説明

組合せ臨床分析装置におけるサンプルをスケジューリングするための方法

【課題】組合せ臨床分析装置における一連の投入サンプルを処理するために必要な時間を最小限にすること。
【解決手段】複数の異なる分析試験を行う組合せ臨床分析装置における複数のサンプルの分析順序をスケジューリングするための方法。この方法は、複数のサンプルをランダムな順序で組合せ臨床分析装置に導入するステップと、複数のサンプルの試験の要件を決定するステップと、この試験の要件をフレキシブルスケジューリングアルゴリズムに転送するステップと、所定の目標関数を最大または最小にする、複数のサンプルのそれぞれに対して必要とされる各試験の開始時間を指定するスケジュールを作成するステップと、を含む。好適な実施形態では、目標関数は、総所要時間または重み付け総所要時間である。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願〕
本願は、参照して開示内容の全てを本明細書に組み入れる2006年7月20日出願の米国仮特許出願第60/832,191号の優先権を主張するものである。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、概して、組合せ臨床分析装置における一連の投入サンプルを処理するために必要な時間を最短にすることに関し、より詳細には、投入サンプル(input sample)の試験要件を決定し、このような試験要件をスケジューリングアルゴリズムに転送し、最初の結果までの最小の時間および最小のターンアラウンドタイム(turn around time)を維持したまま、患者のサンプルの投入順序や、様々なサンプルに実施される必要なアッセイの混合に関係なく、最大のサンプルすなわち容量のスループット能力を達成するアッセイ処理スケジュールを生成する方法に関する。
【0003】
〔発明の背景〕
いわゆる組合せ臨床分析装置では、例えば、複数のドライケミストリーシステム(dry chemistry system)やウェットケミストリーシステム(wet chemistry system)などを、ハウジング内に設けることができる。別法では、複数のウェットケミストリーシステムをハウジング内に設けるか、または複数のドライケミストリーシステムをハウジング内に設けることができる。さらに、オペレーショナルアドバンテージ(operational advantage)であることが分かっているため、同様のシステム、例えばウェットケミストリーシステムやドライケミストリーシステムなどを、1つのシステムが別のシステムのリソースを使用できるように統合することができる。
【0004】
上記した各ケミストリーシステムは、操作の点できわめてまれである。例えば、既知のドライケミストリーシステムは通常、多数のドライスライド要素(dry slide element)、定量/移送機構、および複数の試験読取りステーションを備えたインキュベータを有する、サンプル供給部を含む。輸送レールに沿って移動可能な定量トラックに保持された吻すなわちプローブを用いて、ある量のサンプルを定量チップ内に吸引する。次に、チップからある量のサンプルを、インキュベータに配置されたドライスライド要素に分注する。
【0005】
このスライド要素をインキュベートし、分析物の存在または濃度を検出するために、光学装置または他の装置などの測定装置を読み取る。「ドライ」ケミストリーシステムの場合、投入された患者サンプルに試薬を添加する必要がないことに留意されたい。
【0006】
他方、「ウェット」ケミストリーシステムの場合、アッセイを行うためにある量の患者のサンプル、少なくとも1種類の試薬流体、および/または他の流体が混合されるキュベットなどの反応容器を用いる。同様に、アッセイをインキュベートし、分析物の検出のために試験を実施する。「ウェット」ケミストリーシステムの場合、患者のサンプル流体をサンプル部から反応容器に移送するために定量機構も含む。
【0007】
「ドライ」ケミストリーシステムと「ウェット」ケミストリーシステムの両方を有する組合せ臨床分析装置は、患者の診断に関連した広範な試験を実施することができるが、このようなアッセイを迅速に行わなければならないという課題がさらにある。組合せ臨床分析装置の高い動作性能維持の重要な因子は、様々な異なるサンプル処理および測定ステップによって複数の患者のサンプルを迅速に処理する能力である。スペースとコストが因子でない場合、専任の研究者によって操作され、個別に動作する多数の分析装置を備えた大きな部屋を用意することが第1の課題である。しかしながら、このような状況は現実的でなく、高性能を実現するために別の方法および動作性能を考慮する必要がある。第1の結果に対する容量スループットおよび時間は重要である。容量スループットは、例えば、1時間に100人の患者を試験できるなど、全てのサンプルに対する全ての試験を終了するのに必要な時間に関連する。結果までの最初の時間は、特定のアッセイの試験結果をスタートアップにいかに迅速に供給できるかに関連する(例えば、サンプルの投入とサンプル中のナトリウムの量の測定との間の時間は15秒かかった)。結果までの最初の時間は、ターンアラウンドタイムに密接に関連している。ターンアラウンドタイムとは、通常の実施の際のサンプルの投入時間からサンプルの結果の時間までの経過時間である。時には、このような測定の性能が相互作用して、不満足な結果となる。例えば、上記した後者の状況では、20のサンプルを投入すると、最初の試験の報告できる結果が利用できるようになるまで数分かかることになり、分析装置が、100試験/時間の定格容量のスループットで作動する場合、サンプルが一度に投入されると、分析装置の容量のスループットはおそらく、1時間当たり僅か50人の患者の試験にまで低下するであろう。
【0008】
臨床分析装置の動作を迅速化する方法が多数提案されてきたが、その全てが、満足のいく性能レベルに達していない。
【0009】
米国特許第5,087,423号に、複数の分析モジュール、複数の分析経路、および少なくとも1つの分析モジュールをバイパスする少なくとも1つのバイパス経路が開示されている。各分析モジュールは、1または複数の項目に関してサンプルを分析することができ、モジュールの投入側から連続的に供給されるサンプルを、各モジュールの分析可能な項目に従って各モジュールに選択的に供給し、そしてサンプルの分析する項目を分析することができる。サンプルカップは、バイパスを介してモジュールを通過することができるか、またはバイパスを介してモジュールの投入側に戻すことができ、分析する項目に従って、サンプルカップの有効な配送を行うことができる。この発明の主な生産性の改善は、複数の分析経路を利用する点である。
【0010】
米国特許第5,380,488号に、コンテナを保持するラックをストックするためのフィードストッカー、このフィードストッカーの下流側に接続された1または複数のサンプリングフィーダー、および1または複数のサンプリングフィーダーにインターロックされたサンプリング位置に移送されるコンテナからサンプルを取り出すための1または複数の分析装置を含む、容器フィーダーシステムが開示されている。1または複数のカップリングフィーダーが、1または複数のサンプリングフィーダーの各下流側に接続されており、処理されたコンテナストッカーが、1または複数のカップリングフィーダーの最も下流側に接続されている。個々の構成要素が、個々のユニットとして設けられている。サンプリングフィーダーおよびこのサンプリングフィーダーに接続されているカップリングフィーダーの数を、増減させることができ、その増減に合わせて、ラック送りラインに沿って配置される分析装置の数を増減することができる。ラック送り経路は、供給側の規模に一致するように、所望に応じて、容易に増減することができる。同様に、選択的に優先されるコンテナの送りを制御するための制御機構も、大幅に単純化することができる。この発明の主な生産性の改善は、複数の分析経路および複数の同一の分析装置を利用する点である。
【0011】
米国特許5,434,083号では、各試験項目の分析時間が、反応ラインに対する反応容器の循環の回数(サイクル数)に一致するように設定されている回転反応容器列が利用されている。反応容器取替え装置が、サイクル数に従って各反応容器に対して選択的に制御される。したがって、短い反応時間を要する試験項目を、反応ラインのより少ないサイクル数で処理し、長い反応時間を要する試験項目を、より多いサイクル数で処理する。分析装置は、1つのサンプルに対して反応時間が異なる複数の試験項目を連続的に処理することができる。この発明の主な生産性の改善は、分析のために要する時間が異なるサンプルを同時に処理できる点である。
【0012】
米国特許第5,482,861号には、複数の液体サンプルの複数のアッセイを同時に行うことができる自動化された連続的なランダムアクセス分析システムの作動が開示されている。このシステムでは、複数の液体サンプルの様々なアッセイのスケジューリングの後に、単位用量を生成し、アッセイ反応シーケンスを開始させずに、第1の液体サンプルおよび試薬を反応容器に別々に移送し、次に、使用可能な単位用量の混合物を処理ワークステーションに物理的に移送する。それによって使用可能な試薬とサンプルの単位用量の混合物は、インキュベーションの際に生成される。この発明の主な生産性の改善は、連続的およびランダムに投入サンプルにアクセスすることができるとともに、多数の異なるアッセイを行うことができる点である。
【0013】
米国特許第5,575,976号には、各アッセイリソースが、固定された処理サイクル内で所定の固定された動作窓を有する同期して動作する分析装置が開示されている。この結果、1つのアッセイリソースの制御が、他の従属および独立アッセイリソースの所定のタイミングに依存しうる。したがって、様々なプロトコルを有し、かつ異なる経時的順序で反応容器を移動させて処理される分析物の試験は、これらのアッセイリソースの要求が対立しない場合は、交互配置(インターリーブ)することができる。すなわち、処理時間のより短い分析物試験を、より長い処理時間の試験の後に入れ、より短時間の分析物試験を初めに終了することができる。これは、アッセイ成分を含む反応容器を移送する手段が、投入順序にかかわらず、どのような順序が要求されても、必要なアッセイリソースに反応容器を提供できるため、達成することができる。この発明の主な生産性の改善は、処理時間が異なるアッセイに対して共有リソースを利用している点である。
【0014】
米国特許第5,576,215号には、生物学的分析装置の作動が開示されている。この分析装置では、この分析装置に投入される生物学的サンプルのアッセイを行うために用いられる器具システムが、スケジューラールーチン(scheduler routine)によって作成されるスケジュールに従って作動される。このスケジューラールーチンは、動作間の固定された間隔が要求されない限り、投入される量のリストに応じて、各生物学的サンプルに対して、分析器具システムによって行われる動作間の間隔を決定し、この分析器具の動作および決定された間隔をスケジュールする。この生物学的分析装置は、作製したスケジュールに従って分析器具システムを動作させて生物学的サンプルのアッセイを行う。この発明の主な生産性の改善は、実現可能であるが、最適なスケジュールを取得しようとしない個々に作成されるスケジューラーを使用している点である。
【0015】
米国特許第5,646,049号に、連続的な分析システムにおける複数の液体サンプルに対して所定の試薬を用いて少なくとも2つのアッセイを同時に行うための装置および方法が開示されている。この方法は、第1の反応容器内で各液体サンプルのアリコットを少なくとも1種類の試薬と混合して、各液体サンプルのための第1のアッセイ反応を生成するステップと、第2の反応容器内で各液体サンプルのアリコットを少なくとも1種類の他の試薬と混合して、各液体サンプルのための第2のアッセイ反応を生成するステップを含む。この方法は、少なくとも1回行われる各アッセイのアッセイ反応をインキュベートするステップと、各アッセイに関連した他の作業を行うステップと、第1および第2のアッセイ反応を用いて、インキュベートされたアッセイ反応を分析することを含む、各アッセイを完了させるステップをさらに含む。この方法は、最後に、混合するステップ、インキュベーションするステップ、および所定のプロトコルに従った各アッセイに関連する他の作業を実施するステップをスケジューリングするステップを含む。この発明の主な生産性の改善は、所定のプロトコルに基づいて同時に複数のサンプルを処理することができる点である。
【0016】
