説明

組成物、ハロゲン化組成物、化学生成物およびテロマー化方法

以下の化学式、R(R)nQ、あるいは、式(I)、式(II)、RCl(R)nH を有する組成物が示される。R基は4以上のフッ素原子を有し、R基はペンダント−CF基を有する1以上のC-2基を含み、nは1以上、R基は炭素原子を含み、RCl基は−CClを含み、Q基は元素周期表の原子を1以上含む。また、テロマー化の方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張) 本出願は、2004年1月30日出願の米国仮出願番号60/540,612「フッ素官能基、フッ素組成物、フッ素添組成物の製造方法および物質の処理」に基づき優先権を主張するものであり、その全開示内容を参考として含む。
本発明は、組成物、ハロゲン化組成物、化学生成物およびテロマー化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤、ポリマー、及びウレタン等の組成物はハロゲン化官能基を有している。これらの官能基は、物質の処理や物質の性能を高めるために使用される場合に前記組成物の性能に影響を与えるために組み込まれているものである。例えば、ハロゲン化官能基を含む界面活性剤は、単独あるいは水溶性フィルムフォーム(AFFF)などの形態で消火剤として使用できる。ハロゲン化官能基を有するポリマーおよび/またはウレタンも物質の処理に使用されている。これらの組成物の調製のために、ハロゲン化中間組成物を合成することができる。
【発明の開示】
【0003】
本発明は、R(R)nQおよび/または下記式で表される1種以上を含む組成物を提供する。
【化9】

【0004】
これらの組成物において、R基は4以上のフッ素原子を含み、R基は1以上のペンダント−CF基を有するC-2基を1以上含み、nは1以上であり、R基は1以上の炭素原子を含み、Q基は元素周期表の原子を1以上有している。またRCl(R)nHを含む組成物も提供され、RCl基は1以上の−CCl基を含んでいる。
【0005】
テロマー化の方法は、1以上のCFを含有するタキソゲン(taxogen)をフッ素含有テロゲン(telogen)に曝露させてテロマーを生成し、該フッ素含有テロゲンは4以上のフッ素原子を含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の開示は、米国特許法「科学および有用技術の発展の促進」(第1条第8項)に基づいて示されている。以下に組成物ならびに組成物の製造方法について図面を参照しつつ説明する。
【0007】
図は、システム10のハロゲン化組成物の製法について示したもので、タキソゲン2、テロゲン4、開始剤6を反応容器(reactor)8に供給し、テロマー9を生成する。模範的具体例では、システム10はテロマー化の方法を実行する。ある具体例によれば、タキソゲン2はテロゲン4に曝露されてテロマー9を形成する。また別の具体例ではタキソゲン2は開始剤6の存在下でテロゲン4に曝露させることもできる。反応容器8は曝露中の試薬を加熱するように構成することもできる。
【0008】
タキソゲン2は1以上のCF含有化合物を含むことができる。CF含有化合物は1以上のペンダント−CF基を有するC-2基を含む。具体的には、タキソゲン2は3,3,3−トリフルオロプロペン(TFP、トリフルオロプロペン)等のオレフィン類を含む。
【0009】
テロゲン4は、フッ素および/または塩素などのハロゲンを含むことができる。テロゲン4は4以上のフッ素原子を含むことができ、RQおよび/またはRClQで表すことができる。R基は4以上のフッ素原子を含み、Q基は元素周期表の1以上の原子を含む。該Q基は、例えばR基が(CFCF−および/または−C13であるとき、HまたはIであることができる。該RCl基は1以上の−CCl基を含むことができる。テロゲンとしては具体的に、(CFCFI、C13I、トリクロロメタン、HP(O)(OEt)、BrCFClCFBr、R−SH(Rは炭素含有する基)、および/またはMeOHを例示できる。タキソゲン2としてはトリフルオロプロペンを、テロゲン4としては(CFCFIを例示でき、タキソゲン2対テロゲン4のモル比は約1:1から約1:10、1:4から約4:1、そして/または約2:1から約4:1である。
【0010】
反応容器8は実験的、産業的スケールであって、具体例として、試薬を内包して温度制御するように構成してもよい。より具体的には、反応容器8は、試薬を反応させている間に約130℃から約150℃の加熱ができるものである。
【0011】
タキソゲン2にテロゲン4を曝露して生成するテロマー9は、R(R)nQおよび/またはRCl(R)nHを含むことができる。R基は、例えば下式で表されるような基で、ペンダント−CF基を有する1以上のC-2基を含むことができる。
【化10】

【0012】
生成物は具体的には、下式で表される化合物、
【化11】

および/または、下式で表される一方もしくは双方を含み
【化12】

(ただし、Rは例えば、−CH−のような炭素原子を1以上含む。)
【0013】
より具体的には、nは1以上、或いは2以上で、下記の生成物を1以上含む。
【化13】

【0014】
さらに具体例として、タキソゲンとしてトリフルオロプロペンを、テロゲンとしての(CFCFIに曝露すると、下式のテロマーを形成できる。
【化14】

【0015】
別の具体例として、トリフルオロプロペンを、テロゲンとしてのC13Iに曝露すると、下式のテロマーを形成できる。
【化15】

【0016】
また別の具体例として、トリフルオロプロペンを、テロゲンとしてのCClZ(Z=H,Br,Clなど)に曝露すると、下式のテロマーを形成できる。
【化16】

