説明

細霧発生装置

【課題】湿度調整、脱臭、空気殺菌あるいは冷却など、今後もますます利用増加が見込まれる細霧の散布において、従来から行なわれている方法には各種の問題があった。そこで、本発明者は、費用が安く、液体の塵埃除去などの前処理を要せず、液体の種類の制約が少なく、維持管理に手間を要せず、使用場所の規模に応じて発生規模の設計が自由にできる細霧散布装置を提供することを課題とした。
【解決手段】課題を解決するために、液体を細霧化して散布する装置において、細霧発生手段、発生された細霧を搬送する細霧搬送手段、細霧を搬送する細霧搬送路及び最後に目的の場所に細霧を排出する細霧排出手段から構成され、細霧を発生させた位置と異なる位置に散布する細霧散布装置を発明した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を細霧化し、散布する技術に関する。さらに詳しくは、発生させた細霧を気送し散布する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を細霧化し散布する技術は多くの目的に利用されている。最も広く利用されているのは、空気の湿度調整である。湿度調整は家庭をはじめとして、病院、公共施設、学校などで、生活環境を改良するために古くから実施されてきた。
【0003】
また、近年では、特殊な液体を散布することによる脱臭を目的とした利用も行なわれている。脱臭を目的とした細霧散布の利用は病院、老人養護施設、公衆浴場あるいはペットショップ、実験動物の飼育室など、特に臭気の発生しやすい場所で広がっている。
【0004】
一方また、空気の殺菌を目的とした利用法もある。室内全体を常時清潔に保つためや、主に空気感染性の病原菌の殺菌除去を目的とするもので、近年の清潔志向や、大規模感染症の発生対策などで、前述の脱臭などを兼ねて行なわれる例が増加しつつある。
【0005】
さらに、近年の地球温暖化の影響で、競技場やモールなど、大勢の人が集まる半開放場所においては、夏場に炎暑が発生することが多くなっているが、それを緩和するために細霧を散布し、気化熱による冷却を利用することも行なわれ始めている。同様の目的には、施設園芸や畜産業においても、温室や畜舎の過剰な温度上昇を抑えたり、湿度調整の目的で利用されている。
【0006】
またさらに、農業においては同様の方法で植物の病害防除や家畜の感染予防などの目的を兼ねて実施されている例もある。
【0007】
従来、このような目的で細霧を散布する方法としては、目的とする液体を散布場所まで高圧で搬送し、細孔を施したノズルから噴出させることによる方法、発生させる場所まで搬送した液体を、別に搬送した加圧空気の高速噴出作用を利用し細霧化する方法(特許文献1)、あるいは使用場所に発生装置を設置しの場で細霧を発生させ散布する方法などが行なわれており、前記の各種の目的に利用されている。
【特許文献1】特開2001−37862号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
湿度調整、脱臭、空気殺菌あるいは冷却など、今後もますます利用増加が見込まれる細霧の散布において、従来から行なわれている方法には次に説明するような各種の問題があった。
【0009】
まず、目的とする液体を散布場所まで高圧で搬送し、細孔を施したノズルから噴出させることにより細霧を発生させる方法には、高圧を発生させる特殊なポンプ及び、その高圧に耐えうる配管、さらには特殊な散布ノズルが、散布場所の容積に比例した数必要である。また、ノズルの細孔は極めて小さい隙間であるため、使用する液体には微細な塵埃も含まれないことが要求され、精密な塵埃除去設備を必要とする。さらに、散布していない時にノズル先端に残った液体は蒸発するので、液体が乾燥後固形物として残る物質を含んでいると、同じく閉塞の原因となる。それに加えて、散布停止時及び開始時には微細化の不完全な液体が滴下することがあり、その対応も必要となる。従って、設備は高価で、維持管理に多くの手間を要し、さらには固形物を溶解した液体には利用できないという問題がある。
【0010】
次に、発生させる場所まで搬送した液体を、別に搬送した加圧空気の高速噴出作用を利用して細霧化する方法では、液体の搬送設備の他、加圧空気の搬送設備も必要であり、ノズルにも前記の高圧方式と同様の要件が求められる。従って、設備価格が高価なこと、維持管理に多くの手間を要することは前記の高圧方式と同様である。それに加えてこの方法には加圧空気を発生させる設備が必要となり、その運転音は大きく、人のいる場所の近くには設置できないことや、加圧空気の取り扱いには専門の技術者が必要になるなどの欠点もある。