米国特許第5,679,309号に、周方向に離間したキュベットを有する回転可能な円形の反応用回転トレーを含む分析装置を制御するための方法が開示されている。分析装置のメニューに従った各キュベットは、反応および分析のために選択された試薬およびサンプルを受容し、分析の後に、再使用のために洗浄されるようになっている。駆動装置が、反応用回転トレーを位置合わせして、メニューに従って、試薬やサンプルの受容、洗浄、および分析のために適切な順序でキュベットを配置する。光度分析が利用される場合、駆動装置が、一連のスピンサイクルで動作する。この動作の際に、反応用回転トレーが、反応キュベットの光度分析のためにスピンされ、反応物およびサンプルの投入および/または洗浄のために所定時間、パークサイクル(park cycle)を受ける。この発明の主な生産性の改善は、投入サンプルの順次の計画的な処理である。
【0017】
米国特許第5,846,491号では、多数の反応容器の時間サイクルに応じて1つの反応容器にアッセイリソースを割り当て、複数の異なる所定の経時的順序から選択される経時的順序に従ってあるアッセイリソースから別のアッセイリソース反応容器を直接移送する手段を備えた分析装置制御システムを用いてスループットを増大させている。この発明の主な生産性の改善は、スケジュールのために一連の所定の経時的順序を使用している点である。
【0018】
米国特許第5,902,549号に、血清のための複数の分析ユニット、血漿のための複数の分析ユニット、および尿のための複数の分析ユニットが開示されている。これらのユニットは、サンプルラックをラック供給部分からラック保管部分に移送するために、主移送ラインに沿って配置されている。肝機能を検査するための試薬瓶が、血清のための複数の分析ユニットの中の2つの分析ユニットの各試薬供給機構内に保持されている。2つの分析ユニットの一方の肝機能を検査するための試薬が不足しても、サンプルラックをラック供給部分から他の分析ユニットに移送して、サンプル中の肝機能分析成分のための分析を続けることができる。この発明の主な生産性の改善は、同じアッセイを実施できる複数の分析装置を使用している点である。
【0019】
米国特許第5,966,309号に、1または複数の試験ステーションで、1または複数の選択された試験手順でサンプルを試験する自動装置が開示されている。この装置は、独自のラベルが貼られた容器内に受容されたサンプルを移送するための移送ラインを含む。このラインは、容器を1または複数の選択可能な試験ステーションにルート指定するために少なくとも2つのレーンを有する。これらのレーンの少なくとも1つは、移送レーンであり、これらのレーンの少なくとも1つは、キュー(queue)レーンである。この装置はまた、容器をキューレーンから試験装置へ、そして再びキューレーンに移送するための容器移送装置を含む。この発明の主な生産性の改善は、同等に複数のキューを使用している点である。
【0020】
米国特許第5,972,295号に、自動分析装置が開示されている。この自動分析装置は、サンプルラックを受容できるラック供給ユニット、サンプルラック内に受容されたサンプル容器からサンプリングされたサンプルに対して命令された分析項目を試験するための分析ユニット、ラック供給ユニットから供給されたサンプルラックを分析ユニットに一致する位置に移送し、サンプリングの後にサンプルラックを移送ラインの出口に移送するための移送ライン、再試験する可能性のあるサンプルラックをスタンバイ状態に維持するためのスタンバイユニット、サンプリングの後にサンプルラックを移送ラインの入口側に戻すための戻しライン、および再試験をする必要がないサンプルラックを受容するためのラック収集ユニット、を含む。この発明の主な生産性の改善は、サンプルの柔軟な取り扱いを可能にするために中間ラックを使用している点である。
【0021】
米国特許第5,985,672号は、同心円上に配置されたインキュベーション回転トレーおよび処理用回転トレーを用いて、サンプル中の分析物のためにサンプルに対してイムノアッセイを実施する際に、前処理プロセッサを利用して高速処理の要求に取り組んでいる。1つの移送ステーションにより、サンプルと試薬を受容する反応容器が回転トレー間を移動することができる。サンプルが、処理用回転トレーで分離、洗浄、および混合され、インキュベーション回転トレーでインキュベートされるため、処理のスループットがスピードアップしている。この発明の主な生産性の改善は、移送ステーションに結合された別個の円形回転トレーを使用して、サンプルの回転班装置間の移動を可能にしている点である。
【0022】
米国特許第6,019,945号に、いくつかの分析装置のそれぞれに形成されたサンプリング領域と移送ラインとの間でサンプル受容ホルダーを移送するための移送機構が開示されている。この移送機構は、複数の分析装置のそれぞれに連結可能である。少なくとも2つの分析ユニットは、試薬供給手段の種類、分析することができる分析項目の数、ある単位時間内に処理することができる試験の数、または処理するサンプルの種類のいずれかの点で、互いに異なっている。上記した少なくとも2つの分析ユニットは、移送ラインに対して同じアタッチメント機構または同じ形状のアタッチメント機構を有する。この発明の主な生産性の改善は、投入移送ラインから複数の分析装置へのサンプルの移動を可能にするために移送機構を使用している点である。
【0023】
米国特許第6,022,746号に、所定の反応容器内の多分析システムによって行われる試験のリストを作成することによって多分析システムを作動させるための方法が開示されている。試験のリストが、所定の時間内に多分析システムによって行われる各試験の実施に用いられる反応容器の数に従ってソートされる。試験の重複率が決定され、ソートされた試験のリストと比較される。試験に関連したリソースが、少なくとも1つの試験が少なくとも2つの分析装置によって行われるように、重複率とソートされた試験のリストとの比較に基づいて、少なくとも2つの分析装置の両方で複製される。この発明の主な生産性の改善は、分析リソースを試験に割り当てるために作成された試験のリストを使用している点である。
【0024】
自動分析装置に使用される別のスケジューリング方法は、固定されたサイクルを用いずに、代わりに「キッティング(kitting)」と呼ばれるスケジューリング法を用いている。米国特許第6,096,561号に、複数の液体サンプルの複数のアッセイを同時に行うことができる自動化された連続およびランダムアクセス分析システムが開示されている。これらの様々なアッセイは、複数の液体サンプルに対してスケジュールされている。キッティングにより、このシステムは、アッセイ反応シーケンスを開始しないで、液体サンプルと試薬を反応容器に別々に移送することによって、単位用量を生成することができる。キッティング手段から、複数のキッティングされた使い捨ての単位用量が処理領域に移送され、この処理領域で、それぞれ個別のサンプルのために、アリコットが、反応容器内で異なる時間に1または複数の液体試薬で混合されて、独自の反応混合物が生成される。キッティングおよび混合の独自のスケジューリングは、複数の反応混合物のインキュベーションの際に、同時および個々に達成される。このシステムは、複数のスケジュールされたアッセイが示される任意の順序で2つ以上のスケジュールされたアッセイを行うことができる。インキュベートされた反応混合物が、既にスケジュールされた少なくとも2つのアッセイ方法によって、独立して個々に分析される。この発明の主な生産性の改善は、サンプルのスループットの動作効率を得るためにオペレータがサンプル投入の順序を予め選択するという要求によって可能となる。
【0025】
米国特許第6,117,392号に、自動分析装置が開示されている。この自動分析装置は、サンプルラックを受容できるラック供給ユニット、サンプルラック内に受容されたサンプル容器からサンプリングされたサンプルを試験するための分析ユニット、ラック供給ユニットから供給されたサンプルラックを分析ユニットに一致する位置に移送し、サンプリングの後にサンプルラックを移送ラインの出口に移送するための移送ライン、再試験する可能性のあるサンプルラックをスタンバイ状態に維持するためのスタンバイユニット、サンプリングの後にサンプルラックを移送ラインの入口側に戻すための戻しライン、および再試験する必要のないサンプルラックを受容するためのラック収集ユニットを含む。この発明の主な生産性の改善は、投入サンプルの分析ユニットへの移動を容易にするためにサンプルラックを使用している点である。
【0026】
米国特許第6,261,521号に、分析される前に主移送ラインに沿って配置される複数の分析ユニットを有するサンプル分析システムが開示されている。このシステムのセットアップには、異なる種類の試薬供給ユニットと組み合わせた分析ユニットのセットアップ、分析ルートが静止タイプであるか、または自動タイプであるかどうかに関する分析ルートのセットアップ、どの分析項目を、どの試薬供給タイプを有するどの分析ユニットに割り当てるかに関する各分析ユニットに対する分析項目のセットアップが含まれる。この発明の主な生産性の改善は、主移送ラインによって連結された複数の分析ユニットを使用している点である。
【0027】
米国特許第7,015,042号に、アッセイを完了するために必要な時間の長さに従って、またはアッセイを完了するために必要な時間の長さと共に試薬添加のパターンに従って、入ってくるサンプルがグループに分類される臨床分析装置が開示されている。長い時間のアッセイも行われる1つの動作サイクルの間に、中程度の時間がかかるアッセイが完了すると、このアッセイが反応回転トレーから除去され、短い時間のアッセイが代わりに配置される。この発明の主な生産性の改善は、入ってくるサンプルを手動で同様のグループに分類する点である。
【0028】
米国特許第7,101,715号に、試験されるサンプルが、試験アッセイが要求される頻度に従って3つのグループに分類される少なくとも2つの分析装置を含む二重分析システムが開示されている。第1の分析装置が、最も頻繁に要求されるメニューアッセイの一部と、要求が頻繁ではない第1のサブグループのアッセイの全てを行う。第2の分析装置は、最も頻繁に要求されるメニューアッセイの同様の部分と、要求が頻繁ではない第2のサブグループのアッセイの全てを行う。第1の分析装置は、第2のサブグループのどのアッセイを実施するための装備も備えておらず、第2の分析装置は、第2のサブグループのどのアッセイを実施するための装備も備えていない。この発明の主な生産性の改善は、入ってくるサンプルが手動で同様のグループに分類される場合に複数の分析装置を使用している点である。
【0029】
米国特許出願公開第2003/0040117号に、アッセイを完了するために必要な時間の長さに従って、またはアッセイを完了するために必要な時間の長さと共に試薬添加のパターンに従って、入ってくるサンプルがグループに分類される臨床分析装置が開示されている。長い時間のアッセイも行われる1つの動作サイクルの間に、中程度の時間がかかるアッセイが完了すると、このアッセイが反応回転トレーから除去され、短い時間のアッセイが代わりに配置される。この発明の主な生産性の改善は、入ってくるサンプルが、分析装置の必要な完了時間に基づいて手動で同様のグループに分類される点である。
【0030】
米国特許出願公開第2003/054557号に、アッセイを完了するために必要な時間の長さに従って、またはアッセイを完了するために必要な時間の長さと共に試薬添加のパターンに従って、入ってくるサンプルがグループに分類される臨床分析装置が開示されている。長い時間のアッセイも行われる1つの動作サイクルの間に、中程度の時間がかかるアッセイが完了すると、このアッセイが反応回転反装置から除去され、短い時間のアッセイが代わりに配置される。この発明の主な生産性の改善は、入ってくるサンプルが、分析装置の必要な完了時間に基づいて手動で同様のグループに分類される点である。
【0031】
米国特許出願公開第2004/0053414号に、試験されるサンプルが、試験アッセイが要求される頻度に従って3つのグループに分類される少なくとも2つの分析装置を含む二重分析システムが開示されている。第1の分析装置が、最も頻繁に要求されるメニューアッセイの一部と、要求が頻繁ではない第1のサブグループのアッセイの全てを行う。第2の分析装置は、最も頻繁に要求されるメニューアッセイの同様の部分と、要求が頻繁ではない第2のサブグループのアッセイの全てを行う。第1の分析装置は、第2のサブグループのどのアッセイを実施するための装備も備えておらず、第2の分析装置は、第2のサブグループのどのアッセイを実施するための装備も備えていない。この発明の主な生産性の改善は、入ってくるサンプルが手動で同様のグループに分類される場合に複数の分析装置を使用している点である。
【0032】
米国特許出願公開第2005/0220670号に、試験サンプルが分析装置に投入された時間通りに順次行われない試験を、イムノアッセイ分析装置が実施できるようにする多経路インキュベータが開示されている。この発明の主な生産性の改善は、必要なサンプルおよび試験を2つ以上のインキュベータ経路に割り当てることができるランダムサンプルアクセスを利用している点である。
【0033】
