組み合せたリガーゼ検出およびポリメラーゼ連鎖反応を用いる核酸配列相違の検出
【課題】検出配列の相違を検出する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、組み合せたリガーゼ検出反応(LDR)およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて検出配列の相違を検出する方法を提供するすることに関する。本発明の1つの実施態様は、ポリメラーゼ連鎖反応に組み合せたリガーゼ検出反応の使用である。本発明の他の実施態様は、1次ポリメラーゼ連鎖反応と組み合わせた2次ポリメラーゼ連鎖反応と組み合せたリガーゼ検出反応である。本発明の第3の実施態様は、1次ポリメラーゼ連鎖反応と組み合わせた2次ポリメラーゼ連鎖反応である。リガーゼ検出反応およびポリメラーゼ連鎖反応のこのような組み合せは、核酸配列相違の多重検出を可能とする。
【解決手段】本発明は、組み合せたリガーゼ検出反応(LDR)およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて検出配列の相違を検出する方法を提供するすることに関する。本発明の1つの実施態様は、ポリメラーゼ連鎖反応に組み合せたリガーゼ検出反応の使用である。本発明の他の実施態様は、1次ポリメラーゼ連鎖反応と組み合わせた2次ポリメラーゼ連鎖反応と組み合せたリガーゼ検出反応である。本発明の第3の実施態様は、1次ポリメラーゼ連鎖反応と組み合わせた2次ポリメラーゼ連鎖反応である。リガーゼ検出反応およびポリメラーゼ連鎖反応のこのような組み合せは、核酸配列相違の多重検出を可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国保健研究所認可番号GM41337−06による政府資金でもってなされた。米国政府が一定の権利を有し得る。
本発明は、組み合せたリガーゼ検出反応(LDR)およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて検出配列の相違を検出することに関する。本発明の1つの実施態様は、ポリメラーゼ連鎖反応に組み合せたリガーゼ検出反応の使用である。本発明の他の実施態様は、1次ポリメラーゼ連鎖反応と組み合わせた2次ポリメラーゼ連鎖反応と組み合せたリガーゼ検出反応である。本発明の第3の実施態様は、1次ポリメラーゼ連鎖反応と組み合わせた2次ポリメラーゼ連鎖反応である。
【背景技術】
【0002】
多重検出
高度に多形的な座の大規模多重解析が、父親検定および法医学(Reynolds et al., Anal. Chem., 63:2-15(1991))、臓器移植のドナーとレシピエントの組み合わせ(Buyse et al., Tissue Antigens, 41:1-14(1993) and Gyllensten et al., PCR Meth. Appl, 1:91-98(1991))、遺伝疾患の診断、予後および出産前の相談(Chamberlain et al., Nucleic Acids Res., 16:11141-11156(1988) and L. C. Tsui, Human Mutat., 1:197-203(1992))および発ガン変異(Hollstein et al., Science, 253:49-53(1991))などについて個体の実際的な同定に必要である。さらに、核酸解析による感染疾患診断の費用効率はパネル試験における多重規模で直接的に変動する。これらの適用の多くは、時に密接なスペース座の多重性において単一塩基の相違の識別力に依存している。
【0003】
多数の配列領域を含むサンプル中に1以上の選択ポリヌクレオチド配列の存在を検出するのに、様々なDNAハイブリダイゼーション技法が利用される。フラグメント捕捉と標識による簡単な方法において、選択された配列含有のフラグメントが固定化プローブにハイブリダイゼーションされる。捕捉フラグメントは検出可能なレポーター部分を含有する第2プローブへのハイブリダイゼーションによって標識される。
【0004】
広く用いられている他の方法はサザンブロット法である。この方法において、サンプル中のDNAフラグメントの混合物はゲル電気泳動により分別されて、ニトロセルローズ・フィルター上に固定される。フィルターをハイブリダイゼーション条件で1以上の標識プローブと反応さすことにより、プローブ配列含有のバンドが同定される。この方法は、与えられたプローブ配列含有の制限酵素DNA消化においてフラグメントを同定するのに、および制限フラグメント長・多形性(“RFLP”)を解析するのに、特に有用である。
【0005】
ポリヌクレオチドサンプル中の、与えられた単数または複数の配列の存在を検出する他の方法に、ポリメラーゼ連鎖反応による配列の選択的増幅がある。Mullis et alの米国特許第4,683,202号およびR. K. Saiki, et al., Science 230:1350(1985)。この方法において、選択した配列の反対側の末端部分に相補的なプライマーがプライマー開始複製の連続ラウンドを熱サイクリングと共に推進するのに用いられる。増幅配列は種々の技術により容易に同定することができる。この方法は、ポリヌクレオチド含有サンプル中の低コピー配列の存在を検出するのに、例えば体液サンプル中の病原菌配列を検出するのに特に有用である。
【0006】
さらに最近、既知の標的配列をプローブ連結方法によって同定する方法が報告されている。N. M. Whiteley et al.の米国特許第4,883,750号、D. Y. Wu et al., Genomics 4:560(1989)、U. Landegren et al., Science 241:1077(1988)およびE. Winn-Deen et al., Clin. Chem. 37:1522(1991)。オリゴヌクレオチド連結アッセイ(“OLA”)として知られる一つの方法において、所望の標的領域にまたがる2つのプローブまたはプローブエレメントが標的領域にハイブリダイズされる。プローブエレメントが隣接の標的塩基と塩基対になると、プローブエレメントの向かい合う末端は、連結反応により、例えばリガーゼ処理により結ばれる。連結プローブエレメントは検定されて、標的配列の存在が明らかにされる。
【0007】
この方法の修飾として、連結プローブエレメントは相補的プローブエレメント対について鋳型として働く。対のプローブエレメントの存在における変性、ハイブリダイゼーションおよび連結反応の継続的サイクルでもって、標的配列は直線的に増幅され、非常に少量の標的配列が検出および/または増幅されるのを可能とする。この方法をリガーゼ検出反応と呼ぶ。プローブエレメントの2つの相補対が使用されるとき、そのプロセスはリガーゼ連鎖反応と呼ばれ、標的配列の指数的増幅を達成する。F. Barany, “Genetic Disease Detection and DNA Amplification Using Cloned Thermostable Ligase,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:189-93(1991)およびF. Barany, “The Ligase Chain Reaction (LCR) in a PCR World,” PCR Methods and Applications, 1:5-16(1991)。
【0008】
核酸配列相違の多重検出についての他の方式はGrossman et al.の米国特許第5,470,705号に開示されている。そこでは、検出可能標識と電荷/翻訳摩擦ドラッグの顕著な比率とを有する配列特異的プローブが標的にハイブリダイズされ、そして一緒に連結される。この技法は、嚢胞性線維症・透過膜レギュレーター遺伝子の大規模多重解析についてGrossman, et al., “High-density Multiplex Detection of Nucleic Acid SequencesおよびOligonucleotide Ligation Assay and Sequence-coded Separation,” Nucl. Acids. Res. 22(21):4527-34(1994)で用いられた。
【0009】
Jou, et al., “Deletion Detection in Dystrophin Gene by Multiplex Gap Ligase Chain Reaction and Immunochromatographic Strip Technology,” Human Mutation 5:86-93(1995)は、いわゆる“ギャップリガーゼ連鎖反応”の利用に関し、各エクソンについてのプローブ上の相違するハプテンに特異的な抗体を有する免疫クロマトグラフィー上で読まれる増幅産物でもって、多重エクソンの同時に選択された領域を増幅する。
【0010】
標的ポリヌクレオチドにおける多数の配列の各々の存在・不存在を検出するのに有用な方法に関して、(例えば、遺伝子スクリーニング分野において)必要性が増大している。例えば400種もの変異が嚢胞性線維症に関連している。この疾患に対する遺伝子的前処置のためのスクリーニングにおいて、“嚢胞性線維症”の積極的な同定を行うために、対象者のゲノムDNAにおける可能性のある相違する遺伝子配列変異のすべてを検査することが最適である。1回のアッセイで可能性ある変異部位のすべての存在・不存在を検査するのが理想的である。しかし、上記した先行技術は、便利な自動的な単一アッセイとして多数の選択配列を検出するのに容易に用いることができない。
【0011】
固相ハイブリダイゼーションアッセイにおいては、多数の液体処理工程を必要とし、単一ヌクレオチド・ミスマッチ識別に要するストリジェンシィを保持するために、いくつかのインキュベーションおよび洗浄温度を注意深くコントロールしなければならない。最適ハイブリダイゼーション条件がプローブ配列によって大きく変わるので、この方法の多重化は困難である。
【0012】
等量の各PCR産物を得る多重PCRプロセスの開発は、困難であり、労力を要する。これは、反応におけるプライマーのアニール比率の変動と与えられたMg2+濃度での各配列のポリメラーゼ伸長比率の変動によるものである。典型的には、アニール温度に加え、プライマー、Mg2+および塩濃度は、反応におけるプライマーアニール比率とポリメラーゼ伸長比率のバランスを保つように調整される。残念ながら、各々新しいプライマーセットを反応に加えると、形成することのできる可能なアンプリコンとプライマー二量体の数が指数的に増加する。従って、各追加プライマーセットで、各々比較的等量の正確な産物を得る条件をつくりだすのがますます困難になり、時間を要することになる。
【0013】
対立遺伝子特異的PCR産物は一般に同じ大きさを有し、アッセイ結果は、各反応チューブに関連するゲル・レーンでの産物バンドの存在・不存在によって計られる。Gibbs et al., Nucleic Acids Res., 17:2437-2448(1989)。この方法は、異なるプライマーの組み合わせを有する多数の反応チューブに試験サンプルを分割することを要し、アッセイ費用が増大する。PCRも、1つの反応チューブ中で対立遺伝子プライマーを競合せしめるように相違する蛍光染料を付着せしめることにより、対立遺伝子を識別するが(F. F. Chehab et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:9178-9182(1989))、多重解析へのこの経路は、現在の機器および染料化学でもっては経済的にスペクトル的に分解できる染色が比較的少ないので、規模が限られている。粗大側鎖による修飾塩基の取り込みが、その電気泳動運動性によって対立遺伝子PCR産物を識別するのに用いられるが、この方法は、ポリメラーゼによるこれら修飾塩基の取り込みの成功性からして、およびこれらの基の唯一つによって大きさが相違する比較的大きいPCR産物を分解するための電気泳動性からして、限定されたものである。Livak et al., Nucleic Acids Res., 20:4831-4837(1989)。各PCR産物は単一変異のみを探すのに用いられ、多重化を難しくする。
【0014】
対立遺伝子特異的プローブの連結反応は一般的に、対立遺伝子シグナルを分解するのに、固相捕捉反応(U. Landegren et al., Science, 241:1077-1080(1988); Nickerson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:8923-8927(1990))またはサイズ依存分離法(D. Y. Wu, et al., Genomics, 4:560-569(1989) and F. Barany, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:189-193(1991))を用い、後者の方法は連結プローブのサイズ幅が狭いので多重規模では限定されている。さらに、多重フォーマットにおいて、リガーゼ検出反応だけでは少量の標的配列を検出および計測するのに充分な産物をつくることができない。ギャップリガーゼ連鎖反応は追加の工程、すなわちポリメラーゼ伸長を必要とする。より複雑な多重化のために電荷/翻訳摩擦ドラッグ(translational frictional drag)の明白な比率を有するプローブを用いることは、長い電気泳動時間かあるいは検出の他の形態の使用を必要とする。
【0015】
ポリヌクレオチドサンプルにおける多重選択配列の存在・不存在を検出するための迅速な単一アッセイ方式が必要である。
【0016】
ミクロサテライト解析
ミクロサテライトとして知られる縦列反復DNA配列は、ヒトゲノム中の遺伝子要素の非常に一般的で高度に多型性類を表す。小さい反復配列を含むこれらのミクロサテライトマーカーは、初期の遺伝子マッピングや連鎖解析に使用されている。Weber, J. L. et al., Am. J. Hum. Genet. 44:388-396(1989); Weissenbach, J. et al., Nature (London) 359:794-800(1992)。これらの反復体のPCR増幅によって、ヘテロ結合喪失を迅速に測定し、腫瘍抑制遺伝子マッピング方法を著しく簡素化することができる。Ruppert, J. M., et al., Cancer Res. 53:5093-94(1993); van der Riet, et al., Cancer Res. 54:1156-58(1994); Nawroz, H., et al., Cancer Res. 54:1152-55(1994); Cairns, P., et al., Cancer Res. 54: 1422-24(1994)。さらに最近、ハンチントン舞踏病、脆弱X症候群、筋緊張性ジストロフィー、脊髄小脳性運動失調I型、脊髄延髄性筋萎縮および遺伝性歯状赤色淡蒼球性萎縮(dentatorubral-pallidoluysian atrophy)を含む特定の遺伝性疾患における特異的変異を同定するために使用されている。The Huntington's Disease Collaborative Research Group Cell 72:971-83(1993); Kremer, E. J., et al., Science 252: 1711-14(1991); Imbert, G., et al., Nat. Genet. 4:72-76(1993); Orr, H.T., et al., Nat. Genet. 4:221-226(1993); Biancalana, V., et al., Hum. Mol. Genet. 1:255-258(1992); Chung, M.-Y., et al., Nat. Genet. 5:254-258(1993); Koide, R., et al., Nat. Genet. 6:9-13(1994)。これらの遺伝性疾患は、感受性遺伝子中のトリヌクレオチド反復ユニットの伸長が原因のようである。さらに広範なミクロサテライト不安定性は、腫瘍組織の反復要素の伸長および欠失から証明され、最初、結腸直腸腫瘍についてPeinado, M. A., et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10065-69(1992); Ionov, Y., Nature (London) 363:558-61(1993); Thibodeau, S. N., et al., Science 260:816-819(1993)また後にいくつかの他の腫瘍型について(Risinger, J.I., Cancer Res. 53:5100-03(1993); Han, H.-J., et al., Cancer Res. 53:5087-89(1993); Peltomaki, P., Cancer Res. 53:5853-55(1993); Gonzalez-Zulueta, M., et al., Cancer Res. 53: 5620-23(1993); Merlo, A., et al., Cancer Res. 54:2098-2101(1994) 報告された。遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌患者において、この遺伝子不安定性はミスマッチ修復遺伝子における遺伝性および体細胞性変異によるようである。Leach, F., et al., Cell 75:1215-1225(1993); Fishel, R., et al., Cell 75: 1027-38(1993); Papadopoulos, N., et al., Science 263:1625-29(1994); Bronner, C. E., et al., Nature (London) 368:258-61(1994)。
【0017】
PCRは、癌検知において新しい多型性の出現とヘテロ接合性喪失の両方を同定する際のミクロサテライト解析に一般に使用される。L. Mao, et al., “Microsatellite Alterations as Clonal Markers for the Detection of Human Cancer,” Proc. Natl. Acad. Sci USA 91(21):9871-75(1994); L. Mao, et. al., “Molecular Detection of Primary Bladder Cancer by Microsatellite Analysis,” Science 271:659-62(1996); D. Radford, et.al., “Allelotyping of Ductal Carcinoma in situ of the Breast: Detection of Loci on 8p, 13q, 161, 17p and 17q,” Cancer Res. 55(15):3399-05(1995)。このような目的のためにPCRを使用するとき、各PCR反応は個別に行われ、配列ゲル上で分離される。
【0018】
これらの参考文献はPCRが特定の癌の診断および予後に利用性があることを示しているにもかかわらず、このタイプの解析は高度な情報処理能力がなく、サイズ分割を要するので、欠点がある。さらに、PCR滑りに問題があり、研究者をトリ−、テトラ−および高ヌクレオチド反復ユニットにシフトさせ、癌検知をさらに困難にする。
【0019】
ミクロサテライトマーカーはまた、結腸癌検知(L. Cawkwell, et. al., “Frequency of Allele Loss of DCC, p53, RB1, WT1, NF1, NM23, and APC/MCC in Colorectal Cancer Assayed by Fluorescent Multiplex Polymerase Chain Reaction,” Br. J. Cancer 70(5):813-18(1994))およびゲノムマッピング(P. Reed, et. al., “Chromosome‐specific Microsatellite Sets for Fluorescent-Based, Semi-Automated Genome Mapping,” Nat. Genet. 7(3):390-95(1994))にも使用されている。しかしながら、このような多重プロセスのカギは、それを単一反応チューブで行う能力である。従来の多重ミクロサテライトマーカー技法はプライマー濃度および増幅条件に注意深い対応を要する。PCR産物をセット中にためておくことができるが、混合物が各バンド中にほぼ等しい量のDNAを有することを保証するために、アガロースゲル上で試用することを要する。
【0020】
ヒト同定
PCRはまたヒト同定、例えば父親検定、犯罪捜査および軍部の人員同定に使用されている。A. Syvanen et. al., “Identification of Individuals by Analysis of Biallelic DNA Markers, Using PCR and Solid-Phase Mini-Sequencing” Am. J. Hum. Genet. 52(1):46-59(1993) にヒト同定についてのミニ配列決定技法が記載されている。この技法は、単一PCRチューブで多くても4PCR反応が一度に行われ、個体マーカーのPCR増幅を要する。ミニ配列決定は個体の多型性を測定するのに行われる。
【0021】
組み合せたプロセス
G. Deng, et. al., “An Improved Method of Competitive PCR for Quantitation of Gene Copy Number,” Nucl. Acids. Res. 21:4848-49(1993)は競合PCRプロセスを記述している。各遺伝子およびその等価標準について用いるプライマーの異なるセットを2PCR工程に利用する。
【0022】
T. Msuih, et. al., “Novel, Ligation-Dependent PCR Assay for Detection of Hepatitis C. Virus in Serum,” J. Clin. Microbio. 34:501-07(1996)およびY. Park, et. al.,“Detection of HCV RNA Using Ligation-Dependent Polymerase CHain Reaction in Formalin-Fixed Paraffin-Embedded Liver Tissue”(提出)は、LDR/PCRプロセスのRNAとの併用について記述している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は核酸配列の相違を検出するための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、組み合せたLDRおよびPCRプロセスを用いて核酸配列の相違を検出することに関する。本発明は次の3実施態様の1つによって行われる。(1)LDPと組み合せたPCR、(2)1次PCRと組み合せた2次PCRと組み合せたLDR、および(3)1次PCRと組み合せた2次PCR。これらの実施態様の各々がある種の性質を検出するのに特定の適用性を有する。しかし、各々において核酸配列の相違を多重的に検出するのに組み合せた反応を利用するものであり、そこでは各プロセスの初期段階由来のオリゴヌクレオチドがプロセスの後期段階由来のオリゴヌクレオチドで使用され得る配列を含有している。
【0025】
I.1次PCR/2次PCR/LDRプロセス
本発明の一つの実施態様は、複数の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している複数の配列の2以上を同定するための方法に関する。この方法は、第1ポリメラーゼ相、第2ポリメラーゼ相およびリガーゼ検出相を含む。このプロセスは、複数の配列相違がある1以上の標的ヌクレオチド配列を含有するかも知れないサンプルを分析することを含む。
【0026】
第1ポリメラーゼ連鎖反応相において、1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー群が準備される。各群は1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー・セットを含有し、各セットは、標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を有する第1ヌクレオチドプライマー、および標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプライマーを含む。同じ群の各セットの第1オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流2次プライマー特異的部分を有し、同じ群の各セットの第2オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流2次プライマー特異的部分を有している。特定のセットのオリゴヌクレオチドプライマーは、対応する標的ヌクレオチド配列の相補的鎖でのハイブリダイゼーションに適しており、ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成をもたらす。しかし、1次オリゴヌクレオチドプライマーがサンプル中に他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに、該ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成に妨害するミスマッチがある。特定のセットにおけるポリメラーゼ連鎖反応産物は、同じ群での他のポリメラーゼ連鎖反応産物と識別され得る。1次オリゴヌクレオチドプライマー、サンプルおよびポリメラーゼは混合されて、1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成する。
【0027】
1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、1次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異的部分が標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。伸長処理によってハイブリダイズした1次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次オリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列に相補的な1次伸長産物を形成する。
【0028】
1次オリゴヌクレオチドプライマーの上流2次プライマー特異的部分は標的DNAに存在しないが、その配列は1次ポリメラーゼ連鎖反応相の第2以後のサイクルで複写される。結果として、第2サイクル後に産生された1次伸長産物は、その5’末端に2次プライマー特異的部分、およびその3’末端にプライマー特異的部分の補体を有する。
【0029】
次は、第2ポリメラーゼ連鎖反応相である。この相では1つまたは複数の2次オリゴヌクレオチドプライマーセットが準備される。各セットは、第1の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第1の2次オリゴヌクレオチドプライマー、および第1の2次プライマーに相補的な第1の1次オリゴヌクレオチドと同じ1次オリゴヌクレオチドプライマーセットに由来する第2の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第2の2次オリゴヌクレオチドプライマーを有する。2次オリゴヌクレオチドプライマーのセットは、特定の群において1次伸長産物のすべてを増幅するのに使用され得る。2次オリゴヌクレオチドプライマーを1次伸長産物およびポリメラーゼと混合して、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物とする。
【0030】
2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、2次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異部分が1次伸長産物上に存在する相補的配列にハイブリダイズし、元の標的配列にハイブリダイズしない。伸長処理によってハイブリダイズ2次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次伸長産物に相補的な2次伸長産物を形成する。
【0031】
本発明の態様における最後の相はリガーゼ検出反応相である。ここでは、複数のオリゴヌクレオチドプローブセットが準備され、各セットは、2次伸長産物特異的部分と検出可能レポーター標識を保持する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および2次伸長産物特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプローブを有する。特定セットのオリゴヌクレオチドプローブは、相補的2次伸長産物特異的部分に互いに隣接してハイブリダイズしたときに一緒に連結反応するのに適している。しかし、オリゴヌクレオチドプローブがサンプル中の他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに該連結反応を妨害するミスマッチがある。特定セットにおけるオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物は、プローブまたは他の連結反応産物のいずれかと識別され得る。複数のオリゴヌクレオチドプローブセットを2次伸長産物およびリガーゼと混合して、リガーゼ検出反応混合物とする。
【0032】
リガーゼ検出反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理およびハイブリダイゼーション処理を有する1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーション処理において、オリゴヌクレオチドプローブセットは、隣接部位で塩基特異的に、もし存在すれば夫々の2次伸長産物にハイブリダイズする。結果として、隣接プローブは互いに連結して、一緒に結合している検出可能レポーター標識および2次伸長産物特異的部分を含有する連結産物配列を形成する。オリゴヌクレオチドプローブセットは、その夫々の相補的2次伸長産物以外のヌクレオチド配列にハイブリダイズし得るが、1以上のミスマッチの存在のために一緒に連結しないで、変性処理の際に個々に分離している。リガーゼ検出反応サイクルに続いて、連結反応産物配列のレポーター標識が検出されて、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在が示される。
【0033】
本発明の1次PCR/2次PCR/LDRプロセスは、単一ヌクレオチドおよび縦列反復多形性の多重的検出においてPCRのみの使用よりも顕著な利点をもたらす。
【0034】
上記したように、PCRのみの使用では、多重検出を行うための操作条件において厳しい最適化をなすことを要する。さらに、多数の標的ヌクレオチド配列を検出するためには、オリゴヌクレオチドプライマーの量を増加しなければならない。しかし、これが起きると、標的独立反応(例えばプライマー二量体作用)の可能性が増加する。加うるに、変異を知らねばならず、偽の正反応が正常なタンプレットのポリメラーゼ伸長によって生じることがあり、重複しているプライマーの干渉による近接クラスター部位では多重検出はできず、小さい反復配列における単一塩基または小さい挿入や欠失は検出できず、そして正常DNAの高バックグランドにおける変異DNAの定量が難しい。結果として、単一の多重PCRプロセスにおいて検出される標的ヌクレオチド配列の数は限られてくる。
【0035】
直接的配列決定は、配列を正しく得るには豊富な変異サンプルを必要とし、多くのエクソン含有の大きい遺伝子について多重反応を必要とし、産物の電気泳動分離を必要とし、時間がかかり、正常DNAのバックグランド5%以下での変異DNA検出には用いることができない。ミニ配列決定においては、変異を知らねばならず、重複しているプライマーの干渉による近接クラスター部位では多重検出はできず、小さい反復配列における単一塩基または小さい挿入や欠失は検出できず、そして4種の分離反応を必要とする。対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション(ASO)においては、変異を知らねばならず、ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件を知らねばならず、交叉反応を防ぐのは難しく、重複するプライマーの干渉による近接クラスター部位では多重検出はできず、正常DNAのバックグランドの5%以下では変異DNAは検出できない。プライマー調節RELPは、正常DNAから変異体を識別するのに電気泳動分離を必要とし、制限部位に移行し得る部位に適用するには限界があり、変異の性質を調べるのに追加の解析を必要とし、変異DNAが正常のDNAの高バックグランドにあるときは用いるのが難しい。単鎖立体配座多形性解析(SSCP)は、変異配座体を正常配座体と区別するのに電気泳動分離を必要とし、可能性のある変異の30%を誤り、変異の性質を調べるために追加の解析を要し、サイレント多形性と変異を識別できない。ジデオキシヌクレオチドフィンガー・プリント(ddF)の場合、正常DNAの高いバックグランドにおいては変異を検出するのは困難であり、変異配座体を正常配座体と区別するのに電気泳動を必要とし、変異の性質を調べるために追加の解析を要し、サイレント多形性と変異を識別できない。変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)は、変異配座体を正常配座体から電気泳動的に分離しなければならず、可能性のある変異の30%を誤り、変異の性質を調べるために追加の解析を要し、サイレント多形性と変異を識別できない。そして前に得た結果を再現するのに技術的に熟練を要する。RNaseミスマッチ開裂法は、変異の性質を調べるのに追加の解析を要し、RNase抵抗性ミスマッチを排除するために両鎖の解析を必要とし、正常DNAの高いバックグランドにおいては変異を検出するのに困難がある。化学的ミスマッチ分裂法は、正常DNAのバックグランドが5%以下では変異DNAを検出することができず、すべての変異を検出するのに両鎖の解析を必要とする。T4 Endo VIIミスマッチ分裂法では、変異の性質を調べるのに追加の解析を要し、変異とサイレント多形性を区別できず、エンドヌクレアーゼが結果の注意深い解釈に必要なコントロールDNAを分裂し、そして正常DNAの高いバックグランドでは変異の検出が困難である。
【0036】
PCRの感受性とLDRの特異性を組み合せた本発明の1次PCR/2次PCR/LDRプロセスにおいては、上記のような問題がない。1次PCR相は2次プライマー特異的部分を有する1次伸長産物を産生する。この最初の相は、1次伸長産物の産生を最大にするのに効果的で、PCRのみのプロセスにおいて時々起きる有害反応を生じることのない条件で実施される。特に、本発明の1次PCR相は、15−20PCRサイクルで実施され、PCRのみのプロセスで用いられるであろうよりも少ないプライマーが使用される。本発明の1次PCR相は、いくつかの標的ヌクレオチド配列がよく増幅し、一方あるものは増幅しないので、非常に多様で、予想外に伸長産物を生み出す。しかし、2次PCR相においては、すべての1次伸長産物が同じ2次プライマー特異的部分を有するので、ほぼ等しく増幅される。サンプル中に元から存在している標的ヌクレオチド配列は、これらの配列が2次プライマー特異的部分を含有しないので、2次PCR相によっては増幅されない。結果として、本発明の1次PCR/2次PCR/LDRプロセスは、単一のチューブにおける数百のヌクレオチド配列相違の多重検出を、分析に供せられる各特定サンプルについての操作条件をその都度つくることなしに、達成することができる。変異配列の選択がPCRよりもむしろLDRで調節されるので、1次PCR/2次PCR/LDRプロセスは偽の正標的生成には感受性が低い。さらに、1次PCR/2次PCR/LDRプロセスは、近接クラスター変異の検出、小さい反復配列における単一塩基または小さい挿入や欠失の検出、正常DNAの高いバックグランドにおける1%以下の変異の定性的検出、およびアドレス可能アレイを用いる連結反応産物配列の検出を可能とする。唯一の主要な必要事項は、変異を知り、多数のオリゴヌクレオチドを合成することである。
【0037】
単一ヌクレオチドおよび縦列反復多形性の検出ができることは、法医学的DNA同定および遺伝子疾患の診断に特に重要である。
【0038】
II.LDR/PCRプロセス
本発明の第2態様は、複数の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失および転座によって相違している1以上の複数配列を同定する方法に関する。この方法はリガーゼ検出反応相に続いてポリメラーゼ連鎖反応相を有する。この方法は、複数の配列相違を有する1以上の標的ヌクレオチド配列を含有する可能性のあるサンプルを準備することを含む。
【0039】
リガーゼ検出反応相において1以上のオリゴヌクレオチドプローブが準備される。各セットは、標的特異的部分と5’上流プライマー特異的部分を保持する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および標的特異的部分と3’下流プライマー特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプローブを有する。特定セットにおける標的ヌクレオチドプローブは、対応する標的ヌクレオチド配列に互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒に連結反応するのに適している。しかし、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列とハイブリダイズするときに、この連結反応を妨害するミスマッチがある。サンプル、複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびリガーゼを混合して、リガーゼ検出反応混合物とする。
【0040】
リガーゼ検出反応混合物は1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけられる。これらのサイクルには変性処理とハイブリダイゼーション処理が含まれる。変性処理において、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドは標的ヌクレオチド配列から分離される。ハイブリダイゼーション処理によって、オリゴヌクレオチドプローブセットは隣接部位で塩基特異的に、もしサンプル中に存在しておればその夫々の標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。ハイブリダイズされると、オリゴヌクレオチドプローブセットは互いに連結して、連結反応産物配列を形成する。この産物は、5’上流プライマー特異的部分、一緒に結合した標的特異的部分および3’下流プライマー特異的部分を含む。各セットの連結反応産物配列は連結検出反応混合物中の他の核酸と識別可能である。オリゴヌクレオチドプローブセットはその夫々の標的ヌクレオチド配列以外のサンプル中のヌクレオチド配列とハイブリダイズするが、1以上のミスマッチの存在によって連結せず、そして、次の変性処理の際に個々に分離している。
【0041】
ポリメラーゼ連鎖反応において、1または複数のオリゴヌクレオチドプローブが準備される。各セットは、連結反応産物配列の5’上流プライマー特異的部分に同じ配列を含有する上流プライマー、および連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分に相補的な下流プライマーを有している。うち、1つのプライマーは検出可能レポーター標識を有する。リガーゼ検出反応混合物を1または複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびポリメラーゼと混合すると、ポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成する。
【0042】
ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。変性処理においてハイブリダイズ核酸配列が分離される。ハイブリダイゼーション処理によって、プライマーが連結反応産物配列の相補的プライマー特異的部分とハイブリダイズする。伸長処理において、ハイブリダイズプライマーが伸長されて、プライマーがハイブリダイズしている配列に相補的な伸長産物を形成する。ポリメラーゼ連鎖反応相の第1サイクルにおいて、下流プライマーが連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、伸長されて連結反応産物配列に相補的な伸長産物を形成する。次のサイクルにおいて、上流プライマーが連結反応産物に相補的な伸長産物の5’上流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、下流プライマーが連結反応産物配列の3’下流部分にハイブリダイズする。
【0043】
このプロセスのポリメラーゼ連鎖反応相に続いて、レポーター標識が検出され、伸長産物が識別されて、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在が表される。
【0044】
本発明のLDR/PCRプロセスの一つの実施態様は、細胞中の遺伝子コピーの数(すなわち遺伝子量)の測定においてLDRのみの使用に比べて改良された成果をもたらす。LDRのみを使用すると、複数の遺伝子を定量するの必要とする十分な標的コピーを産生するのが難しい。
【0045】
本発明のLDR/PCRプロセスの他の実施態様において、LDR連結反応産物配列がサンプル中に誘導された遺伝子の比率に応じた比率で産生される。同じプライマー特異的部分をLDR相のためのオリゴヌクレオチドプローブに合体することにより、PCR相が連結反応産物配列をその比率の保持と同じ程度に増幅する。解析しようとするサンプル中に元から存在する標的配列は、この標的配列がPCRプライマー特異的部分を含有しないので、PCR相で増幅されない。さらに、PCR相のためのオリゴヌクレオチドプライマーのみがレポーター標識を有し、この標識のある伸長産物のみが検出される。
【0046】
遺伝子量の変化の測定は多くの生物医学での利用において重要である。
【0047】
X染色体上の遺伝子が男性と女性では相違しており、女性は2コピーに対し男性は1コピーである。女性はX染色体について欠失の保持者となることがある。もしX染色体の欠失領域が1以上の遺伝子を含むとすると、女性は他のX−染色体の対応する非欠失域にこれらの遺伝子1コピーのみを有する。この結果(X−連結遺伝子の1コピーを有すること)は、男性細胞における状況に類似しており、遺伝された障害を発揮することなく、常に寛容されている。しかし、もしその女性の息子が彼女の欠失X染色体を受け継ぐと、彼は欠失領域に遺伝子コピーを所有しないので、遺伝子不存在によるX−関連障害にかかる。このように、染色体欠失の検出は、本発明のLDR/PCRプロセスの適用例である。
【0048】
受精卵が染色体の異常補体を有すると、先天性の染色体障害が起きる。最も多い先天性染色体障害はダウン症候群であって、各細胞に追加の染色体(47、XX+21または47、XY+21と表される)が存在するときに、これは生じる。本発明のLDR/PCRプロセスは先天性染色体障害を同定できるように設計され得る。
【0049】
本発明のLDR/PCRプロセスは、モノヌクレオチドおよびジヌクレオチド反復配列における多形性を識別するのに有用でもある。クローン性の検出のためにユニーク多形性を含有すの少数の細胞を識別するのにも有用である。
【0050】
LDR/PCRプロセスはゲルおよび非ゲル(すなわちDNAアレイ)の両方の技法で用いられる。多くの遺伝子の増幅および欠失の同時の多重分析、定量分析を可能にし、外部標準を必要としない。LDR/PCRプロセスにおける唯一の比較的小さい問題点は、染色体における大きい欠失の境界を測定するのが難しいことである。
【0051】
一方、ミクロサテライト・マーカー分析は、欠失または増幅した小さい領域を検出するのに用いることはできず、増幅領域の同時検出に適合せず、情報マーカーの利用性に依存している。競合的PCR(すなわち分別的PCR)は、いくつもの欠失および増幅を同時に検出するために多重的に使用できないし、特に精密でない。サザン・ハイブリダイゼーションは、時間と労力がかかり、試験する各プローブについて多工程を要して多重化には適しておらず、そして大量のDNAを必要とする。蛍光インシトゥハイブリダイゼーション(FISH)は、特別の技術を要し、時間がかかり、調べようとする欠失または増幅領域を解析する大きいプローブを必要とする。このように本発明のLDR/PCRプロセスは先行プロセスに優れる顕著な進歩がある。
【0052】
III.1次PCR/2次PCRプロセス
本発明の第三の実施態様は、1以上の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している複数の配列の2以上を同定するための方法に関する。この方法は、複数の配列相違がある1以上の標的ヌクレオチド配列を含有するかも知れないサンプルを2つの連続するポリメラーゼ連鎖反応相にかけることを含む。
【0053】
第1ポリメラーゼ連鎖反応相において、1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー群が準備される。各群は2以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー・セットを含有する。各セットは、標的特異的部分と5’上流第2プライマー特異的部分を保持する第1オリゴヌクレオチドプライマー、および標的特異的部分と5’上流第2プライマー特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプライマーを有する。同じ群の各セットの第1オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流第2プライマー特異的部分を有し、同じ群の各セットの第2オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流第2プライマー特異的部分を有している。特定のセットのオリゴヌクレオチドプライマーは、対応する標的ヌクレオチド配列の相補鎖でのハイブリダイゼーションに適しており、ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成をもたらす。しかし、1次オリゴヌクレオチドプライマーがサンプル中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに、該ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成を妨害するミスマッチがある。特定のセットにおけるポリメラーゼ連鎖反応産物は、同じ群または他の群を有する他のポリメラーゼ連鎖反応産物と識別され得る。1次オリゴヌクレオチドプライマーをサンプルおよびポリメラーゼと混合して、第1ポリメラーゼ連鎖反応混合物とする。
【0054】
1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、1次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異部分が標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。伸長処理によってハイブリダイズ1次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次オリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列に相補的な1次伸長産物を形成する。
【0055】
1次オリゴヌクレオチドプライマーの上流2次プライマー特異的部分は標的DNAに存在しないが、その配列は1次ポリメラーゼ連鎖反応相の第2以後のサイクルで複写される。結果として、第2サイクル後の1次伸長産物は、その5’末端に2次プライマー特異的部分、そしてその3’末端にプライマー特異的部分の補体を有する。
【0056】
本発明のこの実施態様での第2ポリメラーゼ連鎖反応相において1つまたは複数の2次オリゴヌクレオチドプライマーセットが準備される。各セットは、検出可能レポーター標識を保持し、かつ第1の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第1の2次プライマー、および第1の2次プライマーに相補的な第1の1次オリゴヌクレオチドと同じ1次オリゴヌクレオチドプライマーセットに由来する第2の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第2の2次プライマーを有する。2次オリゴヌクレオチドプライマーのセットは、各群において1次伸長産物を増幅する。2次オリゴヌクレオチドプライマーを1次伸長産物およびポリメラーゼと混合して、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物とする。
【0057】
2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、2次オリゴヌクレオチドプライマーが1次伸長産物にハイブリダイズする。伸長処理によって、ハイブリダイズした2次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次伸長産物に相補的な2次伸長産物を形成する。2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルに掛けた後に、標識2次伸長産物が検出される。これはサンプル中おける1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を表す。
【0058】
本発明の1次PCR/2次PCRプロセスは、サザンハイブリダイゼーション、競合的PCR、および異型接合の損失を起こすヌクレオチド欠失の検出におけるミクロサテライト・マーカー解析法を上回る顕著な利点を有する。サザンハイブリダイゼーションは、競合的PCRより精密であるが、非常に労力を要し、多量のDNAを必要とし、いかなる技法でも多重化されていない。現在の多重ミクロサテライト・マーカー法はプライマー濃度と増幅条件に非常な注意を要する。
【0059】
本発明の1次PCR/2次PCRプロセスは、これら先行技術における困難性を解決する。1次PCR相において、1次オリゴヌクレオチドプライマーがジヌクレオチドまたは他の反復配列の両側に置かれ、2次プライマー特異的部分を含む。1次PCR相は、これらのプライマーの低濃度で実施されて、同時にいくつかの部座の増幅を可能とする。2次PCR相によって、選択される標的特異的2次プライマーと同じ速度で増幅が続けられて、隣接のセットからミクロサテライト・マーカーの1セットが並べられる。1次PCR/2次PCRプロセスは、単一PCRチューブで、単一ゲルレーン解析で多重検出を実施するのに用いられる。
【0060】
本発明のこの実施態様は、ミクロサテライト・マーカー分析を実施して遺伝子中のヌクレオチド欠失を同定するのに有用である。このような多重検出は単一の反応チューブで実施され得る。しかし、1次PCR/2次PCRプロセスは、増幅と欠失を識別できないので、かかる識別をなそうとするときは、上記のLDR/PCRプロセスすなわち分別PCRプロセスを併用しなければならない。
発明の詳細な記述
I.1次PCR/2次PCR/LDRプロセス
本発明の一つの実施態様は、複数の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している複数の配列の2以上を同定するための方法に関する。この方法は、第1ポリメラーゼ相、第2ポリメラーゼ相およびリガーゼ検出相を含む。このプロセスは、複数の配列相違がある1以上の標的ヌクレオチド配列を含有するかも知れないサンプルを分析することを含む。
【0061】
第1ポリメラーゼ連鎖反応相において、1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー群が準備される。各群は1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー・セットを含有し、各セットは、標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を有する第1ヌクレオチドプライマー、および標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプライマーを含む。同じ群の各セットの第1オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流2次プライマー特異的部分を有し、同じ群の各セットの第2オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流2次プライマー特異的部分を有している。特定のセットのオリゴヌクレオチドプライマーは、対応する標的ヌクレオチド配列の相補的鎖でのハイブリダイゼーションに適しており、ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成をもたらす。しかし、1次オリゴヌクレオチドプライマーがサンプル中に他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに、該ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成に妨害するミスマッチがある。特定のセットにおけるポリメラーゼ連鎖反応産物は、同じ群での他のポリメラーゼ連鎖反応産物と識別され得る。1次オリゴヌクレオチドプライマー、サンプルおよびポリメラーゼは混合されて、1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成する。
