説明

紫外線吸収剤

【課題】より環境負荷が低減された方法で得られ、紫外線吸収効果の高い天然型紫外線吸収剤を提供する。
【解決手段】リグノセルロースを含む植物材料より溶媒中にマイクロ波及びマイクロ波増感触媒を用いて分離・抽出されたリグニンからなる紫外線吸収剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物材料から分離・抽出されたリグニンからなる紫外線吸収剤に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光線に含まれる紫外線はUVと表記され、人が感知できる可視光より短い波長の光である。このうち、地表に届く紫外線は320〜400nmのUVA(長波長紫外線)と290〜320nmのUVB(中波長紫外線)に分けられる。これら紫外線は、プラスチックの折れ、塗料の変色など、工業製品の劣化を引き起こすと共に、人の肌へも大きなダメージを与える。
【0003】
一方、環境保護や安全を重視した考えが世界的に広まりつつあり、環境循環型のバイオマスの応用研究がさかんに行われている。リグニンはセルロース、ヘミセルロースと共に植物を構成する天然バイオマスであり、木材中のおよそ20〜35%を占める。草本植物においてもリグニンを含むものは多い。リグニンは、植物細胞壁の物理強度を向上させるとともに、生物による分解を防ぐ役目や、細胞壁に疎水性を付与して水の流動性を制御する役目も果たしている。リグニンの基本骨格はパラヒドロキシフェニルプロパンであり、メトキシル基を0〜2個有するp−クマリルアルコール、コニフェニルアルコール、シナピルアルコールが脱水素重合して生成する不規則高分子である。
【0004】
リグニンを木質より分離・抽出する方法としては、大きく分けて2種類の方法が挙げられる。1つはリグニン以外の多糖を加水分解によって除き、残渣リグニンとして単離する方法で、加水分解には硫酸、塩酸などの強酸が使用される。最も一般的な方法としては、クラーソン法が挙げられる。もう1つはリグニンを化学分解して可溶化する方法である。これらの方法はパルプ製造に深く関わり、通常リグニンはパルプ廃液から分離される。化学的にリグニンを分解する方法としては、アルカリ処理、クラフトパルプ化、サルファイトパルプ化、ソルボリシス、オゾン酸化、チオアシドリシス、ニトロベンゼン酸化等がある。リグニンを抽出するために植物を分解する方法としては、爆砕、ガンマ線照射、電子線照射が知られている。これらの方法では、リグニンの分解とともに多糖の部分的な分解が同時に起きる。天然に近い構造のリグニンを木質より分離・抽出する方法としては、木質を磨砕した後にジオキサン等の有機溶剤でリグニンを抽出する方法がある(非特許文献1、非特許文献2)。
【0005】
しかしながら、これらの方法で得られたリグニンの工業用途への利用は、燃焼によりエネルギーを回収することに利用される場合がほとんどであり、界面活性剤、バニリンの製造原料、接着剤の原料など汎用の化学原料として使用される例はあるが、医薬品や化粧品素材など高付加価値用途には、ほとんど使用されていない。
【0006】
リグニンは、紫外線吸収剤として用いられうることが知られている(非特許文献3、特許文献1−4)。特許文献1では、リグニンからなる紫外線吸収剤を提供する方法を請求項としているが、その実施例では米糠を原料としており、リグニンを室温でジオキサン・水(8:2)で抽出したとしている。米糠には、紫外線吸収をもつビタミン、フィチン酸、タンパクの他、元来紫外線吸収剤として利用されるフェルラ酸やγ−オリザノールが含まれている。また、細胞壁中のリグニンを抽出するためには、摩砕工程を加えるか細胞壁成分の化学分解が必要であるが、これらの操作は明示されていなことから、得られた成分の紫外線吸収がリグニンに基づくものとは言えない。米糠以外の植物原料に関しては、例示がなく、セルロース、ヘミセルロース、リグニンからなる木材などの植物成分に対する有効性は何ら示されていない。
特許文献2は、リグニンの化学修飾によりカチオン性リグニン誘導体を調製する方法に関するものであるが、320〜400nmのUVAと290〜320nmのUVBの吸収に関する記述がなく、原料リグニンを凌駕する紫外線吸収剤としての性能は期待できない。またこれらの例を含め、天然あるいは合成ポリマーをリグニンとブレンドしたり、官能基をリグニンに結合させて紫外線吸収作用をもつ材料を製造する試みもあるが、リグニン以外の成分比率が高く、天然リグニン資源の有効利用への寄与度は小さい(非特許文献3、特許文献1−4)。また、リグニン分離法の多くはエネルギー投入量が大きいことも指摘できる。このように、320〜400nmのUVAと290〜320nmのUVB領域に高い紫外線吸収効果をもつリグニンを植物細胞壁や細胞間層から高効率で分離する有効な手段は知られていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】安田征市、バイオマス資源の利用技術 1.前処理技術、木質バイオマスの利用技術、文永堂出版、19−23(1991)
