説明

紫外線硬化型インクジェット記録装置とそのインク接液部材

【課題】紫外線硬化型インク、特にカチオン重合タイプの紫外線硬化型インクに対しても十分な耐性があり、寸法変形が少なく、柔軟性、弾性、強度を長期に渡って維持でき、インクへ悪影響を与えない安価なインク接液部材及び当該接液部材を用いた紫外線硬化型インクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】紫外線硬化型インクジェット記録装置1に用いるインク接液部材であって、当該インク接液部材を60℃のインクに1週間浸漬後の圧縮永久歪が15%以下、引き裂き強度が10N/mm以上、及び引張り強度が5MPa以上(JIS K6249)となる弾性体であることを特徴とするインク接液部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型インクジェット記録装置に関し、特に、長期間使用しても弾性や強度が劣化せず、インクに悪影響を与えない優れたインク接液部材に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式には、水性インク、油性インク、溶剤インク、紫外線硬化型インク(「UV硬化型インク」、「UVインク」ともいう。)など、様々なインクを用いる方法がある。
【0003】
紫外線線硬化型インクジェット記録方式は、インク吸収性の乏しい基材に対しても画像形成する方法として、近年注目を集めている。これらには、水、水性溶剤、各種有機溶剤にて反応性のモノマーを希釈した溶剤タイプと、硬化後溶剤が残らない無溶剤タイプとがあり、近年は、無溶剤型のインクが注目されている。
【0004】
紫外線硬化型のインクとしては、アクリレートモノマーを主体としたラジカル重合性のインクと、エポキシモノマーやオキセタンモノマーを主体としたカチオン重合性のインクが知られている。
【0005】
しかしながら、紫外線硬化型のインクに用いるアクリレートモノマー、エポキシモノマー、オキセタンモノマーなどは、従来の水性インク、油性インク、溶剤インクに用いられてきた希釈溶剤とは大きく異なる性質を示し、インクジェットヘッドのクリーニング、送液、インク貯蔵などに関して、特に長期の耐久性には多くの問題を抱えていた。モノマーはプラスチックの添加剤として用いる可塑剤に近い性質を持っており、多くのプラスチックと相溶しやすい。その為、これらのインクと接触する部材として、従来から用いられているような部材を用いると、紫外線硬化型のインクによって変質し、その機能を発揮できない。
【0006】
これらのモノマー成分は従来の希釈溶剤に比べて、送液系に用いる構成部材を著しく溶解、膨潤させやすいために、キャッピング性の劣化、クリーニング性の劣化、配管部材は送液性の劣化、インクタンクの変形などの問題が生じていた。
【0007】
また、溶出成分によっては、インクジェットノズルの詰まりを生じさせる、紫外線による硬化感度が低下するといった問題も生じることが分かった。
【0008】
特に、エポキシモノマー、オキセタンモノマー、ビニルエーテルモノマーなどを用いたカチオン重合性のインクは、ラジカル重合性のインクに比べて臭気、感度、基材への密着性などの点で利点があるものの、様々なプラスチック部材に対する侵食性、膨潤性が大きく、寸法変形、弾性力の低下、強度低下、インクへのプラスチック添加剤の溶出など、様々な問題を引き起こすという問題があった。
【0009】
これらの問題に関し、紫外線硬化型インク耐性の高い部材として、インク浸漬前後の質量変化率の小さい部材が、具体的にはオレフィン系部材が、提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0010】
しかしながら、上記のインク耐性のあるオレフィン部材を、送液チューブやパッキング、ブレードといった稼動部材もしくはゴム弾性を必要とする部材として使う場合、十分な柔軟性や弾性を持たせることが難しかった。また、オレフィン系でも柔軟性や弾性を持たせた殆どの素材はインク耐性が劣化する。一方、パーフルオロゴム(FFKM;パーフルオロエラストマー)は、優れた耐インク性を有し、かつ柔軟性と弾性を持つため優れた部材であるが、非常に高価である。このため、紫外線硬化型インクジェット記録装置においては、インク耐性があり、変形可能で柔軟性と強度を有し、安価な接液部材の選定、確保が課題となっている。
【特許文献1】特開2004−98553号公報
【特許文献2】特開2004−188903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、紫外線硬化型インク、特にカチオン重合タイプの紫外線硬化型インクに対しても十分な耐性があり、寸法変形が少なく、柔軟性、弾性、強度を長期に渡って維持でき、インクへ悪影響を与えない安価なインク接液部材を提供することにある。また、当該接液部材を用いた紫外線硬化型インクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
【0013】
(1)
紫外線硬化型インクジェット記録装置に用いるインク接液部材であって、当該インク接液部材を60℃のインクに1週間浸漬後の圧縮永久歪が15%以下、引き裂き強度が10N/mm以上、及び引張り強度が5MPa以上(JIS K6249)となる弾性体であることを特徴とするインク接液部材。
【0014】
(2)
前記インク接液部材が、重合度3,000〜10,000の線状ポリマーを主成分とし、使用時に加硫剤を添加することにより加熱硬化する弾性体であることを特徴とする前記(1)に記載のインク接液部材。
【0015】
(3)
前記インク接液部材が、弾性体として、ミラブル型シリコーンゴムを含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のインク接液部材。
【0016】
(4)
前記インク接液部材が紫外線遮光機能を付与されていることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のインク接液部材。
【0017】
(5)
前記インク接液部材が空気遮断機能を付与されていることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のインク接液部材。
【0018】
(6)
