説明

紫外線殺菌装置法

【課題】透過性の低い切削油であっても殺菌効率が良い紫外線殺菌装置を提供すること。
【解決手段】紫外線殺菌装置100は、紫外線照射によりクーラントを殺菌する紫外線殺菌装置100であって、クーラントを一定量貯留する貯留部110と、貯留部110より溢れ出たクーラントが攪拌されながら流下する攪拌部120、120A、120Bと、攪拌部120、120A又は120Bに対向配置され、紫外線を照射する紫外線ランプ140と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線殺菌装置に関し、詳しくは紫外線照射により切削油を殺菌する紫外線殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、切削及び研削等の金属加工をする加工装置において、潤滑や冷却を目的とした水溶性油剤であるクーラントと称される切削油が用いられている。このクーラントは、クーラント供給装置により加工装置に供給され、この加工装置において潤滑や冷却に用いられた後、再び加工装置からクーラント供給装置に戻される。
このクーラント供給装置は、加工装置から戻されたクーラントを貯留する一次クーラントタンクと、一次クーラントタンクに貯留されたクーラントを濾過する濾過装置と、濾過装置を経たクーラントを貯留する二次クーラントタンクを備え、この二次クーラントタンクに貯留されたクーラントを加工装置に供給する。
【0003】
ところで、このクーラントは、循環して使用していると、加工装置における熱や、外気温の上昇に伴う熱により、細菌が発生し、異臭を発生する場合がある。このような異臭は、作業環境を悪化させることがある。
【0004】
そこで、特許文献1には、クーラントを循環して使用する際、循環経路中にクーラントの深さが浅くなる部分を設け、この部分を通過するクーラントに紫外線を照射し、クーラントを殺菌する紫外線殺菌方法が提案されている。
【0005】
この紫外線殺菌方法によれば、透過性の悪いクーラントであっても、クーラントの深さが浅くなる部分において紫外線を照射することで、クーラントを殺菌できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−264199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の紫外線殺菌方法では、クーラントの深さが浅くなる部分を循環経路中に設けているので、クーラントを所定の流速で循環させると、クーラントの深さを紫外線が届く深さより浅くできないことや、紫外線による殺菌作用を得るための照射時間が短くなることがあり、殺菌効率が低下する場合があった。
【0008】
本発明は、透過性の低い切削油であっても殺菌効率が良い紫外線殺菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の紫外線殺菌装置(例えば、後述の紫外線殺菌装置100)は、紫外線照射により切削油(例えば、後述のクーラント)を殺菌する紫外線殺菌装置であって、切削油を一定量貯留する貯留部(例えば、後述の貯留部110)と、前記貯留部より溢れ出た切削油が攪拌されながら流下する攪拌部(例えば、後述の攪拌部120、120A、120B)と、前記攪拌部に対向配置され、紫外線を照射する照射手段(例えば、後述の紫外線ランプ140)と、を備えた。
【0010】
この発明によれば、貯留部により切削油を一定量貯留し、この貯留部より溢れ出た切削油は攪拌部により攪拌されながら流下する。そして、この攪拌部に対向配置した照射手段により紫外線を照射する。
これにより、紫外線を照射しているときに、攪拌部において切削油を攪拌できる。また、貯留部より溢れ出る切削油の量を調整することで、切削油が照射手段に対向する位置を通過する時間を、紫外線による殺菌作用を得るのに適切な照射時間に調整することができる。
よって、透過性の低い切削油であっても殺菌効率が良い紫外線殺菌装置を提供できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、透過性の低い切削油であっても殺菌効率が良い紫外線殺菌装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る紫外線殺菌照射部が適用されたクーラント供給システムの構成を示す図である。
