説明

組み合わされたナビゲーション信号を処理するための方法

ここに開示される主題事項は、複数の全地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)から受信される複数のナビゲーション信号成分を処理するためのシステム及び方法に関する。特定の実施形態において、第2ナビゲーション信号成分内の情報に少なくとも部分的に基づいて、第1ナビゲーション信号成分内のコード位相が検出されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示される主題事項は、送信器から受信される複数の信号成分を有するナビゲーション信号を処理することに関する。
【背景技術】
【0002】
衛星測位システム(SPS)は、典型的には、送信器から受信される信号に少なくとも部分的に基づいて、エンティティが地球上における彼らの位置を決定することができるように位置付けられた送信器のシステムを具備する。そのような送信器は、典型的には、設定数のチップの繰返し疑似乱数ノイズ(PN)コードが付いている信号を送信し、またこれは、地上の制御局、ユーザ機器、及び/または宇宙船に配置される可能性がある。特定の例において、そのような送信器は、地球を周回する衛星に配置される可能性がある。例えば、全地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)の配置において、衛星、例えば全地球測位システム(GPS)、ガリレオ(Galileo)、グロナス(Glonass)、またはコンパス(Compass)は、この配置における他の衛星によって送信されるPNコードから区別可能なPNコードが付いている信号を送信する可能性がある。
【0003】
受信器における位置を推定するため、ナビゲーションシステムは、この受信器「から見た」衛星に対する擬似距離測定値を決定する可能性があり、これは、この衛星から受信する信号内のPNコードの検出に少なくとも部分的に基づいて、公知の技術を使用して行う。衛星に対するそのような擬似距離は、受信器において受信される信号を取得するプロセス中に、衛星に関連するPNコードが付いている受信される信号において検出されるコード位相に少なくとも部分的に基づいて決定される可能性がある。受信される信号を取得するため、ナビゲーションシステムは、典型的には、この受信される信号を、局所的に発生されるPNコードであって衛星と関連するものと相関させる。例えば、そのようなナビゲーションシステムは、典型的には、そのような受信される信号を、そのような局所的に発生されるPNコードのタイムシフトされたバージョン及び/または多重コードと相関させる。最高信号パワーとの相関結果をもたらす特定の時間及び/またはコードシフトされたバージョンの検出は、上述のように擬似距離を測定するのに使用される取得信号と関連するコード位相を指示する可能性がある。
【0004】
GNSS衛星から受信される信号のコード位相を検出すると、受信器は複数の擬似距離仮説を形成する可能性がある。追加の情報を使用して、受信器はそのような擬似距離仮説(pseudorange hypotheses)を排除する可能性があり、これにより本当の擬似距離測定値と関連するあいまいさを事実上減少させる。GNSS衛星から受信される信号のタイミングの知識に十分な精度があると、虚偽の擬似距離仮説の幾つかまたは全てが排除される可能性がある。
【0005】
図1は、SPSシステムの適用例を示し、ここで、無線通信システムにおける移動局(MS)100は、MS100に対する見通し内にある衛星102a、102b、102c、102dからの送信を受信すると共に、これら4つのまたはそれ以上の送信から時間測定値を導き出す。MS100は、この測定値を位置決定エンティティ(PDE)104に提供する可能性があり、PDE104は、測定値から局の位置を決定する。代わりに、加入者局100がこの情報からそれ自身の位置を決定する可能性がある。
【0006】
MS100は、衛星のためのPNコードを受信される信号と相関させることによって、特定の衛星からの送信を捜索しうる。この受信される信号は、典型的には、ノイズが存在する中でMS100において受信器に対する見通し内にある1つまたはそれ以上の衛星からの送信の合成を具備する。相関付けは、コード位相捜索ウィンドウWCPとして知られるコード位相仮説の距離に亘って、及びドップラー捜索ウィンドウWDOPPとして知られるドップラー周波数仮説の距離に亘って行われる可能性がある。上記で指摘するように、そのようなコード位相仮説は、典型的には、PNコードシフトとして表現される。また、ドップラー周波数仮説は、典型的には、ドップラー周波数ビンとして表現される。
【発明の概要】
【0007】
1つの特定の実施形態において、ナビゲーション信号が送信器から受信される方法が提供される。このナビゲーション信号は、第1のナビゲーション信号成分及び第2のナビゲーション信号成分を具備する。この第1のナビゲーション信号成分のコード位相がこの第2のナビゲーション信号成分内の情報に少なくとも部分的に基づいて決定される。しかしながら、これは単なる1つの例示の実施形態であり、特許請求の範囲に記載される主題事項はこの特定の実施形態に限定されるいものではないことを理解すべきである。
【0008】
以下に、非限定的且つ非網羅的特徴を下記の図を参照して記載するが、ここで、様々な図を通して同様な参照番号は同様な部分を指示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】1つの視点に係る衛星測位システム(SPS)の概略図である。
【図2A】図2Aは、1つの実施形態に係る、参照コードと受信されるコードとの比較を示す図である。
【図2B】図2Bは、1つの実施形態に係る、参照コードと受信されるコードとの比較を示す図である。
【図3】図3は、特定の例に係る相関器の概略ブロック図である。
【図4】図4は、1つの特定の実施形態に係る二次元捜索ウィンドウを示す図である。
【図5】図5は、1つの特定の例において、見通し信号から得られる可能性があるピークを示すエネルギープロット図である。
【図6】図6は、1つの視点に係る受信されるナビゲーション信号内のコード位相を検出する方法を示す図である。
【図7A】図7Aは、第1及び第2のナビゲーション信号成分、及び1つの視点に係るそれらの合成信号を示す図である。
【図7B】図7Bは、第1及び第2のナビゲーション信号成分、及び1つの視点に係るそれらの合成信号を示す図である。
【図7C】図7Cは、第1及び第2のナビゲーション信号成分、及び1つの視点に係るそれらの合成信号を示す図である。
【図8A】図8Aは、第1及び第2のナビゲーション信号成分、及び1つの視点に係るそれらの合成信号のエネルギープロファイルを示す図である。
【図8B】図8Bは、第1及び第2のナビゲーション信号成分、及び1つの視点に係るそれらの合成信号のエネルギープロファイルを示す図である。
