説明

組み立て式防塵ボックス

【課題】持ち運びが容易で、組み立てや解体も容易にでき、また製造も容易且つ安価で使い捨て用としても利用可能な組み立て式防塵ボックスを提供する。
【解決手段】天板1と正面板2と背面板3と底面板4と一対の側板5,5とを一枚の透明なプラスチック製シートから作成し、底面板4の背面板貼着用フラップ4fと背面板3の天板1と反対側の端部とを予め貼着して、天板1と正面板2と底面板4と背面板3とがリング状に連なった状態にして、底面板4の底面板折曲線4aから、正面板2と天板1とを経て背面板3の一部に至る距離と、底面板4を経て背面板3の一部に至る距離とが同一となる背面板3上の位置に折り畳み用折曲線6を設け、底面板4の底面板折曲線4aと折り畳み用折曲線6とで折曲することによって、リング状に連なった天板1と正面板2と底面板4と背面板3とをそれらの裏面を合わせた状態で2つに折り畳むことができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、義歯床、インレー、クラウン等の歯科用補綴物の切削研削作業を行う際に発生する粉塵の飛散を防止するための組み立て式防塵ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
義歯床、インレー、クラウン等の歯科用補綴物の切削研削作業を行う際に発生する粉塵の飛散の防止を目的とした防塵(集塵)装置としては、筐体の底面を除く側壁および天井部の全体を、帯電防止処理を施した透明材にて形成し、該筐体に集塵用吸引口を内蔵するとともに筐体の側壁に所定間隔をおいて手を挿入む透孔を2個穿設し、該透孔の周縁にスリット入り弾性材を設けてなる歯科技工集塵作業用筐体がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような歯科技工集塵作業用筐体を使用すれば、粉塵を吸引することにより確実に粉塵の飛散の防止をすることができるが、このような集塵まで行える大型装置は、技工所等に設置されて使用されるものであって、持ち運びが必要な訪問診療等においては使用が難しいという問題がある。
【0004】
このような問題に対し持ち運びが容易な集塵ケースとして、上方に開口した下ケースと下方に開口した上ケースとからなる上下ケースと、前記上ケースまたは下ケース内に収容される透明な前面板と、前記下ケース内にその底辺が折り畳み可能に収容され開口部を有する左右の側壁板とからなり、使用時には、前記下ケースから、前記前面板、前記左右側壁板を前記上ケースの間にそれぞれ立設可能に形成したことを特徴とする折り畳み式集塵ケースがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
この折り畳み式集塵ケースは、繰り返し使用することを前提として、使用後のレジン屑等を封入したまま持ち運び、訪問診療から戻った後に掃除機等で吸引したり、水洗いを行ったりするものである(特許文献2 段落番号0020)。しかしながら、訪問診療では何軒かの訪問先を一度で回ることも多く、当該ケースをそのまま使い回すと衛生上好ましくなく、また各訪問先毎に当該ケースを準備しなければならないとすると非常に使い勝手が悪いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭57−109815号公報
【特許文献2】特開2003−210491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の問題に鑑み、軽量且つコンパクトで持ち運びが容易で、使用前の組み立てや使用後の解体も容易にでき、また製造も容易且つ安価にできるので使い捨て用としても利用可能な組み立て式防塵ボックスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、組み立て式防塵ボックスを天板と正面板と背面板と底面板と中央部に作業者が手や研磨用工具を挿入するための開口部が形成されている一対の側板とから成る簡単な構造とし、更にこれらを一枚の透明なプラスチック製シートから作成すれば、容易且つ安価に製造できるので使い捨て用としても使用することができ、訪問診療等において各訪問先毎に新品を使用でき衛生的で且つ非常に使い勝手が良く、