【0062】
1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、1次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異的部分が標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。伸長処理によってハイブリダイズした1次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次オリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列に相補的な1次伸長産物を形成する。
【0063】
1次オリゴヌクレオチドプライマーの上流2次プライマー特異的部分は標的DNAに存在しないが、その配列は1次ポリメラーゼ連鎖反応相の第2以後のサイクルで複写される。結果として、第2サイクル後に産生された1次伸長産物は、その5’末端に2次プライマー特異的部分、およびその3’末端にプライマー特異的部分の補体を有する。
【0064】
次は、第2ポリメラーゼ連鎖反応相である。この相では1つまたは複数の2次オリゴヌクレオチドプライマーセットが準備される。各セットは、第1の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第1の2次オリゴヌクレオチドプライマー、および第1の2次プライマーに相補的な第1の1次オリゴヌクレオチドと同じ1次オリゴヌクレオチドプライマーセットに由来する第2の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第2の2次オリゴヌクレオチドプライマーを有する。2次オリゴヌクレオチドプライマーのセットは、特定の群において1次伸長産物のすべてを増幅するのに使用され得る。2次オリゴヌクレオチドプライマーを1次伸長産物およびポリメラーゼと混合して、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物とする。
【0065】
2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、2次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異部分が1次伸長産物上に存在する相補的配列にハイブリダイズし、元の標的配列にハイブリダイズしない。伸長処理によってハイブリダイズ2次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次伸長産物に相補的な2次伸長産物を形成する。
【0066】
本発明の態様における最後の相はリガーゼ検出反応相である。ここでは、複数のオリゴヌクレオチドプローブセットが準備され、各セットは、2次伸長産物特異的部分と検出可能レポーター標識を保持する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および2次伸長産物特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプローブを有する。特定セットのオリゴヌクレオチドプローブは、相補的2次伸長産物特異的部分に互いに隣接してハイブリダイズしたときに一緒に連結反応するのに適している。しかし、オリゴヌクレオチドプローブがサンプル中の他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに該連結反応を妨害するミスマッチがある。特定セットにおけるオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物は、プローブまたは他の連結反応産物のいずれかと識別され得る。複数のオリゴヌクレオチドプローブセットを2次伸長産物およびリガーゼと混合して、リガーゼ検出反応混合物とする。
【0067】
リガーゼ検出反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理およびハイブリダイゼーション処理を有する1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーション処理において、オリゴヌクレオチドプローブセットは、隣接部位で塩基特異的に、もし存在すれば夫々の2次伸長産物にハイブリダイズする。結果として、隣接プローブは互いに連結して、一緒に結合している検出可能レポーター標識および2次伸長産物特異的部分を含有する連結産物配列を形成する。オリゴヌクレオチドプローブセットは、その夫々の相補的2次伸長産物以外のヌクレオチド配列にハイブリダイズし得るが、1以上のミスマッチの存在のために一緒に連結しないで、変性処理の際に個々に分離している。リガーゼ検出反応サイクルに続いて、連結反応産物配列のレポーター標識が検出されて、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在が示される。
【0068】
図1、2および3は2種の検出手法のいずれかを用いた本発明の1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す流れ図である。1つの方法として、毛管電気泳動またはゲル電気泳動と蛍光定量の使用がある。他方、捕捉オリゴヌクレオチドアドレスのアレイ上の捕捉と蛍光定量によって検出が実施される。図1は生殖細胞系変異(例えば、点変異)の検出に関し、図2はバイ対立遺伝子多形性の検出であり、図3は癌関連変異の検出を示す。
【0069】
図1は生殖系点変異の検出を表す。第1工程において、DNAサンプル作成後、Taq(すなわちThermus aquaticus)ポリメラーゼを用いた1次PCR増幅に、ホットスタート条件で、標的特異的部分と2次プライマー特異的部分とを有するオリゴヌクレオチドプライマーと共に、多重エクソンをかける。1次PCR相の終了点で、Taqポリメラーゼは、100℃で10分間加熱するか、または凍結/解凍工程により不活性化される。1次PCR増幅相の産物は、第2工程でTaqポリメラーゼを用いホットスタート条件で2次オリゴヌクレオチドプライマーと共に、2次PCR増幅にかける。2次PCR相の終了点で、Taqポリメラーゼは、100℃で10分間加熱するか、または凍結/解凍工程により不活性化される。第3工程において、2次PCR相の産物は、対立遺伝子特異的部分と共通部分を有するLDRオリゴヌクレオチドプローブを含有する新鮮なLDR緩衝液に20倍に希釈する。第4工程は、LDR相であって、ホットスタート条件でTaqリガーゼを加えることにより始まる。LDRの際にオリゴヌクレオチドプローブはその隣接のオリゴヌクレオチドプローブに、接合部で完全な相補性を与える標的配列の存在においてのみ、連結する。
【0070】
産物は2種の相違するホーマットにおいて検出される。第1ホーマット5aでは、蛍光標識LDRプローブが相違する長さのポリAまたはヘキサエチレンオキシド・テイルを含有する。このように各連結反応産物配列(正常DNA上でハイブリダイズされた2プローブの連結反応の結果である)は、いくつかの連結反応産物配列がピークの段差を与えるように、少し相違する長さと運動性を有する。生殖細胞系変異は電気泳動濃度図上に新しいピークをつくることがある。他方、生殖細胞系変異連結反応産物配列が正常DNA連結反応産物配列と同じ運動性を有して泳動するが、相違する蛍光レポーターで識別されるようにLDRプローブは設計され得る。新しいピークのサイズはほぼ元のサンプルに存在する変異の量である。すなわち、ホモ接合正常は0%、ヘテロ接合保持は50%、そしてホモ接合変異は100%である。第2ホーマット5bにおいて、各対立遺伝子特異的プローブは、例えばその5’末に24追加ヌクレオチド塩基を含有する。これらの配列はユニーク・アドレス可能配列であって、アドレス可能アレイ上でその相補的アドレス配列に特異的にハイブリダイズする。LDR反応において、各対立遺伝子特異的プローブは、対応する標的配列の存在において隣接の蛍光標識共通プローブに連結できる。野生型および変異の対立遺伝子に対応する連結反応産物配列は、アレイ上の隣接アドレスに捕捉される。未反応のプローブは洗浄して除く。黒点は野生型対立遺伝子についての100%シグナルを表す。白点は変異対立遺伝子についての0%シグナルを表す。灰色点は生殖細胞系変異の1つの位置、各対立遺伝子についての50%シグナルを表す。
【0071】
図2は、バイ対立遺伝子多形性の検出を表す。第1工程において、Taqポリメラーゼを用いた1次PCR増幅に、ホットスタート条件で、標的特異的部分と2次プライマー特異的部分とを有するオリゴヌクレオチドプライマーと共に、多重エクソンをかける。1次PCR増幅相の産物は、第2工程でTaqポリメラーゼを用いホットスタート条件で2次オリゴヌクレオチドプライマーと共に、2次PCR増幅にかける。2次PCR相の終了点で、Taqポリメラーゼは、100℃で10分間加熱するか、または凍結/解凍工程により不活性化される。第3工程において2次PCR相の産物は対立遺伝子特異的部分と共通部分を有するLDRオリゴヌクレオチドプローブを含有する新鮮なLDR緩衝液に20倍に希釈する。第4工程は、LDR相であって、ホットスタート条件でTaqリガーゼを加えることにより始まる。LDRの際にオリゴヌクレオチドプローブはその隣接のオリゴヌクレオチドプローブに、接合部で完全な相補性を与える標的配列の存在においてのみ、連結する。第1ホーマット5aでは、蛍光標識LDRプローブが相違する長さのポリAまたはヘキサエチレンオキシド・テイルを含有する。各連結反応産物は、いくつかの連結反応産物配列がピークの段差を与えるように、少し相違する長さと運動性を有する。他方、多形性対立遺伝子の連結反応産物配列が同じ位置で移動するが、相違する蛍光レポーターで識別されるようにLDRプローブは設計され得る。ピークのサイズはほぼ各対立遺伝子の量である。第2ホーマット5bにおいて、各対立遺伝子特異的プローブは、例えばその5’末に24の追加ヌクレオチド塩基を有するユニーク・アドレス可能配列を含有する。これらの配列は、捕捉オリゴヌクレオチドアレイ上でその相補的アドレス配列に特異的にハイブリダイズする。LDR反応において、各対立遺伝子特異的プローブは、対応する標的配列の存在において隣接の蛍光標識共通プローブに連結できる。各対立遺伝子に対応する連結反応産物配列は、アレイ上の隣接アドレスに捕捉される。未反応のプローブは洗浄して除く。黒点は両染色体が与えられた対立遺伝子を有すことを表す。白点はいずれの染色体もこの対立遺伝子を有さないことを表す。灰色点は1つの染色体が与えられた対立遺伝子を有することを表す。
【0072】
図3は、癌関連変異を表す。第1工程において、DNAサンプル作成後、Taqポリメラーゼを用いた1次PCR増幅に、ホットスタート条件で、標的特異的部分と2次プライマー特異的部分とを有するオリゴヌクレオチドプライマーと共に、多重エクソンをかける。1次PCR増幅相の産物は、第2工程でTaqポリメラーゼを用いホットスタート条件で2次オリゴヌクレオチドプライマーと共に、2次PCR増幅にかける。2次PCR相の終了点で、Taqポリメラーゼは、100℃で10分間加熱するか、または凍結/解凍工程により不活性化される。PCR産物の蛍光定量は第3工程において毛管またはゲル電気泳動により行うことができる。第4工程において、産物はマーカーDNAの1/100希釈(フラグメントの各々につき)でスパイクされる。このDNAは、癌サンプルにみられないが、適当なLDRプローブで容易に検出される変異を有することを除けば、野生型DNAに相同的である。第5工程において、2次PCR相産物中の混合DNA産物は、対立遺伝子特異的部分と共通部分を含有するLDRオリゴヌクレオチドプローブを含む新鮮なLDR緩衝液に20倍に希釈される。第6工程は、LDR相であって、ホットスタート条件でTaqリガーゼを加えることにより始まる。LDRの際に、接合部に完全な相補性を与える標的配列の存在においてのみ、オリゴヌクレオチドプローブがその隣接のオリゴヌクレオチドプローブに連結する。
【0073】
産物は上記と同じホーマットで検出される。第7a工程のホーマットにおいて、毛管またはゲル電気泳動により産物が分離され、そして蛍光シグナルが定量される。変異ピークのマーカーピークに対する割合は、元のサンプル中に存在する癌変異の概量を100で除して算出される。第7b工程のホーマットにおいて、アドレス可能アレイ上の相補的配列についての特異的ハイブリダイゼーションによって産物が検出される。マーカー点に対する変異点中の蛍光シグナルの割合は、元のサンプル中に存在する癌変異の概量を100で除して算出される。
【0074】
図4に示すように、興味ある2種のDNAフラグメントを本発明の1次PCR/2次PCR/LDRプロセスで処理する。最初に2重鎖DNA分子を変性して、鎖をほどく。これは80−105℃に加熱することによりなされる。3−標的特異的部分(影の部分)と5’2次プライマー特異的部分(黒い部分)を有する1次PCRオリゴヌクレオチドプライマーを低濃度で加えて、典型的に50−85℃で鎖にハイブリダイズせしめる。熱安定性ポリメラーゼ(例えば、Taq aquanticusポリメラーゼ)も加え、温度を50−85℃に調節して、プライマーがハイブリダイズする核酸の長さに沿ってプライマーを伸長する。ポリメラーゼ連鎖反応の伸長相の後に、得た2重鎖分子を80−105℃に加熱して、分子を変性し、鎖を分離する。これらのハイブリダイゼーション、伸長、変性工程は数回繰り返して、標的を適当なレベルにまで増幅する。
【0075】
2次PCR相において、1次PCR相産物を2次PCRオリゴヌクレオチドプライマーと混合して、典型的には50−85℃で互いにハイブリダイズせしめる。2次オリゴヌクレオチドプライマーは1次オリゴヌクレオチドプライマーよりも常に高い濃度で使用する熱安定性ポリメラーゼも加え、温度を50−85℃に調節して、プライマーがハイブリダイズする核酸の長さに沿ってプライマーを伸長する。ポリメラーゼ連鎖反応の伸長相の後に、得た2重鎖分子を80−105℃に加熱して、分子を変性し、鎖を分離する。これらのハイブリダイゼーション、伸長、変性工程は数回繰り返して、標的を適当なレベルにまで増幅する。
【0076】
2次PCR相が完了すると、図4に示すように、連結検出反応相が始まる。標的核酸変性後、もし存在すれば二重鎖DNA分子として、温度80−105℃、好ましくは94℃で、標的ヌクレオチド配列の1本鎖のための連結検出反応オリゴヌクレオチドプローブがリガーゼと共に加えられる(例えば、図4に示すように、Taq aquanticusポリガーゼのような熱安定性リガーゼ)。オリゴヌクレオチドプローブは標的核酸分子とハイブリダイズし得て、典型的には45−85℃、好ましくは65℃で連結する。連結部に完全な相補性があるとオリゴヌクレオチドは一緒に連結する。変わり得るヌクレオチドがTまたはAであると、標的ヌクレオチド配列におけるTの存在は、F1レポーター標識を有するオリゴヌクレオチドプローブを5’ポリAテイルAnを有する共通オリゴヌクレオチドプローブと連結せしめ、標的ヌクレオチド配列中のAの存在は、F2レポーター標識を有するオリゴヌクレオチドプローブをAnを有する共通のオリゴヌクレオチドプローブと連結せしめる。同様に、変わり得るヌクレオチドがAまたはGであると、標的ヌクレオチド配列におけるTの存在は、F3AAレポーター標識(すなわち、5’ポリAスペーサーを形成する2追加塩基にカップルしたF3レポーター標識)を有するオリゴヌクレオチドプローブを5’ポリAテイルAn+4を有する共通オリゴヌクレオチドプローブと連結せしめ、標的ヌクレオチド配列中のCの存在は、F3レポーター標識を有するオリゴヌクレオチドプローブをAn+4を有する共通のオリゴヌクレオチドプローブと連結せしめる。連結反応後に材料を変性にかけてハイブリダイズ鎖を分離する。ハイブリダイゼーション/連結反応および変性工程は1以上のサイクル(例えば1−50サイクル)で実施されて、標的シグナルが増幅される。両F3−標識オリゴヌクレオチドの等モル連結反応は個体がその座についてヘテロ接合型であることを示し、一方、F2標識オリゴヌクレオチドの連結反応は個体が他の座についてホモ接合型であることを示す。
【0077】
図4において、定量が毛管またはゲル電気泳動で実施されるとき、ポリAnおよびポリAn+4テイルが用いられる。異なった長さのテイルによって、対応する相違の連結反応産物配列がゲルまたは毛管における異なる位置でバンドを形成する。異なる位置でのバンドの存在は、解析されるDNAにおける対応ヌクレオチド相違の同定を可能にする。連結反応産物配列が異なるレポーター標識の使用に基づいて識別できるけれども、異なるレポーター標識と異なる長さのテイルの組み合せは、より多数のヌクレオチド相違の識別を可能とする。これは多重検出プロセスに重要である。
【0078】
図1−3について述べたように、ゲルまたは毛管電気泳動に代わって、アドレス可能アレイ上での検出を実施できる。かかるアドレス可能アレイの使用には、レポーター標識(すなわちテイルAnおよびAn+4)を含有しないLDRオリゴヌクレオチドプローブ上のポリAが相違するアドレス可能アレイ特異的オリゴヌクレオチド部分で置き換えられることを要する。上記でより完全に説明したように、固体支持物は捕捉オリゴヌクレオチドのアレイと共に準備され、そのいくつかは相違するアドレス可能アレイ特異的オリゴヌクレオチド部分に相補的である。相補的捕捉オリゴヌクレオチドプローブのこれらの部分のハイブリダイゼーションは対応するヌクレオチド相違の存在を示す。
【0079】
図5は、本発明のよる1次PCR/2次PCR/LDRプロセスについての模式図であり、興味ある2DNA分子における可能性ある塩基が識別される。1次および2次PCRプロセスは、図4で述べたのと実質的に同じように実施される。左手のDNA分子と併せた蛍光レポーター標識F1、F2、F3およびF3の出現は、夫々DNA分子におけるA、G、CおよびT対立遺伝子の存在を表す。図5に示すように、等量のF1およびF3レポーター標識は問題の個体がAおよびC対立遺伝子についてヘテロ接合型であることを表す。図5における右手のDNA分子の分析について、同じレポーター標識が異なる対立遺伝子の存在を表すのに用いられる。しかし、識別塩基を有する各オリゴヌクレオチドプローブ上で、異なる5’ポリAテイルが存在する。より特異的に2単位ポリAテイル、4単位ポリAテイル、6単位ポリAテイルおよび8単位ポリAテイルが、夫々DNA分子におけるT、C、GおよびA対立遺伝子に対応する。図5に示すように、A6およびA4テイルを有する等量のF1レポーター標識は、問題の個体がGおよびC対立遺伝子についてヘテロ接合型であることを表す。
【0080】
図6は、図5は、本発明のよる1次PCR/2次PCR/LDRプロセスについての模式図であり、興味ある2DNA分子における2近接部位で可能性ある塩基が識別される。1次および2次PCRプロセスは、図4で述べたのと実質的に同じように実施される。ここではLDRプローブは重複可能であり、接合部で完全な相補性が存在すると連結がなお可能である。これがLDRを他の方法と区別することであって、対立遺伝子特異的PCRなどでは、重複プライマーが互いに妨害し合う。図6において、識別オリゴヌクレオチドプローブは、そのプローブの3末に識別塩基を有するレポーター標識を含有する。ポリAテイルは共通オリゴヌクレオチドプローブの3’末上にある。左手のDNA分子において、レポーター標識F1およびF3を有する連結反応産物配列の等量の存在は、問題の個体が第1位置でAおよびC対立遺伝子についてヘテロ接合であることを示す。同様に、左手のDNA分子の第2位置において、レポーター標識F2、F3およびF4を有する連結反応産物配列の存在は、問題の個体がG、CおよびT対立遺伝子についてヘテロ接合であることを示す。
【0081】
右手のDNA分子にもどって、A6およびA4テイルを持つレポーター標識F1を有する連結反応産物配列の等量の存在は、問題の個体が第1位置でGおよびC対立遺伝子についてヘテロ接合であることを示す。右手のDNA分子の第2位置において、A8およびA2テイルを持つレポーター標識F1を有する連結反応産物配列の等量の存在は、問題の個体がAおよびT対立遺伝子についてヘテロ接合であることを示す。
【0082】
図7は、正常配列の過剰存在で低存在量の変異を検出するための本発明の1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す模式図である。左手のDNA分子はK−ras遺伝子のコドン12、配列GGTでグリシン(“Gly”)をコードする。小さい比率の細胞がGATにおけるGからAへの変異を含有し、アスパラギン酸(“Asp”)をコードする。野生型(すなわち正常)配列についてのLDRプローブが反応から抜けている。正常LDRプローブ(Gである識別塩基と共)が挿入されると、このプローブは共通プローブに連結し、変異標的由来のいかなるシグナルにも打ち勝つ。代わりに、図7に示されるように、蛍光標識F1およびAn+2テイルを有する連結反応産物配列の存在は変異をコードするアスパルギン酸の存在を表している。右手のDNA分子において、K−ras遺伝子のコドン61配列CAGがあり、グルタミン(“Gln”)をコードする。小さい比率の細胞がGAGにおけるCからGへの変異を含有し、グルタミン酸(“Glu”)をコードする。さらに、LDRオリゴヌクレオチドプローブが野生型に見られるCおよびA塩基を含まず、変異シグナルに打ち勝つことはない。このDNA分子について、蛍光標識F2An+4テイルを有する連結反応産物配列の存在は変異をコードするグルタミン酸の存在を表す。
【0083】
II.LDR/PCRプロセス
本発明の第2態様は、複数の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失および転座によって相違している1以上の複数配列を同定する方法に関する。この方法はリガーゼ検出反応相に続いてポリメラーゼ連鎖反応相を有する。この方法は、複数の配列相違を有する1以上の標的ヌクレオチド配列を含有する可能性のあるサンプルを準備することを含む。
【0084】
リガーゼ検出反応相において1以上のオリゴヌクレオチドプローブが準備される。各セットは、標的特異的部分と5’上流プライマー特異的部分を保持する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および標的特異的部分と3’下流プライマー特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプローブを有する。特定セットにおける折後ヌクレオチドプローブは、対応する標的ヌクレオチド配列に互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒に連結反応するのに適している。しかし、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列とハイブリダイズするときに、この連結反応を妨害するミスマッチがある。サンプル、複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびリガーゼを混合して、リガーゼ検出反応混合物とする。
【0085】
リガーゼ検出反応混合物は1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけられる。これらのサイクルには変性処理とハイブリダイゼーション処理が含まれる。変性処理において、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドは標的ヌクレオチド配列から分離される。ハイブリダイゼーション処理によって、オリゴヌクレオチドプローブセットは隣接部位で塩基特異的に、もしサンプル中に存在しておればその夫々の標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。ハイブリダイズされると、オリゴヌクレオチドプローブセットは互いに連結して、連結反応産物配列を形成する。この産物は、5’上流プライマー特異的部分、一緒に結合した標的特異的部分および3’下流プライマー特異的部分を含む。各セットの連結反応産物配列は連結検出反応混合物中のたの核酸と識別可能である。オリゴヌクレオチドプローブセットはその夫々の標的ヌクレオチド配列以外のサンプル中のヌクレオチド配列とハイブリダイズするが、1以上のミスマッチの存在によって連結せず、そして、次の変性処理の際に個々に分離している。
【0086】
ポリメラーゼ連鎖反応において、1または複数のオリゴヌクレオチドプローブが準備される。各セットは、連結反応産物配列の5’上流プライマー特異的部分に同じ配列を含有する上流プライマー、および連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分に相補的な下流プライマーを有している。うち、1つのプライマーは検出可能レポーター標識を有する。リガーゼ検出反応混合物を1または複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびポリメラーゼと混合すると、ポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成する。
【0087】
ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。変性処理においてハイブリダイズ核酸配列が分離される。ハイブリダイゼーション処理によって、プライマーが連結反応産物配列の相補的プライマー特異的部分とハイブリダイズする。伸長処理において、ハイブリダイズプライマーが伸長されて、プライマーがハイブリダイズしている配列に相補的な伸長産物を形成する。ポリメラーゼ連鎖反応相の第1サイクルにおいて、下流プライマーが連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、伸長されて連結反応産物配列に相補的な伸長産物を形成する。次のサイクルにおいて、上流プライマーが連結反応産物に相補的な伸長産物の5’上流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、下流プライマーが連結反応産物配列の3’下流部分にハイブリダイズする。
【0088】
このプロセスのポリメラーゼ連鎖反応相に続いて、レポーター標識が検出され、伸長産物が識別されて、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在が表される。
【0089】
図8は、制限エンドヌクレアーゼ消化の有無および毛管電気泳動検出を用いた本発明のLDR/PCRプロセスを表す流れ図である。第1工程において、DNAサンプルは、Taqリガーゼ、および標的特異的部分およびプライマー特異的部分を含有するオリゴヌクレオチドプローブと混合する。混合物はLDRプロセスにかけられて、連結標的特異的部分およびプライマー特異的部分を含有する連結反応産物配列を産生する。第2工程で、連結反応産物配列をポリメラーゼおよびプライマーと混合し、この混合物をPCRプロセスにかける。次の工程で連結反応産物配列が同じかまたは相違するサイズであるかの機能について測定する。連結反応産物配列が相違するサイズであると、第3a工程が選ばれてPCRからの伸長細胞が毛管電気泳動またはゲル電気泳動にかけられる。いずれも続いて蛍光定量がなされる。連結反応産物配列が同じサイズのときは第3b工程が用いられ、PCR相からの伸長産物は制限エンドヌクレアーゼ消化にかけられる。毛管電気泳動またはゲル電気泳動にかけられるユニーク・サイズの消化フラグメントが産生され、第4b工程による蛍光定量が行われる。第3a工程が選択されたときは、電気泳動の結果のカーブは、104、107および110に移行する3種の連結反応産物配列があり、ピーク域はそれぞれHer2遺伝子増幅、p53遺伝子のヘテロ接合の喪失およびコントロールSOD遺伝子を表す。第3bおよび4b工程による電気泳動曲線は、3種の連結反応産物配列制限フラグメントを58、70および76に有し、ピーク域はそれぞれHer2遺伝子増幅、p53遺伝子のヘテロ接合の喪失およびコントロールSOD遺伝子を表す。
【0090】
図8の別法として、図9は本発明のLDR/PCRプロセスを表し、第3工程で伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドアドレスのアレイ上に捕捉される。捕捉オリゴヌクレオチドプローブは連結反応接合部を通じてヌクレオチド配列に相補的であり得る。捕捉オリゴヌクレオチドのアレイ上に捕捉された遺伝子コピー数は既知のコントロールと比較して蛍光定量で測定される。図8において、アレイのこのような分析は遺伝子特異的アドレスにハイブリダイズしている連結反応産物配列を表し、蛍光の強度がHer−2遺伝子増幅、p53遺伝子へテロ接合の喪失およびコントロールSOD遺伝子をそれぞれ示す。
【0091】
図10は、遺伝子増幅および欠失の多重検出のためのLDR/PCRプロセスを表す模式図である。染色体17q由来のHer−2/neu、染色体17p由来のp53遺伝子および染色体21q由来のSOD遺伝子の比率が検出される。94℃でのDNAの変性に続いて、標的特異的部分とプライマー特異的部分とを有するオリゴヌクレオチドプローブの対が標的核酸上で互いに隣接してアニールし、互いに連結する(ミスマッチの不存在で)。このリガーゼ検出反応はTthリガーゼでもってハイブリダイゼーション/連結反応温度65℃で実施され、この温度はオリゴヌクレオチドプローブについてのTm値75℃より十分低い。次いで、連結反応産物配列は、Taqポリメラーゼとプライマー特異的部分に相補的な2つの共通プライマー(うち1つは蛍光標識されている)とを用いるPCRによって増幅される。サンプル中に最初に存在していた標的配列の比率は保持される。伸長産物は、サンプル中に存在の各標的配列についてのユニーク・サイズ蛍光標識フラグメントを放出するHaeIIIおよびHinp 1Iで消化される。消化産物を分離し、373A DNAシークエンサー(Applied Biosystems, Inc., Foster City, Calif.)で分析する。ピークの高さおよび面積は最初の標的サンプルに存在する遺伝子の相対コピーに関する。
【0092】
図11は、対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスにおいて生じ得る問題を表す模式図である。PCR/LDRプロセスは非常に強力であるが、本発明の多重対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスが好ましくなる状況が存在する。LDRオリゴヌクレオチドプローブの1以上のセットを用い、各セットは、(a)標的特異的部分と5’上流プライマー特異的部分とを有する第1オリゴヌクレオチドプライマー、および(b)標的特異的部分と3’下流プライマー特異的部分とを有する第2オリゴヌクレオチドプライマーを特徴とする。図11の第1工程に示すように、LDRオリゴヌクレオチドプローブは標的配列上で互いに隣接してアニールする。熱安定性リガーゼを用いるLDR反応(黒点)は、連結反応接合部に完全な相補性があれば、連結反応産物配列を形成する。第2工程において、連結反応産物配列はプライマーセットでPCR増幅される。この各セットは、(a)連結反応産物配列の5’上流プライマー特異的部分と同じ配列を含有する上流プライマー、および(b)この連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分に相補的な下流プライマーを特徴とする。プライマーは第2工程に黒線として示される。1つのプライマーが蛍光標識されていると、様々な検出方法において検出され得る蛍光細胞を産生する。特異的であるべきLDR/PCRプロセスについて、PCR伸長産物は連結反応の不存在では形成されるべきでない。不都合にも、ポリメラーゼが第1LDRオリゴヌクレオチドプローブ(正常標的から離れて)を伸長して、標的配列の長さと5’末のプライマー特異的部分を含有する産物を形成する可能性がある。一方、ポリメラーゼは、下流プライマーを用いる下流LDRプローブのいくつかの相補的コピーをつくり得る。第2増幅サイクルにおいて、この下流LDRプローブ伸長産物は標的配列から離れた上流LDRプローブ伸長産物にアニールし、2つのプライマー特異的配列で両側から挟まれた標的領域を含有する配列を生み出す。この産物はLDR産物として増幅され、偽の正シグナルをもたらす。
【0093】
図12は、中間エクソヌクレアーゼ消化工程を用いて対立遺伝子特異的LDR/PCR問題の解決を表す模式図である。対立遺伝子特異的LDR/PCRは、バックグランド連結反応独立(正しくない)標的増幅を顕著に低下して、達成することができる。そのために、連結反応産物配列の情報内容を除去しないで、連結反応独立PCR増幅に要する1以上の成分をなくすことが必要である。1つの解決法は、第2工程においてエクソヌクレアーゼを用い、第1工程からの未反応LDRオリゴヌクレオチドプローブを消化することである。連結していない末端、例えば下流オリゴヌクレオチドプローブの3’末をブロックすることにより、1つのプローブが実質的に消化に対し抵抗性となり、他は感受性となる。全長連結反応産物配列の存在のみが上流プライマーの消化を防止する。ブロック群には、骨格としてチオホスフェート類および/または2.0−メチルリボース糖類がある。エクソヌクレアーゼにはExoI(3'−5')、ExoIII(3'−5')およびExoIV(5'−3'と3'−5'の両方)があり、後者は両側のブロックを必要とする。両プローブをブロックする便利な方法は、1つの長い“パドロック(padlock)”プローブ(参照、M. Nilsson et. al.,“Padlock Probes : Circularizing Oligonucleotides for Localized DNA Detection,”Science 265:2085-88(1994)(出典明示により本明細書の一部とする))を用いることであるが、必ずしも必要としない。エクソヌクレアーゼを用いる利点は、例えばExoI(単鎖特異的)とExoIII(二重鎖特異的)との併用は、両標的および1つのプローブを破壊し得ることであり、連結反応産物配列は実質的に未消化で止まっていることである。PCRに先立つエクソヌクレアーゼ処理により、第3および4工程において、各セットの1つまたは両オリゴヌクレオチドプローブは実質的に減少し、残存のオリゴヌクレオチドプローブと元の標的DNA(これもエクソヌクレオチド処理により実質的に減少)とのハイブリダイゼーション、およびオリゴヌクレオチドプローブセットによるPCR増幅のための適当な基質である連結反応産物配列の形成が実質的に低下させられる。換言すれば連結反応独立標識伸長産物の形成は実質的に減少し、またはなくなる。
【0094】
図13は、サイズまたはDNAアレイのいずれかによる検出でエクソヌクレアーゼ消化を用いる対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスを表す流れ図である。この流れ図は、多重対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスに要する3反応を示す。第1工程において、LDRオリゴヌクレオチドプローブ(下流プローブがその3’末でブロックされている)が、TaqDNAリガーゼを用いて、正しい対立遺伝子標的の存在で連結される。第2工程で、未反応の上流プローブはエクソヌクレアーゼで消化され、同時に標的も消化される。最後に第3工程で、プライマーセットが用いられて、連結反応産物配列のプライマー特異的部分にハイブリダイズすることにより連結反応産物配列を増幅する。第4a工程において、与えられた特定のセットのLDRオリゴヌクレオチドプローブがユニーク長産物を産生し、オリゴヌクレオチドプローブまたは他の連結反応産物と識別される。LDR反応の後に産物は産物はサイズまたは電気泳動運動性により分別される。PCRプライマー上の標識が検出され、サイズで産物が識別される。第4b工程において、特定セットのLDRオリゴヌクレオチドプローブが、PCRプライマー配列での相違によってオリゴヌクレオチドプローブまたは他の連結反応産物配列と識別される。複数のオリゴヌクレオチドプローブセットを使用することによりすべての産物が識別される。各セットは、(a)連結反応産物配列の5’上流プライマー特異的部分に同じ配列を含有する上流プライマーおよび(b)連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分に相補的な下流プライマーを特徴とし、1つのプライマーは検出可能レポーター標識を有し、他のプライマーはその5’末に連結したアドレス可能ヌクレオチド配列(アドレス可能ヌクレオチド配列がPCR反応後単鎖を残すように)を含有する。後者は、ポリメラーゼが伸長し得ないPCRプライマー内の非天然塩基を用いて達成され、単鎖テイルを有するPCR産物を産生する。参照、Newton, et. al., “The Production of PCR Products with 5' Single-stranded Tails Using Primers that Incorporate Novel PhosphoramiditeI ntermediates”Nucl. Acids Res. 21(3):1155-62(1993)(出典明示により本明細書の一部とする)。相違する特定の部位に固定された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有するDNAアレイを準備して(捕捉オリゴヌクレオチドはプライマー上のアドレス可能ヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する)、PCR伸長産物がDNAアレイにハイブリダイズできる。最後に、特定部位でDNAアレイに固定されたアドレス可能アレイ特異的部分を用いて捕捉された伸長産物配列の標識が検出される。これはサンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を表す。
【0095】
図14は、サイズを基とする、またはDNAアレイを基とする検出によるエクソヌクレアーゼ消化を用いる対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスを表す流れ図である。この流れ図は、LDR反応の開始点で(第2工程)マーカー配列を加えること(第1工程)により相違する標的量(特に低存在癌変異)をいかに定量するかを示す。生化学的反応(すなわちPCR(第4工程))に続いて、図13に示すように、マーカー産物に対する変異産物の相対量が毛管またはゲル電気泳動(第5a工程)またはアドレス可能アレイ上の捕捉(第5b工程)を用いて定量される。元のサンプル中の変異標的の量が決定される。
【0096】
図15は、変異または多形性の検出のためのエクソヌクレアーゼ消化(第2工程)を有する対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスを表す模式図である。変異および多形性は図12に記載のように識別される。本例において、第1工程で、標的特異的部分の3’末に識別対立遺伝子特異的塩基を有する上流LDRオリゴヌクレオチドプローブは、相違する5’上流プライマー特異的部分を有する。このように、相違するプライマー(PCR増幅工程(すなわち第3工程における))が相違する蛍光群(FamおよびTet)で標識されて、産物の識別が可能となる(第4工程)。アレイに基づく検出法も用いられ、上流(対立遺伝子特異的)プローブが相違する5’上流プライマー特異的部分を有し、および相違するPCRプライマーがPCR反応後に単鎖を残す相違するアドレス可能ヌクレオチド配列を含有する。
【0097】
図16は、モノヌクレオチドまたはジヌクレオチド反復多形性検出のためにエクソヌクレアーゼ消化を用いる(第2工程)対立遺伝子特異的LDR(第1工程)/PCR(第3工程)を表す模式図である。LDR/PCRの最も強力な使用の1つは、ヌクレオチド反復多形性の検出であって、対立遺伝子特異的PCRでは達成できず(3’ヌクレオチドが常に同じであるから)、またPCR産物サイズ変化の観察でも容易に達成できない(増幅中にTaqポリメラーゼが滑ることによる)ものである。図16において、LDRオリゴヌクレオチドプローブはA9とA10モノヌクレオチド反復配列を熱安定性DNAリガーゼの特異性によって識別する。LDR産物のみが正しい長さの標的配列上で形成し、そしてこの標的の存在が識別される(第4工程)。
【0098】
図17は、低存在量のモノヌクレオチドまたはジヌクレオチド反復変異の検出のためにエクソヌクレアーゼ消化(第2工程)を用いる対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスを表す模式図である。モノヌクレオチド反復長変異は図12に記載のように識別される。図17において、LDRオリゴヌクレオチドプローブ(第1工程)はA8、A9(変異)およびA10(正常)モノヌクレオチド反復配列を熱安定性DNAリガーゼの特異性によって識別する。2つの上流LDRオリゴヌクレオチドプローブは、その標的特異的部分の3’末でモノヌクレオチド配列の長さが異なり、相違する5’上流プライマー特異的部分を有する。このように、相違するプライマー(PCR増幅工程(第3工程)における)は異なる蛍光群(FamおよびTet)で標識されて、産物の識別が可能となる(第4工程)。これには、サイズに代わり蛍光標識を基にしてモノヌクレオチド反復多形性が識別できるという顕著な利点がある。サイズによる識別はポリメラーゼ滑りのために偽の正反応をもたらしやすい。アレイに基づく検出法においては、上流(対立遺伝子特異的)プローブは相違する5’上流プライマー特異的部分を有し、相違するPCRプライマーはPCR反応後に単鎖を残す相違のアドレス可能ヌクレオチド配列を含有する。
【0099】
図18は、サイズを基とする、またはDNAアレイを基とする検出においてウラシルN−グリコシラーゼ選択を用いる対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスを表す流れ図である。流れ図は、多重対立遺伝子特異的LDR/PCRに要する4反応を示す。LDRオリゴヌクレオチドプローブセット(うち、1または両方のプローブがデオキシチミジンの代わりにデオキシウラシルを含有する)は、第1工程においてTaqDNAリガーゼを用いて正しい対立遺伝子標的の存在下に連結される。連結反応産物配列の相補的コピーが第2工程においてシクエナーゼでつくられる。シクエナーゼは修飾T7ポリメラーゼであって有用な容易に不活性化されるポリメラーゼ(すなわちE.coliポリメラーゼなどの中温性ポリメラーゼ)を有する。連結反応産物配列および未反応プローブの両方が第3工程においてウラシルN−グリコシラーゼで破壊される。ウラシルN−グリコシラーゼを用いる利点は、PCRの持ち越し防止についてその証明された能力である。最後にPCRプライマーセットが利用されて、第4工程においてシクエノーゼ伸長産物が増幅される。第5a工程において、特定セットのLDRオリゴヌクレオチドプローブがユニーク長産物を産生し、プローブまたは他の連結反応産物と識別される。PCR反応後、産物はサイズまたは電気泳動運動性により分離される。PCRプライマー上の標識が検出され、産物はサイズにより識別される。第5b工程において、特定セットのLDRオリゴヌクレオチドプローブがユニーク長産物を産生し、プローブまたは他の連結反応産物と識別される。複数のオリゴヌクレオチドプローブセットを使用することにより、すべての産物が識別される。各セットは、(a)連結反応産物配列の5’上流プライマー特異的部分に同じ配列を含有する上流プライマーおよび(b)連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分に相補的な下流プライマーを特徴とする。1つのプライマーは検出可能レポーター標識を有し、他のプライマーはその5’末に連結したアドレス可能ヌクレオチド配列(アドレス可能ヌクレオチド配列がPCR反応後単鎖を残すように)を含有する。相違する特定の部位に固定された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有するDNAアレイを準備して(捕捉オリゴヌクレオチドはプライマー上のアドレス可能ヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する)、PCR伸長産物がDNAアレイにハイブリダイズできる。最後に、特定部位でDNAアレイに固定されたアドレス可能アレイ特異的部分を用いて、捕捉された伸長産物配列の標識が検出される。これはサンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を表す。
【0100】
図19は、サイズを基とする、またはDNAアレイを基とする検出によるウラシルN−グルコシラーゼ選択を用いる定量的対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスを表す流れ図である。この流れ図は、第2工程のLDR相開始点で第1工程におけるマーカー配列を加えることにより相違する標的(特に低存在量の癌変異)をいかに定量するかを示す。図18で記載したように、生化学反応(すなわちシクエナーゼ処理(第3工程)、ウラシルN−グリコシラーゼ選択(第4工程)およびPCR(第5工程)が進められ、マーカー産物に対する変異産物の相対量が毛管またはゲル電気泳動(第6a工程)あるいはアドレス可能アレイ上の捕捉(第6b工程)によって定量される。この情報から元のサンプル中の変異標的量が測定される。
【0101】
図20は、モノヌクレオチドまたはジヌクレオチド反復多形性検出のためにウラシルN−グルコシラーゼ選択を用いる(第2工程)対立遺伝子特異的LDR(第1工程)/PCR(第3工程)を表す模式図である。LDR/PCRプロセスの最も強力な使用の1つは、ヌクレオチド反復多形性の検出であって、対立遺伝子特異的PCRでは達成できず(3’ヌクレオチドが常に同じであるから)、またPCR産物サイズ変化の観察でも容易に達成できない(増幅中にTaqポリメラーゼが滑ることによる)ものである。図20において、LDR(第1工程)オリゴヌクレオチドプローブはA9とA10モノヌクレオチド反復配列を熱安定性DNAリガーゼの特異性によって識別する。LDR産物のみが正しい長さの標的配列上で形成し、そしてこの標的の存在が第5工程で識別される。
【0102】
図21は、低存在量のモノヌクレオチドまたはジヌクレオチド反復配列の検出のためのウラシルN−グリコシラーゼ選択を用いる対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスを表す流れ図である。モノヌクレオチド反復長変異は図18記載のように識別される。図21において、LDRオリゴヌクレオチドプローブは、A8、A9(変異)およびA10(正常)モノヌクレオチド反復配列間を熱安定性DNAリガーゼの特異性によって識別する(第1工程)。シクエナーゼ処理(第2工程)次いでウラシルN−グリコシラーゼ選択(第3工程)が実施される。2つの上流LDRオリゴヌクレオチドプローブはその標的特異的部分の3’末でモノヌクレオチド配列の長さが異なり、相違する5’上流プライマー特異的部分を有する。このように、相違するプライマー(PCR増幅(第4工程)における)は異なる蛍光群(FamおよびTet)により標識されて、産物の検出が可能となる。これには、サイズの代わりに蛍光標識に基づいてモノヌクレオチド反復多形性を識別し得るという顕著な利点がある。サイズに基づくと、ポリメラーゼ滑りのために偽の正反応が起きやすい。アレイに基づく検出法では、上流(対立遺伝子特異的)プローブは異なる5’上流プライマー特異的部分を有し、異なるPCRプライマーがPCR反応後に単鎖を残す相違アドレス可能アレイ特異的部分を含有する。
【0103】
図11−17に関して記載されたLDR/エクソヌクレアーゼ/PCRプロセスおよび図18−21のLDR/シクナーゼ/ウラシルN−グリコシラーゼ/PCRプロセスのセットは、多重検出の利用をもたらし、そしてPCRが多くの相違する標的配列を増幅して、すべて単一の反応チューブにおいて多重単一塩基または配列変化を識別する。これはPCRの感受性とLDRの選択性を組み合すことにより達成される。変異配列の選択がPCRよりもむしろLDRで調節されるので、1次PCR/2次PCR/LDRプロセスは偽の正反応シグナル産生が起こりにくい。さらに、1次PCR/2次PCR/LDRプロセスは、密接クラスター変異の検出、単一塩基または小さい反復配列における小さい挿入および欠失の検出、正常DNAの高バックグランドにおける1%以下の変異の定量的検出、および連結反応産物配列の検出をアドレス可能アレイを用いて可能とする。小さい反復配列における小さい挿入および欠失の検出は、1次増幅がPCRであるとき、“どもり”を起こすことがある。現在の技術ではこの問題を適当に解決することができない。特に、モノヌクレオチド反復多形性を含有する標的配列が正常DNAよりも低い存在量で存在するときは、解決できない。実際、反復配列活性化を含むゲノム変異の解析はPCR“どもり”問題に深刻に悩んでいる。本発明のLDR/PCRプロセスを用いることにより、正常DNAの高バックグランドにおける1%を下まわる変異を検出することが可能である。このプロセスにおいて当面している唯一の比較的軽い問題は、変異を知らねばならないことおよび3種の相違する酵素/反応条件を用いなければならないことである。
【0104】
III.1次PCR/2次PCRプロセス
本発明の第三の実施態様は、1以上の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している複数の配列の2以上を同定するための方法に関する。この方法は、複数の配列相違がある1以上の標的ヌクレオチド配列を含有するかも知れないサンプルを2つの連続するポリメラーゼ連鎖反応相にかけることを含む。
【0105】
第1ポリメラーゼ連鎖反応相において、1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー群が準備される。各群は2以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー・セットを含有する。各セットは、標的特異的部分と5’上流第2プライマー特異的部分を保持する第1オリゴヌクレオチドプライマー、および標的特異的部分と5’上流第2プライマー特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプライマーを有する。同じ群の各セットの第1オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流第2プライマー特異的部分を有し、同じ群の各セットの第2オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流第2プライマー特異的部分を有している。特定のセットのオリゴヌクレオチドプライマーは、対応する標的ヌクレオチド配列の相補鎖でのハイブリダイゼーションに適しており、ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成をもたらす。しかし、1次オリゴヌクレオチドプライマーがサンプル中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに、該ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成を妨害するミスマッチがある。特定のセットにおけるポリメラーゼ連鎖反応産物は、同じ群または他の群を有する他のポリメラーゼ連鎖反応産物と識別され得る。1次オリゴヌクレオチドプライマーをサンプルおよびポリメラーゼと混合して、第1ポリメラーゼ連鎖反応混合物とする。
【0106】
1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、1次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異部分が標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。伸長処理によってハイブリダイズ1次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次オリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列に相補的な1次伸長産物を形成する。
【0107】
1次オリゴヌクレオチドプライマーの上流2次プライマー特異的部分は標的DNAに存在しないが、その配列は1次ポリメラーゼ連鎖反応相の第2以後のサイクルで複写される。結果として、第2サイクル後の1次伸長産物は、その5’末端に2次プライマー特異的部分、そしてその3’末端にプライマー特異的部分の補体を有する。
【0108】
本発明のこの実施態様での第2ポリメラーゼ連鎖反応相において1つまたは複数の2次オリゴヌクレオチドプライマーセットが準備される。各セットは、検出可能レポーター標識を保持し、かつ第1の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第1の2次プライマー、および第1の2次プライマーに相補的な第1の1次オリゴヌクレオチドと同じ1次オリゴヌクレオチドプライマーセットに由来する第2の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第2の2次プライマーを有する。2次オリゴヌクレオチドプライマーのセットは、各群において1次伸長産物を増幅する。2次オリゴヌクレオチドプライマーを1次伸長産物およびポリメラーゼと混合して、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物とする。
