説明

細胞含有組成物調製容器、および該細胞含有組成物調製容器を備えた細胞含有組成物製造器具

【課題】本発明は、簡便かつ迅速に細胞含有組成物を無菌的に調製することを可能にする細胞含有組成物の調製容器、および該調製容器を備えた細胞含有組成物の製造器具を提供する。
【解決手段】流入口15を備えるバッグ11の内部空間を仕切り13で区画することにより、区画された複数の空間10を形成させる。空間10には、細胞支持体12を封入する。こうして構成された混合容器1の流入口15からバッグ11内に細胞を流入させると、空間10内で細胞支持体12と細胞とが混合される。また、仕切り13を除去することにより、細胞と混合する細胞支持体12の量や種類を所望に制御することができる。それゆえ、簡便かつ容易に、所望の細胞含有組成物を無菌的に調製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞含有組成物調製容器、および該細胞含有組成物調製容器を備えた細胞含有組成物製造器具に関するものであって、特に、簡便かつ迅速に細胞含有組成物を無菌的に製造することを可能にする細胞含有組成物調製容器、および該細胞含有組成物調製容器を備えた細胞含有組成物製造器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、細胞含有組成物は、様々な疾患の治療に用いられている。具体的には、例えば、細胞含有組成物は、骨壊死の治療に用いられている。
【0003】
骨壊死は、外傷や血管病変あるいは骨細胞への直接の傷害によって、骨細胞、骨基質、骨髄細胞の死滅または破壊が起こった状態である。
【0004】
骨壊死の治療法としては、例えば、骨に分化する間葉系幹細胞をβ−リン酸三カルシウム等の細胞支持体に付与して、細胞含有組成物を調製した後に、該細胞含有組成物を生体に投与する方法が開発されている。該方法で、骨欠損部の修復速度が高まり、骨壊死を治療することができる。
【0005】
このような細胞含有組成物としては、具体的には、特許文献1には、体液から所望の不要成分を除去した少なくとも間葉系幹細胞を含む濃縮体をβ−リン酸三カルシウム(以下、「β−TCP」ともいう)からなる骨補填材に付与してなる骨補填体が開示されている。
【0006】
また、特許文献1には、上記骨補填体は、上部開口型の容器に、体液から所望の不要成分を除去した少なくとも間葉系幹細胞を含む濃縮体を入れて、該容器内で、β−TCPを上記濃縮体に漬けることにより、製造できることが記載されている。
【特許文献1】特開2003−320009号公報(平成15(2003)年11月11日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上説したような細胞含有組成物は、生体に投与するため、無菌的に調製する必要がある。そのため、特許文献1のように、上部が開口された容器を用いて、上記細胞含有組成物を調製する場合、無菌的に調製するために、特別な装置が必要となるという問題がある。
【0008】
また、そのような特別な装置を用いる必要となるため、臨床現場で簡便に調製できないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、簡便かつ迅速に細胞含有組成物を無菌的に調製することを可能にする細胞含有組成物の調製容器、および該調製容器を備えた細胞含有組成物の製造器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、細胞支持体が封入された空間と、細胞を含有する試料を流入させるための流入口を有する空間とを備え、かつ、上記2つの空間が容易に連結可能な容器を用いることにより、無菌的に、細胞と細胞支持体とを含む細胞含有組成物を簡便かつ容易に調製できることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の産業上有用な以下の発明を包含する。
【0011】
(1)細胞を流入させるための流入部を有する容器と、該容器内の空間を区画している少なくとも1つの仕切り部と、を備え、上記仕切り部の除去により、上記容器内の区画された空間は連結可能であって、上記流入部は、上記仕切り部によって区画された空間のうちの1つの空間に設けられており、上記仕切り部によって区画された空間のうち、少なくとも1つの空間に、細胞支持体が封入されていることを特徴とする細胞含有組成物調製容器。
【0012】
(2)上記容器は、流出部をさらに備え、上記流入部および流出部は、ともに、上記仕切り部によって区画された1つの同一空間に設けられており、該流入部および流出部が設けられた空間には、上記細胞支持体は封入されていないことを特徴とする(1)に記載の細胞含有組成物調製容器。
【0013】
(3)細胞回収部をさらに備え、該細胞回収部は、上記流出部と接続されていることを特徴とする(2)に記載の細胞含有組成物調製容器。
【0014】
(4)上記細胞回収部は、該細胞回収部の内部の空間を少なくとも2つに区画するフィルターを備えていることを特徴とする(3)に記載の細胞含有組成物調製容器。
【0015】
(5)上記容器は、合成樹脂からなることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞含有組成物調製容器。
【0016】
(6)上記仕切り部は、上記容器の壁面同士を熱圧着させることにより形成されてなることを特徴とする(5)に記載の細胞含有組成物調製容器。
【0017】
(7)上記仕切り部によって区画された空間のうち、上記細胞支持体が封入されている空間および上記細胞支持体が封入されている空間とは異なる少なくとも1つの空間に、上記細胞と上記細胞支持体とを混合するための溶液が封入されていることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の細胞含有組成物調製容器。
【0018】
(8)上記溶液が封入されている空間は、さらに、上記流入部が設けられている空間とは異なることを特徴とする(7)に記載の細胞含有組成物調製容器。
【0019】
(9)上記溶液は、培地、生理食塩液、血漿、および血清からなる群より選択される少なくとも1つの溶液であることを特徴とする(7)または(8)に記載の細胞含有組成物調製容器。
【0020】
(10)上記細胞支持体は、無機材料、天然高分子材料、合成高分子材料、金属材料、自家骨またはこれらの2種以上を組み合わせた複合材を含むことを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の細胞含有組成物調製容器。
【0021】
(11)上記細胞は、幹細胞であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の細胞含有組成物調製容器。
【0022】
(12)(1)〜(11)のいずれかに記載の細胞含有組成物調製容器と、細胞分離部とを備え、該細胞分離部は、上記流入部と接続されていることを特徴とする細胞含有組成物製造器具。
【0023】
(13)上記細胞分離部は、細胞を捕捉するための細胞捕捉部と、上記細胞捕捉部に細胞回収液を注入し、該細胞捕捉部に捕捉された上記細胞を該細胞捕捉部から流出させるための細胞回収液注入部とを備え、上記細胞含有組成物調製容器は、上記細胞捕捉部から流出した上記細胞を含む細胞回収液を回収するためのものであることを特徴とする(12)に記載の細胞含有組成物製造器具。
【0024】
(14)上記細胞を含む試料を上記細胞捕捉部に注入するための試料注入部をさらに備え、上記試料注入部は、上記細胞回収液注入部が上記細胞捕捉部に対して上記細胞回収液を注入する方向とは逆方向に、上記細胞捕捉部に対して上記試料を注入するものであることを特徴とする(12)または(13)に記載の細胞含有組成物調製器具。
【0025】
(15)上記試料注入部が上記細胞捕捉部に上記試料を注入したとき、上記試料のうち、上記細胞捕捉部を通過した成分を回収するための廃液回収部をさらに備えることを特徴とする(14)に記載の細胞含有組成物調製器具。
【0026】
(16)上記細胞捕捉部を洗浄するための洗浄液を上記細胞捕捉部に注入するための洗浄液注入部をさらに備え、上記洗浄液注入部は、上記細胞回収液注入部が上記細胞捕捉部に対して上記細胞回収液を注入する方向とは逆方向に、上記細胞捕捉部に対して上記洗浄液を注入することを特徴とする(12)〜(15)のいずれかに記載の細胞含有組成物調製器具。
【0027】
(17)上記細胞捕捉部は、フィルター構造を有する細胞分離材を含むことを特徴とする(12)〜(16)のいずれかに記載の細胞含有組成物製造器具。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明にかかる細胞含有組成物調製容器は、細胞を流入させるための流入部を有する容器と、該容器内の空間を区画している少なくとも1つの仕切り部とを備えている。上記流入部は、上記仕切り部によって区画された空間のうちの1つの空間に設けられている。また、上記仕切り部によって区画された空間のうち、上記流入部が設けられた空間とは異なる少なくとも1つの空間に、細胞支持体が封入されている。さらに、上記容器内の区画された空間は、上記仕切り部の除去により、連結される。
【0029】
したがって、上記流入部から細胞を流入させた後、上記仕切り部を除去することにより、上記細胞と細胞支持体とを混合することができる。それゆえ、上記構成によれば、無菌的に、上記細胞と細胞支持体とを含む細胞含有組成物を簡便かつ容易に調製できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の一実施形態について図1〜図5に基づき説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
<I.細胞含有組成物調製容器>
本発明にかかる細胞含有組成物調製容器は、細胞と細胞支持体とを含む細胞含有組成物を調製することに適したものである。
【0032】
