説明

紫外線レーザ光源、紫外線光を生成する周波数倍化導波路の製造方法

【課題】紫外線レーザ光線もしくは、紫外線レーザ光線と可視レーザ光線との両方を出射主するレーザ装置を提供する。
【解決手段】レーザ装置は、単結晶薄膜周波数倍化導波路構造の形で周波数倍化結晶へと繋がる可視レーザ光を生成する半導体レーザ装置を含む。単結晶薄膜周波数倍化導波路は、半導体レーザより出射される可視光の一部を紫外線光へと変換する。可視レーザ光と紫外線レーザ光との両方が、上記周波数倍化導波路から出射される。例えば、上記単結晶薄膜周波数倍化導波路は、β−BaB(β−BBO)から成る周波数倍化結晶領域、紫外線レーザ光線の波長において透過性を有する、あるいはほぼ透過性を有する物質から成るクラッド領域、および、あらゆる物質から成る支持基板を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紫外線レーザ光を出射する装置、特に、可視レーザ光を紫外線レーザ光に変換する周波数倍化導波路型の光学部材を備えた装置と周波数倍化導波路の製造工程に関する。上記装置は、水の殺菌処理のために設計される製品の光源として利用できる。
【背景技術】
【0002】
清潔かつ安全な呼吸のための空気および飲料水の需要は絶えず増大しており、世界の至る所、とりわけ、人口の多い国または地域で増大している。小型のソリッドステートの深紫外線(deep UV)の光源の主要かつ大量な用途は、空気または水を化学薬品を使用せずに殺菌することである。深紫外線光(波長が280nmより短い短波長紫外線の範囲にある光)は、効率的に、細菌、ウイルス、および菌類が複製することを防ぐ永久的な物理的損傷をDNAに生じさせる。このことは、深紫外線による処理は、安全な呼吸または飲料のために空気または水を使用時点で殺菌することに利用できるということを意味する。特に、深紫外線は大腸菌の破壊に効果的である。また、深紫外線は表面殺菌に利用することができる。
【0003】
また、深紫外線光は、水に存在する溶解有機化合物等の化学汚染の毒性を減らすために使用でき、それにより、水を飲料用に安全にすることができる。この場合、深紫外線光は、上記溶解有機化合物をより危険性の少ないまたは無害の副生成物に分解する光触媒酸化反応を生じさせる。230nmよりも短い波長を有する深紫外線光において、上記光触媒酸化反応は最も効果的に生じる。
【0004】
また、小型のソリッドステートの深紫外線光源は、生物学的かつ化学的な検出の用途を有する。なぜなら、生物学的かつ化学的な化合物は、深紫外線を強く吸収するためである。タンパク質および他の有機化合物はそれらの蛍光周波数帯から特定することができる。蛍光測定は、化合物が強く吸収する短波長の光の照度と、より長い波長において得られる蛍光の検出を必要とする。280nm近傍の波長が適切であるが、220nmより短い波長は、この波長においてより深吸光度を有するため、さらに望ましい。
【0005】
使用時点における水および空気の紫外線処理を行う製品は既に利用可能となっており、これらの製品は紫外線光源として水銀灯を利用している。しかしながら、水銀灯は有害物質を含み、動作する耐用年限が短く起動時間が長い傾向にあり、高い駆動電圧を必要とする。さらに、水銀灯から出射される紫外線光は、広範囲の方向に出射され、比較的広い領域から出射される。このことは、狭い領域に効果的に焦点を合わせることができない、あるいは、平行ビームではないということを意味する。
【0006】
紫外線光源に代わるものとして現在開発中のものは、紫外線発光ダイオード(UV LED)である。現時点における紫外線発光ダイオードを利用する欠点の1つは、動作する耐用年限が短いこと、および、平行ビームまたはしっかりと焦点の合った光点を提供するために効率的に焦点を合わせることができないことである。加えて、紫外線発光ダイオードの性能は260nmより短い波長では、非常に悪い。それゆえ、これらの装置は上記の260nmより短い波長を有する光源から得られる恩恵を受けるには不十分である。
【0007】
深紫外線レーザは、効率的に平行ビームへと集光されるか、または、狭い領域に焦点を合わせられる、速やかに調節できる単色の干渉性ビームを提供することができる(例えば、蛍光測定において必要となるように)。しかしながら、280nmより短い放射波長を有する既存のレーザは、産業用に設計されたガスレーザのように、非常に高額な部材である。280nmより短い放射波長を有する半導体レーザは製造されていない。
【0008】
非特許文献1で初めて報告されたように、深紫外線光は、適切な非線形光学材料(例えば、一般にBBOとして知られるベータホウ酸バリウム)の内部で可視レーザ光線を周波数倍化することにより実現できる。可視光は非線形光学材料に焦点が合わせられ、上記光は第2調和生成(second harmonic generation、SHG)工程により周波数倍化(FD)される。SHG工程は、可視入射光を、当該入射光の半分の波長を有する光に変換する。周波数倍化された上記光はレーザより出射された光と同様の特性を有し、先行技術では、“レーザ光”と一般的に表記されている。また、先行技術では、周波数倍化された光を出射する装置は“レーザ”と一般的に表記されている。ここで、”レーザ光”という用語は、レーザ装置から出射される光に由来する周波数倍化された光と共に、レーザ装置から出射される光も含む。さらに、“レーザ光源”は、放射線の誘導放出による光増幅を提供する光源より出射された光を周波数倍化する装置と共に、紫外線の誘導放出による光増幅を提供する光源も含む。このようにしてBBOを用いて製造された周波数倍化紫外線レーザは、205nmという短い波長を出射すように製造できる。
【0009】
非特許文献2において、BBOを用いた紫外線レーザの製造、および、ポンプ(pump)可視レーザ光線を生成する青紫半導体レーザダイオードの使用に関する報告が初めてなされた。この方法の潜在的な利点は、青紫半導体レーザダイオードが、小型かつ低価格な部材であるということである。しかしながら、青紫半導体レーザから出射される光は比較的弱いため、BBOにおけるSHG工程は低効率で生じる。このため、効率性を改善するためにBBO部材を介して青色光を再循環させるための複雑な光学系を使用したとしても、まだ非特許文献2で得られる紫外線出力は低いものとなる。それゆえ、上記方法は、上述した用途のための低価格かつ高出力な紫外線光源を製造する方法としては適切ではない。最も新しく言及されたいずれの2つの先行技術の構成も、周波数倍化導波路を利用することは議論していない。
【0010】
周波数倍化の効率性を向上させるために用いられてきた方法の1つは、周波数倍化導波路を使用することである。周波数倍化導波路は、ポンプ光および周波数倍化された光が非線形光学材料を通過したとき、狭い断面積に制限するように設計される。該光は制限され、非線形光学材料と周囲の物質(または、気体)との間の境界における内部反射により、非線形光学材料に沿って導光される。当該周囲の物質は異なる屈折率を有する。該光の伝播方向に垂直な1つの次元において、該光は制限されてもよい。これは、一般的に、“平面”導波路として言及される。その代わりに、“チャネル”あるいは“リッジ”導波路のいずれかにおいて、該光の伝播方向に垂直な2つの次元において、該光は制限されてもよい。光を狭い領域に制限することにより、SHG工程の効率性を著しく向上させることができる。周波数倍化導波路を使用した最初の報告は、基板に蒸着された非線形かつ光学的な薄膜の形態で、特許文献1(米国特許第3584230号明細書(ティエン、1971年6月8日))に開示されている。特許文献1は可視半導体レーザを使用しておらず、また、周波数倍化(FD)導波路の材料としてBBOを使用していない。このため、特許文献1は、紫外線レーザの製造方法を提供していない。特に、先行技術では、BBO基板へのホモエピタキシャル蒸着以外に、高品質な単結晶BBO薄膜を基板上に蒸着する方法は知られていない。ホモエピタキシャル蒸着は、導波路で必要となる、蒸着されたBBO層に対する屈折率を提供しない。それゆえ、この方法は、深紫外線レーザのための高品質な導波路を製造するのに適していない。
【0011】
拡散、プロトン交換、または転移の従来の方法を用いて、結晶内部に対する屈折率を生成することにより、大量の非線形光学結晶の内部で導波路は形成される。特許文献2(米国特許第4427260号明細書(プエシュ等、1月24日、1984))は、Ni拡散を用いて形成されるFD導波路を半導体レーザによりポンプする非線形光学装置の発明について記載している。特許文献2はBBOの使用についても、深紫外線波長への周波数倍化に適した他のあらゆる非線形材料の使用についても論じていない。深紫外線レーザの使用に適した高品質な導波路を形成するために、拡散が使用可能であることは明らかにしていない。そのうえ、この特許文献2は、光を強く制限する導波路を製造するのに必要となる非線形結晶と構成が著しく異なるクラッド層を備えていない。非特許文献3、特許文献3(米国特許第4951293号明細書(ヤマモト等、8月21日、1990年))、非特許文献4では、Ti拡散、陽子変換、転移を用いたFD導波路の構成について報告されている。後者は、BBOを利用する報告であるが、非線形結晶のクラッド層と著しく構成が異なるクラッド層を備えたものはない。さらに、導波路を製造するためのこれらの方法は非常に短い波長(280nmより短い波長等)の紫外線光に対して高い吸収損失が残る傾向がある。
【0012】
特許文献4(米国特許第5175784号明細書(エノモト等、12月29日、1992年))では基盤上の非線形光学薄膜蒸着により製造されるFD導波路の構造と、その後、リッジ構造にエッチングすることが記載されている。BBOはいくつかの例として与えられている。しかしながら、特許文献4では、導波路に必要な蒸着されたBBO層に対する屈折率を提供しないBBO基盤のホモエピタキシャル蒸着以外に、高品質の単結晶BBO薄膜を基盤に蒸着する方法は知られていない。それゆえ、この方法は深紫外線レーザのための高品質な導波路を製造する方法には適していない。
【0013】
非特許文献5では、ヘリウムイオンの蒸着およびドライエッチングを利用した、BBO結晶における周波数倍化リッジ導波路の形成について報告されている。導波路を用いて可視レーザ線の周波数倍化することによる紫外線レーザの生成もまた報告されている。蒸着されたヘリウムイオンは、層と表面との間の結晶よりもわずかに低い屈折率を有する結晶の最上部の表面の下に数マイクロメートルの薄い層を形成する。光は、最上部の表面と打込層の間の結晶内に制限される。導波路を形成するために蒸着を利用することは、大きな不利点が存在する。特に、打込層とBBO結晶との屈折率は比較的弱い。これは、光が導波路の外に漏れ得るということを意味する。また、打込層と表面の間のBBO結晶は打ち込み工程中に損傷を受け、紫外線の出力を減少させ、非常に短い波長(例えば、280nmより短い波長)を有する紫外線光の吸収損失を上昇させる傾向がある。非特許文献5の導波路を用いる可視レーザが、大きくて高価な産業用レーザであることは、この方法のさらなる欠点である。
【0014】
2つの先行技術では、非線形光学材料の大きな結晶から薄膜FD導波路を製造するラッピング工程および研磨工程の使用について記載されている。非特許文献6は、溶融石英基板に光学的に接着された、あるいは設けられたBBO結晶を研磨することにより、薄膜導波路が製造できることについて言及している。この提案は、導波路設計における重要な考慮、すなわち、周波数倍化された光の光吸収損失を最小限にすることを無視している。効率的な導波路は、導波路の非線形光学材料の核を取り囲む材料が導波路の光の弱い吸収を有することを必要とする。最も強く吸収されるのは深紫外線光である(すなわち、280nmより短い波長)。これは、特に、BBO結晶を溶融石英基板に設けるのに用いられる接着剤および封入材料における、大部分のケースである。その結果、非特許文献6の提案により製造されたBBO薄膜は、紫外線レーザ波長の高い吸収損失と、それゆえに、低い効率性とを有する。さらに、深紫外線光の吸収は、材料の劣化や導波路部材の耐用年限が短いという結果を導く。特許文献5(米国特許第6631231号明細書(ミズウチ等、8月7日、2003年))では、FD結晶を基板に接着することで製造された光学導波路部材と、領域を覆うような接着作用が開示されている。特許文献5では、BBOへの言及はなされておらず、深紫外線レーザ光を生成することについても言及されていない。
【0015】
特許文献6(米国特許第5123731号明細書(ヨシナガ等、6月23日、1992年))は、周波数倍化紫外線レーザ光線と、半導体レーザより生成される他のレーザ光線との両方を出射するレーザ源について開示している。周波数倍化導波路の利用もまた開示されている。特許文献6は、可視半導体レーザの利用については言及しておらず、導波路の製造方法の詳細についても全く詳細を与えていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第3584230号明細書
【特許文献2】米国特許第4427260号明細書
【特許文献3】米国特許第4951293号明細書
【特許文献4】米国特許第5175784号明細書
【特許文献5】米国特許第6631231号明細書
