説明

細胞生育用のポリマー

本発明は、肝細胞及び肝細胞様細胞の付着及び機能発現に用いるポリマー基質を提供する。特に、ポリマー基質はポリウレタンポリマーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝細胞が付着し、かつ肝細胞が一定期間機能を発現することができる特定のポリマーの提供に関する。肝細胞の付着、及び機能の維持のための特定のポリマーの使用も提供する。機能性の肝細胞の付着及び維持に用いるための本発明のポリマーの被覆により形成されるか又は該被覆を含む装置を更に提供する。
【背景技術】
【0002】
薬剤開発のコストは、化合物損耗率により大きく影響を受ける。市場に出回るすべての新薬について、約5000から10,000の化合物が、約250に達する動物試験での前臨床試験で試される。動物試験に続いて、約5個の可能性のある薬が、本格的なヒト臨床試験に施され、たった1つが最終的な承認を得る([1])。これらの数字は、より正確な毒性予測モデルの開発が必要とされていることを明確に示す。ヒト胚性幹細胞(hESCs)及びヒト人工多能性幹細胞(hiPSCs)由来のヒト幹細胞様細胞(HLCs)の産生は、かかる方法の一つである。本発明者らは、ヒト肝臓機能([2−6])の生体外のモデルを最近開発したが、長期に渡りその肝機能が効果的に維持されるかははっきりしていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、肝細胞の付着を可能にする特徴を有し、付着した細胞が良好な肝細胞機能の特性を表すことを示す一群のポリマーの同定に基づく。
【0004】
第一の態様では、肝細胞及び肝細胞様細胞の付着及び機能発現に用いるポリマー基質を提供する。
【0005】
本発明者らは、PHNGAD、MDI及び増量剤を重合することにより形成したポリウレタン表面が、肝内胚葉の再播種に対して支援的な効果を提供することを見出した(肝細胞は通常は再播種できない)。また、ポリウレタン表面は、再播種の後少なくとも15日間、肝細胞の同一性及び安定な機能発現を維持することを促す効果/役割を果たす。当該分野の研究に利用されるPHNGAD、MDI及び増量剤を重合することにより形成したポリウレタン表面の生理活性な性質はまた、他の真核生物、特に哺乳動物の細胞型に適用可能であり、汎用性があり確立された細胞外支持体を提供する。
【0006】
本発明の一つの実施形態において、ポリマーはPHNGAD、MDI及び増量剤分子を重合することにより形成したポリウレタンポリマーである。
【0007】
PHNGADはポリ(1,6−ヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール/ジ(エチレングリコール)−alt−アジピン酸)ジオールである。
【0008】
MDIは4,4’−メチレンビス(フェニルイソチアネート)であり、増量剤は弾力性、湿潤性及び/若しくは表面トポグラフィーなどの物理的特性、並びに/又は細胞外マトリックスタンパク質を吸収する能力などの生化学的特性を増加させる働きをする。
【0009】
適当な増量剤分子としては、1,4−ブタンジオール(BD);3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール(DMAPD);3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール(DEAPD);(BD)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール(OFHD)、1,3−プロピレングリコール(PG)、1,2−エチレングリコール(EG)、2−ニトロ−2−メチル−1、3−プロパンジオール(NMPD)、ジエチル−ビス−(ヒドロキシメチル)−マロネート(DHM)、1,12−ドデカンジオール、シクロドデカンジオール、ヒドロキノン−ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(EHD)、N、N−ジイソプロパノールアラニン(DIPA)、エチレンジアミン、m−フェニレン−4−ジアミノスルホン酸(PDSA)が挙げられる。
【0010】
本発明者らは、三つの構成要素全て(PHNGAD、MDI及び増量剤)から形成したポリマーが、適切な機能活性を示す肝細胞の付着を可能にすることができるが、一方増量剤を含まず、PHNGAD及びMDIのみから形成したポリマーが肝細胞と結合しないことを見出した。
【0011】
本発明での使用に好適なポリマーをポリマー134(図5参照)として本明細書中で識別するが、他の関連のポリマー(ポリマー103、104及び247)−表1参照−も肝細胞の付着及び機能発現の点において適切な特性を表す。
【0012】
ここで用いるような肝細胞は、被検体の肝臓から、例えば生検により直接得られた肝細胞を含んでよい。しかしながら、好適な肝細胞は、肝細胞又は肝細胞様細胞に分化させた胚性幹細胞又は胚性幹細胞株に由来するものである。かかる細胞の例は、[3]に記載される。また、当技術分野で既知のリプログラムされた成熟細胞から得られる肝細胞様細胞も用いることができる(Takahashi & Yamanaka, (2006), Cell, 126, p663-676. 及び Takahashi et al, (2007), Cell, 131, p861-872.)。
【0013】
更なる態様では、本明細書に記載したようなポリマーの機能性の肝細胞の付着用での使用を提供する。
【0014】
