組合せベーカリー製品及びその製造法
【課題】
本発明は、平易な方法にて型を使わずに高さのある形状のベーカリー製品の製造法を提供することを目的とする。
【解決手段】
層が同心円状になるように湾曲して環状に配置した層状生地と、その環状の層状生地の内側に配置した膨化性生地を焼成する事により、型を使わず高さのある形状のベーカリー製品の製造法を提供することができる。
本発明は、平易な方法にて型を使わずに高さのある形状のベーカリー製品の製造法を提供することを目的とする。
【解決手段】
層が同心円状になるように湾曲して環状に配置した層状生地と、その環状の層状生地の内側に配置した膨化性生地を焼成する事により、型を使わず高さのある形状のベーカリー製品の製造法を提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペイストリー・パイ等に代表される層状生地とパン、シュー、スポンジ、バターケーキ、またはマフィンに代表される膨化性生地とを組合せたベーカリー製品の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の市場動向として、外観のバラエティー化、ファッション化が進んでおり、特に高さのある立体的な形状が流行している。
一般的に高さのある形状にするには焼型を使用する。
焼型には、一般にはセルクルと呼ばれる、焼成後に生地を取り出して何度も再利用するタイプのものと、紙製の焼型のように生地とともに焼成された後、商品とともにそのまま流通するタイプのものがある。
【0003】
1つの焼型では決められたサイズでしか使用できず、異なるサイズのベーカリー製品を作製する場合、別の焼型が必要となる。
商品のライフサイクルはめまぐるしく変わり、形状の異なるベーカリー製品に対応するため、再利用するタイプの場合は繰り返し使えるも型の単価はそれなりに高く、多くの焼型を所持するのは経済的でなく、製造者にとっては負担となっている。
また再利用できるとはいえ、焼型は使用するたびに消耗・破損は避けられず、いずれは取り替える換える必要がある。
【0004】
そのまま流通するタイプの焼型は、再利用できるタイプに比べ単価こそ安いものの、焼成された生地とともに流通していくため、製品を製造するたびに製品の数用意せねばならないし、また消費者の手元まで流通した後、製品を喫食する際に不要となった焼型は再利用されることもなく廃棄され経済的でない。
また再利用・流通タイプともに言えることは、焼型に付着した部分の生地がホイロと呼ばれる発酵時に過剰の圧力をうけると発酵によって発生したガスが十分に保持されずに気泡により構成される柔軟な構造が壊れ、食感を損いがちになる。また焼成時には熱や水蒸気の飛散が妨げられて、焼成が不十分となる。これらによりべたべたとした食感、俗に言う「火抜けが悪い」状態が起こり、商品価値を損なうことも多い。
【0005】
焼成容器内壁とベーカリー生地との親和性が十分に低くないと、焼成容器に生地の付着が起こり、容器からベーカリー製品を取り出す際に廃棄される部分が発生するため、経済的にも商品の外観的にも望ましくない。
逆に焼成容器内壁とベーカリー生地との親和性が十分に低いと壁面に生地が付着しないかわりに焼成により膨化した生地の側面中央部分でへこむ、いわゆる「ケービング」や「腰折れ現象」などが起こりやすい。
もちろん、容器無しでは天板の上に生地は平たく伸びてしまう為、高さのある形状にはなりえない。
このように経済的で、火抜けの悪化・付着・へこみなどを起こさない、高さのある形状のベイカリー製品は、消費者への購買意欲を向上させ、また製造業者のコストを削減する点において重要であるため、市場からの要求は強く、様々な試みが為されてきた。
【0006】
高さのある形状にするには容器を使うことが重要であるが、可食性容器を用いることですべて食べることができて廃棄の必要がなくなる。コーンカップなどはすでにアイスクリーム容器として広く用いられている。
【0007】
特許文献1では、焼成されたパンを可食性容器とするものとして、凸型の容器と凹型の容器の隙間にパン生地を入れてカップ状のパンを製造する提案がされている。
しかしながら、特許文献1をはじめとして、可食性容器単独で製造する場合は当然ながら工程を別に設ける必要があり、また焼成された可食性容器自体は二度焼成工程に供されることとなり、さらに焼成前ですら容器としての強度をもつ(焼成後はさらに堅く焼き締まる)可食性容器をベーカリー製品と同時に喫食することは食感が異なりすぎるため一般的ではない。
【0008】
特許文献2では、ほぼ同時に焼成できるものとしては、型枠に菓子の外皮の材料を注入するとともに焼成乃至蒸成して凹部を有する外皮を形成し、外皮を型枠内に位置せしめた状態で凹部内に可食性の充填材料を充填し、次に外皮の上部開口をいまだ焼成乃至蒸成していない生のふた用の生地にて閉塞した後、焼成乃至蒸成する事を特徴とする提案がされている。しかしながら、型枠を、しかもかなり複雑な形状の型枠を使用するため、容器使用に伴う弊害が解消されず、焼成も2段回にするなど煩雑である。
【0009】
特許文献3では、シュー生地と水分を多く含有するパン生地とを組み合わせて焼成することによりシュー生地内部に空洞を形成してなる空洞パンが提案がされている。
しかし、これは当然外側が容器ではなくパン生地であるため、中に空洞こそ空くが、高さのある形状という点では、天板上にパン生地をおいて焼成するのと変わらない。
【0010】
また特許文献4では、組合せる生地としてパイ生地またはペーストリー生地とシュー生地を任意形状に組み合わせて焼成してなるパイとシューの風味を持ち合わせた複合菓子が提案がされている。しかしこれもパイ生地にシュー生地を乗せる形での組合せに限られ、比較例としてパイ生地をドーナツ状にしたものの中に生地を絞る(パイ生地の層が露出している面とシュー生地が接触している状態で該発明においては「パイまたはペーストリー生地(3)とシュー生地(4)とを並列にして焼く」と称している)と「パイまたはペーストリー生地の方が早くふくらむので両生地の接点の部分がふくらみ不足で不均一となり、パイまたはペーストリー生地(3)のふくらみがピークに達したころシュー生地(4)がふくらみ始めるので形が不ぞろいになる」とされており、容器としての機能も高さがある形態もうかがい知ることが出来ない。
【0011】
このように可食容器による高さのあるベイカリー製品は市場からの要求は強いものの、平易かつ十分な品質のという点では十分ではなかった。
【特許文献1】特開昭55−064740号公報
【特許文献2】特開昭51−115958号公報
【特許文献3】特開昭62−244335号公報
【特許文献4】特開昭58−056634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、平易な方法にて型を使わずに高さのある形状の組合せベーカリー製品の製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、