【図2】前記実施形態に係る紫外線殺菌照射部を側面から視た説明図である。
【図3】図2中の一点鎖線Aで囲んだ部分の拡大図である。
【図4】第2実施形態に係る紫外線殺菌照射部を側面から視た説明図である。
【図5】図4中の一点鎖線Bで囲んだ部分を紫外線ランプ側から視た拡大図である。
【図6】第3実施形態に係る紫外線殺菌照射部を側面から視た説明図である。
【図7】図6中の一点鎖線Aで囲んだ部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1を参照して、第1実施形態に係る紫外線殺菌照射部101が適用されたクーラント供給システム1について説明する。
図1は、第1実施形態に係る紫外線殺菌照射部101が適用されたクーラント供給システム1の構成を示す図である。
【0014】
クーラント供給システム1は、一次クーラントタンク11からのクーラントを供給する一次クーラント供給部10と、使用済みのクーラントを濾過し、濾過したクーラントの供給を行う二次クーラント供給部2と、から構成され、濾過済みのクーラントを工作機械部6に供給する。そして、工作機械部6で使用された使用済みのクーラントは、工作機械60及び一次側ライン20から一次クーラントタンク11に連通するクーラント回収トラフ61を通って一次クーラントタンク11に流入し、再利用される。
【0015】
一次クーラント供給部10は、使用済みのクーラントを貯留する一次クーラントタンク11と、一次フィルタ12と、一次ポンプ13と、一次フィルタ12及び一次ポンプ13の動作を制御する一次クーラント制御部14と、から構成される。
【0016】
一次クーラントタンク11は、工作機械60で使用された使用済みのクーラントが貯留されるタンクである。使用済みのクーラントに含まれる加工滓は、一次クーラントタンク11内に沈殿して分離される。
一次フィルタ12は、クーラント回収トラフ61から流入するクーラントに含まれるスラッジや工作機械60から出る加工滓を除去するものであり、除去したスラッジや加工滓はチップコンベアにより一次クーラントタンク11の外に運搬され、加工滓集積部15に集積される。
【0017】
一次ポンプ13は、一次クーラントタンク11から二次クーラントタンク30へクーラントを流通させるポンプである。
一次クーラント制御部14は、一次クーラント供給部10を制御する。具体的には、一次クーラント制御部14は、一次フィルタ12及び一次ポンプ13の始動や停止を制御する。
【0018】
二次クーラント供給部2は、一次クーラント供給部10に連通して一次クーラントタンク11内のクーラントを供給する一次側ライン20と、一次側ライン20から供給されたクーラントが貯留される二次クーラントタンク30と、二次クーラントタンク30から工作機械60それぞれにクーラントを供給する二次ライン40と、二次クーラント供給部2を制御する二次クーラント制御部50と、二次クーラントタンク30に貯留されたクーラントを殺菌する紫外線殺菌装置100と、により構成される。
【0019】
一次側ライン20は、一次クーラントタンク11内のクーラントを、一次クーラントタンク11から二次クーラントタンク30に供給するラインである。
この一次側ライン20は、一次クーラントタンク11から二次クーラントタンク30に連通する一次供給管21と、一次供給管21の途中に設けられ、一次クーラントタンク11に貯留されたクーラントの不純物を分離するフィルタ22と、一次供給管21の途中であってフィルタ22の上流側に設けられる上流側開閉バルブ23と、同様にフィルタ22の下流側に設けられる下流側開閉バルブ24と、フィルタ22の排出口からクーラント回収トラフ61にクーラントを流入させる排出流路221と、により構成される。
【0020】
一次供給管21は、一次クーラント供給部10から、上流側開閉バルブ23、フィルタ22、下流側開閉バルブ24及び二次クーラントタンク30をそれぞれ連通する供給管であり、一次ポンプ13により取水されたクーラントが通過する管である。
【0021】
フィルタ22は、本実施形態ではサイクロン式の濾過装置である。このフィルタ22は、二次クーラント制御部50によりその始動又は停止が制御される。フィルタ22は、クーラントに含まれる固形粒子等の不純物を除去するフィルタである。