紫外線硬化型インクジェット記録装置において、前記(1)〜(5)のいずれかに記載のインク接液部材が送液チューブ、吸引ポンプ、Oリング、キャッピング部、ノズルブレードのいずれかにインク接液部材として用いられていることを特徴とする紫外線硬化型インクジェット記録装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明の上記構成をとることにより、紫外線硬化型インク、特にカチオン重合タイプの紫外線硬化型インクに対しても十分な耐性があり、寸法変形が少なく、柔軟性、弾性、強度を長期に渡って維持でき、インクへ悪影響を与えない安価なインク接液部材を提供すること及び当該改良された接液部材を用いた紫外線硬化型インクジェット記録装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明及びその構成要素等について詳細に説明する。
【0021】
(インク接液部材)
インクジェット記録装置において、本発明のインク接液部材、即ち、インクと接触する部材であって、柔軟性や弾性を必要とする部材としては、詳細については後述するが、送液チューブ(配管)、吸引ポンプ、Oリング、キャッピング部、ノズルブレード等のインク接液部位を構成する素材を挙げることができる。
【0022】
本発明のインク接液部材の物性としては、当該インク接液部材を60℃のインクに1週間浸漬後の圧縮永久歪が15%以下、引き裂き強度が10N/mm以上、及び引張り強度が5MPa以上(JIS K6249)となる弾性体であることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、特に弾性を必要とする部材として、長期間インクに接触してもインクの凝集、ゲル化、増粘といった問題を起こさずに、接液部材として好ましい弾性を維持できる接液部材を見出した。なお、弾性を必要とする接液部材とは、上記の送液チューブ(配管)、吸引ポンプ、Oリング、キャッピング部、ノズルブレード等のように、変形可能で、かつ応力緩和後に元の形状に戻る機能が要求される接液部材をいう。
【0024】
発明のインク接液部材として用いることができる構成素材の具体例としては、例えば、二トリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、フッ素ゴム(FKM)、パーフルオロゴム(FFKM)、ミラブル型シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム(VQM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、ブチルゴム(IIR)、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSM)、エピクロロヒドリンゴム(CO,ECO)、クロロプレンゴム(CR)等を挙げることができる。
【0025】
なお、当該インク接液部材は、重合度3,000〜10,000の線状ポリマーを主成分とし、使用時に加硫剤を添加することにより加熱硬化する弾性体であることが好ましい。この観点等から、上記の素材のうち、本発明において、特に好ましく用いられる素材は、ミラブル型シリコーンゴムである。ここで、ミラブル型シリコーンゴムとは、重合度3,000〜10,000の線状ポリシロキサンポリマーを主成分とし、シリカ系補強性充填剤、湿潤剤、各種添加剤などを配合したもので、使用時に加硫剤を添加することにより加熱硬化するタイプのゴムであり、一般の有機ゴムと同様に、可塑化、加硫剤添加、ロールミルを用いるロール作業を経て成形加工されるために、ミラブル型と呼ばれているものである。本発明では、ミラブル型のシリコーンを用いることにより、加硫することで、特に良好なインク耐性を得ることができる伴に、弾性、強度、及びゴム添加剤のインクへの溶出を改善することができる。
【0026】
なお、本発明に係るインク接液部材には紫外線遮光機能を持たせることが好ましいが、そのための方法としては、例えば、当該部材にカーボンブラックなどの遮光性の化合物を混合するか、遮光性の別の部材で被覆する方法がある。
【0027】
更に、インク接液部材として、ミラブル型シリコーンゴムを用いた場合には、欠点としての高い空気透過性を改良するために、空気遮断機能を持たせるべく、空気透過性の低い素材で当該部材を被覆することが好ましい。
【0028】
(インクジェット記録装置)
次に、本発明に係るインクジェット記録装置における上記接液部材の位置づけ、機能、及び本発明の意義等についての理解をし易くするために、本発明に係るインクジェット記録装置について説明する。
【0029】
図1は本発明に係るインクジェット記録装置1の主要構成の一例を示す概略図である。本発明に係るインクジェット記録装置は、被記録材として、インク吸収性の乏しい、例えばプラスチックフィルムのような基材や、特別にインク受容性を付与させていない印刷用紙、金属類、木材、ガラス類などの基材にインクを吐出し印刷を行うものであり、その印刷を行う部分の主要構成として、図1に示すように、基材2を印刷時に前方へ搬送させる搬送手段(図示省略)と、前記基材2に、各色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))に応じてインクを吐出する複数の記録ヘッド3と、該複数色毎の記録ヘッド3から吐出されたインクを硬化させるための、前記基材2に紫外線を照射するためのUV光源(光照射手段)41を収納するキャリッジ4と、前記記録ヘッド3のメンテナンスを行う、吸引のためのキャッピング部51及びクリーニング部52を有するメンテナンスユニット5と、印刷時或いはメンテナンス時などにキャリッジ4を水平方向(矢印A)に沿って案内するガイドレール6と、前記キャリッジ4の待機所となる保湿キャップ71を有するホームポジション7と、これら各部の制御を行う制御部(図示省略)等を備えている。T0はインク供給のためのインクタンクであり、該タンクT0から送られた各インクは一旦サブタンクTに蓄えられたうえ、供給弁Vを通して、インク供給路Pを通って記録ヘッドに送られる構成となっている。
【0030】
サブタンクTは記録ヘッドにおけるインクの背圧を調整するために、通常、記録ヘッドのより下の位置に設けられる中間タンクである。中間タンクとしては、このほか記録ヘッドのより近くに設けられ、やはり、走査時、走査後にキャリッジの移動によって、インク背圧が急激に変化するのを緩和するためのダンパーの役割をする中間ダンパー(図1には示されていないが)などが中間タンクとしてあげられる。
【0031】
搬送手段は、印字、UV照射後に、キャリッジ4の動作にタイミングを合わせて、基材2を印字(画像形成)領域C上で搬送し、画像信号による記録ヘッドからのインクによる印字、印字後のUV光源41による紫外線照射を行い、終了に応じて、基材2を印字領域から下方(矢印B)に向かって搬送する。
【0032】
また、ここに図示されてはいないが、走査により印字、UV照射を受けた基材2は、印字領域後に、基材が搬送される下流位置にさらに第2の光源を取り付け、照射を行ってもよい。