また背面板や底面板にスリット状の差込口を設けると共に、側板の端部のフラップに差込片を設け、更に底面板の背面板貼着用フラップと背面板の天板と反対側の端部とを予め貼着しておき、天板と正面板と底面板と背面板とがリング状になるようにすれば、切削研削作業を行う際に視界の妨げとならない背面板や底面板に設けられた差込口に、側板の端部に設けられた差込片を差し込んだり引き抜いたりするだけで、接着等をその場で行うことなく、容易に組み立てや解体ができ、
更に正面板を天板に対して鈍角に折曲させ、正面板と対向する背面板については天板に対して直角に折曲させる構造とすれば、正面板のみが天板側から底面板に向けて末広がり状に傾いた状態となり、正面板の天板側では作業者が顔を近づけて作業がし易く、また末広がり状となっている正面板の底板側では組み立て式防塵ボックス内に手を入れて作業を行うことができる十分な作業空間を確保することができ、
その一方で、このように正面板を天板に対して鈍角に折曲させると共に対向する背面板については天板に対して直角に折曲させるようにするとその外形が直方体とはならないため、直方体のように折曲線で折るだけで簡単に2つに折り畳むようなことができないという問題が生じるが、底面板の底面板折曲線から正面板と天板とを経て背面板の一部に至る距離と、底面板の底面板折曲線から底面板を経て背面板の一部に至る距離とが同一となる背面板上の位置に予め折り畳み用折曲線を形成しておけば、切削研削作業を行う際に視界の妨げとならない背面板に形成された折り畳み用折曲線と、正面板と底面板との間の底面板折曲線とで折曲することによって、リング状に連なった天板と正面板と底面板と背面板とをそれらの裏面を合わせた状態で2つに簡単に折り畳むことができることを究明して本発明を完成させたのである。
【0009】
更に研磨用工具のコードを通す切り込み部が開口部と切れ目を介して連結された状態で各側板にそれぞれ形成すれば、邪魔な研磨用工具のコードによって切削研削作業に支障をきたすようなことがなくて好ましいことも究明したのである。
また開口部が、外形が正多角形状でその各辺がそれぞれ舌片折曲線を成し、各舌片折曲線から中心部に向けてそれぞれ防塵用の舌片が形成されている開口部であれば、一枚の透明なプラスチック製シートから型抜き等によって本発明に係る組み立て式防塵ボックスを製造する際に、容易に形成させることができ、また防塵効果を高めることができて好ましいのである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る組み立て式防塵ボックスは、両側縁にその裏面側に向けて直角に折曲させるための側板上部支持用フラップ折曲線を介して側板上部支持用フラップがそれぞれ連設されている天板と、天板の前縁に天板の裏面側に向けて鈍角に折曲させるための正面板折曲線を介して連設されている正面板と、天板の後縁に天板の裏面側に向けて直角に折曲させるための背面板折曲線を介して連設されていて、両側部の対向した位置にスリット状の背面板差込口が形成されている背面板と、正面板の天板と反対側の端縁に正面板の裏面側に向けて鋭角に折曲させるための底面板折曲線を介して連設されていて、両側部の対向した位置にスリット状の底面板差込口が形成されていて、両側縁に裏面側に向けて直角に折曲させるための側板下部支持用フラップ折曲線を介して側板下部支持用フラップがそれぞれ連設されていると共に、正面板と反対側の端縁に裏面側に向けて直角に折曲させるための背面板貼着用フラップ折曲線を介して背面板貼着用フラップが連設されている底面板と、正面板の両側縁に裏面側に向けて直角に折曲させるための側板折曲線を介してそれぞれ連設されていて、中央部に作業者が手や研磨用工具を挿入するための開口部が形成されており、正面板と対向する端縁に裏面側に向けて直角に折曲させるための背面板当接用フラップ折曲線を介して連設されている背面板当接用フラップに、背面板の背面板差込口に差し込まれる背面板係止用差込片が形成されていると共に、前記底面板折曲線の端縁から始まり裏面側に向けて直角に折曲させるための底面板当接用フラップ折曲線を介してそれぞれ連設されている底面板当接用フラップに、底面板の底面板差込口に差し込まれる底面板係止用差込片が形成されている一対の側板とから成り、前記の全ての板が一枚の透明なプラスチック製シートから作成されているから、簡単な構造で、一枚の透明なプラスチック製シートから作成できるので容易且つ安価に製造でき、使い捨て用としても使用することができ、訪問診療等において各訪問先毎に新品を使用でき衛生的で且つ非常に使い勝手が良く、
