説明

紫外線測定法、及び紫外線測定装置

【課題】特定の紫外線情報を手軽にかつ簡便に常時測定することを可能とし、同時に紫外線全量も測定できる紫外線測定方法、及び紫外線測定装置を提供すること。
【解決手段】特定の領域に分光感度を持つ紫外線受光素子を用いた太陽紫外線測定方法であって、得られた紫外線強度を任意の時間の太陽高度情報により補正して、当該任意の時間の紫外線強度を予測する紫外線測定方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活環境に存在する紫外線を容易に測定し、例えば、人体に直接作用する紫外線量などの特定の紫外線情報を取得することが可能な紫外線測定方法、及び紫外線測定装置に関するものである
【背景技術】
【0002】
近年、地球の環境問題の最大の問題の一つとして、オゾン層の破壊による地上での紫外線量が増加していることが挙げられる。このような紫外線は皮膚ガンの発生やDNAの損傷による光過敏症の増大、光老化などの健康に重大な影響を及ぼすほか、しみやそばかすなどの美容上の問題となる肌への影響が大きい。
【0003】
このため生活環境における紫外線の測定は美容や医療などで必要性が増してきた。
【0004】
これに対して、紫外線量の測定には専用の紫外線検量装置を必要とし、またこのような専用のUV測定装置を身につけることは面倒であり、このような点からも紫外線を簡単に測定することは従来できなかった。
【0005】
紫外線の生体に及ぼす影響はいろいろある。このため測定する紫外線が何を意味するのかによって紫外線量としてはいろいろな表示方法がある。紫外線全体量(290〜400nm)を示す方法、UVA領域(320〜400nm)のみ感度をもつ紫外線センサーを用いて測定する方法、さらにUVB領域(290〜320nm)にのみ感度を有する紫外線センサーを用いる方法などである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの紫外線を測定する紫外線センサーは、例えば、皮膚の日焼け症状を発生させる紅斑曲線に合致した特性では無いし、定義波長領域でデルタ関数的に切り出した測定値ではなく、特定の分光感度曲線の中で代表的な波長での感度で校正されているものである。この紅斑曲線から求められた指標はUV指数と呼ばれている。
【0007】
UV指数は正午前後の1時間の紫外線に対して紅斑曲線の重みをかけたエネルギー量である。一般にUV指数は太陽紫外線から10数段階に定量的に区分けされるが、人の感覚に合わせた言葉表現で5段階に区分されている。
【0008】
UV指数はUVBからUVA領域の波長毎に重みを付けて求められる。したがって、分光照度から求める以外には正確な値は求められず、大型の測定器によるしかなく手軽に測定できなかった。また、紅斑紫外線に合わせた分光感度の測定器では逆にUVAなどの紫外線が測定できず、しみそばかすなどの美容などに大きな影響を及ぼす窓越しの紫外線に対する注意ができなくなるなどの問題があった。
【0009】
このように、特定の紫外線情報を簡易に測定できる方法がないのが現状であり、改善が求められている。
【0010】
従って、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、任意の時間の紫外線情報を予測可能な紫外線測定方法及び紫外線測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
発明の紫外線測定装置は、特定の領域に分光感度を持つ紫外線受光素子を用いた太陽紫外線測定方法であって、
得られた紫外線強度を当該任意の時間の太陽高度情報により補正して、任意の時間の紫外線強度を予測することを特徴としている。
【0012】
太陽高度は、緯度及び/又は経度と日時により異なるため、太陽光は成層圏と対流圏を通過する時の減衰量がその透過距離により異なると共に、透過係数も波長により異なる。また、UVB波長領域や紅斑曲線が関与する紫外線領域では、オゾン層を通過する時の減衰量がその透過距離により異なると共に、そのオゾン濃度により異なる。
【0013】
そこで、第2の本発明の紫外線測定方法では、ある時間(即ちある太陽高度)で得られた紫外線強度が太陽高度依存性を有することに基づき、任意の時間の太陽高度情報により補正することで、任意の時間での紫外線強度を予測する。この結果、天気に関わらず、場所、日時に応じた、特定の紫外線情報を取得あるいは予測することができる。
【0014】
本発明の紫外線測定方法では、さらに指定された時間内で積算紫外線強度を演算することができる。また、予測された積算紫外線量に基づいて紫外線防御剤を決定することができる。
【0015】
上述のように、任意の時間での紫外線強度が求められ、これを指定された時間間で積算することで、例えば行動予定内の積算紫外線強度を予測できる。また、得られた積算紫外線強度により、例えば行動予定内に用いるべき紫外線防御剤を提案することで、効果的な紫外線予防が実施できる。
【0016】
本発明の紫外線測定装置は、特定の波長領域に分光感度を持つ紫外線受光素子と、
任意の時間の太陽高度情報を記憶する記録手段と、
得られた紫外線強度を任意の時間の太陽高度情報により補正して、任意の時間の紫外線強度を予測する補正手段と、
を有することを特徴としている。
【0017】
本発明の紫外線測定装置では、上述のように、天気に関わらず、場所、日時に応じた、特定の紫外線情報を取得あるいは予測することができる。