本発明にかかる細胞含有組成物調製容器は、従来公知の細胞分離装置と接続することにより、無菌的に、上記細胞含有組成物を迅速かつ容易に調製することを可能にする。
【0033】
本発明にかかる細胞含有組成物調製容器を用いて調製される細胞含有組成物は、特に限定されるものではない。例えば、特定の細胞と、細胞支持体とを少なくとも含み、あらゆる疾患や疾病の治療用途に利用可能な組成物を好適に調製することができる。上記特定の細胞は特に限定されるものではないが、幹細胞であることが好ましい。幹細胞は、医療上有用な細胞の1つであり、このような細胞を含む細胞含有組成物であれば、医療用途に個的に用いることができる。
【0034】
上記細胞含有組成物としては、より具体的には、例えば、骨再生関連細胞と、細胞支持体とを少なくとも含む骨再生組成物を挙げることができる。このような骨再生組成物は、疾患の治療において、骨再生させるために用いることができる。また、骨再生以外では、軟骨再生、心筋再生等の目的や、心臓病、神経疾患、筋萎縮性側索硬化症、移植片対宿主病(GVHD)、ガン、多発性硬化症、動脈石灰化、皮膚疾患等の疾患に対して用いることができる。
【0035】
上記骨再生関連細胞とは、骨再生に関わる細胞であり、具体的には、例えば、間葉系幹細胞を挙げることができる。
【0036】

間葉系幹細胞は、体液中から分離され、自己増殖を繰り返す能力を有し、下流の細部系譜への分化が可能な細胞である。また、間葉系幹細胞は、その由来系統の細胞だけではなく、別系統の細胞にまで分化することができる。
【0037】
より詳しく説明すると、間葉系幹細胞は、分化誘導因子により、例えば、軟骨細胞や、血管内皮細胞、心筋細胞、脂肪組織等、または歯周組織の構成細胞であるセメント芽細胞、歯周靱帯繊維芽細胞等の中胚葉系の細胞に分化することができる。
【0038】
また、間葉系幹細胞は、適切な環境下では骨芽細胞に分化し、骨組織を新生することが知られている。この骨組織の新生では、間葉系幹細胞は、不足した骨新生能力を補填する役割を担っていると考えられている。
【0039】
間葉系幹細胞としては、具体的には、骨髄由来間葉系幹細胞、脂肪組織由来間葉系幹細胞、羊膜由来間葉系幹細胞、胎盤由来間葉系幹細胞、臍帯由来間葉系幹細胞等を挙げることができる。
【0040】
本明細書において、「細胞支持体」とは、細胞を支持することが可能な物質が意図される。本発明では、上記細胞支持体は、細胞の増殖および/または分化の足場となるものであることが好ましい。このような細胞支持体は、混合する細胞の種類に応じて、適宜選択すればよい。
【0041】
上記細胞支持体としては、具体的には、例えば、ハイドロキシアパタイト、β−リン酸三カルシウム、炭酸カルシウムまたはリン酸オクタカルシウム、リン酸カルシウム等の無機材料;コラーゲン、キトサン、またはキチン等の天然高分子材料;ポリリシン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリシアノアクリレート、またはε−カプロラクタン等の合成高分子材料;純チタン、チタン合金、タンタル、またはステンレス鋼等の金属材料などを挙げることができる。
【0042】
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせた複合材として用いてもよい。
【0043】
また、自家骨、自家骨片、自家骨粉、血管柄付き骨片のような組織及び組織片等を細胞支持体とすることもできる。
【0044】
〔実施の形態1〕
本発明にかかる細胞含有組成物調製容器の一実施形態について、図1に基づいて、以下、具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0045】
本実施形態にかかる混合容器1(細胞含有組成物調製容器)は、図1に示すように、細胞を流入させるための流入口15(流入部)を有するバッグ11(容器)と、バッグ11内の空間を区画している、2つの仕切り13(仕切り部)とを備えている。
【0046】
上記構成を備えることにより、バッグ11内の空間は、2つの仕切り13によって、3つの空間10に区画されている。そして、各空間10には、細胞支持体12が封入されている。
【0047】
また、図1において、流入口15は、横一列に並んだ3つの空間10のうち、中央にある空間10に設けられている。
【0048】
上記構成によれば、流入口15からバッグ11内に流入した細胞は、まず、横一列に並んだ3つの空間10のうち、中央にある空間10に収納される。そこで、細胞支持体12と混合され、細胞と細胞支持体とを含む細胞含有組成物を調製することができる。
【0049】
また、上記構成では、隣接する空間10との間に存在するいずれかの仕切り13を除去することにより、隣接する空間10同士を連結することができる。
【0050】
したがって、横一列に並んだ3つの空間10のうち、中央の空間10で調製された細胞含有組成物に対して、両横に隣接する空間10との間の仕切り13を除去することにより、隣接する空間10内に封入された細胞支持体12を、閉鎖的な系でさらに添加して混合することができる。
【0051】
より詳しく説明すると、例えば、図1において、3つの空間10にそれぞれ等量の細胞支持体12を封入しておくと、仕切り13を1つ開放することにより、細胞に混合する細胞支持体12の量を2倍に増加させることができる。さらに、仕切り13を2つとも開放すれば、細胞に混合する細胞支持体12の量を3倍に増加させることができる。
【0052】
それゆえ、混合容器1によれば、細胞含有組成物の調製時に、不要なコンタミネーションを防ぐことができる。また、細胞の量に応じて、細胞に添加する細胞支持体12の量を閉鎖的な系で容易に増加させることができる。つまり、上記構成によれば、細胞と細胞支持体12とが所望の割合で混合された細胞含有組成物を、閉鎖系内で、簡便かつ容易に調製することができる。
【0053】
このように、混合容器1は、2以上に区画された空間10、2以上に区画された空間10を隔てる仕切り13、および流入口15を有するバッグ11からなり、2以上に区画された空間10のうち少なくとも1以上の空間に細胞支持体12が封入され、2以上に区画された空間10を隔てる仕切り13を取り除くことにより容易に空間10同士がつながる細胞含有組成物調製容器ということもできる。
【0054】
なお、本実施形態では、混合容器1の使用形態として、流入口15から細胞を流入させた後、仕切り13を除去する使用形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、所望のタイミングで除去すればよい。すなわち、仕切り13は、流入口15から細胞を流入させる前に除去してもよい。また、複数の仕切り13を備えている場合、これら全ての仕切り13は、同時に除去してもよいし、タイミングをずらして除去してもよい。また、除去が必要な仕切り13のみを除去し、除去が不要な仕切り13については、使用終了まで除去しなくてもよい。このような仕切り13の除去タイミング等は、本明細書に鑑みた当業者であれば、容易に理解することができる。
【0055】
図1において、流入口15は、横一列に並んだ3つの空間10のうち、中央の空間10に設けられているが、本発明はこれに限定されず、いずれの空間10に設けられていてもよい。
【0056】
また、図1では、混合容器1は、2つの仕切り13によって、3つの空間10に区画されているが、仕切り13および空間10の数は特に限定されるものではない。具体的には、空間10が少なくとも2つ以上形成されるように、仕切り13を設ければよい。
【0057】
さらに、図1では、3つの空間10の全てに、同一の細胞支持体12が等量ずつ封入されているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、3つの空間10のうち、少なくとも1つの空間10に細胞支持体12が封入されていればよい。
【0058】
また、複数の空間10に細胞支持体12が封入されている場合、各空間10に封入されている細胞支持体は、全て同一であってもよいし、異なるものであってもよい。つまり、混合容器1では、細胞支持体12が封入されている空間が、仕切り13によって分離されているため、複数種類の細胞支持体12を別々に封入することができる。
【0059】
さらに、複数の空間10に細胞支持体12が封入されている場合、各空間10に封入されている細胞支持体の量についても、特に限定されるものではなく、同量であってもよいし、異なる量であってもよい。
【0060】
また、一部の空間10にのみ細胞支持体12が封入されている場合、流入口15が設けられた空間10には、細胞支持体12が封入されていないことが好ましい。このような構成であれば、細胞支持体12が封入された空間10における細胞支持体の種類や量を変更しておけば、流入口15が設けられた空間10に流入した細胞の種類や状態等に応じて、混合する細胞支持体の種類または量を所望に変更することができる。
【0061】
また、一部の空間10にのみ細胞支持体12が封入されている場合、細胞支持体12が封入されていない空間10には、細胞と細胞支持体12と混合するための溶液が封入されていることが好ましい。つまり、図2に示す混合容器2のように、細胞支持体12が封入された空間10とは別の空間10に、溶液28が封入されていることが好ましい。
【0062】
このような構成によれば、外部から細胞と細胞支持体12とを混合するための溶液を流入させなくとも、混合容器1内に細胞を流入させた後、仕切り13を除去することにより、該細胞と、細胞支持体12および溶液28とを混合し、細胞含有組成物を調製することができる。
【0063】
空間10に溶液28が封入されている場合、溶液28は、流入口15が設けられた空間10とは異なる空間10に封入されていることが好ましい。このような構成によれば、溶液28は、細胞と細胞支持体12との混合用途のみならず、流入口15が設けられた空間10内で調製された細胞含有組成物の細胞濃度や粘度等の物性調製用途にも用いることができる。
【0064】