【非特許文献2】越島哲夫、セルロース資源−高度利用のための技術開発とその基礎、越島哲夫編、学会出版センター、88−99(1991)
【非特許文献3】平林靖彦、紫外線吸収性を有するリグノセルロースフィルム、農林水産技術研究ジャーナル、24、37−41(2001)
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−131672号公報
【特許文献2】特開平7−215988号公報
【特許文献3】特開平9−241571号公報
【特許文献4】特開平9−241615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、広葉樹、針葉樹、草木などリグニンを含む広範な植物材料から、320〜400nmのUVAと290〜320nmのUVBの波長に高い紫外線吸収効果をもつリグニンを、低いエネルギー投入量で分離し、リグニン以外の化学成分を大量に結合させたりブレンドすることなく、天然型の紫外線吸収剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、マイクロ波及びマイクロ波増感触媒を用いて、植物材料から分離・抽出したリグニンが、良好な紫外線吸収効果を有することを見出し、本発明を完成した。
【0011】
本発明は、リグノセルロースを含む植物材料より溶媒中にマイクロ波及びマイクロ波増感触媒を用いて分離・抽出されたリグニンからなる紫外線吸収剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の紫外線吸収剤は、従来のリグニン抽出法に比べて環境への負荷が低減された方法により得ることができ、しかも、広範囲での紫外線吸収効果が高いものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明で用いる植物材料としては、リグノセルロースを含む植物であれば特に制限されず、針葉樹材、広葉樹材、非木材系リグノセルロース等が挙げられる。より具体的には、針葉樹材としては、スギ、エゾマツ、カラマツ、クロマツ、トドマツ、ヒメコマツ、イチイ、ネズコ、ハリモミ、イラモミ、イヌマキ、モミ、サワラ、トガサワラ、アスナロ、ヒバ、ツガ、コメツガ、ヒノキ、イチイ、イヌガヤ、トウヒ、イエローシーダー(ベイヒバ)、ロウソンヒノキ(ベイヒ)、ダグラスファー(ベイマツ)、シトカスプルース(ベイトウヒ)、ラジアータマツ、イースタンスプルース、イースタンホワイトパイン、ウェスタンラーチ、ウェスタンファー、ウェスタンヘムロック、タマラック及びこれらの関連樹種等が例示される。また、広葉樹材としては、ブナ、アカシア、パラセリアンテス・ファルカタリア、白樺、アスぺン、アメリカンブラックチェリー、イエローポプラ、ウォールナット、カバザクラ、ケヤキ、シカモア、シルバーチェリー、タモ、チーク、チャイニーズエルム、チャイニーズメープル、ナラ、ハードメイプル、ヒッコリー、ピーカン、ホワイトアッシュ、ホワイトオーク、ホワイトバーチ、レッドオーク及びこれらの関連樹種等が例示される。更に、非木材系としては、イネ、サトウキビ、ムギ、トウモロコシ、パイナップル、オイルパーム等の農産物及びその廃棄物;ケナフ、綿等の工業植物及びその廃棄物;アルファルファ、チモシー等の飼料作物;タケ、ササ等が例示される。
【0014】
これらの植物材料は、その形状は特に制限されず、粉末状、チップ状、角材状、丸太状、フレーク状、繊維状(例えば、長さ0.5−3cm、直径0.01−2mm程度のもの)等の如何なる形状のものであってもよい。植物材料からリグニンを効率良く分解・抽出するという観点から、表面積の大きい粉末状、チップ状、フレーク状、繊維状が好ましい。
【0015】
リグノセルロースを含む植物材料からリグニンを分離・抽出するのに用いる溶媒は、植物材料が分散しやすい、リグニンが抽出されやすい、環境負荷が低いという点等から水、又は水と混和しやすい、炭素数2〜5のポリオール、炭素数1〜8の1価アルコール及びこれらの混合物を用いるのが好ましい。炭素数2〜5のポリオールとしては、例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられ、炭素数1〜8の1価アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物で用いることができる。特に、水と、炭素数2〜5のポリオール又は炭素数1〜8の1価アルコールを混合したものが好ましい。この場合、1重量部の水に対し、0.1〜10重量部の有機溶媒を混合するのが好ましい。
用いる植物材料と溶媒の重量割合は特に限定されないが、好ましくは植物材料:溶媒=1:1〜1:100であり、より好ましくは植物材料:溶媒=1:5〜1:30である。溶媒の量が少なければ加熱速度が遅く、一方で溶媒の量が多ければ処理が可能な植物材料の量が少なく、製造コストが高くなるためである。
【0016】