米国特許出願公開第2005/0227360号に、実施される別々のアッセイの需要が混合されているにもかかわらず、少なくとも2つの別個の試薬サーバーで選択されたアッセイを行うために必要な試薬を複製し、このような高容量アッセイの小さなバックログを有するあらゆる試薬サーバーからの試薬を用いて、新しく入ってくる選択されたアッセイを実施できるようにして、分析装置のスループットを最大にする方法が開示されている。この発明の主な生産性の改善は、複数および複製の試薬供給部を用いている点である。
【0034】
国際公開第2004/074847号に、スケジューリングの方法および装置が開示されている。装置が、顕微鏡用スライドガラスに対して試験を行い、スライドガラスがトレーに載せられる。各トレーは、バッチとして扱われ、バッチを、最大3つのバッチにおける全てのスライドガラスの試験にかかる合計時間を短縮するために交互配置することができる。スライドガラスのバッチは、一次抗体などの試薬の添加を定義するプロトコルを有する。プロトコルは、一般的なリソースが用いられない開放時間、および一般的なリソースが使用される使用時間を定義している。スケジューラーが、期間が過ぎたために次のステップがプロトコルに残ることなく、バッチ間の使用時間が重複しないように動作する。この発明の主な生産性の改善は、実現可能なスケジュールを可能にするスケジューラーを使用している点である。しかしながら、サンプルのスループットを最適にする試みがなされていない。
【0035】
国際公開第2005/006831号に、試薬容器シャトルを用いて、試薬容器を、ローディングトレーと少なくとも1つの線形試薬容器トレーと少なくとも1つの円形試薬回転トレーとの間で移動させる、ランダムアクセス試薬容器取扱いシステムが開示されている。この試薬容器トレーは、必要に応じて、試薬トレーシャトルによって試薬容器シャトルの下側に配置される。この発明の主な生産性の改善は、ランダムアクセス試薬容器を使用している点である。
【0036】
国際公開第2005/008217号に、自動臨床分析装置が開示されている。この自動臨床分析装置では、反応用回転トレーにおける反応容器に利用できるキュベットポートの数が、単一の試薬貯蔵領域を用いた構造で50%であり、第2の構造では、追加の試薬貯蔵領域が設けられており、反応回転トレーに追加のキュベットポートが設けられているため、スループットが大幅に向上している。この発明の主な生産性の改善は、追加の試薬貯蔵領域の使用と、反応回転トレーのキュベットポートの利用を増やしている点である。
【0037】
上記したような既存の技術は、臨床分析装置の動作のスピードアップを図るために、多種多様な機器の構造およびスケジューリング法を用いている。この場当たり的な技術は、複数のサンプル経路、サンプル経路の変更、一度に複数のサンプルを処理する手順、任意の所定の時に2つ以上のタイプの分析を行う機器、および、とりわけ迅速なサンプルのスループットを得るべく特定の順序でサンプルを投入するためのオペレータの利用からなる。しかしながら、組合せ臨床分析装置の動作を、特定の目標関数に対して、自動的に最適化する系統的な方法が考案されていない。
【0038】
〔発明の概要〕
したがって、本発明の1つの目的は、個々のサンプルおよび試験すなわちアッセイのターンアラウンドタイムを最短にするとともに、動作性能の選択可能な目標関数を最適にするように、オペレータによる手動の介入を必要とすることなく、投入される患者サンプルおよび関連する試験を自動的にスケジューリングするように組合せ臨床分析装置を作動させる方法を提供する。
【0039】
本発明の一態様は、複数の異なる分析試験を行う臨床分析装置におけるサンプルの試験時間を最短にするための方法に関する。この方法は、1または複数の投入サンプルの試験要件を決定するステップと、この試験要件をフレキシブルスケジュールアルゴリズムに転送するステップと、所定の目標関数を最小または最大にする、それぞれの投入サンプルに対して必要とされる各試験の開始時間を指定するスケジュールを作成するステップと、を含む。
【0040】
本発明の別の態様は、複数の異なる分析試験を行う組合せ臨床分析装置における複数のサンプルの分析順序をスケジューリングするための方法を提供する。この方法は、複数のサンプルをランダムな順序で組合せ臨床分析装置に導入するステップと、複数のサンプルの試験要件を決定するステップと、この試験要件をフレキシブルスケジューリングアルゴリズムに転送するステップと、所定の目標関数を最小または最大にする、複数のサンプルのそれぞれに対して必要とされる各試験の開始時間を指定するスケジュールを作成するステップと、を含む。好適な実施形態では、目標関数は、総所要時間(makespan)または重み付け総所要時間(weighted makespan)である。
【0041】
本発明のさらに別の態様は、複数の異なる分析試験を行う組合せ臨床分析装置における複数のサンプルの分析順序をスケジューリングするための方法を提供する。この方法は、複数のサンプルをランダムな順序で組合せ臨床分析装置に導入するステップと、複数のサンプルの試験要件を決定するステップと、この試験要件をフレキシブルスケジューリングアルゴリズムに転送するステップと、所定の目標関数を最小または最大にする、複数のサンプルのそれぞれに対して必要とされる各試験の開始時間を指定するスケジュールを作成するステップと、追加の複数のサンプルをランダムな順序で分析装置に導入するステップと、追加の複数のサンプルの試験要件を決定するステップと、分析装置内に既に存在する複数のサンプルの試験要件に追加の複数のサンプルの試験要件を付加して、所定の目標関数を最小または最大にする、複数のサンプルおよび追加の複数のサンプルのそれぞれに対して必要とされる各試験の開始時間を指定する更新スケジュールを作成するステップと、を含む。
【0042】
本発明のさらに別の態様は、組合せ臨床分析装置の複数のサンプルにおける別々の分析物の存在または量を決定するための方法を提供する。この方法は、複数のサンプルをスケジューリングする上記した方法を提供するステップと、スケジューリング法によって決定された順序で、サンプルを受容要素に分配するステップと、オプションとして1または複数の試薬を供給するステップと、受容要素をインキュベートするステップと、サンプルを測定して、複数のサンプルのそれぞれにおける別々の分析物の存在または量を決定するステップと、を含む。
【0043】
本発明のさらに別の態様は、組合せ臨床分析装置の複数のサンプルにおける別々の分析物の存在または量を決定するための方法を提供する。この方法は、複数のサンプルおよび追加の複数のサンプルをスケジューリングするための、上記した方法を提供するステップと、スケジューリング法によって決定された順序で、サンプルを受容要素に分配するステップと、オプションとして、1または複数の試薬を供給するステップと、受容要素をインキュベートするステップと、サンプルを測定して、各サンプルにおける別々の分析物の存在または量を決定するステップと、を含む。
【0044】
本発明のさらなる目的、特徴、および利点は、当業者であれば、以下に記載する好適な実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0045】
〔図面の簡潔な説明〕
図1は、外部インターフェイス102およびコンピュータ101を示す、組合せ臨床分析装置の外部インターフェイスの線図である。
【0046】
図2は、ロード/アンロードゾーン201および定量ゾーン202に分割されているサンプル領域203、2つのウェットケミストリーゾーン205、206、ドライケミストリーゾーン207、2つの試薬供給サブシステム209、210、使い捨て構成要素領域208、アリコットバッファー211、および一方がサンプル用で他方が試薬用であるレールを保持する2つのロボット定量アーム212を含む重要な構成要素のレイアウトを示す、組合せ臨床分析装置の内部の平面図である。
【0047】
図3は、サンプルトレーのローディングおよびアンローディングに関連した論理の線図である。このプロセスは、楕円のスタート301で始まり、まずブロック302で、最も前進したトレー(出口ステーションにある)の要求された全てのサンプルが試験されたか否かがチェックされる。NOの場合は、全ての要求されたサンプルが試験されるまで、上記の状態のチェックが続く。次に、303で、論理によって、ロードステーションに新しい作業をもつトレーが存在するか否かがチェックされる。YESの場合は、306で、出口ステーションにあるトレーが取り出され、307で、ロードステーションにあるトレーが導入され、308で、新しく導入されたサンプルに関連した必要な試験の情報が、優先順位が付けられたキューに付加される。ロードステーションにトレーが存在しない場合は、304で、反射試験が必要なサンプルがロード/アンロード領域に存在するか否かがチェックされる。反射試験は、同じサンプルに関連した別の試験の量的な結果から自動的に生成される。顕著な反射試験が存在する場合は、306で、出口ステーションのトレーが取り出され、307で、反射試験を必要とするトレーが導入され、308で、新しく導入されたサンプルに関連した必要な試験の情報が、優先順位が付けられたキューに付加される。ロード/アンロード領域のトレーに保留の反射試験が存在せず、かつ作業を必要とするトレーが定量領域に依然として存在する場合は、305で、チェックが続けられる。
【0048】
図4は、トップレベルの第1の発見的スケジューラーの論理に関連した論理の線図である。このプロセスは、楕円のスタート401で始まり、402で、最後のチェックから4時間単位が経過したか否かがまずチェックされる。YESの場合、403で、いずれかのウェットケミストリーB試験がスケジュールされたか否かがチェックされる。YESの場合は、404で、ウェットケミストリーA試験のスケジューラーが実行される。NOの場合は、405で、ウェットケミストリーB試験のスケジューラーが実行される。404に分岐したとすると、ウェットケミストリーA試験のスケジューラーの実行の後、406で、ウェットケミストリーB試験の数が試験の制限の数よりも小さいか否か、または利用できるウェットケミストリーA試験が存在しないか否かがチェックされる。YESの場合は、ウェットケミストリーB試験のスケジューラーが実行される。NOの場合は、410で、8時間単位が経過したか否かがチェックされる。405に分岐したとすると、ウェットケミストリーB試験のスケジューラーの実行の後、407で、ウェットケミストリーA試験の数が試験の制限の数よりも大きいか否か、またはアリコットバッファーが空であるか否かがチェックされる。YESの場合は、ウェットケミストリーA試験のスケジューラーが実行される。NOの場合は、410で、8時間単位が経過したか否かがチェックされる。8時間単位が経過した場合は、411で、ウェットケミストリーA試験のスケジューラーが実行され、8時間単位が経過していない場合は、412で、ドライケミストリーCの薄膜スライド要素のアームが、アイドル状態であるかまたは次の時間単位にアイドル状態になるか否かがチェックされる。YESの場合は、ウェットケミストリーB/ドライケミストリーCキューの次のサンプルに関連した全ての試験がスケジュールされ、1時間単位の待ちが行われる。NOの場合は、単に1時間単位の待ちが行われる。
【0049】
図5は、図5は、ウェットケミストリーA試験のスケジューラーに関連した論理の線図である。このプロセスは、楕円のスタート501で始まり、502で、まずスケジューラーが、ウェットケミストリーAキューから次のサンプルの情報を取得し、次に503で、このサンプルがスケジュールされる。次に、504で、スケジューラーが、スケジュールされたサンプルが8時間単位にスケジュールされた現在のセットのサンプルからのサンプルであるか否かと、また使用されるチップが落下する数が制限内であるか否かもチェックされる。YESの場合は、505で、スケジュールされたウェットケミストリーB試験が、スケジュールされたウェットケミストリーA試験の数×混合因子によって減じられる。この混合因子は、サンプル範囲のサンプルの数に対して明らかな、スケジュールされるウェットケミストリーB試験の数に対するスケジュールされるウェットケミストリーA試験の数の比率である。混合因子は、この上記に定義された比率が変化するたびに更新される数である。NOの場合は、508で、サンプルがスケジュールから除外される。505に分岐したとすると、506で、スケジュールされたウェットケミストリーB試験の数が10を下回るか否かがチェックされる。YESの場合は、スケジューラーが、ウェットケミストリーB試験の数を10まで減らす。NOの場合は、510のリターンに進む。508に分岐したとすると、509で、スケジューラーが、ウェットケミストリーAキューの全てのサンプルに対してスケジューリングが試みられたか否かがチェックされる。YESの場合は、510のリターンに進む。NOの場合は、502のウェットケミストリーAキューから次のサンプルを得る。