【図8C】図8Cは、第1及び第2のナビゲーション信号成分、及び1つの視点に係るそれらの合成信号のエネルギープロファイルを示す図である。
【図8D】図8Dは、第1及び第2のナビゲーション信号成分、及び1つの視点に係るそれらの合成信号のエネルギープロファイルを示す図である。
【図9】1つの視点に係る移動局の概略図である。
【詳細な説明】
【0010】
この明細書を通して、「1つの例」、「1つの特徴」、「ある例」、または「1つの特徴」という用語への言及は、特徴及び/または例と関連して記載されるある特定の特徴、構造、または特性が、特許請求の範囲に記載される主題事項の少なくとも1つの特徴及び/または例に含まれることを意味する。従って、この明細書を通して様々な場所で現れる「1つの例において」、「ある例」、「1つの特徴において」、または「ある特徴」という言い回しは、必ずしも全てが同じ特徴及び/または例に言及するものではない。更にまた、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたはそれ以上の例及び/または特徴において、組み合わされる可能性がある。
【0011】
ここで記載される方法論は、特定の特徴及び/または例に従った適用例に依存して、様々な手段によって実施される可能性がある。例えば、そのような方法論は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/またはそれらの組み合わせとして実施される可能性がある。ハードウェアの実施形態において、例えば処理ユニットは、ここで記載の機能を行うように設計された、1つまたはそれ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、他のデバイスユニット、及び/またはそれらの組み合わせ内において実施される可能性がある。
【0012】
ここで言及される「宇宙船」(SV)は、地球表面上の受信器に信号を送信することができる物体に関する。1つの特定の例において、そのようなSVは、地球から見て静止した衛星を具備する可能性がある。代わりに、SVは、軌道を周回することによって地球上の静止位置に対して移動する衛星を具備する可能性がある。しかし、これらはSVの単なる例であり、特許請求の範囲に記載される主題事項はこれらの点について限定されるものではない。
【0013】
ここで記載される位置決定及び/または推定技術は、様々な無線通信ネットワーク、例えば無線広域ネットワーク(WWAN)、無線局所地域ネットワーク(WLAN)、無線個人域ネットワーク(WPAN)、等々のために使用される可能性がある。「ネットワーク」及び「システム」という用語は、ここで相互に取り替え可能に使用されうる。WWANは、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、直交周波数分割多元接続(OFDMA)ネットワーク、単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)ネットワーク、等々である可能性がある。CDMAネットワークは、1つまたはそれ以上の電波接続技術(RAT)、例えば、ほんの僅かのラジオ技術の名称を挙げるだけであるが、cdma2000、広帯域CDMA(W−CDMA)を実施しうる。ここで、cdma2000は、IS−95、IS−2000、及びIS−856規格に従って実施される技術を含む可能性がある。TDMAネットワークは、モバイル通信用全地球的システム(GSM(登録商標))、デジタル改良型携帯電話システム(D−AMPS)、またはその他のRATを実施する可能性がある。GSM(登録商標)及びW−CDMAは、「第三世代パートナーシッププロジェクト」(3GPP)という名称の協会からの文書に記載される。cdma2000は、「第三世代パートナーシッププロジェクト2」(3GPP2)という名称の協会からの文書に記載される。3GPP及び3GPP2の文書は、公に入手可能である。例えば、WLANは、IEEE802.11xネットワークを具備する可能性があり、WPANは、ブルートゥースネットワーク、IEEE802.15xを具備する可能性がある。ここで記載されるそのような位置決定技術はまた、WWAN、WLAN、及び/またはWPANの任意の組み合わせのために使用されうる。
【0014】
1つの例によれば、デバイス及び/またはシステムは、SVから受信する信号に少なくとも部分的に基づいてその位置を推定する可能性がある。特に、そのようなデバイス及び/またはシステムは、関連するSV及びナビゲーション衛星受信器間の距離の概算値を具備する「擬似距離」測定値を得る可能性がある。特定の例において、そのような擬似距離は、衛星測位システム(SPS)の一部として1つまたはそれ以上のSVからの信号を処理することができる受信器において決定される可能性がある。その位置を決定するため、衛星ナビゲーション受信器は、3つまたはそれ以上の衛星に対する擬似距離測定値をそれらの位置と共に、送信する時間において得ることが可能である。
【0015】
ここで記載される技術は、幾つかのSPSの任意の1つ及び/またはSPSの組み合わせと共に使用される可能性がある。更にまた、そのような技術は、疑似衛星(pseudolite)または衛星及び疑似衛星の組み合わせを利用する測位決定システムと共に使用される可能性がある。疑似衛星は、時間と同期される可能性がある、Lバンド(または他の周波数)キャリア信号上で変調されるPNコードまたは他の距離決めコード(例えば、GPSまたはCDMA携帯電話信号と類似する)を放送する地上送信器を具備する可能性がある。そのような送信器は、独自のPNコードを割り当てられる可能性があり、これにより遠隔の受信器によって同定ができるようになる。疑似衛星は、周回する衛星からのGPS信号が入手できない可能性がある状況、例えばトンネル、鉱山、建物、都市渓谷、または他の囲われた領域内において有用である。疑似衛星の他の実施形態は、ラジオ標識(beacon)として知られる。ここで使用される「衛星」という用語は、疑似衛星、疑似衛星の同等物、及び場合によっては他の物を含むことが意図されている。ここで使用される「SPS信号」という用語は、疑似衛星または疑似衛星の同等物からのSPS状信号を含むことが意図されている。
【0016】
ここで言及される「全地球ナビゲーション衛星システム」(GNSS)は、一般的な信号用フォーマットに従って同期化されたナビゲーション信号を送信するSVを具備するSPSに関する。そのようなGNSSは、例えば、同期化された軌道における複数のSVの配置を具備することができ、これにより、この配置内の複数のSVから同時に、地球の表面の広大な部分上の位置に対してナビゲーション信号を送信できるようにする。GNSS衛星は、複数のナビゲーション信号成分を有するナビゲーション信号を送信しうる。これらのナビゲーション信号成分は、同じまたは異なるキャリア周波数上で送信されうる。更に、これらのナビゲーション信号成分はまた、同じキャリア周波数上でしかし異なるベースバンド変調、例えばバイナリオフセットキャリア(1,1)(「BOC(1,1)」)またはバイナリ位相シフトキーイング(「BPSK」)で送信されうる。ナビゲーション信号成分は、異なるコード長さに従って変調されうる。例えば、ナビゲーション信号成分の1つは、レガシーL1・C/A・GPS信号であることができ、ここで、第2ナビゲーション信号成分はより長いコード長さを有する提案されたL1・C−D・GPS信号でありうるが、これらは単に僅かな例を比較して示すものである。