また背面板や底面板にスリット状の差込口が設けられていると共に、側板の端部のフラップに差込片が設けられていて、更に底面板の背面板貼着用フラップと背面板の天板と反対側の端部とが予め貼着されていて、天板と正面板と底面板と背面板とがリング状に連なった状態となっているから、切削研削作業を行う際に視界の妨げとならない背面板や底面板に設けられた差込口に、側板の端部に設けられた差込片を差し込んだり引き抜いたりするだけで、接着等をその場で行うことなく、容易に組み立てや解体ができ、
更に正面板が天板に対して鈍角に折曲され、正面板と対向する背面板については天板に対して直角に折曲される構造となっているから、正面板のみが天板側から底面板に向けて末広がり状に傾いた状態となり、正面板の天板側では作業者が顔を近づけて作業がし易く、また末広がり状となっている正面板の底板側では組み立て式防塵ボックス内に手を入れて作業を行うことができる十分な作業空間を確保することができ、
その一方で、このように正面板を天板に対して鈍角に折曲させると共に対向する背面板については天板に対して直角に折曲させるようにするとその外形が直方体とはならないため、直方体のように折曲線で折るだけで簡単に2つに折り畳むようなことができないという問題があるが、底面板の背面板貼着用フラップと背面板の天板と反対側の端部とが予め貼着されることによって、天板と正面板と底面板と背面板とがリング状に連なった状態となっていて、底面板の底面板折曲線から正面板と天板とを経て背面板の一部に至る距離と、底面板の底面板折曲線から底面板を経て背面板の一部に至る距離とが同一となる背面板上の位置に折り畳み用折曲線が形成されているから、切削研削作業を行う際に視界の妨げとならない背面板に形成された折り畳み用折曲線と、正面板と底面板との間の底面板折曲線とで折曲することによって、リング状に連なった天板と正面板と底面板と背面板とをそれらの裏面を合わせた状態で2つに簡単に折り畳むことができ、容易にコンパクトな大きさにすることができるのである。
【0011】
また研磨用工具のコードを通す切り込み部が開口部と切れ目を介して連結された状態で各側板にそれぞれ形成されている態様であれば、邪魔な研磨用工具のコードによって切削研削作業に支障をきたすようなことがなくて好ましく、また開口部が、外形が正多角形状でその各辺がそれぞれ舌片折曲線を成し、各舌片折曲線から中心部に向けてそれぞれ防塵用の舌片が形成されている開口部である態様であれば、一枚の透明なプラスチック製シートから型抜き等によって本発明に係る組み立て式防塵ボックスを製造する際に、容易に形成させることができ、また防塵効果を高めることができて好ましいのである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る組み立て式防塵ボックスの一実施を示す展開説明図である。
【図2】図1に係る組み立て式防塵ボックスを折り畳み用折曲線と底面板折曲線とで2つに折り畳んで背面板貼着用フラップと背面板の端部とを貼着した状態を示す説明図である。
【図3】図2の組み立て式防塵ボックスの状態から更に側板を折り畳み、持ち運びが容易なコンパクトに折り畳んだ状態を示す説明図である。
【図4】図3のコンパクトに折り畳まれた組み立て式防塵ボックスを組み立てた状態を示す斜視図である。
【図5】図4の組み立て式防塵ボックスを実際に使用している様子を示す使用状態斜視図である。
【図6】本発明に係る組み立て式防塵ボックスの他の実施例を示す展開説明図である。
【図7】図6の組み立て式防塵ボックスが組み立てられた状態を示す斜視図である。