【0022】
排出流路221は、フィルタ22それぞれの排出口から、クーラント回収トラフ61にクーラントを流入させるように形成された排出用の流路である。この流路は、パイプ状の部材又はトラフのような溝状の部材により形成される。この排出流路221には、フィルタ22がクーラントから分離した不純物を高濃度に含む廃液が排出され、クーラント回収トラフ61にこれらの廃液が導出される。排出流路221の出口は、クーラント回収トラフ61の上流側となるように設けられることが好ましい。この上流側とは、クーラント回収トラフ61において、工作機械60からクーラント回収トラフ61に接続する部分近傍か、これよりも遠い位置であることを示す。
この排出流路221の途中には、ドレインバルブ222が設けられており、排出流路221に流れるクーラントの流量を調節する。
【0023】
上流側開閉バルブ23及び下流側開閉バルブ24は、一次供給管21を遮断又は開放するバルブであり、本実施形態では電磁弁が使用され、二次クーラント制御部50により制御される。
【0024】
二次クーラントタンク30は、フィルタ22により不純物が除去されたクーラントが貯留されるタンクである。二次クーラントタンク30には、二次クーラントタンク30内のクーラント量を検知するフロートスイッチ31が設けられる。
【0025】
フロートスイッチ31は、二次クーラントタンク30内に貯留されるクーラントの液面を検知する。詳細には、二次クーラントタンク30内のクーラントの液面の高さを検知して、その高さを示す信号を二次クーラント制御部50に送信する。液面が上昇又は下降するのに応じて、液面に浮かぶフロート(図示せず)も同様に上昇又は下降し、フロートの位置で液面を検知する。
【0026】
二次ライン40は、工作機械60に二次クーラントタンク30内のクーラントを供給するラインであり、工作機械60に連通する二次供給管41と、二次供給管41の途中に設けられて二次クーラントタンク30内のクーラントを二次ライン40に流通させる二次ポンプ42と、二次供給管41の途中であって、二次ポンプ42と工作機械60の間に設けられる圧力センサ43とにより構成される。
【0027】
二次供給管41は、二次クーラントタンク30と工作機械60とを連通して、二次クーラントタンク30内のクーラントを工作機械60に供給する管である。
【0028】
二次ポンプ42は、二次クーラントタンク30から工作機械60へクーラントを流通させるポンプである。また、二次ポンプ42は、二次クーラント制御部50により始動や停止が制御される。
二次ポンプ42は、本実施形態においては、インバータ44を有しており、二次クーラント制御部50はこのインバータ44に指令信号を送信することで二次ポンプ42を制御する。
【0029】
圧力センサ43は、二次供給管41の途中であって、二次ポンプ42と工作機械60との間に設けられるセンサである。この圧力センサ43は、二次ポンプ42から工作機械60までの二次供給管41の圧力を測定する。また、圧力センサ43が測定した圧力は、常時二次ポンプ42のインバータ44にフィードバックされ、インバータ44を通じて二次クーラント制御部50が当該圧力をモニタするとともに、最適な圧力を維持するように二次ポンプ42の回転数が制御される。
【0030】
二次クーラント制御部50は、二次クーラント供給部2を制御する。具体的には、一次側ライン20では、二次クーラント制御部50は、フィルタ22の始動や停止、回転数等を制御し、上流側開閉バルブ23及び下流側開閉バルブ24及びドレインバルブ222の開閉を制御する。また、二次ライン40では、二次クーラント制御部50は、インバータ44を介して二次ポンプ42の始動や停止、回転数等を制御する。圧力センサ43は、測定した圧力値を二次ポンプ42のインバータ44に送信し、二次ポンプ42のインバータ44を通じて二次クーラント制御部50が間接的に制御する。
また、二次クーラント制御部50は、一次クーラント供給部10の一次クーラント制御部14及び工作機械部6とそれぞれ通信を行い、工作機械60の稼働に合わせて二次ポンプ42、フィルタ22、上流側開閉バルブ23、下流側開閉バルブ24等の動作を制御する。
さらに、二次クーラント制御部50は、紫外線殺菌装置100の動作を制御する。