(1)としては、層が同心円状になるように湾曲して環状に配置した層状生地と、その環状の層状生地の内側に配置した膨化性生地を、焼成する事を特徴とする組合せベーカリー製品の製造法であり、(2)としては、層状生地がペイストリーまたはパイである(1)記載の組合せベーカリー製品の製造法であり、(3)としては、膨化性生地がパン、パン、シュー、スポンジ、バターケーキ、またはマフィンである(1)記載の組合せベーカリー製品の製造法であり、(4)としては、(1)ないし(3)により作成された組合せベーカリー製品である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、層状生地と膨化性生地を特定の配置で組み合わせるという平易な方法にて、焼型を使わず高さのある形状のベーカリー製品を製造することが可能であり、さらに従来の焼型を用いた際に見られた火抜けの悪化・付着・へこみなどの発生を抑えるといった優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明における層状生地とは、デニッシュ、クロワッサンなどに代表されるペイストリー生地や、折りパイ生地などに代表されるパイ生地などといった、小麦粉および水を必須成分とする混捏物の層と固状ないし塑状の油脂組成物によって構成される油性層とが交互に層をなした生地を指す。
【0016】
本発明の層状生地の製造法としては、従来の層状生地の製造法と何ら変わりがなく、油脂組成物をパン生地内部に包み込んだ後、折り重ねて展延したものである。
本発明における層状生地は前述の通り、小麦粉および水を必須成分とする混捏物の層と固状ないし塑状の油脂組成物によって構成される油性層とが交互に層をなした生地であり、このような層状生地はその層に対して水平な方向(層が広がる面の方向)より、層に対して垂直な方向により大きく膨張する(図1参照)ので望ましい。
混捏物の層は、強力粉の他に通常薄力粉または中力粉を併せて含み、それらの配合比によって生地の硬さが調製される。混捏物の層には特に油脂を使用する必要はないが、所望なれば通常使用されている練込み用油脂を使用することもできる。
折り重ねる回数、すなわち折り数は油脂量によって異なるが、最終展延時で通常4層〜216層、望ましくは8層〜128 層さらに望ましくは16〜36層が好ましい。
混捏物の層と油性層からなる多層生地自体の調製方法は、従来より公知の方法に準じて行えばよい。
【0017】
油性層は、従来より使用されているバター、マーガリン、特にパイ専用に開発されたマーガリン、あるいは牛脂などの固状ないし塑状の油脂組成物を使用することができる。特に限定はされないが、一例としては、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類の単独又は混合油或いはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂が適する。
この油性層を、混捏物の層を構成する小麦粉全量に対し20〜70重量部、好ましくは30〜50重量部の範囲で使用する。
これらの油脂を使用した油中水型の油脂組成物の油脂の融点が15〜45℃のものが良い。油脂の融点が15℃未満の場合は、生地に油脂が融解して生地と油脂の層が形成し難くなる。油脂の融点が45℃を超える場合は、油脂を混合した生地が硬くなり展延性が悪くなる。
油性層、特にマーガリン中の水性層には、従来より使用されている乳製品・香料・乳化剤・糖を加えてものであっても良い。
また、今日においては、以上に示したような原料・工程を経て、既に多層構造を有した層状生地が市販されており、それら市販品を適宜用いることも可能である。
【0018】
本発明における膨化性生地とは、小麦粉および水を必須成分とし、必要に応じて食塩、油脂類、乳製品、糖類、調味料(グルタミン酸類、核酸等)、イースト、化学膨張剤、フレーバー等の副原料を添加・混捏し、発酵工程をとり(若しくは発酵工程なしで)焼成等の加熱をしたものの中で、上記層状をなして膨張の方向に指向性がある層状生地以外のものを指す。特に限定はされないが、ドーナツ、クッキー、スナック、などが、望ましくはパン、シュー、スポンジ、バターケーキ、マフィンなどが挙げられる。
天板上で焼成した場合には天板接触面や重力方向に対して若干抵抗を受けるものの概ね全方向に対して均等に膨化するものなら特に限定はされない(図2参照)。
本発明の膨化性生地の製造法としては、従来より公知の方法を使用することができ、特に限定はされないが一例としてはいわゆる「パン」なら直捏法、中種法、湯種法等が挙げられる。
膨化性生地は、強力粉の他に通常薄力粉または中力粉を併せて含み、それらの配合比によって生地の硬さが調製される。混捏物の層には特に油脂を使用する必要はないが、所望なれば通常使用されている練込み用油脂を使用することもできる。
【0019】
層状生地と膨化性生地それぞれの製造方法は従来より公知の方法に準じて行えばよいが、そのそれぞれを組み合わせる工程は焼成の前であれば特に限定はされない。一般には層状生地であるパイ生地以外の、1回以上の発酵工程を有する層状生地や膨化性生地の場合は、ホイロ(第2発酵または最終発酵と呼ばれる)より前に行うことが望ましい。ホイロの後に行うと発酵によって生地内に蓄積されたガスが散逸しやすくなり、仕上がりのボリュームが意図しない程度に低下する場合がある。
【0020】
組合せ方は、層状生地は断面に露出した層が同心円状になるように湾曲させ、環状に配置し、膨化性生地はその環状の層状生地の内側にそれぞれ配置する。(図3参照)
その配置をより具体的に例示すると膨化性生地を惑星、層状生地をその衛星の公転軌道に対応する位置に相当すると考えるとわかりやすい。
【0021】
層状生地は断面に露出した層が同心円状であれば特にその形は限定されず、ここで言う環状とは厳密に円である必要はなく、層状生地が一周して端面同士が接触またはそれに順ずる程度まで接近している状態を指し、一例としては多角形や楕円・円などが挙げられるが、環状の形態にする場合は円またはそれに類する形状が好ましい(図4−(1))。
層状生地を型に配置する際には層が同心円状になるように湾曲して配置してありさえすれば、特にその巻き数や巻き角度などには限定はなく、本発明で言うところの環状は2巻き(図4−(2))といった形状であってもかまわない。
ただ、一部隙間が空いている(図4−(3)bの部位)形態であった場合は、層状生地は内側の膨化性生地の容器に相当する為、環が切れていない状態、すなわち巻き角度の下限は360度以上であり、焼成後まで環状構造を保つことが好ましく、その端面の部分は焼成中に外れないよう、焼成前の状態で十分に密着させて膨張性生地の可食性容器としての機能をより高めることができ、よりその商品価値は高まる。(図4−(1)aの部位)。密着方法は層状生地を円弧状にした後に端面同士を圧迫し生地を密着させることで可能である。
【0022】
焼成時に層状生地の環が開環していると膨化性生地の膨化が開環部分に集中し、外へとはみ出ていびつな形状になり、また層状生地は容器としての機能を完全には発揮できず膨化性生地を高さのある形状にはなりにくい。
層状生地の回転角度の上限は特になく、何周していてもかまわないが、1周のものと層状生地の膨化という点では機能に大差が無い為、特に巻き数を増やすことへのメリットはすくない。
本発明において層状生地は、層が同心円状になるように湾曲して配置する必要があるが、その場合通常層は上下二方向に露出する。ただし、同心円状の場合に層状生地を途中で折り曲げたりした場合は一方向に露出する(図5)。層状生地の層は一方以上露出しさえすれば特に限定はされない。
【0023】