【0017】
各ナビゲーション信号成分は、送信されると共に、例えば、移動局の受信器によって受信されうる。受信されると、ナビゲーション信号成分は、夫々のナビゲーション信号成分の各々に対応する知られた参照コードに対して相関される。各ナビゲーション信号成分のため、受信器は、参照コードを発生すると共に、この参照コードを、受信されるナビゲーション信号成分におけるコードに対照して比較する。
【0018】
図2Aは、受信されるナビゲーション信号成分の所定のコードS1(時間指数0で開始する)とこのコードの参照コピーSR(以下、「参照コード」として言及される)との間の比較のある例を示す。この例において、斜線付きの四角は1つのバイナリ記号(例えば、+1)を指示し、斜線無しの四角は他のバイナリ記号(例えば、−1)を指示する。図2Aの例においては、これら2つのコードは位置合わせされていないことが分かるであろう。
【0019】
図2Bにおいて、参照コードSRは、時間指数0に対して8チップのオフセットだけシフトされる。この位置における参照コードによって、2つのコードが今度は位置合わせされる。受信されるコードと参照コードとの間のオフセットは、2つのコードが位置合わせされるような位置に参照コードがある場合に、信号のコード位相と呼ばれる。従って、受信されるコードS1は、8チップのコード位相を有する。
【0020】
コード位相は、受信される信号の遅延の表示として使用されることができ、これは他方で、送信器及び受信器間の距離の尺度として使用されうる。追加的にまたは代替的に、コード位相は、1つまたはそれ以上の他の信号の受信及び/または送信と関連する同期化演算において使用されうる。例えば、このコード位相から導き出されるタイミング情報は、スロット付きアクセスチャネルに対して受信器を同期化するように使用されうる。スロット付きアクセスチャネルの例は、受信されるコード(例えば、下りリンクまたは逆送り回線上)の送信器によって送信されうるアクセスチャネルと、その位置(例えば、上りリンクまたは順送り回線上)において受信器によってモニタされる可能性がある呼び出しチャネルとを含む。
【0021】
1つの例において、受信されるコードシーケンスと参照コードとの相関は、下記の式(1)に従って、参照コードの長さのある部分に亘って、受信されるコード及び参照コードの積を積算することによって、時間ドメインにおいて行われうる。
【数1】

【0022】
上記の式において、xは受信されるコード、rは長さNの参照コード、y(t)はオフセットにおける相関結果である。ここで、受信されるコードは、複合するベースバンド信号を具備することができ、この相関は受信されるコードのI及びQ成分の各々について行われる。
【0023】
得られた相関結果(及び/または2つのコードの相関程度の他の表現)は、対応するオフセットためのエネルギー結果として使用されうるが、エネルギー結果は、I及びQ成分のためのそのような相関結果の自乗和として計算されうる。オフセットの距離に亘るそのような計算の結果は三角形を有することができ、これは、受信器前端部におけるフィルタリングによって滑らかにされうる。
【0024】
エネルギー計算は、サンプルの受信される信号成分に対して行われうる。特定の設計に依存して、エネルギー結果は固定小数点または浮動小数点値として表現されることができ、例えば、ピーク間の相対差を決定するためにだけエネルギー結果が使用される場合には、これらは任意単位である可能性がありうる。エネルギー結果が、1つまたはそれ以上の他の仕事(例えば、他のシステム変数との比較)のためにも使用されうる場合には、測定スケールは、そのような仕事または複数の仕事のために適切となるように選択されうる。
【0025】
図3は、1つの特定の実施形態において、エネルギー結果を得るために使用される可能性がある相関器300の1つの例のブロック図を示す。乗算器310は、複合する受信されるコードS10を参照コードと乗算するように構成され、累算器320は、参照コードの長さに亘って積を累算するように構成される。非線形検出器330は、自乗器として実施される可能性があり、これは各成分について自乗和を得るように構成され、累算器340は、エネルギー結果を得るように自乗和を合計するように構成される。参照コード発生器350は、シフトレジスタ例えば線形フィードバックシフトレジスタ(LFSR)として実施される可能性があり、これは受信されるコードまたはその派生物のチップレートに従って刻時される可能性がある。代わりに、参照コードは、適切なレートで記憶部から読み出されるかまたは外部デバイスまたは回路から受信されうる。
【0026】
図3の例は直列の相関器を示すが、相関器300はまた、並列の相関(同じ時間において複数のコードの1つより多くのビットを乗算する)または直列及び並列演算の任意の組み合わせを行うように実施されうる。GPS受信器は、例えば、相関器300の複数の実例を含むことができ、これらの各々は、参照コードのコピーを受信すると共に、異なる対応する遅延を適用し、ある時間において1つより多くのコード位相仮説について結果を得るようにする。相関器300の複数の実例はまた、ある時間において1つより多くの参照コードについて捜索を行うように使用されうる。1つまたはそれ以上の相関器と、所望のセットの仮説についてエネルギー結果を得るようにこれらの相関器を制御するように構成されたロジック(例えば、プロセッサ)とを含むモジュールは、捜索器または捜索するためのための手段と呼ばれうる。
【0027】
上述のエネルギー結果の計算は、考慮される各オフセット(または「コード位相仮説」)について繰り返されうる。GPS・C/Aコード位相サークルにおいて、例えば、1023個の可能な仮説(または1/2チップの分解能において2046個の仮説)が存在する。多くの場合において、しかし、捜索される仮説の数は、以前の捜索から及び/または外部ソース(例えば、位置決定エンティティ(PDE))から得られる受信されるコードのコード位相位置の知識を適用することにより大幅に削減されうる。そのような実施形態において、捜索は、例えば、256チップまたは32チップまたはそれ以下の幅に削減されうる。
【0028】