【0017】
nが2以上である生成物はテロゲンに対して過剰のタキソゲンを反応させたときに形成される。例えば、タキソゲン:テロゲンのモル比が2:1以上であるときは、nが2以上の生成物を得ることができる。具体的例としては、タキソゲンとして2モル以上のトリフルオロプロペンに、テロゲンとして1モル以上の(CFCFIを曝露させると、下式のテロマーの一方または双方が形成されるのである。
【化17】

【0018】
さらに具体例としてあげると、開始剤6を試薬を反応させている反応容器8内に供給することもできる。開始剤6としては、熱、光化学(UV)、ラジカル、または金属錯体などで、ジ−t−ブチルパーオキシドなどの過酸化物をも含む。開始剤6はCuなどの触媒も含み得る。開始剤6とテロゲン4はともに反応容器8に供給され、タキソゲン2に対して開始剤6のモル比は、約0.001〜0.05であり、好ましくは約0.01〜0.03である。
【実施例】
【0019】
種々の開始剤6、テロゲン4を用いてタキソゲン2をテロマー化した結果を表1に示した。テロマー化は、光化学および/または金属錯体開始剤6を用いて、カリウス(Carius)の反応管8を用いてバッチ条件で反応させた。また熱および/または過酸化物開始剤6を用いたテロマー化は、160および/または500cmのハステロイ(Hastelloy)の反応容器8を用いた。テロゲン4(そのまま或いは過酸化物溶液として)は約60℃〜180℃の温度でガス状態で供給し、表1に示すように、テロゲン4[T]/タキソゲン2[Tx]の開始時のモル比Rは0.25〜1.5の範囲で種々変動させ、反応時間は4〜24時間である。生成混合物はガスクロマトグラフィーで分析し、或いはまた生成物を蒸留分画してH−NMR、19F-NMR、13C−NMRによって分析できる。モノアダクト(n=1)およびジアダクト(n=2)は表1に示すように生成した。
【0020】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図は本発明の模範的な1具体例のシステムを示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(R)nQを含む組成物であって、
基は4以上のフッ素原子を含み、
基は、1以上のペンダント−CF基を有する1以上のC-2基を含み、
nは1以上であり、
Q基は元素周期表の原子を1以上有していることを特徴とする組成物。
【請求項2】
基が1以上の−CF基を含んでいることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
基が2以上の−CF基を含んでいることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項4】
基が−CF(CFを含んでいることを特徴とする請求項3記載の組成物。
【請求項5】
基が−C13を含んでいることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項6】
基が下式で表される基を含んでいることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【化1】

【請求項7】
nが2以上であり、下式で表される組成物を含む請求項1記載の組成物。
【化2】

【請求項8】
nが2以上であり、下式で表される組成物を含む請求項1記載の組成物。
【化3】

【請求項9】
Q基がハロゲンを含んでいることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項10】
下式で表される少なくとも1方を含む組成物であって、
基は4以上のフッ素原子を含み、
基は1以上の炭素原子を含み、
nは1以上であり、
Q基は元素周期表の原子を1以上有していることを特徴とする組成物。
【化4】

【請求項11】
基が2以上の−CF基を含んでいることを特徴とする請求項10記載の組成物。
【請求項12】
基が−CH−から成ることを特徴とする請求項10記載の組成物。
【請求項13】
nが1であり下式で表される組成物を含む請求項10記載の組成物。
【化5】

【請求項14】
Q基が1以上のハロゲンを含んでいることを特徴とする請求項10記載の組成物。
【請求項15】
Cl(R)nHを含む組成物であって、
Cl基は1以上の−CClを含み、
基は、1以上のペンダント−CF基を有する1以上のC-2基を含み、
nは1以上であることを特徴とする組成物。
【請求項16】
nが2以上であり、下式で表される組成物を含む請求項15記載の組成物。
【化6】

【請求項17】
nが2以上であり、下式で表される組成物を含む請求項15記載の組成物。
【化7】

【請求項18】
テロマー化の方法が、1以上のCF含有タキソゲンをフッ素含有テロゲンに曝露させて、テロマーを生成する工程を含み、フッ素含有テロゲンが4以上のフッ素原子を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項19】
CF含有タキソゲンがトリフルオロプロペンであることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
フッ素含有テロゲンが(CFCFIであることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項21】
開始剤の存在下で、CF含有タキソゲンをフッ素含有テロゲンに曝露させることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項22】
開始剤が過酸化物を含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
過酸化物が、ジ−t−ブチルパーオキシドを含むことを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
曝露反応が反応容器内で行われ、開始剤とテロゲンを反応容器に供給する際の、テロゲンに対する開始剤のモル比が約0.001〜0.05であることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項25】
テロゲンに対する開始剤のモル比が約0.01〜0.03であることを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項26】
曝露反応が反応容器内で行われ、反応中の反応容器内の温度が約130〜150℃であることを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項27】
CF含有タキソゲンがトリフルオロプロペンであり、
テロマーが下式で表され、
【化8】

基は4以上のフッ素原子を含み、
nは1以上であり、
Q基は元素周期表の原子を1以上有していることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項28】
CF含有タキソゲンがトリフルオロプロペンであり、
フッ素含有テロゲンが(CFCFIであり、
タキソゲン:テロゲンが2:1〜4:1のモル比であることを特徴とする請求項18記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−522287(P2007−522287A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551480(P2006−551480)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/002617
【国際公開番号】WO2005/074528
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(506179778)グレート・レークス・ケミカル・コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】