膨化性生地は湾曲して配置した環状の層状生地の内側に配置する。(図6−(1)、c:膨化性生地、d:層状生地)膨化性生地は同心円状に層が露出している状態は、すなわち内と外の方向に膨化する(図6−(2))。一方、膨化性生地は外へ膨化するため、双方の生地が膨化するにしたがって、隙間は狭まることになる。
【0024】
一方層状生地が同心円状ではなく放射状に層が露出する場合(図7−(1))は膨化に伴い円周部が伸び外へと大きくなる。その伸長は膨化性生地の外への膨化よりも大きくなりがちであるため、焼成後の段階で膨化性生地と層状生地との間に隙間が生じ、高さのある形状にはなりえないのはもちろんのことながら、層状食品は可食性容器としての機能も果たしえない(図7−(2))。
【0025】
層状食品の層が側面に積み重なった状態で露出する場合(図8−(1))は、放射状に層が露出する場合に比べ極端には外には大きくならないが、層状生地は焼成中に縦方向へと伸長するため、焼成中に膨化性生地が層状生地と接触した場合、層状生地自体は接触後も伸長し続け、膨化性生地との接触面が焼成中常に引き伸ばされるために生地同士密着できず、また、膨化性生地の接触面が外部からの力で不自然な引き伸ばされ方をしてパンの気泡構造が壊れ、食感を損なったり、中折れしたりするため望ましくない(図8−(2))。
【0026】
ホイロ時の双方の生地の膨張率にもよるため配置の際に層状生地と膨化性生地の間隔(図6−(1)Lの部位)は特に限定はされないものの、ホイロ前の段階では接触せず、ホイロ後あるいは焼成段階にて接触する程度の間隔が望ましい。(ホイロは発酵工程であり、膨化性生地も層状生地も焼成時の膨化方向とほぼ同じ方向に膨張する)
ホイロ前の段階において接触している場合、密着状態の双方の生地がそれぞれホイロ工程にて膨張し、その圧力に抗しきれず、層状生地で形成された環が開環するため、可食容器としての機能を果たしえず高さが出ない。
また、双方の生地が接触するタイミングはホイロ工程以降、望ましくはホイロ工程の終盤にて軽く接触する程度、更に望ましくは、ホイロ後においても殆ど接触していない程度が好ましい。ホイロの初期段階で接触すると発酵によって形成される生地中の気泡構造が十分に発達しにくくなり、目の詰まったべとべとした生地になりやすくなる。
また間隔が開きすぎていて、膨化性生地が焼成終了時においても層状生地と接触しない場合、やはり可食容器としての機能を果たしえず高さが出にくい。
【0027】
ホイロ前の時点での双方の生地の相対的な位置は生地の膨張率にもよるため一概には言えないが、ホイロ前の膨化性生地の半径をr1、ホイロ前の層状生地の厚さをr2、ホイロ前の膨化性生地と層状生地の間隔をL、双方の生地のホイロ時の膨張率α(ただしα=((ホイロ後の生地寸法)−(ホイロ前の生地寸法))/(ホイロ前の生地寸法) で、α1は膨化性生地、α2は層状生地の膨化率とする)とした場合、Lの大きさの下限は((r1×α1)+(r2×α2)/2)すなわちホイロ後に予想される膨張分の寸法の0.7倍以上、望ましくは0.9倍以上が好ましい。
1を下回った状態はホイロ工程で本来膨張する大きさより間隔Lが狭い事を意味しており、ホイロ工程中に双方の生地が接触している事を意味するが、0.7以上の場合はホイロ工程の比較的後期まで接触せず、ホイロにより形成される生地中の気泡構造の発達をあまり阻害しない。
【0028】
一方、Lの大きさの上限は、下限の場合と同じ基準で1.5倍以下、望ましくは1.2倍以下が好ましい。1を上回った状態はホイロ工程で本来膨張する大きさより間隔Lが狭い事を意味しており、ホイロ工程中に双方の生地がまだ密着していない事を意味するが、1.5以下だと焼成段階で更に膨化し、層状生地が膨化性生地と接触して可食性容器の機能を果たし、本願目的である高さのある形状の組合せベーカリー製品が得やすい。
【0029】
層状生地の高さも特に限定はされないものの、高さのある形状の組合せベーカリー製品を得るためには10mm以上、望ましくは20mm以上であることが好ましい。10mm以下の場合高さのある形状にはなりにくい。
一方、上限も特に限定はされないが100mm以下、望ましくは80mm以下であることが好ましい。100mmを超える場合、層状生地が自重でつぶれたり、中央で折れたりする為、その分厚く丈夫に作る必要があるため、膨化性生地とのバランスを欠き、商品としての価値を損ねかねない。またその分膨化性生地を大きくすると、組合せベーカリー製品全体として大きくなりすぎ、均一に焼成しにくくなる。
【0030】
容器内に設置された生地の焼成は公知の方法に準じて行えばよい。焼成条件は、装置および生地の量等により変化するので一概には規定できないが、通常、一般的には180℃前後で約30分程度焼成することで当該組合せベーカリー製品を得ることができる。
【実施例】
【0031】
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は重量基準を意味する。
【0032】
<実施例1>
<膨化性生地(菓子パン生地)の調製>
以下の配合及び工程により菓子パン生地を調整した。
(配合)
強力粉100部、生イースト5部、上白糖18部、食塩1.5部、全卵10部、マーガリン(商品名、ニューコンボル800、不二製油株式会社製)15部、水53部
(工程)
ミキシングタイム:低速3分、中速3分、中高速1分→油脂添加→低速3分、中速2分、中高速1分
捏ね上げ温度 :27℃
フロアタイム :60分
発酵室温度/湿度:27℃/75%
分割重量 :35g
製法 :丸め直し
【0033】
<層状生地(ペストリー生地)の調整>
以下の配合及び工程によりペストリー生地を調整した。
(配合)
強力粉90部、薄力粉10部、生イースト5部、上白糖15部、食塩1部、脱脂粉乳2部、全卵10部、マーガリン(商品名、ニューコンボル800、不二製油株式会社製)10部、水52部
(工程)
ミキシングタイム:低速4分、中速3分→油脂添加→低速3分、中速2分、中高速1分
捏ね上げ温度 :25℃
フロアタイム :60分
発酵室温度/湿度:27℃ 75%
分割重量 :1900g
冷却寝かせ(リタード)時間:−18度/1時間
折り込み回数 :3つ折り3回
成型方法 :最終生地厚6mmに展延し、250mm×30mm(約45g)の帯状にカットする。
【0034】
以上のようにして調整したペストリー生地を、層の露出した切断面を上に向け、すなわち上面に層が同心円状に露出するように輪を作り端をつなげた。
このペストリー生地で作った輪の中心に、丸め直した菓子パン生地を配置した。このとき、ペストリー生地と菓子パン生地が接触しないようにした。(ペストリー生地と菓子パン生地の間隔約10mm)(図9・図10参照)
32℃/湿度75%のホイロで1時間発酵させ、上火200℃、下火200℃で17分間焼成した。
【0035】
ホイロ中に菓子パン生地とペストリー生地は発酵により膨化し接着し、焼成中はペストリー生地が内と外方向へ、菓子パン生地は外へと膨化した。双方の膨化に伴い、菓子パン生地はペストリー生地の膨圧によって上へと高さのある形態をとり、ペストリー生地は内・外への膨化が落ち着くと堅牢な構造をとって可食性容器となった。
焼成後、中央の菓子パン生地は容器に入れて焼成したような高さが残り、周囲のペストリー生地はきれいな環状の層の断面が横に広がって、これらが複合した立体感のある形状のベーカリー製品に仕上がった。(図11参照)食したところ、中央はソフトでしっとりした食感で、外側はさっくりした食感であった。
【0036】
<比較例1>