より詳しく説明すると、仕切り13を除去することにより、溶液28は、隣接する空間10内に存在する細胞および細胞支持体12と混合することができる。これにより、液量や細胞濃度、粘性等が所望に調製された細胞含有組成物を、閉鎖系内で、簡便かつ容易に調製することができる。
【0065】
溶液28は、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、培地、生理食塩液、血漿、および血清等を挙げることができる。このような溶液は、生理的イオン強度を有する。それゆえ、細胞に悪影響を与えることが少ないため、細胞含有組成物に含有させる溶液として好適に用いることができる。
【0066】
空間10には、細胞支持体12以外の物質が、細胞支持体12とともに、封入されていてもよい。細胞支持体12以外の物質は特に限定されるものではない。具体的には、例えば、乾燥剤や、細胞支持体の保存剤等を挙げることができる。
【0067】
空間10に乾燥剤や細胞支持体の保存剤を、細胞支持体12とともに封入することにより、細胞支持体12を安定して保存することができる。
【0068】
混合容器1において、バッグ11の材質、形状等は特に限定されるものではないが、プラスチック等の合成樹脂からなることが好ましい。合成樹脂の材質としては、ガス滅菌できるためガス透過性を有するものがよい。例えばポリオレフィン製が好ましい。また、このような構成であれば、例えば、バッグ11の壁面同士を熱圧着させることにより、仕切り13を容易に形成させることができる。また、このようにして形成された仕切り13は、例えば、バッグ11を手で圧迫する等によって仕切り13を容易に除去(開放)することができる。つまり、仕切り13で区画された空間10同士を容易に連結することができる。
【0069】
なお、上記のように、仕切り13を熱圧着により形成する場合、熱圧着条件は、特に限定されるものではなく、バッグ11の材質に応じて適宜、適切な条件を設定すればよい。バッグ11の材質として、プラスチック等の一般的な合成樹脂を用いる場合、上記熱圧着の温度は、例えば、120℃〜140℃とすることが好ましい。
【0070】
本実施形態では、図1に示すように、混合容器1の流入口15には、キャップ17が取り付けられている。これにより、混合容器1の使用前に、流入口15を介して、バッグ11内の空間が汚染されることを防止することができる。
【0071】
キャップ17は、特に限定されるものではないが、ゴム等からなることが好ましい。このような構成によれば、例えば、細胞を含有する試料を入れた容器に取り付けられた針等をキャップ17に貫通させることにより、上記細胞をバッグ11内に容易に流入させることができる。
【0072】
また、混合容器1において、流入口15とキャップ17とは、一体的に形成されていてもよい。つまり、流入口15とキャップ17とは、分離できない構成であってもよい。このような構成であっても、例えば、細胞を含有する試料を入れた容器に取り付けられた針等をキャップ17に貫通させることにより、上記細胞をバッグ11内に流入させることができる。
【0073】
また、混合容器1は、キャップ17を備えない構成としてもよい。このような構成であっても、例えば、混合容器1を密閉容器(もしくは密封容器や、気密容器)内で保管しておくことにより、混合容器1の使用前に、流入口15を介して、バッグ11内の空間が汚染されることを防止することができる。
【0074】
細胞支持体12は、特に限定されるものではなく、例えば、上説したような細胞支持体を用いればよい。また、その形状についても特に限定されず、細胞を保持し得るものであればよい。具体的には、例えば、顆粒状、膜状、チューブ状、平板状、ロール状等の形状を挙げることができる。
【0075】
混合容器1に流入させる細胞は、特に限定されるものではないが、疾患や疾病の治療用途に用いることが可能な、特定の細胞であることが好ましい。具体的には、例えば、間葉系幹細胞のような幹細胞を挙げることができる。このような細胞は、細胞支持体12と混合し、細胞含有組成物とすることにより、医療上の有用な組成物とすることができる。
【0076】
また、混合容器1において、バッグ11に細胞を流入させる方法は、特に限定されるものではないが、例えば、シリンジ等を用いて、上記細胞を含有する細胞懸濁液を流入口15から注入することにより、バッグ11内に細胞を流入させることができる。
【0077】
細胞を細胞懸濁液として流入させる場合、該細胞懸濁液における細胞濃度は、得られる細胞含有組成物の種類や用途に応じて、所望に調製しておくことが好ましい。
【0078】
また、上記細胞を含有する試料から、特定の細胞を分離したのち、該特定の細胞を混合容器1に流入させる場合、該特定の細胞を分離する細胞分離器具とバッグ11の流入口15とを直接、もしくは、チューブ等を介して接続して、該細胞分離器具から直接、バッグ11に細胞を流入させてもよい。
【0079】
混合容器1内で、細胞と細胞支持体12とを混合させる方法は特に限定されるものではない。具体的には、例えば、(1)加圧や引圧を与えることにより、細胞と細胞支持体12とを混合する方法、(2)液を加えて、細胞と細胞支持体12とを混合する方法、(3)細胞と細胞支持体12とのチャージを利用して電気的に細胞と細胞支持体12とを混合する方法、(4)振動を与えることにより、細胞と細胞支持体12とを混合する方法、(5)回転させることにより、細胞と細胞支持体12とを混合する方法等が挙げることができる。
【0080】
より具体的に説明すると、上記(1)の方法において加圧する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、シリンジにより空気を介して押圧したり、混合容器1自体を手で押圧したりすることにより、加圧することができる。また、引圧する方法についても特に限定されるものではないが、例えば、シリンジやポンプを用いて引圧することができる。
【0081】
また、上記(2)の方法では、例えば、顆粒状の細胞支持体12が入った混合容器1に、細胞を含有する細胞懸濁液を、混合容器1の上部から滴下することによって、該細胞懸濁溶液中で細胞支持体12と細胞とを混合させることができる。
【0082】
上記(3)の方法では、例えば、細胞支持体12を正に帯電させることにより、細胞は負に帯電しているため、互いに静電的に引き付けあって、細胞支持体12と細胞とを混合することができる。
【0083】
上記(4)の方法では、例えば、手動で、または機械的に容器に振動を与えることによって、細胞支持体12と細胞とを混合することができる。
【0084】
混合容器1内で調製された細胞含有組成物を混合容器1外に取り出す方法は特に限定されるものではない。例えば、流入口15から取り出してもよいし、バッグ11の一部を切断して取り出してもよい。また、ゴム栓等の流入口15の材質等によっては、流入口15に突きさした注射針を通して、シリンジ内に、細胞含有組成物を回収してもよい。
【0085】
〔実施の形態2〕
本発明にかかる細胞含有組成物調製容器の別の実施形態について、図2に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1で用いた部材と同一の機能を有する部材には、同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
【0086】
本実施形態にかかる混合容器2は、図2に示すように、流入口15を有するバッグ11(容器)と、バッグ11内の空間を区画している、10個の仕切り13と、流出口16とを備えている。
【0087】
混合容器2では、10個の仕切り13により、バッグ11内の空間は、6つの空間10と、1つの空間14との合計7つの空間に区画されている。そして、6つの空間10のうち、2つの空間10には、細胞支持体12が封入されている。また、残り4つの空間10のうち、2つの空間10には、溶液28が封入されており、残りの2つの空間10には何も封入されていない。
【0088】
また、図2において、流入口15および流出口16は、ともに、縦一列に並んだ3つの空間10の列と列との間に位置する空間14に設けられている。
【0089】
上記構成によれば、流入口15からバッグ11内に流入した細胞は、まず、空間14に収納される。そこで、細胞支持体12が封入されている空間10と空間14とを区画している仕切り13を除去することにより、細胞支持体12が封入されている空間10と空間14とが連結される。それゆえ、細胞と細胞支持体12とが混合され、細胞と細胞支持体とを含む細胞含有組成物を調製することができる。
【0090】
さらに、必要に応じて、溶液28が封入されている空間10と空間14とを区画している仕切り13を除去することにより、細胞含有組成物に対して、溶液28を閉鎖系で、簡便かつ容易に添加することができる。
【0091】
それゆえ、液量や細胞濃度、粘性等が所望に調製された細胞含有組成物を、閉鎖系内で、簡便かつ容易に調製することができる。
【0092】
混合容器2では、こうして調製された細胞含有組成物は、流出口16を通して、バッグ11から容易に取り出すことができる。なお、混合容器2から細胞含有組成物を取り出す方法は、これに限定されず、実施の形態1で説明した混合容器1から細胞含有組成物を取り出す方法と同様の方法を用いて、混合容器2から細胞含有組成物を取り出してもよい。
【0093】
なお、本実施形態では、混合容器2の使用形態として、流入口15から細胞を流入させた後、仕切り13を除去する使用形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、実施の形態1出説明したように、所望のタイミングで除去すればよい。
【0094】
また、本実施形態においても、仕切り13および空間10の数は特に限定されるものではない。細胞支持体12および溶液28が封入された空間10の数についても特に限定されない。さらに、複数の空間10に細胞支持体12または溶液28が封入されている場合、各空間10に封入されている細胞支持体12もしくは溶液28の種類および量は、同一であっても、異なってもよい。
【0095】