代わりに、様々なコード位相仮説についての相関及び/またはエネルギー結果は、周波数ドメインにおける演算を介して得られる。ここで、全コード位相サークルは、選択される分解能において効率的に捜索される可能性があり、これは、例えば、受信されるコードを周波数ドメインに変換し(例えば、高速フーリエ変換(FFT)のような離散型フーリエ変換(DFT)演算を使用して)、変換された信号を参照コードの適応されるフィルタと乗算し、時間ドメインにおける対応する結果を得るように逆変換を適用することにより行う。ある周波数ドメイン相関技術がまた、周波数ドメインにおけるより狭い捜索を行うように使用されうる。例えば、米国公開特許出願第2004/0141574号(Akopian、2004年7月22日発行)は、コード位相の限定された距離に亘って捜索するための周波数ドメイン方法を記載すると述べている。
【0029】
時間ドメインにおける計算に関し、周波数ドメインの実施形態では、ある時間において1つより多くの参照コードについての捜索を支持するように、適切な相関器の複数の実例(例えば、FFT、IFFT、及び関連する演算を行うように構成された或いはプログラム化された、例えばトランジスタ及び/またはゲートのような論理素子の組み合わせ)を含むことが望ましい可能性がある。また、参照コードの変換を前もって行うと共にこの結果をメモリ(例えば、不揮発性メモリ)に記憶することが望ましい可能性もある。
【0030】
コード位相デメンションにおいて受信されるコードを位置確認することに加えて、受信器及び送信器間の相対運動を考慮することが望ましい可能性もある。ここで、ナビゲーション信号が2つのナビゲーション信号成分を有して受信される実施形態において、受信器及び送信ソース間のそのような相対運動(及び/または移動するリフレクタによってもたらされる可能性のある両者間の仮現運動)は、以下の式によりヘルツで表現されることが可能な受信器におけるドップラー周波数エラーをもたらす。
【数2】

【0031】
上記の式において、vは受信器及びソースの仮現相対速度、fはヘルツで表現されるナビゲーション信号成分のキャリア周波数、cは光の速度、φは受信器の移動方向と受信器から送信ソースへの方向との間の角度である。受信器がこのソースに直接向かって周回する場合はφ=0であり、受信器がこのソースから直接離間するように周回する場合はφ=πラジアンである。この例において、受信器において受信される信号の周波数がドップラーによって事実上削減される可能性がある(即ち、観察された周波数が本当の周波数よりも小さいことを意味する)。
【0032】
特定の実施形態において地球のGPSユーザについて、SV及びユーザの相対的な組み合わされた運動によるドップラーシフトは、合計で約+/−2.7ppmとなる可能性がある。受信器における1つまたはそれ以上の発振器の周波数エラーは、更に約2ppm追加する可能性があり、周波数不確定性は総計4.7ppmとなる(代わりに、局部的な発振器エラーは、例えばPLLまたは他の補正ループで、少なくとも幾分か補正される可能性がある)。この4.7ppmは、1.57542GHzのL1キャリア周波数において約+/−7.5kHzに対応する。
【0033】
図4は、コード位相捜索ウィンドウのある例を示し、これは、周波数デメンションにおける20の仮説及びコード位相デメンションにおける32のコード位相仮説またはビンを横切って延びる。コード位相捜索ウィンドウの各デメンションの仮説の、特定の位置及び/または間隔の選択は、外部的に及び/または1つまたはそれ以上の以前の捜索から得られる情報によって誘導される可能性がある。例えば、所与のコード位相から特定数のチップ内に所望の信号が存在すること、及び/または所与の周波数の周囲のあるバンド幅内にこの信号が見出される可能性があり、これにより、コード位相捜索ウィンドウがそれに応じて規定される可能性があること、が知られまたは推定される可能性がある。1つより多くのコードについて捜索が行われる場合、関連する捜索ウィンドウは同じデメンションを有する必要はない。
【0034】
捜索は、DxCのエネルギー結果のグリッドを得るように(例えば、Cコード仮説によるD周波数仮説の捜索ウィンドウに従って)行われる可能性があり、各結果はD周波数仮説の1つ及びCコード仮説の1つに対応する。特定の周波数仮説についてのコード位相仮説に対応するエネルギー結果の組み合わせは、ここで「ドップラービン」として言及される。
【0035】
図5は、20のドップラービンのグリッドまたはエネルギープロファイル内のピークのある例を示し、各ビンは64のコード位相仮説を有する。この例において、隣接するコード位相仮説は1/2チップ離間し、コード空間において32チップを横切ってグリッドが延びるようになっている。この図のエネルギーピークは、ドップラービン10内のコード位相仮説16における選択されたSV信号の存在を示す。受信器(またはそのようなデバイス内の捜索器)は、受信される信号の同じ部分から幾つかの異なる対応するSVについてエネルギーグリッドを生成する可能性があり、これらのグリッドは異なるデメンションを有する可能性がある。
【0036】
受信される信号は、異なる時間で受信器に到着するように、異なる経路に亘って伝搬する同じ送信された信号のバージョンを含みうる。そのような受信される信号の対応する参照コードとの相関は、異なるグリッド点において幾つかのピークをもたらす可能性があり、各ピークは送信される信号の異なる実例(多重経路とも呼ばれる)によっている。これらの多重経路ピークは、同じドップラービン内に存在しる。
【0037】
図6は、1つの実施形態に係る、受信されるナビゲーション信号成分においてコード位相を検出する方法600を示す。先ず、動作605において、ナビゲーション信号成分が送信器から受信される。1つの例において、第1及び第2ナビゲーション信号成分が受信される。このナビゲーション信号成分は、送信器から単一のナビゲーション信号として受信されうる。次に、動作610において、コード位相が第2ナビゲーション信号成分内の情報に少なくとも部分的に基づいて検出される。第2ナビゲーション信号成分から利用される情報のタイプの例は、例えば、相関検出、タイミング情報、及びドップラーシフト推定を含みうる。
【0038】
これらのナビゲーション信号成分を有するナビゲーション信号を送信する送信器は、例えば、SVまたは地球上の位置に配置されうる。1つの特定の実施形態において、ナビゲーション信号は、移動局(MS)、例えば図1に示されたMS100上の受信器で受信されうる。
【0039】
1つの実施形態によれば、上述のように、ナビゲーション信号は、複数のナビゲーション信号成分を具備しうる。例えば、ナビゲーション信号は、バイナリ位相シフトキーイング(「BPSK」)変調スキームに従って変調された第1ナビゲーション信号成分と、異なる変調スキーム、例えばバイナリオフセットキャリア(1,1)(「BOC(1,1)」)に従って変調された第2ナビゲーション信号成分と、を含みうる。しかし、これらは、ナビゲーション信号の関連する異なるナビゲーション信号成分を提供するように使用される可能性がある異なる変調スキームのほんの幾つかの例であり、特許請求の範囲に記載される主題事項はこの点について限定されるものではない。また、ナビゲーション信号は、第1及び第2ナビゲーション信号成分を含むものとして上述されるが、そのようなナビゲーション信号に追加のナビゲーション信号成分、例えばある実施形態に従う第3の及び第4のナビゲーション信号成分が含まれうることを理解すべきである。