【特許文献6】米国特許第5123731号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】IEEE量子エレクトロニクス雑誌QE−22、No7(1986)
【非特許文献2】ニシムラ他、JJAP42、5079(2003)
【非特許文献3】APL41、7、p607(1982)
【非特許文献4】APL85、9、1457(2004)
【非特許文献5】APL89 041103(2006)
【非特許文献6】PhD学術論文ETH、No17145(2007)、デッリイノチェンティ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、400nm以上560nm以下の範囲の光を出射する半導体レーザからの紫外線レーザ光を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、周波数倍化導波路を利用して半導体レーザからの紫外線光を生成することである。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、半導体レーザから紫外線光と可視光との両方を生成することである。
【0021】
本発明のこれらの目的およびその他の目的は、以下の開示から明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
周波数倍化導波路と連結させ、必要に応じて深紫外線光を周波数倍化により生成する、400nm以上560nm以下の波長範囲を有する半導体レーザを用いる先行技術の例は存在しない。
【0023】
周波数倍化により生成された紫外線レーザを用いることの利点は、装置が紫外線レーザ光と可視レーザ光の一部との両方を出射できるという点である。特に、可視レーザ光線は深紫外線光とは異なり肉眼で見ることができるため、安全性の観点から有用である。
【0024】
本発明に係る装置および方法は、レーザ光源が可視光および紫外線光の両方を同時に提供することを可能にする。
【0025】
本発明のコンセプトは図1に示されており、400nm〜560nmの範囲の波長(λ)を有する可視レーザ光を生成する半導体レーザダイオード14を含み、該可視レーザ光は、単結晶薄膜周波数倍化導波路15へと繋がる。単結晶薄膜周波数倍化導波路は、半導体レーザより出射された光の位相整合による周波数倍化を提供することが望ましい。一例としては、単結晶薄膜はβ−BaBである。周波数倍化導波路は可視レーザ光線の一部を200nm〜280nmの範囲の波長(λ)を有する紫外線光へと変換する。可視光および紫外線光の両方は、周波数倍化導波路から同時に出射される。
【0026】
単結晶薄膜周波数倍化導波路構造は、以下の工程を含むステップを用いて製造される。
(1)周波数倍化単結晶ウエハーの1つの表面にクラッド層3を設ける(applying)工程。上記クラッド層の材料は、半導体レーザダイオードより出射される光に対して、また、周波数倍化による紫外線光に対して、透過性を有するか、あるいはほぼ透過性を有する。
(2)上記クラッド層を有する上記表面を支持基板4に設ける工程。
(3)上記周波数倍化単結晶の対面をラッピングおよび研磨し、薄膜(40μm未満の厚さ)を形成する工程。
(4)上記周波数倍化単結晶薄膜の研磨された面に対して任意でパターニングおよびエッチングを行い、リッジ型導波路構造を形成する工程。
(5)上記半導体レーザダイオードからの光が上記導波路へと繋がるように、かつ、上記半導体レーザダイオードからの光および周波数倍化による紫外線光が上記導波路の外へと繋がるようにファセットを研磨する工程。
【0027】
本発明に係る装置および方法の効果は、以下を含む。
(a)単結晶薄膜周波数倍化導波路に沿って半導体レーザからの可視光および紫外線光を制限することにより、可視光から深紫外線光への変換効率が極めて向上する。上記導波路は少なくとも光線が伝播する方向に垂直な1次元において小サイズかつ高品質な単結晶であり、また、可視光および紫外線光の両方に対する吸収損失が低いため、高い効率性を提供する。
(b)上記導波路の製造プロセスは単純化され、複雑なイオン注入あるいは他の実験技術を用いる必要性に取って換わる。また、サイズにおいて、上記製造プロセスはより大きなサイズの導波路への拡張性がある。
(c)上記レーザシステムは既存の深紫外線レーザよりも低コストかつ小サイズである。
(d)可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の両方が同じ光源より提供される。それゆえ、装置のサイズおよび電力消費は小さくなる。
(e)特に、可視レーザ光線は、深紫外線光とは異なり肉眼で見ることができるため、安全性の観点から有用である。
(f)細菌をすみやかに破壊し、細菌の蛍光を強く活性化させ、汚染された空気または水において強く吸収される紫外線レーザ波長の高い有効性。
(g)高速かつ効率的な扱いによる、極めて平行かつ堅く焦点の合ったレーザ光線を使用し、空中または水上の微生物から高い感知シグナルを取得する。
【0028】
本発明の一態様によれば、レーザ光源は紫外線光を提供し、可視光を出射するように構成された半導体レーザ装置と、単結晶薄膜を含む周波数倍化導波路とを備え、上記周波数倍化導波路は、上記半導体レーザ装置に光学的に連結され、そこから出射される可視光を受光し、受光した当該可視光の少なくとも一部を紫外線光に変換するように構成されており、上記周波数倍化導波路は、単結晶非線形光学材料を含む周波数倍化領域と、可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の波長を有する光に対して、実質的に透過性を有する材料を含む第1のクラッド領域と、支持基板とを備え、上記第1のクラッド領域は、上記支持基板と上記周波数倍化領域との間に配されている。
【0029】
本発明の一態様によれば、紫外線光を生成する周波数倍化導波路の製造方法であって、上記周波数倍化導波路は周波数倍化領域を含み、上記方法は、上記周波数倍化領域の面に、可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の波長を有する光に対して実質的に透過性を有する材料を含むクラッド領域を設ける工程と、基板に上記クラッド領域を設ける工程と、上記周波数倍化領域をラッピングおよび研磨し、単結晶非線形光学材料の薄膜を形成する工程と、上記薄膜をエッチングし、リッジ型導波路構造を形成する工程とを含む。
【0030】
本発明の一態様によれば、紫外線光を生成する周波数倍化導波路の製造方法であって、上記周波数倍化導波路は周波数倍化領域を含み、上記方法は、上記周波数倍化領域の面に、可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の波長を有する光に対して実質的に透過性を有する材料を含むクラッド領域を設ける工程と、基板に上記クラッド領域を設ける工程と、上記周波数倍化領域をラッピングおよび研磨し、単結晶非線形光学材料の薄膜を形成する工程と、上記基板、上記クラッド領域、および上記周波数倍化領域をダイシングし、平面導波路構造を形成する工程とを含む。
【0031】
上述の目的および関連する目的を達成するために、本発明は以下で十分に説明される特徴、特に、請求項に示される特徴を備えている。以下の説明および添付の図面は、本発明のある模範的な実施形態について詳細に説明している。しかしながら、これらの実施形態は示唆であり、さまざまな方法の少数において本発明の原理が採用されてもよい。本発明の他の目的、効果、および新しい特徴は、以下の本発明の詳細な説明から図面と併せて考慮したときに明白となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る装置および方法は、例えば、400nm以上560nm以下といった、より長い波長を有する半導体レーザダイオードを用いて、効率性の高い紫外線レーザ光を生成することを可能にする。このことは、レーザ光生成装置が、深紫外線光線と可視光線との両方を出射することを可能にする。特に、可視レーザ光線は深紫外線光とは異なり肉眼で見ることができるため、安全性の観点から有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る模範的な紫外線レーザの基本的な概念を示す図である。
【図2】周波数倍化導波路の模範的な製作工程を示す図である。
【図3】本発明に係る模範的な単結晶薄膜周波数倍化平面導波路を示す図である。
【図4】本発明に係る模範的な単結晶薄膜周波数倍化リッジ導波路を示すである。
【図5】本発明により同時に提供される実際のレーザ光出力の例である。
【図6】本発明に係る模範的な紫外線レーザの部材構成の平面図である。
【図7】本発明の一実施形態に用いられるBBO単結晶の方向を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る紫外線レーザの部材構成の側面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に用いられるBBO単結晶の方向を示す図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態に用いられるBBO単結晶の方向を示す図である。
【図11】本発明のさらに他の実施形態に用いられるBBO単結晶の方向を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る紫外線レーザの部材構成の平面図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る紫外線レーザの部材構成の平面図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る紫外線レーザの部材構成の平面図である。
【図15】本発明の実施形態に係る紫外線レーザの部材構成の平面図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る紫外線レーザの部材構成の平面図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る紫外線レーザの部材構成の平面図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る紫外線レーザの部材構成の平面図である。
【図19】可視半導体レーザより出射される光の異なる波長(λ)における好ましいθの近似値のリストである。
【図20】六角形単位格子の図式表現である。
【図21】六角形単位格子の方向を示す図式表現である。
【図22】BBOの六角形単位格子の原子の位置の図式表現である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に係る装置は少なくとも紫外線光のレーザ光源であり、可視光と紫外線光との両方を同時に提供することが望ましい。紫外線波長光は半導体レーザダイオードなどの半導体レーザ装置から出射される可視レーザ光を周波数倍化することにより提供される。周波数倍化は、単結晶薄膜周波数倍化導波路の形で非線形光学結晶を使用することにより達成される。半導体レーザは400〜560nmの範囲の波長λの可視光を出射する。半導体レーザは、一般的に、狭い範囲(例えば、波長の中心から±0.5nmの範囲)の光を出射するが、便宜上、以下では単波長λにおいて生じる出射について説明する。半導体レーザより出射される光は単結晶薄膜周波数倍化導波路へと光学的に繋がる。波長λの光の一部は、λ=λ/2の波長に周波数倍化された光に変換される。例えば、半導体レーザより出射される光が波長λ=450nmを持つ場合、周波数倍化された光は波長λ=225nmを有し、深紫外線となる。上記装置は半導体レーザから出射される光の一部と、周波数倍化された光の一部とを出射する。周波数倍化による紫外線光の出力は、0.01mW以上500mW以下の範囲とすることができる。
【0035】
図2は、本発明に係る適切な非線形光学単結晶から、単結晶薄膜周波数倍化導波路構造を製造する全ステップを示す。この例ではBBO(β‐BaB)単結晶が非線形光学単結晶として用いられている。しかしながら、400nm〜560nmの範囲の波長λを有し、半導体レーザダイオードより出射される光を強く吸収せず、200nm〜280nmの範囲の波長λ=λ/2に周波数倍化された光を強く吸収しないならば、他のあらゆる非線形光学単結晶が利用されてよい。他の非線形光学結晶の例は、フルオロホウ酸ベリリウム酸カリウム(KBeBO、KBBF)、四ホウ酸リチウム(Li、LB4)、四ホウ酸リチウムルビジウム(LiRbB、LRB4)、および、フッ化マグネシウムバリウム(MgBaF4)を含む。また、この一覧に含まれない他の非線形光学結晶を用いてもよい。他の方法として、波長λおよびλを有する光を強く吸収しないならば、単結晶から製造された、あるいは単結晶に蒸着された、疑似位相整合(QPM)周波数倍化材料を用いてもよい。例えば、QPMクォーツを使用してもよい。
【0036】
非線形光学単結晶から製造された導波路は、長い可干渉距離(少なくとも1nm、最も好ましくは、少なくとも20nm)による周波数倍化を提供できることが望ましい。周波数倍化のための上記可干渉距離Lは、
【0037】
【数1】

【0038】
に従って定義される。λは半導体レーザより出射される光の波長である。
【0039】
【数2】

【0040】
は、入射光(波長λ)が伝播する導波路モードの有効屈折率であり、また、