【0018】
本発明の紫外線測定装置においては、指定された時間内で積算紫外線強度を演算する演算手段や、予測された前記積算紫外線強度に基づいて紫外線防御剤の種類を決定する決定手段を有することができる。この構成により、効果的な紫外線予防が実施できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、任意の時間の紫外線情報を予測可能な紫外線測定方法及び紫外線測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】紫外線受光素子の分光感度、太陽スペクトル、及び紅斑曲線を示す関係図である。
【図2】本発明の実施形態に係る紫外線測定装置の構成を示す概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る紫外線測定装置の紫外線測定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る紫外線測定装置の他の紫外線測定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の紫外線測定方法について詳細に説明する。
地上に到達する太陽光の紫外線(太陽紫外線)は酸素の吸収のため、200nmよりも長波長となる。さらに成層圏オゾンによる吸収は360nmから200nmに亘っている。このなかで290nm以下のオゾンの吸収は強いため、地上に到達する太陽紫外線は290nmより長波長となる。290nmから320nmの紫外線はUVBと呼ばれ、320〜400nmをUVAと呼ばれる。
【0022】
太陽紫外線においては、同一の日時であれば天候によらずほぼUVBとUVAの比は一定であるとの報告がある。この比は主に上空の成層圏のオゾン層でのUVBの吸収量により変化する。そのため地上の紫外線は波長範囲が狭いため散乱や反射の波長による違いは無視でき、さらに天気によって多く影響されないと考えられる。また山などの高度も対流圏内にあるため影響はしない。
【0023】
そこで、第1の本発明の紫外線測定方法では、特定の分光感度を持つ(例えば200nm〜400nm)紫外線素子による太陽光強度の校正された実測値(対流圏下)に対して、太陽光スペクトルから求めた積分紫外線強度と特定波長領域における積分紫外線強度(太陽分光放射スペクトルにおける第2紫外線波長領域の第2積分紫外線強度又は太陽紫外線の分光放射スペクトルと特定の作用曲線とから求められる第3積分紫外線強度)との基準強度比を基に、この基準強度比及びこの太陽高度補正係数で補正することによって特定領域の紫外線情報を求める。つまり、例えば、特定領域における特定領域における積分紫外線強度を、太陽光スペクトルと紅斑曲線から求められた紫外線強度(紅斑紫外線強度)とした場合、測定した実測値から紅斑紫外線強度を得て、これを基に紅斑紫外線量、UV指数を求めることもできる。
【0024】
なお、UV指数は、紅斑紫外線強度を1時間単位の紅斑紫外線量(mJ/cm2)とした数値の1/10で与えられる。
【0025】
一方、第2の本発明の紫外線測定方法では、得られた紫外線強度を、任意の時間の太陽高度情報により補正して、当該任意の時間の紫外線強度を求める。例えば、ある時間(第1時間)に測定して得られた紫外線強度から任意の時間(第2時間)の紫外線強度を求める場合、例えば、太陽高度情報(太陽紫外線情報)として、第1時間及び第2時間における、太陽高度と紫外線強度の関係と観測時の天候を基にしたお天気係数、及び太陽高度補正係数で補正することで、任意の時間の紫外線強度を予測することができる。
【0026】
以下、太陽紫外線全量に校正された太陽高度α1での実測値UV0(α1)から特定の紫外線測定値(特定領域の紫外線強度)UV(λ)を求める補正についてさらに詳しく説明する。
【0027】
まず、基準となる太陽高度θで、求める特定領域における積分紫外線強度(太陽分光放射スペクトルにおける第2紫外線波長領域の第2積分紫外線強度又は太陽紫外線の分光放射スペクトルと特定の作用曲線とから求められる第3積分紫外線強度)UV1(λ、θ)は、
UV1(λ,θ)=ΣF(λ)R(λ,θ)Δλ・・・式(1)
で求められる。ここで、Fは重み(たとえば紅斑曲線)、R(λ、θ)は基準となる太陽高度θでの分光放射強度を示す。Δλは分光放射スペクトルの波長刻みである。
【0028】
次に、基準となる太陽高度θで、太陽スペクトルから求められる指定された紫外線波長領域の積分紫外線強度(第1積分紫外線強度)UV2は、例えば波長領域λが290nmから400nmで
UV2(λ,θ)=ΣR(λ,θ)Δλ・・・式(2)
で表される。ここで、R(λ、θ)は基準となる太陽高度θでの分光放射強度を示す。
【0029】
次に、実測値(UV0)を求めた太陽高度α1での、特定の波長領域に対する積分紫外線測定値UV1(λ,α1)は、基準強度比:UV1(λ、θ)とUV2(λ、θ)との比とこの基準強度比の太陽高度補正係数P(α1)から求めることができる。
UV1(λ,α1)=UV0(α1)×(UV1(λ,θ)/UV2(λ,θ))×P(α1)・・・式(3)
【0030】
次に、紅斑曲線E(λ)に対する紅斑紫外線強度も、
E(λ)=UV0(α1)×(UV1(λ,θ)/UV2(λ,θ))×P(α1)・・・式(4)
で表すことができる。なお、ここでUV1(λ,θ)=ΣE(λ)R(λ,θ)Δλであり、基準紅斑紫外線強度である。