さらに、空間10には、実施の形態1と同様に、細胞支持体以外の物質が、細胞支持体12とともに、封入されていてもよい。細胞細胞支持体以外の物質としては、実施の形態1に記載したものを同様に例示することができる。
【0096】
これら空間10の構成については、実施の形態1で説明したとおりである。
【0097】
また、流入口15および流出口16には、それぞれ、キャップ17およびキャップ29が取り付けられている。これにより、混合容器2の使用前に、バッグ11内の空間が汚染されることを防止することができる。なお、本発明はこれに限定されず、キャップ17およびキャップ29を備えない構成とすることができる。
【0098】
ここで、混合容器2の製造方法について、説明するが、本発明はこれに限定されない。すなわち、混合容器2の形状や、空間10の数、仕切り13の数等に応じて、適宜、適切な方法を選択して製造すればよい。そのような製造方法は、本明細書に鑑みた当業者であれば、容易に理解できる。
【0099】
図2に示す混合容器2の製造においては、まず、プラスチック製のバッグ11の4辺のうち、流入口15が形成された1辺、および流出口16が形成された1辺を熱圧着する。
【0100】
次に、6つの空間10、および1つの空間14が形成されるように、バッグ11の壁面同士を熱圧着する。なお、このときの熱圧着の温度は、バッグ11の4辺を熱圧着する時の温度よりも低くすることが好ましい。
【0101】
仕切り13を形成させた後、バッグ11の4辺のうち、熱圧着されていない2辺から、細胞支持体12または溶液28を空間10内に配置する。そして、バッグ11の4辺のうち、熱圧着されていない2辺を、熱圧着することにより、細胞支持体12を6つの空間10内に封入することができる。
【0102】
なお、このときの熱圧着温度は、流入口15が形成された1辺、および流出口16が形成された1辺を熱圧着する時と同様に、仕切り13形成時の熱圧着温度よりも高くすることが好ましい。
【0103】
このように、バッグ11の4辺の熱圧着温度よりも、仕切り13の熱圧着温度を低くすることにより、手等でバッグ11を圧迫したとき、バッグ11の4辺は開放されず、仕切り13のみを容易に開放することができる。
【0104】
〔実施の形態3〕
本発明にかかる細胞含有組成物調製容器のさらに別の実施形態について、図3に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1および実施の形態2で用いた部材と同一の機能を有する部材には、同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
【0105】
本実施形態にかかる混合容器3は、図3に示すように、混合容器2の流出口16に、細胞回収容器18が接続された構成を有する。
【0106】
なお、混合容器3では、図3に示すように、全ての空間10に細胞支持体12が封入されているが、本発明はこれに限定されない。つまり、実施の形態2で説明したような構成としてもよい。
【0107】
細胞回収容器18は、上部に流出口16と接続するための開口部と、底部には、細胞回収容器18内の溶液を排出可能な排出口とを備えている。また、細胞回収容器18内の空間は、フィルター19によって区画されている。つまり、細胞回収容器18は、フィルター19を隔てて、上記開口部が設けられた空間と、上記排出口が設けられた空間とを有している。
【0108】
したがって、上記構成によれば、流入口15からバッグ11内に流入した細胞は、空間14を通過し、細胞回収容器18に流入する。そして、該細胞は、フィルター19上に捕捉される。このとき、流入口15からバッグ11内に流入した細胞以外の成分でフィルター19を通過できるものは、フィルター19を通過して上記排出口から排出される。
【0109】
それゆえ、例えば、流入口15から細胞を細胞懸濁液の状態でバッグ11に流入させる場合、該細胞懸濁液に含まれる必要な細胞と、不要な成分(不要な細胞を含む)とを分離することができる。
【0110】
つまり、上記構成によれば、バッグ11に流入させる細胞を含む試料が、必要な細胞以外の不純物を含む場合であっても、流出口16を通じて該試料を細胞回収容器18に流入させると、フィルター19によって必要な細胞のみを捕捉し、必要な細胞以外の不要成分(不要な細胞を含む)はフィルター19を通過させ、廃棄することができる。
【0111】
フィルター19上に細胞を捕捉した後、細胞支持体12が封入されている空間10と空間14とを区画している仕切り13を除去することにより、細胞支持体12が封入されている空間10と空間14とが連結される。これにより、細胞支持体12が細胞回収容器18に投入される。
【0112】
そして、細胞回収容器18内で、細胞と細胞支持体12とが混合され、細胞と細胞支持体とを含む細胞含有組成物を調製することができる。
【0113】
さらに、必要に応じて、溶液28が封入されている空間10と空間14とを区画している仕切り13を除去することにより、細胞回収容器18に溶液28を閉鎖系内で、簡便かつ容易に添加することができる。これにより、閉鎖系内で、簡便かつ容易に、得られる細胞含有組成物の液量や粘性、細胞濃度等を所望に制御することができる。
【0114】
こうして調製された細胞含有組成物は、細胞回収容器18の開口部または排出口から、取り出すことができる。混合容器3から、細胞含有組成物を取り出す方法は、これに限定されるものではない。
【0115】
例えば、細胞含有組成物を細胞回収容器18内に細胞含有組成物を回収し、バッグ11と細胞回収容器18とを分離し、細胞回収容器18の流出口16との接続口から該細胞含有組成物を取り出してもよい。
【0116】
また、細胞含有組成物を調製後、該細胞含有組成物をバッグ11に回収し、続いて、バッグ11と細胞回収容器18とを分離し、流出口16から細胞含有組成物を取り出してもよい。
【0117】
さらに、実施の形態1で説明した混合容器1から細胞含有組成物を取り出す方法と同様の方法によっても、混合容器3から細胞含有組成物を取り出すことができる。
【0118】
本実施形態では、図3に示すように、流入口15および流出口16が設けられた空間14には、細胞支持体12は封入されていない。
【0119】
そのため、流入口15を通ってバッグ11内の空間14に流入した細胞は、直ちに細胞支持体12と接触することはない。つまり、バッグ11に流入させる細胞を含む試料が必要な細胞以外の不要成分を含む場合であっても、そのような不要成分が細胞支持体12と接触することを防止することができる。
【0120】
それゆえ、混合容器3から回収した細胞含有組成物を、生体に投与する場合であっても、生体内に不要成分を投与することを防止することができる。
【0121】
細胞回収容器18の内部に備えられるフィルター19は、特に限定されるものでなく、細胞を含有する試料に含まれる必要な細胞と、その他の不要成分(不要な細胞を含む)とを分離できるものであればよい。より詳しくは、必要な細胞を捕捉することが可能で、かつ、必要な細胞以外の成分を通過させることが可能なものであればよい。
【0122】
つまり、細胞含有組成物に含有させる細胞の大きさにより、適切な孔径のフィルターを用いればよい。例えば、幹細胞を含有する細胞含有組成物を調製する場合、フィルター19として、孔径が1μm〜8μmであるフィルターを用いることが好ましい。このような孔径のフィルターであれば、流入口15から流入させる試料に、幹細胞以外の不要な細胞が混入していたとしても、幹細胞と該不要な細胞とを分離することができる。
【0123】
また、フィルター19の材質についても特に限定されないが、具体的には、例えば、濾紙、不織布、ガラスフィルター等を好適に用いることができる。
【0124】
フィルター19について、より具体的な例を挙げると、例えば、孔径が2.2μmのガラスフィルターを複数重ねたものを用いることができる。
【0125】
本実施形態では、バッグ11と細胞回収容器18とが接続されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、混合容器3は、バッグ11と細胞回収容器18とが分離可能な構成としてもよい。
【0126】
このような構成によれば、必要に応じて、細胞回収容器18を流出口16から脱着することができる。また、様々なフィルター19を備える細胞回収容器18との取替えが容易となり、混合容器3を用いて調製する細胞含有組成物の選択域を広げることができる。
【0127】
また、本実施形態では、図3に示すように、流入口15および細胞回収容器18の排出口には、それぞれ、キャップ17およびキャップ20が取り付けられている。これにより、混合容器3の使用前に、バッグ11内の空間が汚染されることを防止することができる。なお、本発明はこれに限定されず、キャップ17およびキャップ20を備えない構成とすることができる。
【0128】
ここで、混合容器3の使用形態について、具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。まず、流入口15から細胞を含む溶液(例えば、細胞懸濁液)を流入させる。そして、フィルター19で必要な細胞を捕捉し、その他の不要成分(不要な細胞を含む)は、フィルター19を通過させ、廃棄する。その後、流入口15から、フィルター19に捕捉された細胞を洗浄するための洗浄液を流入させ、細胞を洗浄する。なお、細胞を洗浄した後の洗浄液は、フィルター19を通過させて廃棄する。
【0129】
次に、キャップ20を取り付け、細胞含有組成物に含有させる溶液を所望量だけ流入口15から流入させる。そして、所望の数の仕切り13を除去(開放)し、所望の数の空間10と、空間14と、細胞回収容器18内の空間とを連結させる。
【0130】
これにより、これら連結された空間内で、細胞と細胞支持体12とを混合し、細胞含有組成物を調製することができる。なお、細胞と細胞支持体12との混合は、上記連結された空間内で行えばよい。すなわち、バッグ11内で行ってもよいし、細胞回収容器18内で行ってもよい。
【0131】