【図8】図7の組み立て式防塵ボックスを実際に使用している様子を示す使用状態斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明に係る組み立て式防塵ボックスについて詳細に説明する。
【0014】
1は両側縁にその裏面側に向けて直角に折曲させるための側板上部支持用フラップ折曲線1aを介して側板上部支持用フラップ1bがそれぞれ連設されている天板である。天板1には後述するように前縁に正面板2が後縁に背面板3が連接されているので、両側縁に連設されている側板上部支持用フラップ1bを後述する側板5の裏面に密着させるようにして組み立てることで、天板1の四周から粉塵が外部へと飛散することはないのである。
【0015】
2は天板1の前縁に天板1の裏面側に向けて鈍角に折曲させるための正面板折曲線2aを介して連設されている正面板であり、3は天板1の後縁に天板1の裏面側に向けて直角に折曲させるための背面板折曲線3aを介して連設されていて、両側部の対向した位置にスリット状の背面板差込口3bが形成されている背面板である。正面板2を正面板折曲線2aで天板1に対して鈍角に折曲させ、正面板2と対向する背面板3については背面板折曲線3aで天板1に対して直角に折曲させることによって、正面板2のみが天板1側から後述する底面板4に向けて末広がり状に傾いた状態となり、正面板2の天板1側では作業者が顔を近づけて作業がし易く、また末広がり状となっている正面板2の底板4側では組み立て式防塵ボックス内に手を入れて作業を行うことができる十分な作業空間を確保することができるのである。
【0016】
また正面板2は切削研削作業の際に作業者が顔を近づけることがあるが、正面板2の四周はそれぞれ天板1、後述する底面板4及び両側板5,5が連設されていて完全に隙間がないので、作業者に向けて粉塵が飛散することはないのである。更に上述の天板1や正面板2は作業者が内部をのぞきこむ部分であるから、視界の妨げとなるようなものは何も設けられていない。
【0017】
4は正面板2の天板1と反対側の端縁に正面板2の裏面側に向けて鋭角に折曲させるための底面板折曲線4aを介して連設されていて、両側部の対向した位置にスリット状の底面板差込口4bが形成されていて、両側縁に裏面側に向けて直角に折曲させるための側板下部支持用フラップ折曲線4cを介して側板下部支持用フラップ4dがそれぞれ連設されていると共に、正面板2と反対側の端縁に裏面側に向けて直角に折曲させるための背面板貼着用フラップ折曲線4eを介して背面板貼着用フラップ4fが連設されている底面板である。
【0018】
上述の背面板3及び底面板4には何らかの加工がなされていても、作業者の視界の妨げとならない位置にある部材であるから、この背面板3及び底面板4にそれぞれ背面板差込口3b及び底面板差込口4bを形成させていると共に、図2の如く底面板4の背面板貼着用フラップ4fと背面板3の天板1と反対側の端部とを貼着部として、予め貼着させることによって、天板1と正面板2と底面板4と背面板3とがリング状に連なった状態になるようにしているのである。
【0019】
5は正面板2の両側縁に裏面側に向けて直角に折曲させるための側板折曲線5aを介してそれぞれ連設されていて、中央部に作業者が手や研磨用工具を挿入するための開口部5bが形成されており、正面板2と対向する端縁に裏面側に向けて直角に折曲させるための背面板当接用フラップ折曲線5cを介して連設されている背面板当接用フラップ5dに、背面板3の背面板差込口3bに差し込まれる背面板係止用差込片5eが形成されていると共に、前記底面板折曲線4aの端縁から始まり裏面側に向けて直角に折曲させるための底面板当接用フラップ折曲線5fを介してそれぞれ連設されている底面板当接用フラップ5gに、底面板4の底面板差込口4bに差し込まれる底面板係止用差込片5hが形成されている側板である。
【0020】
そして、これらの天板1と正面板2と背面板3と底板4と両側板5,5とは一枚の透明なプラスチック製シートから作製されている。このようなプラスチック製シートの材質としては、例えば透明性があり視界を妨げないPP(ポリプロピレン)や,PET(ポリエチレンテレフタレート)等が好ましく使用できる。特にPPは、PETより安価で、PETよりも柔軟性があり折り曲げ易く、使用感も良好で、エッジで手を傷付け難くてより好ましいのである。