ペストリー生地を、層の露出した切断面を横に向け、すなわち側面に層が積み重なった状態で露出するように輪を作り、端をつなげる以外は実施例1同様の配合・工程にてベーカリー製品を焼成した。(図12参照)
その結果、焼成中にペストリー生地は縦方向に膨化し、膨化により接触した菓子パン生地との接触面が焼成中常に引き伸ばされるため生地同士が接着せず、さらにペストリー生地は縦に膨化するとはいっても容器として高さには不足しており、菓子パン生地の形状はは高さに欠けたものであった。また、接触部分は不自然な引き伸ばされ方により気泡構造が壊れたため、膨化の悪い、いわゆる火通りの悪いねちゃついた食感であった。(図13参照)
【0037】
<実施例2>
ペストリー生地を最終生地厚6mmに展延し、170mm×30mm(約27g)の帯状にカットして層の露出した切断面を上に向け輪を作り、端をつなげた。このペストリー生地で作った輪の中心に、丸め直した菓子パン生地(約35g)を配置した。このときペストリー生地と菓子パン生地は接触するようにした。これ以外は実施例1同様の配合・工程にてベーカリー製品を焼成した。(図14参照)
その結果、ホイロ前の段階ですでに接触していた双方の生地はホイロ中の発酵に伴う膨化により、ペストリー生地の輪のつなぎ目が裂け、輪が開いた形状になった。
開環した層状生地は容器としての機能がやや劣り、開環した方向へと菓子パンがはみ出すものの、ペストリー生地に接触した部分の菓子パンは高さのある形状となった。
食したところ、ホイロ工程の早期の段階でペストリー生地と菓子パン生地が接触、開環にいたるまで圧力を受けた部分のホイロ時に形成される気泡構造の発達が不十分である為ペストリー生地と菓子パン生地の接触した部位にやや目が詰まったべとついたした感はあるものの既存の商品とは異なる商品価値を有するものであった。(図15参照)
【0038】
<比較例2>
ペストリー生地を最終生地厚6mmに展延し、400mm×30mmの帯状にカットして長い方向へと巻き込む。(約90g)。
ペストリー生地を層の露出した切断面を上に向け、すなわち上面に層が渦巻き状に露出するように立て、その上に切断面に接触させた状態で菓子パン生地(約35g)を載せた。これ以外は実施例1同様の配合・工程で焼成時間のみ19分にてベーカリー製品を焼成した。(図16参照)
その結果、ペストリー生地は横へと膨化したが外周部の膨化に比べ、内部に巻き取られた生地の部分の膨化が大きく、外部に膨化しきれない分上部へとはみ出し、菓子パン生地はペストリー生地上から不規則にズレ、場合によっては脱落した。また、ペストリー生地は容器としての機能を発揮せず、菓子パン生地は高さのある形態にはならなかった。
食したところ、中央のペストリー生地とその上の菓子パン生地との接触面が著しく火通りが悪く非常にねちゃついた食感であった。
【0039】
<比較例3>
実施例1と同程度の厚み・幅で、水平に層が積み重なった形状のペストリー生地を作成し、実施例1と比較した。ペストリー生地を生地厚6mmに展延したものを5枚積み重ねて最終的な生地厚を30mmにしたものを、250mm×6mm(約45g)の帯状にカットして層の露出した切断面を横に向け、すなわち側面に層が積み重なった状態で露出するように輪を作り端をつなげる以外は実施例1同様の配合・工程にてベーカリー製品を焼成した。(図17参照)
その結果、焼成中にペストリー生地は縦方向に大きく膨化し、膨化により接触した菓子パン生地との接触面が焼成中常に引き伸ばされるため生地同士が密着せず、中央の菓子パン生地はコシ折れし、中央が陥没し高さに欠けた形状になった。また不自然な引き伸ばされ方により気泡構造が壊れたため、いわゆる火通りの悪いねちゃついた食感であった。
【0040】
<比較例4>
実施例1と同程度の厚み・幅で、放射状に層が露出した形状のペストリー生地を作成し、実施例1と比較した。ペストリー生地を生地厚6mmに展延したものを40枚積み重ねて最終的な生地厚を240mmにしたものを、30mm×6mm(約45g)の帯状にカットして層の露出した切断面を上下そして横に向け、すなわち上面に放射状に層が露出するように輪を作り端をつなげる以外は実施例1同様の配合・工程にてベーカリー製品を焼成した。(図7参照)
その結果、焼成中にペストリー生地は円周の方向に大きく膨化し、内側の菓子パン生地も膨化したものの焼成後においてもとの間に隙間が生じたままであったため、高さのある形状にはなりえないのはもちろんのことながら、層状食品は可食性容器としての機能も果たしえないものであった。また当然その食感も単独のペストリー生地と菓子パン生地を焼成した場合と同じであり、新規性のないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明により、層状生地と膨化性生地を特定の配置で組み合わせるという平易な方法にて、焼型を使わず高さのある形状のベーカリー製品を製造することが可能であり、さらに従来の焼型を用いた際に見られた火抜けの悪化・付着・へこみなどの発生を抑えることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】層状生地の模式図。
【図2】膨化性生地の模式図。
【図3】層状生地と膨化性生地の配置を示す模式図。
【図4】層状生地を型に配置する際の巻き数とその形状の模式図
【図5】層状生地を途中で折り曲げた場合の一方向に層が同心円状に露出する層状生地と膨化性生地の配置を示す模式図。
【図6】同心円状に層が露出するように層状生地が配置される場合の焼成前後の膨化性生地と層状生地形状の変化を示す模式図
【図7】放射状に層が露出するように層状生地が配置される場合の焼成前後の膨化性生地と層状生地形状の変化を示す模式図
【図8】側面に積み重なった状態で層が露出するように層状生地が配置される場合の焼成前後の膨化性生地と層状生地形状の変化を示す模式図
【図9】実施例1のホイロ前における膨化性生地と層状生地の配置を示す模式図
【図10】実施例1のホイロ前における膨化性生地と層状生地の配置を示す図面代用写真
【図11】実施例1の焼成後における膨化性生地と層状生地の形状を示す図面代用写真
【図12】比較例1のホイロ前における膨化性生地と層状生地の配置を示す模式図
【図13】比較例1の焼成後における膨化性生地と層状生地の形状を示す図面代用写真
【図14】実施例2のホイロ前における膨化性生地と層状生地の配置を示す模式図
【図15】実施例2の焼成後における膨化性生地と層状生地の形状を示す図面代用写真
【図16】比較例2のホイロ前における膨化性生地と層状生地の配置を示す模式図
【図17】比較例3のホイロ前における膨化性生地と層状生地の配置を示す模式図
【符号の説明】
【0043】
a 層状生地の継ぎ目
b 層状生地の開環部
c 膨化性生地
d 層状生地
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペイストリー・パイ等に代表される層状生地とパン、シュー、スポンジ、バターケーキ、またはマフィンに代表される膨化性生地とを組合せたベーカリー製品の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の市場動向として、外観のバラエティー化、ファッション化が進んでおり、特に高さのある立体的な形状が流行している。
一般的に高さのある形状にするには焼型を使用する。