【0031】
紫外線殺菌装置100は、クーラントを紫外線殺菌する紫外線殺菌照射部101と、紫外線殺菌照射部101と、二次クーラントタンク30から紫外線殺菌照射部101に延びる往き配管103と、往き配管103に設けられ二次クーラントタンク30からクーラントを揚水する殺菌用ポンプ104と、紫外線殺菌照射部101から二次クーラントタンク30に延びる戻り配管105と、から構成される。
【0032】
図2は、前記実施形態に係る紫外線殺菌照射部101を側面から視た説明図である。
紫外線殺菌照射部101は、往き配管103が接続された貯留部110と、貯留部110に上流側(図2中U側)端部が接続され傾斜して配置された攪拌部120と、攪拌部120の下流側(図2中D側)端部が接続された排出部130と、攪拌部120に対向配置され、紫外線を照射する紫外線ランプ140と、から構成される。
【0033】
貯留部110は、往き配管103が接続された底面111と、底面111の端部から立設する側壁112と、貯留部110を貯留空間116とオーバーフロー空間117とに仕切る仕切り壁113と、から構成される。
【0034】
底面111は、貯留空間116に接する部分に往き配管103が接続され、オーバーフロー空間117に接する部分にオーバーフロー排出菅115が接続されている。オーバーフロー排出菅115は、基端が底面111に接続され、先端が往き配管103又は二次クーラントタンク30(図1参照)に接続されている。
【0035】
側壁112は、貯留空間116に接する部分の一部が底面111の外側に拡がって立設する。また、側壁112は、この貯留空間116に接する部分の一部の最上部112aにおいて、攪拌部120が接続されている。すなわち、貯留部110の貯留空間116に貯留されたクーラントは、この最上部112aから溢れ出し、攪拌部120に流入する。
このように、貯留空間116に接する部分の一部が底面111の外側に拡がって立設することで、貯留空間116に貯留されるクーラントの水位は、水位が高くなるほど緩やかに上昇する。よって、貯留空間116に貯留されたクーラントが最上部112aから溢れ出す量を抑え、短時間に大量のクーラントが攪拌部120に流入するのを防止できる。
【0036】
仕切り壁113は、底面111から略鉛直方向に立設し、最上部112aより所定の高さだけ高い位置である先端113aまで形成されている。この所定の高さは、紫外線殺菌照射部101の殺菌効率を考慮した単位時間当たりの攪拌部120へのクーラント流入量に基づき設定される。
これにより、貯留空間116に貯留されたクーラントは、その水位が最上部112aに達すると攪拌部120に流入し、さらに、その水位が仕切り壁113の先端113aまで達するとオーバーフロー空間117に流入する。オーバーフロー空間117に流入としたクーラントは、オーバーフロー排出菅115から排出される。よって、殺菌効率を考慮した所定の単位時間当たりの攪拌部120へのクーラント流入量を超えた量のクーラントが、攪拌部120へ流入するのを防止できる。
【0037】
攪拌部120は、一端が貯留部110の側壁112の最上部112aに接続され、斜め下方に延びて、他端が排出部130に接続されている。攪拌部120は、凹部121と凸部122とが交互に連なる階段形状に形成されている。攪拌部120に流入したクーラントは、上流側(図2中U側)から下流側(図2中D側)に流れ、排出部130に流出する。
【0038】
図3は、図2中の一点鎖線Aで囲んだ部分の拡大図である。
攪拌部120を上流側(図3中U側)から下流側(図3中D側)へ流下するクーラントは、上流側から凹部121に落下し、当該落下した凹部121で攪拌され、凸部122まで達し場合に、次の凹部121に落下する。このように、攪拌部120を階段形状に形成することで、この攪拌部120を流下するクーラントを攪拌できる。
【0039】
図2に戻って、排出部130は、戻り配管105が接続された排出部底面131を備える。排出部底面131には、攪拌部120の下流側(図2中D側)の端部が接続されている。すなわち、攪拌部120から流出されたクーラントは、排出部130の排出部底面131を介して、戻り配管105から二次クーラントタンク30(図1参照)に戻される。
【0040】