本明細書で用いる「機能」又は「機能的」という用語は、肝細胞に通常付随する代謝活性を指す。従って、本発明の肝細胞は、望ましくはより活発な内分泌及び外分泌機能:ヒト血清タンパク質−フィブロネクチン、フィブリノーゲン及びトランスチレチンの産生、及びCYP3A4及びCYP1A2などの一つ又は複数のシトクロムp450酵素の発現の向上を示す。更に、かかる代謝活性は増大されることができ、及び/または細胞を他の基質に付着させるときよりも持続時間を長くすることができる。MG及び134の両方が、再播種の後15日目に、肝細胞の維持に異なるレベルを示し、134はCYP3A4、フィブロネクチン、フィブリノーゲン及びトランスチレチンについて約2倍の増加、CYP1A2について約6倍の増加を示す。
【0015】
肝細胞は、適当な形状に形成された本発明のポリマーに直接付着させることができる。或いはまた、スピンコーティング、グラフティング又は浸漬コーティングのような適切な技術を用いて、ポリマーを適当な基質に物理的又は化学的に被覆することができる。当業者は、基質を被覆するのに用いる材料の溶液を表面の上に堆積させながら基質を特定のrpmでスピンすることによるスピンコーティングを用いて2D−及び3D−の基質を被覆することを理解するであろう。当業者は、浸漬コーティングが基質を被覆するのに用いる材料溶液中に基質を特定の速度で含浸することからなることを理解するであろう。当業者は、グラフティングが基質と用いるべき材料との間の化学的方法からなることを理解するであろう。基質は、ポリマー被覆用の表面を提供する。適当な基質の例は、限定しないが、ポリマー及びセラミック材料、ガラス、セラミック、天然繊維、合成繊維、シリコーン、金属及びそれらの複合体を含む。本発明の一つの実施形態によれば、基質は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスルホン、PVDF、テフロン(登録商標)、それらの複合体、混合物若しくは誘導体、及び肝細胞の固定化及び高密度培養に資する人工肝臓のポリファイバーコア−不織の親水性ポリエステルマトリックス−などのポリマー材料から製造することができる。
【0016】
ポリマー又はポリマー被覆基質は、任意適当な形状を呈し、多孔性又は無孔性の形状とすることができる。本発明の別の実施形態によれば、ポリマー又はポリマー被覆基質は、糸、シート、フィルム、ゲル、膜、ビーズ、プレート及びこれらに類似の構造の形状とすることができる。本発明の更なる実施形態によれば、ポリマー又はポリマー被覆基質は、ウェル、窪み、台、疎水性又は親水性パッチ、流体が流れるウェル又は物理的な障壁を形成するダイカットされた付着性の貯留池又は積層された詰め物のダイカットといった形状の断続的な隔離された領域を有する平面デバイスの形状で製造してもよい。かかる固体の支持体の例は、限定しないが、マイクロプレート等を含む。
【0017】
要するに、肝細胞が付着することができる任意適当な構造を想定してよい。例えば、一つの実施形態では、マイクロプレートに形成するか又は薬などの試験を可能にするように肝細胞を規則アッセイを形成することができるよう基質上の分離位置にプリントしたウェルにポリマーを被覆することができる。また、基質を初めに又はポリマーが結合しない領域に細胞の付着を阻害する材料で被覆することが適切な場合がある。
【0018】
別の実施形態では、ポリマー又はポリマー被覆基質は、添加する薬剤を代謝するのに用いるべく設計される人工肝臓又は解毒臓器として作用するように設計されたデバイスの形状をとることができる。かかるデバイスは、損傷した肝臓を有する被検体の一時的なデバイスとして応用することができると思われる。或いはまた、これを用いて治療上の使用とし得る化学薬品の代謝を同定することができる。
【0019】
本発明を、実施例により、また図面を参照して、ここに更に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】ポリマーライブラリーのスクリーニングであり、(A)効率的な分化プロトコル[3]を用いて、hESCをHEに分化させた。略称−bFGF:塩基性線維芽細胞増殖因子、MEF−CM:マウス胚線維芽細胞馴化培地、KO DMEM:不活性化ダルベッコの変性イーグル培地、DMSO:ジメチルスルホキシド、SR:血清代替物、L−15:LeibovitzのL−15、FCS:ウシ胎児血清、HGF:肝細胞増殖因子、OSM:オンコスタチンM、DAPI:4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール。
【図1B】(B)Aはポリマーライブラリーに再播種し、その後肝細胞培養培地で8日間培養した細胞の位相差顕微鏡分析(倍率×10)。Bはポリマースポット上に再播種した肝内胚葉(HE)中のヒトアルブミンについての免疫蛍光分析。Cはマトリジェル(登録商標)上に維持されたHE中のヒトアルブミンについての免疫蛍光分析。Dはヒトアルブミン染色用のIgGアイソタイプ免疫染色コントロール。Leica DMIRBを用いて撮影した写真を示す;スケールバーは100μm。
【図1C】(C)マトリジェル(登録商標)コントロールと比較してヒットしたポリマーの表である。
【図2】マトリジェル(登録商標)及び確定したポリマーマトリックスに対する肝細胞様細胞の機能を示す 確立された手法を用いて、hESCsを肝細胞様細胞(HLC)に分化させた。23日目に、hESC由来のHLCを1mlの肝細胞培養培地中で24時間培養した。以下の初期の培養上清を採取し、血清タンパク質の産生をELISAにより測定し、ng/mg細胞タンパク質として表した。ポリマー134に培養したHLCは、肝機能について最大の効果を示し、他のポリマー又はマトリジェル細胞外マトリックスと比較して、フィブリノーゲン(A)、トランスチレチン(B)及びフィブロネクチン(C)を2倍超誘導した(n=3)。
