説明

組換えベクター、アグロバクテリウム、形質転換植物及びアビエタジエンの製造方法

【課題】 マツのような樹木から採集するよりも比較的容易かつ短期間でロジン主成分であるアビエチン酸を取得できるよう、その前駆物質であるアビエタジエンを効率的に製造する方法、及びそれに用いる形質転換植物、組換えベクター、アグロバクテリウムを提供することにある。
【解決手段】 植物形質転換用ベクターに、アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを連結した組換えベクター、前記組換えベクターを導入したアグロバクテリウム、アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを導入した形質転換蔓性木本植物細胞、前記形質転換蔓性木本植物細胞から成る形質転換植物体、前記形質転換蔓性木本植物細胞又は前記形質転換植物体からアビエタジエンを採取するアビエタジエンの製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形質転換植物を用いたアビエタジエンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロジンは、馬尾松をはじめとするマツ科植物から得られる樹脂油のうち、精油などの揮発性物質を留去した後の残留樹脂であり、紙サイズ剤、印刷インキ、塗料、接着剤、滑り止め剤、はんだ用フラックス、医薬、香料などの用途に幅広く利用されている。採取法から分類したロジンの種類としては、ガムロジン、トールロジン、ウッドロジンがあるが、世界のロジン生産高の大半を占めるアジアにおいてはガムロジンが主である。ガムロジンの製造法は、マツの幹に傷を付け、にじみ出てくる樹液を回収、そこから精製するという方法であり、機械化が難しい作業であるため非常に手間のかかる方法である(非特許文献1)。また、マツを植栽してから樹液を回収できるようになるまでにはおよそ15年を要するという非常に時間のかかる、それ故高い計画性が要求される手法でもある。こうしたことから、従来の手法に代わる効率的なロジン製造法開発が望まれていた。
【0003】
ところで、ロジン構成成分である樹脂酸のうち主成分はアビエチン酸とその類縁体であり、また植物の生合成系路におけるアビエチン酸の前駆物質はアビエタジエンである。ここで、アビエタジエンからアビエチン酸への化学的変換は比較的容易であることから、アビエタジエンの効率的製造法開発はそのままアビエチン酸あるいはロジン(代替物)の効率的製造法開発に繋がるものと考えられる。
【0004】
従来、遺伝子組換え技術を利用し、マツ科植物からの採集以外の方法でアビエチン酸あるいはアビエタジエンを生産しようとした試みとしては非特許文献2がある。しかし、該手法は遺伝子組換え宿主として酵母を用いており、大量生産に際しては大規模な設備投資が必要になるなど不利な点があった。また現在に至るまで、マツのような樹木よりも回収が容易かつ生長が速く短期間で収穫可能な植物の遺伝子組換えでアビエチン酸あるいはアビエタジエンの生産に成功した例は報告されていない。更に比較例で後述するように、植物の遺伝子組換えで代表的に用いられているタバコを宿主にした場合には、同様の形質転換操作を行ってもアビエタジエン生産能を付与するには至らなかった。
【0005】
【非特許文献1】The Plant Journal (2008) Vol.54, P.656−669
【非特許文献2】Phytochemistry (2006) Vol.67, P.2415−2423
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、マツのような樹木から採集するよりも比較的容易かつ短期間でロジン主成分であるアビエチン酸を取得できるよう、その前駆物質であるアビエタジエンを効率的に製造する方法、及びそれに用いる形質転換植物、組換えベクター、アグロバクテリウムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、低木でかつ生長が速い蔓性木本植物の形質転換体(細胞)を用いることにより、アビエタジエンを比較的容易な回収作業でかつ短期間に製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、以下の組換えベクター、アグロバクテリウム、形質転換蔓性木本植物及びアビエタジエンの製造方法を提供するものである。
1.植物形質転換用ベクターに、アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを連結したことを特徴とする組換えベクター。
2.前記組換えベクターを導入したアグロバクテリウム。