【0041】
【数3】

【0042】
は、周波数倍化された光(波長λ=λ/2)が伝播する導波路モードの有効屈折率である。周波数倍化のための可干渉距離は、周波数倍化導波路の長さよりも長いことが望ましい。本開示において、“位相整合された”という用語は、周波数倍化のための可干渉距離が、導波路の長さよりも長いという条件を言及するために用いられる。
【0043】
上記ステップは以下の通りである。
【0044】
(ステップ1)
9mm×9mm×0.5mmの典型的な寸法(あるいは、特定の用途において必要となるような別の寸法)を有する商業的に調達された単結晶BBOウエハー1は、単結晶の主面のうちの1つ(すなわち、9mm×9mmの2つの面のうちの1つ)において、鏡状の平面度(mirror−like flatness)に機械的にラッピングおよび研磨される。これは、第1の研磨面2について言及している。導波路の製造が完成したとき、半導体レーザダイオードより出射される光の位相整合による周波数倍化を該導波路が提供するように、第1の研磨面の方向が選択される。好適には、導波路の製造が完成したとき、位相整合された導波路における周波数倍化のための非線形係数が最大値となるように、第1の研磨面の方向が選択されることが好ましい。これは、半導体レーザダイオードより出射される光を周波数倍化するための非線形光学結晶から得られる。商業的に利用可能な、適切な方向、平坦さ、および滑らかさで研磨された面を有するウエハーを調達してもよい。BBOは少し吸湿性を有するため、乾燥条件において、保存、加工、および使用すべきである。BBOは比較的柔らかい物質であるため、引っかき傷とほこりから研磨面を保護するように注意する必要がある。
【0045】
(ステップ2)
次に、研磨工程で残ったあらゆる残骸を除去するため、研磨されたBBOウエハーが適切な無水有機溶剤を用いて洗浄される。この時点で、後の動作中に上記導波路に沿って伝播する光(すなわち、半導体レーザより出射される光(波長λ)および周波数倍化により生成された光(波長λ))に対して、透過性を有するか、あるいは実質的に透過性を有する第1のクラッド物質(あるいは、複数の物質)3により、BBOウエハーの第1の研磨面がコーティングされてもよい。可能性のあるクラッド物質の大部分は、深紫外線波長において高吸収を有するため、適切な物質を調達するときは、深紫外線レーザの波長λにおいて低吸収であることを検証すると共に、注意深く考慮すべきである。波長λおよびλを有する光に対する第1のクラッド物質の減衰係数(k)が0.05以下であるとき、第1のクラッド物質は、波長λおよびλを有する光に対して、透過性を有するか、あるいは実質的に透過性を有する。減衰係数(k)は、波長λおよびλを有する光に対して、0.02未満であることが望ましい。減衰係数は、光に対する物質の透過性を定量化するためのパラメータである。波長λを有し、上記物質を透過する光の強度(I)は、
【0046】
【数4】

【0047】
に従って変化する。ここで、xは、光が物質を介して伝播する距離である。また、Iは、x=0における光の強度である。また、各々の波長λおよびλにおいて、第1のクラッド物質は、同じ波長における非線形光学材料の屈折率よりも小さい屈折率(n)を有することが望ましい。BBOなどの複屈折の非線形光学結晶の場合、関連する非線形光学材料の各々の波長における屈折率は、完成した導波路において位相整合された方向に沿って伝播する光の屈折率であり、光の極性が考慮されている。波長λを有する光に対しk<0.02が生じる条件下で真空蒸着により蒸着されたフッ化マグネシウム(MgF)を第1のクラッド物質として選択することが好ましい。ただし、CaF、LaF、AlF、GaF、NOA88(ノーランドプロダクツ社(Norland Products Inc.)によって製造された)、CYTOP(アサヒガラス株式会社によって製造された)、およびフッ素重合体を含む他の適切な物質を選択してもよい。第1のクラッド物質3の厚さは少なくとも100nmであり、500nmであることが好ましい。
【0048】
(ステップ3)
次に、上記BBOウエハーは、接着層5を用いて、支持基板4(例えば、純溶融石英(PFS))に設けられる。予め、第1の研磨面において、第1のクラッド物質によりBBOウエハーがコーティングされている場合、上記第1の研磨面は結合面となる。第1のクラッド物質が予め適用されていない場合、後の動作中に上記導波路に沿って伝播する光(波長λおよびλ)に対して透過性を有するか、あるいは実質的に透過性を有する接着性クラッド物質5が第1の研磨面を上記支持基板に結合するために用いられる。そして、接着性クラッド物質5は、第1のクラッド物質となる。大部分の接着性を有する物質は、深紫外線波長において高吸収を有するため、深紫外線レーザの波長λにおいて低吸収であることを保証するために、特別に注意が必要である。波長λとλを有する光において、接着性クラッド物質は、0.05未満の減衰係数(k)を有し、0.02未満の減衰係数(k)を有することが望ましい。また、各々の波長λおよびλにおいて、第1のクラッド物質は、同じ波長における非線形光学材料の屈折率よりも小さい屈折率(n)を有することが望ましい。BBOなどの複屈折の非線形光学結晶の場合、関連する非線形光学材料の各々の波長における屈折率は、完成した導波路において位相整合された方向に沿って伝播する光の屈折率であり、光の極性が考慮されている。適切な接着材料の例としては、NOA88(ノーランドプロダクツ社によって製造された)、CYTOP(アサヒガラスCo.Ltd.によって製造された)、およびフッ素重合体である。接着硬化工程の間、適切な機械治具を用いて、BBOウエハーおよびPFS基板を互いに繋ぎ合わせることにより、接着の厚さがBBO表面全体に渡って均一であることを保証してもよい。基板の平面において、非線形光学結晶の熱膨張率にほぼ一致する熱膨張率を有するように、支持基板を選択してもよい。
【0049】
(ステップ4)
次に、結合したBBOウエハーの主面(露出したままである)は、機械的にラッピングおよび研磨され、該主面の全体の厚さ17は、0.5mmから40μm未満の薄膜の厚さへと減少する(図3および図4参照)。これは、第2の研磨面6について言及している。BBO薄膜の厚さは、第1の研磨面と第2の研磨面との間の距離である。BBO薄膜の厚さは、第1の研磨面の平面に対して垂直な距離に沿って測定される。ラッピングおよび研磨に用いる適切な装置の例としては、PP5研磨治具、およびPM5精密ラッピング研磨機があり、いずれも、ロジテックLtd.(UK)により製造されている。ガラスラッピング板、および、無水エチレングリコールに分散された9μmの酸化アルミニウム(AL)の研磨粒子を用いて、機械的なラッピング工程は実施できる。拡張ポリウレタン板(an expanded polyurethane plate)、および、無水エチレングリコールに分散された0.3μmの酸化アルミニウム(AL)の研磨粒子を用いて、機械的な研磨工程は実施できる。完成したBBO薄膜の厚さは1μmと10μmとの間であることが最も望ましい。ただし、40μm未満のあらゆる厚さが本発明の効果を奏する。機械的なラッピングおよび研磨は、低い周囲湿度の状況下で実施することにより、空気中の湿気に対するBBOの露出を最小限にするべきである。周囲の相対湿度は、30%未満であることが望ましい。さらに、ラッピングおよび研磨は、完全な無水状況の下で実施されることが望ましい。例えば、乾燥した窒素ガスの気体において実施される。結果として得られるBBO単結晶薄膜の厚さは、後の動作中、上記膜を通って光が伝播する方向に沿って、著しく変化してはならない。仮に、上記厚さが著しく変化した場合、周波数倍化のための可干渉距離が短くなり、薄膜導波路における周波数倍化の効率性は低下する。BBO単結晶薄膜の厚さは、後の動作中に光が上記導波路を通って伝播する方向に沿って、2μm未満しか変化しないことが望ましく、上記厚さは、この方向に沿って、0.1μm未満しか変化しないことが最も望ましい。
【0050】
(ステップ5)
次に、研磨工程で残ったあらゆる残骸を除去するため、適切な純無水有機溶剤を用いて第2の研磨面が洗浄される。この段階において、第2の研磨面の上に第2のクラッド物質7を蒸着してもよい。上記第1のクラッド物質の選択の際に説明したように、波長λおよびλを有する光に対して透過性を有するか、あるいはほぼ透過性を有するという同様の必要条件を第2のクラッド物質も満たすべきである。また、上記第1のクラッド物質において説明したように、波長λおよびλにおける屈折率(n)に関する同様の必要条件を第2のクラッド物質も満たすことが望ましい。MGFが第2のクラッド物質として選択されることが望ましいが、上記第1のクラッド物質の可能性のある選択として一覧として挙げた物質を含む、他の適切な物質が選択されてもよい。第2のクラッド物質は、後の取り扱いおよび加工において空気中に含まれる湿気により生じる損害から、BBO単結晶薄膜を保護することができる。
【0051】
ここで、上記BBO単結晶薄膜は、周波数倍化平面導波路(図3に概略的に示されている、下記のステップ6から7)、あるいは、周波数倍化リッジ導波路(図4で概略的に示されている、下記のステップ8から11)のいずれかを形成するために加工することができる。
【0052】
(ステップ6)
ここで、周波数倍化平面導波路の製造において、光が上記導波路の中へと繋がり、上記導波路から外へと繋がるようにするために、上記単結晶薄膜の端面においてファセットが研磨される。半導体レーザダイオードからの光(波長λ)が上記導波路の中へと繋がるように、入射ファセット8は研磨される。波長λを有する光と波長λに周波数倍化された光とが上記導波路の外へと繋がるように、出射ファセット9は研磨される。位相整合による周波数倍化を提供する上記薄膜の平面の方向に沿って光が伝播するように、半導体レーザダイオードからの光が周波数倍化平面導波路に繋がることができるようにする方向で、上記ファセットは研磨される。例えば、上記ファセットの平面に垂直な方向が位相整合された方向にほぼ平行となるように、入射ファセットおよび出射ファセットが研磨されてもよい。位相整合された方向に沿って測られる入射ファセットと出射ファセットとの間の距離は、薄膜平面導波路の長さ18(図3)を定義する。拡張ポリウレタン研磨板、および、無水エチレングリコールに分散した0.3μmの酸化アルミニウム(Al)研磨材を用いて、入射ファセットおよび出射ファセットが研磨されてもよい。任意で、一方あるいは両方の研磨された端面のファセットは、反射防止コーティングを用いてコーティングすることができる。入射ファセットへの反射防止コーティングは、半導体レーザダイオードから導波路への波長λの光の伝送を増加させるために設計される。出射ファセットのコーティングは、導波路から外への波長λの周波数倍化された光の伝送を増加させるために設計される。関連する波長(例えば、“4分の1波長”コーティング)の伝送を最大化するように調整された厚さで蒸着されたMgF2の単層は、適切な反射防止コーティングの一例である。
【0053】
(ステップ7)
最後に、上記ウエハーは、複数の薄膜周波数倍化平面導波路の部材10へとダイシングされる。部材10の各々は、紫外線レーザ装置における使用に適している。
【0054】
周波数倍化平面導波路よりも、周波数倍化リッジ型導波路を形成する方が望ましい。周波数倍化リッジ型導波路の製造ステップでは、ステップ6および7は実施されず、その代りとして、ステップ8から11が実施される。リッジ11の幾何学的構造は図4に示されている。半導体レーザダイオードからの光はリッジの中に制限される。そして、完成後の装置の動作中は、該光は上記リッジの方向に沿って伝播する。それゆえ、波長λ=λ/2に周波数倍化された光を生成するために、位相整合による周波数倍化を提供する上記薄膜の方向に沿って、半導体レーザダイオードからの光(波長λ)が伝播するように、リッジの方向が選択される。さらに、図4を参照すると、第2の研磨面の平面に垂直な方向に沿ったリッジの高さ20が測定される。高さの方向に垂直な方向であって、かつ、リッジが伸びる方向に垂直な方向に沿ったリッジの幅21が測定される。20μm未満であって、少なくとも0.1μmとしてリッジの高さは選択される。上記高さは、0.5μm〜3μmの範囲であることが望ましい。40μm未満であって、少なくとも1μmとしてリッジの幅は選択される。上記幅は、4μm〜10μmの範囲であることが望ましい。
【0055】
上記BBOの最上部の表面においてリッジ11を提供するために利用できるいくつかの異なる方法が存在する。この方法の例をステップ8で説明する。
【0056】
(ステップ8)