【図3A】マトリジェル又は同定したポリマー上に播種した肝細胞様細胞の形態学的及び機能的分析を示す。(A)肝内胚葉(HE)の形態は、健常な形態を示すポリマー134を除き、調査した全てのポリマーについて顆粒状であった(図4A参照)。
【図3B】(B)hESC由来のHEを、製造業者の指示に従って、100μMのCYP1A2 pGlo(登録商標)基質を添加した肝細胞培養培地を用いて培養した。処置後4時間で、50μlの上清試料を取り出し、ルミノメーター(ポーラスター オプティマ)で読み取った。CYP1A2の活性は、MG又は試験した他のポリマーよりも134で維持した細胞で約6倍高い。活性は、相対発光量(R.L.U.)/mgタンパク質(n=3)として表す。
【図3C】(C)hESC由来のHEを、製造業者の指示に従って、50μMのCYP3A4 pGlo(登録商標)基質を添加した肝細胞培養培地を用いて培養した。処置後5時間で、50μlの上清試料を取り出し、ルミノメーター(ポーラスター オプティマ)で読み取った。CYP3A4活性は、ポリマー134よりも低かったが、試験した他のポリマーで維持したHEと同程度であった(図4C参照)。CYP3A4活性は、相対発光量(R.L.U.)/mgタンパク質、(n=3)として表す。
【図3D】(D)細胞溶解物をウェスタンブロットし、ヒトプレグナンX受容体(hPXR)、ヒトアルブミン及びベータ−アクチンについて検出した。hPXR及びアルブミン産生は、ポリマー2BG9、212及び3AA7に維持したHLCよりもポリマー9G7及び223に維持したHLCにおいて高かった。
【図4】肝細胞の形態及び機能がマトリジェルと比較してポリマー134においては保たれることを示す (A)マトリジェル(MG)又はポリウレタン134に播種したhESC由来のHLCの形態を比較した。一般に、134に維持した肝細胞は、きめが粗くなく、より健常に見えた。(B)タンパク質溶解物を、MG又は134に維持したHEから調製した。抽出物をウェスタンブロットし、ブロッキングし、p−Akt、p−FAK、p−ERK、p15、p21、E−カドヘリン、N−カドヘリン、アルブミン、hPXR及びCyp3A4について検出した。MGではなく、ポリマー134に維持したhESC−HEは、Akt、FAK及びERKシグナル伝達;細胞周期阻害剤であるp15及びp21の発現;接着分子であるE−カドヘリン及びN−カドヘリンの発現、並びにhPXR及びCyp3A4の発現について増加を示した。二つのハウスキーピング遺伝子であるB−アクチン及びGAPDHをローディングコントロールとして用いた。同様のB−アクチンの発現がMG及び134の両方のサンプルにおいて観察されたが、より高いGAPDHの発現がMGのタンパク質サンプルにおいて検出された。加えて、ポリマー134に維持したHEは薬剤誘発性のhPXRの機能と一致したリン酸化上方バンドの存在を示した。アルブミンのレベルは、ポリウレタン134及びマトリジェルに維持した肝細胞様細胞においても同等のままであった。(C)hESC由来のHLCs及び初代ヒト幹細胞を、製造業者の指示に従って、50μMのCYP3A4 pGlo(登録商標)基質を添加したヒト肝細胞培養培地を用いて培養した。処置後5時間で、50μlの上清試料を取り出し、ルミノメーター(ポーラスター オプティマ)で読み取った。CYP3A4活性は、MGよりも134に維持した細胞において高かった。活性を相対発光量(R.L.U.)/mgタンパク質、(*p<0.05、t検定、(n=3))として表す。
【図5】ポリウレタン134及びその構成要素の構造を示す。このポリウレタンの合成については、ポリオールとして25%のPHNGAD、ジイソシアネーとして50%のMDI及び鎖延長剤として25%のBDを用いた。
【図6】人工肝臓(BAL)の未被覆又は被覆ポリファイバーコア(PFC)上のいずれかに播種したhESC由来のHEを示す。培養24日目に、細胞を固定し、染色し、電子顕微鏡により観察した。(a)はBALの未被覆PFCである。(b)は細胞を付着させた未被覆のPFCを示し、(c)はポリマー134で被覆したPFCを示し、(d)は細胞を付着させたポリマー134で被覆したPFCを示す。パネル中のスケールバーは、50μmである。
【図7】の(A)薬物誘導(17−21日目)の前に、hESC由来のHEを1mlの肝細胞培養培地中に24時間培養した。以下の初期の培養上清を採取し、血清タンパク質の産生をELISAにより測定し、ng/ml培養上清(n=6)として算出したところ、ポリマー134において明らかな増加があった。(B)hESC由来のHEを、人工肝臓(BAL)の未被覆(灰色のバー)又は被覆(黒色のバー)のポリファイバーコア(PFC)のいずれかに播種した。培養物を、既知のCYP3A4誘導因子であるフェノバービタル(PB)(0.4mM)の存在(+)又は不在(−)下でCYP3A4活性の測定の前48時間培養した。24日目に、hESC由来のHEを、50μMのCYP3A4 pGlo(登録商標)基質を添加した肝細胞培養培地を用いて培養した。処置後5時間で、CYP3A4活性をルミノメーター(ポーラスター オプティマ)で読み取ったところ、ポリマー134において明らかな活性の誘導があった。活性の単位は、相対発光量(R.L.U.)/mgタンパク質、*p<0.05、t検定、(n=4)として表す。