本実施形態において、上記洗浄液や、細胞含有組成物に含有させる溶液は、流入口15から流入させる以外にも、例えば、いずれかの空間10に封入しておき、仕切り13を除去することにより、空間14内に流入させることができる。
【0132】
こうして調製された細胞含有組成物は、上説した方法により、混合容器3から取り出すことができる。
【0133】
<II.細胞含有組成物製造器具>
本発明にかかる細胞含有組成物製造器具は、上説した本発明にかかる細胞含有組成物調製容器と、細胞分離器とが接続されたものである。
【0134】
このような細胞含有組成物製造器具によれば、(1)細胞を含む試料溶液(以下、「細胞含有試料」)から特定の細胞を分離し、(2)分離された特定の細胞と細胞支持体との混合を、閉鎖系内で、一連の操作として行うことができる。
【0135】
したがって、本発明にかかる細胞含有組成物製造器具によれば、無菌的に、細胞含有組成物を、簡便かつ容易に製造することができる。
【0136】
なお、上記細胞含有試料は、特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、体液、および生体組織の処理液等を挙げることができる。
【0137】
また、上記細胞含有試料は、細胞培養液であってもよい。すなわち、体液、および生体組織の処理液等から分離した細胞を増幅して得られた細胞含有試料であってもよい。
【0138】
このような細胞含有試料としては、具体的には、例えば、Dulbecco MEM培地(日水)、α−MEM培地(GIBCO BRL社製)、MEM培地(日水)、IMEM培地(日水)、RPMI−1640培地(日水)等の培養培地中で、体液、および生体組織の処理液等から分離した細胞を接着または増殖させた細胞培養液を挙げることができる。
【0139】
上記培養培地には、必要に応じて血清を5%〜20%の濃度で添加してもよい。また、培養条件は、特に限定されるものではなく、細胞の種類に応じて適宜設定すればよい。例えば、温度37℃、COガス5%の雰囲気下で培養すればよい。
【0140】
本明細書において、「体液」とは、細胞を含む、血液(末梢血、G−CSF動員末梢血を含む)、骨髄液、臍帯血、脂肪細胞含有体液等が意図される。また、体液には、血液(末梢血、G−CSF動員末梢血を含む)、骨髄液、臍帯血等の希釈物;血液(末梢血、G−CSF動員末梢血を含む)、骨髄液、臍帯血、脂肪細胞含有体液等を、フィコール、パーコール、ヒドロキシエチルスターチ(HES)、バクティナーチューブ、リンフォプレップ等を用いた比重密度遠心分離法により前処理して調製された細胞懸濁液等も含まれる。
【0141】
また、「生体組織の処理液」とは、生体組織を酵素により分解させた処理液(酵素分解処理液)、生体組織を破砕により分解させた処理液(破砕処理液)、生体組織を擦過により分解させた処理液(擦過処理液)、生体組織を浸透抽出により分解させた処理液(浸透抽出処理液)、生体組織を美容整形等で行われる脂肪吸引法により分解させた処理液(脂肪吸引処理液)等が意図される。なお、これら生体組織の処理液については、国際公開公報WO2007/046501(2007年4月26日公開)の内容も本明細書に参考として援用される。
【0142】
また、「生体組織」とは、細胞を含む体液以外の生体組織が意図される。
【0143】
ここで、本発明にかかる細胞含有組成物製造器具の一実施形態について、図4を参照しながら、以下、詳細に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0144】
本実施形態にかかる細胞含有組成物製造器具5は、図4に示すように、バッグ11と細胞回収容器18とが接続された混合容器3と、細胞分離フィルター33(細胞分離器、細胞捕捉部)と、試料注入用シリンジ31(細胞分離器、試料注入部)と、廃液バッグ35(細胞分離器、廃液回収部)と、洗浄用シリンジ32(細胞分離器、洗浄液注入部)と、回収用シリンジ34(細胞分離器、細胞回収液注入部)とを備えている。
【0145】
さらに、細胞回収容器18の下流には、細胞回収容器18から排出された廃液を回収するための廃液バッグ38を備えている。ただし、廃液バッグ38を設けない構成としてもよい。
【0146】
図4に示すように、細胞分離フィルター33、廃液バッグ35および回収用シリンジ34は、三方活栓42を介して互いに接続されている。
【0147】
より詳しくは、図4に示すように、細胞分離フィルター33と三方活栓42とは、配管回路46によって接続されている。廃液バッグ35と三方活栓42とは、配管回路47によって接続されている。
【0148】
さらに、回収用シリンジ34と三方活栓42とは、配管回路49によって接続されている。これにより、結果として、細胞分離フィルター33、廃液バッグ35および回収用シリンジ34は、互いに接続されている。
【0149】
また、細胞分離フィルター33、試料注入用シリンジ31、洗浄用シリンジ32、およびバッグ11(換言すれば、混合容器3)は、三方活栓40および三方活栓41を介して互いに接続されている。
【0150】
より詳しくは、図4に示すように、細胞分離フィルター33と三方活栓41とは、配管回路45によって接続されている。バッグ11と三方活栓41とは、配管回路48によって接続されている。三方活栓41と三方活栓40とは、配管回路44によって接続されている。
【0151】
また、洗浄用シリンジ32と三方活栓40とは、配管回路43によって接続されている。さらに、試料注入用シリンジ31と三方活栓40とは、配管回路43によって接続されている。
【0152】
これにより、結果として、細胞分離フィルター33、試料注入用シリンジ31、洗浄用シリンジ32、およびバッグ11は、互いに接続されている。
【0153】
上記構成によれば、試料注入用シリンジ31から、細胞含有試料を注入すると、三方活栓40および三方活栓41を経由して、細胞分離フィルター33に該試料溶液を流入させることができる。
【0154】
そして、細胞分離フィルター33では、上記細胞含有試料に含有される特定の細胞は捕捉され、上記細胞含有試料に含有される夾雑物は、三方活栓42を経由して、廃液バッグ35に流入(排出)させることができる。
【0155】
また、上記構成によれば、細胞分離フィルター33に特定の細胞が捕捉された状態で、洗浄用シリンジ32から、洗浄液を注入すると、三方活栓40および三方活栓41を経由して、細胞分離フィルター33に該洗浄液を流入させることができる。
【0156】
これにより、細胞分離フィルター33には、上記細胞含有試料を流入させたときと同じ向きに、上記洗浄液が流入することになる。そのため、細胞分離フィルター33内の夾雑物を洗い流し、上記洗浄液は、三方活栓42を経由して、廃液バッグ35に流入(排出)させることができる。
【0157】
さらに、上記構成によれば、細胞分離フィルター33に特定の細胞が捕捉され、細胞分離フィルター33内の夾雑物が洗い流された状態で、回収用シリンジ34から細胞回収液を注入すると、三方活栓42を経由して、細胞分離フィルター33に該細胞回収液を流入させることができる。
【0158】
その結果、細胞分離フィルター33には、上記細胞含有試料を流入させたときとは逆向きに、上記細胞回収液が流入することになる。そのため、細胞分離フィルター33に捕捉された特定の細胞を細胞分離フィルター33から流出させ、三方活栓41を経由して、バッグ11に、該特定の細胞を流入させることができる。
【0159】
細胞含有組成物製造器具5のバッグ11には、細胞分離フィルター33から流出した細胞が流入する。混合容器3(より具体的には、バッグ11)内に流入した細胞は、上説したように、細胞支持体と混合され、細胞含有組成物を調製することができる。
【0160】
混合容器3については、上説したので、ここでは、その詳細な説明は省略する。また、本実施形態では、細胞含有組成物製造器具5は、混合容器3を備えているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、上説した本発明にかかる細胞含有組成物調製容器であれば、いかなる形態のもの(例えば、混合容器2)を備えていてもよい。
【0161】
また、本実施形態では、図4に示すように、細胞回収容器18から排出された廃液を回収するための廃液バッグ38を設けているが、廃液バッグ38を設けない構成としてもよい。
【0162】
このように、細胞含有組成物製造器具5によれば、細胞含有試料から、特定の細胞を分離し、さらに、分離した特定の細胞と細胞支持体12と混合することを、閉鎖系内で、一連の操作として行うことができる。
【0163】
換言すれば、回収用シリンジ34から細胞回収液を注入することによって、細胞分離フィルター33に捕捉した特定の細胞を混合容器3に回収し、特定の細胞以外の不要成分(不要な細胞を含む)を廃液バッグ38に廃棄するという一連の細胞回収過程と、回収した細胞と細胞支持体12との混合を閉鎖的な系で行うことができる。
【0164】
したがって、無菌性を保ったまま、すなわち、外部からのコンタミネーションを防止しながら、細胞含有組成物を簡便かつ容易に製造することができる。
【0165】
また、上記構成によれば、遠心分離機等の大型機器を用いることなく、特定の細胞を混合容器3内に回収し、混合容器3内で、細胞含有組成物を調製することができる。
【0166】
さらに、細胞分離フィルター33に捕捉された細胞を多量の細胞回収液を用いて流出させたとしても、不要な(過剰な)細胞回収液を廃液バッグ38に回収することができる。それゆえ、多量の細胞回収液が混合容器3内に回収され、得られる細胞含有組成物の液量が増加することを防止することができる。
【0167】
細胞含有組成物製造器具5において、細胞分離フィルター33は、特定の細胞を捕捉し、不必要な夾雑物を通過させることが可能なものである。ここでいう「夾雑物」とは、目的細胞以外の細胞、例えば、赤血球、血小板、リンパ球等が意図される。
【0168】
細胞分離フィルター33の形態は特に限定されるものではなく、任意の大きさ、形状の細胞分離材を、少なくとも2つの口をもつ容器に充填したものであってもよいし、容器等に充填していない細胞分離材そのものであってもよい。
【0169】