上記BBOの表面に、PMMAの薄膜(例えば、厚さ60nm)が蒸着される。フォトレジスト(例えば、AZ5214E)がPMMA層に蒸着される。標準的な光学リゾグラフィーおよびエッチングを用いて上記フォトレジストはパターニングされ、フォトレジスト/PMMA二重層は完全に除去される。ここでは、上記BBOのリッジが必要となる。次に、最上部の表面に100nm以上の厚さでエッチマスク物質が蒸着される。上記で説明したように、第1のクラッド物質の選択の際に、波長λおよびλを有する光に対して透過性を有するか、あるいはほぼ透過性を有するという同様の必要条件を、上記エッチマスク物質も満たすことが望ましい。また、上記で説明したように、第1のクラッド物質に関する、波長λおよびλにおける屈折率(n)に関する同様の必要条件を、上記エッチマスク物質も満たすことが望ましい。真空蒸着により蒸着されるMGFは、上記エッチマスク物質の望ましい選択である。その後、PMMA/フォトレジスト二重層を除去するために、例えばアセトンを用いた溶媒のリフトオフ処理が実施され、それにより、エッチマスク物質の縞模様が上記BBOの表面に残る。その後、BBOのリッジが、目標のリッジの高さとなるまで、BBOにおけるエッチマスク物質の上記縞模様間の領域を除去するために、例えばアルゴンイオンプラズマエッチングのような乾燥エッチング処理が実施される。ここで、任意で、エッチング処理を用いて、リッジの表面からエッチマスク物質を除去してもよい。エッチマスク物質を除去した後、結果として得られるリッジ型構造は、図4に示される。
【0057】
(ステップ9)
この段階で、第3のクラッド物質12を上記ウエハーの最上部に蒸着することにより、乾燥エッチング工程において露出したエッチングされた表面、およびリッジの側壁の両方をコーティングしてもよい。第1のクラッド物質の選択の際に上記で説明したように、波長λおよびλを有する光に対して透過性を有するか、あるいはほぼ透過性を有するという同様の必要条件を上記第3のクラッド物質も満たすべきである。また、上記で説明したように、第1のクラッド物質に関して、波長λおよびλにおける屈折率(n)に関する同様の必要条件を上記第3のクラッド物質も満たすことが好ましい。MGFは、上記第3のクラッド物質の望ましい選択である。第3のクラッド物質は、後の上記導波路の取り扱い、加工、および、動作の間、空気中に含まれる水分により生じる損傷から、BBO単結晶薄膜を保護することができる。また、第3のクラッド物質は、上記リッジ導波路に沿って伝播する光に対する分散損失を減少させることができる。
【0058】
(ステップ10)
次に、光がリッジ導波路へと繋がり、リッジ導波路から外へと繋がるように、エッチングされた単結晶薄膜の端面においてファセットが研磨される。入射ファセット8は、半導体レーザダイオードからの光(波長λ)がリッジ導波路へと繋がるように研磨される。出射ファセット9は、波長λを有する光および波長λに周波数倍化された光がリッジ導波路から外へと繋がるように研磨される。光がリッジ導波路に沿って伝播するように、半導体レーザダイオードからの光が周波数倍化リッジ導波路に繋がることができるようにする方向で、ファセットは研磨される。例えば、ファセットの平面に垂直な方向がリッジの方向にほぼ平行となるように、入射ファセットおよび出射ファセットが研磨されてもよい。リッジの方向に沿って測られる入射ファセットと出射ファセットとの間の距離は、薄膜リッジ導波路の長さ18を定義する。拡張ポリウレタン研磨板、および、無水エチレン・グリコールに分散した酸化アルミニウム(Al)研磨剤を用いて、入射ファセットおよび出射ファセットが研磨されてもよい。任意で、一方あるいは両方の研磨された端面のファセットは、反射防止コーティングを用いてコーティングすることができる。入射ファセットへの反射防止コーティングは、半導体レーザダイオードから導波路への波長λの光の伝送を増加させるために設計される。出射ファセットのコーティングは、導波路から外へと繋がる波長λの周波数倍化した光の伝送を増加させるために設計される。関連する波長(例えば、“4分の1波長”コーティング)の伝送を最大化するように調整された厚さに蒸着されたMgF2の単層は、適切な反射防止コーティングの一例である。
【0059】
(ステップ11)
最後に、上記ウエハーは複数の薄膜周波数倍化リッジ導波路の部材13へとダイシングされる。部材13の各々は、紫外線レーザ装置における使用に適している。
【0060】
半導体レーザより出射される波長λの光は、平面導波路10またはリッジ導波路13の入射ファセット8へと繋がり、この入射光は、導波モードにおいて、位相整合による光の周波数倍化を提供する非線形光学材料を通って伝播する。平面導波路の場合、第1の研磨面と第2の研磨面との間であって、かつ入射ファセットと出射ファセットとの間の非線形光学材料は、導波路の周波数倍化領域を構成する。リッジ導波路の場合、第1の研磨面とエッチングされたリッジとの間であって、かつ入射ファセットと出射ファセットとの間の非線形光学材料は、導波路の周波数倍化領域を構成する。リッジ導波路の導波モードに沿って伝播する光は、入射ファセットと出射ファセットとの間を通り抜け、この領域は導波路の周波数倍化領域を構成するため、当該光は、リッジの真下およびリッジの近傍に制限される。
【0061】
単結晶薄膜周波数倍化導波路は、入射光の一部を、周波数倍化により、波長λ=λ/2を有する紫外線光へと変換する。波長λおよびλを有する光は導波路を通過し、出射ファセット9を介して導波路から外へと繋がる。
【0062】
図5のプロットは、本発明の一実施形態に従って製造された深紫外線レーザ装置から出射される光のスペクトルを示す。図5の(a)のプロットは、半導体レーザより出射される可視光(λ≒416nm)のスペクトルを示し、図5の(b)のプロットは、周波数倍化した紫外線光(λ≒208nm)のスペクトルを示す。
【0063】
本発明は、先行技術を上回る複数の利点を提供する。単結晶薄膜周波数倍化導波路と共に、可視光を出射する半導体レーザを使用することは、低コストかつ小サイズの深紫外線レーザ光源を提供する。大量の単結晶と共に開始するラッピングおよび研磨の工程を利用する、1種類以上の低吸収損失の材料で覆われた単結晶薄膜周波数倍化導波路の製造は、深紫外線光の生成に高効率かつ高品質な単結晶導波路への手段を提供する。特に、イオン注入を利用する周波数倍化導波路の製造に関する不利な点は、低吸収クラッド層を使用することなく解消される。上記深紫外線光は、水銀ランプあるいはLEDなどの既存の低コストな深紫外線光源とは異なり、小さな点に焦点を合わせることができ、平行ビームであり得る。
【0064】
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。図6に示すレーザ装置24は、400nm〜560nmの範囲の波長λを有する可視レーザ光を生成する半導体レーザダイオード14を備え、該可視レーザ光は、単結晶薄膜リッジ導波路構造15の形で周波数を倍化するBBOの結晶へと繋がっている。λは410nm以上460nm以下の範囲であることが望ましい。半導体レーザ14から出射された光を集光して該光の焦点を導波路15に合わせる1枚以上のレンズ16が用いられ、光は半導体レーザ14から導波路22へと繋がっている。導波路に入光する光の支配的な極性は、BBO結晶(例えば、単結晶非線形光学材料)と第1のクラッド層との間の接触面に垂直な電界を有することが望ましい。半導体レーザダイオードからの可視光の一部は、導波路の内部で周波数倍化され、波長λ=λ/2を有する光を生成する。可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の両方は、周波数倍化導波路構造から同時に出射される。
【0065】
BBO単結晶薄膜周波数倍化リッジ導波路は、上記ステップ1から4、および8から11で説明される製造方法に従って製造される。上記の説明では、具体的な詳細はまだ明らかとなっていないため、以下に示す。
【0066】
ステップ1では、典型的な寸法である9mm×9mm×0.5mm(または、特定の実行の必要性に応じた他の寸法)を有する単結晶BBOのx断片ウエハー1が非線形光学単結晶として使用される。x断片BBOウエハーは、それらの主面(すなわち、9mm×9mmの面)に垂直な方向から5度未満のBBO<2−1−10>結晶方向を有し、上記主面の平面に位置するBBO[0001]結晶方向を有する。第1の研磨面2の平面は、BBO結晶の{−12−10}格子面に並行な面から5度未満離れている(0度が望ましい)。結晶方向と、BBOウエハー1の第1の研磨面2との間の近似的関係を図7に示す。商業化が可能なBBOウエハーは、既に十分な平面度および滑らかさに研磨された{−12−10}平面を用いて調達してもよい。
【0067】
本明細書では、ここで説明される先行技術で用いられる慣習に従い、BBOの結晶方向が記述される。BBO結晶の構造は、先行技術(例えば、国際回折データセンター(International Centre for Diffraction Data)の粉末回折ファイル(Powder Diffraction File)01−080−1489を参照)で公知の六角形単位格子を用いて説明することができる。六角形単位格子の辺は、同一平面上にある2つの軸a、a、およびcにより記述され、aとaの角度は互いに対して120度である。第3の軸cは、aおよびaを含む平面に垂直な方向に沿っている。単位格子の辺の長さは、格子定数としてもまた知られ、aおよびaの軸、並びに、軸cに沿うcの両方に従う。六角形単位格子の図式表現は、図20に示される。
【0068】
“X線回折要論(Elements of X-ray Diffraction)”の第3版(B.D.CullityおよびS.R.Stock)で説明されているように、六角形単位格子における結晶方向は、4つの指数のベクトル表記[UVJW]を用いて記述できる。この表記法において、Uは上記基底ベクトルaの倍数係数(a multiple)であって、Vは上記基底ベクトルaの倍数係数であって、Jは上記基底ベクトルaの倍数係数であって、Wは上記基底ベクトルcの倍数係数である。したがって、表記“[UVJW]”はベクトルの方向Ua+Va+Ja+Wcを言及する。基底ベクトルaはa=−(a+a)として定義される。表記“[UVJW]”は、結晶内の方向を言及する。表記“<UVJW>”は、方向[UVJW]を言及するか、あるいは、方向[UVJW]と対称的に等しい他の方向を言及する。これは、六角形結晶構造の対称性によるものである。
【0069】
例えば、軸aに平行な結晶方向は、U=2、V=−1、J=−1、およびW=0、等価には、表記[2−1−10]と記述できる。[2−1−10]と対称的に等しい他の結晶方向が存在する。上記他の方向は、[11−20]、[−12−10]、[−2110]、[−1−120]、および[1−210]を含む。表記<2−1−10>は、上記方向[2−1−10]、[11−20]、[−12−10]、[−2110]、[−1−120]、および[1−210]のいずれかを言及する。
【0070】
第2の例としては、軸cに平行な方向は、U=0、V=0、J=0、およびW=1、等価には、表記[0001]と記述できる。表記<0001>は、方向[0001]または[000−1]のいずれかを言及する。
【0071】
第3の例としては、<0001>方向と<2−1−10>方向との両方に対する角度90°における方向は、U=0、V=1、J=−1、およびW=0、等価には、表記[01−10]と記述できる。[01−10]方向と対称的に等しい他の方向が単位格子において存在する。上記他の方向は、[−1100]、[−1010]、[0−110]、[1−100]、および[10−10]を含む。表記<01−10>は、[01−10]、[−1100]、[−1010]、[0−110]、[1−100]、および[10−10]のいずれかに言及する。
【0072】
<0001>方向から見た六角形単位格子の方向を示す図式表現が図21に示される。
【0073】
六角形単位格子の格子面は、当業者に知られている4つの指数、ミラーブラヴェ指数の表記(hkil)を用いて記述できる(例えば、“X線回折要論(Elements of X-ray Diffraction)”の第3版(B.D.CullityおよびS.R.Stock)参照)。ミラーブラヴェ指数h、k、i、およびlを用いた表記“(hkil)”は結晶の平面の方向を言及する。表記“{hkil}”は、平面(hkil)に対称的に等しい結晶の平面の方向を言及する。例えば、表記“{−12−10}”は、ミラーブラヴェ指数h=−1、k=2、i=−1、およびl=0と共に、平面に対称的に等しい平面の方向を言及する。上記対称的に等しい平面は、(2−1−10)、(11−20)、(−12−10)、(−2110)、(−1−120)、および(1−210)を含む。第2の例としては、表記“{1−100}”は、ミラーブラヴェ指数h=1、k=−1、i=0、およびl=0と共に、平面に対称的に等しい平面の方向に言及する。上記対称的に等価な平面は、(01−10)、(−1100)、(−1010)、(0−110)、(1−100)、および(10−10)を含む。
【0074】
BBO結晶構造の六角形単位格子は、室内温度において格子定数a≒12.53Åおよびc≒12.73Åを有する。図22は、BBOの六角形単位格子における原子の位置の図式表現を示す。この図は、<0001>方向から見た単位格子を示している。単一の単位格子に投影されたバリウム原子、ホウ素原子、および酸素原子の位置を円、四角形、および三角形としてそれぞれ示している。図22に示される原子の位置は近似的なものである。<2−1−10>方向などのBBO結晶方向は、X線回折測定により決定される。
【0075】
ステップ2では、真空蒸着により300nmの厚さに蒸着されたMgF層が第1のクラッド層3として使用される。MgFの減衰係数(k)および屈折率(n)が上記ステップ2で説明された条件を満たすことが保証されるように、MgFの蒸着条件は選択される。
【0076】