【図8】未被覆(黒色のバー)又は被覆(灰色のバー)の人工肝臓マトリックスのいずれかに播種したhESC由来のHE (A)培養物を塩化アンモニウムの存在下でウレアーゼ活性の測定前4時間培養した。ウレアーゼ活性を、mM/mg細胞タンパク質/時間、(n=12)、*p<0.05で表した。(B)未変性およびポリマー被覆の人工肝臓マトリックスに対するHEの機能。培地及びフェノバービタルを毎日交換して、フェノバービタル(シグマ)による薬物誘導を22日目に48時間行った。コントロール培養物には、フェノバービタルを加えずに、培地を毎日交換した。培養物を既知のCYP3A4誘導物質であるフェノバービタル(0.4mM−5mM)の存在又は非存在下でCYP3A4活性の測定前48時間培養した。24日目に、hESC由来のHEを、50μMのCYP3A4 pGlo(登録商標)基質(プロメガ−非溶解性CYP450活性測定)を添加した肝細胞培養培地を用いて培養した。処置後5時間で、CYP3A4活性をルミノメーター(ポーラスター オプティマ)で読み取った。活性の単位を、相対発光量(R.L.U.)/mgタンパク質、(n=6)として表す。
【図9】MG及びポリマー134に対するiPSC由来のHEのCYP3A4機能 iPSC由来のHEをマトリジェル及びポリマー134上で培養した。24日目に、マトリジェル及びポリマー134に維持したHEがCYP3A4の機能を示すかどうか評価した。重要なことに、ポリマー134に再播種したiPSC由来のHEは、マトリジェルに再播種したものよりもかなり高い基底レベルのCYP3A4活性を示した。24日目に、hESC由来のHEを、50μMのCYP3A4 pGlo(登録商標)基質(プロメガ−非溶解性CYP450活性測定)を添加した肝細胞培養培地を用いて培養した。処置後5時間で、CYP3A4活性をルミノメーター(ポーラスター オプティマ)で読み取った。活性の単位を、相対発光量(R.L.U.)/mgタンパク質(nの値をグラフに示す)として表す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(材料及び方法)
PHNGADの合成(下記のスキーム1及び2参照)
ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及びアジピン酸をアルドリッチ社から購入した。第一スズオクトアート及びチタン(IV)ブトキシドは商用グレード(アルドリッチ社)であり、更なる精製なしに使用した。ジイソシアネートとして4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)を用い、鎖延長剤、(3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール)(DEAPD)、1,4−ブタンジオール(BD)及び2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール(OFHD)(アルドリッチ社)をポリウレタン合成に用いた。
【0022】
あらゆる有機溶媒なしにモノマーの溶融技術を用いて、PHNGADポリオールの合成を行った。初めに、全てのモノマーを真空下60℃で48時間熱処理して水の除去を確実にした。必要量のモノマー、すなわち1,6−ヘキサンジオール(0.22モル)、ジ(エチレングリコール)(0.22モル)、ネオペンチルグリコール(0.22モル)及びアジピン酸(0.55モル)を反応用フラスコに加えた。集合物全体を40℃のオーブンに6時間保持して、化学薬品をフラスコに加える間のあらゆる吸湿を回避した。乾燥後、必要量の触媒、すなわち第一スズオクトアート又はチタン(IV)ブトキシドのいずれかを針を通して一滴ずつ注入し、反応混合物を180℃まで加熱し、N雰囲気下で撹拌し、水を冷却器を通して回収した。反応を所望の時間まで行った。ポリオールの分子量分布は、モノマーの組成、触媒、反応時間および反応温度を変化させることにより制御することができる。
【0023】
ポリオール合成用の代替の方法は、モノマー及び他の添加物を有機溶媒中に溶解する溶解技術である。この場合、反応は、溶融法よりも一層低い温度で行うことができ、溶媒を蒸発により除去することができる。
【0024】
(ポリウレタンの合成)
ポリウレタンの合成を、二段階重合法により行った。一当量のポリオールをまず二当量のジイソシアネートと、その後一当量の鎖延長剤と反応させてコポリマー生成物を得た。
【0025】
一つ又は複数の触媒を、ポリウレタン合成に用いることができる。特に好適な触媒は、ジブチルスズジラウレート、ジメチルスズジカルボキシレート、第一スズオクトアート、鉄(III)アセチルアセトネートである。好適な触媒量は、0〜5重量%の範囲である。
【0026】
加えて、消泡剤又は接着促進剤などの更なる添加物を反応中に加えてもよく、これらは溶液の表面張力を低減し、泡の形成を抑制又は変更する。
【0027】
N,N´−ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、1,2−ジクロロエタン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の様々な溶媒を用いることができる。一つ又は複数の溶媒を用いて反応系中の出発物質を溶解することができる。ここで、溶媒は乾燥溶媒とする。二成分溶媒もポリウレタン合成に用いることができる。
【0028】
ポリウレタン類の合成を様々な温度で行うことができ、特に好適な温度範囲は50℃〜140℃である。反応は、不活性雰囲気下、好適には窒素又はアルゴンのパージにより96時間まで長く行うことができる。
【0029】
反応後、ポリウレタンを沈殿により回収した。この場合、沈殿が生じるまで貧溶媒を反応溶液中に滴下することができる。最後に、ポリウレタンを溶液から分離し、分析した。
【0030】
様々な分析技術及び方法(ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)、NMR、FTIR分光器、示差走査熱量計(DSC)等)を用いてこれら材料を評価してポリマーの分子量分布及び官能基、並びに融点及びガラス転移点等を確認した。
【0031】