3.アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを導入した形質転換蔓性木本植物細胞。
4.前記形質転換蔓性木本植物細胞から成る形質転換植物体。
5.前記形質転換蔓性木本植物細胞又は前記形質転換植物体からアビエタジエンを採取することを特徴とするアビエタジエンの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アビエタジエン産生形質転換蔓性木本植物及びそれを用いた効率的なアビエタジエンの製造方法が提供でき、これは比較的容易な回収作業でかつ短期間にロジン主成分であるアビエチン酸を製造する方法に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について詳しく説明する。なお、以下において、単位「M」は「mol/L」を、単位「mM」は「mmol/L」を、単位「μM」は「μmol/L」をそれぞれ示す。
【0011】
1. 組換えベクター
1.1. ベクター
本発明の組換えベクターを作製する際に用いるベクターとしては、本発明の効果を損なわない限り、通常、植物形質転換に用いられるベクターを用いることができ、例えば、Tiプラスミドやバイナリーベクター(ミニTiプラスミド)など各種ベクターを使用可能であるが、カナマイシン耐性等の抗生物質耐性の選択マーカーを有していることが好ましく、例えば、pRI910やpBIN19などのバイナリーベクターがより好ましいものとして挙げられる。
【0012】
1.2. 導入ポリヌクレオチド
本発明の形質転換ペリプロカを作製する際に導入するポリヌクレオチドとしては、アビエタジエンの合成を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであればよく、例えば、マツ科植物由来のレボピマラジエン/アビエタジエンシンターゼをコードするポリヌクレオチドやアビエタジエンシンターゼをコードするポリヌクレオチドなどが挙げられ、より好ましいものとして、ノルウェートウヒ由来レボピマラジエン/アビエタジエンシンターゼをコードするポリヌクレオチドが挙げられる。
この様なアビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては例えば、(A)配列番号1で表されるポリヌクレオチド、(B)配列番号1のポリヌクレオチドにおいて、1又は数個のヌクレオチドが置換、欠失、もしくは挿入されており、かつ、アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、又は(C)配列番号1のポリヌクレオチドの相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが挙げられる。ただし、ここで「数個」とは、置換、欠失、もしくは挿入されるヌクレオチドの配列や位置によっても異なるが、具体的には2から100個、好ましくは2から50個、より好ましくは2から9個であり、例えばイントロンの挿入なども想定される。また、ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。このような条件としては、相同性が高いポリヌクレオチド同士、例えば50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、もっとも好ましくは95%以上の相同性を有するポリヌクレオチド同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いポリヌクレオチド同士がハイブリダイズしない条件、具体的には、40℃、1×SSC(0.15M NaCl、15mM Sodium Citrate pH7.0)、0.1% SDS(Sodium Dodecylsulfate)などが挙げられる。
【0013】
1.3. 組換えベクターの調製
本発明の組換えベクターは、ベクターに前記アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを連結することによって調製できる。
前記ポリヌクレオチドは、そのまま後述するベクターに連結してもよいが、例えば、アビエタジエン合成活性を示す範囲内で、前記塩基の欠失、置換もしくは付加を行ってもよい。
さらに、前記ポリヌクレオチドの5’末端および3’末端の少なくとも一方に、形質転換した際に宿主内で発現を制御する、例えば、プロモーターやターミネーター等の塩基配列を付加してもよい。このようなプロモーターやターミネーターは、例えば、後述する35SプロモーターやNOSターミネーターなどが挙げられる。
【0014】
2. アグロバクテリウム