【0040】
1つの実施形態によれば、第1及び第2ナビゲーション信号成分を有するナビゲーション信号は、単一の送信器、例えばSVに配置された単一の送信器から送信されうる。1つの実施形態によれば、ナビゲーション信号の第1及び第2ナビゲーション信号成分は、受信器によって使用されるための異なるナビゲーション情報を含みうる。従って、そのような受信器は、第1及び第2ナビゲーション信号成分の両者についてコード位相及びドップラーシフトを検出しうる。
【0041】
1つの態様によれば、第1及び第2ナビゲーション信号成分の処理は、コヒーレントに組み合わされる。他の態様によれば、第1及び第2ナビゲーション信号成分の処理は、非コヒーレントに組み合わされる。受信される第1及び第2ナビゲーション信号成分の処理を組み合わせることにより、各受信されるナビゲーション信号成分が独立して処理される場合に比べて、受信されるナビゲーション信号のより高いゲインが達成されうる。
【0042】
例えば、第1及び第2ナビゲーション信号成分が、ナビゲーション信号内の同じキャリア周波数で送信される場合、そのようなナビゲーション信号成分の処理は、コヒーレントに組み合わされうる。同じキャリア周波数でナビゲーション信号として送信される第1及び第2ナビゲーション信号成分は、共通のドップラーシフト及び伝搬チャネルを経験する。追加的な問題のないガウスノイズ(AWGN)及び平坦衰退チャネルにおいて、第1及び第2ナビゲーション信号成分の減衰も同じである可能性がある。何故なら、ナビゲーション信号の第1及び第2ナビゲーション信号成分は、この場合に同じキャリア位相で受信器に到着し、第1及び第2ナビゲーション信号成分の処理はコヒーレントに組み合わされる。
【0043】
コヒーレントな組み合わせは、相関器によって出力されるコヒーレントな予備検出和を合計することにより、または2つのナビゲーション信号成分を単一の合成信号として取り扱うことにより、受信器において実施されうる。
【0044】
図7Aは、1つの視点に従って、BPSK変調スキームに従って変調された第1ナビゲーション信号成分を参照コード700として示す。図示のように、第1変調信号成分のためのこの参照コードは、任意の時間間隔において「1」または「−1」のいずれかの値を有するバイナリ信号を具備する。この例において、各1マイクロ秒(μsec)間隔は、送信される信号のPNシーケンスにおける単一のチップを代表し、この信号は、全μsec間隔について「1」または「−1」のいずれかである。
【0045】
図7Bは、1つの視点に従って、BOC(1,1)変調スキームに従って変調された第2ナビゲーション信号成分を参照コード705として示す。図示のように、第2変調信号成分のためのこの参照コードは、任意の時間間隔において、「1」から「−1」へまたは「−1」から「1」へのいずれかの遷移を行う値を有するバイナリ信号を具備する。この例において、各1マイクロ秒(μsec)間隔は、送信される信号のPNシーケンスにおける単一のチップを表しうる。図示のように、このPNシーケンスは、各μsec間隔について、間隔のスタートにおいて「1」で開始し且つ間隔のエンドで「−1」で終了するか、または間隔のスタートにおいて「−1」で開始し且つ間隔のエンドで「1」で終了する。
【0046】
従って、図7A及び図7Bに示されている信号成分の参照コードは、異なる変調スキームに従って変調される。1つの特定の実施形態において、第1及び第2のナビゲーション信号成分の処理は、合成参照コードを決定することを含む可能性がある。そのような合成参照コードは、第1及び第2のナビゲーション信号成分を有する、受信されるナビゲーション信号を相関させるように使用されうる。この合成参照コードは、第1及び第2のナビゲーション信号成分について知られた参照コードの和を得ることによって決定されうる。この例において、合成参照コードは、図7A及び図7Bに示される第1及び第2のナビゲーション信号成分について参照コードの和を得ることによって決定されうる。
【0047】
図7Cは、1つの態様に従う合成参照コード710を示す。この合成参照コードは、第1及び第2のナビゲーション信号成分のための参照コードの両者がバイナリコードまたは信号であるのと対照的に、3段階コードまたは信号である。
【0048】
この合成参照コードの発生において、時間内の所与の点において効果的に第1及び第2のナビゲーション信号成分のための参照コードの和がとられる。夫々のナビゲーション信号成分のためのバイナリ参照コードの和を得ることは、3段階合成参照コードをもたらし、これは、3つの異なる値、即ち、時間内の所与の点において「2」、「0」、及び「2」を有することができる。合成参照コードは、1μsec間隔の任意の1つの間に、「2」及び「0」、「0」及び「2」、「0」及び「−2」、及び「−2」及び「0」の間で遷移する。
【0049】
合成参照コードは、受信される組み合わされた第1及び第2のナビゲーション信号成分を相関させるように使用される。この態様でナビゲーション信号成分を相関させることを含む処理をコヒーレントに組み合わせることにより、個々に相関された第1及び第2のナビゲーション信号のいずれかに比べてより大きな全般的な信号ゲインが達成される。1つの実施形態において、例えば、第1ナビゲーション信号成分は、戸外で−158.5dBWの最小受信パワーを有するBPSKに従って変調されたレガシーGPS・L1・C/Aコードを具備する可能性がある一方、第2ナビゲーション信号成分は、−157dBWの最小受信パワーを有するL1周波数上のBOC(1,1)に従って変調されたコードを具備する可能性がある。第1及び第2ナビゲーション信号成分の組み合わせは、これによって、−154.67dBWの受信パワーを有する可能性がある。従って、L1・C/A及びL1C信号の個々処理の夫々に対して、3.82dBW及び2.32dBWのゲインが夫々達成されうる。
【0050】
相関が線形演算である特定の実施形態において、受信器は、両ナビゲーション信号成分からの組み合わされたエネルギーを受信するように、合成参照コードに対して受信される信号を相関させることだけが必要となる。2つの2段階(1,−1)、即ちバイナリ、コードまたは信号の和は3段階(2,0,−2)コードまたは信号であるため、合成参照波形が0である場合は、相関器は、サンプルを跳び抜かすことによって実施されうる。
【0051】
上述の第1及び第2のナビゲーション信号成分をコヒーレントに組み合わせる方法の実施形態は、第1及び第2のナビゲーション信号が同じ位相にあり且つ同じキャリア周波数で送信される特定の実例において適用可能となりる。しかし、他の実施形態にいおいて、第1及び第2のナビゲーション信号成分は、同じキャリア周波数で送信されない可能性があると共に、第1及び第2のナビゲーション信号成分の処理は、代わりに非コヒーレントでありうる。
【0052】