またこのような材質のものを使用した場合、プラスチック製シートの厚みは0.2〜0.3mmが好ましい。0.2mmより薄いと変形し易く、本発明に係る組み立て式防塵ボックスを組み立てた際に、その形状を維持させることが難しくなることがあり、また0.3mmより厚いと、厚みによるシートの反発が増して組み立てにくく、また材料費も高くなる。なお特に厚みが0.25mmであると、形状をしっかりと維持させることができるにも拘わらず、適度にやわらかいので側板5の中央部に設けた開口部5bから作業者が手を出し入れする際に傷付けたり、不快な痛みを感じることがなくてより好ましいのである。
【0021】
本発明に係る組み立て式防塵ボックスは、この側板5の背面板係止用差込片5eを背面板3の背面板差込口3bに、底面板係止用差込片5hを底面板4の底面板差込口4bに差し込むだけで容易に組み立てることができ、また接着等をすることなく単に差し込むだけであるから、使用後の解体も容易にでき使い勝手が良いのである。
また側板5の中央部に設けた開口部5bが、外形が正多角形状でその各辺がそれぞれ舌片折曲線5baを成し、各舌片折曲線5baから中心部に向けてそれぞれ防塵用の舌片5bbが形成されている開口部である場合には、一枚の透明なプラスチック製シートから組み立て式防塵ボックスを製造する際に、容易に形成させることができ、また防塵効果を高めることができて好ましいのである。更に図1〜図8に示す態様のように、舌片5bbの外形が、隣接する舌片5bb,5bb間の直線状の切れ目に続いて、開口部5bの中心部に向けて曲線状をなすように形成されていれば、開口部5bから作業者が手を出し入れする際に傷付けたり、不快な痛みを感じることがなくて好ましいのである。
【0022】
6は底面板4の底面板折曲線4aから正面板2と天板1とを経て背面板3の一部に至る距離と、底面板4の底面板折曲線4aから底面板4を経て背面板3の一部に至る距離とが同一となる背面板3上の位置に形成されている折り畳み用折曲線である。
本発明に係る組み立て式防塵ボックスは、正面板2を天板1に対して鈍角に折曲させ対向する背面板3は天板1に対して直角に折曲させるようにして組み立てられるので、直方体とはならないため直方体のように折曲線で折るだけでは簡単に2つに折り畳むようなことができないという問題があるが、底面板4の底面板折曲線4aから正面板2と天板1とを経て背面板3の一部に至る距離と、底面板4の底面板折曲線4aから底面板4を経て背面板3の一部に至る距離とが同一となる位置であって、作業者の視界を妨げない背面板3上に、別途この折り畳み用折曲線6を設けることで、このような特殊な形状であっても簡単に2つに折り畳むことができるのである。
【0023】
7は研磨用工具のコードCを通すために側板5に設けられている切り込み部であり、開口部5bと切れ目7aを介して連結された状態で各側板5,5にそれぞれ形成されている。この切り込み部7が設けられていれば、邪魔な研磨用工具のコードCによって切削研削作業に支障をきたすようなことがなくて好ましいのである。
【0024】
このような本発明に係る組み立て式防塵ボックスを実際に製造するには、先ず一枚の透明なプラスチック製シートを図1や図6のような形状に型抜きし、型抜き後又は型抜きと同時に各折曲線を形成させる(なお各図において折曲線は一点鎖線で示してある。)。
その際に、研磨用工具のコードCを通すために開口部5bと切れ目7aを介して連結された状態で各側板5,5にそれぞれ形成されている切り込み部7や、外形が正多角形状でその各辺がそれぞれ舌片折曲線5baを成し、各舌片折曲線5baから中心部に向けてそれぞれ防塵用の舌片5bbが形成されている開口部5bは、このような型抜きによって容易に製造できるのである。
【0025】