【0109】
2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、2次オリゴヌクレオチドプライマーが1次伸長産物にハイブリダイズする。伸長処理によって、ハイブリダイズした2次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次伸長産物に相補的な2次伸長産物を形成する。2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルに掛けた後に、標識2次伸長産物が検出される。これはサンプル中おける1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を表す。
【0110】
図22は、ミクロサテライト反復体の検出のための本発明による1次PCR/2次PCRプロセスを表す流れ図である。第1工程において(すなわち1次PCR相)、DNAサンプル作成後、Taqポリメラーゼをホットスタート条件で用いて、標的特異的部分と2次プライマー特異的部分とを有するオリゴヌクレオチドプライマーと共に多重エクソンを増幅する。第2工程は2次PCRでありTaqポリメラーゼを用いて、1次PCRプライマーの2次プライマー特異的部分と同じ配列を含有するオリゴヌクレオチドプライマーと共に1次PCR伸長産物を増幅する。2次PCR相で得た伸長産物を第3工程において毛管電気泳動またはゲル電気泳動にかけ、次いで蛍光定量を行う。図の電気泳動の結果は、RBIおよびNM23を含有する両対立遺伝子(すなわち染色体)およびp53についてのヘテロ接合の喪失(すなわち、1つの染色体上の対立遺伝子の喪失の存在を示す。)
図23は、ミクロサテライト反復体における挿入および欠失によるヘテロ接合性の喪失を検出するために、本発明による1次PCR/2次PCRプロセスを表す模式図である。第1工程の1次PCR相は、94℃でのサンプルDNAの変性から始められる。ユニークDNA周ミクロサテライト反復変異に相補的な3’末および2次PCR相で使用される2プライマーの1つに同じ配列を含有する5’末を有する長いPCRオリゴヌクレオチドプライマーは、65℃で標的DNAにアニールする。1次PCR相を10−15サイクル実施する。1次PCR相で使用された長いプライマーは、重複長の範囲を有する対立遺伝子を増幅しない限り、多重化され得る。これらの反応は腫瘍または対応正常DNA上で実施されて、情報的(すなわち、ヘテロ接合)部座が同定されねばならない。第2工程(すなわち2次PCR増幅)において、1次PCRプライマー(1つは蛍光標識されている)の5’末に相補的なプライマーが用いられて、ほぼ等しい効率で1次PCR伸長産物を増幅する。2次PCR伸長産物は分離され、ゲル電気泳動およびジーンスキャン672ソフトウェア−パッケージを用いた373A DNA(Applied Biosystems, Inc.)で解析される。情報部位でのヘテロ接合の喪失領域が同定される。図23の解析は、RBIおよびNM23を含有する両対立遺伝子(すなわち、染色体)およびp53についてのヘテロ接合の喪失(すなわち、1つの染色体上の対立遺伝子の喪失)を示す。
【0111】
IV.一般的プロセス情報
リガーゼ検出反応は、Barany et al.によるWO90/17239、 F. Barany et al., “Cloning, Overexpression and Nucleotide Sequence of a Thermostable DNA Ligase-encoding Gene,” Gene, 109:1-11(1991),および F.Barany, “Genetic Disease Detection and DNA Amplification Using Cloned Thermostable Ligase,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:189-193(1991)(出典明示により本明細書の一部とする)に一般的に記載されている。本発明において、リガーゼ検出反応で2セットの相補的オリゴヌクレオチドが用いられる。これはリガーゼ鎖反応として知られるもので上記3引用に記載されている。他方、リガーゼ検出反応には、オリゴヌクレオチド連結反応検出法として知られる単一サイクル法もある。参照、Landegren, et al., “A Ligase-Mediated Gene Detection Technique,” Science 241:1077-80(1988); Landegren, et al., “DNA Diagnostics -- Molecular Techniques and Automation,” Science 242:229-37(1988); およびLandegren et al. による米国特許第4,988,617号(出典明示により本発明の一部とする)。
【0112】
リガーゼ検出反応相において、変性処理は温度80−105℃でなされ、ハイブリダイゼーションは50−80℃で行われる。各サイクルは変性処理と熱ハイブリダイゼーションを含み、合計で約1−5分間の長さである。典型的には、連結検出反応は変性およびハイブリダイゼーションが2−50サイクル反復される。リガーゼ検出反応相の全時間は1−250分である。
【0113】
オリゴヌクレオチドプローブセットまたはプライマーは、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、修飾デオキシヌクレオチド、修飾ホスフェート−糖−骨格オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドアナログおよびこれらの混合物であり得る。
【0114】
一つの変法において、オリゴヌクレオチドプローブセットのオリゴヌクレオチド各々、ハイブリダイゼーションすなわち溶融温度(すなわち、Tm)66−70℃を有する。これらのオリゴヌクレオチドは長さが20−28ヌクレオチドである。
【0115】
上記したように、オリゴヌクレオチドプローブセットまたはプライマーは検出に適したレポーター標識を有する。有用な標識には、発色団、蛍光分子、酵素、抗原、重金属、磁気プローブ、色素、燐光性基、放射活性物質、化学ルミネセント分子および電気化学的検出分子がある。
【0116】
ポリメラーゼ連鎖反応法はH. Erlich, et. al., “Recent Advances in the Polymerase Chain Reaction,” Science 252:1643-50(1991); M. Innis, et. al., PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Press: New York(1990); およびR. Saiki, et. al., “Primer-directed Enzymatic Amplification of DNA with a Thermostable DNA Polymerase,” Science 239:487-91(出典明示により本明細書の一部とする)に完全に記載されている。
【0117】
本発明の特に重要な態様は、サンプル中の標的ヌクレオチド配列を定量できる能力である。これは、内部(すなわち、標準確立物質をサンプルと共に増幅および検出するとき)または外部(すなわち、標準確立物質を増幅せずに、サンプルと共に検出するとき)的であり得る基準を確立して、多くの方法で達成される。
【0118】
一つの定量法に従い、レポーター標識により発生したシグナルを検出する。このシグナルは、分析するサンプルから製造された連結反応産物を捕捉して得られる。このシグナルの強度は、サンプル中の連結反応産物配列の捕捉で生じるシグナルを既知量の標的ヌクレオチド配列とを比較して目盛曲線から得られる。結果として、分析サンプル中の標的ヌクレオチド配列の量が測定できる。この技法は外部標準を用いる。
【0119】
本発明に関する別の定量法は内部標準を用いるものである。この方法では、サンプルに1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量を加える。さらに、複数のマーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブセットを加えて、リガーゼ、前記のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびサンプルと共に混合物とする。マーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブセットは、(1)マーカー標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分を有する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および(2)マーカー標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプローブおよび検出可能レポーター標識を含有する。特定のマーカー特異的オリゴヌクレオチドセット中のオリゴヌクレオチドプローブは、対応するマーカー標的ヌクレオチド配列が互いに隣接してハイブリダイズするときに、連結反応するのに適している。しかし、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列または添加したマーカー配列がハイブリダイズするときに、このような連結反応を妨害するミスマッチがある。連結反応産物配列の存在は、レポーター標識の検出によって同定される。サンプル中の標的ヌクレオチド配列の量は、マーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から生じた連結反応産物配列の量と他の連結反応産物配列の量を比較することにより測定される。
【0120】
本発明の別の定量法は、複数の配列相違を有する2以上の複数の標的ヌクレオチド配列を含有するサンプルの分析である。標的ヌクレオチド配列に対応する連結反応産物配列は、前記の方法により検出および識別される。サンプル中の標的ヌクレオチド配列の相対量は、発生した捕捉連結反応産物配列の相対量と比較することにより定量される。これはサンプル中の標的ヌクレオチド配列の相対レベルの定量測定を提供する。
【0121】
好ましい熱安定性リガーゼはThermus aquaticusから誘導される。この酵素は生体から単離される。M. Takahashi, et al., “Thermophillic DNA Ligase,” J. Biol. Chem. 259:10041-47(1984)(出典明示により本明細書の一部とする)。他方、これは組換え法でもつくられる。この単離方法およびThermus aquaticusリガーゼ(Thermus themopilusリガーゼも同様)の産生は、Barany, et al.によるWO90/17239およびF.Barany, et al., “Cloning Overexpression and Nucleotide Sequence of a Thermostable DNA-Ligase Encoding Gene” Gene 109:1-11(1991)(出典明示により本明細書の一部とする)に開示されている。
【0122】
これらの引用には、このリガーゼおよびコードDNAについての完全な配列情報が含まれている。他の適当なリガーゼにはE.coliリガーゼ、T4リガーゼおよびPycoccusリガーゼがある。
【0123】
連結検出反応混合物は担体DNAやサケ精子DNAを含み得る。
【0124】
連結検出反応でのハイブリダイゼーション段階は、好ましくは熱ハイブリダイゼーション処理であり、連結反応の接合部において識別されるヌクレオチドを基にしたヌクレオチド配列の間を識別する。標的ヌクレオチド配列間の相違は、例えば、単一核酸塩基の相違、核酸欠失、核酸挿入または再配置である。1以上の塩基を含むこのような配列相違もまた検出できる。好ましくは、オリゴヌクレオチドプローブセットは、実質的に同じハイブリダイゼーション条件下で標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズするように、実質的に同じ長さである。結果として、本発明のプロセスは、感染性疾患、遺伝的疾患および癌の検出を可能とする。環境監視、法医学および食物科学においても有用である。
【0125】
広範囲の感染性疾患が本発明プロセスで検出できる。典型的には、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌感染作用因子によって起きる。種々の感染作用因子の薬剤に対する耐性も本発明を用いて測定できる。
【0126】
本発明により検出できる細菌感染作用因子は、大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、クレブシエラ、シュードモナス、リステリア・モノサイトゲネス、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコバクテリウム・アビウム−イントラセルラレ、エルシニア、フランシセラ、パスツレラ、ブルセラ、クロストリディア、ボルデテラ・ペルツシス、バクテリア状物、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・ニューモニア、B−溶血性連鎖球菌、コリネバクテリア・レジオネラ、ミコプラズマ、ウレアプラズマ、クラミジア、ナイセリア・ゴノレア、ナイセリア・メニンギティデス、ヘモフィラス・インフルエンザ、エンテロコッカス・ファエカリス、プロテウス・ブルガリス、プロテウス・ミラビリス、ヘリコバクター・ピロリ、トレポネマ・パラジウム、ボレリア・ブルグドルフェリ、ボレリア・レクレンティス、リケッチア病原菌、ノカルディアおよびアクチノマイセテスを含む。
【0127】
本発明で検出できる真菌感染作用因子は、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、ブラストミセス・デルマティティディス、ヒストプラスマ・カプスラタム、コシディオイデス・イミティス、パラコシシオイデス・ブラシリエンシス、カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガウトゥス、フィマイセテス(リゾプス)、スポロスリックス・シェンキー、クロモマイコシスおよびマドゥロマイコシスを含む。
【0128】
本発明により検出できるウイルス感染作用因子は、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトTリンパ球好性ウイルス、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、エプスタイン−バールウイルス、サイトメガロウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、オルソミクソウイルス、パラミクソウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、ポリオウイルス、トガウイルス、ブニャウイルス、アレナウイルス、ルベラウイルスおよびレオウイルスを含む。
【0129】
本発明により検出できる寄生虫作用因子は、プラスモジウム・ファルシパルム、プラスモジウム・マラリア、プラスモジウム・ビバックス、プラスモジウム・オバレ、オンコベルバ・ボルブルス、レイシュマニア、トリパノソーマ種、シストソーマ種、エンタモエバ・ヒストリティカ、クリプトスポリジウム、ギアルディア種、トリコモナス種、バラチジウム・コリ、ウシェレリア・バンクロフティ、トキソプラスマ種、エンテロビウス・バーミクラリス、アスカリス・ルンブリコイデス、トリシュリス・トリシウラ、ドラクンクルス・メディネシス、吸虫類、ジフィロボスリウム・ラトゥム、タエニア種、ニューモシスティス・カリニおよびネカター・アメリカニスを含む。
【0130】
本発明はまた感染作用因子による医薬耐性の検出にも有用である。例えば、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・ファエシウム、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス、ペニシリン耐性ストレプトコッカス・ニューモニアエ、多剤耐性マイコバクテリウム・ツベルクローシスおよびAZT耐性ヒト免疫不全ウイルスを本発明によりまた同定できる。
【0131】
遺伝的疾患もまた本発明の方法により検出できる。これは染色体および遺伝的異常のための出生前スクリーニングまたは遺伝的疾患のための出生後スクリーニングにより行い得る。検出可能な遺伝的疾患の例は:21ヒドロキシラーゼ欠損症、嚢胞線維症、フラジレX症候群、ターナー症候群、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ダウン症候群または他のトリソミー、心臓疾患、単一遺伝子疾患、HLAタイピング、フェニルケトン尿症、鎌状赤血球性貧血、テイ・サックス病、サラセミア、クラインフェルター症候群、ハンチントン病、自己免疫疾患、リピドーシス、肥満欠損、血友病、代謝の先天性異常および糖尿病を含む。
【0132】
本発明の方法により検出できる癌は、一般的にオンコジーン、腫瘍抑制遺伝子またはDNA増幅、複製、組換えまたは修復に関与する遺伝子を含む、これらの例は:BRCA1遺伝子、p53遺伝子、APC遺伝子、Her2/Neu増幅、Bcr/Abl、K−ras遺伝子、ヒト乳頭腫ウイルスタイプ16および18を含む。下記の一般的なヒト癌における上記遺伝子の増幅、大きい欠失、点変異および小さい欠失/挿入を同定するために、本発明の様々な態様が用いられる。白血病、大腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、脳腫瘍、中枢神経系腫瘍、膀胱癌、黒色腫、肝臓癌、骨肉腫および他の骨癌、精巣および卵巣癌、頭部・頚部腫瘍および脳新生物を含む。
【0133】
環境監視の領域で、本発明は、天然および工学的生態系ならびに都市廃棄水浄化システムおよび貯水槽中または生物改善を行っている汚染領域のような微小生態系における病原性および常在性微生物の検出、同定および追跡に使用できる。新陳代謝生体異物であり得る遺伝子を含むプラスミドの検出もまた可能であり、集団機能的研究における特異的標的微生物の追跡、または環境的および工学的植物における遺伝的に修飾された微生物の検出、同定または追跡をする。
【0134】
本発明は、また、軍務上の人的あるいは犯罪上の検査、父親検定および家族関係解析のためのヒト同定、HLA適合性タイプ分類、および汚染に関する血液、精液または移植臓器のスクリーニングを含む種々の領域または法医学領域で使用できる。
【0135】
食物および飼料産業において、本発明は広範囲の適用を有する。例えば、ビール、ワイン、チーズ、ヨーグルト、パン等の製造のための酵母のような製造生物の同定および特徴付けのために使用できる。使用の他の領域は汚染に対する産物および処理(例えば、家畜、滅菌および肉処理)の品質コントロールおよび保証に関する。他の使用は、育種目的の植物、球根および種子の特徴付け、植物特異的病原体の同定および種々の家畜感染の検出および同定を含む。
【0136】
望ましくは、オリゴヌクレオチドプローブは、連結反応の接合部における完全相補性のため、対応する標的ヌクレオチド配列と互いに隣接してハイブリダイズするとき、連結反応の接合部で互いに連結するのに適している。しかしながら、セット中のオリゴヌクレオチドプローブがサンプル内に存在する他のヌクレオチド配列とハイブリダイズするとき、連結を妨害する連結反応の接合部の塩基ミスマッチがある。最も好ましくは、ミスマッチは連結反応の接合部の3'塩基に隣接した塩基である。あるいは、ミスマッチは連結反応の接合部に隣接した塩基であり得る。
【0137】
上述のように、検出および定量は、毛管またはゲル電気泳動あるいはアレイ捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物で実施され得る。
【0138】
この目的のための毛管またはゲル電気泳動の使用は既知である。参照、例えば、Grossman, et al., “High-density Multiplex Detection of Nucleic Acid Sequences:Oligonucleotide Ligation Assay and Sequence-coded separation,” Nucl. Acids Res. 22(21): 4527-34(1994)(出典明示により本明細書の一部とする)。
【0139】
捕捉オリゴヌクレオチドアレイを有する固体支持物の使用は、米国特許出願第60/011,359(出典明示により本明細書の一部とする)に完全に開示されている。このようなアレイを使用するときには、上記のPCR相およびLDR相において用いられるオリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブはアドレス可能アレイ特異的部分を有する。LDR相またはPCR相が完了した後、その産物についてのアドレス可能アレイ特異的部分は、単鎖を残し、捕捉相の際に捕捉オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。C. Newton, et al.,“The Production of PCR Products With 5' Single-Stranded Tails Using Primers That Incorporate Novel Phosphoramidite Intermediates,” Nucl. Acids Res. 21(5):1155-62(1993)(出典明示により本明細書の一部とする)。
【0140】
本方法の捕捉相において、混合物は固体支持物と温度45−90℃および60分間までの時間で接触する。ハイブリダイゼーションはカチオン、量排除またはカオトロピック剤を加えることにより促進される。アレイが何10から100アドレスよりなるとき、正しい連結反応産物配列が適切なアドレスにハイブリダイズする機会を持つことが重要である。これは、用いた高温でのオリゴヌクレオチドの熱運動、アレイ表面に接触する液体の機械的運動または電場でのアレイを通るオリゴヌクレオチドの運動により達成される。ハイブリダイゼーション後、アレイを低ストリジェンシー緩衝液および高ストリジェンシー緩衝液で順次洗う。
【0141】
安定な状態でハイブリダイズする捕捉オリゴヌクレオチドおよびアドレス可能ヌクレオチド配列を選択することが重要である。それには、捕捉オリゴヌクレオチドがアドレス可能アレイ特異的部分にハイブリダイズする温度よりも低い温度で、オリゴヌクレオチドセットが標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズするように、オリゴヌクレオチドセットと捕捉オリゴヌクレオチドが立体配座することが必要である。このようにオリゴヌクレオチドが設計されていないと、標的にハイブリダイズする同じオリゴヌクレオチドセットからの隣接未反応オリゴヌクレオチドの捕捉によって、偽の正シグナルが起きる。
【0142】
捕捉オリゴヌクレオチドには、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、修飾デオキシヌクレオチド、ペプチドヌクレオチドアナログ、修飾ペプチドヌクレオチドアナログ、修飾ホスフェート−糖−骨格オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドアナログおよびこれらの混合物がある。
【0143】
アレイを使用するとき、本方法の検出相は、LDRまたはPCR産物が生じているかを走査および同定し、かかる産物の存在を試験サンプル中の標的ヌクレオチド配列の存在・不存在と相関せしめることを含む。走査は、走査電子顕微鏡、共焦顕微鏡、電子結合装置、走査透過電子顕微鏡、赤外線顕微鏡、原子力顕微鏡、電気的コンダクタンスおよび蛍光および燐光造影により行うことができる。相関処理はコンピューターで行う。
【実施例】
【0144】
LDR/PCRプロセス
実施例1―ゲノムDNAの調製
ゲノムDNAを男女2人の健常者ボランティアの血液から標準技術に従って調製した。簡単に説明すると、EDTAを含有する集血管で約12mlの血液を採取した。そのサンプル血を4容量の溶解緩衝液(10mM Tris pH8.0、10mM EDTA)に混合して赤血球を溶解した。10分間氷上でときどき攪拌した後、懸濁物を遠心分離し上澄み液をデカントした。白血球ペレットを20mlの溶解緩衝液に再懸濁させ、上記のプロセスを繰り返した。その後、各ペレットを15mlの消化緩衝液(50 mM Tris pH 8.0、5 mM EDTA、100 mM NaCl、1% SDS)に懸濁し、それに3mg(0.2 mg/ml)のプロテイナーゼKを加えた。細胞を37℃で5時間消化した。消化産物を等量のフェノールで2度抽出し、それから等量の1:1フェノール:クロロホルム混合液で1度抽出し、最後に等量のクロロホルムで抽出した。抽出をするごとに混合液を遠心分離し、次の抽出に使用するために水相を除去した。最後の抽出の後に、水相を除去してから1/10量の3M酢酸ナトリウム、pH 6.5を加えた。次いで2倍量の氷温100% EtOHをそれぞれの溶液に加えてゲノムDNAを沈澱させ、溶液からガラスピペットにスプールした。そのDNA沈澱物を0.75ml量の70% EtOH中で2度洗った。つまり、2度とも手短かに遠心分離して上澄み液を除去できるようにした。2度目に上澄み液を除去した後、残存するEtOHを蒸発させてDNAを0.5mlのTE(10mM Tri-HCl pH 8.0、1mM EDT含有)溶液中に懸濁した。各DNA溶液の1/5希釈物もまたTE中で調製した。
【0145】
第5DNA溶液の濃度を測定するために、それぞれの溶液の1μl、2μl、4μlアリコートを1%アガロース・ゲル上に対照としての既知の量のHindIII消化lambdaDNAと共に装填した。そのゲルを150ボルトで2時間電気泳動緩衝液中の臭化エチジウムで試運転した。ゲルを写真撮影した後に、DNAバンドの明暗度を比較して、1/5希釈物が約100ng/mlの濃度を示すのを判定した。さまざまな腫瘍細胞ラインから抽出したDNA溶液は、他の研究所の好意で入手したものである。それらの溶液の濃度を同様の手法でチェックし、100ng/mlのTE溶液を調製した。
【0146】
ゲノムDNAをTagIで消化するために、25μlの100ng/μl溶液を5μlの10X中程度塩緩衝液(0.5M NaCl、0.1M MgCl Tris、pH 8.0)、20μlの水性ME(すなわち、6mM ME(すなわち、メルカプトエタノール)を含む水)、および400UのTagI制限エンドヌクレアーゼと混合した。消化物を鉱油で覆い、65℃で1時間インキュベートした。1.2μlの500mM EDTAを加え、標本を85℃で10分間加熱して、反応を停止した。DNAの完全な消化を1%アガロース・ゲル上の電気泳動アリコートでチェックした。
【0147】
実施例2−LDRプローブおよびPCRプライマーのためのオリゴヌクレオチド調製
すべてのオリゴヌクレオチドは394A DNAシンセサイザー(Applied Biosystems Division of Perkin−Elmer Corp,Forter City,Ca.)で合成した。6−FAM標識のオリゴヌクレオチドは、合成サイクルに製造業者の指示する修飾(Applied Biosystems Inc.,1994)を使用して、合成し、55℃で4時間経過して脱保護した。LDRオリゴヌクレオチドは、55℃で一晩脱保護した後、エタノール沈澱で精製した。PCR増幅に使用するオリゴヌクレオチドのプライマー特異的部分は10%Aアクリルアミド/7M尿素ゲル上のポリアクリルアミドゲル電気泳動によって精製した。オリゴヌクレオチドは電気泳動の後に照明スクリーン上で紫外線遮蔽法で視覚化し、ゲル(Applied Biosystems Inc.,1192)から削除した。次いでそれらオリゴヌクレオチドはTNE(すなわち、TrisナトリウムEDTA)緩衝液(100mM Tris/HCl、pH8.0、500mM NaClおよび5mM EDTA含有)の中で64℃で一晩溶離し、業者の指示に従ってSep Pakカートリッジ(Millipore Corp.,Milford,MA.)を使用して溶解液から回収した。
【0148】
オリゴヌクレオチドを100μl TE(すなわち、.10mM Tri−HCl pH8.0、1mM EDTA含有)中で再懸濁した。それらの元からのLDRプローブ溶液の典型的な濃度は、下記の公式で定義されるように、およそ1μg/μlすなわち約74pm/μlである。
【0149】
[濃度(μg/μl)X106/長さ(nt)X325]=pm/μl
LDRプローブの濃度を表1に示す。リガーゼ検出反応のオリゴヌクレオチドプローブに相補的なオリゴヌクレオチドの濃度は他と比較して高かった。上記の公式で算出すると、ZipALg1Fは3.75μg/μl、ZipBLg2Rは2.01μg/μl、すなわち、それぞれ524pm/μlおよび281pm/μlであった。
【0150】
【表1】
【0151】
LDR相のために前もって必要な下流LDRオリゴヌクレオチドプローブをT4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化した。200pmに等しい5下流オリゴヌクレオチドのアリコート(表1参照)を10μlの10Xキナーゼ緩衝液(500mM Tris/HCl、pH 8.0、100mM MgCl)、10μlの10mM ATP、20U T4キナーゼ、および十分な水-MEと混合して、最終容量を100μlとした。リン酸化を37℃で30分間実施し、次いで10分間85℃のインキュベーションによってT4酵素を不活性化した。その結果のキナーゼ化LDRプローブ溶液濃度はプローブごとに2pm/μlすなわち2000fm/μlであった。
【0152】
キナーゼの反応は次のように要約される。
【表2】
+2μl=20単位T4キナーゼ
37℃で30分間
ヒート・キル・キナーゼ、85℃で10分間
最終濃度=2pm/μl=2000fm/μl
【0153】
LDRおよびPCRオリゴヌクレオチド溶液を実験に適した濃度に調節した。キナーゼLDRプローブ溶液を水で4倍に希釈して、500fm/μlの濃度を得た。200pmに等しい容量のプローブを十分な水と合わせて上流LDRプローブ溶液をつくり、最終濃度400μlとなるようにした。これによって上流LDRプローブの各溶液は500fm/μlとなった。キナーゼおよび非キナーゼLDRのアリコート(20μl)を次に行う実験に使用するために冷却した。9.5μlのZipALg1Fおよび17.8μlのZipBLg2Rと十分な水とを混合して、元の溶液からPCRプライマーの標準溶液(10pm/μl)をつくり、総容量500μlとした。これらの溶液をLDR/PCRプロセスにおいて使用するために冷却した。
非キナーゼプローブを次の方法で製造した。
【0154】
【表3】
最終濃度=0.5pm/μl=500fm/μl
【0155】
【表4】
【0156】
図24は、LDR/PCRプロセスにおける遺伝子増幅および欠失を定量するためのLDRオリゴヌクレオチドプローブの設計図である。これらのオリゴヌクレオチドプローブは、p53腫瘍抑制遺伝子の中のエクソン8(染色体17p上)、int-2のエクソン3(染色体11q上)、HER-2/neu(すなわち、.HER-2/neu/erbBオンコジーン)中の内在エクソン(染色体17q上)、SOD(すなわち、スーパーオキシドディムスターゼ)中のエクソン3(染色体21q上)、G6PD(すなわち、グルコース6-リン酸塩脱水素酵素)中のエクソン6(染色体Xq上)などを確認できるように設計されている。それぞれの対をなすLDRオリゴヌクレオチドプローブは次のような特徴をもっている:(i)左手のヌクレオチドプローブは5’から3’までの18塩基配列を含み、これは蛍光標識の2次オリゴヌクレオチドプライマー(黒棒)、「アジャストメント配列」(白棒)および75℃のTmを有する22から28までの塩基の標識特異的配列(模様棒)と同一である。(ii)右手のオリゴヌクレオチドプローブは、75℃のTm(模様棒)を有する5’から3’までの20-25塩基の標的特異的配列、標的特異的配列内でわずかにずれた位置を占める一つのHaeIIIまたはHinPlI制限部位および「アジャストメント配列」(白棒)を含有する。この2つのオリゴヌクレオチドプローブはこのように設計されているので、それらの合わせた長さは正確に96塩基で50G+C塩基および46A+T塩基を有する。ユニーク制限部位の位置は少なくとも2つの塩基の差で他と異なる産物を生じる。それぞれのオリゴヌクレオチドプローブセットは、選択されたエクソン特異的領域を有し、(A,T)C↓C(A,T)の接合配列を連結する。この接合配列はプロリン残基(CCNコドン)か、トリプトファン残基(TGG)に相補的な配列かのいずれかに対応する。これらの配列は、連結反応速度の相違および連結反応接合部における多形性の機会を最少にするように選択される。
【0157】
LDRプローブ配列
【化1】
【0158】
PCRプライマー:
【化2】
(下線をほどこした配列は、LDRプローブとZipALg1FまたはZipBLg2Rとの補体の間で共通である。)
【0159】
実施例3−緩衝液および試薬
A.LDR緩衝液および試薬:次のLDR緩衝液および試薬を選択した。
10X STリガーゼ緩衝液(0.2M Tris pH 8.5、0.1M MgCl2) [これはまたTris pH 7.6 でもって試験した。]
10X TTリガーゼ緩衝液(0.2M Tris pH 7.6、0.5M KCL、0.1M MgCl2、5mM EDTA)
NAD(10mM)
DTT(200mM)
各LDRプライマー混合液の1/10の濃度を含むLDRプライマー溶液(1μlにつき各LDRプライマー50fm)
Tth DNAリガーゼ(625U/μl)
B.PCR緩衝液および試薬:次のPCR緩衝液および試薬を選択した。
10X Stoffel 緩衝液(0,1M KCl、0.1M Tris-HCl pH 8.3、Perkin Elemer)
dNTP 溶液(総量100Mm、各dNTP 25mM、Perkin Elmer)。この溶液をdHOH 中で5倍に希釈して、各dNTP 5mM の最終濃度にした。
ZipALg1F(10pm/μl)
ZipBLg2R(10pm/μl)
【0160】
実施例4-LDRおよびPCRプロセス
各DNAについて、4つのLDR/PCRプロセスを実施して、22、24、26、30サイクルに増幅したPCR増幅反応管で試験し1つの反応が指数増殖期において停止するかどうかを確認した。各LDR反応(20μl)は熱循環であり、次いでLDRプローブのプライマー特異的部分に相補的な部分を有するプライマーを含むPCR混合物(30μl)を各標本に加えて指数増幅した。反応管のあいだの差異を最小にするために、LDRおよびPCR試薬の原混合液を作成した。
【0161】
LDR試薬の原混合液は、すべての反応管に使用するに充分な量を作成した。1つの反応に対する混合比率および量は、次のとおりである。
【0162】
【表5】
【0163】
各反応管の標識DNAおよびLDRプローブの混合度は次の比率で作成した。
【表6】
【0164】
各反応に際して、試薬10μlを薄壁PCR管に入れ、急速に10μlのLDR試薬液(リガーゼを含む)と混合し、鉱油で覆い、Perkin Elmer 9600熱循環器に入れた。LDRは96℃で2分間保持することから始め、次の10サイクルの94℃30秒間および65℃4分間でDNAを変性した。
【0165】
各反応管に使用するPCR試薬混合液はつぎの比率で作成した。
【表7】
LDR反応の完結でそれぞれの管を94℃で維持し、一方で30mlのPCR試混合液(Stoffelフラグメントを含む)をそれらの管に加えた。PCR増幅を94℃で15秒、次いで60℃で50秒間の熱循環により実施した。それぞれ22、24、26、30サイクルで、それら4つの各DNA標本の同一反応管の1つを取りだしドライアイスおよびETOHのスラリー中でクエンチした。
【0166】
実施例5−アガロースゲルによる検定
26および30サイクル反応標本10マイクロリッターアリコートを2%アガロースゲル上で検定した。臭化エチジウムによる染色で予想したサイズ(104bp)のバンドが現れた。
【0167】
実施例6−産物の消化、希釈剤の調製、および遺伝子スキャナーにおける装填
遺伝子特異的LDR/PCR産物を分離するために、10μlアリコートの22、24、26サイクル反応物を各5UのHaeIIIおよびHinP1I制限酵素(共にNew England BioLabs製)、2μlの10X制限酵素緩衝液No2(New England BioLabs製)、および8μlのdHOH(すなわち、蒸留水)を含有する10μlの溶液を加えて消化した。消化物を37℃で1時間インキュベートし、次いで1μlの0.5M EDTA(pH 8.0)を加えて消化を停止した。制限消化物は元のLDT/PCR産物の1/2希釈で得た。5μlの各制限消化物を20μlのTE緩衝液に加えて各サンプルの1/10希釈液調製した。
【0168】
ABI373A DNAシーケンサー(Applied Biosystem)にサンプルを装填する前に、2%のブルーデキストランおよび非イオン化ホルムアミドを含む50mM EDTA(pH 8.0)と1;5の混合液を作成した。5μlのEDTAブルーデキストラン溶液に、5μlの消化LDT/PCR産物の希釈液および1μlのGENESCAN 1000ROXマーカー(Applied Biosystems)を加えた。これらの溶液を85℃まで10分間加熱し、素早く氷で冷却した後に5.5μlを変性ゲルに装填した。
サンプルを可視距離12cm、厚味0.4mmの10%ポリアクリルアミド/7M尿素ゲル上で、Applied Biosystems 373A DNAシーケンサーの中で分析した。ゲルマトリックスを1.2xTBE(106mM Tris-ホウ酸塩、2.4mM EDTA、pH 8.3)および、0.6×TBE(53.4mM Tris-ホウ酸塩、1.2mM EDTA、pH 8.3)を含む電気泳動チェンバー緩衝液とで処理した。ゲルを電極逆方向性(ゲルの頂上にあるサンプルウエルを有するチェンバーの陽極)でもって、サンプル装填に先立って1600ボルトで30分間試運転した。装填の後、遺伝子特異的LDR/PCR産物を1200ボルトで電気泳動し、ABI762 Data Collection Software、V1.1(Applied Biosystems)を使用して第一次のデータを得た。
【0169】
ABI672 Gene Scan Analysis Software、V1.2.2(Applied Biosystems)を使用して、結果のデータを電気泳動濃度図で表示し、ピーク値とピーク域を計算した。
【0170】
健常女性において、ErbB2ピーク値は低く、p53ピーク値は他の3つのピーク値よりわずかに低い。図25A-Dを参照されたい。いくつもの実験において、ErbB2ピーク値は常に低く、G6PD、Int.2、p53およびSODなどのピーク域はいくぶん異なるが、実験でサンプルを取り替えても、5つのピーク値すべてが同じ相対的なプロフィルを示す。男性のDNAを女性のと比較してみると、G6PDピーク値が他のピーク値のおよそ半分の範囲であり、男性の1個のX染色体と一致し、一方、その他のピーク値は基本的に同じであった。NM10乳癌細胞ラインについてのErB2ピークはわずかに上昇しており、これら細胞ラインにおける既知のErbB-2遺伝子の増幅を反映して、細胞ラインSKBR3におけるErB2ピークは健常女性のコントロール値より幾倍か大きい。加えて、NM10細胞ラインはp53のLOH(すなわち、ヘテロ接合性の喪失)を経たようであり、一方、SKBR3細胞ラインは、G6PDおよびp53のLOHを経たようである。SKBR3細胞ラインにおける細胞のいくつかは、p53遺伝子の両方の複製を喪失しているようである。ErbB2プライマーを欠いた状態でこれらの増幅の繰り返しを行い、これらの追加遺伝子欠失(下記参照)の存在を確認した。
【0171】
これらの結果は、各ピーク値におけるピーク域を当該実験についての標準値の各ピーク(SODピーク域)に対する割合と比較することで定量化できる。ピーク域の生データおよび割合は下記に表示する。
【表8】
【表9】
【0172】
各割合はそれぞれの遺伝子によって相異するが、(これは各遺伝子に対するLDR/PCRの効率の差異による)G6PD/SODの割合を除けば、それぞれ割合の値は男女間で概して同じである。女性のG6PD値は男性のおよそ2倍であり、それぞれX染色体が女性に2つ、男性に1つ存在することを正確に反映している。健常者DNAと癌細胞ラインとのピーク域の割合を比較することにより、ErbB2増幅を定量できる。
【0173】
【表10】
【0174】
これらの割合から、健常男女は17q(ErbB)、17p(p53)、11q(Int2)の染色体に同じ数の遺伝子を持つが、女性は2倍のG6PD遺伝子すなわちX染色体をもつと結論できる。
【0175】
さらにこれに加えて、細胞ラインNM10はわずかなErbB-2遺伝子の増幅を示したが、一方で、細胞ラインSKBR3はErbA-2遺伝子、G6PDおよびp53でのLOHの顕著な増幅を示した。追加的遺伝子増幅および欠失を確認するために、大増幅の原因となるプライマー対をLDR/PCR反応から除去される(下記参照)。
【0176】
健常女性において、ErbB2ピーク値は残りの4つのピーク値より低い。いくつかの実験において、G6PD、Int-2、p53、SOD等のピーク値は幾分の差異はあるが、サンプルを変えても同じ相対的プロフィルを示す。図26A−Cを参照されたい。ErbB2ピーク値は常に低く、理由はわからないがG6PDおよびSODピーク値においてわずかな特性曲線の肩が観察される。両方の細胞ラインサンプルにおけるErbB-2のピーク値は、健常女性コントロール値より幾倍か大きく、それら2つの細胞ラインの既知のErbB-2遺伝子増幅を反映している。さらに、ZR-75-30ラインはp53のLOHを示すようであり、一方、SKGT-2細胞ラインはInt-2領域のわずかな増幅を持つようである。ErbB-2プライマーの不存在でLDR/PCRの実験を繰り返すことにより、これらの結果が高レベルのErbB-2増幅の産物ではないことが判明した。図27A−Cを参照されたい。LDR/PCRフォーマットを使用した多重対立遺伝子の増幅および欠失について示した。図26A−Cおよび27A−Cを参照されたい。
【0177】
繰り返すが、これらの結果は、各ピーク値におけるピーク域をその実験について標準値の各ピーク(SODピーク域)に対する割合と比較することによって定量できる。ピーク域の生データおよび割合を次に示す。
【表11】
【0178】
【表12】
【0179】
4つのプライマーセットと5つのプライマーセットの実験間で、比率は見事に一致している。唯一の例外はSKGT2細胞ラインに対するG6PDピーク値で、この場合は、ErbB-2に対する大きなピーク値がG6PDピーク値に追加されているようである。
【0180】
ErbB2およびInt-2の増幅量をp53の欠失と同様に、正常DNAと癌細胞ラインとのピーク域割合を表8に示すように比較することで定量できる。
【0181】
それに加えて、4つのセットのプライマー使用からの割合を5セットのプライマーと比較して、本技術の内在的一貫性を確かめることができる。
【表13】
【0182】
表8における上半分の数値は、4つまたは5つのプライマーを使用して、LDR/PCR技術が内在的に一貫しているならば、すべて1.0に近くなるはずである。すべての数値が1.0に非常に近くなっている。繰り返すが、SKGT2に対するG6PDの数値は、すでに述べた理由で少し低い。
【0183】
表8における下半分の数値は、ErbB-2増幅の程度を示す。数字は4プライマーおよび5プライマー増幅についてかなり一致している。(ただし、上記のとおりSKGT2−G6PDの場合は例外である。)ZR7530細胞ラインはp53に対する明確なLOHを示し、一方で、SKGT2細胞ラインはInt−2領域および存在する両p53遺伝子の増幅を示す。
【0184】
一次PCR/二次PCR/LDRプロセス
実施例7−オリゴヌクレオチド合成法
オリゴヌクレオチドを標準ホスホラミジト化学によってExpedite DNAシンセサイザー(Perspective Biosystems, Framingham,MA)の上に集めた。6−FAM、TET、HEXによる5’−末標識のオリゴヌクレオチドを適切なダイ・ホスホルアミジド(Perkin Elmer-Applied Biosystems)を使用して合成し、製造業者のプロトコル(Applied Biosystems Division-Perkin Elmer Crop.,「ダイ・ホスホルアミジドを使用した蛍光標識オリゴヌクレオチドの合成と精製」“User Bulletin、第78号、Applied Biosystems Division, Foster City,Ca,(1994)(出典明示により本明細書の一部とする))に従って、オリゴヌクレオチド精製カートリッジ(Perkin Elmer-Applied Biosystems)で精製した。すべてのオリゴヌクレオチドを、mPAGE−3カラム(J&W Scientific, Folsom,CA)を使用してApplied Biosystems 270−HTの毛管電気泳動器で精製度をチェックした。精製度95%以上のオリゴヌクレオチドだけを実験に使用した。オリゴヌクレオチドを250ml TE(10mM Tris/HClおよび5mM EDTA、pH 8.0)中に再懸濁した。典型的濃度は未精製貯蔵溶液で300〜500mMであり、OPC(すなわち、Oligonucleotide Purification Columns, Applied Biosystems市販)について100−200mMである。PCRおよびLDRについては、オリゴヌクレオチドを希釈して、10mM(10 pmoles/ml)または5mM(5pmoles/ml)を使用溶液とした。
【0185】
実施例8−LDRオリゴヌクレオチドのリン酸化
12LDR共通オリゴヌクレオチドを5’末で蛍光標識オリゴヌクレオチドとに連結反応できるようにリン酸化した。そのオリゴヌクレオチドを下記の表に示す。
【0186】
表9 LDRオリゴヌクレオチドの配列
【表14】
【0187】
対立遺伝子オリゴヌクレオチドはFAM、TETまたはHEXのいずれかで5’末が標識されている。全共通オリゴヌクレオチドは5’末でリン酸化される。下線は標的配列に相補的でないテイルを表す。LDRプライマーは2方法により設計された:(i)対立遺伝子プライマーは同じ長さであるが、FAMまたはTET標識のいずれかを含有する、(ii)対立遺伝子プライマーは両者ともにHEXで標識されるが、2塩基の長さで相違する。
【0188】
このリン酸化は、製造業者の指示に従うPhosphate-ON(Clontech Laboeatories,Palo Alto.Ca)での合成工程の間か、あるいはT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Boehringer Manheim, Indianapolis,IN)を使用して合成後かのいずれかで達成した。後者の場合には共通オリゴマーを50μlのキナーゼ緩衝液(50mM Tris/HCl、10mM MgCl2、1mM ATP)で希釈し、最終濃度を1mM(50μl中500pmol)とした。10単位のT4キナーゼを加え、37℃で30分間培養した。T4キナーゼを95℃で10分間加熱して不活性化した。
【0189】
キナーゼ反応を次のように実施した。
【0190】
【表15】
37℃で30分間
95℃で10分間
最終濃度=10mM
【0191】
実施例9−多重PCRの増幅
12の遺伝子領域(2−13)を同時PCR増幅のために選んだ。これは下記の表10に示すHuman Genome Databaseから購入できる資料に基づいている。
【表16】
【0192】
部位番号は、それぞれの遺伝子内に位置する特異的単鎖点変異である。すべての表記した変異はセンス鎖により定義する。遺伝子銀行番号は()内の番号で示す。
【0193】
表10の参考文献
2 M.Armstrong, et al., “A Polymorphic Cfo I Site In Exon 6 of the Human Cytochrome P450 CYPD6 Gene Detected by the Polymerase Chain Reaction, ”Human Genetics 91:616-17 (1993), which is hereby incorporated by reference.
3 S.C. Bock, et al., ”Antithrombin III Utah: Proline-407 to Leucine Mutation in a Highly Conserved Region Near the Inhibitor Reactive Site, ”Biochemistry 28:3628(1991), which is hereby incorporated by reference.
4 G. Dewald, et al., ”Polymorphism of Human Complement Component C6: An Amino Acid Substitution(glu/ala)Within the Second Thrombospondin Repeat Differentiates Between the Two Common Allotypes C6 A and C6 B, ”Biochem, Biophys. Res. Commun.194:458-64(1993), which is hereby incorporated by reference.
5 P.A. Velden, et al., ”Amino Acid Dimorphism in IL1A is Detectable by PCR Amplification,” Hum. Mol. Genet. 2:1753(1993), which is hereby incorporated by reference.
6 R.M. Cawthon, et al., ”Identification and Characterization of Transcripts From Theneurofibromatosis 1 Region: The Sequence and Genomic Structure of EV12 and Mapping of Other Transcripts,” Genomics 7:555-65(1990), which is hereby incorporated by reference.
7 C.C. Brooks, et al.,” Association of the Widespread A149P Hereditary Fructose Intolerance Mutation With Newly Identified Sequence Polymprphisms in the Aldolase B Gene,” Am. J. Human Genetics 52:835-40(1993),which is hereby incorporated by reference.
8 W, Poller , et al., ”Sequence Polymorphism in the Human Alpha-2- Macroglobulin (A2M) Gene, ”Nucleic Acid Res. 19:198(1991), which is hereby incorporated by reference.
9 T. Gloudemans, “ An Ava IIRestriction Fragment Length Polymorphism in the Insulin-Like Growth Factor IIGene and the Occurrence of Smooth Muscle Tumors, ”Cancer Res.53:5754-58(1993) , which is hereby incorporated by reference.
10 C.M Diepstraten, et al., ”A CCA/CCG Neutral Dimorphism in the Codon for Pro 626 of the Human Protein S Gene Pa(PROS1),” Nucleic Acids Res. 19:5091(1991), which is hereby incorporated by reference.
11 M. Reina, et al., ”SSCP Polymorphism in the Human Hepatic Triglyceride Lipase(LIPC)Gene,”Hum.Mol.Genet.1:453(1992), which is hereby incorporated by reference.
12 S. Matuura, et al., “Investigation of the Polymorphic AvaII Site by a PCR-based Assay at the Human CD18 Gene Locus ,”Human Genetics 93:721(1994), which is hereby incorporated by reference.
13 L. Warnich, et al., ”Detection of a Frequent Polymorphism in Exon 10 of the Low-Density Lipoprotein Receptor Gene,” Human Genetics 89:362(1992), which is hereby incorporated by reference.