【0050】
図6は、ウェットケミストリーBキューのサンプルのスケジューリングに関連した論理の線図である。このプロセスは、楕円のスタート601で始まり、602で、まずスケジューラーが、ウェットケミストリーBキューから次の試験のセットの情報を取得する。603で、この試験を4時間単位でスケジュールできるか否かがチェックされる。NOの場合は、605で、ウェットケミストリーBキューの全てのサンプルに対してスケジュールの試みが行われたか否かがチェックされ、NOの場合は、602で、ウェットケミストリーBキューから次の試験のセットの情報が得られる。YESの場合は、606のリターンに進む。603での応答がNOだったとすると、604で、現在のバッチの全てのサンプルが、サンプルハンドラーから到着したか否かがチェックされる。NOの場合は、605で、この上記のチェックが行われる。YESの場合は、607で、サンプルまたはサンプルのバッチがスケジュールされ、608で、スケジュールされたウェットケミストリーB試験の数が、バッチの大きさによって増大され、609で、スケジュールされたウェットケミストリーB試験の数が、10を超えているか否かがチェックされる。YESの場合は、610で、スケジュールされたウェットケミストリーB試験の数が10まで減じられ、606のリターンに進む。NOの場合は、606のリターンに進む。同じスケジューリング論理を用いて、ドライケミストリーC試験をスケジュールすることができる。
【0051】
〔好適な実施形態の詳細な説明〕
本発明により、組合せ臨床分析装置のオペレータが、サンプルに必要な試験(すなわち、アッセイ)の種類や量に関係なく、装置の動作性能に悪影響を与えずに、任意の順序でサンプルを投入することができる。すなわち、臨床分析装置が、個々のサンプルに関連した初めの結果までの時間またはターンアラウンドタイムに影響を与えずに、完全定格(fully rated)のサンプルすなわち容量のスループット能力で試験を行うことができる。例えば、本発明により、オペレータが、ある特定の試験を完了するのに非常に長い時間を必要とする血漿、血清、全血などの一連の患者のサンプルを投入し、次に、他のリソースを用いて、試験を完了するのにそれほど時間を必要としない一連のサンプルを投入することができる。分析装置は、全体として2つのセットの試験要件を評価し、一般に総所要時間(makespan)と呼ばれる全てのサンプルに対して、全ての分析を完了するまでにかかる時間を最短にするスケジュールを決定し、これにより、可能な最大のサンプルのスループットを維持する。キュー(queues)および優先順位のシステムを用いて、初めの結果までの時間および関連したターンアラウンドタイムが、重要な試験に対して影響を与えないようにする。
【0052】
本発明の利点は、他の一部の臨床分析装置とは異なり、連続した投入順序でサンプルを処理する必要がないため、投入サンプルに対する2次元ランダムアクセスのシナジー効果によって向上する。加えて、例えばウェットケミストリーシステムまたはドライケミストリーシステムなどのシステムと同様に、高い動作効率を維持するためにリソースを共有する可能性がある。このようなシステムは通常、薄膜スライドや反応容器(キュベットまたはストレプトアビジンがコーティングされたマイクロウェル)を含む消耗品の供給と、電位計、反射率計、発光計、光透過率計、光子検出計、およびサンプルの特定の特性を測定する他の機器を含む複数のセンシオメトリック(sensiometric)すなわち測定装置と、サンプルを加熱するためのインキュベータと、試薬の供給と、複数の試薬供給サブシステムを含み、これらすべては任意の時にアクセスして使用することができる。さらに、分析装置は、アリコットバッファーを有する。このアリコットバッファーは、再試験を可能にするため、またはサンプルトレーを定量ゾーンから除去して(大多数の要求される試験が完了した場合)、サンプルの新しいトレーをロード/アンローディング領域から定量領域内に移送することができるようにするために、サンプルを一時的に保持できる装置である。
【0053】
本発明の全体的な理解のために、図面を参照されたい。各図面において、同一の要素を示すために同様の参照符号を用いている。本発明の説明において、以下に示す語をこの説明に用いる。
【0054】
ここで用いる語「データ」は、情報を示すまたは情報を含む物理的な信号を指す。データのアイテムが、多数の可能な代替物の1つを示すことができる場合、データのアイテムは多数の「値」の1つを有する。例えば、「ビット」とも呼ぶデータの二進アイテムが、「1」と「0」、「オン」と「オフ」、または「ハイ」と「ロー」と交換可能に呼ぶことができる2つの値の1つを有する。データのN‐ビットアイテムは、2N値の1つを有する。データの「マルチビット」アイテムは、2つ以上のビットを含むデータのアイテムである。
【0055】
語「データ」は、あらゆる物理的形態で存在するデータを含み、一過性のデータや、保存または送信されたデータを含む。例えば、データは、後にレーザーによってスキャンされて電子または他の送信された信号に光学的に変換される1次元または2次元バーコードの形態で、あるいは電子、磁気、または他の形態で保存される信号として、存在することができる。
【0056】
データのアイテムを「取得」、「生成」、または「決定」することは、データのアイテム無しで始まり、データのアイテムで終わるあらゆる組合せ動作を行うことである。データのアイテムは、データのアイテムで終わるあらゆる動作によって「取得」、「生成」、または「決定」することができる。データのアイテムは、他のデータのアイテムを用いてデータのアイテムを取得または生成する動作によって、他のデータのアイテムから「取得」、「生成」、または「決定」することができる。
【0057】
動作または事象の結果が、第2の成分のデータのアイテムが動作または事象の前の第1の成分にあったデータのアイテムと同じである場合、データのアイテムを第1の成分からの第2の成分に「転送する」。第1の成分が、データを「供給」し、第2の成分が、データを「受け取る」または「取得する」。頻繁に、様々なコンピュータ言語が、データの転送を行うために、ソフトウエアのサブルーチンの構築またはパラメータでの関数呼出しを用いている。
【0058】
「オペランド」は、動作が行われるデータのアイテムである。
【0059】
演算は、演算がオペランド上で行われる場合は「オペランドを用いて」行われる。
【0060】
「算術演算」は、オペランドの値によって決まる数値を得る演算である。加えて、減算、乗算、および除算は、算術演算の例である。
【0061】
語「サンプル範囲(sample horizon)」は、スケジューリングアルゴリズムによって考慮される投入された患者サンプルの数を指す。この数は、1から、投入された患者サンプルの最大数まで、様々に変化することができる。
【0062】
「実行可能な」スケジュールは、システムの制限が侵害されず、かつスケジュールがエラー無しで操作上実施できるように、各試験に対する一連の開始時間を定めるスケジュールである。
【0063】
「実行不可能な」スケジュールは、各試験に対する一連の開始時間を定めるが、少なくとも1つのシステムの制限が侵害され、スケジュールがエラー無しで操作上実施できないスケジュールである。
【0064】
「目標関数(objective function)」は、例えばそれぞれドルや時間といったコストやリソースの、重み付け線形組合せであり、評価されると、問題に対する特定の解決策の相対的な「良好性」を表す数値を生成する。主として、目標関数の値は、最短時間などのように最小化されるか、または最大収益などのように最大化される。問題に対する解決策が所望の最小または最大を生成する場合は、解決策が最適であると考えられる。
【0065】
「最適な」スケジュールは、目標関数が最大化または最小化されるように、各試験に対する一連の開始時間を定める実行可能なスケジュールである。例えば、ある特定の目標関数は、最初の試験の開始から最後の試験の終了までの経過時間を計算する目標関数である。この特定の目標関数は、通常は最小化される。一般に、最適なスケジュールは、線形プログラミング、01プログラミング(zero-one programming)、動的プログラミング、またはこれらの変更形態(variation)などの数学的プログラミング方法を用いて生成される。このような特定の技術は、参照して本明細書に組み入れるハーベイ・M・ワグナー(Harvey M. Wagner)著、「オペレーションズ・リサーチの原理(Principles of Operations Research)」、第2版、プレンティス・ホール(Prentice-Hall)、1975年に示されている。
【0066】
「次善の」スケジュールは、ある特定の目標関数を最適化するように各試験に対する一連の開始時間を定めるが、この特定の目標関数の最小化または最大化を保証しない実行可能なスケジュールである。一般に、次善のスケジュールは、発見的最適化法を適用した結果である。
【0067】
「発見的最適化法(heuristic optimizing method)」は、多くの状況で上手く動作するアルゴリズムである。
【0068】
「ランダム」でサンプルにアクセスするとは、定量ゾーン内で任意の順序でサンプルにアクセスできることである。
【0069】
サンプルに「連続的に」アクセスできるとは、定量ゾーン内で所定の順序でのみサンプルにアクセスできることである。「連続的な」アクセスは、多くの場合、所定間隔(in time)の投入順序でのみサンプルにアクセスできることである。
【0070】
「組合せの」は、分析装置が、「ドライ」および/または「ウェット」ケミストリーシステムのあらゆる組合せを含むことができる少なくとも2つのケミストリーシステムを含むことである。要するに、一般的な「ドライ」ケミストリーシステムでは、患者のサンプルおよび/または他の流体が、流体供給部から吸引され、プジビルロビチ(Przybylowicz)らによる米国特許第3,992,158号に開示されているような受容要素すなわちドライスライドに置かれる。ドライスライドすなわち受容要素がインキュベートされ、受容要素の測定されたサンプル中の少なくとも1つの分析物の量または存在が、電位計、反射率計、または他の適当な試験装置などの使用によって決定される。「ウェット」ケミストリーシステムの1つの変更形態、例えば本明細書で参照する「ウェットケミストリーA試験」では、患者のサンプルが、流体供給部から吸引され、化学コーティングされた、例えばストレプトアビジン・マイクロウェルまたは類似の受容要素内に置かれる。試薬が吸引されて、マイクロウェル内のサンプルに添加され、得られる混合物がインキュベートされ、後に洗浄される。最終的に信号試薬が添加され、インキュベートされ、化学発光に基づいた試験結果の測定が行われるまで、試薬の添加、インキュベーション、および洗浄の追加のシーケンスが行われる。「ウェット」ケミストリーシステムの別の変更形態、例えば本明細書で参照する「ウェットケミストリーB試験」では、患者のサンプルが、流体供給部から吸引され、コーティングされていないキュベットまたは類似の受容要素内に置かれる。試薬が吸引され、キュベット内のサンプルに添加され、得られる混合物がインキュベートされる。キュベットを通過して光の透過に影響を与える色の変化または他の変化に基づいて、試験結果の測定が行われるまで、試薬の添加およびインキュベーションの追加のシーケンスを行うことができる。
【0071】
臨床分析装置の「容量スループット能力」は、臨床分析装置が所定の単位時間で完了できるタスクの総数として定義される。例えば、組合せ臨床分析装置は、所定の要件下で、1時間に100試験の「容量スループット能力」を有することができる。
【0072】
臨床分析装置は、試験の絶対最大数が可能な最短時間で完了するように、投入されるサンプルの混合物と関連する試験が適当な配分であるときに、「完全定格」容量スループット能力で動作すると考えられる。これは、分析装置の動作の際に稀に達成される状態である。
【0073】
臨床分析装置の正常な「動作性能」は、投入されるサンプルの混合物と試験が、通常の病院の管理を部分的に反映している場合、単位時間当たりに完了できる試験の平均数である。この数は、分析装置の「完全定格」容量スループット能力よりも常に低い。
【0074】
「最初の結果までの時間」は、臨床分析装置の電源が初めに入った時から、完了した作業の第1の単位(すなわち、最初のサンプルの分析結果)が利用できる時までの経過時間として定義される。この際に、分析装置をウォームアップし、全ての較正を行い、装置の全ての部分の動作の準備を確実に整えなければならない。この後、分析装置が、サンプルを受け取り、試験結果を生成し始めることができる。
【0075】