また、本発明で用いるマイクロ波増感触媒は、エネルギーをより効率良く植物材料に付与するために用いられ、例えば、金属とハロゲン又は硫酸との金属塩、金属と有機カルボン酸との塩、金属酸化物等を用いることができる。具体的には、例えば、フッ化アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酸化アルミニウム等のアルミニウムの化合物;フッ化銅(I)、フッ化銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)、硫酸銅(I)、硫酸銅(II)、酸化銅(I)、酸化銅(II)等の銅の化合物;フッ化鉄(II)、フッ化鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、ヨウ化鉄(II)、ヨウ化鉄(III)、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)等の鉄の化合物;フッ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、硫酸亜鉛、酸化亜鉛等の亜鉛の化合物;フッ化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、酸化銀等の銀の化合物;フッ化ホウ素、塩化ホウ素、酸化ホウ素等のホウ素の化合物;塩化チタン(IV)、酸化チタン(IV)等のチタンの化合物;塩化ニッケル等のニッケルの化合物;トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム等のスカンジウムの化合物;塩化イットリウム等のイットリウムの化合物;塩化セリウム、塩化ネオジム等のランタノイドの化合物;パラジウムの化合物、バナジウムの化合物などが挙げられる。なかでも、廃液処理が容易で環境負荷が低く、また入手にかかるコストが低いという理由から、金属とハロゲン若しくは硫酸との金属塩、又は金属酸化物が好ましく、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酸化アルミニウム、塩化鉄(III)、酸化鉄(III)、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン(IV)が好ましい。
これらのマイクロ波増感触媒は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、好ましくは植物材料1gに対し1〜1000μmol、より好ましくは植物材料1gに対し30〜720μmolであり、さらに好ましくは植物材料1gに対し50〜360μmolである。植物材料に対する触媒の量が少な過ぎると、糖類とリグニンとの分離の効果を十分に得ることができず、一方、植物材料に対する触媒の量が多過ぎると反応後の溶媒の処理が困難になるためである。
【0017】
本発明においては、植物材料、溶媒及びマイクロ波増感触媒を容器に入れ、マイクロ波を照射することにより、植物材料からリグニンを分離・抽出する。
【0018】
マイクロ波の照射は、常法により行えば良く、1000〜30000MHz、好ましくは2000〜6000MHz程度の周波数のものが、植物材料へのマイクロ波の透過性、減衰吸収の点より好ましい。マイクロ波の照射を行う際の反応時間は特に限定されないが、30秒〜60分が好ましく。10分〜30分がさらに好ましい。反応が短時間では糖類とリグニンとが十分に分離することができず、一方、長時間の反応では、コストがかかり、また、有用な化学物質をも分解してしまう可能性があるためである。
【0019】
また、マイクロ波を照射する際の温度は、80〜240℃、特に150〜180℃に加熱するのが、リグノセルロースからリグニンを十分に分離し、且つ、他の成分を分解せずに抽出する点から好ましい。
このようなリグニンの分離・抽出は、耐圧容器で密封された状態で行うのが好ましい。その際の圧力は、反応時における蒸気圧に準ずるが、分解・抽出を制御する目的で圧力の調整を行ってもかまわない。例えば、溶媒:水(9:1)及び溶媒:水(1:1)の場合、溶媒の種類にもよるが、反応温度条件180℃では約7気圧から約18気圧である。
【0020】
このような方法により、リグニンは、リグノセルロースから溶媒に分離抽出することができる。このようにして得られるリグニンは、分子中の特定構造が効率良く切断・結合され、単離されたリグニンの分子量は1000〜50000、好ましくは2000〜15000程度にすることができる。
【0021】
このようにして抽出されたリグニンは、高い紫外線吸収効果を有し、紫外線吸収剤として使用することができる。本発明の紫外線吸収剤の形態は特に制限されない。例えば、溶媒を好適に選択することにより、単にろ過し植物材料を取り除いた抽出状態のまま、あるいは濃縮した液状、スラリー状、又は、ろ過・乾燥することで粉末状などの形態で使用することができる。また、これらは、必要に応じて、常法により単離・精製することができる。
本発明のリグニンからなる紫外線吸収剤は、塗料・プラスチック等に混合することで、光劣化を防ぐことができ、化粧料・毛髪製品に配合することで、皮膚、毛髪の光損傷を防ぐことができる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0023】