前記アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをアグロバクテリウムにより植物細胞へ導入する場合、まず、前記組換えベクターをエレクトロポレーション法等によってアグロバクテリウムに導入する。本発明に用いるアグロバクテリウムの種類は特に制限されず、例えば、EHA105やLBA4404などが使用できる。
前記組換えベクターを導入したアグロバクテリウムを、例えば、カナマイシン等の抗生物質を含む培地で培養すれば抗生物質耐性により生育したコロニーを、形質転換したアグロバクテリウムとして選択的に得ることができる。
【0015】
3. 形質転換蔓性木本植物
3.1. 蔓性木本植物
本発明の蔓性木本植物としては、栽培しやすさ、生長速度、形質転換効率などの観点から、ペリプロカ属に属する蔓性木本植物が好ましい。ペリプロカ属に属する蔓性木本植物としては、例えばペリプロカ セピウム(Periploca sepium)、ペリプロカ カロフィラ(Periploca calophylla)、ペリプロカ フロリブンダ(Periploca floribunda)、ペリプロカ フォレスティ(Periploca forrestii)などを挙げることができ、より好ましいものとしてペリプロカ セピウム(Periploca sepium)が挙げられる。
3.2. 形質転換蔓性木本植物細胞の調製
本発明の形質転換蔓性木本植物細胞を得るには、本発明の組換えベクターをアグロバクテリウム法やエレクトロポレーション法など公知慣用の手法で蔓性木本植物細胞に導入し、必要に応じて導入が確認されたもののみを選抜、増殖させればよい。
ところで、本発明で言う「植物細胞」とは、脱分化した状態の植物細胞、植物体を形成している状態の細胞、及び植物体そのものを包含するものとする。
【0016】
4. 形質転換植物体
4.1. 植物体
本発明の植物体としては、前記蔓性木本植物で説明した植物体が挙げられる。
4.2. 形質転換植物体の調製
上述のようにして得られた脱分化状態の形質転換植物細胞を例えば、再分化誘導剤を含む培地でインキュベートすれば、形質転換植物体を再生することができる。再分化誘導剤としては公知慣用のものを用いることができ、例えば、インドール酢酸、インドールプロピオン酸、インドール酪酸、ナフタレン酢酸等のオーキシン類、およびゼアチン、カイネチン、ベンジルアデニン等のサイトカイニン類、ジベレリン酸等のジベレリン類等が挙げられ、これらの中からいずれか一種類、あるいは二種類以上を併用してもよい。
【0017】
5. アビエタジエンの製造方法
本発明の製造方法における、アビエタジエンの形質転換蔓性木本植物からの回収方法としては特に制限はないが、例えば植物体の場合、地上部分を切断し、裁断するなり磨り潰すなりして液状物質を搾り出すなどして回収してもよいし、水/有機溶媒を使った抽出などによって回収してもよい。これら回収した液から適宜精製工程、乾燥工程などを経て最終的にアビエタジエンを得ることができる。また、脱分化状態の細胞の場合、ろ過や遠心分離などで細胞を集めた後、上記同様の方法にてアビエタジエンを得ることができる。さらに得られたアビエタジエンから、公知慣用の化学的方法や酵素学的方法を用いてアビエンチン酸を得ることができる。
【実施例】
【0018】
(実施例1) 形質転換ペリプロカの作製
<ベクター構築>
プラスチド移行シグナルを含むPaTPS−LAS(ノルウェートウヒ由来レボピマラジエン/アビエタジエンシンターゼ)のcDNA(配列番号1)を鋳型として、配列番号2及び3に示したオリゴヌクレオチドをプライマーに用いたPCR法により5’側にXhoI、3’側にKpnI制限酵素サイトを導入し、PaTPS−LAS挿入用DNA断片を作製した。得られたDNA断片をバイナリーベクターpRI910に挿入し、PaTPS−LASを発現するバイナリーベクターpRI910::PaTPS−LAS(図1)を構築した。
【0019】
<ペリプロカの形質転換>
アグロバクテリウムEHA105をpRI910::PaTPS−LASで形質転換し、これを感染用アグロバクテリウムとした。感染用アグロバクテリウムを、カナマイシン(50mg/L)を添加したLB液体培地で暗黒、25℃、140rpmの条件下、12時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離(5500rpm、15分)により集菌、濃縮して回収した。
【0020】