異なる周波数で単一の送信器によって送信されるナビゲーション信号成分の処理は、システムノイズを平均化し、所与の期間に亘って組み合わされたナビゲーション信号成分を相関させ、検出性能を向上させるように、非コヒーレントに組み合わされることができる。これは、各成分信号上の個々の外観またはドウエル(dwell)によって得られるエネルギープロファイルまたはグリッドの和を得ることによって実施されることができる。このエネルギープロファイルは、受信されるナビゲーション信号についての相関ピークを示すエネルギーグリッドまたはチャートによって表現されうる。例えば、このエネルギープロファイルは、例えば上述の図4及び図5で示されるような、コード位相仮説と周波数/ドップラー仮説との対比に配置された相関検出を含みうる。ナビゲーション信号成分が受信されると、このナビゲーション信号成分は、受信器によって、知られた参照コード/信号に対して相関される。この相関の結果として、相関検出がコード位相仮説及びドップラービンのために決定される。
【0053】
図8A−図8Dは、1つの態様に従う、単一のSV及び合成信号によって送信される異なるナビゲーション信号成分についてエネルギープロファイルを示す。図8Aは、第1ナビゲーション信号のエネルギープロファイル800を示す。図8Bは、第1ナビゲーション信号成分とは異なる周波数で送信される第2ナビゲーション信号成分のエネルギープロファイル805を示す。図8A−図8Dの特定の例において、特定のナビゲーション信号成分のエネルギープロファイルは、水平方向におけるコード位相仮説/オフセットと、垂直方向における周波数仮説/ドップラーシフトとを含みうる。コード位相仮説ドメインの長さは、関連するナビゲーション信号成分を変調するように使用される疑似乱数ノイズコードの長さと比例しうる。例えば、レガシーGPS・L1・C/Aコードのエネルギープロファイルは、コード位相仮説において(即ち、水平方向において)知られた幅、例えば各々1.0msecで1023個のチップの疑似乱数ノイズコード、を有しうる。他のGPSコード、例えばGPS・L1C−Dは、送信されるナビゲーション信号成分を変調するように使用されるより長い疑似乱数ノイズコード、例えば各々10.0msecで10230個のチップの疑似乱数ノイズコード、を有しうる。従って、より長いGPSコードのためのコード位相仮説ドメインは、レガシーGPS・L1・C/Aコードのためのコード位相仮説ドメインの10倍の長さとなりうる。
【0054】
図8Aは、第1ナビゲーション信号成分について相関ピークを有するエネルギープロファイルを示す。図8Bは、第2のナビゲーション信号成分について相関ピークを有するエネルギープロファイルを示す。この特定の実施形態において、第1のナビゲーション信号成分は、第2のナビゲーション信号成分を変調するコードの1/10のコード長さで変調される。
【0055】
第1及び第2のナビゲーション信号成分のエネルギープロファイルの和を得るため、夫々のエネルギープロファイルは、コード位相仮説において(即ち、水平方向において)及び周波数仮説において(即ち、垂直方向において)規格化されうる。この特定の実施形態における第1のナビゲーション信号成分は、1023個のチップの疑似乱数ノイズコードで変調され、これによって、この特定の例において10230個のチップの疑似乱数ノイズコードで変調される第2のナビゲーション信号成分の1/10のコード位相ドメインを有するため、第1のエネルギープロファイル810は、第2のエネルギープロファイル805の各非繰返し間隔の間、10回繰り返されうる。
【0056】
第1及び第2のエネルギープロファイル805及び810は、図8Dに示される合成エネルギープロファイル815を発生するように、和がとられうる。異なるキャリア周波数上の信号は、送信キャリア周波数に少なくとも部分的に基づいて、異なるドップラーシフトを経験することとなる。そのようなドップラーシフト(例えば、異なるナビゲーション信号成分から導き出されるエネルギープロファイル805及び810に適用される)は、規格化されると共に以下の式によりヘルツで表現されうる。
【数3】

【0057】
上記の式において、vは送信ソースに対する受信器の仮現速度、f1はヘルツで表現される第1のナビゲーション信号成分のキャリア周波数、f2はヘルツで表現される第2のナビゲーション信号成分のキャリア周波数、cは光の速度、φは受信器の移動方向と受信器から送信ソースへの方向との間の角度である。例えば、φ及びvの値は、位置決定エンティティ(PDE)、例えば図1に示されるPDE104からの獲得支援データによって決定される可能性がある。エネルギーセルは、和がとられたセルのドップラービンが同じSV対ユーザ速度ベクトルに対応するように、合計される。
【0058】
図8A−図8Dは、非コヒーレントな組み合わせのある例を示し、ここで、第1のナビゲーション信号成分のエネルギープロファイル800が繰り返されると共に、キャリア周波数の効果を除去するように倍率をかけた場合には、周波数デメンションにおけるエネルギーセルが1対1の配置を有する。このエネルギープロファイルの様々なエネルギーセルは、コード位相仮説及び周波数に従って位置合わせされる。
【0059】
第1及び第2ナビゲーション信号成分の処理を非コヒーレントに組み合わせることにより、相関検出のゲインが増加される。
【0060】
図9は、MSの特定の実施形態を示し、ここで、ラジオ送受信器906は、RFキャリア信号をベースバンド情報で、例えばRFキャリア上への音声またはデータで変調すると共に、そのようなベースバンド情報を得るように変調されたRFキャリアを復調するように構成されうる。アンテナ910は、変調されたRFキャリアを無線通信リンクに亘って送信すると共に、変調されたRFキャリアを無線通信リンクに亘って受信するように適応されうる。
【0061】
ベースバンドプロセッサ908は、無線通信リンクに亘る送信のためにCPU902から送受信器906へベースバンド情報を提供するように適応されうる。ここで、CPU902は、ユーザインタフェース916内の入力デバイスからそのようなベースバンド情報を得ることができる。ベースバンドプロセッサ908はまた、ユーザインタフェース916内の出力デバイスを通る送信のために送受信器906からCPU902へベースバンド情報を提供するように適応されうる。
【0062】
ユーザインタフェース916は、ユーザ情報、例えば音声またはデータを入力するまたは出力するための複数のデバイスを具備しうる。そのようなデバイスは、例えば、キーボード、ディスプレイ画面、マイクロフォン、及びスピーカを含みうる。
【0063】
SPS受信器(SPS・Rx)912は、SPSアンテナ914を通してSUVからの送信を受信及び復調すると共に、復調された情報を相関器918へ提供するように適応されうる。相関器918は、受信器912によって提供される情報から相関関数を導き出すように適応されうる。所与のPNコードのため、例えば、相関器918は、コード位相捜索ウィンドウを設定するようにコード位相の距離に亘って、及び上に例示されるようなドップラー周波数仮説の距離に亘って、規定される相関関数を形成しうる。このようにして、個々の相関が、規定されるコヒーレント及び非コヒーレントな積算変数に従って、行われうる。