【0031】
ここで、この基準強度比(UV1(λ,θ)/UV2(λ,θ))の太陽高度補正係数P(α1)は、太陽光が大気を横切る透過距離と透過係数とから求めることができる。この透過係数はオゾン吸収が原因であり波長依存性がある。太陽光が大気を横切る透過距離は太陽高度から計算することができる。
【0032】
即ち、太陽紫外線の分光放射スペクトルの指定された紫外線波長領域の積分紫外線強度と、太陽紫外線の分光放射スペクトルと特定の作用曲線とから求められる積分紫外線強度と、の基準強度比の太陽高度補正係数P(α1)は、太陽高度による大気透過距離と透過係数から求められる減衰の割合から求めることができる。以下、説明する。
【0033】
−太陽高度とオゾン層の透過距離−
成層圏のオゾン層を横切る透過距離は、月日の変化と日周運動による太陽高度から計算される。
【0034】
−太陽高度の計算−
太陽高度(天頂角Z)は、
cosZ=cosD’cosL’+sinD’sinL’cosH・・・式(5)
で求められる。ここで、L’は、観測者の余緯度(緯度Lの余角)、D’は極距離角(赤緯Dの余角)、Hは時角である。
【0035】
また、極距離角D’は、
cosD'=sin23.5°sinα2・・・式(6)
で求められる。
【0036】
ここで、α2=対象日の地球−太陽間を結ぶ線とその年の春分点での地球−太陽間を結ぶ線とのなす角であり、α2=n360°/365.25(nは春分から数えた日数である)である。
【0037】
また、時角Hは、
H=±360°t/24時間・・・式(7)
で求められる。ここで、tは南中時からの時間。負は南中前を表す。南中時間は地域の標準時から経度差を補正することで求めることができる。さらに正確には均時差を補正することができる。
【0038】
なお、これらの情報は、日時は日付と時間の時計機能から入手することができるし、位置情報は限られた生活地域の場合には予め設定された緯度を入力すればよいし、また人工衛星による位置測定装置により随時知ることができる。
【0039】
−透過距離による減衰量−
大気による減衰量の基本となる吸収係数は、太陽高度の異なる実測の太陽分光放射スペクトルから求めることができる。太陽からの紫外線が成層圏でのオゾンによる吸収により減衰し、対流圏の大気状態で吸収・散乱・反射などの影響を受ける。雲による散乱の波長依存性は空気分子による散乱(レーリー散乱)と異なり、波長依存性がほとんどない(Mie散乱)。
【0040】
波長による減衰の定数をあらかじめ知っていれば実測値と太陽高度の関係から紅斑紫外線量にかぎらず特定の紫外線量(特定の紫外線情報)を推定することができる。減衰の定数の一つはオゾンの吸収係数であり、影響ある波長領域は320nm以下に限られる。もう一つは散乱であり波長全域に影響する。
【0041】
−太陽高度補正係数P(α1)(太陽高度に対するオゾン吸収の影響)の計算−
【0042】
透過距離の計算:まず、太陽高度θ0(仰角)、地球の半径r0(6400km),オゾン層の上限の高さr2,オゾン層の下限の高さr1とすると、大気透過距離x(θ0)は、
x(θ0)=−r0sin(θ0)+√{(r0sin(θ0))2+(r22+2r20)}−(−r0sin(θ0)+√{(r0sin(θ0))2+(r12+2r10)}・・・式(8)
で表される。
【0043】
太陽高度の関数として透過距離は、r1=20km,r2=40kmとすると、例えば、x(80°)=20.3km、x(30°)=39.47km、x(15°)=72.75km、x(0°)=210.3km、となる。
【0044】
減衰量の計算:透過距離から吸収による減衰量Iは一般に、
I=I0exp(−kx(θ0))(ここでI0は全UV、kは吸収係数)・・・式(9)
となるから、
【0045】
全UVの散乱吸収係数をk(λ)、UVB領域のオゾン層での吸収係数をk(λb)(UVBのほかの層での吸収係数は全UVと同じとする。)、成層圏への入射強度を全UV:I0(θ0)、全UVB:Ib0(θ0)とすると、吸収されるUV:I(θ0)、吸収されたIb(θ0)は、
Ib(θ0)=Ib0exp(−k(λb)x(θ0))×exp(−k(λ)x(θ0))・・・式(10)
I(θ0)=I0exp(−k(λ)x(θ0))・・・式(11)
であり、
【0046】
太陽高度θ0での透過距離x(θ0)で吸収されたUVBとUVの比は、
Ib(θ0)/I(θ0)=(Ib0/I0)exp(−k(λb)x(θ0))・・・式(12)
で表される。
【0047】
例えば、東京の場合、分光放射照度から求めた夏の南中(80°)近くでのUVB/UVと冬の南中(30°)でのUVB/UVの比は直達の場合には5.5%と3%であり、比が異なっている。朝は太陽高度が低いため短波長紫外線が少なくなり、UVB/UV比は夏でも1%程度になる。したがって測定時のUV全量から日時を規定すればその時のUVB量を予測推定できる。オゾン濃度は春に比べると季節変化が少ないので同一とみなすことができる。
【0048】
紅斑紫外線量はUVBよりさらに短波長側となりその比の変化は大きくなる。
【0049】
ここで(Ib0/I0)とk(λb)は、太陽高度θ0の異なる太陽分光放射照度の測定値を比較することによって求めることができる。
【0050】