1つのサンプルまたは一連のサンプルに関連した「試験の要件」を定義するプロセスは、特定の個々のサンプルに対してどの試験を実施するかを決定すること、どんな優先が各試験に割り当てられるか、および特定の試験を行うために、処理時間を含め、どんなリソースが必要であるか、からなる。例えば、特定のサンプルは、3つのウェットケミストリーA試験、4つのウェットケミストリーB試験、および2つのドライケミストリーC試験を必要とするであろう。具体的には、テストは以下の通りとすることができる。
1.ウェットケミストリーA
a.テストステロン
b.FSH
c.プロラクチン
2.ウェットケミストリーB
a.アルカリホスファターゼ
b.フェノバルビタール
c.尿蛋白
d.乳酸塩
3.ドライケミストリーC
a.グルコース
b.カリウム
【0076】
上記各試験に必要な個々の試験の優先と、特定の試験を完了するために必要な時間やサンプル範囲に対して利用できる使い捨て測定チップの数などの他の因子を追加することにより、試験の要件が完全になるであろう。これらの要件のいくつかは、臨床分析システムに固有のシステムの制限である。
【0077】
臨床分析装置によって処理されるサンプルに関連した1または一連の試験の「ターンアラウンドタイム」は、分析装置の通常の動作、すなわち非スタートアップ状態の際に、臨床分析装置にサンプルが投入された時から、結果が1または一連の試験に利用できる時までの時間と定義される。
【0078】
一群のサンプルに対する一連の試験の「総所要時間(makespan)」は、一群のサンプルが臨床分析装置内に投入された時から、最後のサンプルに対する最後の試験の値が報告されるまでの経過時間と定義される。一群のサンプルに対する一連の試験の終了時間(開始時は0)が、ベクトルf={f1、f2、f3、、、、fn}(nは、要求される試験の総数)によって表される場合、総所要時間は、fの最大成分すなわちmax(f)によって表される。別法では、総所要時間は、以下の式で求めることができる。
【数1】

【0079】
総所要時間を含むある時間間隔が、他のものよりも重要な場合、より好ましいスケジュールを得るために上記した式に時間間隔を重み付けすることが可能である。この重み付けは、以下の式で表すことができる。
【数2】

上の式で、aiは、以下のように定義される。
【数3】

【0080】
以下の記載のための「ウェット」ケミストリーシステムは、アッセイを行うために反応容器内に適切に定量して投入される所定量のサンプル、試薬、および他の流体を受け取る反応容器を含む。このアッセイは、流体がアッセイに添加され、発光検出器、光透過検出器、光子検出器、および適当な測定装置を用いる類似物などによって特定の分析が行われるときに、インキュベートされる。
【0081】
本明細書に記載する分析装置は、複数のドライケミストリーシステムおよび複数のウェットケミストリーシステムを有する組合せ臨床分析装置である。しかしながら、以下の説明から、本発明の必須の概念を具現するいくつかの変更形態および改良形態が可能であることを理解されたい。例えば、この分析装置は、一対のドライケミストリーシステムおよび一対のウェットケミストリーシステムを含むことができる。さらに、例えばウェットケミストリーシステムやドライケミストリーシステムなどと同様のシステムを、あるシステムが別のシステムのリソースを使用できるように一体化することができる(なぜなら、別のシステムのリソースオペレーショナルアドバンテージであることが分かっているため)。
【0082】
ここで図1を参照されたい。組合せ臨床分析装置の外部インターフェイス102が示されている。外部インターフェイス102内には、ドライケミストリーシステム(薄膜スライド試験)、ウェットケミストリーシステムA(イムノアッセイ試験)、およびウェットケミストリーシステムB(キュベットを用いた試験)が設けられている。これらの2つの「ウェット」ケミストリーシステムは、別々のカテゴリーの分析試験を行う。加えて、この図は、接続されたコンピュータ101を示している。コンピュータ101は、スケジュールを計算するために計算リソース、およびオペレータが患者のサンプルを投入して一意的に識別するための手段となる外部インターフェイスを提供する。病院の患者情報システムに対するネットワークインターフェイスが存在するが、図示されていない。さらに、オペレータがこのインターフェイスを用いて、病院の患者情報システムから、各サンプルに対して行われる一連の試験を特定または入手して、必要に応じて、病院の患者情報システムにある患者情報とサンプルの情報を一体化する。オペレータは、分析装置とインターフェイスして情報を入力することができるが、他の実施形態では、分析装置は、サンプルおよび試験の情報を、分析装置に搭載されたコンピュータまたは遠隔的にデータベースから自動的に入手することができるため、オペレータが介在する必要がない。図2は、組合せ分析装置の重要な構成要素の内部のレイアウトの線図である。サンプル領域203は、定量ゾーン202およびオペレータのロード/アンローディング領域201の、2つの領域に分かれている。各ゾーン内には、最大10個の個々のサンプルを保持できる最大4個のサンプルトレー204が配置されている。処理したサンプルをインキュベートし測定する2つのウェットケミストリーゾーン205、206およびドライケミストリーゾーン207の、3つのケミストリーゾーンが設けられている。加えて、2つの試薬供給サブシステム209、210、消費材供給領域208、およびアリコットバッファー部211が設けられている。2つのロボットアームが、ラック212内に受容されている。これらのアームはともに、ランダムにアクセスして定量ゾーンの任意の位置からサンプルを吸引して定量し、3つのケミストリーゾーンの任意の1つに移送することができ、ランダムにアクセスして任意の試薬供給から試薬を吸引して定量し、3つのケミストリーゾーンの任意の1つに移送することもできる。さらなる詳細は、参照して開示内容の全てを本明細書に組み入れる本願と同時出願の同時係属中の出願(名称:「定量ゾーンにおける流体の定量(Fluid Metering in a Metering Zone)」)(代理人整理番号:CDS5042)を参照されたい。
【0083】
本発明は、各サンプルに対して行われる必要のある試験の数および種類に基づいた組合せ臨床分析装置の動作の最適なスケジュール、サンプル範囲、および分析装置の自動化された内部動作を定義する方法を提供する。具体的には、個々のサンプルの試験の要件は、知られており、病院の患者情報ネットワークインターフェイスを介してコンソールコンピュータのインターフェイスによってスケジューリングコンピュータのメモリに自動的に転送されるか、またはオペレータの介入によって手動で転送することができる。加えて、サンプル範囲は、1〜kの範囲とすることができる数であり、この例では、kは62である。kは、スケジューラーによって考慮される投入された患者サンプルの最大数である。ある場合は、サンプル範囲の値は、予め決定することができ、別の場合は、動作環境すなわちパラメータによってリアルタイムで決定される。さらに、各試験を行うために必要な時間は、分析装置の内部動作によって固定されており、最も単純な場合、ウェットケミストリー試験Aを行うためにはα秒、ウェットケミストリー試験Bを行うためにはβ秒、ドライケミストリー試験Cを行うためにはγ秒かかる。通常は、αは、βまたはγよりも小さく、β/αは、整数であり、γ/αは整数である。好適な実施形態では、α=4.75秒、β=38.0秒、γ=19.0秒である。各試験に必要な整数時間比は、β/α=8時間単位、γ/α=4時間単位であり、以下に用いる時間単位(各単位は4.75秒)に関するタイミングの自然システムが得られる。各ケミストリーは、多数の異なるアッセイを行うことができ、この例では、ウェットケミストリー試験Aは、約45のアッセイを行うことができ、ウェットケミストリー試験Bは、約25のアッセイを行うことができ、ドライケミストリー試験Cは、約60のアッセイを行うことができる。リソースの共有は、様々なケミストリーシステム間で可能であり、例えば、定量アームの1つが、ウェットケミストリーAインキュベータ、ウェットケミストリーBインキュベータ、および試薬供給との間で共有される。
【0084】
分析装置のスタートアップ時に、分析装置の定量ゾーンは、投入サンプルトレーまたは投入サンプルを一切含まない。分析装置が、その能力の40サンプルまで定量ゾーンが満たされるのを待つのは非効率であるため、スケジューリングアルゴリズムは、定量ゾーンに初めのサンプルが投入されるや否や開始される。第1のステップは、サンプルに対して行われる試験の数および種類を決定する。この決定は、スケジューリングコンピュータのメモリまたはハードディスクドライブなどの補助装置に保存されたコンピュータファイルに記載される。問題になっているこれらのサンプルについては、組合せ臨床分析装置は、オペレータの補助を得てまたは得ずに、適切な試験の要件を決定することができる。好ましくは、全てのサンプルに対する情報を、分析装置が選択的に参照できる病院の患者情報システムの記録として、分析装置が利用することができる。
【0085】
付録は、特定の投入トレーに対する投入された患者サンプルの情報のコンピュータファイルがコンピュータメモリのように見える例を含む。このファイルは、連続した20の記録からなり、2つが各患者のサンプルに対するものである。第1の記録では、患者は、オペレータまたは病院によって割り当てられる固有の連続番号、初めのイニシャルおよび名字と、別の固有の8桁の数字(例えば、社会保障番号)とによって識別される。ウェットケミストリーA、ウェットケミストリーB、およびドライケミストリーCに対する試験の総数は、次の3つの数字によって表され、各タイプの特定の識別される試験は、後に、ここでは2桁として示されている一連の試験番号によって識別される。この形式では、最大7つのウェットケミストリーA試験番号、4つのウェットケミストリーB試験番号、および6つのドライケミストリーC試験番号を1つの記録に含めることができる。これらの試験番号は、サンプルに対して行う特定の試験を特定するコンピュータを用いた情報に1対1で対応する。第2の記録では、初めの患者の識別情報が、繰り返され、この後に、前の記録で定められた各試験を処理するために必要な時間を表す連続した17の数字が続く。数字によって表される時間は、定量アームの移動、試薬の添加、サンプルのインキュベーション、および分析の測定値を含む試験を完了するために必要な全ての動作ステップに必要な個々の時間からなる。この試験時間の要件は、スケジューリング法によって用いられ、試験を行うべき最適な順序が決定される。
【0086】
正常な動作の際、臨床分析装置が、特定の投入トレーの特定のサンプルのセットに関連した全ての試験をルーチンとして完了する。定量ゾーンからロード/アンローディングゾーンへのサンプルのトレーの除去を助けるために、アリコットバッファーを、スケジューリング待ちであるが、まだ定量されていないサンプルに対する中間保管領域として用いる。ほとんど全てのサンプルおよび試験を完了した定量ゾーンにおけるトレーの1または複数のサンプルの一部を、アリコットバッファーに移すことができる(アリコットバッファーは、再試験および他の非ルーチンの動作に対するオペレータの要求に基づいてサンプルを受け取ることもできる)。この移動が完了すると、完了したサンプルトレーが、定量ゾーンからロード/アンローディングゾーンに移され、投入された患者サンプルの新しいトレーが定量ゾーン内に移される。この時点までに、最大62の投入サンプル、定量ゾーンの投入トレーに40のサンプル、およびアリコットバッファーに22のサンプルが、試験のために待つことができるが、投入サンプルのいくつかは、試験の全てを既に完了し、そのトレーの他のサンプルに対する試験が終わるのを待っている場合もある。また、サンプル範囲Nの値によって、現在のサンプル範囲内に含められるように待っているいくつかのサンプルが存在することがある。1または複数のサンプルが、特定の時点で試験計画を終了すると、最大Nの新しいサンプルを、任意の時点でスケジュールされる新しいサンプルに加えることができる。通常のケースでは、スケジュールされるグループ内にM<Nの新しいサンプルが加えられる。操作上、分析装置ソフトウエアは、既に進行中のサンプルの試験要件を更新し、加えられるサンプルに対して試験要件を付け加えなければならないようになる。次に、得られる新しいスケジューリングの問題が、処理のためにスケジューリングアルゴリズムに送られる。
【0087】
スケジューリングアルゴリズムの別の補助は、投入された患者サンプルが、病院の患者情報システムの情報に基づいて自動的に割り当てられるか、またはオペレータによって手動で割り当てられる仮想キューの構築である。通常は、この例では、アリコットバッファーのサンプルから形成された、ウェットケミストリーAキュー、ウェットケミストリーBキューとドライケミストリーCキュー、およびウェットケミストリーBキューの3つの優先順位が付けられたキューが存在する。
【0088】