ポリウレタン類の様々な分子量分布(Mw、Mn及びD)(表2)を、反応条件(反応時間、開始剤の濃度等)を変化させることにより達成することができ、本発明について好適な分子量の範囲の例は、5kDa〜400kDaである。
【0032】
(細胞培養)
hESC培養を、前述[2,3]のように行った。hESCsを、既に発表[3]されているようにアクチビン及びwnt3aを用いて肝細胞様細胞に分化した。分化処理の9日目に、トリプシン/EDTA(インビトロジェン)での37℃5分間の培養を用いて、細胞をその基質から剥がした。その後、肝細胞様細胞を、ポリマーアレイ、ポリマー被覆カバースリップ又はマトリジェル被覆プラスチックウェア上に播種した。前述[6]のように、iPS細胞株33D−6を培養し、増殖させ、そして肝内胚葉に分化させた。分化プロトコルの9日目に、トリプシン/EDTA(インビトロジェン)で5分間培養することにより、細胞をその基質から剥がした。その後、肝細胞様細胞(HLCs)をポリマー134又はMGに播種し、[6]に記載のL−15成熟培地で培養した。
【0033】
(免疫染色)
免疫染色を前述[3]のように行った。
【0034】
(ELISA)
ELISAを前述[3]のように行った。
【0035】
(p450アッセイ)
CYP3A4及びCYP1A2活性は、プロメガ社製のpGloキットを用いて評価し、非溶解性CYP450活性測定に関する製造業者の指示(http://www.promega.com/tbs/tb325/tb325.pdf)に従って行った。CYP活性を、相対発光量(RLU)/mgタンパク質として表した。
【0036】
(ウェスタンブロット)
ウェスタンブロッティングを前述[4]のように行った。タンパク質に対する一次抗体を下記の表に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
(ポリマースクリーニング)
カバースリップを前述[7]のように六つのポリマーで被覆した。
【0039】
(PHNGAD及びPU−134の合成)
【化1】

【化2】

【実施例】
【0040】
(実施例1:ポリマーライブラリーのスクリーニング及び評価)
380の一般的なポリウレタン及びポリアクリレートポリマーをアガロース被覆ガラス顕微鏡スライド上に接触プリントすることによりポリマーマイクロアレイを作製した[7,8]。プリント後、スライドを一夜乾燥し、細胞播種前に紫外線照射により滅菌した。本発明者らは、このポリマーライブラリーを胚幹細胞由来の肝臓内胚葉(HE)の付着、安定化及び機能の向上について調査した。ヒト胚性幹細胞(hESCs)のHEへの直接分化は、最近開発された高効率の組織培養モデルを用いて開始した(図1A)。肝細胞の寿命(9日目)を選び、HEをその生物学上の細胞外マトリックスから剥離し、ポリマーアレイ/ライブラリーに再播種した。アレイに再播種した後、生体外における肝細胞の同一性及び分化を支持する条件で、hESC由来のHEを更に8日間培養した。この時点で細胞の付着を位相差顕微鏡を用いて記録し(図1B、A);肝細胞の表現型及び機能をアルブミン産生により評価し(図1B、B);今日の「究極の判断基準」の条件(マトリジェルにおける培養、図1B、C)及びIgGアイソタイプコントロールと比較した(図1B、D)。一次スクリーニングにより、HLCの付着及び同一性を支持するポリマーを同定した(図1C)。
【0041】
(実施例2:選択したポリマーの評価)
ヒト−ESCsを詳細に述べた通り、分化し、再播種した。細胞機能を再播種後15日目に評価し、肝細胞特異的な遺伝子のパネルの発現及び必須の血清タンパク質の排出により規定した。この手法を用いて、ポリマー134[7]を、フィブリノーゲン[9](図2A)、トランスチレチン(TTR)[10](図2B)及び溶解性フィブロネクチン[11](図2C)の発現の向上を備える最も効率的な細胞支持体として同定した。本発明者らは、二つのECM(15日目)間のHLCの形態の実質的な変化も観察した。マトリジェル又はポリマー2BG9、212、9G7、3AA7及び223(図3A及び図4A)に継代し、維持したHLCは顆粒状であった。対照的に、134に再播種したHLCは、明らかな肝細胞形態を維持した(図4A)。次いで、本発明者らは、異なる細胞外マトリックスに対する主要なシトクロムp450(CYP)活性を分析した。CYP1A2の活性は、標準的なマトリジェル条件又は評価したその他のポリマーと比較してポリマー134で約6倍増加した。本発明者らはまた、CYP3A4が数ある外分泌経路における基本的な役割を果たし、約50%の処方薬の代謝に関与するので、CYP3A4の機能を調査した。多くの薬が、創薬工程における魅力的な標的分子とするCYP3A4の阻害活性を有することが知られている[12]。ポリマー134に維持したHLCは、マトリジェル又は試験した他のポリマーに維持した細胞と比較して、CYP3A4 p450機能に約2倍の増加を示した(図4C、図3C)。ヒトプレグナンX受容体(hPXR)は、CYP3Aの遺伝子発現の主要な制御因子である[13]。hPXRは、細胞質中に捕捉され[14]、リガンドが結合する際に解離する。hPXRの核移行の間に、これはタンパク質キナーゼAに依存的な方法でリン酸化される[12]。核移行すると、hPXRはレチノイン酸受容体と二量化し、CYP3A遺伝子プロモーター中に含まれるコアエレメントによりCYP3A発現を制御する[15]。前述の発見と一致するように、本発明者らは、134に維持したHLCが、CYP3A4の発現及び活性のピークレベルと一致するhPXRの発現及びリン酸化レベルの向上を示すことを実証する(図3C、図4C)。本発明者らはまた、これらの実験におけるアルブミンの発現を分析し、アルブミンの遺伝子発現がマトリジェルとポリマー134に維持したHLCの間で類似していることを示した。しかしながら、アルブミン及びhPXRの発現は、試験された他のポリマー上ではかなり変化した(図3D)。