例えば夏至付近の太陽高度の最も高い時(θ1)の分光放射測定値と冬至付近の太陽高度の最も低い時(θ2)の分光放射測定値を用いて、各波長を積分した積分紫外線強度Ib(θ1)/I(θ1)とIb(θ2)/I(θ2)を比較することでUVBや紅斑紫外線に対するα=(Ib0/I0)とβ=k(λb)を求めることができ、この結果、測定値I(α1)に対して、その時の太陽高度α1(=θ0)が分かればUVBや紅斑紫外線強度は
Ib(α1)=I(α1)αexp(−βx(α1))・・・式(13)
で表される。
【0051】
このため、基準太陽高度γ(=θ)の値で規格化すると、
Ib(α1)=I(α1)(Ib(γ)/I(γ))exp(−β(x(α1)−x(γ)))・・・式(14)
で表せる。
【0052】
したがって、太陽高度補正係数P(α1)は、
P(α1)=exp(−β(x(α1)−x(γ)))・・・式(15)
で表され、これを変換して、
Ib(α1)=I(α1)(Ib(γ)/I(γ))P(α1)・・・式(16)
となる。
【0053】
このため、太陽高度α1でのUVBの紫外線強度、又は紅斑紫外線強度は次式により求められる。
UVB強度(太陽高度α1)=実測値(太陽高度α1)×基準強度比×太陽高度補正係数・・・式(17)
紅斑紫外線強度(太陽高度α1)=実測値(太陽高度α1)×基準強度比×太陽高度補正係数・・・式(18)
【0054】
このように、実測値UV0(α1)に、基準太陽高度γ(=θ)の時の基準強度比(UV1(α1)/UV2(α1))を乗じ、さらに太陽高度補正係数P(α1)を乗じることによって求めることができる。
【0055】
この時、基準太陽高度γ(=θ)の時の基準強度比には、特定の紫外線波長領域(例えばUVB)、或いは特定の作用曲線(例えば紅斑曲線)から求められる紅斑紫外線領域が適用される。この時基準太陽高度γ(=θ)の時の基準強度比と太陽高度補正係数は各々に対して求められたものを用いる。
【0056】
また、UV指数は紅斑紫外線量の1/10の数値で表す。紅斑紫外線量は図1に示す紅斑曲線に対する1時間当たりの紫外線量で一般的に、
紅斑紫外線量=紅斑曲線×太陽紫外線分光照度×3600秒・・・式(19)
で表される。
【0057】
即ち、紅斑紫外線量/10=UV指数・・・式(20)
であり、
Ib(γ)/I(γ)=UV指数×10/紅斑紫外線量/3600s・・・式(21)
であるから
UV指数=実測値UV0(μW/cm2)×UV指数/紅斑紫外線量×太陽高度補正係数・・・式(22)
で求められる。
【0058】
このため、測定者の生活地域(緯度情報、経度情報)と日時情報により、太陽紫外線実測値(紫外線全量)から基準強度比と太陽高度補正係数を用いることによって紅斑紫外線量が求められ、UV指数も求めることができる。
【0059】
また、太陽高度補正係数P(α1)をオゾン濃度情報に基づき求めることもできる。即ち、太陽高度補正係数P(α1)をオゾン濃度の変動に従って補正することもできる。この補正には吸収係数を補正することでよい。
【0060】
例えば、基準強度比のオゾン濃度Oz1に対してオゾン濃度Oz2の場合には補正として透過量が透過係数×濃度で決定されるため、透過量は−exp(−基準透過係数×Oz2/Oz1×透過距離)で補正することができる。オゾン濃度は人工衛星からの測定値として毎日のデータがNASAから提供されており(TOMS:Total Ozone Mapping System),そのデータを用いることができる。また毎日の測定値でも良いし、季節変動を加味した数ヶ月あるいは半年の平均的な値を用いても良い。
【0061】
以下、得られた紫外線強度から、任意の時間の太陽高度情報により補正し、任意の時間での紫外線情報の予測についてさらに詳しく説明する。ここで、得られた紫外線強度は、上記補正により求められた特定の紫外線強度でもよいし、他の方法により求められた紫外線強度であってもよい。
【0062】
まず、太陽高度(仰角)と紫外線強度は晴天時で大気がクリアな状態であれば、ほぼ一定の直線関係に近い関係が成り立っている(例えば S. Yagi, PhotoMed. Photobiol. Vol 25 p55 (2003))。この関係を用いると晴天時では、季節をとわず太陽高度したがって、緯度経度と日時から予測ができる。この関係は晴天時なので実測値からお天気係数(実測値/実測値の高度での予測値)を求め、その日の任意の時間の予測にこのお天気係数を掛けることで同じ天候を仮定すれぱ予測値が求められる。
【0063】
なお、得られた任意の時間の紫外線強度(紅斑紫外線強度)から、上述のように、任意の時間での紅斑紫外線量を求め、UV指数も求めることもできる。
【0064】
以下、実測値から紅斑紫外線強度を得て、この紅斑紫外線強度を基に紅斑紫外線量Eを求め、UV指数を求める一例を具体的に示す。
【0065】
ここで、多結晶窒化ガリウム半導体による紫外線測素子(富士ゼロックス製UVケアメイトに備えられた紫外線測素子)を利用した紫外線測定装置を使用して太陽紫外線を測定して実測値UV0を求めている。この紫外線測定装置は実測値が標準光源の290から400nmの紫外線全量に一致するように調整されている。この測定装置の感度領域は280nmから410nmであるが、たとえば330nmから400nmの波長区間で感度のあるものであっても測定した結果は290nmから400nmの波長範囲の紫外線強度に等しくなる。
【0066】
測定した実測値からUVBを求めるには、まずUVB紫外線量を求める。
前記電総研田無市水平データから太陽高度(仰角)77°での分光測定値を基準太陽紫外線とする。