ステップ3では、10mm×10mm×1mmの寸法を有する紫外線溶融石英の支持基板4に、第1のクラッド層の表面が設けられる。NOA88(ノーランドプロダクツ社によって製造された)が接着層5として用いられる。接着層の厚さは、約2μmであることが望ましい。
【0077】
ステップ4では、BBO単結晶の厚さ17はラッピングおよび研磨を用いて40μm未満に減少する。厚さは10μm未満であることが望ましく、厚さは約4μmであることが最も望ましい。続く動作の間、導波路を通って光が伝播する方向に沿って、BBO単結晶薄膜の厚さが0.1μm未満で変化することが望ましい。
【0078】
ステップ8では、300nmの厚さを有するMgF層が、エッチマスクの材料として使用される。MgFの減衰係数(k)および屈折率(n)が上記ステップ2で説明された条件を満たすことが保証されるように、MgFの蒸着条件は選択される。誘導結合プラズマエッチング機器において、アルゴンイオンを用いてBBOはエッチングされる。リッジの幅は40μm未満である。リッジの幅は10μm未満であることが望ましく、リッジの幅は約4μmであることが最も望ましい。リッジの高さは少なくとも0.5μmであって、0.5μm以上3μm以下の範囲であることが望ましく、約2μmであることが最も望ましい。半導体レーザダイオードより出射され、得られるリッジ導波路光を通って伝播する光において、位相整合が満たされるようにリッジの方向が選択される。リッジとBBO結晶の[0001]方向との間の角度(θ)は、半導体レーザダイオードの波長に依存する。図19は、半導体レーザダイオードより出射される光の可能な波長(λ)に対するθの近似値の説明に優れた例のリストを提供する。半導体レーザダイオードのあらゆる波長λ(nmで測定される)に対する好ましいθの値(度で測定される)を計算するために、近似的な現象式(phenomenological equation)が用いられてもよい。上記近似的な現象式を以下に示す。
【0079】
【数5】

【0080】
ここで、λが410nm≦λ<411nmである場合、a=0、a=0.188102808664553、a=−309.194840804581、a=190590.522011723、a=−52214207.6963821、a=5364240308.25265である。
【0081】
また、λが411nm≦λ1≦440nmである場合、a=−0.000001760705106、a=0.00377476277753、a=−3.23698468941742、a=1387.88016707932、a=−297527.230809678、a=25512902.6041867である。
【0082】
また、λが440nm<λ≦560nmである場合、a=−0.000000000333886、a=0.000000873625719、a=−0.000916331528884、a=0.482130839856291、a=−127.52288219078、a=13654.8448727922である。
【0083】
リッジとBBO結晶の[0001]方向との間の角度は、図19にリスト化されているθの値から3度以内であるか、あるいは、波長λを有する光の位相整合を得るために現象式を用いて計算されることが好ましい。これらの値はリッジの方向の目安を提供するが、明確な必要条件は、リッジの方向が半導体レーザダイオードから出射される光の位相整合を提供するべきであるということであって、リッジの角度はこれらの例の値とは異なっていてもよい。BBO結晶の[0001]方向の方向は、X線回折により決定することができる。
【0084】
ステップ9では、200nmの厚さを有するMgF層が第3のクラッド物質12として使用される。MgFの減衰係数(k)および屈折率(n)が上記ステップ2で説明された条件を満たすことが保証されるように、MgFの蒸着条件は選択される。
【0085】
ステップ10では、リッジの方向に対してあらゆる方向で入射ファセット8および出射ファセット9が研磨される。上記ファセットは、リッジの方向にほぼ垂直であることが望ましい。
【0086】
ステップ11では、個々の導波路部材の幅19は、0.2mmと5mmとの間であり、約1mmであることが望ましい。
【0087】
(実施形態2)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。図8に示すレーザ装置24は、400nm〜560nmの範囲の波長λを有する可視レーザ光を生成する半導体レーザダイオード14を備え、該可視レーザ光は、単結晶薄膜平面導波路構造22の形で周波数を倍化するBBOの結晶へと繋がっている。λは410nm以上460nm以下の範囲であることが望ましい。半導体レーザ14から出射された光を集光して該光の焦点を導波路22に合わせる1枚以上のレンズ23が用いられ、光は半導体レーザ14から導波路22へと繋がっている。導波路に入光する光の支配的な極性は、BBO結晶(例えば、単結晶非線形光学材料)と第1のクラッド層との間の接触面に垂直な電界を有することが望ましい。半導体レーザダイオードからの可視光の一部は、導波路の内部で周波数倍化され、波長λ=λ/2を有する光を生成する。可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の両方は、周波数倍化導波路構造から同時に出射される。
【0088】
BBO単結晶薄膜周波数倍化平面導波路は、上記ステップ1から7で説明される製造方法に従って製造される。上記の説明では、具体的な詳細は既に明らかとなっていないため、具体的な詳細を以下に示す。
【0089】
ステップ1では、典型的な寸法である9mm×9mm×0.5mm(または、特定の実行の必要性に応じた他の寸法)を有する単結晶BBOのx断片ウエハー1が非線形光学単結晶として使用される。x断片BBOウエハーは、それらの主面(すなわち、9mm×9mmの面)に垂直な方向から5度未満のBBO<2−1−10>結晶方向を有し、上記主面の平面に位置するBBO[0001]結晶方向を有する。第1の研磨面2の平面は、BBO結晶の{−12−10}格子面に並行な面から5度未満離れている(0度が望ましい)。結晶方向と、BBOウエハー1の第1の研磨面2との間の近似的関係を図7に示す。商業化が可能なBBOウエハーは、既に十分な平面度および滑らかさに研磨された{−12−10}平面を用いて調達してもよい。
【0090】
ステップ2では、真空蒸着により300nmの厚さに蒸着されたMgF層が第1のクラッド層3として使用される。MgFの減衰係数(k)および屈折率(n)が上記ステップ2で説明された条件を満たすことが保証されるように、MgFの蒸着条件は選択される。
【0091】
ステップ3では、10mm×10mm×1mmの寸法を有する紫外線溶融石英の支持基板4に、第1のクラッド層の表面が設けられる。NOA88(ノーランドプロダクツ社によって製造された)が接着層5として用いられる。接着層の厚さは、約2μmであることが望ましい。
【0092】
ステップ4では、BBO単結晶の厚さ17はラッピングおよび研磨を用いて40μm未満に減少する。厚さは10μm未満であることが望ましく、厚さは約4μmであることが最も望ましい。続く動作の間、導波路を通って光が伝播する方向に沿って、BBO単結晶薄膜の厚さが0.1μm未満で変化することが望ましい。上記各ステップの結果、単結晶非線形光学材料が有する40μm未満の厚さに沿った方向は、<2−1−10>BBO結晶方向から離れて5°未満に位置する。
【0093】
ステップ5では、真空蒸着により蒸着された200nmの厚さのMGF層が、第2のクラッド層7として用いられる。MgFの減衰係数(k)および屈折率(n)が上記ステップ2で説明された条件を満たすことが保証されるように、MGFの蒸着条件は選択される。
【0094】
ステップ6では、入射ファセット8および出射ファセット9があらゆる方向で研磨される。上記ファセットは、半導体レーザダイオードから出射される光の位相整合による周波数倍化を提供する平面導波路を通る伝播の方向にほぼ垂直に研磨されることが望ましい。位相整合される方向と、BBO結晶の[0001]方向との間の角度(θ)は、半導体レーザダイオードの波長に依存する。図19は、半導体レーザダイオードより出射される光の可能な波長(λ)に対するθの近似値の説明に優れた例のリストを提供する。好ましいθの値を計算するために、実施形態1で与えられた近似的な現象式が用いられてもよい。位相整合される方向とBBO結晶の[0001]方向との間の角度は、図19にリスト化されているθの値から3度以内であるか、あるいは、現象式を用いて計算されることが好ましい。これらの値は位相整合される方向の目安を提供するが、実際の角度は異なっていてもよい。
【0095】
ステップ7では、個々の導波路部材の幅19は、0.2mmと5mmとの間であり、約1mmであることが好ましい。
【0096】
(実施形態3)
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。上記レーザ装置は、導波路製造におけるステップ1で用いられるBBOウエハーの方向以外は、実施形態1で説明したものと同じものである。本実施形態では、典型的な寸法である9mm×9mm×0.5mm(または、特定の実行の必要性に応じた他の寸法)を有する単結晶BBOウエハー1が、非線形光学単結晶として使用される。上記BBOウエハーは、その主面(すなわち、9mm×9mmの面)に垂直な方向から5度未満のBBO<01−10>結晶方向を有し、上記主面の平面に位置するBBO[0001]結晶方向を有する。第1の研磨面2の平面は、BBO結晶の{1−100}格子面に並行な面から5度未満離れている(0度が望ましい)。結晶方向と、BBOウエハー1の第1の研磨面2との間の近似的関係を図9に示す。商業化が可能なBBOウエハーは、既に十分な平面度および滑らかさに研磨された{1−100}平面を用いて調達してもよい。リッジ導波路の残りの製造プロセスは、第1の実施形態で説明したものと同じである。
【0097】
(実施形態4)
以下、本発明の第4の実施形態について説明する。図6に示すレーザ装置24は、400nm〜560nmの範囲の波長λを有する可視レーザ光を生成する半導体レーザダイオード14を備え、該可視レーザ光は、単結晶薄膜リッジ導波路構造15の形で周波数を倍化するBBOの結晶へと繋がっている。λは410nm以上460nm以下の範囲であることが望ましい。半導体レーザ14から出射された光を集光して該光の焦点を導波路15に合わせる1枚以上のレンズ16が用いられ、光は半導体レーザ14から導波路22へと繋がっている。導波路に入光する光の支配的な極性は、BBO結晶(例えば、単結晶非線形光学材料)と第1のクラッド層との間の接触面に平行な電界を有することが望ましい。半導体レーザダイオードからの可視光の一部は、導波路の内部で周波数倍化され、波長λ=λ/2を有する光を生成する。可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の両方は、周波数倍化導波路構造から同時に出射される。
【0098】
上記BBO単結晶薄膜周波数倍化リッジ導波路は、ステップ1で用いられるBBO結晶の方向およびステップ8におけるリッジの方向を除き、実施形態1で説明した上記BBO単結晶薄膜周波数倍化リッジ導波路と同様にして製造される。
【0099】
ステップ1では、典型的な寸法である9mm×9mm×0.5mm(または、特定の実行の必要性に応じた他の寸法)を有する単結晶BBOウエハー1が非線形光学単結晶として使用される。BBOウエハーの第1の研磨面2の平面に垂直な方向25は、BBO結晶の[0001]方向から角度α=(90−θ)°の3度以下である。BBOウエハーの第1の研磨面2の平面に垂直な方向25は、BBO結晶の<2−1−10>方向に垂直な方向から5度以下であることが好ましい。この好ましい場合における、上記結晶方向とBBOウエハーの第1の研磨面2との間の関係を図10に示す。あるいは、BBOウエハーの第1の研磨面2の平面に垂直な方向25は、BBO結晶の<01−10>方向に垂直な方向から5度以下であってもよい。この場合における、上記結晶方向とBBOウエハーの第1の研磨面2との間の関係を図11に示す。これら2つの具体例(すなわち、図10および図11)が与えられたが、本実施形態では、BBOウエハーの第1の研磨面の平面に垂直な方向が、BBO結晶の[0001]方向から角度α=(90−θ)°の3度以下であるという条件で、あらゆる方向が使用されてもよい。
【0100】
結果として得られるリッジ導波路が、半導体レーザダイオードより出射される光を位相整合により周波数倍化するように、θの値は選択される。θの値は、半導体レーザより出射される光の波長に依存する。図19は、半導体レーザダイオードより出射される光の可能な波長(λ)に対するθの近似値の説明に優れた例のリストを示す。好ましいθの値を計算するために、実施形態1で与えられた近似的な現象式が用いられてもよい。これらの値は研磨面の方向の目安を提供するが、明確な必要条件は、得られるリッジ導波路が位相整合による周波数倍化を提供するということのみであって、θの値はこれらの例の値とは異なっていてもよい。
【0101】
ステップ8では、得られるリッジ導波路を通って伝播する半導体レーザより出射される光に対して、位相整合により周波数倍化が行われるように、リッジの方向が選択される。第1の研磨面の平面に垂直な方向と、BBO結晶の[0001]方向との両方を含む平面と、第1の研磨面の平面との交差線によって定義される方向から、リッジの方向は2度以下であることが好ましい。図10および11におけるBBO方向の例の場合、この方向26が表記されている。