本実施形態では、細胞分離フィルター33は、フィルター構造を有する細胞分離材を容器内に充填したものであることが好ましい。この場合、細胞分離材は、上記容器に圧縮して充填されていてもよいし、圧縮せずに充填されていてもよい。
【0170】
より具体的には、例えば、不織布状の細胞分離材を、充填した状態で厚みが0.1cm〜5cm、好ましくは、0.15cm〜4cm、より好ましくは0.2cm〜3cmとなるように、上記容器に充填したものを細胞分離フィルター33として好適に用いることができる。
【0171】
このような構成の細胞分離フィルター33によれば、赤血球、白血球、血小板等を効率よく除去した上で、細胞を高い回収率で回収することができる。
【0172】
また、上記細胞分離材として、ロール状の細胞分離材を用いる場合、上記容器に該ロール状の細胞分離材を充填し、ロールの内側から外側に向けて体液を流して、細胞を捕捉する形態としてもよいし、ロールの外側から内側に向けて体液を流して、細胞を捕捉する形態としてもよい。
【0173】
細胞分離材を充填する容器は、特に限定されるものではなく、球、コンテナ、カセット、バッグ、チューブ、カラム等、任意の形態をとりうる。好ましい具体例としては、例えば、容量約0.1ml〜1000ml程度、直径約0.1cm〜15cm程度の透明または半透明の円柱状容器、あるいは一片の長さ0.1cm〜20cm程度の正方形あるいは長方形で、厚みが0.1cm〜5cm程度の四角柱状の容器等を挙げることができる。
【0174】
上記細胞分離材は、細胞支持体や特定の細胞は通過せず、液体成分を通過させる濾過材であればよい。具体的には、白血球および赤血球を含む試料を通液したとき、白血球の60%〜90%を通過させ、かつ、赤血球の90%以上を通過させることが好ましい。
【0175】
上記細胞分離材の材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエステル、塩化ビニル、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン、レーヨン、ビニロン、ポリスチレン、アクリル(ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリレート等)、ナイロン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド、ポリアミド、キュプラ、ケブラー、カーボン、フェノール、テトロン、パルプ、麻、セルロース、ケナフ、キチン、キトサン、ガラス、綿等を挙げることができる。
【0176】
中でも、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル、レーヨン、ポリオレフィン、ビニロン、ナイロン、およびポリウレタン等の合成高分子を好適に用いることができる。
【0177】
上記細胞分離材は、これらの材質のうち、単一の材質からなってもよいし、複数の材質を組み合わせた複合材からなってもよい。
【0178】
2種以上の合成高分子を組み合わせて用いる場合、その組み合わせは特に限定されるものではないが、ポリエステルとポリプロピレンとの組み合わせ、レーヨンとポリオレフィンとの組み合わせ、または、ポリエステルとレーヨンとビニロンとの組み合わせを好適に用いることができる。
【0179】
2種以上の合成高分子を組み合わせて繊維とする場合、具体的には、例えば、1本の繊維が異成分同士の合成高分子よりなる繊維、あるいは異成分同士が剥離分割した分割繊維でもよい。また、成分の異なる合成高分子単独よりなる繊維をそれぞれ複合化した繊維であってもよい。ここでいう「複合化した繊維」とは、2種以上の繊維を混在させることにより構成した繊維、または、合成高分子単独よりなる繊維をそれぞれ張り合わせた繊維等が意図される。
【0180】
上記細胞分離材の形態は特に限定されるものではないが、本発明では、フィルター構造を有する細胞分離材を容器内に充填したものを細胞分離フィルター33として用いることが好ましいことから、上記細胞分離材の形態は、上記容器に収納できるものであることが好ましい。
【0181】
具体的には、例えば、連通孔構造の多孔質体、繊維の集合体、織物等を挙げることができる。中でも、繊維で構成されることが好ましく、不織布であることがより好ましい。
【0182】
また、上記細胞分離材は、上記例示した材質に対して、細胞分離材としての性能を向上させるための処理が施されたものであってもよい。
【0183】
このような処理としては、具体的には、例えば、(1)親水化処理、(2)細胞付着性タンパク質や、細胞上に特異的に発現している特異的抗原に対する抗体の固定化処理を挙げることができる。
【0184】
上記親水化処理により、細胞以外の細胞の非特異的な捕捉を抑制することができる。また、体液が細胞分離フィルター33内を通過する際、特定の領域の細胞分離材に偏って通過して、細胞の回収率が低下することを防止することができる。
【0185】
また、上記特定のタンパク質の固定化処理によれば、細胞の細胞分離材への付着性をより向上させることができる。
【0186】
なお、上記親水化処理や、特定のタンパク質の固定化処理の具体的な方法については特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いればよい。また、細胞分離材を性能を向上させる処理については、例えば、国際公開公報WO2007/046501(2007年4月26日公開)の内容も本明細書に参考として援用される。
【0187】
細胞分離フィルター33は細胞の分離に用いられるため、上記細胞分離材は、孔が通液方向と平行に連通している形態とすることが好ましい。
【0188】
また、細胞分離材が繊維である場合、その繊維径が3μmより小さいと、細胞分離材と白血球との相互作用が高まり、夾雑物(換言すれば、不要細胞)の除去効率が低くなる傾向がある。一方、繊維径が40μmより大きいと、有効接触面積の低下やショートパスが起こりやすくなり、細胞の回収率が低下する傾向がある。
【0189】
したがって、細胞分離材が繊維である場合の繊維径は、3μm〜40μmであることが好ましく、5μm〜35μmであることがより好ましく、5μm〜30μmであることがさらに好ましい。このような繊維径とすれば、細胞と細胞分離材との相互作用を上げ、細胞の収率を向上させることができる。
【0190】
さらに、細胞分離材が繊維である場合、目開きが3μmより小さいと、夾雑物の除去効率が低下する傾向がある。一方、上記目開きが120μmより大きいと、細胞の捕捉が困難となる傾向がある。
【0191】
したがって、上記目開きは、短径が3μm以上で、長径が120μm以下であることが好ましく、短径が5μm以上で、長径が80μm以下であることがより好ましく、短径が5μm以上で、長径が50μm以下であることがさらに好ましい。このような目開きとすれば、赤血球等の比較的大きな夾雑物を高い除去効率で除去するとともに、高い回収率で細胞を捕捉することができる。
【0192】
なお、ここでいう「細胞分離材が繊維である場合の繊維の目開き」は、下記の方法により求めることができる。まず、細胞分離材が繊維である場合の繊維を走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」ともいう)にて写真撮影する。次に、そのSEM画像を用いて、異なる2本以上の繊維が交差することにより形成される実質的な孔の長径、および短径を画像解析装置にて50ポイント以上測定し、それぞれの平均値を求める。これにより、上記目開きの短径および長径をそれぞれ測定することができる。
【0193】
なお、長径は実質的な孔の2点間の最長の距離を、短径は長径を求めた際の2点間の距離の中央値を通り、実質的に孔に接する最短の距離をいう。
【0194】
細胞分離フィルター33において、細胞分離材の密度K(つまり、目付(g/m)/厚み(m))は、1.0×10≦K≦1.0×10であることが好ましく、2.5×10≦K≦7.5×10であることがより好ましく、5.0×10≦K≦5.0×10であることがさらに好ましく、5.0×10≦K≦2.0×10であることが特に好ましい。このような密度であれば、赤血球、白血球、血小板等を高い除去効率で除去できるうえ、細胞を高い回収率で回収することができる。
【0195】
なお、密度Kは、つまり、目付(g/m)/厚み(m)を示すが、換言すれば、重量(g)/単位体積(m)と表すこともできる。したがって、密度Kは、細胞分離材の単位体積(m)当りの重量(g)を測定することにより求めることができる。
【0196】
なお、細胞分離フィルター33は、上記容器を含まず、細胞分離材のみからなる構成とすることもできる。その場合、具体的には、上記細胞分離材を成型したフィルター、多孔質体、中空糸、メッシュ等を挙げることができる。
【0197】
細胞分離フィルター33は、以上説示した通りであるが、細胞分離フィルター33の構成については、例えば、国際公開公報WO2007/046501(2007年4月26日公開)の内容も本明細書に参考として援用される。
【0198】
細胞含有組成物製造器具5において、細胞分離フィルター33には、細胞含有試料を注入する。より具体的には、細胞含有試料を入れた試料注入用シリンジ31のプランジャーを、手や機械を用いて押して、細胞分離フィルター33に細胞含有試料を注入する。
【0199】
この際、細胞分離フィルター33に細胞含有試料を注入する注入速度(換言すれば、通液速度)は、特に限定されるものではなく、細胞分離フィルター33の形態に応じて適した注入速度とすればよい。
【0200】
具体的には、例えば、細胞分離フィルター33として、フィルター構造を有する細胞分離材が充填された細胞分離器を用いる場合、細胞分離材の厚さに対する細胞含有試料の通過速度(線速)として、0.1mm/min〜1000mm/minとすることが好ましく、0.5mm/min〜500mm/minとすることがより好ましく、1mm/min〜250mm/minとすることがさらに好ましい。
【0201】