そして例えば本発明に係る組み立て式防塵ボックスを図1の状態から、図2のように、底面板4をその底面板折曲線4aで、背面板3を折り畳み用折曲線6でそれぞれ折曲し、底面板4の背面板貼着用フラップ4fを背面板3の天板1と反対側の端部に貼着させて、天板1と正面板2と底面板4と背面板3とがリング状に連なった状態にする。更に両側板5,5をそれぞれ側板折曲線5a,5aで折曲させれば、図3のように非常にコンパクトに折り畳んだ状態にすることができるのである。
【0026】
このようにして製造することにより、容易且つ安価に製造できるので使い捨て用としても使用することができ、また非常にコンパクトに折り畳んだ状態にすることができるので訪問診療等において複数枚を容易に持ち運ぶこともでき、各訪問先毎に新品を使用でき衛生的で且つ非常に使い勝手が良いのである。
【0027】
またこのように折り畳まれた組み立て式防塵ボックスを実際に組み立てるには、例えば図3の如き状態に折り畳まれている場合には、先ず側板折曲線5aで折曲された両側板5,5をそれぞれ伸ばし、次にリング状に連なって2つに折り畳まれている天板1と正面板2と底面板4と背面板3とを全体の断面が台形状になるように広げて形を整え、そして背面板3の両側部の対向した位置に形成されたスリット状の背面板差込口3bに、それぞれ両側板5,5の背面板係止用差込片5e,5eを差し込むと共に、底面板4の両側部の対向した位置に形成されたスリット状の底面板差込口4bに、それぞれ両側板5,5の底面板係止用差込片5h,5hを差し込むことによって、簡単に組み立てることができるのである。
【0028】
その際、天板1の各側板上部支持用フラップ1b,1bの表面と、底面板4の各側板下部支持用フラップ4d,4dの表面とを、両側板5,5の裏面に当接するように折り曲げて組み立てることによって、各折曲線(側板上部支持用フラップ折曲線1a,側板下部支持用フラップ折曲線4c)で折曲されたフラップ(側板上部支持用フラップ1b,側板下部支持用フラップ4d)がプラスチック製シートの弾性により伸びた状態に戻ろうとするため、両側板5,5の裏面に密着して密封性を高めることができるのである。
また図1〜図8のごとく、側板5の中央部に設けた開口部5bを、外形が正多角形状でその各辺がそれぞれ舌片折曲線5baを成し、各舌片折曲線5baから中心部に向けてそれぞれ防塵用の舌片5bbが形成されている開口部とすれば、その舌片5bbによって防塵効果を高めることができ、また舌片5bbの外形を、隣接する舌片5bb,5bb間の直線状の切れ目に続いて、開口部5bの中心部に向けて曲線状をなすように形成すれば、開口部5bから作業者が手を出し入れする際に傷付けたり、不快な痛みを感じることがなくて好ましいのである。
【0029】
次に、本発明に係る組み立て式防塵ボックスを実際に使用するには、図1〜図5のように研磨用工具のコードCを通す切り込み部7が形成されている態様では、先ず研磨用工具を側板5の開口部5bから挿入し、その研磨用工具のコードCを側板5の開口部5bから切れ目7aを通して切り込み部7へと導き、この切り込み部7に研磨用工具のコードCを係止させる。このような状態にした後に、図5のように一方の手に研磨用工具を、他方の手に切削研削作業を行う義歯床、インレー、クラウン等の歯科用補綴物を持って作業すれば、邪魔な研磨用工具のコードCによって切削研削作業に支障をきたすようなことがなく、確実な作業ができるのである。
【0030】
またこのような切削研削作業終了後においては、組み立て式防塵ボックスは図2や図3のような状態に解体しコンパクトな形状とすることができるので、訪問先から持ち帰り水洗い等を行って再利用することもできるが、上述のように容易且つ安価に製造できるのでその訪問先で廃棄したり、持ち帰って廃棄すればよい。
【符号の説明】
【0031】
1 天板
1a 側板上部支持用フラップ折曲線
1b 側板上部支持用フラップ
2 正面板
2a 正面板折曲線
3 背面板
3a 背面板折曲線
3b 背面板差込口
4 底面板
4a 底面板折曲線
4b 底面板差込口
4c 側板下部支持用フラップ折曲線
4d 側板下部支持用フラップ
4e 背面板貼着用フラップ折曲線
4f 背面板貼着用フラップ
5 側板
5a 側板折曲線
5b 開口部
5ba 舌片折曲線
5bb 舌片
5c 背面板当接用フラップ折曲線