【0033】
記録ヘッドは、ヘッド基板、インク吐出本体部、該インク吐出本体部近傍で温度を測る温度センサー(温度測定手段)、また吐出口の目詰まりを検知するための吐出口センサー等を有し、これらインク吐出部本体部やセンサーに信号の入出力を行うフレキシブルケーブルが接続された構成となっている。インク吐出本体部のインク吐出面には、インク吐出口が、基材2に対向してインク吐出面のセンターラインに沿って複数設けられ、この吐出口は、インクノズル(流路)に連通している。また、本発明において記録ヘッド或いは記録ヘッド内のインク流路、また送液チューブ(配管)等、特に記録ヘッドは、本発明に係るインクの場合、インクの流動性が保てるように、前記のように保温或いは加温できるようにされている。
【0034】
図2は前記複数の記録ヘッド3およびUV光源41を備えたキャリッジおよびメンテナンスユニットが記録ヘッドに対向した状態を示した図である。
【0035】
キャリッジの両端にはUV光源41が、また記録ヘッド3の基材2に対向する面は複数のインク吐出口を有するインク吐出面31がある。
【0036】
またメンテナンスユニット5には、吐出面31の吐出口を覆って、吐出口からインクを吸引するキャッピング部51と、当該キャッピング部51によるインクの吸引が行われた後に、吐出面31に残るインクを拭き取るためのブレード52aおよびインク吸収体52bからなるクリーニング部52が示されている。
【0037】
インク吸引のためのキャッピング部51は、複数(本実施の形態では2個)並んで設けられており、メンテナンス時において、一度に複数個の記録ヘッド3の吸引を行うことを可能としている。
【0038】
制御部は、記録ヘッド3が基材2に所定量画像形成(或いは印字)を行った後や、吐出口センサーが吐出口の目詰まりを検知した後、あるいはインクジェット記録装置1の電源投入時等を、開始タイミングとして、記録ヘッド3のメンテナンスを開始する。
【0039】
メンテナンスの開始タイミングで、制御部は、図2に示すように、キャリッジ4を制御して、記録ヘッド3の吐出面31とキャッピング部51とを対向させる。その後、移動手段を制御して、キャッピング部51と記録ヘッド3の吐出面31とが密閉するまで、メンテナンスユニット5を上方(矢印D)へと移動させる。
【0040】
図3にこの状態を示した。図3の(a)にはキャッピング部51の斜視図を示したが、キャッピング部本体51aとキャップ壁部51b、またインクを吸引ポンプ54を介して廃インクタンク55まで導くための貫通孔51cを備えた構成となっている。また、図3(b)は当該キャッピング部を、記録ヘッドのインク吐出面31に対向させたところを、又、メンテナンスユニット5が上方(矢印D)へ移動し、キャッピング部を吐出面31に密着させ、密閉する様子を断面図で示した。キャップ壁部は弾性を備え、吐出面31と密着できる材料が好ましい。このように、キャッピング部はインク吸引時に記録ヘッド3の吐出口を囲んで、弾性変形しながら吐出面31に接触する。
【0041】
キャッピング部51が記録ヘッド3の吐出口を覆って、吐出面31を密閉すると、制御部は、吸引ポンプ54を制御して、キャップ部51を介して、吐出口からインクを吸引する。吸引されたインクは送液チューブ(配管)54aを通して、廃(回収)インクタンク55に流す。
【0042】
吸引が終了すると、移動手段が、記録ヘッド3の吐出面31がキャッピング部51の先端よりも下となるように、メンテナンスユニット5を下方(矢印E)へと移動させて、キャッピング部51を吐出面31から離間させる。
【0043】
キャッピング部51の離間が完了すると、制御部は、キャリッジ4を制御して、記録ヘッド3をその場に停止させるとともに、移動手段を制御して、メンテナンスユニット5を右方向(矢印F)に移動させる。
【0044】
この移動時に、クリーニング部52のブレード52aは、吐出面31を摺擦して、インクを拭き取り清掃しながら、記録ヘッド3を通過する。この際、ブレード52aは、弾性変形して、吐出面31をまんべんなく清掃する。これにより、吐出面31に残留していたインクは、ブレード52aの摺擦面に拭き取られ付着する。またブレード52aに付着したインクは、吸収体52bへと向かって流下し、吸収体52bにより吸収される。図4はクリーニング部52の構成の一例を示したもので、ブレード52a、拭き取ったインクを吸収するインク吸収体52b、およびブレード52aが固定された吸収体開口部52cを含むクリーニングユニットの構成を示す概略図である。
【0045】
吐出面31が清掃されると、記録ヘッド3の吐出面31がブレードの先端よりも上となるように、メンテナンスユニット5が下方(矢印E)へと移動する。その後、メンテナンスユニット5が左方向(矢印G)へと移動し、記録ヘッド3の吐出面31とインク受け部53とを対向させる。
【0046】
記録ヘッド3の吐出面31とインク受け部53とが対向すると、制御部は、記録ヘッド3を制御して、吐出口からインク受け部53に向けて空吐出させ、吐出口の吐出状態を復帰させる。
【0047】
インク受け部53は、メンテナンスユニット5におけるキャッピング部51とクリーニング部52との間に配置されている。このインク受け部53には、溜まったインクを回収タンク55まで流す回収管53aが設けられている。
【0048】
記録ヘッド3のメンテナンスが終了すると、制御部は、移動手段を制御してメンテナンスユニット5を所定の位置に戻す。
【0049】
また、メンテナンスユニットにおいて、メンテナンス後に排出されたインクが、UV光源41により照射された紫外線の影響で、回収管53a、54a、回収タンク55内で硬化しないように、これら各部は遮光カバー56、57、58、59、遮光シャッター60により覆われている。
【0050】
また、記録ヘッドの近傍には、前記の走査時、走査後にキャリッジの移動によって、インク背圧が急激に変化するのを緩和するためのダンパーの役割をする中間タンク(中間ダンパー)が備えられている(図1には示されていないが)が、図5にこの中間ダンパの構成例を示す。中間ダンパーは、中間ダンパー本体42および記録ヘッド側のインク出口42a、およびインク中間タンクT側のインク入り口42b、およびインク出口側に備えられるフィルタ42c、ダンパシール42d、更に、これを内部で支える例えば金属製のバネ42eを有している。キャリッジに加速度がかかることによるインクの圧力をダンパシールの弾性によって吸収し緩衝する役割を果たす。
【0051】
キャリッジのホームポジション7は、図1に示すように、キャリッジ4が往復移動する経路の一端側に備えられている。このホームポジション7には、記録ヘッド3の吐出面31を保湿する保湿キャップ71が、記録ヘッド3と同数設けられており、キャリッジ4の待機中においては、記録ヘッド3の吐出面31を覆って密閉している。