【0102】
(実施形態5)
以下、本発明の第5の実施形態について説明する。図8に示すレーザ装置24は、400nm〜560nmの範囲の波長λを有する可視レーザ光を生成する半導体レーザダイオード14を備え、該可視レーザ光は、単結晶薄膜平面導波路構造22の形で周波数を倍化するBBOの結晶へと繋がっている。λは410nm以上460nm以下の範囲であることが望ましい。半導体レーザ14から出射された光を集光して該光の焦点を導波路22に合わせる1枚以上のレンズ23が用いられ、光は半導体レーザ14から導波路22へと繋がっている。導波路に入光する光の支配的な極性は、BBO結晶(例えば、単結晶非線形光学材料)と第1のクラッド層との間の接触面に平行な電界を有することが望ましい。半導体レーザダイオードからの可視光の一部は、導波路の内部で周波数倍化され、波長λ=λ/2を有する光を生成する。可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の両方は、周波数倍化導波路構造から同時に出射される。
【0103】
上記BBO単結晶薄膜周波数倍化平面導波路は、ステップ1で用いられるBBO結晶の方向、および、ステップ6における研磨されるファセットの方向を除き、実施形態2で説明した上記BBO単結晶薄膜周波数倍化平面導波路と同様にして製造される。
【0104】
ステップ1では、典型的な寸法である9mm×9mm×0.5mm(または、特定の実行の必要性に応じた他の寸法)を有する単結晶BBOウエハー1が非線形光学単結晶として使用される。BBOウエハーの第1の研磨面2の平面に垂直な方向25は、BBO結晶の[0001]方向から角度α=(90−θ)°の3度以下である。BBOウエハーの第1の研磨面2の平面に垂直な方向25は、BBO結晶の<2−1−10>方向に垂直な方向から5度以下であることが好ましい。この好ましい場合における、上記結晶方向とBBOウエハーの第1の研磨面2との間の関係を図10に示す。あるいは、BBOウエハーの第1の研磨面2の平面に垂直な方向25は、BBO結晶の<01−10>方向に垂直な方向から5度以下であってもよい。この場合における、上記結晶方向とBBOウエハーの第1の研磨面2との間の関係を図11に示す。これら2つの具体例が与えられたが、本実施形態では、BBOウエハーの第1の研磨面の平面に垂直な方向が、BBO結晶の[0001]方向から角度α=(90−θ)°の3度以下であるという条件で、あらゆる方向が使用されてもよい。
【0105】
結果として得られる平面導波路が、半導体レーザより出射される光を位相整合により周波数倍化するように、θの値は選択される。θの値は、半導体レーザダイオードより出射される光の波長に依存する。図19は、半導体レーザダイオードより出射される光の可能な波長(λ)に対するθの近似値の説明に優れた例のリストを示す。好ましいθの値を計算するために、実施形態1で与えられた近似的な現象式が用いられてもよい。
【0106】
これらの値は研磨面の方向の目安を提供するが、明確な必要条件は、得られる平面導波路が位相整合による周波数倍化を提供するということのみであって、θの値はこれらの例の値とは異なっていてもよい。
【0107】
ステップ6では、入射ファセット8および出射ファセット9があらゆる方向で研磨される。上記ファセットは、半導体レーザダイオードから出射される光の位相整合による周波数倍化を提供する平面導波路を通る伝播の方向にほぼ垂直に研磨されることが望ましい。第1の研磨面の平面に垂直な方向と、BBO結晶の[0001]方向との両方を含む平面と、第1の研磨面の平面との交差線によって定義される方向から、平面導波路を通る伝播の方向は2度以下であることが好ましい。図10および11におけるBBO方向の例の場合、この方向26が表記されている。
【0108】
(実施形態6)
以下、本発明の第6の実施形態について説明する。図12に示すレーザ装置24は、400nm〜560nmの範囲の波長λを有する可視レーザ光を生成する半導体レーザ14を備え、該可視レーザ光は、単結晶薄膜リッジ導波路構造15の形で周波数を倍化するBBOの結晶へと繋がっている。λは410nm以上460nm以下の範囲であることが望ましい。
【0109】
導波路の入射ファセットに極めて近い、あるいは接触している半導体レーザの出力ファセットの配置を通って、上記光は半導体レーザダイオード14から導波路15へと直接繋がる。これを、“近接連結(proximity−coupled)された”装置と称する。近接連結された構造の利点は、半導体レーザから導波路へと光を伝えるレンズを必要としないことである。
【0110】
リッジ導波路の構造および製造は、実施形態1で説明したものと同じである。導波路に入光する光の支配的な極性は、BBO結晶(例えば、単結晶非線形光学材料)と第1のクラッド層との間の接触面に垂直な電界を有することが望ましい。半導体レーザダイオードからの可視光の一部は、導波路の内部で周波数倍化され、波長λ=λ/2を有する光を生成する。可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の両方は、周波数倍化導波路構造から同時に出射される。
【0111】
(実施形態7)
以下、本発明の第7の実施形態について説明する。図12に示すレーザ装置24は、400nm〜560nmの範囲の波長λを有する可視レーザ光を生成する半導体レーザダイオード14を備え、該可視レーザ光は、単結晶薄膜リッジ導波路構造15の形で周波数を倍化するBBOの結晶へと繋がっている。λは410nm以上460nm以下の範囲であることが望ましい。
【0112】
導波路の入射ファセットに極めて近い、あるいは接触している半導体レーザの出力ファセットの配置を通って、上記光は半導体レーザ14から導波路15へと直接繋がる。これを、近接連結された装置と称する。
【0113】
リッジ導波路の構造および製造は、実施形態4で説明したものと同じである。導波路に入光する光の支配的な極性は、BBO結晶(例えば、単結晶非線形光学材料)と第1のクラッド層との間の接触面に平行な電界を有することが望ましい。この構造は、基板の平面に平行な支配的な極性を有する光を出射する半導体レーザ(すなわち、横電場、あるいはTE(transverse electric)のモードを出射する半導体レーザ)に対する、単純かつ低コストな近接連結を可能にする。半導体レーザダイオードからの可視光の一部は、導波路の内部で周波数倍化され、波長λ=λ/2を有する光を生成する。可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の両方は、周波数倍化導波路構造から同時に出射される。
【0114】
(実施形態8)
以下、本発明の第8の実施形態について説明する。図13に示すレーザ装置24は、400nm〜560nmの範囲の波長λを有する可視レーザ光を生成する半導体レーザダイオード14を備え、該可視レーザ光は、単結晶薄膜リッジ導波路構造15の形で周波数を倍化するBBOの結晶へと繋がっている。λは410nm以上460nm以下の範囲であることが望ましい。半導体レーザ14から出射された光を集光して該光の焦点を導波路15に合わせる1枚以上のレンズ27が用いられ、光は半導体レーザ14から導波路15へと繋がっている。導波路に入光する光の支配的な極性は、BBO結晶(例えば、単結晶非線形光学材料)と第1のクラッド層との間の接触面に垂直な電界を有することが望ましい。リッジ導波路の構造および製造は、実施形態1で説明したものと同じである。半導体レーザダイオードからの可視光の一部は、導波路の内部で周波数倍化され、波長λ=λ/2を有する光を生成する。可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の両方は、周波数倍化導波路構造から同時に出射される。
【0115】
光フィードバックを介して、半導体レーザダイオードより出射される光の波長範囲を狭くする2色性部材30が用いられる。より多くの入射光が最も効率的な周波数倍化を提供する波長となるため、波長範囲がより狭くなることは、導波路15におけるより効率的な周波数倍化を与える。加えて、半導体レーザに特定の波長を有する光を出射させるために、2色性部材30が用いられる。この機能は、半導体レーザより出射される光が、導波路15の最も効率的な周波数倍化を提供する波長にあることを保証するために用いられる。
【0116】
ビーム分離部材29を用いて、周波数倍化による紫外線光は、半導体レーザより出射される光から分離される。ビーム分離部材29は、半導体レーザ14から出射される光に対する反射率よりも、周波数倍化された光に対する、より高い反射率を有する鏡であってもよい。また、ビーム分離部材29は、1枚以上のレンズ28を介して、リッジ導波路構造15より出射される光を受光する。レンズ28は、導波路15から出射される光を集光し、該光の焦点をビーム分離部材29に合わせるか、あるいは、並行にする。
【0117】
一例では、2色性部材30は、半導体レーザから出射された光と同じ経路に沿って、格子から回折した光線(例えば、第1の並びの回折した光線)が後ろから通るように配向された回折格子である。回折格子の分光のため、半導体レーザにフィードバックする光の強度は、波長が異なれば異なる。フィードバックは、半導体レーザより出射される波長範囲を狭くする。回折格子の回転により、半導体レーザから出射される光の波長は変化し得る。
【0118】
他の例では、2色性部材30は、異なる波長に対して異なる反射率を有する鏡である。例えば、上記鏡は、分布ブラッグ反射(Distributed Bragg Reflector、DBR)鏡であってもよい。
【0119】
図13の例では、導波路15を通った後、光は2色性部材30に入射する。この状況が望ましい。しかしながら、2色性部材30は、半導体レーザ14と導波路15との間の光路に位置していてもよい。
【0120】
さらにその代わりに、図14に示すように、2色性部材30は、光を半導体レーザの後ろのファセットにフィードバックする位置にあってもよい。
【0121】
(実施形態9)
以下、本発明の第9の実施形態について説明する。図15に示すレーザ装置24は、400nm〜560nmの範囲の波長λを有する可視レーザ光を生成する半導体レーザダイオード31を備え、該可視レーザ光は、単結晶薄膜リッジ導波路構造15の形で周波数を倍化するBBOの結晶へと繋がっている。λは410nm以上460nm以下の範囲であることが望ましい。半導体レーザ31は、レーザチップに一体となって統合された周期構造を含む半導体レーザであり、該レーザチップは、該半導体レーザから出射される光が、従来のファブリー・ペローの半導体レーザから出射される光よりもより狭い波長範囲を有するように設計されている。加えて、この型の半導体レーザのある例では、作動中、上記レーザチップの一部への電圧の印加によって放射波長が調整されてもよい。
【0122】
この型のレーザ31の例は、分布帰還半導体レーザ(Distributed Feedback laser diodes、DFB半導体レーザ)、分布ブラッグ反射半導体レーザ(Distributed Bragg Reflector laser diodes、DBR半導体レーザ)、および、離散モード(Discrete Mode laser diodes、DM半導体レーザ)である。半導体レーザ31から出射される光を集光し、該光の焦点を導波路15へと合わせる1枚以上のレンズ16を用いて、該光は半導体レーザ31から導波路15へと繋がる。リッジ導波路の構造および製造は、実施形態1で説明したものと同じである。導波路に入光する光の支配的な極性は、BBO結晶(例えば、単結晶非線形光学材料)と第1のクラッド層との間の接触面に垂直な電界を有することが望ましい。半導体レーザダイオードからの可視光の一部は、導波路の内部で周波数倍化され、波長λ=λ/2を有する光を生成する。可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の両方は、周波数倍化導波路構造から同時に出射される。
【0123】
より多くの入射光が最も効率的な周波数倍化を提供する波長となるため、半導体レーザ31より出射される波長範囲が狭いことは、導波路15におけるより効率的な周波数倍化を与える。加えて、作動中に半導体レーザ31からの放射波長が調整された場合、半導体レーザ31より出射される光が導波路15における最も効率的な周波数倍化を提供する波長にあることを保証するために、波長は変化し得る。
【0124】
(実施形態10)
以下、本発明の第10の実施形態について説明する。図16に示すレーザ装置24は、400nm〜560nmの範囲の波長λを有する可視レーザ光を生成する半導体レーザダイオード14を備え、該可視レーザ光は、単結晶薄膜リッジ導波路構造15の形で周波数を倍化するBBOの結晶へと繋がっている。λは410nm以上460nm以下の範囲であることが望ましい。半導体レーザ14から出射された光を集光して該光の焦点を導波路16に合わせる1枚以上のレンズ16が用いられ、光は半導体レーザ14から導波路15へと繋がっている。リッジ導波路構造および製造は実施形態1で説明したものと同じである。導波路に入光する光の支配的な極性は、BBO結晶(例えば、単結晶非線形光学材料)と第1のクラッド層との間の接触面に垂直な電界を有することが望ましい。半導体レーザダイオードからの可視光の一部は、導波路の内部で周波数倍化され、波長λ=λ/2を有する光を生成する。可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の両方は、周波数倍化導波路構造から同時に出射される。