5d 背面板当接用フラップ
5e 背面板係止用差込片
5f 底面板当接用フラップ折曲線
5g 底面板当接用フラップ
5h 底面板係止用差込片
6 折り畳み用折曲線
7 切り込み部
7a 切れ目
C 研磨用工具のコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側縁にその裏面側に向けて直角に折曲させるための側板上部支持用フラップ折曲線(1a)を介して側板上部支持用フラップ(1b)がそれぞれ連設されている天板(1)と、
該天板(1)の前縁に該天板(1)の裏面側に向けて鈍角に折曲させるための正面板折曲線(2a)を介して連設されている正面板(2)と、
該天板(1)の後縁に該天板(1)の裏面側に向けて直角に折曲させるための背面板折曲線(3a)を介して連設されていて、両側部の対向した位置にスリット状の背面板差込口(3b)が形成されている背面板(3)と、
該正面板(2)の該天板(1)と反対側の端縁に該正面板(2)の裏面側に向けて鋭角に折曲させるための底面板折曲線(4a)を介して連設されていて、両側部の対向した位置にスリット状の底面板差込口(4b)が形成されていて、両側縁に裏面側に向けて直角に折曲させるための側板下部支持用フラップ折曲線(4c)を介して側板下部支持用フラップ(4d)がそれぞれ連設されていると共に、該正面板(2)と反対側の端縁に裏面側に向けて直角に折曲させるための背面板貼着用フラップ折曲線(4e)を介して背面板貼着用フラップ(4f)が連設されている底面板(4)と、
該正面板(2)の両側縁に裏面側に向けて直角に折曲させるための側板折曲線(5a)を介してそれぞれ連設されていて、中央部に作業者が手や研磨用工具を挿入するための開口部(5b)が形成されており、該正面板(2)と対向する端縁に裏面側に向けて直角に折曲させるための背面板当接用フラップ折曲線(5c)を介して連設されている背面板当接用フラップ(5d)に、該背面板(3)の背面板差込口(3b)に差し込まれる背面板係止用差込片(5e)が形成されていると共に、前記底面板折曲線(4a)の端縁から始まり裏面側に向けて直角に折曲させるための底面板当接用フラップ折曲線(5f)を介してそれぞれ連設されている底面板当接用フラップ(5g)に、該底面板(4)の底面板差込口(4b)に差し込まれる底面板係止用差込片(5h)が形成されている一対の側板(5,5)とから成り、
全ての板(1,2,3,4,5)が一枚の透明なプラスチック製シートから作成されていて、
該底面板(4)の背面板貼着用フラップ(4f)と該背面板(3)の該天板(1)と反対側の端部とが予め貼着されることによって、該天板(1)と該正面板(2)と該底面板(4)と該背面板(3)とがリング状に連なった状態となっていて、該底面板(4)の底面板折曲線(4a)から該正面板(2)と該天板(1)とを経て該背面板(3)の一部に至る距離と、該底面板(4)の底面板折曲線(4a)から該底面板(4)を経て該背面板(3)の一部に至る距離とが同一となる該背面板(3)上の位置に折り畳み用折曲線(6)が形成されていることを特徴とする組み立て式防塵ボックス。
【請求項2】
研磨用工具のコード(C)を通す切り込み部(7)が開口部(5b)と切れ目(7a)を介して連結された状態で各側板(5,5)にそれぞれ形成されている請求項1に記載の組み立て式防塵ボックス。
【請求項3】
開口部(5b)が、外形が正多角形状でその各辺がそれぞれ舌片折曲線(5ba)を成し、各舌片折曲線(5ba)から中心部に向けてそれぞれ防塵用の舌片(5bb)が形成されている開口部である請求項1又は2に記載の組み立て式防塵ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−188150(P2012−188150A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54100(P2011−54100)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000181217)株式会社ジーシー (279)
【Fターム(参考)】