【0042】
ポリマー134及びその有用可能性の観察に続き、更なる関連のポリマー(前ページ7、8に従って調製)を研究し、肝細胞の付着及び維持機能を可能にする他のポリマーを同定した(表2参照)。
【0043】
(実施例3:ポリマー134及びマトリジェルに対するhESC由来のHEの詳細な評価)
本発明者らの更なる研究では、二つの細胞外マトリックス、すなわちマトリジェル及びポリマー134に対するHEの形態、シグナル伝達、遺伝子発現、及び薬物代謝に焦点を当てた。マトリジェルは、生体外で肝細胞の働きを向上させることが以前に示され、今日の「究極の判断基準」とされているため、本発明者らのコントロールとして用いた。本発明者らは、HE形態の実質的な変化(24日目)を観察した。すなわち、マトリジェルまたはポリマー2BG9、212、9G7、3AA7及び223に通し、維持したHEは顆粒状であった(図3A及び図4A)。対照的に、134に再播種したHEは、明白な肝細胞の形態を維持した(図4A)。細胞形態の変化に従って、本発明者らは、一般的な細胞シグナル伝達及び肝細胞遺伝子発現の変化も観測した。ポリマー134に維持したhESC−HEは、細胞がその基質にしっかりと付着し、アポトーシスを起こさないことに一致して、FAK、Akt及びERKシグナル伝達の向上を示した。これは、マトリジェルに維持したHEでは観察されなかった。ポリマー134に播種したHEは、有糸分裂因子ERKのレベルの向上を示したが、HEはまた高レベルの細胞周期阻害因子p15及びp21を発現した。総合すると、これらの結果は、休止/機能的状態で固定された代謝的に活性な肝細胞集団があることと合致する。細胞シグナル伝達及び細胞周期の変化に加えて、本発明者らはまた肝細胞の遺伝子発現における変化を観測した。N−カドヘリン及びE−カドヘリンの両方の発現は、ヒトの肝臓の生物学上で重要な役割を果たす。本発明者らは、MGと比較して、ポリマー134に維持したhESC−HEにおけるこれらの両方の分子の発現の向上を観測した。ポリマー134に対する上皮側の表現型に加えて、本発明者らは、再播種したHEがまたポリマー134に対するhPXR及びリン酸化−PXRの発現の増加を示すことを観測した。hPXRのレベル増加は、ウェスタンブロッティングにより検出したシトクロムp450(CYP)3A4のレベルの増加と一致する(図4B)。ポリマーがCYP3A4代謝活性に果たす役割を評価するために、本発明者らは異なる細胞外マトリックスに対する主要な活性を分析し、初代ヒト幹細胞と比較した。ポリマー134に維持したHEは、マトリジェルに維持した初代ヒト幹細胞(PHH)と同等のCYP3A4 p450の機能を示し、マトリジェル又は試験した他のポリマーに維持したhESC由来のHEと比較して、約2倍のCYP3A4 p450の機能の増加を示した(図4C及び図3C)。CYP3A4に加えて、本発明者らはCYP1A2活性も試験したところ、標準的なマトリジェル条件又は評価した他のポリマーと比較して、ポリマー134において約6倍誘導された(図3B)。本発明者らは、これらの実験でアルブミン発現も分析し、アルブミンの発現がマトリジェル及びポリマー134に維持したHEの間で同等であることを示した(図4B)。
【0044】
(実施例4:未変性及びポリマー134被覆の人工肝臓マトリックスへのhESC由来のHEの付着)
本発明者らは、人工肝臓(BAL)デバイスに用いる細胞マトリックスであるポリファイバーコア(PFC)を用いた。PFCを未変性の形状で用いるか、又はポリマー134で被覆した。肝細胞の寿命(9日目)を選び、HEをその生物学上の細胞外マトリックスから剥離し、未変性又はポリマー被覆したPFC上に再播種し、肝細胞の同一性を支持する条件下で更に15日間(24日目まで)培養した。24日目に、本発明者らは未被覆(図6Aa)及びポリマーで被覆したBALマトリックス(図6Ac)に付着したHEを固定し、電子顕微鏡により細胞構造を検討した。未被覆PFCに維持したhESC由来のHEは、細胞付着及びストレス繊維に似た細胞突起を示した(図6Ab)が、ポリマー134で被覆したPFCに維持したHEは、BALにおけるHEについての流体剪断応力の影響を制限することができる平滑組織のような外観(図6Ad)を示した。
【0045】
(実施例5:未変性及びポリマー134で被覆した人工肝臓マトリックスに対するhESC由来のHE機能)
これらのデータは、BALセッティングにおけるポリマー134及びhESC由来HEの価値を実証する。p450薬物誘導性に加えて、ポリマー134は薬物誘導(17〜21日目)前に測定したヒトアルブミン産生も促進する(図7A)。本発明者らがHE薬物誘導性を評価する前に、hESC由来のHEを異なるBAL−PFC基質で13日間培養した。hESC由来のHEを、0.4mMのフェノバービタルで誘導するか、又は毎日培地を交換しながら48時間コントロール培地で維持した。24日目に、本発明者らは両方のPFC支持マトリックスに維持したHEがCYP3A4の薬物誘導を示すかどうか評価した。未被覆のPFCは肝細胞の付着及び機能を支持したが、しかしながら、細胞のニッチは支持しなかった。CYP3A4のフェノバービタル薬物誘導(図7B、マトリックス PB+)。対照的に、ポリマー134で被覆したものに再播種したhESC由来のHEは、HEの付着及びフェノバービタル誘導性CYP3A4の薬物代謝の両方を支持した(図7B、マトリックス PB+)。
【0046】
(実施例6:未変性及びポリマー134被覆の人工肝臓マトリックスに対するhESC由来のHEの機能)