焼型には、一般にはセルクルと呼ばれる、焼成後に生地を取り出して何度も再利用するタイプのものと、紙製の焼型のように生地とともに焼成された後、商品とともにそのまま流通するタイプのものがある。
【0003】
1つの焼型では決められたサイズでしか使用できず、異なるサイズのベーカリー製品を作製する場合、別の焼型が必要となる。
商品のライフサイクルはめまぐるしく変わり、形状の異なるベーカリー製品に対応するため、再利用するタイプの場合は繰り返し使えるも型の単価はそれなりに高く、多くの焼型を所持するのは経済的でなく、製造者にとっては負担となっている。
また再利用できるとはいえ、焼型は使用するたびに消耗・破損は避けられず、いずれは取り替える換える必要がある。
【0004】
そのまま流通するタイプの焼型は、再利用できるタイプに比べ単価こそ安いものの、焼成された生地とともに流通していくため、製品を製造するたびに製品の数用意せねばならないし、また消費者の手元まで流通した後、製品を喫食する際に不要となった焼型は再利用されることもなく廃棄され経済的でない。
また再利用・流通タイプともに言えることは、焼型に付着した部分の生地がホイロと呼ばれる発酵時に過剰の圧力をうけると発酵によって発生したガスが十分に保持されずに気泡により構成される柔軟な構造が壊れ、食感を損いがちになる。また焼成時には熱や水蒸気の飛散が妨げられて、焼成が不十分となる。これらによりべたべたとした食感、俗に言う「火抜けが悪い」状態が起こり、商品価値を損なうことも多い。
【0005】
焼成容器内壁とベーカリー生地との親和性が十分に低くないと、焼成容器に生地の付着が起こり、容器からベーカリー製品を取り出す際に廃棄される部分が発生するため、経済的にも商品の外観的にも望ましくない。
逆に焼成容器内壁とベーカリー生地との親和性が十分に低いと壁面に生地が付着しないかわりに焼成により膨化した生地の側面中央部分でへこむ、いわゆる「ケービング」や「腰折れ現象」などが起こりやすい。
もちろん、容器無しでは天板の上に生地は平たく伸びてしまう為、高さのある形状にはなりえない。
このように経済的で、火抜けの悪化・付着・へこみなどを起こさない、高さのある形状のベイカリー製品は、消費者への購買意欲を向上させ、また製造業者のコストを削減する点において重要であるため、市場からの要求は強く、様々な試みが為されてきた。
【0006】
高さのある形状にするには容器を使うことが重要であるが、可食性容器を用いることですべて食べることができて廃棄の必要がなくなる。コーンカップなどはすでにアイスクリーム容器として広く用いられている。
【0007】
特許文献1では、焼成されたパンを可食性容器とするものとして、凸型の容器と凹型の容器の隙間にパン生地を入れてカップ状のパンを製造する提案がされている。
しかしながら、特許文献1をはじめとして、可食性容器単独で製造する場合は当然ながら工程を別に設ける必要があり、また焼成された可食性容器自体は二度焼成工程に供されることとなり、さらに焼成前ですら容器としての強度をもつ(焼成後はさらに堅く焼き締まる)可食性容器をベーカリー製品と同時に喫食することは食感が異なりすぎるため一般的ではない。
【0008】
特許文献2では、ほぼ同時に焼成できるものとしては、型枠に菓子の外皮の材料を注入するとともに焼成乃至蒸成して凹部を有する外皮を形成し、外皮を型枠内に位置せしめた状態で凹部内に可食性の充填材料を充填し、次に外皮の上部開口をいまだ焼成乃至蒸成していない生のふた用の生地にて閉塞した後、焼成乃至蒸成する事を特徴とする提案がされている。しかしながら、型枠を、しかもかなり複雑な形状の型枠を使用するため、容器使用に伴う弊害が解消されず、焼成も2段回にするなど煩雑である。
【0009】
特許文献3では、シュー生地と水分を多く含有するパン生地とを組み合わせて焼成することによりシュー生地内部に空洞を形成してなる空洞パンが提案がされている。
しかし、これは当然外側が容器ではなくパン生地であるため、中に空洞こそ空くが、高さのある形状という点では、天板上にパン生地をおいて焼成するのと変わらない。
【0010】
また特許文献4では、組合せる生地としてパイ生地またはペーストリー生地とシュー生地を任意形状に組み合わせて焼成してなるパイとシューの風味を持ち合わせた複合菓子が提案がされている。しかしこれもパイ生地にシュー生地を乗せる形での組合せに限られ、比較例としてパイ生地をドーナツ状にしたものの中に生地を絞る(パイ生地の層が露出している面とシュー生地が接触している状態で該発明においては「パイまたはペーストリー生地(3)とシュー生地(4)とを並列にして焼く」と称している)と「パイまたはペーストリー生地の方が早くふくらむので両生地の接点の部分がふくらみ不足で不均一となり、パイまたはペーストリー生地(3)のふくらみがピークに達したころシュー生地(4)がふくらみ始めるので形が不ぞろいになる」とされており、容器としての機能も高さがある形態もうかがい知ることが出来ない。
【0011】
このように可食容器による高さのあるベイカリー製品は市場からの要求は強いものの、平易かつ十分な品質のという点では十分ではなかった。
【特許文献1】特開昭55−064740号公報
【特許文献2】特開昭51−115958号公報
【特許文献3】特開昭62−244335号公報
【特許文献4】特開昭58−056634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、平易な方法にて型を使わずに高さのある形状の組合せベーカリー製品の製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、
(1)としては、層が同心円状になるように湾曲して環状に配置した層状生地と、その環状の層状生地の内側に配置した膨化性生地を、焼成する事を特徴とする組合せベーカリー製品の製造法であり、(2)としては、層状生地がペイストリーまたはパイである(1)記載の組合せベーカリー製品の製造法であり、(3)としては、膨化性生地がパン、パン、シュー、スポンジ、バターケーキ、またはマフィンである(1)記載の組合せベーカリー製品の製造法であり、(4)としては、(1)ないし(3)により作成された組合せベーカリー製品である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、層状生地と膨化性生地を特定の配置で組み合わせるという平易な方法にて、焼型を使わず高さのある形状のベーカリー製品を製造することが可能であり、さらに従来の焼型を用いた際に見られた火抜けの悪化・付着・へこみなどの発生を抑えるといった優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明における層状生地とは、デニッシュ、クロワッサンなどに代表されるペイストリー生地や、折りパイ生地などに代表されるパイ生地などといった、小麦粉および水を必須成分とする混捏物の層と固状ないし塑状の油脂組成物によって構成される油性層とが交互に層をなした生地を指す。
【0016】
本発明の層状生地の製造法としては、従来の層状生地の製造法と何ら変わりがなく、油脂組成物をパン生地内部に包み込んだ後、折り重ねて展延したものである。
本発明における層状生地は前述の通り、小麦粉および水を必須成分とする混捏物の層と固状ないし塑状の油脂組成物によって構成される油性層とが交互に層をなした生地であり、このような層状生地はその層に対して水平な方向(層が広がる面の方向)より、層に対して垂直な方向により大きく膨張する(図1参照)ので望ましい。