線速が0.1mm/minより低いと処理時間が長期化する傾向がある。一方、1000mm/minより高いと、細胞含有試料の流水圧により、コロニー形成が可能な細胞が細胞分離フィルター33に捕捉されにくくなる傾向がある。
【0202】
しかし、上記線速範囲であれば、処理時間が長期化することなく、また、効率よく細胞を捕捉することができる。
【0203】
試料注入用シリンジ31の材質や形状は、特に限定されるものではなく、従来公知のあらゆるシリンジ、好ましくは医療用シリンジを用いることができる。
【0204】
本実施形態にかかる細胞含有組成物製造器具5では、細胞分離フィルター33に細胞含有試料を注入するために、試料注入用シリンジ31を備えているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、試料注入用シリンジ31に代えて、細胞分離フィルター33に細胞含有試料を注入する方法に応じて、あらゆる試料注入用具を用いることができる。
【0205】
具体的には、例えば、試料注入用シリンジ31に代えて、任意の容器(例えば、バッグ)を用い、細胞含有試料を該任意の容器にプールして、自然落下により、細胞分離フィルター33に細胞含有試料を注入することができる。また、細胞含有試料を入れた任意の容器から、ポンプ等を用いて、細胞分離フィルター33に細胞含有試料を注入してもよい。
【0206】
洗浄用シリンジ32は、細胞分離フィルター33に洗浄液を注入するためのものである。洗浄用シリンジ32によれば、細胞含有試料を流した方向と同方向から、細胞分離フィルター33に洗浄液を注入することができる。それゆえ、細胞分離フィルター33中に溜まっている夾雑物を、細胞分離フィルター33から洗い流すことができる。
【0207】
洗浄用シリンジ32の材質や形状は、特に限定されるものではなく、従来公知のあらゆるシリンジ、好ましくは医療用シリンジを用いることができる。
【0208】
細胞分離フィルター33に洗浄液を注入(換言すれば、通液)する注入速度は、特に限定されなく、細胞分離フィルター33の形態に応じて適した注入速度とすればよい。
【0209】
具体的には、例えば、細胞分離フィルター33として、フィルター構造を有する細胞分離材が充填された細胞分離器を用いる場合、細胞分離材の厚さに対する洗浄液の通過速度(線速)として、0.1mm/min〜1000mm/minとすることが好ましく、0.5mm/min〜500mm/minとすることがより好ましく、1mm/min〜250mm/minとすることがさらに好ましい。
【0210】
線速が0.1mm/minより低いと処理時間が長期化する傾向がある。一方、1000mm/minより高いと、洗浄液の流水圧により、必要な有用な細胞が細胞分離フィルター33から流出する可能性がある。
【0211】
しかし、上記線速範囲であれば、処理時間が長期化することなく、また、必要な有用な細胞を細胞分離フィルター33から流出させることなく、細胞分離フィルター33中に溜まっている夾雑物を、細胞分離フィルター33から流出させることができる。
【0212】
また、細胞分離フィルター33に注入する洗浄液の量は、特に限定されるものではなく、細胞分離フィルター33の容積に応じて適宜変更すればよい。具体的には、細胞分離フィルター33の容積の1倍量〜100倍量の洗浄液を注入することが好ましく、10倍量〜100倍量の洗浄液を注入することがより好ましい。
【0213】
上記の量の洗浄液を注入すれば、最終的に得られる細胞含有組成物を治療用として人体に投与する場合であっても、人体に悪影響を与えない程度にまで、夾雑物を除去することができる。
【0214】
なお、上記洗浄液は、特に限定されるものではなく、細胞に対して負の影響を与えない溶液であればよい。具体的に、例えば、生理的食塩液やリンゲル液など注射用剤として一般的に用いられる溶液、リン酸緩衝液等の緩衝液、αMEM培地やDMEM培地等の細胞培養用の培地等を挙げることができる。
【0215】
これら例示した溶液の中でも、細胞への負の影響が小さいことから、細胞培養用培地や生理食塩水を好ましく用いることができる。
【0216】
回収用シリンジ34は、細胞回収液を細胞分離フィルター33に注入するためのものである。回収用シリンジ34によれば、細胞含有試料を注入した方向とは逆方向から、細胞分離フィルター33に細胞回収液を注入することができる。それゆえ、細胞分離フィルター33に捕捉された細胞を、細胞分離フィルター33から流出させることができる。
【0217】
細胞分離フィルター33に細胞回収液を注入(換言すれば、通液)する注入速度は、特に限定されなく、細胞分離フィルター33の形態に応じて適した注入速度とすればよいが、可能な範囲で、高速で注入することが好ましい。
【0218】
具体的には、例えば、細胞分離材の厚さに対する細胞回収液の通過速度(線速)として、50cm/min〜500cm/minとすることが好ましく、100cm/min〜500cm/minとすることがより好ましい。上記流速範囲によれば、細胞の回収率を向上させることができる。
【0219】
このような線速範囲で、細胞分離フィルター33に対して細胞回収液を注入する場合、例えば、細胞回収液入れた回収用シリンジ34のプランジャーを、手や機械を用いて勢いよく押すことにより上記線速を実現することができる。
【0220】
細胞分離フィルター33に注入する細胞回収液の量は、特に限定されるものではなく、細胞分離フィルター33の容積に応じて適宜変更すればよい。具体的には、細胞分離フィルター33の容積の1倍量〜100倍量の細胞回収液を注入することが好ましく、10倍量〜100倍量の細胞回収液を注入することがより好ましい。
【0221】
上記の量の細胞回収液を注入すれば、細胞分離フィルター33に捕捉された細胞を確実に、回収することができる。
【0222】
こうして細胞分離フィルター33から流出した細胞を含む細胞回収液は、混合容器3に回収される。
【0223】
なお、上記細胞回収液は、特に限定されるものではなく、細胞に対して負の影響を与えない溶液であればよい。具体的に、例えば、生理的食塩液やリンゲル液など注射用剤として一般的に用いられる溶液、リン酸緩衝液等の緩衝液、αMEM培地やDMEM培地等の細胞培養用の培地等を挙げることができる。
【0224】
これら例示した溶液の中でも、細胞への負の影響が小さいことから、細胞培養用培地や生理食塩水を好ましく用いることができる。
【0225】
また、上記細胞回収液には、細胞保護の観点から、タンパクを添加してもよい。上記物質は特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、血漿、血清、アルブミン等を挙げることができる。
【0226】
さらに、上記細胞回収液には、粘張度を上げるための物質を添加してもよい。上記物質は特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、アルブミン、フィブリノーゲン、グロブリン、デキストラン、ヒドロキシエチルスターチ、ヒドロキシエチルセルロース等を挙げることができる。
【0227】
このような物質を添加することにより、細胞分離フィルター33に捕捉された細胞の回収率を向上させることができる。
【0228】
洗浄用シリンジ32、および回収用シリンジ34の材質並びに形状は特に限定されるものでないが、試料注入用シリンジ31と同様のものを用いることができる。また、試料注入用シリンジ31と同様に、細胞分離フィルター33に洗浄液または細胞回収液を注入する方法に応じて、シリンジ以外のものを代用することができる。
【0229】
廃液バッグ35は、試料注入用シリンジ31および洗浄用シリンジ32から注入された細胞含有試料および洗浄液のうち、細胞分離フィルター33を通過した成分を回収するものである。廃液バッグ35の材質および形状は特に限定されるものではなく、医療用途に一般的に用いられる廃液バッグを好適に用いることができる。
【0230】
また、本実施形態では、廃液バッグ35を備えているが本発明はこれに限定されない。すなわち、試料注入用シリンジ31および洗浄用シリンジ32から注入された細胞含有試料および洗浄液のうち、細胞分離フィルター33を通過した成分を回収することができるものであれば、バッグに限らず、あらゆる容器を代用することができる。
【0231】
三方活栓40〜42は、それぞれ、3つの口をもち、これら3つの口の任意の2つの口を連通させることが可能なものであればよく、その材質等は特に限定されるものではない。具体的には、例えば、医療用途で用いられるあらゆる三方活栓を用いることができる。
【0232】
さらに、配管回路43〜49もまた、特に限定されるものではなく、各部材間を、溶液が漏れないように接続できるものであればよい。その材質や形状についても特に限定されるものではない。具体的には、例えば、医療用途で用いられるあらゆるチューブ類を好適に用いることができる。
【0233】
廃液バッグ38は、細胞回収容器18のフィルター19を通過した成分を回収するものである。廃液バッグ38としては、具体的には、廃液バッグ35と同様のものを用いればよい。
【0234】
本発明にかかる細胞含有組成物製造器具は、上記構成を備えているため、特定の細胞と細胞支持体とを含む細胞含有組成物を、無菌的に、簡便かつ容易に製造することができる。
【0235】
本発明には、このような本発明にかかる細胞含有組成物製造器具を用いて、細胞含有組成物を製造する方法、および該方法により製造された細胞含有組成物も含まれる。
【0236】
本発明にかかる細胞含有組成物の製造方法としては、具体的には、(1)細胞を細胞分離フィルター33で捕捉する工程と、細胞分離フィルター33に捕捉された細胞を、細胞分離フィルター33に細胞回収液を注入することによって、細胞分離フィルター33から流出させ、細胞分離フィルター33から流出した細胞を含む細胞回収液を混合容器1に回収する工程と、混合容器1において、細胞を濃縮した後、細胞と細胞支持体12とを混合する工程とを含む構成、(2)上記細胞捕捉工程と、細胞回収工程との間に、細胞分離フィルター33に対して洗浄液を注入し、細胞分離フィルター33を洗浄する工程をさらに含む構成等を挙げることができる。