【0125】
上記半導体レーザは、温度制御部材32に設けられる。温度制御部材32は、レーザ装置24の作動中、半導体レーザチップの温度を補正できる。半導体レーザチップの温度を変化させることを通して、半導体レーザの放射波長を調整し、導波路15における最も効率的な周波数倍化が得られる波長に上記波長を適合させてもよい。
【0126】
(実施形態11)
以下、本発明の第11の実施形態について説明する。図17に示すレーザ装置24は、400nm〜560nmの範囲の波長λを有する可視レーザ光を生成する半導体レーザダイオード14を備え、該可視レーザ光は、単結晶薄膜リッジ導波路構造15の形で周波数を倍化するBBOの結晶へと繋がっている。λは410nm以上460nm以下の範囲であることが望ましい。半導体レーザ14から出射された光を集光して該光の焦点を導波路15に合わせる1枚以上のレンズ16が用いられ、光は半導体レーザ14から導波路15へと繋がっている。リッジ導波路構造および製造は実施形態1で説明したものと同じである。導波路に入光する光の支配的な極性は、BBO結晶(例えば、単結晶非線形光学材料)と第1のクラッド層との間の接触面に垂直な電界を有することが望ましい。半導体レーザダイオードからの可視光の一部は、導波路の内部で周波数倍化され、波長λ=λ/2を有する光を生成する。可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の両方は、周波数倍化導波路構造から同時に出射される。
【0127】
半導体レーザ14および導波路15は、空気から湿気が入ることを防ぐ密封包装36に封入されている。上記密封包装は、製造中、乾燥した(言い換えれば、ほとんど、あるいは全く水蒸気を含まない)窒素ガスで満たされていることが望ましいが、他の乾燥した気体が代わりに使用されてもよい。さらに、代わりに、上記密封包装は低圧として、その後、真空状態で密封されてもよい。
【0128】
窓35が上記密封包装に提供され、半導体レーザダイオードからの光および周波数倍化した紫外線光が上記密封包装から外へと繋がる。図18に示す第2の例では、導波路15が単独で密封包装に封入されており、第2の入射窓34が提供され、半導体レーザからの光が上記導波路へと繋がる。
【0129】
密封包装は、湿気がBBO導波路に到達することを防ぎ、空気中の分子への紫外線光の反応により生じる表面の汚れを減らし、それにより、紫外線レーザ装置の耐用年限を増加させる。
【0130】
本発明の一態様によれば、上記半導体レーザ装置は、400nm以上560nm以下の波長を有する可視光と、200nm以上280nm以下の波長に変換された上記紫外線光とを出射するように構成されている。
【0131】
本発明の一態様によれば、上記単結晶非線形光学材料は、40μm未満の厚さを有し、第1のクラッド層は、100nmを越える厚さを有する。
【0132】
本発明の一態様によれば、上記単結晶非線形光学材料はBBOを含み、上記単結晶非線形光学材料が40μm未満の厚さを有している方向は、<2−1−10>BBO結晶方向から5度未満離れている。
【0133】
本発明の一態様によれば、上記単結晶薄膜は、上記単結晶薄膜の主面を形成する少なくとも1つの研磨面を含み、上記BBO結晶方向は、上記少なくとも1つの研磨面の平面に平行ではない。
【0134】
本発明の一態様によれば、上記単結晶非線形光学材料はBBOを含み、上記BBOのウエハーの第1の研磨面の平面に垂直な方向は、上記BBO結晶の上記[0001]方向からの角度α=(90−θ)°において、θ>35°としたとき、3度以下である。
【0135】
本発明の一態様によれば、上記単結晶非線形光学材料はBBOを含み、上記BBOのウエハーの第1の研磨面の平面に垂直な方向は、上記BBO結晶の上記[0001]方向からの角度α=(90−θ)°において3度以下であり、度で測定されるθは、半導体の上記レーザ光源のnmで測定される波長λにより、
【0136】
【数6】

【0137】
で定義され、
λが410nm≦λ<411nmであるとき、a=0、a=0.188102808664553、a=−309.194840804581、a=190590.522011723、a=−52214207.6963821、a=5364240308.25265であって、
λが411nm≦λ1≦440nmであるとき、a=−0.000001760705106、a=0.00377476277753、a=−3.23698468941742、a=1387.88016707932、a=−297527.230809678、a=25512902.6041867であって、
λが440nm<λ≦560nmであるとき、a=−0.000000000333886、a=0.000000873625719、a=−0.000916331528884、a=0.482130839856291、a=−127.52288219078、a=13654.8448727922である。
【0138】
本発明の一態様によれば、上記単結晶非線形光学材料は、ベータホウ酸バリウム(Beta−Barium Borate、BBO)、フルオロホウ酸ベリリウム酸カリウム(potassium fluroboratoberyllate)、四ホウ酸リチウム(lithium tetraborate)、四ホウ酸リチウムルビジウム(lithium rubidium tetraborate)、または、フッ化マグネシウムバリウム(magnesium barium fluoride)のうち少なくとも1つを含む。
【0139】
本発明の一態様によれば、上記単結晶非線形光学材料は、疑似位相整合周波数倍化材料である。
【0140】
本発明の一態様によれば、上記周波数倍化導波路は、1mm以上20mm以下の可干渉距離による周波数倍化を提供するように構成されている。
【0141】
本発明の一態様によれば、上記周波数倍化導波路は、上記周波数倍化導波路の長さよりも長い、周波数倍化のための可干渉距離を提供するように構成されている。
【0142】
本発明の一態様によれば、上記周波数倍化導波路に入光する光の支配的な極性は、上記単結晶非線形光学材料と上記第1のクラッド層との間の接触面に垂直な電界を有する。
【0143】
本発明の一態様によれば、上記周波数倍化導波路に入光する光の支配的な極性は、上記単結晶非線形光学材料と上記第1のクラッド層との間の接触面に平行な電界を有する。
【0144】
本発明の一態様によれば、上記装置は、上記半導体レーザ装置と上記周波数倍化導波路との間に光学的に配置された少なくとも1枚のレンズをさらに含み、上記少なくとも1枚のレンズは、上記半導体レーザ装置から出射された光を集光し、集光された上記光の焦点を上記周波数倍化導波路へと合わせるように構成されている。
【0145】
本発明の一態様によれば、上記レーザ装置からの光は、上記周波数倍化導波路に直接繋がる。
【0146】
本発明の一態様によれば、上記周波数倍化導波路は、周波数倍化リッジ導波路を含む。
【0147】
本発明の一態様によれば、上記周波数倍化導波路は、周波数倍化平面導波路を含む。
【0148】
本発明の一態様によれば、上記周波数倍化導波路は、周波数倍化平面導波路または周波数倍化リッジ導波路のうち少なくとも1つを含み、上記単結晶薄膜は、主面を有するBBOを含み、BBO<01−10>の結晶方向は、上記主面に垂直な方向から5度未満であり、BBO[0001]の結晶方向は、上記主面の平面に位置する。
【0149】
本発明の一態様によれば、上記装置は、上記半導体レーザ装置により出射される上記光の上記波長範囲を狭くするように構成された2色性部材をさらに含む。
【0150】
本発明の一態様によれば、上記装置は、上記半導体レーザ装置により出射された光から、周波数倍化による紫外線光を分離するように構成されたビーム分離部材をさらに含む。
【0151】
本発明の一態様によれば、上記2色性部材は、上記半導体レーザ装置から出射された光と同じ経路に沿って、格子から回折した光線が後ろから通るように配向された回折格子か、または、光の異なる波長に対して異なる反射率を有する鏡のうち、少なくとも1つを含む。
【0152】
本発明の一態様によれば、上記2色性部材は、光学的に上記周波数倍化導波路の出口に連結しているか、光学的に上記半導体レーザ装置と上記周波数倍化導波路との間に配置されているか、または、上記半導体レーザ装置のファセットへと光をフィードバックするように配置されているかのうち、少なくとも1つである。
【0153】
本発明の一態様によれば、上記半導体レーザ装置は、一体となって上記半導体レーザ装置に統合された周期構造を含み、上記周期構造は、上記半導体レーザ装置から出射された光に、ファブリー・ペローの半導体レーザから出射された光よりも狭い波長範囲を含ませるように構成されている。
【0154】
本発明の一態様によれば、上記装置は、上記半導体レーザ装置に連結する温度制御部材をさらに備え、上記温度制御部材は、上記半導体レーザ装置の温度を補正するように構成されている。
【0155】
本発明の一態様によれば、上記半導体レーザ装置および上記周波数倍化導波路のうち少なくとも1つは、密封包装に封入されており、上記可視光および上記紫外線光は、上記密封包装における透過性を有する窓領域を通って出射される。
【0156】
本発明の一態様によれば、上記第1のクラッド領域は、MgF、CaF、LaFAlF、GaF、NOA88、CYTOP、およびフッ素重合体からなる材料のグループから選択された材料を含む。
【0157】
本発明の一態様によれば、上記クラッド領域は、可視光および紫外線光の両方の波長において、0.05未満の減衰係数(k)を有する。
【0158】
本発明の一態様によれば、上記レーザ光源の紫外線出力は、0.01mW以上500mW以下である。
【0159】
本発明の一態様によれば、上記レーザ光源は、紫外線光と可視光との両方を出射するように構成されている。
【0160】
本発明の一態様によれば、上記半導体レーザ装置は、半導体レーザダイオードである。
【0161】
本発明の一態様によれば、上記薄膜のエッチングは、上記第1のクラッド層と同じ上記材料でできているエッチマスク層の使用を含む。
【0162】
本発明の一態様によれば、上記エッチマスク層の使用は、上記リッジ型導波路構造の最上部に、最上部のコーティング層として上記エッチマスク層を保持すること含む。
【0163】
本発明の一態様によれば、上記単結晶非線形光学材料を形成する工程は、ベータホウ酸バリウム(Beta−Barium Borate、BBO)から上記単結晶非線形光学材料を形成する工程を含む。
【0164】
本発明は、ある実施形態または複数の実施形態に関して示し、説明してきたが、本明細書および添付の図面を読んで理解した他の当業者による等価な変形および修正が生じてもよい。特に、上述した部材(構成要素、組立品、装置、構成など)により実行される多様な機能において、上記部材を説明するために使用された用語(“手段”への言及を含む)は、本発明の典型的な実施形態(あるいは複数の実施形態)において該機能を実行する開示した構造と、構造的に等しくない場合であっても、他に指定されていない限り、説明した部材の特定の機能を実行する(言い換えれば、機能的に等しい)あらゆる部材に対応するように意図される。さらに、本発明の特定の特徴は、複数の実施形態の1つか複数に関してのみ上述してきたが、上記特徴は、他の実施形態の1つか複数の他の特徴と組み合わせ、あらゆる、与えられた、あるいは特定の実行に対して所望かつ有用なようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明に係る紫外線レーザは、水の殺菌処理のために設計される製品の光源として利用できる。また、本発明に係る紫外線レーザは、蛍光センサの光源として利用できる。
【符号の説明】
【0166】
1 単結晶BBOウエハー
2 BBOウエハーの第1の研磨面
3 第1のクラッド物質
4 支持基板
5 接着層
6 第2の研磨面
7 第2のクラッド物質
8 入射ファセット
9 出射ファセット
10 単結晶薄膜周波数倍化平面導波路
11 リッジ
12 第3のクラッド物質
13 単結晶薄膜周波数倍化リッジ導波路
14 可視光を出射する半導体レーザダイオード
15 単結晶薄膜周波数倍化リッジ導波路
16 レンズ
17 非線形物質の厚さ
18 単結晶薄膜周波数倍化導波路の長さ
19 個々の周波数倍化導波路部材の幅
20 リッジの高さ
21 リッジの幅
22 単結晶薄膜周波数倍化平面導波路
23 レンズ
24 紫外線波長レーザ
25 第1の研磨面の平面に対して垂直な方向
26 実施例5における位相整合の望ましい方向
27 レンズ
28 レンズ
29 ビーム分離部材
30 2色性部材
31 DBR/DFBレーザ
32 温度制御部材
33 導波路の周囲の密封包装
34 密封包装への入射窓
35 密封包装からの出射窓
36 半導体レーザと導波路とを含む密封包装

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線光を提供するレーザ光源であって、