【0052】
保湿キャップ71も同様に耐インク性を有する材料が用いられることが好ましい。
【0053】
尚、図2において、吸引手段としての吸引ポンプ54は、吐出口からインクを吸引するものであれば、如何なるものでもよく、例えば、ピストンやシリンダ、チューブポンプ、ダイヤフラムポンプなどが挙げられる。
【0054】
本発明のインクジェット記録装置に係る制御部は、インターフェイス、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、ROM中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従いインターフェイスに接続された各種機器を制御するようになっている。
【0055】
インターフェイスには、記録ヘッド3、キャリッジ4、吸引ポンプ54、UV光源41、加熱手段、温度センサー、吐出口センサー、搬送手段、移動手段などが電気的に接続されている。
【0056】
ROMには、インクジェットプリンタの各部の動作に関する各種制御プログラムや制御データなどが書き込まれている。
【0057】
RAMは、電力が供給されている間だけ入力されたデータを複数記憶可能であり、画像形成される画像データ等の各種データを記憶する記憶領域とCPUによる作業領域などが備えられている。
【0058】
CPUは、ROMに格納されている各種プログラムの中から指定されたプログラムを、RAM内の作業領域に展開し、各センサーからの入力信号に応じて、プログラムに従った各種処理を実行する。
【0059】
本発明に係るインクは、高粘度インクである場合、前記の如く加熱手段によって、出射に適した粘度になるように加熱される。
【0060】
従って、インクジェット記録装置は、温度コントロールのため、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。また、加熱する記録ヘッドユニットは、装置本体や外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立ち上げ時間を短縮するため、また熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0061】
従って、本発明に係るインクジェット記録装置は、高粘度、無溶剤のUV硬化型インクを加温しつつ、低粘度にして用いる。また、印字後に紫外線が照射されることで硬化するUVインクを記録媒体に吐出し画像形成を行うものである。
【0062】
また、インク自体が溶剤は含まないものの、全体としては油性の媒体であるインクを使用するために、前記インクジェット記録装置の各部材は、耐溶剤性が要求されるものである。特に、インクの吐出を行う記録ヘッドについては、インクが直接触れることになるインク吐出本体部のほか、例えばノズルプレート等のインク吐出面についても、これらのインクに対して耐性の高い材料が選択される。
【0063】
本発明においては、上述のように、上記の接液部材のうち、特に弾性を必要とする部材として、長期間インクに接触してもインクの凝集、ゲル化、増粘といった問題を起こさずに、接液部材として好ましい弾性を維持できる接液部材を見出した。
【0064】
以下において、キャッピング部、送液チューブ(配管)、Oリング、ノズルブレード、吸引ポンプ等の接液部(部品)等のように、変形可能で、かつ応力緩和後に元の形状に戻る機能が要求される接液部(部品)について詳しく説明する。
【0065】
図2及び図3に示したキャッピング部については、これを前記のように、ノズル(インク吐出口)面、またはノズル(インク吐出口)と同一面内の記録ヘッド部(吐出面)に密着させ、減圧によりインクを吸引しクリーニングを行うときに、エアー漏れが無いようにキャッピング部の接液部材が柔軟に変形、密着する必要がある。UV硬化型インクによって例えば、前記キャップ壁部の部材が膨潤すると、弾性率の変化、寸法の変化が生じるため、適性な密着が得られなくなる。従って、本発明に係るインク接液部材としての上記の物性を有することが必要である。当該部材の構成素材としては、上記の素材、特にフッ素系エラストマーやミラブル型シリコーンゴムを用いることが好ましい。最も好ましく用いられるのは、ミラブル型シリコーンゴムである。
【0066】
なお、本発明に係る上記部材の硬度としては、80度以下が好ましい。ここでいう硬度とは、JIS−6301−1962規格において表示される硬度である。
【0067】
一方、キャッピング部本体には特に弾性が必要なく、前記のような材料で更に重合度の高いものや、金属(例えば、ステンレス)等の材料でもよく、SUSでキャッピング部本体を形成し、これにキャップ壁材として、図3で示されるような弾性のある、例えば、フッ素系エラストマーやミラブル型シリコーンゴムをキャップ壁材として、また、同じ材料のOリング等を用いて壁材を構成することが好ましい。
【0068】
また、前記キャッピング部により吸引されたインクをポンプを通して回収タンクにつながる配管も、例えば、前記のような材質の配管を用いることができる。
【0069】
また、記録ヘッドのノズル(インク吐出口)面に当接させて、余剰インクをかきとることでクリーニングするクリーニング部についても、キャッピング部同様、膨潤すると、弾性率の変化、寸法の変化が生じるため、ノズル面との均一な密着や適性な押し付け圧が得られなくなるため、かきとり性能が劣化する。従って、部材としてはキャッピング部に挙げたものと同様のものが使用できる。
【0070】
特に、前記クリーニング部のうち、ノズルブレードについては、弾性を有する材料であるため、弾性率の変化が起こり、特に劣化がクリーニング特性に影響を与える。従って、当該ブレードについては、特に弾性のある上記のようなゴム素材が適している。
【0071】
なお、ブレードの硬度としては80度以下のものが好適である。これより硬いと前記ワイピング動作時、インク吐出面をなめらかにワイプすることが難しくなる。本発明における硬度はJIS−6301−1962規格において表示される硬度である。
【0072】
又、インクに接する部分については、耐溶剤性であることが好ましく、インク吸収体についても前記のキャッピング部に挙げたものと同様の材料が用いられる。インク吸収体についてはインクを吸収するものであれば如何なるものでもよいが、本実施の形態(図4)では、前記の材料により形成したものスポンジを用いており、吸収体52bは、直方体状に形成されて、上部に開口部52cが設けられており、この開口部52cにブレード52aが差し込まれ固定されることで、吸収体52bとブレード52aとが接触し、ブレード52aに付着したインクを吸収できる。