それぞれの領域はよく特徴が出ており、2つの公知の対立遺伝子だけが単塩基変異として表れている。PCR増幅は全血から製造業者の掲示に従ってパージーンDNA単離キット(Gentra Systems, Inc., Minneapolis, MI)で分離したゲノムDNAを使用して実施した。
【0194】
25μlのPCR緩衝液(10mM Tris/HCl、pH 8.3、10mM KCl、4mM MgCl2、0.4mM各々dNTP)、10−100ngのゲノム標識DNA、バイブリッドPCRプライマー対1〜12(各プライマー2pmol)、1.3単位のAmpliTaq DNAポリメラーゼStoffelフラグメント(Applied Biosystems)等を薄肉MicroAmp反応管(Applied Biosystems)に入れた。それぞれのハイブリッドプライマーは、遺伝子特異的3’領域(16〜29塩基)および5’領域(22塩基)から成り、1ないし2セットのユニバーサル(すなわち、プライマー特異的部分)のプライマー(図4参照。F1=Tet、F2=Fam、F3=Het)と対応する。これらのプライマーについては表11に示す。
表11 1次PCRプライマー配列
【表17】
【0195】
遺伝子座1,3,5,7,10,12における順方向および逆方向ハイブリッドプライマーはユニバーサルプライマーALg1およびBLg2のそれぞれと同一の5’末端領域を含んでいた。座2、4、6、8、9および11についての順・逆プライマーはそれぞれ、ユニバーサル・プライマーCLg3およびDLg4に同じ5’末端領域を含有していた。PCR相において、低密度のハイブリッドプライマーを使用する根本理由は、反応過程中にハイブリッドプライマーを空にするためである。これは、理論的には低増幅効率の産物が高増幅効率の産物に「追いつく」ことが可能であることを示す。増幅は、96℃で15秒間の1サイクルで変性させる熱循環と、それに次いで94℃で15秒間の15サイクルで変性させ、65℃で60秒間アニールして伸張することで達成した。
【0196】
高濃度の2対のユニバーサルプライマー(各プライマーが25pmol;表2参照)と、それと同容量のAmplitaq DNAポリメラーゼStoffelフラグメントの1.3単位をMicroamp反応管に加え、別の25サイクルに対してアニール温度を55℃に下げて熱循環を実行した。上流ユニバーサルプライマーALg1およびCLg3をそれぞれ6−FAMおよびTETで蛍光標識した。すべての熱循環をGeneAmp PCR System 9600熱循環器(Applied Biosystems)で達成した。
一次PCRプロセスを次の條件で実行した。
【0197】
【表18】
【0198】
一次PCR循環條件は次の通り:
96℃15''
94℃15''、65℃1’x15
65℃ Hold(維持)
二次PCRプロセスを次の條件で実行した。
【0199】
【表19】
【0200】
二次PCR循環條件は次の通り:
94℃15''、55℃ 1’×25
4℃ Hold(維持)
【0201】
PCR産物をApllied Bisystems 373 DNAシーケンサーで分離した。3mlアリコートのPCRサンプルを蛍光標識Genescan−2500[TAMRA]サイズスタンダード(Apllied Biosystems)を含む3mlのホルムアミドと混合した。50ml Genescan−2500サイズスタンダード[TAMR]を450mlのホルムアミドに加えることによって、ホルムアミドのスタンダード溶液を調製した。サンプルを95℃で2分間加熱し、氷中で急速に冷却し、Genescanのバージョン1.2ソフトウェアでApplied Biosystems 373 DNAシーケンサー中の変性化8%ポリアクリルアミドゲルを通して電気泳動させた。蛍光標識産物のサイズをGenescan分析ソフトウェアによって、局所サザン法を使って自動的に計算した。電気泳動濃度図で12の産物がはっきりと判明した(図28)。各産物の均等な量は、アンプリコンのサイズの類似および2次プライマーに対し相補的な部分を有する1次プライマーの使用に起因する。この2次プライマーは同一の親和力で12のアンプリコンに注意深い反応條件の調整をしなくてもアニールする。産物のコンピューターで計算したサイズは135〜1756pの範囲で、正確にそれらの実際のサイズと一致した(表12参照)。
【0202】
表12−PCRおよびLDRの産物一覧表
【表20】
【0203】
二重標識の方法(表12)によって、産物を電気泳動濃度図で識別するのがいっそう容易となった。(図28において、パネルAとパネルBおよびCとを比較されたい。)
【0204】
実施例10−多重リガーゼ検出反応
標識PCR産物がリガーゼ産物の配列の検出を妨げるのを避けるために、PCR産物をLDRの標識として使用する非標識PCRのユニバーサルプライマーを使って、PCR産物を増幅した。PCR内のポリメラーゼを解凍法によるか、あるいはEDTA/プロテイナーゼKを加えて、それぞれ5mMおよび100mg/mlの最終濃度にし、37℃で30分間、さらに95℃10分間加熱することによって不活性化した。
プロテイナーゼK消化を次の條件で行った:
【表21】
60℃で60分間
95℃で10分間、プロテイナーゼK加熱停止
【0205】
4μlのPCR産物を50mM Tris/HCl pH 8.5、50mM KCl、10mM MgCl2、lmM NAD+、10mM DTT、LDRオリゴヌクレオチドセット1〜2(各ヌクレオチドが200fmol)、10単位のThermus aquaticus DNAリガーゼ(Barany, F. and Gelfand, D.,“Cloning, Overexpression, and Nucleotide Sequence of a Thermostable DNA Ligase-Encoding Gene,” Gene,109:1−11(1991)、(出典明示により本明細書の一部とする。)を含む20μlのLDR混合液で希釈した。各LDRオリゴヌクレオチドプローブセットは、2つの対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドおよび1つの共通ヌクレオチドを含む。LDRオリゴヌクレオチドプローブセット1,2,3,4,5,6,7,8,9における識別可能な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブの各一対は、サイズが等しく一方のオリゴヌクレオチドは6FAM標識であり、他のオリゴヌクレオチドはTET標識であった。LDRオリゴヌクレオチドプローブセット5,10,11,12に対して、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドの各一対は、2つの塩基(大きい方のオリゴヌクレオチドは標的配列に相補的でない5’テイルを有する)で相異し、両方のオリゴヌクレオチドはHEX標識である。熱循環を実施して95℃2分間1サイクルで変性し、次いで95℃30秒間20サイクルで変性し、65℃4分間で連結反応した。
LDRプロセスを次のとおり実行した。
【0206】
【表22】
【0207】
リガーゼのストック:
0.5μlの625u/ml +3.2μl 10X緩衝液 +27.5μl H2O
LDRサイクリングの條件は次のとおり:
94℃ 2’
94℃ 30'', 65℃×20
4℃ Hold(維持)
【0208】
3μlアリコートのLDRサンプルを3μlの標準サイズ(Applied Biosystems)蛍光標識Genescan−2500[TAMRA]と混合せしめた。サンプルを95℃で2分間加熱し、氷中で急速冷却し、Genescanの1.2バージョンソフトウエアでApplied Biosystems 373DNAシーケンサー中の変性化10%ポリアクリルアミドゲルを通して、電気泳動させた。蛍光標識産物のサイズをGenescan分析ソフトウエアによって、局所サザン法を使って自動的に計算した。2つの固体のLDRプロフィルを図29に示す。それぞれの蛍光着色を独立して分析すると(図29、パネルB−D,F−H)、各遺伝座ごとに存在する対立遺伝子の測定は非常に容易であった。各LDR産物(表12)に単純な”A”あるいは”B”コードをつけて、遺伝子型にコードを割り当てるのに使用した。次の表13を参照されたい。
【0209】
表13-PCR-LDRで測定した5個体の遺伝子型
【表23】
【0210】
最初の個体(図29A〜D;表13の個体1)は、多形体部位においてヘテロ接合体である。個体部位1〜4および6〜7におけるヘテロ接合体は、電気泳動濃度図上のそれぞれの位置における6-FAMおよびTET標識の産物(図29、パネルBおよびC)両方を検出することによって判明した。個体部位5,11,12におけるヘテロ接合体はそれらの各遺伝子座(図29、パネルD)に対して2つの塩基のサイズが相異する2つのHEX標識産物の存在によって判明した。それに反して、個体部位8および9(図29、パネルB、C)で検出した1つの産物によって、それらの各遺伝子座がそれぞれホモ接合体であることが立証された。
【0211】
第2の個体(図29E〜FおよびG〜H、表13の個体2)がヘテロ接合体であったのは、個体部位3,5,6,9だけであり、1,2,4,7,8,10,11,12の個体部位でホモ接合体であった。2人の試験者の間のこれらの位置における遺伝子型には合計8つの相異があった。3人の試験者を加えて型を判別した結果、5人のすべての試験者が12遺伝子座(表13)に基づいた明確な遺伝子型をもっていた。
【0212】
本発明は、説明するために詳細に記載したが、説明のためのみに詳述したのであり、以下の請求の範囲で定義している本発明の精神および範囲からそれない限り、当業者は修飾を施すことができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1】電気泳動またはアドレス可能アレイ上の捕捉による点変異などの生殖細胞系変異の検出のための1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す流れ図である。なお、図1および他の図における用語“ジップコード”は、後に用いられるプライマーまたはプローブの特異的な配列を意味するが、標的配列または他のゲノム配列を意味しない。
【図2】電気泳動またはアドレス可能アレイ上の捕捉によるバイ対立遺伝子多形性の検出のための1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す流れ図である。
【図3】電気泳動またはアドレス可能アレイ上の捕捉による癌関連変異の検出のための1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す流れ図である。
【図4】バイ対立遺伝子多形性の検出のための1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す模式図である。
【図5】与えられた部位ですべての可能性ある塩基を識別するLDRオリゴヌクレオチドプローブを用いて、対立遺伝子の相違の検出のための1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す模式図である。
【図6】与えられた部位ですべての可能性ある塩基を識別するLDRオリゴヌクレオチドプローブを用いて、2つの近接する部位の可能性ある塩基の存在を検出のための1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す模式図である。
【図7】隣接する対立遺伝子での癌関連変異の検出のための1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す模式図である。
【図8】電気泳動検出を用いて制限エンドヌクレアーゼ消化の有無でのLDR/PCRプロセスを表す流れ図である。
【図9】遺伝子特異的アドレスを用いるアドレス可能アレイでの検出のためのLDR/PCRプロセスを表す流れ図である。
【図10】遺伝子増幅および欠失の多重検出のためのLDR/PCRプロセスを表す模式図である。
【図11】LDR/PCRプロセスのための対立遺伝子特異的問題を表す模式図である。
【図12】図11に表されたLDR/PCRプロセスのための対立遺伝子特異的問題の解決を表す模式図である。
【図13】電気泳動またはアドレス可能アレイ上の捕捉による2対立遺伝子多形性の検出のための中間的エクソヌクレアーゼ消化相を有するLDR/PCRプロセスを表す流れ図である。
【図14】電気泳動またはアドレス可能アレイ上の捕捉による癌関連変異の検出のための中間的エクソヌクレアーゼ消化相を有するLDR/PCRプロセスを表す流れ図である。
【図15】対立遺伝子特異的変異および多形性の検出のための中間的エクソヌクレアーゼ消化相を有するLDR/PCRプロセスを表す模式図である。
【図16】モノヌクレオチド反復多形性検出のための中間的エクソヌクレアーゼ消化相を有するLDR/PCRプロセスを表す模式図である。
【図17】低存在量のモノヌクレオチド反復多形性検出のための中間的エクソヌクレアーゼ消化相を有するLDR/PCRプロセスを表す模式図である。
【図18】中間的配列伸長相、およびLDR相の後でPCR相の前でのウラシルN−グリコシラーゼ消化相を有し、および電気泳動またはアドレス可能アレイによる検出を有するLDR/PCRプロセスを用いての多形性検出を表す流れ図である。
【図19】中間的配列伸長相、およびLDR相の後でPCR相の前でのウラシルN−グリコシラーゼ消化相を有し、および電気泳動またはアドレス可能アレイによる検出を有するLDR/PCRプロセスを用いての癌検出を表す流れ図である。
【図20】中間的配列伸長相、およびLDR相の後でPCR相の前でのウラシルN−グリコシラーゼ消化相を有するLDR/PCRプロセスを用いてのモノヌクレオチド反復体の検出を表す模式図である。
【図21】中間的配列伸長相、およびLDR相の後でPCR相の前でのウラシルN−グリコシラーゼ消化相を有するLDR/PCRプロセスを用いての低豊富であるモノヌクレオチド反復多形性の検出を表す模式図である。
【図22】ミクロサテライト反復体の検出のための1次PCR/2次PCRプロセスを表す流れ図である。
【図23】ミクロサテライト反復体における挿入および欠失の多重検出のための1次PCR/2次PCRプロセスを表す模式図である。
【図24】LDR/PCRプロセスにおける遺伝子増幅および欠失の定量のためのLDRオリゴヌクレオチドプローブの設計を示す。
【図25】図25A−Dは、LDR/PCRプロセスについての電気泳動濃度を示す。
【図26】図26A−Cは、正常女性DNA、肺癌細胞系ZR−75−30 DNAおよび消化器癌細胞系SKGT−2に由来するErbB、G6PD、Int2、p53およびSOD遺伝子セグメントについてのLDR/PCRプロセスの電気泳動濃度を示す。ErbB遺伝子は癌細胞系で増幅することが知られている。104bpの標的特異的連結反応産物配列は、各連結反応プライマー500フェムトモル、ゲノムDNA50ng、Thermus thermophillus(“Tth”)リガーゼ124単位、10×緩衝液2μg(0.2M Tris、pH8.5および0.1M MgCl2)、10mM NAD2μgおよび200mM DTT 1μlを容量20μlで用いて、LDRの10サイクル(94℃で30秒、65℃で4分)において生成せしめる。連結反応産物は、10×ストフェル緩衝液(Perkin Elmer)5μl、各オリゴヌクレオチドプライマー25ピコモル、Taqポリメラーゼ・ストフェル・フラグメント25単位および各dNTP中の5mM溶液8μlを含有する溶液30μlを加えて、PCRの26サイクル(94℃で15秒、65℃で50秒)において比較的に増幅される。増幅後、産物をHaeIIIおよびHin P1Iで消化し、58bp(ErbB(すなわちHER−2/neu/erbBオンコジーン)、61bp(G6PD)、67bp(Int2(すなわちint−2オンコジーン))、70bp(p53)および76bp(SOD))のFAM標識産物を産生する。これらの産物を分離し、ジーンスキャン672ソフトウェア・パッケージ(Applied Biosystems,Inc., Foster City,Calif.)を用いて373A DNAシクエンサー上で解析する。結果が電気泳動濃度図に表され、ピークの高さと面積がPCR産物の量を示している。図26Aは、正常女性DNAにおける5部位について遺伝子量測定を示す。G6PD、Int2、p53およびSODについてのピークの高さおよび面積は非常に類似している。FrbBについてのピークの高さおよび面積は正常ゲノムDNAにおいて明らかに小さい。図26Bは、既知のErbB増幅での細胞系、ZR−75−30において遺伝子量を検査したので、ErbBでのピークが高く、面積が大きいことを示している。図26Cは、消化器細胞系であるSKGT−2においてErbB遺伝子の劇的な増幅およびInt2の中程度の増幅があることを示している。G6PD遺伝子ピークは、大きいErbBピークにのみこまれたかも知れない。
【図27】図27A−Cは、G6PD、Int2、p53およびSODについて他のLDRオリゴヌクレオチドプローブおよびPCRオリゴヌクレオチドプライマーの相対的ピークの高さにErbB増幅が影響するかどうかを測定するためのLDR/PCRプロセスについての電気泳動濃度図を示す。図27Aは、正常女性DNAにおける4部位についての遺伝子量測定を示す。全5LDRプライマーを用いた実験でのようにG6PD、Int2、p53およびSODについてのピークの高さおよび面積は類似している。図27Bは、ZR−75−30乳癌細胞系のG6PD、Int2、p53およびSODが正常女性DNAに比較して類似の相対ピークの高さであることを示している。p53についてのピークは低下し、この細胞系における細胞部分でのこの遺伝子の欠失を示唆している。図27Cは、消化器癌細胞系のSKGT−2において、G6PDおよびp53が同等のピークを有することを示している。全5LDRオリゴヌクレオチドプローブを用いた実験でのように、Int2のピークは比較的高い。このように、各産物のLDRおよびPCR増幅は、実験中において他の産物と独立的とみられる。
【図28】図28A−Cは、1次PCR/2次PCR/LDRプロセスのPCR相についての電気泳動濃度図を示す。1次PCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いての12部位の多重PCR増幅は大略等量の産物をつくる。単一塩基多形性を有する80以上の遺伝子領域がヒトゲノム・データベースから同定された。そのうち12(表10および図29A−H参照)は、1次PCR相において次のように増幅された。2次PCRオリゴヌクレオチドプライマーの2セットの1つに相補的な遺伝子特異的3’末端および5’末端を有するように、長い1次PCRオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。上流1次PCRオリゴヌクレオチドプライマーはFAM(すなわち、6−カルボキシフルオレセイン:配列決定および変異検定に用いられる蛍光染料)またはTET(すなわち、テトラクロリネート−6−カルボキシフルオレセイン:配列決定/変異検定に用いられる蛍光染料)のいずれかでの蛍光標識を持つように合成した。全24塩基の長い1次PCRオリゴヌクレオチドプライマーを低濃度(20μl中各プライマー2ピコモル)で15サイクルの1次PCR相に用いた。その後、2次PCRオリゴヌクレオチドプライマーの2セットを高濃度(各25ピコモル)で加え、2次PCR相をさらに25サイクル行った。産物を373DNAシークエンサー(Applied Biosystems)で分離した。パネルAは、FAM−およびTET−標識産物について合わせた電気泳動濃度図を示す。パネルBは、FAM標識産物のみを示す。パネルCは、TET標識産物のみを示す。このプロセスは、プライマー濃度またはPCR条件を注意深く調節する必要なしに、多重的産物について同様の量を産生する。
【図29】図29A−Hは、法医学的同定のための12バイ対立遺伝子の検出における1次PCR/2次PCR/LDRプロセスのLDR相についての電気泳動濃度図を表す。12多形性遺伝子についての1次および2次PCR相は、図28A−C記載のように行った。しかし、2次PCRオリゴヌクレオチドプライマーを蛍光標識しなかった。2次PCRプロセス伸長産物を36LDR・オリゴヌクレオチドプローブ(各部座につき1通常および2識別プライマー)含有のリガーゼ緩衝液中に希釈した。LDRオリゴヌクレオチドプローブセットを次の2方法で設計した。(i)対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブは同じ長さであるが、FAMかTET標識のいずれかを含有する、(ii)対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ両者をHEX(すなわち、ヘキサクロリネート−6−カルボキシフルオレセイン:配列決定および変異検出に用いられる蛍光染料)で標識するが、長さに2塩基対の相違がある。LDR相の20サイクル後、連結反応産物配列を373DNAシークエンサー(Applied Biosystems)で10%ポリアクリルアミド・シークエンシング・ゲルにより溶解した。パネルAおよびEは、2個体の12座PCR/LDRを示す。パネルB、CおよびDは夫々、パネルAにおける個体についてのFAM、TETおよびHEXを示す。パネルAの個体は、座6(ALDOB(すなわちアルドラーゼB))および座8(IGF(すなわちインスリン生長因子))でのみ同型接合である。パネルEの個体は、座3(C6(すなわち、補体成分C6))、座5(NF1(すなわち、神経線維腫症))、座6(ALDOB)および座8(IGF)でのみ異型接合であった。このことから、1次PCR/2次PCR/LDRプロセスが多数の位置における同型接合および異型接合の両方の遺伝子型を同時に識別し得ることが分かる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国保健研究所認可番号GM41337−06による政府資金でもってなされた。米国政府が一定の権利を有し得る。
本発明は、組み合せたリガーゼ検出反応(LDR)およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて検出配列の相違を検出することに関する。本発明の1つの実施態様は、ポリメラーゼ連鎖反応に組み合せたリガーゼ検出反応の使用である。本発明の他の実施態様は、1次ポリメラーゼ連鎖反応と組み合わせた2次ポリメラーゼ連鎖反応と組み合せたリガーゼ検出反応である。本発明の第3の実施態様は、1次ポリメラーゼ連鎖反応と組み合わせた2次ポリメラーゼ連鎖反応である。
【背景技術】
【0002】
多重検出
高度に多形的な座の大規模多重解析が、父親検定および法医学(Reynolds et al., Anal. Chem., 63:2-15(1991))、臓器移植のドナーとレシピエントの組み合わせ(Buyse et al., Tissue Antigens, 41:1-14(1993) and Gyllensten et al., PCR Meth. Appl, 1:91-98(1991))、遺伝疾患の診断、予後および出産前の相談(Chamberlain et al., Nucleic Acids Res., 16:11141-11156(1988) and L. C. Tsui, Human Mutat., 1:197-203(1992))および発ガン変異(Hollstein et al., Science, 253:49-53(1991))などについて個体の実際的な同定に必要である。さらに、核酸解析による感染疾患診断の費用効率はパネル試験における多重規模で直接的に変動する。これらの適用の多くは、時に密接なスペース座の多重性において単一塩基の相違の識別力に依存している。
【0003】
多数の配列領域を含むサンプル中に1以上の選択ポリヌクレオチド配列の存在を検出するのに、様々なDNAハイブリダイゼーション技法が利用される。フラグメント捕捉と標識による簡単な方法において、選択された配列含有のフラグメントが固定化プローブにハイブリダイゼーションされる。捕捉フラグメントは検出可能なレポーター部分を含有する第2プローブへのハイブリダイゼーションによって標識される。
【0004】
広く用いられている他の方法はサザンブロット法である。この方法において、サンプル中のDNAフラグメントの混合物はゲル電気泳動により分別されて、ニトロセルローズ・フィルター上に固定される。フィルターをハイブリダイゼーション条件で1以上の標識プローブと反応さすことにより、プローブ配列含有のバンドが同定される。この方法は、与えられたプローブ配列含有の制限酵素DNA消化においてフラグメントを同定するのに、および制限フラグメント長・多形性(“RFLP”)を解析するのに、特に有用である。
【0005】
ポリヌクレオチドサンプル中の、与えられた単数または複数の配列の存在を検出する他の方法に、ポリメラーゼ連鎖反応による配列の選択的増幅がある。Mullis et alの米国特許第4,683,202号およびR. K. Saiki, et al., Science 230:1350(1985)。この方法において、選択した配列の反対側の末端部分に相補的なプライマーがプライマー開始複製の連続ラウンドを熱サイクリングと共に推進するのに用いられる。増幅配列は種々の技術により容易に同定することができる。この方法は、ポリヌクレオチド含有サンプル中の低コピー配列の存在を検出するのに、例えば体液サンプル中の病原菌配列を検出するのに特に有用である。
【0006】
さらに最近、既知の標的配列をプローブ連結方法によって同定する方法が報告されている。N. M. Whiteley et al.の米国特許第4,883,750号、D. Y. Wu et al., Genomics 4:560(1989)、U. Landegren et al., Science 241:1077(1988)およびE. Winn-Deen et al., Clin. Chem. 37:1522(1991)。オリゴヌクレオチド連結アッセイ(“OLA”)として知られる一つの方法において、所望の標的領域にまたがる2つのプローブまたはプローブエレメントが標的領域にハイブリダイズされる。プローブエレメントが隣接の標的塩基と塩基対になると、プローブエレメントの向かい合う末端は、連結反応により、例えばリガーゼ処理により結ばれる。連結プローブエレメントは検定されて、標的配列の存在が明らかにされる。
【0007】
この方法の修飾として、連結プローブエレメントは相補的プローブエレメント対について鋳型として働く。対のプローブエレメントの存在における変性、ハイブリダイゼーションおよび連結反応の継続的サイクルでもって、標的配列は直線的に増幅され、非常に少量の標的配列が検出および/または増幅されるのを可能とする。この方法をリガーゼ検出反応と呼ぶ。プローブエレメントの2つの相補対が使用されるとき、そのプロセスはリガーゼ連鎖反応と呼ばれ、標的配列の指数的増幅を達成する。F. Barany, “Genetic Disease Detection and DNA Amplification Using Cloned Thermostable Ligase,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:189-93(1991)およびF. Barany, “The Ligase Chain Reaction (LCR) in a PCR World,” PCR Methods and Applications, 1:5-16(1991)。
【0008】
核酸配列相違の多重検出についての他の方式はGrossman et al.の米国特許第5,470,705号に開示されている。そこでは、検出可能標識と電荷/翻訳摩擦ドラッグの顕著な比率とを有する配列特異的プローブが標的にハイブリダイズされ、そして一緒に連結される。この技法は、嚢胞性線維症・透過膜レギュレーター遺伝子の大規模多重解析についてGrossman, et al., “High-density Multiplex Detection of Nucleic Acid SequencesおよびOligonucleotide Ligation Assay and Sequence-coded Separation,” Nucl. Acids. Res. 22(21):4527-34(1994)で用いられた。
【0009】
Jou, et al., “Deletion Detection in Dystrophin Gene by Multiplex Gap Ligase Chain Reaction and Immunochromatographic Strip Technology,” Human Mutation 5:86-93(1995)は、いわゆる“ギャップリガーゼ連鎖反応”の利用に関し、各エクソンについてのプローブ上の相違するハプテンに特異的な抗体を有する免疫クロマトグラフィー上で読まれる増幅産物でもって、多重エクソンの同時に選択された領域を増幅する。
【0010】
標的ポリヌクレオチドにおける多数の配列の各々の存在・不存在を検出するのに有用な方法に関して、(例えば、遺伝子スクリーニング分野において)必要性が増大している。例えば400種もの変異が嚢胞性線維症に関連している。この疾患に対する遺伝子的前処置のためのスクリーニングにおいて、“嚢胞性線維症”の積極的な同定を行うために、対象者のゲノムDNAにおける可能性のある相違する遺伝子配列変異のすべてを検査することが最適である。1回のアッセイで可能性ある変異部位のすべての存在・不存在を検査するのが理想的である。しかし、上記した先行技術は、便利な自動的な単一アッセイとして多数の選択配列を検出するのに容易に用いることができない。
【0011】
固相ハイブリダイゼーションアッセイにおいては、多数の液体処理工程を必要とし、単一ヌクレオチド・ミスマッチ識別に要するストリジェンシィを保持するために、いくつかのインキュベーションおよび洗浄温度を注意深くコントロールしなければならない。最適ハイブリダイゼーション条件がプローブ配列によって大きく変わるので、この方法の多重化は困難である。
【0012】
等量の各PCR産物を得る多重PCRプロセスの開発は、困難であり、労力を要する。これは、反応におけるプライマーのアニール比率の変動と与えられたMg2+濃度での各配列のポリメラーゼ伸長比率の変動によるものである。典型的には、アニール温度に加え、プライマー、Mg2+および塩濃度は、反応におけるプライマーアニール比率とポリメラーゼ伸長比率のバランスを保つように調整される。残念ながら、各々新しいプライマーセットを反応に加えると、形成することのできる可能なアンプリコンとプライマー二量体の数が指数的に増加する。従って、各追加プライマーセットで、各々比較的等量の正確な産物を得る条件をつくりだすのがますます困難になり、時間を要することになる。
【0013】
対立遺伝子特異的PCR産物は一般に同じ大きさを有し、アッセイ結果は、各反応チューブに関連するゲル・レーンでの産物バンドの存在・不存在によって計られる。Gibbs et al., Nucleic Acids Res., 17:2437-2448(1989)。この方法は、異なるプライマーの組み合わせを有する多数の反応チューブに試験サンプルを分割することを要し、アッセイ費用が増大する。PCRも、1つの反応チューブ中で対立遺伝子プライマーを競合せしめるように相違する蛍光染料を付着せしめることにより、対立遺伝子を識別するが(F. F. Chehab et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:9178-9182(1989))、多重解析へのこの経路は、現在の機器および染料化学でもっては経済的にスペクトル的に分解できる染色が比較的少ないので、規模が限られている。粗大側鎖による修飾塩基の取り込みが、その電気泳動運動性によって対立遺伝子PCR産物を識別するのに用いられるが、この方法は、ポリメラーゼによるこれら修飾塩基の取り込みの成功性からして、およびこれらの基の唯一つによって大きさが相違する比較的大きいPCR産物を分解するための電気泳動性からして、限定されたものである。Livak et al., Nucleic Acids Res., 20:4831-4837(1989)。各PCR産物は単一変異のみを探すのに用いられ、多重化を難しくする。
【0014】
対立遺伝子特異的プローブの連結反応は一般的に、対立遺伝子シグナルを分解するのに、固相捕捉反応(U. Landegren et al., Science, 241:1077-1080(1988); Nickerson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:8923-8927(1990))またはサイズ依存分離法(D. Y. Wu, et al., Genomics, 4:560-569(1989) and F. Barany, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:189-193(1991))を用い、後者の方法は連結プローブのサイズ幅が狭いので多重規模では限定されている。さらに、多重フォーマットにおいて、リガーゼ検出反応だけでは少量の標的配列を検出および計測するのに充分な産物をつくることができない。ギャップリガーゼ連鎖反応は追加の工程、すなわちポリメラーゼ伸長を必要とする。より複雑な多重化のために電荷/翻訳摩擦ドラッグ(translational frictional drag)の明白な比率を有するプローブを用いることは、長い電気泳動時間かあるいは検出の他の形態の使用を必要とする。
【0015】
ポリヌクレオチドサンプルにおける多重選択配列の存在・不存在を検出するための迅速な単一アッセイ方式が必要である。
【0016】
ミクロサテライト解析
ミクロサテライトとして知られる縦列反復DNA配列は、ヒトゲノム中の遺伝子要素の非常に一般的で高度に多型性類を表す。小さい反復配列を含むこれらのミクロサテライトマーカーは、初期の遺伝子マッピングや連鎖解析に使用されている。Weber, J. L. et al., Am. J. Hum. Genet. 44:388-396(1989); Weissenbach, J. et al., Nature (London) 359:794-800(1992)。これらの反復体のPCR増幅によって、ヘテロ結合喪失を迅速に測定し、腫瘍抑制遺伝子マッピング方法を著しく簡素化することができる。Ruppert, J. M., et al., Cancer Res. 53:5093-94(1993); van der Riet, et al., Cancer Res. 54:1156-58(1994); Nawroz, H., et al., Cancer Res. 54:1152-55(1994); Cairns, P., et al., Cancer Res. 54: 1422-24(1994)。さらに最近、ハンチントン舞踏病、脆弱X症候群、筋緊張性ジストロフィー、脊髄小脳性運動失調I型、脊髄延髄性筋萎縮および遺伝性歯状赤色淡蒼球性萎縮(dentatorubral-pallidoluysian atrophy)を含む特定の遺伝性疾患における特異的変異を同定するために使用されている。The Huntington's Disease Collaborative Research Group Cell 72:971-83(1993); Kremer, E. J., et al., Science 252: 1711-14(1991); Imbert, G., et al., Nat. Genet. 4:72-76(1993); Orr, H.T., et al., Nat. Genet. 4:221-226(1993); Biancalana, V., et al., Hum. Mol. Genet. 1:255-258(1992); Chung, M.-Y., et al., Nat. Genet. 5:254-258(1993); Koide, R., et al., Nat. Genet. 6:9-13(1994)。これらの遺伝性疾患は、感受性遺伝子中のトリヌクレオチド反復ユニットの伸長が原因のようである。さらに広範なミクロサテライト不安定性は、腫瘍組織の反復要素の伸長および欠失から証明され、最初、結腸直腸腫瘍についてPeinado, M. A., et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10065-69(1992); Ionov, Y., Nature (London) 363:558-61(1993); Thibodeau, S. N., et al., Science 260:816-819(1993)また後にいくつかの他の腫瘍型について(Risinger, J.I., Cancer Res. 53:5100-03(1993); Han, H.-J., et al., Cancer Res. 53:5087-89(1993); Peltomaki, P., Cancer Res. 53:5853-55(1993); Gonzalez-Zulueta, M., et al., Cancer Res. 53: 5620-23(1993); Merlo, A., et al., Cancer Res. 54:2098-2101(1994) 報告された。遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌患者において、この遺伝子不安定性はミスマッチ修復遺伝子における遺伝性および体細胞性変異によるようである。Leach, F., et al., Cell 75:1215-1225(1993); Fishel, R., et al., Cell 75: 1027-38(1993); Papadopoulos, N., et al., Science 263:1625-29(1994); Bronner, C. E., et al., Nature (London) 368:258-61(1994)。
【0017】
PCRは、癌検知において新しい多型性の出現とヘテロ接合性喪失の両方を同定する際のミクロサテライト解析に一般に使用される。L. Mao, et al., “Microsatellite Alterations as Clonal Markers for the Detection of Human Cancer,” Proc. Natl. Acad. Sci USA 91(21):9871-75(1994); L. Mao, et. al., “Molecular Detection of Primary Bladder Cancer by Microsatellite Analysis,” Science 271:659-62(1996); D. Radford, et.al., “Allelotyping of Ductal Carcinoma in situ of the Breast: Detection of Loci on 8p, 13q, 161, 17p and 17q,” Cancer Res. 55(15):3399-05(1995)。このような目的のためにPCRを使用するとき、各PCR反応は個別に行われ、配列ゲル上で分離される。
【0018】
これらの参考文献はPCRが特定の癌の診断および予後に利用性があることを示しているにもかかわらず、このタイプの解析は高度な情報処理能力がなく、サイズ分割を要するので、欠点がある。さらに、PCR滑りに問題があり、研究者をトリ−、テトラ−および高ヌクレオチド反復ユニットにシフトさせ、癌検知をさらに困難にする。
【0019】
ミクロサテライトマーカーはまた、結腸癌検知(L. Cawkwell, et. al., “Frequency of Allele Loss of DCC, p53, RB1, WT1, NF1, NM23, and APC/MCC in Colorectal Cancer Assayed by Fluorescent Multiplex Polymerase Chain Reaction,” Br. J. Cancer 70(5):813-18(1994))およびゲノムマッピング(P. Reed, et. al., “Chromosome‐specific Microsatellite Sets for Fluorescent-Based, Semi-Automated Genome Mapping,” Nat. Genet. 7(3):390-95(1994))にも使用されている。しかしながら、このような多重プロセスのカギは、それを単一反応チューブで行う能力である。従来の多重ミクロサテライトマーカー技法はプライマー濃度および増幅条件に注意深い対応を要する。PCR産物をセット中にためておくことができるが、混合物が各バンド中にほぼ等しい量のDNAを有することを保証するために、アガロースゲル上で試用することを要する。
【0020】
ヒト同定
PCRはまたヒト同定、例えば父親検定、犯罪捜査および軍部の人員同定に使用されている。A. Syvanen et. al., “Identification of Individuals by Analysis of Biallelic DNA Markers, Using PCR and Solid-Phase Mini-Sequencing” Am. J. Hum. Genet. 52(1):46-59(1993) にヒト同定についてのミニ配列決定技法が記載されている。この技法は、単一PCRチューブで多くても4PCR反応が一度に行われ、個体マーカーのPCR増幅を要する。ミニ配列決定は個体の多型性を測定するのに行われる。
【0021】
組み合せたプロセス
G. Deng, et. al., “An Improved Method of Competitive PCR for Quantitation of Gene Copy Number,” Nucl. Acids. Res. 21:4848-49(1993)は競合PCRプロセスを記述している。各遺伝子およびその等価標準について用いるプライマーの異なるセットを2PCR工程に利用する。
【0022】
T. Msuih, et. al., “Novel, Ligation-Dependent PCR Assay for Detection of Hepatitis C. Virus in Serum,” J. Clin. Microbio. 34:501-07(1996)およびY. Park, et. al.,“Detection of HCV RNA Using Ligation-Dependent Polymerase CHain Reaction in Formalin-Fixed Paraffin-Embedded Liver Tissue”(提出)は、LDR/PCRプロセスのRNAとの併用について記述している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は核酸配列の相違を検出するための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、組み合せたLDRおよびPCRプロセスを用いて核酸配列の相違を検出することに関する。本発明は次の3実施態様の1つによって行われる。(1)LDPと組み合せたPCR、(2)1次PCRと組み合せた2次PCRと組み合せたLDR、および(3)1次PCRと組み合せた2次PCR。これらの実施態様の各々がある種の性質を検出するのに特定の適用性を有する。しかし、各々において核酸配列の相違を多重的に検出するのに組み合せた反応を利用するものであり、そこでは各プロセスの初期段階由来のオリゴヌクレオチドがプロセスの後期段階由来のオリゴヌクレオチドで使用され得る配列を含有している。
【0025】
I.1次PCR/2次PCR/LDRプロセス
本発明の一つの実施態様は、複数の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している複数の配列の2以上を同定するための方法に関する。この方法は、第1ポリメラーゼ相、第2ポリメラーゼ相およびリガーゼ検出相を含む。このプロセスは、複数の配列相違がある1以上の標的ヌクレオチド配列を含有するかも知れないサンプルを分析することを含む。
【0026】
第1ポリメラーゼ連鎖反応相において、1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー群が準備される。各群は1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー・セットを含有し、各セットは、標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を有する第1ヌクレオチドプライマー、および標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプライマーを含む。同じ群の各セットの第1オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流2次プライマー特異的部分を有し、同じ群の各セットの第2オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流2次プライマー特異的部分を有している。特定のセットのオリゴヌクレオチドプライマーは、対応する標的ヌクレオチド配列の相補的鎖でのハイブリダイゼーションに適しており、ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成をもたらす。しかし、1次オリゴヌクレオチドプライマーがサンプル中に他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに、該ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成に妨害するミスマッチがある。特定のセットにおけるポリメラーゼ連鎖反応産物は、同じ群での他のポリメラーゼ連鎖反応産物と識別され得る。1次オリゴヌクレオチドプライマー、サンプルおよびポリメラーゼは混合されて、1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成する。
【0027】
1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、1次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異的部分が標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。伸長処理によってハイブリダイズした1次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次オリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列に相補的な1次伸長産物を形成する。
【0028】
1次オリゴヌクレオチドプライマーの上流2次プライマー特異的部分は標的DNAに存在しないが、その配列は1次ポリメラーゼ連鎖反応相の第2以後のサイクルで複写される。結果として、第2サイクル後に産生された1次伸長産物は、その5’末端に2次プライマー特異的部分、およびその3’末端にプライマー特異的部分の補体を有する。
【0029】
次は、第2ポリメラーゼ連鎖反応相である。この相では1つまたは複数の2次オリゴヌクレオチドプライマーセットが準備される。各セットは、第1の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第1の2次オリゴヌクレオチドプライマー、および第1の2次プライマーに相補的な第1の1次オリゴヌクレオチドと同じ1次オリゴヌクレオチドプライマーセットに由来する第2の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第2の2次オリゴヌクレオチドプライマーを有する。2次オリゴヌクレオチドプライマーのセットは、特定の群において1次伸長産物のすべてを増幅するのに使用され得る。2次オリゴヌクレオチドプライマーを1次伸長産物およびポリメラーゼと混合して、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物とする。
【0030】
2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、2次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異部分が1次伸長産物上に存在する相補的配列にハイブリダイズし、元の標的配列にハイブリダイズしない。伸長処理によってハイブリダイズ2次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次伸長産物に相補的な2次伸長産物を形成する。
【0031】
本発明の態様における最後の相はリガーゼ検出反応相である。ここでは、複数のオリゴヌクレオチドプローブセットが準備され、各セットは、2次伸長産物特異的部分と検出可能レポーター標識を保持する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および2次伸長産物特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプローブを有する。特定セットのオリゴヌクレオチドプローブは、相補的2次伸長産物特異的部分に互いに隣接してハイブリダイズしたときに一緒に連結反応するのに適している。しかし、オリゴヌクレオチドプローブがサンプル中の他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに該連結反応を妨害するミスマッチがある。特定セットにおけるオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物は、プローブまたは他の連結反応産物のいずれかと識別され得る。複数のオリゴヌクレオチドプローブセットを2次伸長産物およびリガーゼと混合して、リガーゼ検出反応混合物とする。
【0032】
リガーゼ検出反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理およびハイブリダイゼーション処理を有する1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーション処理において、オリゴヌクレオチドプローブセットは、隣接部位で塩基特異的に、もし存在すれば夫々の2次伸長産物にハイブリダイズする。結果として、隣接プローブは互いに連結して、一緒に結合している検出可能レポーター標識および2次伸長産物特異的部分を含有する連結産物配列を形成する。オリゴヌクレオチドプローブセットは、その夫々の相補的2次伸長産物以外のヌクレオチド配列にハイブリダイズし得るが、1以上のミスマッチの存在のために一緒に連結しないで、変性処理の際に個々に分離している。リガーゼ検出反応サイクルに続いて、連結反応産物配列のレポーター標識が検出されて、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在が示される。
【0033】
本発明の1次PCR/2次PCR/LDRプロセスは、単一ヌクレオチドおよび縦列反復多形性の多重的検出においてPCRのみの使用よりも顕著な利点をもたらす。
【0034】
上記したように、PCRのみの使用では、多重検出を行うための操作条件において厳しい最適化をなすことを要する。さらに、多数の標的ヌクレオチド配列を検出するためには、オリゴヌクレオチドプライマーの量を増加しなければならない。しかし、これが起きると、標的独立反応(例えばプライマー二量体作用)の可能性が増加する。加うるに、変異を知らねばならず、偽の正反応が正常なタンプレットのポリメラーゼ伸長によって生じることがあり、重複しているプライマーの干渉による近接クラスター部位では多重検出はできず、小さい反復配列における単一塩基または小さい挿入や欠失は検出できず、そして正常DNAの高バックグランドにおける変異DNAの定量が難しい。結果として、単一の多重PCRプロセスにおいて検出される標的ヌクレオチド配列の数は限られてくる。
【0035】
直接的配列決定は、配列を正しく得るには豊富な変異サンプルを必要とし、多くのエクソン含有の大きい遺伝子について多重反応を必要とし、産物の電気泳動分離を必要とし、時間がかかり、正常DNAのバックグランド5%以下での変異DNA検出には用いることができない。ミニ配列決定においては、変異を知らねばならず、重複しているプライマーの干渉による近接クラスター部位では多重検出はできず、小さい反復配列における単一塩基または小さい挿入や欠失は検出できず、そして4種の分離反応を必要とする。対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション(ASO)においては、変異を知らねばならず、ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件を知らねばならず、交叉反応を防ぐのは難しく、重複するプライマーの干渉による近接クラスター部位では多重検出はできず、正常DNAのバックグランドの5%以下では変異DNAは検出できない。プライマー調節RELPは、正常DNAから変異体を識別するのに電気泳動分離を必要とし、制限部位に移行し得る部位に適用するには限界があり、変異の性質を調べるのに追加の解析を必要とし、変異DNAが正常のDNAの高バックグランドにあるときは用いるのが難しい。単鎖立体配座多形性解析(SSCP)は、変異配座体を正常配座体と区別するのに電気泳動分離を必要とし、可能性のある変異の30%を誤り、変異の性質を調べるために追加の解析を要し、サイレント多形性と変異を識別できない。ジデオキシヌクレオチドフィンガー・プリント(ddF)の場合、正常DNAの高いバックグランドにおいては変異を検出するのは困難であり、変異配座体を正常配座体と区別するのに電気泳動を必要とし、変異の性質を調べるために追加の解析を要し、サイレント多形性と変異を識別できない。変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)は、変異配座体を正常配座体から電気泳動的に分離しなければならず、可能性のある変異の30%を誤り、変異の性質を調べるために追加の解析を要し、サイレント多形性と変異を識別できない。そして前に得た結果を再現するのに技術的に熟練を要する。RNaseミスマッチ開裂法は、変異の性質を調べるのに追加の解析を要し、RNase抵抗性ミスマッチを排除するために両鎖の解析を必要とし、正常DNAの高いバックグランドにおいては変異を検出するのに困難がある。化学的ミスマッチ分裂法は、正常DNAのバックグランドが5%以下では変異DNAを検出することができず、すべての変異を検出するのに両鎖の解析を必要とする。T4 Endo VIIミスマッチ分裂法では、変異の性質を調べるのに追加の解析を要し、変異とサイレント多形性を区別できず、エンドヌクレアーゼが結果の注意深い解釈に必要なコントロールDNAを分裂し、そして正常DNAの高いバックグランドでは変異の検出が困難である。
【0036】
PCRの感受性とLDRの特異性を組み合せた本発明の1次PCR/2次PCR/LDRプロセスにおいては、上記のような問題がない。1次PCR相は2次プライマー特異的部分を有する1次伸長産物を産生する。この最初の相は、1次伸長産物の産生を最大にするのに効果的で、PCRのみのプロセスにおいて時々起きる有害反応を生じることのない条件で実施される。特に、本発明の1次PCR相は、15−20PCRサイクルで実施され、PCRのみのプロセスで用いられるであろうよりも少ないプライマーが使用される。本発明の1次PCR相は、いくつかの標的ヌクレオチド配列がよく増幅し、一方あるものは増幅しないので、非常に多様で、予想外に伸長産物を生み出す。しかし、2次PCR相においては、すべての1次伸長産物が同じ2次プライマー特異的部分を有するので、ほぼ等しく増幅される。サンプル中に元から存在している標的ヌクレオチド配列は、これらの配列が2次プライマー特異的部分を含有しないので、2次PCR相によっては増幅されない。結果として、本発明の1次PCR/2次PCR/LDRプロセスは、単一のチューブにおける数百のヌクレオチド配列相違の多重検出を、分析に供せられる各特定サンプルについての操作条件をその都度つくることなしに、達成することができる。変異配列の選択がPCRよりもむしろLDRで調節されるので、1次PCR/2次PCR/LDRプロセスは偽の正標的生成には感受性が低い。さらに、1次PCR/2次PCR/LDRプロセスは、近接クラスター変異の検出、小さい反復配列における単一塩基または小さい挿入や欠失の検出、正常DNAの高いバックグランドにおける1%以下の変異の定性的検出、およびアドレス可能アレイを用いる連結反応産物配列の検出を可能とする。唯一の主要な必要事項は、変異を知り、多数のオリゴヌクレオチドを合成することである。
【0037】
単一ヌクレオチドおよび縦列反復多形性の検出ができることは、法医学的DNA同定および遺伝子疾患の診断に特に重要である。
【0038】
II.LDR/PCRプロセス
本発明の第2態様は、複数の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失および転座によって相違している1以上の複数配列を同定する方法に関する。この方法はリガーゼ検出反応相に続いてポリメラーゼ連鎖反応相を有する。この方法は、複数の配列相違を有する1以上の標的ヌクレオチド配列を含有する可能性のあるサンプルを準備することを含む。
【0039】
リガーゼ検出反応相において1以上のオリゴヌクレオチドプローブが準備される。各セットは、標的特異的部分と5’上流プライマー特異的部分を保持する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および標的特異的部分と3’下流プライマー特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプローブを有する。特定セットにおける標的ヌクレオチドプローブは、対応する標的ヌクレオチド配列に互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒に連結反応するのに適している。しかし、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列とハイブリダイズするときに、この連結反応を妨害するミスマッチがある。サンプル、複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびリガーゼを混合して、リガーゼ検出反応混合物とする。
【0040】
リガーゼ検出反応混合物は1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけられる。これらのサイクルには変性処理とハイブリダイゼーション処理が含まれる。変性処理において、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドは標的ヌクレオチド配列から分離される。ハイブリダイゼーション処理によって、オリゴヌクレオチドプローブセットは隣接部位で塩基特異的に、もしサンプル中に存在しておればその夫々の標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。ハイブリダイズされると、オリゴヌクレオチドプローブセットは互いに連結して、連結反応産物配列を形成する。この産物は、5’上流プライマー特異的部分、一緒に結合した標的特異的部分および3’下流プライマー特異的部分を含む。各セットの連結反応産物配列は連結検出反応混合物中の他の核酸と識別可能である。オリゴヌクレオチドプローブセットはその夫々の標的ヌクレオチド配列以外のサンプル中のヌクレオチド配列とハイブリダイズするが、1以上のミスマッチの存在によって連結せず、そして、次の変性処理の際に個々に分離している。
【0041】
ポリメラーゼ連鎖反応において、1または複数のオリゴヌクレオチドプローブが準備される。各セットは、連結反応産物配列の5’上流プライマー特異的部分に同じ配列を含有する上流プライマー、および連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分に相補的な下流プライマーを有している。うち、1つのプライマーは検出可能レポーター標識を有する。リガーゼ検出反応混合物を1または複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびポリメラーゼと混合すると、ポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成する。
【0042】
ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。変性処理においてハイブリダイズ核酸配列が分離される。ハイブリダイゼーション処理によって、プライマーが連結反応産物配列の相補的プライマー特異的部分とハイブリダイズする。伸長処理において、ハイブリダイズプライマーが伸長されて、プライマーがハイブリダイズしている配列に相補的な伸長産物を形成する。ポリメラーゼ連鎖反応相の第1サイクルにおいて、下流プライマーが連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、伸長されて連結反応産物配列に相補的な伸長産物を形成する。次のサイクルにおいて、上流プライマーが連結反応産物に相補的な伸長産物の5’上流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、下流プライマーが連結反応産物配列の3’下流部分にハイブリダイズする。
【0043】
このプロセスのポリメラーゼ連鎖反応相に続いて、レポーター標識が検出され、伸長産物が識別されて、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在が表される。
【0044】
本発明のLDR/PCRプロセスの一つの実施態様は、細胞中の遺伝子コピーの数(すなわち遺伝子量)の測定においてLDRのみの使用に比べて改良された成果をもたらす。LDRのみを使用すると、複数の遺伝子を定量するの必要とする十分な標的コピーを産生するのが難しい。
【0045】
本発明のLDR/PCRプロセスの他の実施態様において、LDR連結反応産物配列がサンプル中に誘導された遺伝子の比率に応じた比率で産生される。同じプライマー特異的部分をLDR相のためのオリゴヌクレオチドプローブに合体することにより、PCR相が連結反応産物配列をその比率の保持と同じ程度に増幅する。解析しようとするサンプル中に元から存在する標的配列は、この標的配列がPCRプライマー特異的部分を含有しないので、PCR相で増幅されない。さらに、PCR相のためのオリゴヌクレオチドプライマーのみがレポーター標識を有し、この標識のある伸長産物のみが検出される。
【0046】
遺伝子量の変化の測定は多くの生物医学での利用において重要である。
【0047】
X染色体上の遺伝子が男性と女性では相違しており、女性は2コピーに対し男性は1コピーである。女性はX染色体について欠失の保持者となることがある。もしX染色体の欠失領域が1以上の遺伝子を含むとすると、女性は他のX−染色体の対応する非欠失域にこれらの遺伝子1コピーのみを有する。この結果(X−連結遺伝子の1コピーを有すること)は、男性細胞における状況に類似しており、遺伝された障害を発揮することなく、常に寛容されている。しかし、もしその女性の息子が彼女の欠失X染色体を受け継ぐと、彼は欠失領域に遺伝子コピーを所有しないので、遺伝子不存在によるX−関連障害にかかる。このように、染色体欠失の検出は、本発明のLDR/PCRプロセスの適用例である。
【0048】
受精卵が染色体の異常補体を有すると、先天性の染色体障害が起きる。最も多い先天性染色体障害はダウン症候群であって、各細胞に追加の染色体(47、XX+21または47、XY+21と表される)が存在するときに、これは生じる。本発明のLDR/PCRプロセスは先天性染色体障害を同定できるように設計され得る。
【0049】
本発明のLDR/PCRプロセスは、モノヌクレオチドおよびジヌクレオチド反復配列における多形性を識別するのに有用でもある。クローン性の検出のためにユニーク多形性を含有すの少数の細胞を識別するのにも有用である。
【0050】
LDR/PCRプロセスはゲルおよび非ゲル(すなわちDNAアレイ)の両方の技法で用いられる。多くの遺伝子の増幅および欠失の同時の多重分析、定量分析を可能にし、外部標準を必要としない。LDR/PCRプロセスにおける唯一の比較的小さい問題点は、染色体における大きい欠失の境界を測定するのが難しいことである。
【0051】
一方、ミクロサテライト・マーカー分析は、欠失または増幅した小さい領域を検出するのに用いることはできず、増幅領域の同時検出に適合せず、情報マーカーの利用性に依存している。競合的PCR(すなわち分別的PCR)は、いくつもの欠失および増幅を同時に検出するために多重的に使用できないし、特に精密でない。サザン・ハイブリダイゼーションは、時間と労力がかかり、試験する各プローブについて多工程を要して多重化には適しておらず、そして大量のDNAを必要とする。蛍光インシトゥハイブリダイゼーション(FISH)は、特別の技術を要し、時間がかかり、調べようとする欠失または増幅領域を解析する大きいプローブを必要とする。このように本発明のLDR/PCRプロセスは先行プロセスに優れる顕著な進歩がある。
【0052】
III.1次PCR/2次PCRプロセス
本発明の第三の実施態様は、1以上の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している複数の配列の2以上を同定するための方法に関する。この方法は、複数の配列相違がある1以上の標的ヌクレオチド配列を含有するかも知れないサンプルを2つの連続するポリメラーゼ連鎖反応相にかけることを含む。
【0053】
第1ポリメラーゼ連鎖反応相において、1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー群が準備される。各群は2以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー・セットを含有する。各セットは、標的特異的部分と5’上流第2プライマー特異的部分を保持する第1オリゴヌクレオチドプライマー、および標的特異的部分と5’上流第2プライマー特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプライマーを有する。同じ群の各セットの第1オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流第2プライマー特異的部分を有し、同じ群の各セットの第2オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流第2プライマー特異的部分を有している。特定のセットのオリゴヌクレオチドプライマーは、対応する標的ヌクレオチド配列の相補鎖でのハイブリダイゼーションに適しており、ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成をもたらす。しかし、1次オリゴヌクレオチドプライマーがサンプル中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに、該ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成を妨害するミスマッチがある。特定のセットにおけるポリメラーゼ連鎖反応産物は、同じ群または他の群を有する他のポリメラーゼ連鎖反応産物と識別され得る。1次オリゴヌクレオチドプライマーをサンプルおよびポリメラーゼと混合して、第1ポリメラーゼ連鎖反応混合物とする。
【0054】
1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、1次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異部分が標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。伸長処理によってハイブリダイズ1次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次オリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列に相補的な1次伸長産物を形成する。
【0055】
1次オリゴヌクレオチドプライマーの上流2次プライマー特異的部分は標的DNAに存在しないが、その配列は1次ポリメラーゼ連鎖反応相の第2以後のサイクルで複写される。結果として、第2サイクル後の1次伸長産物は、その5’末端に2次プライマー特異的部分、そしてその3’末端にプライマー特異的部分の補体を有する。
【0056】
本発明のこの実施態様での第2ポリメラーゼ連鎖反応相において1つまたは複数の2次オリゴヌクレオチドプライマーセットが準備される。各セットは、検出可能レポーター標識を保持し、かつ第1の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第1の2次プライマー、および第1の2次プライマーに相補的な第1の1次オリゴヌクレオチドと同じ1次オリゴヌクレオチドプライマーセットに由来する第2の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第2の2次プライマーを有する。2次オリゴヌクレオチドプライマーのセットは、各群において1次伸長産物を増幅する。2次オリゴヌクレオチドプライマーを1次伸長産物およびポリメラーゼと混合して、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物とする。
【0057】
2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、2次オリゴヌクレオチドプライマーが1次伸長産物にハイブリダイズする。伸長処理によって、ハイブリダイズした2次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次伸長産物に相補的な2次伸長産物を形成する。2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルに掛けた後に、標識2次伸長産物が検出される。これはサンプル中おける1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を表す。
【0058】
本発明の1次PCR/2次PCRプロセスは、サザンハイブリダイゼーション、競合的PCR、および異型接合の損失を起こすヌクレオチド欠失の検出におけるミクロサテライト・マーカー解析法を上回る顕著な利点を有する。サザンハイブリダイゼーションは、競合的PCRより精密であるが、非常に労力を要し、多量のDNAを必要とし、いかなる技法でも多重化されていない。現在の多重ミクロサテライト・マーカー法はプライマー濃度と増幅条件に非常な注意を要する。
【0059】
本発明の1次PCR/2次PCRプロセスは、これら先行技術における困難性を解決する。1次PCR相において、1次オリゴヌクレオチドプライマーがジヌクレオチドまたは他の反復配列の両側に置かれ、2次プライマー特異的部分を含む。1次PCR相は、これらのプライマーの低濃度で実施されて、同時にいくつかの部座の増幅を可能とする。2次PCR相によって、選択される標的特異的2次プライマーと同じ速度で増幅が続けられて、隣接のセットからミクロサテライト・マーカーの1セットが並べられる。1次PCR/2次PCRプロセスは、単一PCRチューブで、単一ゲルレーン解析で多重検出を実施するのに用いられる。
【0060】
本発明のこの実施態様は、ミクロサテライト・マーカー分析を実施して遺伝子中のヌクレオチド欠失を同定するのに有用である。このような多重検出は単一の反応チューブで実施され得る。しかし、1次PCR/2次PCRプロセスは、増幅と欠失を識別できないので、かかる識別をなそうとするときは、上記のLDR/PCRプロセスすなわち分別PCRプロセスを併用しなければならない。
発明の詳細な記述
I.1次PCR/2次PCR/LDRプロセス
本発明の一つの実施態様は、複数の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している複数の配列の2以上を同定するための方法に関する。この方法は、第1ポリメラーゼ相、第2ポリメラーゼ相およびリガーゼ検出相を含む。このプロセスは、複数の配列相違がある1以上の標的ヌクレオチド配列を含有するかも知れないサンプルを分析することを含む。
【0061】
第1ポリメラーゼ連鎖反応相において、1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー群が準備される。各群は1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー・セットを含有し、各セットは、標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を有する第1ヌクレオチドプライマー、および標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプライマーを含む。同じ群の各セットの第1オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流2次プライマー特異的部分を有し、同じ群の各セットの第2オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流2次プライマー特異的部分を有している。特定のセットのオリゴヌクレオチドプライマーは、対応する標的ヌクレオチド配列の相補的鎖でのハイブリダイゼーションに適しており、ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成をもたらす。しかし、1次オリゴヌクレオチドプライマーがサンプル中に他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに、該ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成に妨害するミスマッチがある。特定のセットにおけるポリメラーゼ連鎖反応産物は、同じ群での他のポリメラーゼ連鎖反応産物と識別され得る。1次オリゴヌクレオチドプライマー、サンプルおよびポリメラーゼは混合されて、1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成する。
【0062】
1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、1次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異的部分が標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。伸長処理によってハイブリダイズした1次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次オリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列に相補的な1次伸長産物を形成する。
【0063】
1次オリゴヌクレオチドプライマーの上流2次プライマー特異的部分は標的DNAに存在しないが、その配列は1次ポリメラーゼ連鎖反応相の第2以後のサイクルで複写される。結果として、第2サイクル後に産生された1次伸長産物は、その5’末端に2次プライマー特異的部分、およびその3’末端にプライマー特異的部分の補体を有する。
【0064】
次は、第2ポリメラーゼ連鎖反応相である。この相では1つまたは複数の2次オリゴヌクレオチドプライマーセットが準備される。各セットは、第1の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第1の2次オリゴヌクレオチドプライマー、および第1の2次プライマーに相補的な第1の1次オリゴヌクレオチドと同じ1次オリゴヌクレオチドプライマーセットに由来する第2の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第2の2次オリゴヌクレオチドプライマーを有する。2次オリゴヌクレオチドプライマーのセットは、特定の群において1次伸長産物のすべてを増幅するのに使用され得る。2次オリゴヌクレオチドプライマーを1次伸長産物およびポリメラーゼと混合して、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物とする。
【0065】
2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、2次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異部分が1次伸長産物上に存在する相補的配列にハイブリダイズし、元の標的配列にハイブリダイズしない。伸長処理によってハイブリダイズ2次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次伸長産物に相補的な2次伸長産物を形成する。
【0066】
本発明の態様における最後の相はリガーゼ検出反応相である。ここでは、複数のオリゴヌクレオチドプローブセットが準備され、各セットは、2次伸長産物特異的部分と検出可能レポーター標識を保持する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および2次伸長産物特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプローブを有する。特定セットのオリゴヌクレオチドプローブは、相補的2次伸長産物特異的部分に互いに隣接してハイブリダイズしたときに一緒に連結反応するのに適している。しかし、オリゴヌクレオチドプローブがサンプル中の他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに該連結反応を妨害するミスマッチがある。特定セットにおけるオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物は、プローブまたは他の連結反応産物のいずれかと識別され得る。複数のオリゴヌクレオチドプローブセットを2次伸長産物およびリガーゼと混合して、リガーゼ検出反応混合物とする。
【0067】
リガーゼ検出反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理およびハイブリダイゼーション処理を有する1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーション処理において、オリゴヌクレオチドプローブセットは、隣接部位で塩基特異的に、もし存在すれば夫々の2次伸長産物にハイブリダイズする。結果として、隣接プローブは互いに連結して、一緒に結合している検出可能レポーター標識および2次伸長産物特異的部分を含有する連結産物配列を形成する。オリゴヌクレオチドプローブセットは、その夫々の相補的2次伸長産物以外のヌクレオチド配列にハイブリダイズし得るが、1以上のミスマッチの存在のために一緒に連結しないで、変性処理の際に個々に分離している。リガーゼ検出反応サイクルに続いて、連結反応産物配列のレポーター標識が検出されて、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在が示される。
【0068】
図1、2および3は2種の検出手法のいずれかを用いた本発明の1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す流れ図である。1つの方法として、毛管電気泳動またはゲル電気泳動と蛍光定量の使用がある。他方、捕捉オリゴヌクレオチドアドレスのアレイ上の捕捉と蛍光定量によって検出が実施される。図1は生殖細胞系変異(例えば、点変異)の検出に関し、図2はバイ対立遺伝子多形性の検出であり、図3は癌関連変異の検出を示す。
【0069】
図1は生殖系点変異の検出を表す。第1工程において、DNAサンプル作成後、Taq(すなわちThermus aquaticus)ポリメラーゼを用いた1次PCR増幅に、ホットスタート条件で、標的特異的部分と2次プライマー特異的部分とを有するオリゴヌクレオチドプライマーと共に、多重エクソンをかける。1次PCR相の終了点で、Taqポリメラーゼは、100℃で10分間加熱するか、または凍結/解凍工程により不活性化される。1次PCR増幅相の産物は、第2工程でTaqポリメラーゼを用いホットスタート条件で2次オリゴヌクレオチドプライマーと共に、2次PCR増幅にかける。2次PCR相の終了点で、Taqポリメラーゼは、100℃で10分間加熱するか、または凍結/解凍工程により不活性化される。第3工程において、2次PCR相の産物は、対立遺伝子特異的部分と共通部分を有するLDRオリゴヌクレオチドプローブを含有する新鮮なLDR緩衝液に20倍に希釈する。第4工程は、LDR相であって、ホットスタート条件でTaqリガーゼを加えることにより始まる。LDRの際にオリゴヌクレオチドプローブはその隣接のオリゴヌクレオチドプローブに、接合部で完全な相補性を与える標的配列の存在においてのみ、連結する。
【0070】
産物は2種の相違するホーマットにおいて検出される。第1ホーマット5aでは、蛍光標識LDRプローブが相違する長さのポリAまたはヘキサエチレンオキシド・テイルを含有する。このように各連結反応産物配列(正常DNA上でハイブリダイズされた2プローブの連結反応の結果である)は、いくつかの連結反応産物配列がピークの段差を与えるように、少し相違する長さと運動性を有する。生殖細胞系変異は電気泳動濃度図上に新しいピークをつくることがある。他方、生殖細胞系変異連結反応産物配列が正常DNA連結反応産物配列と同じ運動性を有して泳動するが、相違する蛍光レポーターで識別されるようにLDRプローブは設計され得る。新しいピークのサイズはほぼ元のサンプルに存在する変異の量である。すなわち、ホモ接合正常は0%、ヘテロ接合保持は50%、そしてホモ接合変異は100%である。第2ホーマット5bにおいて、各対立遺伝子特異的プローブは、例えばその5’末に24追加ヌクレオチド塩基を含有する。これらの配列はユニーク・アドレス可能配列であって、アドレス可能アレイ上でその相補的アドレス配列に特異的にハイブリダイズする。LDR反応において、各対立遺伝子特異的プローブは、対応する標的配列の存在において隣接の蛍光標識共通プローブに連結できる。野生型および変異の対立遺伝子に対応する連結反応産物配列は、アレイ上の隣接アドレスに捕捉される。未反応のプローブは洗浄して除く。黒点は野生型対立遺伝子についての100%シグナルを表す。白点は変異対立遺伝子についての0%シグナルを表す。灰色点は生殖細胞系変異の1つの位置、各対立遺伝子についての50%シグナルを表す。
【0071】
図2は、バイ対立遺伝子多形性の検出を表す。第1工程において、Taqポリメラーゼを用いた1次PCR増幅に、ホットスタート条件で、標的特異的部分と2次プライマー特異的部分とを有するオリゴヌクレオチドプライマーと共に、多重エクソンをかける。1次PCR増幅相の産物は、第2工程でTaqポリメラーゼを用いホットスタート条件で2次オリゴヌクレオチドプライマーと共に、2次PCR増幅にかける。2次PCR相の終了点で、Taqポリメラーゼは、100℃で10分間加熱するか、または凍結/解凍工程により不活性化される。第3工程において2次PCR相の産物は対立遺伝子特異的部分と共通部分を有するLDRオリゴヌクレオチドプローブを含有する新鮮なLDR緩衝液に20倍に希釈する。第4工程は、LDR相であって、ホットスタート条件でTaqリガーゼを加えることにより始まる。LDRの際にオリゴヌクレオチドプローブはその隣接のオリゴヌクレオチドプローブに、接合部で完全な相補性を与える標的配列の存在においてのみ、連結する。第1ホーマット5aでは、蛍光標識LDRプローブが相違する長さのポリAまたはヘキサエチレンオキシド・テイルを含有する。各連結反応産物は、いくつかの連結反応産物配列がピークの段差を与えるように、少し相違する長さと運動性を有する。他方、多形性対立遺伝子の連結反応産物配列が同じ位置で移動するが、相違する蛍光レポーターで識別されるようにLDRプローブは設計され得る。ピークのサイズはほぼ各対立遺伝子の量である。第2ホーマット5bにおいて、各対立遺伝子特異的プローブは、例えばその5’末に24の追加ヌクレオチド塩基を有するユニーク・アドレス可能配列を含有する。これらの配列は、捕捉オリゴヌクレオチドアレイ上でその相補的アドレス配列に特異的にハイブリダイズする。LDR反応において、各対立遺伝子特異的プローブは、対応する標的配列の存在において隣接の蛍光標識共通プローブに連結できる。各対立遺伝子に対応する連結反応産物配列は、アレイ上の隣接アドレスに捕捉される。未反応のプローブは洗浄して除く。黒点は両染色体が与えられた対立遺伝子を有すことを表す。白点はいずれの染色体もこの対立遺伝子を有さないことを表す。灰色点は1つの染色体が与えられた対立遺伝子を有することを表す。
【0072】
図3は、癌関連変異を表す。第1工程において、DNAサンプル作成後、Taqポリメラーゼを用いた1次PCR増幅に、ホットスタート条件で、標的特異的部分と2次プライマー特異的部分とを有するオリゴヌクレオチドプライマーと共に、多重エクソンをかける。1次PCR増幅相の産物は、第2工程でTaqポリメラーゼを用いホットスタート条件で2次オリゴヌクレオチドプライマーと共に、2次PCR増幅にかける。2次PCR相の終了点で、Taqポリメラーゼは、100℃で10分間加熱するか、または凍結/解凍工程により不活性化される。PCR産物の蛍光定量は第3工程において毛管またはゲル電気泳動により行うことができる。第4工程において、産物はマーカーDNAの1/100希釈(フラグメントの各々につき)でスパイクされる。このDNAは、癌サンプルにみられないが、適当なLDRプローブで容易に検出される変異を有することを除けば、野生型DNAに相同的である。第5工程において、2次PCR相産物中の混合DNA産物は、対立遺伝子特異的部分と共通部分を含有するLDRオリゴヌクレオチドプローブを含む新鮮なLDR緩衝液に20倍に希釈される。第6工程は、LDR相であって、ホットスタート条件でTaqリガーゼを加えることにより始まる。LDRの際に、接合部に完全な相補性を与える標的配列の存在においてのみ、オリゴヌクレオチドプローブがその隣接のオリゴヌクレオチドプローブに連結する。
【0073】
産物は上記と同じホーマットで検出される。第7a工程のホーマットにおいて、毛管またはゲル電気泳動により産物が分離され、そして蛍光シグナルが定量される。変異ピークのマーカーピークに対する割合は、元のサンプル中に存在する癌変異の概量を100で除して算出される。第7b工程のホーマットにおいて、アドレス可能アレイ上の相補的配列についての特異的ハイブリダイゼーションによって産物が検出される。マーカー点に対する変異点中の蛍光シグナルの割合は、元のサンプル中に存在する癌変異の概量を100で除して算出される。
【0074】
図4に示すように、興味ある2種のDNAフラグメントを本発明の1次PCR/2次PCR/LDRプロセスで処理する。最初に2重鎖DNA分子を変性して、鎖をほどく。これは80−105℃に加熱することによりなされる。3−標的特異的部分(影の部分)と5’2次プライマー特異的部分(黒い部分)を有する1次PCRオリゴヌクレオチドプライマーを低濃度で加えて、典型的に50−85℃で鎖にハイブリダイズせしめる。熱安定性ポリメラーゼ(例えば、Taq aquanticusポリメラーゼ)も加え、温度を50−85℃に調節して、プライマーがハイブリダイズする核酸の長さに沿ってプライマーを伸長する。ポリメラーゼ連鎖反応の伸長相の後に、得た2重鎖分子を80−105℃に加熱して、分子を変性し、鎖を分離する。これらのハイブリダイゼーション、伸長、変性工程は数回繰り返して、標的を適当なレベルにまで増幅する。
【0075】
2次PCR相において、1次PCR相産物を2次PCRオリゴヌクレオチドプライマーと混合して、典型的には50−85℃で互いにハイブリダイズせしめる。2次オリゴヌクレオチドプライマーは1次オリゴヌクレオチドプライマーよりも常に高い濃度で使用する熱安定性ポリメラーゼも加え、温度を50−85℃に調節して、プライマーがハイブリダイズする核酸の長さに沿ってプライマーを伸長する。ポリメラーゼ連鎖反応の伸長相の後に、得た2重鎖分子を80−105℃に加熱して、分子を変性し、鎖を分離する。これらのハイブリダイゼーション、伸長、変性工程は数回繰り返して、標的を適当なレベルにまで増幅する。
【0076】
2次PCR相が完了すると、図4に示すように、連結検出反応相が始まる。標的核酸変性後、もし存在すれば二重鎖DNA分子として、温度80−105℃、好ましくは94℃で、標的ヌクレオチド配列の1本鎖のための連結検出反応オリゴヌクレオチドプローブがリガーゼと共に加えられる(例えば、図4に示すように、Taq aquanticusポリガーゼのような熱安定性リガーゼ)。オリゴヌクレオチドプローブは標的核酸分子とハイブリダイズし得て、典型的には45−85℃、好ましくは65℃で連結する。連結部に完全な相補性があるとオリゴヌクレオチドは一緒に連結する。変わり得るヌクレオチドがTまたはAであると、標的ヌクレオチド配列におけるTの存在は、F1レポーター標識を有するオリゴヌクレオチドプローブを5’ポリAテイルAnを有する共通オリゴヌクレオチドプローブと連結せしめ、標的ヌクレオチド配列中のAの存在は、F2レポーター標識を有するオリゴヌクレオチドプローブをAnを有する共通のオリゴヌクレオチドプローブと連結せしめる。同様に、変わり得るヌクレオチドがAまたはGであると、標的ヌクレオチド配列におけるTの存在は、F3AAレポーター標識(すなわち、5’ポリAスペーサーを形成する2追加塩基にカップルしたF3レポーター標識)を有するオリゴヌクレオチドプローブを5’ポリAテイルAn+4を有する共通オリゴヌクレオチドプローブと連結せしめ、標的ヌクレオチド配列中のCの存在は、F3レポーター標識を有するオリゴヌクレオチドプローブをAn+4を有する共通のオリゴヌクレオチドプローブと連結せしめる。連結反応後に材料を変性にかけてハイブリダイズ鎖を分離する。ハイブリダイゼーション/連結反応および変性工程は1以上のサイクル(例えば1−50サイクル)で実施されて、標的シグナルが増幅される。両F3−標識オリゴヌクレオチドの等モル連結反応は個体がその座についてヘテロ接合型であることを示し、一方、F2標識オリゴヌクレオチドの連結反応は個体が他の座についてホモ接合型であることを示す。
【0077】
図4において、定量が毛管またはゲル電気泳動で実施されるとき、ポリAnおよびポリAn+4テイルが用いられる。異なった長さのテイルによって、対応する相違の連結反応産物配列がゲルまたは毛管における異なる位置でバンドを形成する。異なる位置でのバンドの存在は、解析されるDNAにおける対応ヌクレオチド相違の同定を可能にする。連結反応産物配列が異なるレポーター標識の使用に基づいて識別できるけれども、異なるレポーター標識と異なる長さのテイルの組み合せは、より多数のヌクレオチド相違の識別を可能とする。これは多重検出プロセスに重要である。
【0078】
図1−3について述べたように、ゲルまたは毛管電気泳動に代わって、アドレス可能アレイ上での検出を実施できる。かかるアドレス可能アレイの使用には、レポーター標識(すなわちテイルAnおよびAn+4)を含有しないLDRオリゴヌクレオチドプローブ上のポリAが相違するアドレス可能アレイ特異的オリゴヌクレオチド部分で置き換えられることを要する。上記でより完全に説明したように、固体支持物は捕捉オリゴヌクレオチドのアレイと共に準備され、そのいくつかは相違するアドレス可能アレイ特異的オリゴヌクレオチド部分に相補的である。相補的捕捉オリゴヌクレオチドプローブのこれらの部分のハイブリダイゼーションは対応するヌクレオチド相違の存在を示す。
【0079】
図5は、本発明のよる1次PCR/2次PCR/LDRプロセスについての模式図であり、興味ある2DNA分子における可能性ある塩基が識別される。1次および2次PCRプロセスは、図4で述べたのと実質的に同じように実施される。左手のDNA分子と併せた蛍光レポーター標識F1、F2、F3およびF3の出現は、夫々DNA分子におけるA、G、CおよびT対立遺伝子の存在を表す。図5に示すように、等量のF1およびF3レポーター標識は問題の個体がAおよびC対立遺伝子についてヘテロ接合型であることを表す。図5における右手のDNA分子の分析について、同じレポーター標識が異なる対立遺伝子の存在を表すのに用いられる。しかし、識別塩基を有する各オリゴヌクレオチドプローブ上で、異なる5’ポリAテイルが存在する。より特異的に2単位ポリAテイル、4単位ポリAテイル、6単位ポリAテイルおよび8単位ポリAテイルが、夫々DNA分子におけるT、C、GおよびA対立遺伝子に対応する。図5に示すように、A6およびA4テイルを有する等量のF1レポーター標識は、問題の個体がGおよびC対立遺伝子についてヘテロ接合型であることを表す。
【0080】
図6は、図5は、本発明のよる1次PCR/2次PCR/LDRプロセスについての模式図であり、興味ある2DNA分子における2近接部位で可能性ある塩基が識別される。1次および2次PCRプロセスは、図4で述べたのと実質的に同じように実施される。ここではLDRプローブは重複可能であり、接合部で完全な相補性が存在すると連結がなお可能である。これがLDRを他の方法と区別することであって、対立遺伝子特異的PCRなどでは、重複プライマーが互いに妨害し合う。図6において、識別オリゴヌクレオチドプローブは、そのプローブの3末に識別塩基を有するレポーター標識を含有する。ポリAテイルは共通オリゴヌクレオチドプローブの3’末上にある。左手のDNA分子において、レポーター標識F1およびF3を有する連結反応産物配列の等量の存在は、問題の個体が第1位置でAおよびC対立遺伝子についてヘテロ接合であることを示す。同様に、左手のDNA分子の第2位置において、レポーター標識F2、F3およびF4を有する連結反応産物配列の存在は、問題の個体がG、CおよびT対立遺伝子についてヘテロ接合であることを示す。
【0081】
右手のDNA分子にもどって、A6およびA4テイルを持つレポーター標識F1を有する連結反応産物配列の等量の存在は、問題の個体が第1位置でGおよびC対立遺伝子についてヘテロ接合であることを示す。右手のDNA分子の第2位置において、A8およびA2テイルを持つレポーター標識F1を有する連結反応産物配列の等量の存在は、問題の個体がAおよびT対立遺伝子についてヘテロ接合であることを示す。
【0082】
図7は、正常配列の過剰存在で低存在量の変異を検出するための本発明の1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す模式図である。左手のDNA分子はK−ras遺伝子のコドン12、配列GGTでグリシン(“Gly”)をコードする。小さい比率の細胞がGATにおけるGからAへの変異を含有し、アスパラギン酸(“Asp”)をコードする。野生型(すなわち正常)配列についてのLDRプローブが反応から抜けている。正常LDRプローブ(Gである識別塩基と共)が挿入されると、このプローブは共通プローブに連結し、変異標的由来のいかなるシグナルにも打ち勝つ。代わりに、図7に示されるように、蛍光標識F1およびAn+2テイルを有する連結反応産物配列の存在は変異をコードするアスパルギン酸の存在を表している。右手のDNA分子において、K−ras遺伝子のコドン61配列CAGがあり、グルタミン(“Gln”)をコードする。小さい比率の細胞がGAGにおけるCからGへの変異を含有し、グルタミン酸(“Glu”)をコードする。さらに、LDRオリゴヌクレオチドプローブが野生型に見られるCおよびA塩基を含まず、変異シグナルに打ち勝つことはない。このDNA分子について、蛍光標識F2An+4テイルを有する連結反応産物配列の存在は変異をコードするグルタミン酸の存在を表す。
【0083】
II.LDR/PCRプロセス
本発明の第2態様は、複数の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失および転座によって相違している1以上の複数配列を同定する方法に関する。この方法はリガーゼ検出反応相に続いてポリメラーゼ連鎖反応相を有する。この方法は、複数の配列相違を有する1以上の標的ヌクレオチド配列を含有する可能性のあるサンプルを準備することを含む。
【0084】
リガーゼ検出反応相において1以上のオリゴヌクレオチドプローブが準備される。各セットは、標的特異的部分と5’上流プライマー特異的部分を保持する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および標的特異的部分と3’下流プライマー特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプローブを有する。特定セットにおける折後ヌクレオチドプローブは、対応する標的ヌクレオチド配列に互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒に連結反応するのに適している。しかし、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列とハイブリダイズするときに、この連結反応を妨害するミスマッチがある。サンプル、複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびリガーゼを混合して、リガーゼ検出反応混合物とする。
【0085】
リガーゼ検出反応混合物は1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけられる。これらのサイクルには変性処理とハイブリダイゼーション処理が含まれる。変性処理において、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドは標的ヌクレオチド配列から分離される。ハイブリダイゼーション処理によって、オリゴヌクレオチドプローブセットは隣接部位で塩基特異的に、もしサンプル中に存在しておればその夫々の標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。ハイブリダイズされると、オリゴヌクレオチドプローブセットは互いに連結して、連結反応産物配列を形成する。この産物は、5’上流プライマー特異的部分、一緒に結合した標的特異的部分および3’下流プライマー特異的部分を含む。各セットの連結反応産物配列は連結検出反応混合物中のたの核酸と識別可能である。オリゴヌクレオチドプローブセットはその夫々の標的ヌクレオチド配列以外のサンプル中のヌクレオチド配列とハイブリダイズするが、1以上のミスマッチの存在によって連結せず、そして、次の変性処理の際に個々に分離している。
【0086】
ポリメラーゼ連鎖反応において、1または複数のオリゴヌクレオチドプローブが準備される。各セットは、連結反応産物配列の5’上流プライマー特異的部分に同じ配列を含有する上流プライマー、および連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分に相補的な下流プライマーを有している。うち、1つのプライマーは検出可能レポーター標識を有する。リガーゼ検出反応混合物を1または複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびポリメラーゼと混合すると、ポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成する。
【0087】
ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。変性処理においてハイブリダイズ核酸配列が分離される。ハイブリダイゼーション処理によって、プライマーが連結反応産物配列の相補的プライマー特異的部分とハイブリダイズする。伸長処理において、ハイブリダイズプライマーが伸長されて、プライマーがハイブリダイズしている配列に相補的な伸長産物を形成する。ポリメラーゼ連鎖反応相の第1サイクルにおいて、下流プライマーが連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、伸長されて連結反応産物配列に相補的な伸長産物を形成する。次のサイクルにおいて、上流プライマーが連結反応産物に相補的な伸長産物の5’上流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、下流プライマーが連結反応産物配列の3’下流部分にハイブリダイズする。
【0088】
このプロセスのポリメラーゼ連鎖反応相に続いて、レポーター標識が検出され、伸長産物が識別されて、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在が表される。
【0089】
図8は、制限エンドヌクレアーゼ消化の有無および毛管電気泳動検出を用いた本発明のLDR/PCRプロセスを表す流れ図である。第1工程において、DNAサンプルは、Taqリガーゼ、および標的特異的部分およびプライマー特異的部分を含有するオリゴヌクレオチドプローブと混合する。混合物はLDRプロセスにかけられて、連結標的特異的部分およびプライマー特異的部分を含有する連結反応産物配列を産生する。第2工程で、連結反応産物配列をポリメラーゼおよびプライマーと混合し、この混合物をPCRプロセスにかける。次の工程で連結反応産物配列が同じかまたは相違するサイズであるかの機能について測定する。連結反応産物配列が相違するサイズであると、第3a工程が選ばれてPCRからの伸長細胞が毛管電気泳動またはゲル電気泳動にかけられる。いずれも続いて蛍光定量がなされる。連結反応産物配列が同じサイズのときは第3b工程が用いられ、PCR相からの伸長産物は制限エンドヌクレアーゼ消化にかけられる。毛管電気泳動またはゲル電気泳動にかけられるユニーク・サイズの消化フラグメントが産生され、第4b工程による蛍光定量が行われる。第3a工程が選択されたときは、電気泳動の結果のカーブは、104、107および110に移行する3種の連結反応産物配列があり、ピーク域はそれぞれHer2遺伝子増幅、p53遺伝子のヘテロ接合の喪失およびコントロールSOD遺伝子を表す。第3bおよび4b工程による電気泳動曲線は、3種の連結反応産物配列制限フラグメントを58、70および76に有し、ピーク域はそれぞれHer2遺伝子増幅、p53遺伝子のヘテロ接合の喪失およびコントロールSOD遺伝子を表す。
【0090】
図8の別法として、図9は本発明のLDR/PCRプロセスを表し、第3工程で伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドアドレスのアレイ上に捕捉される。捕捉オリゴヌクレオチドプローブは連結反応接合部を通じてヌクレオチド配列に相補的であり得る。捕捉オリゴヌクレオチドのアレイ上に捕捉された遺伝子コピー数は既知のコントロールと比較して蛍光定量で測定される。図8において、アレイのこのような分析は遺伝子特異的アドレスにハイブリダイズしている連結反応産物配列を表し、蛍光の強度がHer−2遺伝子増幅、p53遺伝子へテロ接合の喪失およびコントロールSOD遺伝子をそれぞれ示す。
【0091】
図10は、遺伝子増幅および欠失の多重検出のためのLDR/PCRプロセスを表す模式図である。染色体17q由来のHer−2/neu、染色体17p由来のp53遺伝子および染色体21q由来のSOD遺伝子の比率が検出される。94℃でのDNAの変性に続いて、標的特異的部分とプライマー特異的部分とを有するオリゴヌクレオチドプローブの対が標的核酸上で互いに隣接してアニールし、互いに連結する(ミスマッチの不存在で)。このリガーゼ検出反応はTthリガーゼでもってハイブリダイゼーション/連結反応温度65℃で実施され、この温度はオリゴヌクレオチドプローブについてのTm値75℃より十分低い。次いで、連結反応産物配列は、Taqポリメラーゼとプライマー特異的部分に相補的な2つの共通プライマー(うち1つは蛍光標識されている)とを用いるPCRによって増幅される。サンプル中に最初に存在していた標的配列の比率は保持される。伸長産物は、サンプル中に存在の各標的配列についてのユニーク・サイズ蛍光標識フラグメントを放出するHaeIIIおよびHinp 1Iで消化される。消化産物を分離し、373A DNAシークエンサー(Applied Biosystems, Inc., Foster City, Calif.)で分析する。ピークの高さおよび面積は最初の標的サンプルに存在する遺伝子の相対コピーに関する。
【0092】
図11は、対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスにおいて生じ得る問題を表す模式図である。PCR/LDRプロセスは非常に強力であるが、本発明の多重対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスが好ましくなる状況が存在する。LDRオリゴヌクレオチドプローブの1以上のセットを用い、各セットは、(a)標的特異的部分と5’上流プライマー特異的部分とを有する第1オリゴヌクレオチドプライマー、および(b)標的特異的部分と3’下流プライマー特異的部分とを有する第2オリゴヌクレオチドプライマーを特徴とする。図11の第1工程に示すように、LDRオリゴヌクレオチドプローブは標的配列上で互いに隣接してアニールする。熱安定性リガーゼを用いるLDR反応(黒点)は、連結反応接合部に完全な相補性があれば、連結反応産物配列を形成する。第2工程において、連結反応産物配列はプライマーセットでPCR増幅される。この各セットは、(a)連結反応産物配列の5’上流プライマー特異的部分と同じ配列を含有する上流プライマー、および(b)この連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分に相補的な下流プライマーを特徴とする。プライマーは第2工程に黒線として示される。1つのプライマーが蛍光標識されていると、様々な検出方法において検出され得る蛍光細胞を産生する。特異的であるべきLDR/PCRプロセスについて、PCR伸長産物は連結反応の不存在では形成されるべきでない。不都合にも、ポリメラーゼが第1LDRオリゴヌクレオチドプローブ(正常標的から離れて)を伸長して、標的配列の長さと5’末のプライマー特異的部分を含有する産物を形成する可能性がある。一方、ポリメラーゼは、下流プライマーを用いる下流LDRプローブのいくつかの相補的コピーをつくり得る。第2増幅サイクルにおいて、この下流LDRプローブ伸長産物は標的配列から離れた上流LDRプローブ伸長産物にアニールし、2つのプライマー特異的配列で両側から挟まれた標的領域を含有する配列を生み出す。この産物はLDR産物として増幅され、偽の正シグナルをもたらす。
【0093】
図12は、中間エクソヌクレアーゼ消化工程を用いて対立遺伝子特異的LDR/PCR問題の解決を表す模式図である。対立遺伝子特異的LDR/PCRは、バックグランド連結反応独立(正しくない)標的増幅を顕著に低下して、達成することができる。そのために、連結反応産物配列の情報内容を除去しないで、連結反応独立PCR増幅に要する1以上の成分をなくすことが必要である。1つの解決法は、第2工程においてエクソヌクレアーゼを用い、第1工程からの未反応LDRオリゴヌクレオチドプローブを消化することである。連結していない末端、例えば下流オリゴヌクレオチドプローブの3’末をブロックすることにより、1つのプローブが実質的に消化に対し抵抗性となり、他は感受性となる。全長連結反応産物配列の存在のみが上流プライマーの消化を防止する。ブロック群には、骨格としてチオホスフェート類および/または2.0−メチルリボース糖類がある。エクソヌクレアーゼにはExoI(3'−5')、ExoIII(3'−5')およびExoIV(5'−3'と3'−5'の両方)があり、後者は両側のブロックを必要とする。両プローブをブロックする便利な方法は、1つの長い“パドロック(padlock)”プローブ(参照、M. Nilsson et. al.,“Padlock Probes : Circularizing Oligonucleotides for Localized DNA Detection,”Science 265:2085-88(1994)(出典明示により本明細書の一部とする))を用いることであるが、必ずしも必要としない。エクソヌクレアーゼを用いる利点は、例えばExoI(単鎖特異的)とExoIII(二重鎖特異的)との併用は、両標的および1つのプローブを破壊し得ることであり、連結反応産物配列は実質的に未消化で止まっていることである。PCRに先立つエクソヌクレアーゼ処理により、第3および4工程において、各セットの1つまたは両オリゴヌクレオチドプローブは実質的に減少し、残存のオリゴヌクレオチドプローブと元の標的DNA(これもエクソヌクレオチド処理により実質的に減少)とのハイブリダイゼーション、およびオリゴヌクレオチドプローブセットによるPCR増幅のための適当な基質である連結反応産物配列の形成が実質的に低下させられる。換言すれば連結反応独立標識伸長産物の形成は実質的に減少し、またはなくなる。
【0094】
図13は、サイズまたはDNAアレイのいずれかによる検出でエクソヌクレアーゼ消化を用いる対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスを表す流れ図である。この流れ図は、多重対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスに要する3反応を示す。第1工程において、LDRオリゴヌクレオチドプローブ(下流プローブがその3’末でブロックされている)が、TaqDNAリガーゼを用いて、正しい対立遺伝子標的の存在で連結される。第2工程で、未反応の上流プローブはエクソヌクレアーゼで消化され、同時に標的も消化される。最後に第3工程で、プライマーセットが用いられて、連結反応産物配列のプライマー特異的部分にハイブリダイズすることにより連結反応産物配列を増幅する。第4a工程において、与えられた特定のセットのLDRオリゴヌクレオチドプローブがユニーク長産物を産生し、オリゴヌクレオチドプローブまたは他の連結反応産物と識別される。LDR反応の後に産物は産物はサイズまたは電気泳動運動性により分別される。PCRプライマー上の標識が検出され、サイズで産物が識別される。第4b工程において、特定セットのLDRオリゴヌクレオチドプローブが、PCRプライマー配列での相違によってオリゴヌクレオチドプローブまたは他の連結反応産物配列と識別される。複数のオリゴヌクレオチドプローブセットを使用することによりすべての産物が識別される。各セットは、(a)連結反応産物配列の5’上流プライマー特異的部分に同じ配列を含有する上流プライマーおよび(b)連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分に相補的な下流プライマーを特徴とし、1つのプライマーは検出可能レポーター標識を有し、他のプライマーはその5’末に連結したアドレス可能ヌクレオチド配列(アドレス可能ヌクレオチド配列がPCR反応後単鎖を残すように)を含有する。後者は、ポリメラーゼが伸長し得ないPCRプライマー内の非天然塩基を用いて達成され、単鎖テイルを有するPCR産物を産生する。参照、Newton, et. al., “The Production of PCR Products with 5' Single-stranded Tails Using Primers that Incorporate Novel PhosphoramiditeI ntermediates”Nucl. Acids Res. 21(3):1155-62(1993)(出典明示により本明細書の一部とする)。相違する特定の部位に固定された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有するDNAアレイを準備して(捕捉オリゴヌクレオチドはプライマー上のアドレス可能ヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する)、PCR伸長産物がDNAアレイにハイブリダイズできる。最後に、特定部位でDNAアレイに固定されたアドレス可能アレイ特異的部分を用いて捕捉された伸長産物配列の標識が検出される。これはサンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を表す。
【0095】
図14は、サイズを基とする、またはDNAアレイを基とする検出によるエクソヌクレアーゼ消化を用いる対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスを表す流れ図である。この流れ図は、LDR反応の開始点で(第2工程)マーカー配列を加えること(第1工程)により相違する標的量(特に低存在癌変異)をいかに定量するかを示す。生化学的反応(すなわちPCR(第4工程))に続いて、図13に示すように、マーカー産物に対する変異産物の相対量が毛管またはゲル電気泳動(第5a工程)またはアドレス可能アレイ上の捕捉(第5b工程)を用いて定量される。元のサンプル中の変異標的の量が決定される。
【0096】
図15は、変異または多形性の検出のためのエクソヌクレアーゼ消化(第2工程)を有する対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスを表す模式図である。変異および多形性は図12に記載のように識別される。本例において、第1工程で、標的特異的部分の3’末に識別対立遺伝子特異的塩基を有する上流LDRオリゴヌクレオチドプローブは、相違する5’上流プライマー特異的部分を有する。このように、相違するプライマー(PCR増幅工程(すなわち第3工程における))が相違する蛍光群(FamおよびTet)で標識されて、産物の識別が可能となる(第4工程)。アレイに基づく検出法も用いられ、上流(対立遺伝子特異的)プローブが相違する5’上流プライマー特異的部分を有し、および相違するPCRプライマーがPCR反応後に単鎖を残す相違するアドレス可能ヌクレオチド配列を含有する。
【0097】
図16は、モノヌクレオチドまたはジヌクレオチド反復多形性検出のためにエクソヌクレアーゼ消化を用いる(第2工程)対立遺伝子特異的LDR(第1工程)/PCR(第3工程)を表す模式図である。LDR/PCRの最も強力な使用の1つは、ヌクレオチド反復多形性の検出であって、対立遺伝子特異的PCRでは達成できず(3’ヌクレオチドが常に同じであるから)、またPCR産物サイズ変化の観察でも容易に達成できない(増幅中にTaqポリメラーゼが滑ることによる)ものである。図16において、LDRオリゴヌクレオチドプローブはA9とA10モノヌクレオチド反復配列を熱安定性DNAリガーゼの特異性によって識別する。LDR産物のみが正しい長さの標的配列上で形成し、そしてこの標的の存在が識別される(第4工程)。
【0098】
図17は、低存在量のモノヌクレオチドまたはジヌクレオチド反復変異の検出のためにエクソヌクレアーゼ消化(第2工程)を用いる対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスを表す模式図である。モノヌクレオチド反復長変異は図12に記載のように識別される。図17において、LDRオリゴヌクレオチドプローブ(第1工程)はA8、A9(変異)およびA10(正常)モノヌクレオチド反復配列を熱安定性DNAリガーゼの特異性によって識別する。2つの上流LDRオリゴヌクレオチドプローブは、その標的特異的部分の3’末でモノヌクレオチド配列の長さが異なり、相違する5’上流プライマー特異的部分を有する。このように、相違するプライマー(PCR増幅工程(第3工程)における)は異なる蛍光群(FamおよびTet)で標識されて、産物の識別が可能となる(第4工程)。これには、サイズに代わり蛍光標識を基にしてモノヌクレオチド反復多形性が識別できるという顕著な利点がある。サイズによる識別はポリメラーゼ滑りのために偽の正反応をもたらしやすい。アレイに基づく検出法においては、上流(対立遺伝子特異的)プローブは相違する5’上流プライマー特異的部分を有し、相違するPCRプライマーはPCR反応後に単鎖を残す相違のアドレス可能ヌクレオチド配列を含有する。
【0099】
図18は、サイズを基とする、またはDNAアレイを基とする検出においてウラシルN−グリコシラーゼ選択を用いる対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスを表す流れ図である。流れ図は、多重対立遺伝子特異的LDR/PCRに要する4反応を示す。LDRオリゴヌクレオチドプローブセット(うち、1または両方のプローブがデオキシチミジンの代わりにデオキシウラシルを含有する)は、第1工程においてTaqDNAリガーゼを用いて正しい対立遺伝子標的の存在下に連結される。連結反応産物配列の相補的コピーが第2工程においてシクエナーゼでつくられる。シクエナーゼは修飾T7ポリメラーゼであって有用な容易に不活性化されるポリメラーゼ(すなわちE.coliポリメラーゼなどの中温性ポリメラーゼ)を有する。連結反応産物配列および未反応プローブの両方が第3工程においてウラシルN−グリコシラーゼで破壊される。ウラシルN−グリコシラーゼを用いる利点は、PCRの持ち越し防止についてその証明された能力である。最後にPCRプライマーセットが利用されて、第4工程においてシクエノーゼ伸長産物が増幅される。第5a工程において、特定セットのLDRオリゴヌクレオチドプローブがユニーク長産物を産生し、プローブまたは他の連結反応産物と識別される。PCR反応後、産物はサイズまたは電気泳動運動性により分離される。PCRプライマー上の標識が検出され、産物はサイズにより識別される。第5b工程において、特定セットのLDRオリゴヌクレオチドプローブがユニーク長産物を産生し、プローブまたは他の連結反応産物と識別される。複数のオリゴヌクレオチドプローブセットを使用することにより、すべての産物が識別される。各セットは、(a)連結反応産物配列の5’上流プライマー特異的部分に同じ配列を含有する上流プライマーおよび(b)連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分に相補的な下流プライマーを特徴とする。1つのプライマーは検出可能レポーター標識を有し、他のプライマーはその5’末に連結したアドレス可能ヌクレオチド配列(アドレス可能ヌクレオチド配列がPCR反応後単鎖を残すように)を含有する。相違する特定の部位に固定された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有するDNAアレイを準備して(捕捉オリゴヌクレオチドはプライマー上のアドレス可能ヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する)、PCR伸長産物がDNAアレイにハイブリダイズできる。最後に、特定部位でDNAアレイに固定されたアドレス可能アレイ特異的部分を用いて、捕捉された伸長産物配列の標識が検出される。これはサンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を表す。
【0100】
図19は、サイズを基とする、またはDNAアレイを基とする検出によるウラシルN−グルコシラーゼ選択を用いる定量的対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスを表す流れ図である。この流れ図は、第2工程のLDR相開始点で第1工程におけるマーカー配列を加えることにより相違する標的(特に低存在量の癌変異)をいかに定量するかを示す。図18で記載したように、生化学反応(すなわちシクエナーゼ処理(第3工程)、ウラシルN−グリコシラーゼ選択(第4工程)およびPCR(第5工程)が進められ、マーカー産物に対する変異産物の相対量が毛管またはゲル電気泳動(第6a工程)あるいはアドレス可能アレイ上の捕捉(第6b工程)によって定量される。この情報から元のサンプル中の変異標的量が測定される。
【0101】
図20は、モノヌクレオチドまたはジヌクレオチド反復多形性検出のためにウラシルN−グルコシラーゼ選択を用いる(第2工程)対立遺伝子特異的LDR(第1工程)/PCR(第3工程)を表す模式図である。LDR/PCRプロセスの最も強力な使用の1つは、ヌクレオチド反復多形性の検出であって、対立遺伝子特異的PCRでは達成できず(3’ヌクレオチドが常に同じであるから)、またPCR産物サイズ変化の観察でも容易に達成できない(増幅中にTaqポリメラーゼが滑ることによる)ものである。図20において、LDR(第1工程)オリゴヌクレオチドプローブはA9とA10モノヌクレオチド反復配列を熱安定性DNAリガーゼの特異性によって識別する。LDR産物のみが正しい長さの標的配列上で形成し、そしてこの標的の存在が第5工程で識別される。
【0102】