混捏物の層は、強力粉の他に通常薄力粉または中力粉を併せて含み、それらの配合比によって生地の硬さが調製される。混捏物の層には特に油脂を使用する必要はないが、所望なれば通常使用されている練込み用油脂を使用することもできる。
折り重ねる回数、すなわち折り数は油脂量によって異なるが、最終展延時で通常4層〜216層、望ましくは8層〜128 層さらに望ましくは16〜36層が好ましい。
混捏物の層と油性層からなる多層生地自体の調製方法は、従来より公知の方法に準じて行えばよい。
【0017】
油性層は、従来より使用されているバター、マーガリン、特にパイ専用に開発されたマーガリン、あるいは牛脂などの固状ないし塑状の油脂組成物を使用することができる。特に限定はされないが、一例としては、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類の単独又は混合油或いはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂が適する。
この油性層を、混捏物の層を構成する小麦粉全量に対し20〜70重量部、好ましくは30〜50重量部の範囲で使用する。
これらの油脂を使用した油中水型の油脂組成物の油脂の融点が15〜45℃のものが良い。油脂の融点が15℃未満の場合は、生地に油脂が融解して生地と油脂の層が形成し難くなる。油脂の融点が45℃を超える場合は、油脂を混合した生地が硬くなり展延性が悪くなる。
油性層、特にマーガリン中の水性層には、従来より使用されている乳製品・香料・乳化剤・糖を加えてものであっても良い。
また、今日においては、以上に示したような原料・工程を経て、既に多層構造を有した層状生地が市販されており、それら市販品を適宜用いることも可能である。
【0018】
本発明における膨化性生地とは、小麦粉および水を必須成分とし、必要に応じて食塩、油脂類、乳製品、糖類、調味料(グルタミン酸類、核酸等)、イースト、化学膨張剤、フレーバー等の副原料を添加・混捏し、発酵工程をとり(若しくは発酵工程なしで)焼成等の加熱をしたものの中で、上記層状をなして膨張の方向に指向性がある層状生地以外のものを指す。特に限定はされないが、ドーナツ、クッキー、スナック、などが、望ましくはパン、シュー、スポンジ、バターケーキ、マフィンなどが挙げられる。
天板上で焼成した場合には天板接触面や重力方向に対して若干抵抗を受けるものの概ね全方向に対して均等に膨化するものなら特に限定はされない(図2参照)。
本発明の膨化性生地の製造法としては、従来より公知の方法を使用することができ、特に限定はされないが一例としてはいわゆる「パン」なら直捏法、中種法、湯種法等が挙げられる。
膨化性生地は、強力粉の他に通常薄力粉または中力粉を併せて含み、それらの配合比によって生地の硬さが調製される。混捏物の層には特に油脂を使用する必要はないが、所望なれば通常使用されている練込み用油脂を使用することもできる。
【0019】
層状生地と膨化性生地それぞれの製造方法は従来より公知の方法に準じて行えばよいが、そのそれぞれを組み合わせる工程は焼成の前であれば特に限定はされない。一般には層状生地であるパイ生地以外の、1回以上の発酵工程を有する層状生地や膨化性生地の場合は、ホイロ(第2発酵または最終発酵と呼ばれる)より前に行うことが望ましい。ホイロの後に行うと発酵によって生地内に蓄積されたガスが散逸しやすくなり、仕上がりのボリュームが意図しない程度に低下する場合がある。
【0020】
組合せ方は、層状生地は断面に露出した層が同心円状になるように湾曲させ、環状に配置し、膨化性生地はその環状の層状生地の内側にそれぞれ配置する。(図3参照)
その配置をより具体的に例示すると膨化性生地を惑星、層状生地をその衛星の公転軌道に対応する位置に相当すると考えるとわかりやすい。
【0021】
層状生地は断面に露出した層が同心円状であれば特にその形は限定されず、ここで言う環状とは厳密に円である必要はなく、層状生地が一周して端面同士が接触またはそれに順ずる程度まで接近している状態を指し、一例としては多角形や楕円・円などが挙げられるが、環状の形態にする場合は円またはそれに類する形状が好ましい(図4−(1))。
層状生地を型に配置する際には層が同心円状になるように湾曲して配置してありさえすれば、特にその巻き数や巻き角度などには限定はなく、本発明で言うところの環状は2巻き(図4−(2))といった形状であってもかまわない。
ただ、一部隙間が空いている(図4−(3)bの部位)形態であった場合は、層状生地は内側の膨化性生地の容器に相当する為、環が切れていない状態、すなわち巻き角度の下限は360度以上であり、焼成後まで環状構造を保つことが好ましく、その端面の部分は焼成中に外れないよう、焼成前の状態で十分に密着させて膨張性生地の可食性容器としての機能をより高めることができ、よりその商品価値は高まる。(図4−(1)aの部位)。密着方法は層状生地を円弧状にした後に端面同士を圧迫し生地を密着させることで可能である。
【0022】
焼成時に層状生地の環が開環していると膨化性生地の膨化が開環部分に集中し、外へとはみ出ていびつな形状になり、また層状生地は容器としての機能を完全には発揮できず膨化性生地を高さのある形状にはなりにくい。
層状生地の回転角度の上限は特になく、何周していてもかまわないが、1周のものと層状生地の膨化という点では機能に大差が無い為、特に巻き数を増やすことへのメリットはすくない。
本発明において層状生地は、層が同心円状になるように湾曲して配置する必要があるが、その場合通常層は上下二方向に露出する。ただし、同心円状の場合に層状生地を途中で折り曲げたりした場合は一方向に露出する(図5)。層状生地の層は一方以上露出しさえすれば特に限定はされない。
【0023】
膨化性生地は湾曲して配置した環状の層状生地の内側に配置する。(図6−(1)、c:膨化性生地、d:層状生地)膨化性生地は同心円状に層が露出している状態は、すなわち内と外の方向に膨化する(図6−(2))。一方、膨化性生地は外へ膨化するため、双方の生地が膨化するにしたがって、隙間は狭まることになる。
【0024】
一方層状生地が同心円状ではなく放射状に層が露出する場合(図7−(1))は膨化に伴い円周部が伸び外へと大きくなる。その伸長は膨化性生地の外への膨化よりも大きくなりがちであるため、焼成後の段階で膨化性生地と層状生地との間に隙間が生じ、高さのある形状にはなりえないのはもちろんのことながら、層状食品は可食性容器としての機能も果たしえない(図7−(2))。
【0025】
層状食品の層が側面に積み重なった状態で露出する場合(図8−(1))は、放射状に層が露出する場合に比べ極端には外には大きくならないが、層状生地は焼成中に縦方向へと伸長するため、焼成中に膨化性生地が層状生地と接触した場合、層状生地自体は接触後も伸長し続け、膨化性生地との接触面が焼成中常に引き伸ばされるために生地同士密着できず、また、膨化性生地の接触面が外部からの力で不自然な引き伸ばされ方をしてパンの気泡構造が壊れ、食感を損なったり、中折れしたりするため望ましくない(図8−(2))。
【0026】
ホイロ時の双方の生地の膨張率にもよるため配置の際に層状生地と膨化性生地の間隔(図6−(1)Lの部位)は特に限定はされないものの、ホイロ前の段階では接触せず、ホイロ後あるいは焼成段階にて接触する程度の間隔が望ましい。(ホイロは発酵工程であり、膨化性生地も層状生地も焼成時の膨化方向とほぼ同じ方向に膨張する)
