説明

組み込まれたヒートパイプによって中電圧電気設備を冷却する方法、ならびにこの方法を用いたシステム

本発明に基づく方法は、サーキットブレーカーなどの大電流・中電圧電気設備を冷却するために機能する。それは、装置内に2本のヒートパイプ(11)を直接に挿入し、サーキットブレーカー(10)の高温部分(10A,10C)の高温のもの(11C)内に第1のヒートパイプ(11)の第1の端部(HA)を、そして高温部分(10A,10C)の低温のもの(10A)内に第1のヒートパイプ(11)の第2の端部(11B)を配置することからなる。別なヒートパイプ(11)が、高温部分の低温のもの(10A)とサーキットブレーカーの低温部分(10B)との間に配置される。一つの特定の用途は、大電流・中電圧サーキットブレーカー用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、保護シース内に配置され、かつ、相変化伝熱流体と共に作動する「ヒートパイプ」と呼ばれる冷却デバイスを使用する、中電圧発電機用のサーキットブレーカーすなわち断路器の分野に関する。
【0002】
ヒートパイプは、それ以外のガスが存在しない状況で、平衡状態にある、その気相およびその液相を伴って、流体を収容する長尺な気密シールされたエンクロージャの形態で提供される。
【背景技術】
【0003】
こうしたタイプの設備のメーカーの絶え間ない関心は、特に電気を発生させあるいはそれを配分するための電力ステーションのアウトレットにおいてバスバー内に配置されるサーキットブレーカーおよび断路器のための、より大きな電流を導くための、そうした装置の能力を増大させることである。これは、特に交流発電機サーキットブレーカーに当てはまる。
【0004】
一般的に使用される方法は、関係するサーキットブレーカーの、さまざまな加熱あるいは被加熱部品と接触状態にある空気の温度を、より均一にすることである。そうした保護シース内の冷却は、その中に閉じ込められた空気の自然あるいは強制対流によってなされるが、ここで、保護シース内の支配的な温度は、30℃ないし少なくとも40℃だけ、外部の支配的な温度よりも、かなり高いことが判明している。
【0005】
別な解決策は、さまざまな伝達要素における電流の流れ断面の増大を実現し、したがってサーキットブレーカー部品のサイズを増大させることからなる。
【0006】
第3の解決策は、開閉装置それ自体を冷却することからなる。特許文献1は、高電圧断路器あるいはサーキットブレーカーを冷却するための公知の冷却デバイスおよび方法を開示している。図1は、当該文献に開示された実施形態を断面で示している。図1は、主として、サーキットブレーカーの高電圧導体あるいはケーシングを示している。それは、その冷却アセンブリ1の一部を形成するエバポレータ3によって取り囲まれている。そうしたアセンブリは、エバポレータ3によって集められた熱を汲み出すために、相変化熱伝導流体5と共に作動するデバイスを取り囲む絶縁スリーブ7を備える。フレキシブルなスリーブ9がアセンブリを完成させる。さまざまな部品が、保護シース8内に一緒に配置される。冷却アセンブリは、たとえばフィンを備えた、凝縮デバイス4に至る、この保護シース8の上端へと開口している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第第1 657 731号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、開閉装置を冷却するための別な解決策を提供することである。
【0009】
目下の基準は、高電圧・大電流電気設備の一部を形成するコンタクトおよび開閉装置の温度が105℃未満であることを要求しており、これによって、考慮のもと開閉装置によって運ぶことができる電流が制限されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本発明は、主として、高温部分であって、その一方の高温部分は別な高温部分よりも高温である高温部分と、この高温部分よりも低温である部分とを有する中電圧・大電流電気開閉装置を冷却するための冷却方法を提供する。
【0011】
本発明においては、本方法は、開閉装置内に連続的に2本のヒートパイプを挿入すること、二つの高温部分の、より高温のものから低温のものに向かって熱を汲み出すために、この二つの高温部分間にヒートパイプを配置すること、高温部分のより低温の部分に別なヒートパイプの第1の端部を、そして高温部分よりも低温である部分内に、この別なヒートパイプの第2の端部を配置することからなる。したがって、特に高温部分において支配的な熱を取り出すことが、したがって開閉装置内の温度を、より均一なものとすることが可能である。
【0012】
本発明の別な主たる態様は、高温部分であって、その一方の高温部分は別な高温部分よりも高温である高温部分と、この高温部分よりも低温である部分とを有する、サーキットブレーカーあるいは断路器のタイプの、中電圧・大電流電気開閉装置を冷却するための冷却システムである。
【0013】
本発明において、当該システムは、高温部分と別なヒートパイプとの間に第1のヒートパイプを有し、その第1の端部は高温部分のより温度が低い部分内に配置され、かつ、第2の端部は、より低温である部分内に配置され、2本のヒートパイプは連続的にセットされる。
【0014】
本発明およびそのさまざまな技術的特徴は、本発明の一実施形態に関する以下の説明から、より明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】中電圧・大電流開閉装置を冷却するための従来型冷却システムを示す断面図である。