【0011】
また次に、使用場所に発生装置を設置しその場で細霧を発生させ散布する方法は、設置スペースの制約や騒音、あるいは装置の安全性などの制約があり、実質的に小規模の装置しか利用できず、利用できる目的、規模も限られたものとなる。
【0012】
このように従来から行なわれている細霧の散布方法には各種の問題点があることから、本発明者は、費用が安く、液体の塵埃除去などの前処理を要せず、液体の種類の制約が少なく、維持管理に手間を要せず、使用場所の規模に応じて発生規模の設計が自由にできる細霧散布装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0013】
湿度調整、脱臭、空気殺菌あるいは冷却など、今後もますます利用増加が見込まれる細霧の散布において、従来から行なわれている方法が持っている各種の問題点を解消し、費用が安く、液体の塵埃除去などの前処理を要せず、液体の種類の制約が少なく、維持管理に手間を要せず、使用場所の規模に応じて発生規模の設計が自由にできる細霧散布装置を提供するという課題を解決するための手段として次に説明する各態様を発明した。
【0014】
まず、液体を細霧化して散布する装置であって、細霧発生手段、発生された細霧を搬送する細霧搬送手段、細霧を搬送する細霧搬送路及び最後に目的の場所に細霧を排出する細霧排出手段から構成され、細霧を発生させた位置と異なる位置に散布する細霧散布装置を、課題を解決するための手段の第1の態様とした。
【0015】
次に、細霧発生手段が超音波法、加熱法、遠心力法、加圧噴出法及び気体を使った2流体ノズル法よりなる群から1法以上を選んで構成される第1の態様の細霧散布装置を、課題を解決するための手段の第2の態様とした。
【0016】
また次に、第1の態様又は第2の態様において、細霧搬送手段が、シロッコファン、ターボファン、軸流ファン、ルーツブロア、エアーコンプレッサよりなる群の中から選ばれる1種以上の手段で構成される気送手段である細霧散布装置を、課題を解決するための手段の第3の態様とした。
【0017】
又次に、第1の態様乃至第3の態様において、細霧搬送路が硬質管、軟質管、軟質蛇腹管、布製ダクトよりなる群の中から1種以上の搬送路を選んで構成された細霧散布装置を、課題を解決するための手段の第4の態様とした。
【0018】
そして最後に、第1乃至第4の態様における細霧排出手段が、細霧搬送路に設けられた複数の細孔、細霧搬送路末端開口、細霧搬送路に接続された布或いは網製のダクトによりなる群の中から1以上の搬送路を選択し構成された細霧散布装置を、課題を解決するための手段の第5の態様とすることによって全ての課題を解決した。
【発明の効果】
【0019】
湿度調整、脱臭、空気殺菌あるいは冷却など、今後もますます利用増加が見込まれる細霧の散布において、従来から行なわれている方法が持っている各種の問題点を解消し、費用が安く、液体の塵埃除去などの前処理を要せず、液体の種類の制約が少なく、維持管理に手間を要せず、使用場所の規模に応じて発生規模の設計が自由にできる細霧散布装置を提供したことにより次に説明する各種の効果がもたらされた。
【0020】
最初に説明する本発明の効果は、多くの費用を必要とせず、散布する液体の塵埃除去などの前処理を要せず、液体の種類の制約が少なく、維持管理に手間を要せず、かつ使用場所の規模に応じた発生規模で液体の細霧散布を可能にしたことである。
【0021】
本発明の次の効果は、散布する液体の性質に最適の細霧化方法を選んで各種液体の細霧散布を可能にしたことである。
【0022】
さらに本発明の次の効果は、液体ごとの細霧の性質に最適の細霧搬送手段を選んで各種液体の細霧散布を可能にしたことである。
【0023】
さらに本発明の次の効果は、液体ごとの細霧の性質に最適の細霧搬送手段を選んで各種液体の細霧散布を可能にしたことである。
【0024】
さらに本発明の最後の効果は、散布場所や散布目的に最適材質の細霧搬送路を選んで各種液体の細霧散布を可能にしたことである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の理解を最適化することを目的に、実施するための最良の形態を具体的な例を交えて説明するが、この内容は本発明の典型ではなく、さらに本説明の中に、本発明の特許請求の範囲に用いられたものと類似の表現があっても本発明の請求範囲とは直接の関係はない。