【0067】
夏至付近(77°1979 6.23)では、290から320nmの範囲のUVB
Ib(77)/I(77)=0.0132=(Ib0/I0)exp(−k(λb)x(77))・・・式(23)
と表される。
【0068】
このようにして全紫外線量に対して、太陽高度77°での基準UVB紫外線比(基準強度比)は0.0132である。
【0069】
また、測定した実測値からUV指数を求めるには、、紅斑紫外線量Eに対して、太陽高度情報による補正を行う。ここで、紅斑紫外線強度量/全UVの基準強度比の太陽高度補正係数は、太陽高度に対する大気透過係数と距離から求める。
【0070】
電総研田無市水平データを使用した。UVは290〜400nm全体の照度を用いる。
【0071】
夏至付近(77°1979 6.23)では、
Ib(77)/I(77)=0.0050=(Ib0/I0)exp(−k(λb)x(77))・・・式(24)
と表される。このようにして全紫外線量に対して、太陽高度77°の基準紅斑紫外線比(基準強度比)は0.005である。
【0072】
冬至付近(31°1979 12.22)では、
Ib(31)/I(31)=0.0023=(Ib0/I0)exp(−k(λb)x(31))・・・式(24−1
と表される。
【0073】
これらから、紅斑紫外線領域のオゾン層での平均吸収係数k(λb)は、
−k(λb)=ln(0.0050/0.0023)/(x(77)−x(31))=−0.0434/km・・・式(25)
と求められる。
【0074】
さらに、Ib0/I0は、
Ib0/I0=0.0050/exp(−k(λb)x(77))
=0.0122・・・式(26)
と求められる。
【0075】
この結果、任意の太陽高度θ0での紅斑紫外線とUVの比Cは、透過距離x(θ0)の関数として
C=Ib(θ0)/I(θ0)=(0.0122)exp(−0.0434×x(θ0))・・・式(27)
で表される。
UVBに対しても同様な方法で求めることができる。
【0076】
つぎに太陽高度による透過距離を計算して、紅斑紫外線とUV比の太陽高度依存性を求める。
オゾン層透過距離x(θ0)は、太陽高度θ0(仰角)に対して、地球の半径r0を6400km、オゾン層の上限の高さr2を40km、オゾン層の下限の高さr1を20kmとし、前述の基準太陽分光放射スペクトル(南中高度77°田無市データ)の積分紫外線強度から求めた紫外線全量と紅斑紫外線量の比を基準とすると、例えば、太陽高度30°では透過距離が40kmであるため太陽高度補正係数Cは0.44であり、太陽高度50°では透過距離が26kmであるため太陽高度補正係数Cは0.78となる。
【0077】
このため、例えば、同じ観測日で太陽高度が30°の時間であれば、
紅斑紫外線強度(30°)=実測値UV0(30°)×0.005×0.36・・・式(27−1
と求まる。
【0078】
したがって、
紅斑紫外線量(mJ/cm2)=実測値UV0(30°)(μW/cm2)×1/1000×0.005×3600s×0.36・・・式(28)
で求められる。
【0079】
UV指数は紅斑紫外線量の1/10なので、実測値UV0(α1)が例えば5000μW/cm2の時の78°(=α1)ではUV指数は9,30°ではUV指数は4となる。このように場所と日時がわかればUV測定値から紅斑紫外線量やUV指数を求めることができる。
【0080】
この関係は天候に左右されず、ほぼ±20%以内の誤差で成り立つ。また、本方法を用いることにより、紫外線全量の実測値からUVBとUVAを分離することができる。UVBに関しては前述した紅斑紫外線と同じく、基準UV紫外線量と基準太陽紫外線全量との比をもとに同様にして大気透過係数を求め、同様にして太陽高度補正を行うことによってUVBを求めることができる。即ち、UVA=UV実測値−UVBである。
【0081】
次に、得られた紅斑紫外線強度から、任意の時間の太陽高度情報による補正により、任意の時間での紅斑紫外線強度を求める一例を具体的に示す。
例えば、晴天の夏の太陽高度が30°の時の紫外線強度の測定値が2500μW/cm2であるとき、太陽高度補正をして前述のごとく求めた紅斑紫外線強度は5μW/cm2である。お天気係数は例えば2500/3000(30°の予測値)であり、数時間後の太陽高度60°の時の予測値6000μW/cm2からもとめた紅斑紫外線強度24μW/cm2に対してお天気係数(2500/3000)を掛けたものがその日の予測された紅斑紫外線強度(20μW/cm2)であり、同様に別の時間の予測値を求めることができる。また、お天気係数は天気予報からおおよその値を求めることもできる。
【0082】
また、求めた任意の時間での紅斑紫外線強度に基づき、指定された時間内で積算して、積算紅斑紫外線強度も求めることができる。
【0083】
このように求めた紅斑紫外線量や、積算紅斑紫外線強度を基にして、必要な紫外線防御時間を得るための紫外線防御剤(サンスクリーン化粧品)の種類を提案することもできる。これは、肌の日焼けに対する最小紅斑紫外線量(MED)を基にして、肌が赤くなる時間を求めることや、必要な日焼け防御時間を得るための紫外線防御剤のSPF値(紫外線防御指数)又はPA値(UV−A防御指数)を求めることができる。これにより、例えば、1日の行動計画において、得られた紫外線情報を基にして、予め外出する前に必要な紫外線防御剤知ることが可能となり、効果的な紫外線防御が行える。