各キュー内で、スケジューリングアルゴリズムが、実現可能なスケジュールを発見することをさらに助けるようにするために、オペレータ、または病院の患者情報システムに含まれている情報が、オプションとして、それぞれの投入された患者サンプルまたは試験に対する優先順位を示すことができる。具体的には、優先順位が最も高いSTAT、優先順位が2番目に高いソフトSTAT、優先順位が3番目に高いREFLEX、および優先順位が最も低いROUTINEの優先順位が可能である。所定の数値的な重みを、スケジューリングアルゴリズムが使用するために、投入された患者サンプル記録に加えることができる。例えば、STATは4の重み、ソフトSTATは3の重み、REFLEXは2の重み、ROUTINEは1の重みを有することができる。キュー内および優先順位内で、システム内に最も長くあるサンプルが、最も高い優先順位を有する。
【0089】
一実施形態では、本発明は、第1の発見的な最適化手順を用いて、組合せ臨床分析装置の投入サンプルのセットを処理するために試験毎の開始時間のスケジュールを作成する方法を提供する。得られる開始時間のスケジュールは、試験を完了するために必要な総所要時間を最短またはほぼ最短にする。定量ゾーンのサンプルに対する試験の要件が決定され、試験が、優先順位が付けられたキューに割り当てられたら、第1の発見的なスケジューリングが、所定の時間間隔で、3つのキュー、すなわちウェットケミストリーAキュー、ウェットケミストリーBキュー、およびドライケミストリーCキューのそれぞれに対するスケジューリング論理の実行に基づいて行われる。全体として、スケジューリング作業は、図4に示されているように、トップレベルのスケジューラーの論理によって制御される。通常は、ウェットケミストリーAスケジュール論理は、図5の論理に従って4時間単位(すなわち19秒)毎に実行される。ウェットケミストリーBは、図6の論理に従って1時間単位(すなわち4.75秒)毎に実行され、アリコットバッファーが空でない場合は、ウェットケミストリーBスケジュール論理は、図6の論理に従って8時間単位(すなわち38秒)毎である。ドライケミストリーCスケジューリングの論理は、図6の論理と同じであり、ウェットケミストリーBに対する全ての基準が、ドライケミストリーCに対する基準に替わり、1時間単位(すなわち4.75秒)毎に行われる。個々の患者サンプルに対する試験の要件は、スケジューリング論理が行われる度に、スケジューリングの論理に転送される。サンプリング範囲は、その最大値である62サンプルに設定され、それぞれの優先順位が付けられたキューからの試験に対するスケジュールが、次のように生成される。
【0090】
<ウェットケミストリーAキュー>
各4時間単位の増分に対して、第1のサンプルは、キューから選択され、アルゴリズムは、現在の時間から4時間単位で第1の試験をスケジュールしようとする。もし対立が検出された場合、すなわち、おそらく別の試験が既にスケジュールされている場合、アルゴリズムは、それ以降、試験が上手くスケジュールされるまで、4時間単位の間隔で試験をスケジュールしようとする。この処理は、サンプルの全ての試験がスケジュールされるまで続く。アルゴリズムは、現在の時間から次の4時間単位の間隔で各試験を常にスケジュールしようとする。サンプルが完全にスケジュールされたら、アルゴリズムは、(a)次の4時間単位の間隔でスケジュールされたサンプルの試験が存在しない、または(b)スケジュールされたサンプルが、処理のために使い捨て定量チップを構成可能な個数を超えて要求する場合(固有のシステムの制限)の2つの要件をチェックする。何れかの要件が当てはまれば、サンプルの全ての試験が、スケジュールから除外され、キューの次のサンプルをスケジュールしようとする。この処理は、次の4時間単位の間隔でスケジュールできる試験を有し、かつ処理のために使い捨て定量チップを構成可能な個数を超えて要求しないサンプルが見つかるまで続けられる。アルゴリズムが、優先順位が付けられたキューの最後に達し、両方の条件に一致するサンプルが存在しないと、ウェットケミストリーAサンプルが、次の4時間単位の間隔にスケジュールされない。この論理のフローチャートが図5に示されている。
【0091】
<ウェットケミストリーBキューおよびドライケミストリーCキュー>
各時間単位(4.75秒の間隔)で、キューの第1のサンプルが選択され、そのサンプルの全ての試験がスケジュールされる。アルゴリズムは、図6の論理によって示されているように、必要に応じて、サンプル内の試験をスケジュールおよび同期させるために空き時間間隔を許可する。
【0092】
<ウェットケミストリーBキュー>
各8時間単位の間隔に対して、アルゴリズムは、アリコットバッファーがサンプルを含む場合、アリコットバッファー内の全てのサンプルの全ての試験を、ウェットケミストリーBキューおよびドライケミストリーCキューのサンプルのスケジューリングに適用される論理と同じ論理を用いて、スケジュールしようとする。この同等の論理のフローチャートが図6に示されている。
【0093】
定量ゾーン内に可能な限り多くのサンプルを有し、可能な限り迅速にサンプルを分析装置の中を移動させ続け、必要に応じて再試験できるように可能な限り長くサンプルを定量ゾーン内に維持するのが重要である。また、トレー間の隙間の数を最小限にし、定量ゾーン内に可能な限り多くのサンプルを配置することも望ましい。第1のゴールは、最大のワークフローを維持することであり、第2のゴールは、再試験を可能にすることである。最大のワークフローを維持するためには、新しいサンプルトレーは、可能な場合は常に定量ゾーン内に整合させておくべきである。再試験を可能にするためには、新しい作業がロード/アンローディング領域内に存在しない場合は、サンプルをサンプルハンドラーから出さないようにする。サンプルハンドラー回転論理のフローチャートが図3に示されている。
【0094】
定義によると、第1の発見的スケジューリング法は、改善された総所要時間、好ましくは最短総所要時間を提供することができる、改善されたスケジュールを作成する。
【0095】
例えば、付録Aは、内部コンピュータファイルとして作成および保存できる10の投入サンプルに対する患者およびサンプルの情報の代表ファイルを含む。このファイルは、20の記録からなり、2つが各患者のサンプルに対するものである。第1の記録は、患者の名前、8桁の識別番号(例えば、社会保障番号など)、ウェットケミストリーA試験の番号、ウェットケミストリーB試験の番号、ドライケミストリーC試験の番号、ウェットケミストリーA試験の特定の試験番号を示す連続した7つの数字、ウェットケミストリーB試験の特定の試験番号を示す連続した4つの数字、およびドライケミストリーC試験に対する特定の試験番号を示す6つの数字を含む。特定の試験番号は、行われる試験を一意的に特定する内部コンピュータ記録に1対1でリンクしている。第2の記録は、患者の名前を繰返し、8桁の識別番号プラスが、前の記録のウェットケミストリーA試験、ウェットケミストリーB試験、およびドライケミストリーC試験のそれぞれに対する時間要件(時間単位)を指定する連続した17の数字を有する。初めの5つの患者サンプルだけを考慮すると、この情報は、一連の44の試験を定義する。同じ優先順位が全ての試験に割り当てられる場合には、上記した第1の発見的アルゴリズムは、次の実現可能なスケジュールを作成する。
【表1】

上記スケジュールの総所要時間は、試験19が終了すべき最後の試験であるとすると544時間単位である。
【0096】
別の実施形態では、本発明は、第2の発見的最適化法を利用して、組合せ臨床分析装置の一連の投入サンプルを処理する試験毎の開始時間のスケジュールを作成する方法を提供する。得られる開始時間スケジュールは、試験を完了するために必要な総所要時間を最短またはほぼ最短にする。この第2の発見的スケジューリングは、所定の範囲内またはオペレータが決定したサンプル範囲内である全てのサンプルに対する全ての試験を調べることに基づいている。第1のステップは、コンピュータのメモリに入力されたサンプルの記録にアクセスすることと、スケジューリングアルゴリズムに転送するのに適した形態にデータを編成することからなるサンプル範囲のサンプルの試験の要件を定義する。第2の発見的方法のような数学的志向ソフトウエア(mathematically oriented software)、または線形プログラミング、01プログラミング(zero-one programming)、もしくは動的プログラミングのような数学的プログラミングアルゴリズムの場合、ベクトルまたは行列の形態の線形代数の構成(linear algebra organization)が、通常は好ましい。
【0097】
付録Aに示されている情報ファイルは、スケジューリングコンピュータに読み込まれ、この情報が、行列からなるオペランドにされる。この行列は、44行(試験数)と3列からなり、列1が、試験番号(記録1から)であり、列2が、時間要件(記録2からの時間単位)であり、列3が、表示変数である。この表示変数の1は、ウェットケミストリーA試験を指し、2は、ウェットケミストリーB試験を指し、3は、ドライケミストリーC試験を指す。サンプル範囲が5つのサンプルに設定されている場合、付録Aの初めの5つの患者のサンプル情報(10の記録)に対して付録Bのソフトウエアによって形成されるオペランドは、次の通りである。
【表2】

ソフトウエアの3つのベクトルからなる行列オペランドは、次の通りである。
OPERAND=[testv reqv type]
【0098】
オペランドを含むベクトルの構成の後、付録Bのソフトウエアは、機能スケジュールを呼び出して、オペランドを第2の発見的スケジューリング法に転送し、最も早い開始時間を、最長の時間を必要とする試験に割り当てることに基づいて、関連スケジュールを作成する。最短の総所要時間を保証するものではないが、実際には、この方法は、優れたスケジュールを作成する。さらに、優先順位の低い試験の前に、優先順位の高い試験がスケジュールされる場合、初めの結果までの時間が最短になることが多い。このスケジュールは、タイプ1(ウェットケミストリーA)試験およびタイプ2(ウェットケミストリーB)試験に対する、付録Bのスケジューリングソフトウエアによって作成され戻され、このスケジュールは、次の通りである。
【表3】

【0099】
このスケジュールは、タイプ1およびタイプ2の全ての試験を、最適すなわちこの試験セットに対して可能な最短の総所要時間である472時間単位すなわち2,242秒で完了する。上記した第1の発見的方法を用いた同じサンプルに対するスケジュールの総所要時間に比べて、これは(544−472)=72時間単位すなわち約13%の改善である。リソースを共有しない、従って障害のない、タイプ3(ドライケミストリーC)試験に対する同じスケジューリングアルゴリズムを用いて、次に示すスケジュールを作成する。
【表4】

タイプ3の試験に対する総所要時間は、僅か108時間単位であり、タイプ1およびタイプ2の試験に必要な472時間単位に比べて大幅に短い。
【0100】
別の実施形態では、本発明は、数学的プログラミング方法を用いて、組合せ臨床分析装置の一連の投入サンプルを処理するための試験毎の開始時間スケジュールを作成する方法を提供する。試験の要件を決定する同じ方法を用いて、試験要件をスケジューリングアルゴリズムに転送し、次にスケジュールを作成することで、この実施形態が最適なスケジュールとなる。その結果得られる開始時間スケジュール(唯1つではないこともある、すなわち同じ最短の総所要時間を達成する複数のスケジュールが存在しうる)が、試験を完了するために必要な総所要時間を最短にする。用いる数学的プログラミング方法は、01プログラミングの構成で生じる問題の解決に適した間接的列挙(implicit enumeration)と呼ばれる技術に基づいている。しかしながら、組合せ臨床分析装置のスケジューリングの問題には多くの異なる形態が起こりうるため、特に、線形プログラミング、動的プログラミング、および分枝限定法(branch and bound procedures)などの他の数学的プログラミング方法を用いて、最適なスケジュールを得ることができる。
【0101】
付録Aの初めの5つの患者サンプルのスケジュールを決定するための間接的列挙アルゴリズムの代わりのアルゴリズムが、上記した第2の発見的スケジューリング法と同じスケジュールを作成する。
【0102】
本発明に従ったスケジューリング法は、コンピュータ可読プログラムコードを有し、かつ当分野で周知の分析装置のコンピュータのコントローラとインターフェイスするコンピュータプログラムによって実現することができる。このスケジューリング法は、本発明の方法を行うように構成されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ使用可能媒体を含む製品に含めることもできる。コンピュータ使用可能媒体は、光学ディスクやハードドライブなどの既知の媒体を含むことができる。