紫外線ランプ140は、攪拌部120の上部において、攪拌部120に沿って配置されている。紫外線ランプ140は、殺菌効果の高い波長(例えば、260nm近辺)の光を効率良く発光するランプ(例えば、低圧水銀ランプ等)が用いられている。攪拌部120で攪拌されたクーラントは、紫外線ランプ140の下を通過時に紫外線が照射され殺菌される。この紫外線ランプ140は、照射開始及び停止を二次クーラント制御部50(図1参照)により制御される。
【0041】
図1に戻って、往き配管103は、殺菌用ポンプ104により揚水された二次クーラントタンク30内のクーラントを、紫外線殺菌照射部101に供給するための管である。
殺菌用ポンプ104は、作動開始及び停止を二次クーラント制御部50により制御される。具体的には、殺菌用ポンプ104は、攪拌部120を流下するクーラントが紫外線ランプ140に対向する位置を通過し、紫外線による殺菌作用を得るのに適切な照射時間となる流量のクーラントを、貯留部110(図2参照)に供給する。
【0042】
戻り配管105は、紫外線殺菌照射部101において殺菌されたクーラントを、重力により、二次クーラントタンク30に戻すための管である。そして、この殺菌されたクーラントが二次クーラント供給部2から工作機械60に供給される。
【0043】
工作機械60は、工作機械制御部601と、開閉バルブ602とを少なくとも有する。
工作機械制御部601は、工作機械60の動作及び開閉バルブ602の動作を制御する。
開閉バルブ602は、二次クーラント供給部2と工作機械60との間に配置され、二次クーラント供給部2から連通する二次供給管41を遮断又は開放するバルブである。
【0044】
また、工作機械60と一次クーラントタンク11とは、クーラント回収トラフ61により連通する。クーラント回収トラフ61は、工作機械60と一次クーラントタンク11とを連通して、工作機械60で使用された使用済みのクーラントを回収して、一次クーラントタンク11に導出する。また、クーラント回収トラフ61には、フィルタ22の排出流路221がクーラント回収トラフ61の上流側に接続され、フィルタ22の廃液も導入される。
【0045】
次に、図1を参照して、クーラント供給システム1の動作について説明する。
まず、二次クーラント制御部50は、二次クーラントタンク30の液面高さを、フロートスイッチ31から液面高さを示す信号に基づき検知し、液面が所定の高さであれば、上流側開閉バルブ23を開ける。これにより、フィルタ22に一次クーラントタンク11内のクーラントが供給される。
次に、二次クーラント制御部50は、フィルタ22に始動信号を送信してフィルタ22を始動させて濾過を開始させ、下流側開閉バルブ24をオンにして開けた状態にし、フィルタ22を通過したクーラントを二次クーラントタンク30に供給する。次に、二次クーラント制御部50は、工作機械制御部601から工作機械60が稼働を開始する旨の信号を受信すると、工作機械60に連通する二次供給管41に設けられた二次ポンプ42の稼働を開始する。また、工作機械制御部601は、開閉バルブ602を開けた状態とし、当該工作機械60にクーラントの供給を開始する。そして、工作機械制御部601は、工作機械60の潤滑や冷却に用いたクーラントをクーラント回収トラフ61に導出する。クーラント回収トラフ61に導出されたクーラントは、一次クーラントタンク11に戻される。
【0046】
次に、図2を参照して、紫外線殺菌照射部101により二次クーラントタンク30のクーラントを殺菌する工程について説明する。
まず、二次クーラント制御部50(図1参照)は、殺菌用ポンプ104(図1参照)を動作させ、二次クーラントタンク30(図1参照)内のクーラントを、揚水し紫外線殺菌照射部101の貯留部110に供給する。貯留部110の貯留空間116に供給されたクーラントは、貯留空間116に徐々に貯留され、側壁112の最上部112aに達すると、溢れ出し攪拌部120に流入する。
この攪拌部120に流入したクーラントは、攪拌部120において上流側から凹部121への落下により攪拌されながら、紫外線を照射する紫外線ランプ140の下を流下する。これにより、簡素な設備によりクーラントを均等に殺菌できるので、殺菌効率が向上する。
そして、この殺菌されたクーラントは、排出部130の排出部底面131を介して、戻り配管105から二次クーラントタンク30(図1参照)に戻される。