【0073】
また、一部、キャッピング部から吸引したインクを回収タンクに導く送液チューブ(配管)については述べたが、これのみでなく、図1において、前記中間タンクTから記録ヘッドにインクを供給する配管であるインク供給路P、更にインクタンクT0から中間タンクTへのインク供給路等もすべてUVインクによって膨潤し、寸法が変形すると、空気中の酸素・水分の透過性が増すことでインクの停滞安定性が損なわれやすい。また、配管の曲率が大きい場合、また特にインクジェット記録装置が稼動中はキャリッジが高速で移動するので、配管折れによる送液圧損増大などの問題が生じる。
【0074】
従って、本発明に係る接液部材としての上記の物性を有することが好ましく、従って、当該部材の構成素材としては、キャッピング部にちて挙げたものと同様のものを使用することが好ましい。
【0075】
なお、特にあまり部材として弾性が要求されない固定された配管の部材等には、非プラスチック素材として、アルミ、SUSなどの金属類、ガラス材料も使用することができる 本発明において、記録媒体となる基材2は、様々な素材を使用することが出来る。具体的に、記録媒体が、樹脂などからなる場合には、例えばPETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルムなどの各種樹脂フィルムが用いられる。その他、樹脂としては、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。この他、上質紙、マット紙、コート紙、アート紙などの印刷用紙、金属類、ガラス類なども使用できる。
【0076】
これら各種基材の表面エネルギーは、大きく異なり、材料によってインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。しかし、上記したインクであれば、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETフィルムまでを含む、表面エネルギーが3.5〜6.0×10-2N/mの広範囲の材料に有効な高精細な画像を形成できる。
【0077】
そして、記録媒体としては、包装の費用や生産コスト等の記録材料のコスト、プリント作成効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)のものを使用することが好ましい。
【0078】
搬送手段は、画像形成時において、キャリッジ4の動作にタイミングを合わせて、記録媒体となる基材2を画像形成領域C上で搬送し、画像形成の終了に応じて、基材2は画像形成領域Cから下方(矢印B)に向かって搬送される。
【0079】
記録ヘッド3は、インクジェットプリンタ1で使用されるインクの種類(イエロー、マゼンダ、シアン、ブラック)に応じて、複数個設けられている。この記録ヘッド3は、インク吐出の駆動力としてインクに対しての適用範囲が広く、高速射出が可能な圧電体の圧電作用を利用した方式を適用している。それは具体的には、例えば特公平4−48622号に記載されるように、圧電性基体上に形成された微細な溝の内部に電極膜が形成され、さらに絶縁体で覆われているインク流路とする記録ヘッド方式である。
【0080】
そして、記録ヘッド3は、インクを1ドット当たり2pl〜20plの範囲で吐出する。なお、記録ヘッド3により記録媒体2上に形成されるドット径は、30μm〜200μmである。好ましくは30μm〜150μmであり、さらに好ましくは30μm〜120μmである。200μmよりも大きければ高精細画像形成が難しく、また画像ににじみが生じる。
【0081】
さらに、記録ヘッド3は、光照射後の総インク膜厚が、2μm〜20μmとなるようにインクを記録ヘッド3に吐出することが好ましい。スクリーン印刷分野の紫外線等の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が20μmを超えているのが現状であるが、記録媒体が薄い樹脂材料であることが多い軟包装印刷分野では、前述した記録媒体のシワや弛み、カールの問題だけでなく、記録媒体の全体のこし、質感が変わってしまうという問題があるため使えない。
【0082】
そして、上記方式を適用した記録ヘッド3は、図1または図2に示すように、インクを基材に向けて吐出する吐出口(図示省略)と、吐出口を複数配列した吐出面31と、吐出口の目詰まりを検知する吐出口センサー(吐出口検知手段:図示省略)とを備えるとともに、前記インクタンクT0、中間タンクT、および図示しない中間タンクである中間ダンパー等、更に、インク供給管P等からなるインク供給系に接続されている。この記録ヘッド3およびインク供給系には、流路内のインクを加熱する加熱手段と、流路内のインク温度を検知する温度センサーが設けられている。記録ヘッド部は精度よく温調が必要であり、その他はクリーニング、インク供給に支障がない程度まで必要に応じて加熱制御する。
【0083】
吐出口センサーは、吐出口の目詰まりを検知するものであれば如何なるものでもよいが、例えば本実施の形態の吐出口センサーは、発光部と受光部とを備え、この発光部と受光部とが吐出口を挟んで対峙するように配置されている。そして、吐出口センサーは、発光部から受光部に向けて発光される光が、吐出口から吐出されたインク滴により遮断されることで、インク滴の通過を検知する。つまり、インクを吐出するはずの吐出口から、インク滴の通過が検知されないときは、その吐出口が目詰まりを生じていることが認識される。
【0084】
加熱手段は、温度センサーの検知結果を基に制御部によって、流路内のインクの温度が例えば、40〜60℃の範囲内に収まるように、加熱温度が制御されている。インクの吐出条件としては、記録ヘッド及びインクを前述のように、インク粘度が高い場合には、粘度が2〜30mPa・sになるまで加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。
【0085】
キャリッジ4は、図1に示すように、ガイドレール6の案内により水平方向(矢印A)に沿って往復移動を繰り返し、記録ヘッド3を、画像形成領域Cにある記録媒体2の画像形成面上を走査させる。このキャリッジ4には、記録ヘッド3から吐出されたインクを硬化させるために、印字された記録媒体(基材)に紫外線を照射するUV光源(光照射手段)41が設けられている。
【0086】
UV光源41は、紫外線を照射するものであれば如何なるものでもよいが、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ、紫外線レーザー、LEDなどを用いることができる。