【0064】
相関器918はまた、送受信器906によって提供されるパイロット信号と関連する情報からパイロットと関連する相関関数を導き出すように適応されうる。この情報は、無線通信サービスを取得するように加入者局によって使用されうる。
【0065】
チャネルデコーダ920は、ベースバンドプロセッサ908から受信されるチャネル記号を、原ソースビットへ復号化するように適応されうる。チャネル記号が重畳的に符号化された記号を具備する1つの例において、そのようなチャネルデコーダは、ビテルビ(Viterbi)デコーダを具備しうる。チャネル記号が重畳的なコードの直列のまたは並列の連鎖を具備する第2例において、チャネルデコーダ920は、ターボデコーダを具備しうる。
【0066】
メモリ904は、機械読み取り可能な指令を記憶するように適応可能であり、これらの指令は、以上に記載されるまたは示唆される1つまたはそれ以上のプロセス、例、実施形態、またはその例を行うように実行可能である。CPU902は、そのような機械読み取り可能な指令をアクセス及び実行するように適応されうる。これらの機械読み取り可能な指令の実行を通して、CPU902は、相関器918によって提供されるSPS相関関数を分析し、そのピークから測定値を導き出し、また位置の推定が十分に正確かどうかを決定するように、相関器918に指示しうる。しかし、これらは特定の視点においてCPUによって行われうる仕事の単なる例であり、特許請求の範囲に記載される主題事項はこれらの点について限定されるものではない。
【0067】
特定の例において、加入者局におけるCPU902は、上で例示されるようにSVから受信する信号に少なくとも部分的に基づいて、加入者局の位置を推定しうる。CPU902はまた、特定の例に従って上で例示されるように、第1の受信される信号において検出されるコード位相に少なくとも部分的に基づいて、第2の受信される信号を取得するためのコード捜索距離を決定するように適応されうる。
【0068】
上述のコヒーレント及び非コヒーレントな方法は、提案されたGPS・L1C−D及びGPS・L1C−Pだけでなく、様々なナビゲーションシステム、例えばレガシーGPS・L1・C/A、ガリレオL1Fに適用可能である。
【0069】
これら方法はまた、提案されたクェイザイゼニス衛星システム(QZSS)の衛星に適用可能である。そのようなQZSS衛星は、GPS状L1信号に加えて、宇宙拠点増大システム(SBAS)信号(L1切り替え活動交換フォーマット(SAIF))を送信しうる。そのような信号は、SNRの向上を達成するため、上述のように受信器において一緒に処理されうる。
【0070】
コヒーレントまたは非コヒーレントのいずれかの、ナビゲーション信号成分を処理することの組み合わせは、全般的なナビゲーションシステム性能の向上をもたらす。このSNRが改良され、低パワーナビゲーション信号成分のための感応度が改良される。
【0071】
以上、例示の特徴として現在考慮される点について図示され且つ記載されたが、当業者によれば、特許請求の範囲に記載される主題事項から離れることなく、様々な他の変更が行われる可能性があると共に同等物による置換が行われる可能性があることを理解できるであろう。更に、ここで記載される主要な概念から離れることなく、特許請求の範囲に記載される主題事項の示唆に対する特定の状況に適応するように、多くの変更が行われる可能性がある。従って、特許請求の範囲に記載される主題事項は、開示される特定の例に限定されるものではなく、そのような特許請求の範囲に記載される主題事項は、付属の特許請求の範囲の範囲内の全ての視点及びその同等物もまた含む可能性があるように意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信器からナビゲーション信号を受信することと、前記ナビゲーション信号は、第1のナビゲーション信号成分及び第2のナビゲーション信号成分を具備することと、
前記第2のナビゲーション信号成分内の情報に少なくとも部分的に基づいて、前記第1のナビゲーション信号成分内のコード位相を検出することと、
を具備する方法。
【請求項2】
前記第1のナビゲーション信号成分は、バイナリ位相シフトキーイング技術で変調される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のナビゲーション信号成分は、バイナリオフセットキャリア(1,1)技術で変調される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1及び第2のナビゲーション信号成分の処理を組み合わせることを更に具備する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1及び第2のナビゲーション信号成分は同じキャリア周波数で受信され、前記組み合わせることは、前記第1及び第2のナビゲーション信号成分の処理をコヒーレントに組み合わせることを具備する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記コード位相を検出することは、3段階参照信号で、前記第1及び第2のナビゲーション信号成分を相関させることを具備する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コヒーレントに組み合わせることは、合成参照信号を発生するように、前記第1のナビゲーション信号成分の参照信号と前記第2のナビゲーション信号成分の参照信号との和を得ることを具備する請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記組み合わせることは、前記第1のナビゲーション信号成分及び前記第2のナビゲーション信号成分の処理を非コヒーレントに組み合わせることを具備する請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記非コヒーレントに組み合わせることは、前記受信される第1のナビゲーション信号成分に少なくとも部分的に基づいて、第1のエネルギープロファイルを決定することと、前記受信される第2のナビゲーション信号成分に少なくとも部分的に基づいて、第2のエネルギープロファイルを決定することと、を具備し、前記第1及び第2のナビゲーション信号成分の処理を組み合わせることは、前記第1及び第2のエネルギープロファイルの和を得ることを具備する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1及び第2のエネルギープロファイルの各々は、時間及び周波数に従って位置合わせされるエネルギーセルのアレイを具備する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