ホイロ前の段階において接触している場合、密着状態の双方の生地がそれぞれホイロ工程にて膨張し、その圧力に抗しきれず、層状生地で形成された環が開環するため、可食容器としての機能を果たしえず高さが出ない。
また、双方の生地が接触するタイミングはホイロ工程以降、望ましくはホイロ工程の終盤にて軽く接触する程度、更に望ましくは、ホイロ後においても殆ど接触していない程度が好ましい。ホイロの初期段階で接触すると発酵によって形成される生地中の気泡構造が十分に発達しにくくなり、目の詰まったべとべとした生地になりやすくなる。
また間隔が開きすぎていて、膨化性生地が焼成終了時においても層状生地と接触しない場合、やはり可食容器としての機能を果たしえず高さが出にくい。
【0027】
ホイロ前の時点での双方の生地の相対的な位置は生地の膨張率にもよるため一概には言えないが、ホイロ前の膨化性生地の半径をr1、ホイロ前の層状生地の厚さをr2、ホイロ前の膨化性生地と層状生地の間隔をL、双方の生地のホイロ時の膨張率α(ただしα=((ホイロ後の生地寸法)−(ホイロ前の生地寸法))/(ホイロ前の生地寸法) で、α1は膨化性生地、α2は層状生地の膨化率とする)とした場合、Lの大きさの下限は((r1×α1)+(r2×α2)/2)すなわちホイロ後に予想される膨張分の寸法の0.7倍以上、望ましくは0.9倍以上が好ましい。
1を下回った状態はホイロ工程で本来膨張する大きさより間隔Lが狭い事を意味しており、ホイロ工程中に双方の生地が接触している事を意味するが、0.7以上の場合はホイロ工程の比較的後期まで接触せず、ホイロにより形成される生地中の気泡構造の発達をあまり阻害しない。
【0028】
一方、Lの大きさの上限は、下限の場合と同じ基準で1.5倍以下、望ましくは1.2倍以下が好ましい。1を上回った状態はホイロ工程で本来膨張する大きさより間隔Lが狭い事を意味しており、ホイロ工程中に双方の生地がまだ密着していない事を意味するが、1.5以下だと焼成段階で更に膨化し、層状生地が膨化性生地と接触して可食性容器の機能を果たし、本願目的である高さのある形状の組合せベーカリー製品が得やすい。
【0029】
層状生地の高さも特に限定はされないものの、高さのある形状の組合せベーカリー製品を得るためには10mm以上、望ましくは20mm以上であることが好ましい。10mm以下の場合高さのある形状にはなりにくい。
一方、上限も特に限定はされないが100mm以下、望ましくは80mm以下であることが好ましい。100mmを超える場合、層状生地が自重でつぶれたり、中央で折れたりする為、その分厚く丈夫に作る必要があるため、膨化性生地とのバランスを欠き、商品としての価値を損ねかねない。またその分膨化性生地を大きくすると、組合せベーカリー製品全体として大きくなりすぎ、均一に焼成しにくくなる。
【0030】
容器内に設置された生地の焼成は公知の方法に準じて行えばよい。焼成条件は、装置および生地の量等により変化するので一概には規定できないが、通常、一般的には180℃前後で約30分程度焼成することで当該組合せベーカリー製品を得ることができる。
【実施例】
【0031】
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は重量基準を意味する。
【0032】
<実施例1>
<膨化性生地(菓子パン生地)の調製>
以下の配合及び工程により菓子パン生地を調整した。
(配合)
強力粉100部、生イースト5部、上白糖18部、食塩1.5部、全卵10部、マーガリン(商品名、ニューコンボル800、不二製油株式会社製)15部、水53部
(工程)
ミキシングタイム:低速3分、中速3分、中高速1分→油脂添加→低速3分、中速2分、中高速1分
捏ね上げ温度 :27℃
フロアタイム :60分
発酵室温度/湿度:27℃/75%
分割重量 :35g
製法 :丸め直し
【0033】
<層状生地(ペストリー生地)の調整>
以下の配合及び工程によりペストリー生地を調整した。
(配合)
強力粉90部、薄力粉10部、生イースト5部、上白糖15部、食塩1部、脱脂粉乳2部、全卵10部、マーガリン(商品名、ニューコンボル800、不二製油株式会社製)10部、水52部
(工程)
ミキシングタイム:低速4分、中速3分→油脂添加→低速3分、中速2分、中高速1分
捏ね上げ温度 :25℃
フロアタイム :60分
発酵室温度/湿度:27℃ 75%
分割重量 :1900g
冷却寝かせ(リタード)時間:−18度/1時間
折り込み回数 :3つ折り3回
成型方法 :最終生地厚6mmに展延し、250mm×30mm(約45g)の帯状にカットする。
【0034】
以上のようにして調整したペストリー生地を、層の露出した切断面を上に向け、すなわち上面に層が同心円状に露出するように輪を作り端をつなげた。
このペストリー生地で作った輪の中心に、丸め直した菓子パン生地を配置した。このとき、ペストリー生地と菓子パン生地が接触しないようにした。(ペストリー生地と菓子パン生地の間隔約10mm)(図9・図10参照)
32℃/湿度75%のホイロで1時間発酵させ、上火200℃、下火200℃で17分間焼成した。
【0035】
ホイロ中に菓子パン生地とペストリー生地は発酵により膨化し接着し、焼成中はペストリー生地が内と外方向へ、菓子パン生地は外へと膨化した。双方の膨化に伴い、菓子パン生地はペストリー生地の膨圧によって上へと高さのある形態をとり、ペストリー生地は内・外への膨化が落ち着くと堅牢な構造をとって可食性容器となった。
焼成後、中央の菓子パン生地は容器に入れて焼成したような高さが残り、周囲のペストリー生地はきれいな環状の層の断面が横に広がって、これらが複合した立体感のある形状のベーカリー製品に仕上がった。(図11参照)食したところ、中央はソフトでしっとりした食感で、外側はさっくりした食感であった。
【0036】
<比較例1>
ペストリー生地を、層の露出した切断面を横に向け、すなわち側面に層が積み重なった状態で露出するように輪を作り、端をつなげる以外は実施例1同様の配合・工程にてベーカリー製品を焼成した。(図12参照)
その結果、焼成中にペストリー生地は縦方向に膨化し、膨化により接触した菓子パン生地との接触面が焼成中常に引き伸ばされるため生地同士が接着せず、さらにペストリー生地は縦に膨化するとはいっても容器として高さには不足しており、菓子パン生地の形状はは高さに欠けたものであった。また、接触部分は不自然な引き伸ばされ方により気泡構造が壊れたため、膨化の悪い、いわゆる火通りの悪いねちゃついた食感であった。(図13参照)
【0037】
<実施例2>
ペストリー生地を最終生地厚6mmに展延し、170mm×30mm(約27g)の帯状にカットして層の露出した切断面を上に向け輪を作り、端をつなげた。このペストリー生地で作った輪の中心に、丸め直した菓子パン生地(約35g)を配置した。このときペストリー生地と菓子パン生地は接触するようにした。これ以外は実施例1同様の配合・工程にてベーカリー製品を焼成した。(図14参照)
その結果、ホイロ前の段階ですでに接触していた双方の生地はホイロ中の発酵に伴う膨化により、ペストリー生地の輪のつなぎ目が裂け、輪が開いた形状になった。
開環した層状生地は容器としての機能がやや劣り、開環した方向へと菓子パンがはみ出すものの、ペストリー生地に接触した部分の菓子パンは高さのある形状となった。