【0087】
基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。これによると、記録ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式で記録ヘッドと光源を走査する。照射はインク着弾後、一定時間をおいて行われることになる。さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。WO9954415号明細書には、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源を記録ヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の記録方法においては、これらの照射方法を用いることが可能である。
【0088】
照射は、例えば画像領域C上で印字後、基材の搬送方向下流側に備えられた第2の線源によって、硬化を完了させることが好ましい形態の1つである。
【0089】
なお、本実施の形態では、硬化性、線源のコスト等を考慮して、光硬化性インクとして、紫外線が照射されることにより硬化するUVインクを適用した場合を例示しているが、紫外線以外の光線が照射されることにより硬化する光硬化性インクを適用してもよい。この場合、光照射手段は、UV光源でなく光硬化性インクを硬化させる光線(例えば、電子線、X線、可視光、赤外光など)を照射する様々な線源を用いることが可能である。
【0090】
なお、光硬化性インクは、実質的に水および有機溶媒を含有しないことが望ましい。実質的に含有しないとは、水および有機溶媒の含有量が1質量%未満である。
【0091】
ここで、照射線の照射タイミングは、着弾から照射までの時間を0.001〜2.0秒、好ましくは0.001〜1.0秒、さらに好ましくは0.01〜0.15秒後である。このように着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、着弾インクが硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、臭気を低減できる。これは、上記したインクを用いることで大きな相乗効果をもたらすことになる。特に、25℃におけるインク粘度が35〜500mPa・sのインクを用いると大きな効果を得ることができる。このような記録方法を取ることで、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。
【0092】
なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクを重ねると、下部のインクまで照射線が到達しにくく、硬化感度の阻害、残留モノマーの増加および臭気の発生、密着性の劣化が生じやすい。また、照射は、全色を射出してまとめて露光することが可能だが、一色毎に露光するほうが、硬化促進の観点から、好ましい。
【0093】
(紫外線硬化型インクを用いたインクジェット記録法)
活性放射線硬化型インク、なかでも紫外線硬化型インクを用いたインクジェット記録法については、乾燥が早いこと、揮発性溶媒がなく環境適性に優れること、様々な基材に印刷できることから、オフセット印刷、グラビヤ印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、インクジェット印刷などの幅広い分野で利用されてきている。
【0094】
紫外線硬化型インク(以下、単に「UVインク」ともいう。)は、高粘度インクであり、無溶剤のUVインクをフレキソ印刷やインクジェット方式に適用するためには、インクの低粘度化が必要な要件となり、比較的インク適性範囲の広いピエゾ型ヘッドであっても、射出時の粘度を2〜30mPa・s、好ましくは3〜20mPa・sとして用いる。そのために、これらのインクを用いるインクジェット記録装置は、加熱手段、インク温度の安定化手段を備え、インクは10℃〜100℃の範囲内(なお、さらに好ましくは15℃〜70℃の範囲内である)に収まるように加熱され、またインク温度をできるだけ一定に保つことが必要である。記録性能を得るために、記録ヘッドの温調は必須であり、その他のインクタンク配管、キャッピング、クリーニング部は必要に応じて加温する。
【0095】
高粘度インクは、温度変動による粘度変動幅が大きいため、10℃以下100℃以上では、射出が困難になり、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化をおこすため、インク温度の制御幅は設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃である。従って、温度コントロールのため、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが行われる。
【0096】
また、これと同時に記録ヘッドからの印字の後に、紫外線によりインクを硬化させる必要性から、記録ヘッドと共にインク硬化のための、紫外線光源が設けられこれにより印字後、光照射、硬化させることに特徴がある。
【0097】
(インク)
本発明に係る紫外線硬化型インクジェット記録装置に用いる紫外線硬化型インクとしては、カチオン重合タイプの光硬化性樹脂を用いたインク組成物とラジカル重合タイプの光硬化性樹脂を用いたインク組成物樹脂を用いたインク組成物を用いることができる。具体例として、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特願平7−231444号公報等に記載されている光硬化性インク組成物を挙げることができるが、本発明においては、例えば、特開平6−43633号、特開平8−324137号公報等に開示されているようなカチオン重合タイプの光硬化性樹脂を用いたインク組成物の方が、酸素阻害が無く開始剤量を低減できることから、特に好ましい。
【0098】
以下において、本発明に用いられる好ましいインクについて、更に詳しく説明する。
【0099】
本発明に係るインクは、色材、少なくとも1種の光酸発生剤及び熱塩基発生剤、光重合性モノマーを含有する。
【0100】
光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
【0101】
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C654-,PF6-,AsF6-,SbF6-,CF3SO3-塩を挙げることができる。対アニオンとしてボレート化合物をもつものが酸発生能力が高く好ましい。オニウム化合物の具体的な例を以下に示す。
【0102】
【化1】