送信器からナビゲーション信号成分を受信するように構成された受信器と、前記ナビゲーション信号は、第1のナビゲーション信号成分及び第2のナビゲーション信号成分を具備することと、
前記第2のナビゲーション信号成分内の情報に少なくとも部分的に基づいて、前記第1のナビゲーション信号成分内のコード位相を検出するように構成されたプロセッサと、
を具備する装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記第1及び第2のナビゲーション信号成分の処理を組み合わせるように更に構成される請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1及び第2のナビゲーション信号成分は同じキャリア周波数で送信され、前記プロセッサは、前記第1及び第2のナビゲーション信号成分の処理をコヒーレントに組み合わせるように更に適応される請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記第1及び第2のナビゲーション信号成分の処理を非コヒーレントに組み合わせるように更に適応される請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記受信される第1のナビゲーション信号成分に少なくとも部分的に基づいて、第1のエネルギープロファイルを決定することと、
前記受信される第2のナビゲーション信号成分に少なくとも部分的に基づいて、第2のエネルギープロファイルを決定することと、
前記第1及び第2のエネルギープロファイルの和を得ることと、
に少なくとも部分的に基づいて、前記第1及び第2のナビゲーション信号成分の処理を非コヒーレントに組み合わせるように更に適応される請求項14に記載の装置。
【請求項16】
送信器からナビゲーション信号成分を受信するための手段と、前記ナビゲーション信号は、第1のナビゲーション信号成分及び第2のナビゲーション信号成分を具備することと、
前記第2のナビゲーション信号成分内の情報に少なくとも部分的に基づいて、前記第1のナビゲーション信号成分内のコード位相を検出するための手段と、
を具備する装置。
【請求項17】
前記第1及び第2のナビゲーション信号成分の処理を組み合わせるための手段を更に具備する請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記組み合わせるための手段は、同じキャリア周波数で受信される前記第1及び第2のナビゲーション信号成分に応じて、前記第1のナビゲーション信号成分及び前記第2のナビゲーション信号成分の処理をコヒーレントに組み合わせるための手段を更に具備する請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記組み合わせるための手段は、前記第1及び第2のナビゲーション信号成分の処理を非コヒーレントに組み合わせるための手段を更に具備する請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記非コヒーレントに組み合わせるための手段は、
前記受信される第1のナビゲーション信号成分に少なくとも部分的に基づいて、第1のエネルギープロファイルを決定することと、
前記受信される第2のナビゲーション信号成分に少なくとも部分的に基づいて、第2のエネルギープロファイルを決定することと、
前記第1及び第2のエネルギープロファイルの和を得ることと、
に少なくとも部分的に基づいて、前記第1及び第2のナビゲーション信号成分の処理を非コヒーレントに組み合わせるように更に適応される請求項19に記載の装置。
【請求項21】
記憶媒体を具備する物品であって、前記記憶媒体はそこに記憶される機械読み取り可能な指令を具備し、前記指令は、コンピュータプラットフォームによって実行されると、前記コンピュータプラットフォームが、
送信器からナビゲーション信号を受信することと、前記ナビゲーション信号は、第1のナビゲーション信号成分及び第2のナビゲーション信号成分を具備することと、
前記第2のナビゲーション信号成分内の情報に少なくとも部分的に基づいて、前記第1のナビゲーション信号成分内のコード位相を検出することと、
を行うことができるようにするように適応される物品。
【請求項22】
前記機械読み取り可能な指令は、前記コンピュータプラットフォームが、前記第1及び第2ナビゲーション信号成分の処理を組み合わせることを行うことができるようにするように更に適応される請求項21に記載の物品。
【請求項23】
前記処理を組み合わせることは、前記第1のナビゲーション信号成分及び前記第2ナビゲーション信号成分の処理を非コヒーレントに組み合わせることを具備する請求項22に記載の物品。
【請求項24】
前記非コヒーレントに組み合わせることは、前記受信される第1のナビゲーション信号成分に少なくとも部分的に基づいて、第1エネルギープロファイルを決定することと、前記受信される第2のナビゲーション信号成分に少なくとも部分的に基づいて、第2のエネルギープロファイルを決定することと、を具備し、前記第1及び第2のナビゲーション信号成分の処理を組み合わせることは、前記第1及び第2のエネルギープロファイルの和を得ることを具備する請求項23に記載の物品。
【請求項25】
前記機械読み取り可能な指令は、前記コンピュータプラットフォームが、前記第1及び第2のナビゲーション信号成分を同じキャリア周波数で受信できるようにするように更に構成され、前記処理を組み合わせることは、前記第1及び第2のナビゲーション信号成分の処理をコヒーレントに組み合わせることを具備する請求項22に記載の物品。
【請求項26】
前記コヒーレントに組み合わせることは、合成参照信号を発生するように、前記第1のナビゲーション信号成分の参照信号と前記第2のナビゲーション信号成分の参照信号との和を得ることを具備する請求項25に記載の物品。
【請求項27】
前記機械読み取り可能な指令は、前記コンピュータプラットフォームが、前記コード位相を検出するように、3段階参照信号で、前記第1及び第2のナビゲーション信号成分を相関させることができるようにするように更に適応される請求項22に記載の物品。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図8D】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2012−505412(P2012−505412A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531144(P2011−531144)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/059859
【国際公開番号】WO2010/042630
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】