これらのデータは、BALセッティングにおけるポリマー134及びhESC由来のHEの価値を実証する。p450薬物誘導性に加えて、ポリマー134はヒトウレアーゼ活性を促進する(24日目)(図8A)。本発明者らがHEの薬物誘導(22〜24日目)を評価する前に、hESC由来のHEを異なるBAL−PFCマトリックス(+/− ポリマー134)基質に13日間培養した。hESC由来のHEをある範囲のフェノバービタル濃度(0.4mM−5mM)で誘導するか、又は毎日培地を交換しながら48時間コントロール培地で維持した。24日目に、本発明者らは両方のPFC支持マトリックスに維持したHEがCYP3A4の薬物誘導を示すかどうかを評価した。24日目に、未変性のマトリックスは、肝細胞の付着及び機能発現をCYP3A4の乏しい薬物誘導で支持した(図8B、黒色のバー)。対照的に、ポリマー134で被覆したマトリックスに再播種したhESC由来のHEは、用量依存的なフェノバービタル誘導性のCYP3A4薬物代謝を示した(図8B、灰色のバー)。
【0047】
(実施例7:未変性の基質及びポリマー134で被覆したカバーストリップに対するiPSC由来のHEのCYP3A4機能)
ポリウレタンマトリックス(ポリマー134)は、機能性の高いiPSC由来の肝内胚葉(HE)の培養を促進することによって、肝細胞機能に重要な役割を果たす。図9は、iPSCsをHEに分化し、HEの生存及び機能を促進するポリマー134に再播種し得ることを示す。hESC由来のHEと同様に、ポリマー134で培養したiPSC由来のHEは、マトリジェルで生育した同じ細胞よりも高い基底レベルのCYP3A4活性を示した。
【0048】
結論として、このスクリーニングが、継代の前後に長期の肝細胞分化による機能を促進する新たな分類のポリマーマトリックスを同定することを可能にした。これら特性は、成人のヒト肝細胞に伴う今日の制限を回避し、薬物毒性の生体外モデルの開発に重要な役割を果たし、且つ薬物損耗率の低減を助けることができる。加えて、本発明者らの生体外由来の細胞は、体外デバイスの構築のための資源を提供し、且つヒト肝臓の発生及び疾患の新規な研究を促進する。
【0049】
(参考文献)
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[2] Hay DC et al, 2008 Stem Cells. 2008 26(4): 894-902.
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[15] Orans J et al, Mol Endocrinol. 2005 (12): 2891-900.
【0050】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝細胞及び肝細胞様細胞の付着及び機能発現に用いるポリウレタンポリマー。
【請求項2】
前記ポリマーがポリ(1,6−ヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール/ジ(エチレングリコール)−alt−アジピン酸)ジオール(PHNGAD)、4,4’−メチレンビス(フェニルイソチアネート)(MDI)及び増量剤を重合することにより形成される請求項1に記載のポリウレタンポリマー。
【請求項3】
前記増量剤が1,4−ブタンジオール(BD);3−ジメチルアミノ−1、2−プロパンジオール(DMAPD);3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール(DEAPD);(BD)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール(OFHD)、1,3−プロピレングリコール(PG)、1,2−エチレングリコール(EG)、2−ニトロ−2−メチル−1、3−プロパンジオール(NMPD)、ジエチル−ビス−(ヒドロキシメチル)−マロネート(DHM)、1,12−ドデカンジオール、シクロドデカンジオール、ヒドロキノン−ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(EHD)、N、N−ジイソプロパノールアラニン(DIPA)、エチレンジアミン、m−フェニレン−4−ジアミノスルホン酸(PDSA)からなる群から選択される請求項2に記載のポリウレタンポリマー。
【請求項4】
前記ポリマーが表2に示すポリマー103;104;134及び247からなる群から選択される前記請求項のいずれか一項に記載のポリウレタンポリマー。
【請求項5】
前記肝細胞が、肝臓、胚性幹細胞および胚性幹細胞株から得た肝細胞、肝細胞に分化された再プログラム化細胞及び/又は肝細胞様細胞である前記請求項のいずれか一項に記載のポリウレタンポリマー。
【請求項6】
機能性の肝細胞の付着についてのポリウレタンポリマーの使用。
【請求項7】
前記肝細胞をポリマーに直接付着する請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記ポリウレタンポリマーを適当な基質に物理的若しくは化学的に被覆する請求項1〜5に記載のポリウレタンポリマー、又は請求項6若しくは7に記載の使用。
【請求項9】
前記適当な基質がポリマー及びセラミック材料、ガラス、セラミック、天然繊維、合成繊維、シリコーン、金属及びその複合体からなる群から選択される請求項8に記載のポリウレタンポリマー又は使用。
【請求項10】
前記適当な基質がポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスルホン、PVDF、テフロン(登録商標)及びその複合体、混合物若しくは誘導体からなる群から選択される材料から作製される請求項8又は9に記載のポリウレタンポリマー又は使用。
【請求項11】