【0084】
ここで、紅斑紫外線量や、積算紅斑紫外線強度から、SPF値、PA値は次のようにして求められる。
SPF値は紅斑紫外線防御の程度を示すものであるので例えば行動予定時間内の積分紅斑紫外線積分強度が求められればその日の戸外での活動時間を4時間とするとその時の最小紅斑量(MED:肌が赤くなる紫外線量)になるようにするためのサンスクリーン剤を指定することができる。例えば紅斑紫外線量が4時間で400mJ/cm2(UV指数が10で4時間)の時は最小紅斑量が10mJ/cm2の人(常に赤くなる肌タイプ)に対しては1/40の防御が必要であるからSPF40を指定することができる。
【0085】
またPA値に対しては、同様に指定時間内のUVA紫外線強度に対して三段階でその防御に必要な値を指定する。たとえばPA+、PA++、PA+++は最大レベルを10としてその時のUVA強度を7500μW/cm2とするとPA+は2−3で1000から2500μW/cm2、PA++は4−7で2500から5500μW/cm2、PA+++は5500μW/cm2以上と関係がつけられる。このUVAの予測値は上記の紅斑紫外線量と同様に基準UVB/全紫外線強度比と太陽高度補正係数を用いて求められたUVB強度を全紫外線強度から減算することで求められる。簡易的には全紫外線量で代用しても良い。例えば、観測された4000μW/cm2のUVAに対してはPA++のサンスクリーンを使用することを提案する。
【0086】
以下、本発明の実施形態に係る紫外線測定装置ついて、図面を参照してさらに詳細に説明する。なお、実質的に同様の機能を有するものには、全図面通して同じ符号を付して説明し、場合によってはその説明を省略することがある。
【0087】
図2は、本発明の実施形態に係る紫外線測定装置の構成を示す概略構成図である。
【0088】
本実施形態の紫外線測定装置10は、各種情報を表示するための液晶ディスプレイ16(表示手段)と、紫外線の物理量として紫外線情報を検知する紫外線受光素子18と、当該紫外線測定装置10のユーザからの各種情報を入力するための操作パネル20(操作手段:例えば、電源スイッチ、モード切換スイッチ、設定スイッチなど)と、当該紫外線測定装置10によって測定された紫外線強度を示す紫外線情報の出力及び図示しない情報端末装置からの各種情報の入力を可能とするデータ入出力端子22と、を含んで構成されている。
【0089】
紫外線受光素子18としては、可視域に感度があるGaPやSiなどのフォトダイオードなどをフィルターで可視部をカットした紫外線受光素子を用いることができるし、酸化チタンや酸化亜鉛などの酸化物半導体で構成される紫外線受光素子を用いることもできる。紫外線受光素子18としては、光応答が速く、吸収域を組成によって調整でき、表示部に余分なスペースを必要としない小型で薄型などの点や色などのデザイン性に優れた窒化物系化合物半導体で構成された紫外線受光素子が特に望ましい。
【0090】
ただし、本実施形態では、太陽紫外線では散乱の寄与が大きいため、紫外線受光素子18は入射角特性が余弦則に合ったものが望ましい。これは、散乱係数はレーリーの法則で表されるために、散乱係数=定数/(波長)4で表され、快晴時に340nmと300nmでは後者で1.7倍となり、500nmと比べると紫外線は5倍から8倍の散乱係数を持ち散乱の影響が大きくなるからである。また表示される数字は、太陽分光放射スペクトルの積分紫外線量の値に校正されたものを用いる。
【0091】
液晶ディスプレイ16には、セイコーエプソン株式会社の表示モジュールであるSEK1054Bを適用している。この表示モジュールは、ドットマトリクス型の液晶表示モジュールであり、96ドット×32ドットの表示面に任意の情報を表示することができ、文字やグラフ等の表示が可能であり、例えば、測定後その場で簡単なグラフを表示することができ、図示しない外部入出力装置にデータを出力することなく直感的に照度分布等を確認することができる。表示手段には、これに限らず、他の液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイ等のあらゆるディスプレイを適用することができる。
【0092】
一方、紫外線測定装置10には、内部回路32が備えられている。内部回路32は、紫外線測定装置10全体の動作を司るCPU34(中央演算処理装置:補正手段)、各種情報を記憶するためのメモリ38(記憶手段)、入力されたアナログ信号をデジタルデータに変換して出力するアナログ/デジタル変換器40(以下、「A/D変換器」という)、入力されたアナログ信号を増幅する増幅回路42、内部回路32の各部に駆動用電力を供給する充電式電池44、及び充電式電池44を充電するときその電圧などを制御するための電源制御回路46を含んで構成されている。なお、同図では錯綜を回避するために、充電式電池44から各部への電力供給路を示す接続線は図示を省略している。
【0093】
内部回路32には、太陽高度取得手段として、位置情報を取得するGPS(Global Positioning System)受信器24と、日付及び時刻を計時するカレンダ/時計36と、を含んで構成されている。
【0094】
CPU34には、GPS受信器24が接続されている。GPS受信器24は、地球上を周回する複数の衛星(一般に4つの衛星)からの電波を受信する不図示のアンテナが内蔵されると共に当該アンテナによって受信し、電波が到達するまでの時間を求め、それから各衛星までの距離を演算することで位置情報(本実施形態では、緯度、経度の1次元の情報)を取得するものである。このため、CPU34は位置情報を随時知ることができる。