一方、ペリプロカシュートの節間を1cmごとに切断したもの160本を外植体とて準備。外植体を、前記形質転換アグロバクテリウムを含む液体感染培地PsCo−7(20g/L スクロース、0.1μM α−ナフチル酢酸(NAA)、3μM 6−ベンジルアミノプリン(BAP)、20mg/L アセトシリンゴン、pH5.8となるように添加したムラシゲスクーグ(MS)培地)に入れ、手で振盪しながら2分間浸漬した。浸漬後、外植体を滅菌した濾紙上で水分を除去し、液体感染培地と同じ培地組成にゲルライト(2.4g/L)を添加した固体共培養培地PsCo−7に置床し、25℃暗黒下で3日間共存培養した。3日後、カルベニシリン(500mg/L)を添加した滅菌水で該外植体を3回水洗し、アグロバクテリウムを除去した。濾紙上で余分な水分を除去した後、選抜再分化培地PsCSCK(20g/L スクロース、0.1μM NAA、3μM BAP、2.4g/L ゲルライト、50mg/L カナマイシン、250mg/L カルベニシリン、pH5.8となるように添加したMS培地)に置床した。25℃、光合成有効光量子束密度(PPFD)50μmolm−2−1、明期16時間/日の照明下で培養した。培養4週間後に同じ組成の再分化培地PsCSCKに継代して引き続き再分化するまで培養を続けた。
【0021】
再分化個体をシュート伸長培地PsSLCK(50mg/L カナマイシン、250mg/L カルベニシリン、pH5.8となるように添加したホルモンフリーのMS培地)に移して、カナマイシン耐性を検定した。非形質転換体は伸長せず一週間ほどで枯死するのに対し、ポリヌクレオチドが導入されたと考えられる形質転換体は耐性を示し、カナマイシン非存在下での野生株と同等の生育を示した。形質転換体が大きくなったところで新たな培地に移植し、成熟した完全な形質転換ペリプロカ植物体が得られた。再分化から植物体を得るまでに要した期間は僅か2ヶ月程度であった。
【0022】
<PCRによるポリヌクレオチド導入確認>
形質転換ペリプロカにおける導入ポリヌクレオチド(PaTPS−LAS)の存在をPCRによって確認した。上記で得られた組換え植物体の葉身約1cmから、Qiagen DNeasy Plant Mini Kit(50)を用い使用法に従ってDNAを抽出した。抽出したDNA溶液のうち1μlを鋳型とし、配列番号2及び3に示したオリゴヌクレオチドをプライマーに用いてPCRを行った。PCR後、反応液の一部を1.2%アガロースゲルで電気泳動し、バンドの有無、および、コントロールPCR産物の長さとの比較を行った。その結果、得られた形質転換ペリプロカの染色体DNAに導入ポリヌクレオチドが存在することが確認された。
【0023】
(実施例2) アビエタジエンの回収・分析
上記で得られた形質転換ペリプロカからアビエタジエンを抽出・回収し、分析を行った。形質転換ペリプロカの一部約0.5gに蒸留水15mlを加え、すり鉢を用いて十分に磨り潰し、ジエチルエーテル50mlを加えて二相分配法により抽出を行った。ジエチルエーテル相を回収し、ジーエルサイエンス社製グラファイトカーボンパウダーを通過させて緑色素を除去した後、エバポレーターでエーテルを留去し、ピリジンに溶解させて抽出回収液を得た。この抽出回収液をGC−MS(GCカラムとしては、アジレント・テクノロジー株式会社製DB−5MS(0.25mmφ×30m、膜厚0.25μm)のキャピラリーカラムを用い、80℃,4分Hold−8℃/分−320℃の昇温条件で分析を行った。また、野生型ペリプロカについても同様の操作を行った。
【0024】
その結果、形質転換ペリプロカの抽出回収液中にのみアビエタジエンが存在することが判明した(図2)。これにより、アビエタジエン合成活性を有するポリペプチド(PaTPS−LAS)をコードするポリヌクレオチドを導入した形質転換ペリプロカでのアビエタジエン生産が確認された。
【0025】
(比較例1) 形質転換タバコの作製・分析
バイナリーベクターとして前記作製のpRI910::PaTPS−LASを用い、常法に従ってタバコSR−1株にPaTPS−LASをコードするポリヌクレオチドを導入した。形質転換タバコを生長させ、染色体DNAにポリヌクレオチドが導入されていることを前記同様PCRにより確認した。形質転換ペリプロカの場合と同様の手法により、形質転換タバコからジエチルエーテル抽出画分を回収し、同条件でGC−MS分析を行った。その結果、形質転換タバコにおいてはアビエタジエンを生産・蓄積していない事が確認された。
【0026】
(参考例1) ポリヌクレオチドの導入・発現確認
形質転換ペリプロカ、形質転換タバコの両者について、それぞれ常法に従いゲノミックPCR、RT−PCR、ウェスタンブロッティングを行い、ポリヌクレオチドの導入とその発現を確認した。但し、PCRのプライマーとしては配列番号2及び3に示したオリゴヌクレオチドを用い、ウェスタンブロッティングの抗血清には配列番号4に示したオリゴペプチドをウサギに免疫することで得られた抗血清を用いた。
【0027】