【図2】本発明のシステムの一実施形態を示す長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2は、サーキットブレーカー10などの大電流で作動する高電圧開閉装置を示している。当該サーキットブレーカーは、絶縁サポート18上で、シース15内に配置される。制御要素17が、特にシース15の外部において、図2に示されている。シースは、したがって、サポート19の上に配置される。
【0017】
サーキットブレーカー10は静止部分および可動部分を有する。これら部分の中に、無視できない厚みの部分あるいは部位が存在する。
【0018】
さらに、これらの部位あるいは部分のいくつかは高温部分10Cおよび10Aを、特にサーキットブレーカー10の中心部を有する。高温部分10Cは、サーキットブレーカー10のコンタクトの領域にある高温部分10Aよりも高温である。だが、当該サーキットブレーカーはまた、低温部分10Bを有し、これは、それゆえ、高温部分10Aおよび10Cよりも低温であり、かつ、これは、サーキットブレーカーの中心(これは軸線Aによって示す)に対して偏心配置されている。それらが定格電流のコンタクトを通過することによって離間させられるならば、別な低温部分はサーキットブレーカー10の中心付近に配置可能である。
【0019】
最も高温な部分10Cからの熱の一部は、第2の高温部分10Aに向かって、第1の水平ヒートパイプ11によって、まず汲み出される。その熱は、こうして、ヒートパイプ11(これは傾斜している)によって、低温部分10Bに向かって汲み出される。2本のヒートパイプ11は連続的にセットされる。
【0020】
したがって、目下の基準が要求するように、105℃未満の温度で高温部10Cを維持することを促進することが可能である。開閉装置は、こうして、より容易に冷却される。
【0021】
6本のヒートパイプ11のポジションが、図の実施形態に示されている。別なヒートパイプを、毛管力によって高温部分に向かう液相の戻りを促進する内部デバイスを備えた、あるヒートパイプ技術を用いて、さらに下方を含む、図2に示すもの以外のセクションに配置することができる。この技術はまた、その他の作動技術を用いる、断路器およびサーキットブレーカーなどの、その他の電気開閉装置と共に使用するのに適合させることができる。
【0022】
[本発明の利点]
本発明に係る方法および装置は、試験済みのヒートパイプ技術を利用する。熱は、その源から直に取り出され、そして開閉装置の外部へと運ばれる。
【符号の説明】
【0023】
10 サーキットブレーカー
10A,10C 高温部分
10B 低温部分
11 ヒートパイプ
11A,11B 端部
15 シース
17 制御要素
18 絶縁サポート
19 サポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中電圧・大電流電気開閉装置(10)を冷却するための冷却方法であって、前記開閉装置(10)は、高温部分(10A,10C)であって、その高温部分(10C)は別な高温部分(10A)よりも高温である高温部分(10A,10C)と、前記高温部分(10A,10C)よりも低温である低温部分(10B)と、を有し、
前記方法は、前記開閉装置(10)内に連続的に2本のヒートパイプ(11)を挿入することと、前記二つの高温部分の、より高温のもの(10C)から低温のもの(10A)に向かって熱を汲み出すために、この二つの高温部分(10A,10C)間にヒートパイプ(11)を配置することと、前記高温部分のより低温の部分(10A)に別なヒートパイプの第1の端部(11A)を、そして前記高温部分(10A,10C)よりも低温である部分(10B)内に、この別なヒートパイプ(11)の第2の端部(11B)を配置することと、を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
中電圧・大電流電気開閉装置(10)を冷却するための冷却システムであって、前記開閉装置(10)は、高温部分(10A,10C)であって、その高温部分(10C)は別な高温部分(10A)よりも高温である高温部分(10A,10C)と、前記高温部分(10A,10C)よりも低温である低温部分(10B)と、を有し、
前記システムは、前記二つの高温部分の、より低温のもの(10B)および別なヒートパイプ(11)に向かって、高温のもの(10C)から熱を汲み出すために、これら高温部分(10A,10C)間に第1のヒートパイプ(11)を備え、その第1の端部(11A)は高温部分(10A,10C)内に配置され、かつ、第2の端部(11B)は前記高温部分(10A,10C)よりも低温である部分(10B)内に配置され、前記2本のヒートパイプは連続的にセットされていることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−508907(P2013−508907A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534717(P2012−534717)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066017
【国際公開番号】WO2011/051202
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】