【0047】
[第2実施形態]
図4を参照して、第2実施形態に係る紫外線殺菌照射部101Aについて説明する。
図4は、前記実施形態に係る紫外線殺菌照射部101Aを側面から視た説明図である。
紫外線殺菌照射部101Aは、第1実施形態に係る紫外線殺菌照射部101の代わりに、クーラント供給システム1(図1参照)に適用される。紫外線殺菌照射部101Aは、紫外線殺菌照射部101とは攪拌部の構成が異なる。
【0048】
紫外線殺菌照射部101Aは、往き配管103が接続された貯留部110と、貯留部110に上流側(図4中U側)端部が接続され傾斜して配置された攪拌部120Aと、攪拌部120Aの下流側(図4中D側)端部が接続された排出部130と、攪拌部120Aに対向配置され、紫外線を照射する紫外線ランプ140と、から構成される。
貯留部110、排出部130及び紫外線ランプ140は、上記紫外線殺菌照射部101と同一の構成であるので、説明を省略する。
【0049】
攪拌部120Aは、一端が貯留部110の側壁112の最上部112aに接続され、斜め下方に延びて、他端が排出部130に接続される傾斜板121Aと、傾斜板121Aの表面から紫外線ランプ140に向けて立設する複数の円柱体122Aと、から構成される。
攪拌部120Aに流入したクーラントは、傾斜板121Aの表面において、上流側(図4中U側)から下流側(図4中D側)に流れ、排出部130に流出する。
【0050】
図5は、図4中の一点鎖線Bで囲んだ部分を紫外線ランプ140側から視た拡大図である。
攪拌部120Aに流入したクーラントは、傾斜板121Aの表面において、上流側(図5中U側)から下流側(図5中D側)へ流下する。この上流側から下流側へ流下するクーラントの一部は、円柱体122Aに流れが遮られ、円柱体122Aの外周に沿って流下する。このとき、円柱体122Aの下流側において、上流側から下流側への流れに加え、円柱体122Aの外周に沿った流れが発生し、右周りの渦aと左周りの渦bが交互に発生するカルマン渦が発生する。このように、傾斜板121Aの表面に円柱体122Aを配置することで、攪拌部120Aを流下するクーラントにカルマン渦が発生し、この流下するクーラントを攪拌できる。
【0051】
次に、図4に戻って、紫外線殺菌照射部101Aにより二次クーラントタンク30のクーラントを殺菌する工程について説明する。
まず、二次クーラント制御部50(図1参照)は、殺菌用ポンプ104(図1参照)を動作させ、二次クーラントタンク30(図1参照)内のクーラントを、揚水し紫外線殺菌照射部101Aの貯留部110に供給する。貯留部110の貯留空間116に供給されたクーラントは、貯留空間116に徐々に貯留され、側壁112の最上部112aに達すると、溢れ出し攪拌部120Aに流入する。
この攪拌部120Aに流入したクーラントは、攪拌部120Aにおいて円柱体122Aによるカルマン渦の発生により攪拌されながら、紫外線を照射する紫外線ランプ140の下を流下する。これにより、簡素な設備によりクーラントを均等に殺菌できるので、殺菌効率が向上する。
そして、この殺菌されたクーラントは、排出部130の排出部底面131を介して、戻り配管105から二次クーラントタンク30(図1参照)に戻される。
【0052】
[第3実施形態]
図6を参照して、第3実施形態に係る紫外線殺菌照射部101Bについて説明する。
図6は、前記実施形態に係る紫外線殺菌照射部101Bの側面から視た説明図である。
紫外線殺菌照射部101Bは、第1実施形態に係る紫外線殺菌照射部101の代わりに、クーラント供給システム1(図1参照)に適用される。紫外線殺菌照射部101Bは、紫外線殺菌照射部101とは攪拌部の構成が異なる。
【0053】
紫外線殺菌照射部101Bは、往き配管103が接続された貯留部110と、貯留部110に上流側(図6中U側)端部が接続され傾斜して配置された攪拌部120Bと、攪拌部120Bの下流側(図6中D側)端部が接続された排出部130と、攪拌部120Bに対向配置され、紫外線を照射する紫外線ランプ140と、から構成される。
貯留部110、排出部130及び紫外線ランプ140は、上記紫外線殺菌照射部101と同一の構成であるので、説明を省略する。
【0054】
