扇形に押し広げられた撚り線1が取り付けられた際の、撚り線成形部材21の円弧形状の外周部21cが撚り線1との接触した点を円弧の始点とした場合の円弧の終点側に配置されている。
【0087】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は上述した実施の形態5と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0088】
次に、本実施の形態の素線端末処理方法について説明する。
図26および図27では、見やすくするため撚り線と、撚り線成形部材21と、支持部材22と、ローラー27とが図示されており、スライド部材23、駆動手段24およびベース部材25は図示されていない。
【0089】
図26を参照して、可動部21aが支持部材22に回転支持された点を中心に時計回り方向(図中矢印L方向)に回転する。また固定部21bが支持部材22に回転支持された点を中心に反時計回り方向(図中矢印R方向)に回転する。固定部21bおよび可動部21aが回転可能な範囲まで回転した際、ローラー27が撚り線1を挟み込んで押えた状態になる。
【0090】
図27を参照して、撚り線1が引き抜く方向(図中矢印Z方向)にさらに移動すると、可動部21aがさらに図中矢印L方向に回転し、固定部21bがさらに図中矢印R方向に回転する。可動部21aおよび固定部21bが支持部材22に回転支持された点を中心に回転する範囲を超えると、ローラー27の回転によって撚り線1が端面1aまで押し戻されながら送られていくため、撚り線1は扇形に広げられる前の形状に戻る。
【0091】
以上により、本実施の形態の素線端末処理治具20によれば、実施の形態5と同様の作用効果を有する。
【0092】
また、本実施の形態によれば、撚り線成形部材21は、間隔が広げられた各素線2同士の間隔を狭めるためのローラー27をさらに備えているため、撚り線成形部材21の円弧形状の外周部21cよりも長い距離に渡って、撚り線1を押し戻すことができる。そのため、撚り線1の扇形に広げられた範囲が長い場合でも、元の形状に押し戻す動作を一回行うことにより、撚り線1を元の形状に戻すことができる。
【0093】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7の素線端末処理治具は、実施の形態5の素線端末処理治具と比較して、撚り線成形部材が溝を備えている点が主に異なっている。
【0094】
最初に本実施の形態の素線端末処理治具の構成について説明する。
図28を参照して撚り線成形部材21の円弧形状の外周部21cに素線2を導くための溝21eが形成されている。溝21eは、撚り線成形部材21の円弧形状の外周部21cに、撚り線1(図20)の撚り方向と一致する方向に形成されている。溝21eの断面形状は、円弧形状または三角形状であることが好ましい。また、溝21eの幅は、素線2(図20)の径と一致することが好ましい。また、溝21eを形成する範囲は、撚り線成形部材21の円弧形状の外周部21c全体である必要はなく、一部にのみ形成されていてもよい。
【0095】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は上述した実施の形態5と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0096】
次に、本実施の形態の素線端末処理方法について説明する。
撚り線1が撚り線成形部材21で固定された状態で、撚り線1および撚り線成形部材21のいずれかを直線的に引き抜くことにより双方を相対的に移動させる。撚り線成形部材21が支持部材22に回転支持された点を中心に回転し、撚り線成形部材21の円弧形状の外周部21cで、扇形に広げられた撚り線1を押し戻していく。このとき、扇形に広げられた撚り線1の素線2は、撚り線成形部材21の外周部21cの表面に形成された溝21eに収まりながら押し戻される。
【0097】
以上により、本実施の形態の素線端末処理治具20によれば、実施の形態5と同様の作用効果を有する。
【0098】
また、本実施の形態によれば、撚り線成形部材21の円弧形状の外周部21cに素線2を導くための溝21eが形成されているため、扇形に広げられた撚り線1の素線2は溝21eに収まりながら押し戻される。これにより、撚り線1の撚り状態が乱れることなく、安定して元の撚り線1の形状に戻すことができる。
【0099】
なお、上記の各実施の形態は、適時組み合わせることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、撚り線の各素線の端末を処理する素線端末処理治具と、その素線端末処理治具を用いた素線端末処理方法とに特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0101】
1 撚り線、2 素線、3 階段形状部材、3a 第1の面、3b 第2の面、3c 接合部、3d 第1の階段形状、3e 第2の階段形状、3f 溝、4 規制部材、5 ガイド部材、6 固定治具、7 障害物、10 素線端末処理治具、11 Z撚り線、12 S撚り線、20 素線端末処理治具、21 撚り線成形部材、21a 可動部、21b 固定部、21c 外周部、21d ひさし部、21e 溝、22 支持部材、23 スライド部材、24 駆動手段、25 ベース部材、26 扇形部分、27 ローラー、30 サンドブラスト装置、31 噴射ノズル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の素線を撚り合せてなる撚り線の各前記素線の端末を処理するための素線端末処理治具であって、
互いに交差する第1の面と第2の面とにより構成された段差を含む階段形状部材を備え、
前記第1の面と前記第2の面との接合部の延びる方向に対して斜めの方向から前記撚り線の端面を前記階段形状部材に接触するように構成された、素線端末処理治具。
【請求項2】
前記接合部の延びる方向に対して斜めになるように前記階段形状部材に取り付けられたガイド部材をさらに備えた、請求項1に記載の素線端末処理治具。
【請求項3】
前記第1の面および前記第2の面のいずれかに沿う方向に延びるように前記階段形状部材に取り付けられた規制部材をさらに備えた、請求項1または2に記載の素線端末処理治具。
【請求項4】
前記階段形状部材は第1の階段形状と第2の階段形状とを含み、
前記第1の階段形状と前記第2の階段形状とが隣り合う面を境界面として、前記第1の階段形状と前記第2の階段形状とが前記境界面の所定の点に対して点対称に構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の素線端末処理治具。
【請求項5】
前記第1の面および前記第2の面の少なくともいずれかに前記素線を導くための溝が形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の素線端末処理治具。
【請求項6】
複数の素線を撚り合せてなる撚り線の各前記素線の端末を処理するための素線端末処理治具であって、
間隔が広げられた各前記素線同士の間隔を狭めるための撚り線成形部材と、
前記撚り線成形部材を回転支持する支持部材と、
前記支持部材に支持された前記撚り線成形部材を前記撚り線成形部材と当接する前記撚り線の径方向に案内するスライド部材と、
前記スライド部材に沿って前記撚り線成形部材を開閉させる駆動手段とを備え、
前記撚り線成形部材は、円弧形状の外周部と前記外周部の厚み方向に対向して形成されたひさし部とを含んでいる、素線端末処理治具。
【請求項7】
前記撚り線成形部材は、間隔が広げられた各前記素線同士の間隔を狭めるためのローラーをさらに備え、
前記ローラーが前記円弧形状の外周部と連続して前記撚り線に接触するように構成されている、請求項6に記載の素線端末処理治具。
【請求項8】
前記撚り線成形部材の前記円弧形状の外周部に前記素線を導くための溝が形成されている、請求項6または7に記載の素線端末処理治具。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載の素線端末処理治具を用いて、各前記素線同士の間隔を広げる工程と、
間隔を広げられた各前記素線に表面処理する工程とを備えた、素線端末処理方法。
【請求項10】
請求項6〜8のいずれかに記載の素線端末処理治具を用いて、各前記素線同士の間隔を狭める工程をさらに備えた、請求項9に記載の素線端末処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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