【0103】
当業者であれば、本発明の方法および過程の様々な改変形態および変更形態が可能であることを理解できよう。したがって、本発明は、もし添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内であるならば、このような改変形態および変更形態を含むものとする。
【0104】
上記した全ての刊行物の開示は、それぞれが個々に参照して本明細書に組み入れるのと同程度に、参照して開示内容の全てを本明細書にはっきりと組み入れるものとする。
【0105】
【表5】







【0106】
〔実施の態様〕
(1)複数の異なる分析試験を行う組合せ臨床分析装置における複数のサンプルの分析順序をスケジューリングするための方法において、
複数のサンプルをランダムな順序で組合せ臨床分析装置に導入するステップと、
前記複数のサンプルの試験要件を決定するステップと、
前記試験要件をフレキシブルスケジューリングアルゴリズムに転送するステップと、
所定の目標関数を最小または最大にする、前記複数のサンプルのそれぞれに対して必要とされる各試験の開始時間を指定するスケジュールを作成するステップと、
を含む、方法。
(2)実施態様(1)に記載の方法において、
前記目標関数は、総所要時間である、方法。
(3)実施態様(1)に記載の方法において、
前記目標関数は、重み付け総所要時間である、方法。
(4)実施態様(1)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、2次元定量ゾーンを有しており、前記2次元定量ゾーンが、前記ゾーンの任意の点で患者サンプルにアクセスするための手段を含む、方法。
(5)実施態様(1)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、薄膜スライドを利用する、方法。
【0107】
(6)実施態様(1)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、反応容器としてキュベットおよびカップ型マイクロウェルを用いる、方法。
(7)実施態様(1)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、サンプルを測定するための電位計、反射率計、発光計、光透過率計、および光度計を含む複数の測定装置(sensiometric device)を有する、方法。
(8)実施態様(1)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、試薬を用いる、方法。
(9)実施態様(1)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、複数の試薬供給サブシステムを有する、方法。
(10)実施態様(1)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、前記定量ゾーン内にサンプルを一時的に貯蔵するために用いられる複数のアリコットバッファー(aliquot buffer)を有する、方法。
【0108】
(11)実施態様(1)に記載の方法において、
前記臨床分析装置に対する前記複数のサンプルは、スケジューリング動作を助けるために相対的な優先順位が与えられており、STATの優先順位が最も高く、ソフトSTATが2番目に高い優先順位を有し、REFLEXが3番目に高い優先順位を有し、ROUTINEが最も低い優先順位を有する、方法。
(12)実施態様(1)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、入ってくる患者サンプルおよび試験を組織化するための複数の仮想サンプルキュー(virtual sample queue)を有する、方法。
(13)実施態様(1)に記載の方法において、
前記フレキシブルスケジュールアルゴリズムは、第1の発見的方法を用いてスケジュールを作成する、方法。
(14)実施態様(1)に記載の方法において、
前記フレキシブルスケジュールアルゴリズムは、第2の発見的方法を用いてスケジュールを作成する、方法。
(15)実施態様(1)に記載の方法において、
前記フレキシブルスケジュールアルゴリズムは、数学的プログラミング方法を用いてスケジュールを作成する、方法。
【0109】
(16)実施態様(15)に記載の方法において、
前記数学的プログラミング方法は、解決法として直接的列挙(explicit enumeration)、間接的列挙(implicit enumeration)、もしくは分岐限定法(branch-and-bound)を用いた、線形プログラミング(linear programming)、01プログラミング(zero-one programming)、動的プログラミング(dynamic programming)、またはこれらの変更形態からなる群から選択される、方法。
(17)実施態様(1)に記載の方法において、
前記スケジューリングアルゴリズムによって考慮される投入サンプルの数が、予め決められている、方法。
(18)実施態様(1)に記載の方法において、
前記スケジューリングアルゴリズムによって考慮される投入サンプルの数が、動作パラメータによってリアルタイムで決定される、方法。
(19)複数の異なる分析試験を行う組合せ臨床分析装置における複数のサンプルの分析順序をスケジューリングするための方法において、
複数のサンプルをランダムな順序で組合せ臨床分析装置に導入するステップと、
前記複数のサンプルの試験要件を決定するステップと、
前記試験要件をフレキシブルスケジューリングアルゴリズムに転送するステップと、
所定の目標関数を最小または最大にする、前記複数のサンプルのそれぞれに対して必要とされる各試験の開始時間を指定するスケジュールを作成するステップと、
追加の複数のサンプルをランダムな順序で前記分析装置に導入するステップと、
前記追加の複数のサンプルの試験要件を決定するステップと、
前記分析装置内に既に存在する前記複数のサンプルの前記試験要件に前記追加の複数のサンプルの前記試験要件を付加して、所定の目標関数を最小または最大にする、前記複数のサンプルおよび前記追加の複数のサンプルのそれぞれに対して必要とされる各試験の開始時間を指定する更新スケジュールを作成するステップと、
を含む、方法。
(20)実施態様(19)に記載の方法において、
前記目標関数は、最初の試験が始まった時から最後の試験が終了するまでの時間である、方法。
【0110】
(21)実施態様(19)に記載の方法において、
前記目標関数は、各試験が始まった時から各試験が終了するまでの時間の合計である、方法。
(22)実施態様(19)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、2次元定量ゾーンを有しており、前記2次元定量ゾーンが、前記ゾーンの任意の点でサンプルにアクセスするための手段を含む、方法。
(23)実施態様(19)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、薄膜スライドを利用する、方法。
(24)実施態様(19)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、反応容器を用いる、方法。
(25)実施態様(19)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、サンプルの性質を測定するための電位計、反射率計、発光計、光透過率検出計、および光度計を含む複数の測定装置(sensiometric device)を有する、方法。
【0111】
(26)実施態様(19)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、試薬を用いる、方法。
(27)実施態様(19)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、複数の試薬供給サブシステムを有する、方法。
(28)実施態様(19)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、前記定量ゾーン内にサンプルを一時的に貯蔵するために用いられる複数のアリコットバッファーを有する、方法。
(29)実施態様(19)に記載の方法において、
前記臨床分析装置に対する前記複数のサンプルは、スケジューリング動作を助けるために相対的な優先順位が与えられており、STATの優先順位が最も高く、ソフトSTATが2番目に高い優先順位を有し、REFLEXが3番目に高い優先順位を有し、ROUTINEが最も低い優先順位を有する、方法。
(30)実施態様(19)に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、入ってくる患者サンプルおよび試験を組織化するための複数の仮想サンプルキューを有する、方法。
【0112】
(31)実施態様(19)に記載の方法において、
前記フレキシブルスケジュールアルゴリズムは、第1の発見的方法を用いてスケジュールを作成する、方法。
(32)実施態様(19)に記載の方法において、
前記フレキシブルスケジュールアルゴリズムは、第2の発見的方法を用いてスケジュールを作成する、方法。
(33)実施態様(19)に記載の方法において、
前記フレキシブルスケジュールアルゴリズムは、数学的プログラミング方法を用いてスケジュールを作成する、方法。
(34)実施態様(33)に記載の方法において、
前記数学的プログラミング方法は、解決法として直接的列挙(explicit enumeration)、間接的列挙(implicit enumeration)、もしくは分岐限定法(branch-and-bound)を用いた、線形プログラミング(linear programming)、01プログラミング(zero-one programming)、動的プログラミング(dynamic programming)、またはこれらの変更形態からなる群から選択される、方法。
(35)実施態様(19)に記載の方法において、
前記スケジューリングアルゴリズムによって考慮される投入サンプルの数が予め決められている、方法。
【0113】
(36)実施態様(19)に記載の方法において、
前記スケジューリングアルゴリズムによって考慮される投入サンプルの数が、動作パラメータによってリアルタイムで決定される、方法。
(37)複数の異なる分析試験を行う組合せ臨床分析装置におけるサンプル試験時間を最短にするための方法において、
1または複数の投入サンプルの試験要件を決定するステップと、
前記試験要件をフレキシブルスケジューリングアルゴリズムに転送するステップと、
所定の目標関数を最小または最大にする、それぞれの前記投入サンプルに対して必要とされる各試験の開始時間を指定するスケジュールを作成するステップと、
を含む、方法。
(38)組合せ臨床分析装置の複数のサンプルにおける別々の分析物の存在または量を決定するための方法において、
実施態様(1)に記載された、複数のサンプルをスケジューリングするための方法を提供するステップと、
前記スケジューリング法によって決定された順序で、サンプルを受容要素に分配するステップと、
オプションとして、1または複数の試薬を供給するステップと、
前記受容要素をインキュベートするステップと、
前記サンプルを測定して、前記複数のサンプルのそれぞれにおける別々の分析物の存在または量を決定するステップと、
を含む、方法。
(39)実施態様(38)に記載の方法において、
前記受容要素は、ドライスライド要素、光学的に透明なキュベット、もしくはストレプトアビジンがコーティングされたマイクロウェルのうちの1または複数である、方法。
(40)組合せ臨床分析装置の複数サンプルにおける別々の分析物の存在または量を決定するための方法において、
実施態様(19)に記載された、複数のサンプルおよび追加の複数のサンプルをスケジューリングするための方法を提供するステップと、
前記スケジューリング法によって決定された順序で、サンプルを受容要素に分配するステップと、
オプションとして、1または複数の試薬を供給するステップと、
前記受容要素をインキュベートするステップと、
前記サンプルを測定して、各前記サンプルにおける別々の分析物の存在または量を決定するステップと、
を含む、方法。
【0114】
(41)実施態様(40)に記載の方法において、
前記受容要素は、ドライスライド要素、光学的に透明なキュベット、もしくはストレプトアビジンがコーティングされたマイクロウェルのうちの1または複数である、方法。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】外部インターフェイス102およびコンピュータ101を示す、組合せ臨床分析装置の外部インターフェイスの線図である。
【図2】重要な構成要素のレイアウトを示す、組合せ臨床分析装置の内部の平面図である。