前記ポリウレタンポリマー又はポリウレタンポリマーで被覆した基質が糸、シート、フィルム、ゲル、膜、ビーズ又はプレートの形状である請求項8〜10のいずれか一項に記載のポリウレタンポリマー又は使用。
【請求項12】
前記ポリウレタンポリマー又はポリウレタンポリマーで被覆した基質が、ウェル、窪み、台、疎水性/親水性パッチ、又はウェルを形成するダイカットされた付着性の貯留池/積層されたガスケットの形状で断続的な隔離された領域を有する平面デバイスを形成する請求項8〜11のいずれか一項に記載のポリウレタンポリマー又は使用。
【請求項13】
前記適当な基質が人工肝臓のポリファイバーコアである請求項8〜12のいずれか一項に記載のポリウレタンポリマー又は使用。
【請求項14】
結合又は付着した肝細胞を含むポリウレタンポリマー。
【請求項15】
前記ポリマーがポリ(1,6−ヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール/ジ(エチレングリコール)−alt−アジピン酸)ジオール(PHNGAD)、4,4’‐メチレンビス(フェニルイソチアネート)(MDI)及び増量剤を重合することにより形成される請求項14に記載のポリウレタンポリマー。
【請求項16】
前記増量剤が1,4−ブタンジオール(BD);3−ジメチルアミノ−1、2−プロパンジオール(DMAPD);3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール(DEAPD);(BD)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール(OFHD)、1,3−プロピレングリコール(PG)、1,2−エチレングリコール(EG)、2−ニトロ−2−メチル−1、3−プロパンジオール(NMPD)、ジエチル−ビス−(ヒドロキシメチル)−マロネート(DHM)、1,12−ドデカンジオール、シクロドデカンジオール、ヒドロキノン−ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(EHD)、N、N−ジイソプロパノールアラニン(DIPA)、エチレンジアミン、m−フェニレン−4−ジアミノスルホン酸(PDSA)からなる群から選択される請求項15に記載のポリウレタンポリマー。
【請求項17】
前記ポリマーが表2に示すポリマー103;104;134及び247からなる群から選択される請求項14〜16のいずれか一項に記載のポリウレタンポリマー。
【請求項18】
前記肝細胞が機能性である請求項14〜17のいずれか一項に記載のポリウレタンポリマー。
【請求項19】
ポリウレタンポリマーで被覆した細胞培養用基質。
【請求項20】
前記基質がポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスルホン、PVDF、テフロン(登録商標)およびその複合体、混合物若しくは誘導体からなる群から選択した材料からなる請求項19に記載の基質。
【請求項21】
ポリウレタンポリマーを含む人工の肝臓又は解毒臓器。
【請求項22】
前記ポリウレタンポリマーがポリ(1,6−ヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール/ジ(エチレングリコール)−alt−アジピン酸)ジオール(PHNGAD)、4,4’‐メチレンビス(フェニルイソチアネート)(MDI)及び増量剤を重合することにより形成される請求項21に記載の人工の肝臓又は解毒臓器。
【請求項23】
前記増量剤が1,4−ブタンジオール(BD);3−ジメチルアミノ−1、2−プロパンジオール(DMAPD);3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール(DEAPD);(BD)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール(OFHD)、1,3−プロピレングリコール(PG)、1,2−エチレングリコール(EG)、2−ニトロ−2−メチル−1、3−プロパンジオール(NMPD)、ジエチル−ビス−(ヒドロキシメチル)−マロネート(DHM)、1,12−ドデカンジオール、シクロドデカンジオール、ヒドロキノン−ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(EHD)、N、N−ジイソプロパノールアラニン(DIPA)、エチレンジアミン、m−フェニレン−4−ジアミノスルホン酸(PDSA)からなる群から選択される請求項22に記載の人工の肝臓又は解毒臓器。
【請求項24】
前記ポリマーが表2に示すポリマー103;104;134及び247からなる群から選択される請求項21〜23のいずれか一項に記載の人工の肝臓又は解毒臓器。
【請求項25】
肝臓、胚性幹細胞、再プログラム化細胞、胚性幹細胞株及び/又は肝細胞様細胞から得た肝細胞を更に含む請求項21〜24のいずれか一項に記載の人工の肝臓又は解毒臓器。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−520667(P2012−520667A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500310(P2012−500310)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000523
【国際公開番号】WO2010/106345
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(510055323)ユニヴァーシティ コート オブ ザ ユニバーシティ オブ エディンバラ (6)
【Fターム(参考)】