食したところ、ホイロ工程の早期の段階でペストリー生地と菓子パン生地が接触、開環にいたるまで圧力を受けた部分のホイロ時に形成される気泡構造の発達が不十分である為ペストリー生地と菓子パン生地の接触した部位にやや目が詰まったべとついたした感はあるものの既存の商品とは異なる商品価値を有するものであった。(図15参照)
【0038】
<比較例2>
ペストリー生地を最終生地厚6mmに展延し、400mm×30mmの帯状にカットして長い方向へと巻き込む。(約90g)。
ペストリー生地を層の露出した切断面を上に向け、すなわち上面に層が渦巻き状に露出するように立て、その上に切断面に接触させた状態で菓子パン生地(約35g)を載せた。これ以外は実施例1同様の配合・工程で焼成時間のみ19分にてベーカリー製品を焼成した。(図16参照)
その結果、ペストリー生地は横へと膨化したが外周部の膨化に比べ、内部に巻き取られた生地の部分の膨化が大きく、外部に膨化しきれない分上部へとはみ出し、菓子パン生地はペストリー生地上から不規則にズレ、場合によっては脱落した。また、ペストリー生地は容器としての機能を発揮せず、菓子パン生地は高さのある形態にはならなかった。
食したところ、中央のペストリー生地とその上の菓子パン生地との接触面が著しく火通りが悪く非常にねちゃついた食感であった。
【0039】
<比較例3>
実施例1と同程度の厚み・幅で、水平に層が積み重なった形状のペストリー生地を作成し、実施例1と比較した。ペストリー生地を生地厚6mmに展延したものを5枚積み重ねて最終的な生地厚を30mmにしたものを、250mm×6mm(約45g)の帯状にカットして層の露出した切断面を横に向け、すなわち側面に層が積み重なった状態で露出するように輪を作り端をつなげる以外は実施例1同様の配合・工程にてベーカリー製品を焼成した。(図17参照)
その結果、焼成中にペストリー生地は縦方向に大きく膨化し、膨化により接触した菓子パン生地との接触面が焼成中常に引き伸ばされるため生地同士が密着せず、中央の菓子パン生地はコシ折れし、中央が陥没し高さに欠けた形状になった。また不自然な引き伸ばされ方により気泡構造が壊れたため、いわゆる火通りの悪いねちゃついた食感であった。
【0040】
<比較例4>
実施例1と同程度の厚み・幅で、放射状に層が露出した形状のペストリー生地を作成し、実施例1と比較した。ペストリー生地を生地厚6mmに展延したものを40枚積み重ねて最終的な生地厚を240mmにしたものを、30mm×6mm(約45g)の帯状にカットして層の露出した切断面を上下そして横に向け、すなわち上面に放射状に層が露出するように輪を作り端をつなげる以外は実施例1同様の配合・工程にてベーカリー製品を焼成した。(図7参照)
その結果、焼成中にペストリー生地は円周の方向に大きく膨化し、内側の菓子パン生地も膨化したものの焼成後においてもとの間に隙間が生じたままであったため、高さのある形状にはなりえないのはもちろんのことながら、層状食品は可食性容器としての機能も果たしえないものであった。また当然その食感も単独のペストリー生地と菓子パン生地を焼成した場合と同じであり、新規性のないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明により、層状生地と膨化性生地を特定の配置で組み合わせるという平易な方法にて、焼型を使わず高さのある形状のベーカリー製品を製造することが可能であり、さらに従来の焼型を用いた際に見られた火抜けの悪化・付着・へこみなどの発生を抑えることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】層状生地の模式図。
【図2】膨化性生地の模式図。
【図3】層状生地と膨化性生地の配置を示す模式図。
【図4】層状生地を型に配置する際の巻き数とその形状の模式図
【図5】層状生地を途中で折り曲げた場合の一方向に層が同心円状に露出する層状生地と膨化性生地の配置を示す模式図。
【図6】同心円状に層が露出するように層状生地が配置される場合の焼成前後の膨化性生地と層状生地形状の変化を示す模式図
【図7】放射状に層が露出するように層状生地が配置される場合の焼成前後の膨化性生地と層状生地形状の変化を示す模式図
【図8】側面に積み重なった状態で層が露出するように層状生地が配置される場合の焼成前後の膨化性生地と層状生地形状の変化を示す模式図
【図9】実施例1のホイロ前における膨化性生地と層状生地の配置を示す模式図
【図10】実施例1のホイロ前における膨化性生地と層状生地の配置を示す図面代用写真
【図11】実施例1の焼成後における膨化性生地と層状生地の形状を示す図面代用写真
【図12】比較例1のホイロ前における膨化性生地と層状生地の配置を示す模式図
【図13】比較例1の焼成後における膨化性生地と層状生地の形状を示す図面代用写真
【図14】実施例2のホイロ前における膨化性生地と層状生地の配置を示す模式図
【図15】実施例2の焼成後における膨化性生地と層状生地の形状を示す図面代用写真
【図16】比較例2のホイロ前における膨化性生地と層状生地の配置を示す模式図
【図17】比較例3のホイロ前における膨化性生地と層状生地の配置を示す模式図
【符号の説明】
【0043】
a 層状生地の継ぎ目
b 層状生地の開環部
c 膨化性生地
d 層状生地
【特許請求の範囲】
【請求項1】
層が同心円状になるように湾曲して環状に配置した層状生地と、その環状の層状生地の内側に配置した膨化性生地を、焼成する事を特徴とする組合せベーカリー製品の製造法。
【請求項2】
層状生地がペイストリーまたはパイである請求項1記載の組合せベーカリー製品の製造法。
【請求項3】
膨化性生地がパン、シュー、スポンジ、バターケーキ、またはマフィンである請求項1記載の組合せベーカリー製品の製造法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3により作成された組合せベーカリー製品。
【請求項1】
層が同心円状になるように湾曲して環状に配置した層状生地と、その環状の層状生地の内側に配置した膨化性生地を、焼成する事を特徴とする組合せベーカリー製品の製造法。
【請求項2】
層状生地がペイストリーまたはパイである請求項1記載の組合せベーカリー製品の製造法。
【請求項3】
膨化性生地がパン、シュー、スポンジ、バターケーキ、またはマフィンである請求項1記載の組合せベーカリー製品の製造法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3により作成された組合せベーカリー製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−237171(P2008−237171A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85816(P2007−85816)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000236768)不二製油株式会社 (386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000236768)不二製油株式会社 (386)
【Fターム(参考)】
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