図21は、低存在量のモノヌクレオチドまたはジヌクレオチド反復配列の検出のためのウラシルN−グリコシラーゼ選択を用いる対立遺伝子特異的LDR/PCRプロセスを表す流れ図である。モノヌクレオチド反復長変異は図18記載のように識別される。図21において、LDRオリゴヌクレオチドプローブは、A8、A9(変異)およびA10(正常)モノヌクレオチド反復配列間を熱安定性DNAリガーゼの特異性によって識別する(第1工程)。シクエナーゼ処理(第2工程)次いでウラシルN−グリコシラーゼ選択(第3工程)が実施される。2つの上流LDRオリゴヌクレオチドプローブはその標的特異的部分の3’末でモノヌクレオチド配列の長さが異なり、相違する5’上流プライマー特異的部分を有する。このように、相違するプライマー(PCR増幅(第4工程)における)は異なる蛍光群(FamおよびTet)により標識されて、産物の検出が可能となる。これには、サイズの代わりに蛍光標識に基づいてモノヌクレオチド反復多形性を識別し得るという顕著な利点がある。サイズに基づくと、ポリメラーゼ滑りのために偽の正反応が起きやすい。アレイに基づく検出法では、上流(対立遺伝子特異的)プローブは異なる5’上流プライマー特異的部分を有し、異なるPCRプライマーがPCR反応後に単鎖を残す相違アドレス可能アレイ特異的部分を含有する。
【0103】
図11−17に関して記載されたLDR/エクソヌクレアーゼ/PCRプロセスおよび図18−21のLDR/シクナーゼ/ウラシルN−グリコシラーゼ/PCRプロセスのセットは、多重検出の利用をもたらし、そしてPCRが多くの相違する標的配列を増幅して、すべて単一の反応チューブにおいて多重単一塩基または配列変化を識別する。これはPCRの感受性とLDRの選択性を組み合すことにより達成される。変異配列の選択がPCRよりもむしろLDRで調節されるので、1次PCR/2次PCR/LDRプロセスは偽の正反応シグナル産生が起こりにくい。さらに、1次PCR/2次PCR/LDRプロセスは、密接クラスター変異の検出、単一塩基または小さい反復配列における小さい挿入および欠失の検出、正常DNAの高バックグランドにおける1%以下の変異の定量的検出、および連結反応産物配列の検出をアドレス可能アレイを用いて可能とする。小さい反復配列における小さい挿入および欠失の検出は、1次増幅がPCRであるとき、“どもり”を起こすことがある。現在の技術ではこの問題を適当に解決することができない。特に、モノヌクレオチド反復多形性を含有する標的配列が正常DNAよりも低い存在量で存在するときは、解決できない。実際、反復配列活性化を含むゲノム変異の解析はPCR“どもり”問題に深刻に悩んでいる。本発明のLDR/PCRプロセスを用いることにより、正常DNAの高バックグランドにおける1%を下まわる変異を検出することが可能である。このプロセスにおいて当面している唯一の比較的軽い問題は、変異を知らねばならないことおよび3種の相違する酵素/反応条件を用いなければならないことである。
【0104】
III.1次PCR/2次PCRプロセス
本発明の第三の実施態様は、1以上の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している複数の配列の2以上を同定するための方法に関する。この方法は、複数の配列相違がある1以上の標的ヌクレオチド配列を含有するかも知れないサンプルを2つの連続するポリメラーゼ連鎖反応相にかけることを含む。
【0105】
第1ポリメラーゼ連鎖反応相において、1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー群が準備される。各群は2以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー・セットを含有する。各セットは、標的特異的部分と5’上流第2プライマー特異的部分を保持する第1オリゴヌクレオチドプライマー、および標的特異的部分と5’上流第2プライマー特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプライマーを有する。同じ群の各セットの第1オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流第2プライマー特異的部分を有し、同じ群の各セットの第2オリゴヌクレオチドプライマーは同じ5’上流第2プライマー特異的部分を有している。特定のセットのオリゴヌクレオチドプライマーは、対応する標的ヌクレオチド配列の相補鎖でのハイブリダイゼーションに適しており、ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成をもたらす。しかし、1次オリゴヌクレオチドプライマーがサンプル中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに、該ポリメラーゼ連鎖反応産物の形成を妨害するミスマッチがある。特定のセットにおけるポリメラーゼ連鎖反応産物は、同じ群または他の群を有する他のポリメラーゼ連鎖反応産物と識別され得る。1次オリゴヌクレオチドプライマーをサンプルおよびポリメラーゼと混合して、第1ポリメラーゼ連鎖反応混合物とする。
【0106】
1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、1次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異部分が標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。伸長処理によってハイブリダイズ1次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次オリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列に相補的な1次伸長産物を形成する。
【0107】
1次オリゴヌクレオチドプライマーの上流2次プライマー特異的部分は標的DNAに存在しないが、その配列は1次ポリメラーゼ連鎖反応相の第2以後のサイクルで複写される。結果として、第2サイクル後の1次伸長産物は、その5’末端に2次プライマー特異的部分、そしてその3’末端にプライマー特異的部分の補体を有する。
【0108】
本発明のこの実施態様での第2ポリメラーゼ連鎖反応相において1つまたは複数の2次オリゴヌクレオチドプライマーセットが準備される。各セットは、検出可能レポーター標識を保持し、かつ第1の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第1の2次プライマー、および第1の2次プライマーに相補的な第1の1次オリゴヌクレオチドと同じ1次オリゴヌクレオチドプライマーセットに由来する第2の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第2の2次プライマーを有する。2次オリゴヌクレオチドプライマーのセットは、各群において1次伸長産物を増幅する。2次オリゴヌクレオチドプライマーを1次伸長産物およびポリメラーゼと混合して、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物とする。
【0109】
2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、実質的に上記したように、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけられる。ハイブリダイゼーションの際に、2次オリゴヌクレオチドプライマーが1次伸長産物にハイブリダイズする。伸長処理によって、ハイブリダイズした2次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次伸長産物に相補的な2次伸長産物を形成する。2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルに掛けた後に、標識2次伸長産物が検出される。これはサンプル中おける1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を表す。
【0110】
図22は、ミクロサテライト反復体の検出のための本発明による1次PCR/2次PCRプロセスを表す流れ図である。第1工程において(すなわち1次PCR相)、DNAサンプル作成後、Taqポリメラーゼをホットスタート条件で用いて、標的特異的部分と2次プライマー特異的部分とを有するオリゴヌクレオチドプライマーと共に多重エクソンを増幅する。第2工程は2次PCRでありTaqポリメラーゼを用いて、1次PCRプライマーの2次プライマー特異的部分と同じ配列を含有するオリゴヌクレオチドプライマーと共に1次PCR伸長産物を増幅する。2次PCR相で得た伸長産物を第3工程において毛管電気泳動またはゲル電気泳動にかけ、次いで蛍光定量を行う。図の電気泳動の結果は、RBIおよびNM23を含有する両対立遺伝子(すなわち染色体)およびp53についてのヘテロ接合の喪失(すなわち、1つの染色体上の対立遺伝子の喪失の存在を示す。)
図23は、ミクロサテライト反復体における挿入および欠失によるヘテロ接合性の喪失を検出するために、本発明による1次PCR/2次PCRプロセスを表す模式図である。第1工程の1次PCR相は、94℃でのサンプルDNAの変性から始められる。ユニークDNA周ミクロサテライト反復変異に相補的な3’末および2次PCR相で使用される2プライマーの1つに同じ配列を含有する5’末を有する長いPCRオリゴヌクレオチドプライマーは、65℃で標的DNAにアニールする。1次PCR相を10−15サイクル実施する。1次PCR相で使用された長いプライマーは、重複長の範囲を有する対立遺伝子を増幅しない限り、多重化され得る。これらの反応は腫瘍または対応正常DNA上で実施されて、情報的(すなわち、ヘテロ接合)部座が同定されねばならない。第2工程(すなわち2次PCR増幅)において、1次PCRプライマー(1つは蛍光標識されている)の5’末に相補的なプライマーが用いられて、ほぼ等しい効率で1次PCR伸長産物を増幅する。2次PCR伸長産物は分離され、ゲル電気泳動およびジーンスキャン672ソフトウェア−パッケージを用いた373A DNA(Applied Biosystems, Inc.)で解析される。情報部位でのヘテロ接合の喪失領域が同定される。図23の解析は、RBIおよびNM23を含有する両対立遺伝子(すなわち、染色体)およびp53についてのヘテロ接合の喪失(すなわち、1つの染色体上の対立遺伝子の喪失)を示す。
【0111】
IV.一般的プロセス情報
リガーゼ検出反応は、Barany et al.によるWO90/17239、 F. Barany et al., “Cloning, Overexpression and Nucleotide Sequence of a Thermostable DNA Ligase-encoding Gene,” Gene, 109:1-11(1991),および F.Barany, “Genetic Disease Detection and DNA Amplification Using Cloned Thermostable Ligase,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:189-193(1991)(出典明示により本明細書の一部とする)に一般的に記載されている。本発明において、リガーゼ検出反応で2セットの相補的オリゴヌクレオチドが用いられる。これはリガーゼ鎖反応として知られるもので上記3引用に記載されている。他方、リガーゼ検出反応には、オリゴヌクレオチド連結反応検出法として知られる単一サイクル法もある。参照、Landegren, et al., “A Ligase-Mediated Gene Detection Technique,” Science 241:1077-80(1988); Landegren, et al., “DNA Diagnostics -- Molecular Techniques and Automation,” Science 242:229-37(1988); およびLandegren et al. による米国特許第4,988,617号(出典明示により本発明の一部とする)。
【0112】
リガーゼ検出反応相において、変性処理は温度80−105℃でなされ、ハイブリダイゼーションは50−80℃で行われる。各サイクルは変性処理と熱ハイブリダイゼーションを含み、合計で約1−5分間の長さである。典型的には、連結検出反応は変性およびハイブリダイゼーションが2−50サイクル反復される。リガーゼ検出反応相の全時間は1−250分である。
【0113】
オリゴヌクレオチドプローブセットまたはプライマーは、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、修飾デオキシヌクレオチド、修飾ホスフェート−糖−骨格オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドアナログおよびこれらの混合物であり得る。
【0114】
一つの変法において、オリゴヌクレオチドプローブセットのオリゴヌクレオチド各々、ハイブリダイゼーションすなわち溶融温度(すなわち、Tm)66−70℃を有する。これらのオリゴヌクレオチドは長さが20−28ヌクレオチドである。
【0115】
上記したように、オリゴヌクレオチドプローブセットまたはプライマーは検出に適したレポーター標識を有する。有用な標識には、発色団、蛍光分子、酵素、抗原、重金属、磁気プローブ、色素、燐光性基、放射活性物質、化学ルミネセント分子および電気化学的検出分子がある。
【0116】
ポリメラーゼ連鎖反応法はH. Erlich, et. al., “Recent Advances in the Polymerase Chain Reaction,” Science 252:1643-50(1991); M. Innis, et. al., PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Press: New York(1990); およびR. Saiki, et. al., “Primer-directed Enzymatic Amplification of DNA with a Thermostable DNA Polymerase,” Science 239:487-91(出典明示により本明細書の一部とする)に完全に記載されている。
【0117】
本発明の特に重要な態様は、サンプル中の標的ヌクレオチド配列を定量できる能力である。これは、内部(すなわち、標準確立物質をサンプルと共に増幅および検出するとき)または外部(すなわち、標準確立物質を増幅せずに、サンプルと共に検出するとき)的であり得る基準を確立して、多くの方法で達成される。
【0118】
一つの定量法に従い、レポーター標識により発生したシグナルを検出する。このシグナルは、分析するサンプルから製造された連結反応産物を捕捉して得られる。このシグナルの強度は、サンプル中の連結反応産物配列の捕捉で生じるシグナルを既知量の標的ヌクレオチド配列とを比較して目盛曲線から得られる。結果として、分析サンプル中の標的ヌクレオチド配列の量が測定できる。この技法は外部標準を用いる。
【0119】
本発明に関する別の定量法は内部標準を用いるものである。この方法では、サンプルに1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量を加える。さらに、複数のマーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブセットを加えて、リガーゼ、前記のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびサンプルと共に混合物とする。マーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブセットは、(1)マーカー標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分を有する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および(2)マーカー標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプローブおよび検出可能レポーター標識を含有する。特定のマーカー特異的オリゴヌクレオチドセット中のオリゴヌクレオチドプローブは、対応するマーカー標的ヌクレオチド配列が互いに隣接してハイブリダイズするときに、連結反応するのに適している。しかし、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列または添加したマーカー配列がハイブリダイズするときに、このような連結反応を妨害するミスマッチがある。連結反応産物配列の存在は、レポーター標識の検出によって同定される。サンプル中の標的ヌクレオチド配列の量は、マーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から生じた連結反応産物配列の量と他の連結反応産物配列の量を比較することにより測定される。
【0120】
本発明の別の定量法は、複数の配列相違を有する2以上の複数の標的ヌクレオチド配列を含有するサンプルの分析である。標的ヌクレオチド配列に対応する連結反応産物配列は、前記の方法により検出および識別される。サンプル中の標的ヌクレオチド配列の相対量は、発生した捕捉連結反応産物配列の相対量と比較することにより定量される。これはサンプル中の標的ヌクレオチド配列の相対レベルの定量測定を提供する。
【0121】
好ましい熱安定性リガーゼはThermus aquaticusから誘導される。この酵素は生体から単離される。M. Takahashi, et al., “Thermophillic DNA Ligase,” J. Biol. Chem. 259:10041-47(1984)(出典明示により本明細書の一部とする)。他方、これは組換え法でもつくられる。この単離方法およびThermus aquaticusリガーゼ(Thermus themopilusリガーゼも同様)の産生は、Barany, et al.によるWO90/17239およびF.Barany, et al., “Cloning Overexpression and Nucleotide Sequence of a Thermostable DNA-Ligase Encoding Gene” Gene 109:1-11(1991)(出典明示により本明細書の一部とする)に開示されている。
【0122】
これらの引用には、このリガーゼおよびコードDNAについての完全な配列情報が含まれている。他の適当なリガーゼにはE.coliリガーゼ、T4リガーゼおよびPycoccusリガーゼがある。
【0123】
連結検出反応混合物は担体DNAやサケ精子DNAを含み得る。
【0124】
連結検出反応でのハイブリダイゼーション段階は、好ましくは熱ハイブリダイゼーション処理であり、連結反応の接合部において識別されるヌクレオチドを基にしたヌクレオチド配列の間を識別する。標的ヌクレオチド配列間の相違は、例えば、単一核酸塩基の相違、核酸欠失、核酸挿入または再配置である。1以上の塩基を含むこのような配列相違もまた検出できる。好ましくは、オリゴヌクレオチドプローブセットは、実質的に同じハイブリダイゼーション条件下で標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズするように、実質的に同じ長さである。結果として、本発明のプロセスは、感染性疾患、遺伝的疾患および癌の検出を可能とする。環境監視、法医学および食物科学においても有用である。
【0125】
広範囲の感染性疾患が本発明プロセスで検出できる。典型的には、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌感染作用因子によって起きる。種々の感染作用因子の薬剤に対する耐性も本発明を用いて測定できる。
【0126】
本発明により検出できる細菌感染作用因子は、大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、クレブシエラ、シュードモナス、リステリア・モノサイトゲネス、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコバクテリウム・アビウム−イントラセルラレ、エルシニア、フランシセラ、パスツレラ、ブルセラ、クロストリディア、ボルデテラ・ペルツシス、バクテリア状物、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・ニューモニア、B−溶血性連鎖球菌、コリネバクテリア・レジオネラ、ミコプラズマ、ウレアプラズマ、クラミジア、ナイセリア・ゴノレア、ナイセリア・メニンギティデス、ヘモフィラス・インフルエンザ、エンテロコッカス・ファエカリス、プロテウス・ブルガリス、プロテウス・ミラビリス、ヘリコバクター・ピロリ、トレポネマ・パラジウム、ボレリア・ブルグドルフェリ、ボレリア・レクレンティス、リケッチア病原菌、ノカルディアおよびアクチノマイセテスを含む。
【0127】
本発明で検出できる真菌感染作用因子は、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、ブラストミセス・デルマティティディス、ヒストプラスマ・カプスラタム、コシディオイデス・イミティス、パラコシシオイデス・ブラシリエンシス、カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガウトゥス、フィマイセテス(リゾプス)、スポロスリックス・シェンキー、クロモマイコシスおよびマドゥロマイコシスを含む。
【0128】
本発明により検出できるウイルス感染作用因子は、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトTリンパ球好性ウイルス、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、エプスタイン−バールウイルス、サイトメガロウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、オルソミクソウイルス、パラミクソウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、ポリオウイルス、トガウイルス、ブニャウイルス、アレナウイルス、ルベラウイルスおよびレオウイルスを含む。
【0129】
本発明により検出できる寄生虫作用因子は、プラスモジウム・ファルシパルム、プラスモジウム・マラリア、プラスモジウム・ビバックス、プラスモジウム・オバレ、オンコベルバ・ボルブルス、レイシュマニア、トリパノソーマ種、シストソーマ種、エンタモエバ・ヒストリティカ、クリプトスポリジウム、ギアルディア種、トリコモナス種、バラチジウム・コリ、ウシェレリア・バンクロフティ、トキソプラスマ種、エンテロビウス・バーミクラリス、アスカリス・ルンブリコイデス、トリシュリス・トリシウラ、ドラクンクルス・メディネシス、吸虫類、ジフィロボスリウム・ラトゥム、タエニア種、ニューモシスティス・カリニおよびネカター・アメリカニスを含む。
【0130】
本発明はまた感染作用因子による医薬耐性の検出にも有用である。例えば、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・ファエシウム、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス、ペニシリン耐性ストレプトコッカス・ニューモニアエ、多剤耐性マイコバクテリウム・ツベルクローシスおよびAZT耐性ヒト免疫不全ウイルスを本発明によりまた同定できる。
【0131】
遺伝的疾患もまた本発明の方法により検出できる。これは染色体および遺伝的異常のための出生前スクリーニングまたは遺伝的疾患のための出生後スクリーニングにより行い得る。検出可能な遺伝的疾患の例は:21ヒドロキシラーゼ欠損症、嚢胞線維症、フラジレX症候群、ターナー症候群、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ダウン症候群または他のトリソミー、心臓疾患、単一遺伝子疾患、HLAタイピング、フェニルケトン尿症、鎌状赤血球性貧血、テイ・サックス病、サラセミア、クラインフェルター症候群、ハンチントン病、自己免疫疾患、リピドーシス、肥満欠損、血友病、代謝の先天性異常および糖尿病を含む。
【0132】
本発明の方法により検出できる癌は、一般的にオンコジーン、腫瘍抑制遺伝子またはDNA増幅、複製、組換えまたは修復に関与する遺伝子を含む、これらの例は:BRCA1遺伝子、p53遺伝子、APC遺伝子、Her2/Neu増幅、Bcr/Abl、K−ras遺伝子、ヒト乳頭腫ウイルスタイプ16および18を含む。下記の一般的なヒト癌における上記遺伝子の増幅、大きい欠失、点変異および小さい欠失/挿入を同定するために、本発明の様々な態様が用いられる。白血病、大腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、脳腫瘍、中枢神経系腫瘍、膀胱癌、黒色腫、肝臓癌、骨肉腫および他の骨癌、精巣および卵巣癌、頭部・頚部腫瘍および脳新生物を含む。
【0133】
環境監視の領域で、本発明は、天然および工学的生態系ならびに都市廃棄水浄化システムおよび貯水槽中または生物改善を行っている汚染領域のような微小生態系における病原性および常在性微生物の検出、同定および追跡に使用できる。新陳代謝生体異物であり得る遺伝子を含むプラスミドの検出もまた可能であり、集団機能的研究における特異的標的微生物の追跡、または環境的および工学的植物における遺伝的に修飾された微生物の検出、同定または追跡をする。
【0134】
本発明は、また、軍務上の人的あるいは犯罪上の検査、父親検定および家族関係解析のためのヒト同定、HLA適合性タイプ分類、および汚染に関する血液、精液または移植臓器のスクリーニングを含む種々の領域または法医学領域で使用できる。
【0135】
食物および飼料産業において、本発明は広範囲の適用を有する。例えば、ビール、ワイン、チーズ、ヨーグルト、パン等の製造のための酵母のような製造生物の同定および特徴付けのために使用できる。使用の他の領域は汚染に対する産物および処理(例えば、家畜、滅菌および肉処理)の品質コントロールおよび保証に関する。他の使用は、育種目的の植物、球根および種子の特徴付け、植物特異的病原体の同定および種々の家畜感染の検出および同定を含む。
【0136】
望ましくは、オリゴヌクレオチドプローブは、連結反応の接合部における完全相補性のため、対応する標的ヌクレオチド配列と互いに隣接してハイブリダイズするとき、連結反応の接合部で互いに連結するのに適している。しかしながら、セット中のオリゴヌクレオチドプローブがサンプル内に存在する他のヌクレオチド配列とハイブリダイズするとき、連結を妨害する連結反応の接合部の塩基ミスマッチがある。最も好ましくは、ミスマッチは連結反応の接合部の3'塩基に隣接した塩基である。あるいは、ミスマッチは連結反応の接合部に隣接した塩基であり得る。
【0137】
上述のように、検出および定量は、毛管またはゲル電気泳動あるいはアレイ捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物で実施され得る。
【0138】
この目的のための毛管またはゲル電気泳動の使用は既知である。参照、例えば、Grossman, et al., “High-density Multiplex Detection of Nucleic Acid Sequences:Oligonucleotide Ligation Assay and Sequence-coded separation,” Nucl. Acids Res. 22(21): 4527-34(1994)(出典明示により本明細書の一部とする)。
【0139】
捕捉オリゴヌクレオチドアレイを有する固体支持物の使用は、米国特許出願第60/011,359(出典明示により本明細書の一部とする)に完全に開示されている。このようなアレイを使用するときには、上記のPCR相およびLDR相において用いられるオリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブはアドレス可能アレイ特異的部分を有する。LDR相またはPCR相が完了した後、その産物についてのアドレス可能アレイ特異的部分は、単鎖を残し、捕捉相の際に捕捉オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。C. Newton, et al.,“The Production of PCR Products With 5' Single-Stranded Tails Using Primers That Incorporate Novel Phosphoramidite Intermediates,” Nucl. Acids Res. 21(5):1155-62(1993)(出典明示により本明細書の一部とする)。
【0140】
本方法の捕捉相において、混合物は固体支持物と温度45−90℃および60分間までの時間で接触する。ハイブリダイゼーションはカチオン、量排除またはカオトロピック剤を加えることにより促進される。アレイが何10から100アドレスよりなるとき、正しい連結反応産物配列が適切なアドレスにハイブリダイズする機会を持つことが重要である。これは、用いた高温でのオリゴヌクレオチドの熱運動、アレイ表面に接触する液体の機械的運動または電場でのアレイを通るオリゴヌクレオチドの運動により達成される。ハイブリダイゼーション後、アレイを低ストリジェンシー緩衝液および高ストリジェンシー緩衝液で順次洗う。
【0141】
安定な状態でハイブリダイズする捕捉オリゴヌクレオチドおよびアドレス可能ヌクレオチド配列を選択することが重要である。それには、捕捉オリゴヌクレオチドがアドレス可能アレイ特異的部分にハイブリダイズする温度よりも低い温度で、オリゴヌクレオチドセットが標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズするように、オリゴヌクレオチドセットと捕捉オリゴヌクレオチドが立体配座することが必要である。このようにオリゴヌクレオチドが設計されていないと、標的にハイブリダイズする同じオリゴヌクレオチドセットからの隣接未反応オリゴヌクレオチドの捕捉によって、偽の正シグナルが起きる。
【0142】
捕捉オリゴヌクレオチドには、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、修飾デオキシヌクレオチド、ペプチドヌクレオチドアナログ、修飾ペプチドヌクレオチドアナログ、修飾ホスフェート−糖−骨格オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドアナログおよびこれらの混合物がある。
【0143】
アレイを使用するとき、本方法の検出相は、LDRまたはPCR産物が生じているかを走査および同定し、かかる産物の存在を試験サンプル中の標的ヌクレオチド配列の存在・不存在と相関せしめることを含む。走査は、走査電子顕微鏡、共焦顕微鏡、電子結合装置、走査透過電子顕微鏡、赤外線顕微鏡、原子力顕微鏡、電気的コンダクタンスおよび蛍光および燐光造影により行うことができる。相関処理はコンピューターで行う。
【実施例】
【0144】
LDR/PCRプロセス
実施例1―ゲノムDNAの調製
ゲノムDNAを男女2人の健常者ボランティアの血液から標準技術に従って調製した。簡単に説明すると、EDTAを含有する集血管で約12mlの血液を採取した。そのサンプル血を4容量の溶解緩衝液(10mM Tris pH8.0、10mM EDTA)に混合して赤血球を溶解した。10分間氷上でときどき攪拌した後、懸濁物を遠心分離し上澄み液をデカントした。白血球ペレットを20mlの溶解緩衝液に再懸濁させ、上記のプロセスを繰り返した。その後、各ペレットを15mlの消化緩衝液(50 mM Tris pH 8.0、5 mM EDTA、100 mM NaCl、1% SDS)に懸濁し、それに3mg(0.2 mg/ml)のプロテイナーゼKを加えた。細胞を37℃で5時間消化した。消化産物を等量のフェノールで2度抽出し、それから等量の1:1フェノール:クロロホルム混合液で1度抽出し、最後に等量のクロロホルムで抽出した。抽出をするごとに混合液を遠心分離し、次の抽出に使用するために水相を除去した。最後の抽出の後に、水相を除去してから1/10量の3M酢酸ナトリウム、pH 6.5を加えた。次いで2倍量の氷温100% EtOHをそれぞれの溶液に加えてゲノムDNAを沈澱させ、溶液からガラスピペットにスプールした。そのDNA沈澱物を0.75ml量の70% EtOH中で2度洗った。つまり、2度とも手短かに遠心分離して上澄み液を除去できるようにした。2度目に上澄み液を除去した後、残存するEtOHを蒸発させてDNAを0.5mlのTE(10mM Tri-HCl pH 8.0、1mM EDT含有)溶液中に懸濁した。各DNA溶液の1/5希釈物もまたTE中で調製した。
【0145】
第5DNA溶液の濃度を測定するために、それぞれの溶液の1μl、2μl、4μlアリコートを1%アガロース・ゲル上に対照としての既知の量のHindIII消化lambdaDNAと共に装填した。そのゲルを150ボルトで2時間電気泳動緩衝液中の臭化エチジウムで試運転した。ゲルを写真撮影した後に、DNAバンドの明暗度を比較して、1/5希釈物が約100ng/mlの濃度を示すのを判定した。さまざまな腫瘍細胞ラインから抽出したDNA溶液は、他の研究所の好意で入手したものである。それらの溶液の濃度を同様の手法でチェックし、100ng/mlのTE溶液を調製した。
【0146】
ゲノムDNAをTagIで消化するために、25μlの100ng/μl溶液を5μlの10X中程度塩緩衝液(0.5M NaCl、0.1M MgCl Tris、pH 8.0)、20μlの水性ME(すなわち、6mM ME(すなわち、メルカプトエタノール)を含む水)、および400UのTagI制限エンドヌクレアーゼと混合した。消化物を鉱油で覆い、65℃で1時間インキュベートした。1.2μlの500mM EDTAを加え、標本を85℃で10分間加熱して、反応を停止した。DNAの完全な消化を1%アガロース・ゲル上の電気泳動アリコートでチェックした。
【0147】
実施例2−LDRプローブおよびPCRプライマーのためのオリゴヌクレオチド調製
すべてのオリゴヌクレオチドは394A DNAシンセサイザー(Applied Biosystems Division of Perkin−Elmer Corp,Forter City,Ca.)で合成した。6−FAM標識のオリゴヌクレオチドは、合成サイクルに製造業者の指示する修飾(Applied Biosystems Inc.,1994)を使用して、合成し、55℃で4時間経過して脱保護した。LDRオリゴヌクレオチドは、55℃で一晩脱保護した後、エタノール沈澱で精製した。PCR増幅に使用するオリゴヌクレオチドのプライマー特異的部分は10%Aアクリルアミド/7M尿素ゲル上のポリアクリルアミドゲル電気泳動によって精製した。オリゴヌクレオチドは電気泳動の後に照明スクリーン上で紫外線遮蔽法で視覚化し、ゲル(Applied Biosystems Inc.,1192)から削除した。次いでそれらオリゴヌクレオチドはTNE(すなわち、TrisナトリウムEDTA)緩衝液(100mM Tris/HCl、pH8.0、500mM NaClおよび5mM EDTA含有)の中で64℃で一晩溶離し、業者の指示に従ってSep Pakカートリッジ(Millipore Corp.,Milford,MA.)を使用して溶解液から回収した。
【0148】
オリゴヌクレオチドを100μl TE(すなわち、.10mM Tri−HCl pH8.0、1mM EDTA含有)中で再懸濁した。それらの元からのLDRプローブ溶液の典型的な濃度は、下記の公式で定義されるように、およそ1μg/μlすなわち約74pm/μlである。
【0149】
[濃度(μg/μl)X106/長さ(nt)X325]=pm/μl
LDRプローブの濃度を表1に示す。リガーゼ検出反応のオリゴヌクレオチドプローブに相補的なオリゴヌクレオチドの濃度は他と比較して高かった。上記の公式で算出すると、ZipALg1Fは3.75μg/μl、ZipBLg2Rは2.01μg/μl、すなわち、それぞれ524pm/μlおよび281pm/μlであった。
【0150】
【表1】
【0151】
LDR相のために前もって必要な下流LDRオリゴヌクレオチドプローブをT4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化した。200pmに等しい5下流オリゴヌクレオチドのアリコート(表1参照)を10μlの10Xキナーゼ緩衝液(500mM Tris/HCl、pH 8.0、100mM MgCl)、10μlの10mM ATP、20U T4キナーゼ、および十分な水-MEと混合して、最終容量を100μlとした。リン酸化を37℃で30分間実施し、次いで10分間85℃のインキュベーションによってT4酵素を不活性化した。その結果のキナーゼ化LDRプローブ溶液濃度はプローブごとに2pm/μlすなわち2000fm/μlであった。
【0152】
キナーゼの反応は次のように要約される。
【表2】
+2μl=20単位T4キナーゼ
37℃で30分間
ヒート・キル・キナーゼ、85℃で10分間
最終濃度=2pm/μl=2000fm/μl
【0153】
LDRおよびPCRオリゴヌクレオチド溶液を実験に適した濃度に調節した。キナーゼLDRプローブ溶液を水で4倍に希釈して、500fm/μlの濃度を得た。200pmに等しい容量のプローブを十分な水と合わせて上流LDRプローブ溶液をつくり、最終濃度400μlとなるようにした。これによって上流LDRプローブの各溶液は500fm/μlとなった。キナーゼおよび非キナーゼLDRのアリコート(20μl)を次に行う実験に使用するために冷却した。9.5μlのZipALg1Fおよび17.8μlのZipBLg2Rと十分な水とを混合して、元の溶液からPCRプライマーの標準溶液(10pm/μl)をつくり、総容量500μlとした。これらの溶液をLDR/PCRプロセスにおいて使用するために冷却した。
非キナーゼプローブを次の方法で製造した。
【0154】
【表3】
最終濃度=0.5pm/μl=500fm/μl
【0155】
【表4】
【0156】
図24は、LDR/PCRプロセスにおける遺伝子増幅および欠失を定量するためのLDRオリゴヌクレオチドプローブの設計図である。これらのオリゴヌクレオチドプローブは、p53腫瘍抑制遺伝子の中のエクソン8(染色体17p上)、int-2のエクソン3(染色体11q上)、HER-2/neu(すなわち、.HER-2/neu/erbBオンコジーン)中の内在エクソン(染色体17q上)、SOD(すなわち、スーパーオキシドディムスターゼ)中のエクソン3(染色体21q上)、G6PD(すなわち、グルコース6-リン酸塩脱水素酵素)中のエクソン6(染色体Xq上)などを確認できるように設計されている。それぞれの対をなすLDRオリゴヌクレオチドプローブは次のような特徴をもっている:(i)左手のヌクレオチドプローブは5’から3’までの18塩基配列を含み、これは蛍光標識の2次オリゴヌクレオチドプライマー(黒棒)、「アジャストメント配列」(白棒)および75℃のTmを有する22から28までの塩基の標識特異的配列(模様棒)と同一である。(ii)右手のオリゴヌクレオチドプローブは、75℃のTm(模様棒)を有する5’から3’までの20-25塩基の標的特異的配列、標的特異的配列内でわずかにずれた位置を占める一つのHaeIIIまたはHinPlI制限部位および「アジャストメント配列」(白棒)を含有する。この2つのオリゴヌクレオチドプローブはこのように設計されているので、それらの合わせた長さは正確に96塩基で50G+C塩基および46A+T塩基を有する。ユニーク制限部位の位置は少なくとも2つの塩基の差で他と異なる産物を生じる。それぞれのオリゴヌクレオチドプローブセットは、選択されたエクソン特異的領域を有し、(A,T)C↓C(A,T)の接合配列を連結する。この接合配列はプロリン残基(CCNコドン)か、トリプトファン残基(TGG)に相補的な配列かのいずれかに対応する。これらの配列は、連結反応速度の相違および連結反応接合部における多形性の機会を最少にするように選択される。
【0157】
LDRプローブ配列
【化1】
【0158】
PCRプライマー:
【化2】
(下線をほどこした配列は、LDRプローブとZipALg1FまたはZipBLg2Rとの補体の間で共通である。)
【0159】
実施例3−緩衝液および試薬
A.LDR緩衝液および試薬:次のLDR緩衝液および試薬を選択した。
10X STリガーゼ緩衝液(0.2M Tris pH 8.5、0.1M MgCl2) [これはまたTris pH 7.6 でもって試験した。]
10X TTリガーゼ緩衝液(0.2M Tris pH 7.6、0.5M KCL、0.1M MgCl2、5mM EDTA)
NAD(10mM)
DTT(200mM)
各LDRプライマー混合液の1/10の濃度を含むLDRプライマー溶液(1μlにつき各LDRプライマー50fm)
Tth DNAリガーゼ(625U/μl)
B.PCR緩衝液および試薬:次のPCR緩衝液および試薬を選択した。
10X Stoffel 緩衝液(0,1M KCl、0.1M Tris-HCl pH 8.3、Perkin Elemer)
dNTP 溶液(総量100Mm、各dNTP 25mM、Perkin Elmer)。この溶液をdHOH 中で5倍に希釈して、各dNTP 5mM の最終濃度にした。
ZipALg1F(10pm/μl)
ZipBLg2R(10pm/μl)
【0160】
実施例4-LDRおよびPCRプロセス
各DNAについて、4つのLDR/PCRプロセスを実施して、22、24、26、30サイクルに増幅したPCR増幅反応管で試験し1つの反応が指数増殖期において停止するかどうかを確認した。各LDR反応(20μl)は熱循環であり、次いでLDRプローブのプライマー特異的部分に相補的な部分を有するプライマーを含むPCR混合物(30μl)を各標本に加えて指数増幅した。反応管のあいだの差異を最小にするために、LDRおよびPCR試薬の原混合液を作成した。
【0161】
LDR試薬の原混合液は、すべての反応管に使用するに充分な量を作成した。1つの反応に対する混合比率および量は、次のとおりである。
【0162】
【表5】
【0163】
各反応管の標識DNAおよびLDRプローブの混合度は次の比率で作成した。
【表6】
【0164】
各反応に際して、試薬10μlを薄壁PCR管に入れ、急速に10μlのLDR試薬液(リガーゼを含む)と混合し、鉱油で覆い、Perkin Elmer 9600熱循環器に入れた。LDRは96℃で2分間保持することから始め、次の10サイクルの94℃30秒間および65℃4分間でDNAを変性した。
【0165】
各反応管に使用するPCR試薬混合液はつぎの比率で作成した。
【表7】
LDR反応の完結でそれぞれの管を94℃で維持し、一方で30mlのPCR試混合液(Stoffelフラグメントを含む)をそれらの管に加えた。PCR増幅を94℃で15秒、次いで60℃で50秒間の熱循環により実施した。それぞれ22、24、26、30サイクルで、それら4つの各DNA標本の同一反応管の1つを取りだしドライアイスおよびETOHのスラリー中でクエンチした。
【0166】
実施例5−アガロースゲルによる検定
26および30サイクル反応標本10マイクロリッターアリコートを2%アガロースゲル上で検定した。臭化エチジウムによる染色で予想したサイズ(104bp)のバンドが現れた。
【0167】
実施例6−産物の消化、希釈剤の調製、および遺伝子スキャナーにおける装填
遺伝子特異的LDR/PCR産物を分離するために、10μlアリコートの22、24、26サイクル反応物を各5UのHaeIIIおよびHinP1I制限酵素(共にNew England BioLabs製)、2μlの10X制限酵素緩衝液No2(New England BioLabs製)、および8μlのdHOH(すなわち、蒸留水)を含有する10μlの溶液を加えて消化した。消化物を37℃で1時間インキュベートし、次いで1μlの0.5M EDTA(pH 8.0)を加えて消化を停止した。制限消化物は元のLDT/PCR産物の1/2希釈で得た。5μlの各制限消化物を20μlのTE緩衝液に加えて各サンプルの1/10希釈液調製した。
【0168】
ABI373A DNAシーケンサー(Applied Biosystem)にサンプルを装填する前に、2%のブルーデキストランおよび非イオン化ホルムアミドを含む50mM EDTA(pH 8.0)と1;5の混合液を作成した。5μlのEDTAブルーデキストラン溶液に、5μlの消化LDT/PCR産物の希釈液および1μlのGENESCAN 1000ROXマーカー(Applied Biosystems)を加えた。これらの溶液を85℃まで10分間加熱し、素早く氷で冷却した後に5.5μlを変性ゲルに装填した。
サンプルを可視距離12cm、厚味0.4mmの10%ポリアクリルアミド/7M尿素ゲル上で、Applied Biosystems 373A DNAシーケンサーの中で分析した。ゲルマトリックスを1.2xTBE(106mM Tris-ホウ酸塩、2.4mM EDTA、pH 8.3)および、0.6×TBE(53.4mM Tris-ホウ酸塩、1.2mM EDTA、pH 8.3)を含む電気泳動チェンバー緩衝液とで処理した。ゲルを電極逆方向性(ゲルの頂上にあるサンプルウエルを有するチェンバーの陽極)でもって、サンプル装填に先立って1600ボルトで30分間試運転した。装填の後、遺伝子特異的LDR/PCR産物を1200ボルトで電気泳動し、ABI762 Data Collection Software、V1.1(Applied Biosystems)を使用して第一次のデータを得た。
【0169】
ABI672 Gene Scan Analysis Software、V1.2.2(Applied Biosystems)を使用して、結果のデータを電気泳動濃度図で表示し、ピーク値とピーク域を計算した。
【0170】
健常女性において、ErbB2ピーク値は低く、p53ピーク値は他の3つのピーク値よりわずかに低い。図25A-Dを参照されたい。いくつもの実験において、ErbB2ピーク値は常に低く、G6PD、Int.2、p53およびSODなどのピーク域はいくぶん異なるが、実験でサンプルを取り替えても、5つのピーク値すべてが同じ相対的なプロフィルを示す。男性のDNAを女性のと比較してみると、G6PDピーク値が他のピーク値のおよそ半分の範囲であり、男性の1個のX染色体と一致し、一方、その他のピーク値は基本的に同じであった。NM10乳癌細胞ラインについてのErB2ピークはわずかに上昇しており、これら細胞ラインにおける既知のErbB-2遺伝子の増幅を反映して、細胞ラインSKBR3におけるErB2ピークは健常女性のコントロール値より幾倍か大きい。加えて、NM10細胞ラインはp53のLOH(すなわち、ヘテロ接合性の喪失)を経たようであり、一方、SKBR3細胞ラインは、G6PDおよびp53のLOHを経たようである。SKBR3細胞ラインにおける細胞のいくつかは、p53遺伝子の両方の複製を喪失しているようである。ErbB2プライマーを欠いた状態でこれらの増幅の繰り返しを行い、これらの追加遺伝子欠失(下記参照)の存在を確認した。
【0171】
これらの結果は、各ピーク値におけるピーク域を当該実験についての標準値の各ピーク(SODピーク域)に対する割合と比較することで定量化できる。ピーク域の生データおよび割合は下記に表示する。
【表8】
【表9】
【0172】
各割合はそれぞれの遺伝子によって相異するが、(これは各遺伝子に対するLDR/PCRの効率の差異による)G6PD/SODの割合を除けば、それぞれ割合の値は男女間で概して同じである。女性のG6PD値は男性のおよそ2倍であり、それぞれX染色体が女性に2つ、男性に1つ存在することを正確に反映している。健常者DNAと癌細胞ラインとのピーク域の割合を比較することにより、ErbB2増幅を定量できる。
【0173】
【表10】
【0174】
これらの割合から、健常男女は17q(ErbB)、17p(p53)、11q(Int2)の染色体に同じ数の遺伝子を持つが、女性は2倍のG6PD遺伝子すなわちX染色体をもつと結論できる。
【0175】
さらにこれに加えて、細胞ラインNM10はわずかなErbB-2遺伝子の増幅を示したが、一方で、細胞ラインSKBR3はErbA-2遺伝子、G6PDおよびp53でのLOHの顕著な増幅を示した。追加的遺伝子増幅および欠失を確認するために、大増幅の原因となるプライマー対をLDR/PCR反応から除去される(下記参照)。
【0176】
健常女性において、ErbB2ピーク値は残りの4つのピーク値より低い。いくつかの実験において、G6PD、Int-2、p53、SOD等のピーク値は幾分の差異はあるが、サンプルを変えても同じ相対的プロフィルを示す。図26A−Cを参照されたい。ErbB2ピーク値は常に低く、理由はわからないがG6PDおよびSODピーク値においてわずかな特性曲線の肩が観察される。両方の細胞ラインサンプルにおけるErbB-2のピーク値は、健常女性コントロール値より幾倍か大きく、それら2つの細胞ラインの既知のErbB-2遺伝子増幅を反映している。さらに、ZR-75-30ラインはp53のLOHを示すようであり、一方、SKGT-2細胞ラインはInt-2領域のわずかな増幅を持つようである。ErbB-2プライマーの不存在でLDR/PCRの実験を繰り返すことにより、これらの結果が高レベルのErbB-2増幅の産物ではないことが判明した。図27A−Cを参照されたい。LDR/PCRフォーマットを使用した多重対立遺伝子の増幅および欠失について示した。図26A−Cおよび27A−Cを参照されたい。
【0177】
繰り返すが、これらの結果は、各ピーク値におけるピーク域をその実験について標準値の各ピーク(SODピーク域)に対する割合と比較することによって定量できる。ピーク域の生データおよび割合を次に示す。
【表11】
【0178】
【表12】
【0179】
4つのプライマーセットと5つのプライマーセットの実験間で、比率は見事に一致している。唯一の例外はSKGT2細胞ラインに対するG6PDピーク値で、この場合は、ErbB-2に対する大きなピーク値がG6PDピーク値に追加されているようである。
【0180】
ErbB2およびInt-2の増幅量をp53の欠失と同様に、正常DNAと癌細胞ラインとのピーク域割合を表8に示すように比較することで定量できる。
【0181】
それに加えて、4つのセットのプライマー使用からの割合を5セットのプライマーと比較して、本技術の内在的一貫性を確かめることができる。
【表13】
【0182】
表8における上半分の数値は、4つまたは5つのプライマーを使用して、LDR/PCR技術が内在的に一貫しているならば、すべて1.0に近くなるはずである。すべての数値が1.0に非常に近くなっている。繰り返すが、SKGT2に対するG6PDの数値は、すでに述べた理由で少し低い。
【0183】
表8における下半分の数値は、ErbB-2増幅の程度を示す。数字は4プライマーおよび5プライマー増幅についてかなり一致している。(ただし、上記のとおりSKGT2−G6PDの場合は例外である。)ZR7530細胞ラインはp53に対する明確なLOHを示し、一方で、SKGT2細胞ラインはInt−2領域および存在する両p53遺伝子の増幅を示す。
【0184】
一次PCR/二次PCR/LDRプロセス
実施例7−オリゴヌクレオチド合成法
オリゴヌクレオチドを標準ホスホラミジト化学によってExpedite DNAシンセサイザー(Perspective Biosystems, Framingham,MA)の上に集めた。6−FAM、TET、HEXによる5’−末標識のオリゴヌクレオチドを適切なダイ・ホスホルアミジド(Perkin Elmer-Applied Biosystems)を使用して合成し、製造業者のプロトコル(Applied Biosystems Division-Perkin Elmer Crop.,「ダイ・ホスホルアミジドを使用した蛍光標識オリゴヌクレオチドの合成と精製」“User Bulletin、第78号、Applied Biosystems Division, Foster City,Ca,(1994)(出典明示により本明細書の一部とする))に従って、オリゴヌクレオチド精製カートリッジ(Perkin Elmer-Applied Biosystems)で精製した。すべてのオリゴヌクレオチドを、mPAGE−3カラム(J&W Scientific, Folsom,CA)を使用してApplied Biosystems 270−HTの毛管電気泳動器で精製度をチェックした。精製度95%以上のオリゴヌクレオチドだけを実験に使用した。オリゴヌクレオチドを250ml TE(10mM Tris/HClおよび5mM EDTA、pH 8.0)中に再懸濁した。典型的濃度は未精製貯蔵溶液で300〜500mMであり、OPC(すなわち、Oligonucleotide Purification Columns, Applied Biosystems市販)について100−200mMである。PCRおよびLDRについては、オリゴヌクレオチドを希釈して、10mM(10 pmoles/ml)または5mM(5pmoles/ml)を使用溶液とした。
【0185】
実施例8−LDRオリゴヌクレオチドのリン酸化
12LDR共通オリゴヌクレオチドを5’末で蛍光標識オリゴヌクレオチドとに連結反応できるようにリン酸化した。そのオリゴヌクレオチドを下記の表に示す。
【0186】
表9 LDRオリゴヌクレオチドの配列
【表14】
【0187】
対立遺伝子オリゴヌクレオチドはFAM、TETまたはHEXのいずれかで5’末が標識されている。全共通オリゴヌクレオチドは5’末でリン酸化される。下線は標的配列に相補的でないテイルを表す。LDRプライマーは2方法により設計された:(i)対立遺伝子プライマーは同じ長さであるが、FAMまたはTET標識のいずれかを含有する、(ii)対立遺伝子プライマーは両者ともにHEXで標識されるが、2塩基の長さで相違する。
【0188】
このリン酸化は、製造業者の指示に従うPhosphate-ON(Clontech Laboeatories,Palo Alto.Ca)での合成工程の間か、あるいはT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Boehringer Manheim, Indianapolis,IN)を使用して合成後かのいずれかで達成した。後者の場合には共通オリゴマーを50μlのキナーゼ緩衝液(50mM Tris/HCl、10mM MgCl2、1mM ATP)で希釈し、最終濃度を1mM(50μl中500pmol)とした。10単位のT4キナーゼを加え、37℃で30分間培養した。T4キナーゼを95℃で10分間加熱して不活性化した。
【0189】
キナーゼ反応を次のように実施した。
【0190】
【表15】
37℃で30分間
95℃で10分間
最終濃度=10mM
【0191】
実施例9−多重PCRの増幅
12の遺伝子領域(2−13)を同時PCR増幅のために選んだ。これは下記の表10に示すHuman Genome Databaseから購入できる資料に基づいている。
【表16】
【0192】
部位番号は、それぞれの遺伝子内に位置する特異的単鎖点変異である。すべての表記した変異はセンス鎖により定義する。遺伝子銀行番号は()内の番号で示す。
【0193】
表10の参考文献
2 M.Armstrong, et al., “A Polymorphic Cfo I Site In Exon 6 of the Human Cytochrome P450 CYPD6 Gene Detected by the Polymerase Chain Reaction, ”Human Genetics 91:616-17 (1993), which is hereby incorporated by reference.
3 S.C. Bock, et al., ”Antithrombin III Utah: Proline-407 to Leucine Mutation in a Highly Conserved Region Near the Inhibitor Reactive Site, ”Biochemistry 28:3628(1991), which is hereby incorporated by reference.
4 G. Dewald, et al., ”Polymorphism of Human Complement Component C6: An Amino Acid Substitution(glu/ala)Within the Second Thrombospondin Repeat Differentiates Between the Two Common Allotypes C6 A and C6 B, ”Biochem, Biophys. Res. Commun.194:458-64(1993), which is hereby incorporated by reference.
5 P.A. Velden, et al., ”Amino Acid Dimorphism in IL1A is Detectable by PCR Amplification,” Hum. Mol. Genet. 2:1753(1993), which is hereby incorporated by reference.
6 R.M. Cawthon, et al., ”Identification and Characterization of Transcripts From Theneurofibromatosis 1 Region: The Sequence and Genomic Structure of EV12 and Mapping of Other Transcripts,” Genomics 7:555-65(1990), which is hereby incorporated by reference.
7 C.C. Brooks, et al.,” Association of the Widespread A149P Hereditary Fructose Intolerance Mutation With Newly Identified Sequence Polymprphisms in the Aldolase B Gene,” Am. J. Human Genetics 52:835-40(1993),which is hereby incorporated by reference.
8 W, Poller , et al., ”Sequence Polymorphism in the Human Alpha-2- Macroglobulin (A2M) Gene, ”Nucleic Acid Res. 19:198(1991), which is hereby incorporated by reference.
9 T. Gloudemans, “ An Ava IIRestriction Fragment Length Polymorphism in the Insulin-Like Growth Factor IIGene and the Occurrence of Smooth Muscle Tumors, ”Cancer Res.53:5754-58(1993) , which is hereby incorporated by reference.
10 C.M Diepstraten, et al., ”A CCA/CCG Neutral Dimorphism in the Codon for Pro 626 of the Human Protein S Gene Pa(PROS1),” Nucleic Acids Res. 19:5091(1991), which is hereby incorporated by reference.
11 M. Reina, et al., ”SSCP Polymorphism in the Human Hepatic Triglyceride Lipase(LIPC)Gene,”Hum.Mol.Genet.1:453(1992), which is hereby incorporated by reference.
12 S. Matuura, et al., “Investigation of the Polymorphic AvaII Site by a PCR-based Assay at the Human CD18 Gene Locus ,”Human Genetics 93:721(1994), which is hereby incorporated by reference.
13 L. Warnich, et al., ”Detection of a Frequent Polymorphism in Exon 10 of the Low-Density Lipoprotein Receptor Gene,” Human Genetics 89:362(1992), which is hereby incorporated by reference.