攪拌部120Bは、一端が貯留部110の側壁112の最上部112aに接続され、斜め下方に延びて、他端が排出部130に接続される傾斜板121Bと、傾斜板121Bの裏面側に配置され気体が流通する気体流通部122Bと、気体流通部122Bに接続され、気体流通部122Bに気体を供給するコンプレッサ123Bと、から構成される。
【0055】
傾斜板121Bには、表面から気体流通部122Bが配置された裏面に貫通する気体孔124Bが形成されている。
コンプレッサ123Bは、気体流通部122Bへの気体の供給開始及び停止を二次クーラント制御部50(図1参照)により制御される。
【0056】
攪拌部120Bに流入したクーラントは、傾斜板121Bの表面において、上流側(図6中U側)から下流側(図6中D側)に流れ、排出部130に流出する。コンプレッサ123Bから供給された気体は、気体流通部122Bを流通し、気体孔124Bから傾斜板121Bの表面において流下するクーラントの内部に吹き出る。
【0057】
図7は、図6中の一点鎖線Cで囲んだ部分の拡大図である。
攪拌部120Bに流入したクーラントは、傾斜板121Bの表面において、上流側(図7中U側)から下流側(図7中D側)へ流下する。このとき、コンプレッサ123B(図6参照)から供給された気体(図7中点線矢印c)は、気体流通部122B及び気体孔124Bを流通し、上流側から下流側へ流下するクーラントの内部に気泡(図7中点線の丸d)となって吹き出る。
このように、傾斜板121Bの表面を流下するクーラントの内部に気泡を発生すことで、攪拌部120Bを流下するクーラントを攪拌できる。
【0058】
次に、図6に戻って、紫外線殺菌照射部101Bにより二次クーラントタンク30のクーラントを殺菌する工程について説明する。
まず、二次クーラント制御部50(図1参照)は、殺菌用ポンプ104(図1参照)を動作させ、二次クーラントタンク30(図1参照)内のクーラントを、揚水し紫外線殺菌照射部101Aの貯留部110に供給する。貯留空間116に供給されたクーラントは、貯留部110の貯留空間116に徐々に貯留され、側壁112の最上部112aに達すると、溢れ出し攪拌部120Bに流入する。
また、二次クーラント制御部50(図1参照)は、コンプレッサ123Bを動作させ、攪拌部120Bに流入したクーラントの内部に気泡を発生させる。これにより、攪拌部120Bに流入したクーラントは、攪拌部120Bにおいて攪拌されながら、紫外線を照射する紫外線ランプ140の下を流下する。これにより、簡素な設備によりクーラントを均等に殺菌できるので、殺菌効率が向上する。
そして、この殺菌されたクーラントは、排出部130の排出部底面131を介して、戻り配管105から二次クーラントタンク30(図1参照)に戻される。
【0059】
本実施形態によれば、以下のような作用効果がある。
本実施形態によれば、紫外線を照射しているときに、攪拌部120、120A又は120Bにおいてクーラントを攪拌できる。また、貯留部110より溢れ出るクーラントの量を調整することで、クーラントが紫外線ランプ140に対向する位置を通過する時間を、紫外線による殺菌作用を得るのに適切な照射時間に調整することができる。
よって、透過性の低いクーラントであっても殺菌効率が良い紫外線殺菌装置を提供できる。
【0060】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
100 紫外線殺菌装置
110 貯留部
120、120A、120B 攪拌部
140 紫外線ランプ(照射手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線照射により切削油を殺菌する紫外線殺菌装置であって、
切削油を一定量貯留する貯留部と、
前記貯留部より溢れ出た切削油が攪拌されながら流下する攪拌部と、
前記攪拌部に対向配置され、紫外線を照射する照射手段と、を備える紫外線殺菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−24880(P2012−24880A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165239(P2010−165239)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】