【図3】サンプルトレーのローディングおよびアンローディングに関連した論理の線図である。
【図4】トップレベルの第1の発見的スケジューラーの論理に関連した論理の線図である。
【図5】図5は、ウェットケミストリーA試験のスケジューラーに関連した論理の線図である。
【図6】ウェットケミストリーBキューのサンプルのスケジューリングに関連した論理の線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる分析試験を行う組合せ臨床分析装置における複数のサンプルの分析順序をスケジューリングするための方法において、
複数のサンプルをランダムな順序で組合せ臨床分析装置に導入するステップと、
前記複数のサンプルの試験要件を決定するステップと、
前記試験要件をフレキシブルスケジューリングアルゴリズムに転送するステップと、
所定の目標関数を最小または最大にする、前記複数のサンプルのそれぞれに対して必要とされる各試験の開始時間を指定するスケジュールを作成するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記目標関数は、総所要時間である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記目標関数は、重み付け総所要時間である、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、2次元定量ゾーンを有しており、前記2次元定量ゾーンが、前記ゾーンの任意の点で患者サンプルにアクセスするための手段を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、薄膜スライドを利用する、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、反応容器としてキュベットおよびカップ型マイクロウェルを用いる、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、サンプルを測定するための電位計、反射率計、発光計、光透過率計、および光度計を含む複数の測定装置を有する、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、試薬を用いる、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、複数の試薬供給サブシステムを有する、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、前記定量ゾーン内にサンプルを一時的に貯蔵するために用いられる複数のアリコットバッファーを有する、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
前記臨床分析装置に対する前記複数のサンプルは、スケジューリング動作を助けるために相対的な優先順位が与えられており、STATの優先順位が最も高く、ソフトSTATが2番目に高い優先順位を有し、REFLEXが3番目に高い優先順位を有し、ROUTINEが最も低い優先順位を有する、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、入ってくる患者サンプルおよび試験を組織化するための複数の仮想サンプルキューを有する、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、
前記フレキシブルスケジュールアルゴリズムは、第1の発見的方法を用いてスケジュールを作成する、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、
前記フレキシブルスケジュールアルゴリズムは、第2の発見的方法を用いてスケジュールを作成する、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、
前記フレキシブルスケジュールアルゴリズムは、数学的プログラミング方法を用いてスケジュールを作成する、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記数学的プログラミング方法は、解決法として直接的列挙、間接的列挙、もしくは分岐限定法を用いた、線形プログラミング、01プログラミング、動的プログラミング、またはこれらの変更形態からなる群から選択される、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法において、
前記スケジューリングアルゴリズムによって考慮される投入サンプルの数が、予め決められている、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法において、
前記スケジューリングアルゴリズムによって考慮される投入サンプルの数が、動作パラメータによってリアルタイムで決定される、方法。
【請求項19】
複数の異なる分析試験を行う組合せ臨床分析装置における複数のサンプルの分析順序をスケジューリングするための方法において、
複数のサンプルをランダムな順序で組合せ臨床分析装置に導入するステップと、
前記複数のサンプルの試験要件を決定するステップと、
前記試験要件をフレキシブルスケジューリングアルゴリズムに転送するステップと、
所定の目標関数を最小または最大にする、前記複数のサンプルのそれぞれに対して必要とされる各試験の開始時間を指定するスケジュールを作成するステップと、
追加の複数のサンプルをランダムな順序で前記分析装置に導入するステップと、
前記追加の複数のサンプルの試験要件を決定するステップと、
前記分析装置内に既に存在する前記複数のサンプルの前記試験要件に前記追加の複数のサンプルの前記試験要件を付加して、所定の目標関数を最小または最大にする、前記複数のサンプルおよび前記追加の複数のサンプルのそれぞれに対して必要とされる各試験の開始時間を指定する更新スケジュールを作成するステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記目標関数は、最初の試験が始まった時から最後の試験が終了するまでの時間である、方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法において、
前記目標関数は、各試験が始まった時から各試験が終了するまでの時間の合計である、方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、2次元定量ゾーンを有しており、前記2次元定量ゾーンが、前記ゾーンの任意の点でサンプルにアクセスするための手段を含む、方法。
【請求項23】
請求項19に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、薄膜スライドを利用する、方法。
【請求項24】
請求項19に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、反応容器を用いる、方法。
【請求項25】
請求項19に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、サンプルの性質を測定するための電位計、反射率計、発光計、光透過率検出計、および光度計を含む複数の測定装置を有する、方法。
【請求項26】
請求項19に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、試薬を用いる、方法。
【請求項27】
請求項19に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、複数の試薬供給サブシステムを有する、方法。
【請求項28】
請求項19に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、前記定量ゾーン内にサンプルを一時的に貯蔵するために用いられる複数のアリコットバッファーを有する、方法。
【請求項29】
請求項19に記載の方法において、
前記臨床分析装置に対する前記複数のサンプルは、スケジューリング動作を助けるために相対的な優先順位が与えられており、STATの優先順位が最も高く、ソフトSTATが2番目に高い優先順位を有し、REFLEXが3番目に高い優先順位を有し、ROUTINEが最も低い優先順位を有する、方法。
【請求項30】
請求項19に記載の方法において、
前記臨床分析装置は、入ってくる患者サンプルおよび試験を組織化するための複数の仮想サンプルキューを有する、方法。
【請求項31】
請求項19に記載の方法において、
前記フレキシブルスケジュールアルゴリズムは、第1の発見的方法を用いてスケジュールを作成する、方法。
【請求項32】
請求項19に記載の方法において、
前記フレキシブルスケジュールアルゴリズムは、第2の発見的方法を用いてスケジュールを作成する、方法。
【請求項33】
請求項19に記載の方法において、
前記フレキシブルスケジュールアルゴリズムは、数学的プログラミング方法を用いてスケジュールを作成する、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、
前記数学的プログラミング方法は、解決法として直接的列挙、間接的列挙、もしくは分岐限定法を用いた、線形プログラミング、01プログラミング、動的プログラミング、またはこれらの変更形態からなる群から選択される、方法。
【請求項35】
請求項19に記載の方法において、
前記スケジューリングアルゴリズムによって考慮される投入サンプルの数が予め決められている、方法。
【請求項36】
請求項19に記載の方法において、
前記スケジューリングアルゴリズムによって考慮される投入サンプルの数が、動作パラメータによってリアルタイムで決定される、方法。
【請求項37】
複数の異なる分析試験を行う組合せ臨床分析装置におけるサンプル試験時間を最短にするための方法において、
1または複数の投入サンプルの試験要件を決定するステップと、
前記試験要件をフレキシブルスケジューリングアルゴリズムに転送するステップと、
所定の目標関数を最小または最大にする、それぞれの前記投入サンプルに対して必要とされる各試験の開始時間を指定するスケジュールを作成するステップと、
を含む、方法。
【請求項38】
組合せ臨床分析装置の複数のサンプルにおける別々の分析物の存在または量を決定するための方法において、
請求項1に記載された、複数のサンプルをスケジューリングするための方法を提供するステップと、
前記スケジューリング法によって決定された順序で、サンプルを受容要素に分配するステップと、
オプションとして、1または複数の試薬を供給するステップと、
前記受容要素をインキュベートするステップと、
前記サンプルを測定して、前記複数のサンプルのそれぞれにおける別々の分析物の存在または量を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法において、
前記受容要素は、ドライスライド要素、光学的に透明なキュベット、もしくはストレプトアビジンがコーティングされたマイクロウェルのうちの1または複数である、方法。
【請求項40】
組合せ臨床分析装置の複数サンプルにおける別々の分析物の存在または量を決定するための方法において、
請求項19に記載された、複数のサンプルおよび追加の複数のサンプルをスケジューリングするための方法を提供するステップと、
前記スケジューリング法によって決定された順序で、サンプルを受容要素に分配するステップと、
オプションとして、1または複数の試薬を供給するステップと、
前記受容要素をインキュベートするステップと、
前記サンプルを測定して、各前記サンプルにおける別々の分析物の存在または量を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法において、
前記受容要素は、ドライスライド要素、光学的に透明なキュベット、もしくはストレプトアビジンがコーティングされたマイクロウェルのうちの1または複数である、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−32711(P2008−32711A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−188564(P2007−188564)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(501131014)オーソ−クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】Ortho−Clinical Diagnostics, Inc.
【住所又は居所原語表記】100 Indigo Creek Drive, Rochester, NY 14626−5101, U.S.A.
【Fターム(参考)】