【0095】
CPU34には日付及び時刻を計時するカレンダ/時計36が接続されている。CPU34はカレンダ/時計36によって計時されている日時情報(月、日、時間)を随時知ることができる。なお、カレンダ/時計36をCPU34に内蔵しておき、ソフトウェアで同様の動作を実現してもよい。
【0096】
また、CPU34にはメモリ38が接続されており、CPU34はメモリ38に対する各種情報の書込み及び読出しを行うことができる。更に、CPU34には液晶ディスプレイ16が接続されており、CPU34は液晶ディスプレイ16に対して各種情報を表示することができる。また、CPU34には操作パネル20の各スイッチが接続されており、CPU34は各スイッチのユーザによる押下状態を随時検知することができる。
【0097】
一方、紫外線受光素子18のセンサ出力端子は増幅回路42を介してA/D変換器40の入力端に接続され、A/D変換器40の出力端はCPU34に接続されている。
【0098】
また、CPU34にはデータ入出力端子22が接続されており、CPU34はデータ入出力端子22を介して各種情報の入出力を行うことができる。なお、データ入出力端子22はCPU34への接続以外に、メモリ38にも直接接続されており、紫外線測定装置10はデータ入出力端子22を介して、外部からメモリ38に直接各種情報を書込むことができると共に、メモリ38から外部へ直接各種情報を読み出すことができるように構成されている。また、データ入出力端子22は、充電式電池44にも電源制御回路46を介して接続されており、紫外線測定装置10は電源制御回路46で電圧などを制御し、データ入出力端子22を介して充電式電池44への充電も行なわれる。
【0099】
紫外線測定装置10では、CPU34が常時安定して駆動する必要があり、本実施形態のように充電式電池44によって駆動させるためには、CPU34として低消費電力でかつ十分な処理能力が得られるものを適用する必要がある。そこで、この必要性に対応すべく、本実施形態では、CPU34として日立セミコンダクター社製の「H8/3827R」を適用している。この「H8/3827R」は、演算用のプログラム、一次記憶用の揮発性メモリーの他、アナログ/ディジタル変換回路(図中、A/D変換器40に相当)が内蔵されており、これによって部品点数を削減することができ、装置の低コスト化及び小型化の双方を図ることができる。
【0100】
また、メモリ38には、例えば、米国microchip technology社の記憶素子である24LC256を適用することができる。この記憶素子は、小型であるにもかかわらず大容量であるので、紫外線測定装置10を小型化することができる。
【0101】
ここで、紫外線測定装置10におけるメモリ38の記憶内容について説明する。
【0102】
メモリ38には、測定データ(紫外線強度)に関する各種情報を記憶するための部分であるヘッダ部と、実際の測定データを記憶するための部分である測定データ部と、演算用のプログラムを記憶するための部分であるプログラムデータ部と、各種設定値を記憶するための部分である設定値部と、が設けられている。これらプログラムデータ部及び設定値部には、実測値を補正するための上記数式(例えば、式(17)、式(18)、式(20)、式(22)等)に基づく各種演算用プログラム(例えば特定の紫外線波長領域の紫外線強度(例えば紅斑紫外線強度)、紅斑紫外線量やUV指数を求めるためのプログラム)、及び各種設定値(例えば、太陽高度情報、太陽高度補正係数、基準太陽紫外線強度、UV指数、各地域のオゾン濃度情報、PFA値やPA値に応じた紫外線防御剤種など)が記憶されている。
【0103】
なお、本実施形態では、測定データの外部への漏洩を防止するために測定データに対して所定の暗号化方式にて暗号化を施した後に測定データ部に記憶している。上記ヘッダ部には、このときの暗号化方式を示す情報等が記憶される。なお、暗号化方式は、特に限定されることはなく、種々の技術を適宜選択することができる。
【0104】
次に、図3及び図4を参照して、紫外線測定装置10による紫外線測定処理の作用を説明する。なお、図3は、CPU34で実行される紫外線測定処理の流れを示すフローチャートである。即ち、補正手段、演算手段、決定手段はこのCPU34に相当する。
【0105】
なお、ここでは、実測値から紅斑紫外線強度を求め、これから紅斑紫外線量及びUV指数を求めるときの紫外線測定処理を説明するが、特定の波長領域の紫外線強度としては、紅斑紫外線強度に限られず、例えば、UVB領域の紫外線強度でよい。
【0106】
図3のステップ100では、紫外線受光素子18により紫外線測定を行ない、紫外線量の実測値(UV測定値)を取得し、取得した情報(実測値)をメモリ38の測定データ部の未記憶領域に記憶する。そして、ステップ102に移行する。
【0107】
ステップ102では、GPS受信器24から位置情報(緯度情報)取得し、カレンダ/時計36から日時情報(月、日、時間)を取得し、さらにメモリ38からステップ100で取得した情報(実測値UV0)、紅斑紫外線強度を求めるための各種設定値を読み出し、実測値を基準強度比及びこの太陽高度補正係数で補正し、紅斑紫外線強度を求め、取得した情報をメモリ38の測定データ部の未記憶領域に記憶する。そして、ステップ104に移行する。