【0103】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。具体的な化合物を以下に例示する。
【0104】
【化2】

【0105】
第3に、ハロゲン化水素を発生するハロゲン化物も用いることができる。以下に具体的な化合物を例示する。
【0106】
【化3】

【0107】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
【0108】
【化4】

【0109】
光カチオン重合性モノマーとしては、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用出来る。例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、特開2001−40068、特開2001−55507、特開2001−310938、特開2001−310937、特開2001−220526に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0110】
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0111】
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによつて得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
【0112】
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0113】
これらのエポキシドのうち、迅速な硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0114】
ビニルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0115】
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0116】
本発明に係わるオキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、特開2001−220526、同2001−310937に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
【0117】
オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になったり、又、組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまう。本発明で使用するオキセタン環を有する化合物としては、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
【0118】
1個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(1)で示される化合物等が挙げられる。
【0119】
【化5】

【0120】
一般式(1)において、R1は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基である。R2は、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基或いは3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基或いはフェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基或いはブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基或いはブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、又はエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基或いはペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。本発明で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため、特に好ましい。
【0121】
つぎに、2個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(2)で示される化合物等が挙げられる。
【0122】
【化6】

【0123】
一般式(2)において、R1は前記一般式(1)におけるものと同様の基である。R3は、例えば、エチレン基、プロピレン基或いはブチレン基等の線状或いは分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基或いはポリ(プロピレンオキシ)基等の線状或いは分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基或いはブテニレン基等の線状或いは分枝状不飽和炭化水素基、カルボニル基、カルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、又はカルバモイル基を含むアルキレン基等である。又、R3は下記一般式(3)、(4)及び(5)で示される基から選択される多価基でもある。
【0124】
【化7】

【0125】
一般式(3)において、R4は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基或いはブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子或いは臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基である。
【0126】
【化8】

【0127】
一般式(4)において、R5は酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32又はC(CH32である。
【0128】
【化9】

【0129】
一般式(5)において、R6はメチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基である。nは0〜2000の整数である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基である。R7は、下記一般式(6)で示される基から選択される基でもある。
【0130】
【化10】

【0131】
一般式(6)において、R8はメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基である。mは0〜100の整数である。2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記で示される化合物等が挙げられる。
【0132】
【化11】

【0133】
上記で示される化合物は、一般式(2)において、R1がエチル基、R3がカルボニル基である化合物である。
【0134】
【化12】

【0135】
上記で示される化合物は、一般式(2)において、R1がエチル基、R3が一般式(5)でR6及びR7がメチル基、nが1である化合物である。
【0136】
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記した化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(7)で示される化合物がある。一般式(7)において、R1は、前記一般式(1)におけるものと同様の基である。
【0137】
【化13】

【0138】
3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(8)で示される化合物等が挙げられる。
【0139】
【化14】

【0140】
一般式(8)において、R1は、前記一般式(1)におけるものと同様の基である。R9としては、例えば下記一般式(9)
【0141】
【化15】

【0142】
(ここにおいて、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基である)で表される基、
【0143】
【化16】

【0144】
で示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、分枝状ポリアルキレンオキシ基(pは1〜10の整数である。)等の基、又は、下記で示される基等の分枝状ポリシロキシ基等の基が挙げられる。jは3又は4である。
【0145】
【化17】

【0146】
3〜4個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記で示される化合物等が挙げられる。
【0147】
【化18】

【0148】
さらに、上記した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(10)で示される化合物がある。
【0149】
【化19】

【0150】
一般式(10)において、R1は一般式(1)におけるものと同様の基であり、R8は一般式(6)におけるものと同様の基である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
【0151】
本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す化合物がある。
【0152】
【化20】

【0153】
上記オキセタン環を有する化合物の製造方法は特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えばパティソン(D.B.Pattison,J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。
【0154】
又、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する、1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの例として、例えば以下の化合物が挙げられる。
【0155】
【化21】