実施例1
14〜30メッシュに粉砕したブナ材 10質量部、エチレングリコール/水(9:1、v/v)200質量部、塩化アルミニウム 0.24質量部(植物材料1gに対し、塩化アルミニウム180μmol相当)を耐圧ガラス容器に取り、密閉後、2450MHzのマイクロ波を180℃で30分照射した。照射後に冷却してろ過し、ろ液にリグニンを得た。ろ液を精製水で約0.0001質量%のリグニン濃度となるように希釈し、紫外可視分光光度計にて、紫外線吸収スペクトルを測定した。
【0024】
実施例2
14〜30メッシュに粉砕したブナ材 10質量部、1−プロパノール/水(1:1、v/v)200質量部、塩化ネオジム 0.15質量部(植物材料1gに対し、塩化ネオジム60.0μmol相当)を耐圧ガラス容器に取り、密閉後、2450MHzのマイクロ波を180℃で30分照射した。照射後に冷却してろ過し、ろ液にリグニンを得た。ろ液を精製水で約0.0001質量%のリグニン濃度となるように希釈し、紫外可視分光光度計にて、紫外線吸収スペクトルを測定した。
【0025】
実施例3
14〜30メッシュに粉砕したスギ材 10質量部、エチレングリコール/水(9:1、v/v)200質量部、塩化アルミニウム 0.24質量部(植物材料1gに対し、塩化アルミニウム180μmol相当)を耐圧ガラス容器に取り、密閉後、2450MHzのマイクロ波を180℃で30分照射した。照射後に冷却してろ過し、ろ液にリグニンを得た。ろ液を精製水で約0.0001質量%のリグニン濃度となるように希釈し、紫外可視分光光度計にて、紫外線吸収スペクトルを測定した。
【0026】
実施例4
14〜30メッシュに粉砕したアカシア材 10質量部、エチレングリコール/水(9:1、v/v)200質量部、塩化アルミニウム 0.24質量部(植物材料1gに対し、塩化アルミニウム180μmol相当)を耐圧ガラス容器に取り、密閉後、2450MHzのマイクロ波を180℃で30分照射した。照射後に冷却してろ過し、ろ液にリグニンを得た。ろ液を精製水で約0.0001質量%のリグニン濃度となるように希釈し、紫外可視分光光度計にて、紫外線吸収スペクトルを測定した。また、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)により、分子量2000〜15000のリグニンが得られた。
【0027】
実施例5
14〜30メッシュに粉砕したファルカタリア材 10質量部、エチレングリコール/水(9:1、v/v)200質量部、塩化アルミニウム 0.24質量部質量部(植物材料1gに対し、塩化アルミニウム180μmol相当)を耐圧ガラス容器に取り、密閉後、2450MHzのマイクロ波を180℃で30分照射した。照射後に冷却してろ過し、ろ液にリグニンを得た。ろ液を精製水で約0.0001質量%のリグニン濃度となるように希釈し、紫外可視分光光度計にて、紫外線吸収スペクトルを測定した。
【0028】
比較例1
実施例2において、触媒を加えない以外は同様にして、リグニンを得、紫外線吸収スペクトルを測定した。
【0029】
比較例2
リグノスルホン酸Mg(日本製紙ケミカル社製、サンエキスP321)を精製水に0.0001質量%になるように溶解し、紫外可視分光光度計にて、紫外線吸収スペクトルを測定した。
【0030】
比較例3
リグニン(関東化学製;試薬)を精製水に0.0001質量%になるように溶解し、紫外可視分光光度計にて、紫外線吸収スペクトルを測定した。
【0031】
実施例1〜5及び比較例1〜3で測定した紫外線吸収スペクトルの結果(280nm、305nm、360nm、500nmの吸光度)を表1に示す。この結果、紫外線を選択的に効率よく吸収することがわかった。
【0032】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノセルロースを含む植物材料より溶媒中にマイクロ波及びマイクロ波増感触媒を用いて分離・抽出されたリグニンからなる紫外線吸収剤。
【請求項2】
溶媒が、水、炭素数2〜5のポリオール及び炭素数1〜8の1価アルコールから選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載のリグニンからなる紫外線吸収剤。
【請求項3】
マイクロ波増感触媒が、金属とハロゲン若しくは硫酸との金属塩、又は金属酸化物である請求項1又は2記載のリグニンからなる紫外線吸収剤。
【請求項4】
温度80℃〜240℃に加熱してマイクロ波を照射する請求項1〜3のいずれか1項記載のリグニンからなる紫外線吸収剤。

【公開番号】特開2011−84493(P2011−84493A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237166(P2009−237166)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】