本発明は、液体を細霧化して散布する装置で、細霧発生手段、発生された細霧を搬送する細霧搬送手段、細霧を搬送する細霧搬送路及び最後に目的の場所に細霧を排出する細霧排出手段から構成され、細霧を発生させた位置と異なる位置に散布することができるのが特徴である。
【0026】
まず、細霧発生手段としては、超音波法、加熱法、遠心力法、加圧噴出法及び気体を使った2流体ノズル法など、公知の細霧化方法により行うことができ、散布する液体の性質により、耐久性や細霧化効果に最適の方法を選ぶことができる。
【0027】
次に、発生させた細霧を利用場所まで搬送する手段としては気送により行うが、送気装置としてはシロッコファン、ターボファン、軸流ファン、ルーツブロア、エアーコンプレッサなどの他既存の装置を利用することができ、搬送距離や搬送量によって最適の種類と能力の装置を選べばよい。一般的には近距離の搬送であれば軸流ファンやシロッコファンでも十分であり、比較的遠隔場所への搬送であればルーツブロアやエアーコンプレッサなどが向いている。また、搬送用の空気などの気体は油滴や塵埃を除去したものが望ましい。
【0028】
次に、細霧を気送する細霧搬送路は、設置する場所、設置方法によって各種の構造や材質から選定することができるが、細霧と相互作用しないことが条件である。また極力吸湿性のないものが望ましい。
【0029】
そして最後に、目的の場所で細霧を排出する排出手段としては、細霧搬送路に設けられた複数の細孔、細霧搬送路末端開口、細霧搬送路に接続された布或いは網製のダクトなど、気体を開放する構造であれば利用できる。利用場所が気流の影響を考慮する必要がない場合は単に開口を設けるだけでもよく、もし気流の発生を嫌う場所であれば、複数の細孔を設けた搬送路や布や細網製のダクトを用いることができる。
【実施例】
【0030】
次に実施例を示して、本発明をさらに詳しく説明するが、本説明の記述内容は本発明の請求の範囲に記載された内容とは直接の関係はなく、請求の範囲になんらの関連も持たせる趣旨はない。
図1に実施例のブロック図を示した。市販の加湿器(CCP社製KX−60UP−GN)(1)を4台用いて、細霧の発生口(2)を塩化ビニールで作成した搬送路(3)の中に配置した。搬送路の一端には軸流ファン(4)を配置し、加湿器から発生した微酸性電解水の細霧を、排出用の搬送路開口部(5)から6畳の室(6)内に気送し加湿と空気除菌を行った。
【図面の簡単な説明】
【図1】複数の加湿器を組み込んだ細霧散布装置例
【記号の説明】
1 加湿器
2 加湿器の細霧発生口
3 細霧搬送路
4 軸流ファン
5 搬送路開口部(細霧排出口)
6 部屋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を細霧化して噴霧する装置であって、細霧発生手段、細霧化された霧を搬送する細霧搬送手段、細霧を搬送する細霧搬送路及び最後に細霧を排出する細霧排出手段から構成され、細霧を発生させた位置と異なる位置に細霧を散布することを特徴とする細霧散布装置
【請求項2】
細霧発生手段が超音波法、加熱法、遠心力法、加圧噴出法及び気体を使った2流体ノズル法よりなる群から1法以上を選んでなされることを特徴とする請求項1記載の細霧散布装置
【請求項3】
細霧搬送手段が、シロッコファン、ターボファン、軸流ファン、ルーツブロア、エアーコンプレッサよりなる群の中から1種以上を選んでなされる気送であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の細霧散布装置
【請求項4】
細霧搬送路が硬質管、軟質管、軟質蛇腹管よりなる群の中から1種以上を選んで構成されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の細霧散布装置
【請求項5】
細霧排出手段が、細霧搬送路に設けられた複数の細孔、細霧搬送路末端開口、細霧搬送路に接続された布或いは網製のダクトにより構成される群の中から1以上を選択し構成されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の細霧散布装置

【図1】
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【公開番号】特開2009−139073(P2009−139073A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341695(P2007−341695)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(391008179)株式会社ホクエツ (24)
【Fターム(参考)】