【0237】
ここで、図5を参照しながら、細胞含有組成物製造器具5を用いて、細胞含有組成物を製造する方法について、より具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本明細書に鑑みた当業者であれば、本発明にかかる細胞含有組成物の製造方法の他の構成を容易に理解することができる。
【0238】
細胞含有組成物製造器具5を用いて、細胞含有組成物を製造する場合、具体的には、例えば、図5に示すように、まず、体液等の細胞含有試料を含む試料注入用シリンジ31を、細胞含有組成物製造器具5にセットする。
【0239】
次に、試料注入用シリンジ31から注入された溶液が廃液バッグ35に排出されるように、三方活栓40〜42を調整する。
【0240】
そして、試料注入用シリンジ31から細胞含有試料(例えば、体液)を細胞分離フィルター33に注入する。このとき、細胞分離フィルター33を通過した液(通過液)は、廃液バッグ35に排出される。
【0241】
次に、洗浄用シリンジ32から注入された溶液が廃液バッグ35に排出されるように、三方活栓40〜42を調整する。
【0242】
そして、洗浄用シリンジ32から洗浄液を細胞分離フィルター33に注入する。このとき、細胞分離フィルター33を通過した液(通過液)は、廃液バッグ35に排出される。
【0243】
次に、回収用シリンジ34から注入された溶液が廃液バッグ35に排出されるように、三方活栓40〜42を調整する。
【0244】
そして、回収用シリンジ34から細胞回収液を細胞分離フィルター33に注入する。これにより、細胞分離フィルター33に捕捉されていた細胞は、細胞回収液と共に、混合容器3に流入する。このとき、細胞回収容器18内のフィルター19を通過した液(通過液)は、廃液バッグ38に排出され、必要な細胞は、フィルター19に捕捉され、結果として細胞回収容器18に回収される。
【0245】
次に、バッグ11内の全て、もしくは一部の仕切り13を除去(開放)し、細胞支持体12を細胞回収容器18内に添加する。そして、細胞回収容器18内で、細胞と細胞支持体12とを混合し、細胞含有組成物を調製することができる。
【0246】
こうして調製された細胞含有組成物は、細胞回収容器18を細胞含有組成物製造器具5から取り外すことにより、細胞回収容器18から細胞含有組成物を取り出すことができる。
【0247】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【産業上の利用可能性】
【0248】
以上のように、本発明では、骨再生に関わる細胞を含む試料からの細胞の分離し、該細胞を培養することなく、そのまま、閉鎖系内で、細胞支持体と混合する。そのため、骨再生治療に利用可能な細胞含有組成物を簡便かつ迅速に製造することができる。したがって、本発明は、骨再生に関わる医療用途および医薬品用途に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0249】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる細胞含有組成物調製容器を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の別の実施形態にかかる細胞含有組成物調製容器を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明のさらに別の実施形態にかかる細胞含有組成物調製容器を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかる細胞含有組成物製造器具の外観を示す側面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかる細胞含有組成物製造器具を用いた細胞含有組成物の製造工程を示す図である。
【符号の説明】
【0250】
1 混合容器(細胞含有組成物調製容器)
2 混合容器(細胞含有組成物調製容器)
3 混合容器(細胞含有組成物調製容器)
5 細胞含有組成物製造器具
10 空間
11 バッグ(容器)
12 細胞支持体
13 仕切り(仕切り部)
14 空間
15 流入口(流入部)
16 流出口(流出部)
18 細胞回収容器(細胞回収部)
19 フィルター
28 溶液(細胞と細胞支持体とを混合するための溶液)
31 試料注入用シリンジ(細胞分離部、試料注入部)
32 洗浄用シリンジ(細胞分離部、洗浄液注入部)
33 細胞分離フィルター(細胞分離部、細胞捕捉部)
34 回収用シリンジ(細胞分離部、細胞回収液注入部)
35 廃液バッグ(細胞分離部、廃液回収部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を流入させるための流入部を有する容器と、
該容器内の空間を区画している少なくとも1つの仕切り部と、を備え、
上記仕切り部の除去により、上記容器内の区画された空間は連結可能であって、
上記流入部は、上記仕切り部によって区画された空間のうちの1つの空間に設けられており、
上記仕切り部によって区画された空間のうち、少なくとも1つの空間に、細胞支持体が封入されていることを特徴とする細胞含有組成物調製容器。
【請求項2】
上記容器は、流出部をさらに備え、
上記流入部および流出部は、ともに、上記仕切り部によって区画された1つの同一空間に設けられており、
該流入部および流出部が設けられた空間には、上記細胞支持体は封入されていないことを特徴とする請求項1に記載の細胞含有組成物調製容器。
【請求項3】
細胞回収部をさらに備え、
該細胞回収部は、上記流出部と接続されていることを特徴とする請求項2に記載の細胞含有組成物調製容器。
【請求項4】
上記細胞回収部は、該細胞回収部の内部の空間を少なくとも2つに区画するフィルターを備えていることを特徴とする請求項3に記載の細胞含有組成物調製容器。
【請求項5】
上記容器は、合成樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の細胞含有組成物調製容器。
【請求項6】
上記仕切り部は、上記容器の壁面同士を熱圧着させることにより形成されてなることを特徴とする請求項5に記載の細胞含有組成物調製容器。
【請求項7】
上記仕切り部によって区画された空間のうち、上記細胞支持体が封入されている空間とは異なる少なくとも1つの空間に、上記細胞と上記細胞支持体とを混合するための溶液が封入されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の細胞含有組成物調製容器。
【請求項8】
上記溶液が封入されている空間は、さらに、上記流入部が設けられている空間と
は異なることを特徴とする請求項7に記載の細胞含有組成物調製容器。
【請求項9】
上記溶液は、培地、生理食塩液、血漿、および血清からなる群より選択される少なくとも1つの溶液であることを特徴とする請求項7または8に記載の細胞含有組成物調製容器。
【請求項10】
上記細胞支持体は、無機材料、天然高分子材料、合成高分子材料、金属材料、自家骨またはこれらの2種以上を組み合わせた複合材を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の細胞含有組成物調製容器。
【請求項11】
上記細胞は、幹細胞であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の細胞含有組成物調製容器。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の細胞含有組成物調製容器と、
細胞分離部とを備え、
該細胞分離部は、上記流入部と接続されていることを特徴とする細胞含有組成物製造器具。
【請求項13】
上記細胞分離部は、細胞を捕捉するための細胞捕捉部と、
上記細胞捕捉部に細胞回収液を注入し、該細胞捕捉部に捕捉された上記細胞を該細胞捕捉部から流出させるための細胞回収液注入部とを備え、
上記細胞含有組成物調製容器は、上記細胞捕捉部から流出した上記細胞を含む細胞回収液を回収するためのものであることを特徴とする請求項12に記載の細胞含有組成物製造器具。
【請求項14】
上記細胞を含む試料を上記細胞捕捉部に注入するための試料注入部をさらに備え、
上記試料注入部は、
上記細胞回収液注入部が上記細胞捕捉部に対して上記細胞回収液を注入する方向とは逆方向に、上記細胞捕捉部に対して上記試料を注入するものであることを特徴とする請求項12または13に記載の細胞含有組成物調製器具。
【請求項15】
上記試料注入部が上記細胞捕捉部に上記試料を注入したとき、上記試料のうち、上記細胞捕捉部を通過した成分を回収するための廃液回収部をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の細胞含有組成物調製器具。
【請求項16】
上記細胞捕捉部を洗浄するための洗浄液を上記細胞捕捉部に注入するための洗浄液注入部をさらに備え、
上記洗浄液注入部は、
上記細胞回収液注入部が上記細胞捕捉部に対して上記細胞回収液を注入する方向とは逆方向に、上記細胞捕捉部に対して上記洗浄液を注入することを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の細胞含有組成物調製器具。
【請求項17】
上記細胞捕捉部は、フィルター構造を有する細胞分離材を含むことを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載の細胞含有組成物製造器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−102049(P2009−102049A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276879(P2007−276879)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】