それぞれの領域はよく特徴が出ており、2つの公知の対立遺伝子だけが単塩基変異として表れている。PCR増幅は全血から製造業者の掲示に従ってパージーンDNA単離キット(Gentra Systems, Inc., Minneapolis, MI)で分離したゲノムDNAを使用して実施した。
【0194】
25μlのPCR緩衝液(10mM Tris/HCl、pH 8.3、10mM KCl、4mM MgCl2、0.4mM各々dNTP)、10−100ngのゲノム標識DNA、バイブリッドPCRプライマー対1〜12(各プライマー2pmol)、1.3単位のAmpliTaq DNAポリメラーゼStoffelフラグメント(Applied Biosystems)等を薄肉MicroAmp反応管(Applied Biosystems)に入れた。それぞれのハイブリッドプライマーは、遺伝子特異的3’領域(16〜29塩基)および5’領域(22塩基)から成り、1ないし2セットのユニバーサル(すなわち、プライマー特異的部分)のプライマー(図4参照。F1=Tet、F2=Fam、F3=Het)と対応する。これらのプライマーについては表11に示す。
表11 1次PCRプライマー配列
【表17】
【0195】
遺伝子座1,3,5,7,10,12における順方向および逆方向ハイブリッドプライマーはユニバーサルプライマーALg1およびBLg2のそれぞれと同一の5’末端領域を含んでいた。座2、4、6、8、9および11についての順・逆プライマーはそれぞれ、ユニバーサル・プライマーCLg3およびDLg4に同じ5’末端領域を含有していた。PCR相において、低密度のハイブリッドプライマーを使用する根本理由は、反応過程中にハイブリッドプライマーを空にするためである。これは、理論的には低増幅効率の産物が高増幅効率の産物に「追いつく」ことが可能であることを示す。増幅は、96℃で15秒間の1サイクルで変性させる熱循環と、それに次いで94℃で15秒間の15サイクルで変性させ、65℃で60秒間アニールして伸張することで達成した。
【0196】
高濃度の2対のユニバーサルプライマー(各プライマーが25pmol;表2参照)と、それと同容量のAmplitaq DNAポリメラーゼStoffelフラグメントの1.3単位をMicroamp反応管に加え、別の25サイクルに対してアニール温度を55℃に下げて熱循環を実行した。上流ユニバーサルプライマーALg1およびCLg3をそれぞれ6−FAMおよびTETで蛍光標識した。すべての熱循環をGeneAmp PCR System 9600熱循環器(Applied Biosystems)で達成した。
一次PCRプロセスを次の條件で実行した。
【0197】
【表18】
【0198】
一次PCR循環條件は次の通り:
96℃15''
94℃15''、65℃1’x15
65℃ Hold(維持)
二次PCRプロセスを次の條件で実行した。
【0199】
【表19】
【0200】
二次PCR循環條件は次の通り:
94℃15''、55℃ 1’×25
4℃ Hold(維持)
【0201】
PCR産物をApllied Bisystems 373 DNAシーケンサーで分離した。3mlアリコートのPCRサンプルを蛍光標識Genescan−2500[TAMRA]サイズスタンダード(Apllied Biosystems)を含む3mlのホルムアミドと混合した。50ml Genescan−2500サイズスタンダード[TAMR]を450mlのホルムアミドに加えることによって、ホルムアミドのスタンダード溶液を調製した。サンプルを95℃で2分間加熱し、氷中で急速に冷却し、Genescanのバージョン1.2ソフトウェアでApplied Biosystems 373 DNAシーケンサー中の変性化8%ポリアクリルアミドゲルを通して電気泳動させた。蛍光標識産物のサイズをGenescan分析ソフトウェアによって、局所サザン法を使って自動的に計算した。電気泳動濃度図で12の産物がはっきりと判明した(図28)。各産物の均等な量は、アンプリコンのサイズの類似および2次プライマーに対し相補的な部分を有する1次プライマーの使用に起因する。この2次プライマーは同一の親和力で12のアンプリコンに注意深い反応條件の調整をしなくてもアニールする。産物のコンピューターで計算したサイズは135〜1756pの範囲で、正確にそれらの実際のサイズと一致した(表12参照)。
【0202】
表12−PCRおよびLDRの産物一覧表
【表20】
【0203】
二重標識の方法(表12)によって、産物を電気泳動濃度図で識別するのがいっそう容易となった。(図28において、パネルAとパネルBおよびCとを比較されたい。)
【0204】
実施例10−多重リガーゼ検出反応
標識PCR産物がリガーゼ産物の配列の検出を妨げるのを避けるために、PCR産物をLDRの標識として使用する非標識PCRのユニバーサルプライマーを使って、PCR産物を増幅した。PCR内のポリメラーゼを解凍法によるか、あるいはEDTA/プロテイナーゼKを加えて、それぞれ5mMおよび100mg/mlの最終濃度にし、37℃で30分間、さらに95℃10分間加熱することによって不活性化した。
プロテイナーゼK消化を次の條件で行った:
【表21】
60℃で60分間
95℃で10分間、プロテイナーゼK加熱停止
【0205】
4μlのPCR産物を50mM Tris/HCl pH 8.5、50mM KCl、10mM MgCl2、lmM NAD+、10mM DTT、LDRオリゴヌクレオチドセット1〜2(各ヌクレオチドが200fmol)、10単位のThermus aquaticus DNAリガーゼ(Barany, F. and Gelfand, D.,“Cloning, Overexpression, and Nucleotide Sequence of a Thermostable DNA Ligase-Encoding Gene,” Gene,109:1−11(1991)、(出典明示により本明細書の一部とする。)を含む20μlのLDR混合液で希釈した。各LDRオリゴヌクレオチドプローブセットは、2つの対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドおよび1つの共通ヌクレオチドを含む。LDRオリゴヌクレオチドプローブセット1,2,3,4,5,6,7,8,9における識別可能な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブの各一対は、サイズが等しく一方のオリゴヌクレオチドは6FAM標識であり、他のオリゴヌクレオチドはTET標識であった。LDRオリゴヌクレオチドプローブセット5,10,11,12に対して、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドの各一対は、2つの塩基(大きい方のオリゴヌクレオチドは標的配列に相補的でない5’テイルを有する)で相異し、両方のオリゴヌクレオチドはHEX標識である。熱循環を実施して95℃2分間1サイクルで変性し、次いで95℃30秒間20サイクルで変性し、65℃4分間で連結反応した。
LDRプロセスを次のとおり実行した。
【0206】
【表22】
【0207】
リガーゼのストック:
0.5μlの625u/ml +3.2μl 10X緩衝液 +27.5μl H2O
LDRサイクリングの條件は次のとおり:
94℃ 2’
94℃ 30'', 65℃×20
4℃ Hold(維持)
【0208】
3μlアリコートのLDRサンプルを3μlの標準サイズ(Applied Biosystems)蛍光標識Genescan−2500[TAMRA]と混合せしめた。サンプルを95℃で2分間加熱し、氷中で急速冷却し、Genescanの1.2バージョンソフトウエアでApplied Biosystems 373DNAシーケンサー中の変性化10%ポリアクリルアミドゲルを通して、電気泳動させた。蛍光標識産物のサイズをGenescan分析ソフトウエアによって、局所サザン法を使って自動的に計算した。2つの固体のLDRプロフィルを図29に示す。それぞれの蛍光着色を独立して分析すると(図29、パネルB−D,F−H)、各遺伝座ごとに存在する対立遺伝子の測定は非常に容易であった。各LDR産物(表12)に単純な”A”あるいは”B”コードをつけて、遺伝子型にコードを割り当てるのに使用した。次の表13を参照されたい。
【0209】
表13-PCR-LDRで測定した5個体の遺伝子型
【表23】
【0210】
最初の個体(図29A〜D;表13の個体1)は、多形体部位においてヘテロ接合体である。個体部位1〜4および6〜7におけるヘテロ接合体は、電気泳動濃度図上のそれぞれの位置における6-FAMおよびTET標識の産物(図29、パネルBおよびC)両方を検出することによって判明した。個体部位5,11,12におけるヘテロ接合体はそれらの各遺伝子座(図29、パネルD)に対して2つの塩基のサイズが相異する2つのHEX標識産物の存在によって判明した。それに反して、個体部位8および9(図29、パネルB、C)で検出した1つの産物によって、それらの各遺伝子座がそれぞれホモ接合体であることが立証された。
【0211】
第2の個体(図29E〜FおよびG〜H、表13の個体2)がヘテロ接合体であったのは、個体部位3,5,6,9だけであり、1,2,4,7,8,10,11,12の個体部位でホモ接合体であった。2人の試験者の間のこれらの位置における遺伝子型には合計8つの相異があった。3人の試験者を加えて型を判別した結果、5人のすべての試験者が12遺伝子座(表13)に基づいた明確な遺伝子型をもっていた。
【0212】
本発明は、説明するために詳細に記載したが、説明のためのみに詳述したのであり、以下の請求の範囲で定義している本発明の精神および範囲からそれない限り、当業者は修飾を施すことができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1】電気泳動またはアドレス可能アレイ上の捕捉による点変異などの生殖細胞系変異の検出のための1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す流れ図である。なお、図1および他の図における用語“ジップコード”は、後に用いられるプライマーまたはプローブの特異的な配列を意味するが、標的配列または他のゲノム配列を意味しない。
【図2】電気泳動またはアドレス可能アレイ上の捕捉によるバイ対立遺伝子多形性の検出のための1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す流れ図である。
【図3】電気泳動またはアドレス可能アレイ上の捕捉による癌関連変異の検出のための1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す流れ図である。
【図4】バイ対立遺伝子多形性の検出のための1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す模式図である。
【図5】与えられた部位ですべての可能性ある塩基を識別するLDRオリゴヌクレオチドプローブを用いて、対立遺伝子の相違の検出のための1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す模式図である。
【図6】与えられた部位ですべての可能性ある塩基を識別するLDRオリゴヌクレオチドプローブを用いて、2つの近接する部位の可能性ある塩基の存在を検出のための1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す模式図である。
【図7】隣接する対立遺伝子での癌関連変異の検出のための1次PCR/2次PCR/LDRプロセスを表す模式図である。
【図8】電気泳動検出を用いて制限エンドヌクレアーゼ消化の有無でのLDR/PCRプロセスを表す流れ図である。
【図9】遺伝子特異的アドレスを用いるアドレス可能アレイでの検出のためのLDR/PCRプロセスを表す流れ図である。
【図10】遺伝子増幅および欠失の多重検出のためのLDR/PCRプロセスを表す模式図である。
【図11】LDR/PCRプロセスのための対立遺伝子特異的問題を表す模式図である。
【図12】図11に表されたLDR/PCRプロセスのための対立遺伝子特異的問題の解決を表す模式図である。
【図13】電気泳動またはアドレス可能アレイ上の捕捉による2対立遺伝子多形性の検出のための中間的エクソヌクレアーゼ消化相を有するLDR/PCRプロセスを表す流れ図である。
【図14】電気泳動またはアドレス可能アレイ上の捕捉による癌関連変異の検出のための中間的エクソヌクレアーゼ消化相を有するLDR/PCRプロセスを表す流れ図である。
【図15】対立遺伝子特異的変異および多形性の検出のための中間的エクソヌクレアーゼ消化相を有するLDR/PCRプロセスを表す模式図である。
【図16】モノヌクレオチド反復多形性検出のための中間的エクソヌクレアーゼ消化相を有するLDR/PCRプロセスを表す模式図である。
【図17】低存在量のモノヌクレオチド反復多形性検出のための中間的エクソヌクレアーゼ消化相を有するLDR/PCRプロセスを表す模式図である。
【図18】中間的配列伸長相、およびLDR相の後でPCR相の前でのウラシルN−グリコシラーゼ消化相を有し、および電気泳動またはアドレス可能アレイによる検出を有するLDR/PCRプロセスを用いての多形性検出を表す流れ図である。
【図19】中間的配列伸長相、およびLDR相の後でPCR相の前でのウラシルN−グリコシラーゼ消化相を有し、および電気泳動またはアドレス可能アレイによる検出を有するLDR/PCRプロセスを用いての癌検出を表す流れ図である。
【図20】中間的配列伸長相、およびLDR相の後でPCR相の前でのウラシルN−グリコシラーゼ消化相を有するLDR/PCRプロセスを用いてのモノヌクレオチド反復体の検出を表す模式図である。
【図21】中間的配列伸長相、およびLDR相の後でPCR相の前でのウラシルN−グリコシラーゼ消化相を有するLDR/PCRプロセスを用いての低豊富であるモノヌクレオチド反復多形性の検出を表す模式図である。
【図22】ミクロサテライト反復体の検出のための1次PCR/2次PCRプロセスを表す流れ図である。
【図23】ミクロサテライト反復体における挿入および欠失の多重検出のための1次PCR/2次PCRプロセスを表す模式図である。
【図24】LDR/PCRプロセスにおける遺伝子増幅および欠失の定量のためのLDRオリゴヌクレオチドプローブの設計を示す。
【図25】図25A−Dは、LDR/PCRプロセスについての電気泳動濃度を示す。
【図26】図26A−Cは、正常女性DNA、肺癌細胞系ZR−75−30 DNAおよび消化器癌細胞系SKGT−2に由来するErbB、G6PD、Int2、p53およびSOD遺伝子セグメントについてのLDR/PCRプロセスの電気泳動濃度を示す。ErbB遺伝子は癌細胞系で増幅することが知られている。104bpの標的特異的連結反応産物配列は、各連結反応プライマー500フェムトモル、ゲノムDNA50ng、Thermus thermophillus(“Tth”)リガーゼ124単位、10×緩衝液2μg(0.2M Tris、pH8.5および0.1M MgCl2)、10mM NAD2μgおよび200mM DTT 1μlを容量20μlで用いて、LDRの10サイクル(94℃で30秒、65℃で4分)において生成せしめる。連結反応産物は、10×ストフェル緩衝液(Perkin Elmer)5μl、各オリゴヌクレオチドプライマー25ピコモル、Taqポリメラーゼ・ストフェル・フラグメント25単位および各dNTP中の5mM溶液8μlを含有する溶液30μlを加えて、PCRの26サイクル(94℃で15秒、65℃で50秒)において比較的に増幅される。増幅後、産物をHaeIIIおよびHin P1Iで消化し、58bp(ErbB(すなわちHER−2/neu/erbBオンコジーン)、61bp(G6PD)、67bp(Int2(すなわちint−2オンコジーン))、70bp(p53)および76bp(SOD))のFAM標識産物を産生する。これらの産物を分離し、ジーンスキャン672ソフトウェア・パッケージ(Applied Biosystems,Inc., Foster City,Calif.)を用いて373A DNAシクエンサー上で解析する。結果が電気泳動濃度図に表され、ピークの高さと面積がPCR産物の量を示している。図26Aは、正常女性DNAにおける5部位について遺伝子量測定を示す。G6PD、Int2、p53およびSODについてのピークの高さおよび面積は非常に類似している。FrbBについてのピークの高さおよび面積は正常ゲノムDNAにおいて明らかに小さい。図26Bは、既知のErbB増幅での細胞系、ZR−75−30において遺伝子量を検査したので、ErbBでのピークが高く、面積が大きいことを示している。図26Cは、消化器細胞系であるSKGT−2においてErbB遺伝子の劇的な増幅およびInt2の中程度の増幅があることを示している。G6PD遺伝子ピークは、大きいErbBピークにのみこまれたかも知れない。
【図27】図27A−Cは、G6PD、Int2、p53およびSODについて他のLDRオリゴヌクレオチドプローブおよびPCRオリゴヌクレオチドプライマーの相対的ピークの高さにErbB増幅が影響するかどうかを測定するためのLDR/PCRプロセスについての電気泳動濃度図を示す。図27Aは、正常女性DNAにおける4部位についての遺伝子量測定を示す。全5LDRプライマーを用いた実験でのようにG6PD、Int2、p53およびSODについてのピークの高さおよび面積は類似している。図27Bは、ZR−75−30乳癌細胞系のG6PD、Int2、p53およびSODが正常女性DNAに比較して類似の相対ピークの高さであることを示している。p53についてのピークは低下し、この細胞系における細胞部分でのこの遺伝子の欠失を示唆している。図27Cは、消化器癌細胞系のSKGT−2において、G6PDおよびp53が同等のピークを有することを示している。全5LDRオリゴヌクレオチドプローブを用いた実験でのように、Int2のピークは比較的高い。このように、各産物のLDRおよびPCR増幅は、実験中において他の産物と独立的とみられる。
【図28】図28A−Cは、1次PCR/2次PCR/LDRプロセスのPCR相についての電気泳動濃度図を示す。1次PCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いての12部位の多重PCR増幅は大略等量の産物をつくる。単一塩基多形性を有する80以上の遺伝子領域がヒトゲノム・データベースから同定された。そのうち12(表10および図29A−H参照)は、1次PCR相において次のように増幅された。2次PCRオリゴヌクレオチドプライマーの2セットの1つに相補的な遺伝子特異的3’末端および5’末端を有するように、長い1次PCRオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。上流1次PCRオリゴヌクレオチドプライマーはFAM(すなわち、6−カルボキシフルオレセイン:配列決定および変異検定に用いられる蛍光染料)またはTET(すなわち、テトラクロリネート−6−カルボキシフルオレセイン:配列決定/変異検定に用いられる蛍光染料)のいずれかでの蛍光標識を持つように合成した。全24塩基の長い1次PCRオリゴヌクレオチドプライマーを低濃度(20μl中各プライマー2ピコモル)で15サイクルの1次PCR相に用いた。その後、2次PCRオリゴヌクレオチドプライマーの2セットを高濃度(各25ピコモル)で加え、2次PCR相をさらに25サイクル行った。産物を373DNAシークエンサー(Applied Biosystems)で分離した。パネルAは、FAM−およびTET−標識産物について合わせた電気泳動濃度図を示す。パネルBは、FAM標識産物のみを示す。パネルCは、TET標識産物のみを示す。このプロセスは、プライマー濃度またはPCR条件を注意深く調節する必要なしに、多重的産物について同様の量を産生する。
【図29】図29A−Hは、法医学的同定のための12バイ対立遺伝子の検出における1次PCR/2次PCR/LDRプロセスのLDR相についての電気泳動濃度図を表す。12多形性遺伝子についての1次および2次PCR相は、図28A−C記載のように行った。しかし、2次PCRオリゴヌクレオチドプライマーを蛍光標識しなかった。2次PCRプロセス伸長産物を36LDR・オリゴヌクレオチドプローブ(各部座につき1通常および2識別プライマー)含有のリガーゼ緩衝液中に希釈した。LDRオリゴヌクレオチドプローブセットを次の2方法で設計した。(i)対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブは同じ長さであるが、FAMかTET標識のいずれかを含有する、(ii)対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ両者をHEX(すなわち、ヘキサクロリネート−6−カルボキシフルオレセイン:配列決定および変異検出に用いられる蛍光染料)で標識するが、長さに2塩基対の相違がある。LDR相の20サイクル後、連結反応産物配列を373DNAシークエンサー(Applied Biosystems)で10%ポリアクリルアミド・シークエンシング・ゲルにより溶解した。パネルAおよびEは、2個体の12座PCR/LDRを示す。パネルB、CおよびDは夫々、パネルAにおける個体についてのFAM、TETおよびHEXを示す。パネルAの個体は、座6(ALDOB(すなわちアルドラーゼB))および座8(IGF(すなわちインスリン生長因子))でのみ同型接合である。パネルEの個体は、座3(C6(すなわち、補体成分C6))、座5(NF1(すなわち、神経線維腫症))、座6(ALDOB)および座8(IGF)でのみ異型接合であった。このことから、1次PCR/2次PCR/LDRプロセスが多数の位置における同型接合および異型接合の両方の遺伝子型を同時に識別し得ることが分かる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している複数の配列の1以上を同定するための方法であって:
複数の配列相違を有する1以上の標的ヌクレオチド配列を含有する可能性のあるサンプルを準備し;
1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを準備し、各セットは(a)標的特異的部分と5’上流プライマー特異的部分を保持する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および(b)標的特異的部分と3’下流プライマー特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプローブを特徴とし(特定セットにおける標的ヌクレオチドプローブは、対応する標的ヌクレオチド配列に互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒に連結反応するのに適し、しかし、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列とハイブリダイズするときに、この連結反応を妨害するミスマッチがある);
リガーゼを準備し;
サンプル、複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびリガーゼを混合して、リガーゼ検出反応混合物とし;
リガーゼ検出反応混合物を変性処理およびハイブリダイゼーション処理を含む1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけ(変性処理において、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドは標的ヌクレオチド配列から分離され、ハイブリダイゼーション処理により、オリゴヌクレオチドプローブセットは隣接部位で塩基特異的に、もしサンプル中に存在していればその夫々の標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、互いに連結して、連結反応産物配列を形成し、この産物配列は、(a)5’上流プライマー特異的部分、(b)一緒に結合した標的特異的部分および(c)3’下流プライマー特異的部分を含み、各セットの連結反応産物配列は連結検出反応混合物中の他の核酸と識別可能であり、オリゴヌクレオチドプローブセットはその夫々の標的ヌクレオチド配列以外のサンプル中のヌクレオチド配列とハイブリダイズするが、1以上のミスマッチの存在によって連結せず、そして、次の変性処理の際に個々に分離している);
1つまたは複数のオリゴヌクレオチドプライマーセットを準備し、各セットは、(a)連結反応産物配列の5’上流プライマー特異的部分と同じ配列を含有する上流プライマー、および(b)連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分に相補的な下流プライマーを特徴とし(プライマーの1つは検出可能レポーターを有する);
ポリメラーゼを準備し;
リガーゼ検出反応混合物を1または複数のオリゴヌクレオチドプライマーセットおよびポリメラーゼと混合して、ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成せしめ;
ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけ(変性処理において、ハイブリダイズ核酸配列が分離され、ハイブリダイゼーション処理において、プライマーが連結反応産物配列の相補的プライマー特異的部分とハイブリダイズし、伸長処理において、ハイブリダイズプライマーが伸長されて、プライマーがハイブリダイズしている配列に相補的な伸長産物を形成し、第1サイクルにおいて、下流プライマーが連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、伸長されて連結反応産物配列に相補的な伸長産物を形成し、次のサイクルにおいて、上流プライマーが連結反応産物に相補的な伸長産物の5’上流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、3’下流プライマーが連結反応産物配列の3’下流部分にハイブリダイズする);
レポーター標識を準備し;
伸長産物を識別して、サンプルの1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を表す;
ことを含む方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、セット中のオリゴヌクレオチドプローブの1つに制限部位を含有するものであり、該方法がさらに、
制限部位で各伸長産物を制限消化して、標識伸長産物フラグメントを産生し(制限部位が各オリゴヌクレオチドプローブセットに位置して、該制限消化後にポリメラーゼ連鎖反応混合物における他の核酸と識別され得るように、ユニーク長を有する伸長産物フラグメントを産生し;
伸長産物フラグメントをサイズまたは電気泳動運動性によって分離する(該識別がサイズの異なる伸長産物フラグメントを区別する);
ことを含む請求項1の方法。
【請求項3】
請求項1の方法において、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列が、ポリメラーゼ連鎖反応混合物中の他の核酸と識別され得るように、ユニーク長の伸長産物を産生するものであり、該方法がさらに、
伸長産物フラグメントをサイズまたは電気泳動運動性によって分離する(該識別がサイズの異なる伸長産物フラグメントを区別する);
ことを含む請求項1の方法。
【請求項4】
請求項1の方法において、オリゴヌクレオチドが、各セットの連結反応接合部を通してのその連結反応産物配列がユニークであり、ポリメラーゼ連鎖反応混合物中の他の核酸と識別できるように、立体配座されるものであり、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドが与えられたプローブセットの連結接合部を通ってユニークヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有している);
1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に該ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物上で伸長産物を捕捉する(該検出は、連結反応接合部のまわりのユニークヌクレオチド配列部分を用いて捕捉され、そして特定部位で固体支持物に固定化された伸長産物の存在を表し、それによってサンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を検出する);
ことを含む請求項1の方法。
【請求項5】
請求項1の方法において、各プライマーセットで、1つのプライマーが検出可能レポーター標識を有し、他のプライマーがポリメラーゼ連鎖反応混合物を1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後にこのプライマー5’末に連結するアドレス可能アレイ特異的部分を含有するものであり、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定化された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドは与えられたプライマーセットの連結反応接合部を通してユニークヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を有する);
1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に該ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物上で伸長産物を捕捉する(該検出が連結反応接合部のまわりのユニークヌクレオチド配列を用いて捕捉され、そして特定部位で固体支持物に固定化された伸長産物の存在を表し、それによってサンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を検出する);
ことを含む請求項1の方法。
【請求項6】
請求項1の方法において、2以上の複数配列の相対量が、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座によって相違し、定量しようとする複数の標的ヌクレオチド配列の未知量でサンプル中に存在し、そしてオリゴヌクレオチドプライマーが特定のプローブ群におけるオリゴヌクレオチドプローブセットで形成される全連結反応産物配列の増幅に有用であり、オリゴヌクレオチドプライマーセットが複数のオリゴヌクレオチドプライマー群を形成し、各群が2以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含み、そのうちにおいて、同じ群のオリゴヌクレオチドプローブセットが同じ5’上流プライマー特異的部分と同じ3’下流プライマー特異的部分とを含有するものであり、該方法がさらに、
該識別後に伸長産物の相対量を定量し;
産生した伸長産物の相対量を比較して、サンプル中の2以上の標的ヌクレオチド配列の相対レベルの定量を行う;
ことを含む請求項1の方法。
【請求項7】
請求項6の方法において、各セット中のオリゴヌクレオチドプローブの1つが制限部位を含有するものであり、該方法がさらに、
制限部位で各伸長産物を制限消化して、標識伸長産物フラグメントを産生し(制限部位が各オリゴヌクレオチドプローブセットに位置して、該制限消化後にポリメラーゼ連鎖反応混合物における他の核酸と識別され得るように、ユニーク長を有する伸長産物フラグメントを産生する);
伸長産物フラグメントをサイズまたは電気泳動運動性によって分離する(該識別がサイズの異なる伸長産物フラグメントを区別する);
ことを含む請求項6の方法。
【請求項8】
請求項6の方法において、同じ群のオリゴヌクレオチドプローブセットが同じ5’上流プライマー特異的部分と同じ3’下流プライマー特異的部分とを有し、そして特定セットにおけるオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列がポリメラーゼ連鎖反応混合物中の他の核酸と識別できるようにユニーク長産物を有するものであり、該方法がさらに、
伸長産物をサイズまたは電気泳動運動性により分離する(該検出および該識別が標識が標識伸長産物中のサイズの相違により実施される);
ことを含む請求項6の方法。
【請求項9】
請求項6の方法において、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列が、ポリメラーゼ連鎖反応混合物中の他の核酸と識別され得るように、連絡接合部を通ってユニーク配列を含有するものであり、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドが与えられたプローブセットの連結接合部を通ってユニークヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有している);
1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に該ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物上で伸長産物を捕捉する(該検出は、連結反応接合部を通ってユニークヌクレオチド配列部分を用いて捕捉され、そして特定部位で固体支持物に固定化された伸長産物の存在を表す);
ことを含む請求項6の方法。
【請求項10】
請求項1の方法において、特定セットの1つまたは両方のオリゴヌクレオチドプローブがその非連結末端にブロック群を有し、ブロック群がエクソヌクレアーゼ消化に実質的に抵抗性である特定セットにおけるオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物を減少するものであり、該方法がさらに、
リガーゼ検出反応混合物を1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけた後に、リガーゼ検出反応混合物をエクソヌクレアーゼ消化にかけ(エクソヌクレアーゼがブロックされないオリゴヌクレオチドプローブを実質的に破壊し、連結反応産物の実質部分を破壊せず、そして元の標的ヌクレオチド配列の存在を減少する);
エクソヌクレアーゼを不活性化する(該エクソヌクレアーゼ処理が連結反応独立伸長産物の形成を、ポリメラーゼ連鎖反応混合物の1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクル処理の際に減少する);
ことを含む請求項1の方法。
【請求項11】
請求項10の方法において、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列がユニーク長産物を産生するものであり、該方法がさらに、
伸長産物をサイズまたは電気泳動運動性により分離し(該識別がサイズの相違する伸長産物を分別する);
ことを含む請求項10の方法。
【請求項12】
請求項11の方法において、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違する1以上の複数の配列が定量する複数の標的ヌクレオチド配列を有する未知量のサンプル中に存在するものであり、該方法がさらに、
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量を準備し;
1または複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を準備し、各群はマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットを含む2以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し(特定セットの1または両方のオリゴヌクレオチドプローブはその非連結末端でブロックされ、同じ群のオリゴヌクレオチドプローブセットは同じ5’上流プライマー特異的部分または同じ3’下流プライマー特異的部分のいずれか、あるいは同じ5’上流プライマー特異的部分と同じ3’下流プライマー特異的部分の両方を有し、該リガーゼ検出反応混合物はさらにマーカー標的ヌクレオチド配列を含有し、プローブセットはマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットを含む)、該方法がさらに;
1または複数のオリゴヌクレオチドプライマー群を準備し、各群が2以上のオリゴヌクレオチドプライマーセットを含有し(各群のオリゴヌクレオチドプライマーセットは同じ5’上流プライマーまたは同じ3’下流プライマーのいずれか、あるいは5’上流プライマーと同じ3’下流プライマーの両方を含有し、オリゴヌクレオチドプライマー群は与えられた群での全連結反応産物配列の増幅に有用である);
該識別後に伸長産物量を定量し;
未知のサンプルから産生した伸長産物量をマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から産生した伸長産物量と比較して、サンプル中の1以上のヌクレオチド配列レベルを定量する;
ことを含む請求項11の方法。
【請求項13】
請求項10の方法において、各プライマーセットで、1つのプライマーが検出可能レポーター標識を有し、他のプライマーがポリメラーゼ連鎖反応混合物を1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後にこのプライマー5’末に連結し、単鎖を残すアドレス可能アレイ特異的部分を含有するものであり、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定化された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドがアドレス可能アレイ特異的部分に相補的であるヌクレオチド配列を有す);
1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に該ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位でアドレス可能アレイ特異的部分を固体支持物に捕捉する(該検出がアドレス可能アレイ特異的部分を用いて捕捉され、そして特定部位で個体支持物に固定された伸長産物の存在を表す);
ことを含む請求項10の方法。
【請求項14】
請求項13の方法において、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違する1以上の複数の配列は、定量する複数の標的ヌクレオチド配列を有する未知量のサンプル中に存在し、1つのプライマーが検出可能レポーター標識を有し、他のプライマーがポリメラーゼ連鎖反応混合物を1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクル処理した後にそのプライマーの5’末に連結し、そして単鎖を残すアドレス可能アレイ特異的部分を含有し、同じ群のオリゴヌクレオチドプライマーが5’上流プライマーか、同じ3’下流プライマーのいずれかを含有し、オリゴヌクレオチドプライマー群が与えられた群の全連結反応産物配列を増幅するのに用い得るものであり、該方法がさらに、
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量を準備し;
1または複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を準備し、各群はマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットを含む2以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し(同じ群のオリゴヌクレオチドプローブセットの1つまたは両方は、同じ5’上流プライマー特異的部分または同じ3’下流プライマー特異的部分のいずれかを含有する);
1または複数のオリゴヌクレオチドプライマー群を準備し、各群が2以上のオリゴヌクレオチドプライマーセットを含有し(同じ群のオリゴヌクレオチドプライマーセットは、同じ5’上流プライマーまたは同じ3’下流プライマーのいずれかを含有し、オリゴヌクレオチドプライマーの1群は群中の全連結反応産物配列の増幅に使用される);
マーカー標的ヌクレオチド配列とマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットとを連結反応検出反応混合物に混合し;
伸長産物量を定量し;
未知のサンプルから産生した伸長産物量をマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から産生した伸長産物量と比較して、サンプル中の1以上のヌクレオチド配列レベルを定量する;
ことを含む請求項13の方法。
【請求項15】
請求項1において、特定セットの1または2のオリゴヌクレオチドプローブがデオキシチミジンの代わりにデオキシウラシルを含有し、デオキシウラシルがオリゴヌクレオチドプローブおよびウラシルN−グリコシラーゼに実質的に感受性である連結反応産物配列を減少するものであり、該方法がさらに、
リガーゼ検出反応混合物の1以上のリガーゼ検出反応サイクル処理の後で、かつポリメラーゼ連鎖反応混合物の1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクル処理の前に、リガーゼ検出反応混合物を、連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分に相補的な1または複数の下流プライマーおよびポリメラーゼと混合して、伸長混合物を形成し;
伸長混合物をハイブリダイズ処理にかけ(下流プライマーは連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、伸長して、連結反応産物配列に相補的な伸長産物を形成する);
ポリメラーゼを不活性化し;
該不活性化後に伸長混合物をウラシルN−グリコシラーゼと混合して、ウラシルN−グリコシラーゼ消化混合物を形成し;
伸長混合物を実質的にウラシルN−グリコシラーゼ消化にかけて、オリゴヌクレオチドプローブ、連結反応産物配列、およびプライマーとして5’上流プライマーを用いる元の標的からの伸長産物を破壊し、連結反応産物配列からの下流プライマー伸長産物を破壊せず;
ウラシルN−グリコシラーゼを不活性化し;
該ウラシルN−グリコシラーゼ不活性化後にポリメラーゼをウラシルN−グリコシラーゼ消化混合物と混合して、ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成し;
ポリメラーゼ連鎖反応混合物を1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけ、デオキシウラシルの代わりにデオキシチミジンを含むこと以外は実質的に同じ連結反応産物配列である第1サイクルにおいて伸長産物を形成し、続くサイクルにおいて、5’上流プライマーが連結反応産物配列に相補的な伸長産物の5’上流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、3’下流プライマーが伸長処理、連結反応産物配列に実質的に同じ伸長産物配列の3’下流部分にハイブリダイズしそれにより、伸長混合物のウラシルN−グリコシラーゼ消化処理が、連結反応産物配列、1または2のオリゴヌクレオチドプローブおよびポリメラーゼ連鎖反応混合物の1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクル処理からの連結反応独立伸長産物の量を減少する;
ことを含む請求項1の方法。
【請求項16】
請求項15の方法において、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列が、プライマーまたは他の連結反応産物配列と識別し得るユニーク長産物を産生するものであり、該方法がさらに、
伸長産物をサイズまたは電気泳動運動性により分離する(該識別がサイズの相違する伸長産物を分別する);
ことを含む請求項15の方法。
【請求項17】
請求項16の方法において、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違する1以上の複数の配列は定量する複数の標的ヌクレオチド配列を有する未知量のサンプル中に存在するものであり、該方法はさらに、
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量を準備し;
1以上のマーカー特異的オリゴヌクレオチドプライマーセットを準備し、各セットは、(a)標的特異的部分および5’上流プライマー特異的部分を有する第1オリゴヌクレオチドプローブおよび(b)標的特異的部分および3’下流プライマー特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプローブを特徴とし(特定セットの1または2オリゴヌクレオチドプローブはデオキシチミジンの代わりにデオキシウラシルを含有し、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブは対応するマーカー標的ヌクレオチド配列に互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒の連結反応に適しており、しかし、サンプル中または加えられたマーカー配列中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときは、該連結反応を妨害するミスマッチを有し、該オリゴヌクレオチドプローブセットおよび該マーカー特異的オリゴヌクレオチドセットは複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列がユニーク長産物を産生し、そして同じ群または他の群におけるプローブまたは他の連結反応産物配列と識別され得る);
マーカー標的ヌクレオチド配列およびマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブをリガーゼ検出混合物に混合し;
1または複数のオリゴヌクレオチドプライマー群を準備し、各群が2以上のオリゴヌクレオチドプライマーセットを含有し(同じ群のオリゴヌクレオチドプライマーセットは同じ5’上流プライマーまたは同じ3’下流プライマーのいずれか、あるいは5’上流プライマーと同じ3’下流プライマーの両方を含有し、オリゴヌクレオチドプライマーの1群は与えられた群での全連結反応産物配列の増幅に使用される);
伸長産物をサイズまたは電気泳動運動性により分離し;
該識別後に伸長産物量を定量し;
未知のサンプルから産生した伸長産物量をマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から産生した伸長産物量と比較して、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列レベルを定量する;
ことを含む請求項16の方法。
【請求項18】
請求項15の方法において、各プライマーセットにおいて、1つのプライマーが検出可能レポーター標識を有し、他のプライマーがポリメラーゼ連鎖反応混合物を1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後にこのプライマー5’末に連結し、単鎖を残すアドレス可能アレイ特異的部分を含有するものであり、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定化された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドがアドレス可能アレイ特異的部分に相補的であるヌクレオチド配列を有する);
1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に該ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位でアドレス可能アレイ特異的部分を固体支持物に捕捉する(該検出がアドレス可能アレイ特異的部分を用いて捕捉され、そして特定部位で固体支持物に固定された伸長産物の存在を表す);
ことを含む請求項15の方法。
【請求項19】
請求項18の方法において、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違する1以上の複数の配列は定量する複数の標的ヌクレオチド配列を有する未知量のサンプル中に存在するものであり、該方法がさらに、
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量を準備し;
1または複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を準備し、各群はマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットを含む2以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し(特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列は、同じ群または他の群のプローブまたは他の連結反応産物配列と識別される);
マーカー標的ヌクレオチド配列およびマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブをリガーゼ検出混合物に混合し;
1または複数のオリゴヌクレオチドプライマー群を準備し、各群が2以上のオリゴヌクレオチドプライマーセットを含有し(同じ群のオリゴヌクレオチドプライマーセットは同じ5’上流プライマーまたは同じ3’下流プライマーのいずれかを含有し、オリゴヌクレオチドプライマーの1群は与えられた群での全連結反応産物配列の増幅に使用される);
該識別後に伸長産物量を定量し;
未知のサンプルから産生した伸長産物量をマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から産生した伸長産物量と比較して、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列レベルを定量する;
ことを含む請求項18の方法。
【請求項20】
各変性処理が温度約80−105℃である、請求項1の方法。
【請求項21】
変性処理またはハイブリダイゼーション処理を含むリガーゼ検出反応の各サイクルが約30秒−約5分間の長さである、請求項1の方法。
【請求項22】
リガーゼ検出反応混合物の1以上のリガーゼ検出反応サイクル処理が2−50サイクルで反復される、請求項1の方法。
【請求項23】
リガーゼ検出反応混合物の1以上のリガーゼ検出反応サイクル処理についての全時間が1−250分である、請求項1の方法。
【請求項24】
リガーゼがThermus aquaticusリガーゼ、Thermus thermophilusリガーゼ、E.coliリガーゼ、T4リガーゼおよびPyrococcusリガーゼからなる群より選ばれる、請求項1の方法。
【請求項25】
検出レポーター標識が発色団、蛍光分子、酵素、抗原、重金属、磁気プローブ、色素、燐光性基、放射活性物質、化学ルミネセント分子および電気化学的検出分子からなる群より選ばれる、請求項1の方法。
【請求項26】
オリゴヌクレオチドプローブの標的特異的部分各々がハイブリダイゼーション温度50−85℃を有する、請求項1の方法。
【請求項27】
オリゴヌクレオチドプローブの標的特異的部分が20−28ヌクレオチドの長さである、請求項1の方法。
【請求項28】
オリゴヌクレオチドプローブセットがリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、修飾デオキシヌクレオチド、修飾ホスフェート−糖−骨格オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドアナログおよびこれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項1の方法。
【請求項29】
複数の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している複数の配列の2以上を同定するための方法であって:
複数の配列相違を有する1以上の標的ヌクレオチド配列を含有する可能性のあるサンプルを準備し;
1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー群を準備し、各群は1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマーセットを含み、各セットは(a)標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を保持する第1オリゴヌクレオチドプライマー、および(b)標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプライマーを特徴とし(同じ群の各セットの第1オリゴヌクレオチドプライマーが同じ5’上流2次プライマー特異的部分を含有し、同じ群の各セットの第2オリゴヌクレオチドプライマーが同じ5’上流2次プライマー特異的部分を含有し、特定セットのオリゴヌクレオチドプライマーは対応する標的ヌクレオチド配列の相補的な鎖でハイブリダイズして、ポリメラーゼ連鎖反応を形成するのに適しており、しかし、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときは、該ポリメラーゼ連鎖反応の形成を妨害するミスマッチを有し、該オリゴヌクレオチドプローブセットおよび該マーカー特異的オリゴヌクレオチドセットは複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、特定セットのポリメラーゼ連鎖反応産物が同じ群または他の群における他のポリメラーゼ連鎖反応産物配列と識別され得る);
ポリメラーゼを準備し;
サンプル、1次オリゴヌクレオチドプライマーおよびポリメラーゼを混合して、1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成し;
1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけ(変性処理において、ハイブリダイズされた核酸配列が分離され、ハイブリダイゼーション処理において、1次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異的部分が標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、伸長処理において、ハイブリダイズされた1次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次オリゴヌクレオチドプライマーのハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列に相補的な1次伸長産物を形成する);
1または複数の2次オリゴヌクレオチドプライマーセットを準備し、各セットは、(a)第1の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第1の2次オリゴヌクレオチドプライマー、および(b)第1の2次プライマーにより含有される第1の1次オリゴヌクレオチドと同じ1次オリゴヌクレオチドプライマーセットに由来する第2の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第2の2次オリゴヌクレオチドプライマーを有し(2次オリゴヌクレオチドプライマーのセットは、与えられた群において1次伸長産物のすべてを増幅するのに使用され得る);
1次伸長産物、2次オリゴヌクレオチドプライマーおよびポリメラーゼを混合して、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物とし;
2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけ(変性処理において、ハイブリダイズされた核酸遺伝子が分離し、ハイブリダイゼーションにおいて、2次オリゴヌクレオチドプライマーが1次伸長産物にハイブリダイズし、伸長処理において、ハイブリダイズ2次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次伸長産物に相補的な2次伸長産物を形成する);
複数のオリゴヌクレオチドプローブセットが準備され、各セットは、(a)2次伸長産物特異的部分と検出可能レポーター標識を保持する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および(b)2次伸長産物特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプローブを有し(特定セットのオリゴヌクレオチドプローブは、相補的2次伸長産物特異的部分に互いに隣接してハイブリダイズしたときに一緒に連結反応するのに適し、しかし、サンプル中の他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに該連結反応を妨害するミスマッチがある);
リガーゼを準備し;
2次伸長産物、複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびリガーゼを混合して、リガーゼ検出反応混合物とし;
リガーゼ検出反応混合物を、変性処理およびハイブリダイゼーション処理を含む1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけ(変性処理において、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドが2次伸長産物から分離され、ハイブリダイゼーション処理において、オリゴヌクレオチドプローブセットは、隣接部位で塩基特異的に、もし存在すれば夫々の2次伸長産物にハイブリダイズし、互いに連結して、一緒に結合している(a)検出可能レポーター標識および(b)2次伸長産物特異的部分を含有する連結産物配列を形成し、オリゴヌクレオチドプローブセットは、その夫々の相補的2次伸長産物以外のヌクレオチド配列にハイブリダイズし得るが、1以上のミスマッチの存在のために一緒に連結しないで、変性処理の際に個々に分離する);
連結反応産物配列のレポーター標識が検出されて、それによりサンプル中の2以上の標的ヌクレオチド配列の存在が表される;
ことを含む方法。
【請求項30】
請求項29の方法において、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列が、リガーゼ検出反応混合物中の他の核酸と識別できるように、ユニーク長を有するものであり、該方法はさらに、
サイズまたは電気泳動運動性により連結反応産物配列を分離し;
該検出後に、サイズの異なる連結反応産物配列を識別する;
ことを含む請求項29の方法。
【請求項31】
請求項29の方法において、各セットの第2オリゴヌクレオチドプローブがアドレス可能アレイ特異的部分を有するものであり、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定化された相違の捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドはアドレス可能アレイ特異的部分に相補的であるヌクレオチド配列を有する);
1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけた後に、リガーゼ検出反応混合物を、リガーゼ配列産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物にアドレス可能アレイ特異的部分を捕捉する(該検出がアドレス可能アレイ特異的部分を用いて捕捉され、そして特定部位で固体支持物に固定化された連結反応産物配列の存在を表し、それによってサンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を表す);
ことを含む請求項29の方法。
【請求項32】
請求項29の方法において、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違し、未知量のサンプル中に存在する1以上の複数の配列の相対量を1以上の標的ヌクレオチド配列で定量するものであり、該方法がさらに、
2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に、2次伸長産物を定量し;
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量を準備し;
マーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットを含む1以上の配列特異的プローブセットを準備し;
マーカー標的ヌクレオチド配列、および標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットをリガーゼ検出反応混合物と混合し;
連結反応産物配列を定量し;
未知のサンプルから産生した伸長産物量をマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から産生した伸長産物量と比較して、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の相対レベルを定量する;
ことを含む請求項29の方法。
【請求項33】
請求項32の方法において、第2オリゴヌクレオチドプローブがアドレス可能特異的部分を有し、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定化された相違の捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドはアドレス可能特異的部分に相補的であるヌクレオチド配列を有する);
1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけた後に、リガーゼ検出反応混合物を、リガーゼ配列産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物にアドレス可能アレイ特異的部分を捕捉する;
アドレス可能アレイ特異的部分を用いて捕捉し、特定部位で固体支持物に固定した連結反応産物配列を定量し;
未知のサンプルから産生した捕捉連結反応産物量をマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から産生した捕捉連結反応産物量と比較して、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の相対レベルを定量する;
ことを含む請求項32の方法。
【請求項34】
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列が1以上の単一ヌクレオチド位置で標的ヌクレオチド配列と相違する、請求項32の方法。
【請求項35】
請求項32の方法において、オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、各群が単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、各群のオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、2次伸長産物特異的部分と検出可能レポーター標識を有する共通の1次オリゴヌクレオチドプローブ、および与えられた対立遺伝子またマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする2次伸長産物特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なる長さを有し、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列はユニーク長産物を産生するものであり、さらに該方法が、
連結反応産物配列をサイズまたは電気泳動運動性により分離し;
サイズの異なる連結反応産物配列を識別する;
ことを含む請求項32の方法。
【請求項36】
請求項32の方法において、オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、各群が単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、各群のオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、2次伸長産物特異的部分を有する共通の1次オリゴヌクレオチドプローブ、および与えられた対立遺伝子またマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする2次伸長産物特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なる検出可能レポーター標識を有し、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列はユニーク長産物を産生するものであり、さらに該方法が、
連結反応産物配列をサイズまたは電気泳動運動性により分離し;
サイズの異なる連結反応産物配列を識別する;
ことを含む請求項32の方法。
【請求項37】
オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、各群が単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、各群のオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、2次伸長産物特異的部分と検出可能レポーター標識を有する共通の1次オリゴヌクレオチドプローブ、および与えられた対立遺伝子またマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする2次伸長産物特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なるアドレス可能アレイ特異的部分を有する、請求項33の方法。
【請求項38】
請求項33の方法において、オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、各群が単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、各群のオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、2次伸長産物特異的部分とアドレス可能アレイ特異的部分を有する共通の1次オリゴヌクレオチドプローブ、および与えられた対立遺伝子またマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする2次伸長産物特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なる検出可能レポーター標識を有する、請求項33の方法。
【請求項39】
単一標的ヌクレオチド配列における2以上の近接または隣接のヌクレオチド位置での多重対立遺伝子相違または多重標的ヌクレオチド配列における2以上の近接または隣接のヌクレオチド位置での多重対立遺伝子相違が、重複し得る2次伸長特異的部分を有するオリゴヌクレオチドプローブで識別される、請求項29の方法。
【請求項40】
サンプル中の、正常配列の過剰存在下での単一標的ヌクレオチド配列における多重の近接または隣接の位置での多重対立遺伝子相違の低存在量、または正常配列の過剰存在下での多重標的ヌクレオチド配列における多重の近接または隣接の位置での多重対立遺伝子相違の低存在量が識別され、オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、各群が単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、群内での1以上のセットが共通の第1オリゴヌクレオチドプローブを共有し、第2オリゴヌクレオチドプローブが2次伸長産物特異的部分を有し、この部分は塩基特異的に正常対立遺伝子以外の与えられた対立遺伝子にハイブリダイズし、該検出において、連結反応産物配列の標識が検出され、それによって、サンプル中の、1以上の標的ヌクレオチド配列における1以上のヌクレオチド位置での1以上の低存在量の対立遺伝子の存在を表す、請求項29の方法。
【請求項41】
請求項29の方法において、サンプル中の未知量の、正常配列の過剰存在下での単一標的ヌクレオチド配列における多重の近接または隣接の位置で多重対立遺伝子相違の低存在量、または正常配列の過剰存在下での多重標的ヌクレオチド配列における多重の近接または隣接のヌクレオチド位置で多重対立遺伝子相違の低存在量を定量するものであり、さらに該方法が、
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量を準備し;
1以上のマーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブセットを準備し、各セットが(a)マーカー標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分を有する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および(b)マーカー標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分と検出可能レポーター標識を有する第2オリゴヌクレオチドプローブを特徴とし(特定マーカー特異的オリゴヌクレオチドセットのオリゴヌクレオチドプローブは対応するマーカー標的ヌクレオチド配列に互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒の連結反応に適しており、しかし、サンプル中または加えられたマーカー配列中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときは、該連結反応を妨害するミスマッチを有し、該複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよび複数のマーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブセットは、マーカーヌクレオチド配列を含み、単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子相違を識別するためのオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、群内での1以上のセットが共通の第1オリゴヌクレオチドプローブを共有し、第2オリゴヌクレオチドプローブが2次伸長産物特異的部分を有し、この部分は塩基特異的に正常対立遺伝子以外の与えられた対立遺伝子にハイブリダイズし、リガーゼ検出反応混合物を形成するための該混合物は、マーカー標的ヌクレオチド配列およびマーカー標的ヌクレオチド配列のための特異的に設計されたプローブセットをリガーゼ検出反応混合物に混合することを含む);
連結反応産物配列を定量し;
低存在量の未知のサンプルから産生した連結反応産物量をマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から産生した連結反応産物量と比較して、サンプル中の1以上の低存在量の標的ヌクレオチド配列レベルを定量する;