結果は表1に示したとおり、形質転換ペリプロカではゲノミックPCR、RT−PCR、ウェスタンブロッティングの全てにおいてポリヌクレオチドの導入とその発現が確認されたが、形質転換タバコではウェスタンブロッティングにおいて発現量が検出限界以下であることが判明した。
【0028】
【表1】

【0029】
なお、表中「○」は発現が確認されたことを、一方、「ND」は検出限界以下であったことを示す。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、ロジン主成分であるアビエチン酸の前駆物質アビエタジエンの製造において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ペリプロカの形質転換に用いたバイナリーベクターpRI910::PaTPS−LASを示した図である。
【図2】GC−MSにより形質転換ペリプロカ中のアビエタジエン検出を行った結果を示した図である。
【図3】GC−MSにより野生型ペリプロカ中のアビエタジエン検出を行った結果を示した図である。
【符号の説明】
【0032】
1 アビエタジエンのピークを表す囲い

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物形質転換用ベクターに、アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを連結したことを特徴とする組換えベクター。
【請求項2】
前記アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、(A)配列番号1で表されるポリヌクレオチド、(B)配列番号1のポリヌクレオチドにおいて、1又は数個のヌクレオチドが置換、欠失、もしくは挿入されており、かつ、アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、又は(C)配列番号1のポリヌクレオチドの相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである請求項1に記載の組換えベクター。
【請求項3】
前記植物形質転換用ベクターがバイナリーベクターまたはTiプラスミドベクターである請求項1に記載の組換えベクター。
【請求項4】
請求項1記載の組換えベクターを導入したアグロバクテリウム。
【請求項5】
アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを導入した形質転換蔓性木本植物細胞。
【請求項6】
前記アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、(A)配列番号1で表されるポリヌクレオチド、(B)配列番号1のポリヌクレオチドにおいて、1又は数個のヌクレオチドが置換、欠失、もしくは挿入されており、かつ、アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、又は(C)配列番号1のポリヌクレオチドの相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、アビエタジエン合成活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである請求項5に記載の形質転換蔓性木本植物細胞。
【請求項7】
前記蔓性木本植物がペリプロカ属に属する植物である請求項5に記載の形質転換蔓性木本植物細胞。
【請求項8】
前記蔓性木本植物がペリプロカ セピウム(Periploca sepium)である請求項5に記載の形質転換蔓性木本植物細胞。
【請求項9】
請求項5〜8に記載の形質転換蔓性木本植物細胞から成る形質転換植物体。
【請求項10】
前記形質転換植物体がアビエタジエン合成能を獲得したものである請求項9記載の形質転換植物体。
【請求項11】
請求項5から8のいずれか一項に記載の形質転換蔓性木本植物細胞、または請求項9若しくは10に記載の形質転換植物体からアビエタジエンを採取することを特徴とするアビエタジエンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−148372(P2010−148372A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327498(P2008−327498)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【出願人】(504143441)国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 (226)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】