可視光を出射するように構成された半導体レーザ装置と、
単結晶薄膜を含む周波数倍化導波路とを備え、
上記周波数倍化導波路は、上記半導体レーザ装置に光学的に連結され、そこから出射される可視光を受光し、受光した当該可視光の少なくとも一部を紫外線光に変換するように構成されており、
上記周波数倍化導波路は、
単結晶非線形光学材料を含む周波数倍化領域と、
可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の波長を有する光に対して、実質的に透過性を有する材料を含む第1のクラッド領域と、
支持基板とを備え、
上記第1のクラッド領域は、上記支持基板と上記周波数倍化領域との間に配されていることを特徴とするレーザ光源。
【請求項2】
上記半導体レーザ装置は、400nm以上560nm以下の波長を有する可視光と、200nm以上280nm以下の波長に変換された上記紫外線光とを出射するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ光源。
【請求項3】
上記単結晶非線形光学材料は40μm未満の厚さを有し、第1のクラッド層は100nmを越える厚さを有することを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ光源。
【請求項4】
上記単結晶非線形光学材料はBBOを含み、上記単結晶非線形光学材料が40μm未満の厚さを有している方向は、<2−1−10>BBO結晶方向から5度未満離れていることを特徴とする請求項3に記載のレーザ光源。
【請求項5】
上記単結晶薄膜は、上記単結晶薄膜の主面を形成する少なくとも1つの研磨面を含み、上記BBO結晶方向は、上記少なくとも1つの研磨面の平面に平行ではないことを特徴とする請求項4に記載のレーザ光源。
【請求項6】
上記単結晶非線形光学材料はBBOを含み、上記BBOのウエハーの第1の研磨面の平面に垂直な方向は、BBO結晶の[0001]方向からの角度α=(90−θ)°において、θ>35°としたとき、3度以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項7】
上記単結晶非線形光学材料はBBOを含み、上記BBOのウエハーの第1の研磨面の平面に垂直な方向は、BBO結晶の[0001]方向からの角度α=(90−θ)°において3度以下であり、度で測定されるθは、半導体の上記レーザ光源のnmで測定される波長λにより、
【数1】

で定義され、
λが410nm≦λ<411nmであるとき、a=0、a=0.188102808664553、a=−309.194840804581、a=190590.522011723、a=−52214207.6963821、a=5364240308.25265であって、
λが411nm≦λ1≦440nmであるとき、a=−0.000001760705106、a=0.00377476277753、a=−3.23698468941742、a=1387.88016707932、a=−297527.230809678、a=25512902.6041867であって、
λが440nm<λ≦560nmであるとき、a=−0.000000000333886、a=0.000000873625719、a=−0.000916331528884、a=0.482130839856291、a=−127.52288219078、a=13654.8448727922であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項8】
上記第1のクラッド領域は、MgF、CaF、LaFAlF、GaF、NOA88、CYTOP、およびフッ素重合体からなる材料のグループから選択された材料を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項9】
上記クラッド領域は、上記可視光および上記紫外線光の両方の波長において、0.05未満の減衰係数(k)を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項10】
上記単結晶非線形光学材料は、ベータホウ酸バリウム(Beta−Barium Borate、BBO)、フルオロホウ酸ベリリウム酸カリウム(potassium fluroboratoberyllate)、四ホウ酸リチウム(lithium tetraborate)、四ホウ酸リチウムルビジウム(lithium rubidium tetraborate)、または、フッ化マグネシウムバリウム(magnesium barium fluoride)のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項11】
上記単結晶非線形光学材料は、疑似位相整合周波数倍化材料であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項12】
上記周波数倍化導波路は、1mm以上20mm以下の可干渉距離による周波数倍化を提供するように構成されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項13】
上記周波数倍化導波路は、上記周波数倍化導波路の長さよりも長い、周波数倍化のための可干渉距離を提供するように構成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項14】
上記レーザ光源は、上記半導体レーザ装置と上記周波数倍化導波路との間に光学的に配置された少なくとも1枚のレンズをさらに含み、上記少なくとも1枚のレンズは、上記半導体レーザ装置から出射された光を集光し、集光された上記光の焦点を上記周波数倍化導波路へと合わせるように構成されていることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項15】
上記半導体レーザ装置からの光は、上記周波数倍化導波路に直接繋がることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項16】
上記周波数倍化導波路は、周波数倍化リッジ導波路を含むことを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項17】
上記周波数倍化導波路は、周波数倍化平面導波路を含むことを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項18】
上記周波数倍化導波路は、周波数倍化平面導波路または周波数倍化リッジ導波路のうち少なくとも1つを含み、上記単結晶薄膜は、主面を有するBBOを含み、BBO<01−10>の結晶方向は、上記主面に垂直な方向から5度未満であり、BBO[0001]の結晶方向は、上記主面の平面に位置することを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項19】
上記レーザ光源は、上記半導体レーザ装置により出射される上記光の波長範囲を狭くするように構成された2色性部材をさらに含むことを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項20】
上記レーザ光源は、上記半導体レーザ装置により出射された光から、周波数倍化による紫外線光を分離するように構成されたビーム分離部材をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載のレーザ光源。
【請求項21】
上記2色性部材は、
上記半導体レーザ装置から出射された光と同じ経路に沿って、格子から回折した光線が後ろから通るように配向された回折格子か、
または、光の異なる波長に対して異なる反射率を有する鏡のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項19また20に記載のレーザ光源。
【請求項22】
上記2色性部材は、
光学的に上記周波数倍化導波路の出口に連結しているか、
光学的に上記半導体レーザ装置と上記周波数倍化導波路との間に配置されているか、
または、上記半導体レーザ装置のファセットへと光をフィードバックするように配置されているかのうち、
少なくとも1つであることを特徴とする請求項19から21のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項23】
上記半導体レーザ装置は、一体となって上記半導体レーザ装置に統合された周期構造を含み、
上記周期構造は、上記半導体レーザ装置から出射された光に、ファブリー・ペローの半導体レーザから出射された光よりも狭い波長範囲を含ませるように構成されていることを特徴とする請求項1から22のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項24】
上記レーザ光源は、上記半導体レーザ装置に連結する温度制御部材をさらに備え、
上記温度制御部材は、上記半導体レーザ装置の温度を補正するように構成されていることを特徴とする請求項1から23のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項25】
上記半導体レーザ装置および上記周波数倍化導波路のうち少なくとも1つは、密封包装に封入されており、上記可視光および上記紫外線光は、上記密封包装における透過性を有する窓領域を通って出射されることを特徴とする請求項1から24のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項26】
上記レーザ光源の紫外線出力は、0.01mW以上500mW以下であることを特徴とする請求項1から25のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項27】
上記レーザ光源は、紫外線光と可視光との両方を出射するように構成されていることを特徴とする請求項1から26のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項28】
上記半導体レーザ装置は、半導体レーザダイオードであることを特徴とする請求項1から27のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項29】
上記周波数倍化導波路に入光する光の支配的な極性は、上記単結晶非線形光学材料と第1のクラッド層との間の接触面に垂直な電界を有することを特徴とする請求項1から28のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項30】
上記周波数倍化導波路に入光する光の支配的な極性は、上記単結晶非線形光学材料と第1のクラッド層との間の接触面に平行な電界を有することを特徴とする請求項1から29のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項31】
紫外線光を生成する周波数倍化導波路の製造方法であって、上記周波数倍化導波路は周波数倍化領域を含み、
上記周波数倍化領域の面に、可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の波長を有する光に対して実質的に透過性を有する材料を含むクラッド領域を設ける工程と、
基板に上記クラッド領域を設ける工程と、
上記周波数倍化領域をラッピングおよび研磨し、単結晶非線形光学材料の薄膜を形成する工程と、
上記薄膜をエッチングし、リッジ型導波路構造を形成する工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項32】
紫外線光を生成する周波数倍化導波路の製造方法であって、上記周波数倍化導波路は周波数倍化領域を含み、
上記周波数倍化領域の面に、可視レーザ光線および紫外線レーザ光線の波長を有する光に対して実質的に透過性を有する材料を含むクラッド領域を設ける工程と、
基板に上記クラッド領域を設ける工程と、
上記周波数倍化領域をラッピングおよび研磨し、単結晶非線形光学材料の薄膜を形成する工程と、
上記基板、上記クラッド領域、および上記周波数倍化領域をダイシングし、平面導波路構造を形成する工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項33】
上記薄膜のエッチングは、第1のクラッド層と同じ上記材料でできているエッチマスク層の使用を含むことを特徴とする請求項31または32に記載の製造方法。
【請求項34】
上記エッチマスク層の使用は、リッジ型導波路構造の最上部に、最上部のコーティング層として上記エッチマスク層を保持すること含むことを特徴とする請求項33に記載の製造方法。
【請求項35】
上記単結晶非線形光学材料を形成する工程は、ベータホウ酸バリウム(Beta−Barium Borate、BBO)から上記単結晶非線形光学材料を形成する工程を含むことを特徴とする請求項31から34のいずれか1項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−88822(P2013−88822A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−231165(P2012−231165)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】