ことを含む請求項29の方法。
【請求項42】
各変性処理が温度約80−105℃である、請求項29の方法。
【請求項43】
変性処理またはハイブリダイゼーション処理を含むリガーゼ検出反応の各サイクルが約30秒−約5分間の長さである、請求項29の方法。
【請求項44】
リガーゼ検出反応混合物の1以上のリガーゼ検出反応サイクル処理が2−50サイクルで反復される、請求項29の方法。
【請求項45】
リガーゼ検出反応混合物の1以上のリガーゼ検出反応サイクル処理についての全時間が1−250分である、請求項29の方法。
【請求項46】
リガーゼがThermus aquaticusリガーゼ、Thermus thermophilusリガーゼ、E.coliリガーゼ、T4リガーゼおよびPyrococcusリガーゼからなる群より選ばれる、請求項29の方法。
【請求項47】
検出レポーター標識が発色団、蛍光分子、酵素、抗原、重金属、磁気プローブ、色素、燐光性基、放射活性物質、化学ルミネセント分子および電気化学的検出分子からなる群より選ばれる、請求項29の方法。
【請求項48】
オリゴヌクレオチドプローブの標的特異的部分各々がハイブリダイゼーション温度50−85℃を有する、請求項29の方法。
【請求項49】
オリゴヌクレオチドプローブの標的特異的部分が20−28ヌクレオチドの長さである、請求項29の方法。
【請求項50】
オリゴヌクレオチドプローブセットがリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、修飾デオキシヌクレオチド、修飾ホスフェート−糖−骨格オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドアナログおよびこれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項29の方法。
【請求項51】
複数の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している複数の配列の2以上を同定するための方法であって:
複数の配列相違を有する1以上の標的ヌクレオチド配列を含有する可能性のあるサンプルを準備し;
1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー群を準備し、各群は(a)標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を保持する第1オリゴヌクレオチドプライマー、および(b)標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプローブを特徴とし(同じ群の各セットの第1オリゴヌクレオチドプライマーが同じ5’上流2次プライマー特異的部分を含有し、同じ群の各セットの第2オリゴヌクレオチドプライマーが同じ5’上流2次プライマー特異的部分を含有し、
特定セットのオリゴヌクレオチドプライマーは対応する標的ヌクレオチド配列の相補的な鎖でハイブリダイズして、ポリメラーゼ連鎖反応産物を形成するのに適しており、しかし、サンプル中または加えられたマーカー配列中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときは、ポリメラーゼ連鎖反応を妨害するミスマッチを有し、特定セットのポリメラーゼ連鎖反応産物配列が同じ群または他の群における他のポリメラーゼ連鎖反応産物配列と識別され得る);
ポリメラーゼを準備し;
サンプル、1次オリゴヌクレオチドプライマーおよびポリメラーゼを混合して、1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成し;
1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけ(変性処理において、ハイブリダイズされた核酸配列は分離され、ハイブリダイゼーション処理において、1次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異的部分は標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、伸長処理において、ハイブリダイズされた1次オリゴヌクレオチドプライマーは伸長されて、1次オリゴヌクレオチドプライマーのハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列に相補的な1次伸長産物を形成する);
1または複数の2次オリゴヌクレオチドプライマーセットを準備し、各セットは、(a)検出可能レポーター標識を保持し、第1の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第1の2次オリゴヌクレオチドプライマー、および(b)第1の2次プライマーに相補的な第1の1次オリゴヌクレオチドと同じ1次オリゴヌクレオチドプライマーセットに由来する第2の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第2の2次オリゴヌクレオチドプライマーを有し(2次オリゴヌクレオチドプライマーのセットが与えられた特定の群における1次伸長産物を増幅する);
1次伸長産物、2次オリゴヌクレオチドプライマーおよびポリメラーゼを混合して、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物とし;
2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけ(変性処理において、ハイブリダイズされた核酸配列が分離し、ハイブリダイゼーションにおいて、2次オリゴヌクレオチドプライマーが1次伸長産物にハイブリダイズし、伸長処理において、ハイブリダイズ2次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次伸長産物に相補的な2次伸長産物を形成する);
標識2次伸長産物を検出し、それによってサンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を表すことを含む方法。
【請求項52】
請求項51の方法において、特定セットのポリメラーゼ連鎖反応2次オリゴヌクレオチドプライマーが、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物中の他の核酸と識別できるように、ユニーク長の2次伸長産物を産生するものであり、該方法はさらに、
サイズまたは電気泳動運動性により伸長産物を分離し;
サイズの異なる2次伸長産物を識別する;
ことを含む請求項51の方法。
【請求項53】
請求項51の方法において、2次伸長産物が他の2次伸長産物と識別できるようにユニーク配列を含有するものであり、該方法はさらに、
相違する特定部位で固定化された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドは2次伸長産物内のユニークヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を有する);
1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、2次伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物に2次伸長産物を捕捉する(該検出が2次伸長産物内でユニークヌクレオチド配列部分を用いて捕捉され、特定部位で固体支持物に固定された2次伸長産物の存在を表し、それによってサンプル中の1以上の標的ヌクレオチドの存在を表す);
ことを含む請求項51の方法。
【請求項54】
請求項51の方法において、同じ群の1次オリゴヌクレオチドプライマーセットが第1オリゴヌクレオチドプライマー上の同じ5’上流プライマー特異的部分または第2オリゴヌクレオチドプライマー上の同じ5’上流プライマー特異的部分のいずれかを含み、2次オリゴヌクレオチドプライマーセットが1または複数のオリゴヌクレオチドプライマー群を形成し、各群は1以上のオリゴヌクレオチドプライマーセットを含み、1つの2次オリゴヌクレオチドプライマーが検出可能レポーターレベルを有し、そして他の2次オリゴヌクレオチドプライマーが、1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルに2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物がかけられた後に単鎖を残すプライマーの5’末に連結しているアドレス可能アレイ特異的部分を含有し、同じ群のオリゴヌクレオチドプライマーが同じ第1の2次オリゴヌクレオチドプライマーまたは同じ第2の2次オリゴヌクレオチドプライマーのいずれかを有し、2次オリゴヌクレオチドプライマーの1群が与えられた群での全1次伸長産物を増幅するのに用いられるものであり、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定化された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドはアドレス可能アレイ特異的部分に相補的であるヌクレオチド配列を有する);
1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に、該ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、2次伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物にアドレス可能アレイ特異的部分を捕捉する(該検出が2次伸長産物内でユニークヌクレオチド配列部分を用いて捕捉され、特定部位で固体支持物に固定された2次伸長産物の存在を表し、それによってサンプル中の1以上の標的ヌクレオチドの存在を表す);
ことを含む請求項51の方法。
【請求項1】
複数の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している複数の配列の1以上を同定するための方法であって:
複数の配列相違を有する1以上の標的ヌクレオチド配列を含有する可能性のあるサンプルを準備し;
1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを準備し、各セットは(a)標的特異的部分と5’上流プライマー特異的部分を保持する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および(b)標的特異的部分と3’下流プライマー特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプローブを特徴とし(特定セットにおける標的ヌクレオチドプローブは、対応する標的ヌクレオチド配列に互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒に連結反応するのに適し、しかし、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列とハイブリダイズするときに、この連結反応を妨害するミスマッチがある);
リガーゼを準備し;
サンプル、複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびリガーゼを混合して、リガーゼ検出反応混合物とし;
リガーゼ検出反応混合物を変性処理およびハイブリダイゼーション処理を含む1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけ(変性処理において、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドは標的ヌクレオチド配列から分離され、ハイブリダイゼーション処理により、オリゴヌクレオチドプローブセットは隣接部位で塩基特異的に、もしサンプル中に存在していればその夫々の標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、互いに連結して、連結反応産物配列を形成し、この産物配列は、(a)5’上流プライマー特異的部分、(b)一緒に結合した標的特異的部分および(c)3’下流プライマー特異的部分を含み、各セットの連結反応産物配列は連結検出反応混合物中の他の核酸と識別可能であり、オリゴヌクレオチドプローブセットはその夫々の標的ヌクレオチド配列以外のサンプル中のヌクレオチド配列とハイブリダイズするが、1以上のミスマッチの存在によって連結せず、そして、次の変性処理の際に個々に分離している);
1つまたは複数のオリゴヌクレオチドプライマーセットを準備し、各セットは、(a)連結反応産物配列の5’上流プライマー特異的部分と同じ配列を含有する上流プライマー、および(b)連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分に相補的な下流プライマーを特徴とし(プライマーの1つは検出可能レポーターを有する);
ポリメラーゼを準備し;
リガーゼ検出反応混合物を1または複数のオリゴヌクレオチドプライマーセットおよびポリメラーゼと混合して、ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成せしめ;
ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけ(変性処理において、ハイブリダイズ核酸配列が分離され、ハイブリダイゼーション処理において、プライマーが連結反応産物配列の相補的プライマー特異的部分とハイブリダイズし、伸長処理において、ハイブリダイズプライマーが伸長されて、プライマーがハイブリダイズしている配列に相補的な伸長産物を形成し、第1サイクルにおいて、下流プライマーが連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、伸長されて連結反応産物配列に相補的な伸長産物を形成し、次のサイクルにおいて、上流プライマーが連結反応産物に相補的な伸長産物の5’上流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、3’下流プライマーが連結反応産物配列の3’下流部分にハイブリダイズする);
レポーター標識を準備し;
伸長産物を識別して、サンプルの1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を表す;
ことを含む方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、セット中のオリゴヌクレオチドプローブの1つに制限部位を含有するものであり、該方法がさらに、
制限部位で各伸長産物を制限消化して、標識伸長産物フラグメントを産生し(制限部位が各オリゴヌクレオチドプローブセットに位置して、該制限消化後にポリメラーゼ連鎖反応混合物における他の核酸と識別され得るように、ユニーク長を有する伸長産物フラグメントを産生し;
伸長産物フラグメントをサイズまたは電気泳動運動性によって分離する(該識別がサイズの異なる伸長産物フラグメントを区別する);
ことを含む請求項1の方法。
【請求項3】
請求項1の方法において、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列が、ポリメラーゼ連鎖反応混合物中の他の核酸と識別され得るように、ユニーク長の伸長産物を産生するものであり、該方法がさらに、
伸長産物フラグメントをサイズまたは電気泳動運動性によって分離する(該識別がサイズの異なる伸長産物フラグメントを区別する);
ことを含む請求項1の方法。
【請求項4】
請求項1の方法において、オリゴヌクレオチドが、各セットの連結反応接合部を通してのその連結反応産物配列がユニークであり、ポリメラーゼ連鎖反応混合物中の他の核酸と識別できるように、立体配座されるものであり、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドが与えられたプローブセットの連結接合部を通ってユニークヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有している);
1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に該ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物上で伸長産物を捕捉する(該検出は、連結反応接合部のまわりのユニークヌクレオチド配列部分を用いて捕捉され、そして特定部位で固体支持物に固定化された伸長産物の存在を表し、それによってサンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を検出する);
ことを含む請求項1の方法。
【請求項5】
請求項1の方法において、各プライマーセットで、1つのプライマーが検出可能レポーター標識を有し、他のプライマーがポリメラーゼ連鎖反応混合物を1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後にこのプライマー5’末に連結するアドレス可能アレイ特異的部分を含有するものであり、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定化された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドは与えられたプライマーセットの連結反応接合部を通してユニークヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を有する);
1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に該ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物上で伸長産物を捕捉する(該検出が連結反応接合部のまわりのユニークヌクレオチド配列を用いて捕捉され、そして特定部位で固体支持物に固定化された伸長産物の存在を表し、それによってサンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を検出する);
ことを含む請求項1の方法。
【請求項6】
請求項1の方法において、2以上の複数配列の相対量が、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座によって相違し、定量しようとする複数の標的ヌクレオチド配列の未知量でサンプル中に存在し、そしてオリゴヌクレオチドプライマーが特定のプローブ群におけるオリゴヌクレオチドプローブセットで形成される全連結反応産物配列の増幅に有用であり、オリゴヌクレオチドプライマーセットが複数のオリゴヌクレオチドプライマー群を形成し、各群が2以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含み、そのうちにおいて、同じ群のオリゴヌクレオチドプローブセットが同じ5’上流プライマー特異的部分と同じ3’下流プライマー特異的部分とを含有するものであり、該方法がさらに、
該識別後に伸長産物の相対量を定量し;
産生した伸長産物の相対量を比較して、サンプル中の2以上の標的ヌクレオチド配列の相対レベルの定量を行う;
ことを含む請求項1の方法。
【請求項7】
請求項6の方法において、各セット中のオリゴヌクレオチドプローブの1つが制限部位を含有するものであり、該方法がさらに、
制限部位で各伸長産物を制限消化して、標識伸長産物フラグメントを産生し(制限部位が各オリゴヌクレオチドプローブセットに位置して、該制限消化後にポリメラーゼ連鎖反応混合物における他の核酸と識別され得るように、ユニーク長を有する伸長産物フラグメントを産生する);
伸長産物フラグメントをサイズまたは電気泳動運動性によって分離する(該識別がサイズの異なる伸長産物フラグメントを区別する);
ことを含む請求項6の方法。
【請求項8】
請求項6の方法において、同じ群のオリゴヌクレオチドプローブセットが同じ5’上流プライマー特異的部分と同じ3’下流プライマー特異的部分とを有し、そして特定セットにおけるオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列がポリメラーゼ連鎖反応混合物中の他の核酸と識別できるようにユニーク長産物を有するものであり、該方法がさらに、
伸長産物をサイズまたは電気泳動運動性により分離する(該検出および該識別が標識が標識伸長産物中のサイズの相違により実施される);
ことを含む請求項6の方法。
【請求項9】
請求項6の方法において、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列が、ポリメラーゼ連鎖反応混合物中の他の核酸と識別され得るように、連絡接合部を通ってユニーク配列を含有するものであり、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドが与えられたプローブセットの連結接合部を通ってユニークヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有している);
1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に該ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物上で伸長産物を捕捉する(該検出は、連結反応接合部を通ってユニークヌクレオチド配列部分を用いて捕捉され、そして特定部位で固体支持物に固定化された伸長産物の存在を表す);
ことを含む請求項6の方法。
【請求項10】
請求項1の方法において、特定セットの1つまたは両方のオリゴヌクレオチドプローブがその非連結末端にブロック群を有し、ブロック群がエクソヌクレアーゼ消化に実質的に抵抗性である特定セットにおけるオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物を減少するものであり、該方法がさらに、
リガーゼ検出反応混合物を1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけた後に、リガーゼ検出反応混合物をエクソヌクレアーゼ消化にかけ(エクソヌクレアーゼがブロックされないオリゴヌクレオチドプローブを実質的に破壊し、連結反応産物の実質部分を破壊せず、そして元の標的ヌクレオチド配列の存在を減少する);
エクソヌクレアーゼを不活性化する(該エクソヌクレアーゼ処理が連結反応独立伸長産物の形成を、ポリメラーゼ連鎖反応混合物の1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクル処理の際に減少する);
ことを含む請求項1の方法。
【請求項11】
請求項10の方法において、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列がユニーク長産物を産生するものであり、該方法がさらに、
伸長産物をサイズまたは電気泳動運動性により分離し(該識別がサイズの相違する伸長産物を分別する);
ことを含む請求項10の方法。
【請求項12】
請求項11の方法において、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違する1以上の複数の配列が定量する複数の標的ヌクレオチド配列を有する未知量のサンプル中に存在するものであり、該方法がさらに、
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量を準備し;
1または複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を準備し、各群はマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットを含む2以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し(特定セットの1または両方のオリゴヌクレオチドプローブはその非連結末端でブロックされ、同じ群のオリゴヌクレオチドプローブセットは同じ5’上流プライマー特異的部分または同じ3’下流プライマー特異的部分のいずれか、あるいは同じ5’上流プライマー特異的部分と同じ3’下流プライマー特異的部分の両方を有し、該リガーゼ検出反応混合物はさらにマーカー標的ヌクレオチド配列を含有し、プローブセットはマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットを含む)、該方法がさらに;
1または複数のオリゴヌクレオチドプライマー群を準備し、各群が2以上のオリゴヌクレオチドプライマーセットを含有し(各群のオリゴヌクレオチドプライマーセットは同じ5’上流プライマーまたは同じ3’下流プライマーのいずれか、あるいは5’上流プライマーと同じ3’下流プライマーの両方を含有し、オリゴヌクレオチドプライマー群は与えられた群での全連結反応産物配列の増幅に有用である);
該識別後に伸長産物量を定量し;
未知のサンプルから産生した伸長産物量をマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から産生した伸長産物量と比較して、サンプル中の1以上のヌクレオチド配列レベルを定量する;
ことを含む請求項11の方法。
【請求項13】
請求項10の方法において、各プライマーセットで、1つのプライマーが検出可能レポーター標識を有し、他のプライマーがポリメラーゼ連鎖反応混合物を1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後にこのプライマー5’末に連結し、単鎖を残すアドレス可能アレイ特異的部分を含有するものであり、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定化された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドがアドレス可能アレイ特異的部分に相補的であるヌクレオチド配列を有す);
1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に該ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位でアドレス可能アレイ特異的部分を固体支持物に捕捉する(該検出がアドレス可能アレイ特異的部分を用いて捕捉され、そして特定部位で個体支持物に固定された伸長産物の存在を表す);
ことを含む請求項10の方法。
【請求項14】
請求項13の方法において、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違する1以上の複数の配列は、定量する複数の標的ヌクレオチド配列を有する未知量のサンプル中に存在し、1つのプライマーが検出可能レポーター標識を有し、他のプライマーがポリメラーゼ連鎖反応混合物を1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクル処理した後にそのプライマーの5’末に連結し、そして単鎖を残すアドレス可能アレイ特異的部分を含有し、同じ群のオリゴヌクレオチドプライマーが5’上流プライマーか、同じ3’下流プライマーのいずれかを含有し、オリゴヌクレオチドプライマー群が与えられた群の全連結反応産物配列を増幅するのに用い得るものであり、該方法がさらに、
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量を準備し;
1または複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を準備し、各群はマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットを含む2以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し(同じ群のオリゴヌクレオチドプローブセットの1つまたは両方は、同じ5’上流プライマー特異的部分または同じ3’下流プライマー特異的部分のいずれかを含有する);
1または複数のオリゴヌクレオチドプライマー群を準備し、各群が2以上のオリゴヌクレオチドプライマーセットを含有し(同じ群のオリゴヌクレオチドプライマーセットは、同じ5’上流プライマーまたは同じ3’下流プライマーのいずれかを含有し、オリゴヌクレオチドプライマーの1群は群中の全連結反応産物配列の増幅に使用される);
マーカー標的ヌクレオチド配列とマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットとを連結反応検出反応混合物に混合し;
伸長産物量を定量し;
未知のサンプルから産生した伸長産物量をマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から産生した伸長産物量と比較して、サンプル中の1以上のヌクレオチド配列レベルを定量する;
ことを含む請求項13の方法。
【請求項15】
請求項1において、特定セットの1または2のオリゴヌクレオチドプローブがデオキシチミジンの代わりにデオキシウラシルを含有し、デオキシウラシルがオリゴヌクレオチドプローブおよびウラシルN−グリコシラーゼに実質的に感受性である連結反応産物配列を減少するものであり、該方法がさらに、
リガーゼ検出反応混合物の1以上のリガーゼ検出反応サイクル処理の後で、かつポリメラーゼ連鎖反応混合物の1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクル処理の前に、リガーゼ検出反応混合物を、連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分に相補的な1または複数の下流プライマーおよびポリメラーゼと混合して、伸長混合物を形成し;
伸長混合物をハイブリダイズ処理にかけ(下流プライマーは連結反応産物配列の3’下流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、伸長して、連結反応産物配列に相補的な伸長産物を形成する);
ポリメラーゼを不活性化し;
該不活性化後に伸長混合物をウラシルN−グリコシラーゼと混合して、ウラシルN−グリコシラーゼ消化混合物を形成し;
伸長混合物を実質的にウラシルN−グリコシラーゼ消化にかけて、オリゴヌクレオチドプローブ、連結反応産物配列、およびプライマーとして5’上流プライマーを用いる元の標的からの伸長産物を破壊し、連結反応産物配列からの下流プライマー伸長産物を破壊せず;
ウラシルN−グリコシラーゼを不活性化し;
該ウラシルN−グリコシラーゼ不活性化後にポリメラーゼをウラシルN−グリコシラーゼ消化混合物と混合して、ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成し;
ポリメラーゼ連鎖反応混合物を1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけ、デオキシウラシルの代わりにデオキシチミジンを含むこと以外は実質的に同じ連結反応産物配列である第1サイクルにおいて伸長産物を形成し、続くサイクルにおいて、5’上流プライマーが連結反応産物配列に相補的な伸長産物の5’上流プライマー特異的部分にハイブリダイズし、3’下流プライマーが伸長処理、連結反応産物配列に実質的に同じ伸長産物配列の3’下流部分にハイブリダイズしそれにより、伸長混合物のウラシルN−グリコシラーゼ消化処理が、連結反応産物配列、1または2のオリゴヌクレオチドプローブおよびポリメラーゼ連鎖反応混合物の1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクル処理からの連結反応独立伸長産物の量を減少する;
ことを含む請求項1の方法。
【請求項16】
請求項15の方法において、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列が、プライマーまたは他の連結反応産物配列と識別し得るユニーク長産物を産生するものであり、該方法がさらに、
伸長産物をサイズまたは電気泳動運動性により分離する(該識別がサイズの相違する伸長産物を分別する);
ことを含む請求項15の方法。
【請求項17】
請求項16の方法において、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違する1以上の複数の配列は定量する複数の標的ヌクレオチド配列を有する未知量のサンプル中に存在するものであり、該方法はさらに、
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量を準備し;
1以上のマーカー特異的オリゴヌクレオチドプライマーセットを準備し、各セットは、(a)標的特異的部分および5’上流プライマー特異的部分を有する第1オリゴヌクレオチドプローブおよび(b)標的特異的部分および3’下流プライマー特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプローブを特徴とし(特定セットの1または2オリゴヌクレオチドプローブはデオキシチミジンの代わりにデオキシウラシルを含有し、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブは対応するマーカー標的ヌクレオチド配列に互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒の連結反応に適しており、しかし、サンプル中または加えられたマーカー配列中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときは、該連結反応を妨害するミスマッチを有し、該オリゴヌクレオチドプローブセットおよび該マーカー特異的オリゴヌクレオチドセットは複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列がユニーク長産物を産生し、そして同じ群または他の群におけるプローブまたは他の連結反応産物配列と識別され得る);
マーカー標的ヌクレオチド配列およびマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブをリガーゼ検出混合物に混合し;
1または複数のオリゴヌクレオチドプライマー群を準備し、各群が2以上のオリゴヌクレオチドプライマーセットを含有し(同じ群のオリゴヌクレオチドプライマーセットは同じ5’上流プライマーまたは同じ3’下流プライマーのいずれか、あるいは5’上流プライマーと同じ3’下流プライマーの両方を含有し、オリゴヌクレオチドプライマーの1群は与えられた群での全連結反応産物配列の増幅に使用される);
伸長産物をサイズまたは電気泳動運動性により分離し;
該識別後に伸長産物量を定量し;
未知のサンプルから産生した伸長産物量をマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から産生した伸長産物量と比較して、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列レベルを定量する;
ことを含む請求項16の方法。
【請求項18】
請求項15の方法において、各プライマーセットにおいて、1つのプライマーが検出可能レポーター標識を有し、他のプライマーがポリメラーゼ連鎖反応混合物を1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後にこのプライマー5’末に連結し、単鎖を残すアドレス可能アレイ特異的部分を含有するものであり、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定化された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドがアドレス可能アレイ特異的部分に相補的であるヌクレオチド配列を有する);
1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に該ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位でアドレス可能アレイ特異的部分を固体支持物に捕捉する(該検出がアドレス可能アレイ特異的部分を用いて捕捉され、そして特定部位で固体支持物に固定された伸長産物の存在を表す);
ことを含む請求項15の方法。
【請求項19】
請求項18の方法において、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違する1以上の複数の配列は定量する複数の標的ヌクレオチド配列を有する未知量のサンプル中に存在するものであり、該方法がさらに、
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量を準備し;
1または複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を準備し、各群はマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットを含む2以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し(特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列は、同じ群または他の群のプローブまたは他の連結反応産物配列と識別される);
マーカー標的ヌクレオチド配列およびマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブをリガーゼ検出混合物に混合し;
1または複数のオリゴヌクレオチドプライマー群を準備し、各群が2以上のオリゴヌクレオチドプライマーセットを含有し(同じ群のオリゴヌクレオチドプライマーセットは同じ5’上流プライマーまたは同じ3’下流プライマーのいずれかを含有し、オリゴヌクレオチドプライマーの1群は与えられた群での全連結反応産物配列の増幅に使用される);
該識別後に伸長産物量を定量し;
未知のサンプルから産生した伸長産物量をマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から産生した伸長産物量と比較して、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列レベルを定量する;
ことを含む請求項18の方法。
【請求項20】
各変性処理が温度約80−105℃である、請求項1の方法。
【請求項21】
変性処理またはハイブリダイゼーション処理を含むリガーゼ検出反応の各サイクルが約30秒−約5分間の長さである、請求項1の方法。
【請求項22】
リガーゼ検出反応混合物の1以上のリガーゼ検出反応サイクル処理が2−50サイクルで反復される、請求項1の方法。
【請求項23】
リガーゼ検出反応混合物の1以上のリガーゼ検出反応サイクル処理についての全時間が1−250分である、請求項1の方法。
【請求項24】
リガーゼがThermus aquaticusリガーゼ、Thermus thermophilusリガーゼ、E.coliリガーゼ、T4リガーゼおよびPyrococcusリガーゼからなる群より選ばれる、請求項1の方法。
【請求項25】
検出レポーター標識が発色団、蛍光分子、酵素、抗原、重金属、磁気プローブ、色素、燐光性基、放射活性物質、化学ルミネセント分子および電気化学的検出分子からなる群より選ばれる、請求項1の方法。
【請求項26】
オリゴヌクレオチドプローブの標的特異的部分各々がハイブリダイゼーション温度50−85℃を有する、請求項1の方法。
【請求項27】
オリゴヌクレオチドプローブの標的特異的部分が20−28ヌクレオチドの長さである、請求項1の方法。
【請求項28】
オリゴヌクレオチドプローブセットがリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、修飾デオキシヌクレオチド、修飾ホスフェート−糖−骨格オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドアナログおよびこれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項1の方法。
【請求項29】
複数の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している複数の配列の2以上を同定するための方法であって:
複数の配列相違を有する1以上の標的ヌクレオチド配列を含有する可能性のあるサンプルを準備し;
1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー群を準備し、各群は1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマーセットを含み、各セットは(a)標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を保持する第1オリゴヌクレオチドプライマー、および(b)標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプライマーを特徴とし(同じ群の各セットの第1オリゴヌクレオチドプライマーが同じ5’上流2次プライマー特異的部分を含有し、同じ群の各セットの第2オリゴヌクレオチドプライマーが同じ5’上流2次プライマー特異的部分を含有し、特定セットのオリゴヌクレオチドプライマーは対応する標的ヌクレオチド配列の相補的な鎖でハイブリダイズして、ポリメラーゼ連鎖反応を形成するのに適しており、しかし、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときは、該ポリメラーゼ連鎖反応の形成を妨害するミスマッチを有し、該オリゴヌクレオチドプローブセットおよび該マーカー特異的オリゴヌクレオチドセットは複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、特定セットのポリメラーゼ連鎖反応産物が同じ群または他の群における他のポリメラーゼ連鎖反応産物配列と識別され得る);
ポリメラーゼを準備し;
サンプル、1次オリゴヌクレオチドプライマーおよびポリメラーゼを混合して、1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成し;
1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけ(変性処理において、ハイブリダイズされた核酸配列が分離され、ハイブリダイゼーション処理において、1次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異的部分が標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、伸長処理において、ハイブリダイズされた1次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次オリゴヌクレオチドプライマーのハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列に相補的な1次伸長産物を形成する);
1または複数の2次オリゴヌクレオチドプライマーセットを準備し、各セットは、(a)第1の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第1の2次オリゴヌクレオチドプライマー、および(b)第1の2次プライマーにより含有される第1の1次オリゴヌクレオチドと同じ1次オリゴヌクレオチドプライマーセットに由来する第2の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第2の2次オリゴヌクレオチドプライマーを有し(2次オリゴヌクレオチドプライマーのセットは、与えられた群において1次伸長産物のすべてを増幅するのに使用され得る);
1次伸長産物、2次オリゴヌクレオチドプライマーおよびポリメラーゼを混合して、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物とし;
2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけ(変性処理において、ハイブリダイズされた核酸遺伝子が分離し、ハイブリダイゼーションにおいて、2次オリゴヌクレオチドプライマーが1次伸長産物にハイブリダイズし、伸長処理において、ハイブリダイズ2次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次伸長産物に相補的な2次伸長産物を形成する);
複数のオリゴヌクレオチドプローブセットが準備され、各セットは、(a)2次伸長産物特異的部分と検出可能レポーター標識を保持する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および(b)2次伸長産物特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプローブを有し(特定セットのオリゴヌクレオチドプローブは、相補的2次伸長産物特異的部分に互いに隣接してハイブリダイズしたときに一緒に連結反応するのに適し、しかし、サンプル中の他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに該連結反応を妨害するミスマッチがある);
リガーゼを準備し;
2次伸長産物、複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびリガーゼを混合して、リガーゼ検出反応混合物とし;
リガーゼ検出反応混合物を、変性処理およびハイブリダイゼーション処理を含む1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけ(変性処理において、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドが2次伸長産物から分離され、ハイブリダイゼーション処理において、オリゴヌクレオチドプローブセットは、隣接部位で塩基特異的に、もし存在すれば夫々の2次伸長産物にハイブリダイズし、互いに連結して、一緒に結合している(a)検出可能レポーター標識および(b)2次伸長産物特異的部分を含有する連結産物配列を形成し、オリゴヌクレオチドプローブセットは、その夫々の相補的2次伸長産物以外のヌクレオチド配列にハイブリダイズし得るが、1以上のミスマッチの存在のために一緒に連結しないで、変性処理の際に個々に分離する);
連結反応産物配列のレポーター標識が検出されて、それによりサンプル中の2以上の標的ヌクレオチド配列の存在が表される;
ことを含む方法。
【請求項30】
請求項29の方法において、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列が、リガーゼ検出反応混合物中の他の核酸と識別できるように、ユニーク長を有するものであり、該方法はさらに、
サイズまたは電気泳動運動性により連結反応産物配列を分離し;
該検出後に、サイズの異なる連結反応産物配列を識別する;
ことを含む請求項29の方法。
【請求項31】
請求項29の方法において、各セットの第2オリゴヌクレオチドプローブがアドレス可能アレイ特異的部分を有するものであり、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定化された相違の捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドはアドレス可能アレイ特異的部分に相補的であるヌクレオチド配列を有する);
1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけた後に、リガーゼ検出反応混合物を、リガーゼ配列産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物にアドレス可能アレイ特異的部分を捕捉する(該検出がアドレス可能アレイ特異的部分を用いて捕捉され、そして特定部位で固体支持物に固定化された連結反応産物配列の存在を表し、それによってサンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を表す);
ことを含む請求項29の方法。
【請求項32】
請求項29の方法において、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違し、未知量のサンプル中に存在する1以上の複数の配列の相対量を1以上の標的ヌクレオチド配列で定量するものであり、該方法がさらに、
2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に、2次伸長産物を定量し;
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量を準備し;
マーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットを含む1以上の配列特異的プローブセットを準備し;
マーカー標的ヌクレオチド配列、および標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットをリガーゼ検出反応混合物と混合し;
連結反応産物配列を定量し;
未知のサンプルから産生した伸長産物量をマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から産生した伸長産物量と比較して、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の相対レベルを定量する;
ことを含む請求項29の方法。
【請求項33】
請求項32の方法において、第2オリゴヌクレオチドプローブがアドレス可能特異的部分を有し、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定化された相違の捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドはアドレス可能特異的部分に相補的であるヌクレオチド配列を有する);
1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけた後に、リガーゼ検出反応混合物を、リガーゼ配列産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物にアドレス可能アレイ特異的部分を捕捉する;
アドレス可能アレイ特異的部分を用いて捕捉し、特定部位で固体支持物に固定した連結反応産物配列を定量し;
未知のサンプルから産生した捕捉連結反応産物量をマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から産生した捕捉連結反応産物量と比較して、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の相対レベルを定量する;
ことを含む請求項32の方法。
【請求項34】
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列が1以上の単一ヌクレオチド位置で標的ヌクレオチド配列と相違する、請求項32の方法。
【請求項35】
請求項32の方法において、オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、各群が単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、各群のオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、2次伸長産物特異的部分と検出可能レポーター標識を有する共通の1次オリゴヌクレオチドプローブ、および与えられた対立遺伝子またマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする2次伸長産物特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なる長さを有し、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列はユニーク長産物を産生するものであり、さらに該方法が、
連結反応産物配列をサイズまたは電気泳動運動性により分離し;
サイズの異なる連結反応産物配列を識別する;
ことを含む請求項32の方法。
【請求項36】
請求項32の方法において、オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、各群が単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、各群のオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、2次伸長産物特異的部分を有する共通の1次オリゴヌクレオチドプローブ、および与えられた対立遺伝子またマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする2次伸長産物特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なる検出可能レポーター標識を有し、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列はユニーク長産物を産生するものであり、さらに該方法が、
連結反応産物配列をサイズまたは電気泳動運動性により分離し;
サイズの異なる連結反応産物配列を識別する;
ことを含む請求項32の方法。
【請求項37】
オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、各群が単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、各群のオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、2次伸長産物特異的部分と検出可能レポーター標識を有する共通の1次オリゴヌクレオチドプローブ、および与えられた対立遺伝子またマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする2次伸長産物特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なるアドレス可能アレイ特異的部分を有する、請求項33の方法。
【請求項38】
請求項33の方法において、オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、各群が単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、各群のオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、2次伸長産物特異的部分とアドレス可能アレイ特異的部分を有する共通の1次オリゴヌクレオチドプローブ、および与えられた対立遺伝子またマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする2次伸長産物特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なる検出可能レポーター標識を有する、請求項33の方法。
【請求項39】
単一標的ヌクレオチド配列における2以上の近接または隣接のヌクレオチド位置での多重対立遺伝子相違または多重標的ヌクレオチド配列における2以上の近接または隣接のヌクレオチド位置での多重対立遺伝子相違が、重複し得る2次伸長特異的部分を有するオリゴヌクレオチドプローブで識別される、請求項29の方法。
【請求項40】
サンプル中の、正常配列の過剰存在下での単一標的ヌクレオチド配列における多重の近接または隣接の位置での多重対立遺伝子相違の低存在量、または正常配列の過剰存在下での多重標的ヌクレオチド配列における多重の近接または隣接の位置での多重対立遺伝子相違の低存在量が識別され、オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、各群が単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、群内での1以上のセットが共通の第1オリゴヌクレオチドプローブを共有し、第2オリゴヌクレオチドプローブが2次伸長産物特異的部分を有し、この部分は塩基特異的に正常対立遺伝子以外の与えられた対立遺伝子にハイブリダイズし、該検出において、連結反応産物配列の標識が検出され、それによって、サンプル中の、1以上の標的ヌクレオチド配列における1以上のヌクレオチド位置での1以上の低存在量の対立遺伝子の存在を表す、請求項29の方法。
【請求項41】
請求項29の方法において、サンプル中の未知量の、正常配列の過剰存在下での単一標的ヌクレオチド配列における多重の近接または隣接の位置で多重対立遺伝子相違の低存在量、または正常配列の過剰存在下での多重標的ヌクレオチド配列における多重の近接または隣接のヌクレオチド位置で多重対立遺伝子相違の低存在量を定量するものであり、さらに該方法が、
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量を準備し;
1以上のマーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブセットを準備し、各セットが(a)マーカー標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分を有する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および(b)マーカー標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分と検出可能レポーター標識を有する第2オリゴヌクレオチドプローブを特徴とし(特定マーカー特異的オリゴヌクレオチドセットのオリゴヌクレオチドプローブは対応するマーカー標的ヌクレオチド配列に互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒の連結反応に適しており、しかし、サンプル中または加えられたマーカー配列中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときは、該連結反応を妨害するミスマッチを有し、該複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよび複数のマーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブセットは、マーカーヌクレオチド配列を含み、単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子相違を識別するためのオリゴヌクレオチドプローブ群を形成し、群内での1以上のセットが共通の第1オリゴヌクレオチドプローブを共有し、第2オリゴヌクレオチドプローブが2次伸長産物特異的部分を有し、この部分は塩基特異的に正常対立遺伝子以外の与えられた対立遺伝子にハイブリダイズし、リガーゼ検出反応混合物を形成するための該混合物は、マーカー標的ヌクレオチド配列およびマーカー標的ヌクレオチド配列のための特異的に設計されたプローブセットをリガーゼ検出反応混合物に混合することを含む);
連結反応産物配列を定量し;
低存在量の未知のサンプルから産生した連結反応産物量をマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から産生した連結反応産物量と比較して、サンプル中の1以上の低存在量の標的ヌクレオチド配列レベルを定量する;
ことを含む請求項29の方法。
【請求項42】
各変性処理が温度約80−105℃である、請求項29の方法。
【請求項43】
変性処理またはハイブリダイゼーション処理を含むリガーゼ検出反応の各サイクルが約30秒−約5分間の長さである、請求項29の方法。
【請求項44】
リガーゼ検出反応混合物の1以上のリガーゼ検出反応サイクル処理が2−50サイクルで反復される、請求項29の方法。
【請求項45】
リガーゼ検出反応混合物の1以上のリガーゼ検出反応サイクル処理についての全時間が1−250分である、請求項29の方法。
【請求項46】
リガーゼがThermus aquaticusリガーゼ、Thermus thermophilusリガーゼ、E.coliリガーゼ、T4リガーゼおよびPyrococcusリガーゼからなる群より選ばれる、請求項29の方法。
【請求項47】
検出レポーター標識が発色団、蛍光分子、酵素、抗原、重金属、磁気プローブ、色素、燐光性基、放射活性物質、化学ルミネセント分子および電気化学的検出分子からなる群より選ばれる、請求項29の方法。
【請求項48】
オリゴヌクレオチドプローブの標的特異的部分各々がハイブリダイゼーション温度50−85℃を有する、請求項29の方法。
【請求項49】
オリゴヌクレオチドプローブの標的特異的部分が20−28ヌクレオチドの長さである、請求項29の方法。
【請求項50】
オリゴヌクレオチドプローブセットがリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、修飾デオキシヌクレオチド、修飾ホスフェート−糖−骨格オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドアナログおよびこれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項29の方法。
【請求項51】
複数の標的ヌクレオチド配列における1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している複数の配列の2以上を同定するための方法であって:
複数の配列相違を有する1以上の標的ヌクレオチド配列を含有する可能性のあるサンプルを準備し;
1以上の1次オリゴヌクレオチドプライマー群を準備し、各群は(a)標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を保持する第1オリゴヌクレオチドプライマー、および(b)標的特異的部分と5’上流2次プライマー特異的部分を保持する第2オリゴヌクレオチドプローブを特徴とし(同じ群の各セットの第1オリゴヌクレオチドプライマーが同じ5’上流2次プライマー特異的部分を含有し、同じ群の各セットの第2オリゴヌクレオチドプライマーが同じ5’上流2次プライマー特異的部分を含有し、
特定セットのオリゴヌクレオチドプライマーは対応する標的ヌクレオチド配列の相補的な鎖でハイブリダイズして、ポリメラーゼ連鎖反応産物を形成するのに適しており、しかし、サンプル中または加えられたマーカー配列中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときは、ポリメラーゼ連鎖反応を妨害するミスマッチを有し、特定セットのポリメラーゼ連鎖反応産物配列が同じ群または他の群における他のポリメラーゼ連鎖反応産物配列と識別され得る);
ポリメラーゼを準備し;
サンプル、1次オリゴヌクレオチドプライマーおよびポリメラーゼを混合して、1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成し;
1次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけ(変性処理において、ハイブリダイズされた核酸配列は分離され、ハイブリダイゼーション処理において、1次オリゴヌクレオチドプライマーの標的特異的部分は標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、伸長処理において、ハイブリダイズされた1次オリゴヌクレオチドプライマーは伸長されて、1次オリゴヌクレオチドプライマーのハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列に相補的な1次伸長産物を形成する);
1または複数の2次オリゴヌクレオチドプライマーセットを準備し、各セットは、(a)検出可能レポーター標識を保持し、第1の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第1の2次オリゴヌクレオチドプライマー、および(b)第1の2次プライマーに相補的な第1の1次オリゴヌクレオチドと同じ1次オリゴヌクレオチドプライマーセットに由来する第2の1次オリゴヌクレオチドプライマーの5’上流部分と同じ配列を含有する第2の2次オリゴヌクレオチドプライマーを有し(2次オリゴヌクレオチドプライマーのセットが与えられた特定の群における1次伸長産物を増幅する);
1次伸長産物、2次オリゴヌクレオチドプライマーおよびポリメラーゼを混合して、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物とし;
2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、変性処理、ハイブリダイゼーション処理および伸長処理を含む2以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけ(変性処理において、ハイブリダイズされた核酸配列が分離し、ハイブリダイゼーションにおいて、2次オリゴヌクレオチドプライマーが1次伸長産物にハイブリダイズし、伸長処理において、ハイブリダイズ2次オリゴヌクレオチドプライマーが伸長されて、1次伸長産物に相補的な2次伸長産物を形成する);
標識2次伸長産物を検出し、それによってサンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を表すことを含む方法。
【請求項52】
請求項51の方法において、特定セットのポリメラーゼ連鎖反応2次オリゴヌクレオチドプライマーが、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物中の他の核酸と識別できるように、ユニーク長の2次伸長産物を産生するものであり、該方法はさらに、
サイズまたは電気泳動運動性により伸長産物を分離し;
サイズの異なる2次伸長産物を識別する;
ことを含む請求項51の方法。
【請求項53】
請求項51の方法において、2次伸長産物が他の2次伸長産物と識別できるようにユニーク配列を含有するものであり、該方法はさらに、
相違する特定部位で固定化された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドは2次伸長産物内のユニークヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を有する);
1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に、2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、2次伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物に2次伸長産物を捕捉する(該検出が2次伸長産物内でユニークヌクレオチド配列部分を用いて捕捉され、特定部位で固体支持物に固定された2次伸長産物の存在を表し、それによってサンプル中の1以上の標的ヌクレオチドの存在を表す);
ことを含む請求項51の方法。
【請求項54】
請求項51の方法において、同じ群の1次オリゴヌクレオチドプライマーセットが第1オリゴヌクレオチドプライマー上の同じ5’上流プライマー特異的部分または第2オリゴヌクレオチドプライマー上の同じ5’上流プライマー特異的部分のいずれかを含み、2次オリゴヌクレオチドプライマーセットが1または複数のオリゴヌクレオチドプライマー群を形成し、各群は1以上のオリゴヌクレオチドプライマーセットを含み、1つの2次オリゴヌクレオチドプライマーが検出可能レポーターレベルを有し、そして他の2次オリゴヌクレオチドプライマーが、1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルに2次ポリメラーゼ連鎖反応混合物がかけられた後に単鎖を残すプライマーの5’末に連結しているアドレス可能アレイ特異的部分を含有し、同じ群のオリゴヌクレオチドプライマーが同じ第1の2次オリゴヌクレオチドプライマーまたは同じ第2の2次オリゴヌクレオチドプライマーのいずれかを有し、2次オリゴヌクレオチドプライマーの1群が与えられた群での全1次伸長産物を増幅するのに用いられるものであり、該方法がさらに、
相違する特定部位で固定化された相違捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し(捕捉オリゴヌクレオチドはアドレス可能アレイ特異的部分に相補的であるヌクレオチド配列を有する);
1以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルにかけた後に、該ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、2次伸長産物が捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズするのに効果的な条件で固体支持物に接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物にアドレス可能アレイ特異的部分を捕捉する(該検出が2次伸長産物内でユニークヌクレオチド配列部分を用いて捕捉され、特定部位で固体支持物に固定された2次伸長産物の存在を表し、それによってサンプル中の1以上の標的ヌクレオチドの存在を表す);
ことを含む請求項51の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
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【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2011−139718(P2011−139718A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96201(P2011−96201)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【分割の表示】特願2008−124(P2008−124)の分割
【原出願日】平成9年5月27日(1997.5.27)
【出願人】(592035453)コーネル・リサーチ・ファンデーション・インコーポレイテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】CORNELL RESEARCH FOUNDATION, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【分割の表示】特願2008−124(P2008−124)の分割
【原出願日】平成9年5月27日(1997.5.27)
【出願人】(592035453)コーネル・リサーチ・ファンデーション・インコーポレイテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】CORNELL RESEARCH FOUNDATION, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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