【0156】
本発明においては、インク硬化の際の記録材料の収縮を抑える目的で、光重合性化合物として少なくとも1種のオキセタン化合物と、エポキシ化合物及びビニルエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有することが好ましい。
【0157】
本発明に係る色材としては、重合性化合物の主成分に溶解または分散できる色材が使用出来るが、耐候性の点から顔料が好ましい。
【0158】
本発明で好ましく用いることのできる顔料を、以下に列挙する。
【0159】
C.I.Pigment Yellow−1、3、12、13、14、17、74、81、83、87、95、109、42、151、154、180、
C.I.Pigment Orange−16、36、38、
C.I.Pigment Red−5、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、122、144、146、170、177、185、101、
C.I.Pigment Violet−19、23、
C.I.Pigment Blue−15:1、15:3、15:4、18、60、27、29、
C.I.Pigment Green−7、36、
C.I.Pigment White−6、18、21、
C.I.Pigment Black−7、
また、本発明において、プラスチックフィルムのような透明基材での色の隠蔽性を上げる為に、白インクを用いることが好ましい。特に、軟包装印刷、ラベル印刷においては、白インクを用いることが好ましいが、前述した吐出安定性、記録材料のカール・しわの発生の観点から、自ずと使用量に関しては制限がある。
【0160】
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としてはAvecia社のSolsperseシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶剤または重合性化合物を用いて行うが、本発明に用いる活性光線硬化型インクでは、インク着弾直後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤ではなく重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
【0161】
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化の感度を維持することができる。
【0162】
本発明に係るインクにおいては、色材濃度として、インク全体の1質量%乃至10質量%であることが好ましい。
【0163】
本発明に係るインクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することが出来る。記録媒体との密着性を改善するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その使用量は0.1〜5%の範囲であり、好ましくは0.1〜3%である。また、ラジカル重合性モノマーと開始剤を組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
【実施例】
【0164】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0165】
実施例
東芝シリコーン製、ミラブル型シリコーンTSE260−3Uを用い、Oリングを作製した。加硫は、標準加硫剤TC−8を0.3質量部配合し、一次加硫(170℃、10min)、二次加硫(200℃、4h)を行った。同様に、各種部材を作製した。
【0166】
TSE2571−5Uの加硫は、標準加硫剤TC−12を1.5質量部配合し、一次加硫(125℃、15min)、二次加硫(200℃、4h)とした。
【0167】
TSE240−4Uの加硫は、標準加硫剤TC−8を0.5質量部配合し、一次加硫(170℃、10min)とした。
【0168】
接液部(部品) 接液部の構成素材(接液部材)
Oリング TSE260−3U
送液チューブ TSE2571−5U
キャッッピング部 TSE260−3U
ノズルブレード部 TSE240−4U
送液チューブは遮光と空気遮断を兼ねて、黒色のナイロンチューブを外側に被覆した。
【0169】
下記組成のUVインクを作製した。OXT221と顔料および分散剤ビーズミルにて予め混合、分散しておき、その他の化合物を混合し、1μmのフィルターにてろ過し、インクとした。
【0170】
化合物 %
OXT221 60.4
OXT212 5.0
OXT101 5.0
エポキシ化合物1 18.0
トリアリールスルホニウム塩 5.0
分散剤(PB822) 1.5
顔料(PB15:4) 4.0
トリイソプロパノールアミン 0.1
水 1.0
上記の各種接液部(部品)の接液部材(各種シリコーン加硫物)を上記のインクに浸漬し、60℃にて1週間浸漬した。
【0171】
この時の物性は、圧縮永久歪が15%以下、引き裂き強度が10N/mm以上、引張り強度が5MPa以上(JIS K6249)であった。また、上記部材の浸漬後のインクは、凝集物やゲルの発生、及び硫度の上昇が起こらず良好な状態を保持していた。
【0172】
(比較例)
東レダウコーニング製、SE1184を用い、実施例同様にインク浸漬テストを行った。引き裂き強度、引っ張り強度ともに良好であったが、圧縮永久歪は17.1%と実施例に対し劣化した。インク浸漬とともに圧縮永久歪は増大しており、寸法安定性が要求される弾性部材としては適さない。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】本発明に係わるインクジェット記録装置1の主要構成の一例を示す概略図
【図2】キャリッジおよびメンテナンスユニットが対向した状態を示した図
【図3】キャッピング部を吐出面31に密着させ、密閉する様子を示した図
【図4】クリーニング部52の構成の一例を示す概略図
【図5】中間ダンパの構成例を示す図
【符号の説明】
【0174】
1 インクジェット記録装置
2 フィルム基材
3 記録ヘッド
4 キャリッジ
41 UV光源
42 中間ダンパー
5 メンテナンスユニット
51 キャッピング部
52 クリーニング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化型インクジェット記録装置に用いるインク接液部材であって、当該インク接液部材を60℃のインクに1週間浸漬後の圧縮永久歪が15%以下、引き裂き強度が10N/mm以上、及び引張り強度が5MPa以上(JIS K6249)となる弾性体であることを特徴とするインク接液部材。
【請求項2】
前記インク接液部材が、重合度3,000〜10,000の線状ポリマーを主成分とし、使用時に加硫剤を添加することにより加熱硬化する弾性体であることを特徴とする請求項1に記載のインク接液部材。
【請求項3】
前記インク接液部材が、弾性体として、ミラブル型シリコーンゴムを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインク接液部材。
【請求項4】
前記インク接液部材が紫外線遮光機能を付与されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク接液部材。
【請求項5】
前記インク接液部材が空気遮断機能を付与されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク接液部材。
【請求項6】
紫外線硬化型インクジェット記録装置において、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク接液部材が送液チューブ、吸引ポンプ、Oリング、キャッピング部、ノズルブレードのいずれかにインク接液部材として用いられていることを特徴とする紫外線硬化型インクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−38604(P2007−38604A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227781(P2005−227781)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】