【0108】
ステップ104では、メモリ38からステップ102で取得した情報(紅斑紫外線強度)、これから紅斑紫外線量やUV指数を求めるための各種設定値を読み出し、紅斑紫外線量やUV指数を求め、取得した情報をメモリ38の測定データ部の未記憶領域に記憶する。そして、処理を終了する。
【0109】
また、図4に示すステップ200では、上記ステップ102で求めた紅斑紫外線強度をメモリ38から読み出す。そして、ステップ202に移行する。
【0110】
ステップ202では、メモリ38に予め記憶させておいた任意の時間での紅斑紫外線強度を求めるための各種設定値(任意の時間での太陽高度情報)を読み出し、取得した紅斑紫外線強度を、任意の時間での太陽高度情報により補正し、紅斑紫外線強度を求め、取得した情報をメモリ38の測定データ部の未記憶領域に記憶する。そして、ステップ204に移行する。
【0111】
ステップ204では、メモリ38からステップ202で取得した情報(任意の時間での紅斑紫外線強度)、これから紅斑紫外線量やUV指数を求めるための各種設定値を読み出し、紅斑紫外線量やUV指数を求め、取得した情報をメモリ38の測定データ部の未記憶領域に記憶する。そして、処理を終了する。
【0112】
また、図示しないが、紅斑紫外線量や積算紅斑紫外線強度を基に、PFA値やPA値を求め、メモリ38に予め記憶された紫外線防御剤のPFA値やPA値と対比させ、必要な紫外線防御剤を求めることもできる。
【0113】
ここで、メモリ36に記憶された情報や、取得した情報は、液晶パネルディスプレイ16に表示される。
【0114】
なお、以上説明した紫外線測定装置10の紫外線測定処理は、上記本発明の紫外線測定方法に従って行われる。
【0115】
本実施形態の紫外線測定装置10は、携帯機器(例えば、時計、携帯電話、携帯電子メール器、携帯ナビケーター、携帯コンピュータ)と一体的に設けた形態とすることもできる。
【0116】
この場合、紫外線受光素子18に対しては、電極間に流れる光起電流として取り出すこともできるし、電圧を印加することによって光電流を取出すこともできるが、携帯機器の電力を消費しない観点から、紫外線受光素子18は光起電流型が好ましい。
【0117】
また、本実施形態の紫外線測定装置10では、紫外線受光素子18を携帯機器の表示素子の上に設けられている窓材の裏側に貼りつけるように設置してもよいし、窓材と表示素子面の間に設けてもよい。また、紫外線受光素子18を表示素子面に貼りつけてもよく、また、独自の入射窓を用意した場所に設置してもよい。
【0118】
本実施形態の紫外線測定装置10では、GPS受信器24により位置情報を取得していたが、これに限定されず、予め、任意の位置情報をメモリ38に記憶させておき、ユーザの指定により所望の位置情報を読み出す形態としてもよいし、PHS(Personal Handy−phone System)を利用して位置情報を取得する形態でもよい。
【0119】
なお、上記実施形態は、限定的に解釈されるものではなく、本発明の要件を満足する範囲内で実現可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0120】
10 紫外線測定装置
16 液晶ディスプレイ
18 紫外線受光素子
20 操作パネル
22 データ入出力端子
24GPS受信器(太陽高度情報取得手段)
32 内部回路
36 カレンダー/時計(太陽高度情報取得手段)
38 メモリ(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の領域に分光感度を持つ紫外線受光素子を用いた太陽紫外線測定方法であって、
得られた紫外線強度を任意の時間の太陽高度情報により補正して、当該任意の時間の紫外線強度を予測することを特徴とする紫外線測定方法。
【請求項2】
指定された時間内で積算紫外線強度を演算することを特徴とする請求項1に記載の紫外線測定方法。
【請求項3】
予測された前記積算紫外線強度に基づいて紫外線防御剤の種類を決定することを特徴とする請求項1に記載の紫外線測定方法。
【請求項4】
特定の波長領域に分光感度を持つ紫外線受光素子と、
任意の時間の太陽高度情報を記憶する記録手段と、
得られた紫外線強度を任意の時間の太陽高度情報により補正して、当該任意の時間の紫外線強度を予測する補正手段と、
を有することを特徴とする紫外線測定装置。
【請求項5】
指定された時間内で積算紫外線強度を演算する演算手段を有することを特徴とする請求項4に記載の紫外線測定装置
【請求項6】
予測された前記積算紫外線強度に基づいて紫外線防御剤の種類を決定する決定手段を有することを特徴とする請求項4に記載の紫外線測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−175559(P2010−175559A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86907(P2010−86907)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【分割の表示】特願2004−128702(P2004−128702)の分割
【原出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】